以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.システム構成>
図1は、本発明に係る印刷システム1の構成を示す概略図である。図1に示すように、当該印刷システム1は、印刷出力装置10と、当該印刷出力装置10を制御する印刷制御装置50とを備えて形成されている。ここでは、印刷出力装置10としてMFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))が例示され、印刷制御装置50として所謂パーソナルコンピュータ(単にコンピュータとも称する)が例示される。なお、これに限定されず、たとえば、印刷出力装置10は単体プリンタなどであってもよく、印刷制御装置50はタブレット端末あるいはスマートフォンなどであってもよい。
MFP10とコンピュータ50とは、ネットワーク108を介して接続されており、ネットワーク通信を実行することが可能である。なお、ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどの各種のネットワークを含む。また、ネットワーク108への接続形態は、有線接続であってもよく或いは無線接続であってもよい。
このMFP10は、本体部10Bと、MFP10の印刷出力部3(図2)から出力された印刷出力物に対して後処理(仕上げ処理あるいはフィニッシング処理とも称される)を施す後処理機30(フィニッシャーとも称される)とを有している(図1参照)。ここでは、当該印刷出力物に対してステープル処理(後処理)を施すステープル機能を有する後処理機(後処理装置)30が例示される。ただし、これに限定されず、後処理機30が、当該印刷出力物に対して製本処理(くるみ製本処理)を施す製本機能(くるみ製本機能)などを有していてもよい。換言すれば、後処理は、ステープル処理に限定されず、製本処理(くるみ製本処理)等であってもよい。
また、ここでは、MFP10の本体部10Bと後処理機30とが別体で構成されている。ただし、これに限定されず、MFP10の本体部10Bと後処理機30とが一体で構成されていてもよい。
<1-2.MFP10の構成>
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9(制御部)等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像処理装置、画像形成装置などとも称される。
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像データあるいはスキャンデータとも称する)を生成する処理部である。
印刷出力部3は、ユーザによって指定された印刷対象データに関する画像データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。当該印刷出力部3によって印刷出力された印刷出力物は、所定の搬送経路(不図示)を介して、排紙トレイ31(図1参照)あるいは後処理機30の貯留部35へと搬送される。
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワーク108を介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用され、当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(コンピュータ50等)との間で各種のデータを授受することが可能である。
通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データ(印刷ジョブデータ等)を受信する受信部4bとを有する。
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられており、当該操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル(操作パネル)25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの操作入力を受け付けることが可能である。
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)とを備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワーク108等を介してMFP10にインストールされてもよい。
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部11は、他の装置(コンピュータ50等)との間の通信動作を制御する処理部である。
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25)における表示動作を制御する処理部である。
