JP7229157B2 - チロシン硫酸化抗体変異体の除去のための精製方法;精製された組成物 - Google Patents

チロシン硫酸化抗体変異体の除去のための精製方法;精製された組成物 Download PDF

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Description

本発明は、チロシン硫酸化を欠く抗体およびその抗原結合性フラグメントを含む組成物、ならびに組成物の製造のための精製方法に関する。
チロシン硫酸化は、スルフェートトリオキシド(SO)基がアミノ酸チロシン基の側鎖上のヒドロキシル基に共有結合している翻訳後修飾(PTM)である。このPTMはトランスゴルジ網において生じ、チロシルプロテインスルホトランスフェラーゼ(TPST)の2つの酵素により触媒される。その分子メカニズムは3’-ホスホアデノシン-5’-ホスホスルフェートからチロシンへの活性化スルフェートの転移を含み、種々のタンパク質およびペプチド上で見出されている。最近の知見は、チロシルプロテインスルホトランスフェラーゼ2が硫酸化のための酸残基に隣接するチロシンを認識することを示している。このPTMはタンパク質間の相互作用の強化をもたらし、分泌タンパク質および膜貫通タンパク質上で生じる。幾つかのケモカイン受容体は、例えば、HIV-1および幾つかの糖タンパク質ホルモンの主要受容体であるCCR5のN末端細胞外ドメインにおいて硫酸化されたチロシンであることが示されている。例えば、ヒル由来トロンビン阻害性ペプチドであるヒルジンの天然形態は硫酸化チロシンである。興味深いことに、種々の血液凝固障害の治療に使用されるヒルジンの2つの組換え形態(RevascおよびRefludan)は硫酸化されていない。硫酸化は生体分子の質量を80Da増加させ、これはホスファート部分(PO)と同じ質量差である。相当安定なP-O結合を形成するPOとは異なり、SOは非常に不安定であり、高温および低pH条件下で容易に分解する。
治療用抗体製剤中の異なるPTM変異体の存在は、修飾の位置に応じて抗体効力、バイオアベイラビリティまたは免疫原性における変動をもたらしうる不均一性を招く。そのような問題は規制当局の面前でも問題を引き起こしうる。チロシン硫酸化はケモカイン受容体および他のタンパク質において述べられているが、そのような修飾が抗体製剤において存在するかどうかを確認し、そして確認された場合にはそれらを除去する必要がある。
発明の概括
本発明は、抗LAG3抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9)を含む組成物を提供し、例えば、
アミノ酸配列:KASQSLDYEGDSDMN(配列番号38)を含むCDR-L1;
アミノ酸配列:GASNLES(配列番号39)を含むCDR-L2;および
アミノ酸配列:QQSTEDPRT(配列番号40)を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン;ならびに/または
アミノ酸配列:DYNVD(配列番号33)を含むCDR-H1;
アミノ酸配列:
DINPNNGGTIYAQKFQE(配列番号59);
DINPNSGGTIYAQKFQE(配列番号60);
DINPNDGGTIYAQKFQE(配列番号61);
DINPNQGGTIYAQKFQE(配列番号62);
DINPNGGGTIYAQKFQE(配列番号63);もしくは
DINPNXGGTIYXQKFX(配列番号64)(ここで、X=D、N、SまたはQ;X=AまたはS;X=QまたはK;そしてX=EまたはG)を含むCDR-H2;および
CDR-H3:NYRWFGAMDH(配列番号35);
を含む重鎖可変ドメイン
を含み、これは、CDR-L1上の検出可能なレベルの硫酸化チロシンを欠く。例えば、本発明の1つの実施形態においては、該組成物中の抗体またはフラグメントは更に、FR-L1、FR-L2、CDR-L2、FR-L3、CDR-L3、FR-L4、FR-H1、CDR-H1、FR-H2、CDR-H2、FR-H3、CDR-H3、FR-H4および定常ドメインからなる群から選択される1以上のメンバーにおける検出可能なレベルの硫酸化チロシンを欠く。本発明の1つの実施形態においては、該抗体またはフラグメントは、操作された酵母またはCHO N結合グリカンを含む。本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9)含有組成物は、チロシン硫酸化を欠く1以上の種の抗体であって、そして、約148590Da、148752Daおよび/または148914Daの分子量(例えば、表1に示されている、例えば、G0Fおよび/またはG1Fグリカン種、ピログルタメートに変換されたN末端重鎖グルタミンおよび/またはリジンが除去されたC末端重鎖を有するもの)を有する抗体を含む。
本発明はまた、1以上の硫酸化チロシン(例えば、CDR-L1上のもの)を含む抗体または抗原結合性フラグメントと硫酸化チロシンを欠く抗体または抗原結合性フラグメントとを含む水性混合物から、チロシン硫酸化抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9)を除去する方法を提供し、該方法は、混合物のpHを約6.5~約7.0または約6.5~約7.5に調整し、混合物をアニオン交換樹脂と接触させ、そして、混合物の非樹脂結合水性画分を樹脂から取り出し、保持することを含む。本発明の1つの実施形態においては、該方法は、例えばアイソクラチック(均一濃度)条件下、水性組成物でカラムを洗浄し、そして、洗浄組成物を樹脂から取り出し、保持することを含む。本発明の1つの実施形態においては、樹脂はカラム内に存在し、該方法は、混合物をカラムに加え、そして、カラムからフロースルー画分を集めることを含む。本発明の1つの実施形態においては、該方法は、ジメチルアミノプロピルアニオン交換リガンドを含むクロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で平衡化し、混合物のpHを約6.5に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む。本発明の1つの実施形態においては、該方法は、四級化ポリエチレンイミンアニオン交換リガンドを含むクロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で25mM リン酸ナトリウム(pH7.0)(所望により5mM NaCl)で平衡化し、混合物のpHを約7.0に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を25mM リン酸ナトリウム(pH7.0)(所望により5mM NaCl)で洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む。本発明の1つの実施形態においては、アニオン交換クロマトグラフィーフロースルーのA280吸光度をモニターし、そして、A280が最初に少なくとも約2.5吸光度単位/cmに達したら、それを集め保持し;そして、A280が約1.0吸光度単位/cm未満に低下したら、それを集めず保持しない。本発明の1つの実施形態においては、本発明の方法は更に、カチオン交換クロマトグラフィー、結合-溶出方式の更なるアニオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分別沈殿、濾過、遠心分離またはウイルス不活性化により、抗体または抗原結合性フラグメントを精製することを含む。本発明の1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントの免疫グロブリン軽鎖および/または重鎖をチャイニーズハムスター卵巣細胞において発現させる。本発明の1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントは、
アミノ酸配列:KASQSLDYEGDSDMN(配列番号38)を含むCDR-L1;
アミノ酸配列:GASNLES(配列番号39)を含むCDR-L2;および
アミノ酸配列:QQSTEDPRT(配列番号40)を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン;ならびに/または
アミノ酸配列:DYNVD(配列番号33)を含むCDR-H1;
アミノ酸配列:
DINPNNGGTIYAQKFQE(配列番号59);
DINPNSGGTIYAQKFQE(配列番号60);
DINPNDGGTIYAQKFQE(配列番号61);
DINPNQGGTIYAQKFQE(配列番号62);
DINPNGGGTIYAQKFQE(配列番号63);もしくは
DINPNXGGTIYXQKFX(配列番号64)(ここで、X=D、N、SまたはQ;X=AまたはS;X=QまたはK;そしてX=EまたはG)を含むCDR-H2;および
CDR-H3:NYRWFGAMDH(配列番号35);
を含む重鎖可変ドメインを含む。そのような方法の産物である組成物も本発明の一部である。本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9)をAEXクロマトグラフィーにより精製し、ここで、該抗体は硫酸化チロシンを欠き、約148590Da、148752Daおよび/または148914Daの分子量を有する(例えば、表1に示されているように、例えば、G0Fおよび/またはG1Fグリカン種、ピログルタメートに変換されたN末端重鎖グルタミンおよび/またはリジンが除去されたC末端重鎖を有する)。
発明の詳細な説明
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現されるある抗体および他のタンパク質は、硫酸化チロシン変異体で汚染されている。そのような変異体の質量分析は、付加硫酸基の質量に対応する約+80Daの付加物により特徴づけられる。そのような付加物はまた、アルカリホスファターゼ耐性であり、抗硫酸化チロシン抗体と反応性である。本発明は、そのような汚染チロシン硫酸化変異体を含む組成物の精製方法、並びに該変異体を実質的に含有しない抗体組成物を提供する。
本発明においては、当技術分野の技量の範囲内の通常の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術が用いられうる。本明細書中に特に定められていない限り、本発明に関して用いられる科学技術用語は、当業者に一般的に理解されている意味を有するものとする。更に、文脈により特に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載されている生化学、酵素学、分子および細胞生物学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションの技術ならびにそれらに関して用いられる命名法は、当技術分野でよく知られており、一般的に用いられているものである。特に示されていない限り、本発明の方法および技術は、一般に、本明細書の全体にわたって引用され記載されている種々の全般的およびより具体的な参考文献に記載されているとおり、当技術分野でよく知られている通常の方法に従い行われる。例えば、James M.Cregg(編),Pichia Protocols(Methods in Molecular Biology),Humana Press(2010),Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992、および2002年までの補遺);HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);TaylorおよびDrickamer,Introduction to Glycobiology,Oxford Univ.Press(2003);Worthington Enzyme Manual,Worthington Biochemical Corp.,Freehold,N.J.;Handbook of Biochemistry:Section A Proteins,Vol I,CRC Press(1976);Handbook of Biochemistry:Section A Proteins,Vol II,CRC Press(1976);Essentials of Glycobiology,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999),Animal Cell Culture(R.I.Freshney編,(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984)を参照されたい。
