JP7224250B2 - レンズマウント及び鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ素子を保持する構造に関する。
ここでは、例えばビデオカメラ、顕微鏡、サーマルイメージャなどに用いられる、鏡筒内に複数の透過レンズを直線上に配置したレンズユニットを説明する。特に、公差の厳しいレンズユニットの設計、及び製造について説明する。なお、複数の屈折型透過レンズを組み合わせて鏡筒に保持固定した構造をもつ光学系をレンズユニットと呼称する。
低コストのレンズユニットにおいては、レンズ素子の外周を円筒面とし、前記円筒面に略一致した内側円筒面であるレンズマウントを鏡筒に作りこみ、レンズ素子をレンズマウントに嵌合させ、ねじを切った押え環等で固定する、いわゆる投げ込み式構造を採用する場合が一般的である。投げ込み式構造を採用したレンズユニットでは、レンズ素子をレンズマウントに挿入する作業のために、レンズ素子とレンズマウントとの間にある程度の隙間が必要である。このため、レンズユニットを構成する複数のレンズ素子間の相対偏心公差を厳しく設定するには限界があり、典型的には0.1ミリメートル程度である。一方、高い結像性能が求められるレンズユニット、例えば顕微鏡の対物レンズや光ディスクドライブのピックアップレンズ等においては、1/100ミリメートル、あるいは1/1000ミリメートルオーダーの偏心公差が要求される。この場合、複数のレンズ素子を個別の部分鏡筒に保持し、部分鏡筒間においてレンズ素子間偏心ずれを調整し、公差内に追い込む方法を採用したレンズユニットが開示されている(例えば、特許文献1)。また、レンズ素子の外周をテーパー形状とし、レンズマウントをこれと嵌合するテーパー形状としたレンズユニットが開示されている(例えば、特許文献2)。同様のアイデアであるが、レンズマウントの嵌合だけではなく押え環と鏡筒間のねじ山の嵌合を併用するレンズマウント方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
特許文献2及び特許文献3のレンズユニットによれば、レンズマウントとレンズ素子との間に隙間が生じないので偏心ずれを縮小することができる。
特許文献3では、これら組立調整作業に依存しない偏心ずれ低減技術を総称してオートセンタリングと呼んでいる。本明細書でも、同低減技術に同じ呼称を用いる。
特開平11-203706号公報 特開2010-134378号公報 米国特許第9244245号明細書
従来のレンズユニットでは、偏心ずれを縮小するために組立調整を実施する必要があった。このため、高度な組立製造技術が要求され、また、製造に多くの時間が必要であった。また、調整のための機構部品及び設備が余計に必要となる。一方、オートセンタリング技術を採用した場合、前記組立調整は不要とすることが可能である。しかしオートセンタリングを採用したレンズユニットでは、レンズマウントとレンズ素子との嵌合部の形状に対し高精度な加工が要求され、専用の加工装置、検査装置が必要となる。
このように、従来のレンズユニットでは、同心精度の維持のために高度な加工技術、特殊な部品及び設備が必要であるという課題がある。
本発明は、このような課題を解決することを主な目的とする。より具体的には、本発明は、簡易な組立作業でも高い同心精度を維持でき、また、同心精度の維持のために特殊な部品及び設備を要しないレンズマウントを実現することを主な目的とする。
本発明に係るレンズマウントは、
周縁部に球面と平面とを備え、前記球面を前記周縁部の上部とみなし前記平面を前記周縁部の下部とみなした場合に前記球面が中心に向かって上方に傾斜している円形のレンズ素子を内部に保持するレンズマウントであって、
前記レンズ素子の前記周縁部の前記平面に接し、前記レンズ素子を支持する支持部と、
前記支持部に設けられた溝と、
前記レンズ素子の前記周縁部の球面に一致した球面を対向球面として有し、前記対向球面の一部が前記レンズ素子の前記周縁部の球面に接しており、前記対向球面の前記一部が前記レンズ素子を押さえ、前記対向球面の他部は前記周縁部の球面に接しておらず、前記対向球面の他部の端が前記溝内に配置されるスペーサーとを有し、
