JP7242373B2 - 脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法 - Google Patents
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Description
この場合、脈波の測定結果の信頼性を回復するために、脈波センサの位置を修正することが必要とされるが、皮膚表面を通じて血管の位置を目視することが困難であるうえ、脈波センサの装着状態をそもそも把握することが難しいので、脈波センサの位置修正を適切に行うことが難しい。
上記従来の脈波センサでは、血管の脈動に起因した皮膚の変動に対応してダイヤフラム部を変位させる必要がある。そのため、脈波の測定精度は、開口部の内側に位置して密閉室内に露出している皮膚の変動に左右され易い。
このような状況のもと、例えば開口部を横切る仮想面上に血管を投影した場合において、円形の開口部の中央部を血管が通るように脈波センサを固定すると、開口部の直径が最大となる部分を血管が通過した状態となる。ところが、この状態から血管の走行方向に対して交差する方向に脈波センサが動いてしまうと、開口部の直径が最大となる部分から血管の位置がずれてしまうので、開口部内に投影される血管の投影面積が減少してしまう。そのため、密閉室内に露出している皮膚のうち、血管の直上に位置する部分の割合が減少してしまう。従って、密閉室内に露出している皮膚を、血管の脈動に起因して反応良く変動させることが難しくなってしまい、ダイヤフラム部を適切に変位させることが難しくなってしまう。その結果、例えば測定する脈波の絶対値の減少や脈波の反転等が生じる可能性があり、測定精度の低下を招く、或いは測定自体を行うことができない等の不都合が生じ易かった。
前記第1脈波信号に基づいて脈波を検出すると共に、前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する処理部と、を備えていることを特徴とする。
これにより、使用者は、生体に対する脈波センサの装着状態を一定の状態に維持し易く、測定対象血管の直上に第1センサ室を位置させた状態で脈波の測定を行える。従って、脈波を精度良く測定することができる。
算出した前記位置ずれ方向及び前記位置ずれ量を外部に報知する報知部と、を備えても良い。
特に、第1カンチレバーを利用するので、第1センサ室の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化に第1カンチレバーを反応良く追従させて撓み変形させることができるので、脈波を感度良く測定することができる。
特に、第2カンチレバーを利用するので、第2センサ室の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化に第2カンチレバーを反応良く追従させて撓み変形させることができるので、アタッチメント部の押し当て状態を高精度に測定することができる。
以下、本発明に係る脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、腕時計型の脈波測定装置を例に挙げて説明する。
なお、橈骨動脈Rは人体の腕部の長さ方向に沿って延びる動脈であり、血管幅は一般的に2mm~4mmの範囲内とされている。本実施形態では、橈骨動脈Rが延びる方向を走行方向(本発明に係る延在方向)M1といい、手首Sの裏側の平面視で走行方向M1に対して交差する方向を交差方向という。特に、交差方向のうち、走行方向M1に対して直交する方向を直交方向M2という。
なお、本実施形態では、手首表面S1(本発明に係る生体表面)からセンサ筐体2に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
なお、図1では、脈波測定装置1を簡略化して図示していると共に、橈骨動脈Rとアタッチメント部13との位置関係を理解し易いように図示している。
第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56は、センサ筐体2を間に挟むようにセンサ筐体2の両側に配置され、基端部が例えば裏蓋51に対して回動可能にそれぞれ連結されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56の基端部は本体ケース50に対して連結されていても構わない。
なお、センサ基板10の平面視で、互いに直交する2方向のうちの一方の方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。センサ基板10は、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成されている。ただし、センサ基板10の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
これら第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、センサ基板10における左右方向L2の中央部分に配置され、且つ前後方向L1に一列に並んで配置されるように形成されている。これにより、第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、橈骨動脈Rの走行方向M1に直交する直交方向M2に沿って並ぶように形成されている。さらに、第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、2つの第2貫通孔61の間に第1貫通孔60が配置されるように形成されている。
さらに、センサ基板10上には、後述する3つのSOI基板90が配置されていると共に、脈波の測定に必要とされる各種の電子部品が実装されている。
CPU70は、脈波センサ4の作動を総合的に制御する機能を有しており、上述した処理部40、後述する第1検出回路111及び第2検出回路122を少なくとも有している。なお、CPU70は例えばセンサ基板10上に実装されている。
アタッチメント部13は、センサ基板10側に配置され、下方に向けて開口したアタッチメント本体80と、アタッチメント本体80よりも下方に配置されると共に、手首表面S1側に開口した弾性体81と、を備え、全体として中心軸線Oを中心とした筒状に形成されている。
