JP7222682B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置に関する。
画像形成装置が設置される環境の変動や部品の消耗に応じて画像の最大濃度や階調特性が変化してしまう。そのため、画像形成装置はキャリブレーションを実行することで、画像の最大濃度を目標濃度に維持したり、階調特性を目標となる階調特性に維持したりする。
特許文献1によれば、階調パターンを用紙に形成して読み取り、階調パターンの読取情報を画像形成条件にフィードバックさせるといったキャリブレーションが提案されている。キャリブレーションが必要になるタイミングは、環境が変動したときや画像形成装置が長時間にわたり放置されたときである。特に環境変動が起こりやすいタイミングは、電源投入時と、節電モードからの復帰時である。
特開2000-238341号公報
一般に、キャリブレーションでは、画像形成装置がパターン画像を形成し、パターン画像を測定し、測定結果に応じて画像形成条件を更新する。そのため、キャリブレーションは長いダウンタイムを発生させしてしまう。ダウンタイムとはユーザが自由に画像を形成できない時間をいう。仮にキャリブレーションを実行せずにトナー画像を形成してしまうと、トナー画像の濃度は目標濃度から乖離してしまうだろう。画像形成装置の電源投入直後や節電モードからの復帰直後であっても目標濃度に近い画像の濃度を出力可能とするために、トナー画像の濃度を予測し、予測濃度に基づき階調補正テーブルが作成されてもよい。しかし、画像形成装置が停止してから次に起動されるまでの放置時間が長くなると、予測濃度と実測濃度との差が大きくなり、予測濃度に基づき作成される階調補正テーブルの階調補正精度が低下する。このように、パターン画像の実測濃度に基づき階調補正テーブルを作成すると、階調補正精度が高くなるが、ダウンタイムが増加しています。一方で、予測濃度に基づき階調補正テーブルを作成すると、ダウンタイムが減少するが、階調補正精度が低下することがある。そこで、本発明は、ダウンタイムの削減と階調補正精度の向上といった二律背反する課題を解決することを目的とする。
本発明によれば、たとえば、
パターン画像の濃度の実測値に基づき階調補正テーブルを作成する第一作成手段と、
前記パターン画像の濃度の予測値に基づき前記階調補正テーブルを作成する第二作成手段と、
画像形成装置が画像を形成せずに放置されていた時間である放置時間を計測する計測手段と、
前記放置時間が第一閾値以上であれば、前記第一作成手段に前記階調補正テーブルを作成させ、前記放置時間が前記第一閾値以上でなく、かつ、前記第一閾値より小さな第二閾値以上であれば、前記第二作成手段に前記階調補正テーブルを作成させ、前記放置時間が前記第二閾値以上でなければ、前記第一作成手段と前記第二作成手段との両方に前記階調補正テーブルを作成させない作成制御手段と
を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、ダウンタイムの削減と階調補正精度の向上といった二律背反する課題が解決する。
画像形成装置を説明する図 コントローラを説明する図 画像濃度の変動例を説明する図 予測濃度の選択を説明する図 画像濃度の予測に関与する機能を説明する図 キャリブレーションを説明するフローチャート 階調補正テーブルの作成方法を説明する図 階調補正テーブルの作成方法を説明する図 制御量の求め方の一例を示す図 制御量を求めるために使用されるパラメータを示す図 放置時間とトナー帯電量の維持率との関係を示すグラフ 予測モデルと入力値との関係を示す表 予測濃度を求める方法を説明する図 画像形成枚数と画像濃度の実測値および予測値の関係を示す図 CPUの機能を説明する図 キャリブレーションを説明するフローチャート
本実施形態では、説明の便宜上、電子写真方式の画像形成装置が用いられる。しかし、制御の特徴的な点、特に請求項に記載された事項は、インクジェットプリンタや昇華型プリンタなどにも適用可能である。つまり、本発明は、環境条件などの変動に相関して画像濃度が変動してしまう画像形成方式に適用可能である。
<実施例1>
[画像形成装置]
図1は画像形成装置1の概略断面図である。画像形成装置1はリーダ2とプリンタ3を有している。リーダ2は原稿やテストチャートを読み取る読取装置である。テストチャートとは複数のパターン画像が形成されたシートのことである。光源23は原稿台ガラス22上に置かれた原稿21に光を照射する。光学系24は原稿21からの反射光をCCDセンサ25に導き、結像させる。CCDはチャージカップルドデバイスの略称である。CCDセンサ25は、レッド、グリーン、ブルーの色成分信号を生成する。リーダ画像処理部28はCCDセンサ25により得られた色成分信号に画像処理(例:シェーディング補正など)を実行して画像データを生成する。リーダ画像処理部28は、画像データをプリンタ3のプリンタ制御部29に転送する。
プリンタ3は画像データに基づいてトナー画像をシートSに形成する。プリンタ3は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色のトナー画像を形成する画像形成部10を有している。なお、画像形成部10は、イエローの画像を形成する画像形成ステーション、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション、シアンの画像を形成する画像形成ステーション、及びブラックの画像を形成する画像形成ステーションを備える。また、本発明のプリンタ3はフルカラーの画像を形成するカラープリンタに限定されず、たとえば、単色画像を形成するモノクロプリンタであってもよい。図1が示すように、画像形成部10には左側から順にY、M、C、Bkの各色に対応した4つの画像形成ステーションが配置されている。4つの画像形成ステーションの構成はいずれも同様なので、ここではブラックの画像を形成する画像形成ステーションが説明される。画像形成ステーションは感光ドラム11を備えている。感光ドラム11は感光体や像担持体と呼ばれることもある。感光ドラム11の周囲には帯電器12、レーザスキャナ13、現像器14、一次転写器17、ドラムクリーナ15が配置されている。帯電器12は感光ドラム11の表面を帯電させる帯電ローラを備える。レーザスキャナ13は光源とミラーとレンズとを備える。現像器14は現像剤(トナー)を収容する筐体と筐体内の現像剤を担持する現像ローラとを備える。現像ローラには現像バイアスが印加される。一次転写器17は転写バイアス(一次)が供給される転写部材を備える。なお、転写部材は、たとえば、転写ブレードまたは転写ローラである。ドラムクリーナ15は感光ドラム11の表面のトナーを除去するクリーニングブレードを備える。
次に、ブラックの画像形成ステーションがトナー画像を形成するプロセスを説明する。なお、ブラック以外の他の色の画像形成ステーションがトナー画像を形成するプロセスも同様のプロセスであるので、ここでの説明は省略される。画像形成が開始されると、感光ドラム11は矢印方向に回転する。帯電器12は感光ドラム11の表面を一様に帯電させる。レーザスキャナ13は、プリンタ制御部29から出力される画像データに基づいてレーザ光を出力し、感光ドラム11の表面を露光する。これによって、感光ドラム11には静電潜像が形成される。現像器14はトナーを用いて静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。一次転写器17は感光ドラム11に担持されたトナー画像を中間転写ベルト31に転写する。中間転写ベルト31はトナー画像が転写される中間転写体として機能する。中間転写ベルト31は三つのローラ34、36、37にかけ回されている。ドラムクリーナ15は一次転写器17によって中間転写ベルト31へ転写されずに感光ドラム11に残ったトナーを除去する。
給送カセット20又はマルチ給送トレイ30にはシートSが積載される。給送ローラが給送カセット20又はマルチ給送トレイ30からシートSを給送する。給送ローラにより給送されたシートSは搬送ローラによってレジストレーションローラ26へ向けて搬送される。レジストレーションローラ26は、中間転写ベルト31上のトナー画像がシートSに転写されるように、シートSを、中間転写ベルト31と二次転写器27との間の転写ニップ部に搬送する。二次転写器27は転写バイアス(二次)が供給される二次転写ローラを備える。二次転写器27は転写ニップ部において中間転写ベルト31上のトナー画像をシートSに転写する。転写クリーナ35は中間転写ベルト31の表面のトナーを除去するクリーニングブレードを備える。転写クリーナ35は転写ニップ部においてシートSに転写されずに中間転写ベルト31上に残ったトナーを除去する。定着器40はヒータを有する加熱ローラと加熱ローラにシートSを押し付ける加圧ローラとを備える。加熱ローラと加圧ローラとの間にはシートSにトナー画像を定着するための定着ニップ部が形成される。トナー画像が転写されたシートSは定着ニップ部を通過する。定着器40は、加熱ローラの熱と、定着ニップ部の圧力とを用いて、シートSにトナー画像を定着させる。
