JP7236796B2 - 風味が改善された脱脂植物蛋白およびその製造方法 - Google Patents

風味が改善された脱脂植物蛋白およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱脂植物蛋白およびその製造方法に関する。特に本発明は、有臭成分が除去され、風味が改善された脱脂植物蛋白(脱脂大豆、脱脂菜種など)およびその製造方法に関する。
脱脂植物蛋白は、植物油の製造工程における産物として得られ、飼料や肥料、食品などの用途に広く使用されている。脱脂植物蛋白は、大豆や菜種などの原料を乾燥してから圧扁したものを、加工助剤で脱脂し、ディソルベンタイザートースターなどで処理して得られる。
一般に飼料などに用いられることもある脱脂蛋白としては、油分抽出の際に使用する加工助剤が残存しておらず、においが少ない、風味の優れた脱脂植物蛋白が好ましい。
脱脂蛋白の臭気を抑制する方法としては、例えば、特許文献1~3に係る技術が知られている。特許文献1(国際公開WO2009/141902)には、大豆を投入した容器を回転させつつ加熱することによって大豆から生臭成分を蒸発させることが提案されており、特許文献2(国際公開WO2002/021938)には、不揮発性のチアゾリジン化合物を添加することによって大豆特有の青臭い不快臭を抑制することが提案されており、特許文献3(特開2001-169741号公報)には、水蒸気雰囲気下で原料大豆を空蒸処理することによって大豆を脱臭することが提案されている。
また、脱脂蛋白の有臭成分を低減する方法としては、例えば、特許文献4~6に記載された技術が知られている。特許文献4(特開昭63-207359号公報)や特許文献5(国際公開WO2011/071108)にはn-へキサナールの含有量を抑制した脱皮大豆粉末素材、特許文献6(特開2008-136437号公報)にはn-へキサノールの量を抑制した大豆蛋白が記載されている。
国際公開WO2009/141902 国際公開WO2002/021938 特開2001-169741号公報 特開昭63-207359号公報 国際公開WO2011/071108 特開2008-136437号公報
本発明の課題は、有臭成分が除去され、風味が改善された脱脂植物蛋白を提供することである。上述したように、脱脂植物蛋白にわずかに残る有臭成分などが脱脂蛋白の風味を損なう場合があり、特に、水溶性窒素指数(NSI)が高い低変性の脱脂蛋白に関しては、酵素が失活していないことにより、特有の青臭さが生じてしまう場合があった。
このような状況に鑑み、本発明では、効率的に脱脂蛋白の風味を改善する技術を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、脱脂大豆や脱脂菜種などの脱脂蛋白を適切な表面積の下、高湿度で処理することによって、有臭成分が除去され、風味が改善された脱脂植物蛋白が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 油分が3%以下、水分が15%以下であり、炭素数6のアルカンが10ppm未満である脱脂植物蛋白。
(2) 炭素数6のアルカンが1ppm未満である、(1)に記載の脱脂植物蛋白。
(3) 脱脂大豆および/または脱脂菜種である、(1)または(2)に記載の脱脂植物蛋白。
(4) 水溶性窒素指数が1~99である、(1)~(3)のいずれかに記載の脱脂植物蛋白。
(5) 水溶性窒素指数が50~92である、(4)に記載の脱脂植物蛋白。
(6) 水溶性窒素指数が50未満である、(4)に記載の脱脂植物蛋白。
(7) 水溶性窒素指数が30~55の脱脂菜種である、(1)~(4)のいずれかに記載の脱脂植物蛋白。
(8) n-へキサナール含量が6ppm未満である、(1)~(7)のいずれかに記載の脱脂植物蛋白。
(9) n-へキサノール含量が7ppm未満である、(1)~(8)のいずれかに記載の脱脂植物蛋白。
(10) (1)~(9)のいずれかに記載の脱脂植物蛋白を膨化させた粒状植物蛋白。(11) 水溶性窒素指数が50~99の脱脂植物蛋白を、20~90℃、相対湿度50~100%の条件で水蒸気処理して、脱脂植物蛋白の炭素数6のアルカン含量を10ppm未満まで低減させる工程を含む、油分が3%以下、水分が15%以下である脱脂植物蛋白の製造方法。
(12) 20~90℃、相対湿度50~100%の条件で水蒸気処理する際、脱脂植物蛋白1kgあたりの接触面積が0.10m以上である、(11)に記載の製造方法。
(13) 水蒸気処理した脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数を低くする工程をさらに含む、(11)または(12)に記載の製造方法。
