JP7212177B2 - 内燃機関用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用制御装置に関する。
近年、車両の燃費向上のため、理論空燃比よりも薄い混合気を燃焼して内燃機関を運転する技術や、燃焼後の排気ガスの一部を取り入れて再度吸気させる技術などを導入した内燃機関の制御装置が開発されている。
この種の内燃機関の制御装置では、燃焼室における燃料や空気の量が理論値から乖離するため、点火プラグによる燃料への着火不良が生じやすくなる。そこで、燃焼室内のガス流速を高くすることで、点火プラグの電極間におけるガス流速を高くして、電極間に形成された放電路をガスの流れに乗って長く伸ばすようにすることで、放電路とガスの接触長さを長くして、着火不良を抑制する方法がある。
しかし、点火プラグの電極間におけるガス流速が高すぎると、放電路が十分に伸びる前に放電路の吹き消えが生じてしまい、必要な長さの放電量が得られない。放電路の吹き消えを抑制するためには、点火プラグの放電エネルギーを高くすることが有効である。しかしながら、必要以上のエネルギーを点火プラグから放電すると、エネルギー効率の低下や電極摩耗の促進を引き起こしてしまう。このため、点火プラグの電極間におけるガス流速を正確に推定し、その推定結果に応じて点火プラグの放電エネルギーを適切に制御する必要がある。
点火プラグの電極間におけるガス流速を正確に推定する方法として、点火プラグの放電中に電極間の電圧を検出し、検出された電圧の変化からガス流速を推定する方法が知られている。しかしながら、点火プラグの放電中は電極間の電圧が高電圧となるため、これを直接的に検出するのは困難である。
ガス流速の推定に関して、特許文献1には、点火コイルの二次電圧V2が反射した一次電圧V1に基づいて、点火プラグの電極間の電圧の大きさを求め、これに基づいて内燃機関の燃焼室内における混合気の流速を検出する技術が開示されている。
特開2018-21518号公報
特許文献1に開示されている技術では、点火コイルの一次側に電流が流れていない状態で、一次電圧V1を計測する必要がある。このように通電電流が無い状態で得られた一次電圧V1の計測結果は、二次電圧V2以外にも、外部からの電磁波等の影響を受け易い。したがって、一次電圧V1の計測結果に基づいて求められる二次電圧V2は、信号と雑音の比率を表すSN比が低下してしまい、その結果、混合気の流速推定において十分な推定精度が得られないといった課題がある。
したがって、本発明は、上記の課題に着目してなされたもので、点火プラグの電極間の電圧を高SN比で測定することを目的とする。
本発明による内燃機関用制御装置は、内燃機関の気筒内で放電して燃料への点火を行う点火プラグに対し電気エネルギーを与える点火コイルの通電を制御する点火制御部を備え、前記点火コイルは、1次側に配置された1次コイルと、2次側に配置された2次コイルと、を有し、前記1次コイルは、主1次コイルおよび副1次コイルを有し、前記点火制御部は、前記点火プラグの放電中に前記2次コイルに流れる電流の変化に応じて前記副1次コイルに誘起される反射誘起電流に基づいて、前記点火プラグの電極間の電圧を算出する。
本発明によれば、点火プラグの電極間の電圧を高SN比で測定することができる。
実施の形態にかかる内燃機関及び内燃機機関の制御装置の要部構成を説明する図である。 点火プラグを説明する部分拡大図である。 実施の形態にかかる制御装置の機能構成を説明する機能ブロック図である。 内燃機関の運転状態と点火プラグ周囲のガス流速との関係を説明する図である。 点火プラグの電極間における放電路と流速の関係を説明する図である。 従来の点火コイルを含む電気回路を説明する図である。 従来の放電制御における点火コイルへ入力される制御信号と出力の関係を説明するタイミングチャートの一例を示す図である。 第1の実施形態にかかる点火コイルを含む電気回路を説明する図である。 第1の実施形態にかかる放電制御における点火コイルへ入力される制御信号と出力の関係を説明するタイミングチャートの一例を示す図である。 第1の実施形態にかかる点火コイルの制御方法を説明するフローチャートの一例である。 第1の実施形態にかかるガス流速に応じた点火コイルの放電制御の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態にかかる内燃機関用制御装置を説明する。
以下、本発明の一実施形態にかかる内燃機関用制御装置の一態様である制御装置1を説明する。この実施の形態では、制御装置1により、4気筒の内燃機関100の各気筒150に各々設けられた点火プラグ200の放電(点火)を制御する場合を例示して説明する。
以下、実施の形態において、内燃機関100の一部の構成又は全ての構成及び制御装置1の一部の構成又は全ての構成を組み合わせたものを、内燃機関100の制御装置1と言う。
[内燃機関] 図1は、内燃機関100及び内燃機関用点火装置の要部構成を説明する図である。
図2は、点火プラグ200の電極210、220を説明する部分拡大図である。
内燃機関100では、外部から吸引した空気はエアクリーナ110、吸気管111、吸気マニホールド112を通流し、吸気弁151が開くと各気筒150に流入する。各気筒150に流入する空気量は、スロットル弁113により調整され、スロットル弁113で調整された空気量は、流量センサ114により測定される。
スロットル弁113には、スロットルの開度を検出するスロットル開度センサ113aが設けられている。このスロットル開度センサ113aで検出されたスロットル弁113の開度情報は、制御装置(Electronic Control Unit:ECU)1に出力される。
なお、スロットル弁113は、電動機で駆動される電子スロットル弁が用いられるが、空気の流量を適切に調整できるものであれば、その他の方式によるものでもよい。
各気筒150に流入したガスの温度は、吸気温センサ115で検出される。
クランクシャフト123に取り付けられたリングギア120の径方向外側には、クランク角センサ121が設けられている。このクランク角センサ121により、クランクシャフト123の回転角度が検出される。実施の形態では、クランク角センサ121は、例えば10°毎及び燃焼周期毎のクランクシャフト123の回転角度を検出する。
シリンダヘッドのウォータジャケット(図示せず)には、水温センサ122が設けられている。この水温センサ122により、内燃機関100の冷却水の温度を検出する。
