JP7242373B2 - 脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法 - Google Patents

脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法に関する。
従来より、心臓の拍動に伴って伝わる血管(動脈)の圧力波を脈波として測定する脈波センサが知られている。この種の脈波センサとして、例えば下記特許文献1に示されるように、血管の脈動に起因した皮膚の変動(上下動)を測定することで、脈波を測定する非侵襲的な脈波センサが知られている。
この脈波センサは、圧力センサ及びシール部材を主に備えている。圧力センサは、円形の薄膜状に形成されたダイヤフラム部と、ダイヤフラム部を支持する支持基板と、ダイヤフラム部に設けられたピエゾ抵抗と、を備えている。支持基板には、被測定部位である皮膚側に開口した円形の開口部が形成されている。ダイヤフラム部は、開口部を塞ぐように支持基板に支持されている。シール部材は、弾性変形可能な環状に形成され、支持基板と皮膚との間に位置するように支持基板に取り付けられている。
このように構成された脈波センサによれば、シール部材を皮膚に押し当てた状態で粘着テープを腕に固定することで、開口部の内部空間、すなわち皮膚とダイヤフラム部との間に形成された空間を密閉室にすることが可能とされている。そして、血管の脈動に起因した皮膚の変動に対応してダイヤフラム部が変位する。これにより、ダイヤフラム部の応力変化をピエゾ抵抗の抵抗変化として検出することができ、この抵抗変化をモニタすることで脈波の測定が可能とされている。
特開2016-63936号公報
上記従来の脈波センサにおいて、脈波を高精度且つ高S/N比で測定するためには、血管から最も近い皮膚表面、すなわち血管の直上に位置する皮膚表面に脈波センサを密着させた状態で固定しておく必要がある。
しかしながら、上記従来の脈波センサでは、粘着テープを利用して皮膚表面に脈波センサを固定できるものの、皮膚自体が弾性を有しているので、体動や姿勢変化等の影響によって、皮膚表面と脈波センサとの相対位置が変化し易い。そのため、脈波センサと血管との相対位置が変化してしまい、S/N比が低下(悪化)する可能性があった。
この場合、脈波の測定結果の信頼性を回復するために、脈波センサの位置を修正することが必要とされるが、皮膚表面を通じて血管の位置を目視することが困難であるうえ、脈波センサの装着状態をそもそも把握することが難しいので、脈波センサの位置修正を適切に行うことが難しい。
さらに、上記従来の脈波センサでは、密閉室を形成するための支持基板の開口部の形状が円形であるので、血管の走行方向に対して交差する方向に脈波センサが動いた(位置ずれした)場合には、脈波の測定結果の信頼性が低下し易かった。
詳細に説明する。
上記従来の脈波センサでは、血管の脈動に起因した皮膚の変動に対応してダイヤフラム部を変位させる必要がある。そのため、脈波の測定精度は、開口部の内側に位置して密閉室内に露出している皮膚の変動に左右され易い。
このような状況のもと、例えば開口部を横切る仮想面上に血管を投影した場合において、円形の開口部の中央部を血管が通るように脈波センサを固定すると、開口部の直径が最大となる部分を血管が通過した状態となる。ところが、この状態から血管の走行方向に対して交差する方向に脈波センサが動いてしまうと、開口部の直径が最大となる部分から血管の位置がずれてしまうので、開口部内に投影される血管の投影面積が減少してしまう。そのため、密閉室内に露出している皮膚のうち、血管の直上に位置する部分の割合が減少してしまう。従って、密閉室内に露出している皮膚を、血管の脈動に起因して反応良く変動させることが難しくなってしまい、ダイヤフラム部を適切に変位させることが難しくなってしまう。その結果、例えば測定する脈波の絶対値の減少や脈波の反転等が生じる可能性があり、測定精度の低下を招く、或いは測定自体を行うことができない等の不都合が生じ易かった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、測定精度が向上した脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法を提供することである。
(1)本発明に係る脈波センサは、測定対象血管の脈動に対応して内圧が変化する第1センサ室及び第2センサ室を有し、生体表面に押し当てられるアタッチメント部と、前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、
前記第1脈波信号に基づいて脈波を検出すると共に、前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する処理部と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る脈波センサによれば、アタッチメント部を生体表面に対して押し当てることで、測定対象血管の脈動に対応して第1センサ室の内圧を変化させることができる。これにより、第1センサ室の内圧変化に応じて第1圧力センサを変位させることができ、第1センサ室の内圧変化に応じた第1脈波信号を、第1脈波検出部から出力することができる。その結果、処理部によって第1脈波信号に基づいて脈波の検出を行うことができる。
特に、第1センサ室とは別個に第2センサ室を具備しているので、脈波測定を行っている際、処理部は、第2脈波信号の出力の有無に基づいて、第1センサ室が測定対象血管の直上に位置した状態でアタッチメント部が生体表面に押し付けられている、或いは第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれした状態でアタッチメント部が生体表面に押し付けられている等といった、アタッチメント部の押し当て状態、すなわち生体に対する脈波センサの装着状態を検出することができる。
これにより、使用者は、生体に対する脈波センサの装着状態を一定の状態に維持し易く、測定対象血管の直上に第1センサ室を位置させた状態で脈波の測定を行える。従って、脈波を精度良く測定することができる。
(2)前記第2センサ室は、前記第1センサ室に対して、前記測定対象血管が延在する延在方向に交差する交差方向に並んで配置されても良い。
この場合には、第2センサ室を、第1センサ室に対して測定対象血管の延在方向に交差する交差方向に並んで配置するので、脈波測定を行っている際、測定対象血管の直上に第1センサ室が位置するように、生体に対して脈波センサが最適な基準位置で装着されている場合には、第2センサ室は測定対象血管の直上から外れた位置に配置される。これにより、脈動の影響を受け難い位置に第2センサ室を配置することができるので、第2センサ室の内圧は生体の脈動によって変化し難い状態とされている。
これに対して脈波の測定中に、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、測定対象血管の延在方向に対して交差する交差方向に脈波センサが位置ずれした場合には、生体表面のうち測定対象血管の直上に位置する部分が相対的に第2センサ室側に移動するので、少なくとも一部分が第2センサ室内に露出する。これにより、測定対象血管の脈動に対応して第2センサ室の内圧を変化させることができ、第2センサ室の内圧変化に応じて第2圧力センサを変位させることができる。そのため、第2センサ室の内圧変化に応じた第2脈波信号を、第2脈波検出部から出力することができる。
従って、処理部は、第2脈波信号の出力の有無に基づいて、第1センサ室が測定対象血管の直上に位置した状態でアタッチメント部が生体表面に押し付けられている、或いは第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれした状態でアタッチメント部が生体表面に押し付けられている等といった、アタッチメント部の押し当て状態を、より精度良く検出することができる。
(3)前記第2センサ室は複数形成されても良い。
この場合には、複数の第2センサ室を有しているので、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれしたときに、一方向への位置ずれの検出だけでなく、多方向への位置ずれを検出することが可能となる。従って、生体に対する脈波センサの装着状態を一定の状態により維持し易く、脈波を安定且つ精度良く測定することができる。
(4)少なくとも2つの前記第2センサ室は、前記第1センサ室を間にして向かい合うように配置されても良い。
この場合には、第1センサ室を間にして、2つの第2センサ室を向かい合うように配置するので、これら2つの第2センサ室及び第1センサ室を一列に配置できる。これにより、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれした場合であっても、脈波センサの位置を直線的に移動させるだけの簡便な方法で、位置ずれを容易に修正することが可能となる。
(5)前記2つの第2センサ室は、前記延在方向に対して直交する方向に沿って並んでも良い。
この場合には、人体の手首に脈波センサを装着した場合、手首を周回する方向が、橈骨動脈等の測定対象血管が延在する延在方向に対して直交する方向になり易い。そのため、手首を周回する方向(手首回り)に脈波センサが位置ずれしたとしても、手首回りに脈波センサを移動させるだけの簡便な方法で、位置ずれを修正することが可能となる。従って、手首に装着する脈波センサとして好適に利用することができる。
(6)複数の前記第2センサ室は、前記第1センサ室の周囲を囲むように、前記アタッチメント部の周方向に間隔をあけて配置されても良い。
この場合には、第1センサ室の周囲を囲むように複数の第2センサ室を配置するので、脈波の測定中に、外乱の影響(例えば、外部からの振動(音)の影響や直射日光等の影響等)によって、第1センサ室の内圧が変化してしまうことを抑制することができる。従って、S/N比が高い脈波の測定を行うことができる。
(7)前記処理部は、前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する算出部と、
算出した前記位置ずれ方向及び前記位置ずれ量を外部に報知する報知部と、を備えても良い。
この場合には、処理部が基準位置(測定対象血管の直上に第1センサ室が配置される位置)に対するアタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出し、報知部が算出された位置ずれ方向及び位置ずれ量を周囲に報知する。これにより、第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれしたときに、その位置ずれ方向及び位置ずれ量を使用者が容易に把握することができるので、容易且つ速やかに位置ずれを修正することができる。
(8)前記アタッチメント部は、アタッチメント本体と、前記アタッチメント本体よりも前記生体表面側に配置されると共に、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に弾性変形可能な弾性体と、を備えても良い。
この場合には、弾性体を介してアタッチメント部を生体表面に対して押し当てることができるので、生体表面の表面形状に対応して弾性体を弾性変形させることができる。そのため、生体表面に対して弾性体を密着させることができる。従って、生体表面の変動に対応して第1センサ室及び第2センサ室の内圧をより反応良く変化させることができる。そのため、脈波をさらに精度良く測定することができると共に、脈波センサの位置ずれ等に伴う押し当て状態をより精度良く検出することができる。
(9)前記弾性体は、前記生体表面の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されても良い。
この場合には、大きな押し当て力を必要とせずに、弾性体を弾性変形させながら生体表面に対して弾性体を密着させることができ、使用者に対して不快感を与え難い。