入力制御部12は、操作入力部6aに対する操作入力動作を制御する処理部である。
このような構成が、MFP10の本体部10B側に設けられている。当該本体部10Bに後処理機30が装着された場合には、MFP10に後処理機能が付加される。
<1-3.コンピュータ50の構成>
図3は、コンピュータ50の概略構成を示す機能ブロック図である。
コンピュータ50は、他の装置(MFP10等)との間でのネットワーク通信が可能な情報入出力端末装置(情報処理装置)である。コンピュータ50は、MFP10にて実行される印刷ジョブの設定内容の設定処理を制御する設定制御装置などとも称される。
コンピュータ50は、図3の機能ブロック図に示すように、通信部54、格納部55、操作部56およびコントローラ(制御部)59等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
通信部54は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことが可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、コンピュータ50は、所望の相手先(MFP10等)との間で各種データの授受を行うことが可能である。通信部54は、各種データを送信する送信部54aと各種データを受信する受信部54bとを有する。
格納部55は、ハードディスクドライブ(HDD)および/または半導体メモリ等の記憶装置で構成される。
操作部56は、コンピュータ50に対する操作入力を受け付ける操作入力部56aと、各種情報(印刷設定画面200(図6)等)の表示出力を行う表示部56bとを備えている。
図3のコントローラ(制御部)59は、コンピュータ50に内蔵され、コンピュータ50を統括的に制御する制御装置である。コントローラ59は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ59は、CPUにおいて、記憶部(半導体メモリ等)内に格納されている所定のプログラムを実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてコンピュータ50にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク108等を経由してダウンロードされてコンピュータ50にインストールされるようにしてもよい。
当該コンピュータ50には、印刷制御プログラム(たとえばプリンタドライバ)がインストールされている。
コントローラ59は、当該プログラム等の実行により、通信制御部41と入力制御部42と表示制御部43と設定制御部44と判定部45とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部41は、通信部54等と協働して、MFP10等との通信動作を制御する処理部である。たとえば、通信制御部41は、通信部54(詳細には送信部54a)等と協働して、印刷ジョブのジョブデータ(印刷ジョブデータ)をMFP10に送信する。また、通信制御部41は、通信部54(詳細には受信部54b)等と協働して、MFP10の装置構成情報等を受信して取得する。
入力制御部42は、ユーザによる操作入力を操作入力部56aと協働して受け付ける動作(操作入力動作)等を制御する制御部である。たとえば、入力制御部42は、操作入力部56aと協働して、印刷設定画面200において、ユーザからの設定操作を受け付ける。
表示制御部43は、表示部56b(図1)における各種情報(印刷設定画面200等)の表示動作を制御する処理部である。
設定制御部(印刷制御部)44は、印刷ジョブの設定内容(印刷ジョブに関する複数の設定項目のそれぞれの設定内容)に関する設定制御等を実行する処理部である。
判定部45は、各種の判定処理を実行する処理部である。
<1-4.貯留部35について>
MFP10の後処理機30の内部には、貯留部35(後処理機30の外部からは見えない貯留部35)が設けられている(図1参照)。当該貯留部35は、MFP10の印刷出力部3によって出力された印刷出力物を排紙トレイ31へと排出する前に当該印刷出力物をステープル処理(後処理)の対象物(対象用紙)として貯留しておく部材である。
当該貯留部35は、ステープル処理がMFP10(後処理機30)によって実行される場合(ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容が設定された場合)に利用される。たとえば、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容がユーザの設定操作によって(すなわち手動で)設定された場合、印刷出力部3からの印刷出力物は、後処理機30内の貯留部35へと搬送されて当該貯留部35内に一旦貯留される。なお、ステープル処理がMFP10によって実行されない場合には、当該貯留部35は利用されない(印刷出力部3からの印刷出力物は、貯留部35には貯留されずに排紙トレイ31へと直ちに排出される)。
