JP7216995B2 - 胸腺癌バイオマーカー及び胸腺腫瘍の予後予測マーカー - Google Patents

胸腺癌バイオマーカー及び胸腺腫瘍の予後予測マーカー Download PDF

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Description

本明細書には、胸腺癌バイオマーカーの検出方法、胸腺癌のバイオマーカー、胸腺癌のバイオマーカーを検出するための検査試薬、及び胸腺癌の検出装置が開示される。また、本明細書には、胸腺腫瘍の予後予測マーカーの検出方法、胸腺腫瘍の予後予測マーカー、胸腺腫瘍の予後予測マーカーを検出するための検査試薬、及び胸腺腫瘍の予後予測装置が開示される。
胸腺癌は、病理組織診断において胸腺腫との鑑別が難しい癌である。胸腺癌と良性の胸腺腫との鑑別にはCD5又はc-Kit(CDl17)などの発現が用いられている(非特許文献1)。
Chan JKC,Strobel P,Marx A,et .la Thymic carcinomas. In Travis WD,Br ambilla E,Bu rke AP,et al (Eds): WHOC lassification of Tumors of Lung,Pl eura,T hymus and Heart (4th edition). IARC: Lyon 2015. p212-6. Miettinen Ml, Lasota J. KIT (CDl17): a review on expression in normal and neoplastic tissues, and mutations and their clinicopathologic correlation. Appllmmunohistoehem Mol Morphol. 2005, Sep;13(3):205-20.
しかし、CD5又はc-kitは胸腺癌の約20%程度では発現せず、稀に胸腺腫でも発現する。また、CD5又はc-kitは肥満細胞や造血幹細胞など正常組織にも発現が認められる。したがって、CD5及びc-kitは検出率の高い胸腺癌のバイオマーカーであるとはいえない。
また、胸腺腫瘍では、胸腺癌と胸腺腫は共に悪性腫瘍である。胸腺癌と胸腺腫の病理組織学上の違いはorganotypicと呼ばれる胸腺本来の形態的特徴の有無とされている。胸腺腫は、organotypicが認められ、腫瘍組織内に胸腺本来の形態を含む。これに対して、胸腺癌はorganotypicが認められないことが一般的である。しかし、胸腺癌と胸腺腫は、形態学的特徴による鑑別が困難な場合がある。
そこで、本発明は胸腺癌を検出すること、及び胸腺癌のバイオマーカーを提供することを課題とする。また、本発明は胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測すること、及び胸腺腫瘍の予後予測マーカーを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、PRAMEが胸腺癌のバイオマーカー、並びに胸腺腫瘍の予後予測マーカーになり得ることを見出した。
本開示は、以下の態様を含む。
項1.被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出する工程を含む、胸腺癌バイオマーカーの検出方法。
項2.PRAMEが検出された場合に、前記胸腺腫瘍が胸腺癌であると決定する工程をさらに含む、項1に記載の検出方法。
項3.PRAMEの検出が、腫瘍組織の免疫染色によって行われる、項1又は2に記載の検出方法。
項4.被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出する工程を含む、胸腺腫瘍の予後予測マーカーの検出方法。
項5.PRAMEが検出された場合に、前記被検体の予後が不良であると決定する工程をさらに含む、項4に記載の検出方法。
項6.PRAMEの検出が、腫瘍組織の免疫染色によって行われる、項4又は5に記載の検出方法。
項7.胸腺腫瘍の細胞内に存在するPRAMEを、胸腺癌のバイオマーカーとして使用する方法。
項8.胸腺腫瘍の細胞内に存在するPRAMEを、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するためのバイオマーカーとして使用する方法。
項9.被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内に存在するPRAMEを、胸腺癌のバイオマーカーとして検出するため検査試薬であって、前記検査試薬は、PRAMEを検出するための抗体、又は核酸を含む、検査試薬。
項10.被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内に存在するPRAMEを、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するためのバイオマーカーとして検出するため検査試薬であって、前記検査試薬は、PRAMEを検出するための抗体、又は核酸を含む、検査試薬。
項11.PRAMEからなる、胸腺癌のバイオマーカー。
項12.PRAMEからなる、胸腺腫瘍の予後予測マーカー。
項13.処理部を備える、胸腺癌の検出装置であって、前記処理部は、被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEの測定値を取得し、取得した測定値を、基準値と比較し、取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞であることを示すラベルを出力する、及び/又は取得した測定値が、前記基準値よりも低い場合に、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞ではないことを示すラベルを出力する、
予後予測装置。
項14.処理部を備える、胸腺腫瘍の予後予測装置であって、前記処理部は、被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEの測定値を取得し、取得した測定値を、基準値と比較し、取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記被検体の予後が不良であることを示すラベルを出力する、及び/又は取得した測定値が、前記基準値よりも低い場合に、前記被検体の予後が良好であることを示すラベルを出力する、予後予測装置。
胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出することにより、胸腺癌を検出することができる。胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出することにより、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測することができる。
