JP7215061B2 - ブロック共重合体、表面調整剤、粘着組成物、粘着シート、粘着保護シート、積層体、光学部材及び電子部材 - Google Patents

ブロック共重合体、表面調整剤、粘着組成物、粘着シート、粘着保護シート、積層体、光学部材及び電子部材 Download PDF

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Description

本開示は、ブロック共重合体、表面調整剤、粘着組成物、粘着シート、粘着保護シート、積層体、光学部材及び電子部材に関する。
例えば、フレキシブルプリント回路基板やプリント基板等の製造工程においては、上記基板の傷つきや薬品による汚染、製造工程中に用いられる薬品または製造工程中の加熱による上記基板の劣化が生じる場合がある。そのため、上記基板の製造工程においては、上述したような傷つきや汚染、劣化等を防止することを目的として、上記基板の表面を保護する保護シートを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
このような保護シートは、例えば、基材と、上記基材の一方の面に配置された粘着層とを有する。また、保護シートは、被保護部材である製品から、最終的に剥離される部材である。そのため、保護シートには、被保護部材から保護シートを剥離することが可能な特性を有する粘着層を用いることが好ましい。
しかしながら、近年、被保護部材として種々の製品が用いられているところ、例えば、被保護部材において保護シートを貼付する側の面が幅広の広面積である場合、被保護部材に貼付した保護シートを剥離する際に、被保護部材から保護シートを剥離するのに要する力が増し、被保護部材から容易に保護シートを剥離することができないという新規な課題がある。
また、各種電子部材などの精密化や複雑化のため、被保護部材自体の薄膜化、機能の集積化、微細化に伴い、被保護部材自身や被保護部材表面が破壊しやすいなどの点から、保護シートが必要となり、さらには保護シートを除去する場合には、被保護部材への負荷がより少ない易剥離が必要とされている。
一方で、特許文献2~4には、オルガノポリシロキサン構造を主鎖に含むブロック共重合体や、オルガノポリシロキサン構造を側鎖に含むグラフト共重合体を使用することで、撥水・撥油性、離型性、防汚性、滑り性等を発現することが記載されている。
従来のオルガノポリシロキサンを主鎖に含むブロック共重合体は、オルガノポリシロキサン系高分子アゾ系開始剤を用いることにより主鎖の末端部分に、オルガノポリシロキサンをブロック状に導入しているものである。また、従来のオルガノポリシロキサン構造を側鎖に含むグラフト共重合体は、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、ラジカル重合性モノマーとを、同時に重合することにより、ランダムに共重合させてグラフト共重合体を得ているものである。
特開2017-8173号公報 特開2000-309673号公報 特開2007-291372号公報 特開2016-79301号公報
従来の粘着保護シートは、保護シートを貼付する側の面が広面積である場合など、被保護部材から保護シートを剥離するのに要する力が増した際に、被保護部材から容易に剥離することができなかったり、被保護部材自身や被保護部材表面が破壊しやすい場合に、被保護部材への負荷が高く、被保護部材からの易剥離性がいまだ不十分であった。
被保護部材への負荷がより少ないように、被保護部材から容易に剥離することが可能な特性を有する粘着層を備えた粘着保護シート乃至粘着シートが求められていた。
そのために、剥離性等を表面に与える効果を向上することができる、オルガノポリシロキサン構造を含む重合体乃至表面調整剤が求められていた。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、剥離性等を表面に与える効果を向上することができる、オルガノポリシロキサン構造を含む重合体乃至表面調整剤を提供することを目的とする。
また、本開示は、使用時には十分な粘着力を有しながら、剥離する際に被着体からの剥離力を小さくでき、被着体からの易剥離性に優れた粘着層を形成可能な粘着組成物、当該粘着組成物を用いた被着体からの易剥離性に優れた粘着シート、当該粘着シートを用いた粘着保護シート、積層体、光学部材、及び電子部材を提供することを目的とする。
本開示の1実施態様は、下記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体を提供する。
Figure 0007215061000001
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、置換基を有していても良く、炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い1価の炭化水素基を表し、
一般式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、Lは、-COO-、-OCO-、-O-、-CONH-、-COS-、又は直接結合、Lは、-O-、-NH-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCO-、-CONH-、-NHCONH-、及び-Si(RLa)(RLb)-からなる群から選択される1種以上が含まれていても良く、水酸基で置換されていても良い炭素数1~15の炭化水素基を含む2価の基、又は直接結合、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は下記一般式(III)で表される基を表し、RLa及びRLbは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表し、aは1~50の整数である。)
Figure 0007215061000002
(一般式(III)中、R~R13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表し、bは0~50の整数である。)
本開示の1実施態様は、前記Aブロックに、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される1種以上を含有するモノマー由来の構成単位を含む、前記ブロック共重合体を提供する。
本開示の1実施態様は、前記本開示の1実施形態のブロック共重合体である、表面調整剤を提供する。
本開示の1実施態様は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分と、エネルギー線開始剤と、前記本開示の1実施形態のブロック共重合体とを含有する、粘着組成物を提供する。
本開示の1実施態様は、前記粘着組成物に、更に、熱架橋剤を含有する粘着組成物を提供する。
また、本開示の1実施態様は、前記熱架橋剤が、イソシアネート系架橋剤である粘着組成物を提供する。
本開示の1実施態様は、粘着層と、前記粘着層の一方の面に配置された基材とを有し、
前記粘着層は、エネルギー線照射により初期粘着力から粘着力が低下する特性を有し、前記粘着層は、前記本開示の1実施形態の粘着組成物の硬化物である、粘着シートを提供する。
本開示の1実施態様は、前記本開示の1実施形態の粘着シートである、粘着保護シートを提供する。
本開示の1実施態様は、前記本開示の1実施形態の粘着保護シートと、前記粘着保護シートの粘着層側に貼着されている被保護部材との積層体を提供する。
本開示の1実施態様は、前記本開示の1実施形態の粘着保護シートが貼着されている光学部材を提供する。
また、本開示の1実施態様は、前記本開示の1実施形態の粘着保護シートが貼着されている電子部材を提供する。
本開示の実施態様によれば、剥離性等を表面に与える効果を向上することができる、オルガノポリシロキサン構造を含む重合体乃至表面調整剤を提供することができる。
また、本開示は、使用時には十分な粘着力を有しながら、剥離する際に被着体からの剥離力を小さくでき、被着体からの易剥離性に優れた粘着層を形成可能な粘着組成物、当該粘着組成物を用いた被着体からの易剥離性に優れた粘着シート、当該粘着シートを用いた粘着保護シート、積層体、光学部材、及び電子部材を提供することができる。
本開示の1実施形態に係る粘着シートの一例の模式断面図である。 本開示の1実施形態に係る積層体の一例の模式断面図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
「本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本明細書において「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
なお、本開示において「エネルギー線」には、必要とする反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等)、又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)が包含される。本発明において好ましく用いられるエネルギー線の一例は、紫外線、可視光線及び電子線が挙げられる。
以下、本開示のブロック共重合体、表面調整剤、粘着組成物、粘着シート、粘着保護シート、積層体、光学部材及び電子部材について順に詳細に説明する。
A.ブロック共重合体
本開示の1実施態様のブロック共重合体は、下記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体である。
Figure 0007215061000003
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、置換基を有していても良く、炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い1価の炭化水素基を表し、