帯電器12は、たとえば、スコロトロン帯電器であってもよい。感光ドラム11と対向するように配置されたワイヤは所定の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。ワイヤの周囲にはアースに接続されたケーシングが設けられる。また、ワイヤと感光ドラム11の間にはグリッドが配置されている。感光ドラム11の表面電位(帯電電位)は、ワイヤに印加される帯電バイアスとグリッドに印加されるグリッドバイアスに応じて制御される。
[コントローラ]
図2(A)はプリンタ制御部29を構成する部品を示している。プリンタコントローラ200は画像形成装置1を統括的に制御するコントローラである。エンジンコントローラ250は主にプリンタ3を制御するコントローラである。プリンタコントローラ200のCPU201は、プリンタコントローラ200の各部を制御する中央演算処理装置である。RAM202は、画像形成条件や制御テーブル、変換テーブルなどを記憶する記憶装置である。ROM203は制御プログラムなどを記憶する記憶装置である。プリンタコントローラ200は複数の通信回路を有している。ホストIF211はホストコンピュータなどと通信するための通信回路であり、プリント指示や画像データを受信する。IFはインタフェースの略称である。リーダIF212はリーダ2と通信する通信回路であり、原稿の画像データを受信する。また、リーダ2にパターン画像を読み取らせるためにユーザがパターン画像の形成されたシート(テストチャート)を原稿台ガラス22に載せて読取動作を実行した場合、リーダIF212はリーダ2から出力された読取データを取得する。エンジンIF213はエンジンコントローラ250と通信する通信回路であり、画像信号を送信したり、様々な測定データを受信したりする。RIP(ラスタイメージプロセッサ)204は画像データを展開してビットマップ画像に展開するプロセッサである。色処理部315はカラーマネージメントプロファイルなどを用いてビットマップ画像の色空間を変換する。たとえば、RGB形式の画像データがYMCK形式の画像データに変換される。階調補正部206は、プリンタ3により形成される画像の階調特性が理想的な階調特性となるように、画像データを階調補正テーブル(γLUT)に基づいて補正する。中間調部207は階調補正された画像データに対してディザマトリクスや誤差拡散法などの擬似中間調処理を実行する。中間調部207から出力される画像信号はエンジンIF213を介してエンジンコントローラ250に出力される。操作部214は画像形成装置1の操作者が指示を入力したり、操作者に情報を表示したりするタッチパネルディスプレイである。なお、色処理部315、階調補正部206、中間調部207は、複数の画像処理に対応している。しかし、たとえば、画像形成装置1がこれら複数の画像処理のすべてを実行するイメージプロセッサを有してもよい。イメージプロセッサはCPU201と異なるプロセッサである。また、イメージプロセッサは複数の画像処理の一部を実行してもよい。また、イメージプロセッサが1つのプロセッサを有することに限定されず、複数のプロセッサを有していてもよい。
エンジンコントローラ250のCPU251は、ROM253に記憶されている制御プログラムにしたがって高圧電源254やレーザスキャナ13などを制御する。RAM252は、CPU251のワークエリアとして機能する記憶装置である。高圧電源254は、帯電バイアスや現像バイアス、転写バイアスなどを生成する電源回路である。環境センサ261は、画像形成装置1が設置されている環境や画像形成装置1の内部環境を示す環境情報(例:温度や湿度、絶対水分量)を検知するセンサである。濃度センサ262は、現像器14のトナー濃度(例:キャリアに対するトナーの割合を示すパラメータ)を検知するセンサであり、たとえば、透磁率型のセンサである。タイマー263は、プリントジョブが終了すると計時を開始することで、画像形成装置1が画像を形成していない時間(放置時間)を計測する。カウンタ264は、現像器14にトナーが補給された回数をカウントするカウンタである。画像形成装置1は、不図示の補給機構を有している。補給機構は1回の補給動作において現像器14へ補給するトナーの量が予め決まっている。従って、プリンタコントローラ200は、カウンタ264のカウント値から現像器14へのトナーの補給量を予測する。
図2(B)はCPU201が制御プログラムを実行することで実現する機能を示している。電位制御部221は環境センサ261により取得された環境情報に応じて、帯電バイアスVdT、グリッドバイアスYおよび現像バイアスVdcなどを決定する。電位制御部221はこれらのパラメータを高圧電源254に設定する。電位制御部221や高圧電源254は電圧制御手段として機能する。載り量調整部222は、シートに載せられる最大のトナー量(最大トナー載り量)を調整する。最大トナー載り量は、帯電バイアスVdT、グリッドバイアスYおよび現像バイアスVdcに基づいて変動する。載り量調整部222は、たとえば、レーザスキャナ13のレーザパワーLPWを制御することで、最大トナー載り量を調整する。載り量調整部222やレーザスキャナ13は露光制御手段として機能する。
テーブル作成部223は、階調補正部206で使用される階調補正テーブル(γLUT)を作成する。テーブル作成部223は、二つの作成モードを有している。第一モードは、従来のようにパターン画像を形成し、パターン画像の測定結果に基づき階調補正テーブルを作成するモードである。本実施例では第一モードにより作成された階調補正テーブルは基本テーブルと呼ばれる。第二モードは、本実施例に特有のモードであり、環境情報や画像形成条件などに基づき画像濃度を予測し、予測された画像濃度に基づき階調補正テーブルを作成するモードである。画像濃度の予測は予測部224で実行される。本実施例では、予測濃度に基づき修正テーブルが作成され、基本テーブルと修正テーブルとを合成するごとで合成テーブルが作成され、階調補正部206に設定される。階調補正部206は設定された合成テーブルを使用して画像データの階調を補正する。第二モードでは、パターン画像の形成と測定とが実行されないため、ダウンタイムが大幅に短縮される。
図2(C)はRAM202に記憶される情報の一部を示している。基本テーブル241は第一モードにより作成された階調補正テーブルである。修正テーブル242は予測濃度に基づき生成されたテーブルであり、基本テーブル241を修正して合成テーブルを取得するためのテーブルである。画像形成条件243は、たとえば、帯電バイアスVdTやレーザパワーLPWなどを含む。
[予測部]
予測部224は画像濃度の変動と相関して変動する入力値(例:環境情報や画像形成条件など)に基づき階調レベルごとの画像濃度を予測する。入力値は信号値と呼ばれてもよい。画像形成装置1は、一般に夕方または夜に停止し、翌朝に再び起動される。したがって、前日の夜の環境に適した画像形成条件と、翌日の朝の環境に適した画像形成条件とは異なる。前日夜の環境情報と翌朝の環境情報とが一致することも稀にあるが、通常、両者は異なっている。そのため、画像形成装置1により形成される画像の濃度は目標濃度から乖離している。そして、画像形成装置1が連続して画像を形成している間に、画像の濃度は安定濃度に収束する。また、節電モードがスタンバイモードへ復帰した直後においても、同様に、画像の濃度が目標濃度から乖離する可能性がある。
図3(A)ないし図3(C)は濃度変化の一例を示す図である。時刻t1は画像形成装置1が停止した時刻である。時刻t2は画像形成装置1が起動または復帰した時刻である。時刻t3は濃度が安定した時刻である。放置中とは、画像形成装置1が停止しており、画像形成を実行していないことを意味する。通紙中とは、画像形成装置1が起動しており、画像形成を実行していることを示している。