(10)前記アタッチメント部には、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の相対位置を示す指標部が形成されても良い。
この場合には、指標部を利用して、生体表面に対するアタッチメント部の相対位置を確認できるので、生体表面に対して常に位置合わせしながらアタッチメント部を押し当てることができる。従って、測定対象血管の直上に第1センサ室が位置するように、脈波センサを装着し易い。
(11)前記第1圧力センサは、前記第1センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第1カンチレバーを備え、前記第1脈波検出部は、前記第1カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第1変位検出抵抗を含む第1検出回路を有し、前記第1変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第1検出回路からの出力信号を、前記第1脈波信号として出力しても良い。
この場合には、測定対象血管の脈動に対応して第1センサ室の内圧が変化すると、これに対応して第1カンチレバーが撓み変形する。これにより、第1カンチレバーの撓み量(変位量)に対応して第1変位検出抵抗の抵抗値が変化するので、第1検出回路から出力される出力信号である第1脈波信号が変化する。従って、第1カンチレバーの撓み量に基づいた第1脈波信号の変化をモニタすることで、第1センサ室の内圧変化を検出することができ、結果的に脈波の検出を行うことができる。
特に、第1カンチレバーを利用するので、第1センサ室の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化に第1カンチレバーを反応良く追従させて撓み変形させることができるので、脈波を感度良く測定することができる。
(12)前記第2圧力センサは、前記第2センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第2カンチレバーを備え、前記第2脈波検出部は、前記第2カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第2変位検出抵抗を含む第2検出回路を有し、前記第2変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第2検出回路からの出力信号を、前記第2脈波信号として出力しても良い。
この場合には、測定対象血管の脈動に対応して第2センサ室の内圧が変化すると、これに対応して第2カンチレバーが撓み変形する。これにより、第2カンチレバーの撓み量(変位量)に対応して第2変位検出抵抗の抵抗値が変化するので、第2検出回路から出力される出力信号である第2脈波信号が変化する。従って、第2カンチレバーの撓み量に基づいた第2脈波信号の変化をモニタすることで、第2センサ室の内圧変化を検出することができ、結果的にアタッチメント部の押し当て状態の検出を行うことができる。
特に、第2カンチレバーを利用するので、第2センサ室の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化に第2カンチレバーを反応良く追従させて撓み変形させることができるので、アタッチメント部の押し当て状態を高精度に測定することができる。
(13)前記第1センサ室及び前記第2センサ室は、血管幅が2mm~4mmの範囲内の動脈に起因する前記生体表面の変動に対応して内圧が変化しても良い。
この場合には、血管幅が2mm~4mmの範囲内の動脈とされている橈骨動脈を測定対象血管とすることができ、人体の腕部、特に手首に装着する脈波センサとして好適に利用することができる。
(14)本発明に係る電子機器は、前記脈波センサを備えることを特徴とする。
本発明に係る電子機器によれば、上述した脈波センサを具備しているので、脈波を精度良く測定することができ、脈波の測定機能を具備する各種の電子機器に好適に適用することができる。
(15)本発明に係る脈波測定方法は、生体表面に押し当て可能とされ、第1センサ室及び第2センサ室を有するアタッチメント部と、前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、を備え、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に、測定対象血管の脈動に対応して前記第1センサ室及び前記第2センサ室の内圧が変化する脈波センサを利用して、前記測定対象血管の脈波を測定する脈波測定方法であって、前記第1脈波信号に基づいて脈波を測定する脈波測定工程と、前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する状態検出工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る脈波測定方法によれば、第1脈波信号に基づいて脈波を測定することができると共に、第2脈波信号の出力の有無に基づいて生体表面に対するアタッチメント部の押し当て状態を検出することができる。従って、使用者は、生体に対する脈波センサの装着状態を一定の状態に維持し易く、測定対象血管の直上に第1センサ室を位置させた状態で脈波の測定を行えるので、脈波を精度良く測定することができる。
(16)前記状態検出工程の際、前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出しても良い。
この場合には、脈波の測定中に、第1センサ室が測定対象血管の直上から位置ずれしたとしても、その位置ずれ方向及び位置ずれ量を使用者が容易に把握することができるので、容易且つ速やかに位置ずれを修正することができる。
本発明に係る脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法によれば、測定精度を向上することができる。
本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第1実施形態を示す図であって、手首に装着している状態を示す図である。 図1に示す矢印A-A線に沿った断面図である。 図2に示す脈波センサの縦断面図である。 図2に示す脈波センサを構成するブロック図である。 図3に示す矢印B-B線に沿ったアタッチメント本体の断面図である。 図3に示す第1圧力センサ周辺の詳細を示す縦断面図である(図7に示すC-C線に沿った縦断面図に相当)。 図6に示す第1圧力センサの平面図である。 図4に示す第1脈波検出部における第1検出回路の構成図である。 図3に示す第2圧力センサ周辺の詳細を示す縦断面図である(図10に示すD-D線に沿った縦断面図に相当)。 図9に示す第2圧力センサの平面図である。 図4に示す第2脈波検出部における第2検出回路の構成図である。 図4に示す表示部の画面の一例を示す図である。 図5に示す状態における第1脈波信号及び第2脈波信号の出力例を示す図である。 図5に示す状態からアタッチメント部が橈骨動脈の走行方向に交差する直交方向に位置ずれした状態を示す断面図である。 図14に示す状態からアタッチメント部が橈骨動脈の走行方向に交差する直交方向にさらに位置ずれした状態を示す断面図である。 図15に示す状態における第1脈波信号及び第2脈波信号の出力例を示す図である。 本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第2実施形態を示す図であって、アタッチメント本体の断面図である。 本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第3実施形態を示す図であって、アタッチメント本体の断面図である。 本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第4実施形態を示す図であって、手首に装着している状態を示す断面図である。 図19に示す矢印E-E線に沿ったアタッチメント本体の断面図である。 本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第5実施形態を示す図であって、手首に装着している状態を示す断面図である。 本発明に係る脈波センサ及び脈波測定装置(電子機器)の第6実施形態を示す図であって、手首に装着している状態を示す平面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る脈波センサ、電子機器及び脈波測定方法の第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、腕時計型の脈波測定装置を例に挙げて説明する。
図1~図3に示すように、本実施形態の脈波測定装置1は、脈波センサ4を具備し、使用者の手首Sに装着されて使用される。具体的には、脈波測定装置1は、主に手首Sの裏側(手の平側)に装着される。脈波センサ4は、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈(本発明に係る測定対象血管)Rの圧力波を脈波として測定するセンサとされている。
従って、本実施形態では測定対象血管として橈骨動脈Rを利用する場合について説明する。そのため、橈骨動脈Rの脈動が本発明に係る生体の脈動に相当する。
なお、橈骨動脈Rは人体の腕部の長さ方向に沿って延びる動脈であり、血管幅は一般的に2mm~4mmの範囲内とされている。本実施形態では、橈骨動脈Rが延びる方向を走行方向(本発明に係る延在方向)M1といい、手首Sの裏側の平面視で走行方向M1に対して交差する方向を交差方向という。特に、交差方向のうち、走行方向M1に対して直交する方向を直交方向M2という。
脈波測定装置1は、手首Sに装着されると共に脈波センサ4を有するセンサ筐体2と、センサ筐体2を手首Sに対して取り外し可能に固定する固定ベルト3と、を備えている。
なお、本実施形態では、手首表面S1(本発明に係る生体表面)からセンサ筐体2に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
図3及び図4に示すように、脈波センサ4は、手首表面S1に対して対向配置された状態で、センサ筐体2を介して手首Sに固定されるセンサ基板10と、センサ基板10に対して一体に組み合わされると共に、手首表面S1に対して押し当て可能とされ、且つ内部に第1センサ室11及び第2センサ室12を有する筒状のアタッチメント部13と、第1センサ室11の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサ20を有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号V1(図8参照)を出力する第1脈波検出部21と、第2センサ室12の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサ30を有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号V2(図11参照)を出力する第2脈波検出部31と、第1脈波信号V1に基づいて脈波を検出すると共に、第2脈波信号V2に基づいて手首表面S1に対するアタッチメント部13の押し当て状態を検出する処理部40と、を備えている。
本実施形態では、第2センサ室12を複数備えている場合を例に挙げて説明する。より具体的には、第2センサ室12を2つ備えている場合を例に挙げて説明する。さらに、第2センサ室12に対応して、第2圧力センサ30を2つ備えている場合を例に挙げて説明する。
なお、図1では、脈波測定装置1を簡略化して図示していると共に、橈骨動脈Rとアタッチメント部13との位置関係を理解し易いように図示している。
図1~図3に示すように、センサ筐体2は、本体ケース50と、該本体ケース50に対して図示しない締結部材等を介して一体的に組み合された裏蓋51と、を備え、内部に各種の構成部品を収容可能な図示しない収容空間が形成されている。
