JP7232927B2 - 眼鏡レンズおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、眼鏡レンズおよびその製造方法に関し、特に近視進行抑制レンズおよびその製造方法に関する。
特許文献1には、近視等の屈折異常の進行を抑制する眼鏡レンズが記載されている。具体的には、眼鏡レンズの物体側の面である凸面に対し、例えば、直径1mm程度の球形状の微小凸部(本明細書における基材凸部)を形成している。眼鏡レンズでは、通常、物体側の面から入射した光束を眼球側の面から出射させ、装用者の網膜上にて焦点を結ばせる。その一方、上記の微小凸部を通過した光束は、装用者の網膜よりも物体側寄り(手前側)の位置にて焦点を結ばせる。その結果、近視の進行が抑制される。
米国出願公開第2017/0131567号
特許文献1に記載の微小凸部を有する表面に、例えば、耐擦傷性を向上させるべくハードコート層が形成され、且つ、該ハードコート層の上に反射防止層が形成される場合、眼鏡レンズの最表面においては微小凸部とベース部分に対応する形状がともになだらかに変化し、微小凸部とベースの部分の境界が不明瞭になる。そうなると、本来微小凸部が生じさせるデフォーカスパワーを発揮できないおそれがある。
「デフォーカスパワー」は、デフォーカス領域の形状及び/又は素材がもたらす屈折力であって、各デフォーカス領域に対応する焦点位置Xでのデフォーカス値の平均と、各デフォーカス領域以外の部分を通過した光線が収束する位置であって複数の焦点位置Xよりも奥側にある焦点位置Yでのフォーカス値との差を指す。別の言い方をすると、「デフォーカスパワー」とは、デフォーカス領域の所定箇所の最小屈折力と最大屈折力の平均値からベース部分の屈折力を差し引いた差分である。
本発明の一実施例は、凸部または凹部の上に所定部材が配置されたとしてもデフォーカスパワーを発揮させることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、眼鏡レンズの最表面は平滑とし、その代わり、眼鏡レンズの内部に界面部分を設け、該界面部分に凸部または凹部を存在させる、という手法を想到した。そして、その際、該界面部分の凸部または凹部という形状と、該界面部分を挟み込む2種の面基材の屈折率の差と、を利用し、デフォーカスパワーをもたらす、という手法を想到した。
本発明は、上記の知見を基に案出されたものである。
本発明の第1の態様は、 物体側の面と眼球側の面とを備え、且つ、
眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域と、
を有する眼鏡レンズであって、
眼鏡レンズ内に界面部分が配置され、
界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させ、
凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分は平滑である、眼鏡レンズである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、 界面部分を挟み込む2種の部材は、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材およびデフォーカス面基材上に設けられた被覆部材である。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の態様であって、
界面部分は、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材と、デフォーカス面基材上に設けられたハードコート層と、により形成される。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の態様であって、
ハードコート層は、デフォーカス面基材に設けられた凸部または凹部を被覆し、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は凹部自体を埋めることにより平坦化するセグメント平滑化層と、セグメント平滑化層を被覆する耐擦傷層と、を備える。
本発明の第5の態様は、第3または第4の態様に記載の態様であって、 デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも小さい。
本発明の第6の態様は、第1または第2の態様に記載の態様であって、 界面部分は、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材と、デフォーカス面基材を挟み込むように設けられたレンズ基材と、により形成される。
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の態様であって、 デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも小さい。
本発明の第8の態様は、第1~第7のいずれかの態様に記載の態様であって、
凸部の突出高さまたは凹部の陥凹深さは4μm以上である。
本発明の第9の態様は、 物体側の面および眼球側の面を備え、
眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の
網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域とを有する眼鏡レンズの製造方法であって、
眼鏡レンズ内に界面部分を配置し、
界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させ、
凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分を平滑にする、眼鏡レンズの製造方法である。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載の態様であって、 凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材に設けられた凸部または凹部に対してセグメント平滑化用薬液を塗布して硬化させ、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は該凹部自体を埋めることにより平坦化してセグメント平滑化層を形成するセグメント平滑化工程と、
セグメント平滑化用薬液とは異なる耐擦傷層用薬液をセグメント平滑化層に塗布して硬化させ、セグメント平滑化層上に耐擦傷層を形成する耐擦傷層形成工程と、
を有する。
