JP7213788B2 - エレベーターシステム及び復帰方法 - Google Patents
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Description
したがって、保守モード中には、昇降路内の作業員の安全を確保するために、基本的には乗りかごは停止状態であり、走行するとしても安全が確保される低速での走行のみが行われる。
運転モードが保守モードから通常モードに復帰することで、これらの乗りかごの走行制限は解除され、通常速度での走行が可能になる。
この特許文献1に記載された技術では、乗りかごのドアが閉じた状態で、いずれかの乗場ドアが開いたとき、通常走行モードを保守点検モードに切替えるようにしている。
保守モードから通常モードに復帰すると、乗りかごは通常速度での走行を行うため、作業員は昇降路外に退場している必要がある。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、乗りかごの走行を制御する制御装置を備え、制御装置による乗りかごの運転モードとして、通常モードと保守モードとを有するエレベーターシステムである。
そして、制御装置は、保守作業時の作業人数を記憶する記憶部と、作業員の操作を受け付ける入力部と、保守モードを設定中に、記憶部に記憶された作業人数が一人のとき、乗りかごに配置された操作盤の操作を入力部が受け付けることで、通常モードに復帰させる制御を行い、記憶部に記憶された作業人数が二人のとき、乗りかごに配置された操作盤の操作と、乗りかごが停止した階以外の階の乗場のボタン操作との双方の操作を入力部が受け付けることで、通常モードに復帰させる制御を行う制御部と、を備える。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
[エレベーターシステム全体の構成]
図1は、本例のエレベーターシステム全体の概略構成を示す。
本例のエレベーターシステムは、昇降路内に乗りかご1が配置される。乗りかご1は、主ロープ3の一端に接続され、主ロープ3の他端にウェイト2が接続され、巻上機4による駆動で、乗りかご1が昇降路内を走行(昇降)する。
巻上機4は、駆動部5からの駆動電力の供給で作動する。駆動部5による駆動電力の供給は、制御装置6による制御で行われる。
また、操作盤7には、保守点検作業時に作業員が所持する端末を接続するための接続端子8が設けられている。操作盤7内のボタンなどの操作情報は、制御装置6に伝送される。
各階床の乗場ボタン21~24が押されたことを示す操作情報は、制御装置6に伝送される。
図2は、制御装置6のハードウェア構成例を示す。図2に示す例は、制御装置6をコンピュータ装置で構成した場合の例である。
図2に示す制御装置(コンピュータ装置)6は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)6aと、ROM(Read Only Memory)6bと、RAM(Random Access Memory)6cを備える。さらに、制御装置6は、不揮発性ストレージ6dと、ネットワークインタフェース6eと、入力部6fと、表示部6gを備える。
RAM6cには、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
表示部6gには、エレベーターの運転状況や運転モードなどが表示される。なお、制御装置6は、表示部6gを備えない構成としてもよい。表示部6gを備えない場合には、例えば接続端子8又は21aに接続した作業者の端末に、エレベーターの運転状況や運転モードなどを表示させてもよい。
図3は、本例のエレベーターシステムで、保守点検を行うために運転モードを通常モードから保守モードに切り替える場合の処理の流れを示す。エレベーターの運転モードは制御装置6が管理する。
まず、制御装置6は、作業者の人数を読み出す(ステップS11)。この作業者の人数は、例えば制御装置6が、保守点検スケジュールとして登録された一覧から、現在の作業日時に合致する項目を読み出し、その項目の保守点検作業に含まれる作業人数の項目から判断する。あるいは、保守点検スケジュールについての事前登録がない場合には、運転モードの変更作業を行う作業員が、何らかの操作で作業人数を登録してもよい。なお、制御装置6が記憶する保守点検スケジュールは、例えば外部の保守管理用のサーバから制御装置6に伝送されて登録される。
