JP7243677B2 - 炉底の昇温方法および高炉の立ち上げ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、操業が停止した高炉の炉底の内容物を昇温したのち送風を開始するために用いる炉底の昇温方法およびその方法を用いた高炉の立ち上げ方法に関する。
高炉は、羽口と呼ばれる送風用の穴から吹き込んだ高温空気及び酸素とコークスおよび微粉炭の反応によって生成した高温還元ガスによって、鉄鉱石の昇温、還元、溶解を行い羽口下部に設置した出銑口から銑鉄とスラグを炉外に排出して生産する設備である。高炉の通常操業時においては、炉内の反応熱と羽口からの熱供給がバランスしているため、高炉の安定的な操業が可能である。しかしながら、操業トラブルや設備トラブル等に起因して、高炉への送風を止める必要が発生する場合がある。また、高炉の老朽化に伴う補修工事のため、高炉を長時間休風させることが必要となる場合もある。休風中、炉体からの抜熱、羽口からの空気の吸込み等により、炉内の装入物と溶融物の温度(以下、炉熱とする。)は低下する。
炉熱が低下するとスラグの粘性が上昇し、一部は凝固し、出銑口からの溶銑滓の排出が困難となる。そのような状態で送風を行うと、羽口前で発生した高温ガスにより生成される溶銑とスラグにより、炉下部の溶銑滓の液面レベルが上昇する。この時、羽口上部から供給される溶銑滓により炉底に滞留していた溶銑滓が昇温され、徐々に適切な炉熱レベルまで回復すれば問題は無い。しかしながら、炉熱が回復せず溶銑滓の液面レベルが羽口レベルに到達し、羽口を閉塞してしまうと炉内への熱供給手段が絶たれ炉冷事故に至り、多大な経済的損失をもたらす。
炉冷事故からの回復方法として、従来は、以下のような方法をとっていた。すなわち、まず、休風中に出銑口上の1-2本の羽口以外を耐火物等により閉塞させ、出銑口と閉塞していない羽口から酸素を吹き込む。これにより、出銑口と羽口間の半溶融物を出銑口から排出した後、炉内にできた空間にコークスを充填してから送風を開始する。そして、出銑口と羽口の間を流れる高温ガスによる炉底の昇温と、送風に伴って生成する溶銑滓の円滑な排出のサイクルを確立する。その後、隣接部の羽口を開口し、徐々に開口羽口本数を増やし通常の操業まで回復させる方法をとる。しかしながら、これらの工程は1-2ヵ月の時間を要する。また酸素の吹込み等は人力で行うため、安全上のリスクも高い作業となっている。
休風からの立上げは炉熱が低下しているため、上述した炉冷事故に至るリスクが高い状態である。炉例事故を起こさずに休風などからの立ち上げを行うために、従来は、炉内のコークス比を上げて休風に入り、送風後に微粉炭の吹込みが開始できるまでの熱補償を行っていた。他の方法としては、出銑口から酸素ガスを吹き込んで炉内の炭材や銑鉄を燃焼、発熱させて炉底部を昇温させる方法や、高炉の炉底に設けられた出銑口にバーナを設置して燃料を燃焼させ、炉底を効率よく昇温し、長時間休風から短時間のうちに立ち上げることができる高炉の送風開始方法と炉底昇温用バーナが提案されている (特許文献1、2) 。
特開2016-30833号公報 特開2013-221184号公報
炉底昇温用バーナを用いて炉底を昇温する方法は、炉底の低温化した溶融物あるいは凝固物に直接熱を供給し昇温させるため極めて効率が良い方法と言える。出銑口に設置した炉底昇温用バーナから天然ガスなどの可燃性ガスと、酸素を含む支燃性ガスを吹き込んで燃焼させることにより、炉底の充填物に熱を供給することができる。また、バーナから酸素を含む支燃性ガスを吹き込んで、炉内のコークスを燃焼させたり、炉内の鉄を酸化させることで熱を供給させたりすることもできる。本発明ではバーナから吹き込む可燃性ガスや支燃性ガスを総称して加熱ガスと呼ぶ。しかしながら本手法を用いるに当たっては、バーナを設置する位置とその燃焼時間を合理的に決定することが困難であるという課題があった。バーナ燃焼の主たる目的は、出銑口とその直上の羽口の間に存在する溶融物または凝固物を十分に昇温・溶融させ出銑口から排出させ、その後の送風で羽口先において生成するスラグ、溶銑の炉外への排出を円滑化させることにある。そのため、高炉を安定的に立ち上げるためには、効果的に昇温可能な出銑口にバーナを設置することが望ましい。一般に高炉の出銑口は一基の高炉につき2~4ヶ所程度設置されているが、どの出銑口にバーナを設置すると効果的に炉底を昇温可能であるかを予測する好適な方法は知られていなかった。