また、車両には、アクセルペダル125の変位量(踏み込み量)を検出するアクセルポジションセンサ(Accelerator Position Sensor:APS)126が設けられている。このアクセルポジションセンサ126により、運転者の要求トルクを検出する。このアクセルポジションセンサ126で検出された運転者の要求トルクは、後述する制御装置1に出力される。制御装置1は、この要求トルクに基づいて、スロットル弁113を制御する。
燃料タンク130に貯留された燃料は、燃料ポンプ131によって吸引及び加圧された後、プレッシャレギュレータ132が設けられた燃料配管133を通流し、燃料噴射弁(インジェクタ)134に誘導される。燃料ポンプ131から出力された燃料は、プレッシャレギュレータ132で所定の圧力に調整され、燃料噴射弁(インジェクタ)134から各気筒150内に噴射される。プレッシャレギュレータ132で圧力調整された結果、余分な燃料は戻り配管(図示せず)を介して燃料タンク130に戻される。
内燃機関100のシリンダヘッド(図示せず)には、燃焼圧センサ(CylinderPressure Sensor:CPS、筒内圧センサとも言う)140が設けられている。燃焼圧センサ140は、各気筒150内に設けられており、気筒150内の圧力(燃焼圧)を検出する。
燃焼圧センサ140は、圧電式又はゲージ式の圧力センサが用いられ、広い温度領域に渡って気筒150内の燃焼圧(筒内圧)を検出することができるようになっている。
各気筒150には、排気弁152と、燃焼後のガス(排気ガス)を気筒150の外側に排出する排気マニホールド160が取り付けられている。この排気マニホールド160の排気側には、三元触媒161が設けられている。排気弁152が開くと、気筒150から排気マニホールド160に排気ガスが排出される。この排気ガスは、排気マニホールド160を通って三元触媒161で浄化された後、大気に排出される。
三元触媒161の上流側には、上流側空燃比センサ162が設けられている。この上流側空燃比センサ162は、各気筒150から排出された排気ガスの空燃比を連続的に検出する。
また、三元触媒161の下流側には、下流側空燃比センサ163が設けられている。この下流側空燃比センサ163は、理論空燃比近傍でスイッチ的な検出信号を出力する。実施の形態では、下流側空燃比センサ163は、例えばO2センサである。
また、各気筒150の上部には、点火プラグ200が各々設けられている。点火プラグ200の放電(点火)により、気筒150内の空気と燃料との混合気に火花が着火し、気筒150内で爆発が起こり、ピストン170が押し下げられる。ピストン170が押し下げられることにより、クランクシャフト123が回転する。
点火プラグ200には、点火プラグ200に供給される電気エネルギー(電圧)を生成する点火コイル300が接続されている。点火コイル300で発生した電圧により、点火プラグ200の中心電極210と外側電極220との間に放電が生じる(図2参照)。
図2に示すように、点火プラグ200では、中心電極210は、絶縁体230により絶縁状態で支持されている。この中心電極210に所定の電圧(実施の形態では、例えば20,000V~40,000V)が印加される。
外側電極220は接地されている。中心電極210に所定の電圧が印加されると、中心電極210と外側電極220との間で放電(点火)が生じる。
なお、点火プラグ200において、中心電極210と外側電極220との間に存在する気体(ガス)の状態や筒内圧によって、ガス成分の絶縁破壊を起こして放電(点火)が発生する電圧が変動する。この放電が発生する電圧を絶縁破壊電圧と言う。
点火プラグ200の放電制御(点火制御)は、後述する制御装置1の点火制御部83により行われる。
図1に戻って、前述したスロットル開度センサ113a、流量センサ114、クランク角センサ121、アクセルポジションセンサ126、水温センサ122、燃焼圧センサ140等の各種センサからの出力信号は、制御装置1に出力される。制御装置1では、これら各種センサからの出力信号に基づいて、内燃機関100の運転状態を検出し、気筒150内に送出する空気量、燃料噴射量、点火プラグ200の点火タイミング等の制御を行う。
[制御装置のハードウェア構成] 次に、制御装置1のハードウェアの全体構成を説明する。
図1に示すように、制御装置1は、アナログ入力部10と、デジタル入力部20と、A/D(Analog/Digital)変換部30と、RAM(Random Access Memory)40と、MPU(Micro-Processing Unit)50と、ROM(Read Only Memory)60と、I/O(Input/Output)ポート70と、出力回路80と、を有する。
アナログ入力部10には、スロットル開度センサ113a、流量センサ114、アクセルポジションセンサ126、上流側空燃比センサ162、下流側空燃比センサ163、燃焼圧センサ140、水温センサ122等の各種センサからのアナログ出力信号が入力される。
アナログ入力部10には、A/D変換部30が接続されている。アナログ入力部10に入力された各種センサからのアナログ出力信号は、ノイズ除去等の信号処理が行われた後、A/D変換部30でデジタル信号に変換され、RAM40に記憶される。
デジタル入力部20には、クランク角センサ121からのデジタル出力信号が入力される。
デジタル入力部20には、I/Oポート70が接続されており、デジタル入力部20に入力されたデジタル出力信号は、このI/Oポート70を介してRAM40に記憶される。
RAM40に記憶された各出力信号は、MPU50で演算処理される。
MPU50は、ROM60に記憶された制御プログラム(図示せず)を実行することで、RAM40に記憶された出力信号を、制御プログラムに従って演算処理する。MPU50は、制御プログラムに従って、内燃機関100を駆動する各アクチュエータ(例えば、スロットル弁113、プレッシャレギュレータ132、点火プラグ200等)の作動量を規定する制御値を算出し、RAM40に一時的に記憶する。
RAM40に記憶されたアクチュエータの作動量を規定する制御値は、I/Oポート70を介して出力回路80に出力される。
出力回路80には、点火プラグ200に印加する電圧を制御する点火制御部83(図3参照)の機能などが設けられている。
[制御装置の機能ブロック] 次に、本発明の実施形態にかかる制御装置1の機能構成を説明する。
図3は、本発明の一実施形態にかかる制御装置1の機能構成を説明する機能ブロック図である。この制御装置1の各機能は、例えばMPU50がROM60に記憶された制御プログラムを実行することで、出力回路80で実現される。
