JP7233070B2 - 真空断熱材 - Google Patents
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Description
無機繊維シートまたは無機繊維シート及び樹脂繊維シートが交互に配置された積層シートから構成される内部層、及び前記内部層の上面及び下面と接するように配置された樹脂繊維シートから構成される外部層を有するコア部材と、
前記コア部材を減圧封止した外包材と、
を備えることを特徴とする。
前記樹脂繊維シートがオレフィン系短繊維から形成されることを特徴とする。
前記樹脂繊維シート及び前記無機繊維シートの繊維が、シートの厚み方向と略直交する略同一方向に配向していることを特徴とする。
前記外包材の接合部の内側に前記コア部材が配置されていることを特徴とする。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る真空断熱材2を模式的に示す側面断面図である。
コア部材30は、無機繊維シート4から構成される内部層10と、内部層10の上面10a及び下面10bと接するように配置された樹脂繊維シート6a,6bから構成される外部層20とを有する。積層された無機繊維シート4、樹脂繊維シート6a,6bの間には接着層は存在せず、減圧により密着した状態になっている。
本実施形態では、無機繊維シート4の材料としてグラスウールが用いられ、特に湿式タイプが好ましい。グラスウールの繊維径については、繊維径が細いと、繊維間の空間が多くなって空隙率が増加するので、熱伝導率を低減でき、繊維の目付ばらつきを低減できる。一方、繊維径が細くなると、繊維同士のからみが弱くなり、強度が低下する。これらを総合的に考慮すると、グラスウールの繊維径は、1μm~8μm程度が好ましく、3μm~5μm程度がより好ましい。
繊維長が短いと、断熱方向に繊維が向いて、所謂ヒートブリッジにより断熱性能が低下する可能性があるが、後述するように本実施形態ではこれを回避する対策が取られている。
樹脂繊維は、通常、熱可塑性樹脂から形成される。そのような熱可塑性樹脂の中でも、本実施形態では、ポリプレンやポリエチレンで代表されるオレフィン系樹脂が用いられている。特に、繊維長が比較的短いオレフィン系短繊維が好ましい。その中でも、メルトブロー法によるポリプレン製の不織布を用いることがより好ましい。
繊維長が短いと、断熱方向に繊維が向いて、所謂ヒートブリッジにより断熱性能が低下する可能性があるが、後述するように本実施形態ではこれを回避する対策が取られている。
本実施形態に係る外包材40として、下記に示すような4層構造のガスバリアフィルムが用いられている。最外層から最内層の順に説明すると、最外層に、表面保護層として機能するナイロン、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が配置されている。次に、第1の中間層として、ガスバリア層として機能するアルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)が配置されている。次に、第2の中間層として、アルミ箔が配置されている。そして、最内層として、シール層として機能する高密度ポリエチレンが配置されている。
外包材40の厚みとして、15μm~200μmを例示することができる。
真空断熱材では、コア部材が外包材の中に減圧された状態で封止されているので、外包材内の空気による対流伝熱の影響は非常に小さく、コア部材における熱伝導が真空断熱材の断熱性能に大きな影響を与える。
外包材は、上記のように樹脂層を有するフィルムなので、加熱すると熱膨張して伸びる。仮に、コア部材が樹脂繊維シートから構成される外部層を有さず、無機繊維からなるコア部材及び外包材が直接接している場合には、真空断熱材を熱変形させるために加熱すると、外包材は熱膨張して伸びるが、無機繊維からなるコア部材はあまり熱膨張しないため、コア部材及び外包材の境界部で熱膨張差が生じる。
このとき、樹脂フィルムを含む外包材が、減圧によりコア部材の外面に密着しているため、外包材及びコア部材の間に大きな摩擦力が生じて、境界部で損傷が起きる可能性がある。
しかし、内部層10及び外部層20の間の境界部では、無機繊維シート4と樹脂繊維シート6とが接しているため接触部が限定されており、更に境界部に複数の微少な空気層が存在するので、摩擦力が小さく、互いに滑って熱膨張差による損傷を抑制することができる。上記のように、内部層10及び外部層20の間の境界部に接着層は存在しないので、繊維シート間の滑りを拘束することはない。
以上のように、本実施形態では、薄型であっても十分な断熱性能を有する立体形状の成型が可能な真空断熱材2を提供できる。これにより、デザインフリーの真空断熱材2を実現でき、真空断熱材の市場拡大に繋がる。
更に、樹脂繊維シート6の繊維f6及び無機繊維シート4の繊維f4が略同一方向に配向しているので、熱膨張差が生じた場合でも、繊維長手方向へより滑り易くなり、内部層10と外部層20との境界で生じる摩擦力がより低減され、損傷を更に効果的に抑制できる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る真空断熱材2を模式的に示す側面断面図である。
上記の第1の実施形態では、内部層10が1つの無機繊維シート4から構成されていたが、本実施形態では、内部層10が、図面上側から、無機繊維シート4a、樹脂繊維シート6c、無機繊維シート4bの順に交互に配置された3層の積層シート8から構成されている点で異なる。上記の第1の実施形態と同様に、内部層10の上下面10a,10bには、それぞれ樹脂繊維シート6a,6bが接している。積層された無機繊維シート4a,4b、樹脂繊維シート6a,6b,6cの間には接着層は存在せず、減圧により密着した状態になっている。
