本開示の実装システムの実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は実装システム10の構成の概略を示す構成図であり、図2は実装システム10の制御に関する構成図である。図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
実装システム10は、図1に示すように、実装機20を含む複数の装置を有する実装ライン11を備えている。実装ライン11は、フィーダ30から供給された部品を基板に実装する複数(本実施形態では5台)の実装機20と、複数のフィーダ30を保管可能なフィーダ保管庫60と、作業者などが所持する携帯端末70と、実装システム10全体を管理する管理装置80と、を備える。実装ライン11では、管理装置80,フィーダ保管庫60及び複数の実装機20が、この順番で所定の配列方向(ここではX方向すなわち左右方向)に並べられている。配列方向は、実装ライン11における基板の搬送方向(X方向)と平行である。X方向(左右方向)のうち、左側が搬送方向上流側であり、右側が搬送方向下流側である。フィーダ保管庫60及び実装機20に対するフィーダ30の供給や回収を、フィーダ30の搬入出ともいう。
また、実装システム10は、複数の実装機20及びフィーダ保管庫60の各々との間でフィーダ30の自動搬出入を行う移動ロボット50とを備える。移動ロボット50は、供給装置の一例であり、複数の実装機20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板の搬送方向(X方向)に対して平行に設けられたX軸レール18に沿って移動可能となっている。
実装機20は、図2に示すように、基板搬送装置21と、ヘッド22と、ヘッド移動機構23と、複数のコネクタ24と、ロボット検出センサ25と、表示操作部26と、発光部42と、実装制御部28と、記憶部29と、を備える。基板搬送装置21は、基板をX方向に搬送する。ヘッド22は、フィーダ30が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有する。ヘッド移動機構23は、例えばスライダとモータとを備えており、ヘッド22をXY方向に移動させる。複数のコネクタ24は、各々にフィーダ30が装着可能になっており、装着されたフィーダ30のフィーダ制御部と実装制御部28とを通信可能に接続する。実装機20は、図1に示すように、前方に供給エリア20Aを有する。供給エリア20Aは、複数のコネクタ24に対応して、フィーダ30を取り付け可能なスロットを複数有している。この供給エリア20Aの各スロットに搬入されたフィーダ30は、対応するコネクタ24に装着される。ロボット検出センサ25は、移動ロボット50を検出するセンサである。ロボット検出センサ25は、実装機20の前方が検知範囲であり、実装機20の前方に移動ロボット50が存在するか否かを検出する。ロボット検出センサ25は、例えばX軸レール18に配設された接触式のセンサとしてもよいし、赤外線センサなどの非接触センサとしてもよい。表示操作部26は、例えばタッチパネル及び操作ボタンなどを備えており、作業者への各種情報の表示や作業者からの各種操作の入力を行う。表示操作部26は、実装機20の前方から視認できるように配置されている。発光部42は、赤緑青の3色のLEDをそれぞれ複数備えた光源ユニットであり、種々の色に発光可能である。発光部42は、実装機20の前面に配設されている。実装制御部28は、CPUやROM、RAMなどを備えており、実装機20全体を制御する。記憶部29は、HDDなどの不揮発性メモリであり、各種情報が記憶されている。実装制御部28は、基板搬送装置21,ヘッド22,及びヘッド移動機構23に駆動信号を出力したり、表示操作部26に表示信号を出力したり、発光部42に発光信号を出力したりする。実装制御部28は、コネクタ24を介してフィーダ30の各種情報を入力したり、ロボット検出センサ25からの検知信号を入力したり、表示操作部26からの操作信号を入力したりする。実装制御部28は、記憶部29との間で情報の入出力を行う。
フィーダ30は、複数の部品を所定ピッチで収容したテープを備えたテープフィーダとして構成されている。フィーダ30は、詳細な図示は省略するが、テープが巻回されたリールと、リールからテープを引き出して送り出すテープ送り機構と、フィーダ全体の制御を行うフィーダ制御部と、記憶部とを備える。フィーダ30では、フィーダ制御部がテープ送り機構33に駆動信号を出力することでテープが送り出され、テープに収容された部品がヘッド22の吸着ノズルに吸着可能な状態になる。記憶部には、フィーダ30のID情報、収容されている部品種、及び部品数などのフィーダ情報が記憶されている。フィーダ30がコネクタ24又はコネクタ64に装着されると、フィーダ制御部はこのコネクタ24,64を介して装着先の制御部(実装制御部28又は管理制御部88)と通信可能となる。
移動ロボット50は、実装機20で用いられるフィーダ30を搬送する装置である。移動ロボット50は、ロボット移動機構51と、フィーダ移載機構52と、エンコーダ53と、周囲監視センサ55と、表示操作部56と、ロボット制御部58と、記憶部59とを備える。また、移動ロボット50の筐体内部にはフィーダ30を複数収容可能なロボット移載エリア50Aが設けられている。ロボット移載エリア50Aは、フィーダ30を収容可能なスロットを複数有している。ロボット移動機構51は、例えば駆動用ベルト及びこれを駆動するサーボモータなどを備えており、図1に示したX軸レール18に沿って移動ロボット50をX方向に移動させる。フィーダ移載機構52は、フィーダ30を前後に移動させる機構であり、例えばフィーダ30をクランプするクランプ部とクランプ部をY方向に移動させるY軸モータ及びY軸スライダなどを備えている。フィーダ移載機構52は、ロボット移載エリア50Aに収容されたフィーダ30を前方に搬送して、実装機20の供給エリア20A又はフィーダ保管庫60の保管エリア60Aに搬入する。また、フィーダ移載機構52は、実装機20の供給エリア20A又はフィーダ保管庫60の保管エリア60Aに装着されたフィーダ30を後方に搬出して、ロボット移載エリア50Aに収容する。エンコーダ53は、ロボット移動機構51によるX方向の移動位置を検出する。周囲監視センサ55は、周囲の障害物(作業者を含む)の有無を監視するセンサであり、図1に示す監視領域S内が検知範囲(監視範囲)である。周囲監視センサ55は、監視領域Sのうち左側(図1に示す左側監視領域Sa内)を監視する左側監視センサ55aと、監視領域Sのうち右側(図1に示す右側監視領域Sb内)を監視する右側監視センサ55bと、を備えている。左側監視センサ55a,右側監視センサ55bは例えば赤外線センサである。図1に示すように、監視領域Sの範囲は、移動ロボット50が実装機20の前方に位置するときに、その実装機20の左右1台分の実装機20の前方の領域を含み、さらにその左右の実装機20の前方の領域は含まない程度の大きさに設定されている。表示操作部56は、例えばタッチパネル及び操作ボタンなどを備えており、作業者への各種情報の表示や作業者からの各種操作の入力を行う。表示操作部56は、移動ロボット50の前方から視認できるように前側に配置されている。ロボット制御部58は、CPUやROM、RAMなどを備えており、移動ロボット50全体を制御する。記憶部59は、HDDなどの不揮発性メモリであり、各種情報が記憶されている。ロボット制御部58は、ロボット移動機構51及びフィーダ移載機構52に駆動信号を出力したり、表示操作部56に表示信号を出力したりする。ロボット制御部58は、エンコーダ53からの検知信号を入力して移動ロボット50のX方向の現在位置を検出したり、周囲監視センサ55からの検知信号を入力したり、表示操作部26からの操作信号を入力したりする。ロボット制御部58は、記憶部59との間で情報の入出力を行う。
