JP7232995B2 - 電磁波シールドシートおよびその製造方法、シールド性配線基板、並びに電子機器 - Google Patents
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Description
特許文献2には、シールドプリント配線板を製造する際にシールド特性が低下しにくく、充分な耐折り曲げ性を有する電磁波シールドフィルムを提供することを課題として、導電性接着剤層と、開口部を複数有し、その開口面積および開孔率が特定範囲にある金属層からなるシールド層と、絶縁層とがこの順に積層された電磁波シールドフィルムが開示されている。
[1]: 接着剤層(A)と、当該接着剤層(A)の上に積層されたシールド層(B)とを備え、
シールド層(B)は、接着剤層(A)の上に積層された金属層(C)と、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有し、金属層(C)の上に積層された導電性フィラー高充填層(D)とを有し、
導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対し、導電性フィラー(d-2)の含有率が75~95質量%である電磁波シールドシート。
[2]: 接着剤層(A)は、バインダー成分(a-1)を含み、
当該バインダー成分(a-1)を170℃30分の条件で押圧処理した押圧処理物(a’-1)の比誘電率が23℃、周波数28GHzにおいて1.0~3.5であり、押圧処理物(a’-1)の誘電正接が23℃、周波数28GHzにおいて0.0001~0.02であることを特徴とする[1]記載の電磁波シールドシート。
[3]: 接着剤層(A)は、導電性フィラー(a-2)を含有することを特徴とする[1]または[2]記載の電磁波シールドシート。
[4]: シールド層(B)の上に、更に、保護層(E)が積層されており、
保護層(E)は、バインダー成分(e-1)を含み、
当該バインダー成分(e-1)を170℃30分の条件で押圧処理したシート状押圧処理物(e’-1)の破断強度が15MPa以上であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
[5]: 170℃30分の条件で押圧処理した後の押圧処理物の反発力が0.01~30mN/cmであることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の電磁波シールドシート。
[6]: 絶縁性基材と、前記絶縁性基材上に形成された回路パターンと、前記絶縁性基材および前記回路パターン上に形成されたカバーコート層とを備える配線回路基板と、
電磁波シールドシートとを有し、
前記電磁波シールドシートは、前記カバーコート層上に、請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの接着剤層(A)を用いて接合されたシールド性配線基板。
[7]: [6]記載のシールド性配線基板を備える電子機器。
[8]: 接着剤層(A)とシールド層(B)の積層構成を備える電磁波シールドシートの製造方法であって、
接着剤層(A)を形成する工程と、
シールド層(B)の一部として機能する金属層(C)を形成する工程と、
バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有する導電性フィラー含有組成物を塗工して、シールド層(B)の一部として機能する導電性フィラー高充填層(D)を形成する工程とを有し、
導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対し、導電性フィラー(d-2)の含有率を75~95質量%とし、接着剤層(A)、金属層(C)、導電性フィラー高充填層(D)の順に積層する電磁波シールドシートの製造方法。
本発明の実施形態に係る電磁波シールドシート(以下、「本シート」とも記す)の一例を図1に示す。図1に示すように、本シート1は、接着剤層(A)と、この接着剤層(A)の上に積層されたシールド層(B)を備える。シールド層(B)は、接着剤層(A)の上に積層された金属層(C)と、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有し、金属層(C)の上に積層された導電性フィラー高充填層(D)とを有する。導電性フィラー高充填層(D)中の導電性フィラー(d-2)の含有量は、導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対して75~95質量%の範囲とする。本シートは、プリント配線板等の被着体に、接着剤層(A)を介して接合され、被着体の電磁波遮蔽部材として機能する。
一方、本シートによれば、シールド層(B)の一部として機能する導電性フィラー高充填層(D)のバインダー成分(d-1)による応力緩和効果によって、上記カールを効果的に抑制することができる。
本シートは、シールド層(B)として金属層とバインダー成分(d-1)を含む導電性フィラー高充填層を併用することにより、バリの発生の原因となる金属層の厚みを薄く設計することが可能となる。また、打抜き加工時にかかる本シートへの応力を、導電性フィラー高充填層(D)のバインダー成分(d-1)によって緩和させることができる。このため、本シートによれば上記バリの発生を効果的に改善することができる。
