JP7240801B2 - 非水電解質二次電池用正極合剤層、それを含む非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極合剤層、それを含む非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用電極合剤層及び該合剤層が形成されている非水電解質二次電池用電極、並びに該電極を有する非水電解質二次電池に関する。詳しくは、所定の炭素系導電助剤を含む低密度の非水電解質二次電池用電極合剤層及び該合剤層が形成されている非水電解質二次電池用電極、並びに該電極を有する非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池であり、正極にリチウム金属酸化物を電極活物質として用い、負極にグラファイトなどの炭素材を電極活物質として用いるものが主流である。リチウムイオン二次電池は、二次電池の中でもエネルギー密度が高い特徴を持つことから、携帯電話などの小型機器から電気自動車などの大型機器まで、応用範囲が広がっている。
リチウムイオン電池は、さらなる高エネルギー密度化が求められている。その一つの手法として、電極合剤層を厚く形成して電極活物質の担持量を増やすことが考えられる。しかし、電極合剤層の厚膜化に伴う課題の一つとして、集電体までの導電パスが十分に形成されず、電極の電気抵抗が増大してしまい、高出力化時の電池の容量維持率が低下してしまうという問題がある。電極の抵抗を低減する手法として電極密度を上げることが提案されている。しかし、電極密度を上げすぎると、空隙率が低くなり、物質の拡散が阻害されるため、抵抗の上昇につながってしまうことも記載されている(特許文献1参照)。すなわち、電極密度の最適化による抵抗低減には限界があると考えられる。
この問題を解決する一つの手段として、特許文献2では低密度の電極合剤層と高密度の電極合剤層とを組み合わせることによって電極を作製することにより、良好な特性の電池が得られることが報告されている。しかし、二つの異なる密度の電極合剤層を用いて電極を作るため、電極作製工程が煩雑化するという問題があった。
特許文献3には、正極合剤層の合剤密度は、1.5g/cc~4g/ccであってもよい旨が記載されている(段落0014)。
特開2010-15904号公報 特開2013-251213号公報 特開2014-93295号公報
本発明の目的は、従来と比較してより簡便に作製できる良好な特性の電極合剤層及び該合剤層が形成されている非水電解質二次電池用電極並びに該電極を有する非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者らは、上記の従来技術に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、電極合剤層の組成に着目し、特定の炭素系導電助剤を使用することで、低密度であっても電極電導度が良好で十分な性能を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 電極活物質と、平均径が10nm以上の炭素系導電助剤と、を少なくとも含む電極合剤層であって、前記炭素系導電助剤の体積含有率が0.9~5.0(%)であり、かつ前記電極合剤層の密度が0.50(g/cm)以上2.10(g/cm)未満であることを特徴とする非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔2〕 活性炭を含まない〔1〕に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔3〕 前記炭素系導電助剤が、平均実効繊維長が10μm以上の繊維状炭素である〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔4〕 前記繊維状炭素における、X線回折法で測定した結晶子長さ(La)が、110~500nmである〔3〕に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔5〕 厚みが50~1000μmである〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔6〕 集電体と、
前記集電体に積層された〔1〕乃至〔5〕の何れかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層と、
から成る非水電解質二次電池用電極。
〔7〕 〔6〕に記載の非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池。
本発明によれば、従来技術で得られていた非水電解質二次電池用電極合剤層よりも簡便な工程で、電極電導度が良好な非水電解質二次電池用電極合剤層を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.非水電解質二次電池用電極合剤層
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層(以下、単に「正極合剤層」、「負極合剤層」又は「電極合剤層」ともいう)は、電極活物質と、炭素系導電助剤とを少なくとも含み、該炭素系導電助剤の体積含有率が0.9~5.0(%)の範囲にある。本発明の電極合剤層は、正極合剤層及び負極合剤層の双方に適用可能である。
本発明の電極合剤層の密度(25℃)は0.50(g/cm)以上2.10(g/cm)未満の範囲にある。電極合剤層の密度が0.50(g/cm)未満であると、空隙率が高すぎて十分な電池特性を出すことができない。2.10(g/cm)以上であると、空隙率が低すぎて電気抵抗の上昇が起こり電池の特性が悪くなる。密度の下限値は、0.95(g/cm)以上であることが好ましく、1.00(g/cm)以上であることがより好ましい。密度の上限値は、2.07(g/cm)未満であることが好ましく、2.00(g/cm)未満であることがより好ましく、1.80(g/cm)未満であることがさらに好ましく、1.70(g/cm)未満であることがよりさらに好ましく、1.60(g/cm)未満であることが特に好ましい。
本発明の電極合剤層の厚さ(膜厚)は50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましく、80μm以上であることがよりさらに好ましく、90μm以上であることが特に好ましく、100μm以上、特には100μm超であることがさらに好ましく、120μm以上であることが最も好ましい。本発明の電極合剤層の厚さ(膜厚)は特に制限はないが、1000μm以下であることが好ましく、1000μm未満であることがより好ましく、900μm未満であることがさらに好ましく、800μm未満であることが特に好ましい。また、本発明の電極合剤層の厚さ(膜厚)は50~1000μmであり、80~1000μmであることが好ましく、100~1000μmであることがさらに好ましく、120~1000μmであることが特に好ましい。
電極合剤層の膜厚が50μm未満であると、任意の容量セルを製造しようとした場合、セパレータや集電体を多量に使用することになり、セル内における電極合剤層の体積占有率が低下する。これは、エネルギー密度の観点から好ましくなく、用途がかなり制限されてしまう。特に、エネルギー密度の要求の高い電源用途への適用は困難となってしまう。一方、電極合剤層の膜厚が1000μmを超える電極は、電極合剤層にクラックが発生し易くなり製造が比較的困難である。電極の安定的製造の観点からは、電極合剤層の膜厚は1000μm以下であることが好ましい。また、電極合剤層の膜厚が1000μmを超える電極は、Liイオンの輸送が阻害されやすく、抵抗の上昇につながる。そのため、電極合剤層の膜厚は1000μm以下とすることが、抵抗低減の観点からも好ましい。なお、本発明における電極合剤層の厚さは、後述する集電体の厚さを含まない電極合剤層のみの厚さを意味する。
電極合剤層の膜厚の測定方法としては特に限定されないが、例えばマイクロメーターを使用して計測することができる。