硫酸化チロシンは、例えば以下の構造を有する、硫酸基が付加されたチロシンを含む。
Figure 0007229157000001
クロマトグラフィー
本発明は、硫酸化チロシンを含む汚染変異抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、Ab1~Ab9)を組成物(例えば、一部のものは硫酸化チロシンを有し一部のものは硫酸化チロシンを欠く抗体またはフラグメントの混合物を含む組成物)から除去して、検出不可能なレベルのチロシン硫酸化変異体(例えば、チロシン硫酸化CDR-L1、例えば、Ab1またはAb6のもの)を含む組成物を得るための方法を提供する。本発明の1つの実施形態においては、組成物をフロースルー方式のアニオン交換(AEX)クロマトグラフィーで処理して、チロシン硫酸化変異体を除去する。本発明の1つの実施形態においては、AEX樹脂はジメチルアミノプロピルリガンド(すなわち、ジメチルアミノプロピル部分を含むリガンド)を有する。例えば、本発明の1つの実施形態においては、AEXクロマトグラフィーに付す組成物は、事前のプロテインAクロマトグラフィー精製の産物である。本発明の1つの実施形態においては、AEX(例えば、ジメチルアミノプロピルリガンドを有するもの)での処理の前に、例えばTris(例えば、0.5M、0.725Mまたは1M)で組成物を約6.5のpHにpH調整する。本発明の1つの実施形態においては、AEXカラム(例えば、ジメチルアミノプロピルリガンドを有するもの)を、例えば25mMのリン酸ナトリウム、例えばpH5、6.2または6.5のリン酸ナトリウムで平衡化する。本発明の1つの実施形態においては、カラム(例えば、ジメチルアミノプロピルリガンドを有するもの)をバッファー(例えば、25mMのリン酸ナトリウム、例えば、pH6.5のリン酸ナトリウム)で洗浄して、カラム内に存在するがAEX樹脂に強固には結合していない抗体またはフラグメントを回収することが可能である。AEX樹脂に強固には結合していないフロースルーを集め(例えば、画分中に)、そして、例えばプールする。本発明の1つの実施形態においては、使用後、カラムは、例えば1M NaClで、剥離される(strip)。
AEXフロースルー物質の質量分析は、CDR-L1上のチロシン硫酸化を欠くAb6の幾つかのグリコシル化種を示した。これらの種は以下の表1に要約されている。これらの理論質量は、重鎖上のN末端グルタミンがN末端ピログルタミン酸(pE1)に変換され、そして重鎖上のC末端リジンが除去(-K)されたAb6分子の計算質量を意味する。
Figure 0007229157000002
本発明は、検出可能なレベルのチロシン硫酸化(例えば、CDR-L1上のもの)を欠き、約148590、148749および/もしくは148915の1以上の分子量を有する種を含み、および/またはグリカン種G0Fおよび/またはG1Fを含む、抗LAG3抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9;好ましくはAb6)を含む組成物を含む。
フロースルー方式は、ポリペプチドの回収のための溶出工程を含まない方法による、クロマトグラフィー樹脂を使用するポリペプチドの精製を意味する。そのような方法においては、目的のポリペプチドは樹脂に強固には結合しないが、目的のポリペプチドから除去される汚染物質は樹脂に強固に結合する。例えば、チロシン硫酸化を有する汚染変異体抗体とチロシン硫酸化を欠く抗体とを含む組成物を、AEX樹脂を含有するカラム上にローディングし、カラムのフロースルーにおいて抗体またはフラグメントを集め保持することを含む方法において、フロースルー方式でAEX樹脂が使用される。硫酸化を欠く未結合抗体は、溶出をもたらさない条件下、例えば、アイソクラチック(均一濃度)条件下、カラムから洗い流され(および保持され)うる。そのような方法においては、汚染物質はカラムに結合したままであり、チロシン硫酸化を欠く抗体はフロースルー内に留まるであろう。
結合/溶出様式は、溶出工程を含む方法による、クロマトグラフィー樹脂を使用するポリペプチドの精製を意味する。そのような方法においては、目的のポリペプチドは樹脂に強固に結合するが、目的のポリペプチドから除去される汚染物質は樹脂に強固に結合する。クロマトグラフィーカラムの場合、汚染物質はカラムを通って流れ、樹脂にほとんど結合しないままである。所望により行ってもよい洗浄の後の結合抗体は、樹脂からの解離を引き起こす溶出バッファーにさらされると、解離し集められ保持される。
クロマトグラフィー樹脂リガンドは、多成分移動相中に存在する所望の分子(例えば、抗体または混入物)に可逆的に結合する固定相粒子(例えば、セファロース粒子)に固定されている物質である。
本発明の1つの実施形態においては、AEX樹脂はリガンド四級化ポリエチレンイミン(すなわち、四級化ポリエチレンイミン部分を含む配位子)を有する。本発明の1つの実施形態においては、樹脂(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドを有するもの)を1M NaClで予め平衡化する。本発明の1つの実施形態においては、樹脂(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドを有するもの)は、リン酸ナトリウム(例えば、25mM)およびNaCl(例えば、5mM)(pH約7.0)で平衡化される。本発明の1つの実施形態においては、カラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドを有するもの)はフィード体でローディングされ、リン酸ナトリウム(例えば、25mM)およびNaCl(例えば、5mM)(pH約7.0)で洗浄され、フロースルーが例えば画分中に集められ、そして、例えばプールする。本発明のもう1つの実施形態においては、本発明の方法は、アニオン交換リガンドを含むクロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内でpH約6.5~7.5の約10~50mM リン酸ナトリウムで平衡化し、混合物のpHを約6.5~7.5に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂をpH約6.5~7.5の約10~50mM リン酸ナトリウムで洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む。本発明のもう1つの実施形態においては、本発明の方法は、アニオン交換リガンドを含むクロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内でpH約6.5~7.0の約10~50mM リン酸ナトリウムで平衡化し、混合物のpHを約6.5~7.0に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂をpH約6.5~7.0の約10~50mM リン酸ナトリウムで洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む。
任意の適切な量の抗体または抗原結合性フラグメントは、クロマトグラフィー樹脂、例えばクロマトグラフィーカラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX)にローディングすることが可能である。例えば、本発明の1つの実施形態においては、樹脂(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX)1リットル当たり約100、110、120、130、140、150、100~150、160、170、180、190、200、300、150~200、100~200、250~350または280~320グラムの物質、例えば抗体またはフラグメントがローディングされる。
クロマトグラフィーカラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX樹脂を含有するもの)を使用する場合、任意の許容可能な寸法が用いられうる。例えば、本発明の1つの実施形態においては、カラムの直径または高さは、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30cmである。
流速は、ある時間にわたってカラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX樹脂を含有するもの)を通過する移動相の体積を意味する。本発明の1つの実施形態においては、流速は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215リットル/時である。
本発明の1つの実施形態においては、カラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX樹脂を含有するもの)のフロースルー(通過液)の280nmにおける吸光度(A280)をモニターする。本発明の1つの実施形態においては、フロースルーの主要A280ピークにおける抗体またはフラグメント産物を収集し、保持する。本発明の1つの実施形態においては、A280が1cm(経路長)当たり約1.0、1.5、2.0、2.5または3.0のA280吸光度単位に達したらフロースルーを収集し、そして、A280が1cm(光路長)当たり約1.0、1.5、2.0、2.5または3.0のA280吸光度単位を下回ると収集を停止する。
移動相中の粒子状物質による目詰まりからクロマトグラフィーカラム(例えば、四級化ポリエチレンイミンリガンドまたはジメチルアミノプロピルリガンドを有するAEX樹脂を含有するもの)を保護するために、プレカラムフィルターを使用することが可能である。本発明の1つの実施形態においては、フィルターはポリエーテルスルホン膜である。また、フロースルーから粒状物を除去するために、ポストカラムフィルターを使用することが可能である。本発明の1つの実施形態においては、フィルターは0.2または0.5μmの孔径を有する。
硫酸化チロシンを有する変異体の存在は、例えば、フロースルー画分の質量分析により確認されうる。硫酸化変異体は、非硫酸化変異体より高い質量を有するであろう。例えば、本発明の1つの実施形態においては、硫酸化変異体は、硫酸化を欠く変異体より約80Da重い。本発明の1つの実施形態においては、硫酸化はホスファターゼによる消化に抵抗性であり、そして、硫酸化ペプチドは、リン酸化ペプチドと比較して電子移動解離(ETD)による異なる断片化パターンを有する。
本発明の1つの実施形態においては、チロシン硫酸化を欠く抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9、好ましくはAb6)を含む組成物は、検出可能なチロシン硫酸化(例えば、CDR-L1におけるもの)を欠く組成物を意味する。検出不可能なレベルのチロシン硫酸化(例えば、CDR-L1におけるもの)を含む組成物は、組成物の質量分析によっては観察できないレベルを含む。例えば、本発明の1つの実施形態においては、組成物の質量分析は組成物の免疫グロブリンペプチドの無傷型および還元型の質量測定ならびに還元ペプチドマッピングにより行われる。本発明の1つの実施形態においては、還元ペプチドマッピングは、抗体免疫グロブリンジスルフィド結合の変性および還元、ならびに遊離システインのアルキル化、ひき続く酵素消化(例えば、LysC、トリプシンまたはGluCを使用するもの)を含む。酵素消化ペプチドを質量分析により分析した。本発明の1つの実施形態においては、「検出不可能」なレベルは、組成物中の未修飾種と比較して約0.5%未満(約0.4、0.3、0.2、0.1%未満)のチロシン硫酸化種(例えば、CDR-L1上のもの)を意味する。
ポリペプチドの分子量は、例えば、アミノ酸の既知重量(修飾または非修飾体/硫酸化または非硫酸化体)および既知修飾(例えば、酸化、脱アミド化、グリコシル化、CおよびN末端修飾)に基づいて計算されうる。分子量は、例えば液体クロマトグラフィーと組合された質量分析により測定されうる。本発明の1つの実施形態においては、質量分析は四重極飛行時間型(Q-TOF)質量分析またはオービトラップ質量分析である。