フィーダ保管庫60は、図1に示すように、筐体の前側に保管エリア60Aを有する。保管エリア60Aは、フィーダ30を取り付け可能なスロットを複数有している。保管エリア60Aは、実装機20の供給エリア20Aと同じ高さ(Z方向位置)に設けられる。このため、移動ロボット50は、実装機20の供給エリア20Aにフィーダ30を着脱するのと同じ動作で、フィーダ保管庫60の保管エリア60Aにフィーダ30を着脱することができる。保管エリア60Aには、コネクタ24と同様のコネクタ64が複数のスロットの各々に対応して配設されている。保管エリア60Aに搬入されたフィーダ30は、コネクタ64(図2参照)に装着される。保管エリア60Aには、これから実装機20で使用される予定のフィーダ30と、実装機20で使用された後のフィーダ30との両方が収容される。また、フィーダ保管庫60は、図2に示すように、ロボット検出センサ25及び発光部42と同様のロボット検出センサ65及び発光部46を備えている。ロボット検出センサ65は、フィーダ保管庫60の前方が検知範囲であり、フィーダ保管庫60の前方に移動ロボット50が存在するか否かを検出する。発光部42は、フィーダ保管庫60の筐体の前面に配設されている。保管エリア60Aへのフィーダ30の供給、及び保管エリア60Aからの使用済のフィーダ30の回収は、本実施形態では作業者が行う。ただし、作業者の代わりに例えば図示しないAGV(無人搬送車)がフィーダ30の供給、回収及び搬送を行ってもよい。
携帯端末70は、表示操作部76と、端末制御部78と、記憶部79と、を備えている。表示操作部76は、例えばタッチパネル及び操作ボタンなどを備えており、作業者への各種情報の表示や作業者からの各種操作の入力を行う。端末制御部78は、CPUやROM、RAMなどを備えており、携帯端末70全体を制御する。端末制御部78は、表示操作部76及び記憶部79との間で各種情報や信号をやりとりする。記憶部79は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、各種情報が記憶されている。
管理装置80は、図1に示すように、キーボードやマウスなどの入力デバイス84と、LCDなどのディスプレイ86と、発光部48とを備える。発光部48は、発光部42及び発光部46と同様の光源ユニットであり、管理装置80の筐体の前面に配設されている。発光部42,発光部46及び発光部48を、発光部40と総称する。また、管理装置80は、図2に示すように、管理制御部88と、記憶部89とを備えている。管理制御部88は、CPUやROM、RAMなどを備えており、管理装置80全体を制御すると共に実装システム10全体も制御する。記憶部89は、HDDなどの不揮発性メモリであり、各種情報が記憶されている。管理制御部88は、入力デバイス84を介して作業者の指示を入力したり、ディスプレイ86に表示信号を出力したり、発光部48に発光信号を出力したりする。管理制御部88は、コネクタ64を介して保管エリア60Aに取り付けられたフィーダ30の各種情報を有線により入力したり、ロボット検出センサ65からの検知信号を入力したり、発光部46に発光信号を出力したりする。管理制御部88は、記憶部89との間で情報の入出力を行う。また、管理制御部88は、実装制御部28と有線により通信可能に接続されると共に、ロボット制御部58及び携帯端末70と無線により通信可能に接続されており、これらに各種制御信号を出力する。管理制御部88は、実装制御部28から実装機20の実装状況に関する情報を受信したり、ロボット制御部58から移動ロボット50の駆動状況に関する情報を受信したり、携帯端末70から各種情報を受信したりする。
記憶部89には、図2に示すように、装置位置情報89aと、生産プログラム89bと、フィーダ保有情報89cと、作業情報89dと、監視領域情報89eとが記憶されている。装置位置情報89aは、実装ライン11を構成する各装置(ここでは実装機20,フィーダ保管庫60及び管理装置80)の位置を特定可能な情報である。装置位置情報89aは、例えば各装置の識別情報と位置情報とを対応付けた情報である。位置情報は、例えばX方向の上流側から下流側に向かって付された番号であってもよいし、X座標であってもよい。本実施形態では、実装ライン11を構成する各装置にはそれぞれ発光部40が1つ配設されており、管理制御部88はこの装置位置情報89aに基づいて複数の発光部40の各々の位置(ここではX方向の位置)を特定することもできる。すなわち、装置位置情報89aは複数の発光部40の各々の位置を特定可能な情報を兼ねている。生産プログラム89bは、どの基板にどの実装機20でどの部品を実装するか、また、そのように実装した基板を何枚作製するかなどを定めたプログラムである。
フィーダ保有情報89cは、供給エリア20A,ロボット移載エリア50A,及び保管エリア60Aの各エリアにセットされているフィーダ30に関する情報である。フィーダ保有情報89cは、例えば、各エリアの各々を識別するエリア識別情報と、エリア内のフィーダ30の位置を表すスロット番号と、フィーダ30のフィーダ情報(ID情報、収容されている部品種、及び部品数などの情報)とを対応付けた情報である。このフィーダ保有情報89cにより、管理制御部88は各エリアのどの位置(スロット)にどのようなフィーダ30が装着されているかや、各エリアのどのスロットが空き(フィーダ30が装着されていない状態)であるかなどを特定することができる。フィーダ保有情報89cは、各エリアのフィーダ30の着脱に応じて最新の状態に更新される。例えば、コネクタ24,コネクタ64のいずれかにフィーダ30が装着されると、装着された装着先の制御部(実装制御部28又は管理制御部88)はフィーダ30からフィーダ情報を取得し、管理制御部88が供給エリア20A及び保管エリア60Aに関するフィーダ保有情報89cを更新する。また、管理制御部88は、移動ロボット50が次に搬出入を行うエリアやフィーダ30を把握しているため、その情報に基づいてロボット移載エリア50Aに関するフィーダ保有情報89cを更新する。例えば、管理制御部88は、コネクタ24,コネクタ64のいずれかからフィーダ30が脱離した場合に、そのフィーダ30が移動ロボット50が搬出する対象である場合には、移動ロボット50に収容されたとみなしてロボット移載エリア50Aに関するフィーダ保有情報89cを更新する。移動ロボット50がコネクタ24と同様のコネクタを備えており、管理制御部88は移動ロボット50からもフィーダ30の着脱に関する情報及びフィーダ情報を入力してフィーダ保有情報89cを更新してもよい。フィーダ情報のうち部品数の情報は、そのフィーダ30の部品数が「Full」(未使用)であるか「Empty」(既に実装機20で使用済み)であるかを特定可能な情報としてもよいし、部品の残数を表す値としてもよい。後者の場合は、管理制御部88が各フィーダ30の部品の残数を実装制御部28から所定周期毎に取得して、フィーダ保有情報89cを更新する。