一般式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、Lは、-COO-、-OCO-、-O-、-CONH-、-COS-、又は直接結合、Lは、-O-、-NH-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCO-、-CONH-、-NHCONH-、及び-Si(RLa)(RLb)-からなる群から選択される1種以上が含まれていても良く、水酸基で置換されていても良い炭素数1~15の炭化水素基を含む2価の基、又は直接結合、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は下記一般式(III)で表される基を表し、RLa及びRLbは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表し、aは1~50の整数である。)
Figure 0007215061000004
(一般式(III)中、R~R13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表し、bは0~50の整数である。)
{Aブロック}
(一般式(I)で表される構成単位)
一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、置換基を有していても良く、炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い1価の炭化水素基を表す。
における炭化水素基としては、例えば、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、アラルキル基、及びアリール基などが挙げられる。
前記炭素数1~18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
前記炭素数2~18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6~24が好ましく、更に6~12が好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7~20が好ましく、更に7~14が好ましい。
前記炭化水素基は、炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い。炭素鎖中に酸素原子が含まれている炭化水素基としては、例えば、-[CH(R21)-CH(R22)-O]-R23又は-[(CH-O]-R23で示される1価の基が挙げられ、R21及びR22は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R23は、水素原子、炭化水素基、-CHO、-CHCHO、又は-CHCOOR24で示される1価の基であり、R24は水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基である。R23における炭化水素基は、前記Rで示したものと同様のものとすることができる。
24は水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。
上記において、xは1~18の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数であり、yは1~5の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1~18の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数である。
また、前記炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い炭化水素は、置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、カルボン酸アミド基等が挙げられる。
前記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、前記アルキル基であっても良い。
なお、前記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
Aブロックは、混合する樹脂との親和性部位として機能するように構成単位を適宜選択すれば良い。
一般式(I)で表される構成単位は、共重合体のAブロック中に、1種類単独で含まれていても良く、2種以上含まれていても良い。Aブロックに含まれる2種以上の構成単位は、当該ブロック内ではランダムに配列していてもよい。
上記Rとしては、混合する樹脂との相溶性に優れたものとなるように選定することが好ましく、具体的には、例えば混合する樹脂が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を含む(メタ)アクリル酸エステル系重合体を用いる場合には、メチル基、エチル基、イソブチル基、n-ブチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素数1~18のアルキル基、更に炭素数1~12のアルキル基を含むことが好ましい。
更に、上記Rとしては、架橋性基を置換基として有するものを含むことが、当該共重合体を架橋性基によって例えば塗膜表面に固定化することにより、剥離性等の表面に与える効果を持続させ易くなる点から好ましい。
架橋性基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。Aブロックに含まれる架橋性基としては、重合体の重合時及び保存時の安定性の点から、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される1種以上であることが好ましく、中でも、安定性が高く、熱架橋剤の反応性に優れる点から、水酸基であることが好ましい。
Aブロックには、当該共重合体を固定化することにより、剥離性等の表面に与える効果を持続させ易くなる点から、架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位を含むことが好ましく、更に、重合体の重合時及び保存時の安定性の点から、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される1種以上を含有するモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。中でも、Aブロックには、水酸基含有モノマー由来の構成単位を含むことが、安定性が高く、熱架橋剤の反応性に優れる点から好ましい。
Aブロックには、架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位を2種以上含んでいても良い。
架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位としては、前記一般式(I)で表される構成単位であっても良いし、前記一般式(I)で表される構成単位には該当しないその他の構造を有する構成単位であっても良い。架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位は、重合性、製造しやすさの点から、前記一般式(I)で表される構成単位のうちRにおいて架橋性基を置換基として有する構成単位及び(メタ)アクリル酸由来の構成単位からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
水酸基含有モノマー由来の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマー由来の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマー由来の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
アミノ基含有モノマー由来の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位を誘導するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、共重合性やコスト、溶解性などの点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
Aブロックは本開示の目的を達成する範囲で、一般式(I)で表される構成単位以外の構成単位を有するものであってもよく、一般式(I)で表される構成単位と共重合可能な構成単位であれば含有することができる。例えば、一般式(I)で表される構成単位以外の構成単位としては、前記一般式(I)で表される構成単位には該当しない架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位の他、エチレン性不飽和結合を有するその他のモノマー由来の構成単位が挙げられる。
ブロック共重合体におけるAブロック中、前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、他の樹脂等との相溶性の点から、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
また、前述のように、前記一般式(I)で表される構成単位には該当しない架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位が含まれていても良く、ブロック共重合体におけるAブロック中、前記一般式(I)で表される構成単位と、前記一般式(I)で表される構成単位には該当しない架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位との合計含有割合は、粘着組成物中の樹脂等との相溶性の点から、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
なお、ブロック共重合体における構成単位の含有割合は、製造時には仕込み質量から求めることができる。また、上記構成単位の含有割合は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
ブロック共重合体におけるAブロック中、架橋性基を有しない前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、100質量%であってもよいが、粘着層に固定化し、被着体への汚染の抑制、剥離性の効果の持続性の点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。一方で、他の樹脂との相溶性の点から、架橋性基を有しない前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