また、ステップS12で、保守モード側に切り替える操作がないと判断したとき(ステップS12のNO)、制御装置6は、乗場ドア11~14の内で、乗りかご1が停止していないいずれかの階床の乗場ドアが開状態になっているか否かを判断する(ステップS13)。
また、ステップS13で、乗りかご1が停止している階以外の全ての階床の乗場ドアが閉状態であるとき(ステップS13のNO)、制御装置6は、ステップS12の判断に戻る。
まず、保守モードから通常モードに復帰させる場合には、乗りかご1に作業員が乗り込んだ状態で、乗りかご1が停止した階床を含めた全ての階床の乗場ドア11~14を閉状態にする。この全ての階床の乗場ドア11~14を閉状態にする操作は、例えば作業員による操作で行われる。すなわち、保守点検時には、乗りかご1が停止した階床以外の乗場ドアを開けることがあるが、そのように開いた乗場ドアを作業員による操作で閉状態にすると共に、乗りかご1が停止した階床についても、乗場ドア(及びかごドア)を閉状態にする。そして、制御装置6は、全ての乗場ドア11~14が閉状態であることを確認する(ステップS21)。本例の場合、このように全ての乗場ドア11~14が閉状態であることを確認するのが、通常モードへの切り替えを行う際の前提条件になる。
図5~図7は、本例のエレベーターシステムで、図4のフローチャートで説明した手順で、保守モードから通常モードへの復帰の操作が行われる状態を、作業員の人数別に示すものである。
図5は、作業員が一人の場合を示す。
作業員が一人の場合には、全ての階床の乗場ドア11~14が閉じた状態で、乗りかご1内の作業員M1が、操作盤7を操作して、運転モード切り替え用のスイッチを通常モード側に切り替える操作を行う。制御装置6は、作業員M1が行った運転モードの切り替え動作を検知して、通常モードに復帰する。
図6(a)の例と、図6(b)の例は、乗りかご1外の作業員が操作する階床が異なる。
例えば、図6(a)に示すように、作業員が二人の場合、全ての階床の乗場ドア11~14が閉じた状態で、乗りかご1内の作業員M1が、操作盤7を操作して運転モード切り替え用のスイッチを通常モード側に切り替える操作を行う。その後、運転モード切り替え用のスイッチの操作から一定時間以内に、乗りかご1が停止した階床とは別の階床の乗場ボタン21について、二人目の作業員M2が、復帰用の特殊な操作を行ったとする。
制御装置6は、作業員M1と作業員M2が行った運転モードの切り替え動作を検知して通常モードに復帰する。
図示は省略するが、二人目の作業員M2が、さらに別の階床の乗場ボタン22で復帰用の特殊な操作を行った場合にも、制御装置6は、通常モードに復帰する。
作業員が三人の場合、全ての階床の乗場ドア11~14が閉じた状態で、乗りかご1内の作業員M1が、操作盤7を操作して運転モード切り替え用のスイッチを通常モード側に切り替える操作を行う。その後、運転モード切り替え用のスイッチの操作から一定時間以内に、乗りかご1が停止した階床とは別の2つの階床の乗場ボタン21,23について、二人目の作業員M2と三人目の作業員M3が、復帰用の特殊な操作を行ったとする。
制御装置6は、二人目の作業員M2と三人目の作業員M3が行った運転モードの切り替え動作を検知して、通常モードに復帰する。
この図7は一例であり、乗りかご1が停止した階床の乗場ボタン22以外の2つの階床の乗場ボタンであれば、いずれの階床の乗場ボタンの操作でもよい。
また、操作盤7で運転モード切り替え用のスイッチの操作が行われた後、各階床の乗場ボタン21~24が操作を受け付けている一定時間内に、制御装置6は、各階床の乗場ボタン21~24の点滅などで、操作を受け付けていることを告知するようにしてもよい。
すなわち、作業員が一人の場合には、他の作業員がいないので、図5に示すように、一人の作業員の乗りかご1内の操作盤7での操作だけで通常モードに復帰させることで、安全を確保した通常モードへの復帰処理を行うことができる。
さらに、作業員が三人の場合についても、図7に示すように、三人の作業員M1,M2,M3による離れた場所での一定時間以内での操作によって通常モードに復帰するため、昇降路のピット内や乗りかご1の上などに作業員が取り残された状況で復帰することがない。