胸腺癌の検出システム1000、及び胸腺腫瘍の予後予測装置2000の概観図の一例を示す。 胸腺癌の検出装置10、及び胸腺腫瘍の予後予測装置20のブロック図の一例を示す。 胸腺癌の検出装置10の動作の一例を示す。 胸腺腫瘍の予後予測装置20の動作の一例を示す。 nCounterによる解析結果を示す。 Aは、組織学的に分類された腫瘍タイプにおけるPRAMEの陽性率を示す。Bは、胸腺癌、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、及び胸腺腫タイプB3組織のPRAMEの免疫染色画像を示す。 胸腺癌のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。 胸腺腫タイプAのCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。 胸腺腫タイプB1のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。 胸腺腫タイプB2のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。 胸腺腫タイプB3のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。
1.用語の説明
PRAMEは、preferentially expressed antigen in melanomaと呼ばれる抗原の一種であり、精巣以外の正常組織での発現は認められないことが報告されている。PRAMEは、CT130、MAPE、OIP-4、OIP4とも呼ばれ、National Center for Biotechnology InformationにGene ID:23532で登録されている遺伝子から発現される。PRAMEからなるバイオマーカーには、前記遺伝子から発現されるタンパク質、又はmRNAが含まれる。また、バイオマーカーには、前記遺伝子から発現されるタンパク質、又はmRNAの他、そのバリアントも含む。
胸腺腫瘍は、胸腺に存在する細胞に由来する腫瘍である限り制限されない。胸腺腫瘍には、胸腺癌、胸腺腫、胸腺内分泌腫瘍等が含まれ得る。胸腺癌と胸腺腫は共に悪性腫瘍である。
胸腺癌は、臨床的には胸腺癌は胸腺腫より悪性度が高く、予後も不良とされている。言い換えると、胸腺癌は他の癌と同様に遠隔転移を起こしやすい、成長も早い、及び/又は術後再発を起こしやすい等の臨床的特徴を有する。このため、胸腺癌の場合には、手術により腫瘍を切除した後、放射線治療や化学療法を行うことが必要となる。一方、胸腺腫はゆっくり成長する、遠隔転移を起こさない、及び/又は再発したとしても胸腔内の局所再発である等の臨床的特徴を有する。このため、胸腺腫の場合には、再発時、再度手術で切除することにより根治を望むことが可能とされている。
胸腺癌には、扁平上皮癌、類基底細胞癌、粘液表皮癌、リンパ上皮癌、明細胞癌等が含まれ得る。好ましくは、扁平上皮癌である。胸腺腫には、胸腺腫タイプA、胸腺腫タイプAB、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、及び胸腺腫タイプB3等が含まれ得る。
胸腺腫瘍は、胸腺に存在していても良いが、リンパ節、静脈、動脈、脳、副腎、肝臓、胸膜、肺、骨等に存在していてもよい。また、胸腺腫瘍は、初発であっても再発であってもよい。好ましくは、初発である。
被検体は、胸腺腫瘍を有する者である限り制限されない。
本開示において、「予後」は、被検体の帰趨を意図する。被検体の帰趨は、その被検体が有する胸腺腫瘍の影響による帰趨である。予後が不良とは、腫瘍が遠隔転移を起こしやすい、及び/又は再発しやすく、結果的に前記胸腺腫瘍を有する被検体を腫瘍死させる可能性が高いことを意図する。この場合、腫瘍の外科的切除のみならず、放射線治療や化学療法を行う必要がある。予後が良好とは、腫瘍が遠隔転移や浸潤を起こさず、限局的であり、腫瘍の成長が遅く、前記胸腺腫瘍を有する被検体を腫瘍死させる可能性が低いことを意図する。
2.バイオマーカー及びその検出方法
本開示のある態様は、胸腺癌のバイオマーカー及びその検出方法に関する。前記検出方法は、被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出することを含む。すなわち、胸腺腫瘍の腫瘍細胞内のPRAMEタンパク質又はPRAME mRNAは、前記胸腺腫瘍が胸腺癌であるか否かを決定するためのバイオマーカーとして検出することができる。また、胸腺腫瘍の腫瘍細胞内のPRAMEタンパク質又はPRAME mRNAは、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後が不良であるか否かを決定するためのバイオマーカー(胸腺腫瘍の予後予測マーカー)として検出することができる。
胸腺腫瘍内のPRAMEの検出は、被検体から採取された胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織を用いて行う限り制限されない。胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織は、例えば、原発巣又は転移巣からの手術による切除又は生検、内視鏡下における切除又は生検、胸水からの分離等により採取することができる。腫瘍組織であるか、正常組織であるかの判定は、肉眼的所見、顕微鏡観察等で行うことができる。また、細胞増殖能を指標として腫瘍組織であるか否かを判定してもよい。細胞増殖能を指標として腫瘍組織であるか否かを判定する場合には、例えば検査対象組織のBrdUやKi-67タンパク質のラベリングインデックスが正常組織と比較して高い場合に、前記検査対象組織が腫瘍組織である可能性が高いと判定することができる。
被検体から採取された胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織は、PRAMEの検出方法に応じて前処理される。
胸腺腫瘍内のPRAMEは、タンパク質として、又はmRNAとして検出することができる。
PRAMEをタンパク質として検出する方法として、免疫染色、ウエスタンブロッティング等の公知の方法を挙げることができる。また、PRAMEをmRNAとして検出する方法として、in situ ハイブリダイゼーション、RT-PCR(定量的RT-PCRを含む)、マイクロアレイ、RNA-Seq等の公知の方法を挙げることができる。
