JP7224180B2 - 分散液、およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分散液、その製造方法、および機能性膜に関する。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと称する)は、導電性、熱伝導性等の機能を付与できるナノ炭素材料の一種である。CNTは、分散液の状態で種々の用途に用いられている。CNTを含有する分散液は、チキソ性を発現することが知られている(例えば、特許文献1)。分散液中のCNTの濃度が高くなると、分散液の粘度も増加して使用が困難になる。CNTが長い場合も、分散液の粘度が増加する。
増粘した分散液に他の成分を配合する際、振とう器を用いた撹拌での混合においては、振とう器の壁面付近に存在する液は、受けるせん断力が低いため、混合不良となりやすい。このため、振とう器内の位置によってCNTの量にバラつきが発生する。増粘した分散液は、スプレー塗工やバーコートなどにより塗膜を形成する場合の塗工性が低下する。分散液を希釈してCNTの濃度を下げた場合には、分散液の粘度が低下して塗工性は改良される。しかしながら、所望の機能を付与するためには、高濃度のCNTを含有する低粘度の分散液が求められている。印刷時においては低せん断時の粘度が印刷性能に影響する。高濃度CNT分散液を低粘度化させることで、印刷性能が向上する。
CNTの球状粒子を、カーボンブラック、アセチレンブラック、及び他の補助材料と組み合わせてスラリーを作製し、アルミ箔などの集電体に塗布することにより、リチウム電池の正極材料に適用する例が開示されている(例えば、特許文献2)。
特許第5537445号公報 特表2017-517467号公報
分散剤などの添加剤を配合することで、CNT濃度を低下させずに分散液の粘度を下げることができるものの、分散剤に起因した種々の問題が発生する。分散剤は、CNT同士の間に介在して、塗膜中で接触抵抗となる。膜の導電性が低下して抵抗が増加するので、例えば電池電極では、発熱や活物質の膨張収縮が起こる。また、分散剤によってCNTネットワークが切断されて、抵抗がさらに増大して電池の容量や寿命の低下に繋がる。
上記特許文献2の場合、CNTの球状粒子は、平均直径が1μm~100μmであり、1~20MPaの圧力に耐えうる機械的強度を有する。したがって当該球状粒子は、集電体に塗工され乾燥後の塗工膜においても、球形状を維持する。そうすると、上記球状粒子は、直径が大きい場合、塗工膜の機械的強度を低下させ、集電体から塗工膜が剥離し、電池の所望の機能が得られなくなるという問題がある。
そこで本発明は、取り扱いに適切な粘度を有し、所望の機能を付与できる分散液、その製造方法、および機能性膜を提供することを目的とする。
本発明に係る分散液は、分散媒と、前記分散媒に分散され、カーボンナノチューブの絡み合った集合体とを含有する分散液であって、前記集合体は、実質的に球状で直径が1~50μmであり、乾燥後の前記集合体は、直径が50μm以下、高さが25μm以下で、前記高さと前記直径との比(高さ/直径)が0.5以下であることを特徴とする。
本発明に係る分散液の製造方法は、長さが1~50μmのカーボンナノチューブを含有する原料を準備する第1工程と、前記原料を希釈して造粒処理し、前記カーボンナノチューブの絡み合いからなる集合体を形成する第2工程とを含み、前記希釈後の原料は、前記カーボンナノチューブに対する親和性の異なる2種類の成分を含有し、前記集合体は、実質的に球状で直径が1~50μmであることを特徴とする。
本発明に係る機能性膜は、カーボンナノチューブの絡み合いからなり、直径が50μm以下、高さが25μm以下で、前記高さと前記直径との比(高さ/直径)が0.5以下の集合体を含有することを特徴とする。
本発明によれば、CNTは所定の状態の集合体として分散液中に含まれている。集合体は、分散液中では実質的に球状であるが、乾燥後には、アスペクト比が0.5以下の潰れた形状となる。集合体は、CNTが緩く絡み合って形成されているので、乾燥後に大きく潰れる。CNTが緩く絡み合った集合体が含まれることで、分散液の粘度を増加させずにCNTの濃度を確保することができる。本発明の分散液は、取り扱いに適切な粘度を有し、所望の機能を付与できる。
本発明の方法では、長さが1~50μmのCNTを含有する原料を用いる。原料中のCNTは、所定の長さを有し単離分散している。このような原料を希釈し、CNTに対する親和性の異なる2種類の成分を含んだ状態で造粒処理を施すので、CNTが緩く絡み合った集合体を形成することができる。