固定ベルト3は、手首Sを巻回するように延びた第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56を備えている。
第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56は、センサ筐体2を間に挟むようにセンサ筐体2の両側に配置され、基端部が例えば裏蓋51に対して回動可能にそれぞれ連結されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56の基端部は本体ケース50に対して連結されていても構わない。
図2に示すように、第1固定ベルト55の先端部側には、該第1固定ベルト55を厚さ方向に貫通する図示しない複数の固定孔が形成されている。これら複数の固定孔は、第1固定ベルト55の延在方向に沿って、一定の間隔をあけて形成されている。第2固定ベルト56の先端部側には、第1固定ベルト55が挿通される尾錠枠57、及び固定孔内に挿通される図示しないつき棒を有する尾錠57aが取り付けられている。
このように固定ベルト3が構成されているので、第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56を手首Sに巻回し、つき棒を固定孔内に挿通することで、第1固定ベルト55及び第2固定ベルト56を連結することが可能となる。これにより、センサ筐体2が手首Sの裏側に位置するように、脈波測定装置1の全体を手首Sに対して安定且つ強固に装着することが可能となる。なお、第2固定ベルト56には、環状の遊革58が第2固定ベルト56に沿って移動可能に挿通されている。
図3に示すように、センサ基板10は例えば回路基板とされ、裏蓋51に対して一体的に組み合されている。
なお、センサ基板10の平面視で、互いに直交する2方向のうちの一方の方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。センサ基板10は、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成されている。ただし、センサ基板10の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
本実施形態では、橈骨動脈Rの走行方向M1にセンサ基板10の左右方向L2が一致し、且つ直交方向M2にセンサ基板10の前後方向L1が一致するように、固定ベルト3によって脈波測定装置1が手首Sに装着される。
センサ基板10には、該センサ基板10を厚み方向に貫通する第1貫通孔60、及び2つの第2貫通孔61が形成されている。
これら第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、センサ基板10における左右方向L2の中央部分に配置され、且つ前後方向L1に一列に並んで配置されるように形成されている。これにより、第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、橈骨動脈Rの走行方向M1に直交する直交方向M2に沿って並ぶように形成されている。さらに、第1貫通孔60及び2つの第2貫通孔61は、2つの第2貫通孔61の間に第1貫通孔60が配置されるように形成されている。
さらに、センサ基板10上には、後述する3つのSOI基板90が配置されていると共に、脈波の測定に必要とされる各種の電子部品が実装されている。
センサ筐体2内の収容空間には、図4に示すように、例えば演算処理部であるCPU70、メモリ71、表示部72、通信部73、通信アンテナ74及び電源部75が少なくとも収容されている。
CPU70は、脈波センサ4の作動を総合的に制御する機能を有しており、上述した処理部40、後述する第1検出回路111及び第2検出回路122を少なくとも有している。なお、CPU70は例えばセンサ基板10上に実装されている。
メモリ71には、CPU70に各種の演算処理を実行させるためのプログラム或いはテーブルが予め格納されている。さらにメモリ71は、処理部40によって検出された脈波及び押し当て情報を記憶する機能を有している。なお、メモリ71は例えばセンサ基板10上に実装されている。
表示部72は、処理部40によって検出された脈波、及び押し当て情報を少なくとも表示可能とされ、例えば本体ケース50の上面に露出するように配置されている。この表示部72は、脈波及び押し当て情報等を外部に報知する報知部としても機能する。なお、表示部72に、その他の各種の情報、例えば時刻、日付或いは曜日等に関する情報を表示させても構わない(図12参照)。
通信部73は、処理部40によって検出された脈波及び押し当て情報等を、通信アンテナ74を介して外部機器Eと無線通信する機能を有している。なお、外部機器Eとしては、例えば情報端末或いはサーバ等が挙げられるが、特定の機器に限定されるものではない。ただし、通信部73及び通信アンテナ74は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
電源部75は、例えばボタン電池等の交換可能な一次電池、或いは充放電可能な二次電池等とされている。さらに、本体ケース50には、図示しない入力ボタン等の入力部が設けられ、入力部による入力操作によって、例えば脈波測定装置1の電源のオンオフ操作やCPU70を介した各構成部品の制御操作を行うことが可能とされている。
図3に示すように、アタッチメント部13は、センサ基板10から下方に向けて(手首表面S1)に向けて突出するように形成されている。
アタッチメント部13は、センサ基板10側に配置され、下方に向けて開口したアタッチメント本体80と、アタッチメント本体80よりも下方に配置されると共に、手首表面S1側に開口した弾性体81と、を備え、全体として中心軸線Oを中心とした筒状に形成されている。
なお、アタッチメント部13の中心軸線O方向から見た平面視で中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
アタッチメント本体80は、例えば所定の剛性を有する硬質材料によって形成され、センサ基板10に対して上端部が一体的に連結されている。本実施形態のアタッチメント本体80は、上下方向の全長に亘って外径が一定とされた円筒状に形成されている。従って、アタッチメント本体80の外形は、平面視円形状に形成されている。
図3及び図5に示すように、アタッチメント本体80には、第1センサ室11、及び2つの第2センサ室12が手首表面S1側に開口した状態で形成されている。
第1センサ室11は、アタッチメント本体80における中央部分に中心軸線Oと同軸上に配置され、横断面視円形状に形成されている。2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。具体的には、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして、前後方向L1に一列に並ぶように配置されている。これにより、第1センサ室11及び第2センサ室12は、橈骨動脈Rの走行方向M1に直交する直交方向M2に沿って一列に並ぶように配置されている。従って、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11に対して、橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
本実施形態では、2つの第2センサ室12は、周方向に延びる横断面視円弧状に形成されている。ただし、第2センサ室12の形状はこの場合に限定されるものではない。
上述のように構成された第1センサ室11は、センサ基板10に形成された第1貫通孔60の下方に配置されていると共に、第1貫通孔60に対して連通している。同様に、2つの第2センサ室12は、センサ基板10に形成された第2貫通孔61の下方に配置されていると共に、第2貫通孔61に対して連通している。
図3に示すように、弾性体81は、アタッチメント本体80の下端部に対して、一体的に固定或いは離脱可能に固定され、手首表面S1に対するアタッチメント部13の押し当て時に弾性変形可能とされている。
なお、弾性体81をアタッチメント本体80の下端部に対して一体的に固定する場合、その固定方法としては、特定の方法に限定されるものではないが、例えば接着や溶着等によって固定しても構わない。さらには、二色成形或いはインサート成形等によって、アタッチメント本体80と弾性体81とを一体的に固定しても構わない。
弾性体81は、手首表面S1の弾性よりも低い弾性の弾性材料、例えば合成ゴム、シリコン、高分子ゲル等によって形成されている。
より具体的には、弾性体81は、JIS K6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法)で準拠されるデュロメータタイプEの硬度70以下程度の硬さを満足する弾性とされている。
このように形成された弾性体81は、例えば厚み方向(上下方向)に潰れるように弾性変形可能とされている。
本実施形態の弾性体81は、アタッチメント本体80よりも薄く形成され、その外形はアタッチメント本体80と同径の平面視円形状に形成されている。そして、弾性体81には、該弾性体81を上下に貫通する第1開口部82及び2つの第2開口部83が形成されている。
第1開口部82は、第1センサ室11の下方に配置され、第1センサ室11と同じ形状、すなわち平面視円形状に形成されている。これにより、第1センサ室11は、第1開口部82を通じて手首表面S1側に開口している。2つの第2開口部83は、2つの第2センサ室12の下方にそれぞれ配置され、第2センサ室12と同じ形状、すなわち平面視円弧状に形成されている。これにより、2つの第2センサ室12は、第2開口部83を通じて手首表面S1側にそれぞれ開口している。
ただし、第1開口部82及び第2開口部83の形状は、第1センサ室11及び第2センサ室12の形状と同形状である必要はなく、異なる形状であっても構わない。
上述のように構成された弾性体81は、該弾性体81を介してアタッチメント部13を手首表面S1に対して押し当てたときに、手首表面S1の表面形状(凹凸等)に対応して弾性変形することで、手首表面S1に対して密着可能とされている。そして、手首表面S1に対する弾性体81の密着によって、第1センサ室11及び2つの第2センサ室12を密閉状態にすることが可能とされている。これにより、第1センサ室11及び2つの第2センサ室12は、橈骨動脈Rの脈動に起因する手首表面S1の変動(上下動)に対応して内圧が変化可能とされている。
図3、図6及び図7に示すように、第1圧力センサ20は、第1センサ室11の内圧変化に応じて撓み変形可能な第1カンチレバー25を備えている。
第1カンチレバー25は、センサ基板10の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板によって形成されている。本実施形態では、半導体基板として、シリコン支持層91、シリコン酸化膜等の絶縁層92及びシリコン活性層93を、下方からこの順番で熱的に張り合わせたSOI基板90を例に挙げて説明している。従って、第1カンチレバー25は、SOI基板90によって形成されている。
ただし、第1カンチレバー25はSOI基板90によって形成される場合に限定されるものではない。なお、シリコン支持層91を一定電位に維持する(例えば、シリコン支持層91をセンサ基板10のグラウンド等に接続)等して、SOI基板90に厚さ方向の電位差の変動が生じることを抑制することが好ましい。
図6及び図7に示すように、SOI基板90は、センサ基板10と同様に、前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い平面視長方形状に形成され、第1貫通孔60を上方から覆うようにセンサ基板10上に配置されている。シリコン支持層91及び絶縁層92には、これらシリコン支持層91及び絶縁層92を厚み方向に貫通する第1連通孔95が形成されている。
