JP7214420B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、商業印刷分野やオフィス印刷分野で使用する機会が増えている。商業印刷分野やオフィス印刷分野においては、インクジェット記録装置の小型化が求められている。記録ヘッドの吐出口面が重力方向に対して傾いて配置された記録ヘッドを用いることで、記録媒体の搬送距離を短くすることが検討されている(特許文献1及び2参照)。また、複数のインクを吐出するための複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドを用いることが検討されている(特許文献1参照)。
特開2015-85552号公報 特開2009-18474号公報
本発明者らは、吐出口面が重力方向に対して傾くとともに、複数のインクを吐出するための複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドからインクを吐出させて、画像を記録した。その結果、インクの混色による画像の色調変化、及び画像ムラが生ずる場合があることが判明した。
本発明の目的は、吐出口面が重力方向に対して傾くとともに、複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドからインクを吐出しても、混色による画像の色調変化、及び画像ムラを抑制できるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法を使用するインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明は、水性インクである第1インク及び第2インク;並びに、前記第1インクを吐出する第1吐出口列及び前記第2インクを吐出する第2吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置されるとともに、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の少なくとも一部が記録媒体の搬送方向において重複するように配置された記録素子基板を複数具備し、前記複数の記録素子基板が、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の配列方向において、隣接して配置された記録ヘッド;を具備するインクジェット記録装置を使用するインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が0°以上90°未満となるように配置された前記記録ヘッドから、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する記録工程を有し、前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より低いことを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
また、本発明は、水性インクである第1インク及び第2インク;並びに、前記第1インクを吐出する第1吐出口列及び前記第2インクを吐出する第2吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置されるとともに、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の少なくとも一部が記録媒体の搬送方向において重複するように配置された記録素子基板を複数具備し、前記複数の記録素子基板が、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の配列方向において、隣接して配置された記録ヘッド;を具備するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が0°以上90°未満となるように配置された前記記録ヘッドから、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録し、前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より低いことを特徴とするインクジェット記録装置に関する。
本発明によれば、吐出口面が重力方向に対して傾くとともに、複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドからインクを吐出しても、混色による画像の色調変化、及び画像ムラを抑制できるインクジェット記録方法を提供することができる。
また、吐出口面が重力方向に対して傾くとともに、複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドからインクを吐出しても、混色による画像の色調変化、及び画像ムラを抑制できるインクジェット記録装置を提供することができる。
記録ヘッドの吐出口面と重力方向の関係を示す図であり、(a)は記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角が90°である場合を示す図、(b)は前記なす角が約45°である場合を示す図、(c)は前記なす角が0°である場合を示す図である。 1の記録素子基板の一例を模式的に示す図である。 ラインヘッドの一例を模式的に示す図であり、複数の吐出口列の配列方向において(a)は記録素子基板が千鳥状に配置(非隣接配置)されたラインヘッドの模式図、(b)は記録素子基板が直線状に配置(隣接配置)されたラインヘッドの模式図である。 インクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)は装置全体の断面図、(b)は記録ヘッド周辺の拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に述べる。本発明においては、以下、水性インクは、「インク」と記載することがある。各種の物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
