JP7238424B2 - 電動機駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、2台のインバータで電動機を駆動する電動機駆動装置に関する。
従来、2つの電源及び2台のインバータの間に設けた1台の交流電動機を駆動する技術が知られている。例えば特許文献1に開示された交流電動機ドライブシステムは、2つの電源のうち一方を可変電圧キャパシタ電源とした構成で、発生する電動機トルク(出力)制御とキャパシタ電圧制御との干渉を排して、駆動を安定させる。
特開2015-73373号公報
特許文献1の従来技術では、2つの電源が接続された2台のインバータの駆動状態に応じて、交流電動機の出力、及び、2台のインバータ電力(又は2つの電源電力)の3つのパラメータが決まるところ、一方は電圧制御であるため、各インバータ電力だけでなく、効率まで成り行きになる。
また特許文献1の従来技術では、2電源2インバータ方式において一方のインバータを最大出力まで高め、キャパシタを前提とした他方のインバータを電圧制御とすることで、干渉を排している。しかし、この技術により安定させる対象はトルクのみであり、SOC等の電源状態が反映されるインバータ電力を安定させることについて言及されていない。特に、インバータ出力とトルクと各電力とには関係性があり、いずれか1つのパラメータのみ(例えばトルク)を満足しようとすると他の要素(例えば電力)は成り行きで決まるため、結果として、効率はおろか安定性や出力状態を不安定にさせる。
更に、一方の電源がキャパシタ(出力型電源)の構成でなく、両電源がバッテリ(容量型電源)の構成では、2電源管理が求められるとともに、低電力消費(すなわち低損失)も求められるが、その駆動状態を実現する手法に言及されていない。また、両電源がバッテリである構成に従来技術を適用しようとすると、電圧制御では、運転状況によって、各電源電力はもとより、通電電流によって決まるトルクすら実現できないおそれがある。
本発明は上述の課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、2電源2インバータの構成で、電動機のトルクを管理しつつ損失を低減するように、優先要素に応じて適切な駆動パターンを選択可能な電動機駆動装置を提供することにある。
本発明による電動機駆動装置は、2つの電源が個別に接続される2台のインバータを用いて、端点同士がオープンである2相以上の巻線(81、82、83)を有する電動機(80)の駆動を制御する。この電動機駆動装置は、第1インバータ(60)と、第2インバータ(70)と、制御部(300)と、を備える。第1インバータは、第1電源(11)から直流電力が入力され、巻線の各相に対応して設けられる複数の第1スイッチング素子(61~66)を有し、巻線の一端に接続される。第2インバータは、第2電源(12)から直流電力が入力され、巻線の各相に対応して設けられる複数の第2スイッチング素子(71~76)を有し、巻線の他端に接続される。
制御部は、トルク指令に基づき、第1インバータへの出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路(301)、及び、第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路(302)、の2つのインバータ制御回路を有する。第1インバータ制御回路又は第2インバータ制御回路の少なくとも一方は、トルクフィードバック制御により電動機のトルクを管理する「トルク管理回路」として動作する。
各インバータ制御回路は、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力するPWM制御モード、及び、電気1周期に1パルスを出力する矩形波制御モードによりインバータを駆動可能である。
制御部は、2台のインバータの両方をPWM制御モードにより駆動する「大自由度パターン」、2台のインバータの一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動する「高効率パターン」、及び、2台のインバータの両方を矩形波制御モードにより駆動する「最大出力パターン」、の3通りの駆動パターンのうちいずれかを選択するパターン選択部(305)を有する。パターン選択部は、電力調整自由度の要求、システム損失低減要求、又は、電動機の出力要求に応じて駆動パターンを選択する。
スイッチング回数が多いPWM制御モードが共に用いられる大自由度パターンは、電力調整自由度が大きく、2電源のSOC調整に適している。PWM制御モードと矩形波制御モードとを組み合わせた高効率パターンは、システム損失低減に有効である。また、電動機に高出力(トルク)が要求される場合には、共に矩形波制御モードが用いられる最大出力パターンが適している。本発明の電動機駆動装置は、制御すべき電動機トルクや2電源の電力状態を要求通りに安定して実現しながら、電力自由度、損失低減又は電動機出力から選択される優先要素に応じて、少なくとも3通りの駆動パターンが選択される。したがって、その時の運転状態に対する適応性が向上する。
本発明の第一の態様では、制御部は、現在の駆動パターンがパターン選択部により選択された駆動パターンと異なる場合、選択された駆動パターンに状態遷移させる状態遷移部(306)を有する。状態遷移部は、各電源からの入力電圧に対する各インバータもしくは電動機への印加電圧の比である電圧利用率に加え、電力分配比率もしくは電力量の要求値、又は、各インバータ制御回路の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づき状態を遷移させる。これにより、制御の乱れなく安定して状態を遷移させることができる。
本発明の第二の態様では、第1インバータ制御回路又は第2インバータ制御回路のいずれか一方は、トルク管理回路として動作し、第1インバータ制御回路又は第2インバータ制御回路の他方は、2台のインバータへ供給される電力分配比率または電力量を管理する電力管理回路として動作する。
また、PWM制御モードには、電動機の出力及び各インバータの電力量に応じて、正弦波制御モード及び過変調制御モードが含まれる。パターン選択部は、各インバータ制御回路による正弦波制御モード、過変調制御モード又は矩形波制御モードの組合せについて9通り、第1インバータ制御回路及び第2インバータ制御回路によるトルク管理回路及び電力管理回路の役割設定について2通りを乗じた計18通りの駆動パターンのうちいずれかを選択する。これにより、電力調整、損失低減、電動機出力の要求に対し狙いの性能をより適切に実現することができる。
一実施形態の電動機駆動装置が適用されるシステムの全体構成図。 一実施形態の制御部の概略構成図。 第1、第2インバータ制御回路の制御構成を記したブロック図。 パターン選択部及び状態遷移部の構成を示すブロック図。 最大トルク最小電流の電流ラインの図。 (a)PWM+PWMモード、(b)矩形+PWMモード、(c)矩形+矩形モードの作用を対比する図。 (a)1電源1インバータ方式、(b)2電源2インバータ方式での矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替を説明する図。 アクセル全開から緩めたシーンでの運転例における制御モードの遷移を示す図。 (a)切替例1の図、(b)図9(a)を補足する図。 (a)切替例2の図、(b)切替例3の図、(c)切替例4の図。 第1、第2インバータ制御回路によるトルク管理及び電力管理の役割入替を説明する概念図。 (a)役割入替例1の図、(b)役割入替例2の図、(c)役割入替例3の図。 役割入替例4の図。 「FB制御によるトルク管理」と「FF制御+電力制御による電力管理」との制御モード組合せを示す図。 矩形波制御モードとPWM制御モードとの組合せでの駆動例における制御モードの遷移を示す図。 一実施形態による処理の基本概念を示すフローチャート。 一実施形態による処理の詳細なフローチャート。 「FB制御によるトルク管理」同士での制御モード組合せを示す図。
(一実施形態)
以下、電動機駆動装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電動機駆動装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源であるモータジェネレータ(以下、「MG」)を駆動するシステムにおいて、3相交流電動機であるMGの駆動を制御する装置である。実施形態中の「MG」及び「MG制御装置」は、「電動機」及び「電動機駆動装置」に相当する。
[システム構成]