前記支持部と前記スペーサーとが前記レンズ素子の前記周縁部を挟み込み、
前記スペーサーの前記対向球面の前記他部の端が前記溝内に配置されると前記レンズ素子の中心が前記レンズ素子の中心として要求される基準中心と一致する位置に前記溝が設けられている。
本発明によれば、簡易な組立作業でも高い同心精度を維持することができ、また、同心精度の維持のために特殊な部品及び設備を要しない。
実施の形態1に係るレンズユニットの構成例を示す断面図である。 実施の形態1に係るレンズマウントの詳細構造を説明する断面図である。 実施の形態1に係るレンズユニットのスペーサーの断面図である。 実施の形態1に係るレンズユニットのレンズ素子の断面図である。 実施の形態1に係るレンズユニットの製造公差の影響の一例を示すための、説明図である。 実施の形態1に係るレンズユニットの製造公差の影響の一例を示すための、説明図である。 従来のオートセンタリングレンズマウントを採用したレンズユニットの構成を示す断面図である。 従来のオートセンタリングレンズマウントを採用したレンズユニットの温度環境変化の影響を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を使用して詳細に説明する。
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るレンズユニットの構成を示す断面図である。
図1において1a、1bはレンズ素子、2は鏡筒、3a、3bはスペーサー、4a、4bは押さえ環を示す。
なお、以下において、レンズ素子1aとレンズ素子1bとを区別する必要がない場合は、両者をまとめてレンズ素子1という。また、スペーサー3aとスペーサー3bとを区別する必要がない場合は、両者をまとめてスペーサー3という。
レンズ素子1a及びレンズ素子1bはガラス製の透過レンズであり、表裏面が球面、又は非球面に加工されている。
レンズ素子1a及びレンズ素子1bは、それぞれ、周縁部に球面と平面とを備える。そして、図1のように、球面を周縁部の上部とみなし平面を周縁部の下部とみなした場合に球面が中心に向かって上方に傾斜している円形のレンズ素子である。
レンズ素子1a及びレンズ素子1bの表面の球面形状及び間隔は、既定の結像性能を発揮するように光学的な設計により決定されており、具体的な寸法は用途によって異なる。また、図1ではレンズ素子1a及びレンズ素子1bを用いた2群2枚組のレンズユニットを示しているが、レンズ素子1の枚数は、用途によって異なり、ここでは1例を示しているにすぎない。
レンズ素子1a及びレンズ素子1bは、回転軸対称であり、スペーサー3a及びスペーサー3b、押さえ環4a及び押さえ環4bは、リング状の回転軸対称形状であり、略同軸に配置される。
鏡筒2、レンズ素子1a及びレンズ素子1b、及び押さえ環4a及び押さえ環4bは、例えばアルミニウム合金等の金属を材料とし、切削、あるいは3Dプリンタ等で製造されたものである。
図1において符号5はレンズマウントを示す。すなわち、レンズマウント5は、レンズ素子1を内部に保持する構造である。
図2は、レンズマウント5の詳細構造を説明するための拡大図である。
図2において図1と同じ符号は同一の部位を示し、説明を省略する。
レンズマウント5には、支持部20と、支持部20に設けられた溝7と、スペーサー3aと、押さえ環4aと、ねじ部6が含まれる。
支持部20は、鏡筒2の一部であり、レンズ素子1aを下方から支持する。レンズ素子1aの周縁部の下部は略平面に加工されており、支持部20はレンズ素子1aの当該平面を支持するために上部が平面である。支持部20はレンズ素子1aの周縁部の平面に接触し、レンズ素子1aを支持する。