また、バーナから吹き込む可燃性ガスを燃焼させる好適な時間を決定することも困難であった。出銑口から供給できる熱量は、羽口からの熱風の送風により炉内のコークスを燃焼させて供給できる熱量に比べて少ない。従って、高炉を早期に立ち上げるためには、可能な限り早い時期に羽口からの送風に切り替えることが好ましい。特に、高炉からの放熱が大きい場合には、出銑口に設置したバーナのみではその放熱を補うことが困難なため、早急に羽口からの送風を行うことが望ましい。すなわち、出銑口に設置したバーナからの熱によって羽口先端部の温度が十分に上昇し、羽口からの送風によって羽口先端部の炉内コークスが燃焼可能になったことを早期に知ることができれば、高炉の早期立ち上げが可能になり、放熱の増大による凝固層の拡大を抑制することができる。
発明者らは、出銑口に設置したバーナによって高炉内がどのように昇温するかを検討し、本発明を完成した。すなわち、バーナの燃焼時間に応じて炉内状況がどのように変化する (どう昇温する) のかを推定し、その推定結果に応じてバーナの燃焼時間を決定する好適な方法を見出した。バーナ燃焼後の炉内の昇温挙動はバーナ燃焼前の炉内の状況によっても異なる。これは、バーナ燃焼直前までの高炉の操業停止時間 (休風時間) の長短により炉外への抜熱量は変化し、これに伴い炉内の溶融物の粘度や生成した凝固層の厚みや形状が異なり、それがその後のバーナの燃焼による昇温の状況やバーナを燃焼させるべき時間に影響を及ぼすためである。バーナの燃焼時間を十分に長く確保すればバーナ近傍に供給される熱量は増える。しかしながら炉内は塊コークスで満たされた充填層であるためバーナ先端から炉内に吹き込まれるガスはバーナ先端から遠隔位置には届かず、そのため昇温されず抜熱が進行し、炉内の溶融物の流動性の一層の低下または炉内に成長した凝固層の一層の成長といった悪影響が発生することがある。すなわち、炉内状態に応じて出銑口と羽口間の領域を所望の温度まで上昇させるために必要なバーナ燃焼時間およびバーナ燃焼ガス量等の諸元を過不足無く推定することが必要となる。
本発明の目的は、高炉の出銑口に設置したバーナを用いて、操業を停止した高炉を速やかに再稼働させるための好適な炉底の昇温方法およびその方法を用いた高炉の立ち上げ方法を提案することにある。
上記の課題を解決するにあたり鋭意検討を重ねた結果、発明者らは高炉の操業停止前 (休風前) の炉下部溶融物の温度あるいは凝固層の厚み・形状をシミュレーションモデルで推定し、その結果に基づいて出銑口に設置したバーナ(以下、出銑口バーナと呼ぶこともある)の好ましい燃焼条件を決定する方法を見出した。具体的には、シミュレーションモデルで推定された凝固層の厚みに基づいて、出銑口バーナを用いて羽口先端部を効果的に昇温できる出銑口を特定し、その出銑口にバーナを設置して加熱した際に、どの程度の燃焼時間で、羽口からの送風によって高炉を昇温可能とすることができるかを、伝熱計算により推定する。そして、その条件で炉底部を加熱した後、速やかに羽口から熱風を送風することで、稼働を停止した高炉の早期の立ち上げが可能となる。
本発明の炉底の昇温方法の第1の態様は、操業が停止した高炉の炉底の出銑口に設けたバーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する炉底の昇温方法において、操業停止中に炉底部に成長した凝固層の形状を推定する工程と、複数の出銑口において、該出銑口と該出銑口の直上の羽口との間の凝固層の平均厚みを推定する工程と、推定された平均厚みが最も小さい出銑口または、3か所以上の出銑口を有する場合には前記推定された平均厚みが2番目に小さい出銑口にバーナを設置して、バーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する工程と、を含む、炉底の昇温方法である。