図1に、「2電源2インバータ」、すなわち、2つの電源11、12及び2台のインバータ60、70が用いられるシステムの全体構成を示す。MG80は、U相巻線81、V相巻線82及びW相巻線83を有する永久磁石式同期型の3相交流電動機である。ハイブリッド車両に適用される場合、MG80は、駆動輪を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジンや駆動輪から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する。
本実施形態のMG80は、3相巻線81、82、83の端点同士が結合されていないオープン巻線の構成である。第1インバータ60の各相出力端子は、3相巻線81、82、83の一端811、821、831に接続されており、第2インバータ70の各相出力端子は、3相巻線81、82、83の他端812、822、832に接続されている。回転角センサ85は、レゾルバ等により構成され、MG80の機械角θmを検出する。機械角θmは、制御部300の電気角演算部87で電気角θeに換算される。
第1電源11及び第2電源12は、互いに絶縁された独立した2つの電源であり、それぞれがニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の充放電可能な蓄電装置である。例えば第1電源11に出力型のリチウムイオン電池を用い、第2電源12に容量型のリチウムイオン電池を用いるというような構成であってもよい。電源11、12の電力はSOC(State Of Charge)で表される。また、電源11、12の電圧は同等であってもよく、異なっていてもよい。
2台のインバータ60、70は、2つの電源11、12から個別に直流電力が入力される。第1電源11は、第1インバータ60を経由してMG80と電力を授受可能であり、第2電源12は、第2インバータ70を経由してMG80と電力を授受可能である。第1インバータ60の出力は第1電源11の電力に等しく、第2インバータ70の出力は第2電源12の電力に等しい。
MG80は、第1インバータ60を経由して第1電源11から電力が供給され、第2インバータ70を経由して第2電源12から電力が供給される。3相巻線81、82、83の第1インバータ60側には、U相電圧VU1、V相電圧VV1、W相電圧VW1が印加される。3相巻線81、82、83の第2インバータ70側には、U相電圧VU2、V相電圧VV2、W相電圧VW2が印加される。
例えば第1インバータ60からMG80への電力経路に、3相巻線81、82、83に通電される相電流を検出する電流センサ84が設けられる。図1の例では、V相電流Iv及びW相電流Iwが検出されるが、どの2相又は3相の電流が検出されてもよい。また、電流センサ84は、第2インバータ70からMG80への電力経路に設けられてもよく、第1インバータ60及び第2インバータ70の両方の経路に設けられてもよい。
第1コンデンサ16は、高電位側配線P1と低電位側配線N1との間に接続され、第2コンデンサ17は、高電位側配線P2と低電位側配線N2との間に接続される。第1電圧センサ18は、第1電源11から第1インバータ60に入力される入力電圧VH1を検出する。第2電圧センサ19は、第2電源12から第2インバータ70に入力される入力電圧VH2を検出する。なお、各電源11、12からの入力電圧VH1、VH2に対するインバータ60、70又はMG80への印加電圧の比が「電圧利用率」である。
MG制御装置100は、第1インバータ60、第2インバータ70、制御部300及びドライブ回路67、77を備える。第1インバータ60は、巻線81、82、83の各相に対応して設けられ、ブリッジ接続される6つの第1スイッチング素子61~66を有する。スイッチング素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。第2インバータ70は、巻線81、82、83の各相に対応して設けられ、ブリッジ接続される6つの第2スイッチング素子71~76を有する。スイッチング素子71、72、73は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子74、75、76は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチング素子である。
各スイッチング素子61~66、71~76は、例えばIGBTで構成され、低電位側から高電位側へ向かう電流を許容する還流ダイオードが並列に接続されている。高電位側配線P1、P2と低電位側配線N1、N2との短絡を防止するため、各相の上アーム素子と下アーム素子とは、同時にオンせず、相補的にオンオフするように、すなわち、一方がオンのとき他方がオフするように制御される。
制御部300は、マイコン等により構成され、図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部300は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
制御部300は、トルク指令trq*及び検出値の情報に基づき、第1インバータ60への出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路301、及び、第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路302を有する。各インバータ制御回路301、302には、電気角θe、入力電圧VH1、VH2等の情報が入力される。第1ドライブ回路67は、第1インバータ制御回路301が生成した第1電圧指令に基づくゲート信号を第1インバータ60へ出力する。第2ドライブ回路77は、第2インバータ制御回路302が生成した第2電圧指令に基づくゲート信号を第2インバータ70へ出力する。
[制御部の構成]
図2に制御部300の概略構成を示す。以下の図中、インバータを「INV」と記す。第1インバータ制御回路301及び第2インバータ制御回路302は、dq制御(すなわちdq軸座標でのベクトル制御)により、それぞれ第1インバータ60及び第2インバータ70を駆動する。インバータ制御回路301、302は、個別のマイコン内にそれぞれ設けられてもよく、共通の1つのマイコン内に設けられてもよい。各インバータ制御回路301、302は、2電源2インバータのシステムとして駆動するために、独立且つ協調した電圧指令を生成する。
制御部300が取得する情報として、MG80は共通であるため、角度(具体的には電気角θe)及び3相電流の検出値は共通でよい。ただし、破線で示すように、電流センサ84や回転角センサ85が複数設けられ、各インバータ制御回路301、302が対応する検出値を取得してもよい。また、第2インバータ制御回路302は、フィードフォワード制御を行う場合、破線で示すように3相電流の検出値を取得しなくてもよい。
ところで、インバータ制御回路301、302が各インバータ60、70を駆動するためのdq制御は独立しているため、制御自由度が有る反面、各インバータ指令がMG出力(すなわちトルク)や各インバータ60、70の電力(及び電源SOC)にも影響する。その結果として、通電電流量や各インバータ60、70のスイッチング状態まで変化させてしまうため、システム損失にも影響が及ぶ。そこで本実施形態では、各インバータ制御回路301、302がトルク管理及び電力管理の役割を果たすように設定した上で、各インバータ60、70を駆動する制御モードを適切に選択し、制御の優先要素に応じた駆動の実現を図る。
本実施形態の制御部300は、少なくとも一方のインバータ制御回路がトルクフィードバック制御によりMG80のトルクを管理するトルク管理回路として動作する。図2の構成では、一方の第1インバータ制御回路301がトルク管理回路として、フィードバック制御によりトルクを実現する。また、他方の第2インバータ制御回路302が電力管理回路として、フィードフォワード制御及び電力分配制御により電力を管理する。以下の図中、「フィードバック」を「FB」、「フィードフォワード」を「FF」と記す。また、以下の明細書中、電力分配制御を単に「電力制御」とも記す。なお、第1インバータ制御回路301と第2インバータ制御回路302との役割を入れ替えてもよい。
この構成では、第1インバータ制御回路301によるフィードバック制御でトルクが指令に追従するよう外乱抑圧を補正しつつ、第2インバータ制御回路302において、指令により一意に決まるフィードバック制御により、各インバータ60、70の電力が管理される。このように、電力管理回路でインバータ電力を調整しつつ、トルク管理回路が要求トルクを実現するようフィードバック制御で外乱抑圧を補正することで、制御部300は、制御干渉なく、所望のMGトルクと各電源電力との実現を両立する。
図3にインバータ制御回路301、302の制御構成を簡易的に示す。第1インバータ制御回路301は、トルク減算器32及び制御器33を含む。トルク減算器32は、上位ECU等から入力されたトルク指令trq*と実トルクとのトルク偏差Δtrqを算出する。実トルクtrqは、直接検出されてもよく、dq軸電流の検出値に基づいて推定値が算出されてもよい。制御器33は、トルク偏差Δtrqを0に近づけるように電圧位相をPI演算し、別途演算された電流振幅と合わせて第1電圧指令を出力する。