「クロマトグラフィー」なる語は、吸着剤として作用する樹脂に物質を接触させることにより、目的の溶質(例えば、組成物中の物質)を組成物中の他の物質から分離する方法を意味する。吸着剤は、例えば、pI、疎水性、サイズおよび構造のような溶質の特性により、その方法の特定の緩衝条件下、物質を幾分強力に吸着または保持する。クロマトグラフィーは、クロマトグラフィー樹脂の床を介した、例えば樹脂含有カラムを介した、組成物の通常の浸透の方法により行われうる。バッチクロマトグラフィー精製は、樹脂のスラリーを調製し、そして抗体またはフラグメント含有組成物をスラリーと接触させて分離されるべき物質を樹脂に吸着させることを含む。樹脂に結合していない物質を含む溶液は、例えば、スラリーを沈降させて上清を除去することによってスラリーから分離され、そして、非結合物質は、保持または廃棄されうる。場合によりスラリーは1以上の洗浄工程に付されうる。所望により、スラリーを適切な溶出バッファーと接触させて、樹脂結合物質を樹脂から脱着させることが可能である。脱着した物質は保持または廃棄されうる。本発明の1つの実施形態においては、組成物中の抗体の硫酸化チロシン変異体はアニオン交換樹脂に結合し、一方、非硫酸化チロシン変異体は樹脂に有意には結合しない。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、プロテインAまたはプロテインGクロマトグラフィーにより精製される。プロテインGおよびプロテインAは、それぞれG群連鎖球菌およびスタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)由来の細菌性タンパク質である。IgG型抗体のFc領域に対するプロテインGおよびプロテインAのアフィニティは、IgG、Fc領域を含有するIgGフラグメント、およびIgGサブクラスの精製の基礎を形成する。プロテインAまたはプロテインGは、プロテインAまたはプロテインGクロマトグラフィーに使用されうるセファロースのような固相に結合されうる。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびプロテインAおよび/またはプロテインGを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、マルチモーダル(多方式)クロマトグラフィー(混合方式)により精製される。マルチモーダルまたは混合方式タンパク質クロマトグラフィーは、複数様態の相互作用、例えばイオン交換、ヒドロキシアパタイト、アフィニティ、サイズ排除および/または疎水性相互作用が可能なリガンドで官能化された樹脂に基づく。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよび混合態様のクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、プロテインLクロマトグラフィーにより精製される。プロテインLは、免疫グロブリン軽鎖を介して免疫グロブリンに結合するペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)タンパク質である。プロテインLは、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDを含む全ての抗体クラスの代表物に結合する。組換えタンパク質Lは免疫グロブリンおよび免疫グロブリンフラグメントのカッパ軽鎖の可変領域に結合する。プロテインLは、ヒトにおいては4つのカッパ軽鎖サブタイプの3つ(1、3および4)に、マウスにおいてはカッパ1に結合する。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびプロテインLクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により精製される。HICは疎水性の差異によってタンパク質を分離する。分離はタンパク質とクロマトグラフィー媒体の疎水性表面との間の可逆的相互作用に基づく。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびHICを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製される。SECは分子サイズの差異によってタンパク質を分離する。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびSECクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、ウイルス不活性化に付される。例えば、本発明の1つの実施形態においては、ウイルスの不活性化は、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物のpH処理により行われる。具体的には、極端なpHへの組成物の直接的な曝露がウイルス除去のために用いられうる。例えば、pH処理は、本発明の1つの実施形態においては、低pH処理(例えば、pH3.0~3.6)である。本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは高pH処理に付される。本発明の1つの実施形態においては、ウイルスの不活性化は、抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の溶媒または界面活性剤を使用して行われる。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびウイルス不活性化を含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
「イオン交換」は、分子の正味表面電荷の差に基づいて分子を分離する。分子はそれらの電荷特性において相当異なっており、それらの総電荷、電荷密度および表面電荷分布の差異に応じて、荷電クロマトグラフィー樹脂との異なる度合の相互作用を示す。本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、イオン交換クロマトグラフィーにより精製される。「イオン交換クロマトグラフィー」はカチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィーおよび混合方式クロマトグラフィーを含む。
「イオン交換」樹脂なる語は、負に荷電した(すなわち、カチオン交換)または正に荷電した(すなわち、アニオン交換)固相を意味する。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、カチオン交換クロマトグラフィーにより精製される。「カチオン交換」樹脂とは、負に荷電した固相であって、該固相を通過する水溶液中のカチオンとの交換のための遊離カチオンを有する固相を意味する。カチオン交換樹脂を形成するのに適した固相に結合される任意の負荷電リガンドが使用されうる。カチオン交換材には、リガンド:スルホプロピル(SP) -CH-CH-CH-SO ;メチルスルホナート(S) -CH-SO ;またはカルボキシメチル(CM) -CH-COOを有するものが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、アニオン交換クロマトグラフィーにより精製される。「アニオン交換」樹脂は、正に荷電した固相であって、それに結合した1以上の正荷電リガンドを有する固相を意味する。アニオン交換樹脂を形成するのに適した固相に結合される任意の正荷電リガンドが使用されうる。アニオン交換材には、リガンド:四級アンモニウム(Q) -CH-N-(CH-;ジエチルアミノエチル(DEAE) -CH-CH-N-(CH-CH;またはジエチルアミノプロピル(ANX) -CH-CHOH-CH-N-(CH-CHを有するものが含まれるが、これらに限定されるものではない。GoPure D 50μmカラムはジメチルアミノプロピル官能基を有する。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよびAEXクロマトグラフィー(結合/溶出方式)を含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
「固相」または「固定相」なる語は、1以上のリガンド(例えば、アニオン交換リガンドまたはカチオン交換リガンド)が付着しうる任意の非水性マトリックスを意味するものとして用いられ、あるいは、サイズ排除クロマトグラフィーの場合には、それは樹脂のゲル構造を意味しうる。移動相は液体であり、例えば、クロマトグラフィー精製において固相上に抗体または抗原結合性フラグメントを運ぶ水性物質である。移動相には、カラムに適用されるローディングバッファーが含まれうる。固相を形成させるために使用されうる物質の例には、多糖(例えば、アガロースおよびセルロース)および他の機械的に安定なマトリックス、例えばシリカ(例えば、制御細孔ガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子およびこれらのいずれかの誘導体が含まれる。
精製のために抗体または抗原結合性フラグメントを含有する混合物をローディングする前に、クロマトグラフィー樹脂のpHおよび伝導性を調整するために、「平衡化」バッファーまたは溶液が使用される。この目的に使用されうる適切なバッファーまたは溶液は当技術分野でよく知られており(例えば、前記のバッファー)、目的のタンパク質を精製するためのクロマトグラフィー工程において使用される選択された樹脂に適合しうるpHでの任意のバッファーを包含する。
抗体または抗原結合性フラグメントを含有する混合物を精製樹脂(例えば、アニオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂)上にローディングするために、「ローディング」バッファーまたは溶液が使用される。任意の適切な溶液がローディングバッファーとして使用されうる。本発明の1つの実施形態においては、ローディングバッファーは、溶出バッファーのような前の精製工程に由来する緩衝化混合物から調製される。
「洗浄」バッファーまたは溶液なる語は、抗体または抗原結合性フラグメントを溶出する前に精製樹脂(例えば、アニオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂)から1以上の不純物を溶出するために使用される組成物である。「洗浄」なる語は、適切な組成物がクロマトグラフィー樹脂を通過することを示す。本発明の1つの実施形態においては、洗浄液はアイソクラチック(均一濃度)である。アイソクラチック洗浄条件下、クロマトグラフィーの移動相は実質的に同じままである。
チロシン硫酸化変異体抗体および抗原結合性フラグメントは汚染物質(コンタミナント)であるが、本発明は、例えば、AEXクロマトグラフィー樹脂に結合している、または非チロシン硫酸化変異体の非存在下で結合していないそのような変異体を含む組成物を含む。非結合変異体は、非チロシン硫酸化抗体およびフラグメントからの除去の後にAEXカラムから溶出することにより得られうる。
「溶出」バッファーは、クロマトグラフィー樹脂に結合した分子(例えば、抗体またはその抗原結合性フラグメント)を解離させる。
上流処理
汚染チロシン硫酸化変異体から精製される抗体および抗原結合性フラグメントは、宿主細胞発現により産生されうる。例えば、本発明の方法は、1つの実施形態においては、変異体の除去の前に、該抗体または抗原結合性フラグメントのそのような発現に有利な条件下での培地内の宿主細胞における重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン鎖の発現、ならびに、宿主細胞および/または培地からの単離を含む。本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいは宿主細胞発現およびフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の範囲は、チロシン硫酸化(例えば、CDR-L1上のもの)を含有しない抗体または抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法を含み、該製造方法は、(i)該抗体またはフラグメントの免疫グロブリン軽鎖および/または重鎖をコードするポリヌクレオチドを宿主細胞(例えば、CHO細胞)内に導入し、(ii)該細胞における該免疫グロブリン鎖の発現に有利な条件下、宿主細胞を培養し、例えば、ここで、該免疫グロブリン鎖を有する抗体または抗原結合性フラグメントは宿主細胞から培地内に分泌され、そして、(iii)本明細書に記載されているフロースルー方式のアニオン交換クロマトグラフィーを含む方法により宿主細胞および/または培地から免疫グロブリン鎖ポリペプチドを単離することを含む。