本発明のインクジェット記録方法では、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板が隣接して配置された記録ヘッドを用いる。その理由は以下の通りである。
記録ヘッドが記録素子基板を複数具備する場合、記録素子基板同士の境目部分において吐出口列の不連続な箇所(以下、「つなぎ部」と記載)が存在することになる。つなぎ部を有する記録ヘッドを用いて画像を記録すると、画像においてインクが吐出されない部分が生じやすく、「スジ」(画像スジ)として認識されやすい。
画像スジの発生を抑制するために、記録素子基板の境目付近の吐出口同士が、記録媒体の搬送方向において重複する重複部を構成するように、複数の記録素子基板を配置することが知られている。記録媒体の搬送方向において複数の記録素子基板を重複するように配置する際、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を千鳥状に配置する場合(図3(a))と、複数の記録素子基板を直線状に配置する場合(図3(b))がある。
ここで、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を千鳥状に配置する場合の、吐出口が重複していない非重複部における第1吐出口列と第2吐出口列の間の距離をxとする。そして、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を直線状に配置する場合の、吐出口が重複していない非重複部における第1吐出口列と第2吐出口列の間の距離をxとし、xとxが同じ値であるとする。さらに、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を千鳥状に配置する場合の、重複部における、重力方向下側の記録素子基板の第1吐出口列と重力方向上側の記録素子基板の第2吐出口列の間の距離をyとする。複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を直線状に配置する場合の、重複部における、記録素子基板の第1吐出口列とその記録素子基板と隣接する記録素子基板の第2吐出口列の間の距離をyとする。
複数の記録素子基板を千鳥状に配置する場合、非重複部における2種の吐出口列の間の距離と、重複部における2種の吐出口列の間の距離との差は、y-xで表される。また、複数の記録素子基板を直線状に配置する場合、非重複部における2種の吐出口列の間の距離と、重複部における2種の吐出口列の間の距離との差は、y-xで表され、y-x>y-xの関係が成り立つ。記録媒体の搬送速度が一定である場合、2種の吐出口列の間の距離が大きいと、2種のインクの記録媒体への付与時間差が大きくなることを意味する。そのため、非重複部と重複部における2種の吐出口列の間の距離の差が大きいと、非重複部と重複部における2種のインクの記録媒体への付与時間差の差が大きくなる。すなわち、複数の記録素子基板を直線状に配置する場合と比べて、複数の記録素子基板を千鳥状に配置する場合は、非重複部と重複部における2種のインクの記録媒体への付与時間差の差が大きくなる。この場合、非重複部で記録される画像と重複部で記録される画像の間で「ムラ」(画像ムラ)が生じやすい。その理由は、以下の通りである。
2種のインクの付与時間差が小さいと、記録媒体に付与された第1インクの乾燥が進んでいない間に、第2インクを付与することになるため、第2インクが滲みやすくなる。一方、2種のインクの付与時間差が大きいと、記録媒体に付与された第1インクの乾燥が進んだ後に、第2インクを付与することになるため、第2インクが滲みにくくなる。非重複部と重複部でインクの付与時間差の差が大きいと、記録媒体での第2インクの滲みやすさが大きく異なるため、非重複部で記録される画像と重複部で記録される画像とで認識し得る色が異なってしまう。これにより、画像ムラが発生する。
画像ムラを抑制するためには、非重複部でのインクの付与時間差と重複部でのインクの付与時間差の差をより小さくすることが重要となる。このため、本発明のインクジェット記録方法では、複数の吐出口列の配列方向において、複数の記録素子基板を直線状に配置(隣接配置)する記録ヘッドを用いる。
図1は、記録ヘッドの吐出口面と重力方向の関係を示す図であり、(a)は記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角が90°である場合を示す図、(b)は前記なす角が約45°である場合を示す図、(c)は前記なす角が0°である場合を示す図である。図1中、θは、記録ヘッド8の吐出口面8aと重力方向(図1中、矢印G)のなす角を示している。一般的なインクジェット記録方法では、図1(a)に示す通り、記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角が90°、つまり吐出口面が重力方向に対して略垂直である記録ヘッドからインクを吐出して、画像を記録する。しかし、本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角が0°以上90°未満、つまり吐出口面が重力方向に対して傾いて配置された記録ヘッドからインクを吐出して、画像を記録する。図1(c)に示す通り、記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角が0°、つまり吐出口面が重力方向に対して略水平であってもよい。
吐出口面が重力方向に対して傾くとともに、複数の吐出口列を有する記録素子基板を複数具備する記録ヘッドを用いると、特に、高速で画像を連続して記録する場合、混色による画像の色調変化が生ずることが判明した。その理由は以下の通りである。ここでは、一例として、図1(b)に示す通り、4つの吐出口列I~IVが形成された吐出口面を有する記録ヘッドの隣接する吐出口列I及びIIに着目して説明する。それぞれの吐出口列を形成する吐出口群は、記録媒体の搬送方向(図1(b)中、矢印A)と略直交して配置されている。記録媒体は、矢印Aの方向に搬送され、インクが吐出口列I及びIIの順で記録媒体に吐出される。