ユーザの設定操作(ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容を手動で設定する操作)は、たとえば「仕上げ」タブ画面210(図10)を用いて行われる。そして、当該設定操作の後、MFP10において、当該設定内容に基づく動作が実行される。
図10は、「仕上げ」タブ画面210を示す図である。ユーザは、当該「仕上げ」タブ画面210において設定項目「ステープル」の設定内容を値「オフ」から値「オン」に変更する変更操作(設定操作)を行う。当該変更操作に応答して、コンピュータ50は、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容を設定項目「ステープル処理」の設定値として設定する。その後、コンピュータ50は、ユーザからの印刷ジョブデータの送信指示(印刷ジョブの印刷実行指示)に応答して、印刷ジョブデータをMFP10に送信する。
MFP10は、コンピュータ50からの印刷ジョブデータを受信すると、当該印刷ジョブデータに基づく印刷出力を実行する。具体的には、印刷ジョブに係る印刷対象データの各ページがMFP10の印刷出力部3によって順次に印刷出力される。
印刷出力部3によって出力された印刷出力物は、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容に基づいて、当該印刷出力部3から所定の搬送経路(不図示)を介して後処理機30内の貯留部35へと搬送される。そして、印刷対象データの印刷出力物が、ステープル処理の対象用紙として当該貯留部35に貯留されていく。その後、印刷対象データの全ページの印刷出力物が貯留部35内に貯留されると、後処理機30は、当該印刷出力物(ステープル処理の対象用紙)に対してステープル処理を(一括して)実行する。そして、ステープル処理が施された印刷出力物は、排紙トレイ31に排出される。
このように、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容が設定された場合、印刷出力部3によって出力された印刷出力物は、排紙トレイ31へと排出される前に後処理機30内の貯留部35に一旦貯留される。MFP10の後処理機30には、このような貯留部35が元々設けられている。
この実施形態では、この貯留部35を利用することによって、印刷出力物の他人による持ち去りが防止(抑制)される。
具体的には、コンピュータ50は、貯留部35が利用される(印刷出力部3からの印刷出力物が貯留部35に貯留される)ように、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容(C30)を自動的に設定する。さらに、コンピュータ50は、用紙挿入処理(後述)を実行すべき旨を示す設定内容(C10)と、当該用紙挿入処理の正常終了を阻害する設定内容(C20)とを自動的に設定する。コンピュータ50は、これらの設定内容をMFP10への印刷ジョブデータの送信に際して自動的に設定することによって、MFP10の印刷出力部3からの印刷出力物が貯留部35に貯留された状態で印刷ジョブを停止させる。これにより、印刷出力物の他人による持ち去りを防止(抑制)する。
<1-5.動作>
このような動作(設定内容の自動設定動作)等について、以下に説明する。
この印刷システム1においては、コンピュータ50は、後処理機30を有するMFP10に対して印刷ジョブ(詳細には「持ち去り防止印刷ジョブ」)のジョブデータを送信する際に、追加設定内容を自動的に設定する。
図4は、印刷システム1における「持ち去り防止印刷ジョブ」の実行動作の概略を示す概念図である。
「持ち去り防止印刷ジョブ」は、MFP10において印刷出力された印刷出力物の他人による持ち去りを防止(抑制)する印刷ジョブである。特に、「持ち去り防止印刷ジョブ」の実行指示が付与された場合、MFP10において、印刷ジョブデータの受信に応答して印刷ジョブは(直ちに)開始される。換言すれば、「持ち去り防止印刷ジョブ」は、MFP10の操作パネルを用いた開始指示操作(MFP10の存在位置へのユーザの移動後の印刷出力開始指示操作)が受け付けられた後に開始されるジョブではない。「持ち去り防止印刷ジョブ」は、当該操作パネルを用いた開始指示操作が受け付けられることなく(開始指示操作を待つことなく)開始されるジョブである。「持ち去り防止印刷ジョブ」は、当該開始指示操作の後に印刷出力が開始されるジョブに比べて、ユーザの待ち時間を低減することができる。この点に関して、「持ち去り防止印刷ジョブ」は、所謂認証プリントとは異なる。