したがって、作業員が二人や三人の場合にも、全員の作業員の安全を確保した通常モードへの復帰処理を行うことができる。特に本例の場合には、乗りかご1の外の作業員M2,M3が操作する乗場ボタンは、乗りかご1が停止した階床以外の乗場ボタンであるので、一人の作業員だけで復帰の操作を行うことは事実上不可能であり、作業員全員の安全が確保される。
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、事前に作業スケジュールで作業人数が登録されている場合には、作業開始前に、作業員が所持した端末の表示部などに、登録された作業人数を表示させて、作業人数の変更がないかを確認した上で、図3のフローチャートに示す保守モードへの変更処理を行うようにしてもよい。
しかしながら、通常モードに復帰するまで、全ての階床の乗場ドア11~14の閉状態が維持されていることを制御装置6が確認できた場合には、作業員M2またはM3が操作する乗場ボタンとして、乗りかご1が停止した階床の乗場ボタンを選べるようにしてもよい。
また、運転モードの切り替え処理を行うプログラム等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
Claims (6)
- 乗りかごの走行を制御する制御装置を備え、前記制御装置による前記乗りかごの運転モードとして、通常モードと保守モードとを有するエレベーターシステムであり、
前記制御装置は、
保守作業時の作業人数を記憶する記憶部と、
作業員の操作を受け付ける入力部と、
前記保守モードを設定中に、前記記憶部に記憶された作業人数が一人のとき、前記乗りかごに配置された操作盤の操作を前記入力部が受け付けることで、前記通常モードに復帰させる制御を行い、前記記憶部に記憶された作業人数が二人のとき、前記乗りかごに配置された操作盤の操作と、前記乗りかごが停止した階以外の階の乗場のボタン操作との双方の操作を前記入力部が受け付けることで、前記通常モードに復帰させる制御を行う制御部と、を備える
エレベーターシステム。 - 前記記憶部に記憶された作業人数が二人の場合には、前記乗りかごに配置された操作盤の操作から所定時間以内に、乗場のボタン操作を前記入力部が受け付けたとき、前記制御部は、前記通常モードに復帰させる制御を行う
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記記憶部に記憶された作業人数がいずれの場合でも、前記制御部が前記通常モードに復帰させる判断の条件に、全ての階床の乗場ドアが閉状態であることを加える
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記操作盤の操作と、前記乗場のボタン操作の少なくともいずれか一方は、それぞれの箇所に接続された端末の操作である
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記記憶部に記憶された作業人数が三人のとき、前記乗りかごに配置された操作盤の操作と、前記乗りかごが停止した階以外の2つの階の乗場のボタン操作との全ての操作を前記入力部が受け付けたとき、前記制御部は、前記通常モードに復帰させる制御を行う
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 昇降路内の乗りかごの走行を制御する運転モードとして、通常モードと保守モードとを有するエレベーターシステムに適用される復帰方法であり、
保守作業時の作業人数を登録する登録処理と、
保守作業時の作業員の操作を受け付ける入力処理と、
前記保守モードを設定中に、前記登録処理で登録された作業人数が一人のとき、前記乗りかごに配置された操作盤の操作を前記入力処理で受け付けることで、前記通常モードに復帰させる制御を行い、前記登録処理で登録された作業人数が二人のとき、前記乗りかごに配置された操作盤の操作と、前記乗りかごが停止した階以外の階の乗場のボタン操作との双方の操作を前記入力処理で受け付けることで、前記通常モードに復帰させる制御を行う制御処理と、を含む
復帰方法。
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