なお、アタッチメント部13の中心軸線O方向から見た平面視で中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
第1センサ室11は、アタッチメント本体80における中央部分に中心軸線Oと同軸上に配置され、横断面視円形状に形成されている。2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。具体的には、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして、前後方向L1に一列に並ぶように配置されている。これにより、第1センサ室11及び第2センサ室12は、橈骨動脈Rの走行方向M1に直交する直交方向M2に沿って一列に並ぶように配置されている。従って、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11に対して、橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
本実施形態では、2つの第2センサ室12は、周方向に延びる横断面視円弧状に形成されている。ただし、第2センサ室12の形状はこの場合に限定されるものではない。
なお、弾性体81をアタッチメント本体80の下端部に対して一体的に固定する場合、その固定方法としては、特定の方法に限定されるものではないが、例えば接着や溶着等によって固定しても構わない。さらには、二色成形或いはインサート成形等によって、アタッチメント本体80と弾性体81とを一体的に固定しても構わない。
より具体的には、弾性体81は、JIS K6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法)で準拠されるデュロメータタイプEの硬度70以下程度の硬さを満足する弾性とされている。
このように形成された弾性体81は、例えば厚み方向(上下方向)に潰れるように弾性変形可能とされている。
ただし、第1開口部82及び第2開口部83の形状は、第1センサ室11及び第2センサ室12の形状と同形状である必要はなく、異なる形状であっても構わない。
第1カンチレバー25は、センサ基板10の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板によって形成されている。本実施形態では、半導体基板として、シリコン支持層91、シリコン酸化膜等の絶縁層92及びシリコン活性層93を、下方からこの順番で熱的に張り合わせたSOI基板90を例に挙げて説明している。従って、第1カンチレバー25は、SOI基板90によって形成されている。
従って、第1カンチレバー25は、SOI基板90の平面視で、第1ギャップ100をあけた状態で第1連通孔95を部分的に覆っている。なお、第1ギャップ100のギャップ幅は、例えば数百nm~数十μmの微小幅とされている。
なお、本実施形態では、前後方向L1に沿ってレバー支持部27からレバー本体26に向かう方向を前方といい、その反対方向を後方という。
2つのレバー支持部27は、第2ギャップ101を間に挟んで左右方向L2に並ぶように配置されている。これにより、先に述べたように、第1カンチレバー25はレバー支持部27を中心として撓み変形し易い構造とされている。
なお、第2直線ギャップ101bは、第1直線ギャップ101aよりも後方に向かって長く形成されており、後述する第2溝部108に接続されている。
なお、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106の上面に、図示しない絶縁膜を保護膜として被膜することで、外部との電気的な接触を防止することも可能である。
第1溝部107は、シリコン活性層93のうち第1ギャップ100よりも前方側に位置する領域に形成されていると共に、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。第1溝部107は、前端部がSOI基板90の前方側の側面に達し、且つ後端部が第1ギャップ100に連通するように形成されている。
これにより、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106のうち、第1ギャップ100よりも前方側に位置する部分は、第1溝部107によって左右方向L2に分断されている。
これにより、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106のうち、第2ギャップ101よりも後方側に位置する部分は、第2溝部108によって左右方向L2に分断されている。
なお、第2溝部108は、第2直線ギャップ101bに接続される場合に限定されるものではない。例えば、第1直線ギャップ101aを第2直線ギャップ101bよりも後方に向かって長く形成し、第2溝部108と第1直線ギャップ101aとを接続させても構わない。
なお、図4に示すように、第1検出回路111は、CPU70を構成する一部とされ、センサ基板10に実装されている。
ホイートストンブリッジ回路110は、第1変位検出抵抗105及び第1固定抵抗114が直列接続された枝辺と、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116が直列接続された枝辺と、が基準電圧発生回路112に対して並列に接続されている。
なお、第1固定抵抗114、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116は、例えばセンサ基板10に実装された外付け抵抗とされている。
なお、この電位差は、ピエゾ抵抗層102の抵抗値変化に応じた値、すなわち第1カンチレバー25の変位に基づいた値となる。差動増幅回路113は、反転入力端子(-端子)がノードN1に接続され、非反転入力端子(+端子)がノードN2に接続されている。