本発明の分散液を所定の基材上に塗布し、焼成して乾燥させることによって、分散液中の集合体が潰れる。こうして、CNTが絡み合ったアスペクト比が0.5以下の集合体を含む、本発明の機能性膜を形成することができる。
本実施形態の分散液を示す模式図である。 乾燥後の集合体の側面の模式図である。 乾燥後の集合体の電子顕微鏡写真であり、図3Aは第1の例、図3Bは第2の例、図3Cは第3の例、図3Dは第4の例の電子顕微鏡写真である。 従来の分散液に含まれるCNTの乾燥後の電子顕微鏡写真であり、図4AはCNTの緻密な集合体を含む分散液、図4Bは、CNTが集合体を形成していない分散液、図4CはCNTの分散が不均一な分散液についての電子顕微鏡写真である。 造粒処理前の焼成した原料中のCNTの電子顕微鏡写真であり、図5Aは、ある一部を表わし、図5Bは他の一部を表わしている。 分散液中の集合体の光学顕微鏡写真である。 図7Aは造粒処理前の分散液中のCNTの光学顕微鏡写真、図7Bは分散液中のCNT集合体の光学顕微鏡写真である。 分散液中の集合体を光学顕微鏡観察する際の断面の状態を説明する概略図である。 サンプルAの分散液の光学顕微鏡写真である。 サンプルBの分散液の光学顕微鏡写真である。 薄膜状の分散液中の集合体を光学顕微鏡観察する際の断面の状態を説明する概略図である。 サンプルAの分散液の光学顕微鏡写真である。 サンプルBの分散液の光学顕微鏡写真である。 サンプルA,Bの分散液の粘度を示すグラフである。 サンプルA,Bの分散液の粘度を示すグラフである。 乾燥後の分散液に含まれる複数の集合体の電子顕微鏡写真である。 図16中の領域Aの拡大写真である。 図16中の領域Bの拡大写真である。 集合体の原子間力顕微鏡(AFM)による測定結果である。 第1工程終了後の分散液中のCNTの光学顕微鏡写真であって、図20Aはある一部における塊状の凝集物、図20Bは他の一部におけるバンドル状の凝集物を表わしている。 第1工程終了後、フィルターに通過させた後の分散液中のCNTの光学顕微鏡写真であり、図21Aは、ある一部を表わし、図21Bは他の一部を表わしている。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.分散液
本実施形態の分散液10は、図1に示すように、複数のCNTの絡み合いからなる集合体14が分散媒12中に分散されている。集合体14は、実質的に球状であり、直径dが1~50μmである。直径dは、分散液10中の集合体14の任意の方向における長さとすることができる。分散液10中の集合体14の直径dは、光学顕微鏡により測定することができる。
図2には、所定の基材上で乾燥後の集合体14Aを模式的に示す。分散液10中で実質的に球状であった集合体14は、乾燥後には、直径dが50μm以下、高さhが25μm以下の形状となる。乾燥後の集合体14Aは、アスペクト比(高さh/直径d)が、0.5以下である。
集合体14が分散される分散媒12としては、CNTに対する親和性が異なる2種類の成分を所定の組み合わせで用いる。2種類の成分としては、例えば樹脂と、この樹脂が溶解する溶媒とが挙げられる。本実施形態においては、樹脂としてエチルセルロースを用い、溶媒として3-ペンタノールを用いる。3-ペンタノールは、CNTに対する親和性がエチルセルロースより高い。
集合体14は、長さが1μm以上のCNTから形成されることが好ましい。CNTの長さは、5μm以上がより好ましく、10μm以上が最も好ましい。CNTの長さは、最長で50μm程度である。分散液中のCNTの状態は、光学顕微鏡により確認することができる。分散液中には、単離したCNTやバンドルが含まれる場合があるが、集合体を形成しないCNTは少ないほうが好ましい。バンドルは、長さが1~50μm程度のCNTの束であり、最小太さが0.1μm程度、最大太さが10μm程度である。
2.製造方法
本実施形態の分散液の製造方法は、CNTを含有する原料を準備する第1工程と、原料を造粒処理して集合体を形成する第2工程とを含む。以下、各工程について説明する。以下に示す条件は一例である。本発明は以下に示す条件に限定されない。
<第1工程>
CNTと分散媒とを予備混合して、粗材を調製する。本実施形態においては、CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとを、1:1:98の質量比で配合する。用いるCNTは、長さが1~300μm程度である。粗材中におけるCNTの濃度は、1質量%である。粗材中のCNTは、バンドルを形成していてもよい。粗材は、せん断処理を施して、CNTの長さを1~50μmに調整する。長さが調整されたCNTは、分散媒中に均一に分散する。せん断処理には、高圧ホモジナイザーを用いることができる。