図3(A)によれば、時刻t1の濃度に対して時刻t2の濃度が上昇し、時刻t2の濃度に対して時刻t3の濃度は低下している。このような濃度変化が発生するケースは、画像形成装置1が長時間にわたり放置されたケースや、画像形成装置1が高湿環境で放置されたケースである。図3(B)によれば、時刻t1の濃度、時刻t2の濃度および時刻t3の濃度はほぼ一致している。このような濃度変化が発生するケースは、放置中の環境変化が小さく、かつ、通紙中の環境変化も小さいケースである。放置時間が短いケースでもこのような濃度変化は小さい。図3(C)によれば、時刻t1の濃度に対して時刻t2の濃度が低下し、時刻t2の濃度に対して時刻t3の濃度は上昇している。このような濃度変化が発生するケースは、トナー補給が実行された直後に画像形成装置1が放置されたケースや、時刻t1から時刻t2にかけて湿度が低下し、かつ、時刻t2から時刻t3にかけて湿度が上昇したケースである。ここで、画像形成が可能な状態へ復帰した時刻t2から濃度が安定する時刻t3までの間の濃度を予測するために、予測部224は時刻t2における濃度を基準とすべきか、それとも時刻t3の安定濃度を基準とすべきかが問題となる。
安定濃度D30が目標濃度TGTとなるように画像形成条件が補正された場合の例が図4(A)に基づいて説明される。時刻t2の画像濃度(初期濃度D1)よりも時刻t3における安定濃度D30が低いので、安定濃度D30が目標濃度TGTとなるようにレーザパワーLPWの制御量が決定される。つまり、レーザパワーLPWが補正される。これにより、白丸により示された初期濃度D1は黒丸により示された初期濃度D1'へ変化する。これは、レーザパワーLPWの制御量に基づき初期濃度D1が再度予測されることと同じである。また、レーザパワーLPWの制御量に応じて補正された安定濃度D30'は目標濃度TGTに等しい。そこで、予測部224は、補正された二つの予測濃度D1',D30'に基づき、時刻t2から時刻t3の間の様々な時点における階調レベル毎の濃度を予測し、テーブル作成部223は各時点の予測濃度に基づき修正テーブルを作成する。たとえば、時刻t2において1枚目のシートに画像が形成され、時刻t3において30枚目のシートに画像が形成される場合、予測部224は2枚目から29枚目の画像濃度D2'~D29'が初期濃度D1'および安定濃度D30'に基づき予測する。このように画像形成装置1は画像形成を実行しながら階調補正テーブルを修正することができる。
次に、初期濃度D1が目標濃度TGTとなるように画像形成条件が補正された場合の例が図4(B)に基づいて説明される。安定濃度D30が目標濃度TGTとなるようにレーザパワーLPWの制御量が決定される。ここでは、新しく決定されたレーザパワーLPWに基づいて白丸で示された初期濃度D1と安定濃度D30とが黒丸で示される初期濃度D1'と安定濃度D30'へ変化する。この場合、初期濃度D1'も安定濃度D30'も目標濃度TGTを下回ってしまった。そのため、画像の濃度を増加させる必要がある。しかしながら、階調補正テーブルを補正して画像濃度を増加させるのには限界がある。つまり、図4(A)のケースと比較して図4(B)のケースでは画像形成装置1がレーザパワーLPWを頻繁に増加させる必要がある。ここで、最大濃度を調整するために画像形成条件を変更してしまうと、最大濃度以外の濃度も変動することが知られている。これは画像の安定性を低下させたり、制御の複雑さを招いたりしてしまうことを意味する。そこで、本実施例の画像形成装置は初期濃度D1と安定濃度D30とのうちの低い予測濃度が目標濃度TGTとなるように画像形成条件を決定し、決定された画像形成条件に基づき画像濃度を再度予測し、階調レベル毎の予測濃度に基づき修正テーブルを補正する。
次に、初期濃度D1が目標濃度TGTとなるように画像形成条件を補正された場合の例が図4(C)に基づいて説明される。初期濃度D1が安定濃度D30よりも低いので、画像形成装置1は初期濃度D1が目標濃度TGTとなるようにレーザパワーLPWの制御量を決定する。予測部224は、決定されたレーザパワーLPWの制御量に基づいて初期濃度D1'と安定濃度D30'を再度予測する。ただし、初期濃度D1'は目標濃度TGTに一致することが分かっているので、初期濃度D1'の再度の予測は省略してもよい。時刻t2から時刻t3までの予測濃度はいずれも目標濃度TGT以上となる。つまり、時刻t2から時刻t3までレーザパワーLPWを補正せずに、階調補正テーブルを更新することが可能となり、画像濃度が目標濃度に維持されるようになる。
図5は予測部224の詳細を示している。入力処理部500は、濃度を予測するために必要となるパラメータ(信号値)の入力を受け付ける。パラメータは、たとえば、画像形成条件243や環境センサ261の測定値、濃度センサ262の測定値、タイマー263のカウント値、カウンタ264のカウント値などである。
入力処理部500は信号値記憶部501と差分部502とを有している。信号値記憶部501は、差分部502で差分演算の基準となる信号値を記憶する。差分部502は入力された信号値と記憶されている信号値(基準値)との差分(変動量)を求める。たとえば、画像形成装置1を起動したときの環境値(例:温度や湿度、絶対水分量)についての差分、現像器14の内部におけるトナー濃度の差分、画像形成条件(例:レーザパワーLPWや帯電バイアスVd)の差分などが求められる。基準値は、たとえば、前回テストチャートを用いて画像形成条件と階調補正テーブルとを生成したタイミングにおいて記憶された値が使用されてもよい。なお、放置時間、トナー補給回数、累積された画像形成枚数などはそのまま第一予測演算部510などに出力される。なお、信号値としては、画像濃度の変動と相関する信号値(相関パラメータ)が採用される。入力処理部500は第一予測演算部510と第二予測演算部520とに差分を出力する。また、入力処理部500は画像形成条件を除く相関パラメータについての差分を第三予測演算部550にも供給する。
第一予測演算部510は現在の濃度を予測する予測部である。たとえば、時刻t2において第一予測演算部510は初期濃度を予測する。第二予測演算部520は、濃度が安定したときの濃度を予測する予測部である。つまり、第二予測演算部520は安定濃度を予測する。
第一予測演算部510は濃度記憶部511と予測関数部512とを有している。濃度記憶部511は予測の基準となる濃度(基準濃度)を記憶している。予測関数部512は入力処理部500から入力された差分(入力値)と、記憶されている基準濃度とから初期濃度D1を予測する。予測関数部512は予測モデルを有している。予測モデルは、入力値を濃度変動量に変換する。予測関数部512は基準濃度に濃度変動量を加算することで初期濃度D1を予測する。第一予測演算部510は初期濃度D1を選択部530に出力する。第一予測演算部510は、最大濃度を示す階調レベル100%の濃度を予測する。ここで、第一予測演算部510は、差分の代わりにたとえば変化割合(変化率)を入力値として、初期濃度を予測してもよい。
第二予測演算部520は濃度記憶部521と予測関数部522とを有している。濃度記憶部521は予測の基準となる濃度(基準濃度)を記憶している。予測関数部522は入力処理部500から入力された差分(入力値)と記憶されている基準濃度とから安定濃度D30を予測する。予測関数部522の予測モデルは予測関数部512の予測モデルとは異なっている。予測モデルは入力値を濃度変動量に変換する。予測関数部522は基準濃度に濃度変動量を加算することで安定濃度を予測してもよい。第二予測演算部520は安定濃度D30を選択部530に出力する。第二予測演算部520は、第一予測演算部510と同じ階調レベルの画像の安定濃度を予測する。ここで、第二予測演算部520は、差分の代わりにたとえば変化割合(変化率)を入力値として、安定濃度を予測してもよい。
また、第一予測演算部510および第二予測演算部520は最大濃度付近におけるいくつかの濃度を予測してもよい。これらの予測濃度は画像形成条件の制御量を決定するために使用されるからである。
選択部530は、初期濃度D1と安定濃度D30とのうちどちらかの予測濃度を選択し、選択結果を決定部540に出力する。図4(A)、図4(B)が示すように初期濃度D1と安定濃度D30とのうちどちらを目標濃度TGTに補正するかに依存して画像形成条件の制御の困難性が異なる。選択部530は、初期濃度D1が安定濃度D30より低ければ初期濃度D1を選択し、安定濃度D30が初期濃度D1より低ければ安定濃度D30を選択する。