ブロック共重合体におけるAブロック中、架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位の含有割合は、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、0質量%であってもよいが、粘着層に固定化し、被着体への汚染の抑制、剥離性の効果の持続性の点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。一方で、他の樹脂との相溶性の点から、架橋性基を含有するモノマー由来の構成単位の含有割合は、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
また、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックの全構成単位の合計質量は、混合する樹脂等、用途に合わせて適宜調整されれば良く、特に限定されない。前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、他の樹脂との相溶性の点から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。一方で、剥離性を付与させる点から、前記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
{Bブロック}
Bブロックは、前記一般式(I)で表される構成単位を含まず、前記一般式(II)で表される構成単位を含むブロックである。
前記一般式(II)中、Lは、-COO-、-OCO-、-O-、-CONH-、-COS-、又は直接結合を表す。ここで直接結合とは、Lが原子を有しないこと、即ち、一般式(II)におけるC(炭素原子)と、L、又はLが更に直接結合である場合にはSi(ケイ素原子)とが、他の原子を介さずに結合していることを意味する。
前記一般式(II)中、Lは、中でも合成のしやすさの点から、-COO-であることが好ましい。
前記一般式(II)中、Lは、-O-、-NH-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCO-、-CONH-、-NHCONH-、及び-Si(RLa)(RLb)-からなる群から選択される1種以上が含まれていても良く、水酸基で置換されていても良い炭素数1~15の炭化水素基を含む2価の基、又は直接結合を表す。前記RLa及びRLbは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表す。RLa及びRLbにおける炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基は、それぞれ、後述するR~Rと同様であって良い。
は、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)、シクロヘキシレンオキシ基、-(CH-O-(CH-、-(CH-O-(CH-O-(CH-、-CH(CH)CH-O-CH(CH)CH-、-(CH-O-(CH-、-(CH-O-、-(CH10-Si(OCH)(OCH)-O-(CH-O-(CH-O-、-CH(CHOH)CH-O-、-CH(CHOH)CH-O-(CH-、-CHCH(OH)CH-NH-(CH-、-CHCH(OH)CH-S-(CH-、-CHCH(OH)CH-O-(CH-、-(CH-O-CH-CH(CHOH)-OCO-(CH-、-CH-CH(CHOH)-OCO-(CH-、-(CH-OCONH-(CH-NHCONH-(CH-などが挙げられる。
前記一般式(II)中、Lは、中でも効果的に界面に局在化させる点から、炭素数1~15のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~10のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより更に好ましい。
前記一般式(II)中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は前記一般式(III)で表される基を表す。また、一般式(III)中、R~R13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基、水素原子、水酸基、又は炭素数1~20のアルコキシ基を表す。
~R及びR~R13における炭素数1~20の置換基を有していても良い1価の炭化水素基としては、炭素数1~10の炭化水素基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
~R及びR~R13における炭素数1~20のアルコキシ基としては、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。R~Rとして、好ましくはアルキル基又はアリール基、更に好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。R~R及びR~R13として、好ましくはアルキル基又はアリール基、更に好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。
前記一般式(II)中、aは1~50の整数であるが、中でも5~45の整数であることが好ましく、10~40の整数であることがより好ましい。
また、前記一般式(III)中、bは0~50の整数であるが、中でも0~40の整数であることが好ましく、0~30の整数であることがより好ましい。
前記一般式(II)で表される構成単位の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のOMeはメトキシ基、Phはフェニル基を表す。また、式中、c,d,e,fは、1≦c≦15、1≦d≦30、0≦e≦30、1≦d+e≦50、0≦f≦30、1≦d+f≦50、0≦g≦30、1≦h≦30である。
市販品を用いても良く、例えば、JNC製、サイラプレーンFM-0711等が挙げられる。
Figure 0007215061000005
Figure 0007215061000006
Figure 0007215061000007
Figure 0007215061000008
Figure 0007215061000009
Bブロックは本開示の目的を達成する範囲で、一般式(II)で表される構成単位以外の構成単位を含むことを妨げるものではない。
ブロック共重合体におけるBブロック中、前記一般式(II)で表される構成単位の含有割合は、剥離性を発現させる点から、Bブロックの全構成単位の合計質量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、100質量%であることがより更に好ましい。なお、上記構成単位の含有割合は、Bブロックを合成する際の仕込み質量から算出される。
また、前記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックの全構成単位の合計質量は、混合する樹脂等に用途に合わせて適宜調整されれば良く、特に限定されない。前記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、剥離性付与の点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。一方で、透明性が高く、粘着層表面に局在化する、他の樹脂との相溶性の点から、前記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
前記ブロック共重合体の質量平均分子量Mwは、粘着層表面への配向性を良好なものとする点から、2,000~200,000であることが好ましく、5,000~100,000であることがより好ましく、更に10,000~50,000であることがより好ましい。
ここで、質量平均分子量は(Mw)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求める。
なお、本発明においてブロック共重合体の質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求める。測定は、東ソー(株)製のHLC-8220GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドン(NMP)とし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw:8×10(F-80)、Mw:4×10(F-40)、Mw:2×10(F-20)、Mw:1×10(F-10)、Mw:4×10(F-4)、Mw:2×10(F-2)、Mw:5×10(A-5000)、Mw:2.5×10(A-2500)、Mw:1×10(A-1000)、Mw:5×10(A-500)(以上、東ソー製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー(株)製)として行うことができる。なお、ブロック共重合体の原料となるブロックポリマー中間体(Aブロック又はBブロックのみのポリマー中間体)やマクロモノマーについても、上記条件で行う。
また、前記ブロック共重合体の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比である分子量分布(Mw/Mn)は、相溶性、レベリング性、配向性を良好なものとする点から、
1.00~1.99であることが好ましく、1.00~1.50であることがより好ましく、更に1.00~1.30であることがより好ましい。
前記ブロック共重合体の数平均分子量Mnも前記質量平均分子量Mwと同様にGPCを用いて、測定することができる。
本発明においてブロック共重合体の各ブロックの配置は特に限定されないが、中でも、表面への配向性を良好なものとする点から、ABブロック共重合体、又はBABブロック共重合体が好ましく、更にABブロック共重合体であることが好ましい。
