JP7235200B2 - 超硬合金および切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐塑性変形性を有する超硬合金および該超硬合金を工具基体として用いた切削工具に関するものである。
従来、炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相と結合相とを有する超硬合金が切削工具の工具基体として用いられている。この工具基体には、強度、靭性、硬さ、耐塑性変形性、耐摩耗性が求められている。
例えば、特許文献1には、WCと、Co、NiまたはFeに基づく結合材相と、γ相(立方晶系炭化物相でTiC、NbC、TaC、ZrC、HfC及びVCのうち少なくとも1種類と、実質的な量の溶存WCとの固溶体)とを含み、前記γ相が1μm未満の平均粒度を有することを特徴とする、焼結炭化物(焼結合金)が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、硬質相は、炭化タングステンを主成分とする第一硬質相と、タングステンを含む複数種の金属元素と、炭素、窒素、酸素及び硼素から選択される一種以上の元素と、を含む化合物を主成分とする第二硬質相とを備え、第二硬質相は、当該超硬合金の任意の表面又は断面から求めた面積基準の粒度分布における累積10%の粒径をD10、累積90%の粒径をD90としたとき、D10/D90<0.4を満たし、最近接する二つの前記第二硬質相の重心間距離の分散をσ としたとき、σ <5.0を満たし、前記第一硬質相の平均粒径をD 、前記第二硬質相の平均粒径をD としたとき、D は、0.8μm以上4.0μm以下であり、D /D <1.0を満たす超硬合金が記載されている。
特開2005-126824号公報 国際特許公開2017/191744号
前記特許文献1に記載された超硬合金は、高温硬さおよび耐摩耗性を有しており、また、前記特許文献2に記載された超硬合金は、第二硬質相の粒度および分散を規定することで耐欠損性を有している。しかし、前記特許文献1~2に記載された超硬合金のいずれもが、耐塑性変形性が十分ではなく、切削工具の工具基体として鋼の高能率加工(高速加工、高送り加工、または、高切込み加工)に用いた場合に、変形により短時間に工具寿命に至ってしまう。
そこで、本発明は、超硬合金が優れた耐塑性変形性および塑性変形起因の欠損に対する耐性を有し、切削工具の工具基体として用いた場合、特に、鋼の高能率加工においても、長期の使用にわたり、優れた切削性能を発揮する超硬合金、および、該超硬合金を工具基体として用いた切削工具を提供することを目的とする。
本発明者は、超硬合金に優れた耐塑性変形性を付与するために鋭意検討を重ねたところ、炭化物相であるγ相が超硬合金に特定の分布で存在するとき、優れた耐塑性変形性および塑性変形起因の欠損に対する耐性を有することを知見した。
本発明はこの知見に基づくものであって、以下のとおりのものである。
「(1)Co、Ni、Feの少なくとも1種を4.0~15.0質量%、M(Mは、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Vの少なくとも1種)をMCで2.0~12.0質量%、さらに、Crを0.0~0.8質量%のCr で換算して含有し、残部がWCおよび不可避不純物からなり、
前記Co、Ni、Feの少なくとも1種は結合相に含まれ、
前記MCはγ相の主体であり、
前記WCは硬質相の主体であって、
前記硬質相の平均粒径は、0.2~4.0μmで、
前記γ相の平均粒径は、前記硬質相の平均粒径の1.5~4.0倍であって、4.0~8.0μmであり、
前記γ相の800℃おける硬さは、前記硬質相の800℃における硬さの20~60%であり、
前記γ相のうち、その周囲が前記硬質相と接し、かつ、前記結合相には接していないものの占める個数割合が10%以上である、
ことを特徴とする超硬合金。
(2)前記(1)に記載の超硬合金の表面に硬質皮膜を有することを特徴する切削工具。
本発明の超硬合金は、耐塑性変形性に優れ、また、切削工具の工具基体として用いた場合、特に、鋼の高能率加工において、長期の切削寿命を有するという顕著な効果を奏する。
本発明の超硬合金の組織の模式図である。 切れ刃の逃げ面塑性変形量の一例を示す模式図である。なお、上図(すくい面)は平面図、下図(逃げ面)は側面図である。
以下、本発明の超硬合金および切削工具について、より詳細に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲において、数値範囲を「~」を用いて表現する場合、その範囲は上限および下限の数値を含むものとする。
硬質相:
硬質相はWCを主体とする。硬質相は、製造過程で不可避的に混入する不可避不純物を含んでいてもよい。
また、硬質相の平均粒径は、2.0~4.0μmが好ましい。その理由は、2.0μm未満であると、硬質相同士の滑りが生じて耐塑性変形性や耐欠損性が十分ではなく、一方、4.0μmを超えると、十分な耐摩耗性が得られないためである。硬質相の平均粒径は、2.2~3.6μmがより好ましい。