また、本発明の炉底の昇温方法の第2の態様は、操業が停止した高炉の炉底の出銑口に設けたバーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する炉底の昇温方法において、操業停止中に炉底部に成長した凝固層の形状を推定する工程と、推定した凝固層形状を境界条件としてバーナから吹き込んだ加熱用ガスの燃焼中に昇温する炉底部の温度分布を推定する工程と、前記温度分布に基づいて、バーナから吹き込んだ加熱用ガスを燃焼させる時間を決定する工程と、を含む、炉底の昇温方法である。
なお、前記の第1の態様においては、
(1)決定された燃焼時間以上、吹き込む加熱ガスを燃焼させた後、前記バーナを別の出銑口に移設して、バーナから吹き込む加熱ガスを燃焼させること、および、
前記第1の態様および第2の態様においては、
(2)前記バーナは、気体が流通する内管と外管を含む重管構造を有し、内管と外管との端部を覆うキャップであって高炉内において除去可能なキャップを有すること、
がそれぞれ好ましい態様となるものと考えられる。
さらに、本発明の高炉の立ち上げ方法は、上述した炉底の昇温方法において、バーナから加熱用ガスを吹き込んだ後、バーナを設置した直上の羽口から酸素を含む1000℃以上のガスを吹き込んで炉内のコークスを燃焼させる、高炉の立ち上げ方法である。
本発明の炉底の昇温方法によれば、操業停止中の高炉炉下部の昇温を効果的に行うことができ、高炉の再稼働を円滑に行うことができる。
本発明の炉底の昇温方法においてバーナ燃焼条件を推定するまでの各工程を示すフローチャートである。 境界要素法により推定した炉底に成長した凝固層形状を示す図である。 境界要素法により推定した炉底に成長した円周方向各位置における凝固層線を示す図である。 境界要素法により推定した炉底に成長した円周方向各位置における凝固層線をスムージング化した図である。 シミュレーターによる計算対象となる炉底の3次元領域およびその分割図を示す図である。 シミュレーターにより計算したバーナ燃焼開始から15時間後までのバーナ近傍の温度分布を示す図である。 (a)、(b)は、それぞれ、本発明の炉底の昇温方法に用いるのが好ましいバーナの構造の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態と作用効果について説明する。
図1は、本発明において凝固層の厚みと出銑口バーナ燃焼時間とをシミュレーションモデルを用いて決定するまでの流れを示すフローチャートである。本発明では、まず、バーナ燃焼前の炉内状況を推定するために、シミュレーションモデルを用いて炉内に成長した凝固層の厚みと形状の推定を行う。
炉内の凝固層厚みの計算方法は種々考えられるが、例えば文献(吉川 他:鉄と鋼, 73(15), 1987, 2068-2075)に記載の手法が考えられる。上記文献に記載の手法は、凝固層の界面を銑鉄の凝固温度(1150℃)の等温線と仮定し、境界要素法(BEM)による伝熱計算を行い、実炉において熱電対により測定された炉底の温度の実測値と境界要素法による温度の計算結果の誤差が最小となるような凝固界面を逐次計算して算出する方法である(ステップ1~3)。図2に本手法により推定した炉底の凝固層形状結果を示す。高炉の羽口より下の炉底部には、高炉周方向および高さ方向の複数位置に熱電対が設置されていることが一般的である。図2のように、炉底の温度を測定する熱電対が存在する炉底の各方向において、凝固層形状が算出できる。