第2インバータ制御回路302は電力制御部50を含む。電力制御部50には、第1インバータ制御回路301が生成した第1電圧指令、第2インバータ制御回路302が生成した第2電圧指令、各インバータ60、70の入力電力VH1、VH2、及び、目標電力指令として目標電力分配比率又は目標電力量が入力される。これらの情報に基づいて電力制御部50が生成した分配用の調整量は、調整量加算器36にて、フィードフォワード演算部34が出力した第2電圧指令に加算される。これにより、インバータ60、70の電力量について、目標の電力分配が実現される。
その上で制御部300は、MG出力や各電源の電力量(SOC)、又はその大小関係に応じて、システム損失が最小となるように、各インバータ制御回路301、302によりインバータ60、70を駆動する制御モードを設定する。制御モードには、正弦波制御モード、過変調制御モード及び矩形波制御モードの3通りがある。なお、各制御モードの定義や電圧利用率との関係は、モータ制御技術分野における周知技術であるため説明を省略する。
また、PWM制御モードには、MG80の出力及び各インバータ60、70の電力量に応じて、正弦波制御モード及び過変調制御モードが含まれるため、正弦波制御モード及び過変調制御モードは、まとめてPWM制御モードとして扱われる。各インバータ制御回路301、302は、PWM制御モードでは、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力し、矩形波制御モードでは、電気1周期に1パルスを出力することで、インバータ60、70を駆動する。以下の図中、PWM制御モードを「PWM」、矩形波制御モードを「矩形」と記す。
図4に示すように、本実施形態の制御部300は、各インバータ60、70を駆動する制御モードを適切に設定するための構成として、パターン選択部305及び状態遷移部306を含む。パターン選択部305は、MG出力要求、電力調整要求、損失低減要求、電源SOC等の情報が入力される。これらの情報は、破線で示すように、インバータ制御回路301、302を経由して入力されてもよい。パターン選択部305は、これらの情報に基づき、後述するように、大分類3通りの駆動パターン、又は、小分類18通りの駆動パターンのうちいずれかを選択する。
状態遷移部306は、現在の駆動パターンがパターン選択部305により選択された駆動パターンと異なる場合、トルクや電力を変動させることなく、選択された駆動パターンに状態遷移させる。状態遷移部306は、電圧利用率、電力分配比率もしくは電力量の要求値、各インバータ制御回路301、302の制御モードもしくは電圧指令ベクトルの情報を取得し、これらの情報に基づき、状態を遷移させる。これにより、不適な矩形停滞の維持が回避され、必要な時に狙いの状態が実現される。なお、「矩形停滞」の意味は後述する。
また状態遷移部306は、選択された駆動パターンに基づき、第1インバータ制御回路301及び第2インバータ制御回路302によるトルク管理回路及び電力管理回路の役割を入れ替えることで、次に起こり得る駆動状態を実現する。さらに状態遷移部306は、各インバータ60、70の電力量、又は、各インバータ制御回路301、302の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づいて判断したタイミングで、トルク管理回路及び電力管理回路の役割を入れ替える。
[高効率駆動原理]
次に図5、図6を参照し、MG駆動における高効率駆動原理について説明する。高効率駆動原理の第1は、図5に示すように、指令トルクを最大トルク最小電流で実現することである。周知の通り、最大トルク最小電流ラインは、dq軸電流座標におけるId<0、Iq>0の領域で、原点から立ち上がり、等トルクライン上の電流最小となる点を結ぶ線として描かれる。要求トルクに応じて、最大トルク最小電流ラインに沿って電流指令ベクトルが決定されることで、最小電流で要求トルクが実現される。これにより、MGの銅損や、スイッチング及び導通によるインバータ損失が小さくなる。
高効率駆動原理の第2は、最小電流を少ないスイッチング回数で実現することである。スイッチング回数が少ないと、インバータのスイッチング損失が小さくなる。高効率駆動原理の第3は、MG印加電圧のマルチレベル化(多段化)である。例えば特開2017-175700号公報には、2台の3相インバータの動作を組み合わせて5レベルの巻線端電圧を切り替える電圧マルチレベル化の技術が開示されている。マルチレベル化は、2台のインバータ60、70が非対称、すなわち完全反転でないパルスを出力することで実現される。MG80への印加電圧がマルチレベル化するほど、印加電圧のパルス波形は正弦波に近づき、電流リプルが低減する。リプルが低減すると高調波成分が減少し、MG鉄損が小さくなる。
本実施形態では、2台のインバータ60、70を駆動する制御モードの選択に応じて、MG80の高効率駆動を実現する。なお、本実施形態では、説明の都合上、両電源11、12の電源電圧が同等であることを前提として制御モードを選択するが、他の実施形態では電源電圧の関係は同等に限らない。ここで、通電する電流量、特性を実現する制御モードには、各インバータ60、70につき、正弦波制御モード、過変調制御モード及び矩形波制御モードの3通りがあり、2台のインバータ60、70の制御モードの組合せにより計9通りの駆動パターンができる。さらに、2つのインバータ制御回路301、302によるトルク管理回路及び電力管理回路の役割の入替を含めると、2電源2インバータ方式の構成では、(9×2=)計18通りの駆動パターンが使用可能である。
また、正弦波制御モード及び過変調制御モードは、まとめてPWM制御モードとして扱うことができる。PWM制御モード又は矩形波制御モードの2択の組合せで整理すると、2台のインバータ60、70の駆動パターンは、大きく次の3通りとなる。
(1)2台のインバータ60、70の両方をPWM制御モードにより駆動するパターン
(2)2台のインバータ60、70の一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動するパターン
(3)2台のインバータ60、70の両方を矩形波制御モードにより駆動するパターン
以下の説明において区別が必要な場合、便宜上、3通りの駆動パターンを「大分類3通りの駆動パターン」といい、上記18通りの駆動パターンを「小分類18通りの駆動パターン」という。大分類(1)の駆動パターンには8通り、大分類(2)の駆動パターンには8通り、大分類(3)の駆動パターンには2通りの小分類の駆動パターンが含まれる。続いて、大分類3通りの駆動パターンの特性と選択について説明し、その後、選択された駆動パターンへの切替について、PWM制御モード及び矩形波制御モードの2択を基本として説明する。そして、明細書の最後の方で、PWM制御モードを正弦波制御モードと過変調制御モードとに分け、小分類18通りの駆動パターンの性能比較について説明する。なお、本明細書では、動詞の「切り替える」、「入れ替える」には送り仮名を付し、名詞の「切替」、「入替」には送り仮名を付さないで表記する。
<大自由度パターン>
図6(a)に、2台のインバータ60、70の両方をPWM制御モードにより駆動するパターンを示す。PWM制御モードは、スイッチング回数(図中「SW回数」)は多いが、電力分配の微調整が可能であり、電力の大小関係、具体的には電源のSOCの大小関係を変えられる。つまり、電力調整の自由度が大きい。そこで、この駆動パターンを「大自由度パターン」という。大自由度パターンは、2つの電源11、12のSOC調整を優先したい場合、例えば均等に電力を使用したい場合に有効である。
<高効率パターン>
図6(b)に、2台のインバータ60、70の一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動するパターンを示す。矩形波制御モードとPWM制御モードとの組合せでは、大自由度パターンに比べてスイッチング回数が少なく、高効率、低損失である。そこで、この駆動パターンを「高効率パターン」という。矩形波制御モードで駆動されるインバータの電力は、PWM制御モードで駆動されるインバータの電力よりも大きい。つまり、電力大小関係が一意に決まるため、電力自由度は小さい。
高効率パターンは、効率を優先したい場合、例えば一方の電源のSOCに余裕があり、その一方側の電力量を多く使用できる場合に有効である。なお、電力大小関係が一意に決まるという点に関し、矩形波制御モードで駆動するインバータとPWM制御モードで駆動するインバータとを交互に切り替えながら、長期的に電力を均等化するように使用することも可能である。ただし、一時的な電力の偏りを許容することが前提となる。また、矩形波制御モードとPWM制御モードとを組み合わせる高効率パターンでは、両インバータが常に異なるパルスを出力するため、マルチレベル化に有効である。