図3に示すように、第1の実施形態にかかる制御装置1の出力回路80は、全体制御部81と、燃料噴射制御部82と、点火制御部83とを有する。
全体制御部81は、アクセルポジションセンサ126と、燃焼圧センサ140(CPS)に接続されており、アクセルポジションセンサ126からの要求トルク(加速信号S1)と、燃焼圧センサ140からの出力信号S2とを受け付ける。
全体制御部81は、アクセルポジションセンサ126からの要求トルク(加速信号S1)と、燃焼圧センサ140からの出力信号S2とに基づいて、燃料噴射制御部82と点火制御部83の全体的な制御を行う。
燃料噴射制御部82は、内燃機関100の各気筒150を判別する気筒判別部84と、クランクシャフト123のクランク角を計測する角度情報生成部85と、エンジン回転数を計測する回転数情報生成部86と、に接続されており、気筒判別部84からの気筒判別情報S3と、角度情報生成部85からのクランク角度情報S4と、回転数情報生成部86からのエンジン回転数情報S5と、を受け付ける。
また、燃料噴射制御部82は、気筒150内に吸気される空気の吸気量を計測する吸気量計測部87と、エンジン負荷を計測する負荷情報生成部88と、エンジン冷却水の温度を計測する水温計測部89と、に接続されており、吸気量計測部87からの吸気量情報S6と、負荷情報生成部88からのエンジン負荷情報S7と、水温計測部89からの冷却水温度情報S8と、を受け付ける。
燃料噴射制御部82は、受け付けた各情報に基づいて、燃料噴射弁134から噴射される燃料の噴射量と噴射時間(燃料噴射弁制御情報S9)を算出し、算出した燃料の噴射量と噴射時間とに基づいて燃料噴射弁134を制御する。
点火制御部83は、全体制御部81のほか、気筒判別部84と、角度情報生成部85と、回転数情報生成部86と、負荷情報生成部88と、水温計測部89とに接続されており、これらからの各情報を受け付ける。
点火制御部83は、受け付けた各情報に基づいて、点火コイル300の1次側コイル(図示せず)に通電する電流量(通電角)と、通電開始時間と、1次側コイルに通電した電流を遮断する時間(点火時間)とを算出する。
点火制御部83は、算出した通電角と、通電開始時間と、点火時間とに基づいて、点火コイル300の1次側コイルに点火信号SAを出力することで、点火プラグ200による放電制御(点火制御)を行う。
なお、少なくとも、点火制御部83が点火信号SAを用いて点火プラグ200の点火制御を行う機能は、本発明の内燃機関用制御装置に相当する。
図4は、内燃機関100の運転状態と点火プラグ200周囲のガス流速との関係を説明する図である。図4に示すように、一般にはエンジン回転数や負荷が高いほど、気筒150内のガス流速が高くなり、点火プラグ200周囲のガスも高流速になる。したがって、点火プラグ200の中心電極210と外側電極220の間において、ガスが高速に流れることとなる。また、排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)が行われる内燃機関100では、エンジン回転数と負荷の関係に応じて、例えば図4に示すようにEGR率が設定される。なお、EGR率をより高く設定する高EGR領域を拡大するほど、低燃費化や低排気化を実現できるが、点火プラグ200において着火不良が生じやすくなる。
図5は、点火プラグ200の電極間における放電路と流速の関係を説明する図である。点火コイル300において2次側コイルに高電圧が発生し、点火プラグ200の中心電極210と外側電極220の間に絶縁破壊が生じると、これらの電極間に流れる電流が一定値以下になるまでの間、点火プラグ200の電極間に放電路が形成される。この放電路に可燃ガスが接触すると、火炎核が成長して燃焼に至る。放電路は、電極間のガス流れの影響を受けて移動するため、ガス流速が高いほど短時間で長い放電路を形成し、ガス流速が低いほど放電路が短くなる。図5(a)はガス流速が高いときの放電路211の例を示しており、図5(b)はガス流速が低いときの放電路212の例を示している。
内燃機関100が高EGR率で運転される場合、可燃ガスが放電路と接触しても火炎核が成長する確率が下がるため、可燃ガスが放電路と接触する機会を増やす必要がある。前述のように、放電路はガスの絶縁を破壊して生成されるため、放電路の維持に必要な電流を一定とすれば、放電路の長さに応じた電力の出力が必要となる。このため、ガス流速が高い場合は、短時間で大きな電力を点火コイル300から点火プラグ200へ出力するように点火コイル300の通電制御を行い、これにより図5(a)のような長い放電路211を形成することで、より広範な空間のガスと接触機会を得ることが好ましい。一方、ガス流速が低い場合は、小さな電力を長時間の間に点火コイル300から点火プラグ200へ出力し続けるように点火コイル300の通電制御を行い、これにより図5(b)のような短い放電路212の形成を維持することで、点火プラグ200の電極付近を通過するガスとの接触機会をより長時間にわたって得ることが好ましい。
[従来の点火コイルの電気回路] 次に、本発明の実施形態を説明する前に、従来の点火コイルについて説明する。
図6は、本発明の比較例としての従来の点火コイル300Cを含む電気回路400Cを説明する図である。電気回路400Cにおいて、点火コイル300Cは、所定の巻き数で巻かれた1次側コイル310と、1次側コイル310よりも多い巻き数で巻かれた2次側コイル320と、を含んで構成される。
1次側コイル310の一端は、直流電源330に接続されている。これにより、1次側コイル310には、所定の電圧(例えば12V)が印加される。
1次側コイル310の他端は、イグナイタ340に接続されており、イグナイタ340を介して接地されている。イグナイタ340には、トランジスタや電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などが用いられる。
イグナイタ340のベース(B)端子は、点火制御部83に接続されている。点火制御部83から出力された点火信号SAは、イグナイタ340のベース(B)端子に入力される。イグナイタ340のベース(B)端子に点火信号SAが入力されると、イグナイタ340のコレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間が通電状態となり、コレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間に電流が流れる。これにより、点火制御部83からイグナイタ340を介して点火コイル300の1次側コイル310に点火信号SAが出力され、1次側コイル310に電流が流れて電力(電気エネルギー)が蓄積される。