スペーサー3aは、上方から見ると円環状の形状を持ち、環の断面は略三角形の断面形状を有する。スペーサー3aは、略三角形の斜辺部分に、レンズ素子1aの周縁部の上部の球面に一致した球面を対向球面として有する。ここで、対向球面がレンズ素子1aの周縁部の上部の球面に一致しているとは、レンズ素子1aの周縁部の上部の球面の曲率と対向球面の曲率とが略同一であることを意味する。そして、対向球面の一部がレンズ素子1aの周縁部の球面に接しており、対向球面の当該一部がレンズ素子1aを押さえる。対向球面の他部は周縁部の球面に接しておらず、対向球面の当該他部の端が溝7内に配置される。以下では、対向球面の他部の端を下端という。つまり、スペーサー3aの対向球面の下端が溝7内に配置される。
図2に示すように、支持部20の上部の平面とスペーサー3aの対向球面とがレンズ素子1aの周縁部を挟み込むことで、レンズ素子1aが適切な位置に保持される。
押さえ環4aは、スペーサー3aを上方から押さえる。
ねじ部6は、押さえ環4a又は鏡筒2のねじ部である。押さえ環4aは外周に雄ねじが加工されており、鏡筒2にはこれとかみ合う雌ねじが加工されている。ねじ部6で発生する軸力はスペーサー3aを介してレンズ素子1aにかかり、レンズ素子1aは鏡筒2の支持部20に対して押さえつけられ、固定保持される。
図3は、スペーサー3aの断面図である。
スペーサー3aのレンズ素子1aに接する面8(対向球面)は、球面9の一部を切り取った形状をしている。面8の下端は略円筒面であるスペーサー3aの側面と鋭角で交差する。
図4は、レンズ素子1aの断面図である。
レンズ素子1aのスペーサー3aと接する面10は球面11の一部を切り取った形状をしている。さらに、球面11は球面9と曲率が略一致している。従って、面8と面10は略隙間なく接触する。面8と面10との隙間は最大で10マイクロメートルとすることが望ましい。つまり、面8と面10との隙間が10マイクロメートル以下となるように球面11と球面9との曲率を一致させる必要がある。
再び、図2を参照する。
スペーサー3aの下側の鋭角部(傾斜面の下端)は、組み合わせたときにレンズ素子1a下側の平面部よりも下方向に飛び出るように寸法が決められている。
スペーサー3aの下側の鋭角部(対向球面の下端)は、支持部20の溝7の中にはまり込むように配置される。スペーサー3aの面8(対向球面)が溝7の内径側とわずかな隙間をもってかみ合うように、溝7の内径側はテーパー形状に構成されている。つまり、スペーサー3aの鋭角部が溝7内に配置される際にスペーサー3aの面8(対向球面)と対向する溝7内の位置に、面8(対向球面)と一致した球面が設けられている。ここで、面8(対向球面)と溝7内の球面とが一致するとは、面8(対向球面)の曲率と溝7内の球面の曲率とが略同一であることを意味する。そして、スペーサー3aの面8(対向球面)は溝7内の球面と接することなく対向し、スペーサー3aの下側の鋭角部(対向球面の下端)が溝7内に配置される。
溝7は、スペーサー3aの鋭角部(対向球面の下端)が溝7内に配置されるとレンズ素子1aの中心がレンズ素子1aの中心として要求される基準中心と一致するようになる位置に設けられている。基準中心とは、鏡筒2に含まれる全てのレンズ素子1に共通して要求される論理的な中心である。溝7に相当する溝がレンズ素子1bのレンズマウントにも設けられており、スペーサー3bの鋭角部が当該溝に配置されることで、レンズ素子1bの中心も基準中心に一致する。この結果、レンズ素子1aとレンズ素子1bとが同心となり、高い同心精度が確保される。
溝7の深さは小さく、2ミリメートル以下が望ましい。例えば、溝7の深さを1ミリメートルとすることが考えられる。また、溝7の球面とスペーサー3aの面8との隙間は製造公差を許容するように機能する。
レンズ素子1aの偏心ずれの程度は、溝7とスペーサー3aの鋭角部の噛み合わせ精度、すなわち前記隙間の大きさに依存し、レンズ素子1aの偏心位置精度が決定される。従って、偏心公差要求が大きい場合は隙間を大きくし、溝7の加工公差を緩和することが可能である。一方、偏心公差要求が小さい場合は、溝7の加工公差を厳しくするが、場合によってはレンズ素子1aとスペーサー3aの製造後に溝7の加工寸法を現物合わせで決定する。溝7の現物合わせの加工は精密旋盤によって可能である。