本発明の第11の態様は、第9の態様に記載の態様であって、 物体側の面または眼球側の面が形成された第1のレンズ基材用モールドの周縁部の少なくとも一部と、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材の周縁部の少なくとも一部とを接着させる工程と、
デフォーカス面基材を挟んで第1のレンズ基材用モールドと反対側に、眼球側の面または物体側の面が形成された第2のレンズ基材用モールドを配置する工程と、
第1のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間のキャビティーと、第2のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間のキャビティーとを連通させた上で、第1のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間、および、デフォーカス面基材と第2のレンズ基材用モールドとの間にレンズ基材の原料組成物を充填する工程と、
を行い、
凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材と、デフォーカス面基材上に設けられたレンズ基材と、により界面部分を挟み込む。
また、上記の態様に組み合わせ可能な他の態様を列挙すると以下のとおりである。
本明細書における「平滑」とは、最表面の凹凸が0.5μm以下である状態を指す。「最表面の凹凸」とは、4φにおける最近似球面からの乖離距離の最大値と最小値の差のことを指す。「最近似球面」とは、該4φの範囲において、最表面の測定値(高さ分布)から最小二乗法で算出した球面形状のことである。
表面平均パワーの観点から、以下のように「平滑」を定義してもよい。表面任意位置での表面平均パワー(単位:D)の任意方向の変化率が0.5D/mm以下(好適には0.4D/mm以下)の面の状態を指す。なお、表面平均パワーは以下の式で表される。
表面平均パワー=曲面平均曲率(単位:1/m)*(屈折率-1.0)
また、以下のように「平滑」を定義することも可能である。すなわち、表面平均パワーの最小値と最大値の差が、透過度数の最小値と最大値の差(埋め込んだセグメントによって付加されたパワー)よりも小さい状態を「平滑」としてもよい。
凸部または凹部が密集して存在する箇所に対応する最表面部分では、いずれの部分においても平滑であるのが好ましい。
凸部または凹部が密集して存在する箇所に対応する最表面部分では、いずれの部分においても平滑としたが、凸部または凹部に対応する眼鏡レンズの最表面の全体を平滑にするのが好ましいし、該最表面の反対側の最表面の全体も平滑にするのが好ましい。
界面部分は、眼鏡レンズの全周にわたって眼鏡レンズの最外縁まで存在させるのが好ましい。
近視進行抑制効果を発現すべく、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.60とし、被覆部材の屈折率を1.50とする組み合わせが好ましい。
近視進行抑制効果を発現すべく、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.70とし、被覆部材の屈折率を1.50または1.60とする組み合わせが好ましい。
近視進行抑制効果を発現すべく、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.67とし、被覆部材の屈折率を1.60とする組み合わせが好ましい。
なお、近視進行抑制効果の発現を目的としたうえで、レンズ基材の表面に凸部ではなく凹部を形成する場合、レンズ基材の屈折率と被覆部材の屈折率とを逆にすれば、デフォーカスパワーが得られる。
セグメント平滑化層は、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は凹部自体を埋め、且つ、ベース部分も被覆するのが好ましい。
眼鏡レンズの物体側の面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。逆に、眼鏡レンズの眼球側の面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。両面のうち一方のみに向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。また、両面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。
遠視進行抑制効果を発揮する一態様は、以下のとおりである。
デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも小さい。
遠視進行抑制効果を発揮する別の一態様は、以下のとおりである。
デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも小さい。
本発明の一実施例によれば、凸部または凹部の上に所定部材が配置されたとしてもデフォーカスパワーを発揮させることが可能となる。
図1は、実施形態1に係る眼鏡レンズの断面概略図である。 図2は、実施形態2に係る眼鏡レンズにおいてデフォーカス面基材に対して凸部を設けた場合の断面概略図である。 図3は、実施形態2に係る眼鏡レンズにおいてデフォーカス面基材に対して凹部を設けた場合の断面概略図である。 図4は、実施形態2に係る眼鏡レンズの製造方法の一部を概略的に示した断面図である。 図5は、実施形態3に係る眼鏡レンズの断面概略図である。
以下、本発明の一態様について述べる。以下における説明は例示であって、本発明は例示された態様に限定されるものではない。以下に説明の無い内容は、特許文献1を参照可能である。また、各図に示す各構成には名称と共に符号を付す。各符号の説明は、本明細書の符号の説明の欄に記載する。説明の便宜上、本明細書では符号を省略する。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズ]
本発明の一態様に係る眼鏡レンズの具体的な構成は以下の通りである。
「物体側の面と眼球側の面とを備え、且つ、
眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域と、
を有する眼鏡レンズであって、
眼鏡レンズ内に界面部分が配置され、
界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させ、
凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分は平滑である、眼鏡レンズ。」