第1連通孔95は、第1貫通孔60を通じて第1センサ室11内に連通していると共に、後述する第1ギャップ100を通じて第1カンチレバー25の上方に位置する上部空間96に連通している。これにより、第1ギャップ100、第1連通孔95及び第1貫通孔60を通じて、第1センサ室11内と上部空間96内とは互いに連通している。
シリコン活性層93は、絶縁層92の上面に該絶縁層92の全面に亘って形成されている。そのため、シリコン活性層93は第1連通孔95を上方から覆っている。さらにシリコン活性層93のうち、SOI基板90の平面視で第1連通孔95の内側に位置する部分には、該シリコン活性層93を厚さ方向に貫通する平面視C形状の第1ギャップ100が形成されている。シリコン活性層93のうち第1ギャップ100の内側に位置する部分が、上記第1カンチレバー25とされている。
従って、第1カンチレバー25は、SOI基板90の平面視で、第1ギャップ100をあけた状態で第1連通孔95を部分的に覆っている。なお、第1ギャップ100のギャップ幅は、例えば数百nm~数十μmの微小幅とされている。
第1カンチレバー25は、片持ち状に支持された状態でSOI基板90に形成されている。具体的には第1カンチレバー25は、先端部が自由端とされたレバー本体26と、レバー本体26とシリコン活性層93とを一体的に接続すると共に、レバー本体26を片持ち状態で支持する2つのレバー支持部27とを備え、第1連通孔95を上方から覆うように配置されている。これにより、第1カンチレバー25は、レバー本体26の先端部側が自由端とされた片持ち梁構造とされ、レバー支持部27を中心として第1センサ室11の内圧変化に応じて撓み変形する。
なお、本実施形態では、前後方向L1に沿ってレバー支持部27からレバー本体26に向かう方向を前方といい、その反対方向を後方という。
第1カンチレバー25の基端部には、該第1カンチレバー25を厚さ方向に貫通する第2ギャップ101が形成されている。第2ギャップ101は、第1カンチレバー25の基端部においてSOI基板90における左右方向L2の中央部に位置するように形成されている。なお、第2ギャップ101のギャップ幅は、第1ギャップ100のギャップ幅と同等とされている。
2つのレバー支持部27は、第2ギャップ101を間に挟んで左右方向L2に並ぶように配置されている。これにより、先に述べたように、第1カンチレバー25はレバー支持部27を中心として撓み変形し易い構造とされている。
第2ギャップ101は、前後方向L1に沿って直線状に延びると共に、左右方向L2に間隔をあけて互いに平行に配置された第1直線ギャップ101a及び第2直線ギャップ101bと、左右方向L2に沿って直線状に延びると共に、第1直線ギャップ101aと第2直線ギャップ101bとを接続する第3直線ギャップ101cと、を備え、全体として平面視C形状に形成されている。
なお、第2直線ギャップ101bは、第1直線ギャップ101aよりも後方に向かって長く形成されており、後述する第2溝部108に接続されている。
2つのレバー支持部27の左右方向L2に沿った支持幅は、互いに同等とされている。従って、第1カンチレバー25が撓み変形した際、一方のレバー支持部27に作用する応力と、他方のレバー支持部27に作用する応力とは同等とされている。
シリコン活性層93には、第1カンチレバー25を含むようにピエゾ抵抗層(圧電抵抗層)102が形成されている。ピエゾ抵抗層102は、平面視で第1連通孔95よりも一回り大きいサイズとなるように形成されている。これにより、ピエゾ抵抗層102は、少なくとも第1カンチレバー25の全面に亘って形成されている。なお、ピエゾ抵抗層102は、例えばリン等のドーパント(不純物)がイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。
ピエゾ抵抗層102のうち第1カンチレバー25が形成された部分、すなわち、レバー本体26及び2つのレバー支持部27が形成された部分は、第1カンチレバー25の撓み変形に応じて抵抗値が変化する第1変位検出抵抗105として機能する。
シリコン活性層93のうちピエゾ抵抗層102を除いた領域には、例えばピエゾ抵抗層102よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えばAU等)からなる外部電極106が形成されている。
なお、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106の上面に、図示しない絶縁膜を保護膜として被膜することで、外部との電気的な接触を防止することも可能である。
シリコン活性層93には、該シリコン活性層93を複数の領域に区画する複数の溝部が形成されている。本実施形態では、第1溝部107及び第2溝部108が、シリコン活性層93の上面から絶縁層92に達する深さで形成されている。
第1溝部107は、シリコン活性層93のうち第1ギャップ100よりも前方側に位置する領域に形成されていると共に、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。第1溝部107は、前端部がSOI基板90の前方側の側面に達し、且つ後端部が第1ギャップ100に連通するように形成されている。
これにより、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106のうち、第1ギャップ100よりも前方側に位置する部分は、第1溝部107によって左右方向L2に分断されている。
第2溝部108は、シリコン活性層93のうち第2ギャップ101よりも後方側に位置する領域に形成されていると共に、前後方向L1に沿って直線状に延びるように形成されている。より具体的には、第2溝部108は、シリコン活性層93のうち第2ギャップ101における第2直線ギャップ101bよりも後方側に位置する領域に形成されている。そして、第2溝部108は、前端部が第2直線ギャップ101bに連通し、且つ後端部がSOI基板90の後方側の側面に達するように形成されている。
これにより、ピエゾ抵抗層102及び外部電極106のうち、第2ギャップ101よりも後方側に位置する部分は、第2溝部108によって左右方向L2に分断されている。
上述した第1溝部107及び第2溝部108によって、外部電極106は第1外部電極106a及び第2外部電極106bに区画されている。従って、第1外部電極106a及び第2外部電極106bは、第1変位検出抵抗105を経由する通電経路を除き、直接的な相互の電気的接続は切り離されている。
なお、第2溝部108は、第2直線ギャップ101bに接続される場合に限定されるものではない。例えば、第1直線ギャップ101aを第2直線ギャップ101bよりも後方に向かって長く形成し、第2溝部108と第1直線ギャップ101aとを接続させても構わない。
図7に示すように、第1変位検出抵抗105は、第1外部電極106a及び第2外部電極106bに対してそれぞれ電気接続されている。これにより、第1外部電極106a及び第2外部電極106b間に電圧が印加されると、この電圧印加に起因する電流は第1外部電極106aから第1変位検出抵抗105を経由して第2外部電極106bに流れる。
図8に示すように、第1脈波検出部21は、第1変位検出抵抗105を含むホイートストンブリッジ回路110を有する第1検出回路111を備え、第1変位検出抵抗105の抵抗値変化に対応したホイートストンブリッジ回路110からの出力信号を第1脈波信号V1として出力する。
なお、図4に示すように、第1検出回路111は、CPU70を構成する一部とされ、センサ基板10に実装されている。
図8に示すように、第1検出回路111は、ホイートストンブリッジ回路110と、ホイートストンブリッジ回路110に対して所定の基準電圧Vccを印加する基準電圧発生回路112と、差動増幅回路113と、を備えている。
ホイートストンブリッジ回路110は、第1変位検出抵抗105及び第1固定抵抗114が直列接続された枝辺と、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116が直列接続された枝辺と、が基準電圧発生回路112に対して並列に接続されている。
第1変位検出抵抗105は、第1端が基準電圧Vccの供給線に接続され、第2端がノードN1に接続されている。第1固定抵抗114は、第1端がノードN1に接続され、第2端が電源線GNDに接続されている。第2固定抵抗115は、第1端が基準電圧Vccの供給線に接続され、第2端がノードN2に接続されている。第3固定抵抗116は、第1端がノードN2に接続され、第2端が電源線GNDに接続されている。
なお、第1固定抵抗114、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116は、例えばセンサ基板10に実装された外付け抵抗とされている。
差動増幅回路113は、例えば計測アンプであって、センサ基板10上に取り付けられている。差動増幅回路113は、ノードN1とノードN2との間の電位差を所定の増幅率で増幅して第1脈波信号V1として、処理部40に出力する。
なお、この電位差は、ピエゾ抵抗層102の抵抗値変化に応じた値、すなわち第1カンチレバー25の変位に基づいた値となる。差動増幅回路113は、反転入力端子(-端子)がノードN1に接続され、非反転入力端子(+端子)がノードN2に接続されている。
なお、第1外部電極106aは第1変位検出抵抗105の第1端として機能し、基準電圧Vccの供給線が接続される。第2外部電極106bは第1変位検出抵抗105の第2端及び第1固定抵抗114の第1端として機能し、ノードN1を介して差動増幅回路113の反転入力端子(-端子)が接続される。
図3に示すように、2つの第2圧力センサ30は、各第2センサ室12の内圧変化に応じて撓み変形可能な第2カンチレバー35をそれぞれ備えている。
なお、2つの第2圧力センサ30は、ともに同一の構成とされているので、一方の第2圧力センサ30についての説明を行い、他方の第2圧力センサ30については説明を省略する。さらに、第2圧力センサ30は、基本的に先に述べた第1圧力センサ20と同様の構成とされている。従って、第2圧力センサ30については、説明を簡略化すると共に、第1圧力センサ20と同等の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図9及び図10に示すように、第2カンチレバー35は、第1カンチレバー25と同様に、センサ基板10の上面に対して重なった状態で接合された半導体基板であるSOI基板90によって形成されている。
このSOI基板90は、第2貫通孔61を上方から覆うようにセンサ基板10上に配置されている。シリコン支持層91及び絶縁層92には、これらシリコン支持層91及び絶縁層92を厚み方向に貫通する第2連通孔120が形成されている。
第2連通孔120は、第2貫通孔61を通じて第2センサ室12内に連通していると共に、第1ギャップ100を通じて第2カンチレバー35の上方に位置する上部空間97に連通している。これにより、第1ギャップ100、第2連通孔120及び第2貫通孔61を通じて、第2センサ室12内と上部空間97内とは互いに連通している。
第2カンチレバー35は、第1カンチレバー25と同様に、SOI基板90の平面視で、第1ギャップ100をあけた状態で第2連通孔120を部分的に覆っている。第2カンチレバー35は、片持ち状に支持された状態でSOI基板90に形成されている。具体的には第2カンチレバー35は、先端部が自由端とされたレバー本体36と、レバー本体36とシリコン活性層93とを一体的に接続すると共に、レバー本体36を片持ち状態で支持する2つのレバー支持部37とを備え、第2連通孔120を上方から覆うように配置されている。
これにより、第2カンチレバー35は、レバー本体36の先端部側が自由端とされた片持ち梁構造とされ、レバー支持部37を中心として第2センサ室12の内圧変化に応じて撓み変形する。
シリコン活性層93には、第2カンチレバー35を含むようにピエゾ抵抗層(圧電抵抗層)102が形成されている。ピエゾ抵抗層102のうち第2カンチレバー35が形成された部分は、第2カンチレバー35の撓み変形に応じて抵抗値が変化する第2変位検出抵抗121として機能する。