スペーサー3aと鏡筒2の内壁(垂直面)との間には隙間がある。一般的な投げ込み式のレンズマウントと違い、鏡筒2の内壁の加工精度はレンズ素子1aの偏心ずれに関与しない。前記隙間は投げ込み式のレンズマウントと比較して大きくてもよく、例えば0.5ミリメートルとすることが可能である。
図5は、実施の形態1に係るレンズユニットの製造公差の影響を示すための、説明図である。図5において、図1~4と同じ符号は同一の部位を示し、説明を省略する。
符号12は球面9の中心である。図5はスペーサー3aがレンズ素子1aに対して傾斜した状態を示している。
スペーサー3aは押さえ環4aのねじの軸力でレンズ素子1aを押さえつける。このとき、押さえ環4aのねじの加工精度やスペーサー3aとの接触面の平面度等に依存して、スペーサー3aはレンズ素子1aに対して傾斜するので、公差としてこの現象を許容できなければならない。スペーサー3aは球面9に対して回転自由度をもち、中心12を中心として回転してもレンズ素子1aとの隙間が生じない。
図6は、実施の形態1に係るレンズユニットの製造公差の影響を示すための、説明図である。図6において、図1~5と同じ符号は同一の部位を示し、説明を省略する。
図6は、スペーサー3aの球面8が外径に対して偏心して加工された状態を示している。偏心誤差により、スペーサー3aの厚さは左側がa、右側がb、a<bとなり、全体としてくさび型となる。スペーサー3aとレンズ素子1aとの接触により、球面8はレンズ素子1aと同軸となり、外径がレンズ素子1aに対し偏心する。
図5及び図6に示した前記2種類の製造誤差が生じた状態で、鏡筒2にレンズ素子1aを固定しても、製造誤差がない状態で固定した場合に比較し偏心ずれは増大しない。なぜならば、レンズ素子1aの鏡筒2に対する偏心ずれは、スペーサー3aの球面8と溝7のテーパー部との位置関係に依存して決定され、前記2種類の製造誤差は球面8の精度とは無関係である。当然ながら、前記2種類の公差を緩和しすぎ、球面8の鋭角部が溝7の底にぶつかる場合や、溝7とかみ合わない場合は偏心ずれを生じさせることになる。図5、図6は説明をわかりやすくするために製造誤差を強調して示したものであり、一般的な公差で製造すれば偏心ずれが発生することはない。
ここで、従来のオートセンタリングを採用したレンズユニットの作用を説明する。
図7は、従来のオートセンタリングを採用したレンズユニットの、任意の1枚のレンズ周辺の断面を示した断面図である。図7において200はレンズ素子、210は鏡筒、220はスペーサーである。
レンズ素子200は端部が円錐面を切り取ったテーパー形状に加工されており、このテーパー形状の凸凹を逆転した形状の鏡筒2と一体化したレンズマウントと嵌合し、スペーサー220で押さえられている。前記テーパー形状の嵌合によりオートセンタリングが実現されている。レンズ素子200はガラス、鏡筒210はアルミニウム合金にて製造されており、従ってレンズ素子200の線膨張係数は鏡筒210の線膨張係数の三~四分の一程度である。
図8は、従来のオートセンタリングを採用した従来のレンズユニットの、温度変化に対する影響を説明するための断面図である。図8において図7と同じ符号は同一の部位を示し、説明を省略する。
図7は製造時の温度における状態とする。空気調和のない環境、例えば車載の光学センサ用レンズユニット等では、周囲温度が大きく変化する。製造時の温度よりも周囲温度が高くなると、その影響によりレンズユニット自体の温度も上昇し図8のように膨張し、形状寸法が変化する。
テーパー形状のレンズマウントにおいては、紙面で横方向の線膨張がレンズマウントとレンズ素子200とを離間させる方向に作用する。図8ではこの現象を説明するために強調しているが、実際は離間するほど大きな変化はなくスペーサー220から受ける力でレンズ素子200はレンズマウントに押し付けられ、紙面で下方向に移動する。この変位はわずかであっても、高い結像性能が要求されるレンズユニットの場合は性能劣化が無視できなくなる。
また、鏡筒210に対して、レンズ素子200が傾いて固定されることも起こりうる(レンズ素子200の光軸が傾く)。この場合は、結像された像が劣化することになる。
本実施の形態では、お互いの平面部分で受けているため、温度上昇時に、レンズ素子1aの光軸が傾くことはない。