<最大出力パターン>
図6(c)に、2台のインバータ60、70の両方を矩形波制御モードにより駆動するパターンを示す。この駆動パターンはスイッチング回数が最少であり、MG80が最大のトルクを出力することができるため、「最大出力パターン」という。最大出力パターンは、MG80を高出力域で駆動する場合に有効である。
このように、本実施形態のパターン選択部305は、電力調整自由度の要求が優先されるときは大自由度パターン、システム損失低減要求が優先されるときは高効率パターン、高出力域でのMG出力要求が優先されるときは最大出力パターン、というように3通りの駆動パターンのうちいずれかを選択する。
[2電源2インバータ方式特有の課題-矩形停滞]
次に図7、図8を参照し、一方のインバータ制御回路における矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替時に発生する、2電源2インバータ方式特有の課題について説明する。まず対比のため、図7(a)に、1電源1インバータ方式でのMG出力要求減少時における矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替挙動を示す。dq軸電流座標に実線で示す指令ラインは最大トルク最小電流ラインである。破線で示す切替ラインは、矩形波制御モードでの出力電圧が過多となり矩形出力不要となったためPWM制御モードへ切り替えるラインであり、指令ラインに対しマージン分だけ遅角側に設定される。
1電源1インバータ方式では、「MG出力=インバータ出力=電源電力」の関係にあるため、正弦波、過変調、矩形波のどの制御モードになるかはMG80の駆動状態によって一意に決まる。矩形波制御モードにおけるインバータ電流は、指令ラインに対し弱め界磁状態となる進角側に位置するように制御され、MG出力要求が減少すると遅角側に、すなわち指令ラインに近づくように移動する。矩形1パルス電圧による出力が要求に対し電圧過多となると、実電流は一時的に指令ラインを跨ぎ、弱め界磁状態から一転して強め界磁状態となる遅角側に変化する。そして実電流が切替ラインに達したことが判定されると、矩形波制御モードからPWM制御モードに切り替えられる。
これに対し図7(b)に示すように、2電源2インバータ方式では、第1インバータ60及び第2インバータ70の出力、制御は独立しており、一方が矩形波制御モードでも他方が矩形波制御モードであるとは限らない。また、制御モード切替のタイミングも必ずしも一致しない。例えば、第1インバータ制御回路301がトルクフィードバック制御方式による矩形波制御モードで動作しており、第2インバータ制御回路302が電流フィードバック制御方式によるPWM制御モードで動作している場合を想定する。
PWM制御モードは、矩形波制御モードよりスイッチングパルス数が多いため、制御自由度及び応答性に優れている。したがって、第2インバータ制御回路302は、他方の第1インバータ制御回路301が矩形波制御モードで動作していることに関係なく電流指令ラインをトレースする。これに起因し、MG出力要求が減少しても第1インバータ制御回路301が矩形波制御モードからPWM制御モードに遷移できない事象が発生する。このように、一方のインバータ制御回路が電流フィードバック制御方式によるPWM制御モードで動作している場合、矩形波制御モードで動作している他方のインバータ制御回路がPWM制御モードに遷移できず、矩形波制御モードに停滞する事象を「矩形停滞」という。
矩形停滞の具体的要因の一つ目は、制御や機器のばらつき、すなわち2台のインバータ60、70の現実的な差異によるものである。例えば、2マイコンの構成、割込タイミング、インバータ、複数センサの機差バラつき等の影響により、理想的には電流を共有していても、切替時に応答が遅れる側のインバータの矩形が切替ラインを跨ぎ切れない場合がある。
図7(b)において、制御や機器のばらつきの影響で、第1インバータ電流及び第2インバータ電流の認識値は必ずしも共通にならない。例えば第1インバータ電流が第2インバータ電流よりも先に指令ラインを跨ぎ、切替ラインに達したと仮定する。すると、第1インバータ制御回路301では、矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替判定が成立し、指令ラインに沿った制御に移行する。一方、第2インバータ電流が切替ラインに達する前に第1インバータ制御回路301が指令ラインでの制御に移行するため、第2インバータ制御回路302は、矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替判定が成立しない。この挙動は、図7(b)の(*)部に示される。
このように一方のインバータ制御回路が電流フィードバック制御方式によるPWM制御モードで指令ラインを維持し続ける限り、矩形波制御モードで駆動しているインバータ側では切替ラインに到達する機会が失われ、矩形波制御モードからPWM制御モードへ戻ることができなくなる。こうして、意図せず矩形波制御モードが維持された場合、MG出力に対し、一方の矩形出力が不要となるレベルにまでトルクや回転数が低下して出力が下がると、矩形出力電圧を打ち消すように電流フィードバック制御が働く。そのとき、印加電圧の差により出力電圧を打ち消すことができなければ、過電流が生じ、トルク変動や機器故障に繋がるという弊害が発生する。
矩形停滞の具体的要因の二つ目は、MG駆動システムの使い方に起因する各インバータ出力(または電源電力)の偏りによるものである。トルクフィードバック制御によりトルクが指令に追従し、MG出力が要求通り実現されたとしても、2電源電力のSOCが調整される場合がある。第1電源11側のSOCを減らして第2電源12側のSOCを増やす(SOC1<SOC2)ように調整された場合、トルク管理回路がフィードバック制御であり、電力管理回路がフィードフォワード制御及び電力制御である図2の構成に依らず、第2インバータ70の出力は押し上げられて再び矩形波制御モードになる。その状態で、第1インバータ60が電流フィードフォワード制御方式によりPWM制御モードで駆動されれば、指令ラインで制御されるため、第2インバータ電流は切替ラインに達する機会が失われる。
図8に、アクセル全開状態から緩めたシーンでの運転例における制御モードの遷移を示す。段階Iでは、第1インバータ60及び第2インバータ70は矩形波制御モード同士で駆動され、最大出力且つ電力均等の状態である。このとき、各インバータ60、70の均等な電力をPeqとすると、MG電力はPeqの2倍に相当する。段階IIでは、MG出力が低下し、両方のインバータ60、70が電力均等状態を維持しつつ、PWM制御モードに移行する。
段階IIIではMG出力が更に低下する。このとき、SOCの調整により第2インバータ70の出力が押し上げられると、第2インバータ70側が再び矩形波制御モードになり、電圧過多の状態となる。しかし、上述のように、第2インバータ電流は切替ラインに達する機会が失われるため、過電流が生じるおそれがある。
[制御モードの切替]
制御モードの切替時において、上述の矩形停滞の状態を脱し、矩形波制御モードからPWM制御モードへ切り替わることを「矩形脱出」という。状態遷移部306は、矩形波制御モードで動作しているインバータ制御回路が指令ラインに常時制御されていたとしても、必要な時に「矩形脱出」させるように駆動状態を遷移させる。
図9、図10に、矩形波制御モードで動作しているインバータ制御回路を最大トルク最小電流から矩形脱出させ、PWM制御モードに切り替える切替方法の例を列挙する。図9以下、[1]は第1インバータ60又は第1インバータ制御回路301を示し、[2]は第2インバータ70又は第2インバータ制御回路302を示す。
状態遷移部306は、電圧利用率に加え、各インバータ制御回路301、302の制御モード、電力分配比率もしくは電力量の要求値、又は電圧指令ベクトルに基づき駆動状態を遷移させる。各切替例では、第2インバータ制御回路302が電流フィードバック制御方式によるPWM制御モードで動作しており、第1インバータ制御回路301が矩形波制御モードから矩形脱出してPWM制御モードに切り替えられる。
図9(a)に示す切替例1では、状態遷移部306は、各インバータ60、70の電圧利用率及び電力要求値に基づき切替を判定する。切替前の第1インバータ60及び第2インバータ70の電力要求値の比をX:Yとし、第2インバータ70の電圧利用率をVuf2とすると、MG80の電圧利用率Vuf_MGは、「{(X+Y)/Y}×Vuf2」の式により算出される。なお、電力要求値は、電力指令でもよく、演算可能な実電力量でもよい。