上記ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法によってブロック共重合体を製造することができるが、中でもリビング重合法で製造することが好ましい。連鎖移動や失活が起こりにくく、分子量の揃った共重合体を製造することができるからである。中でも、先に製造するブロックは、可逆的付加-開裂連鎖移動(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer:RAFT)型のラジカル重合(以下、RAFT重合)、又は、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization: ATRP)により製造することが好ましい。RAFT重合や原子移動ラジカル重合で重合する場合、連鎖移動や失活が起こりにくく、中でも分子量の揃った重合体を製造することができ、相溶性、レベリング性、配向性等を向上できるブロック共重合体を得ることができるからである。
これらの方法によりモノマーを順次重合することによって共重合体を製造することができる。例えば、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックを構成する構成単位を重合することにより、ブロック共重合体を製造することができる。また上記の製造方法においてAブロックとBブロックの重合の順番を逆にすることもできる。中でも、RAFT重合や原子移動ラジカル重合でAブロックを先に製造し、AブロックにBブロックを構成する構成単位を重合することにより、ブロック共重合体を製造することが、リビング重合しやすい点から好ましい。
少なくとも先に製造するブロックをRAFT重合や原子移動ラジカル重合で重合する場合、AブロックとBブロックの連結部分に開始剤の残基等が入ることなく、Aブロックの主鎖に直接、Bブロックの主鎖が結合する構造を有する共重合体となる。
本開示のブロック共重合体は、Bブロックの側鎖にポリシロキサン構造が局在化されている。そのため、本開示のブロック共重合体は、膜を形成する際に、混合する樹脂との相溶性を良好にしつつ、表面に集まり易くすることができ、剥離性、離型性、撥水・撥油性、防汚性、滑り性、レベリング性等、ポリシロキサン構造によって表面に付与可能な性能が向上した、表面調整剤として好適に用いることができる。本開示のブロック共重合体は、混合する樹脂との相溶性を良好にすることができるため、得られる膜のヘイズ値上昇を抑制することができ、透明性も良好な膜を得ることができる。
中でも本開示のブロック共重合体において、Aブロックが架橋性基を有するモノマー由来の構成単位を含む場合、適宜架橋剤を用いることにより、Aブロックに含まれる架橋性基によって、膜表面に固定化される。そのため、この場合、剥離性等の表面に付与可能な性能の持続性が高くなる。
B.表面調整剤
本開示の表面調整剤は、前記本開示のブロック共重合体である。
前記本開示のブロック共重合体は、前述のとおりであるので、ここでの説明を省略する。
本開示の表面調整剤は、前記本開示のブロック共重合体のBブロックの側鎖にポリシロキサン構造が局在化されているため、膜を形成する際に、混合する樹脂との相溶性が良好でありながら、表面に集まり易く、比較的少量の添加でも効果的に均一に表面に性能を付与することができる。そのため、本開示の表面調整剤は、ポリシロキサン構造を混合することにより起こり得るデメリットを抑制しつつ、剥離性、離型性、撥水・撥油性、防汚性、滑り性、レベリング性等、ポリシロキサン構造によって表面に付与可能な性能を向上することができる。
また、前述のように、中でも本開示のブロック共重合体のAブロックが架橋性基を有するモノマー由来の構成単位を含む場合、本開示の表面調整剤は、前記架橋性基を用いることにより膜表面に固定化することが可能になり、当該表面調整剤により表面に付与可能な性能の持続性が高くなる。
C.粘着組成物
本開示の1実施態様の粘着組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分と、エネルギー線開始剤と、前記本開示のブロック共重合体とを含有する。
本開示の1実施態様の粘着組成物は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分と、エネルギー線開始剤と、前記本開示のブロック共重合体とを含有することから、剥離する際に被保護部材からの剥離力を小さくでき、被保護部材からの易剥離性に優れた粘着層を形成可能である。
本開示の1実施態様の粘着組成物を用いて形成される粘着層は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分と、エネルギー線開始剤とを含むことから、エネルギー線照射によって、前記エネルギー線硬化性成分を硬化させることにより、初期粘着力から粘着力が低下する特性を有し、更に、前記本開示のブロック共重合体が表面に局在化されているため、エネルギー線照射後の粘着力は大きく低下する。そのため、本開示の1実施態様の粘着組成物を用いて形成される粘着層は、粘着力が必要な使用時には良好な粘着力を有しながら、被保護部材から粘着層を剥離するような粘着力が不要になった際には、被保護部材からの易剥離性に優れた粘着層を形成することができる。
{(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分}
本開示の1実施態様の粘着組成物に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分は、(i)(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、エネルギー線硬化性多官能化合物とを含有する組成物である場合、(ii)(メタ)アクリル酸エステル系重合体が1分子中に2個以上のエネルギー線硬化性官能基を有し、エネルギー線硬化性多官能化合物を含まない場合等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分は、(i)(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、エネルギー線硬化性多官能化合物とを含有することが、粘着力を容易に調整しやすい点から好ましい。なお、前記(i)の場合において、(メタ)アクリル酸エステル系重合体がエネルギー線硬化性官能基を有していても良い。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、アクリル系粘着剤として用いられる(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、中でも、直鎖又は分岐アルキル基の炭素数が1以上20以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー由来の構成単位と、架橋性基含有モノマー由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を用いることが好ましい。当該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子内に導入された架橋性基を利用して、架橋が可能となり、粘着組成物の凝集力を向上させ、易剥離性及び所定環境下における耐久性とのバランスが良好な粘着層を得ることができる。
直鎖又は分岐アルキル基の炭素数が1以上20以下の値である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。中でも、被着体への濡れ性及び粘着性を発現させる点から、炭素数4~14の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数7~13の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体に用いられる架橋性基含有モノマーとしては、前述の本開示のブロック共重合体で用いられる架橋性基含有モノマーと同様のものを用いることができる。
すなわち、架橋性基としては、例えば、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられる。
重合体の重合時及び保存時の安定性の点から、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される1種以上を含有するモノマー由来の構成単位を含むことが好ましく、水酸基含有モノマー由来の構成単位を含むことが、安定性が高く、熱架橋剤の反応性に優れる点から好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、更に、側鎖にエネルギー線硬化性官能基を有するものであってもよい。
エネルギー線硬化性官能基としては、エチレン性不飽和結合を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の側鎖にエネルギー線硬化性官能基を導入する方法としては、従来公知の製造方法を適宜選択して用いればよい。
例えば、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたり、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体に2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、エネルギー線硬化性官能基を付加することができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、アクリル系粘着剤として機能する範囲内でその他のモノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート等の剛直性のあるモノマー等を用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成する主成分であるため、通常、全モノマー成分(100質量%)に対して、その含有量の下限を50質量%以上とすることが好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、その含有量の下限を50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましく、80質量%以上とすることがさらに好ましく、90質量%以上とすることがよりさらに好ましい。
さらに、当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの含有量の上限を、全モノマー成分(100質量%)に対して、99.5質量%以下とすることが好ましく、99質量%以下とすることがより好ましく、98質量%以下とすることがさらに好ましい。