(1-1) 炭素系導電助剤
本発明の電極合剤層は炭素系導電助剤を所定の体積含有率で含有している。炭素系導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの粒子状炭素、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、炭素繊維などの繊維状炭素、鱗片状炭素、グラフェン、グラファイトなどを挙げることができる。本発明の電極合剤層に含まれる炭素系導電助剤は、本発明の効果を奏すれば、特に限定されることはなく、これらの炭素系導電助剤の一種又は二種以上を含んでいれば良い。
上記の中で、繊維状炭素は取扱い性と導電性とのバランスが良好である。繊維状炭素の形状は特に限定されるものではないが、実質的に分岐を有さない直線構造であることが好ましい。分岐とは、繊維状炭素の主軸が中途で枝分かれしていることや、繊維状炭素の主軸が枝状の副軸を有することをいう。実質的に分岐を有さない直線構造とは、繊維状炭素の分岐度が0.01個/μm以下であることを意味する。なお、この繊維状炭素は、全体として繊維状の形態を有していればよく、例えば、後述のアスペクト比の好ましい範囲未満のものが接触したり結合したりして一体的に繊維形状を持っているもの(例えば、球状炭素が数珠状に連なっているもの、極めて短い少なくとも1本または複数本の繊維が融着等によりつながっているものなど)も含む。
本発明の電極合剤層は、活性炭を含まないことが好ましい。その理由は、活性炭を含むと電極合剤層を作成する際に粘度が上昇するため工程上好ましくないからである。
本発明の電極合剤層における炭素系導電助剤の25℃における体積含有率は、電極合剤層の体積を基準として0.9~5.0(%)である。体積含有率をこの範囲とすることにより、電極合剤層の導電性を高くすることが出来る。5.0%を超えると、活物質の割合が減少するため、電池の容量も低下する。体積含有率の下限は、1.0%以上であることが好ましく、1.1%以上であることがより好ましく、1.2%以上であることがさらに好ましく、1.3%以上であることが特に好ましい。また、体積含有率の上限は、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることがさらに好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。
炭素系導電助剤は、結晶性が高いと電極電導度が良好であり、また、耐電圧に優れるため望ましい。本発明に用いる炭素系導電助剤は、結晶性の指標であるX線回折法で測定した結晶子長さ(La)が100~500nmであることが好ましく、110~500nmであることがより好ましく、150~500nmであることがさらに好ましく、200~500nmであることが特に好ましい。100nm未満である場合、炭素材料の導電性が十分ではない。一方、結晶子サイズは、X線回折法によって測定を行うが、結晶が大きく発達すると測定誤差が大きくなることから、実質的には500nmが測定の限界である。
本発明において、X線回折法で測定した結晶子長さ(La)とは、日本工業規格JIS R 7651「炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法」(2007)により測定される値をいう。
本発明における炭素系導電助剤は、X線回折法で測定した隣接するグラファイトシート間の距離である結晶面間隔(d002)が0.335~0.340nmであることが好ましく、0.335~0.339nmであることがより好ましい。0.335~0.340nmの範囲を逸脱すると、炭素系導電助剤の導電性が著しく低下するため好ましくない。
本発明における炭素系導電助剤は、グラフェン(網平面群)の厚さ(Lc)が1.0~130nmであることが好ましい。1.0nm未満である場合、炭素材料の導電率が著しく低下してしまうため好ましくない。
本発明における炭素系導電助剤は、平均径が10nm以上である。ここで、平均径とは、炭素性導電助剤が繊維状炭素の場合にはその繊維径をいい、球状であれば直径をいい、扁平であれば短径をいう。即ち、炭素系導電助剤の最も小さい次元の長さをいう。
本発明に用いる炭素系導電助剤は、電極合剤層内に導電性のネットワークを形成する効果が高く、電池出力改善、電池耐久性向上の観点から繊維状炭素であることが好ましい。繊維状炭素としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノリボンなどの気相成長炭素材料も含まれるが、結晶性の高い炭素材料である必要から、PAN系よりもピッチを原料とする炭素繊維が好ましい。
本発明に用いる炭素系導電助剤としての繊維状炭素の平均繊維径は、10~900nmであることが好ましい。該上限値は、600nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、400nm以下であることがさらに好ましく、300nm以下であることがよりさらに好ましく、250nm以下であることが特に好ましく、200nm以下であることが最も好ましい。該下限値は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
10nm未満であると、嵩密度が非常に小さくハンドリング性に劣る。また、電極合剤層を構成した際、電極強度が低下する傾向がある。900nm超である場合、電極合剤層内において隙間が生じ易くなる。
ここで、本発明における繊維径は、電界放射型走査電子顕微鏡によって倍率2,000倍で撮影した写真図より測定された値を意味する。
繊維状炭素の平均実効繊維長は、1~100μmの範囲が好ましく、1~50μmであることがより好ましく、5~20μmであることがさらに好ましい。1μm未満である場合、電極合剤層内の導電性、電極の強度、電解液保液性が低くなるため好ましくない。100μm超の場合、繊維状炭素の分散性が損なわれることから好ましくない。即ち、繊維状炭素が長すぎる場合、繊維状炭素が電極合剤層の面内方向に配向し易くなる。その結果、膜厚方向への導電パスを形成し難くなってしまう。特に、本発明の繊維状炭素の平均実効繊維長は、10μm以上であることが好ましい。平均実効繊維長が10μm以上であると本発明のように低密度の電極合剤層であってもその長い実効繊維長から活物質間の導電パスをより十分に形成することができるからである。平均実効繊維長は、12μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。
本発明において繊維状炭素の繊維長は、実際の繊維長ではなく、実効繊維長によって定義される。なぜなら、繊維状炭素は、電極合剤層内において実際の繊維長で導電に寄与しているとは限らないからである。例えば、電極合剤層内で繊維が折れ曲がったり丸まったりして、実際の繊維長で導電に寄与していない場合がある。本発明において、繊維状炭素の実効繊維長は、単体の繊維状炭素に両端が接する最長の線分の長さとして定義される。換言すれば、単体の繊維状炭素が導電することができる最大の直線距離である。即ち、繊維状炭素が完全な直線構造を有する場合は、実効繊維長は実際の繊維長と略等しい。繊維状炭素が分岐構造を有する場合や丸まっている場合は、その単体の繊維状炭素上にある2点間を結ぶ最大の線分の長さをいう。
繊維状炭素の平均実効繊維長(L)と平均繊維径(D)との比(L/D)は30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。比(L/D)を30以上とすることにより、電極合剤層中において導電パスが効率的に形成され、得られる電池特性を高くすることができる。30未満の場合、電極合剤層中において導電パスの形成が不十分になり易く、電極合剤層の膜厚方向の抵抗値が十分に低下しない場合がある。比(L/D)の上限値は特に限定されないが、一般に4000以下であり、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。4000を超える場合、炭素繊維の分散性が損なわれることから好ましくない。
