JP7220570B2 - 透明容器入り2-メチルブタナール含有飲料 - Google Patents

透明容器入り2-メチルブタナール含有飲料 Download PDF

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Description

本発明は、透明容器入り2-メチルブタナール含有飲料に関し、より詳細には、光劣化が抑制された透明容器入り2-メチルブタナール含有飲料に関する。
透明なペットボトルやガラス瓶などの容器に充填された飲料は、缶や紙容器に比べて、内容物である飲料の色や量が外観上視認できるという利点がある。また、ペットボトルは、再度閉栓できるという利便性もあることから、ペットボトル入り飲料の需要が高まっている。2017年生産量ベースで最もシェアが高かった容器詰飲料は、ペットボトル入り飲料であり、全体の72.6%のシェアであったことが報告されている。
ところで、容器詰飲料は、コンビニエンスストアや大型食料品店などの店舗では、蛍光灯で飲料の横や真上から全体を明るく照らすショーケースに陳列されて販売されている。ショーケース内の照度は非常に高く、この照射によって陳列されている飲料中の成分が変化し、光劣化と称される品質劣化(色の変化、臭い(異臭)や異味の生成)を生じることがある。特に、ペットボトル等の透明容器に充填された飲料は、光劣化を生じやすい。そこで、飲料の光劣化を簡便に防止する方法が提案されている。例えば、プロポリスを含有させることによるオレンジジュースの光劣化防止方法(特許文献1)、セリン、グリシン、アラニン及びシトルリンを含有させることによるシトラール含有飲料の光劣化防止方法(特許文献2)、カラメルを含有させることによる茶飲料の光劣化防止方法(特許文献3)等がある。また、アスコルビン酸等の抗酸化剤を用いてインスタント緑茶における光劣化を抑制する方法も提案されている(特許文献4)。
一方、2-メチルブタナールを含有する飲料としては、バニリンと、ヘスペリジン及びヘスペリジン糖付加物から選択される少なくとも1種と、非重合体カテキン類とを含有し、pHが4.8~6.5である茶飲料に対し、2-メチルブタナール及び3-メチルブタナールから選択される1種又は2種を含有した飲料や(特許文献5)、23~100ppbの2-メチルブタナール及び/又は3-メチルブタナールと、5ppb~50ppbの2,5-ジメチルピラジンとを含む茶飲料が開示されている(特許文献6)。
特開平11-341971号公報 特開2013-70669号公報 特開2017-74014号公報 特開2005-58142号公報 特許第6289773号公報 特開2013-169152号公報
2-メチルブタナールは香気成分として揮発しやすい性質を有しており、これらの香気成分を含有する飲料が光劣化すると、開栓時に不快な異臭を発することがある。
また、近年ではLED照明が普及し、LEDは蛍光灯と比較して紫外線量が少ないことから、光劣化を生じにくいといわれている。しかしながら、クロロフィル類を含有する飲料は、クロロフィル類が光増感物質として作用するために、LED照明下においても短期間で著しい光劣化を引き起こす可能性がある。クロロフィル類の光増感酸化反応は、2-メチルブタナール等の香気成分の光酸化反応と異なるため、クロロフィル類を含有する飲料は、より一層光劣化を引き起こしやすいと考えられている。
そこで、本発明は、2-メチルブタナールとクロロフィル類とを含有する飲料であって、光劣化により生じる異臭が抑制された透明容器入り飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カフェインが2-メチルブタナール含有飲料の光劣化を抑制するのに優れた効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)(A)2-メチルブタナールを20ppb以上1000ppb未満
(B)カフェインを10ppm以上80ppm未満、及び
(C)クロロフィル類
を含有し、
pHが5.0~7.0である、透明容器入り飲料。
(2)透明容器がPETボトルである、(1)に記載の飲料。
(3)濁度が0.15未満である、(1)又は(2)に記載の飲料。