粗材中のバンドルは、基本的にはせん断処理によって個々のCNTに単離されるが、最小太さ0.1μm程度、最大太さ10μm程度のバンドルが残っていてもよい。せん断処理後のバンドルの長さは、1~50μm程度である。せん断処理の条件を変えることにより、バンドルの長さを調整することができる。せん断処理後のCNTの状態は、光学顕微鏡および電子顕微鏡により観察することができる。
第1工程によって、所定の長さに調整されたCNTの均一分散液からなる原料が得られる。ここで調整されたCNTの長さは、造粒処理後に得られる集合体の大きさに影響を及ぼす。第1工程後のCNTの長さが長いほど、より大きな集合体を形成することができる。
<第2工程>
原料を希釈し、造粒処理を施して、CNTの絡み合った集合体を形成する。造粒処理には、例えば遊星攪拌装置を用いることができる。本実施形態においては、第1工程で得られた原料に、100重量部の原料に対して100重量部の3-ペンタノールを加えて、CNTの濃度を0.5質量%とする。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールの質量比は、0.5:0.5:99.0である。この状態で、5~60分間の遊星攪拌を行う。遊星攪拌を行うことによって、CNTの一部が毛玉状に緩く絡み合って集合体を形成する。
所望によりさらにエチルセルロースおよび3-ペンタノールを加えて、同様の造粒処理を行ってもよい。本実施形態においては、3-ペンタノールを添加して、CNTの濃度を0.2質量%とした状態で5~60分間の遊星攪拌を行う。
本実施形態においては、原料としてのCNTの均一分散液に造粒処理を施している。造粒処理を行う際、CNTが分散されている分散媒は、CNTに対する親和性の異なる2種類の成分を含んでいる。本実施形態においては、エチルセルロースと3-ペンタノールとが含まれた状態で、遊星攪拌により造粒処理を施しているので、CNTが緩く絡み合って集合体が発生する。
こうして、CNTが緩く絡み合った集合体を含む本発明の分散液が得られる。集合体の大きさは、製造条件を適宜選択することによって変更することが可能である。例えば、第1工程におけるせん断処理の条件、第2工程における造粒処理の条件などを変更することができる。CNTに対する親和性の異なる2種類の成分の種類や割合も、集合体の大きさを変える要因の一つとなる。
上記第1工程によって得られるCNTの均一分散液からなる原料には、塊状やバンドル(束)状の、粗大なCNTの凝集物が含まれる場合がある。当該CNTの凝集物は、第2工程の造粒処理が施されても本実施形態の集合体にならないため、最終製品としての機能性膜の品質を低下させる原因になり得る。
本実施形態に係る分散液の製造方法は、上記第1工程と上記第2工程の間に、第1工程によって得られた原料を、所定の目開き(開口サイズ)を有するフィルターに通過させる工程を有するのが好ましい。原料がフィルターを通過することによって、原料に含まれるCNTの凝集物を原料から除去することができる。フィルターの目開きは、80μm以上200μm以下が好ましく、80μm以上160μm以下であるのがより好ましい。
フィルターは、特に限定されないが、不織布構造、もしくはメッシュ構造を用いることが好ましい。CNT分散液がフィルターを通過することにより、粗大なCNTの凝集物を取り除くことができ、機能性膜の品質をより向上することができる。
上記目開きを有するフィルターを通過することによって、塊状やバンドル(束)状のCNTの凝集物を、原料から除去することができる。上記フィルターを通過した原料は、CNTの凝集物が除去され、CNTが均一に単離分散した分散液からなる。当該原料を用いて、第2工程を経ることによって、CNTの凝集物がない、CNTが緩く絡み合った集合体を含む分散液を得ることができる。したがって当該分散液は、最終製品としての機能性膜の品質をより向上することができる。
3.作用及び効果
本実施形態に係る分散液は、CNTが絡み合った集合体を含有する。分散液中では、集合体は実質的に球状なので、分散液中における集合体のアスペクト比は約1となる。CNTは、緩やかに毛玉状に絡み合って集合体を形成している。CNTの絡み合いが緩やかであることは、乾燥後の集合体の形状の変化から確認できる。