胸腺腫瘍組織を使って、免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションを行う場合には、前処理として、胸腺腫瘍組織をホルマリン、及びパラホルムアルデヒド等の公知の固定液で固定してから、パラフィン包埋ブロックを作製する。あるいは、胸腺腫瘍組織を固定してから、あるいは固定せずに、OCTコンパウンド(登録商標)等の凍結ブロック作製用の樹脂に包埋し、凍結ブロックを作製する。次に、作製したパラフィン包埋ブロック、又は凍結ブロックを薄切して組織切片を作製し、免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションに供する。ここで、ブロックに包埋されている胸腺腫瘍組織は、腫瘍部のみであっても良いが例えば正常部位等を含んでいてもよい。
胸腺腫瘍細胞を使って、免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションを行う場合には、前処理として、細胞をスライドグラスに塗抹又は収集し、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、及びエタノール等で固定する。
PRAMEをタンパク質としてウエスタンブロッティング等で検出する場合には、前処理として、胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織を所定の溶解バッファーで溶解する。溶解バッファーで溶解されたサンプルを検査サンプルとする。
PRAMEをmRNAとしてRT-PCR、マイクロアレイ、RNA-Seq等で検出する場合には、前処理として、胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織からtotal RNA又はmRNAを抽出する。また、必要に応じて、抽出したtotal RNA又はmRNAを鋳型として逆転写を行い、相補的DNA(cDNA)を合成しても良い。total RNA若しくはmRNA、又はcDNAを検査サンプルとする。
免疫染色又はウエスタンブロッティングによってPRAMEを検出するための一次抗体は、PRAMEを検出できる限り制限されない。例えば、SIGMA-ALDRICH 社製のAnti-PRAME antibody produced in rabbit Prestige AntibodiesR Powered by Atlas Antibodies, affinity isolated antibody, buffered aqueous glycerol solution(HPA045153)、ANTI-MAPE(C-TERMINAL) antibody produced in rabbit purified immunoglobulin, buffered aqueous solution(SAB1306515)、Anti-PRAME antibody produced in rabbit purified immunoglobulin, buffered aqueous solution(SAB1401590)、Anti-PRAME antibody produced in mouse purified immunoglobulin, buffered aqueous solution(SAB1407222)、Anti-PRAME antibody produced in rabbit affinity isolated Antibody(SAB2108300)等を挙げることができる。PRAMEと結合した一次抗体は、一次抗体と結合する酵素標識二次抗体と、前記酵素と基質の反応により検出することができる。免疫染色を行う場合には、脱パラフィン及び浸水処理を行った後に、組織切片をトリプシン等のタンパク分解酵素で処理してから、免疫染色を行ってもよい。
in situ ハイブリダイゼーションに使用するプローブの作製方法は公知である。また、市販のプローブを使用してもよい。
RT-PCRに使用するプライマー(定量的RT-PCRの場合にはプローブを含んでいても良い)は市販されているものを使用することができる。また、マイクロアレイも市販されているものを使用することができる。
RNA-Seqは、次世代シーケンサー(例えば、イルミナ社製)等を使用して、PRAME mRNAのリード数を得ることができる。
免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションによってPRAMEを検出する場合、免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションが施された組織標本を顕微鏡、又はスライドスキャナ等を使ってヒトが観察することにより、PRAMEの有無を検出することができる。組織標本内の腫瘍細胞内に免疫染色又はin situ ハイブリダイゼーションのシグナルが確認された場合に、PRAMEが検出されたと判定(決定)することができる。細胞内にPRAMEを有する腫瘍細胞が組織標本内の腫瘍部に1つでも検出された場合に、「PRAMEが検出された」又は、「PRAMEの発現が陽性である」と決定しても良い。あるいは、例えば、顕微鏡、又はスライドスキャナの所定の区画に存在している腫瘍細胞の個数を100%とした時に、細胞内にPRAMEを有する腫瘍細胞が10%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは1%以上存在している場合に「PRAMEが検出された」又は、「PRAMEの発現が陽性である」と決定してもよい。
ウエスタンブロッティング、RT-PCT、RNA-Seqによって、PRAMEを検出する場合、腫瘍細胞又は腫瘍組織から抽出されたサンプルにおいてPRAMEが検出された場合に、「PRAMEが検出された」又は、「PRAMEの発現が陽性である」と決定してもよい。あるいは、腫瘍細胞又は腫瘍組織に由来する検査サンプルと正常細胞又は正常組織由来するPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量を比較して、腫瘍細胞又は腫瘍組織に由来する検査サンプルにおけるPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量が正常細胞又は正常組織由来するPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量よりも高値を示す場合に、「PRAMEが検出された」又は、「PRAMEの発現が陽性である」と決定してもよい。また、腫瘍細胞又は腫瘍組織に由来する検査サンプルにおけるPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量が正常細胞又は正常組織由来するPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量と同程度である場合に、「PRAMEが検出されていない」又は、「PRAMEの発現が陰性である」と決定してもよい。ここで、「高値を示す」とは、1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは5倍以上高い値を示す場合を例示できる。「同程度」とは、0.8倍から1.1倍程度を例示できる。また、PRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量を比較する前に、各検査サンプル中のタンパク質量、又はRNA量を、GAPDH、β-ミクログロブリン、β-アクチン等のハウスキーピング遺伝子由来のタンパク質量又はmRNA量で正規化してもよい。タンパク質量は質量、又は濃度で表されても良いが、基質の発光強度等で表されても良い。mRNA量は、mRNAのコピー数又はリード数であっても良いが、蛍光強度等で表されてもよい。