本発明によれば、有臭成分が除去され、風味が改善された脱脂植物蛋白が得られる。本発明の脱脂蛋白は、有臭成分が効率的に除去され、良好な風味を有するため、飼料や食品用途に用いることができる。特に食品用途に用いられる脱脂蛋白として好適である。例えば、本発明の脱脂植物蛋白を用いることにより、風味のよい二次加工品(粒状大豆蛋白、ベーカリー、菓子、惣菜等の食品)を製造することができる。
また従来は、水溶性窒素指数(NSI)が高い状態を維持したまま、できる限り蛋白を変性させずに有臭成分を除去することは困難だった。さらに、蛋白が変性してしまった水溶性窒素指数(NSI)が低い脱脂蛋白に関して、有臭成分を除去することが従来は難しかったところ、本発明では、高変性脱脂蛋白であっても効率的に風味を改善することが可能である。脱脂植物蛋白のにおい低減により、風味が優れた脱脂植物蛋白を得ることができる。
図1は、粒状大豆蛋白の一例を示す写真である。
本発明は、脱脂植物蛋白およびその製造方法に関する。特に本発明は、有臭成分が除去され、風味が改善された脱脂植物蛋白(脱脂大豆、脱脂菜種など)およびその製造方法に関する。
一般に、脱脂植物蛋白は、大豆や菜種などの原料となる植物から加工助剤を用いて油分を抽出したり、原料を圧搾した後の圧搾粕から加工助剤を用いて油分を抽出したりすることによって得られる。脱脂植物蛋白の原料は、特に限定されるものではないが、大豆、菜種、コーン、綿実、紅花、ヒマワリ、落花生、オリーブ、ゴマ、アマニ、米ぬか、パーム核、ひまし、ホホバ種子、コプラ、グレープシードなどを用いることができ、中でも大豆又は菜種を好適に使用することができる。
菜種としては、特に限定されるものではなく、従来、植物油の製造に用いられている各種の品種のものが含まれ得る。菜種としては、例えば、Brassica campestris(和種)、Brassica napus(西洋種)、さらには、品種改良によって作り出された、エルカ酸および
グルコシノレート双方の含量の低いキャノーラ種などを好適に使用できる。
本発明の脱脂植物蛋白は、油分が3%以下、水分が15%以下であり、炭素数6のアルカンが10ppm未満である。
本発明の脱脂植物蛋白は、脱脂されており油分は3%以下である。本発明において油分とは、試料からジエチルエーテルを用いて抽出される物質の(試料に対する)百分率をいう。油分の測定方法は、基準油脂分析試験法(1.5-2013、日本油化学会)に基づいて実施すればよい。本発明の脱脂植物蛋白は、例えば、油分を2%以下や1%以下としてもよい。
本発明の脱脂植物蛋白は、脱脂の際に使用した加工助剤である炭素数6のアルカンが大幅に除去されており、その含量が10ppm未満であり、好ましくは5ppm未満であり、より好ましくは1ppm未満である。本有臭成分が除去されていると、脱脂植物蛋白の風味が大きく向上する。
また、本発明の脱脂植物蛋白は、好ましい態様において、炭素数6のアルデヒドや炭素数6のアルコールの含有量も少ない。例えば、炭素数6のアルデヒドであるn-へキサナールに関しては、その含有量は6ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、4ppm以下がさらに好ましく、3ppm以下が最も好ましい。炭素数6のアルコールであるn-へキサノールに関しては、その含有量は7ppm以下が好ましく、6ppm以下がより好ましく、5ppm以下がさらに好ましい。
本発明の脱脂植物蛋白は、いわゆる低変性タイプであっても高変性タイプであってもよい。具体的には、本発明の脱脂植物蛋白は、その水溶性窒素指数(NSI)を、例えば0~100とすることができる。一つの態様において本発明の脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数は50~92であり、また別の態様において本発明の脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数は1~50であり、15~35としてもよい。好ましい態様において、本発明の脱脂植物蛋白は、水溶性窒素指数が30~55の脱脂菜種である。
本発明の脱脂植物蛋白の水分は15%以下であるが、水分は公知の方法によって適宜調整すればよい。
本発明に係る植物蛋白を用いることによって、におい成分を低減した種々の蛋白加工品を得ることができる。本発明によれば、種々の変性度の脱脂大豆や脱脂菜種を製造できることはもちろん、粉末状や粒状などの組織化物を製造できる。
(製造方法)