本実施形態に係る分散液に含まれている集合体は、乾燥後には球状を維持することができない。乾燥後の集合体は、例えば、図3A~図3Dに示すように、高さ方向の寸法が減少して潰れた状態となる。乾燥後の集合体は、横方向の寸法が変わらず高さが小さくなるので、アスペクト比が極めて小さくなる。集合体は、所定の基材上で乾燥させた後、エタノールを滴下して観察することができる。なお、本明細書において「乾燥」とは、50~500℃、例えば400℃で焼成することを指す。
乾燥後に集合体のアスペクト比が大きく変化する現象は、従来の分散液中のCNTには確認されない。図4には、従来の分散液(i~iii)中のCNTの乾燥後の電子顕微鏡写真を示す。図4Aは、CNTが緻密に集まった嵩密度の高い集合体である。図4Aの場合には、乾燥後においても、アスペクト比は0.8程度と大きい。図4Bは、CNTが集合体を形成していない場合であり、図4Cは、CNTの分散が不十分な場合である。
なお、従来の分散液iは、せん断処理を施さない粗材に造粒処理を施して製造され、従来の分散液iiは造粒処理を施さないで製造される。分散液iiiは、せん断処理および造粒処理のいずれも施さないで製造される。
従来の分散液(i~iii)の場合、乾燥後に確認されるのは、直径が50μm以下、高さが25μm以下で、前記高さと前記直径との比(高さ/直径)が0.5以下の集合体ではない。したがって、従来の分散液には、CNTが緩く絡み合った集合体が含まれていないことがわかる。
本実施形態の分散液中では、CNTが上述したような特定の集合体を形成しているので、粘度を増加させることなく高濃度でCNTを含有させることができる。本実施形態の分散液は、高濃度でCNTを含有しているので、この分散液を用いることによって所望の機能を備えた機能性膜が形成される。
集合体は、乾燥後のアスペクト比が0.5以下であり、高さが25μm以下であるから、機能性膜の機械的強度の低下を抑制できる。集合体は、乾燥後においても直径を維持するので、良好な導電性が維持される。したがって当該集合体を備えた分散液を用いることにより、所望の機能が付与された機能性膜を形成することができる。
4.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
分散液の製造において、第1工程では、任意の手法により粗材にせん断処理を施すことができる。CNTの長さを1~50μmに調整することができれば、例えば、メカニカルミリング、ビーズミル、ローターステーターシステム、湿式ジェットミルなどを用いてもよい。
希釈後、造粒処理を施す際のCNTの濃度は、CNTの長さに応じて適宜設定することができる。希釈に用いる成分の量を調整することで、CNTの濃度を0.01~10質量%の範囲内に設定すればよい。CNTの長さが長くなると、造粒可能なCNTの濃度は低くなる傾向となる。
上記実施形態においては、樹脂としてのエチルセルロースを溶解する溶媒として3-ペンタノールを用いたが、エチルセルロースを溶解できる任意のアルコールを用いることができる。使用し得るアルコールとしては、例えばエタノール等が挙げられる。
樹脂としてのエチルセルロースは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に変更することができる。この場合には、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)のようなPVDFが溶解する溶媒が用いられる。NMPは、CNTに対する親和性がPVDFより大きい。PVDFとNMPを用いて、上述と同様の手法により、本発明の分散液を製造することができる。
CNTに対する親和性の異なる2種類の成分としてテルピネオールとエチルセルロースとを用いて、以下のような方法により本発明の分散液を製造してもよい。まず、テルピネオールにCNTを加えて粗材を調製し、せん断処理を施す。CNTは、長さが1~50μmに調整されて単離し、テルピネオール中に均一に分散して、均一分散液からなる原料が得られる。
次いで、原料にエチルセルロースおよびテルピネオールを加えて希釈し、上述したような造粒処理を施す。エチルセルロースは、CNTに対する親和性がテルピネオールより小さいので、エチルセルロースを配合することで、原料中のCNTの均一な分散状態が乱される。CNTの分散状態を乱しつつ造粒処理を施すことによって、CNTは緩く絡み合って集合体が発生する。
CNTに対する親和性の異なる2種類の成分を用い、CNTの均一分散液からなる原料に造粒処理を施すことによって、CNTが緩く絡み合って集合体を形成することができる。こうして、CNTが緩く絡み合った集合体を含む本発明の分散液を製造することができる。
