JP7216396B2 - 新規メバロン酸経路を有する非古細菌生物 - Google Patents

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本発明は、新規メバロン酸経路を有する非古細菌生物等に関する。
イソプレノイドは自然界最大の天然有機化合物群であり、70,000種以上が存在するとされている。イソプレノイドは全ての生物ドメインで生理学的に重要な役割を担っている。例えば、呼吸鎖キノン、高等動物におけるビタミンAやビタミンKのような脂溶性ビタミン類、膜脂質の構成成分やホルモンのようなステロイド類、高等植物におけるカロテノイド、アブシシン酸やジベレリンのような植物ホルモンなどが代表例として挙げられる。またアーキアにおける全ての膜脂質はイソプレノイドによって炭化水素鎖が構成され、極限環境への適応に関与している。
イソプレノイドは、炭素数5の活性イソプレン単位であるイソペンテニル二リン酸(IPP)と、その構造異性体であるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)を前駆体として合成される。これらの前駆体を合成する経路としては、メバロン酸(MVA)経路が知られている。MVA経路は、アセチルCoAを出発物質とし、MVAを経てIPPを合成する経路である。DMAPPはIPPの異性化により合成される。
イソプレノイドは、医薬、ビタミン、テルペン、ゴム等の種々の物質そのものを構成する、或いはこれらの原料となる化合物であり、メバロン酸経路を利用したイソプレノイドの製造方法が各種知られている(特許文献1)。しかしながら、いずれの方法も、既存のメバロン酸経路(図1)を利用するものである。
特開第2017-148063号公報
本発明者は、新規メバロン酸経路を見出すことに着目した。本発明は、新規メバロン酸経路を見出し、これを利用したイソプレノイド化合物製造技術を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を進めた結果、古細菌AcnXタンパク質のコード配列を含むポリヌクレオチド、及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、非古細菌生物であれば、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1.
古細菌AcnXタンパク質のコード配列を含むポリヌクレオチド、及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、非古細菌生物。
項2.
さらに、フラビンプレニルトランスフェラーゼのコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、項1に記載の非古細菌生物。
項3.
前記古細菌AcnXタンパク質がクレンアーキオータ門又はユリアーキオータ門由来のタンパク質であり、且つ前記古細菌UbiDタンパク質ホモログがクレンアーキオータ門又はユリアーキオータ門由来のタンパク質である、項1又は2に記載の非古細菌生物。
項4.
前記古細菌AcnXタンパク質及び前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが、共にクレンアーキオータ門由来のタンパク質である、項1~3のいずれかに記載の非古細菌生物。
項5.
前記古細菌AcnXタンパク質が下記(A)又は(B)に記載の複合体タンパク質:
(A)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質、又は
(B)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質であり、且つ5-ホスホメバロン酸(MVA5P)デヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質、
であり、且つ
前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが下記(C)又は(D)に記載のタンパク質:
(C)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(D)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つトランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
である、項1~4のいずれかに記載の非古細菌生物。
項6.
前記非古細菌生物が、腸内細菌科細菌、放線菌、乳酸菌、クロストリジア、シアノバクテリア、酵母、藻類、糸状菌、又は植物である、項1~5のいずれかに記載の非古細菌生物。
項7.
さらに、メバロン酸経路上の他の酵素のコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、項1~6のいずれかに記載の非古細菌生物。
項8.
前記他の酵素が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ(MVK)、イソペンテニルリン酸キナーゼ(IPK)、及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)からなる群より選択される少なくとも1種である、項7に記載の非古細菌生物。
項9.
項1~8のいずれかに記載の非古細菌生物の培養物。
項10.
項9に記載の培養物から、一般式(1):
Figure 0007216396000001
[式中、Xはリン酸基、又はヒドロキシ基又は水素を示す。]
で表される化合物、及び/又は一般式(2):
Figure 0007216396000002
[式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
で表される化合物を得ることを含む、メバロン酸経路中間体又はその類縁体の製造方法。
項11.
一般式(1):
Figure 0007216396000003
[式中、Xはヒドロキシ基、リン酸基又は水素を示す。]
で表される化合物、及び/若しくは一般式(2):
Figure 0007216396000004
[式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
で表される化合物、それらの塩、又はそれらの溶媒和物。
項12.
項9に記載の培養物から、
(a)イソプレノイド化合物、並びに/又は
(b)一般式(1):
Figure 0007216396000005
[式中、Xはヒドロキシ基、リン酸基又は水素を示す。]
で表される化合物の脱炭酸生成物、及び/若しくは一般式(2):
Figure 0007216396000006
[式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
で表される化合物の脱炭酸生成物、
を得ることを含む、化合物の製造方法。
項13.
古細菌AcnXタンパク質のコード配列及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
項14.
古細菌AcnXタンパク質を含有する、MVA5Pデヒドラターゼ酵素剤。
項15.
古細菌UbiDタンパク質ホモログを含有する、tAHMPデカルボキシラーゼ酵素剤。
本発明によれば、新規メバロン酸経路を利用したイソプレノイド化合物製造技術を提供することができる。
メバロン酸経路の模式図を示す。網かけ矢印は5-ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(DMD)およびそのホモログを示す。 古細菌AcnXタンパク質の酵素活性の解析結果(実施例2-2)を示す。MVA5P:5-ホスホメバロン酸、ApAcnX:Aeropyrum pernix由来組換えAcnXタンパク質。 古細菌UbiDタンパク質ホモログの酵素活性の解析結果(実施例4-2)を示す。anhydro MVA5P:トランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)、IP:イソペンテニルリン酸、精製酵素溶液:精製UbiDタンパク質ホモログ溶液。 古細菌UbiDタンパク質ホモログ生成物の検証結果(実施例4-3)を示す。MVA:メバロン酸、MVA5P:5-ホスホメバロン酸、MVA5PP:5-ジホスホメバロン酸、anhydro MVA5P:トランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)、IP:イソペンテニルリン酸、IPP:イソペンテニル二リン酸。GGOH:ゲラニルゲラニオール 実施例5-1で作製したプラスミドの作製スキームを示す。 リコペン産生試験(実施例5-2)の結果を示す。数字は、表3に示されるサンプル番号を示す。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本明細書において、アミノ酸配列の「同一性」とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対するアミノ酸配列の一致の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の一致性が高いほど、それらの配列の同一性又は類似性は高い。アミノ酸配列の同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて決定される。若しくは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(Karlin S, Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoring schemes” Proc. Natl. Acad. Sci. USA.87:2264-2268(1990)、KarlinS,Altschul SF.“Applications and statistics for multiple high-scoring segments in molecular sequences.”Proc. Natl. Acad. Sci. USA.90:5873-7(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。また、塩基配列の「同一性」も上記に準じて定義される。 本明細書中において、「保存的置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基;チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