点火制御部83からの点火信号SAの出力が停止して、1次側コイル310に流れる電流が遮断されると、1次側コイル310に対するコイルの巻き数比に応じた高電圧が2次側コイル320に発生する。
点火信号SAにより2次側コイル320に発生する高電圧が、点火プラグ200(中心電極210)に印加されることで、点火プラグ200の中心電極210と、外側電極220との間に電位差が発生する。この中心電極210と外側電極220との間に発生した電位差が、ガス(気筒150内の混合気)の絶縁破壊電圧Vm以上になると、ガス成分が絶縁破壊されて中心電極210と外側電極220との間に放電が生じ、燃料(混合気)への点火(着火)が行われる。
比較例では、点火制御部83は、以上説明したような電気回路400Cの動作により、点火信号SAを用いて点火コイル300Aの通電を制御する。これにより、点火プラグ200を制御するための点火制御を実施する。
[従来の点火コイルの放電制御] 次に、従来の点火コイルの放電制御について説明する。図7は、従来の放電制御における点火コイルへ入力される制御信号と出力の関係を説明するタイミングチャートの一例を示す図である。図7のタイミングチャートは、従来の点火コイル300Cを用いてガスが高流速の場合に点火プラグ200を放電させたときの一例である。図7では、点火制御部83から出力される点火信号SAと、この点火信号SAに応じて1次側コイル310に流れる1次電流I1、1次側コイル310に発生する1次電圧V1、点火コイル300Cに蓄積される電気エネルギーE、2次側コイル320に流れる2次電流I2、および2次側コイル320に発生する2次電圧V2との関係を示している。なお、2次電流I2と2次電圧V2の測定ポイントは、図6に示すように、点火プラグ200と点火コイル300Cの間としている。また、1次電流I1の測定ポイントは、直流電源330と点火コイル300Cの間とし、1次電圧V1の測定ポイントは、図6に示すように1次側コイル310の両端としている。
点火信号SAがHIGHになると、イグナイタ340が1次側コイル310を通電し、直流電源330からの電圧が1次電圧V1に印加されて1次電流I1が上昇する。1次側コイル310の通電中は、点火コイル300C内の電気エネルギーEが時間と共に上昇する。
その後、点火信号SAがLOWになると、イグナイタ340は1次側コイル310の通電を遮断する。これにより、2次側コイル320へ起電力が生じて、点火コイル300Cから点火プラグ200への電気エネルギーEの供給が開始される。点火プラグ200の電極間の絶縁が破壊されると、点火プラグ200の放電が開始される。このような絶縁破壊を伴う点火プラグ200の放電は、容量放電と呼ばれる。点火プラグ200の放電開始後は、点火コイル300C内の電気エネルギーEが時間と共に減少し、点火プラグ200の放電が維持される。このような絶縁破壊を伴わない点火プラグ200の放電は、誘導放電と呼ばれる。
2次電流I2は、容量放電時に大きく上昇する。この容量放電による2次電流I2は短時間で終了する。点火プラグ200の放電が開始されて電極間に放電路が形成されると、2次電流I2は急激に低下し、その後の誘導放電時には時間と共に減少する。放電路はガスの流れと共に伸長するため、時間経過と共に2次電圧V2が上昇する。このとき、点火プラグ200の電極間に存在するガスの流速に応じて、放電路の維持に必要な2次電流I2の大きさが変化する。
2次電流I2が、放電路の維持に必要な最低値から、放電できなくなる最大値までの間になると、点火プラグ200は放電路の吹き消えと再放電を繰り返す。このとき、放電路が無くなっても点火コイル300C内の電気エネルギーEは残っているため、点火プラグ200において容量放電を伴う再放電(リストライク)が発生する。
点火コイル300C内の電気エネルギーEが減少すると、それに伴って2次電流I2も低下する。2次電流I2が放電できなくなる最大値以下になると、点火プラグ200の放電が停止する。
このように、点火プラグ200の放電開始から放電終了までの間、電極間における放電路の長さの変化に応じて、2次電圧V2と2次電流I2がそれぞれ変化する。また、2次電流I2の変化により、電磁誘導による起電力が1次側コイル310において生じるため、1次電圧V1が変化する。この1次電圧V1の変化は、2次電圧V2の変化と対応している。そのため、点火プラグ200の放電中に1次電圧V1を検出し、その検出信号を基に2次電圧V2を測定することが可能である。
しかしながら、点火コイル300Cでは一般的に、2次側コイル320よりも1次側コイル310の方が巻き数が少ない。そのため、1次電圧V1は2次電圧V2と比べて振幅が減衰する。さらに、点火プラグ200の放電開始後は1次電流I1がゼロであるため、このとき1次側コイル310に発生する1次電圧V1は、2次側コイル320からの電磁誘導以外に、外部からの電磁波の影響を受けやすい。したがって、点火プラグ200の放電中に1次電圧V1を検出し、その検出信号を基に2次電圧V2を測定した場合、SN比が低下するという課題がある。
そこで本発明では、図6で説明した点火コイル300Cに替えて、1次側コイルを2つ有する点火コイル300を採用し、この点火コイル300に対して放電制御を行うとともに、1次電圧V1を検出して2次電圧V2の測定を行う。これにより、2次電圧V2を直接検知しなくても、点火プラグ200の放電中における2次電圧V2を高SN比で間接的に測定できるようにしている。
[第1の実施形態:点火コイルの電気回路] 次に、本発明の第1の実施形態にかかる点火コイル300を含む電気回路400を説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態にかかる点火コイル300を含む電気回路400を説明する図である。電気回路400において、点火コイル300は、所定の巻き数でそれぞれ巻かれた2種類の1次側コイル310、360と、1次側コイル310、360よりも多い巻き数で巻かれた2次側コイル320と、を含んで構成される。ここで、点火プラグ200の点火時には、先に1次側コイル310からの電力が2次側コイル320に供給され、その電力に重ねて、1次側コイル360からの電力が2次側コイル320に供給される。そのため以下では、1次側コイル310を「主1次コイル」、1次側コイル360を「副1次コイル」とそれぞれ称する。また、主1次コイル310に流れる電流を「主1次電流」、副1次コイル360に流れる電流を「副1次電流」とそれぞれ称する。