作業情報89dは、移動ロボット50が実装機20及びフィーダ保管庫60のうちいずれに移動してどのような順序でフィーダ30の搬出入を行うかなど、移動ロボット50が行う作業に関する情報である。図3は、記憶部89に記憶された作業情報89dの一例を示す説明図である。図3に示すように、作業情報89dは、作業を行う作業順序と、作業を行う作業対象装置の位置情報(対象位置情報と称する)と、作業内容情報と、作業予定時刻と、作業が完了したか否かを表す完了情報とが対応付けられている。対象位置情報は、例えば装置位置情報89aに含まれる装置の位置情報と同じ情報としてもよい。本実施形態では、図3の対象位置情報のうち、「00」はフィーダ保管庫60の位置を表し、「01」~「05」は複数の実装機20のうち左から何番目の位置であるかを表す。対象位置情報は装置の識別情報とし、対象位置情報と作業対象装置の位置情報とが装置位置情報89aを介して対応付けられていてもよい。作業内容情報には、例えばフィーダ30の供給(搬入)と回収(搬出)とのいずれを行うかを表す作業種別と、作業対象のスロット番号の情報とが含まれる。作業対象のスロット番号とは、移動ロボット50のロボット移載エリア50Aのスロット番号と、作業対象装置の供給エリア20A又は保管エリア60Aのスロット番号である。作業種別が「供給」の場合には、移動ロボット50のスロット番号の位置にあるフィーダ30が作業対象装置のスロット番号の位置に供給される。作業種別が「回収」の場合には、作業対象装置のスロット番号の位置にあるフィーダ30が移動ロボット50のスロット番号の位置に回収される。本実施形態では、1つの作業順序に対応する1つの「作業」には、移動ロボット50の移動と、移動ロボット50によるフィーダ30の供給又は回収と、が含まれる。例えば、作業順序「004」に対応する作業は、左から3番目の実装機20(対象位置情報「03」)への移動すなわちフィーダ30の搬送と、その実装機20へのフィーダ30の供給とを含んでいる。ただし、直前の作業と作業対象装置が変わらない場合(例えば作業順序「002」及び「003」の作業)には、結果的に移動ロボット50が移動しない場合もある。作業予定時刻は、対応する作業内容情報で特定される作業を完了すべき時刻である。この作業予定時刻は、フィーダ30の部品の不足による実装ライン11の停止が発生する前に必要な部品を収容したフィーダ30が移動ロボット50から各実装機20に供給されるように、例えば生産プログラム89bなどに基づいて予め作業者によって定められている。作業情報89dに含まれる複数の作業は、基本的には作業順序に沿って実行される。そのため、ある作業順序に対応する作業予定時刻は、その後の作業順序に対応するいずれの作業についても実装ライン11を停止させずに完了できるような時刻として定められている。換言すると、ある作業順序に対応する作業が実装機20へのフィーダ30の供給であるか否かに関わらず、その作業が作業予定時刻までに完了しない場合には、その後にいずれかの実装機20へのフィーダ30の供給が間に合わずに、実装ライン11の停止が発生することになる。作業予定時刻は、本実施形態では、実装ライン11の動作開始時刻を基準とした時刻、すなわち動作開始時刻からの経過時間とした。完了情報は、図3では、「完了」が対応する作業が完了していることを表し、「-」が対応する作業が未完了であることを表す。管理制御部88は、例えば移動ロボット50の動作停止などによりフィーダ30の実装機20への供給が遅延した際には、生産プログラム89bとフィーダ保有情報89cとに基づいて部品の不足による実装ライン11の停止時間をなるべく短くするように作業情報89dを変更してもよい。
監視領域情報89eは、移動ロボット50の周囲監視センサ55の監視領域Sを特定可能な情報である。フィーダ保有情報89cには、例えば移動ロボット50の位置を基準とした周囲監視センサ55の相対位置を表す情報が含まれている。本実施形態では、監視領域情報89eには、移動ロボット50の位置を基準として左右1台分の装置が監視領域Sに含まれる旨の情報が含まれている。監視領域情報89eは、移動ロボット50を原点とした相対的なXY座標で監視領域Sを表した情報が含まれていてもよい。
次に、こうして構成された実装システム10の動作、特に、管理制御部88が行う移動ロボット50の制御と、移動ロボット50によって実装機20にフィーダ30が供給されない場合の作業者への警告の報知と、について説明する。図4は、作業制御処理の一例を示すフローチャートである。例えば、管理制御部88は、入力デバイス84を介して作業者から実装ライン11の動作開始指示を入力すると、実装ライン11の複数の実装機20に基板への部品の実装を開始させると共に、この作業制御処理を開始する。作業制御処理を開始すると、管理制御部88は、まず、作業情報89dに基づいて、移動ロボット50が次に行う作業を決定する(ステップS100)。管理制御部88は、例えば作業情報89dに記憶された未完了の作業のうち作業順序の最も早い作業を特定して、その作業を移動ロボット50が次に行う作業に決定する。
続いて、管理制御部88は、決定した作業の作業予想時刻を導出する(ステップS110)。作業予想時刻は、例えば現時点から作業を完了するまでに必要な移動ロボット50の移動時間とフィーダ30の搬出入時間とに基づいて導出する。管理制御部88は、例えば、移動ロボット50の現在位置と、ステップS100で決定された作業の対象位置情報とに基づいて、移動ロボット50の移動時間を導出する。移動ロボット50の現在位置は、例えば管理制御部88が実装制御部28及びロボット検出センサ65から入力したロボット検出センサ25,65の検知信号に基づいて導出する。管理制御部88は、ロボット制御部58からエンコーダ53に基づく移動ロボット50の現在位置を取得してもよい。フィーダ30の搬出入時間に関して、本実施形態では例えば1つのフィーダ30の供給に要する時間や1つのフィーダ30の回収に要する時間など作業種別毎に必要な時間が予め記憶部89に記憶されている。そして、管理制御部88はステップS100で決定された作業の作業種別と、記憶部89に記憶された作業種別毎の時間とに基づいて、フィーダ30の搬出入時間を取得する。管理制御部88は、フィーダ30の搬出入時間を、例えば作業内容情報に含まれるスロット番号も加味して導出してもよい。
作業予想時刻を導出すると、管理制御部88は、ステップS100で決定された作業の作業予定時刻を記憶部89から取得し、作業予定時刻と作業予想時刻との差を余裕時間として導出する(ステップS120)。そして、管理制御部88は、移動ロボット50に作業指令を送信してステップS100で決定された作業を開始させる(ステップS130)。作業指令には、例えばステップS100で決定された作業の対象位置情報及び作業内容情報が含まれる。