決定部540は、演算部541、目標濃度記憶部542および制御量テーブル543を有している。目標濃度記憶部542は目標濃度TGTを記憶している。演算部541は、選択部530により選択された予測濃度と目標濃度TGTとの差分を求め、制御量テーブル543を参照して差分を画像形成条件の制御量に変換する。このように制御量テーブル543は、濃度差分を画像形成条件の制御量に変換するテーブルである。なお、画像形成条件の制御量は以下では単に画像形成条件と呼ばれる。なお、演算部541は、選択部530により、初期濃度D1と安定濃度D30とのどちらがより低いかを示す情報を取得し、この情報に基づき後述されるモデル係数を選択してもよい。たとえば、初期濃度D1を目標濃度TGTに一致させる場合は第一モデル係数が選択され、安定濃度D30を目標濃度TGTに一致させる場合は第二モデル係数が選択される。演算部541は初期濃度D1または安定濃度D30が目標濃度TGTに一致するように、モデル係数と入力値に基づいて画像形成条件の制御量を演算してもよい。あるいは、制御量テーブル543は、複数のテーブルを有してもよい。初期濃度D1を目標濃度TGTに一致させる場合、演算部541は第1制御量テーブルを参照して画像形成条件の制御量を決定する。一方、安定濃度D30を目標濃度TGTに一致させる場合、演算部541は第2制御量テーブルを参照して画像形成条件の制御量を決定する。
第三予測演算部550は決定部540で決定された画像形成条件に関する差分(制御量)と、他の残りの相関パラメータとに基づき予測濃度を演算する。たとえば、第三予測演算部550は、決定部540で決定された画像形成条件と信号値記憶部501から取得した画像形成条件との差分を算出し、残りの他の相関パラメータとともに予測関数部552に供給する。つまり、入力処理部500が出力する画像形成条件の差分に代えて、決定部540で決定された画像形成条件の差分が入力される。ここで、予測関数部552は、決定部540で決定された画像形成条件の差分に限らず、たとえば決定部540で決定された画像形成条件の変化割合(変化率)を入力されもよい。
また、決定部540と第三予測演算部550との間にも入力処理部500が設けられてもよい。濃度記憶部551は濃度予測の基準となる基準濃度を記憶している。予測関数部552は、第一予測演算部510の第一予測モデルと第二予測演算部520の第二予測モデルを有している。第三予測演算部550は、選択部530によりどちらの予測濃度が選択されたかに応じて、第一予測モデルと第二予測モデルとのうち一方のモデルを選択する。初期濃度D1が安定濃度よりも低ければ、第三予測演算部550は第二予測モデルを選択し、安定濃度D30'を再度予測する。初期濃度D1'には目標濃度TGTが代入される。一方、安定濃度D30が初期濃度D1よりも低ければ、第三予測演算部550は第一予測モデルを選択し、初期濃度D1'を再度予測する。安定濃度D30'には目標濃度TGTが代入される。
このように、予測関数部552は、選択された予測モデルを使用して相関パラメータの差分を濃度変動量に変換し、濃度変動量を基準濃度に加算して予測濃度(初期濃度D1'、安定濃度D30')を求める。たとえば、10個の階調レベル(例:10%、20%・・・、100%)に対応する10個の濃度を予測するために、第三予測演算部550は20個の予測モデルを有していてもよい。たとえば、第三予測演算部550は10%の入力レベルに対応する濃度を予測するために、10%の入力レベルに対応する予測モデルを使用する。
たとえば、画像形成装置1が30枚のシートに連続して画像を形成すると、画像濃度が安定することがある。この場合、第三予測演算部550は1枚目と30枚目のシートとに形成される画像の濃度に基づいて2枚目から29枚目までの各シートに形成される画像の濃度を予測する。この場合、第三予測演算部550は、1枚目のシートに形成される画像の濃度(初期濃度)と、30枚目のシートに形成される画像の濃度(安定濃度)とを結ぶ対数近似線を求め、2枚目から29枚目までの各シートに形成される画像の濃度を補間演算すればよい。2枚目から29枚目までのシートに形成される画像の濃度は、初期濃度D1'と安定濃度D30'とを結ぶ対数近似線または直線近似線に基づき、決定されてもよい。上述したように10%から100%までの各入力レベルに対応する10個の画像濃度は、シートごとに求められることになる。第三予測演算部550は予測濃度をテーブル作成部223に出力する。これらの予測濃度群は画像濃度特性を形成し、階調補正テーブルの作成に使用される。
テーブル作成部223は、予測濃度群に基づき階調補正テーブルを作成する。上述したように、テーブル作成部223は予測濃度群に基づき修正テーブル242を作成し、基本テーブル241と合成して階調補正テーブルを作成し、階調補正部206に書き込む。
[キャリブレーションのフローチャート]
図6はCPU201が実行するキャリブレーションを示すフローチャートである。
・S601でCPU201はメインキャリブレーション(第一モード)の実行条件が満たされたかどうかを判定する。メインキャリブレーションとはシートSにパターン画像を形成し、パターン画像の読取データを濃度データへ変換し、濃度データに基づいて画像形成条件を補正する処理である。予測型キャリブレーションとはシートSにパターン画像を形成せずに、予測濃度を用いて画像形成条件を補正する処理である。メインキャリブレーションの実行条件が満たされると、CPU201はS602に進む。一方で、メインキャリブレーションの実行条件が満たされていなければ、CPU201はS611に進む。たとえば、ユーザが操作部214からメインキャリブレーションの実行指示を入力した場合に実行条件は満たされる。
●メインキャリブレーション
・S602でCPU201の電位制御部221は電位制御を実行する。電位制御とは、帯電バイアス(VdT)、グリッドバイアス(Y)および現像バイアス(Vdc)などを決定することをいう。CPU201は、環境センサ261により取得された環境条件(例:温度や湿度、絶対水分量)に応じて帯電バイアス(VdT)、グリッドバイアス(Y)および現像バイアス(Vdc)を決定する。電位制御は当技術分野において既知であるため、その詳細な説明は省略される。
・S603でCPU201の載り量調整部222は最大濃度のための画像形成条件(例:レーザーパワーLPW)を調整する。最大濃度は最大載り量と呼ばれてもよい。たとえば、載り量調整部222は電位制御で決定されたグリットバイアス(Y)と現像バイアス(Vdc)とをエンジンコントローラ250に設定し、プリンタ3を制御してトナーの最大載り量を調整するためのパターン画像をシートSに形成させる。そして、ユーザはパターン画像が形成されたシートS(テストチャート)をリーダ2に載せて読み取らせると、リーダIF212はリーダ2から出力された読取データを取得する。載り量調整部222は載り量とレーザパワーLPWとの関係を読取データに基づいて求める。さらに、載り量調整部222はこの関係から最大載り量が得られるレーザパワーLPWを決定する。トナーの最大載り量を調整する手法も当技術分野において既知であるため、その詳細な説明は省略される。
・S604でCPU201のテーブル作成部223はエンジンコントローラ250を通じて画像形成部10を制御し、階調補正用のパターン画像をシートSに形成する。階調補正用のパターン画像には、たとえば、トナー色ごとに64階調のパターン画像が含まれている。そして、ユーザがパターン画像が形成されたシートS(テストチャート)をリーダ2に載せて読み取らせると、リーダIF212はリーダ2から出力された読取データを取得する。
・S605でCPU201のテーブル作成部223は各階調ごとの画像濃度をリーダIF212により取得された階調補正用のパターン画像の読取データに基づいて求める。
・S606でCPU201のテーブル作成部223は測定された階調補正用のパターン画像の濃度を基準濃度として取得し、このときの各センサの基準信号値を取得する。テーブル作成部223は、パターン画像を形成するためにエンジンコントローラ250に設定した画像形成条件の基準値と基準信号値を取得する。画像形成条件の基準値は、たとえば、グリッドバイアス、現像バイアスおよびレーザパワーLPWである。基準濃度は、各階調ごとの画像濃度である。基準信号値は、たとえば、上述のトナー濃度、カウント値、タイマー値である。基準値と基準信号値とは信号値記憶部501に格納される。基準濃度は濃度記憶部511、521、551に格納される。
・S607でCPU201のテーブル作成部223は、シートSに形成される画像の階調特性が理想的な階調特性(階調ターゲット)に一致するように、測定された画像濃度に基づいて基本テーブル241を作成する。テーブル作成部223は、たとえば、測定された画像濃度に対して補間処理とスムージング処理を行い、プリンタ3の階調特性を取得する。テーブル作成部223は、全濃度領域の階調特性と階調ターゲットとに基づき、基本テーブル241を作成する。テーブル作成部223は、基本テーブル241を階調補正部206に設定する。
●予測型キャリブレーション