また、温度上昇時にレンズ素子1aの周縁に隙間ができても、レンズ素子1aの周縁の球面部とかみ合うような凹凸を反転させた球面部を具備するスペーサー3aがその先端を溝7に挿入する形で、レンズ素子1aを軸力で押さえつけて保持する。このため、温度変化時においても高い同心精度が維持可能となるという効果が得られる。
つまり、支持部20の上部の平面とスペーサー3aの対向球面とがレンズ素子1aの周縁部を挟み込むため、温度が上昇してもレンズ素子1aを適切な位置に保持し続けることができる。また、温度上昇により鏡筒2が膨張し、支持部20が図2の左方向に変位する場合でも、スペーサー3aの対向球面が溝7内のテーパー部とかみ合わさることで、レンズ素子1aを適切な位置に保持し続けることができる。
以上、レンズ素子1aのレンズマウントの構成、機能について述べたが、レンズ素子1bのレンズマウントについても、レンズ素子1aのレンズマウントと径が異なるだけで機能は同じである。前述したように、溝7に相当する溝がレンズ素子1bのレンズマウントにも設けられており、スペーサー3bの鋭角部が当該溝に配置されることで、レンズ素子1bの中心も基準中心に一致する。この結果、レンズ素子1aとレンズ素子1bとが同心となり、高い同心精度が確保される。
また、以上では、レンズユニットにおける全ての部品の材料は1例として述べたものであり、他の材料を使用してもよい。例えば、赤外線用のレンズユニットの場合は、レンズ素子1の材料としてガラスではなく、ゲルマニウム、シリコン、セレン化亜鉛等を使用してもよい。
また、以上では、図1に示すように、レンズ素子1の凸部が上方に向くレンズユニットを説明したが、レンズ素子1の凸部が下方に向くレンズユニット(図1を180度回転させた構成)であってもよい。また、レンズ素子1の凸部が側方に向くレンズユニット(図1を右または左に90度回転させた構成)であってもよい。更に、図1では、レンズユニット1bの凸部とレンズユニット1aの凸部が同じ方向を向いているが、レンズユニット1bの凸部とレンズユニット1aの凸部とが逆方向を向いていてもよい(レンズユニット1bの凸部とレンズユニット1aの凸部が対向する構成)。
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態によれば、レンズの偏心ずれを微小にすることが可能であるため、組立調整を要するレンズユニットと比較し短時間にレンズユニットを製造可能である。
例えば、特許文献1に示されるレンズユニットでは、偏心ずれを縮小するために組立調整を実施する必要があった。このため、製造に時間が多く必要とされ、また、調整のための機構部品又は設備が余計に必要となり、製造コストが増大する課題があった。
本実施の形態よれば、スペーサー3aの鋭角部を溝7に配置し、スペーサー3aの面8とレンズ素子1aの面10とを接触させ、スペーサー3aと支持部20によりレンズ素子1aの周縁部を挟み込むことにより、レンズ素子1aの中心を基準中心に一致させることができる。同様の手順でレンズ素子1bの中心を基準中心に一致させることで、レンズ素子1aとレンズ素子1bを同心とすることができ、簡易な加工作業で高い同心精度を維持することができる。また、短時間で鏡筒2を製造することができる。また、特殊な部品又は設備は不要である。
また、本実施の形態では、スペーサーとレンズ素子とが球面で接触し、球面上の回転自由度を有しているため、組立時のすわりがよい。このため、回転自由度のない従来のオートセンタリングを採用したレンズマウントと比較し組立が容易であり、また、押さえ環の加工精度公差を緩和することができる。
オートセンタリングを採用した従来のレンズユニットでは、レンズマウントとレンズ素子との嵌合部の形状に対し高精度な加工が要求され、専用の加工装置、検査装置が必要となり、製造コストが増大する課題があった。
また、本実施の形態によれば、部品の製造が容易である。なぜならば、スペーサーの球面部分の形状については寸法精度が必要であるが、球面部分と外形との位置関係は一般公差が出ていればよく、従来のオートセンタリングを採用したレンズマウントのように、鏡筒との同心精度を求められることはない。鏡筒の溝に関してはテーパー部の加工精度と鏡筒との同心精度は必要であるが、加工面積は従来のオートセンタリングを採用したレンズマウントに比較し小さくすることが可能である。