架橋性基含有モノマーは、粘着力と剥離力のバランスの点から適宜選択されればよいが、その含有量の下限を0.5質量%以上とすることが好ましく、1質量%以上とすることがより好ましく、2質量%以上とすることがさらに好ましい。
さらに、当該架橋性基含有モノマーの含有量の上限を、全モノマー成分(100質量%)に対して、15質量%以下とすることが好ましく、13質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体におけるその他のモノマーは、粘着力と剥離力のバランスの点、付与したい性能から適宜選択されればよいが、0質量%以上49.5質量%以下が挙げられ、39質量%以下とすることが好ましく、18質量%以下とすることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体が側鎖にエネルギー線硬化性官能基を有する場合、エネルギー線硬化性官能基を有する構成単位に用いられるモノマーの含有量は、効果的に軽剥離にする点から、全(メタ)アクリル酸エステル系重合体中(100質量%)に対して、10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがさらに好ましく、30質量%以上とすることがよりさらに好ましい。一方で、粘着性を発現する点から、エネルギー線硬化性官能基の含有量は50質量%以下にすることが好ましく、40%以下にすることがさらに好ましい。
エネルギー線硬化性官能基を有する構成単位に用いられるモノマーの含有量は、その構成単位に用いられるモノマーの合計含有量で算出され、例えば、(メタ)アクリル酸(MAA)構成単位にグリシジル(メタ)アクリレート(GMA)を反応させることにより、エネルギー線硬化性官能基を有する構成単位を調製した場合、エネルギー線硬化性官能基を有する構成単位に用いられるモノマーの含有量は、MAAとGMAの合計量で算出される。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の質量平均分子量は、粘着力と剥離力を良好にする点から、好ましくは10万~500万であり、より好ましくは20万~400万であり、さらに好ましくは30万~300万であり、よりさらに好ましくは40万~100万である。質量平均分子量が10万より小さい場合は、凝集力が小さくなる可能性があり、剥離した後の被着体表面に糊残りが生じ、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られないおそれがある。また、質量平均分子量が500万を超えると、粘着層を剥離した後の被着体表面の濡れ性が不十分となる場合がある。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、粘着力と剥離力を良好にする点から、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは-10℃以下である。ガラス転移温度が0℃より高い場合は、粘着層を剥離した後の被着体表面の濡れ性が不十分となる場合がある。なお、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成するモノマー成分の組成比を変えることにより、調整することができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の水酸基価は、粘着保護シートの形状保持性と粘着力のバランスの点から、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ここでの水酸基価は、アクリル酸エステル系共重合体1g中の水酸基量(OH基量)を表しており、NMR測定で水酸基含有モノマーとアクリル酸エステルの質量比から求めることができる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、市販品のアクリル系粘着剤を用いてもよく、例えば、SKダイン2971(綜研化学製)、SKダイン2975(綜研化学製)、SKダイン1811L(綜研化学製)、SKダイン2950(綜研化学製)、SKダイン2094(綜研化学製)、オリバインEG-654(トーヨーケム製)等を好適に用いることができる。
(エネルギー線硬化性多官能化合物)
エネルギー線硬化性成分として、エネルギー線硬化性多官能化合物を含有することが好ましい。エネルギー線硬化性多官能化合物は、エネルギー線硬化性基を1分子中2個以上含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーである。なお、当該ポリマーは、前記アクリル系粘着剤として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体とは異なるポリマーである。
エネルギー線硬化性多官能化合物を含有することにより、三次元架橋化することができ、更に、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体がエネルギー線硬化性を有する場合には、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と反応して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を高分子量化したり、三次元架橋化することができる。
エネルギー線硬化性成分を含有することにより、粘着層を形成した場合の基材密着性、凝集性等を所望範囲に容易に制御することができる。
エネルギー線硬化性多官能化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの2官能型多官能(メタ)アクリレート系モノマー、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型多官能(メタ)アクリレート系モノマー、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型、例えば、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型多官能(メタ)アクリレート系モノマー、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能型多官能(メタ)アクリレート系モノマー、また、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。エネルギー線硬化性多官能化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エネルギー線硬化性多官能化合物としては、中でも、粘着力と剥離力のバランスの点から、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを用いることが好ましい。
また、エネルギー線硬化性多官能化合物の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体100質量部に対して、10質量部以上、300質量部以下とすることが好ましい。
エネルギー線硬化性多官能化合物の含有量が10質量部未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためである。 一方、エネルギー線硬化性多官能化合物の含有量が300質量部を超えると、粘着組成物の保存安定性、基材密着性、粘着性、又は剥離性等の特性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、エネルギー線硬化性多官能化合物の含有量の下限につき、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体100質量部に対して、20質量部以上とすることがより好ましく、50質量部以上とすることがさらに好ましい。
また、エネルギー線硬化性多官能化合物の含有量の上限につき、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体100質量部に対して、250質量部以下とすることがより好ましく、200質量部以下とすることがさらに好ましく、150質量部以下とすることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分の合計含有量は、エネルギー線照射後の剥離力のバランスの点から、粘着組成物の固形分に対して、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。また、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分の合計含有量は、粘着力および被着体への汚染の抑制の点から、粘着組成物の固形分に対して、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において固形分とは、溶剤以外のすべての成分を意味する。
{エネルギー線開始剤}
エネルギー線開始剤としては、紫外線等のエネルギー線を所定量照射した場合に、ラジカル発生可能な化合物であれば使用可能であるが、例えば、ベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリ-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等の一種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
エネルギー線開始剤の含有量は、粘着組成物を十分に硬化させる点から、粘着組成物の固形分に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。また、エネルギー線開始剤の含有量は、粘着力と剥離力のバランスの点から、粘着組成物の固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましい。
{本開示のブロック共重合体}
本開示の粘着組成物には、前記本開示のブロック共重合体を含有する。
本開示の粘着組成物を用いて粘着層を形成すると、粘着層の表面に前記本開示のブロック共重合体が局在化されるため、エネルギー線照射後の粘着層の粘着力は大きく低下する。本開示の粘着組成物を用いて粘着層を形成すると、易剥離性に優れた粘着層を形成することができる。