別の態様として、あらかじめPRAMEタンパク質量又はRNA量の基準値をあらかじめ決定しておき、腫瘍細胞又は腫瘍組織に由来する検査サンプル中のPRAMEタンパク質量又はRNA量が基準値よりも高い場合に、「PRAMEが検出された」又は、「PRAMEの発現が陽性である」と決定してもよい。また、腫瘍細胞又は腫瘍組織に由来する検査サンプル中のPRAMEタンパク質量又はRNA量が基準値よりも低い場合に、「PRAMEが検出されない」又は、「PRAMEの発現が陰性である」と決定してもよい。基準値は、PRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量が検出されているか、又は発現が陽性であるかを判別できる値である限り制限されず、公知の方法により決定することができる。PRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量が検出されているか、又は発現が陽性であるかを判別できる値は、ROC(receiver operating characteristic curve)曲線、判別分析法、モード法、Kittler法、3σ法、p‐tile法等により決定することもできる。また、基準値として、感度、特異度、陰性的中率、陽性的中率、第一四分位数等を例示できる。
胸腺癌バイオマーカーの検出方法は、さらにPRAMEが検出された場合に、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞であると決定する工程を含んでいてもよい。あるいは、PRAMEが検出されなかった場合に、胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞ではない決定する工程を含んでいてもよい。また、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞であると決定することに変えて、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺腫細胞ではないと決定してもよい。また、胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞ではないと決定することに変えて、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺腫細胞であると決定してもよい。
また、胸腺癌バイオマーカーの検出方法は、胸腺腫瘍細胞内にPRAMEが検出されたか否かに応じて、必要な治療方法を決定する工程を含んでいてもよい。例えば、PRAMEが検出された場合には、腫瘍の外科的切除に加えて、放射線治療及び/又は化学療法の適用を行うことを決定してもよい。また、PRAMEが検出されなかった場合には、腫瘍の外科的切除後経過観察を行うと決定しても良い。さらに、PRAMEが検出された場合には、術後5年間経過観察を行うと決定してもよい。また、PRAMEが検出されなかった場合には、術後10年間経過観察を行うと決定してもよい。
胸腺腫瘍の予後予測マーカーの検出方法は、さらにPRAMEが検出された場合に、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後が不良であると決定する工程を含んでいてもよい。あるいは、PRAMEが検出されなかった場合に、胸腺腫瘍を有する被検体の予後が良好であると決定する工程を含んでいてもよい。
また、胸腺腫瘍の予後予測マーカーの検出方法は、胸腺腫瘍細胞内にPRAMEが検出されたか否かに応じて、必要な治療方法を決定する工程を含んでいてもよい。例えば、PRAMEが検出された場合には、腫瘍の外科的切除に加えて、放射線治療及び/又は化学療法の適用を行うことを決定してもよい。また、PRAMEが検出されなかった場合には、腫瘍の外科的切除後経過観察を行うと決定しても良い。さらに、PRAMEが検出された場合には、術後5年間経過観察を行うと決定してもよい。また、PRAMEが検出されなかった場合には、術後10年間経過観察を行うと決定してもよい。
3.検査試薬
本開示の別の態様は、被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内に存在するPRAMEを、前記胸腺癌のバイオマーカーとして検出するため検査試薬に関する。また、前記検査試薬は、胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するために使用されうる。
検査試薬は、PRAMEタンパク質検出用試薬及び/又はPRAME mRNA検出用試薬を含み得る。
PRAMEタンパク質検出用試薬は、少なくともPRAMEタンパク質の一部に結合可能な一種又は複数の抗体(例えば、一次抗体)を含む。「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及びそれらの断片(例えば、Fab、F(ab’)、F(ab)等)のいずれも用いることができる。免疫グロブリンのクラス及びサブクラスは特に制限されない。また、前記抗体は、抗体ライブラリからスクリーニングされたものであってもよく、キメラ抗体、scFv等であってもよい。
また、抗体は必ずしも精製されている必要はなく、抗体を含む抗血清、腹水、これらから画分された免疫グロブリン画分等であってもよい。
検査試薬に含まれる抗体は、乾燥状態であってもよく、リン酸緩衝生理食塩水等のバッファーに溶解されていてもよい。さらに、検査試薬は、β-メルカプトエタノール、DTT等の安定化剤;アルブミン等の保護剤;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アジ化ナトリウム等の防腐剤等の少なくとも一つを含んでいてもよい。
PRAMEと結合する抗体は、酵素や蛍光色素で標識されていてもよい。PRAMEと結合する抗体はマイクロプレート、磁気ビーズ等に固定されていてもよい。
PRAMEタンパク質検出用試薬は、検査試薬と試薬の使用方法を記載した又は試薬の使用方法を記載するウェブページのURLが記載された添付文書を含む検査キットとして提供されてもよい。また、PRAMEと結合する抗体が未標識の一次抗体である場合には、検査キットに酵素又は蛍光色素で標識された二次抗体が含まれていてもよい。さらに、検査キットには前記酵素と反応する基質が含まれていてもよい。