追加設定内容(自動追加設定内容)は、ユーザによる設定変更操作に応じて設定された設定内容(あるいはデフォルトの設定内容)に対して追加的に且つ自動的に設定される設定内容である。具体的には、当該追加設定内容は、MFP10の印刷出力部3によって出力された印刷出力物が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で当該印刷ジョブを停止させる設定内容である。当該追加設定内容は、「一時停止設定内容」などとも称される。
当該追加設定内容の自動設定の後、コンピュータ50は、ユーザからの印刷実行指示に応答して、印刷ジョブデータをMFP10に送信する。MFP10は、当該印刷ジョブデータの受信に応答して、当該印刷ジョブの実行を開始し、印刷対象データ(たとえば5ページの印刷対象データ)の印刷出力物を後処理機30内の貯留部35に貯留していく。
ただし、第5ページの印刷対象データの印刷出力物が印刷出力部3によって出力されると、MFP10は、当該追加設定内容に基づいて、当該印刷出力物が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で当該印刷ジョブの実行を停止する。詳細には、後述するように、当該印刷出力物に追加用紙を挿入する用紙挿入処理が当該追加設定内容に基づいて試行されるものの、当該詳細設定内容のうちの一部の設定内容C20(後述)に起因して当該用紙挿入処理は正常終了されず、当該印刷ジョブの一時停止が実現される。そして、ユーザは、コンピュータ50の存在位置からMFP10の存在位置へと移動した後、当該印刷出力物(5ページの印刷対象データ全体の印刷出力物)を取得する。
このような動作の詳細について、以下に説明する。
図5は、コンピュータ50(プリンタドライバ)の動作(印刷設定画面200における持ち去り防止印刷の状態変更動作)を示すフローチャートである。当該図5のフローチャートは、プリンタドライバの起動操作の受付に応答して開始される。
まず、ステップS11において、コンピュータ50は、MFP10の装置構成情報を当該MFP10から取得する。当該装置構成情報には、ステープル機能(印刷出力物を綴じる機能)を有する後処理機30の存否(着脱情報)を示す後処理機存否情報(後処理機着脱情報)が含まれる。
具体的には、コンピュータ50は、当該装置構成情報をコンピュータ50に送信(返信)すべき旨の送信要求(構成情報送信要求とも称される)をMFP10に送信する。MFP10は、当該送信要求に応答して、自装置10の装置構成情報を検出してコンピュータ50に送信する。そして、コンピュータ50は、当該装置構成情報をMFP10から受信して取得する(ステップS11)。
ステップS12において、コンピュータ50は、当該装置構成情報(装置構成情報に含まれる後処理機存否情報)に基づいて、MFP10における後処理機(ステープル機能を有する後処理機)30の存否を判定する。
MFP10に当該後処理機30が存在しない(MFP10の本体部10Bに後処理機30が装着されていない)旨がステップS12において判定される場合、処理はステップS12からステップS15へと進む。
ステップS15において、MFP10は、設定項目「出力方法(印刷出力方法)」の設定値候補(設定値の候補)「持ち去り防止印刷」を選択不可状態に変更(設定)する。具体的には、印刷設定画面200において、設定項目「出力方法」の設定値候補「持ち去り防止印刷」が非表示化される。その結果、図6に示されるように、印刷設定画面200においてプルダウンボタン201(設定項目「出力方法」の設定値候補のリスト202を表示させるユーザインターフェース部品)がユーザによって押下された場合、設定項目「出力方法」の設定値候補「持ち去り防止印刷」は当該リスト202において表示されない。なお、これに限定されず、設定項目「出力方法」の設定値候補「持ち去り防止印刷」が、選択不可状態を示す表示態様(たとえばグレーアウト表示)で当該リスト202において表示されてもよい。
一方、MFP10に当該後処理機30が存在する(MFP10の本体部10Bに後処理機30が装着されている)旨がステップS12において判定される場合、処理はステップS12からステップS13へと進む。
ステップS13において、コンピュータ50は、MFP10の現在の装置状態に関する装置状態情報をMFP10から取得する。詳細には、コンピュータ50は、MFP10の給紙トレイの現在の状態に関する給紙トレイ情報(給紙トレイ状態情報)を装置状態情報としてMFP10から取得する。ここでは、MFP10の給紙トレイに現在配置されている出力用紙(詳細には、複数の給紙トレイのそれぞれに配置されている出力用紙)の用紙サイズを示す用紙サイズ情報が、給紙トレイ情報として取得される。