本開示の粘着組成物に用いられる前記本開示のブロック共重合体が、架橋性基含有モノマー由来の構成単位を有する場合には、後述する熱架橋剤と反応することにより、粘着層表面に固定化でき、易剥離性に優れ、且つ、粘着層を被着体から剥離した際に被着体へのブロック共重合体の移行を抑制することができる点から好ましい。
更に、本開示の粘着組成物に用いられる前記本開示のブロック共重合体が、架橋性基含有モノマー由来の構成単位を有する場合には、同様に架橋性基を有する前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体との相溶性が高まり、粘着層のヘイズをより小さくすることができ、透明性が高くなる点から好ましい。ヘイズを抑制でき、透明性が高いと、例えば、粘着層を介してカメラ等による精密な外観欠陥確認等を行うこともでき、粘着層を工程用再剥離型の粘着シートに好適に用いることができる。
前記本開示のブロック共重合体の含有量は、剥離時の剥離力を効果的に低下させる点から、粘着組成物の固形分に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、前記本開示のブロック共重合体の含有量は、粘着組成物の透明性の点から、粘着組成物の固形分に対して、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。
{熱架橋剤}
本開示の粘着組成物には、更に、熱架橋剤を含有することが好ましい。熱架橋剤とは、熱の作用で架橋反応を進行させる化合物をいう。
本開示の粘着組成物に熱架橋剤を含有することにより、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体に含まれる架橋性基と反応させて、膜形成後に粘着組成物自身の流動性をなくしたり、エネルギー線照射前の粘着力乃至剥離力を調整することができる。
また、本開示の粘着組成物に含まれる前記本開示のブロック共重合体が架橋性基を有する場合、熱架橋剤を含有することにより、本開示のブロック共重合体の架橋性基とも反応して、前記本開示のブロック共重合体を粘着層表面に固定化することができる。このように形成された粘着層は、易剥離性に優れ、且つ、粘着層を被着体から剥離した際に被着体へのブロック共重合体の移行を抑制することができる点から好ましい。
熱架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、および金属キレート系架橋剤などが挙げられる。これらの中でも、本開示の効果を良好に発現しやすい点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。熱架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(商品名「TETRAD-X」三菱瓦斯化学製)、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「TETRAD-C」三菱瓦斯化学製)などが挙げられる。
熱架橋剤の含有量は、粘着力と剥離力のバランスにより適宜調整されればよいが、上記効果を得る点から、粘着組成物の固形分に対して、1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましい。また、熱架橋剤の含有量は、
エネルギー照射前の粘着性の点から、粘着組成物の固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以下であることがより好ましい。
{溶剤}
本開示の粘着組成物には、更に、溶剤を含有することが、基材等に対する塗布性や配合成分の混合性を向上させる点から好ましい。
溶剤は、組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。溶剤としては、例えば、エステル類、芳香族炭化水素、ケトン類、エーテル類が挙げられる。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等に対する溶解性が良好であって、取り扱いが容易なことから、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、溶剤の含有量は、基材等に対する塗布性や配合成分の混合性の点から適宜調整されればよいが、溶剤を含めた粘着組成物の全体量(100質量%)に対して、5質量%以上40質量%以下とすることが、基材等に対する塗布性や配合成分の混合性の点から好ましい。
{任意添加成分}
本開示の粘着組成物には、本開示の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて更に各種添加剤を含むものであってよい。
各種添加剤としては、例えば架橋促進剤、酸化防止剤、安定剤、粘度調整剤、粘着付与樹脂、有機又は無機質充填剤などが挙げられる。架橋促進剤としては、例えば、トリエチルアミン系、ナフテン酸コバルト系、スズ系、亜鉛系、チタン系、ジルコニウム系などのものが挙げられる。架橋剤がイソシアネート系架橋剤の場合、特にアルコキシドやアシレート、錯体などの亜鉛系、チタン系及びジルコニウム系促進剤や、塩化第一スズ、テトラ-n-ブチルスズ、塩化第二スズ、トリメチルスズヒドロキシド、ジメチル2塩化スズ、ジ-n-ブチルスズジラウレートなどのスズ系促進剤を使用するのが好ましい。
また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤を本例の粘着剤組成物中に適量含有させることにより、粘着層とした際に、さらに加熱後剥離力の上昇を抑えることができる。
{粘着組成物の製造}
粘着組成物の製造方法は、特に限定されない。
粘着組成物は、前述した各成分、さらに必要に応じて添加される各種添加剤を任意の順序で添加し、溶解又は分散させることにより得ることができる。前記各成分の混合は、例えば、ディゾルバー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー等の混合機あるいは混練機を用いて行うことができる。
D.粘着シート、粘着保護シート
本開示の1実施態様の粘着シートは、粘着層と、前記粘着層の一方の面に配置された基材とを有し、
前記粘着層は、エネルギー線照射により初期粘着力から粘着力が低下する特性を有し、前記粘着層は、前記本開示の粘着組成物の硬化物である、粘着シートである。
本開示の1実施態様の粘着シートは、前記本開示の粘着組成物の硬化物である粘着層を備えることにより、前記粘着組成物において説明したのと同様の作用により、使用時には十分な粘着力を有しながら、剥離する前にエネルギー線照射により初期粘着力から粘着力を低下させることにより、剥離する際に被着体からの剥離力を小さくでき、被着体からの易剥離性に優れた粘着シートである。
被着体からの易剥離性に優れた粘着シートであることから、被着体を一時的に保護する、再剥離性の粘着保護シートとして好適に用いることができる。
図1に、本開示の粘着シートの一例の模式断面図を示す。
図1に示されるように、本開示の粘着シート10は、粘着層1と、前記粘着層1の一方の面に配置された基材2とを備える。
{粘着層}
前記粘着層は、前記本開示の粘着組成物の硬化物である。前記本開示の粘着組成物は前述したのでここでの説明を省略する。
粘着層の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。粘着層の膜厚は例えば、100μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましく、80μm以下が更に好ましい。膜厚の下限は、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。
前記粘着層は、エネルギー線照射前の初期粘着力として、アクリル板被着体(商品名:アクリライトL001、三菱ケミカル製)に対する剥離速度2.4m/分、剥離角度180度での剥離力が、0.1N/25mm以上20N/25mm以下であることが好ましく、0.2N/25mm以上10N/25mm以下であることがより好ましい。
また、前記粘着層は、エネルギー線照射後の粘着力として、アクリル板被着体(商品名:アクリライトL001、三菱ケミカル製)に対する、剥離速度2.4m/分、剥離角度180度での剥離力が、0.05N/25mm以下であることが好ましく、0.03N/25mm以下であることがより好ましく、0.02N/25mm以下であることがより更に好ましい。なお、一般に、剥離速度が大きくなればなるほど、剥離力は大きくなる。
前記粘着層は、エネルギー線照射前の状態で、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、更に90%以上であることが好ましい。また、前記粘着層は、エネルギー線照射前の状態で、ヘイズが1.5%以下であることが好ましく、更に1.0%以下であることが好ましい。ここで本開示の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば、ヘイズメーター(例えば村上色彩技術研究所製 HM150)により測定することができる。また、ヘイズ値は、JIS K-7105に準拠した方法で測定することができ、例えばヘイズメーター(例えば村上色彩技術研究所製 HM150)により測定することができる。
{基材}
本開示の粘着シートに用いられる基材は、適宜選択して用いられれば良く、特に限定されないが、粘着シートの基材側からエネルギー線を照射することにより、粘着層の初期粘着力から粘着力を低下させることが好ましいことから、透明な基材を用いることが好ましい。
本開示の粘着シートに用いられる基材は、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、更に90%以上であることが好ましい。また、本開示の粘着シートに用いられる基材は、ヘイズが1.5%以下であることが好ましく、更に1.0%以下であることが好ましい。