作業指令を受信した移動ロボット50のロボット制御部58は、受信した作業指令に基づいて作業を実行する。このとき、ロボット制御部58は、周囲監視センサ55からの検知信号に基づいて監視領域Sに障害物が検出されると、移動ロボット50の動作(ここでは移動及びフィーダ30の搬出入)を停止して、管理制御部88に動作停止信号を送信する。その後に監視領域Sに障害物が検出されなくなると、ロボット制御部58は、動作停止を解除して作業を続行すると共に、管理制御部88に動作停止解除信号を送信する。また、ロボット制御部58は、作業が完了すると、管理制御部88に作業完了信号を送信する。
ステップS130で作業指令を送信すると、管理制御部88は、上述した動作停止信号を受信したか否かに基づいて移動ロボット50が動作停止したか否かを判定する(ステップS140)。移動ロボット50が動作停止していなければ、管理制御部88は、上述した作業完了信号を受信したか否かに基づいて移動ロボット50が作業を完了したか否かを判定する(ステップS150)。作業が完了していなければ、管理制御部88は、ステップS140以降の処理を実行する。すなわち、管理制御部88は、移動ロボット50の動作停止と作業完了とのいずれかが生じるのを待つ。ステップS150で作業が完了したと判定すると、管理制御部88は、作業情報89dにおけるステップS100で決定された作業の完了情報を、未完了を表す情報から完了を表す情報に更新する(ステップS160)。続いて、管理制御部88は作業情報89dに含まれる全ての作業が完了したか否かを判定して(ステップS170)、完了していない作業がある場合にはステップS100以降の処理を実行する。一方、全ての作業が完了した場合には、管理制御部88は本ルーチンを終了する。
このように、移動ロボット50の動作停止が生じない場合には、管理制御部88はステップS100~S170を繰り返し行って、作業情報89dに含まれる作業を移動ロボット50に順番に実行させていく。これにより、移動ロボット50は、フィーダ保管庫60に保管されている未使用のフィーダ30を回収する作業、未使用のフィーダ30を実装機20まで搬送して実装機20に供給する作業、使用済みのフィーダ30を実装機20から回収する作業、及び使用済みのフィーダ30をフィーダ保管庫60まで搬送してフィーダ保管庫60に供給する作業などの作業を、作業情報89dの作業順序に従って行っていく。管理制御部88は、例えばコネクタ24又はコネクタ64を介して新たに供給又は回収されたフィーダ30の情報を取得すると、取得した情報に基づいてフィーダ保有情報89cを更新する。
一方、ステップS140で移動ロボット50が動作停止したと判定すると、管理制御部88は、移動ロボット50の停止時間の計時を開始し(ステップS180)、ステップS120で導出した余裕時間と計時した停止時間との差を残り余裕時間Trとして導出する(ステップS190)。この残り余裕時間Trは、ステップS100で決定された作業が作業予定時刻に行われるための残り時間である。例えば導出された残り余裕時間が15分である場合、今から15分以内に移動ロボット50の動作停止が解除されれば、ステップS100で決定された作業が作業予定時刻又は作業停止時刻より前に完了できる、すなわち作業予定時刻に間に合うことになる。また、この残り余裕時間Trは、計時された移動ロボット50の停止時間が長いほど、すなわち、移動ロボット50の停止の継続時間が長いほど、短い値になる。
続いて、管理制御部88は、導出した残り余裕時間Trと所定の第1~第3閾値T1~T3との大小関係を判定する判定処理を行う(ステップS200)。第1閾値Trは、作業者に警告を報知する必要がない程度に残り余裕時間Trが十分長いとみなせる値の最小値であり、本実施形態では10分とした。第2閾値T2は、作業者に警告を報知する必要はあるが残り余裕時間Trはある程度長いとみなせる値の最小値であり、本実施形態では5分とした。第3閾値T3は、ステップS100で決定された作業が作業予定時刻に間に合うための残り余裕時間Trの最小値であり、本実施形態では値0とした。管理制御部88は、ステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1以上であると判定した場合には、作業者に警告の報知を行わずそのまま後述するステップS240の処理を行う。管理制御部88は、ステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1未満且つ第2閾値T2以上であると判定した場合には第1態様で作業者に警告を報知し(ステップS210)、残り余裕時間Trが第2閾値T2未満且つ第3閾値T3以上であると判定した場合には第2態様で作業者への警告を報知し(ステップS220)、残り余裕時間Trが第3閾値T3未満であると判定した場合には第3態様で作業者への警告を報知する(ステップS230)。詳細は後述するが、第1~第3態様は、この順で作業者への警告が強くなる傾向に警告の態様が設定されている。管理制御部88は、ステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1以上であると判定したあと、又はステップS210~S230のいずれかを行ったあと、上述した動作停止解除信号を受信したか否かに基づいて、移動ロボット50の動作停止が解除されたか否かを判定する(ステップS240)。そして、管理制御部88は、ステップS240で移動ロボット50の動作停止が解除されていないと判定した場合にはステップS190以降の処理を行う。一方、管理制御部88は、ステップS240で移動ロボット50の動作停止が解除された場合には、ステップS150以降の処理を行う。
このように、管理制御部88は、移動ロボット50の動作停止が発生すると、ステップS240で移動ロボット50の動作停止が解除されたと判定するまでの間は、ステップS190~S240を繰り返す。すなわち、管理制御部88は、計時した停止時間に基づいて残り余裕時間Trを導出する処理と、残り余裕時間Trの長さに応じて警告を報知しないか又は第1~第3態様での警告を行う処理と、を交互に繰り返す。ここで、管理制御部88は、ステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1以上の場合には、移動ロボット50が動作停止していても警告を報知しない。すなわち、管理制御部88は、残り余裕時間Trが第1閾値T1以上の場合には、残り余裕時間Trが十分長いため実装機20にフィーダ30が供給されない状態が生じない(すなわち実装ライン11の停止が発生しない)と判定して、警告は不要であると判定している。これに対し、管理制御部88は、ステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1未満になった場合には、移動ロボット50の動作停止により実装機20にフィーダ30が供給されないと判定して、第1~第3態様のいずれかで警告を行う。具体的には、管理制御部88は、残り余裕時間Trが第1閾値T1未満になるとまず第1態様での警告を報知する。そして、移動ロボット50の動作停止の継続時間が長くなり残り余裕時間Trが短くなっていくにつれて、第1態様よりも強い警告である第2態様で警告を報知し、さらに強い警告である第3態様で警告を報知する。