硬質相の平均粒径は、超硬合金の任意の表面または断面を鏡面加工し、その加工面を後方散乱電子回折(EBSD)で観察し、画像解析によって、少なくとも300個の各硬質相の面積を求め、その面積に等しい円の直径を算出して平均したものである。なお、鏡面加工は、例えば、集束イオンビーム装置(FIB装置)、クロスセクションポリッシャー装置(CP装置)等を用いる。
硬質相の平均粒径を前記範囲とするために、WCの粒成長を抑制すべく、Crを含有させることが好ましい。Crを含有させるときは、Crで換算して0.8質量%以下含有させることが好ましい。すなわち、Crの含有割合は、Crとして0.0~0.8質量%が好ましい。
結合相:
結合相は、Co、Ni、Feの鉄族元素の少なくとも1種以上(すなわち、Co、Ni、Feのいずれか一つであってもよいし、複数を組み合わせてもよい)を、超硬合金全体に対して4.0~15.0質量%含むことが好ましい。結合相中には、硬質相の成分であるWやC、その他の不可避的不純物が含まれていてもよい。さらに、結合相は、Cr、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Vの少なくとも1種を含んでいてもよい。これら元素が結合相中に存在するときは、結合相に固溶した状態であると推定される。
結合相のCo、Ni、Feの鉄族元素が超硬合金全体の4.0~15.0質量%であることが好ましい理由は、4.0質量%未満では、超硬合金製造時の焼結性が良くなく、また結合相によって硬質相が強固に結合されず、強度不足や欠損が生じやすく、一方、15.0質量%を超えると、硬質相が少なくなって超硬合金の強度が不足し、耐摩耗性が低下してしまうためである。結合相のCo、Ni、Feの鉄族元素は、超硬合金全体の5.0~12.0質量%であることがより好ましい。
なお、結合相のCo、Ni、Feの鉄族元素の質量%は、超硬合金の任意の表面または断面を前述の方法により鏡面加工し、その加工面を蛍光X線折測定することにより求める。
γ相:
γ相は、MC(Mは、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Vの少なくとも1種)で表される炭化物を主体とする。この炭化物は、化学量論的な原子比で結合した炭化物に限定されず、MとCが結合した複合炭化物を含む炭化物すべてをいう
γ相の含有量は、2.0~12.0質量%が好ましい。その理由は、2.0%未満であると応力を緩和する役割を担うγ相の割合が少なく塑性変形起因の欠損に対する耐性が十分でなく、一方、12.0質量%を超えると、耐摩耗性が不十分になるためである。
γ相の平均粒径は、硬質相の平均粒径の1.5~4.0倍であって、4.0~8.0μmであることが好ましい。その理由は、この範囲になると硬質相とγ相との接触頻度が適切となり、また、γ相が適切な塑性変形をすることでγ相周辺に位置する硬質相同士の界面およびγ相と硬質相の界面に発生する応力集中を緩和することが可能となり、塑性変形起因の欠損に対する耐性が向上するためである。
ここで、γ相の平均粒径は、超硬合金の任意の表面または断面を前述の装置を用いて鏡面加工し、その加工面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像解析によって、少なくとも300個の各γ相の面積を求め、その面積に等しい円の直径を算出して平均したものである。
γ相の800℃おける硬さは、前記硬質相の800℃における硬さの20~60%であることが好ましい。その理由は、20%未満であると、超硬合金の耐塑性変性が十分ではなく、60%を超えると、γ相が塑性変形する前に硬質相とγ相との界面でキャビティが発生し、そのキャビティを起点とした破壊が生じやすくなるためである。
ここで、γ相と硬質相の800℃における硬さとは、ナノインデンテーション硬さをいい、その硬さは、超硬合金を前述の装置を用いて鏡面研磨し、Ar気流中800℃の温度で、押し込み深さが200nmになるまで圧子を押し込み、押し込み深さが200nmとなった荷重(最大荷重)で30秒間保持し、除荷したときの、最大押し込み深さおよび最大荷重から求めたものである。
また、γ相の周囲が硬質相に接し、かつ、結合相に接しないγ相(図1でAで示すγ相)の個数が、すべてのγ相の個数に対して10%以上のとき、硬質相とγ相との界面の数が適切となって塑性変形起因の欠損に対する耐性が向上する。
硬質相に接しかつ結合相に接してないγ相の個数は、超硬合金の任意の表面または断面を前述の装置を用いて鏡面加工し、30×20μmの領域を任意に5箇所選定して、SEMにより、3000~4000倍で観察し、それぞれの領域において、
(硬質相に接しかつ結合相に接しないγ相個数の和)/(すべてのγ相の個数の和)×100
を求めて、平均値を算出することによって得る。
不可避不純物:
前記のように、硬質相、結合相は製造過程で不可避的に混入する不純物を含んでいてもよく、その量は超硬合金全体に対して0.3質量%以下が好ましい。