本シートは、シールド層(B)として金属層(C)と、導電性フィラーが特定の含有率であるバインダー成分(d-1)を含む導電性フィラー高充填層(D)を併用することにより、剛性の原因となる金属層の厚みを薄く設計することが可能となる。また、シールド層(B)のうち、折り曲げたときに外側に配置される、より応力負荷のかかる層を導電性フィラー高充填層(D)とすることで、金属層(C)の破断、クラックおよび外観不良を効果的に防止できる。
本シートは、シールド層(B)として金属層とバインダー成分(d-1)を含む導電性フィラー高充填層を併用することにより、ガス透過性を阻害する原因となる金属層の厚みを薄く設計することが可能となる。金属層の厚みを薄くすることにより、ガス透過性を有する微小細孔が形成されやすくなる。なお、金属層にガス透過のための細孔を別途設けることも可能であるが、生産工程が増えてしまうという問題がある。
本シートは、優れた易変形性を得る観点からは、本シートを170℃30分の条件で押圧処理した後の押圧処理物の反発力が0.01~30mN/cmであることが好ましい。この範囲とすることにより易変形性に優れ、カールおよびバリの発生をより効果的に抑制することができる。なお、本シートの押圧処理物の反発力の測定方法は、後述する実施例により求められる値をいうものとする。以下、各層について詳述する。
接着剤層(A)は、本シートを被着体に接合する役割を担う。本シートの被着体への接合は、通常、熱圧着により行われる。なお、被着体に接合した後の層を接合層(A’)といい、被着体への接合前の本シートの接着剤層(A)と区別する。
なお、バインダー成分(a-1)として熱硬化性樹脂を含む場合には、押圧処理物(a’-1)は硬化層となる。また、通常、170℃×30分の処理により硬化層となるが、係る条件で硬化層にならないバインダー成分(a-1)に関しては、加熱温度および/または時間を調整して硬化層としてから、測定するものとする。ここでいう硬化とは、Bステージである半硬化でなく、Cステージである完全硬化を意味する。
接着剤層(A)のバインダー成分(a-1)の上記押圧処理物(a’-1)の比誘電率および誘電正接を小さくすることにより、上記式(1)に示すように誘電体損失を低減でき、伝送損失を低減することができる。
熱可塑性樹脂の好適例として、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。伝送損失の観点から、前述の比誘電率および誘電正接を満たす材料が好ましく、特性インピーダンスの観点から前述の比誘電率を満たす材料が好ましい。好適例としてフッ素系樹脂等が挙げられる。また、液晶ポリマーに分類されるものが好適例として挙げられる。可塑性樹脂は、単独または二種類以上併用できる。
熱硬化性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミドベンズオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が例示できる。熱硬化性樹脂は、単独または二種類以上を併用できる。
有機ジルコニウム化合物はジルコニウムキレート化合物が好ましい。ジルコニウムキレート化合物は、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも有機チタン化合物が熱硬化反応性と硬化後の耐熱性の点から好ましい。
これらのうちでも特に、熱硬化性樹脂がカルボキシル基含有樹脂を含み、硬化剤として、エポキシ化合物を含み、更に、有機金属化合物およびイソシアネート化合物の少なくとも一方を含むものが好ましい。エポキシ化合物は、カルボン酸1当量に対して好ましくは0.5~10倍、より好ましくは1~5倍のエポキシ当量を配合する。有機金属化合物およびイソシアネート化合物のトータルの硬化剤当量は、カルボン酸1当量に対して0.1~5倍で配合することが好ましく、0.5~3倍の範囲で配合することがより好ましい。上述したように硬化剤を使用することで、熱硬化後の未反応官能基数を抑制できるため、比誘電率および誘電正接がより低下する。
導電性フィラー(a-2)は、接合層(A’)に導電性を付与する機能を有する。導電性の接合層(A’)とする場合において、本シートの接着剤層(A)の段階での導電性の有無は問わない。導電性フィラー(a-2)としては、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、錫、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、マンガン、インジウム等の金属粉、合金粉、ハンダ等の低融点金属粉が例示できる。また、核体の表面を被覆した被覆層を有する複合微粒子も好適である。例えば、銀メッキされた銅粉、金属メッキされたガラス繊維やカーボンフィラーなどが挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン等の導電性ポリマーの微粒子を用いてもよい。これらの中でも、導電率の高い銀粉、銀メッキされた銅粉や、ハンダ等の低融点金属粉が好ましい。導電性フィラーは、単独または二種類以上併用できる。
接着剤層(A)の形成に用いる接着剤組成物には、適宜、溶剤を用いることができる。また、上記成分の他、所望の物性向上や機能付与を目的として、任意成分としてシランカップリング剤、硬化助剤、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