シリコン活性層93のうちピエゾ抵抗層102を除いた領域には、例えばピエゾ抵抗層102よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えばAU等)からなる外部電極106が形成されている。外部電極106は、第1溝部107及び第2溝部108によって、第1外部電極106a及び第2外部電極106bに区画されている。従って、第1外部電極106a及び第2外部電極106bは、第2変位検出抵抗121を経由する通電経路を除き、直接的な相互の電気的接続は切り離されている。
図10に示すように、第2変位検出抵抗121は、第1外部電極106a及び第2外部電極106bに対してそれぞれ電気接続されている。これにより、第1外部電極106a及び第2外部電極106b間に電圧が印加されると、この電圧印加に起因する電流は、第1外部電極106aから第2変位検出抵抗121を経由して第2外部電極106bに流れる。
図11に示すように、第2脈波検出部31は、第2変位検出抵抗121を含むホイートストンブリッジ回路110を有する第2検出回路122を備え、第2変位検出抵抗121の抵抗値変化に対応したホイートストンブリッジ回路110からの出力信号を、第2脈波信号V2として処理部40に出力する。
なお、図4に示すように、第2検出回路122はCPU70を構成する一部とされ、センサ基板10に実装されている。
図11に示すように、第2検出回路122は、ホイートストンブリッジ回路110と、ホイートストンブリッジ回路110に対して所定の基準電圧Vccを印加する基準電圧発生回路112と、差動増幅回路113と、を備えている。
ホイートストンブリッジ回路110は、第2変位検出抵抗121及び第1固定抵抗114が直列接続された枝辺と、第2固定抵抗115及び第3固定抵抗116が直列接続された枝辺と、が基準電圧発生回路112に対して並列に接続されている。
第2変位検出抵抗121は、第1端が基準電圧Vccの供給線に接続され、第2端がノードN1に接続されている。第1固定抵抗114は、第1端がノードN1に接続され、第2端が電源線GNDに接続されている。第2固定抵抗115は、第1端が基準電圧Vccの供給線に接続され、第2端がノードN2に接続されている。第3固定抵抗116は、第1端がノードN2に接続され、第2端が電源線GNDに接続されている。
差動増幅回路113は、ノードN1とノードN2との間の電位差を所定の増幅率で増幅して第2脈波信号V2として出力する。なお、この電位差は、ピエゾ抵抗層102の抵抗値変化に応じた値、すなわち第2カンチレバー35の変位に基づいた値となる。
なお、第1外部電極106aは第2変位検出抵抗121の第1端として機能し、基準電圧Vccの供給線が接続される。第2外部電極106bは第2変位検出抵抗121の第2端及び第1固定抵抗114の第1端として機能し、ノードN1を介して差動増幅回路113の反転入力端子(-端子)が接続される。
図3に示すように、センサ基板10の上面には、3つのSOI基板90を上方からそれぞれ覆うように有頂筒状に形成され、センサ基板10に対して例えば密に接触した蓋部材125、126が組み合わされている。
蓋部材125は、第1圧力センサ20が形成されたSOI基板90を上方から覆っている。これにより、蓋部材125の内側が上部空間96として機能する。また、蓋部材126は、第2圧力センサ30が形成されたSOI基板90を上方からそれぞれ覆っている。これにより、蓋部材126の内側が上部空間97として機能する。ただし、蓋部材125、126は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
図4に示すように、CPU70は処理部40を備えている。
処理部40は、先に述べたように、第1脈波検出部21から出力された第1脈波信号V1に基づいて脈波を検出すると共に、第2脈波検出部31から出力された第2脈波信号V2に基づいて、手首表面S1に対する弾性体81を介したアタッチメント部13の押し当て情報を検出する。
押し当て情報としては、例えば手首表面S1に対するアタッチメント部13の押し当て方向等である。
処理部40は、脈波を算出する脈波算出部41と、位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する位置ずれ算出部(本発明に係る算出部)42と、を備えている。
脈波算出部41は、第1センサ室11の内圧変化による第1カンチレバー25の撓み変形に対応した第1脈波信号V1に基づいて、脈波を算出する。
位置ずれ算出部42は、第2センサ室12の内圧変化による第2カンチレバー35の撓み変形に対応した第2脈波信号V2と、第1センサ室11と第2センサ室12との相対位置関係とに基づいて、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置する基準位置に対する、アタッチメント部13の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することが可能とされている。なお、これらの点については、後に詳細に説明する。
表示部72は、位置ずれ算出部42によって算出された位置ずれ方向及び位置ずれ量を表示することが可能とされている。
具体的には表示部72は、押し当て位置を中心として、位置ずれ量に対応した矢印長さ、及び位置ずれ方向に対応した矢印方向で構成される矢印45を画面72aに表示する。表示部72の画面72aには、押し当て位置を中心とした円形のガイドサークル46が同心円状に複数表示されている。複数のガイドサークル46の1つは、例えば太線表示され、その内側の領域が位置ずれ量の許容範囲内であることを示す許容サークル47とされている。
そして表示部72は、ガイドサークル46に矢印45を重ね合わせた状態で表示する。これにより、矢印方向及び矢印長さを視認することで、位置ずれ量及び位置ずれ方向を判断することが可能であると共に、許容サークル47との関係に基づいて位置ずれ量が許容範囲内であるか否かを判断することが可能とされている。
なお、位置ずれ量の許容範囲とは、第1圧力センサ20の変位に対応した第1脈波信号V1の出力が確認できる範囲である。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
次に、上述のように構成された脈波測定装置1及び脈波センサ4を利用して、心臓の拍動に伴って伝わる橈骨動脈Rの脈波を測定する脈波測定方法について説明する。
この場合には、図3に示すように、弾性体81を介してアタッチメント部13を手首表面S1に対して押し当てることで、手首表面S1に対して弾性体81を密着させながら弾性体81を弾性変形させることができる。また、弾性体81の第1開口部82及び第2開口部83が手首表面S1によって閉塞されるので、第1センサ室11及び第2センサ室12内を密閉状態にすることができる。
第1センサ室11内を密閉にすることができるので、橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動(図3に示す矢印のような上下動)に対応して、第1センサ室11の内圧を変化させることができると共に、第1センサ室11の内圧変化に応じて、第1圧力センサ20を変位させることができる。従って、第1脈波検出部21により、第1圧力センサ20の変位に基づいて第1脈波信号V1を出力することができる。
具体的には、橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動に対応して第1センサ室11の内圧が変化すると、これに対応して第1カンチレバー25が図3に示す矢印の如く上下に撓み変形する。これにより、第1カンチレバー25の撓み量(変位量)に対応して第1変位検出抵抗105の抵抗値が変化するので、ホイートストンブリッジ回路110から出力される第1脈波信号V1が変化する。
従って、処理部40における脈波算出部41によって、第1カンチレバー25の撓み量に基づいた第1脈波信号V1の変化をモニタすることで、第1センサ室11の内圧変化を検出することができ、結果的に脈波の測定を行うことができる。なお、以上の工程が、第1脈波信号V1に基づいて脈波を測定する脈波測定工程に相当する。
従って、本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ4によれば、脈波測定工程によって、非侵襲的に、しかも橈骨動脈Rを圧迫せずに脈波を検出することができるので、例えば使用者に対して不快感を与えることなく、長時間に亘って脈波の測定を行うことができる。
特に第1カンチレバー25は、レバー本体26を片持ち状態で支持するレバー支持部27を中心に撓み変形する。そのため、第1変位検出抵抗105のうち主にレバー支持部27に形成された部分は、感度への寄与度(貢献度)が大きい応力検知部位とされ、第1カンチレバー25の撓み量に正確に対応して抵抗値が変化する。そのため、ホイートストンブリッジ回路110から出力された第1脈波信号V1に基づいて、脈波の検出を精度良く且つ感度良く行うことができる。
ところで、脈波の測定精度は、弾性体81の第1開口部82を通じて第1センサ室11内に露出する手首表面S1の変動に大きく左右される。従って、例えば体動等によって、手首Sに対して脈波測定装置1及び脈波センサ4が位置ずれした場合には、できるだけ速やかに位置ずれを修正することが好ましい。
この点、本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ4では、第1センサ室11に対して橈骨動脈Rの走行方向M1に交差する交差方向に、2つの第2センサ室12を備えているので、手首表面S1に対する押し当て状態を検出する状態検出工程を行うことができる。従って、位置ずれの有無を把握することができ、位置ずれを速やかに解消することが可能である。
以下に詳細に説明する。
図5に示すように、脈波の測定中、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置するように、手首Sに対して脈波測定装置1及び脈波センサ4が最適な位置である基準位置で装着されている場合には、2つの第2センサ室12は橈骨動脈Rの直上から外れた位置に配置されている。これにより、脈動の影響を受け難い位置に第2センサ室12を配置することができる。従って、この場合には、第2センサ室12の内圧は、脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされている。
従ってこの場合には、図13に示すように、第1圧力センサ20においては、橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動に対応して第1センサ室11の内圧が変化するので、先に述べたように、第1脈波検出部21から、第1センサ室11の内圧変化に応じた(すなわち第1圧力センサ20の変位に応じた)第1脈波信号V1を出力することができる。
その一方、2つの第2圧力センサ30においては、上述のように第2センサ室12の内圧が脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされているので、第2脈波検出部31から、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2はほとんど出力されず、零に近い状態となる。
これに対して脈波の測定中に、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、図14に示すように、橈骨動脈Rの走行方向M1に対して交差する交差方向である直交方向M2に脈波測定装置1及び脈波センサ4が位置ずれした場合には、手首表面S1のうち橈骨動脈Rの直上に位置する部分が相対的に一方の第2センサ室12側に移動するので、少なくとも一部分が第2センサ室12内に露出する。