本明細書において、DNA、RNAなどのポリヌクレオチドには、次に例示するように、公知の化学修飾が施されていてもよい。ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、各ヌクレオチドのリン酸残基(ホスフェート)を、例えば、ホスホロチオエート(PS)、メチルホスホネート、ホスホロジチオネート等の化学修飾リン酸残基に置換することができる。また、各リボヌクレオチドの糖(リボース)の2位の水酸基を、-OR(Rは、例えばCH3(2´-O-Me)、CH2CH2OCH3(2´-O-MOE)、CH2CH2NHC(NH)NH2、CH2CONHCH3、CH2CH2CN等を示す)に置換してもよい。さらに、塩基部分(ピリミジン、プリン)に化学修飾を施してもよく、例えば、ピリミジン塩基の5位へのメチル基やカチオン性官能基の導入、あるいは2位のカルボニル基のチオカルボニルへの置換などが挙げられる。さらには、リン酸部分やヒドロキシル部分が、例えば、ビオチン、アミノ基、低級アルキルアミン基、アセチル基等で修飾されたものなどを挙げることができるが、これに限定されない。また、ヌクレオチドの糖部の2´酸素と4´炭素を架橋することにより、糖部のコンフォーメーションをN型に固定したものであるBNA(LNA)等もまた、好ましく用いられ得る。 本明細書において、「古細菌」とは、特に制限されず、例えばクレンアーキオータ門、ユリアーキオータ門、タウムアーキオータ門、アイグアーキオータ門、コルアーキオータ門、バチアーキオータ門、ロキアーキオータ門等の古細菌が挙げられ、これらの中でも好ましくはクレンアーキオータ門、ユリアーキオータ門等の古細菌が挙げられる。クレンアーキオータ門の古細菌として、好ましくはデスルフロコックス科の古細菌、より好ましくはアエロピュルム属の古細菌、さらに好ましくはアエロピュルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)が挙げられる。ユリアーキオータ門の古細菌として、好ましくはメタノサルキナ科の古細菌、より好ましくはメタノサルキナ属の古細菌、さらに好ましくはメタノサルキナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)が挙げられる。
本明細書において、エステル(-COOR)におけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルなどのC1-6アルキル基;例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基;例えば、フェニル、α-ナフチルなどのC6-12アリール基;例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル-C1-2アルキル基;α-ナフチルメチルなどのα-ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基;ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
1.非古細菌生物
本発明は、その一態様において、古細菌AcnXタンパク質のコード配列を含むポリヌクレオチド(本明細書において、「AcnXコードポリヌクレオチド」と示すこともある。)、及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含むポリヌクレオチド(本明細書において、「UbiDホモログコードポリヌクレオチド」と示すこともある。)を含む、非古細菌生物(本明細書において、「本発明の生物」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
1-1.古細菌AcnXタンパク
古細菌AcnXタンパク質は、ラージサブユニット(AcnX L)とスモールサブユニット(AcnX S)とからなる複合体タンパク質であり、古細菌由来のAcnXタンパク質である限り特に制限されない。
古細菌AcnXタンパク質の具体例を以下の表1に示す。各IDについて、アンダーバー(_)を含むIDはMBGD (mgbd.genome.ad.jp)におけるIDである。表1に示す種以外の古細菌におけるAcnXタンパク質についても、同一性、相同性検索により、容易に決定することができる。
Figure 0007216396000007
Figure 0007216396000008
古細菌AcnXタンパク質は、5-ホスホメバロン酸(MVA5P)デヒドラターゼ活性を有する限りにおいて、内在性のタンパク質に対して、変異が導入されたものであってもよい。ここで、MVA5Pデヒドラターゼ活性は、MVA5Pを、式:
Figure 0007216396000009
で表される化合物(トランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP))に変換する活性である。
MVA5Pデヒドラターゼ活性の有無は、基質(MVA5P)と判定対象タンパク質とを反応させて、反応物を分析(例えば、クロマトグラフィーで分離)して、反応物中にtAHMPが含まれるか否かを調べることによって、判定することができる。具体的には、例えば実施例2に記載の方法によって、判定することができる。
変異タンパク質は、好ましくは内在性古細菌AcnXラージサブユニットのアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質と、内在性古細菌AcnXスモールサブユニットのアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質とを含む複合体タンパク質であり、且つMVA5Pデヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質である。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられ、より好ましくは保存的置換が挙げられる。変異アミノ酸の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
古細菌AcnXタンパク質の好ましい一態様は、下記(A)又は(B)に記載の複合体タンパク質:
(A)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質、又は
(B)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質であり、且つMVA5Pデヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質、
である。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられ、より好ましくは保存的置換が挙げられる。変異アミノ酸の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
なお、配列番号1は、A. pernix由来のAcnX Lであり、KEGGデータベース上のID:APE_2087.1に示されるアミノ酸配列である。配列番号2は、M. mazei由来のAcnX Lであり、KEGGデータベース上のID:MM_1525に示されるアミノ酸配列である。配列番号3は、A. pernix由来のAcnX Sであり、KEGGデータベース上のID:APE_2089に示されるアミノ酸配列である。配列番号4は、M. mazei由来のAcnX Sであり、KEGGデータベース上のID:MM_1524に示されるアミノ酸配列である。
古細菌AcnXタンパク質は、上記「活性」を有する限りにおいて、化学修飾されたものであってもよい。
古細菌AcnXタンパク質は、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)の何れであってもよい。
古細菌AcnXタンパク質は、C末端以外のカルボキシル基(またはカルボキシレート)が、アミド化またはエステル化されていてもよい。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、古細菌AcnXタンパク質には、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども包含される。
古細菌AcnXタンパク質は、上記「活性」を有する限りにおいて、公知のタンパク質タグ、シグナル配列等のタンパク質又はペプチドが付加されたものであってもよい。タンパク質タグとしては、例えばビオチン、Hisタグ、FLAGタグ、Haloタグ、MBPタグ、HAタグ、Mycタグ、V5タグ、PAタグ等が挙げられる。
古細菌AcnXタンパク質は、酸または塩基との塩の形態であってもよい。塩は、特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
古細菌AcnXタンパク質は、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
1-2.古細菌UbiDタンパク質ホモログ
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、古細菌由来のUbiDタンパク質ホモログである限り特に制限されない。
古細菌UbiDタンパク質ホモログの具体例を上記の表1に示す。表1に示す種以外の古細菌におけるUbiDタンパク質ホモログについても、同一性、相同性検索により、容易に決定することができる。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、tAHMPデカルボキシラーゼ活性を有する限りにおいて、内在性のタンパク質に対して、変異が導入されたものであってもよい。ここで、tAHMPデカルボキシラーゼ活性は、式:
Figure 0007216396000010
で表される化合物tAHMPを、イソペンテニルリン酸(IP)に変換する活性である。
tAHMPデカルボキシラーゼ活性の有無は、基質(tAHMP)と判定対象タンパク質とを反応させて、反応物を分析(例えば、クロマトグラフィーで分離)して、反応物中にIPが含まれるか否かを調べることによって、判定することができる。具体的には、例えば実施例4に記載の方法によって、判定することができる。
変異タンパク質は、好ましくは内在性古細菌UbiDタンパク質ホモログのアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つtAHMPデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質である。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられ、より好ましくは保存的置換が挙げられる。変異アミノ酸の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