シールド層(B)は、外部からの磁場や電波による誤動作を防止する役割、または/および電気信号からの不要輻射を低減する役割を担う。シールド層(B)は、前述したように、接着剤層(A)の上に積層されている金属層(C)と、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有し、金属層(C)の上に積層されている導電性フィラー高充填層(D)とを有する。シールド層(B)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、金属層(C)および導電性フィラー高充填層(D)以外の層が積層されていてもよい。なお、本明細書では被着体への接合前の本シート、および被着体への接合後の本シートいずれもシールド層(B)という。金属層(C)および導電性フィラー高充填層(D)も同様とする。
金属層(C)は、シールド層(B)の一部として機能する。金属層(C)を構成する金属種は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で限定されないが、一例として、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、マンガン、インジウムが例示できる。単一の導電性金属を用いても、複数の金属の合金を用いてもよい。より優れたシールド特性を得る観点からは、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、錫、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛から選択される金属を95質量%以上含むことが好ましい。これらのうちでも、薄層でより優れたシールド特性を得る観点からは、金、白金、銀、銅を含むことが好ましく、銀、銅が特に好ましい。
二乗平均平方根傾斜Sdqは、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、および電子顕微鏡いずれかで得られる表面形状の座標データを、解析ソフトによって処理することにより算出することができる。二乗平均平方根傾斜Sdqは、定義表面の全点における傾斜の二乗平均平方根を表しており、定義表面における凹凸の険しさを表現するパラメータである。
導電性フィラー高充填層(D)は、シールド層(B)の一部として機能する層であり、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有する層である。導電性フィラー(d-2)の含有率は、導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対して75~95質量%とする。この範囲とすることにより、シールド特性を良好に保ちつつ、応力緩和効果を効果的に引き出すことができる。より好適な範囲は80~92.5質量%であり、更に好適な範囲は85~90質量%である。
バインダー成分(d-1)は樹脂を含む。樹脂の好適例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が例示できる。熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂単独で硬化する自己架橋型の樹脂でもよいが、硬化剤と組合せて用いることが好ましい。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および硬化剤のそれぞれの好適例は、バインダー成分(a-1)で例示した化合物が挙げられる。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂はいずれか単独または両者を併用して用いられる。
導電性フィラー(d-2)は、シールド特性を良好に保つ観点から金属粒子が好適である。また、金属や樹脂を核体とし、核体の表面を金属により被覆した被覆層を有する複合微粒子を用いてもよい。
導電性フィラー高充填層(D)の形成に用いる導電性フィラー含有組成物には、適宜、溶剤を用いることができる。また、上記成分の他、所望の物性向上や機能付与を目的として、任意成分としてシランカップリング剤、硬化助剤、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
本シートは、シールド層(B)上に更に保護層(E)を積層してもよい。保護層(E)は、シールド層(B)や接着剤層(A)を保護する機能、およびシールド層(B)が外部導体と電気的に接続することを防止する機能を有する。
数式(3):
(シート状押圧処理物(e’-1)の損失正接)=
(シート状押圧処理物(e’-1)の損失弾性率)/(シート状押圧処理物(e’-1)の貯蔵弾性率)
保護層(E)は、適宜、溶剤を用いることができる。また、任意成分として非導電性粒子を含んでいてもよい。非導電性粒子は保護層(E)の絶縁性を向上させるとともに、熱プレス時に本シートをFPC等の被着体への押し込み力を高め、グランド配線との接続性を高める機能を有する。また、放熱性を高めるために熱伝導性粒子などを用いてもよい。
本シートは、更に、他の機能層を備えていてもよい。他の機能層として、ハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、熱伝導性、低誘電率、高誘電率性または耐熱性等の機能を有する層が例示できる。
以下、本シートの製造方法の一例について説明する。但し、本発明の製造方法は以下の製造方法に限定されるものではない。本シートは、接着剤層(A)を形成する工程と、シールド層(B)の一部として機能する金属層(C)を形成する工程と、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有する導電性フィラー含有組成物を塗工して、シールド層(B)の一部として機能する導電性フィラー高充填層(D)を形成する工程とを有する。導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対し、導電性フィラー(d-2)の含有率が75~95質量%とする。