これにより、脈動に伴う手首表面S1の変動によって第2センサ室12の内圧を変化させることができ、第1圧力センサ20の動きと同様に、第2センサ室12の内圧変化に応じて第2圧力センサ30の第2カンチレバー35を撓み変形させることができる。そのため、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2を、第2脈波検出部31から出力することができる。
そして、体動や姿勢変化等の影響によって、図15に示すように直交方向M2に脈波測定装置1及び脈波センサ4がさらに位置ずれした場合には、手首表面S1のうち橈骨動脈Rの直上に位置する部分が第1センサ室11内から外れて、第2センサ室12内に露出した状態となる。
この場合には、第2センサ室12の内圧変化に応じた第2脈波信号V2を、第2脈波検出部31から出力することができる反面、第1センサ室11の内圧は、脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされている。
従ってこの場合には、図16に示すように、第1圧力センサ20においては、上述のように第1センサ室11の内圧が脈動に伴う手首表面S1の変動によって変化し難い状態とされているので、第1脈波検出部21から、第1センサ室11の内圧変化に応じた第1脈波信号V1はほとんど出力されず、零に近い状態となる。
その一方、2つの第2圧力センサ30の一方については、上述のように橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動に対応して第2センサ室12の内圧が変化するので、第2脈波検出部31から、第2センサ室12の内圧変化に応じた(すなわち第2圧力センサ30の変位に応じた)第2脈波信号V2を出力することができる。
従って、処理部40における位置ずれ算出部42は、第2脈波信号V2の出力の有無に基づいて、第1センサ室11が橈骨動脈Rの直上に位置した状態でアタッチメント部13が手首表面S1に押し付けられている、或いは第1センサ室11が橈骨動脈Rの直上から位置ずれした状態でアタッチメント部13が手首表面S1に押し付けられている等といった、アタッチメント部13の押し当て状態、すなわち手首Sに対する脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着状態を検出することができる。
これにより、使用者は、手首Sに対する脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着状態を一定の状態に維持し易く、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11を位置させた状態で脈波の測定を行える。従って、脈波を精度良く測定することができる。
以上説明したように、本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ4によれば、手首Sに対する脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着状態を一定の状態に維持し易く、長時間に亘って脈波を安定且つ精度良く測定することができる。
特に、本実施形態では、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置する基準位置に対する、アタッチメント部13の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出することが可能とされている。
例えば、図5に示すように、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置している状態で脈波測定装置1及び脈波センサ4が装着されている場合には、橈骨動脈Rの脈動に起因して第2センサ室12の内圧変化が生じ難い。従って、図13に示すように、第1脈波信号V1は出力されるものの、第2脈波信号V2については出力が零に近い状態となる。従って、この場合には、位置ずれ算出部42は位置ずれが生じていないと判断する。
これに対して、体動等によって橈骨動脈Rの直上から第1センサ室11が位置ずれして、図14に示すように、一方の第2センサ室12の一部が相対的に橈骨動脈Rの直上に位置した場合、或いは図15に示すように、一方の第2センサ室12が橈骨動脈Rの直上に位置した場合には、橈骨動脈Rの脈動に起因して第2センサ室12の内圧が変化する。
これにより、図14及び図15に示す場合には、第2圧力センサ30から第2脈波信号V2が出力される。特に、第2センサ室12が橈骨動脈Rの直上に接近するほど(すなわち、位置ずれ量が大きくなるほど)、第2脈波信号V2の出力が大きくなる。
なお、図15に示すように、一方の第2センサ室12が橈骨動脈Rの直上に位置する程度まで位置ずれが生じた場合には、図16に示すように、第1脈波信号V1はほとんど出力されずに、第2脈波信号V2が出力される。
従って、位置ずれ算出部42は、第2脈波信号V2の出力の大きさに基づいて位置ずれ量を算出することが可能であると共に、第2脈波信号V2が出力された側の第2センサ室12と第1センサ室11との相対位置関係に基づいて、位置ずれ方向を算出することが可能とされている。
このとき表示部72は、図12に示すように、押し当て位置を中心として、位置ずれ量に対応した矢印長さ、及び位置ずれ方向に対応した矢印方向で構成される矢印45を画面72aに表示する。これにより、使用者は、矢印45を視認することで、位置ずれ量及び位置ずれ方向を判断することができると共に、許容サークル47との関係に基づいて、位置ずれ量が許容範囲内であるか否かを判断することができる。
従って、使用者は表示部72に表示された矢印45を参考に脈波測定装置1及び脈波センサ4の位置ずれを速やかに修正することができ、適切な装着位置に脈波測定装置1及び脈波センサ4を位置させた状態で脈波の測定を行うことができる。従って、信頼性の高い測定結果を得ることができる。
さらに、本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ4では、SOI基板90におけるシリコン活性層93、及びSOI基板90におけるシリコン活性層93を利用して、半導体プロセス技術により第1カンチレバー25及び第2カンチレバー35を形成できるので、容易に薄型化(例えば数十~数百nm)し易い。従って、第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧変化が微小であったとしても、内圧変化に第1カンチレバー25及び第2カンチレバー35を反応良く追従させて撓み変形させることができる。従って、脈波の検出を精度良く且つ感度良く行うことができると共に、アタッチメント部13の押し当て状態の検出を精度良く行うことができる。
さらに、弾性体81を介してアタッチメント部13を手首表面S1に対して押し当てるので、手首表面S1の表面形状に対応して弾性体81を弾性変形させることができる。そのため、手首表面S1に対して弾性体81を確実に密着させることができ、第1センサ室11内及び第2センサ室12内を高い密閉状態に維持し易い。従って、脈波を安定して測定することができると共に、アタッチメント部13の押し当て状態の検出を安定して行うことができる。
さらに、弾性体81が手首表面S1の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されているので、大きな押し当て力を必要とせずに、弾性体81を弾性変形させながら、手首表面S1に対して弾性体81を密着させることができる。従って、使用者に対して不快感を与え難い。
さらに、本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ4では、第1センサ室11を間にして、2つの第2センサ室12を径方向に向かい合うように配置しているので、これら2つの第2センサ室12及び第1センサ室11を一列に配置できる。これにより、体動や姿勢変化等の影響によって、第1センサ室11が橈骨動脈Rの直上から位置ずれした場合であっても、脈波測定装置1及び脈波センサ4の位置を直線的に移動させるだけの簡便な方法で、位置ずれを容易に修正することが可能となる。
特に、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして、橈骨動脈Rの走行方向M1に対して直交する直交方向M2に沿って並んでいる。従って、手首Sを周回する方向(手首回り)に脈波測定装置1及び脈波センサ4が位置ずれしたとしても、手首回りに脈波測定装置1及び脈波センサ4を移動させるだけの簡便な方法で、位置ずれを修正することが可能となる。
なお、上記実施形態において、例えば第2センサ室12を具備せずに、その分、第1センサ室11の内容積を増大した場合には、位置ずれに対する許容量を大きくすることができ、測定範囲が広げることができる。従って、位置ずれの影響を受け難い状態で脈波を測定することが可能になる。しかしながら、この場合には、第1センサ室11の内容積が大きくなってしまうので、脈動に起因する手首表面S1の変動に対して内圧変化の感度が低下し易くなってしまう。そのため、第1脈波信号V1の出力が減少してしまい、測定精度が低下する傾向となる。
これに対して、本実施形態の場合には、第2センサ室12を具備することで、第1センサ室11の内容積を大きくする必要がないので、脈動に起因する手首表面S1の変動に対して感度良く内圧変化させることができる。従って、第1脈波信号V1の出力を減少させることがなく、脈波を精度良く測定することができる。
(第1実施形態の変形例)
上述した第1実施形態では、2つの第2センサ室12を形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、1つでも構わないし、3つ以上形成しても構わない。
ただし、第2センサ室12を複数具備することで、例えば体動や姿勢変化等の影響によって、第1センサ室11が橈骨動脈Rの直上から位置ずれしたときに、一方向への位置ずれの検出だけでなく、多方向への位置ずれを検出することが可能となる。従って、脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着状態を一定の状態により維持し易く、脈波の安定且つ精度の良い測定に繋がるので、第2センサ室12を複数形成することが好ましい。
さらに、上述した第1実施形態では、アタッチメント部13をアタッチメント本体80と弾性体81とで構成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば硬質材料で形成されたアタッチメント本体80だけでアタッチメント部13を構成しても構わないし、弾性体81だけでアタッチメント部13を構成しても構わない。
ただし、第1実施形態のように、アタッチメント部13をアタッチメント本体80と弾性体81とで構成することが好ましい。この場合には、弾性体81を具備しているので、脈波測定装置1及び脈波センサ4の装着時に、弾性体81がクッションの役目を果たすので装着感を向上させることができると共に、第1センサ室11及び第2センサ室12内をより確実に密閉させ易い。さらに、アタッチメント本体80を具備しているので、弾性体81だけでアタッチメント部13を構成する場合よりも、アタッチメント部13としての耐久性等を向上することができる。
このようなことから、アタッチメント部13をアタッチメント本体80と弾性体81とで構成することが好ましい。
さらに、上記第1実施形態では、アタッチメント本体80を、上下方向の全長に亘って外径が同一の円筒状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、アタッチメント本体80の形状は適宜変更して構わない。例えば、弾性体81側からセンサ基板10側に向けて漸次縮径するようにアタッチメント本体80を形成しても構わない。なお、この場合とは逆に、弾性体81側からセンサ基板10側に向けて漸次拡径するようにアタッチメント本体80を形成しても構わない。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、アタッチメント本体80を、外形が円形状となるように形成すると共に、第1センサ室11を横断面視円形状に形成し、且つ2つの第2センサ室12を横断面視円弧状に形成したが、本実施形態では、第1センサ室11及び第2センサ室12が横断面視長方形状に形成されている。