CNTに対する親和性の異なる2種類の成分は、上述以外の組み合わせも適用可能である。
本発明の分散液を得るには、超音波分散等により低濃度で分散処理した後、濾過や過熱により原料を濃縮して、CNTを造粒することもできる。第2工程後、樹脂および/または溶媒を加えてもよい。樹脂および/または溶媒としては、分散媒中に含まれているものと同様のものを用いることができる。
5.実施例
樹脂としてエチルセルロースを用意し、溶媒として3-ペンタノールを用意した。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとを、1:1:98の質量比で配合し、一般的な方法により予備混合した。用いたCNTは、長さが1~300μm程度である。さらに、高圧分散装置を用いてせん断処理を施した(第1工程)。これにより、単離したCNTが均一に分散した均一分散液からなる原料が得られた。
均一分散液を耐熱性基板上に塗布して400℃で焼成した後、電子顕微鏡観察を行った。得られた電子顕微鏡写真を、図5A,5Bに示す。図5A,5Bから、造粒処理前の均一分散液中には、1μm以上の長さのCNTが存在することがわかる。20μm程度の長さのCNTも確認される。
CNTの均一分散液には、100重量部の均一分散液に対して100重量部の3-ペンタノールを加えて、CNTの濃度を0.5質量%とした。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールの質量比は、0.5:0.5:99.0である。この状態で、遊星攪拌による造粒処理を20分間行った。さらに、造粒処理後の分散液に100重量部の分散液に対して、1.5重量部のエチルセルロース、および23.5重量部の3-ペンタノールを加えてCNTの濃度を0.4質量%として、同様の造粒処理を10分間行った(第2工程)。得られた分散液をサンプルAとする。サンプルAの分散液には、CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとが、0.4:1.6:98の質量比で含有されている。
サンプルAの分散液をガラス板上に滴下して、光学顕微鏡観察を行った。その結果、図6中に矢印で示すような複数の球状の集合体が分散液中に確認された。集合体は、光を透過した。このことから、サンプルA中の集合体は、CNTが緩く絡み合って形成されており、嵩密度が低いこと、乾燥後の集合体は、高さを維持できずに潰れることが推測される。このようなCNTの集合体を含有するサンプルAは、実施例の分散液である。
上記高圧分散装置を用いたせん断処理の条件を変えることにより、均一分散液におけるCNT長さを調整できることを確認した。せん断処理の条件のみをかえてCNTが均一に分散した均一分散液を得た。当該均一分散液をガラス板上に滴下して、光学顕微鏡観察で得られた写真を図7Aに示す。本図から、造粒処理前の均一分散液中には、1μm~50μm程度の長さのCNTが確認された。上記サンプルAと同じ条件で造粒処理を行った分散液をガラス板上に滴下して、光学顕微鏡観察で得られた写真を図7Bに示す。本図においても、光が透過した球状の集合体が複数、分散液中に確認された。
サンプルAの分散液について、光学顕微鏡観察を行った。図8に示すように、ガラス基板50上に、厚さ15μmのポリエチレン(PE)フィルム製の枠54を配置した。枠54の内側に分散液を滴下してサンプル56とし、カバーガラス52を枠54の上に配置した。観察された光学顕微鏡写真を、図9に示す。図9中の多数の黒色の点が、集合体である。
比較のために、第1工程後の処理を変更してサンプルBの分散液を調製した。サンプルBは、第1工程後の均一分散液に、100重量部の均一分散液に対して、3重量部のエチルセルロース、および147重量部の3-ペンタノールを添加してCNTの濃度を0.2質量%とした。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールの質量比は、0.4:1.6:98である。5分間の乳鉢撹拌を行い、遊星攪拌による造粒処理を経ていない。
サンプルBの分散液について、上述と同様の手法で光学顕微鏡観察を行った。得られた光学顕微鏡写真を図10に示す。図10中には、図9の場合のような黒色の点が確認されない。
サンプルA,Bの分散液を、前述よりも薄い薄膜の状態として光学顕微鏡観察を行った。光学顕微鏡観察に当たっては、図11に示すように、ガラス基板50上にサンプル58を滴下し、サンプル58上にカバーガラス52を配置した。ガラス基板50とカバーガラス52とは実質的に接しているので、サンプル58の厚さは、図8中のサンプル56より極めて小さい。