また、本実施の形態によれば、環境温度変化に対するレンズ素子のずれ量を低減することが可能である。従って、環境温度変化に対する結像性能の劣化を小さくすることが可能である。
前述したように、従来のオートセンタリング機能を採用した構成では、レンズ素子とレンズマウント間の線膨張率の差に起因し、温度変化に対するレンズ位置の変化が拡大する傾向がある。本実施の形態によれば、温度上昇時にレンズ素子の周縁に隙間ができても、レンズ素子を軸力で押さえつけて保持するため、温度変化時においても高い同心精度を維持することができる。
また、従来のオートセンタリング機能を採用した構成では、温度上昇による変位に対する対策として、線膨張率がレンズ素子に近い材料をレンズマウントを含む鏡筒に使用することが考えられる。しかし、一般的にレンズ素子の材料、例えばガラス、シリコン等は低線膨張率をもつ。低線膨張率の構造材料、例えばチタン合金やインバーなどは、アルミニウムなどと比較し材料コスト及び加工コストが高い。本実施の形態によれば、このような高コストの材料をレンズマウントに用いる必要がない。
実施の形態2.
***構成の説明***
本実施の形態に係るレンズユニットの構成は、図1及び図2に示したものと同様である。なお、本実施の形態では、スペーサー3の線膨張率とレンズ素子1の線膨張率が略同一であるものとする。本実施の形態では、スペーサー3の材料として、例えば、コバール、純チタン、チタン合金及びインバーのいずれかを想定する。
コバールは、鉄、ニッケル、及びコバルトの合金であり、線膨張係数は5.2×10-6-1である。純チタン、チタン合金の線膨張係数は8.8×10-6-1である。インバーは、鉄とニッケルを主成分とした合金であり、線膨張係数は1.2×10-6である。一方、レンズ素子1の材料であるガラスは多種が存在し、例えば石英ガラスの場合4.7×10-6である。また、レンズ素子1が赤外線レンズの場合、その材料の線膨張係数はシリコンの場合2.6×10-6、ゲルマニウムの場合5.7×10-6、セレン化亜鉛の場合7.1×10-6である。レンズ素子1の材料は用途によりさまざまであり、その線膨張係数を調べて近い線膨張係数であることを条件にスペーサー3の材料を選定する。
図7及び図8に例示した従来の構成では、前述のように、レンズ素子200はガラス、鏡筒210はアルミニウム合金にて製造されている。従ってレンズ素子200の線膨張係数は鏡筒210の線膨張係数の三~四分の一程度である。
レンズ素子200の環境温度に依存する変位は鏡筒210の材質の線膨張率がレンズ素子200の線膨張率に近くなるように材料選定することで改善可能である。しかしながら、このような材料は先に述べたコバール、純チタン、チタン合金、インバーといった一般に難加工材料とされるものであり、アルミニウム合金を選定した場合に比較し、製造コストが上昇する。
本実施の形態に係るレンズユニットにおいては、先に述べたようにスペーサー3には、線膨張率がレンズ素子1の線膨張率に近い材料を使用しているため、あたかもレンズ素子1とスペーサー3が同じ材料で製造されたかのように温度に対して膨張する。
図2に示すように、レンズマウント5周辺のレンズ素子1aとスペーサー3aとの合成形状は平行平面とみなすことができる。従って、図7及び図8に示した従来のレンズユニットで生じる横方向の線膨張に起因する、レンズ素子とレンズマウント間の離間作用は、実施の形態2に係るレンズユニットにおいて生じない。ただし、縦方向の線膨張の影響によるレンズ素子1aとレンズマウント5間の離間作用は残留する。しかしながら、線膨張の変形量は、物体の寸法に比例して増大する関係があり、縦方向の線膨張による離間作用は横方向の線膨張の離間作用に比較して小さく、典型的には十分の一以下である。従って、従来のオートセンタリングのレンズマウントを採用したレンズユニットと比較し、環境温度変化に対するレンズ素子のずれ量を低減することが可能である。