状態遷移部306は、MGの電圧利用率Vuf_MGが減少し矩形脱出判定閾値を下回ったとき、矩形波制御モードを継続不要と判断し、第1インバータ制御回路301をPWM制御モードに切り替える。ここで、制御のハンチングを防ぐため、判定閾値にマージンを設定することが好ましい。つまり、状態遷移部306は、MGの電圧利用率Vuf_MGが判定閾値からマージンを差し引いた値を下回ったとき、切替時のハンチングのおそれがないと判断し、矩形波制御モードからPWM制御モードへの切替を実行する。
ここで図9(b)を参照し、切替例1について第1インバータ60の電力変調度の視点から補足する。切替前、第1インバータ60及び第2インバータ70の制御変調度は共に矩形波制御モードの値である。MG駆動中に出力要求が減少し、両方のインバータ60、70による矩形出力が不要となったタイミングtrに第2インバータ70の制御変調度が減少し始める。一方、第1インバータ60は矩形停滞の状態となる。
その後、第1インバータ60の電力変調度がPWM切替閾値まで低下したタイミングtxに、状態遷移部306は、第1インバータ制御回路301を矩形停滞からPWM制御モードに切り替える。タイミングtx以降の「第1インバータ電力変調度」は、矩形停滞からPWM制御モードに切り替えた後に電力分配制御を実行した場合の変調度を示す。切替以降に電力制御により電力分配要求を実現したとしても、第1インバータ60がPWM制御モードから再び矩形波制御モードに切り替わって停滞する不適な制御が抑制される。
要するに状態遷移部306は、第1インバータ60がPWM制御モードから再び矩形波制御モードに切り替わることを防ぐ。そのために状態遷移部306は、電力分配状態を示す諸量と、矩形停滞させているPWM制御モード且つフィードバック制御側の第2インバータ70の電圧利用率とから、矩形停滞側の第1インバータ60が現在又は直後に負担する電力量で、矩形波制御モードに再び移る可能性があるか否かを判定する。
図10(a)に示す切替例2では、状態遷移部306は、各インバータ制御回路301、302の制御モード、及び、各インバータ60、70の電圧利用率に基づき切替を判定する。切替前、矩形波制御モードで駆動される第1インバータ60の電圧利用率は一定値Vuf0に維持されており、PWM制御モードで駆動される第2インバータ70の電圧利用率は、MG出力減少に伴ってVuf0から漸減する。そして、第2インバータ70の電圧利用率が閾値Vuf_thに達したタイミングtxで第1インバータ制御回路301が矩形波制御モードからPWM制御モードに切り替えられる。電圧利用率の閾値Vuf_thは、第1インバータ60がそれ以上矩形波制御モードで駆動されると電圧過多になる限界値に設定される。
図10(b)に示す切替例3では、状態遷移部306は、各インバータ60、70の電力量に基づき切替を判定する。切替タイミングtx前後の挙動は切替例2と同様である。第2インバータ70の電力量がPwr0から漸減し、電力量閾値Pwr_thに達したタイミングtxで第1インバータ制御回路301が矩形波制御モードからPWM制御モードに切り替えられる。電力量閾値Pwr_thは、例えば、ゼロを含む十分に小さい値、又は負の値に設定される。
ここで、インバータ60、70の視点での出力電圧とMG80の視点での出力電圧とを区別し、それらの関係について説明する。本実施形態では1台のMG80を制御対象とするため、制御対象に視点を合わせ、各インバータ60、70をMG視点の制御方式で制御するものとし、以下、その前提で説明する。ただし本技術の特性上、視点を限定する必要は無い。すなわち、制御対象のMG視点に合わせるのでなく、インバータ視点で各インバータ60、70を制御してもよい。その場合、次に説明するインバータ電力を算出する上での補正比や、後述の各種判定手段に対する補正比の使用は不要となる。
インバータ視点での出力電圧は、各インバータ60、70の電圧振幅Vamp1、Vamp2と同義の値、又は、換算係数を乗じた値となる。したがって、第1インバータ60の出力電圧Vamp1及び第2インバータ70の出力電圧Vamp2は、各電源11、12から入力される入力電圧VH1、VH2に基づき、式(1.1)、(1.2)により把握可能である。|Vdq1|、|Vdq2|は、それぞれ、合計入力電圧が(VH1+VH2)の時の第1インバータ60及び第2インバータ70に対応するMG80の視点での出力電圧である。また、分母の(VH1+VH2)はMG80の視点での最大印加電圧であり、分子のVH1、VH2は、各インバータ60、70自身が印加する最大電圧である。分数部分は、各インバータ60、70の補正比K1、K2と定義される。
Figure 0007238424000001
また、第1インバータ60の電力Pwr1及び第2インバータ70の電力Pwr2は、式(2.1)、(2.2)により、電圧と電流と力率との積で表される。式中、Vamp1、Vθ1は第1インバータ60の電圧振幅及び電圧位相、Vamp2、Vθ2は第2インバータ70の電圧振幅及び電圧位相である。Iamp、Iθは共通の電流振幅及び電流位相である。電圧位相と電流位相との差(Vθ1-Iθ)、(Vθ2-Iθ)は力率角に相当する。MG80の電力Pwr_MGは、式(2.3)により、第1インバータ60の電力Pwr1及び第2インバータ70の電力Pwr2の和で表される。
Figure 0007238424000002
また、各インバータ60、70の電力Pwr1、Pwr2は、補正比K1、K2、dq軸電流Id、Iq、第1インバータ60のdq軸電圧Vd1、Vq1、及び第2インバータ70のdq軸電圧Vd2、Vq2に基づき、式(3.1)、(3.2)で表される。したがって、式(2.1)、(2.2)と式(3.1)、(3.2)との関係から各インバータ60、70の電力が把握可能である。
Figure 0007238424000003
図10(c)に示す切替例4では、状態遷移部306は、各インバータ制御回路301、302の電圧指令ベクトルの関係により切替を判定する。左側の図の状態から出力が低下し、第1インバータ制御回路301による矩形波制御の出力電圧が過多になると、第2インバータ制御回路302の電圧指令ベクトルは、矩形波制御の電圧過多を打ち消す挙動として、d軸電圧Vdが正、又は、q軸電圧Vqが負となる領域に移動する。このとき、電圧位相が反転する変曲点の発生が検出され、切替判定に利用される。
[インバータ制御回路の役割の入替]
次に図11を参照し、第1インバータ制御回路301及び第2インバータ制御回路302によるトルク管理回路及び電力管理回路の役割入替について説明する。第1電源11のSOCが第2電源12のSOCより高く、第1インバータ60の電力に余裕がある場合、図の上側に示すように、第1インバータ制御回路301がトルク管理回路、第2インバータ制御回路302が電力管理回路として役割設定される。一方、第2電源12のSOCが第1電源11のSOCより高く、第2インバータ70の電力に余裕がある場合、図の下側に示すように、第1インバータ制御回路301が電力管理回路、第2インバータ制御回路302がトルク管理回路として役割設定される。
2通りの役割設定に対し、優先要素に応じてそれぞれ大分類の3通りの駆動パターンが切り替えられる。電力自由度が優先される場合、トルク管理回路は、PWM制御モードでフィードバック制御を行い、電力管理回路は、PWM制御モードでフィードフォワードの電力分配制御を行う。高効率(すなわち低損失)が優先される場合、トルク管理回路は、矩形波制御モードで動作し、電力管理回路は、PWM制御モードでフィードフォワードの電力分配制御を行う。最大出力が優先される場合、トルク管理回路、電力管理回路ともに矩形波制御モードで動作する。
図の左側の両方向実線矢印は、「矩形-矩形」の駆動パターン同士で2つのインバータ制御回路の役割を入れ替える操作を示す。また、両方向破線矢印は、「PWM-PWM」の駆動パターン同士で2つのインバータ制御回路の役割を入れ替える操作を示す。このように、インバータの駆動状態に応じて2つのインバータ制御回路の役割を入れ替えることで小分類18通りの駆動パターンが実現される。これにより、一方のインバータ制御回路が矩形波制御モード、他方のインバータ制御回路がPWM制御モードで動作している状態において、最大トルク最小電流となる指令ラインを維持するように制御可能となる。
図12、図13に、状態遷移部306によりトルク管理回路と電力管理回路との役割を入れ替える操作において、入替の瞬間にインバータ60、70及びMG80の変動が無く安定して駆動する入替方法の例を列挙する。図中、「トルク」はトルク管理回路、「電力」は電力管理回路を意味する。以下の例に示すように、状態遷移部306は、各インバータ60、70の電力量、又は、各インバータ制御回路301、302の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づいて判断したタイミングで、トルク管理回路及び電力管理回路の役割を入れ替える。