本発明によれば、2-メチルブタナールとクロロフィル類とを含有する飲料において、透明容器に充填されていながらも光による劣化が抑制された飲料を提供することができる。本発明の透明容器入り飲料は、太陽光や蛍光灯の影響を受けやすい店頭に陳列された場合であっても、光曝露に伴う光劣化の発生が少ないという利点を有するので、ショーケースにおける長期の陳列販売が可能となる。また、本発明によれば、透明容器を用いていることから内容物を容器の外側から目視することができ、視覚的にアピールできる商品価値の高い容器詰飲料提供することができる。
本発明の飲料及び関連する方法について、以下に説明する。特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppm」、及び「ppb」は、重量/容量(w/v)のppm、及びppbを意味する。
本発明の一態様は、
(A)2-メチルブタナールを20ppb以上1000ppb未満
(B)カフェインを10ppm以上80ppm未満、及び
(C)クロロフィル類
を含有し、
pHが5.0~7.0である、透明容器入り飲料である。かかる構成を採用することによって、透明容器に飲料が充填された状態であっても、当該飲料の光劣化を抑制することができる。ここで、本明細書において「光劣化」とは、飲料が光に曝露されることによって生じる品質の劣化を意味する。飲料の品質劣化としては、例えば、異臭の発生、異味の発生、色調の変化等が挙げられる。本発明では特に、「光劣化の抑制」は「異臭の発生の抑制」を意味する。
(2-メチルブタナール)
本発明の対象となる飲料は、光劣化を起こしやすいアルデヒド類の2-メチルブタナールを高濃度に含有する飲料であり、具体的には、2-メチルブタナールを20ppb以上1000ppb未満の濃度で含有する飲料である。本発明の所望の効果が顕著に得られるという観点から、2-メチルブタナールの濃度は、25ppb以上が好ましく、30ppb以上がより好ましく、40ppb以上がさらに好ましい。また、飲料としての嗜好性の観点から、2-メチルブタナールの濃度は、好ましくは500ppb以下である。なお、飲料中の2-メチルブタナール濃度は、質量分析計付きのガスクロマトグラフィー(GC/MS)を用いて測定することができる。
本発明の飲料に含有される2-メチルブタナールの由来は限定されず、植物などの天然原料に由来するものでもよいし、合成品であってもよい。2-メチルブタナールを含有する香料組成物を用いると、飲料における2-メチルブタナールの濃度を上記範囲となるように簡便に調整できることから、2-メチルブタナールを含有する香料組成物を配合してなる飲料は、本発明の好ましい態様の一例である。
(クロロフィル類)
本発明の飲料は、光酸化による劣化を生じやすい2-メチルブタナールと、光増感酸化による劣化を生じやすいクロロフィル類とを含有する。クロロフィル類は、葉緑素とも称され、光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ化学物質である。クロロフィル類は、4つのピロールからなる環構造であるテトラピロールに、フィトールと呼ばれる長鎖アルコールがエステル結合した基本構造をもつ。天然に存在するクロロフィル類は、一般にテトラピロール環の中心にマグネシウム等の金属が配位した構造を有する。この金属が脱離し、2つの水素で置換された物質はフェオフィチンと呼ばれる。本明細書では、クロロフィルとフェオフィチンを合わせてクロロフィル類と称する。クロロフィル類は、テトラピロール環の種類および結合している置換基によって区別され、発見された順にアルファベットが付与されているが、本発明ではクロロフィルa(C5572M)及びクロロフィルb(C5570M)(Mは中心金属を意味する)を対象とする。また、クロロフィル類の濃度をいうときは、クロロフィルa及びクロロフィルbの合計量を指す。これらクロロフィル類は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、中心金属(M)は特に限定されないが、本発明の効果を享受できる点から、Zn、Cu又はFeであることが好ましい。
クロロフィル類としては、市販のクロロフィル製剤を使用することができ、具体的には、これに限定されないが、和光純薬工業株式会社製クロロフィルaなどを使用することができる。クロロフィル類の製造方法や由来は特に限定されないが、クロロフィル類は植物体の葉緑素であるため、茶葉、緑黄色野菜などの植物体を適当な溶媒に抽出して得られる抽出液を、クロロフィル類抽出液として飲料に添加することができる。
飲料中のクロロフィル類の濃度は、10~2500ppb程度が好ましく、20~2000ppbがより好ましく、50~1500ppbがさらに好ましい。飲料中のクロロフィル類の濃度は、分光光度計(例えば日立社製、U-3210)を用いた吸光光度法により、測定することができる。