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態では、難加工材料を使用する部品をスペーサーのみとすることができる。従って、従来のオートセンタリングのレンズマウント、及び難加工材料の鏡筒を採用したレンズユニットと比較し使用材料の体積と加工量を削減することができる。また、加工精度公差を緩和することが可能であり、材料コスト、製造コストを低減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これら2つの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。
あるいは、これら2つの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。
あるいは、これら2つの実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
1 レンズ素子、1a レンズ素子、1b レンズ素子、2 鏡筒、3 スペーサー、3a スペーサー、3b スペーサー、4a 押さえ環、4b 押さえ環、5 レンズマウント、6 ねじ部、7 溝、8 球面、9 球面、10 球面、11 球面、12 球面の中心、20 支持部、200 レンズ素子、210 鏡筒、220 スペーサー。

Claims (9)

  1. 周縁部に球面と平面とを備え、前記球面を前記周縁部の上部とみなし前記平面を前記周縁部の下部とみなした場合に前記球面が中心に向かって上方に傾斜している円形のレンズ素子を内部に保持するレンズマウントであって、
    前記レンズ素子の前記周縁部の前記平面に接し、前記レンズ素子を支持する支持部と、
    前記支持部に設けられた溝と、
    前記レンズ素子の前記周縁部の球面に一致した球面を対向球面として有し、前記対向球面の一部が前記レンズ素子の前記周縁部の球面に接しており、前記対向球面の前記一部が前記レンズ素子を押さえ、前記対向球面の他部は前記周縁部の球面に接しておらず、前記対向球面の他部の端が前記溝内に配置されるスペーサーと
    前記スペーサーを上方から押さえる押さえ環とを有し、
    前記支持部と前記スペーサーとが前記レンズ素子の前記周縁部を挟み込み、
    前記スペーサーの前記対向球面の前記他部の端が前記溝内に配置されると前記レンズ素子の中心が前記レンズ素子の中心として要求される基準中心と一致する位置に前記溝が設けられているレンズマウント。
  2. 前記スペーサーの前記対向球面の前記他部の端が前記溝内に配置される際に前記スペーサーの前記対向球面と対向する前記溝内の位置に、前記対向球面に一致した球面が設けられおり、
    前記スペーサーの前記対向球面は前記溝内の球面と接することなく対向し、前記対向球面の前記他部の端が前記溝内に配置される請求項1に記載のレンズマウント。
  3. 前記スペーサーは、略三角形の断面形状を有し、前記略三角形の断面形状の斜辺部分に前記対向球面が設けられている請求項1に記載のレンズマウント。
  4. 熱膨張により前記支持部及び前記溝が変位しても前記スペーサーの前記対向球面の前記他部の端が前記溝内に配置される請求項1に記載のレンズマウント。
  5. 前記溝の深さが2ミリメートル以下である請求項1に記載のレンズマウント。
  6. 前記スペーサーの線膨張率が前記レンズ素子の線膨張率と略同一である請求項1に記載のレンズマウント。
  7. 前記スペーサーがコバール、純チタン、チタン合金及びインバーのいずれかで形成されている請求項6に記載のレンズマウント。
  8. 請求項1に記載のレンズマウントを複数備える鏡筒。
  9. 各レンズマウントのスペーサーの前記対向球面の前記他部の端が各レンズマウントの溝内に配置されると各レンズマウントで保持されるレンズ素子が同心となる位置に各レンズマウントの溝が設けられている請求項8に記載の鏡筒。
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