主1次コイル310の一端は、直流電源330に接続されている。これにより、主1次コイル310には、所定の電圧(実施の形態では、例えば12V)が印加される。
主1次コイル310の他端は、イグナイタ340に接続されており、イグナイタ340を介して接地されている。イグナイタ340には、トランジスタや電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などが用いられる。
イグナイタ340のベース(B)端子は、点火制御部83に接続されている。点火制御部83から出力された点火信号SAは、イグナイタ340のベース(B)端子に入力される。イグナイタ340のベース(B)端子に点火信号SAが入力されると、イグナイタ340のコレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間が通電状態となり、コレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間に電流が流れる。これにより、点火制御部83からイグナイタ340を介して点火コイル300の主1次コイル310に点火信号SAが出力され、主1次コイル310に主1次電流が流れて電力(電気エネルギー)が蓄積される。
点火制御部83からの点火信号SAの出力が停止して、主1次コイル310に流れる主1次電流が遮断されると、主1次コイル310に対するコイルの巻き数比に応じた高電圧が2次側コイル320に発生する。
副1次コイル360の一端は、主1次コイル310と共通で直流電源330に接続されている。これにより、副1次コイル360にも、所定の電圧(実施の形態では、例えば12V)が印加される。
副1次コイル360の他端は、イグナイタ350に接続されており、イグナイタ350を介して接地されている。イグナイタ350には、トランジスタや電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などが用いられる。
イグナイタ350のベース(B)端子は、点火制御部83に接続されている。点火制御部83から出力された点火信号SBは、イグナイタ350のベース(B)端子に入力される。イグナイタ350のベース(B)端子に点火信号SBが入力されると、イグナイタ350のコレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間が点火信号SBの電圧変化に応じた通電状態となり、コレクタ(C)端子とエミッタ(E)端子間に点火信号SBの電圧変化に応じた電流が流れる。これにより、点火制御部83からイグナイタ350を介して点火コイル300の副1次コイル360に点火信号SBが出力され、副1次コイル360に副1次電流が流れて電力(電気エネルギー)が発生する。
点火制御部83からの点火信号SBの出力が変化して、副1次コイル360に流れる副1次電流が変化すると、副1次コイル360に対するコイルの巻き数比に応じた高電圧が2次側コイル320に発生する。
点火信号SAにより2次側コイル320に発生する高電圧に、点火信号SBにより2次側コイル320に発生する高電圧が加わって、点火プラグ200(中心電極210)に印加されることで、点火プラグ200の中心電極210と、外側電極220との間に電位差が発生する。この中心電極210と外側電極220との間に発生した電位差が、ガス(気筒150内の混合気)の絶縁破壊電圧Vm以上になると、ガス成分が絶縁破壊されて中心電極210と外側電極220との間に放電が生じ、燃料(混合気)への点火(着火)が行われる。
副1次コイル360とイグナイタ350の間には、副1次コイル360に流れる副1次電流を検知するための電流検知部370が設けられている。電流検知部370は、検知した副1次電流の値を点火制御部83へ送信する。
点火制御部83は、所定の目標電流を副1次コイル360に対して設定する。そして、点火プラグ200の放電開始後、この目標電流に応じた点火信号SBをイグナイタ350へ出力する。これにより、副1次コイル360からの電気エネルギーによる電流が、2次側コイル320に流れる2次電流において重畳される。
点火制御部83は、以上説明したような電気回路400の動作により、点火信号SAとSBを用いて点火コイル300の通電を制御する。これにより、点火プラグ200を制御するための点火制御を実施する。
また、点火制御部83は、点火信号SBの出力中に電流検知部370によって検知された副1次電流値を取得する。副1次コイル360に流れる副1次電流には、点火信号SBに応じてイグナイタ350が動作することで直流電源330から流れる電流成分(以下、「通電電流」と称する)と、2次側コイル320に流れる2次電流の変化に伴う電磁誘導によって副1次コイル360に誘起された電圧による電流成分(以下、「反射誘起電流」)とが含まれる。また、副1次コイル360の電圧変化は2次電圧の変化と対応している。そのため、点火制御部83は、取得した副1次電流値から反射誘起電流を求めることで、副1次コイル360の電圧変化に応じた2次電圧の変化を推定することができる。そして、推定した2次電圧の変化を基に、予め定めた数式や変換テーブルを用いて、電極間のガス流速を算出することができる。
[第1の実施形態:点火コイルの放電制御] 次に、本発明の第1の実施形態にかかる点火コイルの放電制御について説明する。図9は、本発明の第1の実施形態にかかる放電制御における点火コイルへ入力される制御信号と出力の関係を説明するタイミングチャートの一例を示す図である。図9のタイミングチャートは、本実施形態の点火コイル300を用いてガスが高流速の場合に点火プラグ200を放電させたときの一例である。図9では、点火制御部83から出力される点火信号SAと、この点火信号SAに応じて主1次コイル310に流れる主1次電流I1と、点火制御部83から出力される点火信号SBと、この点火信号SBに応じて副1次コイル360に流れる副1次電流I3と、点火コイル300に蓄積される電気エネルギーE、2次側コイル320に流れる2次電流I2、および2次側コイル320に発生する2次電圧V2と、副1次電流I3に後処理を施すことで求められる反射誘起電流I32との関係を示している。なお、副1次電流I3は、図8に示すように、副1次コイル360とイグナイタ350の間に設けられた電流検知部370により検知されたものである。
点火信号SAがHIGHになると、イグナイタ340が主1次コイル310を通電し、主1次電流I1が上昇する。主1次コイル310の通電中は、点火コイル300内の電気エネルギーEが時間と共に上昇する。