次に、ステップ4で垂直断面の計算結果を3次元化する。その例を図3および図4に示す。図3は、高炉の円周方向各位置における凝固層線の計算結果を並べて図示したものである。図3の各凝固層線間を補間すれば、炉底における凝固層形状を滑らかに3次元化することが可能となる。図4は図3の各凝固層線間を周方向に5°ピッチで分割し、各分割位置における凝固層高さを、図3の凝固層線を2次スプライン補間した値として表示した結果を示す。図4の各位置分割位置における凝固層高さおよび実測点における凝固層高さを円周状に展開すれば、炉下部の凝固層形状を3次元化できる。
次に、ステップ5では、計算用の領域分割を行う。図5は炉底および側壁レンガ、図4の凝固層領域を含む3次元計算領域である。図5の3次元領域を伝熱計算用に領域分割し、各分割要素に伝熱計算用の熱伝導率、比熱、密度等の物性値を設定する。
次に、ステップ6では、バーナを挿入し燃焼させる出銑口の選択を行う。このステップ6は、ステップ5よりも前に行ってもよい。図1のフローチャートのステップ6では、伝熱計算を行うためにバーナを設置する出銑口を決定している。しかし、伝熱計算を省略して、計算された凝固層の形状に基づいてバーナを設置すべき出銑口を特定し、炉底を昇温させる作業を行ってもよい。発明者らは、出銑口とその出銑口の直上の羽口との間の凝固層の平均厚みが小さい出銑口にバーナを設置して加熱を行うと、効果的に羽口先端を加熱できることを見出した。
すなわち、ステップ4において推定された凝固層の形状から、出銑口の直上の羽口との間の凝固層の水平方向の平均厚みを推定し、推定された平均厚みが最も小さい出銑口または、3か所以上の出銑口を有する場合には前記推定された平均厚みが2番目に小さい出銑口にバーナを設置して、バーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温することが好ましい。この時、出銑口の高さにおいて、凝固層が水平方向に炉中心部まで広がっている場合は、水平方向に広がる凝固層の上面の平均の高さから羽口高さまでの水平方向の厚みの平均を用いることができる。また凝固層の上面の平均の高さにかえて、炉中心部での凝固層の上面の高さを用いてもよい。
ステップ7では、吹込み酸素量、燃料ガス、燃焼時間、燃焼ガスの充填層内の軌跡等の燃焼条件を入力する。燃焼条件は、バーナの能力や供給したい熱量に応じて決定すればよい。ガスの軌跡は、推定された炉内の状況を考慮した炉内の圧力分布に基づいて決めることができる。なお、炉底部の凝固層は、固化した銑鉄やスラグで隙間なく埋め尽くされたものである場合は少なく、凝固物とコークスとが混ざり合って固化したものであるので、ある程度の通気性を有していることがほとんどである。出銑口に設置したバーナの炉内先端部が凝固層で閉塞され通気が悪い場合には、出銑口バーナの燃焼に先立って、純酸素を吹き込んで固化した銑鉄を酸化発熱させて凝固層を融解させた後にバーナの燃焼を行うようにすればよい。また、燃焼ガスの燃焼温度 (断熱火炎温度) は酸素と燃料ガスの組成から算出する(ステップ9)。
以上の条件のもと、炉底においてバーナを燃焼させた際の炉底の昇温挙動の非定常計算を行う(ステップ10~13)。具体的には、以下に示す伝熱方程式を計算用に分割した各要素について、差分法、有限体積法等の数値解析手法により解く。
Figure 0007243677000001
上記の式においてTは炉底の凝固物、コークス等の内容物の温度、Tgは燃焼ガス温度、ρは密度、Cpは比熱、λは熱伝導率、x,y,zは分割要素の座標、hはガスの対流および輻射による熱伝達係数を表す。
ここで、羽口先温度の目標温度は、羽口からの送風によってコークスが燃焼を開始する温度(概ね800℃)以上とする。ただし、操業停止時の炉内のコークスは、銑鉄やスラグなどの溶融物が付着していることが多いため、羽口からの送風を開始する時の羽口先温度が低いと、コークスの燃焼が可能な温度であっても燃焼を定常的に継続できなることもある。そのため、目標温度は1500℃以上とすることが好ましく、2000℃以上とすることがより好ましい。