サンプルA,Bの光学顕微鏡写真を、図12,13にそれぞれ示す。サンプルAは、図12中に矢印で示すように、多数の集合体が確認される。サンプルBでは、図13に示すように集合体が全く確認されない。
図14には、サンプルA,Bの粘度を、樹脂溶液(エチルセルロース)の粘度とともに示す。図15は、図14における横軸(せん断速度)を、対数として示したものである。粘度は、ウエルズブルックフィールド・コーン/プレート型粘度計を用いて、25℃で測定した。サンプルAは、サンプルBより低粘度である。サンプルAは、CNTが単離分散した状態ではなく、絡み合って集合体を形成しているので、集合体を含まないサンプルBより粘度が低いことが示されている。
サンプルAの分散液を耐熱性基板上に滴下し、400℃で焼成して電子顕微鏡観察を行った。その結果を図16に示す。図16の電子顕微鏡写真には、直径10μm以下の複数の集合体が示されている。集合体の直径は、例えば約9.0μm(図17)、約7.5μm(図18)である。
図18に示した集合体のAFM測定の結果を、図19に示す。集合体の最大高さは130nmである。AFM測定による最大高さを、乾燥後の集合体の高さとする。この場合、乾燥後の集合体のアスペクト比(高さ/直径)は、0.017程度となる。
次に、上記実施例とは別に、樹脂としてエチルセルロースを用意し、溶媒として3-ペンタノールを用意した。CNTとエチルセルロースと3-ペンタノールとを、1:1:98の質量比で配合し、一般的な方法により予備混合した。用いたCNTは、長さが1~300μm程度である。さらに、高圧分散装置を用いてせん断処理を施した(第1工程)。得られた分散液をガラス板上に滴下して、光学顕微鏡観察で得られた写真を図20A、20Bに示す。上記分散液は、CNTが均一に単離分散しているものの、中には、塊状のCNT凝集物(図20A)や、バンドル状のCNT凝集物(図20B)の存在が認められた。
上記分散液を、フィルター(SEFER社製、品番:NY-151HC、目開き:151μm)に通過させた。フィルターに通過させた後の分散液をガラス板上に滴下して、光学顕微鏡観察で得られた写真を図21A、21Bに示す。図21A、図21Bに示すように、フィルターに通過させた後の原料に、CNT凝集物は見当たらなかった。この結果から、原料をフィルターに通過させることによって、CNT凝集物が除去でき、CNTが均一に単離分散した分散液からCNT凝集物を除去できることが確認できた。
14、14A 集合体

Claims (3)

  1. 分散媒と、
    前記分散媒に分散され、長さが1~50μmのカーボンナノチューブの絡み合った集合体と
    を含有する分散液であって、
    前記分散媒は、前記カーボンナノチューブに対する親和性の異なる2種類の成分を含有し、前記2種類の成分は、エチルセルロースと3-ペンタノールの組み合わせ、エチルセルロースとエタノールの組み合わせ、エチルセルロースとテルピネオールの組み合わせ、またはポリフッ化ビニリデンとN-メチル-2-ピロリドンの組み合わせから選択され、
    前記集合体は、実質的に球状で直径が1~50μmであり、
    乾燥後の前記集合体は、直径が50μm以下、高さが25μm以下で、前記高さと前記直径との比(高さ/直径)が0.5以下であることを特徴とする分散液。
  2. 長さが1~50μmのカーボンナノチューブの均一分散液である原料を準備する第1工程と、
    前記原料を希釈して造粒処理し、前記カーボンナノチューブの絡み合いからなる集合体を形成する第2工程とを含み、
    前記希釈後の原料は、前記カーボンナノチューブに対する親和性の異なる2種類の成分を含有し、前記2種類の成分は、エチルセルロースと3-ペンタノールの組み合わせ、エチルセルロースとエタノールの組み合わせ、エチルセルロースとテルピネオールの組み合わせ、またはポリフッ化ビニリデンとN-メチル-2-ピロリドンの組み合わせから選択され、
    前記集合体は、実質的に球状で直径が1~50μmである
    ことを特徴とする分散液の製造方法。
  3. 前記第1工程と前記第2工程の間に、目開きが80μm以上200μm以下のフィルターに前記原料を通過させる工程を含むことを特徴とする請求項記載の分散液の製造方法。
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