例えば、抗体またはフラグメントは、細胞溶解、例えば、粉砕/擦過(例えば、ガラスビーズを使用するもの)、フレンチプレス細胞溶解、酵素消化または超音波処理のような方法により宿主細胞から遊離されうる。それにより得られる可溶性物質および不溶性物質を含む細胞溶解細胞は、細胞ライセートを構成する。本発明は、硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいは細胞溶解およびフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、遠心分離を含む方法により精製される。細胞ライセートまたは他の懸濁液の遠心分離は、抗体またはフラグメントを含有する水性画分から、細胞片のようなほとんどの粒子状物質を除去する。例えば、本発明の1つの実施形態においては、遠心分離は、(例えば、ライセートのライセート固体画分を廃棄することを含む細胞溶解物に対して)約40,000~50,000×gで15~30分間行われる。本発明の1つの実施形態においては、遠心分離により液体培地から細胞を除去する。例えば、約8,000×g~約15,000×gの範囲内の重力(例えば、約8000、9000、10000、11000、12000、13000、14000または15000)(例えば、約0.9×10-8~2.8×10の範囲のQ/SIGMA比により特徴づけられる)を用いる遠心分離を行う。本発明の1つの実施形態においては、液体遠心分離液をデプスフィルター(例えば、0.1~約0.2μmの孔径を有するもの)に付す。本発明は、硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいは遠心分離およびフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーを含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、免疫グロブリン重鎖および軽鎖は、分泌シグナル配列に融合した宿主細胞において発現され、宿主細胞から宿主細胞の培地内に分泌される。
本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは濾過(例えば、AEXクロマトグラフィー精製の前または後に)により精製される。例えば、本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントを含む水性組成物は、例えば、約1μm、0.45μmまたは0.22μmの孔径を有するフィルタを通して、固体粒子状物質を除去するために濾過される。本発明の1つの実施形態においては、フィルターは酢酸セルロースまたはポリビニリデンフルオリド(PVDF)から作成される。本発明は、硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよび濾過を含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、分別沈殿により精製される。塩濃度の増加はタンパク質間の疎水性相互作用を増強し、選択的沈殿を引き起こす。本発明の1つの実施形態においては、抗体またはフラグメントを含む水性組成物は、硫酸アンモニウム、硫酸デキストラン、ポリビニルピロリジン、ポリエチレングリコール(PEG;例えば、PEG4000)、アセトン、ポリエチレンイミン、硫酸プロタミン、硫酸ストレプトマイシンまたはカプリル酸の存在下で沈殿させる。本発明は、硫酸化チロシン変異体を欠く抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む組成物の製造方法、あるいはフロースルー方式のAEXクロマトグラフィーおよび分別沈殿を含む方法により硫酸化チロシン変異体を除去するための、抗体またはその抗原結合性フラグメントの精製方法を含む。
本発明の1つの実施形態においては、免疫グロブリン鎖が発現される宿主細胞は、哺乳類細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウス骨髄腫細胞、PER細胞、ハイブリドーマ細胞、または真菌もしくは酵母細胞、例えばピチア(Pichia)、例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。本発明の1つの実施形態においては、宿主細胞、例えばCHO細胞は、グルタミンシンターゼを欠く。
本発明の1つの実施形態においては、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、1以上の発現制御配列、例えばプロモーターに機能的に連結されている。例えば、免疫グロブリンは、発現ベクター内に存在する。高レベルの抗体または抗原結合性フラグメントの発現を達成するために、強力なプロモーター/エンハンサー、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよび/または伸長因子アルファ(EF1α)プロモーターを使用して、免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖の発現を駆動することが可能である。
本発明の1つの実施形態においては、核から細胞質への転写mRNAの移出を増強するために、5’非翻訳領域におけるイントロン配列がプロモーター/エンハンサーの後に含まれ、mRNAレベルを最大にするために1以上の3’ポリアデニル化シグナル配列が含まれる。本発明の1つの実施形態においては、ポリアデニル化シグナル配列は、SV40後期もしくは初期ポリアデニル化シグナル配列またはウシ成長ホルモンポリアデニル化配列である。本発明の1つの実施形態においては、翻訳開始を増強するために、第1翻訳開始コドンの直前にGCC GCC(A/G)CC(配列番号69)を配置することにより、コンセンサスコザック配列が生成される。本発明の1つの実施形態においては、抗体またはフラグメントの分泌を導くために、免疫グロブリン鎖の直前にシグナルペプチド配列が配置される。
細胞培養の条件はモニター可能であり、必要に応じて調整されうる。例えば、pH、細胞数、細胞生存性および温度のような条件がモニターされ調整されうる。本発明の1つの実施形態においては、細胞培養の温度は、例えば、接種の48時間後に37℃から30~35℃に調整される。本発明の1つの実施形態においては、溶存酸素がモニターされ、および/または、20~50%のような設定値に調整される。本発明の1つの実施形態においては、溶存COがモニターされ、および/または例えば約120~150mmHg以下に調整される。本発明の1つの実施形態においては、浸透圧がモニターされ、および/または、例えば約270~330mOsm/kgに調整される。
抗体
本発明は、検出可能なレベルの硫酸化チロシンを欠く抗体およびその抗原結合性フラグメントを含む組成物、ならびにそのような抗体およびフラグメントを含む組成物の単離方法を提供する。例えば、本発明の1つの実施形態においては、抗体またはフラグメントは硫酸化チロシンを含み、PD1、CD27、LAG3、CTLA4、BTLA、TIM3、ICOS、B7-H3、B7-H4、CD137、GITR、PD-L1、PD-L2、ILT1、ILT2、CEACAM1、CEACAM5、TIM3、TIGIT、VISTA、ILT3、ILT4、ILT5、ILT6、ILT7、ILT8、CD40、OX40、CD137、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、NKG2A、NKG2C、NKG2E、IL-10、IL-17またはTSLPから選択される抗原に結合する。
本発明の抗体および抗原結合性フラグメントが結合するポリペプチドに関する「LAG3」なる語は、ヒトおよびカニクイザルの、例えばマカカ・ファシキュラリス(Macaca fascicularis)またはマカカ・ムラッタ(Macaca mulatta)LAG3、ならびにその断片、例えば、シグナルペプチドを欠くその成熟断片を意味する。
チロシン硫酸化を欠く抗LAG3抗体(例えば、WO2016028672に開示されているAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9)の免疫グロブリン鎖の例には、以下に要約されているものが含まれる。例えば、ここで、抗体またはフラグメントは、以下に記載されているCDRおよび/または免疫グロブリン鎖の1以上を含む。本発明の1つの実施形態においては、汚染抗体または抗原結合性フラグメントは、アミノ酸配列KASQSLDEGDSDMN(配列番号38)を有するCDR-L1を含み、ここで、Y(下線付き太字)は硫酸化されている。
本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体または抗原結合性フラグメントは、4A10の重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリン;Vおよび/またはV鎖、あるいは軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(例えば、4A10のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)を含む。
本発明の1つの実施形態においては、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9のいずれにおいても、任意のN末端重鎖グルタミンがピログルタメートに変換され、および/または任意のC末端重鎖リジンが除去される。
Figure 0007229157000003
本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体または抗原結合性フラグメントは19E8の重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリン;Vおよび/またはV鎖、あるいは軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(例えば、19E8のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)を含む。
Figure 0007229157000004
本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体または抗原結合性フラグメントは11C9の重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリン;Vおよび/またはV鎖、あるいは軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(例えば、11C9のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)を含む。
Figure 0007229157000005
Figure 0007229157000006
本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体または抗原結合性フラグメントは22D2の重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリン;Vおよび/またはV鎖、あるいは軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(例えば、22D2のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)を含む。
Figure 0007229157000007