古細菌UbiDタンパク質ホモログの好ましい一態様は、下記(C)又は(D)に記載の複合体タンパク質:
(C)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
(D)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つtAHMPデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
である。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられ、より好ましくは保存的置換が挙げられる。変異アミノ酸の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
なお、配列番号5は、A. pernix由来のUbiDタンパク質ホモログであり、KEGGデータベース上のID:APE_2078に示されるアミノ酸配列である。配列番号6は、M. mazei由来のUbiDタンパク質ホモログであり、KEGGデータベース上のID:MM_1526に示されるアミノ酸配列である。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、上記「活性」を有する限りにおいて、化学修飾されたものであってもよい。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、C末端がカルボキシル基(-COOH)、カルボキシレート(-COO)、アミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)の何れであってもよい。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、C末端以外のカルボキシル基(またはカルボキシレート)が、アミド化またはエステル化されていてもよい。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、古細菌UbiDタンパク質ホモログには、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成し得るN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば-OH、-SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども包含される。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、上記「活性」を有する限りにおいて、公知のタンパク質タグ、シグナル配列等のタンパク質又はペプチドが付加されたものであってもよい。タンパク質タグとしては、例えばビオチン、Hisタグ、FLAGタグ、Haloタグ、MBPタグ、HAタグ、Mycタグ、V5タグ、PAタグ等が挙げられる。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、酸または塩基との塩の形態であってもよい。塩は、特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
古細菌UbiDタンパク質ホモログは、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
1-3.AcnXコードポリヌクレオチド、UbiDホモログコードポリヌクレオチド
AcnXコードポリヌクレオチドは、古細菌AcnXタンパク質のコード配列を含む。UbiDホモログコードポリヌクレオチドは、古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含む。
古細菌AcnXタンパク質コード配列としては、古細菌AcnXタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである限り、特に制限されない。AcnX Lコード配列としては、例えば下記(PL)又は(QL)に記載の塩基配列:
(PL)配列番号39~40に示される塩基配列、又は
(QL)配列番号39~40に示される塩基配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有する塩基配列
が挙げられ、AcnX Sコード配列としては、例えば下記(PS)又は(QS)に記載の塩基配列:
(PS)配列番号41~42に示される塩基配列、又は
(QS)配列番号41~42に示される塩基配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有する塩基配列
が挙げられる。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられる。変異塩基の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
なお、配列番号39は、A. pernix由来のAcnX Lコード配列であり、KEGGデータベース上のID:APE_2087.1に示される塩基配列である。配列番号40は、M. mazei由来のAcnX Lコード配列であり、KEGGデータベース上のID:MM_1525に示される塩基配列である。配列番号41は、A. pernix由来のAcnX Sコード配列であり、KEGGデータベース上のID:APE_2089に示される塩基配列である。配列番号42は、M. mazei由来のAcnX Sコード配列であり、KEGGデータベース上のID:MM_1524に示される塩基配列である。
古細菌UbiDタンパク質ホモログコード配列としては、古細菌UbiDタンパク質ホモログをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドである限り、特に制限されない。古細菌UbiDタンパク質ホモログコード配列としては、例えば下記(X)又は(Y)に記載の塩基配列:
(X)配列番号43~44に示される塩基配列、又は
(Y)配列番号43~44に示される塩基配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有する塩基配列
が挙げられる。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられる。変異塩基の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
なお、配列番号43は、A. pernix由来のUbiDタンパク質ホモログコード配列であり、KEGGデータベース上のID:APE_2078に示される塩基配列である。配列番号44は、M. mazei由来のUbiDタンパク質ホモログコード配列であり、KEGGデータベース上のID:MM_1526に示される塩基配列である。
ポリヌクレオチドは、その一態様において、コード配列の上流に、古細菌AcnXタンパク質、古細菌UbiDタンパク質ホモログを発現させるためのプロモーターを含む。プロモーターとしては、特に制限されず、宿主に応じて適宜選択することができる。プロモーターとしては、例えばtrcやtac等のトリプトファンプロモーター、lacプロモーター、T7プロモーター、T5プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、アラビノース誘導プロモーター、コールドショックプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター等が挙げられる。また、その他にも、TDH3プロモーター、GAL10プロモーター、CMVプロモーター、EF1プロモーター、SV40プロモーター、MSCVプロモーター、CAGプロモーター等が挙げられる。
ポリヌクレオチドは、必要に応じて、他のエレメント(例えば、マルチクローニングサイト(MCS)、薬剤耐性遺伝子、複製起点など)を含んでいてもよい。例えば、ポリヌクレオチドにおいて、5´側から、プロモーター、古細菌AcnXタンパク質コード配列及び/又は古細菌UbiDタンパク質ホモログコード配列の順に配置されている場合であれば、プロモーターとコード配列の間に(好ましくはいずれか一方或いは両方に隣接して)、コード配列の3´側に(好ましくは隣接して)、MCSが配置されている態様が挙げられる。MCSは複数(例えば2~50、好ましくは2~20、より好ましくは2~10)個の制限酵素サイトを含むものであれば特に制限されない。
ポリヌクレオチドは、ベクターを構成していてもよい。ベクターの種類は、特に制限されず、宿主に応じて適宜選択される。例えば、大腸菌においてはpBR322誘導体に代表されるColE1系プラスミド、p15Aオリジンを持つpACYC系プラスミド、pSC系プラスミド、Bac系等のF因子由来ミニFプラスミドが挙げられる。
AcnXコードポリヌクレオチド及びUbiDホモログコードポリヌクレオチドは、それぞれ別々のポリヌクレオチドであってもよいし、合わせて1つの(1分子)のポリヌクレオチドであってもよい。
AcnXコードポリヌクレオチド及びUbiDホモログコードポリヌクレオチドは、非古細菌生物のゲノムに組み込まれていてもよいし、ゲノム外に存在していてもよい。
AcnXコードポリヌクレオチド及びUbiDホモログコードポリヌクレオチドは、それぞれ、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
上記したポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法に従って容易に作製することができる。例えば、PCR、制限酵素切断、DNA連結技術等を利用して作製することができる。
1-4.フラビンプレニルトランスフェラーゼコードポリヌクレオチド
本発明の生物は、好ましくはフラビンプレニルトランスフェラーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド(本明細書において、「フラビンプレニルトランスフェラーゼコードポリヌクレオチド」と示すこともある。)を含む。これにより、古細菌UbiDタンパク質ホモログの活性をより高めることができると考えられる。
フラビンプレニルトランスフェラーゼとしては、特に制限されず、古細菌由来UbiXタンパク質ホモログ、その他生物由来のフラビンプレニルトランスフェラーゼ(例えば、酵母YDR538W等)を採用することができる。
古細菌UbiXタンパク質ホモログの具体例を以下の表1に示す。表1に示す種以外の古細菌におけるUbiXタンパク質ホモログについても、同一性、相同性検索により、容易に決定することができる。