画像を連続して記録すると、インクの吐出の際に溢れたインクが吐出口の周囲に付着しやすい。さらに、主インク滴の他に、付随して発生する小さなインク滴(以下、「ミスト」と記載)が増え、ミストが吐出口の周囲に付着しやすい。これにより、吐出口列IIからインクを吐出する際に、吐出口列IIを構成する吐出口の周囲において、インクが付着しやすくなる。
吐出口列IIを構成する吐出口の周囲において、インクが付着しやすくなる現象は、吐出口面が重力方向に対して垂直である記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録する通常のインクジェット記録方法でも生ずる現象である。その場合には、インクの混色は生じていなかった。インクの混色は、記録ヘッドの吐出口面が重力方向に対して傾いて配置された記録ヘッドを用いて画像を記録する場合に生ずる課題である。
記録ヘッドの吐出口面が重力方向に対して傾いて配置された記録ヘッドを用いて画像を記録すると、吐出口の周囲のうち、吐出口列Iの方向に向かって付着したインクに、重力方向への力が加わる。これにより、吐出口列IIを構成する吐出口の周囲において、吐出口列Iの方向に向かってインクが集まりやすい。画像を連続して記録すると、吐出口列IIを構成する吐出口の周囲において、吐出口列Iの方向に向かってインクがさらに集まる。そして、吐出口列IIの吐出口に形成されていたインクのメニスカスが破壊されることで、インクが溢れ、吐出口列IIから吐出するインクが吐出口面を伝って垂れてしまう。吐出口列IIから吐出するインクが吐出口列Iに入り込み、吐出口列Iから吐出されるインクの混色により記録される画像の色調変化が生ずる。
さらに、記録媒体の搬送方向において、吐出口列I及び吐出口列IIの少なくとも一部が重複するように配置された記録素子基板を具備する記録ヘッドでは、吐出口列IIから吐出するインクが吐出口列Iに入り込みやすい。これにより、吐出口列Iから吐出されるインクの混色により画像の色調変化が生ずる。
本発明者らは、インクの混色による画像の色調変化を抑制するため、隣接する2つの吐出口列から吐出するインクの明度の関係に着目した。インクの混色は、2種のインクのうち、明度の低いインクが明度の高いインクに入り込む場合に目立ちやすい。一方、インクの混色は、明度の高いインクが明度の低いインクに入り込む場合に目立ちにくい。したがって、隣接する2つの吐出口列から吐出するインクのうち、重力方向において下に配置された吐出口列から吐出するインクが、明度が低いインクであると、明度の高いインクが明度の低いインクに入り込む。そのため、画像の色調変化を小さくして、混色を目立ちにくくすることが可能となる。これにより、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。
<インクジェット記録方法>
本発明に用いる記録ヘッドは、第1インク及び第2インクを吐出する第1吐出口列及び第2吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置される。さらに、第1インクの明度は、第2インクの明度より低い。記録ヘッドがさらに別の吐出口列(第3吐出口列や第4吐出口列)を有する場合でも、以下の通り、隣接するそれぞれの吐出口列の明度の関係を満たすことが好ましい。これにより、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。
記録ヘッドの第2吐出口列の隣り合う位置に、さらに、水性インクである第3インクを吐出する第3吐出口列が配置され、かつ、記録媒体の搬送方向において、第2吐出口列及び第3吐出口列の少なくとも一部が重複するように配置される記録ヘッドを用いる。記録ヘッドは、第1吐出口列、第2吐出口列、及び第3吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置される。そして、第2インクの明度は、第3インクの明度より低いことが好ましい。
記録ヘッドの第3吐出口列の隣り合う位置に、さらに、水性インクである第4インクを吐出する第4吐出口列が配置され、かつ、記録媒体の搬送方向において、第3吐出口列及び第4吐出口列の少なくとも一部が重複するように配置される記録ヘッドを用いる。記録ヘッドは、第1吐出口列、第2吐出口列、第3吐出口列、及び第4吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置される。そして、第3インクの明度は、第4インクの明度より低いことが好ましい。
また、第1インク及び第2インクは、異なる色相であってもよいし、同一の色相であってもよい。第1インク及び第2インクが異なる色相であると、記録される画像の混色が目立ちやすいが、そのような場合でも、本発明の構成を採用することで、画像の混色を抑制できる。第1インク及び第2インクの色相は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどから選択できる。異なる色相である場合、第1インク及び第2インクは、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクからなる群より選択される2種のインクの組み合わせであることが好ましい。同一の色相である場合、第1インク及び第2インクは、濃インク及び淡インクの関係となる。第1インク及び第2インクの組み合わせは、ブラックの色相を有する濃インク(ブラックインク)及びブラックの色相を有する淡インク(グレーインク)、シアンの色相を有する濃インク(シアンインク)及びシアンの色相を有する淡インク(ライトシアンインク)、並びにマゼンタの色相を有する濃インク(マゼンタインク)及びマゼンタの色相を有する淡インク(ライトマゼンタインク)からなる群より選択される1種の組み合わせであることが好ましい。
