JP7227574B2 - グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7227574B2
JP7227574B2 JP2018211798A JP2018211798A JP7227574B2 JP 7227574 B2 JP7227574 B2 JP 7227574B2 JP 2018211798 A JP2018211798 A JP 2018211798A JP 2018211798 A JP2018211798 A JP 2018211798A JP 7227574 B2 JP7227574 B2 JP 7227574B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gravure
plate base
forming
gravure roll
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018211798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020066223A (ja
Inventor
昌夫 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HIRAI KOGYO CORPORATION
Original Assignee
HIRAI KOGYO CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HIRAI KOGYO CORPORATION filed Critical HIRAI KOGYO CORPORATION
Priority to JP2018211798A priority Critical patent/JP7227574B2/ja
Publication of JP2020066223A publication Critical patent/JP2020066223A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7227574B2 publication Critical patent/JP7227574B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Presses (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Methods (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Description

本発明は、HIP層を有するグラビアロール、HIP層を有するグラビアロールの製造方法、HIP層を有するグラビアロールを具備したグラビア印刷装置およびHIP層を有するグラビアロールにより製造される積層セラミック電子部品に関する。
グラビアロールは近年、各種電子機器の配線、電極、画素などの印刷形成に使用されるようになっている。例えば、特開2013-180404号公報(特許文献1)にはそのようなグラビア印刷装置が記載されている。積層セラミック電子部品の製造に係るグラビア印刷装置について図面を用いて説明する。
図5は現在一般的に採用されている積層セラミック電子部品の製造に係るグラビア印刷装置の模式図である。図5を用いて積層セラミック電子部品の製造に係るグラビア印刷装置を説明すると、グラビア印刷装置101は、グラビアロール102と、圧胴103と、タンク108と、ドクターブレード105と、を含んでいる。
図5に示す例において、グラビアロール102および圧胴103は、それぞれ、矢印110aおよび110b方向に回転し、それによって、被印刷シート104は矢印110c方向へ搬送される。
グラビア印刷装置101は、たとえば図7に図示している積層セラミックコンデンサ113のような積層セラミック電子部品を製造するために用いられるものである。
グラビアロール102は回転しながら印刷媒体である導電性ペースト109が供給されるタンク108内に浸漬される。導電性ペースト109に浸漬される間、グラビアロール102に形成されたグラビアセル106の内部に導電性ペースト109aが浸され、上記グラビアセル106は、回転するグラビアロール102に従って圧胴103に向かうようになる。
グラビアロール102の表面に形成されたグラビアセル106を満たす量を超える余剰の導電性ペースト109は、ドクターブレード105によって搾り取られる。また、グラビアセル106に満たされた導電性ペースト109aは、グラビアロール102と圧胴103とが接触する地点において被印刷シート104に転写される。
被印刷シート104は、グラビア印刷法が適用されることができる多様な電子部品製造のためのシートであることができるが、図6に図示している誘電体セラミック材料を用いて作成されたセラミックグリーンシート111を用いることができる。
被印刷シート104はセラミックグリーンシート111が、図6に示す例のように、キャリアフィルム112によって裏打ちされた状態にある。そして、図6に示す例のように、セラミックグリーンシート111上に、パターニングされた内部電極となるべき導電性ペースト膜107がグラビア印刷によって形成されるのである。