Figure 0007229157000008
本発明の1つの実施形態においては、抗LAG3抗体または抗原結合性フラグメントはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9の重鎖免疫グロブリンおよび/または軽鎖免疫グロブリン;Vおよび/またはV鎖、あるいは軽鎖CDRおよび/または重鎖CDR(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8またはAb9のCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)を含む。
Figure 0007229157000009
Figure 0007229157000010
Figure 0007229157000011
Figure 0007229157000012
Figure 0007229157000013
Figure 0007229157000014
Figure 0007229157000015
Figure 0007229157000016
Figure 0007229157000017
Figure 0007229157000018
本発明の1つの実施形態においては、本発明の任意の抗LAG3抗体またはその抗原結合性フラグメントのCDR-H2は、アミノ酸配列:DINPNXGGTIYXQKFX(配列番号64)を含み、ここで、
=D、N、SまたはQ;
=AまたはS;
=QまたはK;
=EまたはGである。
本発明は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO N結合グリカン)または操作された酵母細胞(操作酵母N結合グリカン)、例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)において産生された免疫グロブリンに典型的に付加されるN結合グリカンを含む抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、4A10、19E8、11C9および/または22D2;例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8および/またはAb9)を含む。例えば、本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、図11に示されている「操作酵母N結合グリカン」または「CHO N結合グリカン」(例えば、G0および/またはG0-Fおよび/またはG1および/またはG1-Fおよび/またはG2-Fおよび/またはMan5)の1以上を含む。本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、操作酵母N結合グリカン、すなわち、G0および/またはG1および/またはG2を含み、所望により、更にMan5を含む。本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントは、CHO N結合グリカン、すなわち、G0-F、G1-FおよびG2-Fを含み、所望により、更にG0および/またはG1および/またはG2および/またはMan5を含む。本発明の1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメントの免疫グロブリン鎖上の全N結合グリカンの約80%~約95%(例えば、約80~90%、約85%、約90%または約95%)は操作酵母N結合グリカンまたはCHO N結合グリカンである。Nettら,Yeast.28(3):237-252(2011);Hamiltonら,Science.313(5792):1441-1443(2006);Hamiltonら,Curr Opin Biotechnol.18(5):387-392(2007)を参照されたい。例えば、本発明の1つの実施形態においては、操作酵母細胞はGFI5.0もしくはYGLY8316、または米国特許第7,795,002号もしくはZhaら,Methods Mol Biol.988:31-43(2013)に記載されている株である。国際特許出願公開番号WO2013/066765も参照されたい。
抗LAG3抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8および/またはAb9)のチロシン硫酸化変異体は、約148670Da、148832Daおよび/または148994Daの分子量を含む。チロシン硫酸化を欠く変異体は約148590Da、148752Daおよび/または148914Daの分子量を含む。
「単離」された抗体またはその抗原結合性フラグメントは、それらが産生された細胞または細胞培養からの他の生物学的分子を少なくとも部分的に含有しない。そのような生物学的分子には、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、または細胞破片および増殖培地のような他の物質が含まれる。単離された抗体または抗原結合性フラグメントは更に、宿主細胞由来の又はその増殖培地の生物学的分子のような発現系成分を少なくとも部分的に含有しないことが可能である。一般に、「単離(された)」なる語は、そのような生物学的分子の完全な非存在、または水、バッファーもしくは塩の非存在、または該抗体もしくはフラグメントを含む医薬製剤の成分を指すものではない。
抗体の抗原結合性フラグメントは、完全長抗体により結合される抗原に特異的に結合する能力を保有する抗体の一部分である。抗原結合性フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント;ジアボディ;一本鎖抗体分子、例えばscFv;ならびに抗体フラグメントから形成されるナノボディおよび多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
一般に、基本的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアを含み、各ペアは1つの「軽」鎖および1つの「重」鎖を有する。全般的には、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.編,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい。
モノクローナル抗体は実質的に均一な抗体であり、すなわち、該集団を構成する抗体分子は、僅かな量で存在しうる考えられうる自然突然変異以外は、アミノ酸配列において同一である。Kohlerら,(1975)Nature 256:495;米国特許第4,816,567号;Clacksonら,(1991)Nature 352:624-628;Marksら,(1991)J.Mol.Biol.222:581-597;およびPresta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731を参照されたい。
キメラ抗体は、第1抗体からの可変ドメインと第2抗体からの定常ドメインとを有する抗体であり、ここで、第1抗体および第2抗体は異なる種からのものである(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855)。典型的には、可変ドメインは実験動物(「親抗体」)、例えばげっ歯類からの抗体から得られ、定常ドメイン配列はヒト抗体から得られ、その結果、生じるキメラ抗体は、ヒト対象において不利な免疫応答を惹起する可能性が親(例えば、マウス)抗体の場合より低くなるであろう。
ヒト化抗体はヒト抗体および非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の両方からの配列を含有する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、ここで、超可変ループの全部または実質的に全部は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、そして、フレームワーク(FR)領域の全部または実質的に全部はヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、所望により、ヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含みうる。
免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに帰属されうる。免疫グロブリンの、少なくとも5つの主要クラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらの幾つかは更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG-1、IgG-2、IgG-3およびIgG-4;IgA-1およびIgA-2に分類されうる。本発明は抗体のこれらのクラスまたはサブクラスの任意の抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、抗LAG3)を含む。
1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、抗LAG3)は、重鎖定常領域、例えばヒト定常領域、例えばγ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重鎖定常領域またはそれらの変異体を含む。もう1つの実施形態においては、抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、抗LAG3)は、軽鎖定常領域、例えばヒト軽鎖定常領域、例えばラムダもしくはカッパヒト軽鎖領域またはそれらの変異体を含む。例えば、限定的なものではないが、ヒト重鎖定常領域はγ4であることが可能であり、そして、ヒト軽鎖定常領域はカッパであることが可能である。もう1つの実施形態においては、該抗体のFc領域は、Ser228Pro突然変異を有するγ4である(Schuurman,Jら,Mol.Immunol.38:1-8,2001)。
AEXフィード(太線トレース)、ストリップ(細線トレース)およびプール画分(破線トレース)のIEX-HPLC UVプロファイルの重ね合わせ。 AEXフィード、プールおよびストリップサンプルの無傷型質量スペクトル。 AEXプールおよびストリップサンプルの還元型軽鎖質量スペクトル。 図4A~B:AEXプールおよびストリップ画分の還元型LysCペプチドマッピングのUVトレース。 図5A~C。(A)400~1800m/zにおける、(B)m/z 300~1100で拡大された、(C)m/z 1200~2000で拡大された、軽鎖AA25~43 + 80DaのCID断片化スペクトル。 軽鎖ペプチドAA25~43 + 80DaのETD断片化。80Da結合フラグメントイオンを標識した。 図7A~B。(A)アルカリホスファターゼ処理の存在下および非存在下のAEXストリップ画分のデコンボリューションされた無傷型質量スペクトル。(B)アルカリホスファターゼ処理の存在下および非存在下のニワトリ卵白アルブミンのデコンボリューションされた無傷型質量スペクトル。 図8A~B。(A)正規化濃度のmAb AEXプールおよびストリップを還元SDS-PAGEに付し、ウエスタンハイブリダイゼーションによりヒト重鎖(HC)および軽鎖(LC)に関してプローブし(上パネル)、ついで、ストリップし、そして抗スルホチロシンに関して再プローブした(下パネル)。右端のHCおよびLCに関する表示を参照されたい。(B)AEXストリップおよびプールに加えて、正規化濃度の異なるCHO由来mAbを還元SDS PAGEに付し、ウエスタンハイブリダイゼーションによりヒトHCおよびLCに関してプローブし、ついで、ストリップし、そして抗スルホチロシンに関して再プローブする。(A)および(B)の両方に関して、MagicMark XPをタンパク質分子量標準として使用した。等量のHEK293およびEGF処理A431細胞抽出物を対照として分析する。 図9A~C。(A)AEXストリップ画分からのLC25~43 + 80Da、(B)合成ペプチドXSXSXDYEGDSDXXXXXXX(配列番号65)+リン酸化、および(C)合成ペプチドXSXSXDYEGDSDXXXXXXX(配列番号65)+硫酸化のSIC。 重鎖および軽鎖の両方に関するリボン図におけるCDRループを示すmAbチロシン(Y31)部位。 チャイニーズハムスター卵巣細胞において産生されるモノクローナル抗体に関する主要N結合グリカン(CHO N結合グリカン)、および操作された酵母細胞において産生されるモノクローナル抗体に関する主要N結合グリカン(操作された酵母N結合グリカン);正方形:N-アセチルグルコサミン(GlcNac);円:マンノース(Man);菱形:ガラクトース(Gal);三角形:フコース(Fuc)。