接着剤層(A)の形成に用いる接着剤組成物を調製する。具体的には、配合成分を混合し、攪拌することにより接着剤組成物を得ることができる。攪拌は、ディスパーマット、ホモジナイザー等の公知の攪拌装置を使用できる。接着剤組成物を調製した後、公知の方法により接着剤層(A)を形成する。例えば、接着剤組成物を剥離性シート上に塗工して乾燥することで接着剤層(A)を形成できる。塗工方法は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式が例示できる。乾燥工程は、熱風乾燥機、赤外線ヒーター等の公知の乾燥装置を使用できる。また、Tダイのような押出成形機を用いてシート状の接着剤層(A)を形成してもよい。
金属層(C)は、例えば、金属箔、金属蒸着膜、金属メッキ膜等を使用できる。また、真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)により金属層(C)を形成できる。一種または二種以上の導電性フィラーを集積させることにより金属層(C)を形成してもよい。導電性フィラーの好適例として、フレーク状粒子、デンドライト状粒子、球状粒子が挙げられる。導電性フィラーは一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。金属層(C)は、導電性フィラー高充填層(D)上に形成する方法が例示できる。
導電性フィラー高充填層(D)の形成に用いる導電性フィラー含有組成物を調製する。具体的には、配合成分を所定量混合し、攪拌することにより導電性フィラー含有組成物を得ることができる。攪拌は、例えば、接着剤層(A)と同様の撹拌装置により行うことができる。導電性フィラー含有組成物を調製した後、公知の方法により導電性フィラー高充填層(D)を形成する。例えば、導電性フィラー含有組成物を剥離性シート上に塗工して乾燥することで導電性フィラー高充填層(D)を形成できる。また、保護層(E)上に塗工して乾燥することで導電性フィラー高充填層(D)を形成してもよい。塗工方法・乾燥方法の好適例として、接着剤層(A)で説明した塗工例が例示できる。
保護層(E)の形成に用いる樹脂組成物を調製する。具体的には、配合成分を混合し、撹拌することにより樹脂組成物を得ることができる。攪拌は、例えば、接着剤層(A)と同様の撹拌装置により行うことができる。樹脂組成物を調製した後、公知の方法により保護層(E)を形成する。例えば、樹脂組成物を剥離性シート上に塗工して乾燥することで保護層(E)を形成できる。塗工方法・乾燥方法の好適例として、接着剤層(A)で説明した塗工例が例示できる。また、Tダイのような押出成形機を使用して樹脂組成物をシート状に押し出すことで形成することもできる。また、保護層(E)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の絶縁性樹脂を成形したフィルムを使用することもできる。
本発明の実施形態に係るシールド性配線基板の要部の一例を図2に示す。図2に示すように、シールド性配線基板20は、配線回路基板10と電磁波シールドシート2を備える。配線回路基板10は、絶縁性基材11と、この絶縁性基材11上に形成された回路パターン12と、絶縁性基材11および回路パターン12上に形成されたカバーコート層13とを備える。電磁波シールドシート2は、絶縁性基材11に本シートの接着剤層(A)を用いて接合されている。
酸価はJIS K0070に準じて測定した。共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、テトラヒドロフラン/エタノール(容量比:テトラヒドロフラン/エタノール=2/1)混合液100mLを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬が淡紅色を30秒間保持した時を終点とした。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
Mwの測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)「HPC-8020」(東ソー社製)により行った。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフである。本測定は、カラムに「LF-604」(昭和電工社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6mL/min、カラム温度40℃の条件で行った。Mwの決定はポリスチレン換算で行った。
Tgの測定は、示差走査熱量測定「DSC-1」(メトラー・トレド社製)によって測定した。
D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS13320(ベックマン・コールター社製)を使用した。トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、導電性フィラーを測定して得た数値であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。なお、屈折率の設定は1.6とした。