フラビンプレニルトランスフェラーゼは、フラビンプレニルトランスフェラーゼ活性を有する限りにおいて、内在性のタンパク質に対して、変異が導入されたものであってもよい。変異タンパク質は、好ましくはフラビンプレニルトランスフェラーゼのアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つフラビンプレニルトランスフェラーゼ活性を有する複合体タンパク質である。変異としては、例えば置換、欠失、付加、挿入等が挙げられ、好ましくは置換が挙げられ、より好ましくは保存的置換が挙げられる。変異アミノ酸の数は、好ましくは1又は複数個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個、よりさらに好ましくは1個である。
フラビンプレニルトランスフェラーゼは、上記「活性」を有する限りにおいて、化学修飾された形態、公知のタンパク質タグ、シグナル配列等のタンパク質又はペプチドが付加された形態、塩の形態、溶媒和物の形態であってもよい。これらの形態については、上記「1-1」及び「1-2」と同様である。
フラビンプレニルトランスフェラーゼコードポリヌクレオチドは、AcnXコードポリヌクレオチド及びUbiDホモログコードポリヌクレオチドと別々のポリヌクレオチドであってもよいし、これらのいずれか又は両方と合わせて1つの(1分子)のポリヌクレオチドであってもよい。また、フラビンプレニルトランスフェラーゼコードポリヌクレオチドは、非古細菌生物のゲノムに組み込まれていてもよいし、ゲノム外に存在していてもよい。その他、フラビンプレニルトランスフェラーゼコードポリヌクレオチドについては、上記「1-1」及び「1-2」と同様である。
上記したポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法に従って容易に作製することができる。例えば、PCR、制限酵素切断、DNA連結技術等を利用して作製することができる。
1-5.他の酵素をコードするポリヌクレオチド
本発明の生物は、必要に応じて(例えば、生物を利用して製造する対象化合物に応じて)、他の酵素をコードするポリヌクレオチドを含む。
他の酵素としては、例えば、アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ(MVK)、イソペンテニルリン酸キナーゼ(IPK)、及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)等のメバロン酸経路上の酵素が挙げられる。また、他にも、イソプレノイド化合物合成経路上の各種酵素が上げられる。
他の酵素は、1種単独でもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
他の酵素をコードするポリヌクレオチドは、AcnXコードポリヌクレオチド及びUbiDホモログコードポリヌクレオチドと別々のポリヌクレオチドであってもよいし、これらのいずれか又は両方と合わせて1つの(1分子)のポリヌクレオチドであってもよい。また、他の酵素をコードするポリヌクレオチドは、非古細菌生物のゲノムに組み込まれていてもよいし、ゲノム外に存在していてもよい。その他、他の酵素をコードするポリヌクレオチドについては、上記「1-1」及び「1-2」と同様である。
上記したポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法に従って容易に作製することができる。例えば、PCR、制限酵素切断、DNA連結技術等を利用して作製することができる。
1-6.生物
生物は、非古細菌生物、すなわち古細菌以外の種の生物である限り、特に制限されない。非古細菌生物としては、内在及び/又は外来の因子によりメバロン酸経路を駆動させ得る生物(細胞も含む)である限り、特に制限されない。該生物としては、例えば腸内細菌科細菌等の細菌、酵母等の真菌、昆虫細胞、動物細胞、植物細胞、藻類等の植物等が挙げられる。
細菌としては、例えばグラム陽性菌、グラム陰性菌等が挙げられる。
グラム陽性細菌としては、バシラス(Bacillus)属細菌、リステリア(Listeria)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属細菌、エンテロコッカス(Enterococcus)属細菌、クロストリジウム(Clostridium)属細菌等のクロストリジア、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)属細菌等が挙げられ、バシラス(Bacillus)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、放線菌、乳酸菌等が好ましい。
バシラス(Bacillus)属細菌としては、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)等が挙げられ、枯草菌(Bacillus subtilis)がより好ましい。
コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌としては、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)等が挙げられ、コリネバクテリウム・グルタミカムがより好ましい。
グラム陰性細菌としては、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、パントエア(Pantoea)属細菌、サルモネラ(Salmonella)属細菌、ビブリオ(Vivrio)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、エンテロバクター(Enterobacter)属細菌等が挙げられ、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、パントエア(Pantoea)属細菌、エンテロバクター(Enterobacter)属細菌、シアノバクテリア等が好ましい。
エシェリヒア(Escherichia)属細菌としては、大腸菌(Escherichia coli)が好ましい。
パントエア(Pantoea)属細菌としては、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・スチューアルティ(Pantoea stewartii)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)等が挙げられ、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)が好ましい。
エンテロバクター(Enterobacter)属細菌としては、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)等が挙げられ、エンテロバクター・アエロゲネス(Engerobacter aerogenes)が好ましい。
真菌としては、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、フザリウム(Fusarium)属、ムコール(Mucor)属の微生物等が挙げられ、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、またはトリコデルマ(Trichoderma)属の微生物、糸状菌等が好ましい。
サッカロミセス(Saccharomyces)属の微生物としては、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ディアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベラ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、サッカロミセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)が挙げられ、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。
シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の微生物としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)が好ましい。
ヤロウイア(Yarrowia)属の微生物としては、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)が好ましい。
トリコデルマ(Trichoderma)属の微生物としては、トリコデルマ・ハルジアヌム(Ttichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)が挙げられ、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)が好ましい。
本発明の生物は、公知の方法に従って又は準じて、例えば上記したポリヌクレオチドを生物に導入する操作、形質転換法等によって、作製することができる。
2.培養物、メバロン酸経路中間体又はその類縁体、イソプレノイド化合物又は脱炭酸生成物
本発明は、その一部の態様において、本発明の細胞の培養物、メバロン酸経路中間体又はその類縁体の製造方法、イソプレノイド化合物又は脱炭酸生成物の製造方法等に関する。以下に、これらについて説明する。
2-1.培養物
本発明の生物を培養することによって、その培養物を得ることができる。 本発明の生物が微生物である場合の培養方法の例を以下に説明する。本発明の生物が比較的大きな生物である場合も、以下の培養方法における栄養素を含む培地を用い、その種に応じた公知の培養方法を採用することができる。
本発明の生物を培養する培地としては、メバロン酸またはイソプレンに転換されるための炭素源を含むことが好ましい。炭素源としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類等の炭水化物;ショ糖を加水分解した転化糖;グリセロール;メタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸塩、一酸化炭素、二酸化炭素等の炭素数が1の化合物(以下、C1化合物という。);コーン油、パーム油、大豆油等のオイル;アセテート;動物油脂;動物オイル;飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の脂肪酸;脂質;リン脂質;グリセロ脂質;モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル;微生物性タンパク質、植物性タンパク質等のポリペプチド;加水分解されたバイオマス炭素源等の再生可能な炭素源;酵母エキス;又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養源としては、ビタミンB1、L-ホモセリンなどの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加されてもよい。なお、本発明で用いる培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じてその他の有機微量成分を含む培地であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