図12(a)に示す入替例1では、入替前に、第1インバータ制御回路301がトルク管理回路、第2インバータ制御回路302が電力管理回路としてPWM制御モード同士で動作している。第1インバータ60の電力量はA[W]から漸減し、第2インバータ70の電力量はB[W](<A[W])から漸増する。そして、各インバータ60、70の電力量が共に(A+B)/2[W]で等しくなったタイミングtxxに役割が入れ替えられ、第1インバータ制御回路301が電力管理回路、第2インバータ制御回路302がトルク管理回路となる。入替例1では、インバータ60、70及びMG80の瞬間的な電力が担保される。
図12(b)に示す入替例2では、入替前に、第1インバータ制御回路301がトルク管理回路、第2インバータ制御回路302が電力管理回路としてPWM制御モード同士で動作している。第1インバータ制御回路301の出力が増加し、PWM制御モードから矩形波制御モードに切り替わったタイミングtxxに役割が入れ替えられ、第2インバータ制御回路302がトルク管理回路となる。第1インバータ制御回路301は電力管理回路又はトルク管理回路のどちらとして動作してもよい。入替例2では、一方が矩形波制御モードであっても指令ラインを維持する処置が実現される。
図12(c)に示す入替例3では、入替前に、第1インバータ制御回路301がトルク管理回路、第2インバータ制御回路302が電力管理回路として矩形波制御モード同士で動作している。第1インバータ60の電力量A[W]及び第2インバータ70の電力量B[W]は同等である。動作中のあるタイミングtxxに、各電源11、12のSOC大小に基づき役割が入れ替えられ、第1インバータ制御回路301が電力管理回路、第2インバータ制御回路302がトルク管理回路となる。
また、あるタイミングtdnからMG出力が低下すると、第2インバータ70の電力量はB[W]からBB[W]に低下し、第2インバータ制御回路302はPWM制御モードに切り替わる。一方、第1インバータ60の電力量はA[W]からAA[W]となり、第1インバータ制御回路301は矩形波制御モードで動作する。このように入替例3では、矩形波制御モードからの脱出後の事前準備として役割が入れ替えられる。
図13に示す入替例4では、各インバータ制御回路301、302の電圧指令ベクトルが常時共有されており、状態遷移部306は、任意のタイミングで指令を交換することで各インバータ制御回路301、302の役割を入れ替える。入替例4では、役割を強制的に入れ替えることができる。
[制御モード組合せの性能比較]
図14に、第1インバータ制御回路301がトルク管理回路としてフィードバック制御を行い、第2インバータ制御回路302が電力管理回路としてフィードフォワード制御且つ電力制御を行う構成における、9通りの制御モードの組合せによる性能の違いを示す。図中の記号「◎」は非常に良いこと、「○」は良いこと、「△」は劣ること、「×」は非常に劣ることを意味する。「=」、「>」は、性能の優劣を等号又は不等号で表現する。図の左上と右下とを結ぶ対角線に対し、右上の欄と左下の欄とは対称の関係にある。
第1インバータ60の出力(=第1電源11の電力)が小さいとき正弦波制御モード、中間のとき過変調制御モード、大きいとき矩形波制御モードが選択される。また、第2インバータ70の出力(=第2電源12の電力)が小さいとき正弦波制御モード、中間のとき過変調制御モード、大きいとき矩形波制御モードが選択される。
正弦波制御モード同士の組合せでは、電力自由度は大きく、スイッチング回数は最多である。正弦波制御モードと過変調制御モードとの組合せでは、電力自由度は中であり、スイッチング回数は少ない。正弦波制御モードと矩形波制御モードとの組合せ、及び、過変調制御モード同士の組合せでは、電力自由度は小さく、スイッチング回数は少ない。過変調制御モードと矩形波制御モードとの組合せでは、電力自由度はほぼ無く、スイッチング回数はほぼ最少である。
矩形波制御モード同士の組合せでは、電力自由度は無く、スイッチング回数は最少である。補足すると、矩形波制御モード同士の組合せでは、第1インバータ60、第2インバータ70ともに出力が大きくMG出力は最大となる。ただし、指令電流は、最大トルク最小電流ラインよりも進角側の弱め界磁領域に設定されるため、トルクに対する必要電流は最小とならない。
ここで、第1インバータ60を矩形波制御モード、第2インバータ70をPWM制御モードで駆動する例における制御モードの遷移を図15に示す。段階Iでは、第1インバータ60及び第2インバータ70はPWM制御モード同士で駆動され、出力電力は均等の状態である。このとき、各インバータ60、70の均等な電力をPeqとすると、MG電力はPeqの2倍に相当する。
段階IIでは、第1インバータ60が矩形波制御モードとなるように、第2インバータ制御回路302がPWM制御モードで電力制御を行う。これにより、第1インバータ60の出力は増加し、その分、第2インバータ70の出力は減少する。段階IIIでは、MG出力が低下する。このとき、第2インバータ制御回路302は、MG出力が変化しても第1インバータ60が矩形波制御モードを維持するように電力制御を行う。
[処理のフローチャート]
図16のフローチャートに、本実施形態の制御部300による処理の基本概念を示す。フローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。S01で制御部300は、MG80の駆動状態を把握する。具体的には各インバータ60、70の役割、MG出力、制御電流や電圧、制御状態等を把握する。なお、これらの情報は、通常制御に使用される制御量の情報で代用されてもよい。S02では、MG駆動制御における優先要素として、(1)2電源の電力調整に係る大自由度、(2)高効率(すなわち低損失)、(3)最大出力の実現、のいずれを優先するか決定される。
S03でパターン選択部305は、制御モードの組合せについて9通り、インバータ制御回路301、302によるトルク管理回路及び電力管理回路の役割設定について2通りを乗じた計18通りの駆動パターンから、いずれか1パターンを選択する。S04で状態遷移部306は、現在の駆動パターンがパターン選択部305により選択された駆動パターンと異なる場合、選択された駆動パターンに状態遷移させる。
図17のフローチャートに処理の詳細を示す。S11で制御部300は、上位の車両制御回路等からMG80への要求トルクを取得する。続くS12~S20は、パターン選択部305により、18通りの駆動パターンからいずれか1パターンを選択するステップである。S13、S15、S17、S18における(×1)、(×4)、(×2)は、そのステップで規定される制御モード組合せのパターン数を示す。
S12ではMG80の駆動が高出力域であるか判断され、YESの場合、S13に移行し、NOの場合、S14に移行する。S13では、1通りの「[1]:矩形、[2]:矩形」の組合せにより最大出力の実現が選択される。S14では電力調整の優先要求があるか、すなわち2電源のSOCを均等化するように調整する優先的な要求があるか判断される。S14でYESの場合、S15に移行し、NOの場合、S16に移行する。S15では、「[1]:PWM、[2]:PWM」の組合せにより積極的な電力調整が選択される。「[1]:PWM、[2]:PWM」の組合せは、各インバータにつき正弦波制御モード又は過変調制御モードが選択されるため4通りである。
S16では、第1電源11の電力優先使用の要求があるか判断される。第1電源11のSOCが第2電源12のSOCより大きく、第1電源11の電力を優先して使用する場合、YESと判断され、S17に移行する。逆に第2電源12のSOCが第1源11のSOCより大きく、第2電源12の電力を優先して使用する場合、NOと判断され、S18に移行する。
S17では「[1]:矩形、[2]:PWM」の組合せにより、また、S18では「[1]:PWM、[2]:矩形」の組合せにより、高効率運転が選択される。つまり、電力に余裕の有る電源側のインバータ制御回路は、電力がより多く使われる矩形波制御モードで動作し、電力に余裕の無い電源側のインバータ制御回路は、PWM制御モードで動作して過不足調整する。「[1]:矩形、[2]:PWM」及び「[1]:PWM、[2]:矩形」の組合せは、PWM制御モードとして正弦波制御モード又は過変調制御モードが選択されるため各2通りである。ここまでで計9通りの駆動パターンが選択される。
S19では、第1インバータ制御回路301においてフィードバック制御でのトルク管理の要求があるか判断される。S19でYESの場合、パターン選択部305は、S20で、第1インバータ制御回路301をトルク管理回路に、第2インバータ制御回路302を電力管理回路に役割設定する。S19でNOの場合、パターン選択部305は、S21で、第1インバータ制御回路301を電力管理回路に、第2インバータ制御回路302をトルク管理回路に役割設定する。こうして、S18までに規定される計9通りに、インバータ制御回路の役割設定について2通りが乗じられ、駆動パターンは計18通りとなる。