切削工具:
本発明の切削工具は、本発明の超硬合金に硬質皮膜を形成したものである。硬質皮膜の種類、成膜法は、それぞれ、当業者に既によく知られている膜種、成膜手法を採用すればよく、特に、制限するものではない。あえて例示をするならば、物理蒸着法(PVD法)または化学蒸着法(CVD法)により、Ti、Al、Cr、BおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素と、C、NおよびOからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素とを必須とする単層又は多層の硬質皮膜が有用である。具体的には、例えば、TiC、CrC、SiC、VC、ZrC、TiN、AlN、CrN、VN、ZrN、Ti(CN)、(TiSi)N、(TiB)N、(TiZr)N、TiAl(CN)、TiCr(CN)、TiZr(CN)、Ti(CNO)、TiAl(CNO)、Ti(CO)、(TiCr)N、(TiAlCr)N、(AlCr)N、AlおよびTiB等の単層または多層の皮膜が挙げることができ、硬質皮膜の膜厚は、例えば1.0~15.0μmである。
製造方法:
本発明の超硬合金は、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、WC粉末、Co、Ni、Fe粉末の少なくとも1種、必要により、Cr粉末からなる原料粉末、さらに、γ相を形成するための原料粉末(TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、HfC粉末、VC粉末のうちの1種以上)を、本発明の超硬合金で規定する組成となるように配合し、ボールミルで混合して、混合粉末を作製する
次いで、前記混合粉末を成形して圧粉成形体を作製し、この圧粉成形体を、0.3~0.5MPaのアルゴン雰囲気中、1050~1250℃の温度において、300~600分保持し(以下、仮焼工程ということがある)、さらに炉内を10-1Pa以下の真空雰囲気とし、加熱温度:1300~1500℃、かつ、加熱保持時間:30~120分、10-1Pa以下の真空雰囲気の条件で本焼結する。そして、本焼結後、HIP処理温度1250~1350℃まで50℃/分以上の冷却速度(以下、本焼結後冷却ということがある)で冷却し、不活性ガス雰囲気中でHIP処理を30~240分間行い、HIP処理後の冷却を1200℃以下の温度まで80℃/分以上の冷却速度で冷却して、γ相が硬質相と接する頻度を向上させる。
その後、この焼結体成形体(焼結合金)を機械加工、研削加工し、所望の大きさ・形状の超硬工具基体を作製する。
本発明の超硬合金および該超硬合金を工具基体として用いた切削工具について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、焼結用の粉末として、表1に示す平均粒径(d50)が2.0~5.0μmのWC粉末、および、平均粒径(d50)が、いずれも、1.0~10.0μmの範囲内のCo粉末、TaC粉末を用意する。
次に、これらの粉末を、表1に示す配合組成となるように配合して、焼結用粉末を作製し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で、ANSI呼び記号CNMG432MHの形状を得るべくプレス成形して圧粉成形体を作製した。
続いて、これらの圧粉成形体を、所定の温度で所定時間保持する仮焼結工程を行う。本実施例では、表2に示す条件、すなわち、0.3~0.MPaのアルゴン雰囲気中、150~1250℃の保持温度範囲まで加熱し(この温度範囲は、固相反応は起こるが結合相の液相生成温度以下である)、該保持温度で00~600分保持を行い、炉内を10-1 Paの真空雰囲気とし、次に、表2に示す条件で本焼結を行った。
次いで、表2に示す条件、加熱温度である1500℃まで、0℃/の冷却速度の本焼結後の冷却を行い、不活性ガス雰囲気下でHIP処理を120~240分間実施した。HIP処理後の冷却を1200℃以下の温度まで0℃/の冷却速度で冷却した。
次に、機械加工、研削加工を行い、CNMG432MHの形状に整え、表3に示す超硬合金基体1~(以下、本発明工具基体1~という)を作製した。
比較のために、比較例の超硬合金基体(以下、比較例工具基体という)を製造した。
その製造工程は、本発明工具基体1~の製造工程において、前記仮焼結工程を省略したものである
すなわち、表1に示す配合組成に配合した焼結用粉末を、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力でプレス成形して圧粉成形体を作製し、表2に示す条件、すなわち、加熱温度:1550℃、かつ、加熱保持時間:100分、真空雰囲気の条件で本焼結し、HIP処理温度である1300℃まで、0℃/の冷却速度の本焼結後の冷却を行い、不活性ガス雰囲気下でHIP処理を120分間実施した。HIP処理後の冷却を1200℃以下の温度まで0℃/の冷却速度で冷却し、超硬合金を作製し、これを機械加工、研削加工し、CNMG432MHインサート形状の表4に示す比較例工具1~7を作製した。