実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。表1~3中の導電性フィラー(a-2)中の1~3のフィラーおよび導電性フィラー(d-2)中の1~3のフィラーは、それぞれ以下の導電性フィラー1~3に対応する。他の樹脂、硬化剤も同様である。
・導電性フィラー1:複合微粒子(核体の銅100部に対して銀が10部被覆されたデンドライト状の微粒子)平均粒径D50:11.0μm(福田金属箔粉工業社製)
・導電性フィラー2:複合微粒子(核体の銅100部に対して銀が10部被覆された球状の微粒子)平均粒径D50:10.0μm(福田金属箔粉工業社製)
・導電性フィラー3:複合微粒子(核体の銅100部に対して銀が10部被覆されたフレーク状の微粒子)平均粒径D50:17.0μm(福田金属箔粉工業社製)
・樹脂1:酸価6mgKOH/g、Mw54,000、Tg7℃のポリイミド樹脂(トーヨーケム社製)
・樹脂2:酸価5mgKOH/g、Mw61,000、Tg-5℃のポリウレタン樹脂(トーヨーケム社製)
・樹脂3:酸価10mgKOH/g、Mw47,000、Tg12℃のポリエステル樹脂(トーヨーケム社製)
・硬化剤1:エポキシ化合物、「JER828」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量=189g/eq、三菱ケミカル社製)
《接着剤層(A)の作製》
固形分換算で樹脂1を100部、導電性フィラー1を39部、硬化剤1(エポキシ化合物)を15部容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるように混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))を加えディスパーで10分攪拌して接着剤組成物を得た。
得られた接着剤組成物をバーコーターで乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで接着剤層(A)を得た。乾燥厚みはABSデジマチックインジケータID-CX(ミツトヨ社製)にて測定した。
固形分換算で樹脂1を100部、導電性フィラー3を1035部、硬化剤1(エポキシ化合物)を15部容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるように混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))を加えディスパーで10分攪拌して導電性フィラー含有組成物を得た。
得られた導電性フィラー含有組成物をバーコーターで乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電性フィラー高充填層(D)を得た。導電性フィラー高充填層(D)の乾燥厚みは接着剤層(A)と同様の方法により測定した。
剥離性シート付きの導電性フィラー高充填層(D)の導電性フィラー高充填層(D)露出面に、真空銅蒸着を施して金属層(C)を形成することにより、剥離性シート付きシールド層(B)を得た。金属層(C)の接着剤層(A)側の表面粗さ(Sdq)は、以下の方法により測定した。即ち、露出した金属層(C)の表面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK-X100)を使用し、測定データ取得を行った。取得した測定データを解析ソフトウェア(ISO 25178表面性状計測モジュール「VK-H1XR」を備えた、解析アプリケーション「VK-H1XA」、ともにキーエンス社製)に取り込み、ISO25178表面性状計測を実行した(条件は、S‐フィルター;1μm、L‐フィルター;0.2mm)。なお、表面に開口部を有する金属層(C)については、ISO 25178表面性状計測を実行する際には、開口部は計測範囲から除外した。
固形分換算で樹脂1を100部、硬化剤1(エポキシ化合物)15部を加えディスパーで10分攪拌することで樹脂組成物を得た。剥離性シート付きシールド層(B)から剥離性シートを除去し、導電性フィラー高充填層(D)の露出面に、バーコーターを使用して得られた樹脂組成物を乾燥厚みが5μmになるように塗工した。そして、100℃の電気オーブンで2分間乾燥して保護層(E)を得た。次いで、保護層(E)に微粘着剥離性シートを貼り合わせ、実施例1の電磁波シールドシートを得た。乾燥厚みは接着剤層(A)と同様の方法により測定した。
表1~3に示すように、接着剤層(A)、金属層(C)、導電性フィラー高充填層(D)および保護層(E)の種類を変更した以外は、実施例1と同様に行うことで、実施例2~30、比較例1~5の電磁波シールドシートをそれぞれ得た。なお、導電性フィラー含有率は、各層100質量%中の含有率である。
表3に示す成分を用い、更に、接着剤層(A)、導電性フィラー高充填層(D)、金属層(C)および保護層(E)の順に積層した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例6に係る電磁波シールドシートを得た。
金属層(C)の厚みは、以下の方法により測定した。
電磁波シールドシートの接着剤層(A)側の剥離性シートを剥がし、露出した接着剤層(A)とポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を貼り合せ、2MPa、170℃の条件で30分熱プレスした。これを幅5mm、長さ5mm程度の大きさに切断した後、エポキシ樹脂(ペトロポキシ154、マルトー社製)をスライドガラス状に0.05g滴下し、電磁波シールドシートを接着させ、スライドガラス/電磁波シールドシート/ポリイミドフィルムの構成の積層体を得た。得られた積層体をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製、SM-09010)を用いてポリイミドフィルム側からイオンビーム照射により切断加工して、熱プレス後の電磁波シールドシートの測定試料を得た。