単糖類としては、ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン)、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)等のトリオース;ケトテトロース(エリトルロース)、アルドテトロース(エリトロース、トレオース)等のテトロース;ケトペントース(リブロース、キシルロース)、アルドペントース(リボース、アラビノース、キシロース、リキソース)、デオキシ糖(デオキシリボース)等のペントース;ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース)、アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース)、デオキシ糖(フコース、フクロース、ラムノース)等のヘキソース;セドヘプツロース等のヘプトースが挙げられ、フルクトース、マンノース、ガラクトース、グルコース等のC6糖;キシロース、アラビノース等のC5糖の炭水化物が好ましい。
二糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等が挙げられ、スクロース、ラクトースが好ましい。
オリゴ糖類としては、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類;アカルボース、スタキオース等の四糖類;フラクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、マンナンオリゴ糖(MOS)等のその他のオリゴ糖類が挙げられる。
多糖類としては、グリコーゲン、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、デキストリン、グルカン(β1,3-グルカン)が挙げられる。デンプン、セルロースが好ましい。
微生物性タンパク質としては、酵母または細菌から得ることができるポリペプチドが挙げられる。
植物性タンパク質としては、大豆、コーン、キャノーラ、ジャトロファ、パーム、ピーナッツ、ヒマワリ、ココナッツ、マスタード、綿実、パーム核油、オリーブ、紅花、ゴマ、亜麻仁から得ることができるポリペプチドが挙げられる。
脂質としては、C4以上の飽和または不飽和脂肪酸を1以上含む物質が挙げられる。
オイルとしては、C4以上の飽和、不飽和脂肪酸が1以上含み、室温で液体の脂質が好ましく、大豆、コーン、キャノーラ、ジャトロファ、パーム、ピーナッツ、ヒマワリ、ココナッツ、マスタード、綿実、パーム核油、オリーブ、紅花、ゴマ、亜麻仁、油性微生物細胞、ナンキンハゼ、又はこれらの2以上の組み合わせから得ることができる脂質が挙げられる。
脂肪酸としては、式RCOOH(「R」は炭化水素基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
不飽和脂肪酸は、「R」に少なくとも1の炭素-炭素二重結合を有する化合物であり、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、パルミテライジン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
飽和脂肪酸は、「R」が飽和脂肪族基である化合物であり、ドコサン酸、イコサン酸、オクタデカン酸、ヘキサデカン酸、テトラデカン酸、ドデカン酸等が挙げられる。
中でも、脂肪酸としては、1以上のC2からC22の脂肪酸が含まれるものが好ましく、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸が含まれるものがより好ましい。
また、炭素源としては、これら脂肪酸の塩、誘導体、誘導体の塩も挙げられる。塩としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
また、炭素源としては、脂質、オイル、油脂、脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステルとグルコース等の炭水化物との組み合わせが挙げられる。
再生可能な炭素源としては、加水分解されたバイオマス炭素源が挙げられる。
バイオマス炭素源としては、木、紙、及びパルプの廃材、葉状植物、果肉等のセルロース系基質;柄、穀粒、根、塊茎等の植物の一部分が挙げられる。
バイオマス炭素源として用いられる植物としては、コーン、小麦、ライ麦、ソルガム、トリティケイト、コメ、アワ、大麦、キャッサバ、エンドウマメ等のマメ科植物、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、サトウキビ、タピオカ等が挙げられる。
バイオマス等の再生可能な炭素源を培地に添加する際には、前処理することが好ましい。前処理としては、酵素的前処理、化学的前処理、酵素的前処理と化学的前処理の組み合わせが挙げられる。
本発明に関する本発明の生物の例示的な培養方法としては、生物を生理食塩水と栄養源を含む標準的培地で培養することが好ましい。
培養培地としては、特に限定されず、Luria Bertani(LB)ブロス、Sabouraud Dextrose(SD)ブロス、Yeast medium(YM)ブロス等の一般的に市販されている既成の培地が挙げられる。特定の宿主の培養に適した培地を適宜選択して用いることができる。
細胞培地には適切な炭素源の他に、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝液、及び培養に適していること、またはイソプレン産出を促進することが当業者にとって公知の成分が含まれていることが望ましい。
本発明の生物において、目的タンパク質の発現を維持するために、糖、金属塩、抗菌物質等を培地に添加しておくことが好ましい。
本発明の生物の培養条件としては、目的タンパク質の発現が可能な条件であれば、特に限定されず、標準的な培養条件を用いることができる。
培養温度としては、20℃~37℃が好ましく、ガス組成としては、CO2濃度が約6%~約84%であることが好ましく、pHが、約5~約9であることが好ましい。
本発明の生物は、好ましくは、宿主の性質に応じて好気性、無酸素性、又は嫌気性条件下で培養される。
本発明の生物の培養方法としては、例えば、バッチ培養法、流加培養法、連続培養法等の公知の発酵方法を用いて培養する方法が挙げられる。
2-2.メバロン酸経路中間体又はその類縁体の製造方法
本発明の生物を適切な条件で培養することにより、新規メバロン酸経路中間体又はその類縁体、具体的には一般式(1):
Figure 0007216396000011
[式中、Xはリン酸基、ヒドロキシ基又は水素を示す。]
で表される化合物、及び/又は一般式(2):
Figure 0007216396000012
[式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
で表される化合物が生じる。
培養物から、上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物を、公知の方法に従って回収することにより、新規メバロン酸経路中間体又はその類縁体を得ることができる。
上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物は、酸または塩基との塩の形態であってもよい。塩は、特に限定されず、酸性塩、塩基性塩のいずれも採用することができる。例えば酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩; 酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩; アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩基性塩の例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物及び/又は上記一般式(2)で表される化合物は、溶媒和物の形態であってもよい。溶媒は、特に限定されず、例えば水、エタノール、グリセロール、酢酸等が挙げられる。
2-3.イソプレノイド化合物又は脱炭酸生成物の製造方法
本発明の生物を適切な条件で培養することにより、イソプレノイド化合物が生じる。また、本発明の生物を適切な条件で培養することにより、一般式(1)で表される化合物や一般式(2)で表される化合物の内、tAHMP以外の化合物の脱炭酸生成物を生じさせることも可能である。
イソプレノイド化合物は、分子式(C5H8nを有する1以上のイソプレン単位からなる。イソプレン単位の前駆体は、イソペンテニルピロリン酸、またはジメチルアリルピロリン酸である。30,000種のイソプレノイド化合物が同定されており、新たな化合物が同定されている。イソプレノイドはまた、テルペノイドとしても知られている。テルペンとテルペノイドとの相違は、テルペンが炭化水素であるのに対し、テルペノイドはさらなる官能基を含む点にある。テルペンは、分子中のイソプレン単位数により分類される〔例えば、ヘミテルペン(C5)、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セステルテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、セスカルテルペン(C35)、テトラテルペン(C40)、ポリテルペン、ノルイソプレノイド〕。モノテルペンとしては、例えば、ピネン、ネロール、シトラール、カンファー、メントール、リモネン、およびリナロールが挙げられる。セスキテルペンとしては、例えば、ネロリドール、およびファルネソールが挙げられる。ジテルペンとしては、例えば、フィトール、およびビタミンA1が挙げられる。スクアレンはトリテルペンの例であり、カロテン(プロビタミンA1)はテトラテルペンである。イソプレノイド化合物は、医薬、ビタミン、テルペン、ゴム等の種々の物質そのものであってもよいし、或いはこれらの原料となる化合物であってもよい。
培養物から、イソプレノイド化合物並びに/又は脱炭酸生成物を、公知の方法に従って回収することにより、それらの化合物を得ることができる。