本実施形態では、第1態様は、移動ロボット50の現在位置及び監視領域Sに対応する装置の発光部40が黄色で発光し、さらに移動ロボット50の現在位置及び監視領域Sに対応する装置の表示操作部26が残り余裕時間Trを含む警告画面を表示する態様とした。管理制御部88は、ステップS210において、ステップS110を実行する場合と同様にして移動ロボット50の現在位置を導出し、導出した現在位置と装置位置情報89aとに基づいて実装ライン11の各装置のうち移動ロボット50と対向しているすなわち移動ロボット50の後方に位置する装置を特定する。また、管理制御部88は、導出した現在位置と監視領域情報89eと装置位置情報89aとに基づいて、実装ライン11の各装置のうち移動ロボット50の監視領域Sと対向しているすなわち監視領域Sの後方に位置する装置を特定する。そして、管理制御部88は、特定した装置の発光部40及び表示操作部26を制御して第1態様で警告を報知させる。例えば、図1の状態で移動ロボット50が動作停止している場合には、管理制御部88は左から2番目の実装機20を移動ロボット50の現在位置に対応する装置として特定する。また、管理制御部88は、左から2番目の実装機20及びその左右1台分の装置を、監視領域Sに対応する装置として特定する。なお、特定された装置がフィーダ保管庫60又は管理装置80であった場合には、これらの装置には表示操作部26のような表示部がないため、管理制御部88は発光部40(発光部46又は発光部48)のみを制御する。管理制御部88が表示操作部26に表示させる残り余裕時間Trは、例えば直前のステップS190で導出した値である。管理制御部88が表示操作部26に表示させる警告画面には、残り余裕時間Trだけでなく、表示された残り余裕時間Trが値0になる前に障害物を除去しなければ実装ライン11が停止する旨の文章なども含まれていてもよい。
本実施形態では、第2態様は、発光部40が赤色で発光する点以外は、第1態様と同じとした。そのため、ステップS220では、管理制御部88は、発光部40の発光色の制御以外はステップS210と同様にして発光部40及び表示操作部26を制御する。
本実施形態では、第3態様は、表示操作部26が残り余裕時間Trの代わりに作業予定時刻からの遅れ時間を含む警告画面を表示する点、及び携帯端末70の表示操作部76も表示操作部26と同様の警告画面を表示する点以外は、第2態様と同じとした。ステップS230では、管理制御部88は、発光部40をステップS210と同様に制御し、遅れ時間を表示させる点以外は表示操作部26をステップS210と同様に制御する。また、管理制御部88は、携帯端末70に対して表示操作部26と同様の警告画面を表示するよう制御信号を送信する。携帯端末70の端末制御部78は、受信した制御信号に基づいて遅れ時間を含む警告画面を表示操作部76に表示する。遅れ時間は、値が負である場合(余裕時間よりも停止時間が長い場合)の残り余裕時間Trの別称である。また、表示操作部26及び表示操作部76に表示される遅れ時間は本実施形態では絶対値としたが、負の値のままでもよい。例えば遅れ時間の絶対値が30秒である状態とは、移動ロボット50の動作停止が今解除されたとしても、ステップS100で決定された作業が完了するのは作業予定時刻の30秒後になる、という状態である。遅れ時間の絶対値は、移動ロボット50の停止の継続時間が長いほど、長い値になる。管理制御部88は、残り余裕時間Trが値0になったときからの経過時間を計時して、計時された値を遅れ時間としてもよい。
この第1~第3態様のいずれかの警告を確認した作業者は、自身又は他の物体が移動ロボット50の動作を阻害する障害物になっていないかどうかを確認し、自身の移動又は他の物体の除去を行うなどの障害物を除去する対応を行う。また、本実施形態では、発光部40及び表示操作部26のうち移動ロボット50の現在位置及び監視領域Sに対応する位置にあるものだけが警告を報知する。そのため、作業者は、発光部40及び表示操作部26のうちいずれが警告を報知しているかによって、障害物の有無を確認すべき領域を把握できる。また、本実施形態では、第3態様では携帯端末70の表示操作部76も警告を報知する。そのため、発光部40及び表示操作部26のみから警告を報知する場合と比べて、携帯端末70を所持している作業者が警告に気づきやすい。
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装機20が本開示の実装機に相当し、実装ライン11が実装ラインに相当し、移動ロボット50が供給装置に相当し、発光部40,表示操作部26及び表示操作部76が報知部に相当する。また、図4の作業制御処理のステップS110,120,S180~S240を実行する管理制御部88が報知制御部に相当し、周囲監視センサ55が監視センサに相当し、記憶部89が記憶部に相当する。
以上詳述した実装システム10では、移動ロボット50によってフィーダ30が実装機20に供給されない場合に、少なくとも発光部40及び表示操作部26が警告を報知する。これにより、この実装システム10は、フィーダ30が供給されない原因(例えば移動ロボット50の動作を阻害する障害物)を除去するなどの適切な対応を行うよう作業者に促すことができる。したがって、この実装システム10は、実装機20にフィーダ30が供給されない状態が早期に解消しやすくなり、実装ライン11の稼働率の低下を抑制できる。また、この実装システム10では、管理制御部88がステップS200の判定処理を行って、この判定処理でフィーダ30が実装機20に供給されないと判定した場合(ここではステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1未満であった場合)に、管理制御部88が少なくとも発光部40及び表示操作部26を制御して警告を報知させる。
また、管理制御部88は、ステップ120で作業予定時刻を取得し、ステップS200では、作業予定時刻に基づいて導出される残り余裕時間Trが値0未満であるか否かによって、作業予定時刻までに作業が行われるか否かを判定し、この判定によってフィーダ30が実装機20に供給されるか否かを判定している。そして、この判定でフィーダ30が実装機20に供給されないと判定した場合(ここでは残り余裕時間Trが第3閾値T3未満すなわち値0未満であった場合)には、管理制御部88は発光部40,表示操作部26及び表示操作部76を制御して第3態様で警告を報知させる。したがって、管理制御部88は、フィーダ30が実装機20に供給されるか否かを作業予定時刻に基づいて適切に判定できる。
さらに、管理制御部88は、作業予定時刻までに作業が行われないと判定した場合(ここでは残り余裕時間Trが値0未満である場合)に、表示操作部26を制御して作業予定時刻からの遅れ時間を報知させる。したがって、この実装システム10は、遅れ時間の長短によって実装ライン11の稼働率の低下の程度の大小を報知できるから、作業者は実装ライン11の状態をより詳細に把握することができる。
さらにまた、管理制御部88は、ステップ120で作業予定時刻を取得し、ステップS200では、作業予定時刻に基づいて導出される残り余裕時間Trと第2閾値T2とに基づいて、作業予定時刻の所定時間前(ここでは5分前)までに作業が行われるか否かを判定し、この判定によってフィーダ30が実装機20に供給されるか否かを判定している。そして、この判定でフィーダ30が実装機20に供給されないと判定した場合には、管理制御部88は発光部40及び表示操作部26を制御して第1態様で警告を報知させる。そのため、この実装システム10は、作業予定時刻までに作業が行われなくなるタイミング(残り余裕時間Trが値0未満になるタイミング)よりも少なくとも所定時間分だけ早く警告を報知する。これにより、その所定時間内に作業者が対応すれば実装ライン11の停止を回避することができる。したがって、この実装システム10では、実装ライン11の稼働率低下をより低減できる。