<インクジェット記録装置>
以下、図2~4において、X方向は水平方向、Y方向はインクジェット記録装置の奥行方向、Z方向は垂直方向をそれぞれ示す。
図2は、1の記録素子基板の一例を模式的に示す図である。図2は、Y方向に配列された4つの吐出口列(100a~100d)を有する記録素子基板H1110を示している。記録ヘッドの有する吐出口面は、吐出口列を有する記録素子基板H1110を具備している面である。記録素子基板は、複数の吐出口列を有していればよい。例えば、1つの記録素子基板が4つの吐出口列を有する場合、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの4種のインクを4つの吐出口列からそれぞれ吐出する。
あるインクを吐出する吐出口で構成される吐出口列と、別のインクを吐出する吐出口で構成される吐出口列の間の距離(mm)は、0.1mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.0mm以下であることがより好ましい。前記距離は、0.3mm以上1.0mm以下であることがさらに好ましい。ここで、吐出口列の間の距離とは、あるインクを吐出する各吐出口の中心をつないだ直線と、別のインクを吐出する各吐出口の中心をつないだ直線との間の距離のことである。1種のインクを吐出する吐出口列が複数存在する場合の吐出口列の間の距離とは、X方向において最も近い距離にある、あるインクを吐出する吐出口で構成される吐出口列と、別のインクを吐出する吐出口で構成される吐出口列の間の距離のことである。
吐出口列の間の距離が短いと、吐出口列を密に配置できるため、より高画質な画像を記録できるものの、吐出口から別の吐出口にインクが混色しやすいため、画像の色調変化という課題が顕著に生ずる。そのような場合でも、本発明の構成を採用することで、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。
記録ヘッドの吐出口の中心を通る長径(μm)は、10μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、記録ヘッドから吐出するインク1滴あたりの吐出量(ng)は、8.0ng以下であることが好ましい。前記吐出量が8.0ngを超えると、インクの吐出の際にインクが溢れやすく、ミストも増えやすいため、吐出口の周囲においてインクがさらに付着しやすい。これにより、インクが混色しやすく、画像の色調変化を十分に抑制できない場合がある。前記吐出量(ng)は、2.0ng以上であることがより好ましい。
記録ヘッドは、複数の記録素子基板を具備している。複数の記録素子基板を具備する記録ヘッドを用いる場合、図2におけるY方向に沿って記録媒体の幅に相当する分だけ複数の記録素子基板が配列されている記録ヘッド、いわゆるラインヘッドを用いることが好ましい。複数の記録素子基板を具備する記録ヘッドを用いる場合、記録媒体の搬送方向において、吐出口が重複するように、複数の記録素子基板を配置させることが好ましい。これにより、記録素子基板の間のつなぎ部が存在することによる画像スジを抑制することができるものの、吐出口を重複させていることで、吐出口から別の吐出口にインクが混色しやすいため、画像の色調変化という課題が顕著に生ずる。そのような場合でも、本発明の構成を採用することで、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。
図3は、ラインヘッドの模式図であり、複数の吐出口列の配列方向において(a)は記録素子基板が千鳥状に配置(非隣接配置)されたラインヘッドの模式図、(b)は記録素子基板が直線状に配置(隣接配置)されたラインヘッドの模式図である。図3は、支持基板に、複数の記録素子基板H1110が配置されている。本発明のインクジェット記録方法では、複数の記録素子基板H1110が直線状に配置されたラインヘッドを用いることが好ましい。さらに、記録素子基板の形状としては、平行四辺形、長方形、台形、その他形状が挙げられるが、平行四辺形であることが好ましい。
インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式などを挙げることができる。なかでも、インクを吐出する方式は、インクに熱エネルギーを付与する方式であることが好ましい。
図4は、インクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)は装置全体の断面図、(b)は記録ヘッド周辺の拡大図である。図4に示す通り、装置の小型化のため、複数種のインクに対応する複数の記録ヘッドにより画像を記録するのではなく、複数種のインクを吐出できる1つの記録ヘッドにより画像を記録できるインクジェット記録装置を用いる。インクを吐出して画像を記録する際には、図4に示す通り、記録ヘッド8の吐出口面8aと重力方向のなす角は、0°以上90°未満となり、重力方向に対して傾いた記録ヘッド8からインクを吐出して、画像を記録する。
また、インクを吐出して画像を記録する際には、記録媒体Sと重力方向のなす角と、記録ヘッド8の吐出口面8aと重力方向のなす角との差は、±5°以下であることが好ましく、0°であることがさらに好ましい。すなわち、吐出口列Iを形成する吐出口と記録媒体Sの間の距離と、吐出口列IVを形成する吐出口と記録媒体Sの間の距離との差は、±1mm以下であることが好ましく、0mmであることがさらに好ましい。ここで、吐出口と記録媒体Sの間の距離は、吐出口の中心と、吐出口の中心から重力方向に線を延ばした場合のその線と記録媒体とが交差する位置との間の距離のことである。このように、画像を記録する際の記録媒体の搬送方向を上記の条件とすることで、X方向における記録媒体の搬送距離も短くなり、装置の小型化が可能である。X方向における記録媒体の搬送距離をより短くするために、記録ヘッドの吐出口面と重力方向のなす角は、10°以上80°以下であることが好ましく、30°以上60°以下であることがさらに好ましい。