具体的には、コンピュータ50は、当該用紙サイズ情報(装置状態情報)をコンピュータ50に送信(返信)すべき旨の送信要求(状態情報送信要求とも称される)をMFP10に送信する。MFP10は、当該送信要求に応答して、各種センサ等を用いて自装置10の各給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙サイズ情報を検出してコンピュータ50に送信する。ここでは、MFP10内の全ての給紙トレイに「A4」サイズの出力用紙がそれぞれ配置されており、MFP10は、用紙サイズ情報「A4」をコンピュータ50に送信する。そして、コンピュータ50は、当該用紙サイズ情報(「A4」)をMFP10から受信して取得する(ステップS13)。
そして、処理はステップS13からステップS14へと進み、コンピュータ50は、設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」を選択可能状態に変更する。具体的には、図7に示されるように、印刷設定画面200において、プルダウンボタン201がユーザによって押下された場合、設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が当該リスト202において表示される。
このような動作がプリンタドライバの起動直後において実行される。
ここでは、MFP10は後処理機(ステープル機能を有する後処理機)30を有しており(図1参照)、設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が選択可能状態に変更されることを想定する。
その後、印刷ジョブの設定内容を設定する設定操作をユーザから受け付けた後、印刷設定画面200(図7)において設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」の選択操作(持ち去り防止印刷を選択するための領域203の選択操作)がユーザによって受け付けられると、次のような動作がプリンタドライバによってさらに実行される。
図8は、コンピュータ50(プリンタドライバ)の追加動作(追加設定内容の自動設定動作等)を示すフローチャートである。
ステップS21において、コンピュータ50は、印刷ジョブに関してユーザによって設定された設定内容に加えて、追加設定内容を自動的に設定する。追加設定内容は、MFP10の印刷出力部3によって出力された印刷出力物が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で当該印刷ジョブを停止させる設定内容を有する。
なお、以下では、説明の都合上、図9の画面250と図10の画面210とを示しているが、実際には、追加設定内容の自動設定処理に際して画面遷移は行われず、当該自動設定処理に際してこれらの画面210,250は表示されない。当該追加設定内容の設定処理(設定制御処理)は、プリンタドライバの内部処理として実行される。
まず、コンピュータ50は、印刷出力部3によって出力された印刷出力物に追加用紙を挿入する用紙挿入処理を実行すべき旨を示す設定内容C10(図9参照)と、当該用紙挿入処理に関する詳細設定内容であって当該用紙挿入処理を一時停止させるための設定内容C20(図9)とを自動的に設定する。
図9は、設定項目「ページ単位設定」(印刷対象データのページ毎に印刷設定を行うことが可能な設定項目)に関する設定画面(ページ単位設定画面)250を示す図である。コンピュータ50は、設定項目「ページ単位設定」に関する設定内容C10,C20を新たに設定(作成)する。
設定内容C10(図9参照)は、印刷出力部3によって出力された印刷出力物に(詳細には、本来の印刷対象データの最終ページ(第5ページ)の印刷出力物の次に)追加用紙(ここでは白紙)を挿入する用紙挿入処理を実行すべき旨を示す設定内容である。ユーザの設定操作によって当該設定内容C10が設定される場合は、当該設定内容C10は、ページ単位設定画面250において「追加」ボタン251の押下操作等によって設定される。ただし、ここでは、ページ単位設定画面250は表示されず、当該設定内容C10はプリンタドライバによって自動的に設定される。
当該設定内容C10は、当該用紙挿入処理に関する複数の詳細設定項目(サブ設定項目)を有する。詳細には、設定内容C10は、6つの詳細設定項目(「ページ番号」、「印刷種類」、「給紙トレイ」、「ステープル」、「用紙サイズ」、「用紙種類」)を有する。コンピュータ50は、当該複数の詳細設定項目のうちの一の詳細設定項目(ここでは、詳細設定項目「用紙サイズ」)に関する設定内容C20を自動的に設定する。