図6は、長期休風中の実高炉を対象として図4のように凝固層を求め、バーナを出銑口から挿入しバーナを燃焼した際の、燃焼開始以降のバーナ近傍の温度分布を表す。バーナの燃焼ガスが流れる出銑口先から羽口の領域にかけては、炉内凝固物が速やかに昇温されていることが分かる。燃焼開始から12時間で、羽口先の温度は2000℃を超え、この時点で、羽口から送風を行って炉内のコークスを燃焼させることが可能になったと判断できる。従って、この高炉では、計算を実施した出銑口に設置したバーナで、計算と同じ条件で12時間燃焼を継続した後、速やかに羽口からの送風を開始することができる。なお、このように出銑口に設置したバーナによって所定時間加熱を行って羽口からの送風が可能になった後、出銑口バーナを他の出銑口に移設して、高炉の複数位置において羽口からの送風が可能となるように加熱を行ってもよい。
図6には比較のため、羽口先の温度が2000℃に到達をした以降も加熱をつづけた場合の結果も示してある。燃焼開始から15時間後では、出銑口先と羽口間の領域の温度上昇は2000℃を維持しているものの、燃焼ガスの軌跡から離れた領域の昇温は停滞している。すなわち、本バーナの目的は出銑口と羽口の間の領域を昇温することにあるため燃焼開始から12時間経過した時点でその目的は達成されたことになり、それ以降燃焼を継続しても大きな昇温の効果は得られないことになる。これは、この燃焼条件では、燃焼時間が増加しても投入熱量が温度上昇にほとんど寄与せず、放散熱が増加してしまうことによると考えられる。すなわち燃焼開始から12時間が適切なバーナの燃焼時間となる。このように、本発明によりバーナの適切な燃焼条件と燃焼時間が過不足無く推定可能となり、可動停止中の高炉の早期立ち上げに寄与すことができる。
バーナの構成としては、可燃性ガスと支燃性ガスを同時に吹き込める構造を有していればよい。構造の一例としては、気体が流通する内管と外管を含む重管構造を有するものが挙げられる。バーナから可燃性ガスと支燃性ガスを吹き込む場合には、内管または外管の一方から可燃性ガスを吹き込み、他方から支燃性ガス(例えば酸素や、空気)を吹き込む。バーナから支燃性ガスを吹き込んで、高炉内のコークスを燃焼させる場合には、内管と外管の一方から、またはその両方から支燃性ガスを吹き込む。この際、バーナの温度が上がりすぎないように外管のさらに外側から不活性ガス(例えば窒素)を吹き込んでバーナを冷却してもよい。あるいは、可燃性ガスを吹き込まない場合には、例えば、内管から支燃性ガスを、外管から冷却用の不活性ガスを吹き込んでもよい。
また、バーナ先端には、内管と外管との端部を覆うキャップであって高炉内において除去可能なキャップを設けてもよい。このようなキャップを設けておくと、バーナを高炉に設置する際には例えば内管から外管に空気などのガスを流通してバーナを冷却しながらバーナを高炉に設置することができる。そして、設置が完了したら、例えば高炉内の熱によってキャップを溶解させて除去することによって、内管と外管から高炉内に加熱ガスを吹き込むことができ、バーナの出銑口への設置作業を効率的かつ安全に行える。そのようなバーナの構造の一例を図7(a)、(b)に示す。
図7(a)、(b)は、それぞれ、本発明の炉底の昇温方法に用いるのが好ましいバーナの構造の一例を示す図である。図7(a)、(b)に示すバーナ1は、気体が流通する内管21と外管22との2重管構造を有するとともに、内管21と外管22との端部を覆うキャップ23を有している。そして、図7(a)に示すようにキャップ23が存在する場合は、内管21の気体導入口24から吹き込んだ気体が外部に漏れずに外管22の気体排出口25から排出される。一方、図7(b)に示すようにキャップ23が存在しない場合は、内管21の気体導入口24から吹き込んだ気体が炉内に供給される。そのため、バーナ1は、キャップ23を存在させた状態で内管21から外管22に気体を流してバーナ1を冷却する機能を有するとともに、内管21から外管22の気体の流通による冷却を止めるとともにキャップ23を溶解させ、バーナ1の内管21または外管22あるいはその両方から炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する機能を有する。