3.ポリヌクレオチド
本発明は、その一態様において、古細菌AcnXタンパク質のコード配列及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチドに関する。
「単離された」とは、例えばゲノムDNAそのものではない、という意味を示す。この観点から、ポリヌクレオチドの塩基長は、例えば50kb以下、20kb以下、10kb以下、6kb以下、3kb以下である。該塩基長の下限は、コード配列の塩基長である。
その他、各用語の定義等については、上記「1-1」における説明と同様である。
4.酵素剤
本発明は、その一態様において、古細菌AcnXタンパク質を含有する、MVA5Pデヒドラターゼ酵素剤に関する。また、本発明は、その一態様において、古細菌UbiDタンパク質ホモログを含有する、tAHMPデカルボキシラーゼ酵素剤に関する。
酵素剤は、古細菌AcnXタンパク質又は古細菌UbiDタンパク質ホモログのみからなるものであってもよいし、他の成分を含むものであってもよい。他の成分としては、例えば基剤、担体、溶媒、分散剤、乳化剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、吸収促進剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤等が挙げられる。
その他、各用語の定義等については、上記「1-1」における説明と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下、特に断りの無い限り、プラスミドベクターの表記は、「プラスミド名-導入されている遺伝子名」で示す。また、遺伝子名は、KEGGデータベース(https://www.genome.jp/kegg/kegg_ja.html)におけるIDで示す。例えば、「pET15b-APE_2087.1」なるプラスミドベクターは、pET15bに、KEGGデータベース上のAPE_2087.1遺伝子が導入されてなるベクターを示す。また、特に説明の無い限り、酵素、基質の略号の意味は、図1を参照する。
実施例1.新規メバロン酸経路の探索1
5-ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(DMD)ホモログの遺伝子を保有する/しない種に古細菌を分類し、保有種のゲノムには存在せず、非保有種に特異的に存在しているオルソログ遺伝子群を探索した。その結果、2つのサブユニットから成る機能未知タンパク質アコニターゼX(AcnX)をコードする遺伝子を見出した。
実施例2.古細菌AcnXタンパク質の機能解析
古細菌AcnXタンパク質として、クレンアーキオータ門に属するA. pernix由来の古細菌AcnXタンパク質(ラージサブユニット:KEGGのAPE_2087.1、スモールサブユニット:KEGGのApe_2089)を用いて、その機能を解析した。
<実施例2-1.組換え古細菌AcnXタンパク質の発現及び精製>
(1)pET15b-APE_2087.1、pET15b-Ape_2089をそれぞれE. coli Rosetta2(DE3)へ導入した。
(2)得られた本発明の細胞をそれぞれAuto Induction培地(アンピシリン:100μg/mL、クロラムフェニコール:30 μg/mL)にて37℃、18時間培養した。Auto Induction培地(組成:Na2HPO4 6g、KH2PO4 3g、Tryptone 20g、Yeast extract 5g、NaCl 5g、Up to 950μL)は調製した後にオートクレーブで滅菌し、さらに植菌の直前に滅菌濾過した溶液A(組成:グルコース 0.5g、ラクトース 2g、Up to 50μL)を添加した。
(3)2種の本発明の細胞をそれぞれ集菌した後、各菌体3 gを混合し、30 mlのHistrap binding buffer II(組成:Sodium phosphate (pH7.4) 20mM、NaCl 500mM、Imidazole 25mM)で懸濁した。
(4)超音波発生装置UP200S (Hielscher Ultrasonics)を用いて、Cycle 0.3、Amplitude 60の設定で菌体を破砕した。氷上にて2 min超音波破砕操作をし、この操作を3 回繰り返した。
(5)菌体破砕液を15,000 rpm、30分、4℃で遠心分離した後、上清を回収した。得られた上清を孔径0.45μmのシリンジフィルターで濾過した。
(6)Ni2+を添加したHistrap FF カラム(GE Healthcare、カラム体積1 ml)をHistrap binding buffer II 10 mlで平衡化後、上清をカラムにアプライした。
(7)Histrap binding buffer II 10 mlで洗浄した後、Histrap elute buffer III(組成:Sodium phosphate (pH8.0) 20mM、NaCl 500mM、Imidazole 500mM)で目的タンパク質を溶出した。この溶出液を以降の実験で古細菌AcnXタンパク質として使用した。
<実施例2-2.古細菌AcnXタンパク質の酵素活性の解析>
(1)反応液(組成:[2-14C]MVA5P 45.5nmol(5,550,000dpm)、古細菌AcnXタンパク質 0.5nmol、Sodium phosphate (pH8.0) 5μmol、Up to 50μL)を調製し、90℃で1時間反応させた。
(2)順相TLCを用いて、MVA5PとApAcnX生成物を分離した。TLC条件:TLCプレートTLC silica gel 60、展開溶媒クロロホルム:ピリジン:ギ酸:水=12:28:6:4。
(3)TLCプレートにイメージングプレート(BAS-IP)を密着露光させた。Typhoon FLA 9000でイメージングプレートを読み取った後、解析ソフトImage Quant TLを用いて画像解析を行った。
(4)画像解析の結果をもとにApAcnX生成物のRf値を求め、その値±0.05の領域のシリカをかきとった。
(5)かきとったシリカに、1 M 酢酸アンモニウム緩衝液(pH 7.5)を300μL加え、ApAcnX生成物を抽出した。この作業を2回繰り返した。
(6)遠心して抽出液のみを回収した後、100℃で加熱して、約100μLまで濃縮した。この溶液を放射標識ApAcnX生成物とした。
(7)反応液(組成:放射性標識ApAcnX生成物 54.6pmol(6,660dpm)、精製ApAcnX 0.3nmol、Sodium phosphate(pH8.0) 3μmol、Up to 30μL)を調製し、90℃で1時間反応させた。
(8)順相TLC解析を上記(2)と同様にして行った。
<実施例2-3.ApAcnX生成物のNMR解析>
(1)反応液(組成:[U-13C]5-ホスホメバロン酸(MVA5P) 3 μmol、古細菌AcnXタンパク質 2 μmol、Sodium phosphate(pH8.0) 20 μmol、Up to 200 μL with 10%D2O)を調製し、90℃で2時間反応させた。
(2)限外濾過用遠心フィルターにより除タンパク処理を行ったのち、定法に従ってNMR解析した。
<実施例2-4.結果>
実施例2-2の結果を図2に示す。古細菌AcnXタンパク質とMVA5Pと反応させることにより生成物が生じることが分かった(図2の左から1-2レーン)。また、この反応は可逆的であることも分かった(図2の左から3-4レーン)。
実施例2-3の結果は次の通りである:13C NMR (600 MHz, H2O/D2O) δ: 177.0, 122.8, 145.1, 40.1, 62.6, 17.8。この結果より、ApAcnX生成物が下記式:
Figure 0007216396000013
で表される化合物tAHMPであることが分かった。
以上より、古細菌AcnXタンパク質は、メバロン酸経路上のMVA5Pに対するデヒドラターゼ活性を有し、tAHMPを生成する酵素であることが分かった。
実施例3.新規メバロン酸経路の探索2
tAHMPはメバロン酸経路上の新規中間体である。そこで、該中間体を経て既存中間体へ至る経路を担う酵素を探索した。具体的には、Microbial Genome Darabase for Comparateive Analysis(MBGD)(http:// mbgd.genome.ad.jp)が提供する機能を用いて、ゲノム上にAcnXのオルソログ遺伝子を保存している、つまり新奇MVA経路をもつとされるアーキアとそれ以外のアーキア種を選別し、前者に特異的に保存されているオルソログ遺伝子群を探索した。その結果、UbiDタンパク質ホモログをコードする遺伝子、及びUbiXタンパク質ホモログをコードする遺伝子を見出した。また、これまでの知見より、UbiXタンパク質ホモログは、補酵素の一種であるプレニル化フラビン(prFMN)を合成するフラビンプレニルトランスフェラーゼ活性を有していると考えられた。このため、メバロン酸経路上の活性の本体はUbiDタンパク質ホモログが担うと考えられた。
実施例4.古細菌UbiDタンパク質ホモログの機能解析
古細菌UbiDタンパク質ホモログとして、クレンアーキオータ門に属するA. pernix由来の古細菌UbiDタンパク質ホモログ(KEGGのApe_2078)を用いて、その機能を解析した。
<実施例4-1.組換え古細菌UbiDタンパク質ホモログの発現及び精製>
(1)UbiDタンパク質ホモログをコードする遺伝子Ape_2078と、UbiXタンパク質ホモログをコードする遺伝子Ape_1647を、以下に示すプライマーを用いて、それぞれPCRにより増幅した。この際、A. pernix(理研BRC微生物材料開発室(JCM))のゲノムを鋳型とし、KOD-Plus(TOYOBO)を使用してPCR反応を行った。
Ape_2078 Fw:GGGATTAGAAGGAGTTATATATGGAGGATGCGAGTCTAAAG(配列番号9)
Ape_2078Rv:GTGGTGGTGGTGGTGCTCGAGGTCTCCCGGCTGGTGGC(配列番号10)
Ape_1647 Fw:TTAAGAAGGAGATATACATATGTCCTGCAGACCTAGCTCG(配列番号11)
Ape_1647Rv:TCCTCCATATATAACTCCTTCTAATCCCCCTCCTCGGG(配列番号12)
(2)pET22b(+)ベクターを制限酵素NdeIおよびXhoIで消化した後、In Fusion Cloning Kit(Takara)を使用して、ベクターの切断部位に増幅した2つのインサートDNAを
挿入した。発現されたApe_2078のC末端側にのみHis-tagが付くような設計をした。
(3)構築したプラスミドpET22b(+)-Ape_1647-Ape_2078をE. coli Rosetta2(DE3)に導入した。