その後、点火信号SAがLOWになると、イグナイタ340は主1次コイル310の通電を遮断する。これにより、2次側コイル320へ起電力が生じて、点火コイル300から点火プラグ200への電気エネルギーEの供給が開始される。点火プラグ200の電極間の絶縁が破壊されると、点火プラグ200の放電(容量放電)が開始される。点火プラグ200の放電開始後は、点火コイル300内の電気エネルギーEが時間と共に減少し、点火プラグ200の放電(誘導放電)が維持される。
2次電流I2は、容量放電時に大きく上昇する。この容量放電による2次電流I2は短時間で終了する。点火プラグ200の放電が開始されて電極間に放電路が形成されると、2次電流I2は急激に低下し、その後の誘導放電時には時間と共に減少する。放電路はガスの流れと共に伸長するため、時間経過と共に2次電圧V2が上昇する。このとき、点火プラグ200の電極間に存在するガスの流速に応じて、放電路の維持に必要な2次電流I2の大きさが変化する。
点火信号SAがOFFになって点火プラグ200の放電が開始された後、点火制御部83は、イグナイタ350へ点火信号SBを出力する。このとき点火制御部83は、点火信号SBに応じて副1次コイル360に流れる通電電流I33が、図9において副1次電流I3に破線で示した重ね目標(目標電流)と一致するように、点火信号SBの出力期間を制御する。
点火制御部83がイグナイタ350へ点火信号SBを出力している間、点火信号SAにより2次側コイル320に発生する高電圧に、点火信号SBにより2次側コイル320に発生する高電圧が加わることで、点火コイル300内に蓄積される電気エネルギーEが増加する。この高電圧は点火プラグ200(中心電極210)に印加される。その結果、2次電流I2が増加して、放電路の維持が継続される。図9では、電気エネルギーEと2次電流I2において、点火信号SBによる増加前の値を破線で、増加後の値を実線でそれぞれ示している。
点火プラグ200の放電中における2次電流I2の変化に伴う電磁誘導によって副1次コイル360側に生じた電流変化は、反射誘起電流I32として副1次電流I3に重畳される。そのため、通電電流I33と反射誘起電流I32を合わせた副1次電流I3は、図9において破線で示した重ね目標(目標電流)から乖離する。
点火制御部83は、点火信号SBの出力中に、電流検知部370によって検知された副1次電流I3に対して所定の後処理を実施することで、反射誘起電流I32を算出する。この後処理では、電流検知部370より取得した副1次電流I3の値から通電電流I33の分を取り除くための処理を行う。例えば、前述のように通電電流I33は副1次コイル360に対する目標電流の設定値と一致しているため、副1次電流I3から目標電流の設定値を差し引くことで、反射誘起電流I32を算出することができる。あるいは、反射誘起電流I32は一般的に通電電流I33よりも周波数が高いため、所定の周波数フィルタ等を用いて副1次電流I3から所定の高次成分を抽出することでも、反射誘起電流I32を算出することができる。これ以外にも、副1次電流I3の検出結果に対して任意の後処理を実施することで、通電電流I33を取り除いて反射誘起電流I32を求めることが可能である。
上記の後処理により副1次電流I3から反射誘起電流I32を算出したら、点火制御部83は、算出した反射誘起電流I32に対して、2次側コイル320と副1次コイル360の巻き数比に基づく振幅調整等を行うことにより、2次電圧V2の変化を推定する。そして、推定した2次電圧V2の変化に基づき、前述のように予め定めた数式や変換テーブルを用いて、電極間のガス流速を算出する。
点火信号SAがOFFになって点火信号SBの出力を開始してから、設定した出力期間が経過すると、点火制御部83は点火信号SBをOFFにする。この時点では、点火信号SAによって点火コイル300内に蓄積された電気エネルギーEが十分に低下しており、点火コイル300側の出力のみでは点火プラグ200の放電が不可能となるため、点火信号SBのOFFと同時に、点火プラグ200の放電が終了する。
[第1の実施形態:点火コイルの放電制御フロー] 次に、上記の放電制御を実施する際の点火制御部83による点火コイル300の制御方法を説明する。図10は、本発明の第1の実施形態にかかる点火制御部83による点火コイル300の制御方法を説明するフローチャートの一例である。本実施形態において、点火制御部83は、車両のイグニッションスイッチがONされて内燃機関100の電源が投入されると、図10のフローチャートに従って点火コイル300の制御を開始する。なお、図10のフローチャートに示す処理は、内燃機関100の1サイクル分の処理を表しており、点火制御部83は各サイクルごとに図10のフローチャートに示す処理を実施する。
ステップS101において、点火制御部83は、所定のタイミングで点火信号SAの出力を開始し、その後、所定のタイミングで点火信号SAの出力を停止する。これにより、点火コイル300から点火プラグ200に電気エネルギーEの供給が開始され、点火プラグ200の放電が開始されて、点火コイル300に2次電流I2が流れる。
ステップS102において、点火制御部83は、点火信号SBの出力を開始する。
ステップS103において、点火制御部83は、副1次コイル360に流れる副1次電流I3を電流検知部370から取得する。
ステップS104において、点火制御部83は、ステップS103で取得した副1次電流I3に基づいて反射誘起電流I32を算出する。ここでは前述のような後処理を副1次電流I3に対して実施することで、2次電流I2の変化に応じた反射誘起電流I32を算出する。具体的には、例えば、ステップS103で取得した副1次電流I3と、通電電流I33に対して予め設定した目標電流との差分を計算することにより、反射誘起電流I32を算出する。また、例えば、ステップS103で取得した副1次電流I3に対して、デジタルフィルタ等を用いた周波数分析を行って所定の高次成分を抽出することにより、反射誘起電流I32を算出する。
ステップS105において、点火制御部83は、ステップS104で算出した反射誘起電流I32に基づいて2次電圧V2を算出する。例えば、得られた反射誘起電流I32に定のゲイン係数をかけてゲイン調節を行うことにより、2次電圧V2を算出する。こうして副1次電流I3に基づいて算出した反射誘起電流I32から2次電圧V2を求めることで、点火制御部83は、点火プラグ200の放電中における2次電圧V2を間接的に測定することができる。