PRAME mRNA検出用試薬は、PRAME mRNA又はPRAME cDNAの全体又は一部とハイブリダイズする核酸を含む。核酸は、プライマー、及び/又はプローブとしての機能を有する検出用の核酸(DNA又はRNA)であることが好ましい。検出用核酸の長さは、特に制限されない。
検出用核酸が、PCR反応に使用されるプライマーであれば、PRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズする配列が、好ましくは50 mer以下であり、より好ましくは30 mer以下であり、さらに好ましくは、15~25 mer程度である。プライマーには、PRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズしない配列が含まれていてもよい。また、プライマーは、蛍光色素等で標識されていてもよい。
また、RT-PCRには、プライマーの他にPCR産物のリアルタイムの定量のために使用される、PCR反応中に分解される定量用プローブを使用することもできる。定量用プローブもPRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズする限り、制限されない。定量用プローブは、PRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズする配列を含む、5~20 mer程度の核酸であることが好ましい。さらに定量用プローブの一端には、蛍光色素が標識され、定量用プローブのもう一端には、当該蛍光色素のクエンチャーが標識されていることが好ましい。
検出用核酸が、マイクロアレイ等においてキャプチャープローブとして使用されるものであれば、PRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズする配列が、好ましくは100 mer程度であり、より好ましくは60 mer程度であり、さらに好ましくは、20~30 mer程度である。キャプチャープローブには、PRAME mRNA又はPRAME cDNAとハイブリダイズしない配列が含まれていてもよい。さらにキャプチャープローブは、チップに固定化されていることが好ましい。
検出用核酸が、in situハイブリダイゼーション用のプローブである場合、検出用核酸は、PRAME mRNAとハイブリダイズする配列が、15~100 mer程度のオリゴヌクレオチドであってもよく、100 merを超えるポリヌクレオチドであってもよい。ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。in situハイブリダイゼーション用のプローブには、ジゴキシゲニン、蛍光色素等の標識物質が結合されうる。プローブには、PRAME mRNAとハイブリダイズしない配列が含まれていてもよい。
PRAME mRNA検出用試薬は、検査試薬と試薬の使用方法を記載した又は試薬の使用方法を記載するウェブページのURLが記載された添付文書を含む検査キットとして提供されてもよい。また、RT-PCRによりPRAME mRNA又はPRAME cDNAを検出する場合には、検査キットに核酸増幅試薬(耐熱性DNAであってもポリメラーゼ、バッファー、dNTP等を含む)、逆転写酵素等を含んでいてもよい。核酸増幅試薬には、必要に応じてSYBER GREEN(登録商標)等の色素が含まれていてもよい。マイクロアレイによりPRAME mRNA又はPRAME cDNAを検出する場合には、検査キットにハイブリダイゼーション用バッファー、洗浄用バッファー等が含まれていてもよい。in situハイブリダイゼーションによりPRAME mRNAを検出する場合には、検査キットに、プロティナーゼK等のタンパク質分解酵素、ハイブリダイゼーション用バッファー、洗浄用バッファー等が含まれていてもよい。
4.胸腺癌の検出装置及び胸腺腫瘍の予後予測装置
4-1.胸腺癌の検出装置の構成
本開示の一実施形態は胸腺癌の検出システム1000及び胸腺癌の検出装置10に関する。
図1は、胸腺癌の検出システム1000の概観図であり、胸腺癌の検出システム1000は一態様として、胸腺癌の検出装置10の他、分析装置5a又は分析装置5bとを備えていてもよい。
図2に、胸腺癌の検出装置10のブロック図を示す。胸腺癌の検出装置10は、入力部111と、出力部112と、記憶媒体113とに接続されていてもよい。
胸腺癌の検出装置10において、処理部101と、主記憶部102と、ROM(read only memory)103と、補助記憶部104と、通信インタフェース(I/F)105と、入力インタフェース(I/F)106と、出力インタフェース(I/F)107と、メディアインターフェース(I/F)108は、バス109によって互いにデータ通信可能に接続されている。主記憶部102と補助記憶部104とを合わせて、単に記憶部と呼ぶこともある。記憶部は、前記測定値や基準値を揮発性に、又は不揮発性に記憶する。
処理部101は、胸腺癌の検出装置10のCPUである。処理部101は、GPUであってもよい。処理部101が、補助記憶部104又はROM103に記憶されているコンピュータプログラムを実行し、取得されるデータの処理を行うことにより、胸腺癌の検出装置10が機能する。
ROM103は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成され、処理部101により実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータが記録されている。処理部101はMPU101としてもよい。ROM103は、胸腺癌の検出装置10の起動時に、処理部101によって実行されるブートプログラムや胸腺癌の検出装置10のハードウェアの動作に関連するプログラムや設定を記憶する。
主記憶部102は、SRAM又はDRAMなどのRAM(Random access memory)によって構成される。主記憶部102は、ROM103及び補助記憶部104に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、主記憶部102は、処理部101がこれらのコンピュータプログラムを実行するときの作業領域として利用される。
補助記憶部104は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等によって構成される。補助記憶部104には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの、処理部101に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いる各種設定データが記憶されている。具体的には、基準値等を不揮発性に記憶する。