(4)得られた本発明の細胞を得られた本発明の細胞をそれぞれAuto Induction培地(アンピシリン:100μg/mL、クロラムフェニコール:30μg/mL)にて37℃、24時間培養した。
(5)集菌した菌体を20 mlのHistrap binding buffer Iで懸濁した。さらに、この懸濁液に10 mM DTTと2.5 mM MnCl2を添加した。
(6)超音波発生装置UP200S (Hielscher Ultrasonics)を用いて、Cycle 0.3、Amplitude 60の設定で、菌体を破砕した。氷上にて2 min超音波破砕操作をし、この操作を3 回繰り返した。
(7)菌体破砕液を15,000 rpm、30分、4℃で遠心分離した後、60℃、30分間熱処理をした。
(8)再度15,000 rpm、30分、4℃で遠心分離した後、上清を回収した。得られた上清を孔径0.45μmのシリンジフィルターで濾過した。
(9)Ni2+を添加したHistrap FF カラム(GE Healthcare、カラム体積1 ml)をHistrap binding buffer I 10 mlで平衡化後、上清をカラムにアプライした。
(10)Histrap binding buffer I 10 mlで洗浄した後、Histrap elute buffer Iで目的タンパク質を溶出した。この溶出液を以降の実験で古細菌UbiDタンパク質ホモログとして使用した。
<実施例4-2.古細菌UbiDタンパク質ホモログの酵素活性の解析>
反応液(組成:放射性標識ApAcnX生成物(tAHMP) 54.6pmol、古細菌UbiDタンパク質ホモログ 6.2μg、Sodium phosphate(pH7.5) 3μmol、Up to 30μL)を調製し、60℃で1時間反応させた。反応物について、実施例2-2と同様にして順相TLC解析を行った。
<実施例4-3.古細菌UbiDタンパク質ホモログ生成物の検証>
反応液(組成:各放射標識化合物([2-14C]MVA、[2-14C]MVA5P、[2-14C]MVA5PP、放射性標識ApAcxX生成物、[4-14C]IP、[1-14C]IPP) 0.1nmol(12,200dpm)、ATP 0.8μmol、MgCl2 1μmol、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP) 3nmol、Sodium phosphate(pH7.5) 5μmol、古細菌UbiDタンパク質ホモログ 7.5μg、Thermoplasma acidophilum由来IPK 0.1 nmol、Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)合成酵素 過剰量、Up to 100μL)を調製して、60℃で1時間反応させた。疎水性の反応物について、ブタノールで抽出後、酸性ホスファターゼ処理を37℃で1晩行った。ペンタン抽出の後に逆相TLC解析を行った。TLC条件:TLCプレートTLC silica gel 60 RP-18 F254S、展開溶媒アセトン:水=9:1。
<実施例4-4.結果>
実施例4-2の結果を図3に示す。古細菌UbiDタンパク質ホモログとApAcnX生成物(tAHMP)と反応させることにより、IPと同じ位置にスポットが確認される生成物が生じることが分かった。
実施例4-3の結果を図4に示す。ApAcnX生成物(tAHMP)からGGPPへの効率的な変換を確認することができた。これは、古細菌UbiDタンパク質ホモログがApAcnX生成物(tAHMP)に対してデカルボキシラーゼ活性をもち、IPを生成したことを示している。
実施例5.リコペン生産と共役させたin vivoアッセイ
実施例1-4で見出された新規メバロン酸経路を担う酵素(古細菌AcnXタンパク質及び古細菌UbiDタンパク質ホモログ)それぞれのコード配列を含むポリヌクレオチドを大腸菌に導入し、基質の存在下で、テルペノイド化合物(リコペン)が産生されるか否かを調べた。リコペンは赤色を呈する化合物であり、リコペンが産生されれば、大腸菌ペレットは赤色を呈する。具体的には、以下のようにして行った。なお、プラスミド表記については、表1を参照する。
<実施例5-1.プラスミド構築>
M. mazei(理研BRC微生物材料開発室(JCM))、A. pernix(理研BRC微生物材料開発室(JCM))、S. cereviseaeの培養液よりDNA抽出キットGeno Plu(登録商標) Mini (VIOGENE, USA)を用いてゲノムDNAを抽出した。
抽出したM. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして、推定mevalonate kinase (MVK)遺伝子MM_1762をPCRにより増幅した。増幅したMM_1762をKpnI、XhoIで制限酵素処理し、同様の制限酵素で処理したpBAD18断片とライゲーションし、pBAD-MVKを作製した。pJBEI-2999 (Peralta-Yahya et al. Nature Communications, 2, 483, 2011)を鋳型DNAとしてisopentenyl diphosphate isomerase (IDI)遺伝子JW2857を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-MVK断片とともに、大腸菌ME9783株 (Asai et al. The EMBO Journal, 12(8), 3287-3295, 1993)に導入した。大腸菌細胞内相同組み換え (Oliner et al. Nucleic Acids Research, 21(22), 5192-5197, 1993)によりJW2857が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mMP2とした。M. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして推定isopentenyl kinase (IPK)遺伝子MM_1763を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mMP2断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1763が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mMP3とした。
M. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして推定アコニターゼX-小サブユニット (AcnX-S)遺伝子MM_1524を増幅し、EcoRIで切断したpBAD18断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1524が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mUA1とした。M. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして推定アコニターゼX-大サブユニット(AcnX-L)遺伝子MM_1525を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mUA1断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1525が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mUA2とした。M. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして推定UbX遺伝子MM_1871を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mUA2断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1871が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mUA3とした。M. mazeiのゲノムDNAを鋳型DNAとして推定UbiD遺伝子MM_1526を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mUA3断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1526が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mUA4とした。pBAD-mUA4を鋳型DNAとしてMM_1526、MM_1871、MM_1525、MM_1524を含むDNA断片を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mMP3断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。MM_1526、MM_1871、MM_1525、MM_1524が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-mMP7とした(図5)。
A. pernixのゲノムDNAを鋳型DNAとしてAcnX-S遺伝子APE_2089を増幅し、EcoRIで切断したpBAD18断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。APE_2089が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-asUA1とした。A. pernixのゲノムDNAを鋳型DNAとしAcnX-L遺伝子APE_2087.1を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-asUA1断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。APE_2087.1が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-asUA2とした。S. cerevisaeのゲノムDNAを鋳型DNAとしてS. cerevisiaeにおけるUbiXのホモログであるprenyl-flavin合成酵素遺伝子YDR538W (Arunrattanamook et al. Biochemistry, 57(5), 696-700, 2017)を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-asUA1断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。YDR538Wが挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-asUA3とした。A. pernixのゲノムDNAを鋳型DNAとしてUbiD遺伝子APE_2078を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-asUA3断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。APE_2078が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-asUA4とした。pBAD-asUA4を鋳型DNAとしてAPE_2078、YDR538W、APE_2087.1、APE_2089を含むDNA断片を増幅し、EcoRIで切断したpBAD-mMP3断片とともに大腸菌ME9783株に導入した。APE_2078、YDR538W、APE_2087.1、APE_2089が挿入されたプラスミドを抽出し、pBAD-asMP7とした(図5)。