なお、2つの第2圧力センサ30は、ともに同一の構成とされているので、一方の第2圧力センサ30についての説明を行い、他方の第2圧力センサ30については説明を省略する。さらに、第2圧力センサ30は、基本的に先に述べた第1圧力センサ20と同様の構成とされている。従って、第2圧力センサ30については、説明を簡略化すると共に、第1圧力センサ20と同等の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
このSOI基板90は、第2貫通孔61を上方から覆うようにセンサ基板10上に配置されている。シリコン支持層91及び絶縁層92には、これらシリコン支持層91及び絶縁層92を厚み方向に貫通する第2連通孔120が形成されている。
これにより、第2カンチレバー35は、レバー本体36の先端部側が自由端とされた片持ち梁構造とされ、レバー支持部37を中心として第2センサ室12の内圧変化に応じて撓み変形する。
なお、図4に示すように、第2検出回路122はCPU70を構成する一部とされ、センサ基板10に実装されている。
ホイートストンブリッジ回路110は、第2変位検出抵抗121及び第1固定抵抗114が直列接続された枝辺と、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116が直列接続された枝辺と、が基準電圧発生回路112に対して並列に接続されている。
蓋部材125は、第1圧力センサ20が形成されたSOI基板90を上方から覆っている。これにより、蓋部材125の内側が上部空間96として機能する。また、蓋部材126は、第2圧力センサ30が形成されたSOI基板90を上方からそれぞれ覆っている。これにより、蓋部材126の内側が上部空間97として機能する。ただし、蓋部材125、126は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
処理部40は、先に述べたように、第1脈波検出部21から出力された第1脈波信号V1に基づいて脈波を検出すると共に、第2脈波検出部31から出力された第2脈波信号V2に基づいて、手首表面S1に対する弾性体81を介したアタッチメント部13の押し当て情報を検出する。
押し当て情報としては、例えば手首表面S1に対するアタッチメント部13の押し当て方向等である。
位置ずれ算出部42は、第2センサ室12の内圧変化による第2カンチレバー35の撓み変形に対応した第2脈波信号V2と、第1センサ室11と第2センサ室12との相対位置関係とに基づいて、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置する基準位置に対する、アタッチメント部13の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することが可能とされている。なお、これらの点については、後に詳細に説明する。
具体的には表示部72は、押し当て位置を中心として、位置ずれ量に対応した矢印長さ、及び位置ずれ方向に対応した矢印方向で構成される矢印45を画面72aに表示する。表示部72の画面72aには、押し当て位置を中心とした円形のガイドサークル46が同心円状に複数表示されている。複数のガイドサークル46の1つは、例えば太線表示され、その内側の領域が位置ずれ量の許容範囲内であることを示す許容サークル47とされている。
なお、位置ずれ量の許容範囲とは、第1圧力センサ20の変位に対応した第1脈波信号V1の出力が確認できる範囲である。
次に、上述のように構成された脈波測定装置1及び脈波センサ4を利用して、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈Rの脈波を測定する脈波測定方法について説明する。
従って、処理部40における脈波算出部41によって、第1カンチレバー25の撓み量に基づいた第1脈波信号V1の変化をモニタすることで、第1センサ室11の内圧変化を検出することができ、結果的に脈波の測定を行うことができる。なお、以上の工程が、第1脈波信号V1に基づいて脈波を測定する脈波測定工程に相当する。
以下に詳細に説明する。
その一方、2つの第2圧力センサ30においては、上述のように第2センサ室12の内圧が脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされているので、第2脈波検出部31から、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2はほとんど出力されず、零に近い状態となる。
これにより、脈動に伴う手首表面S1の変動によって第2センサ室12の内圧を変化させることができ、第1圧力センサ20の動きと同様に、第2センサ室12の内圧変化に応じて第2圧力センサ30の第2カンチレバー35を撓み変形させることができる。そのため、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2を、第2脈波検出部31から出力することができる。
この場合には、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2を、第2脈波検出部31から出力することができる反面、第1センサ室11の内圧は、脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされている。
その一方、2つの第2圧力センサ30の一方については、上述のように橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動に対応して第2センサ室12の内圧が変化するので、第2脈波検出部31から、第2センサ室12の内圧変化に応じた(すなわち第2圧力センサ30の変位に応じた)第2脈波信号V2を出力することができる。
例えば、図5に示すように、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置している状態で脈波測定装置1及び脈波センサ4が装着されている場合には、橈骨動脈Rの脈動に起因して第2センサ室12の内圧変化が生じ難い。従って、図13に示すように、第1脈波信号V1は出力されるものの、第2脈波信号V2については出力が零に近い状態となる。従って、この場合には、位置ずれ算出部42は位置ずれが生じていないと判断する。