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、物体側の面と眼球側の面とを有する。「物体側の面」は、眼鏡レンズを備えた眼鏡が装用者に装用された際に物体側に位置する表面である。「眼球側の面」は、その反対、すなわち眼鏡レンズを備えた眼鏡が装用者に装用された際に眼球側に位置する表面である。本発明の一態様において、物体側の面は凸面であり、眼球側の面は凹面である。つまり、本発明の一態様における眼鏡レンズは、メニスカスレンズである。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、特許文献1に記載の眼鏡レンズと同様、近視進行抑制レンズである。その一方、本発明の一態様に係る眼鏡レンズはそれに限定されない。例えば、本発明の一態様に係る眼鏡レンズは遠視進行抑制レンズであっても構わない。詳しくは[遠視進行抑制効果を発揮する場合]の項目にて述べる。なお、近視進行抑制と遠視進行抑制とをまとめて屈折異常進行抑制ともいう。
第1の屈折領域は、特許文献1における第1の屈折領域に該当する。上記具体的な構成における「物体側の面から入射した光線」は無限遠方からの光線とする。第2の屈折領域は、特許文献1における第2の屈折領域に該当する。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズ内には界面部分が配置される。この「界面部分」とは、ベース部分と凸部または凹部とを有する部分である。界面部分は、大きく分けて以下の2つの場合を包含する。いずれの場合においても、界面部分は2種の部材により挟み込まれる。
(場合1)
後掲の図1~図3(実施形態1、2)が示すようにデフォーカス面基材と被覆部材とが直接接触することにより形成される界面そのもの。この場合の界面部分は面形状である。
(場合2)
後掲の図5(実施形態3)が示すように、物体側の面の側にベース部分と例えば凸部とが形成され且つその反対側にはベース部分と該凸部に対応する凹部とが形成された界面部材を含む部分。詳しく言うと、界面部材から見て物体側の面の側に配置される部材において界面部材のベース部分および凸部と直接接触する部分と、界面部材から見て眼球側の面の側に配置される部材において界面部材のベース部分および凹部と直接接触する部分とで挟み込まれた部分。この場合の界面部分は層形状である。
この界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有する。上段落の(場合2)だと、界面部材自体が、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有する。
「ベース部分」は、その名の通り界面部分形状のベースとなる部分であり、該凸部または該凹部がなければ一つの面を形成する部分である。
この界面部分は、眼鏡レンズの物体側の面と眼球側の面との間に存在し、且つ、該両面に対して少なくともベース部分そして凸部または凹部は接触しない。
後掲の実施形態2に係る内容であるが、図2および図3に示すように、眼鏡レンズ製造時にスペーサーとデフォーカス面基材とが一体のものを使用する場合、スペーサーが物体側の面にて露出することがある。但し、この場合、ベース部分そして凸部または凹部は物体側の面に接触していない。そのため、図2および図3においては、界面部分は、眼鏡レンズの物体側の面と眼球側の面との間に存在し、且つ、該両面に対して少なくともベース部分そして凸部または凹部は接触しておらず、眼鏡レンズ内に埋設された状態である。
そもそも、眼鏡レンズがフレーム形状に合わせてカットされて出荷される場合には、図2および図3に示すスペーサーが配置された眼鏡レンズの最外縁は除去された状態になる。また、フレーム形状にカットされずに出荷される場合であっても、眼鏡としての完成時には眼鏡レンズの最外縁は除去されている。つまり、眼鏡レンズにはスペーサーが存在しないことが大半である。結局、上段落の定義があっても無くても、実際のところ、面部分は、眼鏡レンズの物体側の面と眼球側の面との間に存在し、且つ、該両面に対して少なくともベース部分そして凸部または凹部は接触しない。
該凸部は、ベース部分から突出した部分である。逆に、該凹部は、ベース部分から陥凹した部分である。
なお、本明細書において、ベース部分からの「突出距離」とは、界面部分のベース部分から凸部頂点までの、ベース部分により構成される面の法線方向の距離である。該方向を、光軸方向(レンズ厚さ方向、Z軸、以降同様)としてもよい。逆に、ベース部分からの「陥凹深さ」とは、界面部分のベース部分から凹部頂点までの該方向の距離である。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分を平滑にする。その一方、界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させる。
「凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分」とは、界面部分のベース部分と凸部または凹部とを形作る部材の主表面に直接形成された凸部または凹部と対向する物体側の面または眼球側の面の最表面であって、凸部または凹部から光軸方向にある部分のことを指す。
上記「主表面」とは、デフォーカス面基材におけるベース部分と凸部または凹部とを含む面であり、好適には凸部または凹部が設けられた全面である。このデフォーカス面基材の主表面(少なくとも一部のベース部分と一部の凸部または凹部とを含む箇所)に対し、屈折率が異なる別の部材が直接被覆されることにより界面部分が形成される。
仮に、眼鏡レンズの最表面に反射防止層が形成されている場合は該反射防止層における凸部または凹部の直上部分を指し、他の層(例えばフッ化物ポリマーからなる撥水層)が形成されている場合は該撥水層における凸部または凹部の直上部分を指す。また、特許文献1のように凸部が複数離間且つ独立して存在する場合、凸部が密集して存在する部分全体のことを指す。凹部についても同様の内容を指す。
本明細書における「平滑」とは、最表面の凹凸が0.5μm以下である状態を指す。「最表面の凹凸」とは、4φにおける最近似球面からの乖離距離の最大値と最小値の差のことを指す。「最近似球面」とは、該4φの範囲において、最表面の測定値(高さ分布)から最小二乗法で算出した球面形状のことである。
表面平均パワーの観点から、以下のように「平滑」を定義してもよい。「平滑」とは、表面任意位置での表面平均パワー(単位:D)の任意方向の変化率が0.5D/mm以下(好適には0.4D/mm以下)の面の状態を指す。なお、表面平均パワーは以下の式で表される。
表面平均パワー=曲面平均曲率(単位:1/m)*(屈折率-1.0)
また、以下のように「平滑」を定義することも可能である。すなわち、表面平均パワーの最小値と最大値の差が、透過度数の最小値と最大値の差(埋め込んだセグメントによって付加されたパワー)よりも小さい状態を「平滑」としてもよい。