一つの態様において本発明は、脱脂植物蛋白の製造方法であり、本発明においては、脱脂植物蛋白を高湿処理する工程が行われる。
本発明の高湿処理は、相対湿度50~100%の高湿条件で脱脂植物蛋白を処理することにより実施される。好ましい態様において、高湿処理の際の湿度は70%以上であり、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。好ましい態様において高湿処理の際の温度は20~90℃であるが、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、70℃以上がよりさらに好ましい。
好ましい態様において本発明は、水溶性窒素指数が50~99の脱脂植物蛋白を、20~90℃、相対湿度50~100%の条件で処理して、脱脂植物蛋白の炭素数6のアルカン含量を10ppm未満まで低減させる工程を含む。本発明の発明者によると、水溶性窒素指数が50以上の低変性の段階で、可能な限り蛋白を変性させずに高湿処理することによって、効率的に有臭成分を除去し、脱脂植物蛋白の風味を大きく改善できることが見出された。
また、脱脂植物蛋白を高湿処理する際は、脱脂植物蛋白が高湿の空気と効率的に接触できるような条件とするとよい。例えば、空気と脱脂植物蛋白の接触面積が、脱脂植物蛋白1kgあたり0.1m以上であると好ましく、0.3m以上がより好ましく、0.5m以上がさらに好ましい。
さらに、本発明においては、蒸気を噴射するなどの方法によって脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数を下げる工程を行ってもよい。脱脂植物蛋白を高変性化する場合、例えば、90~180℃の蒸気を脱脂植物蛋白に噴射するなどの方法によることができる。高変性化する際の蒸気温度は特に制限されないが、好ましい態様において95~150℃としてもよい。
本発明の脱脂植物蛋白は、種々の形態にすることができ、例えば、粒状やフレーク状、粉末状、繊維状、ペースト状やカード状などの形態にしてもよい。本発明の好ましい態様において、脱脂植物蛋白を粒状蛋白の形態にしてもよく、粉末状蛋白の形態にしてもよい。粒状蛋白は公知の方法によって調製することができ、例えば、原料である脱脂植物蛋白を水とともにエクストルーダなどに投入し、混合・混練して処理することによって得ることができる。
粒状蛋白などを製造する際は、その他にも、本発明の目的達成を阻害しない範囲において各種添加物を適宜用いることができる。そのような添加物としては、例えば、分離大豆蛋白、食用油脂、澱粉、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、着色料、および保存料が挙げられる。これらの添加物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
粒状植物蛋白などを製造する際にエクストルーダを用いる場合、公知の装置を用いることができるが、一般に、典型的なエクストルーダは、原料ホッパーと、原料フィーダーと、水フィーダーと、添加物フィーダーと、スクリュー(1軸スクリューや2軸スクリューなど)と、シリンダー(バレル)とダイと、駆動装置と、温度調節装置とを備える。また、エクストルーダに使用する脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数は、膨化やハンドリングの面で、50~92が好ましい。このような範囲であると、膨化不良が生じにくく、また、粉のダマ形成による製造不良が生じにくい。
ダイは、シリンダー内で混合・混練された高温高圧処理物を所望の形状でシリンダー外へ押し出すために、シリンダーの出口に備えられる。ダイの種類や形式は、原料等の種類や植物蛋白の用途によって適宜選択されればよい。カッティングヘッドは、ダイから押し出された高温高圧処理物を所定の寸法に切断するために備えられる。
また、別の態様において本発明は、脱脂植物蛋白の風味を向上させる方法と把握することができ、本発明の方法は、脱脂植物蛋白を高湿処理する工程が含まれる。
以下、本発明を具体的な実験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本明細書において濃度などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
有臭成分の定量
サンプルに含まれる有臭成分については、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC/MS)を用いて定量した。