(カフェイン)
本発明の飲料におけるカフェインの濃度は、10ppm以上80ppm未満である。飲料に10ppm以上のカフェインを含有させることにより、2-メチルブタナールとクロロフィル類とを含有する飲料の光劣化を効果的に抑制することができる。飲料中のカフェイン濃度(含有量)は、15ppm以上が好ましく、20ppm以上がより好ましい。カフェイン濃度が10ppm以上であれば、本発明の効果を得ることができるが、カフェインは苦味成分として知られる成分であり、飲料中に高濃度で含有させた場合、2-メチルブタナールと相俟って後味の苦味として知覚されるようになり、飲料の嗜好性を低下させることがある。かかる嗜好性の観点から、本発明の飲料におけるカフェインの濃度は80ppm未満であり、好ましくは75ppm以下であり、より好ましくは70ppm以下である。カフェインの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法によって、測定及び定量できる。
本発明に用いられるカフェインは、特に制限されないが、市販の試薬、純品(カフェイン含量98%以上の精製品)、粗精製品(カフェイン含量50~98%)の他、カフェインを含有する植物(コーヒー豆、茶葉、コーラの実等)の抽出物又はその濃縮物の形態でも用いることができる。カフェインを植物の抽出物又はその濃縮物の形態で用いる場合、抽出する原料としては、緑茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶などのカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)に属する茶葉類;アカネ科コフィア属に属するコーヒー豆類を用いることができる。中でも、本発明の効果の顕著さから、緑茶抽出物が好適に用いられる。
本発明は、特定量のカフェインを用いて2-メチルブタナールとクロロフィル類とを含有する飲料の光劣化を抑制することを特徴とする。2-メチルブタナールは、良好なMaltyな(麦芽様の)香調を有しているが、2-メチルブタナールを含有する飲料が光劣化を受けると、2-メチルブタナールのMaltyな香調が変化し、光劣化臭として人の鼻に確認されるようになる。本発明は、特定量のカフェインを含有させることにより、2-メチルブタナールの光劣化臭を抑制し、開栓時に2-メチルブタナールの良好なMaltyな香調が維持された飲料を提供する。ここで、「光劣化を抑制する」とは、対照物(例えば、2-メチルブタナールの濃度が20ppb以上1000ppb未満であり、クロロフィル類を含有し、pHが5.0~7.0であり、カフェインの濃度が10ppm未満の飲料)と比較して、光劣化による異臭(本明細書中、光劣化臭ともいう)の強さが小さく、2-メチルブタナールのMaltyな香調が維持されていることをいう。光劣化臭の強さは、例えば専門パネルによる官能評価により決定できる。
(pH)
本発明の飲料は、pH(20℃)が5.0~7.0であり、好ましいpHは5.5~6.5の中性飲料である。飲料が酸性(例えば、pH4.5以下)である場合、飲料中の酸味成分により、光劣化臭がマスキングされることがある。しかし、中性飲料は、マスキング成分として作用する酸味成分が少ないために2-メチルブタナールの光劣化臭が顕著に知覚され得る。本発明は、光劣化臭が知覚されやすい中性飲料においても光劣化臭を抑制することができ、したがって、中性飲料は、本発明の効果が顕著に発現する飲料であるため、好ましい態様の1つである。飲料のpH調整は、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
一般に、炭酸水素ナトリウムでpH調整された飲料は、重曹臭が発生することが知られている(例えば、特開2006-191851号公報参照)。この重曹臭は、本発明の課題となる光劣化臭と相俟って、より一層2-メチルブタナールのMaltyな香調を低下させる。本発明の飲料は、この炭酸水素ナトリウムでpH調整された中性飲料において、光劣化臭と重曹臭とを抑制することが可能である。したがって、炭酸水素ナトリウムを用いてpH調整された飲料は、本発明の好適な態様の一例である。
(透明容器入り飲料)