上記のような繊維状炭素を低密度の電極合剤層に適用することにより、得られる電極合剤層の電気伝導性や耐電圧に貢献することができる。通常、電極合剤層の厚膜化に伴う課題の一つとして、高出力化時の電池の容量維持率が低下してしまうという問題がある。一般に、電極の抵抗を低減する手法としては、電極密度を上げることが提案されている。本発明は、電極密度を上げずに寧ろ小さくして、かつ所定の炭素材料、即ち高結晶性で好ましくは繊維長の長い繊維状炭素を用いることにより、高出力化時の電池の容量維持率を高くすることができる。
(1-2) 炭素系導電助剤の製造方法
本発明の電極合剤層に用いる炭素系導電助剤として好ましく用いることができる炭素繊維の製造方法について以下に説明する。炭素繊維の製造方法は特に限定されないが、例えば次に記載する(1)~(4)の工程を経ることにより製造することができる。
(1)熱可塑性樹脂及び炭素前駆体から成る樹脂組成物を溶融状態で成形することにより、炭素前駆体を繊維化して樹脂複合繊維を得る工程、
(2)前記樹脂複合繊維を安定化し、樹脂複合安定化繊維を得る安定化工程、
(3)樹脂複合安定化繊維から前記熱可塑性樹脂を除去して安定化繊維のみを分離する熱可塑性樹脂除去工程、
(4)安定化繊維を不活性雰囲気下で加熱して炭素化乃至黒鉛化して炭素繊維を得る炭化焼成工程。
<熱可塑性樹脂>
この炭素繊維の製造方法で使用する熱可塑性樹脂は、樹脂複合繊維を製造することができるとともに、熱可塑性樹脂除去工程において容易に除去される必要がある。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、ポリサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリ乳酸が例示される。これらの中でも、ポリオレフィンが好ましく用いられる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン-1、及びこれらを含む共重合体が挙げられる。熱可塑性樹脂除去工程において除去し易いという観点からは、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、気相法・溶液法・高圧法直鎖状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの単独重合体又はエチレンとα-オレフィンとの共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレンと他のビニル系単量体との共重合体が挙げられる。
この熱可塑性樹脂は、JIS K 7210に準拠して測定されたメルトマスフローレート(MFR)が0.1~10g/10minであることが好ましく、0.1~5g/10minであることがより好ましく、0.1~3g/10minであることが特に好ましい。MFRが上記範囲であると、熱可塑性樹脂中にメソフェーズピッチを良好にミクロ分散することができる。また、樹脂複合繊維を成形する際に、繊維が引き延ばされることにより、炭素前駆体の分子配向性を制御して得られる炭素繊維の結晶性を向上させるとともに、得られる炭素繊維の繊維径をより小さくすることができる。熱可塑性樹脂は炭素前駆体と容易に溶融混練できるという点から、非晶性の場合はガラス転移温度が250℃以下、結晶性の場合は融点が300℃以下であることが好ましい。
<炭素前駆体>
炭素前駆体としてはメソフェーズピッチを用いることが好ましい。以下、炭素前駆体としてメソフェーズピッチを用いる場合について説明する。メソフェーズピッチとは、溶融状態において光学的異方性相(液晶相)を形成しうるピッチである。使用するメソフェーズピッチとしては、石炭や石油の蒸留残渣を原料とするものや、ナフタレン等の芳香族炭化水素を原料とするものが挙げられる。例えば、石炭由来のメソフェーズピッチは、コールタールピッチの水素添加・熱処理を主体とする処理、水素添加・熱処理・溶剤抽出を主体とする処理等により得られる。
より具体的には、以下の方法により得ることができる。
先ず、キノリン不溶分を除去した軟化点80℃のコールタールピッチを、Ni-Mo系触媒存在下、圧力13MPa、温度340℃で水添し、水素化コールタールピッチを得る。この水素化コールタールピッチを常圧下、480℃で熱処理した後、減圧して低沸点分を除去し、粗メソフェーズピッチを得る。この粗メソフェーズピッチを温度340℃でフィルターを用いてろ過を行って異物を取り除くことにより、精製メソフェーズピッチを得ることができる。
メソフェーズピッチの光学的異方性含有量(メソフェーズ率)は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、上記メソフェーズピッチは、軟化点が100~400℃であることが好ましく、150~350℃であることがより好ましい。
<樹脂組成物>
この炭素繊維の製造方法において用いられる、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとから成る樹脂組成物(以下、メソフェーズピッチ組成物ともいう)は、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂100質量部に対して1~150質量部のメソフェーズピッチと、を含んで成ることが好ましい。メソフェーズピッチの含有量は5~100質量部であることがより好ましい。メソフェーズピッチの含有量が150質量部を超えると所望の繊維径を有する樹脂複合繊維が得られず、1質量部未満であると目的とする炭素繊維を安価に製造することができない等の問題が生じるため好ましくない。
繊維径が900nm以下である炭素繊維を製造するためには、熱可塑性樹脂中におけるメソフェーズピッチの分散径を0.01~50μmとすることが好ましく、0.01~30μmとすることがより好ましい。メソフェーズピッチの熱可塑性樹脂中への分散径が0.01~50μmの範囲を逸脱すると、所望の炭素繊維を製造することが困難となることがある。なお、メソフェーズピッチ組成物中において、メソフェーズピッチは球状又は楕円状の島相を形成するが、上記分散径とは、島成分が球状の場合はその直径を意味し、楕円状の場合はその長軸径を意味する。
上記0.01~50μmの分散径は、メソフェーズピッチ組成物を300℃で3分間保持した後においても上記範囲を維持していることが好ましく、300℃で5分間保持した後においても維持していることがより好ましく、300℃で10分間保持した後においても維持していることが特に好ましい。一般に、メソフェーズピッチ組成物を溶融状態で保持しておくと、メソフェーズピッチ組成物中においてメソフェーズピッチが時間と共に凝集する。メソフェーズピッチが凝集してその分散径が50μmを超えると、所望の炭素繊維を製造することが困難となることがある。メソフェーズピッチ組成物中におけるメソフェーズピッチの凝集速度は、使用する熱可塑性樹脂及びメソフェーズピッチの種類により変動する。
メソフェーズピッチ組成物は、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとを溶融状態において混練することにより製造することができる。熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとの溶融混練は公知の装置を用いて行うことができる。例えば、一軸式混練機、二軸式混練機、ミキシングロール、バンバリーミキサーからなる群より選ばれる1種類以上を用いることができる。これらの中でも、熱可塑性樹脂中にメソフェーズピッチを良好にミクロ分散させるという目的から、二軸式混練機を用いることが好ましく、特に各軸が同方向に回転する二軸式混練機を用いることが好ましい。