ステップS106において、点火制御部83は、ステップS105で算出した2次電圧V2に基づいてガス流速を推定する。例えば、ステップS105で算出した2次電圧V2を微分することで2次電圧V2の変化の傾きを求め、得られた傾きを所定の流速計算式に当てはめることで、ガス流速の推定値を算出する。あるいは、予め定めた変換テーブル等を用いて、2次電圧V2の変化の傾きをガス流速に変換してもよい。これにより、点火プラグ200の放電中における電極間のガス流速を推定することができる。
ステップS107において、点火制御部83は、ステップS106で推定したガス流速に基づいて、点火信号SBの出力期間を設定する。例えば、ガス流速が高いと、放電路の吹き消えが発生しやすくなるため、これを防止するべく、より早い時期から点火信号SBの出力を開始するように出力期間を設定する。また、ガス流速が高いと、放電終了の時期も早くなるため、これに合わせて、より早い時期に点火信号SBの出力を停止するように出力期間を設定する。これ以外にも、ガス流速に応じて副1次コイル360から最適な電気エネルギーが供給されるように、点火信号SBの出力期間を設定することが好ましい。なお、例えば内燃機関100の運転条件を検出し、検出した運転条件に基づいて点火信号SBの出力期間を設定するようにしてもよい。
ステップS108において、点火制御部83は、ステップS102で点火信号SBの出力を開始してからの経過時間が、ステップS107で設定した出力期間を経過したか否かを判定する。点火信号SBの出力期間をまだ経過していなければ、点火信号SBの出力を継続してステップS103に戻り、反射誘起電流に基づくガス流速の推定を続ける。点火信号SBの出力期間を経過済みである場合は、ステップS109に進む。
ステップS109において、点火制御部83は、点火信号SBの出力を停止する。ステップS109で点火信号SBの出力を停止したら、図10のフローチャートによる点火コイル300の制御を終了する。
[第1の実施形態:ガス流速に応じた点火コイルの放電制御] 図11は、本発明の第1の実施形態にかかる点火制御部83によるガス流速に応じた点火コイル300の放電制御の例を示す図である。図11(a)は、電極間のガス流速が比較的高速である場合と低速である場合について、点火プラグ200が放電を維持するために要求される2次電流の時間変化の様子を示す図である。図11(b)は、電極間のガス流速が比較的高速である場合と低速である場合について、点火制御部83が出力する点火信号SAおよび点火信号SBの波形例を示す図である。
図11(a)に示すように、放電路の維持に必要な2次電流I2の最低値(放電維持限界)は、ガス流速によって異なる。着火性や電極摩耗の観点から、放電路の吹き消えと再放電の発生回数を低減することが重要であり、そのためには、2次電流I2を放電維持限界以上にできるだけ長時間維持するとともに、2次電流I2が放電維持限界から再放電が不可能となる2次電流I2の最大値(放電限界)の間にある時間をできるだけ短くすることが好ましい。そこで本実施形態では、副1次コイル360を有する点火コイル300を用いて、点火プラグ200の放電中に2次電流I2の補助を行う。ただし、2次電流I2の補助が過大になると、エネルギー効率の低下につながるため、必要な期間に必要なエネルギーを補助する必要がある。
放電路の吹き消え防止に必要な補助エネルギーの投入期間は、ガス流速によって異なる。例えば、ガス流速が高いと、放電維持限界が高くなって吹き消えが発生しやすくなるため、放電開始後のより早い時期から補助エネルギーの投入を開始して、2次電流I2を増大する必要がある。このため、点火制御部83は、イグナイタ350へ点火信号SBを出力する期間をガス流速に応じて適切に設定する必要がある。
ここで、内燃機関100の運転条件が同じであっても、気筒150内のガス流速はサイクルごとに変動する。そのため、本実施形態の点火制御部83は、図10の処理フローに従って放電制御を行うことで、点火信号SAの出力を停止して点火プラグ200の放電を開始すると点火信号SBを出力し、副1次電流I3を取得してガス流速を推定する。こうして推定したガス流速に基づいて、点火信号SBの出力期間を設定し、同じ放電サイクル内の点火制御に適用する。これにより、例えば図11(b)に示すように、ガス流速が高速である場合と低速である場合のそれぞれについて、点火信号SBの出力期間を最適に制御することができる。
点火制御部83がイグナイタ340への点火信号SAの出力を停止して点火プラグ200が放電を開始すると、図9に示したように、点火コイル300内の電気エネルギーEが低下し始め、それに伴って点火コイル300の供給可能電力と2次電流I2も低下する。2次電流I2が、図11に示した放電維持限界から放電限界の間になると、点火制御部83は、イグナイタ350へ点火信号SBを出力する。点火制御部83がイグナイタ350へ点火信号SBを出力している間、主1次コイル310に蓄積された電気エネルギーによって2次側コイル320に発生する高電圧に、副1次コイル360に蓄積された電気エネルギーによって2次側コイル320に発生する高電圧が加わり、2次電圧V2として点火プラグ200(中心電極210)に印加される。これにより、2次電流I2が増加して、再放電後の放電路が吹き消えずに維持される。
点火信号SBがONになってから、ガス流速に応じて設定した出力期間を経過すると、点火制御部83は点火信号SBをOFFにし、副1次コイル360から2次側コイル320への電気エネルギーの供給を停止する。この時点では、主1次コイル310に蓄積された電気エネルギーが十分に低下しており、この電気エネルギーによる2次電圧V2のみでは、点火プラグ200は放電できない。そのため、点火信号SBのOFFと同時に点火プラグ200の放電が終了する。
本実施形態では、以上のような点火制御方法により、放電路の維持がし易くなり、着火性の改善や、再放電回数の削減による電極摩耗を実現できる。
なお、以上説明した本発明の第1の実施形態では、電流検知部370により副1次コイル360に流れる副1次電流I3を検知し、この副1次電流I3の値に基づいて反射誘起電流I32を算出することで、2次電流I2の変化を求めることとした。しかしながら、これ以外の方法で2次電流I2の変化を求めてもよい。例えば、事前の動作確認により測定した結果を基に、2次電流I2の変化を推定することとしてもよいし、2次電流I2を測定するための電流センサを設け、これを用いて2次電流I2の変化を検知してもよい。電流センサを設ける場合、2次電流I2の測定ポイントは、点火プラグ200と点火コイル300の間とすることが好ましい。