本開示の粘着シートに用いられる基材は、耐熱性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂の他、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステルエーテル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂等からなるフィルムが挙げられ、経済性と性能の面から特に好ましい基材としてはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
基材の膜厚は、粘着シートの用途に合わせて適宜選択されればよいが、例えば、被着体を保護し、かつ必要な強度で支持することが可能な厚さであれば従来から基材フィルムとして用いられているものの厚さ、例えば10~125μm程度の膜厚が好適に用いられる。
{粘着シートの製造方法}
本開示の粘着シートは、任意の適切な方法により製造することができる。
本開示の粘着シートは、基材と粘着層との積層体を製造することによって得ることができる。このような積層体は、例えば、
(1)粘着組成物の溶液や熱溶融液を基材上に塗布して粘着層する方法、
(2)前記(1)に準じ、セパレーター上に塗布、形成した粘着層を基材上に転写する方法、
(3)粘着組成物を基材上に押出して形成塗布する方法、
(4)基材層と粘着層を二層または多層にて押出しする方法、
などの、任意の適切な方法によって製造することができる。
中でも前記(1)の製造方法が好適に用いられる。
また、本開示の粘着シートに用いられる基材の表面には、所望により表面処理を行うことができる。この時の表面処理としては、例えば(1)コロナ放電処理やグロー放電処理などの放電処理、(2)プラズマ処理、(3)火炎処理、(4)オゾン処理、(5)紫外線処理や電子線、放射線処理等の電離活性線処理、(6)サンドマット処理やヘアライン処理などの粗面化処理、(7)化学薬品処理、(8)アンカー層形成等が挙げられる。アンカー層としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂などが用いられる。このアンカー層の厚さは、通常0.01~1.5μmの範囲である。
基材への粘着組成物の適用方法としては、適宜選択して公知の方法を用いることができる。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等の塗布方法や、各種印刷法、金型等を用いた転写法などが挙げられる。
基材上に適用された粘着組成物層は、適宜必要に応じて溶剤を除去(乾燥)して、加熱することにより熱架橋剤を熱架橋して、粘着層とすることができる。
本開示の粘着シートは、エネルギー線照射前の状態で、シート全体(後述のセパレータは除く)の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、更に90%以上であることが好ましい。
また、本開示の粘着シートは、エネルギー線照射前の状態で、シート全体(後述のセパレータは除く)のヘイズが1.5%以下であることが好ましく、更に1.0%以下であることが好ましい。
このような範囲とすることにより、粘着シートとして透明性が良好であり、粘着シートを付着したまま、被着体について、カメラ等による精密な確認や検査等を行うことができるため好ましい。
本開示の粘着シートは、その取り扱いの容易化を図るため、被着体と貼り合わされるまでは、粘着層の表面に剥離可能なセパレーターを貼り合せておくとよい。セパレーターは、公知の何れのものも使用することができ、例えば、離型PETフィルム等が挙げられ、その厚みは、例えば15~200μm程度にすることができる。
本開示の粘着シートは、使用時には十分な粘着力を有しながら、剥離する際に被着体からの剥離力を小さくでき、被着体からの易剥離性に優れた粘着シートである上、透明性も高いものにすることができることから、従来課題となっていた以下のような用途に対しても好適な粘着保護シートとして用いることができる。
例えば、被保護部材において保護シートを貼付する側の面が幅広の広面積で、被保護部材から保護シートを剥離するのに要する力が増す場合、また、各種電子部材や光学部材などの精密化や複雑化による、被保護部材自体の薄膜化、機能の集積化、微細化に伴い、被保護部材自身や被保護部材表面が破壊しやすい場合にも、好適な粘着保護シートとして用いることができ、工程用再剥離型の粘着保護シートとしても好適に用いることができる。
E.積層体、光学部材、電子部材
本開示の1実施態様の積層体は、前記本開示の粘着保護シートと、前記粘着保護シートの粘着層側に貼着されている被保護部材との積層体である。
前記本開示の粘着保護シートが、使用時には十分な粘着力を有しながら、剥離する際に被着体からの剥離力を小さくでき、被着体からの易剥離性に優れた粘着保護シートである上、透明性も高いものにすることができることから、幅広の広面積である被保護部材や、被保護部材自身や表面が破壊しやすい被保護部材との積層体としても、容易に再剥離可能であり、被保護部材に悪影響を与えない。
図2に、本開示の積層体の一例の模式断面図を示す。
図2に示されるように、本開示の積層体100は、粘着層1と、前記粘着層1の一方の面に配置された基材2とを有する粘着保護シート20と、前記粘着保護シート20の粘着層1側に貼着されている被保護部材11とが積層されている。
例えば、従来の粘着保護シートでは、易剥離性が未だ不十分で、解決されるべき課題があった被保護部材として、例えば、各種光学部材や、各種電子部材等が挙げられる。
本開示の積層体の被保護部材としては、光学部材や電子部材を好適に用いることができる。
すなわち、本開示の1実施態様の光学部材は、前記本開示の粘着保護シートが貼着されている光学部材である。
また、本開示の1実施態様の電子部材は、前記本開示の粘着保護シートが貼着されている電子部材である。
本開示に用いられる光学部材や電子部材は特に限定されることなく、粘着保護シートが必要とされる従来公知の光学部材や電子部材やそれらの中間製造物を、適宜選択して用いることができる。
以下、本開示について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本開示の実施形態を制限するものではない。
なお、質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。GPC測定は、東ソー製のHLC-8220GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したNMPとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw:8×10(F-80)、Mw:4×10(F-40)、Mw:2×10(F-20)、Mw:1×10(F-10)、Mw:4×10(F-4)、Mw:2×10(F-2)、Mw:5×10(A-5000)、Mw:2.5×10(A-2500)、Mw:1×10(A-1000)、Mw:5×10(A-500)(以上、東ソー製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー製)として行った。
(製造例1:ブロック共重合体Aの製造)
(1)ブロックポリマー中間体1の合成
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に酢酸エチル4g、活性アルミナにより精製したn-ブチルメタクリレート(n-BMA)4.2g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1.05g、(質量比 n-BMA/HEMA=80/20)、メチル-4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタノエート(RAFT剤)を0.0657g(モノマー100質量%に対して8質量%添加)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.00164g(RAFT剤に対して10%mol量)を添加し、窒素バブリングを10分間行った後、窒素雰囲気にし、75℃で4時間撹拌した。
4時間後、室温に戻し、アセトンで希釈した後、冷ヘキサンで再沈殿を行いブロックポリマー中間体1の固体を4.5g得た。得られたブロックポリマー中間体1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)10000、数平均分子量(Mn)8500、分子量分布(PDI)(Mw/Mn)は1.2であった。
(2)ブロック共重合体Aの合成
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、前記で得られたブロックポリマー中間体1を2.4g、サイラプレーンFM-0711(JNC製、カタログ値:一般式(II)において、Rはメチル基、Lは-COO-、Lは-(CH-、R~Rはメチル基、重量平均分子量(シロキサンユニットの重量平均分子量)1000)を0.6g、酢酸エチルを3g、AIBNを0.00657g(ブロックポリマー中間体1を100質量%に対して0.2質量%)添加し、窒素バブリングを10分間行った後、窒素雰囲気にし、75℃で4時間撹拌した。
4時間後室温に戻し、ブロック共重合体Aの50%質量溶液を得た。これによって得られたブロック共重合体AはGPC測定の結果、Mw:11000、Mn:9000、PDIは1.2であった。
(製造例2~4:ブロック共重合体B~Dの製造)
製造例2及び3では、製造例1において、ブロックポリマー中間体を製造する際のRAFT剤とアゾビスイソブチロ二トリル(AIBN)とをそれぞれ、表1に示す質量比に変更してブロックポリマー中間体2及び3を製造し、更にブロック共重合体を製造する際のAIBNの質量比を変更した以外は、製造例1と同様にして、ブロック共重合体B及びCを製造した。
製造例4では、製造例2と同様にしてブロックポリマー中間体2を製造した後、当該ブロックポリマー中間体2とサイラプレーンFM-0711の質量比を表1に示す質量比に変更した以外は、製造例2と同様にして、ブロック共重合体Dを製造した。