混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))に、各実施例および比較例における接着剤層(A)のバインダー成分(a-1)に含有される樹脂および硬化剤を加え、ディスパーで10分攪拌することでバインダー組成物(バインダー成分(a-1))を得た。次いで、バインダー組成物を乾燥厚み25μmになるように剥離性シートに塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥して、剥離性シート付きバインダーシートを得た。そして、得られた剥離性シート付きバインダーシートから剥離性シートを剥離し、真空熱ラミネーターを用いて4枚積層し、170℃、30minで加熱処理し、50mm四方に切り出し、厚み100μmの試験片を得た。この試験片を23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間以上保管し、エー・イー・ティー社製の誘電率測定装置を用い、空洞共振器法により測定温度23℃、測定周波数28GHzにおける比誘電率および誘電正接を求めた。なお、押圧処理物(d’-1)の比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の値も同様の方法により求めることができる。
混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))に、各実施例および比較例における導電性フィラー高充填層(D)のバインダー成分(d-1)に含有される樹脂および硬化剤を加え、ディスパーで10分攪拌することでバインダー成分(d-1)をそれぞれ得た。得られたバインダー成分(d-1)を、バーコーターを用いて乾燥厚みが30μmになるように剥離性シートに塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥し、170℃、30min、2MPaで押圧処理し、その後、剥離性シートを剥がすことにより、破断強度および破断伸度測定用のシート状押圧処理物(d’-1)を得た。このシート状押圧処理物(d’-1)の中心部分を幅5mm・長さ30mmに切出し、試料とした。この試料を、動的粘弾性測定装置(動的粘弾性測定装置DVA-200、アイティー計測制御社製)にセットし、測定温度領域:-30~300℃、昇温速度:10℃/分、測定周波数:1Hz、歪:0.08%の条件にて動的粘弾性測定を行い、各温度での損失弾性率E’’、貯蔵弾性率E’を読み取った。得られた貯蔵弾性率のうち、150~200℃の範囲にあるものから平均値を算出し、ゴム状平坦域E’rubとした。また、損失弾性率E’’を貯蔵弾性率E’で除することで各温度の損失正接を算出し、損失正接曲線を作成した。得られた損失正接曲線の極大点を損失正接ピークとした。
保護層(E)のバインダー成分(e-1)のシート状押圧処理物(e´-1)の損失正接ピークについても同様の方法により求めた。
混合溶剤(トルエン:イソプロピルアルコール=2:1(質量比))に、各実施例および比較例における保護層(E)のバインダー成分(e-1)に含有される樹脂および硬化剤を加え、ディスパーで10分攪拌することでバインダー成分(e-1)を得た。得られたバインダー成分(e-1)を、バーコーターを用いて乾燥厚みが30μmになるように剥離性シートに塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥し、170℃、30min、2MPaで押圧処理し、その後、剥離性シートを剥がすことにより、破断強度および破断伸度測定用のシート状押圧処理物(e´-1)を得た。このシート状押圧処理物(e´-1)を幅20mm×長さ60mmの大きさに切断して測定試料とした。測定試料について、小型卓上試験機EZ-TEST(島津製作所社製)を用いて温度25℃、相対湿度50%の条件下で、引っ張り試験(試験速度50mm/min)を実施した。得られたS-S曲線(Stress-Strain曲線)からシート状押圧処理物(e´-1)の破断強度(N/20mm)および破断伸度(%)を算出した。
反発力は、JPCA-TM002 8.4.2に記載の試験条件に準じてスティフネス(stiffness)値を測定して評価した。JPCA-TM002 8.4.2に記載のパターンA(L/S:1.0/1.0mm、ライン数:3往復(六本))の片面CCL(Copper Clad Laminate)を用意した。次いで、電磁波シールドシートを幅2cm・長さ6cmの大きさにカットし、試料とした。各実施例および比較例の電磁波シールドシートの接着剤層(A)側の剥離性シートを剥がし、露出した接着剤層(A)と、前述の片面CCLとを重ね合わせて170℃、2MPa、30minの条件で圧着させた。次いで、幅1.5cm、長さ3cmにカットして保護層(E)側の剥離性シートを剥がし、JPCA-TM002 8.4.2に記載の試験条件にてスティフネス(stiffness)値を測定することにより、被着体に接合した後の電磁波シールドシートの反発力を求めた。
打抜き加工性は、以下に示す方法にて評価した。