そして、管理制御部88は、作業予定時刻の所定時間前までに作業が行われないと判定した場合に、作業が作業予定時刻に行われるための残り時間である残り余裕時間Trを表示操作部26から報知させる(ステップS210,S220)。そのため、作業者は、残り余裕時間Trの長短によって、対応の緊急性の高さを判断できる。例えば、作業者は、報知された残り余裕時間Trの長短に基づいて、自身の現在の作業の完了後に移動ロボット50の動作停止の原因を除去しても実装ライン11が停止しないような状況であるか、又は自身の現在の作業を中断して移動ロボット50の動作停止の原因を除去しなければ実装ライン11が停止してしまう状況であるか、を判断できる。したがって、この実装システム10は、より適切な対応を行うよう作業者に促すことができる。
そしてまた、管理制御部88は、フィーダ30が実装機20に供給されないと判定する状態(ここではステップS200で残り余裕時間Trが第1閾値T1未満である状態)が継続している場合に、その状態の継続時間が長いほど(ここでは残り余裕時間Trが短くなるほど)より強い警告を行う傾向で報知を行うように、発光部40,表示操作部26及び表示操作部76の少なくとも1つを制御する。より具体的には、管理制御部88は、残り余裕時間Trが第2閾値T2未満になる前は発光部40の発光色を黄色とし、残り余裕時間Trが第2閾値T2未満且つ第3閾値T3以上になった後には発光部40の発光色をより強い警告を表す赤色に変化させる。また、管理制御部88は、残り余裕時間Trが第3閾値T3未満になった後には、発光部40及び表示操作部26に加えて表示操作部76からも警告の報知を行わせる。そのため、この実装システム10は、フィーダ30が供給されない状態の継続時間が長いほど、作業者により早く対応するように促すことができるから、実装ライン11の停止の長期化を抑制できる。また、作業者は、警告が第1~第3態様のいずれであるかによって、対応の緊急性の高さを判断できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、監視領域Sに障害物が検出されると移動ロボット50はその障害物が除去されるまで動作を停止していたが、障害物が検出されても移動ロボット50が作業を行う場合があってもよい。図5は、この場合の変形例の作業制御処理の一例を示すフローチャートである。図5の作業制御処理のうち、図4の作業制御処理と同じ処理については同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。この変形例では、ロボット制御部58は、移動ロボット50がフィーダ30の搬出入中であれば、監視領域Sに障害物が検出されてもそのまま搬出入を続行し、動作停止信号も送信しない。すなわち、ロボット制御部58は、監視領域Sに障害物が検出された場合に、移動のみを停止する。図5の変形例の作業制御処理では、管理制御部88は、ステップS140でロボット制御部58から動作停止信号を受信して移動ロボット50が動作停止(ここでは移動停止)したと判定した場合には、警告を報知する(ステップS300)。警告は、例えば図4のステップS210~S230のいずれかの態様としてもよい。管理制御部88は、後述するステップS360で障害物が除去されたと判定されるまでこの継続して警告を報知してもよい。また、上述した実施形態と同様に停止時間に応じて警告の態様を異ならせてもよい。続いて、管理制御部88は、周囲監視センサ55で検出された障害物が左側,右側監視領域Sa,Sbの一方のみであるか否かを判定する(ステップS310)。管理制御部88は、例えば左側,右側監視センサ55a,55bの検出状態をロボット制御部58から取得して、この判定を行う。障害物が左側,右側監視領域Sa,Sbの一方のみであった場合、管理制御部88は、実装ライン11の配列方向のうち移動ロボット50の位置を基準として障害物ない方向の領域で、実行可能な別の作業があるか否かを判定する(ステップS320)。ステップS320では、管理制御部88は、まず、移動ロボット50の現在位置を取得して、取得した現在位置と、左側,右側監視センサ55a,55bのうち障害物を検知していないのはいずれであるかの情報と、装置位置情報89aとに基づいて、実装ライン11のうち移動ロボット50が障害物に阻害されずに移動可能な領域にある装置を特定する。そして、管理制御部88は、特定した装置が作業対象装置に指定されている未完了の作業が作業情報89dに含まれており、且つ移動ロボット50がその作業を実行する準備ができているか否かによって、ステップS320の判定を行う。作業を実行する準備ができているか否かとは、例えばその作業の作業種別が「供給」であれば、ロボット移載エリア50Aにすでに供給対象のフィーダ30が収容されているか否かである。また、その作業の作業種別が「回収」であれば、ロボット移載エリア50Aにフィーダ30を収容する空きがあるか否かである。管理制御部88は、例えばフィーダ保有情報89cに基づいて、移動ロボット50が作業を実行する準備ができているか否かを判定する。管理制御部88は、必要に応じて作業情報89dの作業内容情報に含まれる移動ロボット50のスロット番号を変更してもよい。例えば、図3の作業順序「001」~「004」までの作業が完了し、次の作業順序「005」の作業として移動ロボット50が図1の状態から左隣の実装機20に向けて左方向に移動する途中で左側監視センサ55aのみが障害物を検知して移動ロボット50が移動停止したとする。この場合、管理制御部88は、実装ライン11のうち現在の移動ロボット50の位置よりも右側にある装置である右から4台分の実装機20を、移動ロボット50が移動可能な領域にあると特定する。そして、管理制御部88は、作業情報89dを調べ、特定した複数の装置(ここでは対象位置情報が「02」~「05」の実装機20)のいずれかを作業対象装置とする未完了の作業として作業順序「006」「007」の作業を特定する。そして、移動ロボット50がこれらの作業の少なくともいずれかを実行する準備ができていれば、管理制御部88はステップS320で肯定判定する。ステップS320で実行可能な別の作業があると判定すると、管理制御部88は、その別の作業を次に行う作業に決定して(ステップS330)、移動ロボット50にその作業の作業指令を送信する(ステップS340)。実行可能な別の作業が複数ある場合には、管理制御部88は、その中の作業順序の最も早い作業をステップS330で「次に行う作業」に決定してもよい。そして、管理制御部88は、移動ロボット50が作業完了するまで待つ(ステップS350)。管理制御部88は、ステップS310で障害物が左側,右側監視領域Sa,Sbの両方に存在すると判定した場合、ステップS320で実行可能な他の作業がないと判定した場合、又はステップS350で作業完了したと判定した場合は、障害物が除去されたか否かを判定する(ステップS360)。