記録ヘッド8の吐出口面8aは、プラテン9と対向している。図4において、プラテン9の平面は重力方向に対して約45°傾いており、記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように重力方向に対して約45°傾いている。インクジェット記録装置が記録動作をしていない場合、記録ヘッド8の吐出口面8aと重力方向とのなす角は、90°となる。
さらに、画像を記録する際の、記録媒体の搬送経路を説明する。図4(b)において、記録媒体Sは、第1ガイド10に案内され、用紙センサ11で記録媒体Sの先端位置が検知される。記録媒体Sは、第1搬送ローラ12とバネ付勢された拍車などで構成された第1ピンチローラ13とに挟持されながら、記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに向けて搬送される。記録領域Pでは、記録ヘッド8の有する複数の吐出口列(I~IV)から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、第2搬送ローラ14と第2ピンチローラ15とに挟持されながら、第2ガイド16に案内されて、搬送される。
画像を記録する際の記録媒体の搬送方向は、図4(b)に示す方向と逆方向でもよいが、図4(b)に示すように重力方向において下から上へ搬送することで、画像を記録した後の記録媒体が記録装置の上部に排出されるため、ユーザが記録媒体を取りやすい。しかし、記録媒体が重力方向において下から上へ搬送されると、重力方向において下にある吐出口列Iの近くが減圧される。これにより、吐出口列Iの近くの空気抵抗が減るため、次に吐出口列IIから吐出されるインクが、空気抵抗が減った吐出口列Iの方向に引き寄せられる。このように、吐出口列IIからインクを吐出する際、吐出口列Iの方向にインクが引き寄せられることで、吐出口列IIを構成する吐出口の周囲において、吐出口列Iの方向に向かってインクが付着しやすくなる。そのため、インクの混色により、画像の色調変化という課題が顕著に生ずる。そのような場合でも、本発明の構成を採用することで、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。また、画像を記録する際の記録媒体の搬送方向は、吐出口列I~IVの配列方向と交差する方向であることが好ましい。
インクの吐出量のばらつきを抑制するために、画像データにもとづくインクの吐出の前に、インクを予備加熱することが好ましい。この予備加熱は、インクを吐出するための記録素子近傍に存在する加熱素子による加熱である。インクを加熱することで、インクの粘度が下がりやすいため、吐出口から吐出するインクが吐出口面を伝って垂れやすく、インクが混色しやすい。これにより、画像の色調変化という課題が顕著に生ずる。そのような場合でも、本発明の構成を採用することで、インクの混色による画像の色調変化を抑制できる。
さらに、記録ヘッドの吐出口面は、撥水処理されていることが好ましい。これにより、吐出口の周囲に付着するインクと吐出口面の接触角が大きくなるため、インク滴が粒状になりやすい。そのため、吐出口面を伝って重力方向に垂れにくく、インクの混色による画像の色調変化をさらに抑制できる。
吐出口面を撥水処理するための方法としては、撥水性材料をスプレーで塗布する方法や、真空蒸着やプラズマ重合により撥水性材料を付着させるという方法などを選択することができる。形成された吐出口面の撥水性は、その部材表面における水滴の接触角を測定することにより特定することができる。水の接触角が70度以上である場合は、撥水性を有するということができ、水の接触角が90度以上である場合が好ましい。なお、水との接触角は、純水(イオン交換水)を用い、一般的な接触角計を使用して測定することができる。このような接触角計としては、例えば、自動接触角測定機(CA-W、協和界面科学製)が挙げられる。
撥水性材料としては、例えば、フッ素樹脂系の化合物が好ましく用いられる。特に、フッ素樹脂系の化合物からなる一様な樹脂膜として撥水面が形成されていることが好ましく、この樹脂膜にはニッケルなどの金属が含まれないことが好ましい。フッ素樹脂系の化合物は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、環状構造を有するフッ素樹脂、などが挙げられる。具体的には、ポリフロンPTFE(ダイキン工業製)や、テフロン(登録商標)PTFE(デュポン製)、サイトップ(旭硝子製)などを挙げることができる。さらには、その他のフッ素原子を含有する樹脂、例えば、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、フッ素化ウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂及びそれらの変性樹脂なども用いることができる。また、撥水性材料として、珪素原子を含む化合物やシリコーン系樹脂を用いてもよい。
なかでも、高度な撥水性と耐久性が得られることから、撥水性材料として、フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及びカチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の縮合物を用いることが好ましい。また、この縮合物を、紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化させた樹脂を用いてもよい。これらの加水分解性シラン化合物は、その分子構造中に加水分解性基を有する。加水分解性基としてはアルコキシ基を挙げることができる。また、カチオン重合性基としては環状エーテル基、環状ビニルエーテル基などを挙げることができる。