基本テーブル241が作成されたときから時間が経過するにつれて環境条件や画像形成装置1の状態は変化する。そのため、これらの変化に応じて基本テーブル241は修正されなければならない。基本テーブル241を作成するためにはパターン画像が形成されなければならないので、ダウンタイムが発生してしまう。そこで、予測型キャリブレーション(第二モード)が採用される。予測型キャリブレーションとは、パターン画像を形成することなく、階調補正テーブルを更新する処理である。予測型キャリブレーションを採用することで、ダウンタイムが大幅に削減される。なお、予測型キャリブレーションでは修正テーブル242が求められ、メインキャリブレーションで求められた基本テーブル241に合成される。これにより、階調補正テーブルが補正(修正)される。
・S611でCPU201は予測型キャリブレーションの実行条件が満たされたかどうかを判定する。実行条件は、たとえば、電源がONしたこと、画像形成装置1がスリープモード(節電モード)から復帰したこと、環境が変動したこと、予め設定されたタイミングになったことである。予測型キャリブレーションの実行頻度はメインキャリブレーションの実行頻度よりも多い。実行条件が満たされていなければ、CPU201はS601に戻る。一方、実行条件が満たされていれば、CPU201はS612に進む。
・S612でCPU201の予測部224は予測濃度を求める。ここでは、予測部224は10階調に対応した10個の予測濃度を求める。
・S613でCPU201のテーブル作成部223は10個の予測濃度に基づき予測濃度特性(予測階調特性)を作成する。たとえば、予測部224は、10個の予測濃度を用いて補間演算することによって、全ての階調の濃度を求める。なお、テーブル作成部223は10個の予測濃度を用いて予測濃度特性を表す近似式を求めてもよい。
図7(A)は階調ターゲット701、基本テーブル241および基準濃度特性703を示している。横軸は階調レベル[%]に相当する入力信号を示している。縦軸は画像濃度を示している。基準濃度特性703はS606で取得された基準濃度である。基本テーブル241は、基準濃度特性703を階調ターゲット701に対して反転させる(逆変換する)ことで作成される。
図7(B)は階調ターゲット701、基準濃度特性703および予測濃度特性704を示している。予測濃度特性704は、S612およびS613で求められた予測濃度である。環境変化などに起因して、画像形成装置1の濃度特性は基準濃度特性703から予測濃度特性704へ変化してしまう。そのため、階調補正部206が基準濃度特性703に基づいて作成された基本テーブル241を用いてしまうと、階調特性を高精度に補正することができない。
S614でCPU201のテーブル作成部223は予測濃度特性704に基づき修正テーブル242を作成する。たとえば、テーブル作成部223は予測濃度特性704を基本テーブル241の特性に補正するために、予測濃度特性704を基本テーブル241の特性に対して逆変換を実行することで、修正テーブル242を作成する。
S615でCPU201のテーブル作成部223は基本テーブル241と修正テーブル242を合成することで、修正された階調補正テーブルを作成する。図8は階調ターゲット701、基本テーブル241、修正テーブル242および修正された階調補正テーブル801を示している。テーブル作成部223は階調補正テーブル801を階調補正部206に設定する。階調補正部206は、階調補正テーブル801を用いて入力画像信号を出力画像信号に変換する。
[画像形成条件の制御量]
図9は決定部540が実行する制御量の決定処理の他の例を示している。ここでは、画像形成条件の制御量としてレーザパワーLPWと帯電バイアスVdが決定されるものと仮定されている。
・S901で決定部540の演算部541は予測濃度の変動量ΔDを演算する。演算部541は変動量ΔDを求めるための演算モデルを有していてもよい。ここでは、変動量ΔDに寄与する相関因子は、たとえば、レーザパワーLPW、現像器14内のトナー濃度、帯電バイアスVd、機内温度T、機外温度、機外湿度Hであってもよい。演算モデルは相関因子ごとのモデル係数を有している。
図10は相関因子の一例を示す表である。図10において基準点とは基準濃度が取得されたときの各因子の値である。予測点とは初期濃度D1が算出されたとき(画像形成装置1の起動時または復帰時)の各因子の値である。ここでは、予測点の予測濃度は初期濃度D1であると仮定されている。差分データとは予測点から基準点を減算して得られる値である。モデル係数は予め実験等により決定された係数であり、差分データを予測差分に変換するための係数である。モデル係数としては、初期濃度D1用の第一モデル係数と、安定濃度D30用の第二モデル係数とが存在する。これらのモデル係数は選択部530の選択結果に応じて切り替えられる。ここでは、図4(C)が示すように、初期濃度D1が安定濃度D30よりも低いことが想定されている。そのため、図10のモデル係数は初期濃度D1用の第一モデル係数である。予測差分とは、各因子の予測濃度の変動量ΔDへの寄与成分である。演算部541は差分データにモデル係数を乗算することで予測差分を演算する。さらに、演算部541は各因子の予測差分を加算することで変動量ΔDを演算する。図10において変動量ΔDは0.107である。
S902で演算部541は変動量ΔDを0にするための制御量の関係式を求める。これは、変動量ΔDが0となるときに、予測濃度が目標濃度に一致するからある。ここで、図10に示された5個の因子のうちで実際に制御可能な因子はレーザパワーLPWと帯電バイアスVdである。その他の因子は、画像形成装置1の起動時に既に決定されており、制御不可能であるか、または制御するためには時間がかかる。よって、レーザパワーLPWについての予測差分と帯電バイアスVdについての予測差分との和S1とその他の予測差分の和S2との合計が0になるように、ΔLPWとΔVdが決定される。図10に示した事例ではS2=0.050である。したがって、S1=-S2=-0.050が成立する。
S1=mc1×ΔLPW + mc2×ΔVd =-S2・・・(1)
ここでmc1はレーザパワーLPWについてのモデル係数である(=0.0024)。mc2は帯電バイアスVdについてのモデル係数である(=0.0005)。式(1)が求められるべき関係式である。
S903で演算部541は環境条件に基づき帯電バイアスVdを決定する。ここでは、制御量テーブル543は環境条件を帯電バイアスVdに変換するテーブルである。環境条件は環境センサ261により取得される環境値であり、たとえば、環境湿度である。
S904で演算部541は帯電バイアスの制御量ΔVdを決定する。たとえば、演算部541は、環境湿度に基づいて決定された帯電バイアスVd(例:443)から基準点の帯電バイアスVd(例:557)を減算することで制御量ΔVd(=-114)を演算してもよい。
S905で演算部541は以下の関係式を用いてレーザパワーの制御量ΔLPWを決定する。
ΔLPW = (-S2 - mc2×ΔVd)/mc1・・・(2)
ここではΔLPW=3と算出される。
S906で演算部541は、基準点のレーザパワーLPW(=112)に制御量ΔLPW(=3)を加算することで、レーザパワーLPW(=115)を決定する。
S903では環境条件から帯電バイアスVdが決定されているが、環境条件からレーザパワーLPWが決定されてもよい。この場合、S904でΔLPWが決定され、S905でΔVdが決定され、S906で帯電バイアスVdが決定される。以上では、画像形成条件としてVdやLPWを用いられているが、現像バイアスやコントラスト電位が採用されてもよい。このように、演算部541は、入力値の差分と、初期濃度D1と安定濃度D30のうち低いほうの画像濃度に関連付けられているモデル係数との積の総和(変動量ΔD)が0となるように、制御量を決定する。
図5に示したように第一予測演算部510は画像形成装置1により形成される画像の濃度の変動に相関して変動しうる入力値に基づき、画像形成装置1の起動または再起動の直後における第一画像濃度を予測する第一予測手段として機能する。第二予測演算部520は入力値に基づき、画像形成装置により形成される画像の濃度が安定したときの画像濃度である第二画像濃度を予測する第二予測手段として機能する。初期濃度D1は第一画像濃度の一例である。安定濃度D30は第二画像濃度の一例である。決定部540は第一画像濃度と第二画像濃度のうち低いほうの画像濃度に対応する画像形成条件の制御量を決定する決定手段として機能する。第三予測演算部550は決定部540により決定された画像形成条件の制御量に基づき階調ごとの画像濃度を予測する第三予測手段として機能する。テーブル作成部223は第三予測演算部550により予測された画像濃度と目標濃度とに基づき階調補正テーブルを作成する作成手段として機能する。このように本実施例では予測された画像濃度に基づき階調補正テーブルが作成される。そのため、画像形成装置1の電源投入直後や節電モードからの復帰直後であっても目標濃度に近い画像の濃度が出力可能となる。また、測定用画像が形成されないため、画像形成条件のキャリブレーションに必要となる時間が短縮される。一般的なキャリブレーションでは、画像形成装置1がパターン画像をシートまたは中間転写体に形成し、そのパターン画像を測定し、測定結果に応じて画像形成条件を更新する。そのため、キャリブレーションは長いダウンタイムを発生させしてしまう。本実施例であれば、画像形成装置1の電源投入直後や節電モードからの復帰直後であっても、測定用画像を形成することなく、目標濃度に近い画像の濃度が出力可能となる。