実施例
これらの実施例は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1:抗体チロシン硫酸化変異体の特定および精製方法。
本実施例においては、Ab6のチロシン硫酸化抗体変異体の存在を特定し、該変異体を除去するための精製方法を開発した。
材料および方法
アルカリホスファターゼはNew England Biolabs(Ipswich,MA)から入手可能であった。抗チロシン硫酸化抗体はMillipore(Billerica,MA)から入手可能であった。合成ペプチドはAnaSpec(Fremont,CA)から購入した。
アニオン交換(AEX)クロマトグラフィー
GE Akta Avant系を使用することにより、POROS GoPure Dプレパックカラム(0.5×5cm、1mL)をフロースルー方式で使用して、AEXクロマトグラフィーを行った。プロテインAクロマトグラフィー精製mAbを1M TrisでpH6.5にpH調整し、カラム上にローディングした。タンパク質のローディングの前に、カラムを25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で平衡化し、ローディング後、カラムを25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で洗浄し、1M NaClでストリップした。実施中に280nmの吸光度をモニターした。画分、プールおよびストリップならびにAEXロードを集め、分析した。
イオン交換HPLC
Agilent 1600シリーズ系を使用し、MabPac SCX-10カラム(4×250mm、3.14ml)上、環境温度でイオン交換HPLCを行った。移動相Bは30mM リン酸ナトリウム(pH8.0)であり、移動相Aは25mM MES(pH5.8)であった。カラムを、まず、流速1.0mL/分で14%移動相Bで10分間平衡化した。ついで移動相Bの勾配(18分で14%から80%)を用いて、mAbタンパク質をカラムから溶出した。ついでカラムを100%移動相Bで3分間洗浄し、次のサンプル分析のために14%移動相Bで再平衡化した。溶出液の280nmでの吸光度をLC実施の全体にわたってモニターした。
無傷型および還元型のLC/MS
20μgのサンプルを50mM Trisバッファー(pH8.0)で0.5mg/mLに希釈した。Waters Acquity UPLC H-Classを使用して、RP-HPLC分離を行った。使用したカラムはAcquity UPLC BEH300 C4,1.7μm,1.0×100mm(Waters,Milford,MA;-O-(Si)(CH-Cリガンド)であった。移動相は、移動相Aとしての水中の0.1%ギ酸(FA)、および移動相Bとしてのアセトニトリル(ACN)中の0.1%FAであった。LC流速は0.08mL/分であり、カラム温度は80℃に維持した。30%~90%Bの4~15分の勾配を用いて、抗体を溶出した。m/z 800~4000の範囲でスキャンするWaters Xevo G2 Q-TOF系で、MSスペクトルを得た。
20μgのサンプルを還元バッファー(6M グアニジンHClを含有する50mM トリス(pH8.0))で100μLの最終容量まで希釈した。2マイクロリットルの1M ジチオトレイトール(DTT)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)溶液をサンプルのそれぞれに加え、続いて56℃で20分間インキュベートした。Waters Acquity UPLC H-ClassでRP-UPLC分離を行った。用いたカラムはAcquity UPLC,BEH300 C4,2.1×100mm,1.7μm(Waters)であった。m/z 600~3000の範囲でスキャンするWaters Xevo G2 Q-TOF系でMSスペクトルを得た。MSデータをMassLynx 4.1のMaxEnt1により分析した。
ペプチドマッピングLC/MS
100μgのサンプルを、50mM Tris(pH8.0)、6M グアニジンHClおよび5mM EDTAを含有する100μLの変性バッファーとバッファー交換した。溶液中の20mM DTTを使用して、56℃で30分間還元反応を行った。サンプルを、50mM ヨードアセトアミドで暗所で室温で30分間アルキル化した。アルキル化反応を、1μLの500mM DTT溶液を加えることにより終了させた。還元およびアルキル化サンプルを消化バッファー(50mM Tris pH 8.0)で300μLの最終体積に希釈した後、Lys-C酵素(Wako,Richmond,VA)を1:20(w:w)の酵素:基質比で加えた。溶液を37℃で4時間インキュベートした。HALO Peptide ES-C18,2.1×150nm,2.7μmカラム(MAC-MOD Analytical,Inc.,Chadds Ford,PA)を使用して、Waters Acquity UPLC H-ClassでのRP-HPLCによりペプチドを分離した。m/z 100~2000の範囲でスキャンするWaters Xevo G2 Q-TOF系で、MSスペクトルを得た。MSデータをBiopharmaLynx 1.3(Waters)により分析した。
標的MS/MS
標的ペプチドのLC/MS/MSを、LTQ-Orbitrap MS系(Thermo Fisher,Waltham,MA)で行った。FTモードでの17500の分解能を、MS/MSの取得のために適用した。HALO Peptide ES-C18カラム(2.1×150mm,2.7μm)を使用して、Waters Acquity UPLC H-Classにより、ペプチドを分離した。前駆体イオンのm/z値に応じたm/z範囲でMS/MSをスキャンした。正規化フラグメンテーションエネルギーを、CIDフラグメンテーションに関しては35%に、ETDフラグメンテーションに関しては35%に設定した。MS2データを手動で解釈した。
アルカリホスファターゼ処理
AEXストリップ画分中の10μgのmAbタンパク質を、50μLのホスファターゼ反応バッファー中で希釈した。子ウシ腸からの1μL(10単位)のアルカリホスファターゼ(New England Biolabs,Ipswish,MA)を加えて、37℃で1時間インキュベートした。ニワトリ卵白アルブミン(Sigma)を陽性対照として並列処理した。質量分析のために10μLの溶液をLC/MSに注入した。
ウエスタンブロッティング
Magic Mark XP Western Standard(Invitrogen)ならびに特定濃度のモノクローナル抗体(mAb)および対照細胞抽出物(HEK293全細胞抽出物およびEGF刺激A431細胞ライセート(Millilpore))の両方を、95℃での加熱とともにβ-メルカプトエタノールにより還元し、ついで、4~20%勾配ゲル(Novex)を使用して、トリス(Tris)-グリシンに基づくSDS PAGEにより分離した。続いて、分離されたタンパク質をニトロセルロース膜に電気泳動転写し、4℃で揺動させながらトリス緩衝食塩水 + 0.05% Tween20(TBST)(Sigma)中で一晩洗浄した。ついで膜を、トリス緩衝食塩水 + 1% BSA(TBS-BSA)(Sigma)中、連続的に揺動させながら室温で1時間ブロッキングした。一次抗体(抗スルホチロシン/抗チロシン硫酸化(Millipore)または抗ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc.))をTBS-BSA中に希釈し、そして、該膜と共に室温で2時間インキュベートした。TBSTで洗浄した後、HRP結合二次抗体(ヤギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ(Thermo Scientific))を5%脱脂乳タンパク質 + 0.05% Tween20-リン酸緩衝生理食塩水(Invitrogen)中に希釈し、そして、室温で1時間インキュベートした。TBSTでの最終洗浄の後、化学発光基質(Thermo Scientific)を現像に使用した。シグナルを写真フィルム(GE Healthcare Life Sciences)への露出およびそれに続く処理により回収した。一次抗体間のニトロセルロース膜のストリッピングを、既に示されているとおりに行った(Kaufmann SH,E.C.,Shaper JH.,The erasable Western blot.Anal Biochem.,1987.161(1):p.89-95)。
結果および考察
mAb分子の分離
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)は、典型的には、モノクローナル抗体精製中の純化(polish)工程として利用される。この工程は、典型的にはフロースルー方式で操作され、ここで、mAbはカラムを通って流動し、処理中の不純物(HCP、DNA)はカラムに結合する。AEXの開発中に、カラムにローディングされ樹脂に結合したmAbの一部がタンパク質の回収に影響を及ぼすことが認められた。タンパク質の結合画分はAEXクロマトグラフィーのストリップ画分中に溶出した。AEXカラムに結合したmAbを特徴づけるために、AEXクロマトグラフィーの画分を分析した:「ロード(ローディング)」はAEX精製前のサンプルに関するものであり;「プール」はサンプルのフロースルー部分に関するものであり;そして、「ストリップ」はサンプルの結合画分に関するものである。AEXクロマトグラフィーからのロード、プールおよびストリップ画分を、まず、IEX-HPLCクロマトグラフィーにより分析した。図1はAEXロード、プールおよびストリップ画分におけるmAbのIEX-HPLCプロファイルを示す。図1に示されているとおり、ストリップ画分は、ロードおよびプールと比較して有意に多い量の酸性変異体を含有しており:すなわち、プール画分(破線トレース)における23%、およびフィード(供給)画分(太線トレース)における33%と比較して、ストリップ画分(細線トレース)においては~65%の酸変異体である。酸性プレ主要ピークにおいて、追加的な差異が認められた。このピークは、AEXフィードにおいてより高レベルで存在し、ここで、AEXプールにおいては、このピークは最小であった。ストリップ画分は酸性プレ主要ピークにより富化していた。また、前記と同じバッファーおよび塩条件で、pH7.0または7.5でAEXクロマトグラフィーを行った。pH7.0においても、酸性プレ主要ピークの同様の減少がAEXプールにおいて観察された。
質量分析による無傷型および還元型タンパク質の分析
不純物を特徴づけるために、Q-TOF MSを用いる無傷型および還元型のLC/MSにより、3つ全ての画分(AEXロード、プールおよびストリップ)を分析した。図2は無傷分子のデコンボリューション質量スペクトルを示す。3つの主要グリコフォーム、すなわち、それぞれ148591Da、148751Daおよび148912Daの質量を有するG0F/G0F、G0F/G1FおよびG1F/G1Fが3つ全ての画分において観察された。G0F/G0Fを有するこの分子の計算した無傷型の質量は148590Daである。無傷型の質量測定の質量誤差は全て25ppm以内である。追加的な種はAEXストリップ画分においてのみ検出された。これらの種は3つの主要グリコフォーム(G0F/G0F、G1F/G0F、G1F/G1F)の80Daの質量増加(148668、148830、148991Da)に対応する。修飾を局在化するために、還元剤DTTによるジスルフィド結合の切断の後、軽鎖および重鎖の質量を測定した。ストリップ画分とプール画分との重鎖質量に差は認められず、このことは、修飾が重鎖上に位置していないことを示唆している(データ非表示)。図3に示されているとおり、両方の画分(ストリップ画分およびプール画分)において、軽鎖アポ形態質量(23674Da)および糖化軽鎖質量(23836Da)が検出された。軽鎖の80Daの増加を伴うピークはAEXストリップ画分における23754Daにおいてのみ観察された。還元型の質量測定の質量誤差は20ppm以内である。これらのデータは、80Daの修飾がAb6の軽鎖上に位置していることを示唆している。