インクジェット記録装置は、インク中の色材を凝集させる反応剤を含有する反応液を記録媒体に付与する手段を備えてもよい。反応液を記録媒体に付与する手段としては、ローラなどで記録媒体に反応液を塗布する手段、インクジェット方式の記録ヘッドから反応液を吐出する手段などが挙げられる。本発明のインクジェット記録装置は、エネルギー線の照射手段を備える必要はない。
<インク>
以下、本発明で用いるインクを構成する各成分について詳細に説明する。本発明で使用するインクは、エネルギー線の照射により重合するような化合物を含有しなくてもよい。
(色材)
インクは、色材を含有することが好ましい。色材としては、染料や顔料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上11.0質量%以下であることがより好ましい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。分散方法が異なる顔料を併用することも可能である。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
(水性媒体)
インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、1,6-ヘキサンジオール、及び数平均分子量が1,000であるポリエチレングリコールなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
(物性)
[明度]
インクの明度の関係を満たせば、インクの色相は、異なる色相であっても、同一の色相であってもよく、どの色相の組み合わせであってもよい。なかでも、インクの色相は、異なる色相であることが好ましい。色相が異なる場合、明度は、小さい方から大きい方に向かって順に、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクとなる。インクの明度の関係は、測定に適した吸光度の値となるように、適切な倍率に水で希釈したインクの明度を分光光度計で測定することにより把握できるが、インク中の色材の含有量によりインクの明度の関係が変わる場合もある。複数のインクの明度を比較する場合は、複数のインクを同じ倍率になるように、水で希釈する必要がある。
[粘度]
複数の吐出口列のうち、重力方向において上に配置された吐出口列から吐出するインクの粘度(mPa・s)は、2.0mPa・s以上であることが好ましい。インクの粘度を高くすることで、吐出口列から吐出するインクが吐出口面を伝って垂れてしまうことを抑制でき、インクを混色しにくくする。これにより、インクの混色による画像の色調変化をより抑制できる。吐出口から吐出する各インクの粘度(mPa・s)は、2.0mPa・s以上であることがより好ましい。画像を記録する際に、吐出口からのインクの溢れやミストの増加による吐出口面へのインクの付着を抑制できる。これにより、インクが混色しにくくなり、画像の色調変化をさらに抑制できる。インクの粘度は、回転式粘度計を用いて測定する。吐出口から吐出する各インクの粘度(mPa・s)は、3.0mPa・s以上12.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。粘度の値は、水溶性有機溶剤の種類や量により適宜調整できる。
[表面張力]
インクの混色を抑制するため、インクを吐出する際に、吐出口の周囲においてインクが付着しにくいことが重要となる。そこで、インクの発泡から吐出までに要する時間が数m秒であるので、精度よく測定可能であるごく短い寿命時間として、10m秒でのインクの動的表面張力に着目した。寿命時間10m秒でのインクの動的表面張力(mN/m)は、35mN/m以上であることが好ましい。
前記動的表面張力が35mN/m未満であると、インクの表面にその表面積を小さくするような張力が働きにくく、インクを吐出すると、吐出口の周囲においてインクが付着しやすい。これにより、吐出口から吐出するインクが吐出口面を伝って垂れやすいため、インクの混色により画像の色調変化を十分に抑制できない場合がある。前記動的表面張力は、48mN/m以下であることがさらに好ましい。
インクの動的表面張力は、最大泡圧法により測定する。この方法では、測定対象の液体中にプローブ(細管)を浸し、その先端部分から押し出された気泡を放出するのに必要な最大圧力を測定して、表面張力を求める。また、寿命時間とは、プローブの先端部分から気泡が形成される際の、気泡が離れた後に新しい表面が形成されてから最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブの先端部分の半径が等しくなったとき)までの時間を意味する。
さらに、インクの静的表面張力(mN/m)は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インクの静的表面張力は、ウィルヘルミー法(プレート法)により測定する。表面張力の値は、界面活性剤の種類や量により適宜調整できる。
以下、実施例、比較例、及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液に、温度5℃で、4-アミノ-1,2-ベンゼンジカルボン酸1.6gを加えた。温度10℃以下を維持するために、アイスバスで撹拌しながら、上記で得られた溶液に、水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。15分撹拌後、比表面積が220m/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6.0gを加え、混合した。さらに、15分撹拌後、得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2、アドバンテック製)でろ過し、カーボンブラックを十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させた。得られたカーボンブラックに水を添加して、カーボンブラックの粒子表面に-C-(COONa)基が結合した自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液(顔料の含有量が15.0%)を得た。その後、イオン交換法を用いて、顔料分散液のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換した。