これにより、図14及び図15に示す場合には、第2圧力センサ30から第2脈波信号V2が出力される。特に、第2センサ室12が橈骨動脈Rの直上に接近するほど(すなわち、位置ずれ量が大きくなるほど)、第2脈波信号V2の出力が大きくなる。
なお、図15に示すように、一方の第2センサ室12が橈骨動脈Rの直上に位置する程度まで位置ずれが生じた場合には、図16に示すように、第1脈波信号V1はほとんど出力されずに、第2脈波信号V2が出力される。
従って、使用者は表示部72に表示された矢印45を参考に脈波測定装置1及び脈波センサ4の位置ずれを速やかに修正することができ、適切な装着位置に脈波測定装置1及び脈波センサ4を位置させた状態で脈波の測定を行うことができる。従って、信頼性の高い測定結果を得ることができる。
さらに、弾性体81が手首表面S1の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されているので、大きな押し当て力を必要とせずに、弾性体81を弾性変形させながら、手首表面S1に対して弾性体81を密着させることができる。従って、使用者に対して不快感を与え難い。
特に、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして、橈骨動脈Rの走行方向M1に対して直交する直交方向M2に沿って並んでいる。従って、手首Sを周回する方向(手首回り)に脈波測定装置1及び脈波センサ4が位置ずれしたとしても、手首回りに脈波測定装置1及び脈波センサ4を移動させるだけの簡便な方法で、位置ずれを修正することが可能となる。
これに対して、本実施形態の場合には、第2センサ室12を具備することで、第1センサ室11の内容積を大きくする必要がないので、脈動に起因する手首表面S1の変動に対して感度良く内圧変化させることができる。従って、第1脈波信号V1の出力を減少させることがなく、脈波を精度良く測定することができる。
上述した第1実施形態では、2つの第2センサ室12を形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、1つでも構わないし、3つ以上形成しても構わない。
ただし、第2センサ室12を複数具備することで、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、第1センサ室11が橈骨動脈Rの直上から位置ずれしたときに、一方向への位置ずれの検出だけでなく、多方向への位置ずれを検出することが可能となる。従って、脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着状態を一定の状態により維持し易く、脈波の安定且つ精度の良い測定に繋がるので、第2センサ室12を複数形成することが好ましい。
例えば硬質材料で形成されたアタッチメント本体80だけでアタッチメント部13を構成しても構わないし、弾性体81だけでアタッチメント部13を構成しても構わない。
このようなことから、アタッチメント部13をアタッチメント本体80と弾性体81とで構成することが好ましい。
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
なお、第1壁面135及び第2壁面136の壁面長さは、橈骨動脈Rの血管幅の2倍程度の長さとされている。ただし、第1壁面135及び第2壁面136の壁面長さは、この場合に限定されるものではなく、例えば3mm~20mmの範囲内であっても構わない。
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ130であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、第1センサ室11における第1壁面135及び第2壁面136が、走行方向M1に対して直交する直交方向M2に沿って互いに平行に延びる平坦面とされ、その壁面長さが血管幅の2倍程度とされている。そのため、第1壁面135と第2壁面136との間の走行方向M1に沿った間隔Hは、直交方向M2において血管幅の2倍程度の範囲に亘って同一とされている。
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、2つの第2センサ室12を形成したが、本実施形態では、4つの第2センサ室12を具備している。
4つの第2センサ室12は、周方向に延びる横断面視円形状に形成されていると共に、第1センサ室11の周囲を囲むように周方向に間隔をあけて配置されている。
4つの第2センサ室12のうち、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。これにより、この2つの第2センサ室12及び第1センサ室11は、橈骨動脈Rの走行方向M1に交差する交差方向に一列に並ぶように配置されている。従って、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11に対して橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
4つの第2センサ室12のうち、残り2つの第2センサ室12も同様に、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。これにより、この2つの第2センサ室12及び第1センサ室11は、橈骨動脈Rの走行方向M1に交差する交差方向に一列に並ぶように配置されている。従って、残り2つの第2センサ室12についても、第1センサ室11に対して橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ140であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、第1センサ室11の周囲を囲むように4つの第2センサ室12を配置しているので、脈波の測定中に、外乱の影響(例えば、外部からの振動(音)の影響や直射日光等の影響等)によって、第1センサ室11の内圧が変化してしまうことを抑制することができる。従って、S/N比が高い脈波の測定を行うことができる。