設定内容C20(図9参照)は、当該用紙挿入処理に関する詳細設定内容(サブ設定内容)である。具体的には、当該設定内容C20は、MFP10における用紙挿入処理の正常終了を阻害する設定内容である。より具体的には、MFP10からの装置状態情報(トレイ状態情報)に基づいて、MFP10の給紙トレイの現在の状態に合致しない設定内容が当該設定内容C20として設定される。ここでは、用紙サイズ情報に基づいて、用紙挿入処理に関する一の詳細設定項目「用紙サイズ(追加用紙の用紙サイズ)」の詳細設定内容C21(C20)が、MFP10の給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙サイズ(給紙トレイの現在の状態)(ここでは「A4」)とは異なる用紙サイズ(ここでは「B6」)に自動的に設定される。より詳細には、MFP10の複数の給紙トレイのそれぞれに現在配置されている用紙の用紙サイズのいずれとも異なる用紙サイズが、追加用紙の用紙サイズとして指定される。コンピュータ50は、このような設定内容C20(C21)を設定することによって、MFP10において設定内容C10に基づき試行される用紙挿入処理を一時停止させる。換言すれば、当該設定内容C20は、用紙挿入処理を一時停止させるための設定内容である。
このように、MFP10の給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙サイズ(「A4」)とは異なる用紙サイズ(「B6」)の追加用紙を、印刷出力部3によって出力された印刷出力物に挿入する設定内容(C10,C20(C21))が、自動的に設定される。
さらに、コンピュータ50は、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容C30(図10参照)をも自動的に設定する。
図10は、プリンタドライバの印刷設定画面における「仕上げ」タブ画面210を示す図である。コンピュータ50は、当該「仕上げ」タブ画面210に含まれる設定項目「ステープル」の設定値を値「オフ」から値「オン」に変更し、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容C30を設定項目「ステープル処理」の設定値として自動的に設定する。なお、上述したように、追加設定内容C30の自動設定処理に際して「仕上げ」タブ画面210は表示されず、当該設定内容C30はプリンタドライバによって自動的に設定される。
このような設定内容C10,C20(C21),C30が、追加設定内容として自動的に設定される(ステップS21)。
その後、ユーザが、印刷開始ボタン等を押下して印刷ジョブ(持ち去り防止印刷ジョブ)の実行指示を付与すると、コンピュータ50は、当該実行指示操作を受け付ける(ステップS22)とともに、印刷ジョブデータ(印刷対象データおよび設定内容データ)をMFP10に送信する(ステップS23)(図4も参照)。なお、ここでは、5ページを有する電子文書が印刷対象データ(印刷ジョブに係る本来の印刷対象データ)としてユーザによって指定されることを想定する。
MFP10は、当該印刷ジョブデータの受信に応答して、印刷ジョブの実行を開始する(図4参照)。詳細には、印刷ジョブデータに基づく印刷出力処理(印刷出力部3による印刷出力処理)と当該印刷出力部3によって出力された印刷出力物に対するステープル処理(後処理機30による後処理)とを含む印刷ジョブが開始される。
具体的には、MFP10は、印刷対象データの各ページの印刷出力を印刷出力部3を用いて順次に実行する。そして、MFP10は、印刷ジョブに係る設定内容データに含まれる追加設定内容C30(ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容)に基づいて、印刷出力部3によって出力された印刷出力物を、当該印刷出力部3から、排紙トレイ31(図1)ではなく後処理機30内の貯留部35へと搬送する。換言すれば、当該印刷出力物は、ステープル処理の対象用紙として印刷出力部3から貯留部35へと搬送される。
そして、印刷対象データ(本来の印刷対象データ)の各ページの印刷出力物が貯留部35内に貯留されていく(図4の下部参照)。
その後、本来の印刷対象データの最終ページ(ここでは第5ページ)に対する印刷出力処理が印刷出力部3によって完了すると、MFP10は、設定内容データに含まれる追加設定内容C10,C20(C21)に従って、当該最終ページの印刷出力物の後に用紙サイズ「B6」の白紙を挿入する用紙挿入処理を試行する。
ただし、ここでは、MFP10の給紙トレイには、「B6」サイズの用紙は配置(セット)されておらず、MFP10は、用紙サイズ「B6」の白紙を挿入する用紙挿入処理を実行(開始)できない。すなわち、用紙挿入処理における追加用紙の用紙サイズとして用紙サイズ「B6」(MFP10の給紙トレイに現在配置されている用紙の用紙サイズ「A4」とは異なる用紙サイズ)を指定する追加設定内容C21(図9)によって、用紙挿入処理の正常終了が阻害される。なお、給紙トレイ内の用紙の用紙サイズ「A4」と追加用紙の用紙サイズとが仮に同じである場合は、当該最終ページの印刷出力物の後に追加用紙が挿入されて、用紙挿入処理が正常終了する。