本発明工具基体1~および比較例工具基体の超硬合金の断面について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により、その成分であるCr、γ相を構成する各元素の含有量を10点測定し、その平均値を各成分の含有量とした。ここで、Cr、γ相は、それぞれの炭化物に換算して含有量を算出した。表3、表4に、それぞれの平均含有量を示す。
次に、本発明工具基体1~および比較例工具基体の断面について、前述した方法により、硬質相およびγ相の平均粒径を測定し、γ相の平均粒径の硬質相の平均粒径に対する割合を求め、かつ、γ相のうち周囲が硬質相に接しかつ結合相に接しないものの占める個数の割合を求めた。その結果を表3、表4に示す。
Figure 0007235200000001
Figure 0007235200000002
Figure 0007235200000003
Figure 0007235200000004
前記本発明工具基体1~および比較例工具基体の表面に、表5に示す平均層厚の硬質被覆層をCVD法で被覆形成し、本発明表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、本発明被覆工具という)1~、比較例表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、比較例被覆工具という)を作製した。
前記各被覆工具について、以下に示す、乾式の外周連続切削加工を実施し、切れ刃の逃げ面塑性変形量を測定するとともに、切れ刃の損耗状態を観察した。
切削条件:
被削材:SNCM439のφ200丸棒
切削速度:300m/min
切り込み:2.0mm
送り:0.2mm/rev
切削時間:5分
切れ刃の逃げ面塑性変形量を測定するとともに、切れ刃の損耗状態を観察した。本切削試験では、切れ刃の逃げ面塑性変形量として次のものを採用した。すなわち、切削前の変形していない切れ刃稜線を基準とし、切削によって切れ刃稜線が押し込まれて変形した量を切れ刃の逃げ面塑性変形量とした。具体的には、工具の主切れ刃側逃げ面について、切れ刃から十分離れた位置で主切れ刃側逃げ面とすくい面が交差する稜線上に線分を引き、同線分を切れ刃部方向に延伸し、延伸した線分と切れ刃部稜線間の距離(延伸した線分の垂直方向)が最も離れている部分を測定し、これを切れ刃の逃げ面塑性変形量とし(図2を参照)、切削時間が1分経過する毎に測定するとともに、切れ刃の損耗状態を観察した。
表6にその結果を示す。
Figure 0007235200000005
Figure 0007235200000006

表6に示される試験結果によれば、本発明被覆工具は、寿命に影響を及ぼす重度のチッピングを発生することなく、優れた耐塑性変形性および塑性変形に起因する欠損に対する耐性を発揮する。これに対して、比較例被覆工具は、所定の切削時間において工具が塑性変形起因の欠損により寿命を迎えた。
すなわち、γ相が硬質相と適切に接触しているため、耐塑性変形性に優れ、かつ、刃先が塑性変形する際にγ相が変形することでγ相周辺の硬質相同士の界面およびγ相と硬質相の界面に発生する応力集中が緩和され、破壊の起点となるキャビティの発生が抑制され、塑性変形起因の刃先の欠損が抑制される。
以上のとおり、本発明の超硬合金および切削工具は、鋼の高能率加工に用いた場合、優れた耐塑性変形性とともに、優れた耐チッピング性を有するが、他の被削材、切削条件に適用した場合にも、長期の使用にわたって優れた切削性能を発揮し、工具の長寿命化が図られる。

Claims (2)

  1. Co、Ni、Feの少なくとも1種を4.0~15.0質量%、M(Mは、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Vの少なくとも1種)をMCで2.0~12.0質量%、さらに、Crを0.0~0.8質量%のCr で換算して含有し、残部がWCおよび不可避不純物からなり、
    前記Co、Ni、Feの少なくとも1種は結合相に含まれ、
    前記MCはγ相の主体であり、
    前記WCは硬質相の主体であって、
    前記硬質相の平均粒径は、0.2~4.0μmで、
    前記γ相の平均粒径は、前記硬質相の平均粒径の1.5~4.0倍であって、4.0~8.0μmであり、
    前記γ相の800℃おける硬さは、前記硬質相の800℃における硬さの20~60%であり、
    前記γ相のうち、その周囲が前記硬質相と接し、かつ、前記結合相には接していないものの占める個数割合が10%以上である、
    ことを特徴とする超硬合金。
  2. 請求項1に記載の超硬合金の表面に硬質皮膜を有する切削工具。
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