また、以上説明した実施の形態では、点火プラグ200の放電中に点火制御部83がイグナイタ350へ点火信号SBを出力することで、副1次コイル360を通電して直流電源330から副1次コイル360に通電電流I33を流し、このときの副1次電流I3を電流検知部370により検知して反射誘起電流I32を取得することとした。しかしながら、反射誘起電流I32を取得する際には、副1次コイル360を通電しなくてもよい。この場合、通電電流I33はゼロとなるため、2次電圧V2の変化に応じた反射誘起電流I32が、そのまま副1次電流I3として電流検知部370により検知される。このようにしても、副1次コイル360の巻き数を適切に設定することで、2次電圧V2の算出に必要な反射誘起電流I32を高SN比で測定することができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)内燃機関用の制御装置1は、内燃機関100の気筒150内で放電して燃料への点火を行う点火プラグ200に対し電気エネルギーを与える点火コイル300の通電を制御する点火制御部83を備える。点火コイル300は、1次側に配置された1次コイルと、2次側に配置された2次コイル320とを有し、1次コイルは、主1次コイル310および副1次コイル360を有する。点火制御部83は、点火コイル300の放電中に2次コイル320に流れる電流I2の変化に応じて副1次コイル360に誘起される反射誘起電流I32に基づいて、点火プラグ200の電極間の電圧V2を算出する。このようにしたので、点火プラグの電極間の電圧を高SN比で測定することができる。
(2)制御装置1は、副1次コイル360の電流I3を検知する電流検知部370を備える。点火制御部83は、点火プラグ200の放電中に電流検知部370により検知された電流I3に基づいて、反射誘起電流I32を求める(ステップS104)。このようにしたので、外部ノイズ等の影響を排除して、2次電圧V2の算出に必要な反射誘起電流I32を高SN比で測定することができる。
(3)ステップS104において、点火制御部83は、電流検知部370により検知された電流I3を周波数分析して抽出される高次成分に基づいて、反射誘起電流I32を求めることができる。このようにすれば、副1次コイル360の目標電流を記憶せずに反射誘起電流I32を求めることが可能である。
(4)ステップS104において、点火制御部83は、電流検知部370により検知された電流I3と副1次コイル360の目標電流との差分に基づいて、反射誘起電流I32を求めることもできる。このようにすれば、低い演算負荷で反射誘起電流I32を求めることが可能である。
(5)点火制御部83は、反射誘起電流I32に基づいて算出した電極間の電圧V2を微分することで求められる傾きに基づいて、電極間のガス流速を推定する(ステップS106)。このようにしたので、点火プラグ200の放電中におけるガス流速を正確に推定することができる。
なお、以上説明した各実施形態において、図3で説明した制御装置1の各機能構成は、前述のようにMPU50で実行されるソフトウェアにより実現してもよいし、あるいはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現してもよい。また、これらを混在して使用してもよい。
以上説明した各実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1:制御装置、10:アナログ入力部、20:デジタル入力部、30:A/D変換部、40:RAM、50:MPU、60:ROM、70:I/Oポート、80:出力回路、81:全体制御部、82:燃料噴射制御部、83:点火制御部、84:気筒判別部、85:角度情報生成部、86:回転数情報生成部、87:吸気量計測部、88:負荷情報生成部、89:水温計測部、100:内燃機関、110:エアクリーナ、111:吸気管、112:吸気マニホールド、113:スロットル弁、113a:スロットル開度センサ、114:流量センサ、115:吸気温センサ、120:リングギア、121:クランク角センサ、122:水温センサ、123:クランクシャフト、125:アクセルペダル、126:アクセルポジションセンサ、130:燃料タンク、131:燃料ポンプ、132:プレッシャレギュレータ、133:燃料配管、134:燃料噴射弁、140:燃焼圧センサ、150:気筒、151:吸気弁、152:排気弁、160:排気マニホールド、161:三元触媒、162:上流側空燃比センサ、163:下流側空燃比センサ、170:ピストン、200:点火プラグ、210:中心電極、220:外側電極、230:絶縁体、300,300C:点火コイル、310:主1次コイル、320:2次側コイル、330:直流電源、340,350:イグナイタ、360:副1次コイル、370:電流検知部、400,400C:電気回路

Claims (5)

  1. 内燃機関の気筒内で放電して燃料への点火を行う点火プラグに対し電気エネルギーを与える点火コイルの通電を制御する点火制御部を備え、
    前記点火コイルは、1次側に配置された1次コイルと、2次側に配置された2次コイルと、を有し、
    前記1次コイルは、主1次コイルおよび副1次コイルを有し、
    前記点火制御部は、前記点火プラグの放電中に前記2次コイルに流れる電流の変化に応じて前記副1次コイルに誘起される反射誘起電流に基づいて、前記点火プラグの電極間の電圧を算出する内燃機関用制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用制御装置において、
    前記副1次コイルの電流を検知する電流検知部を備え、
    前記点火制御部は、前記点火プラグの放電中に前記電流検知部により検知された電流に基づいて、前記反射誘起電流を求める内燃機関用制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関用制御装置において、
    前記点火制御部は、前記電流検知部により検知された電流を周波数分析して抽出される高次成分に基づいて、前記反射誘起電流を求める内燃機関用制御装置。
  4. 請求項2に記載の内燃機関用制御装置において、
    前記点火制御部は、前記電流検知部により検知された電流と前記副1次コイルの目標電流との差分に基づいて、前記反射誘起電流を求める内燃機関用制御装置。
  5. 請求項1に記載の内燃機関用制御装置において、
    前記点火制御部は、前記反射誘起電流に基づいて算出した前記電極間の電圧を微分することで求められる傾きに基づいて、前記電極間のガス流速を推定する内燃機関用制御装置。
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