(比較製造例1:グラフト共重合体Aの製造)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、酢酸エチル10gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度75℃に加温した。n-BMAを7.88g、HEMAを1.13g、サイラプレーンFM-0711を2.25g(質量比(nBMA+HEMA)/サイラプレーン=80/20)、2,2‘-アゾビス(2,4-ジメチルバレロ二トリル)(V-65)、酢酸エチル7gの混合溶液を0.5時間かけて滴下し、5時間加熱攪拌したのち、V-65を0.015gと、酢酸エチルを0.5gとの混合液を5分かけて滴下し、さらに同温で1時間撹拌することで、グラフト共重合体Aの60質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体Aは、GPC測定の結果、Mw:14000、Mn:12000、PDI:2.0であった。
Figure 0007215061000010
(実施例1)
(1)粘着組成物の調製
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(商品名:SKダイン1811L、綜研化学製)46.5質量部、エネルギー線硬化性多官能化合物(商品名:ウレタンアクリレート U-10PA、新中村化学製)46.5質量部、エネルギー線開始剤(商品名:イルガキュア907、BASF製)1.4質量部、製造例1のブロック共重合体A 2.8質量部、熱架橋剤(イソシアネート系架橋剤、商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業製)2.8質量部、溶剤(商品名:KT11、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)、DICグラフィクス製)333質量部をそれぞれ混合して、実施例1の粘着組成物1を得た。
(2)粘着シートの製造
上記で得られた粘着組成物1をPET基材(商品名:ルミラーU34 75μm東レ製)に乾燥後の膜厚50μmになるようアプリケーター(ヨシミツ精機製)で塗工した。80℃オーブンで3分間加熱後、粘着層を得た。その後、粘着層に離型PETフィルム(商品名:E7006、東洋紡製)をクリーンローラーで貼合わせ、粘着シート1を製造した。
(実施例2~4)
(1)粘着組成物の調製
実施例1の(1)において、製造例1のブロック共重合体Aを、製造例2~4のブロック共重合体B~Dにそれぞれ変更した以外は、実施例1の(1)と同様にして、それぞれ粘着組成物2~4を得た。
(2)粘着シートの製造
実施例1の(2)において、粘着組成物1をそれぞれ粘着組成物2~4に変更した以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例2~4の粘着シート2~4を得た。
(比較例1)
(1)比較粘着組成物の調製
本開示のブロック共重合体を添加せずに、その他の成分の含有割合を表2に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較粘着組成物1を得た。
(2)比較粘着シートの製造
実施例1の(2)において、粘着組成物1を比較粘着組成物1に変更した以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例1の比較粘着シート1を得た。
(比較例2)
(1)比較粘着組成物の調製
実施例1の(1)において、製造例1のブロック共重合体Aを、比較製造例1のグラフト共重合体Aに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較粘着組成物2を得た。
(2)比較粘着シートの製造
実施例1の(2)において、粘着組成物1を比較粘着組成物2に変更した以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例2の比較粘着シート2を得た。
(比較例3)
(1)比較粘着組成物の調製
実施例1の(1)において、製造例1のブロック共重合体Aを、市販の高分子アゾ重合開始剤(VPS)を使用して合成したポリジメチルシロキサンとアクリル系ポリマーのブロック共重合体溶液(商品名:マイブロックワコー101、和光純薬製、ポリシロキサンユニット重量平均分子量約10000、GPC測定の結果、Mw:21900、Mn:15200、PDI:1.44)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較粘着組成物3を得た。
(2)比較粘着シートの製造
実施例1の(2)において、粘着組成物1を比較粘着組成物3に変更した以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例3の比較粘着シート3を得た。
Figure 0007215061000011
[評価]
<光学性能評価>
UV照射前の粘着シートのヘイズ値は、JIS K-7105に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。
また、UV照射前の粘着シートの全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。
<粘着層の剥離強度評価>
25mm幅にカットして、離型PETフィルムを剥離した粘着シートの粘着層側を、アクリル板被着体(商品名:アクリライトL001 三菱ケミカル製)に2kgローラー(テスター産業製)で1往復させ貼りつけた後、23℃、湿度約60%の条件下で3時間放置後にUV照射前剥離力(初期剥離力)を測定した。その後さらに、ブラックライト(大宮工業製)を用いて、露光量500mJ/cmで紫外線(UV)照射を行った後に、UV照射後剥離力を測定した。
剥離力の測定は、テンシロン(RTF-1150-H エー・アンド・デイ製)を用いて、180°引っ張り試験(移動速度2.4m/分、剥離角度180度、50mm移動)にて行った。
Figure 0007215061000012
(結果のまとめ)
本開示のブロック共重合体を添加した粘着組成物の硬化物である粘着層を備えた実施例1~4の粘着シートでは、比較例に比べてもUV照射後剥離力が大きく低下したものであり、易剥離性に優れ、更にヘイズも小さく、透明性にも優れたものであった。
一方で、従来のオルガノポリシロキサン構造をランダムに側鎖に含むグラフト共重合体を本開示のブロック共重合体の代わりに添加した比較粘着組成物の硬化物である粘着層を備えた比較例2の粘着シートでは、UV照射後の剥離力の低下が実施例に比べて不十分であり、また、ヘイズ値が大きくなってしまった。
また、従来のオルガノポリシロキサン系高分子アゾ系開始剤を用いることにより主鎖の末端部分にオルガノポリシロキサンを含むブロック共重合体(マイブロックワコー101)を本開示のブロック共重合体の代わりに添加した比較粘着組成物の硬化物である粘着層を備えた比較例3の粘着シートでは、マイブロックワコー101が粘着層と相溶せず、析出してしまった。
1 粘着層
2 基材
10 粘着シート
11 被保護部材
20 粘着保護シート
100 積層体

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むエネルギー線硬化性成分と、エネルギー線開始剤と、下記一般式(I)で表される構成単位を含むAブロックと、下記一般式(II)で表される構成単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体とを含有
    前記Aブロックに、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される1種以上を含有するモノマー由来の構成単位を含み、
    前記一般式(I)で表される構成単位の含有割合は、Aブロックの全構成単位の合計質量に対して、70質量%以上100質量%以下であり、
    前記一般式(II)で表される構成単位の含有割合は、Bブロックの全構成単位の合計質量に対して、100質量%であり、
    前記Aブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して50質量%以上90質量%以下であり、
    前記Bブロックの全構成単位の合計質量は、ブロック共重合体の全構成単位の合計質量に対して10質量%以上50質量%以下である、
    粘着組成物。
    Figure 0007215061000013
    (一般式(I)中、R は、水素原子又はメチル基、R は、置換基を有していても良く、炭素鎖中に酸素原子が含まれていても良い1価の炭化水素基を表し、
    一般式(II)中、R は、水素原子又はメチル基、L は、-COO-、-OCO-、-O-、-CONH-、-COS-、又は直接結合、L は、-O-、-NH-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCO-、-CONH-、-NHCONH-、及び-Si(R La )(R Lb )-からなる群から選択される1種以上が含まれていても良く、水酸基で置換されていても良い炭素数1~15の炭化水素基を含む2価の基、又は直接結合、R ~R は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の炭化水素基、水素原子、又は下記一般式(III)で表される基を表し、R La 及びR Lb は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の炭化水素基、又は水素原子を表し、aは1~50の整数である。)
    Figure 0007215061000014
    (一般式(III)中、R ~R 13 は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の炭化水素基、又は水素原子を表し、bは0~50の整数である。)
  2. 更に、熱架橋剤を含有する、請求項に記載の粘着組成物。
  3. 前記熱架橋剤が、イソシアネート系架橋剤である、請求項に記載の粘着組成物。
  4. 粘着層と、前記粘着層の一方の面に配置された基材とを有し、
    前記粘着層は、エネルギー線照射により初期粘着力から粘着力が低下する特性を有し、前記粘着層は、請求項乃至のいずれか1項に記載の粘着組成物の硬化物である、粘着シート。
  5. 請求項に記載の粘着シートである、粘着保護シート。
  6. 請求項に記載の粘着保護シートと、前記粘着保護シートの粘着層側に貼着されている被保護部材との積層体。
  7. 請求項に記載の粘着保護シートが貼着されている光学部材。
  8. 請求項に記載の粘着保護シートが貼着されている電子部材。
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