次に、積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、それは例えば特開2004-303748号公報(特許文献2)に開示されている。図7は、積層型セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。積層セラミックコンデンサ113は、基体120を含む。基体120は、複数の誘電体セラミック層116を含み、隣接する誘電体セラミック層116間に内部電極115a,115bが形成される。
一方の内部電極115aの一端側は、基体120の対向する端部の一方側に引き出され、内部電極115aの他端側は、基体120の対一向する端部の他方側近傍まで延びるように形成される。また、他方の内部電極115bの一端側は、基体120の対向する端部の他方側に引き出され、内部電極115bの他端側は、基体120の対向する端部の一方側近傍まで延びるように形成される。
これらの内部電極115a,115bは、基体120の厚み方向において、交互に配置される。したがって、基体120の内部において、内部電極115a,115bが重なり合い、隣接する内部電極115a,115bが、基体120の反対側の端部に引き出される。基体120の両端部には外部電極114a,114bが形成され、外部電極114a,114bには、それぞれ内部電極115a,115bが接続される。したがって、外部電極114a,114b間に静電容量が形成される。
図7に図示したような積層セラミックコンデンサ113を作製するには、キャリアフィルム112に裏打ちされたセラミックグリーンシート111上に、導電性ペースト層107を印刷することにより、内部電極115a,115bの形状の電極パターンが形成される。内部電極115a,115bの形状の電極パターンを有するセラミックグリーンシート111を積層し、その両側に電極パターンのないセラミックグリーンシートを積層して圧着することにより、積層体が作製される。
得られた積層体を切断することにより、内部電極115a,115bの形状の電極パターンが交互に積層されたチップが形成される。得られたチップを例えばバレル研磨し、内部電極115a,115bの引出し部を露出させるとともに、必要に応じて基体120の角部に丸みが形成される。そして、内部電極115a,115bが露出した基体120の端部に導電性ペーストを塗布し、焼結することによって、外部電極114a,114bが形成される。
このようにして積層セラミック電子部品は製造されるが、その製造工程から理解できるように、積層セラミック電子部品の製造にグラビア印刷法を利用する場合、グラビアロールに形成されたグラビアセルの精密度や保形性によって導電性ペースト層の印刷品質が大きく左右されるということである。そのため、製造された積層セラミック電子部品の品質も導電性ペースト層の印刷品質によって決定されることとなる。
なお、本発明でいうグラビアセルの精密度とは、例えば積層セラミックコンデンサの静電容量、導電性ペーストの粘性度、グラビアセルからの導電性ペーストの離形性等を考慮して設計されたグラビアセルの最適な形状のことである。また、グラビアセルの保形性とは、最適な形状設計により形成されたグラビアセルの形状がそのままの状態で保持されていることである。したがって、保形性が維持されているとはグラビアセルの形状が長期にわたって破損、腐食することなく継続的にそのままの形状で維持されている状態をいう。
グラビアセルの精密度に関しては、例えば特開2012-131227号公報(特許文献3)にその重要性が記載されている。
そこには、「グラビア印刷法で積層セラミック電子部品用内部電極パターンを印刷する際、印刷面全体における内部電極パターンの均一性のみならず、各パターン内部の微視的な均一性が求められる。従って、積層セラミック電子部品の製造においては印刷品質を決定するグラビアセルの精密な形状設計が非常に重要となる。」と記載されている。
さらに、「グラビアセルの形状をどのように設計するかにより、印刷にじみの発生の有無、印刷パターン表面のレベリング特性が決定される。印刷パターンがにじみ、レベリング特性が良くなくなり、厚さが均一でないと、積層セラミック電子部品の容量偏差が非常に大きくなる。容量偏差を減少させて信頼性が高い高品質の積層セラミック電子部品を製造するためには、グラビアロールに形成されたグラビアセルの精密度を実現する形状設計が重要である」と記載されている。そして、グラビアセルの精密度を達成できるグラビアセルの形状設計として、図8(a)に図示しているようなグラビアセルを発明している。
また、例えば特開2010-105245号公報(特許文献4)には、「印刷物が電子回路などの場合には、使用する導電性インキが高粘度(硬い)の場合には、従来のグラビアロールを用いて細線を印刷形成すると、各ドットが隣接しているドットと不連続となる場合があり、このような場合には、製品に不良品が発生する。これに対して低粘度で流動性の高いインキを使用すれば、各ドットが変形し、各ドットが連続するが、この場合には極細線を隣接して印刷する場合には、極細線同士のショートが発生する畏れがある。」と記載されている。そして、グラビアセルの精密度を達成できるグラビアセルの形状設計として、図8(b)に図示しているような積層セラミック電子部品の製造に係るグラビアセルを発明している。