混練温度としては、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとが溶融状態であれば特に制限されないが、100~400℃であることが好ましく、150~350℃であることが好ましい。混練温度が100℃未満であると、メソフェーズピッチが溶融状態にならず、熱可塑性樹脂中にミクロ分散させることが困難であるため好ましくない。一方、400℃を超える場合、熱可塑性樹脂及びメソフェーズピッチの分解が進行するため好ましくない。また、溶融混練の時間としては、0.5~20分間であることが好ましく、1~15分間であることがより好ましい。溶融混練の時間が0.5分間未満の場合、メソフェーズピッチのミクロ分散が困難であるため好ましくない。一方、20分間を超える場合、炭素繊維の生産性が著しく低下するため好ましくない。
溶融混練は、酸素ガス含有量が10体積%未満の不活性雰囲気下で行うことが好ましく、酸素ガス含有量が5体積%未満の不活性雰囲気下で行うことがより好ましく、酸素ガス含有量が1%体積未満の不活性雰囲気下で行うことが特に好ましい。本発明で使用するメソフェーズピッチは、溶融混練時に酸素と反応することにより変性してしまい、熱可塑性樹脂中へのミクロ分散を阻害することがある。このため、酸素とメソフェーズピッチとの反応を抑制するために不活性雰囲気下で溶融混練を行うことが好ましい。
<樹脂複合繊維>
上記のメソフェーズピッチ組成物から樹脂複合繊維を製造する方法としては、所望の炭素繊維が作製できれば限定されないが、メソフェーズピッチ組成物を紡糸口金より溶融紡糸する方法、メソフェーズピッチ組成物を矩形口金より溶融製膜する方法を例示することができる。
結晶性の高い炭素繊維を得るためには、樹脂複合繊維を得る段階において、樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチの分子配向性を高める操作を行うことが必要である。樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチの分子配向性を高める操作としては、溶融状態のメソフェーズピッチの分子配向性を高めるために変形を加えることが好ましい。係る方法としては、溶融状態のメソフェーズピッチにせん断によるひずみを加える方法、伸長によるひずみを加える方法を例示することができる。
せん断によるひずみを加える方法としては、メソフェーズピッチが溶融した状態において、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物の線速度を大きくする方法が例示される。具体的には、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物が流路内を通過する際の通過速度を高くすることにより、せん断によるひずみを加える方法が挙げられる。
また、伸長によるひずみを加える方法としては、メソフェーズピッチが溶融した状態において、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物の線速度を、口金の吐出側に向けて大きくしていく方法が挙げられる。具体的には、口金の流路内の断面積を吐出側に向けて漸減させる方法や、口金から吐出されたメソフェーズピッチ組成物を、吐出線速度よりも大きな線速度で引き取る方法などが挙げられる。
メソフェーズピッチの分子配向性を高める操作の際の温度は、メソフェーズピッチの溶融温度よりも高いことが必要であり、150~400℃であることが好ましく、180~350℃であることがより好ましい。400℃を超える場合、メソフェーズピッチの変形緩和速度が大きくなり、繊維の形態を保つことが難しくなる。
また、樹脂複合繊維の製造工程は冷却工程を有していてもよい。冷却工程としては、例えば、溶融紡糸の場合、紡糸口金の下流の雰囲気を冷却する方法が挙げられる。溶融製膜の場合、矩形口金の下流に冷却ドラムを設ける方法が挙げられる。冷却工程を設けることにより、メソフェーズピッチが伸長により変形する領域を調整でき、ひずみの速度を調整することができる。また、冷却工程を設けることにより、紡糸又は製膜後の樹脂複合繊維を直ちに冷却固化させて安定した成形を可能とする。
<樹脂複合安定化繊維>
上記のようにして得られた樹脂複合繊維は、該樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチ繊維を安定化(不融化ともいう)して樹脂複合安定化繊維が作製される。安定化は、空気、酸素、オゾン、二酸化窒素、ハロゲンなどを用いるガス気流処理、酸性水溶液などを用いる溶液処理など公知の方法で行うことができるが、生産性の面からガス気流処理による不融化が好ましい。
使用するガス成分としては、取り扱いの容易性から空気、酸素、又はこれを含む混合ガスであることが好ましく、コストの関係から空気を用いるのが特に好ましい。使用する酸素ガス濃度としては、全ガス組成の0.5~100体積%の範囲にあることが好ましい。酸素ガス濃度が全ガス組成の10体積%未満であると、樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチを安定化するのに多大の時間を要してしまうので好ましくない。
安定化の反応温度は、30~350℃が好ましく、40~300℃がより好ましい。安定化の処理時間は、10~1200分間が好ましく、10~600分間がより好ましく、30~300分間が特に好ましい。
上記安定化処理によりメソフェーズピッチの軟化点は著しく上昇するが、所望の炭素繊維を得るという目的から、メソフェーズピッチの軟化点は400℃以上となることが好ましく、500℃以上となることがさらに好ましい。
<熱可塑性樹脂除去工程>
次に、上述のようにして得られる樹脂複合安定化繊維は、その中に含まれる熱可塑性樹脂が除去されて安定化繊維が分離される。この工程では、安定化繊維の熱分解を抑制しながら、熱可塑性樹脂を分解・除去する。熱可塑性樹脂を分解・除去する方法としては、例えば、溶剤を用いて熱可塑性樹脂を除去する方法や、熱可塑性樹脂を熱分解して除去する方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂の熱分解は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。ここでいう不活性雰囲気とは、二酸化炭素、窒素、アルゴン等のガス雰囲気をいい、その酸素濃度は30体積ppm以下であることが好ましく、20体積ppm以下であることがより好ましい。本工程で使用する不活性ガスとしては、コストの関係から二酸化炭素及び窒素を用いることが好ましく、窒素を用いることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂の熱分解は減圧下で行うこともできる。減圧下で熱分解することにより、熱可塑性樹脂を十分に除去することができる。その結果、安定化繊維を炭素化又は黒鉛化して得られる炭素繊維又は黒鉛化繊維の繊維間における融着を少なくすることができる。雰囲気圧力は低いほど好ましいが、50kPa以下であることが好ましく、30kPa以下であることがより好ましく、10kPa以下であることがさらに好ましく、5kPa以下であることが特に好ましい。一方、完全な真空は達成が困難であるため、圧力の下限は一般に0.01kPa以上である。
熱可塑性樹脂の熱分解を減圧下で行う場合、上記の雰囲気圧力が保たれれば、微量の酸素や不活性ガスが存在してもよい。特に微量の不活性ガスが存在すると、熱可塑性樹脂の熱劣化による繊維間の融着が抑制される利点があり好ましい。なお、ここでいう微量の酸素とは、酸素濃度が30体積ppm以下であることをいい、微量の不活性ガスとは、不活性ガス濃度が20体積ppm以下であることをいう。用いる不活性ガスの種類は、上述したとおりである。
熱分解の温度は、350~600℃であることが好ましく、380~550℃であることがより好ましい。熱分解の温度が350℃未満である場合、安定化繊維の熱分解は抑えられるものの、熱可塑性樹脂の熱分解を十分行うことができない場合がある。一方、600℃を超える場合、熱可塑性樹脂の熱分解は十分行うことができるものの、安定化繊維までが熱分解される場合があり、その結果、炭素化時の収率が低下し易い。熱分解の時間としては、0.1~10時間であることが好ましく、0.5~10時間であることがより好ましい。