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、第1圧力センサ20及び第2圧力センサ30を共通のセンサ基板10上に形成したが、本実施形態では、第2圧力センサ30をアタッチメント部13に一体的に形成している。
脈波センサ151は、2つの第2圧力センサ30をアタッチメント本体80に一体的に組み合わせるように形成している。そのため、センサ基板10には、第1貫通孔60だけが形成され、第1実施形態における第2貫通孔61については形成していない。
また、本実施形態の第2センサ室12は横断面視半円状に形成されている。ただし、第2センサ室12の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
これにより、アタッチメント部13の内部空間のうち、第2圧力センサ30よりも下方に位置する空間が第2センサ室12として機能する。また、アタッチメント部13の内部空間のうち、第2圧力センサ30よりも上方に位置する空間は、第1ギャップ100及び第2連通孔120を通じて第2センサ室12内に連通する上部空間152とされている。
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置150及び脈波センサ151であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、センサ基板10上に、第2圧力センサ30分のスペースをさらに確保することができるので、確保したスペースを利用して他の構成部品を効率良く配置することが可能である。従って、脈波測定装置150及び脈波センサ151のさらなる小型化に繋げることができる。
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
脈波センサ161は、弾性体162が第1センサ室11及び第2センサ室12をそれぞれ塞ぐ弾性膜状に形成されている。また、センサ基板10に組み合わされた蓋部材125、126は、弾性体162と協働して第1センサ室11及び第2センサ室12を覆う密閉部材として機能する。これにより、弾性体162と蓋部材125、126とによって囲まれた第1センサ室11内及び第2センサ室12内は、常に密閉された状態とされている。従って、本実施形態では、蓋部材125、126は必須な部材とされている。
・(外気圧)<(第1センサ室11又は第2センサ室12の内圧)≦(外気圧+300mmHg(40KPa))
なお、高圧気体としては、例えば乾燥窒素ガス、アルゴンガス、圧縮空気等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置160及び脈波センサ161の場合であっても、基本的には第1実施形態と同様の方法で脈波の検出を行うことができる。
それに加え、本実施形態の場合には、手首表面S1に対する弾性体162を介したアタッチメント部13の押し当てに関係なく、第1センサ室11内及び第2センサ室12内を常に密閉状態に維持している。しかも、第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧が外気圧よりも高い圧力に設定され、弾性体162が手首表面S1側に向けて凸状に膨らむように予め膨出している。
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
詳細には、アタッチメント部13の外周面にノッチ部172が形成されている。ノッチ部172は、径方向の内側に向かって平面視半円状に窪んだ切欠部であって、上下に開口するように縦長に形成されている。特に、ノッチ部172は、中心軸線Oを間に挟んで走行方向M1に並ぶように2つ形成されている。
このように構成された本実施形態の脈波測定装置170及び脈波センサ171によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、さらに以下の作用効果を奏功することができる。
すなわち、ノッチ部172を利用して、橈骨動脈Rに対するアタッチメント部13の相対位置を確認できるので、手首表面S1に対して常に位置合わせしながらアタッチメント部13を押し当てることができる。そのため、脈波測定装置170及び脈波センサ171を毎回同じ装着状態で装着することができ、脈波をより安定して測定することが可能である。
しかも、橈骨動脈Rの直上にノッチ部172が位置するように脈波測定装置170及び脈波センサ171を装着することで、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置するように脈波測定装置170及び脈波センサ171を装着できる。
さらには、人体の脚部の巻回するように固定ベルトを取り付けることで、脚部に装着する脈波センサとしても構わない。この場合、測定対象血管としては、例えば大腿動脈であって構わない。さらには、本発明に係る脈波センサを、例えば家畜等の飼育動物或いは実験動物等に装着することも可能である。
例えば、センサ室の内圧変化に応じて変位する薄膜のダイヤフラムを有する圧力センサを採用しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。ただし、カンチレバーを利用する場合には、センサ室の微小な内圧変化であってもカンチレバーを反応良く追従させながら変形させることができるので、脈波をより精度良く、且つ感度良く検出でき、好ましい。
さらに、上記各実施形態では、複数の第2センサ室に対応して第2圧力センサをそれぞれ設けた構成としたが、この場合に限定されるものではなく、例えば複数の第2圧力センサを連通させることで、1つの第2圧力センサを具備する構成としても構わない。
S…手首(生体)
S1…手首表面(生体表面)
M1…走行方向(延在方向)
M2…直交方向
1、150、160、170…脈波測定装置(電子機器)
4、130、140、151、161、171…脈波センサ
11…第1センサ室
12…第2センサ室
13、132…アタッチメント部
20…第1圧力センサ
21…第1脈波検出部
25…第1カンチレバー
30…第2圧力センサ
31…第2脈波検出部
35…第2カンチレバー
40…処理部
42…位置ずれ算出部(算出部)
72…表示部(報知部)
80、131…アタッチメント本体