このようにグラビアセルの精密度はグラビアセルの精密な形状設計に基づくグラビアセルを形成することにより導電性ペースト層の印刷品質の高度化を達成できる。一方、そのグラビアセルの保形性を維持するための構成としては、現在、一般的に版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、その銅メッキ層の周面を被覆するクロムメッキ層という構成が多く採用されている。
図9を用いてその構成を説明すると、積層セラミック電子部品の内部電極115a、115bとなる導電性ペースト層107を形成するためのグラビアセルは、アルミニウムや鉄などの金属製中空ロールである版母材117の周面に版面形成用銅メッキ層118を設け、この銅メッキ層118にエッチング法や電子彫刻法によって、製版情報に応じて多数のグラビアセル106を形成し、次いでグラビアロール102の耐刷力を向上させるためにクロムメッキ層119を形成している。
なお、最近はクロムメッキ層に代えてあるいはさらに追加して、ニッケル合金メッキ層、DLC(Diamond-Like Carbon)層、あるいは超硬合金層という構成が採用されている場合も多い。特開2008-045206号公報(特許文献5)にはクロムメッキ層に代えてニッケル合金メッキ層を形成した構成が開示されている。
特開2013-180404号公報 特開2004-303748号公報 特開2012-131227号公報 特開2010-105245号公報 特開2008-045206号公報
しかしながら、現実の問題として、現在採用されている銅メッキ層に製版情報に応じて多数のグラビアセルを形成し、次いでグラビアロールの耐刷力を向上させるためにクロムメッキ層を形成した構成を採用しても、またクロムメッキ層に代えてあるいはさらに追加して、ニッケル合金メッキ層、DLC(Diamond-Like Carbon)層、あるいは超硬合金層という構成を採用したとしても、直ぐにグラビアセルが欠損したり腐食したりして、そのグラビアセルの保形性は3か月程度であり、そのため頻繁にグラビアロールを交換しなければならないという課題があった。
グラビアセルの精密度を形状設計により達成できたとしても、そのグラビアセルそのものの保形性が継続的に長期にわたって維持できないので、積層セラミック電子部品の品質を高度に達成させるために、短期的に頻繁にグラビアロールを交換しないといけないという問題が従来から存在し、いままで解決できないでいた。
IT技術が社会のあらゆる分野に浸透しつつある現在、IT技術の基本的な部品である積層セラミック電子部品の需要が増大している。その需要に対応するためには、積層セラミック電子部品の高度な品質と達成するために必要なグラビアセルの精密度と保形性に関し、特に保形性の長期的な継続性が求められていたのである。
このような問題を解決するために、本発明のグラビアロールは積層セラミック電子部品の積層構造物の一部である内部電極またはペースト膜を、被印刷シート上に形成するためのグラビア印刷機のグラビアロールであって、グラビアロールはクロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる中空円柱状の版母材と、ニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理して該版母材の少なくとも側面に形成したHIP層とからなり、該HIP層に、内部電極またはペースト膜の形成に係る導電性ペーストが付与されるグラビアセルを形成したことを特徴とする。
このように、グラビアセルの精密度を達成できるグラビアセルの形状設計に基づいてHIP層に直接グラビアセルを形成することにより、グラビアセルの形状が有するエッジ部分が破損、腐食することなく、導電性ペーストの離形性等のグラビアセルの精密度を長期にわたって維持できることとなる。
また、本発明のグラビアロールの製造方法は、金属性の版母材と、その版母材の少なくとも側面に形成されるHIP層と、そのHIP層に形成されるグラビアセルを備えるグラビアロールの製造方法であって、クロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる円柱状の版母材用部材の製作工程と、該版母材用部材の側面にニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理してHIP層を形成するHIP層形成工程と、該版母材用部材に断面円形状の空洞を軸方向に形成するとともに版母材用部材の両端部にグラビアロールの軸部を固定するための段部分を形成する版母材形成工程と、該HIP層にエッチング法や電子彫刻法によって製版情報に応じてグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該版母材の両端に設けた段部分にグラビアロールの軸部を固定する軸部固定工程と、を備えることを特徴とする。
このような製造工程に構成することによって、版母材とHIP層を一体化させることが出来るとともに、軸部の固定位置を版母材の段部分に限定することによって、グラビアロールの軽量化を目的としてHIP層や版母材の厚さを必要に応じて変更したとしても、軸部を介した版母材の回転によるHIP層への影響をなくし、HIP層に形成した製版情報に基づくグラビアセルの精密度を安定化させることが出来る。