ペプチドマッピングによるmAb抗体の分析
修飾部位を更に特定するために、AEXストリップおよびプール画分を還元し、アルキル化し、ついでLysC酵素により消化した。ペプチド混合物をQ-TOF MSにより質量マッピングした。これら2つの画分のUVトレースを比較すると、2つの差異が認められた。図4(a)および(b)に示されているとおり、AEXストリップ画分において、2つの新たなピークが保持時間37.6分および65.2分において検出された。新たなピークにおける観察されたm/zは37.6分における1165.4796(2+)および65.2分における1476.7372(4+)Daである。観察された質量は、それぞれ6.4ppmおよび9.8ppmの質量誤差を有する軽鎖ペプチドAA25-43 + 80DaおよびAA25-78 + 80Daに対応する。軽鎖ペプチドAA25-78は、1つの誤切断部位を含有する。軽鎖ペプチドAA25-43およびAA25-78の修飾形態および非修飾形態が図4に表示されている。抽出イオンクロマトグラム(SIC)におけるピーク面積に基づいて、この修飾ペプチドのレベルは、AA25-43およびAA25-78に関してそれらのアポ形態と比較して20.9%および21.6%であると推定された。
修飾ペプチドのMS/MSフラグメンテーション
質量が80Da増加する修飾には2つの可能性があり、すなわち、リン酸化(+79.9663Da)および硫酸化(+79.9568Da)である。これら2つの修飾の理論的質量差は僅か0.0095Daであり、このことは、質量のみにより識別することを困難にする。まず、標的ペプチドAA25-78を衝突誘起解離(CID)によりフラグメント化し、生成したフラグメントをLTQ-オービトラップ(Orbitrap)MSにより分析した。図5に示されているとおり、前駆体イオンからの修飾基(80Da)の完全な喪失が観察された。ペプチド骨格からのフラグメントのみが検出され、これはLC25-43のペプチド配列を証明している。一方、CIDフラグメンテーションからは部位特異的情報は得られなかった。硫酸化チロシン(sY)は非常に不安定であり、そして、標準的なCID条件下で容易に喪失しうると報告されている(Nemeth-Cawley JF1,K.S.,Rouse JC.,Analysis of sulfated peptides using positive electrospray ionization tandem mass spectrometry.J Mass Spectrom.,2001.36(12):p.1301-11)。ペプチド主鎖フラグメンテーションの時点で元の前駆体イオンが存在しなかったため、陽イオンCID MS/MSを用いるスルフェート部分の位置に関する部位特異的情報を得ることは不可能であった。一方、リン酸化ペプチドはCID下で存続する傾向にあり、ペプチド骨格のフラグメンテーションは修飾の部位特異的特定を可能にする(Nemeth-Cawley JF1,K.S.,Rouse JC.,Analysis of sulfated peptides using positive electrospray ionization tandem mass spectrometry.J Mass Spectrom.,2001.36(12):p.1301-11)。図5において、前駆体イオンからの80Daの中性喪失が観察された。リン酸化に関する特徴的な中性喪失イオンは-HPO(-98Da)であり、特徴的なフラグメントイオンはPO (-79Da)であることが公知である。一方、硫酸化では、特徴的な中性喪失イオンおよびフラグメントイオンは共に80Daを有する-SOイオンである(Monigatti F,H.B.,Steen H.,Protein sulfation analysis--A primer.Biochim Biophys Acta.,2006.1764(12):p.1904-13)。CID MS2データは、80Daの修飾が硫酸化であることを示唆している。
広く用いられているもう1つのフラグメンテーションメカニズムは、電子移動解離(ETD)である。それは電子を多重プロトン化ペプチド/タンパク質に移動させ、これはN-Cα主鎖結合の切断をもたらし、PTM局在化の情報を喪失することなくc型およびz型フラグメントイオンを生成しうる(Mikesh LM,U.B.,Chi A,Coon JJ,Syka JE,Shabanowitz J,Hunt DF.,The utility of ETD mass spectrometry in proteomic analysis.Biochim Biophys Acta.,2006.1764(12):p.1811-22)。ETDはCIDと共に相補的な情報を提供し:すなわち、ETD法は、SO基の保持を可能にし、したがって、アミノ酸局在化を可能にし、一方、CIDは、好ましくは、不安定な修飾をフラグメント化する。本発明者らの場合、ETDフラグメンテーションおよび高分解能質量検出を用いるLTQ-Orbitrap(オービトラップ)により、標的ペプチドを分析した。図6に示されているとおり、80Daの修飾の部分的喪失が前駆体イオンにおいて観察された。SO基(80Da)が結合したフラグメントイオンが表示されている。SO結合フラグメントイオン(c9、c11、c12~16)の検出に基づいて、修飾部位は軽鎖上のチロシン31であると確認され、これはmAb分子のCDR1領域内に存在する。
アルカリホスファターゼ処理
チロシンのリン酸化および硫酸化は等重体(isobaric)であるため、アルカリホスファターゼを使用してこれら2つの修飾を区別した(Yu Y,H.A.,Moore KL,Leary JA.,Determination of the sites of tyrosine O-sulfation in peptides and proteins.Nat Methods,2007.4(7):p.583-8)。アルカリホスファターゼは、タンパク質からリン酸化基を除去するために広く用いられている。ニワトリアルブミンを陽性対照として使用したが、このタンパク質はそのリン酸化およびグリコシル化形態に関して詳細に知られているからである。AEXストリップ画分におけるニワトリアルブミンおよびmAbをホスファターゼで処理し、37℃で並行してインキュベートした。図7は、ホスファターゼ処理の前および後のmAbおよびニワトリ卵白アルブミンの測定した無傷型質量を示す。図7(a)に示されているとおり、mAbに関する質量変化は観察されなかった。一方、ニワトリアルブミンに関しては、160Daの明らかな質量シフトが全ての主要グリコフォームについて観察された(図7(b))。ニワトリアルブミンは2つのリン酸化部位を含有するため、160Daの喪失はアルカリホスファターゼの活性を証明している。ホスファターゼ処理の前および後で質量変化は見られなかったため、AEXストリップにおけるこのmAbはリン酸化されていないと示唆される。
ウエスタンブロット
これまでのところ、LC/MS分析は、軽鎖CDR上のチロシン31への80Da付加体の性質を調べるために使用されている。ホスファターゼ処理後のmAb AEXストリップ画分のMS2分析および質量分析は、80Da付加体がチロシン31上の硫酸化であることを示唆している。しかし、これらの質量分析に基づく技術がチロシン硫酸化およびリン酸化を直接識別する能力は、これら2つの基の分子量が類似しているため問題となる。この問題への対処を開始するために、抗スルホチロシン特異的モノクローナル抗体を使用するウエスタンブロッティングを適用して、mAb AEXストリップ画分におけるチロシン硫酸化の存在を確認した(Xu J,D.X.,Tang M,Li L,Xiao L,Yang L,Zhong J,Bode AM,Dong Z,Tao Y,Cao Y.,Tyrosylprotein sulfotransferase-1 and tyrosine sulfation of chemokine receptor 4 are induced by Epstein-Barr virus encoded latent membrane protein 1 and associated with the metastatic potential of human nasopharyngeal carcinoma.PLoS One.,2013.8(3):p.e56114)。図8a(上パネル)において、正規化濃度のmAb AEXプールおよびストリップ画分を還元SDS PAGEに付し、ウエスタンハイブリダイゼーションによりヒト重鎖および軽鎖に関してプローブした。増加した濃度のプールおよびストリップからの重鎖および軽鎖を、最初の検出抗体から「ストリップ(除去)」し、そして、抗スルホチロシン特異的モノクローナル抗体で再プローブした(下パネル)。図8a(下パネル)に示されているとおり、陽性シグナルはストリップ画分の軽鎖上でのみ検出され、このことは、それがチロシン硫酸化を含むことを示唆している。リン酸化との交差反応性に関する対照として、レーン1にリン酸化タンパク質に富む市販のEGF処理A431細胞抽出物をローディングした。下パネルのレーン1における陽性シグナルの欠如は、抗スルホチロシンモノクローナル抗体がリン酸化との強い交差反応性を有さないことを示している(図8a、下パネル)。更に、抗スルホチロシンモノクローナル抗体に関する陽性対照として製造業者により提案されたHEK293抽出物を、レーン2にローディングした。底~20KDa未満の陽性シグナルは、製造業者の分析と一致している(図8a、下パネル)。図8bにおいては、AEXストリップおよびプールに加えて、正規化濃度の異なるCHO由来mAb(mAb1、2および3)を還元SDS PAGEに付し、ウエスタンハイブリダイゼーションによりヒト重鎖および軽鎖に関してプローブし(上パネル)、ついでストリップし、そして抗スルホチロシンに関して再プローブした(下パネル)。図8aと合致して、抗スルホチロシン抗体でプローブされた場合、AEX mAbストリップのみが軽鎖の位置に陽性シグナルを示す。同様の量のタンパク質を分析した場合、その他の3つのCHO由来のMerck mAbについては、チロシン硫酸化に関して陽性シグナルは観察されなかった。これは、これら3つのmAbにおいて、増加したレベルのAEX酸性ピークまたはチロシン硫酸化ホットスポットが検出されなかったという本発明者らの観察と合致している(データ非表示)。
硫酸化またはリン酸化を伴う合成ペプチドとの保持時間の比較
リン酸化と硫酸化とを更に識別するために、Y31上のリン酸化または硫酸化のいずれかで修飾されたLC AA25-43(XSXSXDEGDSDXXXXXXX)(配列番号65)の同一配列を有する合成ペプチドをLC/MSにより分析した。図9は合成ペプチドXSXSXDEGDSDXXXXXXX(配列番号65)+リン酸化、XSXSXDEGDSDXXXXXXX(配列番号65)+硫酸化およびAA25-43 + 80Da(AEXストリップにおけるもの)のSICを示す。硫酸化を伴う合成ペプチドはAEXストリップと同じ保持時間で溶出するが、リン酸化を伴う合成ペプチドはAEXストリップより早く溶出する。これは、軽鎖上のY31が硫酸化されているという本発明者らの観察を更に証明している。
チロシン硫酸化部位の構造