図17に示すように、本実施形態の脈波測定装置1の脈波センサ130は、外形が長方形状に形成されたアタッチメント本体131を有するアタッチメント部132を有している。具体的には、アタッチメント本体131は、橈骨動脈Rの走行方向M1に沿った長さよりも、直交方向M2に沿った長さの方が僅かに長い平面視長方形状に外形が形成されている。
第1センサ室11は、横断面視で橈骨動脈Rの走行方向M1に沿った長さが直交方向M2に沿った長さよりも長い長方形状に形成されている。そのため、第1センサ室11は、橈骨動脈Rの走行方向M1に向かい合う第1壁面135及び第2壁面136と、直交方向M2に向かい合う第3壁面137及び第4壁面138とによって形成されている。
第1壁面135及び第2壁面136は、走行方向M1に直交する直交方向M2に沿って延びる平坦面とされ、互いに平行に向かい合っている。第3壁面137及び第4壁面138は、走行方向M1に沿って延びる平坦面とされ、互いに平行に向かい合っている。
なお、第1壁面135及び第2壁面136の壁面長さは、橈骨動脈Rの血管幅の2倍程度の長さとされている。ただし、第1壁面135及び第2壁面136の壁面長さは、この場合に限定されるものではなく、例えば3mm~20mmの範囲内であっても構わない。
第2センサ室12は、第1センサ室11を間に挟んで直交方向M2に一列に並ぶように形成されている。第2センサ室12は、第1センサ室11と同様に、横断面視で橈骨動脈Rの走行方向M1に沿った長さが直交方向M2に沿った長さよりも長い長方形状に形成されている。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ130であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、第1センサ室11における第1壁面135及び第2壁面136が、走行方向M1に対して直交する直交方向M2に沿って互いに平行に延びる平坦面とされ、その壁面長さが血管幅の2倍程度とされている。そのため、第1壁面135と第2壁面136との間の走行方向M1に沿った間隔Hは、直交方向M2において血管幅の2倍程度の範囲に亘って同一とされている。
従って、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置するように脈波測定装置1及び脈波センサ130を装着した状態で脈波の測定を行っているときに、脈波測定装置1及び脈波センサ130が直交方向M2に、血管幅の2倍程度の範囲内で僅かに位置ずれした場合であっても、第1センサ室11内に投影される橈骨動脈Rの投影面積を同じ状態に維持することができる。従って、僅かな位置ずれに影響されることなく、より精度良く脈波の測定を行うことができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、2つの第2センサ室12を形成したが、本実施形態では、4つの第2センサ室12を具備している。
図18に示すように、本実施形態の脈波測定装置1の脈波センサ140は、アタッチメント部13に第1センサ室11及び4つの第2センサ室12が形成されている。
4つの第2センサ室12は、周方向に延びる横断面視円形状に形成されていると共に、第1センサ室11の周囲を囲むように周方向に間隔をあけて配置されている。
4つの第2センサ室12のうち、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。これにより、この2つの第2センサ室12及び第1センサ室11は、橈骨動脈Rの走行方向M1に交差する交差方向に一列に並ぶように配置されている。従って、2つの第2センサ室12は、第1センサ室11に対して橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
4つの第2センサ室12のうち、残り2つの第2センサ室12も同様に、第1センサ室11を間にして径方向に向かいように配置されている。これにより、この2つの第2センサ室12及び第1センサ室11は、橈骨動脈Rの走行方向M1に交差する交差方向に一列に並ぶように配置されている。従って、残り2つの第2センサ室12についても、第1センサ室11に対して橈骨動脈Rの走行に方向に交差する交差方向に並んで配置されている。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置1及び脈波センサ140であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、第1センサ室11の周囲を囲むように4つの第2センサ室12を配置しているので、脈波の測定中に、外乱の影響(例えば、外部からの振動(音)の影響や直射日光等の影響等)によって、第1センサ室11の内圧が変化してしまうことを抑制することができる。従って、S/N比が高い脈波の測定を行うことができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、第1圧力センサ20及び第2圧力センサ30を共通のセンサ基板10上に形成したが、本実施形態では、第2圧力センサ30をアタッチメント部13に一体的に形成している。
図19及び図20に示すように、本実施形態の脈波測定装置(本発明に係る電子機器)150は、脈波センサ151を備えている。
脈波センサ151は、2つの第2圧力センサ30をアタッチメント本体80に一体的に組み合わせるように形成している。そのため、センサ基板10には、第1貫通孔60だけが形成され、第1実施形態における第2貫通孔61については形成していない。
また、本実施形態の第2センサ室12は横断面視半円状に形成されている。ただし、第2センサ室12の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
第2圧力センサ30は、SOI基板90の一部、例えばシリコン支持層91及び絶縁層92がアタッチメント本体80に一体的に形成されることで、アタッチメント本体80に一体的に組み合わされている。
これにより、アタッチメント部13の内部空間のうち、第2圧力センサ30よりも下方に位置する空間が第2センサ室12として機能する。また、アタッチメント部13の内部空間のうち、第2圧力センサ30よりも上方に位置する空間は、第1ギャップ100及び第2連通孔120を通じて第2センサ室12内に連通する上部空間152とされている。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置150及び脈波センサ151であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、センサ基板10上に、第2圧力センサ30分のスペースをさらに確保することができるので、確保したスペースを利用して他の構成部品を効率良く配置することが可能である。従って、脈波測定装置150及び脈波センサ151のさらなる小型化に繋げることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、手首表面S1に対してアタッチメント部13を離間させた状態においては、第1センサ室11内及び第2センサ室12内が開放された開放側の脈波センサを例に挙げて説明したが、本実施形態では第1センサ室11内及び第2センサ室12内が常時密閉された密閉側の脈波センサとされている。
図21に示すように、本実施形態の脈波測定装置(本発明に係る電子機器)160は、脈波センサ161を備えている。
脈波センサ161は、弾性体162が第1センサ室11及び第2センサ室12をそれぞれ塞ぐ弾性膜状に形成されている。また、センサ基板10に組み合わされた蓋部材125、126は、弾性体162と協働して第1センサ室11及び第2センサ室12を覆う密閉部材として機能する。これにより、弾性体162と蓋部材125、126とによって囲まれた第1センサ室11内及び第2センサ室12内は、常に密閉された状態とされている。従って、本実施形態では、蓋部材125、126は必須な部材とされている。
さらに、第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧は、外気圧よりも高い圧力に設定され、弾性体162を手首表面S1側に向けて予め膨張するように弾性変形させている。具体的には、第1センサ室11内及び第2センサ室12内には高圧気体が封入され、以下の気圧範囲を維持するように、第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧が調整されている。
・(外気圧)<(第1センサ室11又は第2センサ室12の内圧)≦(外気圧+300mmHg(40KPa))
なお、高圧気体としては、例えば乾燥窒素ガス、アルゴンガス、圧縮空気等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
本実施形態の弾性体162としては、例えば所定の膜厚の樹脂フィルムが挙げられる。この場合、ガス透過性の低い、すなわちガスバリア性の高い樹脂フィルムが好ましい。また、樹脂に限定されるものではなく、例えば金属フィルムであっても構わないし、その他の材質からなる薄膜フィルムであっても構わない。さらには、単層膜の樹脂フィルムとしても構わないし、多層膜の樹脂フィルムとしても構わない。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
上述のように構成された本実施形態の脈波測定装置160及び脈波センサ161の場合であっても、基本的には第1実施形態と同様の方法で脈波の検出を行うことができる。
それに加え、本実施形態の場合には、手首表面S1に対する弾性体162を介したアタッチメント部13の押し当てに関係なく、第1センサ室11内及び第2センサ室12内を常に密閉状態に維持している。しかも、第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧が外気圧よりも高い圧力に設定され、弾性体162が手首表面S1側に向けて凸状に膨らむように予め膨出している。
そのため、手首表面S1に対して弾性体162を適切に密着させ、且つ弾性体162の張りを保ちながら、手首表面S1に対して弾性体162を介してアタッチメント部13を押し当てることができる。従って、橈骨動脈Rの脈動に起因した手首表面S1の変動に対応して弾性体162を弾性変形させることができると共に、さらに弾性体162の弾性変形に対応して第1センサ室11及び第2センサ室12の内圧を変化させることができる。これにより、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
さらに、第1センサ室11内及び第2センサ室12内を常に密閉状態に維持できるので、手首表面S1との間に気密性を保つ必要性がない。しかも、弾性体162によって第1センサ室11内及び第2センサ室12内が閉塞されているので、例えば手首表面S1から分泌される汗や皮脂、或いは塵埃等から第1圧力センサ20及び第2圧力センサ30が影響を受けてしまうことを防止することができる。これらのことから、さらに安定した脈波の測定を行うことができる。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る脈波センサ及び電子機器の第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図22に示すように、本実施形態の脈波測定装置(本発明に係る電子機器)170の脈波センサ171は、手首表面S1に対する(より詳しくは橈骨動脈Rに対する)アタッチメント部13の相対位置を示すノッチ部(本発明に係る指標部)172が形成されたアタッチメント部13を有している。