また、内部層10における無機繊維シート4a,b及び樹脂繊維シート6cの間の境界においても、繊維シートどうしが接しているため接触部が限定されており、更に境界部に複数の微少な空気層が存在するので、熱膨張差による損傷を抑制することができる。
更に、内部層10が積層シート8から構成される場合には、外部層20を構成する樹脂繊維シート6a,6bに加えて、内部層10の積層シート8を構成する樹脂繊維シート6cを熱変形させることにより、立体形状の強度を増すことができる。
その他の点については、上記の第1の実施形態と同様なので、更なる説明は省略する。
このように、本実施形態に係る真空断熱材2は非常に薄いため、後述するように、用途に合わせて所望の形状に熱変形させることができる。
真空断熱材の一般的な製造方法では、ガスシールド性を有するフィルムから形成されたシートを準備して、開口部を残してシートの3辺を熱融着させて、袋状の外包材を形成する。そして、開口から外包材の中にコア部材を入れて、真空引きをするとともに、開口部分を熱融着させて、コア部材を外包材により減圧封止する。
ただし、本発明の実施形態に係る真空断熱材2においても、3辺が熱融着された耳部Bを有する外包材140を用いることもできる。この場合、コア部材を薄くできるので、耳部の幅を狭くすることができる。
上記の第1及び第2の実施形態に係る真空断熱材2では、内部層10の上下面10a,10bと接する2枚の樹脂繊維シート6a,6bが配置されている。しかし、異なるシート6a,6bが内部層10の上下に配置されている場合だけでなく、1枚のシートを用いて、1枚のシートで内部層10の上下面及び側面を覆う場合もあり得る。その場合、1枚のシートで片側の側面だけを覆う場合も、両側の側面を覆う(つまり、内部層10全面を覆っている)場合もあり得る。
製作した真空断熱材の仕様は以下のようになる。
(1)コア部材
(a)内部層:無機繊維シート、樹脂繊維シート、無機繊維シートの順に交互に配置された3層の積層シート
(b)外部層:内部層の上面及び下面と接するように配置された樹脂繊維シート
(c)無機繊維シート:グラスウール
メーカー_中国常州 長海社
品番_S-VIP120
平均厚み1.09mm 120g/m2
(c)樹脂繊維シート:オレフィン系
メーカー_日本バイリーン
品番_OF-13042(T-1Z)
平均厚み1.5mm 75g/m2
(2)外包材 フィルム構成
メーカー_ジェイフィルム
仕様_ONY15μ/VMPET12μ/AL7μ/LLDPE50μ
はじめにJIS A 1412-1に基づき、真空断熱材の熱伝導率を測定した。このとき、試験体2枚(No.1及びNo.2)を用いて測定した。
(1)試験片仕様
(a)寸法
(No.1)305mm×317mm、厚さ4.7mm
(No.2)304mm×302mm、厚さ4.8mm
(b)重量
(No.1) 97.90g
(No.2) 97.28g
次に、従来の真空断熱材またはウレタン発泡材を用いたクーラーボックスに対して、本実施例係る真空断熱材を付加した場合の断熱性能の改善率を測定した。
次に、実際に製造した真空断熱材に曲げ加工や立体成型を行う試験を行った。図6は、実際に製造した真空断熱材に曲げ加工で凹部を設けた実施例を示す図(写真)である。図7は、実際に製造した真空断熱材に立体形状の成型を行った実施例を示す図(写真)である。
4,4a,b 無機繊維シート
6,6a~c 樹脂繊維シート
8 積層シート
10 内部層
10a 上面
10b 下面
20 外部層
30 コア部材
40 外包材
102 真空断熱材
130 コア部材
140 外包材
f4、f6 繊維
Claims (5)
- 無機繊維シートまたは無機繊維シート及び樹脂繊維シートが交互に配置された積層シートから構成される内部層、及び前記内部層の上面及び下面と接するように配置された樹脂繊維シートから構成される外部層を有するコア部材と、
前記コア部材を減圧封止する外包材と、
を備え、
前記樹脂繊維シート及び前記無機繊維シートの繊維は、シートの厚み方向と略直交する方向に配向し、
前記樹脂繊維シートの硬度は前記無機繊維シートの硬度より低く、
真空引き時の変形の差による微少空気層が、前記コア部材の最外層に配置された前記樹脂繊維シートとその内側に隣接する前記無機繊維シートとの間に存在することを特徴とする真空断熱材。
- 加熱により前記コア部材の最外層に配置された前記樹脂繊維シートが熱変形して立体形状に成型されることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記無機繊維の繊維長が2~100mmであり、前記樹脂繊維の繊維長が2~100mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の真空断熱材。
- 前記樹脂繊維シートはオレフィン系短繊維から形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の真空断熱材。
- 前記外包材の接合部の内側に前記コア部材が配置されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の真空断熱材。
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