安定化工程及び熱可塑性樹脂除去工程は、樹脂複合繊維又は樹脂複合安定化繊維を、支持基材上に目付け2000g/m以下で保持して行うことが好ましい。支持基材に保持することによって、安定化処理時又は熱可塑性樹脂除去時の加熱処理による樹脂複合繊維又は樹脂複合安定化繊維の凝集を抑制することができ、通気性を保つことが可能となる。
支持基材の材質としては、溶剤や加熱によって変形や腐食を生じないことが必要である。また、支持基材の耐熱温度としては、上記の熱可塑性樹脂除去工程の熱分解温度で変形しないことが必要であることから、600℃以上の耐熱性を有していることが好ましい。このような材質としては、ステンレスなどの金属材料やアルミナ、シリカなどのセラミックス材料を挙げることができる。
また、支持基材の形状としては、面垂直方向への通気性を有する形状であることが好ましい。このような形状としては網目構造が好ましい。網目の目開きは0.1~5mmであることが好ましい。目開きが5mmよりも大きい場合、加熱処理によって網目の線上に繊維が凝集し易くなり、メソフェーズピッチの安定化や熱可塑性樹脂の除去が不十分となる場合があり好ましくない。一方、網目の目開きが0.1mm未満である場合、支持基材の開孔率の減少により、支持基材の面垂直方向への通気性が低下する場合があり好ましくない。
<炭化焼成工程>
上記安定化繊維を不活性雰囲気下で炭素化及び/又は黒鉛化することにより炭素繊維が得られる。その際に使用する容器としては、黒鉛製のルツボ状のものが好ましい。ここで、炭素化とは比較的低温(好ましくは1000℃程度)で加熱することをいい、黒鉛化とはさらに高温で加熱(好ましくは3000℃程度)することにより黒鉛の結晶を成長させることをいう。
上記安定化繊維の炭素化及び/又は黒鉛化時に使用される不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。不活性雰囲気中の酸素濃度は、20体積ppm以下であることが好ましく、10体積ppm以下であることがより好ましい。炭素化及び/又は黒鉛化時の焼成温度は、500~3500℃が好ましく、800~3200℃がより好ましい。特に黒鉛化の際の焼成温度としては、2000~3500℃が好ましく、2100~3200℃がより好ましい。黒鉛化時の温度が2000℃未満である場合、結晶成長が妨げられ、結晶子長さが不十分となり導電性が著しく低下するおそれがある。また、黒鉛化温度が3500℃を超える場合、結晶成長の点では好ましいが、炭素繊維の酸素含有量が減少する傾向がある。焼成時間は、0.1~24時間が好ましく、0.2~10時間がより好ましい。
<粉砕処理>
上記炭素繊維の製造方法は、粉砕処理工程を有していても良い。粉砕処理は、熱可塑性樹脂除去工程、及び/又は、炭化焼成工程において実施するのが好ましい。粉砕方法としては、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、インペラーミル、カッターミル等の微粉砕機を適用することが好ましく、粉砕後に必要に応じて分級を行ってもよい。湿式粉砕の場合、粉砕後に分散媒体を除去するが、この際に2次凝集が顕著に生じるとその後の取り扱いが非常に困難となる。このような場合は、乾燥後、ボールミルやジェットミル等を用いて解砕操作を行うことが好ましい。
(1-3) バインダー
本発明の電極合剤層にはバインダーを使用してもよい。用いられるバインダーとしては、電極成形が可能であり、十分な電気化学的安定性を有しているバインダーであれば用いることが可能である。係るバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、フェノール樹脂等よりなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)やカルボキシメチルセルロースやスチレンブタジエンゴム(SBR)が好ましい。バインダーとして用いる際の形態としては特に制限はなく、固体状であっても液体状(例えばエマルション)であってもよく、電極の製造方法(特に乾式混練か湿式混練か)、電解液への溶解性等を考慮して適宜選択することができる。
本発明の電極合剤層におけるバインダーの含有量は、電極合剤層の質量を基準として1~25質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。
(1-4) 正極活物質
本発明の電極合剤層は、主に非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池に好ましく使用される。以下、リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質について説明する。
本発明の正極合剤層に含まれる正極活物質としては、非水電解質二次電池において、正極活物質として知られている従来公知の材料の中から、任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。例えば、リチウムイオン二次電池であれば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有金属酸化物が好適である。このリチウム含有金属酸化物としては、リチウムと、Co、Mg、Mn、Ni、Fe、Al、Mo、V、W及びTiなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、を含む複合酸化物を挙げることができる。
具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-a、LiCo1-b、LiCoFe1-b、LiMn、LiMnCo2-c、LiMnNi2-c、LiMn2-c、LiMnFe2-c、(ここで、x=0.02~1.2、a=0.1~0.9、b=0.8~0.98、c=1.2~1.96、z=2.01~2.3である。)などからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。好ましいリチウム含有金属酸化物としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-a、LiMn、LiCo1-b(ここで、x、a、b及びzは上記と同じである。)からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。なお、xの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
上記正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該正極活物質の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、0.05~7μmであることがより好ましく、1~7μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、大電流下での充放電反応の効率が低下してしまう場合がある。
(1-5) 負極活物質
次に本発明の負極合剤層に用いられる負極活物質について説明する。
本発明の負極合剤層において用いる負極活物質としては、非水電解質二次電池において、負極活物質として知られている従来公知の材料の中から、任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。リチウムイオン二次電池の場合、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料として、例えば、炭素材料や、Si及び/又はSnを含む合金や酸化物などを用いることができる。これらの中でもコストなどの観点からは炭素材料が好ましい。上記炭素材料としては、天然黒鉛、石油系又は石炭系コークスを熱処理することで製造される人造黒鉛、樹脂を炭素化したハードカーボン、メソフェーズピッチ系炭素材料などが挙げられる。