詳細には、アタッチメント部13の外周面にノッチ部172が形成されている。ノッチ部172は、径方向の内側に向かって平面視半円状に窪んだ切欠部であって、上下に開口するように縦長に形成されている。特に、ノッチ部172は、中心軸線Oを間に挟んで走行方向M1に並ぶように2つ形成されている。
(脈波測定装置及び脈波センサの作用)
このように構成された本実施形態の脈波測定装置170及び脈波センサ171によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができることに加え、さらに以下の作用効果を奏功することができる。
すなわち、ノッチ部172を利用して、橈骨動脈Rに対するアタッチメント部13の相対位置を確認できるので、手首表面S1に対して常に位置合わせしながらアタッチメント部13を押し当てることができる。そのため、脈波測定装置170及び脈波センサ171を毎回同じ装着状態で装着することができ、脈波をより安定して測定することが可能である。
しかも、橈骨動脈Rの直上にノッチ部172が位置するように脈波測定装置170及び脈波センサ171を装着することで、橈骨動脈Rの直上に第1センサ室11が位置するように脈波測定装置170及び脈波センサ171を装着できる。
なお、ノッチ部172は、アタッチメント本体80の外周面に形成しても構わないし、弾性体81の外周面に形成しても構わない。さらには、指標部の一例としてノッチ部172を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば目印或いはマーク等を指標部として、アタッチメント部13の外周面に印刷、貼着等によって明示しても構わない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記各実施形態では、電子機器の一例として、腕時計型の脈波測定装置を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、脈波測定機能を具備する各種の電子機器に適用することが可能である。
また、上記各実施形態では、人体の腕部を走行する橈骨動脈を測定対象血管として、手首に装着する脈波センサを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、腕部を巻回するように固定ベルトを取り付けることで、腕部に装着する脈波センサとしても構わない。この場合、測定対象血管としては、橈骨動脈に限定されるものではなく、例えば尺骨動脈或いは上腕動脈であって構わない。
さらには、人体の脚部の巻回するように固定ベルトを取り付けることで、脚部に装着する脈波センサとしても構わない。この場合、測定対象血管としては、例えば大腿動脈であって構わない。さらには、本発明に係る脈波センサを、例えば家畜等の飼育動物或いは実験動物等に装着することも可能である。
また、上記各実施形態では、圧力センサの一例として、カンチレバーを利用したセンサを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、センサ室の内圧変化に応じて変位するセンサであれば、その他の構造を採用しても構わない。
例えば、センサ室の内圧変化に応じて変位する薄膜のダイヤフラムを有する圧力センサを採用しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。ただし、カンチレバーを利用する場合には、センサ室の微小な内圧変化であってもカンチレバーを反応良く追従させながら変形させることができるので、脈波をより精度良く、且つ感度良く検出でき、好ましい。
また、上記各実施形態では、ホイートストンブリッジ回路を利用して、変位検出抵抗の抵抗値変化を検出したが、この場合に限定されるものではない。変位検出抵抗の抵抗値変化を検出できれば、検出回路をどのように構成しても構わない。
さらに、上記各実施形態では、手首表面に対するアタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を、表示部に表示させることで使用者に報知させた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば音声や振動等によって報知するように構成しても構わない。
さらに、上記各実施形態において、第2センサ室の内圧変化に対応した第2脈波信号に基づいて、脈波センサの位置ずれを検出した際、単に位置ずれを検出するだけでなく、第1脈波信号及び第2脈波信号に基づいて脈波を検出しても構わない。つまり、第2脈波信号を位置ずれ検出だけに利用するのではなく、脈波の検出に利用しても構わない。
さらに、上記各実施形態では、複数の第2センサ室に対応して第2圧力センサをそれぞれ設けた構成としたが、この場合に限定されるものではなく、例えば複数の第2圧力センサを連通させることで、1つの第2圧力センサを具備する構成としても構わない。
R…橈骨動脈(測定対象血管)
S…手首(生体)
S1…手首表面(生体表面)
M1…走行方向(延在方向)
M2…直交方向
1、150、160、170…脈波測定装置(電子機器)
4、130、140、151、161、171…脈波センサ
11…第1センサ室
12…第2センサ室
13、132…アタッチメント部
20…第1圧力センサ
21…第1脈波検出部
25…第1カンチレバー
30…第2圧力センサ
31…第2脈波検出部
35…第2カンチレバー
40…処理部
42…位置ずれ算出部(算出部)
72…表示部(報知部)
80、131…アタッチメント本体
81、162…弾性体
105…第1変位検出抵抗
111…第1検出回路
121…第2変位検出抵抗
122…第2検出回路
172…ノッチ部(指標部)

Claims (16)

  1. 測定対象血管の脈動に対応して内圧が変化する第1センサ室及び第2センサ室を有し、生体表面に押し当てられるアタッチメント部と、
    前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、
    前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、
    前記第1脈波信号に基づいて脈波を検出すると共に、前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する処理部と、を備えていることを特徴とする脈波センサ。
  2. 請求項1に記載の脈波センサにおいて、
    前記第2センサ室は、前記第1センサ室に対して、前記測定対象血管が延在する延在方向に交差する交差方向に並んで配置されている、脈波センサ。
  3. 請求項2に記載の脈波センサにおいて、
    前記第2センサ室は複数形成されている、脈波センサ。
  4. 請求項3に記載の脈波センサにおいて、
    少なくとも2つの前記第2センサ室は、前記第1センサ室を間にして向かい合うように配置されている、脈波センサ。
  5. 請求項4に記載の脈波センサにおいて、
    前記2つの第2センサ室は、前記延在方向に対して直交する方向に沿って並んでいる、脈波センサ。
  6. 請求項3から5のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    複数の前記第2センサ室は、前記第1センサ室の周囲を囲むように、前記アタッチメント部の周方向に間隔をあけて配置されている、脈波センサ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記処理部は、
    前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する算出部と、
    算出した前記位置ずれ方向及び前記位置ずれ量を外部に報知する報知部と、を備えている、脈波センサ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記アタッチメント部は、
    アタッチメント本体と、
    前記アタッチメント本体よりも前記生体表面側に配置されると共に、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に弾性変形可能な弾性体と、を備えている、脈波センサ。
  9. 請求項8に記載の脈波センサにおいて、
    前記弾性体は、前記生体表面の弾性よりも低い弾性の弾性材料で形成されている、脈波センサ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記アタッチメント部には、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の相対位置を示す指標部が形成されている、脈波センサ。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記第1圧力センサは、前記第1センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第1カンチレバーを備え、
    前記第1脈波検出部は、前記第1カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第1変位検出抵抗を含む第1検出回路を有し、前記第1変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第1検出回路からの出力信号を、前記第1脈波信号として出力する、脈波センサ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記第2圧力センサは、前記第2センサ室内の内圧変化に応じて撓み変形する第2カンチレバーを備え、
    前記第2脈波検出部は、前記第2カンチレバーの撓み変形に応じて抵抗値が変化する第2変位検出抵抗を含む第2検出回路を有し、前記第2変位検出抵抗の抵抗値変化に対応した前記第2検出回路からの出力信号を、前記第2脈波信号として出力する、脈波センサ。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の脈波センサにおいて、
    前記第1センサ室及び前記第2センサ室は、血管幅が2mm~4mmの範囲内の動脈に起因する前記生体表面の変動に対応して内圧が変化する、脈波センサ。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の脈波センサを備えることを特徴とする電子機器。
  15. 生体表面に押し当て可能とされ、第1センサ室及び第2センサ室を有するアタッチメント部と、前記第1センサ室の内圧変化に応じて変位する第1圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第1脈波信号を出力する第1脈波検出部と、前記第2センサ室の内圧変化に応じて変位する第2圧力センサを有し、該内圧変化に応じた第2脈波信号を出力する第2脈波検出部と、を備え、前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て時に、測定対象血管の脈動に対応して前記第1センサ室及び前記第2センサ室の内圧が変化する脈波センサを利用して、前記測定対象血管の脈波を測定する脈波測定方法であって、
    前記第1脈波信号に基づいて脈波を測定する脈波測定工程と、
    前記第2脈波信号に基づいて前記生体表面に対する前記アタッチメント部の押し当て状態を検出する状態検出工程と、を備えていることを特徴とする脈波測定方法。
  16. 請求項15に記載の脈波測定方法において、
    前記状態検出工程の際、前記第1センサ室と前記第2センサ室との相対位置関係、及び前記第2脈波信号に基づいて、前記測定対象血管の直上に前記第1センサ室が位置する基準位置に対する、前記アタッチメント部の位置ずれ方向及び位置ずれ量を算出する、脈波測定方法。
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