また、本発明のグラビア印刷装置は、積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなすパターニングされた内部電極またはペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷装置であって、該内部電極またはペースト膜を与える導電性ペーストが付与されるグラビアセルをその周面上に形成しているグラビアロールと、該グラビアロールに対して、該被印刷シートを挟んで対向する圧胴とを備え、該グラビアロールは、クロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる中空円柱状の版母材の少なくとも側面に、ニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理して形成されたHIP層に備え、グラビアセルは該HIP層に形成されていることを特徴とする。
このような印刷装置に構成することによって、グラビアセルの精密度を達成できるグラビアセルの形状設計に基づいてHIP層に直接グラビアセルを形成したグラビアロールを使用することにより、グラビアセルの精密度を長期にわたって維持できるので、被印刷シートに印刷される導電性ペースト層の品質を長期にわたって継続的に維持でき、積層セラミック電子部品の製造が安定する。
また、本発明の積層セラミック電子部品は、内部電極とセラミック層とを複数交互に積層形成した基体を部品本体とし、その基体の内部電極と電気的に導通する外部電極を基体の両端部に設ける積層セラミック電子部品であって、グラビアロールはクロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる中空円柱状の版母材の少なくとも側面に、ニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理して形成したHIP層を備え、導電性ペースト充填用のグラビアセルを該グラビアロールのHIP層の表面に形成し、該グラビアロールにより印刷形成した内部電極またはペースト膜を備えてなることを特徴とする。
このように構成することによって、HIP層に形成されたグラビアセルの精密度と保形性が長期にわたり維持できるグラビアロールにより印刷された内部電極またはペースト膜を使用した積層セラミック電子部品であるので、常に積層セラミック電子部品の品質が保証され、また長期にわたって継続的に製造することが出来る。
以上の通り、本発明は版母材の側面に設けたHIP層にグラビアセルを形成したグラビアロールを使用して積層セラミック電子部品の内部電極やペースト膜を印刷する構成であるので、グラビアセルの精密度や保形性を長期にわたって維持することが出来、そのため積層セラミック電子部材の品質に不可欠な内部電極やペースト膜の印刷品質を常に最良の状態で作成することが出来るのである。
また、HIP層自体には従来採用されていたメッキ層に比べて格段に優れた耐久性、耐腐食性を有しているのであるが、HIP層によるグラビアセルの保形性の優れた機能を見出したことにより、グラビアロールの長期的な継続性を達成出来るようになったのであり、従来から課題であった頻繁なグラビアロールの交換を減少させることが出来たのである。
本発明の実施形態の一例によるグラビアロールを概略的に示す断面図である。 本発明の実施形態の一例によるグラビアロールを概略的に示す正面図である。 本発明の実施形態の一例によるグラビアロールの製造工程を模式的に表した図である。(a)版母材用部材にHIP層を形成した状態を模式的に表した断面図(b)版母材用部材を中空状にした状態を模式的に表した断面図(c)HIP層の表面にグラビアセルを形成した状態を模式的に表した断面図(d)版母材に軸部を固定手段により取り付ける状態を模式的に表した断面図。 本発明の実施形態の一例によるグラビアロールに形成されたグラビアセルの断面図である。(a)導電性ペーストが充填されていない状態(b)導電性ペーストが充填されている状態。 グラビア印刷装置を概略的に表した正面図である。 図5に示したグラビア印刷装置によって、キャリアフィルムに裏打ちされたセラミックグリーンシート上に導電性ペースト層が形成された状態を示す断面図である。 積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。 グラビアセルの精密度を達成したセルパターンを表した図である。 版母材の銅メッキ層にグラビアセルを形成した状態にクロムメッキ層を形成した状態を示す従来のグラビアセルの断面図である。
本発明のグラビアロールの具体化した形態について、図1、図2、図3.図4を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態の一例によるグラビアロールを概略的に示す断面図である。グラビアロール1は中空円柱状の版母材2の側面にHIP層3が形成されている。HIP層には製版情報に応じて形成された多数のグラビアセル6が設けられている。グラビアセルが設けられたHIP層のみによって導電性ペースト層を印刷できるように構成している。中空円柱状の版母材2の両端にはグラビアロールの軸部4を固定手段5によって固定するための段部分2aが形成されている。図2には、グラビアロールを概略的に示す正面図を図示している。
図1、図2に図示しているグラビアロールの製造方法について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態の一例によるグラビアロールの製造工程を模式的に表した図である。