実施例、比較例で得られた剥離フィルムのついた電磁波シールドシートを、抜き加工機にて10mmx30mmに総ピース数50個型抜きし、不良品に該当するピースの個数を数えた。以下に示す数式(4)を用いて不良率を算出し、打抜き加工性を評価した。
数式(4):
(不良率)=(不良品に該当するピース数)/(型抜きした総ピース数)×100
なお、不良品とは、型抜きの形に加工された後に、金属層(C)端部でバリ(捲れ)が発生したものを指す。
評価基準は以下の通りとした。
+++:不良率が10%未満。 極めて良好である。
++:不良率が10%以上15%未満 良好である。
+:不良率が15%以上25%未満 実用可。
NG:不良率が25%以上 実用不可。
両面に剥離性シートがついている電磁波シールドシート(長さ1000mm、幅300mm)を準備した。そして、3.0インチABSコア(昭和丸筒社製)に、電磁波シールドシートの長さ方向が巻き方向になるように巻きつけ、300mm長さのロール状試料を得た。このロール状試料の内側は接着剤層(A)、外側は保護層(E)となるようにした。得られたロール状試料を40℃湿度90%RHの条件下に7日間曝露した後、当該剥離性シート付き電磁波シールドシートを巻き戻した。そして、長さ方向500mm地点が中心となるように、また、巻き方向(長さ方向)と幅方向が各辺の方向と一致するように100mm×100mmサイズに裁断し、評価用試料5を得た。その後、評価用試料5の保護層(E)が下側、接着剤層(A)が上側になるように水平な台60に置き、評価用試料5の長さ方向(巻き方向)のカール率を評価した。具体的には、図3に示すように、評価用試料5の長さ方向(巻き方向)の電磁波シールドシートの水平方向の距離Lを測定した。そして、以下の式(4)を用いてカール率を計算した。
カール率=〔(100-L)/100〕×100(%) 式(4)
得られたカール率を下記の基準で評価した。
+++:カール率10%未満。極めて良好である。
++:カール率10%以上、20%未満。良好である。
+:カール率20%以上、30%未満。実用可。
NG:カール率30%以上。実用不可。
易変形性は図4に示す試験装置を用いて評価した。まず、電磁波シールドシートの接着剤層(A)の剥離性シートを剥離し、接着剤層(A)に、厚さが50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を150℃、1MPaおよび30minの条件で圧着し、ポリイミドフィルムに熱圧着させた電磁波シールドシートを得た。その後、縦寸法10mm、横寸法100mmの大きさの試験片(ポリイミドフィルム/電磁波シールドシート)である積層体42を得た。
+++:戻り角10°未満であり、且つ折り曲げ箇所で割れ等の外観不良が無い。極めて良好である。
++:戻り角10°以上、30°未満であり、且つ折り曲げ箇所で割れ等の外観不良が無い。良好である。
+:戻り角30°以上、60°未満であり、且つ折り曲げ箇所で割れ等の外観不良が無い。実用可。
NG:戻り角60°以上、もしくは折り曲げ箇所で割れ等の外観不良が生じる。実用不可。
伝送特性は、電磁波シールドシート付きコプレーナ回路を有する配線回路板を用いて評価した。測定に用いたコプレーナ回路を有するフレキシブルプリント配線板15(以下、コプレーナ回路を有する配線回路基板ともいう)の主面側の模式的平面図を図5、裏面側の模式的平面図を図6に示す。まず、厚さ50μmのポリイミドフィルム50の両面に、厚さ12μmの圧延銅箔を積層した両面CCL「R-F775」(パナソニック社製)を用意した。そして、矩形状の4つのコーナー部近傍に、其々6か所のスルーホール52(直径0.1mm)を設けた。なお、図中においては、図示の便宜上、各コーナー部にスルーホール52を2つのみ示している。次いで、無電解メッキ処理を行った後に、電解メッキ処理を行って10μmの銅メッキ膜51を形成し、スルーホール52内に形成された銅メッキ膜を介して主面-裏面間の導通を確保した。その後、図5に示すように、ポリイミドフィルム50の主面に長さが10cmの2本の信号配線53、およびその外側に信号配線53と並行なグランド配線54、およびグランド配線54から延在され、ポリイミドフィルム50の短手方向のスルーホール52を含む領域にグランドパターン55を形成した。
+++:15GHzにおける伝送損失が7.0dB未満。極めて良好である。
++:15GHzにおける伝送損失が7.0dB以上、7.5dB未満。良好である。
+:15GHzにおける伝送損失が7.5dB以上、8.0dB未満。実用可。
NG:15GHzにおける伝送損失が8.0dB以上。実用不可。
ガス透過性は、配線回路基板を模した銅張積層板に電磁波シールドシートを積層した試験片と、溶融半田とを接触させ、そのサンプルの外観変化の有無により評価した。ガス透過性が高い電磁波シールドシートは、配線回路基板から発生する水蒸気等のアウトガスを効率よく配線回路基板外に逃がすことができるため、外観が変化しないが、ガス透過性が低い電磁波シールドシートではアウトガスが効率よく逃げず、発泡や剥がれが発生する。
まず、幅25mm・長さ70mmの電磁波シールドシートの接着剤層(A)の剥離性シートを剥がし、露出した接着剤層(A)と、総厚64μmの金メッキ処理された銅張積層板(金メッキ0.3μm/ニッケルメッキ1μm/銅箔18μm/接着剤20μm/ポリイミドフィルム25μm)の金メッキ面とを170℃、2.0MPa、30分の条件で圧着し、熱硬化させた積層体を得た。得られた積層体を幅10mm・縦65mmの大きさに切り取り、試料を作製した。得られた試料を40℃、90%RHの雰囲気下で72時間放置した。その後、試料のポリイミドフィルム面を下にして250℃の溶融半田上に1分間浮かべた。そして、取り出した試料の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