本発明の飲料は、透明容器に充填されてなる飲料である(本明細書中、透明容器入り飲料とも称する)。本発明の透明容器入り飲料は、内容物を目視でき、光劣化も抑制されていることから、消費者への安心感を与えることができる。ここで、本明細書において「透明容器」とは、容器に充填等された飲料を外部から視認できる容器を意味する。透明容器の概念には、容器の一部分においてその外部から内容物を視認できることも包含される。透明容器としては、例えば可視光700nmにおける透過率が40%以上、好ましくは50%以上の容器を挙げることができる。具体的には、透明プラスチックボトルおよび透明ガラス瓶が例示でき、特に透明PETボトルが本発明で好適に用いられる。容器の色は限定されないが、無色のものが好ましい。
また、透明容器は容器の一部または全部がフィルム等で覆われていてもよい。例えば、内容表示用のラベル・印刷部分は不透明あるいは半透明でそれ以外の部分が透明な容器や、意匠性を有する透明部分・不透明部分が複数箇所で異なるように組み合わされている容器、看視窓程度の大きさの透明部分のみを有する不透明容器など、内容物が視認できる透明部分が存在する限りにおいてその透明領域については限定されない。
(透明飲料及び濁度)
本発明の飲料の好適な態様の一つとして、透明な飲料が挙げられる。ここで、「飲料が透明である」とは、いわゆるスポーツドリンクのような白濁や、混濁果汁のような濁りがなく、水のように視覚的に透明な飲料であり、具体的には濁度が0.15未満の飲料をいう。飲料の濁度は、液体の濁度を測定する公知の手法を用いて波長680nmにおける吸光度を測定することにより、数値化することができる。具体的には、飲料を500mL容PETボトルに500mL充填して20℃にし、上下に10回撹拌してから10秒静置後に飲料の上部(飲料の上端より5cm以内の部分)より取得される飲料の波長680nmにおける吸光度を測定して、飲料の濁度を求めることができる。吸光度の測定には、例えば、紫外可視分光光度計(UV-1600(株式会社島津製作所製)など)を用いることができる。飲料が不透明である、すなわち濁度が高い場合、より光曝露の影響を受けやすくなり、本発明の効果が顕著には得られないことがある。
(Brix)
また、本発明の飲料は、効果の顕著さから、Brixが1.0以下であることが好ましい。より好ましいBrixは0.8以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。飲料に糖類などの可溶性固形分が多く含まれる場合、これら可溶性固形分により、光劣化臭がマスキングされることがある。一方、Brixが1.0以下と低く抑えられた飲料は、マスキング成分として作用する可溶性固形分が少ないために2-メチルブタナールの光劣化臭が顕著に知覚され得る。本発明は、光劣化臭が知覚されやすい可溶性固形分の少ない飲料においても光劣化臭を抑制することができ、したがって、Brixが1.0以下のような可溶性固形分の少ない飲料は、本発明の効果が顕著に発現する飲料であるため、好ましい態様の1つである。本発明において、Brixは、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix(ブリックス)値によって評価することができる。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
(他の成分)
本発明の飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の飲料と同様に、各種添加剤、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤などを配合してもよい。
本発明の飲料の好適な態様としては、これらに限定されないが、ビールテイスト飲料(特に発泡酒)、コーヒー飲料、茶飲料等が例示できる。中でも茶飲料は好ましい。ここで「茶飲料」とは、茶葉の抽出物や穀類の抽出物を主成分として含有する飲料であり、具体的には、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などが挙げられる。茶飲料の中でも緑茶風味飲料は、本発明の効果がより顕著に発現することから特に好適な態様の一例である。なお、ここでいう緑茶風味飲料は、緑茶抽出物を含有し、且つ緑茶の風味を呈する飲料を意味する。
(加熱殺菌飲料)