最初の製造工程は、円柱状の版母材用部材12aを製作する。版母材12aにはHIP層の合金粉末に使用されるニッケル系合金粉末又はコバルト系合金粉末と熱膨張率が近いクロムモリブデン鋼やオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼が好ましい。特に中空状への加工性や経済性からクロムモリブデン鋼、さらに好ましくはSCM440が使用される。
次の製造工程は、作成した版母材用部材12aの側面にニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理してHIP層13aを形成する。HIP層の厚さは3mm程度が一般的である。その段階の状態を図示したのが図3(a)である。
HIP層13aに採用されるニッケル系合金粉末として好ましいものの構成元素比率としては、ニッケル69.75重量%、クロム16.5重量%、ホウ素3.3重量%、珪素4.0重量%、炭素0.65重量%、鉄3.5重量%、モリブデン3.0重量%及び銅2.3重量%からなるものである。他の好ましいニッケル系合金粉末は、ニッケル58.2重量%、クロム18.0重量%、ホウ素3.3重量%、珪素3.7重量%、炭素0.8重量%、鉄1.5重量%、モリブデン2.5重量%及びタングステン12.0重量%からなるものである。更に他の好ましいニッケル系合金粉末は、ニッケル50.05重量%、クロム19.0重量%、ホウ素3.0重量%、珪素3.1重量%、炭素0.85重量%、鉄1.5重量%、モリブデン2.5重量%及びタングステン20.0重量%からなるものである。なお、HIP層を形成する合金設計において、グラビアセルの耐食性や耐摩耗性に影響を与える導電性ペーストに含有されているフッ素を考慮して、複合ポライドを含有させているニッケル系合金粉末を採用してもよい。
一方、HIP層13aに採用されるコバルト系合金粉末として好ましいものの構成元素比率としては、コバルト45.7重量%、クロム19.0重量%、タングステン15.0重量%、銅1.3重量%、ニッケル13.0重量%、ホウ素3.0重量%及び珪素3.0重量%からなるものである。
次の製造工程は先ず版母材用部材12aに断面円形状の空洞を軸方向に形成する。そして、版母材用部材の両端部にグラビアロールの軸部を固定する段部分を形成した版母材12bを製造する。この段階の状態を図示したのが図3(b)である。
次の製造工程はHIP層13aにエッチング法や電子彫刻法によって製版情報に応じてグラビアセルを形成したHIP層13bとする。この段階の状態を図示したのが図3(c)である。
HIP層13aにグラビアセルを形成する方法として、従来から銅メッキ層にグラビアセルを形成する方法として採用されているエッチング法や電子彫刻法をそのまま使用することが出来る。また、HIP層に形成するグラビアセルの大きさや深さについても、グラビアセルの精密度を実現する形状設計に基づいて決定することが出来、HIP層に対して特別な形状設計が必要となるわけではない。
次の製造工程は、版母材12bの両端に設けた段部分にグラビアロールの軸部14aを固定手段15で固定する。この段階の状態を図示したのが図3(d)である。形状的には軸部14aを版母材12bの両端に設けられた凹部に挿入することになるが、軸部14aの凹部への挿入部分の形状と凹部の形状はグラビアロールの回転にとって有効な形状が採用される。
以上説明した本発明のHIP層を形成したグラビアロールを設けたグラビア印刷装置を使用して積層セラミックコンデンサの内部電極を印刷した場合について説明する。グラビア印刷装置は、グラビアロール1と、圧胴と、タンクと、ドクターブレードと、を含んでいる。
グラビアロール1は回転しながら印刷媒体である導電性ペーストが供給されるタンク内に浸漬される。導電性ペーストに浸漬される間、グラビアロール1に形成されたグラビアセルの内部に導電性ペーストが浸され、グラビアセル1は、回転するグラビアロールに従って圧胴に向かうようになる。グラビアロール1の表面に形成されたグラビアセルを満たす量を超える余剰の導電性ペーストは、ドクターブレードによって搾り取られる。また、グラビアセルに満たされた導電性ペーストは、グラビアロール1と圧胴とが接触する地点において被印刷シートに転写される。セラミックグリーンシート上に、積層セラミックコンデンサ用のパターニングされた内部電極となるべき導電性ペースト膜がグラビア印刷によって形成される。
本発明のグラビアロールを備えたグラビア印刷装置を使用した場合の特徴について図4を用いて説明する。図4(a)は導電性ペーストが充填されていない状態を図示しているが、この図からも分かる通り、版母材の側面に形成されているのはHIP層のみであり、印刷の品質を左右するグラビアセルの精密度を実現させる形状設計に基づいたグラビアセルを直接HIP層に形成している構成である。そのように構成されたHIP層のグラビアセルに導電性ペーストが充填されている状態が図4(b)である。このような状態において、HIP層のグラビアセルに充填されている導電性ペーストが被印刷シートのセラミックグリーンシートに転写印刷されるようにHIP層が形成されている。
このように構成することにより、印刷の品質を左右するグラビアセルの精密度を実現させる形状設計に基づいて形成されたグラビアセルの保形をHIP層が長期にわたって維持できることとなり、その結果、グラビアロールを長期にわたって継続的に使用することが出来、頻繁にグラビアロールの交換をする必要がなくなるのである。理論的には、銅メッキ層にクロムメッキ層を施したグラビアロールが3か月で交換する必要があるのであれば、HIP層を形成したグラビアロールは1年以上交換する必要がない。