天然黒鉛や人造黒鉛を用いる場合、電池容量の増大の観点から、粉末X線回折による黒鉛構造の(002)面の面間隔d(002)が0.335~0.337nmの範囲にあるものが好ましい。天然黒鉛とは、鉱石として天然に産出する黒鉛質材料のことをいう。天然黒鉛は、その外観と性状によって、結晶化度の高い鱗状黒鉛と結晶化度が低い土状黒鉛の2種類に分けられる。鱗状黒鉛はさらに外観が葉状の鱗片状黒鉛と、塊状である鱗状黒鉛とに分けられる。黒鉛質材料となる天然黒鉛は、産地や性状、種類は特に制限されない。また、天然黒鉛又は天然黒鉛を原料として製造した粒子に熱処理を施して用いてもよい。
人造黒鉛とは、広く人工的な手法で作られた黒鉛及び黒鉛の完全結晶に近い黒鉛質材料をいう。代表的な例としては、石炭の乾留、原油の蒸留による残渣などから得られるタールやコークスを原料にして、500~1000℃程度の焼成工程、2000℃以上の黒鉛化工程を経て得たものが挙げられる。また、溶解鉄から炭素を再析出させることで得られるキッシュグラファイトも人造黒鉛の一種である。
負極活物質として炭素材料の他に、Si及び/又はSnを含む合金を使用すると、Si及び/又はSnを単体で用いる場合やそれぞれの酸化物を用いる場合に比べ、充放電時の電極の膨張率が小さくなり、サイクル特性が良好になる。これらの中でも、Si系合金が好ましい。Si系合金としては、B、Mg、Ca、Ti、Fe、Co、Mo、Cr、V、W、Ni、Mn、Zn及びCuなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siと、の合金などが挙げられる。具体的には、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、VSi、WSi、ZnSiなどからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
負極を構成する電極合剤層においては、負極活物質として、既述の材料を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、当該負極活物質の平均粒子径は10μm以下とする。平均粒子径が10μmを超えると、大電流下での充放電反応の効率が低下してしまう。平均粒子径は0.1~10μmとすることが好ましく、1~7μmとすることがより好ましい。
2. 非水電解質二次電池用電極
第2の本発明は、上記電極合剤層が形成された非水電解質二次電池用電極(以下、単に「電極」ともいう)である。この電極は、集電体の表面に本発明の電極合剤層が形成されて成る。
本発明の電極合剤層を備える電極の作製方法としては、以下の二つの方法が一般的である。一つの方法は、上記電極活物質、上記炭素系導電助剤、好ましくはバインダー、及び必要に応じて他の成分を混合・混練し、押し出し成形によりフィルム化して、これを圧延、延伸した後、集電体と貼り合わせる方法である。
もう一つの方法は、上記電極活物質、上記炭素系導電助剤、好ましくはバインダー、バインダーを溶解する溶媒、及び必要に応じて他の成分を混合してスラリーを調製し、このスラリーを集電体表面に塗布して溶媒を除去した後、プレスを行う方法である。
本発明の場合、どちらの方法も採用できるが、後者の方法が好適であるので、以下後者の方法について詳述する。
上記スラリーにおける固形分濃度(上記スラリーの溶媒以外の成分の合計質量がスラリーの全質量に占める割合をいう。)は、10~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。固形分濃度が30質量%を超えると、均一なスラリー作製が困難である場合がある。また、固形分濃度が10質量%未満であると、スラリーの粘度が不十分であり、集電体に積層される電極合剤層の厚みが不均一になってしまう場合がある。
スラリーに用いる溶媒としては、バインダーを溶解する溶媒である限り特に制限されない。具体的には、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)、水等よりなる群から選ばれる1種類以上を挙げることができ、特にNMP、DMAc又は水が好ましい。
電極を作製する際に、スラリー中のチクソ性が強過ぎると、塗布に適した流動性を確保することが困難となる場合がある。このような場合には、スラリー化助剤を使用してもよい。スラリー化助剤としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール等よりなる群から選ばれる1つ以上を挙げることができる。特に、ポリビニルピロリドンを使用することが好適である。上記のようなスラリー化助剤を添加することにより、少ない溶媒量であっても十分な流動性を確保することができ、炭素系導電助剤の分散性も格段に向上する。また、溶媒除去後のクラックの発生も抑制できる。スラリー化助剤の添加量としては、スラリー中の溶媒以外の成分の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、0.5~8質量%であることがさらに好ましい。スラリー化助剤の添加量が10質量%を超えると、逆にスラリー粘度が急激に低下し、分散不良を生じて好適なスラリー作製が困難となる場合がある。スラリー化助剤の添加量が0.5質量%未満である場合、スラリー化助剤の効果が現れ難い。
上記スラリーは、後述する集電体の表面に塗布する。塗布方法としては、ドクターブレード等の適宜の塗布方法を採用することができる。塗布後、例えば、60~100℃、好ましくは75~85℃において、好ましくは60~180分間加熱処理することにより溶媒を除去する。その後、溶媒除去後の塗布物をプレスしても良い。本発明において好ましいプレス条件は、10~30Paの圧力下、1~5分間である。
電極を構成する集電体としては、任意の導電性材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン又は銅の金属材料を用いることができる。特に、アルミニウム、ステンレス鋼又は銅が好ましく、アルミニウム又はカーボンコートを施したアルミニウムを用いることがより好ましい。
集電体の厚みとしては、10~50μmが好ましい。
3. 非水電解質二次電池
第3の本発明は、本発明の電極(正極又は負極の何れか若しくはその両方)を含んで構成される非水電解質二次電池である。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の電極を用いるとともに、セパレータ及び電解液等を用いて構成される。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池が例示される。以下、主として本発明の非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について説明する。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の電極と、電解質を含む電解質層と、から構成され、正極の正極材料層と負極の負極材料層とが向き合い、かつ、正極材料層と負極材料層との間に電解質層が挿入されるようにして積層される。
本発明の非水電解質二次電池のセル形状は、特に限定されず、いかなる形状においても実施することができる。具体的には、例えばボタン型、円筒型、角型等のセル形状を挙げることができる。また、複数対の正負電極とセパレータが積層された内部構成とすることも好ましく、この場合、公知のスタック積層型、捲回型、折り返し積層型等の方式を採用することが可能である。本発明の非水電解質二次電池の外装材としては、例えば金属缶、アルミラミネート樹脂フィルム等を挙げることができる。本発明の非水電解質二次電池は、電極合剤層に添加されている所定の炭素繊維が直線構造を有しており、かつ高い導電性を有しているため、導電パスを形成しやすく、優れた充放電特性を得ることができる。さらに、電極強度も向上する。
(3-1) 電解質層