用紙挿入処理の正常終了が阻害された場合、MFP10は、印刷ジョブを停止(一時停止)する。詳細には、印刷出力部3によって出力された印刷出力物(本来の印刷対象データの全ページの印刷出力物)が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で印刷ジョブが停止する。
そして、MFP10は、一時停止通知画面300(図11)をMFP10のタッチパネル25に表示する。
図11は、一時停止通知画面300を示す図である。一時停止通知画面300は、印刷ジョブが一時停止している旨をユーザに通知する画面である。当該一時停止通知画面300においては、たとえば、「用紙サイズ『B6』がセットされていません。『B6』の用紙をセットするか、ジョブを中止してください。」とのメッセージが表示される。
また、一時停止通知画面300においては、「OK」ボタン301と「キャンセル」ボタン302とが設けられている。「OK」ボタン301は、一時停止中のジョブの再開を指示するボタンである。ユーザは、当該一時停止通知画面300において通知された用紙を給紙トレイに配置(セット)した後に当該「OK」ボタン301を押下することによって、一時停止中のジョブを再開させることができる。「キャンセル」ボタン302は、一時停止中のジョブの中止(終了)を指示するボタンである。
たとえば、ユーザ(印刷ジョブの依頼元ユーザ)は、コンピュータ50において印刷実行指示を付与した後、コンピュータ50の存在位置からMFP10の存在位置へと移動する。その後、当該ユーザは、当該一時停止通知画面300(図11)において当該「キャンセル」ボタン302を押下する。なお、当該押下操作に応答して、一時停止通知画面300は非表示化される。
そして、MFP10は、「キャンセル」ボタン302の押下操作(すなわち、一時停止中の印刷ジョブの中止指示)を当該ユーザから受け付け、印刷ジョブの実行を中止する。
印刷ジョブの実行が途中で(印刷ジョブ全体の実行が完了する前に)中止された場合、後処理機30内の貯留部35に貯留されている印刷出力物(印刷ジョブの実行が中止されるまでに既に印刷出力された印刷出力物)に対する後処理は施されずに、当該印刷出力物は排紙トレイ31(図1)に排出される。
そして、ユーザは、当該排紙トレイ31から印刷出力物(5ページの印刷対象データの全ページの印刷出力物)を受け取って当該印刷出力物を取得する。すなわち、ユーザは所望の印刷出力物を取得する。
以上のように、第1実施形態においては、MFP10においてジョブデータの受信に応答して開始される印刷ジョブが、コンピュータ50からMFP10へと送信される。その結果、MFP10においては、印刷ジョブデータの受信に応答して印刷ジョブが開始される。したがって、MFP10へのユーザの到着を待たずに印刷出力が開始されるので、所謂認証プリントが実行される場合と比較して、ユーザの待ち時間を低減することが可能である。
仮に認証プリントが実行される場合には、MFP10において、コンピュータ50から印刷ジョブデータが受信された後、直ちに印刷ジョブが開始されるのではなく、コンピュータ50の存在位置からMFP10の存在位置にユーザが移動した後に印刷ジョブが開始される。それ故、ユーザは、印刷ジョブの開始から終了までMFP10の存在位置で待機しなければならず、当該ユーザの待ち時間が長大化する。
これに対して、上記第1実施形態では、MFP10へのユーザの到着を待つことなく、ジョブデータの受信に応答して印刷ジョブが開始されるので、ユーザは、認証プリントのように印刷ジョブの開始から終了までMFP10の存在位置で待たされることなく、印刷出力物を取得することが可能である。
また、当該ジョブデータがコンピュータ50からMFP10へと送信される際に、追加設定内容(C10,C20,C30)が自動的に設定される。当該追加設定内容は、MFP10の印刷出力部3によって出力された印刷出力物が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で当該印刷ジョブを停止させる設定内容を有する。その結果、MFP10において、印刷ジョブの開始後、当該追加設定内容に基づいて、印刷出力部3によって出力された印刷出力物が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で当該印刷ジョブが停止する。それ故、当該印刷出力物が排紙トレイ31に直ちには排出されず、印刷出力物の他人による持ち去りを抑制することが可能である。