通信I/F105は、USB、IEEE1394、RS-232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェース、ネットワークインタフェースコントローラ(Network interface controller:NIC)等から構成される。通信I/F105は、処理部101の制御下で、分析装置5a,5b又は他の外部機器からのデータを受信し、必要に応じて胸腺癌の検出装置10が保存又は生成する情報を、分析装置5a,5b又は外部に送信又は表示する。通信I/F105は、ネットワークを介して分析装置5a,5b又は他の外部機器と通信を行ってもよい。
入力I/F106は、例えばUSB、IEEE1394、RS-232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成される。入力I/F106は、入力部111から文字入力、クリック、音声入力等を受け付ける。受け付けた入力内容は、主記憶部102又は補助記憶部104に記憶される。
入力部111は、タッチパネル、キーボード、マウス、ペンタブレット、マイク等から構成され、胸腺癌の検出装置10に文字入力又は音声入力を行う。入力部111は、胸腺癌の検出装置10の外部から接続されても、胸腺癌の検出装置10と一体となっていてもよい。
出力I/F107は、例えば入力I/F106と同様のインタフェースから構成される。出力I/F107は、処理部101が生成した情報を出力部112に出力する。出力I/F107は、処理部101が生成し、補助記憶部104に記憶した情報を、出力部112に出力する。
出力部112は、例えばディスプレイ、プリンター等で構成され、分析装置5a,5bから送信される測定結果及び胸腺癌の検出装置10における各種操作ウインドウ、分析結果等を表示する。
メディアI/F108は、記憶媒体113に記憶された例えばアプリケーションソフト等を読み出す。読み出されたアプリケーションソフト等は、主記憶部102又は補助記憶部104に記憶される。また、メディアI/F108は、処理部101が生成した情報を記憶媒体113に書き込む。メディアI/F108は、処理部101が生成し、補助記憶部104に記憶した情報を、記憶媒体113に書き込む。
記憶媒体113は、フレキシブルディスク、CD-ROM、又はDVD-ROM等で構成される。記憶媒体113は、フレキシブルディスクドライブ、CD-ROMドライブ、又はDVD-ROMドライブ等によってメディアI/F108と接続される。記憶媒体113には、コンピュータがオペレーションを実行するためのアプリケーションプログラム等が格納されていてもよい。
処理部101は、胸腺癌の検出装置10の制御に必要なアプリケーションソフトや各種設定をROM103又は補助記憶部104からの読み出しに代えて、ネットワークを介して取得してもよい。前記アプリケーションプログラムがネットワーク上のサーバコンピュータの補助記憶部内に格納されており、このサーバコンピュータに胸腺癌の検出装置10がアクセスして、コンピュータプログラムをダウンロードし、これをROM103又は補助記憶部104に記憶することも可能である。
また、ROM103又は補助記憶部104には、例えば米国マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーションシステムがインストールされている。第2の実施形態に係るアプリケーションプログラムは、前記オペレーティングシステム上で動作するものとする。すなわち、胸腺癌の検出装置10は、パーソナルコンピュータ等であり得る。
胸腺癌の検出システム1000は一カ所に設置されている必要はなく、胸腺癌の検出装置10と分析装置5a,5bが別所に配置され、これらがネットワークで接続されていてもよい。また、胸腺癌の検出装置10は、入力部111や出力部112を省略した操作者を必要としない装置であってもよい。
分析装置5aは、タンパク質の量又は濃度を測定するための装置であり、試料置き場51と、反応部52と、検出部53とを備える。試料置き場51にセットされた細胞溶解液は、反応部52に設置された抗原捕捉用抗体が固相されたマイクロプレートに分注されインキュベーションされる。必要に応じて未反応の抗原を除去した後、検出抗体がマイクロプレートに分注され、インキュベーションされる。必要に応じて未反応の抗原を除去した後、検出用抗体を検出するための基質がマイクロプレートに分注され、マイクロプレートが検出部53に移動され、基質が反応して発生したシグナルが測定される。
また、分析装置5aの別態様は、マイクロアレイ解析によるmRNAの発現量を測定するための装置であり、試料置き場51にセットされた逆転写反応物を反応部52にセットされたマイクロアレイチップ上に分注し、ハイブリダイゼーションを行い、洗浄した後、検出部53に移動させシグナルを検出する。
さらに、分析装置5aの別態様は、RT-PCRによるmRNAの発現量を測定するための装置であり、試料置き場51にセットされた逆転写反応物を反応部52にセットされたマイクロチューブ内に分注し、続いて定量的PCR用試薬をマイクロチューブ内に分注する。反応部52でPCR反応を行いながら、検出部53でチューブ内のシグナルを検出する。
分析装置5bは、RNA-Seq法によってmRNAの発現量を測定するための装置であり、配列解析部54を備える。RNA-Seq用の反応を行ったサンプルを配列解析部54にセットし、配列解析部54内で、塩基配列の解析を行う。
分析装置5bは、ウエスタンブロッティングによりタンパク質量を測定するための全自動ウエスタンブロッティング装置であり、化学発光シグナル検出部54を備える。溶解バッファーで溶解された胸腺腫瘍細胞又は胸腺腫瘍組織のサンプルを自動ウエスタンブロッティング装置の所定の位置にセットし、SDS-PAGE、メンブレンへのブロッティング、抗体反応、化学発光を行い、化学発光シグナル検出部54にて解析を行いシグナル強度を定量化する。
分析装置5a、及び5bは、有線又は無線によって胸腺癌の検出装置10に接続されている。分析装置5aは、タンパク質の測定値、又はmRNAの測定値をA/D変換して、デジタルデータとして胸腺癌の検出装置10に送信する。同様に、分析装置5bは、mRNAの測定値をA/D変換して、デジタルデータとして胸腺癌の検出装置10に送信する。これにより、胸腺癌の検出装置10は、タンパク質の測定値、又はmRNAの測定値を、演算処理可能なデジタルデータとして取得することができる。
4-2.胸腺腫瘍の予後予測装置の構成
本開示の一実施形態は胸腺腫瘍の予後予測システム2000及び胸腺腫瘍の予後予測装置20に関する。
図1は、胸腺腫瘍の予後予測システム2000の概観図であり、胸腺腫瘍の予後予測システム2000は一態様として、胸腺腫瘍の予後予測装置20の他、分析装置5a又は分析装置5bとを備えていてもよい。