炭素数6のアルカンについては、5つの異性体すべての合計量を測定した。具体的には、サンプル1gを水25ml、2,2,4-トリメチルペンタン25mlに入れ、230℃で蒸留した後、その留液をGC/MSで分析して定量した。
炭素数6のアルデヒドについては、n-へキサナールを定量した。具体的には、サンプルを5%過塩素酸40ml、n-へキサン4mlに入れ、氷冷下でホモジナイザーを用いて撹拌後、遠心分離して得られたへキサン層をGC/MSで分析して定量した。
炭素数6のアルコールについては、n-へキサノールを定量した。具体的には、サンプルを5%過塩素酸40ml、n-へキサン4ml、エタノール40μlに入れ、氷冷下でホモジナイザーを用いて撹拌後、遠心分離して得られたへキサン層をGC/MSで分析して定量した。
実験1.脱脂大豆
(1)脱脂大豆の調製
ロール(スエヒロEPM製)を用いて大豆を約0.3mmに圧扁し、フレーク状にした。次いで、食品添加物へキサン(JX鉱日石エネルギー製)を溶媒として用いて40~60℃で4時間脱脂した後、風乾して、NSIが約90である低変性タイプの脱脂大豆を得た(油分:約1%、水分:約9%)。この脱脂大豆を、下記の実験1-1および実験1-2に供した。
また、比較品として、下記の手順により、NSIが約31である高変性タイプの脱脂大豆を調製した。すなわち、ロール(スエヒロEPM製)を用いて大豆を約0.3mmに圧扁してフレーク状にし、食品添加物へキサン(JX鉱日石エネルギー製)を溶媒として用いて40~60℃で4時間脱脂し、2kgf/cmの圧力の約130℃の生蒸気を直接噴射後、乾燥して高変性の脱脂大豆を得た。この脱脂大豆の炭素数6のアルカン含量は約284ppm、炭素数6のアルデヒド含量は約1ppm、炭素数6のアルコール含量は約2ppm、油分は約1%、水分は約13%であった。
なお、脱脂蛋白の水分については、基準油脂分析試験法(1.4.1-2013、日本油化学会)に基づいて測定した。
また、NSIの測定は、下記の手順により実施した。すなわち、試料10.0gをビーカーへ秤量し、30℃の蒸留水450mLと消泡剤(シリコーンオイル)1滴を加えて撹拌し、10分間放置した。80℃の水浴中にビーカーを固定し、25分間加温撹拌した後、冷水で30℃まで冷却し、30℃の蒸留水を加えて500mLに定容した。得られた抽出液50mlを遠心分離(3000rpm、10分間)して、分離された上清25mLを分解蒸留管に移し、ケルダール法により該上清中の全窒素量を測定した。具体的には、該分解蒸留管に、分解助剤(CuSO4:CaSO4=9:1)4g、濃硫酸15mLを加え、420℃で1時間加熱分解を行い、放冷後、蒸留を行い、常法により窒素量を測定した。また、ケルダール法にて、試料中の全窒素量を測定し、熱水で抽出される窒素を全窒素に対する百分率で水溶性窒素指数(NSI)を算出した。
(2)脱脂大豆の高湿処理
上記のようにして得られた脱脂大豆100g(比重:約0.44g/cm)をバットに入れて平坦にならし、恒温恒湿器(KCL-2000A、東京理化器械製)内に静置して、相対湿度95%の条件で高湿処理を行った。
実験1-1では、厚さが4mm、20mm、50mmとなるように脱脂大豆をバットにならし、脱脂大豆の接触面積が、脱脂大豆1kgあたり0.57m、0.11m、0.05mとなるように80℃で高湿処理した。また実験1-2では、蒸気温度を20~70℃に振って、脱脂大豆を高湿処理した(脱脂大豆の接触面積:脱脂大豆1kgあたり0.57m)。その後、高湿処理した脱脂大豆を恒温恒湿器から取り出し、水分が10%程度になるまで35℃で乾燥させた。
なお、実際に分析したところ、実験1-1で用いた脱脂大豆は、NSIが89.4、炭素数6のアルカン含量が260ppm、炭素数6のアルデヒド含量が9ppm、炭素数6のアルコール含量が8ppmであり(表1)、実験1-2で用いた脱脂大豆は、NSIが93.5、炭素数6のアルカン含量が238ppm、炭素数6のアルデヒド含量が7ppm、炭素数6のアルコール含量が8ppmだった(表2)。
(3)NSIの低い脱脂大豆の製造(実験1-3)
NSIの低い高変性タイプの脱脂大豆を、下記の2つの方法で製造した。
まず、上記(1)で製造した脱脂大豆(NSI:約31)に対して、実験1-1と同様に高湿処理を施した(脱脂大豆の接触面積:脱脂大豆1kgあたり0.57m、NSI:19.1~24.4、サンプル3-2~3-5)。
また、高湿処理した脱脂大豆(サンプル1-4、NSI:72.3)に対して、約130℃の生蒸気を2kgf/cmの圧力で直接噴射して脱脂大豆を高変性化した(NSI:19~30、サンプル3-6~3-8)。
(4)脱脂大豆の評価