非水電解質二次電池を構成する電解質層としては、公知の物を用いることができる。本発明の非水電解質二次電池に用いられる電解液の25℃における電気伝導度は、1×10-2S/cm以上であることが好ましい。非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池である場合、電解質層としては、非水溶媒にリチウム塩等の電解質が溶解した非水電解液が用いられる。
一般に非水電解液は、水系の電解液に比べ耐電圧が高く、高いエネルギー密度が得られるという特徴がある。非水溶媒としては、公知のものを制限なく用いることが可能であるが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、アセトニトリル、ニトロメタン、メトキシアセトニトリル、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシプロピオニトリル、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、3-メチルスルホラン、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。これらの非水溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。電解液に用いる溶媒は、適当な沸点、融点、粘性及び比誘電率を有することが重要であり、上記の中でも特にプロピレンカーボネート又はγ-ブチロラクトンを主体とするものが好適に用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類が挙げられる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2-ベンゼンジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3-ナフタレンジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’-ビフェニルジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5-フルオロ-2-オレート-1-ベンゼンスルホン酸-O,O’)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CFSONLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CFSO)(CSO))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((CSONLi)などが挙げられる。電解質の濃度としては、0.5~2mol/Lが好ましい。電解質は、上記のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。サイクル安定性、充放電効率の向上等を目的として、電解質に公知の添加剤を添加してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いる電解液として、エチルメチルイミダゾリウム塩に代表されるイオン性液体も好適に用いることが可能であり、この場合は必ずしも前述の非水溶媒に溶解したうえで用いる必要はない。
(3-2) セパレータ
上記のような非水電解液を用いる場合、負極合剤層と正極合剤層とが直接接触することを防ぐために、セパレータを用いることが一般的である。セパレータの形状としては、紙状(フィルム状)、多孔膜状等の公知の形状を好適に採用することができる。セパレータの材質としては、例えば、セルロース、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリイミド、ポリオレフィン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンスルファイド等からなる群より選ばれる1種類以上の材質を好適に用いることができる。これらの中でも、耐熱性と薄膜化の観点から、セルロース紙、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリイミド多孔膜が好ましい。セパレータの膜厚としては、短絡防止の観点から20~100μm程度であることが好ましいが、本発明では従来のセパレータに比べて十分薄い5~20μm程度のセパレータの適用も可能である。薄いセパレータを用いた方がセパレータに由来する内部抵抗が低減されるため出力が向上し、セルのエネルギー密度も向上する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されない。実施例中の各種測定や分析は、それぞれ以下の方法に従って行った。
(1)炭素繊維等の形状確認
卓上電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式NeoScope JCM-6000)を用いて観察及び写真撮影を行った。炭素繊維等の平均繊維径は、得られた電子顕微鏡写真から無作為に300箇所を選択して繊維径を測定し、それらすべての測定結果(n=300)の平均値を平均繊維径とした。平均実効繊維長についても同様に算出した。
(2)炭素繊維のX線回折測定
X線回折測定はリガク社製RINT-2100を用いてJIS R7651法に準拠し、格子面間隔(d002)、結晶子大きさ(Lc)(六角網面積層方向)及び(La)(炭素六角網面方向)を測定した。
(3)繊維状炭素の実効繊維長
繊維状炭素を含む電極を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製TM-3000)を用いて観察し、電極を構成する電極合剤層中において繊維状炭素が丸まっていないことを確認した。その後、電極中の電極合剤層を溶媒に溶解し、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX-200)を用いて観察及び写真撮影を行った。繊維状炭素の平均実効繊維長は、写真から無作為に20箇所を選択して実効繊維長を測定し、それらのすべての測定結果(n=20)の平均値を平均実効繊維長とした。
[製造例1] <メソフェーズピッチの製造>
キノリン不溶分を除去した軟化点80℃のコールタールピッチを、Ni-Mo系触媒存在下、圧力13MPa、温度340℃で水添し、水素化コールタールピッチを得た。この水素化コールタールピッチを常圧下、480℃で熱処理した後、減圧して低沸点分を除き、メソフェーズピッチを得た。このメソフェーズピッチを、フィルターを用いて温度340℃でろ過を行い、ピッチ中の異物を取り除き、精製されたメソフェーズピッチを得た。
[製造例2] <カーボンナノファイバー(CNF)の製造>
熱可塑性樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(EVOLUE(登録商標)SP-1510、(株)プライムポリマ-製、MFR=1g/10min)84質量部及び熱可塑性炭素前駆体として製造例1で得られたメソフェーズピッチ(メソフェーズ率90.9%、軟化点303.5℃)16質量部を同方向二軸押出機(東芝機械(株)製「TEM-26SS」、バレル温度300℃、窒素気流下)で溶融混練して樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をシリンダー式単孔紡糸機を用いて紡糸し、樹脂複合繊維(ピッチを島成分として含有する海島型複合繊維)を作製した。具体的には、この樹脂組成物を溶融紡糸機により、直径が0.2mm、導入角60°の円形口金を用いて繊維径100μmの長繊維に成形した。口金温度は340℃、吐出量は3.8g/口金/時間、せん断速度は1000s-1、吐出線速度と引取り速度との比率であるドラフト比は4であった。この条件での口金内部での伸長ひずみ速度は982s-1であり、口金外部での変形領域は口金下10mmであり、伸長ひずみ速度は9s-1であった。