本実施の形態では積層セラミックコンデンサの製造方法を例に説明したが、積層構造を有する積層バリスタ、積層コイル及び多層基板等のセラミック電子部品の製造方法にも本発明を適用することができるものである。
1 グラビアロール
2 版母材
2a 段部分
3 HIP層
4 軸部
5 固定手段
6 グラビアセル
7 導電性ペースト
12a 版母材用部材
12b 中空化された版母材用部材
13a HIP層
13b グラビアセルが形成されたHIP層
14a 軸部
15 固定手段
101 グラビア印刷装置
102 グラビアロール
103 圧胴
104 被印刷シート
105 ドクターブレード
106 グラビアセル
107 導電性ペースト層
108 タンク
109 導電性ペースト
109a 導電性ペースト
111 セラミックグリーンシート
112 キャリアフィルム
113 積層セラミックコンデンサ
114 外部電極
115 内部電極
116 誘電体セラミック層
117 版母材
118 銅メッキ層
119 クロムメッキ層
120 基体

Claims (4)

  1. 積層セラミック電子部品の積層構造物の一部である内部電極またはペースト膜を、被印刷シート上に形成するためのグラビア印刷機のグラビアロールであって、
    グラビアロールはクロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる中空円柱状の版母材と、ニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理して該版母材の少なくとも側面に形成したHIP層とからなり、
    該HIP層に、内部電極またはペースト膜の形成に係る導電性ペーストが付与されるグラビアセルを形成したことを特徴とするグラビアロール。
  2. 金属性の版母材と、その版母材の少なくとも側面に形成されるHIP層と、そのHIP層に形成されるグラビアセルを備えるグラビアロールの製造方法であって、
    クロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる円柱状の版母材用部材の製作工程と、
    該版母材用部材の側面にニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理してHIP層を形成するHIP層形成工程と、
    該版母材用部材に断面円形状の空洞を軸方向に形成するとともに該版母材用部材の両端部にグラビアロールの軸部を固定するための段部分を形成する版母材形成工程と、
    該HIP層にエッチング法や電子彫刻法によって製版情報に応じてグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、
    該版母材の両端に設けた段部分にグラビアロールの軸部を固定する軸部固定工程と、を備えることを特徴とするグラビアロールの製造方法。
  3. 積層セラミック電子部品に備える積層構造物の一部をなすパターニングされた内部電極またはペースト膜を被印刷シート上にグラビア印刷によって形成するためのグラビア印刷装置であって、
    内部電極またはペースト膜を与える導電性ペーストが付与されるグラビアセルをその側面上に形成しているグラビアロールと、
    該グラビアロールに対して、該被印刷シートを挟んで対向する圧胴と
    を備え、
    該グラビアロールは、クロムモリブデン鋼またはオーステナイト/フェライト系ステンレス鋼からなる中空円柱状の版母材の少なくとも側面に、ニッケル系合金又はコバルト系合金からなる合金粉末を熱間等方圧加圧処理して形成されたHIP層を備え、
    グラビアセルは該HIP層に形成されていることを特徴とするグラビア印刷装置。
  4. 請求項3に記載のグラビア印刷装置を用いてパターニングされた内部電極またはペースト膜を該被印刷シート上に形成する工程が実施されることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
JP2018211798A 2018-10-23 2018-10-23 グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法 Active JP7227574B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018211798A JP7227574B2 (ja) 2018-10-23 2018-10-23 グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018211798A JP7227574B2 (ja) 2018-10-23 2018-10-23 グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020066223A JP2020066223A (ja) 2020-04-30
JP7227574B2 true JP7227574B2 (ja) 2023-02-22

Family

ID=70389306