つまり、凸部または凹部が密集して存在する箇所に対応する最表面部分では、いずれの部分においても平滑である。
その結果、本発明の一態様ならば、凸部または凹部の上に所定部材が配置されたとしてもデフォーカスパワーを発揮させることが可能となる。
屈折異常のうち近視の進行抑制の対象となるのは子供の場合が多い。本発明の一態様ならば、界面部分は、眼鏡レンズ内に埋設された状態であり、眼鏡レンズを装用した子供が誤って凸部または凹部を破損させるおそれがなくなる。
しかも、本発明の一態様だと、界面部分を挟み込む2種の部材の屈折率と、凸部または凹部の形状と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させているため、本発明の一態様を適用可能な部材のバリエーションが豊富となる。具体的には、後掲の実施形態1で例示すると、デフォーカス面基材であるところのレンズ基材の種類とその主表面を覆うハードコート層の材料との組み合わせのバリエーションが豊富となる。後掲の実施形態2で例示すると、膜状または板状のデフォーカス面基材の材料とその主表面を覆うレンズ基材の種類との組み合わせのバリエーションが豊富となる。
詳しくは[本発明の一態様に係る眼鏡レンズの詳細]にて述べるが、眼鏡レンズの基となるレンズ基材であって市販されたものの種類は有限である。これは、使用可能なレンズ基材の屈折率の種類も有限であることを意味する。
本発明の一態様が創出されるまでは、このレンズ基材の屈折率(すなわち大気の屈折率との差)および該レンズ基材上に設けられた凸部または凹部の形状によりデフォーカスパワーを発現させていた。だからこそ、本発明の課題の欄で述べたような課題が生じ、そしてその課題に関する知見が本発明者により得られている。
その一方、本発明の一態様によれば、大気の屈折率ではなく、界面部分を挟み込む2種の部材の互いの屈折率の差を、デフォーカスパワーの発現の一助としている。仮に、界面部分を挟み込む部材の一つとして市販のレンズ基材をした場合であっても、界面部分を挟み込む別の部材として所望の屈折率を有するものを選択すればよい。そのうえで、所望の形状(例えば所望の突出距離または陥凹深さ)の凸部または凹部を予め界面部分(本例の場合だとレンズ基材の主表面)に形成すれば済む。
つまり、本発明の一態様によれば、市販のレンズ基材を幅広く使用可能となり、言い換えると、商品スペック上、幅広い屈折率展開が可能となる。特に、この屈折率展開は、後掲の<実施形態2>の手法を用いると、より顕著となる。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズの詳細]
以下、本発明の一態様の更なる具体例、好適例および変形例について説明する。
<共通項目>
以下の内容は、後掲の実施形態1および実施形態2に共通する具体例、好適例および変形例である。
凸部または凹部が密集して存在する箇所に対応する最表面部分では、いずれの部分においても平滑としたが、凸部または凹部に対応する眼鏡レンズの最表面の全体を平滑にするのが好ましいし、該最表面の反対側の最表面の全体も平滑にするのが好ましい。
界面部分は、2種の部材により形成される。その一方、例えば、レンズ中央だと、デフォーカス面基材であるレンズ基材の主表面に対してハードコート層Aを設けつつ、ハードコート層Aの外周部分にハードコート層Bを設けてもよい。つまり、レンズ全体にわたって界面部分を2種の部材のみで構成せずともよい。
但し、この変形例は、工程の複雑化を招く。そのため、本発明の一態様のように、レンズ全体にわたって界面部分を2種の部材のみで構成するのが好ましい。本発明の一態様のように、デフォーカス面基材に対し、別の1つの部材が該主表面を覆うように配置されることにより界面部分を挟み込むのが、デフォーカスパワーの調整を容易に行える点、そして製造上の難易度を上げずに済む点で好ましい。
「デフォーカス面基材」は、界面部分を挟み込む部材の一つであり、その主表面は該界面部分の形状を有する。実施形態1、2だと、「デフォーカス面基材」は、界面部分のベース部分と凸部または凹部とを形作る部材であり且つデフォーカスパワーを生じさせる要素の一つとなる部材である。実施形態1だと、レンズ基材がデフォーカス面基材に該当し、実施形態2だと、眼鏡レンズ内に埋め込まれた膜状または板状の部材がデフォーカス面基材に該当する。
上記別の1つの部材のことを被覆部材ともいう。被覆部材の原料として流動体(液状)のものを使用し、デフォーカス面基材の主表面と該原料とを接触させる。そして、該原料を固化することにより、デフォーカス面基材の凸部または凹部の形状を転写させた部材を被覆部材という。以降、本段落で挙げた例を基に説明する。
界面部分は、眼鏡レンズの全周にわたって眼鏡レンズの最外縁まで存在させるのが好ましい。特に、後掲の実施形態2の手法を採用する場合、その構成を採用する方が、製造上の難易度を上げずに済む。
屈折率展開が可能である関係上、界面部分を挟み込む2種の部材の各々の屈折率には限定は無い。
近視進行抑制効果を発現するための一例を挙げると、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.60とし、被覆部材の屈折率を1.50とする組み合わせが挙げられる。
近視進行抑制効果を発現するための別の例を挙げると、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.70とし、被覆部材の屈折率を1.50または1.60とする組み合わせが挙げられる。
近視進行抑制効果を発現すべく、デフォーカス面基材の主表面に凸部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率を1.67とし、被覆部材の屈折率を1.60とする組み合わせが挙げられる。
なお、近視進行抑制効果の発現を目的としたうえで、デフォーカス面基材の主表面に凸部ではなく凹部を形成する場合、デフォーカス面基材の屈折率と被覆部材の屈折率とを逆にすれば、デフォーカスパワーが得られる。
なお、上記列挙した屈折率の組み合わせの場合、凸部の突出高さまたは凹部の陥凹深さは、デフォーカス面基材と被覆部材との屈折率差がそれほど存在しない関係上、大きく設定するのが好ましい。具体的には、凸部の突出高さまたは凹部の陥凹深さは、4μm以上とするのが好ましい。
上記以外の内容は、特許文献1に記載された好適例を採用してもよい。例えば、近視進行抑制効果を発現させる場合、互いに離間し且つ独立して配置された第2の屈折領域の屈折力は、第1の屈折領域の第1の屈折力に比較して2.00D~5.00Dだけ大きい屈折力を有してもよい。