本発明の飲料は、好ましくは加熱殺菌処理を経て得られる閉栓された容器入り飲料とすることができる。加熱殺菌の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60~150℃で1秒間~60分間とすることができる。容器として耐熱性容器(ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110~140℃、1~数十分間)を行うこともできる。また、容器として非耐熱性容器(PETボトル等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後(UHT殺菌:110~150℃、1~数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、容器に充填することができる。
(方法)
本発明は、別の側面では飲料の製造方法であり、具体的には、2-メチルブタナールとカフェインとクロロフィル類とを含有する飲料の製造方法である。当該方法は、クロロフィル類を含有する透明容器入り飲料の製造において、以下の工程:
飲料中の2-メチルブタナールの濃度を20ppb以上1000ppb未満に調整する工程、
飲料中のカフェインの濃度を10ppm以上80ppm未満に調整する工程、
飲料のpHを5.0~7.0に調整する工程、及び
得られた飲料を透明容器に充填する工程
を含む。
飲料中の2-メチルブタナール及びカフェインの濃度、並びにpHを調整する方法は、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。そのタイミングも限定されない。例えば、充填工程以外の上記工程は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、工程の順番を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また2-メチルブタナール及びカフェインの濃度と飲料のpH、並びに飲料の濁度及びBrixの好ましい範囲は、飲料に関して上記した通りである。
上記の製法は、飲料において光劣化を抑制することができる。従って、当該製法は、別の側面では、飲料の光劣化を抑制する方法ともいえる。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
本実施例中、飲料中の各成分量は以下の方法により測定した。
(2-メチルブタナールの定量方法)
バイアル瓶(容量20ml)に試料溶液を5g量り取り、1.5gのNaClを加えた後、スペルコ社製SPME(DVB/CAR/PDMS)を用いた固相マイクロ抽出法にて気相部の2-メチルブタナールを40℃で20分間抽出した。抽出後、GC/MS測定に供した。定量値は標準添加法で算出した。GC/MS測定条件は以下の通りである。
装置:GC:Agilent Technologies社製 GC7890B
MS:Agilent Technologies社製 5977A
カラム:Inert cap pure WAX 30m×0.25mmi.d. df=0.25μm
定量イオン:2-メチルブタナール m/z=57
温度条件:40℃(5分)~10℃/分~260℃
キャリアガス流量:He 1.2ml/分
注入口温度:250℃
インターフェイス温度:250℃
イオン源温度:230℃。
(カフェインの定量方法)
カフェインの測定方法にはHPLCを用いた。具体的測定方法は、以下のとおり。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 modelIII
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カフェイン(和光純薬試薬)。
<実験1:2-メチルブタナール含有飲料の評価(1)>
2-メチルブタナールとして和光純薬工業製の2-メチルブタナールを用いた。水溶液中の2-メチルブタナールの最終濃度が、表1に記載の濃度となるように、2-メチルブタナールを水(pH7の純水)に溶解した。種々の濃度の2-メチルブタナール含有溶液(pH≒7、Brix:0)を加熱殺菌した後、500mgずつを透明PETボトルに充填して透明容器入り飲料を製造した。また、加熱殺菌した種々の濃度の2-メチルブタナール含有溶液を缶に充填し、対照飲料とした。なお、加熱殺菌した2-メチルブタナール含有溶液はいずれもpHが7.0、Brixは0であり、濁度(OD680nm)は0.15未満であった。
透明PETボトル飲料を光照射(10,000ルクス、25℃、1週間)し、照射後の飲料の風味を評価した。評価は、光照射しなかった缶入り飲料を基準とし、光劣化による異臭(2-メチルブタナールのMaltyな香調の変化による光劣化臭)の強弱を、基準と比較した相対評価として3段階評価(◎:光劣化臭が弱い、○:光劣化臭がやや弱い、×:光劣化臭が強い)で行った。なお、評価は専門パネル5名が光劣化臭の強弱について各自で評価した後、パネル全員で協議して決定した。