<染料を含む液体の調製>
染料1として、C.I.ダイレクトブルー199、染料2として、C.I.アシッドレッド289、染料3として、C.I.ダイレクトイエロー132をそれぞれ含有する、染料1~3を含む液体(染料の含有量が10.0%)を得た。
<インクの調製>
表1に記載の各成分を混合し、十分撹拌した。その後、ポアサイズ1.2μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、インクを調製した。表1の下段に、インクの明度及びインクの粘度を記載する。インクの明度は、インクを純水で2,000倍に希釈した後、紫外可視分光光度計(U-3900H、日立製作所製)を用いて、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表示系に基づく明度Lを光源:C、視野:2°の条件で測定した。インクの粘度は、回転粘度計(RE80型粘度計、東機産業製)を用いて測定した。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性の界面活性剤である。
Figure 0007214420000001
<評価>
本発明においては、下記の評価の評価基準で、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表3に示す。図4に示す構成に、表2に記載の記録ヘッド1~9を搭載したインクジェット記録装置を用いた。表2中、記録素子基板の有する吐出口列は、図1に記載の吐出口列I~IVに対応する。記録ヘッド1~6、8、及び9の記録素子基板は、記録媒体の搬送方向において、吐出口列が重複しているものの、記録ヘッド7の記録素子基板は、記録媒体の搬送方向において、吐出口列が重複していない。さらに、記録ヘッド5は、吐出口列I~IIIを有するものの、吐出口列IIからインクを吐出しない。
記録ヘッド1~9は、1つの吐出口列あたりの吐出口の数は、1024個であり、1つの吐出口列あたりの吐出口の密度は、600dpiだった。また、吐出口の中心を通る長径(μm)は、20μm、隣接する吐出口列の間の距離(mm)は、0.7mmだった。さらに、記録ヘッドの吐出口面は、フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及びカチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の縮合物により撥水処理されていた。
本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域に5.0ngのインク滴を3滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義し、記録媒体の搬送速度を15インチ/秒とした。吐出口列Iから吐出口列II(表3中、「I→II」)の方向に記録媒体を搬送する場合、画像を記録する際に重力方向において下から上へ記録媒体を搬送している。吐出口列IIから吐出口列I(表3中、「II→I」)の方向に記録媒体を搬送する場合、画像を記録する際に重力方向において上から下へ記録媒体を搬送している。
Figure 0007214420000002
(画像の色調変化)
まず、それぞれのインクを用いて、記録デューティが100%である単色のベタ画像(記録媒体の搬送方向約3cm×装置の奥行方向約4cm)を記録した。得られた画像を評価用画像1とした。その後、各インクを用いて、各インクの記録デューティが均等、かつ、インクの合計の記録デューティが100%となるように複数色のベタ画像(記録媒体の搬送方向約29cm×装置の奥行方向約4cm)を100枚連続で記録した。そして、再びそれぞれのインクを用いて、100枚連続して記録する前と同様に、記録デューティが100%である単色のベタ画像(記録媒体の搬送方向約3cm×装置の奥行方向約4cm)を記録した。得られた画像を評価用画像2とした。記録媒体は、普通紙(HR-101、キヤノン製)を用いた。
分光光度計(Spectrolino、Macbeth製)を用いて、評価用画像1と評価用画像2における単色のベタ画像のL、a、bを測定した。L、a、bは、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表示系に基づくものである。評価用画像1において、1種類のベタ画像につき、ベタ画像内の測定位置を任意に変えることで、L、a、bを10回測定し、その平均値をL 、a 、b とする。さらに、評価用画像2においても同様に、1種類のベタ画像につき、L、a、bを10回測定し、その平均値をL 、a 、b とする。そして、評価用画像1と評価用画像2で同じ種類のベタ画像において、色差ΔEをΔE={(L -L +(a -a +(b -b 1/2の式から算出した。複数種のベタ画像を記録したため、ΔEの平均値をとった。ΔEが小さい値であるほど、画像の混色が目立ちにくいことを示している。
A:ΔEが2未満だった
B:ΔEが2以上4未満だった
C:ΔEが4以上だった。
(画像ムラ)
各インクを用いて、各インクの記録デューティが均等、かつ、インクの合計の記録デューティが100%となるように複数色のベタ画像(記録媒体の搬送方向約3cm×装置の奥行方向約4cm)を記録した。記録媒体は、普通紙(HR-101、キヤノン製)を用いた。画像を目視で確認して、画像ムラを評価した。
A:画像ムラが目立たなかった
C:画像ムラが目立った。
Figure 0007214420000003

Claims (18)