第2の屈折領域は、それぞれ表面の面積では0.50~3.14mm程度であって、直径dが0.8~2.0mm程度の円形状をなしてもよい。この多数の島状の第2の屈折領域は、互いに半径d/2の値と同じ程度の距離だけ離間するように、レンズの中心近傍にほぼ均一に配置されていてもよい。
第2の屈折領域は、レンズの光学中心Oを中心とする半径R(20mm以下)の円形の領域内に収まるように形成されてもよい。例えば、半径Rの円に内接する六角形をかたち作るように配置されてもよい。ここで、第2の屈折領域は、眼鏡レンズの光学中心Oを中心とする半径2.5~10.0mmの円形領域内には配置しないようにしてもよい。そして、第2の屈折領域と第1の屈折力領域が混在して形成された領域において、第2の屈折領域および第1の屈折領域の面積の合計に対して、第2の屈折領域の面積の合計が占める割合が20~60%となるようにしてもよい。
本発明の一態様の眼鏡レンズは、レンズ中心の近傍に規則的に配列された複数の凸部または凹部が界面部分に設けられるのが好ましい。各凸部または凹部は、眼鏡レンズの物体側の面とは異なる曲率の曲面によって構成されるのが好ましい。
このような凸部が形成されていることで、界面部分の主表面には、平面視したときに、レンズ中心の周囲に周方向および軸方向に等間隔に、略円形状の凸部または凹部が島状に配置されることになるのが好ましい。別の言い方をすると、略円形状の凸部または凹部が、互いに隣接することなく離間した状態、すなわち各凸部または各凹部の間に界面部分のベース部分が存在する状態で配置されることになるのが好ましい。
眼鏡レンズの物体側の面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。逆に、眼鏡レンズの眼球側の面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。両面のうち一方のみに向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。また、両面に向かって複数の凸部または凹部を界面部分に形成しても構わない。
ハードコート層の直上または他の層を介して反射防止層を設けてもよい。反射防止層は、例えば、ZrO、MgF、Al等の反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成されてもよい。このような反射防止層の被覆によって、眼鏡レンズを透した像の視認性向上が図れるようになる。
なお、特許文献1の図11に記載のように、レンズ中心の光軸が通過する箇所に凸部または凹部を設けてもよいし、特許文献1の図1に記載のように、光軸が通過する箇所には凸部または凹部を設けない領域を確保してもよい。
デフォーカス面基材の原料としては、例えば、チオウレタン、アリル、アクリル、エピチオ等の熱硬化性樹脂材料によって形成されていてもよい。また、樹脂材料ではなく、無機ガラス製のレンズ基材としてもよい。被覆部材の原料も同様である。結局のところ、デフォーカス面基材の屈折率と、そのデフォーカス面基材の主表面を被覆する被覆部材の屈折率と、凸部または凹部の形状と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させられれば特に限定は無い。
以下、個別の態様ごとに説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る眼鏡レンズの断面概略図である。
実施形態1では、レンズ基材であるところのデフォーカス面基材にハードコート層を設けた場合について説明する。つまり、実施形態1では、界面部分は、凸部または凹部が設けられたレンズ基材としてのデフォーカス面基材と、レンズ基材上に設けられたハードコート層としての被覆部材と、により形成される。
近視進行抑制効果を発現を目的とする場合、且つ、デフォーカス面基材に凸部が設けられる場合、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも大きくするのが好ましい。逆に、デフォーカス面基材には凹部が設けられる場合、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも小さくするのが好ましい。
ハードコート層およびハードコート層の材料となるハードコート剤には特に限定は無い。但し、ハードコート層はデフォーカス面基材(ここではレンズ基材)の主表面に形成された凸部または凹部を完全に被覆する必要がある。但し、これだけでは眼鏡レンズの最表面を平滑化できない可能性がある。なぜなら、凸部または凹部を完全に被覆したとしても、被覆部材の最表面が、凸部または凹部を鈍らせた形状を依然として有する可能性がある。そのため、該凸部または凹部の影響を眼鏡レンズの最表面に表出させない程度に厚くハードコート層を形成する必要がある。例えば、突出距離が4μmの凸部の影響を眼鏡レンズの最表面に表出させないためには、ハードコート層の厚さを少なくとも10μm以上に設定する必要がある。従来の一層によるハードコート層だと、5μm程度の厚みでは最表面に凸部または凹部の影響が残ってしまうからである。
その一方、眼鏡レンズのハードコート層として従来から使用されるのは熱硬化性樹脂であり、該熱硬化性樹脂では10μm以上の厚みを確保することは困難である。仮に確保できたとしても、該熱硬化性樹脂だとクラックが発生したり、そうでなくとも歪みが生じその歪みが眼鏡レンズにて本来設計された度数分布に影響を及ぼす可能性がある。
なお、熱硬化性樹脂の代わりに光硬化性樹脂を使用することも考えられるが、光硬化性樹脂により10μm以上の厚みを確保したとしても、結局、クラックや歪みが生じる可能性がある。
上記の知見に基づき、本発明者らが鋭意検討した結果、以下の好適な手法を想到した。
まずはセグメント平滑化層によりデフォーカス面基材の主表面を被覆する。具体的には、凸部または凹部を被覆し、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は凹部自体を埋めることにより平坦化する(セグメント平滑化工程)。その後、本来の耐擦傷性を備えたハードコート層(耐擦傷層)を、セグメント平滑化層に対して更に被覆する(耐擦傷層形成工程)。なお、セグメント平滑化層の直上に耐擦傷層を形成してもよいし、他の層を介在させたうえで耐擦傷層を形成してもよい。
本明細書においては、セグメント平滑化層も含めたものをハードコート層と称する。ハードコート層は、デフォーカス面基材の主表面を直接被覆する層を含み、且つ、反射防止層を設ける場合はその直下の層を含むものとする。
セグメント平滑化層は、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は凹部自体を埋め、且つ、ベース部分も被覆するのが好ましい。