例えば、作業者は、ステップS300の警告を確認して障害物を除去すると、表示操作部26,56,76,又はディスプレイ86の少なくともいずれかを操作して障害物を除去した旨を入力し、管理制御部88はその旨を表す障害物除去信号を取得する。ステップS360では、管理制御部88はこの障害物除去信号を取得したか否かに基づいて、ステップS360の判定を行う。そして、ステップS360で障害物が除去されていないと判定すると、管理制御部88は、ステップS310以降の処理を実行する。すなわち、障害物が除去されるまでの間、管理制御部88は、障害物に阻害されずに実行可能な別の作業が存在する場合には、その作業を移動ロボット50に実行させる。また、障害物に阻害されずに実行可能な別の作業が存在しない場合、又は障害物が左側,右側監視領域Sa,Sbの両方に存在して移動ロボット50が移動できない場合には、管理制御部88は障害物が除去されるのを待つ。一方、ステップS360で障害物が除去されたと判定すると、管理制御部88は、ステップS100以降の処理を実行する。すなわち、管理制御部88は、作業情報89dに記憶された未完了の作業のうち作業順序の最も早い作業を次に行う作業に決定して、未完了の作業を作業順序に従って移動ロボット50に実行させていく。このように、変形例の作業制御処理では、管理制御部88は、障害物による移動ロボット50の動作停止が生じていない場合には作業情報89dの作業順序通りに移動ロボット50に作業を行わせる。一方で、管理制御部88は、障害物により移動ロボット50が動作停止した場合には、作業者が障害物を除去するまでの間に実行可能な別の作業があれば作業順序通りでなくともその作業を先に移動ロボット50に実行させる。そのため、この変形例の実装システム10では、障害物が直ちに除去されない場合でも実装ライン11の稼働率低下をより抑制できる。なお、ステップS350で作業完了を待つ間に移動ロボット50が障害物により動作停止した場合には、管理制御部88はステップS360で障害物が除去されるのを待ってもよい。
上述した実施形態において、管理制御部88は、表示操作部26を介して作業者からの警告停止操作を入力すると、以降はステップS210~S230の警告をいずれも行わず、ステップS240で移動ロボット50の動作停止が解除されたと判定するまで待ってもよい。こうすれば、警告を確認した作業者が任意に警告を停止させることができる。
上述した実施形態では、1つの作業順序に対応する1つの作業には、移動ロボット50の移動と、移動ロボット50によるフィーダ30の供給又は回収と、が含まれたが、これに限られない。例えば、移動ロボット50が行うフィーダ30の搬送とフィーダ30の供給とが別の作業として作業情報89dに含まれていてもよい。この場合、フィーダ30の搬送とフィーダ30の供給との各々の作業に対して作業予定時刻が定められていてもよい。
上述した実施形態では、作業予定時刻は作業情報89dに含まれる全ての作業に対して設定されていたが、これに限られない。例えば、移動ロボット50が行うフィーダ30の搬送と実装機20へのフィーダ30の供給との少なくとも一方を含む作業に対して作業予定時刻が設定されていてもよい。このとき、例えばステップS100で決定された作業に作業予定時刻が対応づけられていない場合には、管理制御部88は、作業予定時刻が対応づけられている作業のうちステップS100で決定された作業に最も作業順序の近い未完了の作業を特定して、特定した作業についてステップS110,S120,S190を行ってもよい。
上述した実施形態では、作業予定時刻は対応する作業内容情報で特定される作業を完了すべき時刻としたが、これに限らず例えば作業を開始すべき時刻としてもよいし、作業対象装置の位置に移動ロボット50が到着すべき時刻としてもよい。例えば、図5で説明した変形例と同様に、監視領域Sに障害物が検出されたときに移動ロボット50がフィーダ30の搬出入を停止せず移動のみを停止するような場合には、移動ロボット50が作業対象装置の位置に到着すれば、フィーダ30の供給又は回収は停止せずに行われる。このような場合には、作業予定時刻を移動ロボット50が作業対象装置の位置に到着すべき時刻として、移動ロボット50が作業予定時刻までに作業対象装置の位置に到着すればフィーダ30の供給又は回収が間に合うとみなしてもよい。
上述した実施形態では、管理制御部88は、発光部40,表示操作部26又は表示操作部76の少なくとも1つを用いて警告を報知したが、これに加えて又は代えて表示操作部56又はディスプレイ86を用いて警告を報知してもよい。また、警告を報知する報知部は、発光部40及び表示操作部26などの視覚的に警告を報知する装置に限らず、音で警告を報知するスピーカーなどの装置であってもよい。
上述した実施形態では、管理制御部88は、残り余裕時間Trと第1~第3閾値T1~T3とを比較して、第1~第3態様を段階的に切り替えたが、これに限られない。管理制御部88は、残り余裕時間Trが短くなるほど(フィーダ30が供給されない状態の継続時間が長いほど)より強い警告を行う傾向で報知を行うように、1以上の報知部の少なくとも1つを制御すればよい。例えば、管理制御部88は、残り余裕時間Trの長短に応じて連続的に警告の態様を変化させてもよい。例えば、スピーカーから音で警告を報知する場合に、管理制御部88は残り余裕時間Trが短くなるほど警告の音量を連続的に大きくしてもよい。また、管理制御部88は、残り余裕時間Trに応じた警告の態様の変更を行わなくてもよい。
上述した実施形態では、管理制御部88は残り余裕時間Trが短くなるほどより強い警告を行う傾向で報知を行ったが、これに限られない。例えば、管理制御部88は、ステップS180で計時を開始した停止時間が長くなるほどより強い警告を行う傾向で報知を行ってもよい。この場合、管理制御部88は余裕時間及び残り余裕時間Trを導出しなくてもよく、作業情報89dには作業予定時刻の情報が含まれていなくてもよい。
上述した実施形態では、管理制御部88は、残り余裕時間Trが値0より大きくても第1閾値T1未満であれば警告を報知したが、これに限らず、残り余裕時間Trが値0未満になってから初めて警告を報知してもよい。あるいは、管理制御部88は、ステップS140で移動ロボット50が動作停止したと判定した場合には移動ロボット50によってフィーダ30が供給されないと判定して直ちに警告を報知してもよい。この場合、管理制御部88は余裕時間及び残り余裕時間Trを導出しなくてもよく、作業情報89dには作業予定時刻の情報が含まれていなくてもよい。
上述した実施形態では、管理制御部88は、発光部40及び表示操作部26のうち、移動ロボット50の現在位置及び監視領域Sに対応する装置の発光部40及び表示操作部26に警告を報知させたが、これに限られない。例えば、管理制御部88は、移動ロボット50の現在位置に対応する装置の発光部40及び表示操作部26にのみ警告を報知させてもよいし、全ての発光部40及び表示操作部26に警告を報知させてもよい。また、上述した実施形態では、第1態様と第2態様とで警告を報知する発光部40及び表示操作部26の数は同じとしたが、これに限らず第2態様の方が警告を報知する発光部40及び表示操作部26の数を多くしてもよい。
上述した実施形態では、移動ロボット50が動作停止する原因として障害物を挙げたが、これに限らず例えば移動ロボット50の故障なども挙げられる。