  1. 水性インクである第1インク及び第2インク;並びに、前記第1インクを吐出する第1吐出口列及び前記第2インクを吐出する第2吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置されるとともに、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の少なくとも一部が記録媒体の搬送方向において重複するように配置された記録素子基板を複数具備し、前記複数の記録素子基板が、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の配列方向において、隣接して配置された記録ヘッド;を具備するインクジェット記録装置を使用するインクジェット記録方法であって、
    前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が0°以上90°未満となるように配置された前記記録ヘッドから、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する記録工程を有し、
    前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より低いことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が、10°以上80°以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が、30°以上60°以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記記録素子基板が、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録媒体が、前記第1吐出口列から前記第2吐出口列に向かう方向に搬送される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1インク及び前記第2インクが、互いに異なる色相を持つ請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記記録ヘッドの前記第2吐出口列の隣り合う位置に、さらに、水性インクである第3インクを吐出する第3吐出口列が配置され、かつ、
    前記記録媒体の搬送方向において、前記第2吐出口列及び前記第3吐出口列の少なくとも一部が重複するように配置され、
    前記第2インクの明度が、前記第3インクの明度より低い請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記記録ヘッドの前記第3吐出口列の隣り合う位置に、さらに、水性インクである第4インクを吐出する第4吐出口列が配置され、かつ、
    前記記録媒体の搬送方向において、前記第3吐出口列及び前記第4吐出口列の少なくとも一部が重複するように配置され、
    前記第3インクの明度が、前記第4インクの明度より低い請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記水性インクの粘度(mPa・s)が、2.0mPa・s以上である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記水性インクの粘度(mPa・s)が、12.0mPa・s以下である請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記記録ヘッドの有する吐出口面が、撥水処理されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記記録素子基板の形状が、平行四辺形、長方形、又は台形である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記記録素子基板の形状が、平行四辺形である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の間の距離(mm)が、0.1mm以上1.5mm以下である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記第1インクを吐出する第1吐出口列及び前記第2インクを吐出する第2吐出口列を構成する吐出口の中心を通る長径(μm)が、10μm以上50μm以下である請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記記録ヘッドから吐出される前記水性インク1滴あたりの吐出量(ng)が、2.0ng以上8.0ng以下である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記記録ヘッドが、ラインヘッドである請求項1乃至16のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  18. 水性インクである第1インク及び第2インク;並びに、前記第1インクを吐出する第1吐出口列及び前記第2インクを吐出する第2吐出口列が重力方向において下から順に隣接して配置されるとともに、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の少なくとも一部が記録媒体の搬送方向において重複するように配置された記録素子基板を複数具備し、前記複数の記録素子基板が、前記第1吐出口列及び前記第2吐出口列の配列方向において、隣接して配置された記録ヘッド;を具備するインクジェット記録装置であって、
    前記記録ヘッドの有する吐出口面と重力方向のなす角が0°以上90°未満となるように配置された前記記録ヘッドから、前記水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録し、
    前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より低いことを特徴とするインクジェット記録装置。
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