次に、この樹脂複合繊維を熱風乾燥機により、酸素濃度を0.7%にした雰囲気中において340℃で3時間保持することにより、樹脂複合安定化繊維を得た。
次に、この樹脂複合安定化繊維を真空ガス置換炉中に入れ、窒素置換を行った後に1kPaまで減圧した。減圧状態下で、5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃で1時間保持することにより、熱可塑性樹脂を除去して安定化繊維を得た。得られた安定化繊維をエタノール/イオン交換水混合溶媒(体積比1/1)中に加え、ミキサーで10分間粉砕することにより、安定化繊維を分散させた。得られた分散液はろ過した。この安定化繊維を流量1L/minの窒素下で、室温から1000℃まで5℃/minの条件で昇温し、1000℃到達後30分間保持することで炭化を行い、さらにアルゴンガス雰囲気下、室温から3時間で3000℃まで昇温することでカーボンナノファイバーを作製した。得られたカーボンナノファイバーは乾式ジェットミルを用いて解砕処理を行った。
得られたカーボンナノファイバーは、結晶子長さ(La)が110.8nm、(d002)が0.3372nm、(Lc)が62.3nm、平均繊維径が257nm、平均実効繊維長が16.6μmであった。
参考例1]
炭素系導電助剤としてアセチレンブラック(AB)(電気化学工業株式会社製、デンカブラック、平均粒子径35nm)を2質量部、正極活物質(LiFePO;宝泉株式会社製、SLFP-ES01)を91質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製、W#7200)を7質量部、溶媒としてN-メチルピロリドンを用いてスラリーを作製した。作製したスラリーを集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布し電極を作製した。電極を構成する電極合剤層中の炭素系導電助剤の体積含有率(25℃)は1.5%、電極合剤層の密度(25℃)は1.55g/cm、平均実効繊維長は0.1μmであった。
さらに、上記電極を正極とし、ガラス繊維不織布セパレータを介して金属リチウムと対向させ、1mol/L濃度のLiPFを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート混合溶液(3/7質量比、キシダ化学社製)からなる電解液を2032型コインセルに注入して、電池評価用のコインセルを作製して評価したところ、レート特性に優れており、リチウムイオン二次電池として有用であることがわかった。
[比較参考例1]
電極合剤層中の炭素系導電助剤の体積含有率を0.8%、電極合剤層の密度を1.58g/cmとしたこと以外は参考例1と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例1
炭素系導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Growth Carbon Fiber、平均繊維径150nm)を使用し、電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を1.5%、電極合剤層の密度を1.59g/cmとしたこと以外は参考例1と同様に操作を行い、電極を作製した。この時、電極を構成する電極合剤層中の炭素系導電助剤の平均実効繊維長は8.5μmであった。
[比較例1
電極合剤層中の炭素系導電助剤の体積含有率を0.8%、電極合剤層の密度を1.59g/cmとしたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例2
炭素系導電助剤として製造例1に記載のカーボンナノファイバー(CNF)を使用し、電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を1.5%、電極合剤層の密度を1.46g/cmとしたこと以外は参考例1と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例3
電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を0.9%、電極合剤層の密度を1.37g/cmとしたこと以外は実施例2と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例4
電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を2.1%、電極合剤層の密度を1.31g/cmとしたこと以外は実施例2と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例5
電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を1.4%、電極合剤層の密度を2.06g/cmとしたこと以外は実施例2と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例6
電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を3.2%、電極合剤層の密度を2.03g/cmとしたこと以外は実施例2と同様に操作を行い、電極を作製した。
[実施例7
炭素系導電助剤として製造例1に記載のカーボンナノファイバー(CNF)を粉砕(株式会社スギノマシン社製、スターバースト)し、平均実効繊維長5.5μmの繊維状炭素(S-CNF)とした。この繊維状炭素(S-CNF)を用い、電極合剤層中の導電助剤の体積含有率を1.4%、電極合剤層の密度を1.54g/cmとしたこと以外は参考例1と同様に操作を行い、電極を作製した。
<電極の抵抗測定>
ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工株式会社製HA-151)を用いて、実施例および比較例にて作製した電極の膜厚方向の電極抵抗を測定し、その抵抗値から算出される電極電導度を表1に示す。導電助剤の体積含有率と電極合剤層密度のどちらもが適正な範囲に入っている電極の電導度が良好であるのがわかる。
Figure 0007240801000001

Claims (7)

  1. 正極活物質と、炭素系導電助剤と、を少なくとも含む正極合剤層であって、
    前記正極合剤層の体積を基準とする前記炭素系導電助剤の体積含有率が0.9~5.0(%)であり、且つ前記炭素系導電助剤として、平均繊維径が50nm以上900nm以下の繊維状炭素を前記正極合剤層の体積を基準として0.9(%)以上含み、
    前記正極合剤層の密度が0.50(g/cm)以上2.10(g/cm)未満であることを特徴とする非水電解質二次電池用正極合剤層。
  2. 活性炭を含まない請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極合剤層。
  3. 前記繊維状炭素が、平均実効繊維長が10μm以上の繊維状炭素である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極合剤層。
  4. 前記繊維状炭素における、X線回折法で測定した結晶子長さ(La)が、110~500nmである請求項3に記載の非水電解質二次電池用正極合剤層。
  5. 厚みが50~1000μmである請求項1乃至4の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用正極合剤層。
  6. 集電体と、
    前記集電体に積層された請求項1乃至5の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用正極合剤層と、
    から成る非水電解質二次電池用正極。
  7. 請求項6に記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
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