入力値は、画像形成装置1が設置されている環境に依拠した環境条件と、画像形成装置に設定されている画像形成条件とを含む。これらは画像濃度の変動と相関する複数のパラメータに相当する。つまり、濃度の変動量は環境条件などの変動量と相関しているため、環境条件などの変動量から濃度の変動量は予測可能である。
差分部502は入力値と、測定用画像を用いて事前に取得された入力値の基準値との差分を、入力値の変動量として求める差分手段の一例である。濃度記憶部511は測定用画像を用いて決定された第一基準濃度を記憶する第一記憶手段の一例である。予測関数部512は第一予測モデルにしたがって入力値の変動量を画像濃度の変動量に変換し、当該画像濃度の変動量を第一基準濃度に加算することで第一画像濃度を取得する第一濃度取得手段の一例である。同様に、濃度記憶部521は測定用画像を用いて決定された第二基準濃度を記憶する第二記憶手段の一例である。予測関数部522は第一予測モデルとは異なる第二予測モデルにしたがって入力値の変動量を画像濃度の変動量に変換し、当該画像濃度の変動量を第二基準濃度に加算することで第二画像濃度を取得する第二濃度取得手段の一例である。このように第一予測モデルや第二予測モデルは事前に実験やシミュレーションを通じて決定される。
画像濃度の変動に相関する複数のパラメータの一つは画像形成装置1が設置されている環境の温度または湿度、絶対水分量などである。環境センサ261は環境検知手段の一例である。複数のパラメータの一つは、画像形成装置1において最後に画像が形成されたときからの経過時間である。タイマー263は経過時間を計時する計時手段の一例である。複数のパラメータの一つは、現像器14へのトナーの補給回数(補給量)である。カウンタ264はトナーの補給回数を計数する計数手段の一例である。複数のパラメータの一つは、現像器14に収容されているトナーの濃度である。濃度センサ262はトナー濃度を検知する濃度検知手段の一例である。
第三予測演算部550は、測定用画像を用いて決定された第三基準濃度、入力値の一部、および、決定部540により決定された画像形成条件の制御量に基づき第一画像濃度と第二画像濃度を再度予測または補正してもよい。これにより、第一画像濃度と第二画像濃度のうち低いほうの画像濃度が目標濃度TGTに一致するようになる。第三予測演算部550は、時刻t2から時刻t3までの各時刻または枚数ごとの画像濃度を予測する。たとえば、第三予測演算部550は、当該第一画像濃度と当該第二画像濃度との間を近似または補間することで、当該第一画像濃度に関する時刻または枚数から当該第二画像濃度に関する時刻または枚数までの画像濃度を予測してもよい。ここで、入力値の一部とは、画像形成装置に設定されている画像形成条件を除く残りの他の入力値である。第三予測演算部550は、入力値のうち画像形成装置1に設定されている画像形成条件に代えて、決定部540により決定された画像形成条件の制御量を第一予測モデルに入力して、第一画像濃度を再度予測する。また、第三予測演算部550は、入力値のうち画像形成装置1に設定されている画像形成条件に代えて、決定部540により決定された画像形成条件の制御量を第二予測モデルに入力して、第二画像濃度を再度予測する。つまり、第三予測演算部550では、画像形成条件の変動量に代えて画像形成条件の制御量が用いられる。決定部540は、目標濃度を保持する保持手段と、第一画像濃度と第二画像濃度のうち低いほうの画像濃度と目標濃度との差分を求め、当該差分を制御量に変換する変換手段とを有していてもよい。目標濃度記憶部542は保持手段の一例である。制御量テーブル543は変換手段の一例である。
テーブル作成部223は測定用画像の測定結果に基づき基本となる階調補正テーブルである基本テーブル241を作成する。テーブル作成部223は第三予測演算部550により予測された画像濃度と目標濃度とに基づき修正テーブルを作成し、基本テーブル241と修正テーブル242とを合成することで階調補正テーブルを更新する。テーブル作成部223はシートに画像を形成するごとに階調補正テーブルを更新してもよい。画像形成装置1の起動直後や復帰直後においてトナー画像の濃度が大きく変化しやすい。そのため、シートごとに階調補正テーブルを更新すれば、画像濃度が目標濃度に維持されやすくなるだろう。
[予測モデルの他の例]
長時間にわたり放置された画像形成装置1が、放置前の画像形成条件を使用すると、出力物の濃度が濃くなる。現像器14は、トナーの帯電量を一定に維持するために、トナーとキャリアを撹拌することでトナーを摩擦帯電させる。しかし、画像形成装置1が放置されている間は現像器14も停止しているため、トナーの帯電量が低下する。そのため、画像形成装置1が長時間にわたり放置された後の出力物の濃度は基準濃度よりも濃くなる。
図11は放置時間tとトナー帯電量の維持率Pとの関係を示している。この関係は一例にすぎず、放置時間tと維持率Pとの関係が既知であれば、実施例2は適用可能である。図11において、放置前のトナー帯電量は100%である。放置時間tが約10時間の場合、トナーの帯電量は90%以上維持される。放置時間tが約100時間の場合、トナーの帯電量は80%以上維持される。図11に示された実験結果から、維持率Pと放置時間tとの関係を示す関係式が求められる。
P=(-0.038)×LN(t)+1 ・・・・(3)
ここでLN(t)は自然対数を示している。
図12は予測モデルを定義するパラメータの一例を示している。Wは画像形成装置1が設置されている環境の水分量を示している。(I)は第一予測演算部510に使用される予測モデルを示している。(II)は第二予測演算部520に使用される予測モデルを示している。(I)はトナー量指数Tidxという因子を採用しているが、(II)はトナー量指数Tidxを採用していない。トナー量指数Tidxは次式によって算出される。
Tidx= Vcont / (Td × P)・・・・(4)
Vcont=VdT - Vl - Vback・・・・(5)
Vcontはコントラスト電位である。Tdは現像器14の内部に収容されているトナーの濃度である。VdTは自動階調補正において決定された帯電バイアスである。Vlは自動階調補正において決定されたレーザパワーによって露光された感光ドラム11の表面電位である。Vbackはかぶりトナーの発生を抑制するための電位差である。たとえば、放置時間Tが30時間であれば、Pは約0.87%である。つまり、起動時のトナー帯電量は放置前のトナー帯電量に対して約87%の帯電量である。コントラスト電位Vcontと現像器14のトナー濃度Tdに変化がなければ、起動時のトナー量指数Tidxは放置前のトナー量指数Tidxよりも大きくなる。このようにトナー量指数Tidxはトナーの放置時間tに応じて変化する。そのため、トナー量指数Tidxは画像形成装置1の起動直後に形成される出力物の濃度に対して相関が高い。
一方、(II)が示す予測モデルはトナー量指数Tidxを考慮しない。これは、第二予測演算部520が、トナー帯電量が安定したときの画像濃度を予測するためである。
このように、第一予測演算部510が使用する第一予測モデルは、Tidx、Vcont、TdおよびWを入力値として使用して予測濃度を出力する式である。一方で、第二予測演算部520が使用する第二予測モデルは、Vcont、TdおよびWを入力値として使用して予測濃度を出力する式である。