上記のPCR反応にはKOD plus polymerase (TOYOBO, Japan)と表2に示したプライマーを使用した。
Figure 0007216396000014
Figure 0007216396000015
Figure 0007216396000016
<実施例5-2.リコペン産生>
大腸菌TOP10株をpACYC-CrtIBE (Hemmi et al. The Journal of Biochemistry, 123(6), 1088-1096, 1998)とpBAD-mMP7またはpBAD-asMP7で形質転換し、TOP10/pBAD-mMP7/pACYC-CrtIBE株、TOP10/pBAD-asMP7/pACYC-CrtIBE株を作製した。さらにコントロールとして、pACYC-CrtIBEとpBAD-18で大腸菌TOP10株を形質転換し、TOP10/pBAD18/pACYC-CrtIBE株を作製した。各株を5 mlのLB培地(アンピシリン100 mg、テトラサイクリン20 mgを含む)で、37℃で一晩振盪培養した。各株の培養液を5 mlのLB培地(アンピシリン100 mg、テトラサイクリン20 mg、L-アラビノース0.2 %、メバロノラクトン2.5 mgを含む)に植菌した後、37℃で48時間静置培養した。培養後、培養液を13000 rpm、1 minで遠心し、菌体を回収した。なお、試験は、トリプリケートで行った。各サンプルについて、導入したプラスミド及び基質(MVL)の有無を表3に示す。
Figure 0007216396000017
結果を図6に示す。実施例1-4で見出された新規メバロン酸経路を担う酵素(古細菌AcnXタンパク質及び古細菌UbiDタンパク質ホモログ)それぞれのコード配列を含むポリヌクレオチドを大腸菌に導入し、且つ基質を添加したサンプル(No.10-12及び16-18)で特異的に、大腸菌ペレットが赤色を呈した。このことから、これらのサンプルで特異的にテルペノイド化合物(リコペン)が産生されたことが示された。

Claims (13)

  1. 古細菌AcnXタンパク質のコード配列を含むポリヌクレオチド、及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含むポリヌクレオチドを含み、
    前記古細菌AcnXタンパク質が下記(A)又は(B)に記載の複合体タンパク質:
    (A)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質、又は
    (B)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質であり、且つ5-ホスホメバロン酸(MVA5P)デヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質、
    であり、且つ
    前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが下記(C)又は(D)に記載のタンパク質:(C)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
    (D)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つトランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
    である、
    非古細菌生物。
  2. さらに、フラビンプレニルトランスフェラーゼのコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の非古細菌生物。
  3. 前記古細菌AcnXタンパク質がクレンアーキオータ門又はユリアーキオータ門由来のタンパク質であり、且つ前記古細菌UbiDタンパク質ホモログがクレンアーキオータ門又はユリアーキオータ門由来のタンパク質である、請求項1又は2に記載の非古細菌生物。
  4. 前記古細菌AcnXタンパク質及び前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが、共にクレンアーキオータ門由来のタンパク質である、請求項1~3のいずれかに記載の非古細菌生物。
  5. 前記非古細菌生物が、腸内細菌科細菌、放線菌、乳酸菌、クロストリジア、シアノバクテリア、酵母、藻類、糸状菌、又は植物である、請求項1~4のいずれかに記載の非古細菌生物。
  6. さらに、メバロン酸経路上の他の酵素のコード配列を含むポリヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれかに記載の非古細菌生物。
  7. 前記他の酵素が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ(MVK)、イソペンテニルリン酸キナーゼ(IPK)、及びイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の非古細菌生物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の非古細菌生物の培養菌体。
  9. 請求項1~7のいずれかに記載の非古細菌生物を培養すること、並びに
    当該培養により得られた培養菌体又は培養上清から、一般式(1):
    Figure 0007216396000018
    [式中、Xはリン酸基、又はヒドロキシ基又は水素を示す。]
    で表される化合物、及び/又は一般式(2):
    Figure 0007216396000019
    [式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
    で表される化合物を得ることを含む、メバロン酸経路中間体又はその類縁体の製造方法。
  10. 請求項1~7のいずれかに記載の非古細菌生物を培養すること、並びに
    当該培養により得られた培養菌体又は培養上清から、
    (a)イソプレノイド化合物、並びに/又は
    (b)一般式(1):
    Figure 0007216396000020
    [式中、Xはヒドロキシ基、リン酸基又は水素を示す。]
    で表される化合物の脱炭酸生成物、及び/若しくは一般式(2):
    Figure 0007216396000021
    [式中、Yはメチル基、ビニル基、又はヒドロキシ基を示す。]
    で表される化合物の脱炭酸生成物、
    を得ることを含む、化合物の製造方法。
  11. 古細菌AcnXタンパク質のコード配列及び古細菌UbiDタンパク質ホモログのコード配列を含み、
    前記古細菌AcnXタンパク質が下記(A)又は(B)に記載の複合体タンパク質:
    (A)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質、又は
    (B)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質であり、且つ5-ホスホメバロン酸(MVA5P)デヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質、
    であり、且つ
    前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが下記(C)又は(D)に記載のタンパク質:(C)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
    (D)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つトランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
    である、
    単離されたポリヌクレオチド。
  12. 古細菌AcnXタンパク質を含有し、
    前記古細菌AcnXタンパク質が下記(A)又は(B)に記載の複合体タンパク質:
    (A)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質、又は
    (B)配列番号1~2のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるラージサブユニットと、配列番号3~4のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるスモールサブユニットとを含む複合体タンパク質であり、且つ5-ホスホメバロン酸(MVA5P)デヒドラターゼ活性を有する複合体タンパク質、
    である、
    MVA5Pデヒドラターゼ酵素剤。
  13. 古細菌UbiDタンパク質ホモログを含有し、
    前記古細菌UbiDタンパク質ホモログが下記(C)又は(D)に記載のタンパク質:(C)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は
    (D)配列番号5~6のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つトランス アンヒドロ 5-ホスホメバロン酸(tAHMP)デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
    である、
    tAHMPデカルボキシラーゼ酵素剤。
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