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018211798A Active JP7227574B2 (ja) 2018-10-23 2018-10-23 グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7227574B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012020214A (ja) 2010-07-13 2012-02-02 Hirai Kogyo Kk 塗工ダイ及びその製造方法
JP2013078895A (ja) 2011-10-04 2013-05-02 Murata Mfg Co Ltd 印刷装置およびそれを用いた印刷方法
JP2016509124A (ja) 2012-12-07 2016-03-24 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ Hip固化部品の製造方法および耐摩耗性層を含むhip処理部品

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012020214A (ja) 2010-07-13 2012-02-02 Hirai Kogyo Kk 塗工ダイ及びその製造方法
JP2013078895A (ja) 2011-10-04 2013-05-02 Murata Mfg Co Ltd 印刷装置およびそれを用いた印刷方法
JP2016509124A (ja) 2012-12-07 2016-03-24 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ Hip固化部品の製造方法および耐摩耗性層を含むhip処理部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020066223A (ja) 2020-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6149813B2 (ja) グラビア版の製造方法、グラビア印刷方法及び電子部品の製造方法
JP2004330778A (ja) グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法
JP2015080881A (ja) グラビア印刷版およびその製造方法、グラビア印刷機、ならびに積層セラミック電子部品の製造方法
JP7227574B2 (ja) グラビアロール、グラビアロールの製造方法、グラビア印刷装置および積層セラミック電子部品の製造方法
JP4370697B2 (ja) スクリーン印刷版及びその製造方法
JP2009172949A (ja) グラビア印刷版および積層電子部品の製造方法
JP6069833B2 (ja) 印刷配線基材およびその製造方法ならびにグラビア版
JP4314976B2 (ja) グラビアロール、グラビアロールの摩耗量確認方法及び電子部品の製造方法
JP4123301B2 (ja) グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法
CN217226970U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217197340U (zh) 凹版及凹版印刷机
JP2013115237A (ja) グラビアオフセット印刷用凹版およびそれを用いた印刷配線基材の製造方法ならびに印刷配線基材
CN217197338U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217258988U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217455294U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217197339U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217455296U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217455295U (zh) 凹版及凹版印刷机
CN217455297U (zh) 凹版及凹版印刷机
JP2004351718A (ja) グラビア印刷装置およびこれを用いた積層電子部品の製造方法
JP4012990B2 (ja) グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法
JP2016072442A (ja) 印刷回路、配線基板及び印刷版
JP2022128286A (ja) グラビア版、グラビア印刷機及び積層型電子部品の製造方法
JP4239926B2 (ja) グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法
JP4225265B2 (ja) グラビアロール、グラビア印刷機および積層セラミック電子部品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7227574

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150