セグメント平滑化層およびその原料には特に限定は無い。例えば、低硬度且つ高柔軟性を備える紫外線(光)硬化性樹脂であってもよいし高濃度の熱硬化性樹脂であってもよい。また、従来だとプライマー層として使用している原料を使用してもよい。更に、従来だと調光膜として使用している原料を使用してもよい。
実施形態1に係る眼鏡レンズによれば、[本発明の一態様に係る眼鏡レンズ]がもたらす効果に加え、ハードコート層の厚さを大きく設定できる。その結果、耐擦傷性が更に向上する。
<実施形態2>
図2は、実施形態2に係る眼鏡レンズにおいてデフォーカス面基材に対して凸部を設けた場合の断面概略図である。
図3は、実施形態2に係る眼鏡レンズにおいてデフォーカス面基材に対して凹部を設けた場合の断面概略図である。
実施形態2では、界面部分は、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材と、デフォーカス面基材を挟み込むように設けられたレンズ基材(被覆部材に該当)と、により形成される。具体的に言うと、実施形態2では、ガスケット代わりに粘着テープを使用して、ベース部分に凸部が形成された界面部分となる膜状のデフォーカス面基材を眼鏡レンズ内に配置する場合について説明する。
なお、粘着テープおよびそれを含む母材は公知のものを使用すればよく、特開2013-160994号公報に記載された粘着テープ(該公報中の符号46)および母材(該公報中の符号48)を使用した場合を例示する。具体的な眼鏡レンズの製造方法としては、特開2013-160994号公報の偏光フィルムをデフォーカス面基材に置き換えればよいため、詳細は省略する。
近視進行抑制効果を発現を目的とする場合、且つ、デフォーカス面基材に凸部が設けられる場合、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも大きくするのが好ましい。逆に、デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも小さくするのが好ましい。
膜状のデフォーカス面基材の原料には特に限定は無く、本発明の技術的思想に基づいて予定した屈折率を有すればよい。また、デフォーカス面基材の厚さには特に限定は無く、膜状ではなく板状(平板状、曲板状含む)であってもよい。また、デフォーカス面基材のベース部分の形状は、物体側の面および眼球側の面に倣っていてもよいし、そうでなくともよい。結局のところ、デフォーカスパワーの発現に寄与する形状であれば限定は無い。
実施形態2に係る眼鏡レンズによれば、[本発明の一態様に係る眼鏡レンズ]がもたらす効果に加え、膜状または板状のデフォーカス面基材を採用し、特開2013-160994号公報に記載された粘着テープをガスケット代わりに使用することにより簡便に眼鏡レンズを作製できる。また、膜状または板状のデフォーカス面基材の屈折率と、粘着テープにより形成されるキャビティー内に注入する組成物の屈折率と、デフォーカス面基材の凸部または凹部の形状とを予め設定すればよい。これにより、幅広い屈折率展開が可能となり、しかも所望のデフォーカスパワーを発現させられる。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズの製造方法]
本発明の技術的思想は眼鏡レンズの製造方法にも適用可能である。その構成は以下のとおりである。
「物体側の面および眼球側の面を備え、
眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の
網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域とを有する眼鏡レンズの製造方法であって、
眼鏡レンズ内に界面部分を配置し、
界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させ、
凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分を平滑にする、眼鏡レンズの製造方法。」
本発明の一態様に係る眼鏡レンズの製造方法に適用可能な好適例は、先に述べた眼鏡レンズと同様である。
実施形態1においては、界面部分は、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材に対して薬液を塗布して薬液を硬化させたハードコート層を形成ことにより形成するのが好ましい。更に、以下の内容も好ましい。
「デフォーカス面基材に設けられた凸部または凹部に対してセグメント平滑化用薬液を塗布して硬化させ、凸部の場合は凸部間の凹部、凹部の場合は凹部自体を埋めることにより平坦化してセグメント平滑化層を形成するセグメント平滑化工程と、セグメント平滑化用薬液とは異なる耐擦傷層用薬液をセグメント平滑化層に塗布して硬化させ、セグメント平滑化層上に耐擦傷層を形成する耐擦傷層形成工程と、を有する。」
図4は、実施形態2に係る眼鏡レンズの製造方法の一部を概略的に示した断面図である。なお、図4は、実施形態2で挙げた特開2013-160994号公報の図8を改良した図である。
実施形態2においては、以下の態様を採用するのが好ましい。
「物体側の面または眼球側の面が形成された第1のレンズ基材用モールドの周縁部の少なくとも一部と、凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材の周縁部の少なくとも一部とを接着させる工程と、
デフォーカス面基材を挟んで第1のレンズ基材用モールドと反対側に、眼球側の面または物体側の面が形成された第2のレンズ基材用モールドを配置する工程と、
第1のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間の第1キャビティーと、第2のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間の第2キャビティーとを連通させた上で、第1のレンズ基材用モールドとデフォーカス面基材との間、および、デフォーカス面基材と第2のレンズ基材用モールドとの間にレンズ基材の原料組成物を充填する工程と、
を行い、
凸部または凹部が設けられたデフォーカス面基材と、デフォーカス面基材上に設けられたレンズ基材と、により界面部分を挟み込む。」
具体的な各工程の詳細は、特開2013-160994号公報に記載されているため、本明細書では省略する。
なお、凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分を平滑とすべく、例えば実施形態1の被覆部材であるハードコート層や実施形態2の被覆部材であるレンズ基材に対して研磨等を施してもよい。もともと平滑が実現できていれば、その必要はない。