次にS22では、選択された駆動パターンへの状態遷移が状態遷移部306により実行される。S23で制御部300は、要求を達成するように電圧指令を演算し、インバータ駆動信号を生成する。以上のように、本実施形態では、制御すべきMGトルクや2電源の電力状態を要求通りに安定して実現しながら、複数の駆動パターンの中から、優先要素に応じて電力自由度の大きいパターンや損失最小となるパターンを選択することができる。
[インバータ制御回路の役割構成に関する変形例]
上記の基本的な実施形態では、一方のインバータ制御回路がトルク管理回路として、他方のインバータ制御回路が電力管理回路として動作し、その構成における制御モードの組合せは図14に記される。これに対し、両方のインバータ制御回路がトルク管理回路としてフィードバック制御を行う役割構成における制御モードの組合せを図18に示す。図中の記号は図14に準ずる。
ここで、PWM制御モードである正弦波制御モード又は過変調制御モード同士の組合せは、主に電力調整を目的として選択されるものである。すなわち、フィードバック制御同士ではなく、フィードバック制御及び電力制御を基本とするものであるため除外される。矩形波制御モード同士の場合、トルク実現のため、少なくとも一方はフィードバック制御である必要がある。また、矩形波制御モード同士の組合せは、主に最大出力を目的として選択されるものであり、「フィードバック制御+電力制御」、又は、フィードバック制御同士のどちらでもよい。いずれの場合もスイッチング回数は最少となる。
正弦波制御モードと矩形波制御モードとの組合せでは、電力は成り行きとなり、スイッチング回数は少ない。過変調制御モードと矩形波制御モードとの組合せでは、電力は成り行きとなり、スイッチング回数は最少である。これらの組合せにおいて、電源電圧が同じ場合、矩形波制御モードの方が電力量は大きくなるため、2台のインバータ60、70の電力量の大小関係は把握可能である。また、電源電圧が異なる場合でも、両電源電圧の比率を補正することで実際に即した電力量の大小比較が可能となる。
ここで、「フィードバック制御によるトルク管理」同士の構成の意味合いについて説明する。電気1周期中のスイッチング回数が多いことや制御周期の違いにより、PWM制御モード(特に正弦波制御モード)では、矩形波制御モードに比べ制御応答性が向上する。制御部300は、この特性を利用して、矩形波制御モード側がフィードバック制御であっても、高速制御するPWM制御モードでのフィードバック制御により、最適な(例えばトルク最小となる)電流指令となるように、意図的に「矩形停滞」を発生させる。これにより、要求トルクを満足しながら、一方のインバータを矩形波制御モードで駆動したまま、PWM制御モードでのフィードバック制御により最適電流を自動的に実現し続けることが可能となる。つまり、2電源2INV特有の「矩形停滞」事象を活用することができる。
(その他の実施形態)
(a)状態遷移部306による制御モードの切替、又は、2つのインバータ制御回路の役割入替の具体的な手段は、図9、10、12、13に例示した手段に限らず、それ以外の手段が用いられてもよい。また、制御モードの切替時におけるMGトルクや電力変動を問題としない場合、状態遷移部306を設けず、パターン選択部305が選択した駆動パターンに常に強制的に入れ替えるようにしてもよい。
(b)独立した2電源が用いられる構成において、各電源は、両方ともバッテリやキャパシタで代表される二次電池である構成に限定されない。例えば、一方の電源が二次電池であり、他方の電源が燃料電池や発電機により構成されてもよい。
(c)電動機のオープン巻線の相数は、3相に限らず4相以上であってもよい。また、2相のオープン巻線がブリッジ接続された構成であってもよい。
(d)2電源2インバータ式の電動機駆動装置は、電気自動車、燃料電池車などの純電気車や、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダをはじめとする電気リッチなハイブリッドパワトレイン、さらには、12~48VのISG(Integrated Starter Generator)といった軽い電動化車両に至るまで適用される。この技術は、従来技術として公知であるリアクトルによる昇圧回路を一切使用せず、電源電圧を直列化することで、高効率に高出力を実現する用途に適用可能な電圧型回路トポロジによるものである。この技術は、各車両において、従来の昇圧回路や大電流型インバータでは熱的に成立困難な領域においても高出力化が求められる用途に適し、従来のパワトレインよりも高効率運転を可能にする。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・第1電源、 12・・・第2電源、
300・・・制御部、
301・・・第1インバータ制御回路、
302・・・第2インバータ制御回路、
305・・・パターン選択部、 306・・・状態遷移部、
60・・・第1インバータ、 61~66・・・第1スイッチング素子、
70・・・第2インバータ、 71~76・・・第2スイッチング素子、
80・・・MG(モータジェネレータ、電動機)、
81、82、83・・・3相巻線。

Claims (9)

  1. 2つの電源が個別に接続される2台のインバータを用いて、端点同士がオープンである2相以上の巻線(81、82、83)を有する電動機(80)の駆動を制御する電動機駆動装置であって、
    第1電源(11)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第1スイッチング素子(61~66)を有し、前記巻線の一端に接続される第1インバータ(60)と、
    第2電源(12)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第2スイッチング素子(71~76)を有し、前記巻線の他端に接続される第2インバータ(70)と、
    トルク指令に基づき、前記第1インバータへの出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路(301)、及び、前記第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路(302)、の2つのインバータ制御回路を有する制御部(300)と、
    を備え、
    前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路の少なくとも一方は、トルクフィードバック制御により前記電動機のトルクを管理するトルク管理回路として動作し、
    各前記インバータ制御回路は、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力するPWM制御モード、及び、電気1周期に1パルスを出力する矩形波制御モードにより前記インバータを駆動可能であり、
    前記制御部は、前記2台のインバータの両方をPWM制御モードにより駆動する大自由度パターン、前記2台のインバータの一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動する高効率パターン、及び、前記2台のインバータの両方を矩形波制御モードにより駆動する最大出力パターン、の3通りの駆動パターンのうちいずれかを選択するパターン選択部(305)、及び、現在の前記駆動パターンが前記パターン選択部により選択された前記駆動パターンと異なる場合、選択された前記駆動パターンに状態遷移させる状態遷移部(306)を有し、
    前記パターン選択部は、電力調整自由度の要求、システム損失低減要求、又は、前記電動機の出力要求に応じて駆動パターンを選択し、
    前記状態遷移部は、各前記電源からの入力電圧に対する各前記インバータもしくは前記電動機への印加電圧の比である電圧利用率に加え、電力分配比率もしくは電力量の要求値、又は、各前記インバータ制御回路の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づき状態を遷移させる電動機駆動装置。
  2. 2つの電源が個別に接続される2台のインバータを用いて、端点同士がオープンである2相以上の巻線(81、82、83)を有する電動機(80)の駆動を制御する電動機駆動装置であって、
    第1電源(11)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第1スイッチング素子(61~66)を有し、前記巻線の一端に接続される第1インバータ(60)と、
    第2電源(12)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第2スイッチング素子(71~76)を有し、前記巻線の他端に接続される第2インバータ(70)と、