図2に、胸腺腫瘍の予後予測装置20のブロック図を示す。胸腺腫瘍の予後予測装置20の構成は胸腺癌の検出装置10と同様である。したがって、上記4-1.の説明は、ここに援用できる。この場合、処理部101、主記憶部102、ROM103、補助記憶部104、通信インタフェース(I/F)105、入力インタフェース(I/F)106、出力インタフェース(I/F)107、メディアインターフェース(I/F)108、バス109、入力部111、出力部112、記憶媒体113を、処理部201、主記憶部202、ROM203、補助記憶部204、通信インタフェース(I/F)205、入力インタフェース(I/F)206、出力インタフェース(I/F)207、メディアインターフェース(I/F)208、バス209、入力部211、出力部212、記憶媒体213と読み替えるものとする。分析装置5a,5bは、胸腺癌の検出装置10と同様である。
4-3.胸腺癌の検出装置の動作
図3に胸腺癌の検出装置10の動作例のフローチャートの一例を示す。
胸腺癌の検出装置10の処理部101は、オペレータが入力部111から処理開始の入力を行うことにより、胸腺癌を検出するための処理を開始する。ステップS11において、処理部101は、分析装置5a又は分析装置5bから被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量若しくはこれらを反映する値をPRAMEの測定値として取得する。あるいは、オペレータが免疫染色又はin situハイブリダイゼーションによるPRAMEの発現が陽性であるか陰性であるか(あるいは、PRAMEが検出されたか否か)を入力部111から入力し、処理部101がこの入力をPRAMEの測定値として取得してもよい。
次に処理部101は、ステップS12において、記憶部に記憶されているPRAMEの基準値と、ステップS11で取得した測定値とを比較する。
処理部101は、ステップS13において、取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合には、ステップS14(YES)に進み、前記胸腺腫瘍が胸腺癌であると決定し、決定結果を示すラベルを出力部112に出力する(ステップS16)。また、ステップS13において、取得した測定値が基準値よりも低い場合に、ステップS15(NO)に進み、胸腺腫瘍が胸腺癌ではないと決定し、決定結果を示すラベルを出力部112に出力する(ステップS16)。胸腺癌である決定した場合には、ラベルには、「胸腺癌である」、又は「胸腺癌を示唆する」ことを示す情報が含まれる。「胸腺癌を示唆する」情報には、「胸腺腫ではないことを示唆する」ことが含まれ得る。胸腺癌ではないと決定した場合には、ラベルには、「胸腺癌ではない」、又は「胸腺癌ではないことを示唆する」ことを示す情報が含まれる。「胸腺癌ではないことを示唆する」情報には、「胸腺腫であることを示唆する」ことが含まれ得る。前記情報は、×、〇、感嘆符等のマークであってもよい。
基準値、比較方法、測定値が基準値よりも高いか低いかの判定方法等の詳細は、上記2.の説明をここに援用する。
4-4.胸腺腫瘍の予後予測装置の動作
図3に胸腺腫瘍の予後予測装置20の動作例のフローチャートの一例を示す。
胸腺腫瘍の予後予測装置20の処理部201は、オペレータが入力部211から処理開始の入力を行うことにより、胸腺癌を検出するための処理を開始する。ステップS21において、処理部201は、分析装置5a又は分析装置5bから被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEのタンパク質量、又はPRAMEのmRNA量若しくはこれらを反映する値をPRAMEの測定値として取得する。あるいは、オペレータが免疫染色又はin situハイブリダイゼーションによるPRAMEの発現が陽性であるか陰性であるか(あるいは、PRAMEが検出されたか否か)を入力部211から入力し、処理部201がこの入力をPRAMEの測定値として取得してもよい。
次に処理部201は、ステップS22において、記憶部に記憶されているPRAMEの基準値と、ステップS21で取得した測定値とを比較する。
処理部201は、ステップS23において、取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合には、ステップS24(YES)に進み、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後が不良である決定し、決定結果を示すラベルを出力部212に出力する(ステップS26)。また、ステップS23において、取得した測定値が基準値よりも低い場合に、ステップS25(NO)に進み、胸腺腫瘍を有する被検体の予後が良好であると決定し、決定結果を示すラベルを出力部212に出力する(ステップS26)。予後が不良であると決定した場合には、ラベルには、「予後不良」、又は「予後不良を示唆する」ことを示す情報が含まれる。予後が良好であると決定した場合には、ラベルには、「予後良好」、又は「予後良好を示唆する」ことを示す情報が含まれる。前記情報は、×、〇、感嘆符等のマークであってもよい。
基準値、比較方法、測定値が基準値よりも高いか低いかの判定方法等の詳細は、上記2.の説明をここに援用する。
以下に実施例を示して本開示についてより詳細に説明するが、本開示は実施例に限定して解釈されるものではない。
今回の検討は、ヘルシンキ宣言に基づいて学校法人関西医科大学の倫理委員会の承認を得て行った。
1.腫瘍組織
関西医科大学附属病院において切除された胸腺癌(扁平上皮癌)12例、胸腺腫と82例を検討に使用した。
2.nCounterによる胸腺癌バイオマーカーの網羅的解析
胸腺癌及び胸腺腫に発現しているmRNAの比較をデジタルカウント遺伝子発現解析nCounter(登録商標) Analysis system (NanoString Technologies, WA, USA)を使用して行った。解析はタカラバイオ株式会社に依頼した。
3.免疫染色
外科的に切除された組織サンプルをホルマリン固定し、組織標本を作製した。組織標本は、固定した組織サンプルをすべてパラフィン包埋し、薄切切片を作製し、ヘマトキシリン-エオジン染色及び免疫染色に供した。
免疫染色は、自動染色装置(Discovery, Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)を使用し、装置添付のプロトコールにしたがって行った。PRAMEを染色するための一次抗体として、Anti-PRAME antibody produced in rabbit Prestige AntibodiesR Powered by Atlas Antibodies, affinity isolated antibody, buffered aqueous glycerol solution (HPA045153, SIGMA-ALDRICH )を使用した。二次抗体は、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギイムノグロブリン抗体を使用し、発色にはジアミノベンチジン(DAB)を使用した。