結果を表1に示す。2-メチルブタナールを20ppb以上の濃度で含有する溶液は、光劣化が発生し、2-メチルブタナールのMaltyな香調の変化による光劣化臭が知覚された。
Figure 0007220570000001
<実験2:2-メチルブタナール含有飲料の評価(2)>
実験1の試料1-4について、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを用いて種々のpHとなるように調整した。得られたいずれの試料も、濁度(OD680nm)は0.15未満であり、Brixは1.0以下であった。実験1と同様にして、光劣化臭の強弱を評価した。結果を表2に示す。pH5.0以上の飲料では2-メチルブタナールの香調の変化による光劣化臭が感じられたのに対し、pH4.5以下の飲料では、酸味成分により光劣化臭がマスキングされていた。
Figure 0007220570000002
<実験3:カフェインによる光劣化抑制作用(1)>
まず、クロロフィル類含有飲料(緑茶飲料)を製造した。具体的には、市販の茶葉『お茶の丸幸 低カフェイン緑茶ティーバッグ』を用い、茶葉の500倍の質量の80℃の湯で30秒抽出し、遠心分離処理して清澄化を行った後、炭酸水素ナトリウム及びL-アスコルビン酸を加えてpH6.1に調整した(カフェイン含有量:5ppm、クロロフィル類含有量:50ppb)。この飲料に、2-メチルブタナール含有量が60ppbとなるように実験1で用いた2-メチルブタナールを添加した。このクロロフィル類と2-メチルブタナールとを含有する試料溶液(試料3-1)に、溶液中のカフェインの最終濃度が表3に記載の濃度となるように、カフェイン(丸善薬品産業株式会社製)を添加して溶解した。各種カフェイン濃度の2-メチルブタナール含有溶液をUHT殺菌し、500mgずつを透明PETボトルに充填して透明容器入り飲料を製造した。また、UHT殺菌した種々の濃度の2-メチルブタナール含有溶液を缶に充填して対照飲料とした。なお、UHT殺菌した飲料はいずれもpHが5.0~7.0の範囲内であった。また、濁度(OD680nm)は0.15未満であり、Brixは1.0以下であった。
得られた各種容器詰め飲料について、実験1と同様にして、光劣化臭の強弱を評価した。結果を表3に示す。2-メチルブタナールを60ppbの濃度で含有する飲料は光劣化臭を発生するが、10ppm以上のカフェインを含有させることによって、光劣化臭を抑制できることが分かった。カフェインを多量に配合した場合、カフェインの苦味が飲料の嗜好性を低下させると評価したパネルが存在したことから、飲料中のカフェインの濃度の上限は、80ppm未満とすることが好ましいことが示唆された。
また、実験1の試料1-4と実験3の試料3-1について、光劣化臭を比較した。いずれも2-メチルブタナールを60ppb含有し、カフェインを含有しないもしくは少量含有する飲料であるが、クロロフィル類を含有する試料3-1の方が、光劣化臭を強く感じ、2-メチルブタナールの香調の変化が大きいとパネル全員が評価した。
Figure 0007220570000003
<実験4:カフェインによる光劣化抑制作用(2)>
2-メチルブタナール及びカフェインの濃度を表4の数値とする以外は、実験3と同様にして透明PETボトル入り飲料を製造し、評価した。なお、いずれの飲料もpHは5.0~7.0の範囲内であり、濁度(OD680nm)は0.15未満であり、Brixは1.0以下であった。結果を表4に示す。2-メチルブタナール含有量が5ppb以上である飲料について、カフェインを10ppm以上含有させることで光劣化臭を抑制できた。
Figure 0007220570000004

Claims (3)

  1. (A)2-メチルブタナールを20ppb以上1000ppb未満
    (B)カフェインを10ppm以上80ppm未満、及び
    (C)クロロフィル類
    を含有し、
    pHが5.0~7.0である、透明容器入り飲料。
  2. 透明容器がPETボトルである、請求項1に記載の飲料。
  3. 濁度が0.15未満である、請求項1又は2に記載の飲料。
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