図13は予測濃度の一例を示している。予測濃度Doは画像形成装置1の放置が開始された時刻t1における出力物の画像濃度である。予測濃度D1は第一予測演算部510が予測した、画像形成装置1が起動した時刻t2における出力物の画像濃度である。予測濃度Doよりも予測濃度D1が高い。予測濃度D30は、第二予測演算部520が予測した、画像形成装置1が起動し、かつ、現像器14内のトナー帯電量が安定した時刻t3における出力物の画像濃度である。現像器14内の帯電処理によってトナー帯電量が回復する。そのため、予測濃度D30は予測濃度D1よりも低くなっている。予測濃度D30'は予測濃度D30に基づいて画像形成装置1の画像形成条件を制御および変更したときの濃度である。出力物の画像濃度がターゲット濃度TGT(基準濃度)に一致するように、画像形成条件などの制御量が調整される。そのため、予測濃度D30'はターゲット濃度TGTに一致する。予測濃度D30'、D1'、Dx'は第三予測演算部550により予測される。予測濃度D30を予測濃度D30'に補正したのと同じ手法を用いることで、予測濃度D1'は、時刻t2における予測濃度D1から得られる。つまり、予測濃度D1'は、予測濃度D30が予測濃度D30'になるように調整された画像形成条件で出力物を出力した場合の時刻t1における予測濃度である。これは、第三予測演算部550が、調整された画像形成条件を入力値として使用して予測濃度D1'を演算することに相当する。時刻t2は画像形成装置1が起動した時刻であるため、トナー帯電量が減少している。そのため、予測濃度D1'は予測濃度D30'よりも高くなる。予測濃度Dx'は時刻t2から時刻t3までの間にある時刻txにおける予測濃度である。上述したように時刻t2ではトナー帯電量が画像形成装置1の放置によって減少している。時刻t3では現像器14の稼働によってトナー帯電量が増加する。よって、時刻txにおける予測濃度Dx'は、予測濃度D1'と予測濃度D30'との間の濃度となる。予測濃度Dx'は、予測濃度D1'と予測濃度D30'とを線形補間したり、予測濃度D1'と予測濃度D30'とを対数近似して得られる近似関数を用いて求められたりしてもよい。ここでは後者が採用されている。
図14は予測濃度(予測値)と実測値の比較を示す図である。ここでは、起動した画像形成装置が1枚目から30枚目までのシートに画像を形成したときのシートごとの予測濃度と実測値が示されている。実施例2では画像形成装置1が起動してから30枚程度のシートに画像を形成すると、現像器14内のトナー帯電量が安定するものと仮定されている。2枚目から29枚目までの各予測濃度Dx'は、1枚目の予測濃度D1'と30枚目の予測濃度D30'を算出し、予測濃度D1'と予測濃度D30'との間を対数近似することで求められる。
Dx'=a × LN(x) + b・・・・(6)
a=(D1' - D30') / ((LN(1) - LN(30))・・・(7)
b=D1' - a×LN(1)・・・・(8)
ここで、xは枚数を示している。たとえば、D1'が1.523であり、D30'が1.448であれば、aは-0.0221と算出される。同様にbは1.523と算出される。式(6)ないし式(8)が示すように、第三予測演算部550は予測濃度D1'、D30'に基づき出力枚数xに応じた予測濃度Dx'を算出する。
<実施例2>
メインキャリブレーションはパターン画像の実測濃度を用いて階調補正テーブルを作成するため、階調補正精度は高くなるが、ダウンタイムが長くなる。一方で、予測型キャリブレーションは、予測濃度を用いて階調補正テーブルを作成するため、ダウンタイムを削減できる。特に放置時間が短ければ濃度の予測精度が高くなるため、階調補正精度も高い。しかし、放置時間が長くなると、実測濃度と予測濃度との差が大きくなることがある。発明者が行った実験によると、放置時間が100時間以上になると、メインキャリブレーションが必要になるほど、予測型キャリブレーションの階調補正精度が低下した。そこで、実施例2は、放置時間に応じてキャリブレーションのタイプを切り換えることで、ダウンタイムの削減と階調補正の精度とを両立する。
●CPUの機能
図15はキャリブレーションに関連したCPU201の機能を示している。すでに説明された部分の説明は省略される。取得部271は、エンジンコントローラ250に設けられたタイマー263のタイマー値に基づき放置時間を取得する。たとえば、取得部271は、画像形成装置1が停止するときにタイマー263から停止時刻を取得し、不揮発性のメモリに停止時刻を記憶する。取得部271は、画像形成装置1が再起動するとタイマー263から再起動時刻を取得する。さらに、取得部271は、再起動時刻と、不揮発性のメモリから読み出した停止時刻との差分を放置時間として取得する。この場合、タイマー263はリアルタイムクロックであってもよい。判定部272は、放置時間が第一閾値(例:100時間)以上かどうかを判定する。つまり、判定部272は、放置時間に基づきメインキャリブレーションが必要かどうかを判定する。測定部273は、メインキャリブレーションを実行して実測濃度(濃度の実測値)を取得する。測定部273は、プリンタ3を制御してシートにパターン画像を形成し、リーダ2にシート上のパターン画像を読み取らせ、読取結果に基づき濃度の実測値を取得する。予測部224は、予測型キャリブレーションを実行し、予測濃度を取得する。テーブル作成部223は、第一作成部275と第二作成部276を有している。第一作成部275は濃度の実測値に基づき階調補正テーブル(基本テーブル241)を作成し、RAM202に書き込む。第二作成部276は、予測濃度に基づき修正テーブル242を作成し、RAM202に書き込む。なお、第二作成部276は、基本テーブル241と修正テーブル242を合成して階調補正テーブルを作成してもよい。現像制御部281は、撹拌モータ282を制御する。撹拌モータ282は現像器14のトナー収容器に保持されているトナーを撹拌することでトナーを帯電させる。放置時間中は撹拌モータ282が停止しているため、トナーの帯電量が徐々に低下する。時間決定部280は、放置時間などに基づき帯電量の回復時間(撹拌時間)を決定する。現像制御部281は、メインキャリブレーションの実行前に、時間決定部280により決定された回復時間にわたり、撹拌モータ282を稼働させてもよい。現像制御部281は、エンジンコントローラ250を介して撹拌モータ282を制御してもよいし、現像制御部281がエンジンコントローラ250のCPU251に実装されてもよい。
●フローチャート
図16はCPU201が実行するキャリブレーションを示すフローチャートである。なお、破線や一点鎖線で示されたステップはオプションであり、実施例3または実施例4で説明される。
・S1601でCPU201(取得部271)はタイマー263から放置時間を取得する。
・S1602でCPU201は(判定部272)は放置時間が第一閾値以上であるかどうかを判定する。第一閾値は実験またはシミュレーションにより決定される閾値であり、濃度の実測値と予測値との乖離が許容値を超えうるような放置時間である。第一閾値はプリンタ3の内部構成やトナーの素材、予測関数などに応じて変わりうる。そのため、実験またはシミュレーションが必要となる。放置時間が第一閾値以上であれば、メインキャリブレーションが必要になるため、CPU201は処理をS1605に進める。放置時間が第一閾値以上でなければ、メインキャリブレーションが不要なためCPU201は処理をS1607に進める。
・S1605でCPU201(測定部273、第一作成部275)はメインキャリブレーションを実行する。メインキャリブレーションは、図6に示されたS602からS607までの処理を含む。その後、CPU201はキャリブレーションを終了する。
・S1607でCPU201(予測部224、第二作成部276)は予測型キャリブレーションを実行する。予測型キャリブレーションは、図6に示されたS612からS615までの処理を含む。その後、CPU201はキャリブレーションを終了する。
このように、放置時間が第一閾値以上になると、判定部272は、第一作成部275に階調補正テーブルを作成させる。また、放置時間が第一閾値未満であると、判定部272は、第二作成部276に階調補正テーブルを作成させる。つまり、判定部272は作成制御手段として機能する。実施例2によれば、放置時間が第一閾値未満であれば、予測濃度に基づき階調補正テーブルが作成されるため、パターン画像が形成されない。つまり、ダウンタイムが削減される。さらに、放置時間が第一閾値以上であれば、メインキャリブレーションが実行されるため、階調補正精度が向上する。
<実施例3>
ところで、発明者の実験によれば、放置時間が8時間未満であれば、そもそもキャリブレーションが必要ないことがわかった。そこで、放置時間が第二閾値未満であれば、キャリブレーションをスキップすることで、さらにダウンタイムが削減可能となる。そこで、実施例3は、図16に示されたS1606を採用する。なお、第二閾値は第一閾値よりも小さい。第二閾値は実験またはシミュレーションにより決定される閾値であり、基本テーブル241を使用し続けても階調特性がターゲット特性に近いような放置時間である。第二閾値もプリンタ3の内部構成やトナーの素材、予測関数などに応じて変わりうる。そのため、実験またはシミュレーションが必要となる。