[他の実施態様]
<実施形態3>
図5は、実施形態3に係る眼鏡レンズの断面概略図である。
実施形態3では、実施形態1、2のように界面部分が面形状の界面そのものではなく層形状の界面部材からなる場合を例示する。
図5は、実施形態2のデフォーカス面基材の眼球側の面の側にも、物体側の面の側とは逆のパターンを形成した場合を例示する。つまり、図5に示すように、物体側の面の側に凸部を形成した場合、眼球側の面の側には凹部を形成し、デフォーカス面基材の厚さを略一定とする。
そして、実施形態2と同様、ガスケットを使用して眼鏡レンズを作製する。但し、実施形態3では第1キャビティーと第2キャビティーとを連通させず、各キャビティーに対して屈折率が互いに異なる部材の原料組成物を注入する。
つまり、実施形態3では、界面部分を挟み込む2種の部材とは、界面部材の物体側の面の側の形状に倣って形成された第1キャビティー内部材、および、界面部材の眼球側の面の側の形状に倣って形成された第2キャビティー内部材のことを指す。
そして、界面部材の物体側の面の側の形状に倣って形成された第1キャビティー内部材の屈折率と、界面部材の眼球側の面の側の形状に倣って形成された第2キャビティー内部材の屈折率と、凸部または凹部の形状と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させる。正確に言うと、第1キャビティー内部材と界面部材との屈折率の差、第2キャビティー内部材と界面部材との屈折率の差、そして凸部または凹部の形状、により、第2の屈折領域としての機能を発現させる。
このとき、第1キャビティー内部材をデフォーカス面基材と設定した場合、第2キャビティー内部材は被覆部材となる。逆の関係も成り立つ。そもそも凸部または凹部の形状をもたらすのが界面部材であることを加味すると、両部材を共にデフォーカス面基材と設定してもよい。つまり、実施形態3において「デフォーカス面基材上に設けられた被覆部材」とは、界面部材を介して、デフォーカス面基材上に設けられた被覆部材を意味する。
界面部材の屈折率には特に限定は無い。また、界面部材の厚みにも特に限定は無く、例えば1μm以下(好適には0.1μm以下)である。また、界面部材の物体側の面の側に凸部または凹部が設けられ、且つ、界面部材の眼球側の面の側にも該凸部または該凹部に対応した形状(すなわち逆形状である凹部または凸部)が設けられ、最終的に、界面部材の両面形状が両面と接触する部材に転写されることにより眼鏡レンズとして屈折異常進行抑制効果をもたらす一因となれば、界面部材の形状には特に限定は無い。
なお、近視進行抑制効果の発揮を目的とするとき、界面部材から見て物体側の面の側の主表面に凸部が設けられる場合、第1キャビティー内部材の屈折率は第2キャビティー内部材の屈折率よりも小さいのが好ましい。同目的のとき、界面部材から見て眼球側の面の側の主表面に凸部が設けられる場合、第1キャビティー内部材の屈折率は第2キャビティー内部材の屈折率よりも大きいのが好ましい。
<実施形態4>
実施形態1、2では、既に凸部または凹部が形成されたデフォーカス面基材の主表面に対して流動体を接触、固化することにより眼鏡レンズを作製する。その一方、例えば、既に凸部が形成されたデフォーカス面基材の主表面に対し、同じく既に凹部が形成された別のデフォーカス面基材の主表面を接合することは排除されない。但し、微小凸部と微小凹部を精度良く位置合わせする必要がある。この点を考慮すると、実施形態1~3の方が好ましい。
[遠視進行抑制効果を発揮する場合]
これまで述べてきた眼鏡レンズおよびその製造方法において、上記内容の凸部を凹部、凹部を凸部と読み替えることにより、手前側ではなくその逆の奥側にて光束が焦点を結ぶことになり、遠視進行抑制効果が発揮される。
遠視進行抑制効果を発揮する一態様は、実施形態1を採用する場合、以下のとおりである。
「デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はハードコート層の屈折率よりも小さい。」
遠視進行抑制効果を発揮する一態様は、実施形態2を採用する場合、以下のとおりである。
「デフォーカス面基材には凹部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも大きい、または、
デフォーカス面基材には凸部が設けられ、デフォーカス面基材の屈折率はレンズ基材の屈折率よりも小さい。」
[総括]
以下、本開示の「眼鏡レンズおよびその製造方法」について総括する。
本開示の一実施例は以下の通りである。
「物体側の面と眼球側の面とを備え、且つ、
眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域と、
を有する眼鏡レンズであって、
眼鏡レンズ内に界面部分が配置され、
界面部分は、ベース部分と、ベース部分から突出した凸部またはベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
界面部分を挟み込む2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、凸部または凹部と、により、第2の屈折領域としての機能を発現させ、
凸部または凹部に対応する、眼鏡レンズの最表面部分は平滑である、眼鏡レンズ。」
1 眼鏡レンズ
2 デフォーカス面基材
3 被覆部材
4s 界面
4m 界面部材
5 ベース部分
6 凸部
7 レンズ基材
8 スペーサー
9 母材
10 粘着テープ
11 第1のレンズ基材用モールド
11c 第1キャビティー
11m 第1キャビティー内部材
12 第2のレンズ基材用モールド
12c 第2キャビティー
12m 第2キャビティー内部材
21 第1の屈折領域
22 第2の屈折領域

Claims (10)

  1. 物体側の面と眼球側の面とを備え、且つ、
    眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
    前記第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域と、
    を有する眼鏡レンズであって、
    前記眼鏡レンズ内に界面部分が配置され、
    前記界面部分は、ベース部分と、前記ベース部分から突出した凸部または前記ベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
    前記界面部分は2種の部材のみにより挟み込まれ、
    前記2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、前記凸部または前記凹部と、により、前記第2の屈折領域としての機能を発現させ、