タンパク質チロシン硫酸化反応は、チロシルプロテインスルホトランスフェラーゼと称されるゴルジ酵素により触媒される。従来の研究は、-5~+5位内の幾つかの酸性残基によって通常包囲されている接近可能なチロシン残基をTPSTが認識することを示した(Hortin G,F.R.,Gordon JI,Strauss AW.,Characterization of sites of tyrosine sulfation in proteins and criteria for predicting their occurrence.Biochem Biophys Res Commun.,1986.141(1):p.326-33;Rosenquist GL,N.H.J.,Analysis of sequence requirements for protein tyrosine sulfation.Protein Sci.,1993.2(2):p.215-22;Teramoto T1,F.Y.,Kawaguchi Y,Kurogi K,Soejima M,Adachi R,Nakanishi Y,Mishiro-Sato E,Liu MC,Sakakibara Y,Suiko M,Kimura M,Kakuta Y,Crystal structure of human tyrosylprotein sulfotransferase-2 reveals the mechanism of protein tyrosine sulfation reaction.Nat Commun.,2013.4:p.1572)。受容体チロシンは、TPST2基質結合部位における正荷電残基の認識を可能にするために近くに酸性残基を有する必要がある。受容体チロシンはまた、TPST2の深い裂け目に嵌るように本質的に柔軟な領域内に存在する必要がある。しかし、チロシン硫酸化部位に関する一般的なコンセンサス配列は定められていない。硫酸化チロシンの配列周辺を示す最も一般的な特徴には、チロシンから2残基以内の1つの酸性アミノ酸の存在、5残基以内の少なくとも3つの酸性アミノ酸の存在、および付近のターン(回転)誘発性アミノ酸の存在などが含まれる(Monigatti F,H.B.,Steen H.,Protein sulfation analysis--A primer.Biochim Biophys Acta.,2006.1764(12):p.1904-13)。図10は、MOEソフトウェア(Chemical Computing Group,Montreal,Canada)により作製されたリボン図におけるCDRループの状況におけるmAbチロシン部位の構造を示す。このmAb上の軽鎖Y31に近い配列はXSXSXDEGDSDXXXXXXX(配列番号65)である。この配列においては、Y31の隣接残基、すなわち、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は共に酸性である。合計4つの酸性残基、すなわち、3つのDおよび1つのEがY31から5残基以内に存在する。4つのターン誘発性残基、すなわち、3つのセリン(S)および1つのグリシン(G)がY31の近傍に存在する。隣接酸性アミノ酸および局所的二次構造の要素を伴うY31の特有の構造が、この修飾を引き起こすための必須の役割を果たしている。
本発明者らは、CHO産生抗体における予想外のO結合チロシン硫酸化の存在を示す証拠をここに記載する。この不安定な修飾の位置は、ETDフラグメンテーションを伴う質量分析により確認されたとおり、軽鎖のCDR1領域に見出された。このチロシン硫酸化は、ホスファターゼ処理、抗チロシン硫酸化抗体を使用するウエスタンブロット実験および合成硫酸化ペプチドとの保持時間の相関によって更に確認された。CDRチロシンの構造分析は硫酸化に対する酸性残基の影響を証明している。隣接酸性アミノ酸残基および局所二次構造の要素が、Y31を硫酸化のホットスポットにするための必須の役割を果たしている可能性がある。
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態によって範囲において限定されるべきではない。実際、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載されている実施形態、および本明細書に具体的には記載されていない他の実施形態を含み、本明細書に具体的に記載されている実施形態は必ずしも網羅的であることを意図していない。本明細書に記載されているものに加えて本発明の種々の修飾が前記の記載から当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。
特許、特許出願、刊行物、製品説明およびプロトコルが本出願の全体にわたって引用されているが、それらの開示の全体をあらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れることとする。本出願は、米国仮特許出願第62/414,209号(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に基づく優先権を主張するものである。本明細書中に引用されている全ての参考文献を、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許が、参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に参照により本明細書に組み入れることとする。参照により組み入れるというこの陳述は、そのような引用が参照により組み入れるという宣誓陳述の直前直後にない場合であっても、37 C.F.R.§1.57(b)(1)に従い、各個の刊行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許[それらのそれぞれは37 C.F.R.§1.57(b)(2)に従い明らかに特定されるものである]に関連づけることを出願人が意図しているものである。参照により組み入れるという宣誓陳述が本明細書中に含まれている場合、それは、参照により組み入れるというこの一般的(general)陳述を何ら弱めるものではない。本明細書における参考文献の引用は、該参考文献が関連先行技術であると自認するものではなく、また、それは、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもない。参考文献が、特許請求している条項に関する定義を記載しており、それが本明細書に記載されている定義と矛盾する場合には、本出願に記載されている定義が特許請求している発明を解釈するために用いられるものとする。

Claims (13)

  1. チロシン硫酸化およびチロシン非硫酸化抗体を含む水性混合物からチロシン硫酸化抗体を除去する方法であって、
    混合物のpHを6.5~7.5に調整し、水性混合物をアニオン交換樹脂と接触させ、そして、樹脂からの混合物の非樹脂結合水性画分を保持することを含み;
    ここで、チロシン硫酸化抗体またはチロシン非硫酸化抗体が、
    配列番号52の重鎖アミノ酸配列および配列番号51の軽鎖アミノ酸配列を含む抗ヒトLAG3抗体であるか、または、
    配列番号52の重鎖アミノ酸配列および配列番号51の軽鎖アミノ酸配列を含み、且つ、N末端重鎖グルタミンがピログルタメートに変換されている、および/または、C末端重鎖リジンが除去されており、
    そしてここで、チロシン硫酸化は、CDR-L1上において存在する、抗ヒトLAG3抗体である、
    方法。
  2. 混合物のpHを調整する工程が、混合物のpHを6.5~7.0に調整することを含む、請求項1記載の方法。
  3. アニオン交換リガンドを含むアニオン交換クロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で10~50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5~7.5)で平衡化し、水性混合物のpHを6.5~7.5に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を10~50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5~7.5)で洗浄し、そして洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む、請求項1記載の方法。
  4. アイソクラチック条件下、水性組成物で樹脂を洗浄し、そして、樹脂から洗浄組成物を取り出し、そして保持することを更に含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. ジメチルアミノプロピルアニオン交換リガンドを含むアニオン交換クロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で平衡化し、水性混合物のpHを6.5に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を25mM リン酸ナトリウム(pH6.5)で洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む、請求項2に記載の方法。
  6. 四級化ポリエチレンイミンアニオン交換リガンドを含むアニオン交換クロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で25mM リン酸ナトリウム、5mM NaCl(pH7.0)で平衡化し、水性混合物のpHを7.0に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を25mM リン酸ナトリウム、5mM NaCl(pH7.0)で洗浄し、そして、洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む、請求項2に記載の方法。
  7. アニオン交換リガンドを含むアニオン交換クロマトグラフィー樹脂をクロマトグラフィーカラム内で10~50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5~7.5)で平衡化し、水性混合物のpHを6.5~7.5に調整し、混合物をカラムに適用し、カラムからフロースルー画分を集め、カラム内の樹脂を10~50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5~7.5)で洗浄し、そして洗浄液からフロースルー画分を集めることを含む、請求項1記載の方法。
  8. 280が最初に少なくとも2.5吸光度単位/cmに達したら、A280吸光度のアニオン交換クロマトグラフィーフロースルーを集め、そして、A280が1.0吸光度単位/cm未満に低下するまでそれを継続する、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
  9. カチオン交換クロマトグラフィー、結合-溶出方式のアニオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインLクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、分別沈殿、濾過、遠心分離またはウイルス不活性化により、抗体を精製することを更に含む、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
  10. 抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をチャイニーズハムスター卵巣細胞において発現させる、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
  11. チロシン非硫酸化抗体が、148590Da、148752Daおよび/または148914Daの分子量を有する抗体である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
  12. ヒトリンパ球活性化遺伝子3(hLAG3)に特異的に結合する抗体(抗hLAG3)を含む、精製された組成物であって、該抗体は、
    配列番号52の重鎖アミノ酸配列および配列番号51の軽鎖アミノ酸配列を含み、ここで、抗ヒトLAG3抗体は、チャイニーズハムスター卵巣細胞において発現され;そして、精製された組成物は、CDR-L1上においてチロシン非硫酸化抗ヒトLAG3抗体と比較して0.5%未満の硫酸化チロシンを含む抗ヒトLAG3抗体を有し、
    ここで、チロシン非硫酸化抗ヒトLAG3抗体は、148590Da、148752Daまたは148914Daの分子量を有するグリコシル化抗体種である、精製された組成物。
  13. 抗ヒトLAG3抗体が、N末端重鎖グルタミンがピログルタメートに変換されている、および/または、C末端重鎖リジンが除去されているものを有する、請求項12記載の精製された組成物。
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