S1602で放置時間が第一閾値未満と判定されると、CPU201は処理をS1606に進める。S1606でCPU201(取得部271)は放置時間が第二閾値以上であるかを判定する。放置時間が第一閾値未満であり、かつ、第二閾値以上であれば、予測型キャリブレーションが必要となるため、CPU201は処理をS1607に進める。一方で、放置時間が第二閾値未満であれば、メインキャリブレーションと予測型キャリブレーションの両方とも不要である。そのため、CPU201はS1607をスキップして、キャリブレーションを終了する。
このように予測型キャリブレーションをスキップすることで、ダウンタイムをさらに削減することが可能となる。つまり、判定部272は、放置時間が第一閾値未満であり、かつ、第一閾値よりも小さな第二閾値以上であると、第二作成部276に階調補正テーブルを作成させる。一方、判定部272は、放置時間が第二閾値以上でなければ、第一作成部275と第二作成部276との両方に階調補正テーブルを作成させない。これにより、ダウンタイムが削減される。
<実施例4>
放置時間が長くなるとトナーの帯電量が減少する。一般に、トナーの帯電量は、トナーを撹拌することで維持される。画像形成装置1が停止している間は撹拌が実行されないため、トナーの帯電量が減少してしまう。トナーの帯電量が極端に減少した状態でメインキャリブレーションを実行しても精度のよい階調補正テーブルが作成されないだろう。そこで、実施例4は、メインキャリブレーションを実行する前にトナーの帯電量の回復処理を実行する。
実施例4では図16においてS1603とS1604が追加される。S1602で放置時間が第一閾値以上であると判定されると、メインキャリブレーションの前にトナー帯電量の回復処理が必要になる。そのため、CPU201は処理をS1603に進める。
S1603でCPU201(時間決定部280)は回復時間を決定する。回復時間はROM203に記憶された固定値であってもよいし、ROM203に記憶された関数に基づき演算されてもよい。この関数は、入力値として少なくとも放置時間を有し、出力値として回復時間を有する。この関数も予め実験またはシミュレーションにより決定される。
S1604でCPU201(現像制御部281)は、トナー帯電量の回復処理を実行する。たとえば、現像制御部281は、決定された回復時間にわたり撹拌モータ282を駆動する。回復処理が完了すると、CPU201は処理をS1605に進める。
このように、メインキャリブレーションを実行する前にトナーの帯電量の回復処理を実行されるため、より精度のよい階調補正テーブルが作成可能となる。
1…画像形成装置、510…第一予測演算部、520…第二予測演算部、530…決定部、550…第三予測演算部、223…テーブル作成部

Claims (6)

  1. パターン画像の濃度の実測値に基づき階調補正テーブルを作成する第一作成手段と、
    前記パターン画像の濃度の予測値に基づき前記階調補正テーブルを作成する第二作成手段と、
    画像形成装置が画像を形成せずに放置されていた時間である放置時間を計測する計測手段と、
    前記放置時間が第一閾値以上であれば、前記第一作成手段に前記階調補正テーブルを作成させ、前記放置時間が前記第一閾値以上でなく、かつ、前記第一閾値より小さな第二閾値以上であれば、前記第二作成手段に前記階調補正テーブルを作成させ、前記放置時間が前記第二閾値以上でなければ、前記第一作成手段と前記第二作成手段との両方に前記階調補正テーブルを作成させない作成制御手段と
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. トナーを収容する現像手段と、
    前記現像手段に収容されているトナーの帯電量を回復する回復手段と、をさらに有し、
    前記放置時間が第一閾値以上になったことで前記第一作成手段が前記階調補正テーブルを作成する場合、前記回復手段は、前記トナーの帯電量の回復処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記放置時間に基づき回復時間を決定する決定手段をさらに有し、
    前記回復手段は、前記決定手段により決定された回復時間にわたり前記回復処理を実行することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  4. 前記回復手段は、前記トナーを撹拌することで前記トナーの帯電量を回復するモータを含むことを特徴とする請求項またはに記載の画像形成装置。
  5. シートに画像を形成する画像形成装置であって、
    変換条件に基づき画像データを変換する変換手段と、
    前記変換手段により変換された前記画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段により形成されたパターン画像を検知する検知手段と、
    前記検知手段による前記パターン画像の検知結果に基づき、前記変換条件を生成する第一生成手段と、
    前記画像形成装置により形成される画像の濃度の変動に相関するデータを取得する取得手段と、
    前記画像形成装置起動した後に形成される画像の第一画像濃度を前記起動後に前記取得手段により取得されたデータに基づき予測する第一予測と、前記画像形成装置が複数のシートに連続して複数の画像を形成すると仮定して前記複数のシートの1より多い所定枚目のシートに形成される画像の第二画像濃度を前記起動後に前記取得手段により取得されたデータに基づき予測する第二予測と、前記第一画像濃度と前記第二画像濃度のうち低いほうの画像濃度が目標濃度となるように前記画像形成手段により形成される画像の濃度を調整するための前記画像形成手段の画像形成条件を決定する決定と、前記決定により決定された前記画像形成条件に基づき前記複数のシートに形成される階調ごとの画像濃度を予測する第三予測と、を有し、前記複数のシートに対応する複数の変換条件を前記第三予測部により予測された前記階調ごとの画像濃度に基づき生成する第二生成手段と、
    前記画像形成装置が画像を形成せずに放置されていた放置時間を計測する計測手段と、を有し、
    前記変換手段は、前記放置時間が第一時間ならば前記第一生成手段により生成された前記変換条件を用いて前記画像データを変換し、前記放置時間が前記第一時間より短い第二時間ならば前記第二生成手段により生成された前記変換条件を用いて前記画像データを変換することを特徴とする画像形成装置。
  6. シートに画像を形成する画像形成装置であって、
    変換条件に基づき画像データを変換する変換手段と、
    前記変換手段により変換された前記画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段により形成されたパターン画像を検知する検知手段と、
    前記検知手段による前記パターン画像の検知結果に基づき、前記変換条件を生成する第一生成手段と、
    前記画像形成装置により形成される画像の濃度の変動に相関するデータを取得する取得手段と、
    前記画像形成装置がスリープモードからスタンバイモードへ復帰した後に形成される画像の第一画像濃度を前記復帰後に前記取得手段により取得されたデータに基づき予測する第一予測部と、前記画像形成装置が複数のシートに連続して複数の画像を形成すると仮定して前記複数のシートの1より多い所定枚目のシートに形成される画像の第二画像濃度を前記復帰後に前記取得手段により取得されたデータに基づき予測する第二予測部と、前記第一画像濃度と前記第二画像濃度のうち低いほうの画像濃度が目標濃度となるように前記画像形成手段により形成される画像の濃度を調整するための前記画像形成手段の画像形成条件を決定する決定部と、前記決定部により決定された前記画像形成条件に基づき前記複数のシートに形成される階調ごとの画像濃度を予測する第三予測部と、を有し、前記複数のシートに対応する複数の変換条件を前記第三予測部により予測された前記階調ごとの画像濃度に基づき生成する第二生成手段と、
    前記画像形成装置が画像を形成せずに放置されていた放置時間を計測する計測手段と、を有し、
    前記変換手段は、前記放置時間が第一時間ならば前記第一生成手段により生成された前記変換条件を用いて前記画像データを変換し、前記放置時間が前記第一時間より短い第二時間ならば前記第二生成手段により生成された前記変換条件を用いて前記画像データを変換することを特徴とする画像形成装置。
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