81、162…弾性体
105…第1変位検出抵抗
111…第1検出回路
121…第2変位検出抵抗
122…第2検出回路
172…ノッチ部(指標部)
Claims (16)
- 測定対象血管の脈動に対応して内圧が変化する第1センサ室及び第2センサ室を有し、生体表面に押し当てられるアタッチメント部と、
前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、
前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、
前記第1脈波信号に基づいて脈波を検出すると共に、前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する処理部と、を備えていることを特徴とする脈波センサ。 - 請求項1に記載の脈波センサにおいて、
前記第2センサ室は、前記第1センサ室に対して、前記測定対象血管が延在する延在方向に交差する交差方向に並んで配置されている、脈波センサ。 - 請求項2に記載の脈波センサにおいて、
前記第2センサ室は複数形成されている、脈波センサ。 - 請求項3に記載の脈波センサにおいて、
少なくとも2つの前記第2センサ室は、前記第1センサ室を間にして向かい合うように配置されている、脈波センサ。 - 請求項4に記載の脈波センサにおいて、
前記2つの第2センサ室は、前記延在方向に対して直交する方向に沿って並んでいる、脈波センサ。 - 請求項3から5のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
複数の前記第2センサ室は、前記第1センサ室の周囲を囲むように、前記アタッチメント部の周方向に間隔をあけて配置されている、脈波センサ。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記処理部は、
前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する算出部と、
算出した前記位置ずれ方向及び前記位置ずれ量を外部に報知する報知部と、を備えている、脈波センサ。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記アタッチメント部は、
アタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体よりも前記生体表面側に配置されると共に、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に弾性変形可能な弾性体と、を備えている、脈波センサ。 - 請求項8に記載の脈波センサにおいて、
前記弾性体は、前記生体表面の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されている、脈波センサ。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記アタッチメント部には、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の相対位置を示す指標部が形成されている、脈波センサ。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記第1圧力センサは、前記第1センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第1カンチレバーを備え、
前記第1脈波検出部は、前記第1カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第1変位検出抵抗を含む第1検出回路を有し、前記第1変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第1検出回路からの出力信号を、前記第1脈波信号として出力する、脈波センサ。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記第2圧力センサは、前記第2センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第2カンチレバーを備え、
前記第2脈波検出部は、前記第2カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第2変位検出抵抗を含む第2検出回路を有し、前記第2変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第2検出回路からの出力信号を、前記第2脈波信号として出力する、脈波センサ。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
前記第1センサ室及び前記第2センサ室は、血管幅が2mm~4mmの範囲内の動脈に起因する前記生体表面の変動に対応して内圧が変化する、脈波センサ。 - 請求項1から13のいずれか1項に記載の脈波センサを備えることを特徴とする電子機器。
- 生体表面に押し当て可能とされ、第1センサ室及び第2センサ室を有するアタッチメント部と、前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、を備え、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に、測定対象血管の脈動に対応して前記第1センサ室及び前記第2センサ室の内圧が変化する脈波センサを利用して、前記測定対象血管の脈波を測定する脈波測定方法であって、
前記第1脈波信号に基づいて脈波を測定する脈波測定工程と、
前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する状態検出工程と、を備えていることを特徴とする脈波測定方法。 - 請求項15に記載の脈波測定方法において、
前記状態検出工程の際、前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する、脈波測定方法。
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