上記のようにして得られた試料を、粉砕機(槇野産業製)を用いて粉砕した後、エクストルーダを用いて膨化状況を観察しながら組織化した。エクストルーダ(アルファライザEA-20、スエヒロEPM製)を使用し、スクリュー回転数240rpm、先端バレル温度120℃の条件で、加水量を約40%に調整して、ダイ(直径3mm、1穴)から押し出し、ダイ出口直後にカッターで切断(カッター回転速度3600rpm)して直径約4~7mmの組織化物を得た。次いで、乾燥機(PH-4KT、エスペック製)を用いて80℃の熱風で組織化物を乾燥することにより、水分が8重量%の粒状大豆蛋白を得た。なお、図1は、粒状大豆蛋白の例を示す写真である。
乾燥した粒状大豆蛋白に2倍量の90℃温水を添加し、その際のにおいおよび味を5段階で官能評価した。評価基準は下記のとおりであり、スコアが大きい方が良好である。
5:非常に良好/4:良好/3:やや良好/2:やや劣る/1:劣る
また、上記(3)で製造した実験1-3の脱脂大豆については、ミキサーで粉砕して粉末状にした後、2倍量の90℃温水を添加し、その際のにおいおよび味を5段階で官能評価した。評価基準は下記のとおりであり、スコアが大きい方が良好である。
5:非常に良好/4:良好/3:やや良好/2:やや劣る/1:劣る
Figure 0007236796000001
Figure 0007236796000002
Figure 0007236796000003
評価結果を上記の表に示す。表の結果から明らかなように、脱脂蛋白を高湿処理することによって、有臭成分が低減され、脱脂蛋白の風味が大きく向上した。
表1に示すように、高湿処理の際、脱脂蛋白と蒸気の接触面積を大きくして接触効率を上げることによって短時間で脱脂蛋白の炭素数6のアルカン、炭素数6のアルデヒド、および炭素数6のアルコールを低減することができた。
また、表2に示すように、高湿処理の際の温度を高くすることによっても、短時間で脱脂蛋白の炭素数6のアルカン、炭素数6のアルデヒド、および炭素数6のアルコールを低減することができた。
さらに、表3に示すように、NSIの高い脱脂植物蛋白を高湿処理してから高変性化することによって、有臭成分が除去された風味のよい高変性植物蛋白を効率的に得ることができた(サンプル3-6~サンプル3-8)。その一方で、NSIが低い植物蛋白を高湿処理すると、炭素数6のアルデヒド、炭素数6のアルコールなど一部の有臭成分は除去できるものの、炭素数6のアルカンの除去効率はそれほど高くなかった(サンプル3-2~サンプル3-5)。
実験2.脱脂菜種
ロール(スエヒロEPM製)を用いて菜種を約0.3mmに圧扁し、フレーク状にした。次いで、食品添加物へキサン(JX鉱日石エネルギー製)を溶媒として用いて40~60℃で4時間脱脂した後、風乾して、NSIが約53である脱脂菜種を得た(油分:約1.2%、水分:約8.1%、炭素数6のアルカン含量:177ppm、炭素数6のアルデヒド含量:2ppm、炭素数6のアルコール含量:12ppm)。
上記のようにして得られた脱脂菜種について、実験1-1と同様にして高湿処理を行った。すなわち、脱脂菜種100gをバットに入れて平坦にならし、恒温恒湿器(KCL-2000A、東京理化器械製)内に静置して、温度80℃、相対湿度95%の条件で高湿処理した。
得られた脱脂菜種を分析した結果を以下の表に示すが、菜種に関しても、高湿処理によって有臭成分を効率的に除去できることが分かった。
Figure 0007236796000004
以上の実験結果から明らかなように、脱脂植物蛋白を高湿処理することによって、有臭成分を低減し、脱脂植物蛋白の風味を大きく向上することが可能である。

Claims (4)

  1. 油分が3%以下、水分が15%以下であり、炭素数6のアルカンが10ppm未満である脱脂植物蛋白を製造する方法であって、
    水溶性窒素指数が50~99の脱脂植物蛋白を、70~90℃、相対湿度70~100%の条件で水蒸気処理して、脱脂植物蛋白の炭素数6のアルカン含量を10ppm未満まで低減させる工程を含み、水蒸気に対する接触面積が脱脂植物蛋白1kgあたり0.10m 以上であり、水蒸気処理後の脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数が50~92である、上記方法。
  2. 脱脂植物蛋白の炭素数6のアルカン含量が1ppm未満である、請求項に記載の方法。
  3. 脱脂植物蛋白を膨化させる工程をさらに含む、請求項またはに記載の方法。
  4. 水蒸気処理した脱脂植物蛋白の水溶性窒素指数を低くする工程をさらに含む、請求項のいずれかに記載の方法。
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