    トルク指令に基づき、前記第1インバータへの出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路(301)、及び、前記第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路(302)、の2つのインバータ制御回路を有する制御部(300)と、
    を備え、
    前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路のいずれか一方は、トルクフィードバック制御により前記電動機のトルクを管理するトルク管理回路として動作し、前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路の他方は、前記2台のインバータへ供給される電力分配比率または電力量を管理する電力管理回路として動作し、
    各前記インバータ制御回路は、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力するPWM制御モード、及び、電気1周期に1パルスを出力する矩形波制御モードにより前記インバータを駆動可能であり、
    前記制御部は、前記2台のインバータの両方をPWM制御モードにより駆動する大自由度パターン、前記2台のインバータの一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動する高効率パターン、及び、前記2台のインバータの両方を矩形波制御モードにより駆動する最大出力パターン、の3通りの駆動パターンのうちいずれかを選択するパターン選択部(305)を有し、
    前記パターン選択部は、電力調整自由度の要求、システム損失低減要求、又は、前記電動機の出力要求に応じて駆動パターンを選択する電動機駆動装置。
  3. 前記PWM制御モードには、前記電動機の出力及び各前記インバータの電力量に応じて、正弦波制御モード及び過変調制御モードが含まれ、
    前記パターン選択部は、
    各インバータ制御回路による正弦波制御モード、過変調制御モード又は矩形波制御モードの組合せについて9通り、前記第1インバータ制御回路及び前記第2インバータ制御回路による前記トルク管理回路及び前記電力管理回路の役割設定について2通りを乗じた計18通りの駆動パターンのうちいずれかを選択する請求項に記載の電動機駆動装置。
  4. 前記制御部は、現在の前記駆動パターンが前記パターン選択部により選択された前記駆動パターンと異なる場合、選択された前記駆動パターンに状態遷移させる状態遷移部(306)を有し、
    前記状態遷移部は、選択された前記駆動パターンに基づき、前記第1インバータ制御回路及び前記第2インバータ制御回路による前記トルク管理回路及び前記電力管理回路の役割を入れ替える請求項に記載の電動機駆動装置。
  5. 前記状態遷移部は、各前記インバータの電力量、又は、各前記インバータ制御回路の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づいて判断したタイミングで、前記トルク管理回路及び前記電力管理回路の役割を入れ替える請求項に記載の電動機駆動装置。
  6. 前記状態遷移部は、各前記電源からの入力電圧に対する各前記インバータもしくは前記電動機への印加電圧の比である電圧利用率に加え、電力分配比率もしくは電力量の要求値、又は、各前記インバータ制御回路の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づき状態を遷移させる請求項4または5に記載の電動機駆動装置。
  7. 前記パターン選択部は、前記2台のインバータの電力量又は前記2つの電源のSOCに基づき、前記駆動パターンを選択する請求項1~6のいずれか一項に記載の電動機駆動装置。
  8. 2つの電源が個別に接続される2台のインバータを用いて、端点同士がオープンである2相以上の巻線(81、82、83)を有する電動機(80)の駆動を制御する電動機駆動装置のプログラムであって、
    前記電動機駆動装置は、
    第1電源(11)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第1スイッチング素子(61~66)を有し、前記巻線の一端に接続される第1インバータ(60)と、
    第2電源(12)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第2スイッチング素子(71~76)を有し、前記巻線の他端に接続される第2インバータ(70)と、
    トルク指令に基づき、前記第1インバータへの出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路(301)、及び、前記第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路(302)、の2つのインバータ制御回路を有する制御部(300)と、
    を備え、
    前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路の少なくとも一方は、トルクフィードバック制御により前記電動機のトルクを管理するトルク管理回路として動作し、
    各前記インバータ制御回路は、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力するPWM制御モード、及び、電気1周期に1パルスを出力する矩形波制御モードにより前記インバータを駆動可能であり、
    前記制御部に対し、
    前記2台のインバータの両方をPWM制御モードにより駆動する大自由度パターン、前記2台のインバータの一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動する高効率パターン、及び、前記2台のインバータの両方を矩形波制御モードにより駆動する最大出力パターン、の3通りの駆動パターンのうちいずれかを、電力調整自由度の要求、システム損失低減要求、又は、前記電動機の出力要求に応じて選択するように動作させ、且つ、
    現在の前記駆動パターンが前記パターン選択部により選択された前記駆動パターンと異なる場合、各前記電源からの入力電圧に対する各前記インバータもしくは前記電動機への印加電圧の比である電圧利用率に加え、電力分配比率もしくは電力量の要求値、又は、各前記インバータ制御回路の制御モードもしくは電圧指令ベクトルに基づき、選択された前記駆動パターンに状態遷移させるように動作させるプログラム。
  9. 2つの電源が個別に接続される2台のインバータを用いて、端点同士がオープンである2相以上の巻線(81、82、83)を有する電動機(80)の駆動を制御する電動機駆動装置のプログラムであって、
    前記電動機駆動装置は、
    第1電源(11)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第1スイッチング素子(61~66)を有し、前記巻線の一端に接続される第1インバータ(60)と、
    第2電源(12)から直流電力が入力され、前記巻線の各相に対応して設けられる複数の第2スイッチング素子(71~76)を有し、前記巻線の他端に接続される第2インバータ(70)と、
    トルク指令に基づき、前記第1インバータへの出力電圧指令である第1電圧指令を生成する第1インバータ制御回路(301)、及び、前記第2インバータへの出力電圧指令である第2電圧指令を生成する第2インバータ制御回路(302)、の2つのインバータ制御回路を有する制御部(300)と、
    を備え、
    前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路のいずれか一方は、トルクフィードバック制御により前記電動機のトルクを管理するトルク管理回路として動作し、前記第1インバータ制御回路又は前記第2インバータ制御回路の他方は、前記2台のインバータへ供給される電力分配比率または電力量を管理する電力管理回路として動作し、
    各前記インバータ制御回路は、電圧指令と搬送波との比較に基づき電気1周期に搬送波周波数に応じた複数のパルスを出力するPWM制御モード、及び、電気1周期に1パルスを出力する矩形波制御モードにより前記インバータを駆動可能であり、
    前記制御部に対し、
    前記2台のインバータの両方をPWM制御モードにより駆動する大自由度パターン、前記2台のインバータの一方を矩形波制御モードにより、他方をPWM制御モードにより駆動する高効率パターン、及び、前記2台のインバータの両方を矩形波制御モードにより駆動する最大出力パターン、の3通りの駆動パターンのうちいずれかを、電力調整自由度の要求、システム損失低減要求、又は、前記電動機の出力要求に応じて選択するように動作させるプログラム。
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