4.統計解析
統計解析には、JMP Start Statistics version 14 (Statistical Discovery Software; SAS Institute, Cary, NC, USA)を使用した。有意差検定は、胸腺癌と胸腺腫との間で行った。
5.結果
5-1.nCounter
図5に示すように、nCounterによる解析において、胸腺癌と胸腺腫の間で特に優位な発現差が認められたのは、KitとPRAMEであった。
5-2.免疫染色による評価
組織学的に胸腺癌、胸腺腫タイプA、胸腺腫タイプAB、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、胸腺腫タイプB3、他の胸腺腫、又は胸腺のう胞に分類された組織について、PRAMEの免疫染色を行い、PRAMEの陽性率を比較した。図6Aに結果を示す。また、図6Bに胸腺癌、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、及び胸腺腫タイプB3のPRAMEの免疫染色画像を示す。
図6Aに示すように、PRAMEは、胸腺癌では、検討を行った12例すべてにおいて陽性となり、陰性となった例は認められなかった。これに対して、胸腺腫では、全82例中、胸腺腫タイプABの3例、及び胸腺腫タイプB3の2例においてPRAMEが陽性となったのみで、他はすべて陰性であった。胸腺腫タイプB3と胸腺癌の間の陽性率の有意差検定ではp=0.000035となり有意差が認められた。また、図6Bに示すように、胸腺癌では、PRAMEが細胞内にびまん性に強く染色されるのに対して、胸腺腫タイプABの3例、及び胸腺腫タイプB3の2例では、染色強度は低く、染色性も限局的であった。このことから、PRAMEは、胸腺癌細胞に強発現することが示された。
また、図7に胸腺癌のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。胸腺癌では、CD5、c-Kit及びPRAMEが強く染色されていた。また図8から図11には、それぞれ胸腺腫タイプA、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、及び胸腺腫タイプB3のCD5、c-Kit及びPRAMEの免疫染色画像を示す。これまで胸腺癌のマーカーとして報告されていたCD5は、胸腺腫タイプA、胸腺腫タイプB1、胸腺腫タイプB2、及び胸腺腫タイプB3の腫瘍細胞にも陽性シグナルが検出された。c-Kit (CD117)は非特許文献1においても胸腺癌のマーカーであることが示されている。しかし、非特許文献1によれば、胸腺癌におけるc-Kitの陽性率は78%であり、すべての胸腺癌を検出できるマーカーではないことが知られている。これに対してPRAMEは、検討した胸腺癌すべてで陽性となり、好適な胸腺癌のバイオマーカーであることが示された。また、胸腺癌は、他の悪性腫瘍と同様に、遠隔転移を起こす、再発する等の性質を有するため、胸腺癌を有する被検体の予後は一般的に不良である。上記結果は、PRAMEが、胸腺腫瘍を有する被検体の予後予測メーカーとしても使用可能であることを示していると考えられる。

Claims (14)

  1. 被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出する工程を含む、胸腺癌バイオマーカーの検出方法。
  2. PRAMEが検出された場合に、前記胸腺腫瘍が胸腺癌であることを示唆する、請求項1に記載の検出方法。
  3. PRAMEの検出が、腫瘍組織の免疫染色によって行われる、請求項1又は2に記載の検出方法。
  4. 被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEを検出する工程を含む、前記被検体予後を予測する予後予測マーカーの検出方法。
  5. PRAMEが検出された場合に、前記被検体の予後が不良であることを示唆する、請求項4に記載の検出方法。
  6. PRAMEの検出が、腫瘍組織の免疫染色によって行われる、請求項4又は5に記載の検出方法。
  7. 胸腺腫瘍の細胞内に存在するPRAMEを、胸腺癌のバイオマーカーとして使用する方法。
  8. 胸腺腫瘍の細胞内に存在するPRAMEを、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するためのバイオマーカーとして使用する方法。
  9. 被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内に存在するPRAMEを、胸腺癌のバイオマーカーとして検出するため検査試薬であって、前記検査試薬は、PRAMEを検出するための抗体、又は核酸を含む、検査試薬。
  10. 被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内に存在するPRAMEを、前記胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するためのバイオマーカーとして検出するため検査試薬であって、前記検査試薬は、PRAMEを検出するための抗体、又は核酸を含む、検査試薬。
  11. PRAMEからなる、胸腺癌のバイオマーカー。
  12. PRAMEからなる、胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するための予後予測マーカー。
  13. 処理部を備える、胸腺癌の検出装置であって、
    前記処理部は、
    被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEの測定値を取得し、
    取得した測定値を、基準値と比較し、
    取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞であることを示すラベルを出力する、及び/又は取得した測定値が、前記基準値よりも低い場合に、前記胸腺腫瘍細胞が胸腺癌細胞ではないことを示すラベルを出力する、
    予後予測装置。
  14. 処理部を備える、胸腺腫瘍を有する被検体の予後を予測するための予後予測装置であって、
    前記処理部は、
    被検体から採取された胸腺腫瘍細胞内のPRAMEの測定値を取得し、
    取得した測定値を、基準値と比較し、
    取得した測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記被検体の予後が不良であることを示すラベルを出力する、及び/又は取得した測定値が、前記基準値よりも低い場合に、前記被検体の予後が良好であることを示すラベルを出力する、予後予測装置。
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