    前記界面部分を挟み込む2種の部材は、前記ベース部分と前記凸部または前記凹部とが設けられたデフォーカス面基材、および、前記デフォーカス面基材の上に設けられた部材であって前記デフォーカス面基材の前記ベース部分と前記凸部または前記凹部との形状を転写させた部材である被覆部材であり、
    前記凸部または前記凹部に対応する、前記眼鏡レンズの最表面部分は平滑である、眼鏡レンズ。
    但し、前記平滑は、以下により定義される。
    前記平滑は、所定の面積の領域である表面任意位置であって眼鏡レンズにおけるいずれの前記表面任意位置であっても表面平均パワー(単位:D)の任意方向の変化率が0.5D/mm以下の面の状態を指す。なお、表面平均パワーは以下の式で表される。
    表面平均パワー=曲面平均曲率(単位:1/m)*(屈折率-1.0)
  2. 前記被覆部材はハードコート層であり、
    前記界面部分は、前記凸部または前記凹部が設けられたデフォーカス面基材と、前記デフォーカス面基材上に設けられた前記ハードコート層と、により形成された、請求項に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記ハードコート層は、前記デフォーカス面基材に設けられた前記ベース部分と前記凸部または前記凹部を被覆し、前記凸部の場合は前記凸部間の凹部、前記凹部の場合は該凹部自体を埋めることにより平坦化するセグメント平滑化層と、前記セグメント平滑化層を被覆する耐擦傷層と、を備える、請求項に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記デフォーカス面基材には前記凸部が設けられ、前記デフォーカス面基材の屈折率は前記ハードコート層の屈折率よりも大きい、または、
    前記デフォーカス面基材には前記凹部が設けられ、前記デフォーカス面基材の屈折率は前記ハードコート層の屈折率よりも小さい、請求項またはに記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記界面部分は、前記凸部または前記凹部が設けられたデフォーカス面基材と、前記デフォーカス面基材を挟み込むように設けられたレンズ基材と、により形成された、請求項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記デフォーカス面基材には前記凸部が設けられ、前記デフォーカス面基材の屈折率は前記レンズ基材の屈折率よりも大きい、または、
    前記デフォーカス面基材には前記凹部が設けられ、前記デフォーカス面基材の屈折率は前記レンズ基材の屈折率よりも小さい、請求項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記凸部の突出高さまたは前記凹部の陥凹深さは4μm以上である、請求項1~のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
  8. 物体側の面および眼球側の面を備え、
    眼の屈折異常を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有する第1の屈折領域と、
    前記第1の屈折力とは異なる屈折力を有し、眼の屈折異常の進行を抑制するように眼の
    網膜以外の位置に焦点を結ばせる機能を有する第2の屈折領域とを有する眼鏡レンズの製造方法であって、
    前記眼鏡レンズ内に界面部分を配置し、
    前記界面部分は、ベース部分と、前記ベース部分から突出した凸部または前記ベース部分から陥凹した凹部と、を有し、
    前記界面部分は2種の部材のみにより挟み込まれ、
    前記2種の部材において互いに異なる各々の屈折率と、前記凸部または前記凹部と、により、前記第2の屈折領域としての機能を発現させ、
    前記界面部分を挟み込む2種の部材は、前記ベース部分と前記凸部または前記凹部とが設けられたデフォーカス面基材、および、前記デフォーカス面基材の上に設けられた部材であって前記デフォーカス面基材の前記ベース部分と前記凸部または前記凹部との形状を転写させた部材である被覆部材であり、
    前記凸部または前記凹部に対応する、前記眼鏡レンズの最表面部分を平滑にする、眼鏡レンズの製造方法。
    但し、前記平滑は、以下により定義される。
    前記平滑は、所定の面積の領域である表面任意位置であって眼鏡レンズにおけるいずれの前記表面任意位置であっても表面平均パワー(単位:D)の任意方向の変化率が0.5D/mm以下の面の状態を指す。なお、表面平均パワーは以下の式で表される。
    表面平均パワー=曲面平均曲率(単位:1/m)*(屈折率-1.0)
  9. 前記凸部または前記凹部が設けられたデフォーカス面基材に設けられた前記凸部または前記凹部に対してセグメント平滑化用薬液を塗布して硬化させ、前記凸部の場合は前記凸部間の凹部、前記凹部の場合は該凹部自体を埋めることにより平坦化してセグメント平滑化層を形成するセグメント平滑化工程と、
    前記セグメント平滑化用薬液とは異なる耐擦傷層用薬液を前記セグメント平滑化層に塗布して硬化させ、前記セグメント平滑化層上に耐擦傷層を形成する耐擦傷層形成工程と、
    を有する、請求項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  10. 物体側の面または眼球側の面が形成された第1のレンズ基材用モールドの周縁部の少なくとも一部と、前記凸部または前記凹部が設けられたデフォーカス面基材の周縁部の少なくとも一部とを接着させる工程と、
    前記デフォーカス面基材を挟んで前記第1のレンズ基材用モールドと反対側に、眼球側の面または物体側の面が形成された第2のレンズ基材用モールドを配置する工程と、
    前記第1のレンズ基材用モールドと前記デフォーカス面基材との間のキャビティーと、前記第2のレンズ基材用モールドと前記デフォーカス面基材との間のキャビティーとを連通させた上で、前記第1のレンズ基材用モールドと前記デフォーカス面基材との間、および、前記デフォーカス面基材と前記第2のレンズ基材用モールドとの間にレンズ基材の原料組成物を充填する工程と、
    を行い、
    前記凸部または前記凹部が設けられた前記デフォーカス面基材と、前記デフォーカス面基材上に設けられたレンズ基材と、により前記界面部分を挟み込む、請求項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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