上述した実施形態では、移動ロボット50が搬送及び供給する部材はフィーダ30としたが、これに限らず実装ライン11の実装機20で用いられる部材であればよい。例えば、移動ロボット50は吸着ノズルを搬送して実装機20に供給してもよい。
上述した実施形態では、実装システム10は複数の実装機20に対して配列方向及び上下方向に垂直な前方に配列方向に沿って配設されたX軸レール18を備えており、移動ロボット50はこのX軸レール18に沿って配列方向に移動したが、これに限らず移動ロボット50は配列方向に移動可能であればよい。例えば、図6に示すように、移動ロボット50は車輪51aによって移動するAGVであってもよい。この場合、実装システム10はX軸レール18を備える必要はない。図6に示す変形例の移動ロボット50では、ロボット移動機構51が車輪51aを駆動することで移動ロボット50が配列方向に移動する。移動ロボット50は配列方向(ここでは左右方向)に限らず前後方向にも移動可能であってもよい。この移動ロボット50では、ロボット移載エリア50A及びフィーダ移載機構52は、移動ロボット50の筐体の上部に設けられている。
上述した実施形態では、移動ロボット50はエンコーダ53を備えていたが、これに加えて又は代えて、位置センサを備えていてもよい。特に移動ロボット50がAGVである場合には、位置センサを備えることが好ましい。位置センサは、移動ロボット50の位置を検出するためのセンサであり、移動ロボット50の向き(回転)も検出可能であってもよい。位置センサの例としては、GPSセンサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、及び加速度センサなどが挙げられ、移動ロボット50は位置センサとしてこれらの1以上のセンサを備えていてもよい。管理制御部88は、この位置センサが検出した移動ロボット50の位置情報をロボット制御部58から取得してもよい。
本開示の実装システム及び表示制御装置は以下のように構成してもよい。
本開示の実装システムは、前記供給装置によって前記実装機に前記部材が供給されるか否かを判定する判定処理を行って、該判定処理で供給されないと判定した場合に前記報知部を制御して前記警告を報知させる報知制御部、を備えていてもよい。
本開示の実装システムにおいて、前記報知制御部は、前記供給装置が行う前記部材の搬送と前記実装機への前記部材の供給との少なくとも一方を含む作業の作業予定時刻を取得し、前記判定処理では、前記作業予定時刻までに前記作業が行われるか否かによって前記部材が供給されるか否かを判定してもよい。こうすれば、報知制御部は、部材が供給されるか否かを作業予定時刻に基づいて適切に判定できる。
ここで、「前記作業予定時刻までに前記作業が行われる」は、前記作業予定時刻までに前記作業が開始されることとしてもよいし、前記作業予定時刻までに前記作業が完了することとしてもよい。
本開示の実装システムにおいて、前記報知制御部は、前記作業予定時刻までに前記作業が行われないと判定した場合に、前記報知部を制御して該作業予定時刻からの遅れ時間を報知させてもよい。こうすれば、この実装システムは、遅れ時間の長短によって実装ラインの稼働率の低下の程度の大小を報知できるから、作業者は実装ラインの状態をより詳細に把握することができる。
本開示の実装システムにおいて、前記報知制御部は、前記供給装置が行う前記部材の搬送と前記実装機への前記部材の供給との少なくとも一方を含む作業の作業予定時刻を取得し、前記判定処理では、前記作業予定時刻の所定時間前までに前記作業が行われるか否かによって前記部材が供給されるか否かを判定してもよい。こうすれば、この実装システムは、作業予定時刻までに作業が行われなくなるタイミングよりも少なくとも所定時間分だけ早く警告を報知するため、その所定時間内に作業者が対応すれば実装ラインの停止を回避することができる。したがって、この実装システムは、実装ラインの稼働率低下をより低減できる。
この場合において、前記報知制御部は、前記作業予定時刻の前記所定時間前までに前記作業が行われないと判定した場合に、前記作業が前記作業予定時刻に行われるための残り時間を前記報知部から報知させてもよい。こうすれば、作業者は、残り時間の長短によって、対応の緊急性の高さを判断できる。したがって、この実装システムは、より適切な対応を行うよう作業者に促すことができる。
本開示の実装システムにおいて、前記報知部は1以上存在し、前記報知制御部は、前記判定処理で前記部材が供給されないと判定する状態が継続している場合に、該状態の継続時間が長いほどより強い警告を行う傾向で報知を行うように、前記報知部の少なくとも1つを制御してもよい。こうすれば、この実装システムは、部材が供給されない状態の継続時間が長いほど、作業者により早く対応するように促すことができるから、実装ラインの停止の長期化を抑制できる。ここで、「該状態の継続時間が長いほどより強い警告を行う傾向」とは、継続時間の長さによって連続的に警告の強さを変化させる場合と、継続時間の長さによってステップ的に警告の強さを変化させる場合とを含む。また、前記報知制御部は、同じ報知部において報知態様を異ならせることで警告の強さを異ならせてもよいし、複数の報知部のうち警告を行わせる報知部を異ならせることで警告の強さを異ならせてもよいし、複数の報知部のうち警告を行わせる報知部の数を異ならせることで警告の強さを異ならせてもよい。
この場合において、前記報知制御部は、前記継続時間が閾値を超える前よりも該閾値を超えた後の方がより強い警告を報知するように、前記報知部の少なくとも1つを制御してもよい。
本開示の実装システムにおいて、前記供給装置は、前記供給装置を基準として前記配列方向の一方側の第1監視領域内の障害物と他方側の第2監視領域内の障害物とをそれぞれ検知する監視センサ、を有し、前記供給装置が行う前記部材の搬送と前記実装機への前記部材の供給との少なくとも一方を含む作業の作業内容と、前記複数の実装機のうち該作業を行う作業対象装置の位置情報と、該作業を行う作業順序と、を対応付けた情報を複数含む作業情報を記憶する記憶部と、前記作業情報に基づいて未完了の前記作業を前記作業順序に従って前記供給装置に行わせ、前記監視センサが第1監視領域内と前記第2監視領域内とのいずれかで前記障害物を検知し、前記供給装置を基準として前記配列方向のうち前記障害物を検知していない監視領域側に位置する前記作業対象装置の位置情報に対応づけられた未完了の前記作業が前記作業情報に含まれる場合には、前記作業順序に従わないことを許容して該作業を前記供給装置に行わせる作業制御部と、を備えていてもよい。こうすれば、供給装置は、作業者が障害物を除去するまでの間に実行可能な作業があれば作業順序通りでなくともその作業を先に行う。そのため、この実装システムでは、障害物が直ちに除去されない場合でも実装ラインの稼働率低下をより抑制できる。
本開示の実装システムにおいて、前記配列方向に沿って配設されたレール、を備え、前記供給装置は前記レールに沿って前記配列方向に移動してもよい。
本開示の実装システムにおいて、前記供給装置は車輪により前記配列方向に移動してもよい。
本開示の報知制御装置において、上述した本開示の実装システムの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した本開示の実装システムの各機能を実現するような構成を追加してもよい。