以下、本発明の実施例について説明する。長期操業停止中の実高炉を対象として、炉底昇温バーナを出銑口から挿入し燃焼を開始した。一方、燃焼開始前に図1に示すフローチャートに則り、バーナの燃焼時間と炉内の温度分布の関係をシミュレーターにより推定した。出銑口と羽口の間の領域が十分に昇温されるであろう燃焼時間を、シミュレーターにより推定し、本推定時間と同様の時間を実炉における燃焼時間とした。
燃焼終了後出銑口からバーナを引き抜いたところ、直ちに出銑口より大量の溶融物が排出され出銑口近傍が十分に昇温されたことが確認された。溶融物の排出が完了した後、出銑口から羽口へのガスのドラフトが確認されたことから、出銑口と羽口の間に空間が確保されたことも確認された。羽口先の温度も2000℃に昇温されており、シミュレーションが妥当なことが確認され、その後、羽口から1100℃の熱風を送風したところ、羽口先端部のコークスが順調に燃焼して、高炉の加熱を継続でき、高炉を速やかに立ち上げることができた。
本発明に係る炉底の昇温方法によれば、操業停止中の炉下部の昇温を効果的に行うことができ、高炉の再稼働だけでなく、高炉以外の様々の竪型溶解炉においても炉底の昇温方法を提供できる。
1 バーナ
21 内管
22 外管
23 キャップ
24 気体導入口
25 気体排出口
26 温度計

Claims (5)

  1. 操業が停止した高炉の炉底の出銑口に設けたバーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する炉底の昇温方法において、
    操業停止中に炉底部に成長した凝固層の形状を推定する工程と、
    複数の出銑口において、該出銑口と該出銑口の直上の羽口との間の凝固層の平均厚みを推定する工程と、
    推定された平均厚みが最も小さい出銑口または、3か所以上の出銑口を有する場合には前記推定された平均厚みが最も小さいか2番目に小さい出銑口にバーナを設置して、バーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する工程と、を含む、炉底の昇温方法。
  2. 操業が停止した高炉の炉底の出銑口に設けたバーナから炉内に加熱用ガスを吹き込んで炉底を昇温する炉底の昇温方法において、
    操業停止中に炉底部に成長した凝固層の形状を推定する工程と、
    推定した凝固層形状からバーナから吹き込んだ加熱用ガスの燃焼中に昇温する炉底部の温度分布を推定する工程と、
    前記温度分布に基づいて、バーナから吹き込んだ加熱用ガスを燃焼させる時間を決定する工程と、を含む、炉底の昇温方法。
  3. 請求項2に記載の炉底の昇温方法において、
    決定された燃焼時間以上、吹き込む加熱ガスを燃焼させた後、前記バーナを別の出銑口に移設して、バーナから吹き込む加熱ガスを燃焼させる、炉底の昇温方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項の炉底の昇温方法において、
    前記バーナは、気体が流通する内管と外管を含む重管構造を有し、内管と外管との端部を覆うキャップであって高炉内において除去可能なキャップを有する、炉底の昇温方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項の炉底の昇温方法を用い、
    バーナから加熱用ガスを吹き込んだ後、バーナを設置した直上の羽口から酸素を含む1000℃以上のガスを吹き込んで炉内のコークスを燃焼させる、高炉の立ち上げ方法。
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