+++:外観変化不良が、目視において認められない。極めて良好である。
++:外観不良の範囲が試料中の保護層(E)面積の10%以下。良好である。
+:外観不良の範囲が試料中の保護層(E)面積の10%より広く、30%以下。実用可。
NG:外観不良の範囲が試料中の保護層(E)面積の30%より広い。
電磁波シールドシートを剥離性フィルムに挟んで2MPaの圧力で170℃×30分間、熱プレス(硬化)し、剥離性フィルムを除いた状態のものを測定サンプルとした。高周波シールド性はASTM D4935に準拠し、キーコム社製の同軸管タイプのシールド効果測定システムを用いて、100MHz~15GHz条件で電磁波の照射を行った。電磁波が電磁波シールドシートで減衰する減衰量を測定し、以下の基準に従って評価した。なお、減衰量の測定値は、デシベル(単位;dB)である。
+++:15GHzの電磁波照射時の減衰量が、-55dB未満。極めて良好である。
++:15GHzの電磁波照射時の減衰量が、-55dB以上、-50dB未満。良好。
+:15GHzの電磁波照射時の減衰量が、-50dB以上、-45dB未満。実用可。
NG:15GHzの電磁波照射時の減衰量が、-45dB以上。実用不可。
5:評価用試料、
8:カバーコート層、
10、15:配線回路基板、
11:絶縁性基材、
12:回路パターン、
12a:信号配線、
12b:グランド配線、
13:カバーコート層、
14:ビア、
20、21:シールド性配線基板、
41a:折曲部、
41b:左部、
41c:右部、
42:積層体、
44:基板、
45:シリコンゴム板、
50:ポリイミドフィルム、
51:銅メッキ膜、
52:スルーホール、
53:信号配線、
54:グランド配線、
55:グランドパターン、
56:裏面側グランドパターン、
60:台。
Claims (7)
- 接着剤層(A)と、当該接着剤層(A)の上に積層されたシールド層(B)とを備え、
接着剤層(A)は、バインダー成分(a-1)と導電性フィラー(a-2)を含有し、
シールド層(B)は、接着剤層(A)の上に積層された金属層(C)と、バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有し、金属層(C)の上に積層された導電性フィラー高充填層(D)とを有し、当該導電性フィラー高充填層(D)上には、金属層が形成されておらず、
接着剤層(A)100質量%に対し、導電性フィラー(a-2)の含有率が15~45質量%であり、
導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対し、導電性フィラー(d-2)の含有率が84~95質量%である電磁波シールドシート。 - 接着剤層(A)は、バインダー成分(a-1)を含み、
当該バインダー成分(a-1)を170℃30分の条件で押圧処理した押圧処理物(a’-1)の比誘電率が23℃、周波数28GHzにおいて1.0~3.5であり、押圧処理物(a’-1)の誘電正接が23℃、周波数28GHzにおいて0.0001~0.02であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールドシート。 - シールド層(B)の上に、更に、保護層(E)が積層されており、
保護層(E)は、バインダー成分(e-1)を含み、
当該バインダー成分(e-1)を170℃30分の条件で押圧処理したシート状押圧処理物(e’-1)の破断強度が15MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールドシート。 - 170℃30分の条件で押圧処理した後の押圧処理物の反発力が0.01~30mN/cmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
- 絶縁性基材と、前記絶縁性基材上に形成された回路パターンと、前記絶縁性基材および前記回路パターン上に形成されたカバーコート層とを備える配線回路基板と、
電磁波シールドシートとを有し、
前記電磁波シールドシートは、前記カバーコート層上に請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの接着剤層(A)を用いて接合されたシールド性配線基板。 - 請求項5記載のシールド性配線基板を備える電子機器。
- 接着剤層(A)とシールド層(B)の積層構成を備える電磁波シールドシートの製造方法であって、
バインダー成分(a-1)と導電性フィラー(a-2)を含有する接着剤層(A)を形成する工程と、
シールド層(B)の一部として機能する金属層(C)を形成する工程と、
バインダー成分(d-1)と導電性フィラー(d-2)を含有する導電性フィラー含有組成物を塗工して、シールド層(B)の一部として機能する導電性フィラー高充填層(D)を形成する工程とを有し、
接着剤層(A)100質量%に対し、導電性フィラー(a-2)の含有率を15~45質量%とし、
導電性フィラー高充填層(D)100質量%に対し、導電性フィラー(d-2)の含有率を84~95質量%とし、
接着剤層(A)、金属層(C)、導電性フィラー高充填層(D)の順に積層し、導電性フィラー高充填層(D)上には金属層の形成は行わない、電磁波シールドシートの製造方法。
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