さらに、MFP10の後処理機30内の貯留部35は、当該印刷出力物を排紙トレイ31へと排出する前に当該印刷出力物をステープル処理(後処理)の対象物として貯留しておくものである。MFP10の後処理機30がこのような貯留部35を元々有する場合(後処理機30の既存の構成として当該貯留部35が設けられている場合)には、印刷出力物を貯留するための構成を当該MFP10に新たに(別途)設けなくてもよい。
以上のように、印刷出力物を貯留するための構成をMFP10に新たに設けることを要さずに、ユーザの待ち時間を低減しつつ印刷出力物の他人による持ち去りを抑制することが可能である。換言すれば、MFP10側の構成を変更することなく、プリンタドライバ側で指令内容を変更する(設定制御処理を実行する)だけで、ユーザの待ち時間の低減と印刷出力物の他人による持ち去りの抑制とを実現することが可能である。
また、上記第1実施形態では、後処理機30の外部からは見えない貯留部35に印刷出力物が貯留するので、印刷出力されて貯留部35に貯留された印刷出力物が他人に見られることを防止することも可能である。
さらに、上記第1実施形態では、印刷ジョブの実行が停止(一時停止)した後、一時停止通知画面300(図11)において「キャンセル」ボタン302が押下されると、当該印刷ジョブの実行が中止される。そして、貯留部35内の印刷出力物(ユーザの所望の印刷出力物)が排紙トレイ31に排出されてユーザによって取得される。すなわち、ユーザは、印刷ジョブに付与された識別コードと同一の識別コードを入力する入力操作等を要さず、「キャンセル」ボタン302を押下する押下操作だけで所望の印刷出力物を取得できる。したがって、より簡単な操作で印刷出力物を取得することが可能である。
なお、上記第1実施形態では、設定項目「出力方法」の設定値候補「持ち去り防止印刷」がユーザによって選択される前(たとえばプリンタドライバの起動直後)に装置状態情報がMFP10から取得されている(ステップS13(図5))が、これに限定されない。たとえば、設定項目「出力方法」の設定値候補「持ち去り防止印刷」がユーザによって選択された後に当該装置状態情報がMFP10から取得されてもよい。
また、上記第1実施形態では、MFP10の給紙トレイの現在の状態に合致しない追加設定内容C20として、当該給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙サイズとは異なる用紙サイズを追加用紙の用紙サイズとして指定する設定内容C21(図9)が設定されているが、これに限定されない。
たとえば、当該給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙種類(給紙トレイの状態)とは異なる用紙種類を追加用紙の用紙種類として指定する設定内容C22(図12)が、当該追加設定内容C20として設定されてもよい。
具体的には、MFP10の給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙種類(たとえば「普通紙」)を示す用紙種類情報が、給紙トレイ情報(装置状態情報)として取得されてもよい(ステップS13(図5))。そして、第1実施形態における追加設定内容C21(図9)に代えて、当該給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙種類(「普通紙」)とは異なる用紙種類(たとえば「厚紙」)を追加用紙の用紙種類として指定する追加設定内容C22(図12参照)が、自動的に設定されてもよい。なお、追加設定内容C20(C22)の自動設定処理に際して図12のページ単位設定画面250は表示されず、当該設定内容C22はプリンタドライバによって自動的に設定される。
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、MFP10の装置状態に関する装置状態情報に基づいて、追加設定内容(詳細には、用紙挿入処理を一時停止させるための追加設定内容C20)の自動設定動作が実行されている(ステップS21(図8))。
これに対して、この第2実施形態では、MFP10の装置構成に関する装置構成情報に基づいて、追加設定内容(C20)の自動設定動作が実行される。
ここにおいて、手差しトレイが給紙トレイとして指定された場合、MFP10は、手差しトレイ内の用紙を給紙する際に、印刷ジョブを一時停止して、手差し確認画面350(図14)を自装置10のタッチパネル25に表示する。
図14は、手差し確認画面350を示す図である。手差し確認画面350は、ユーザの所望の用紙が手差しトレイに載置されていることを当該ユーザに確認するための画面である。当該手差し確認画面350においては、たとえば、「手差しトレイに用紙をセットしてください。」とのメッセージが表示される。
また、当該手差し確認画面350においては、「OK」ボタン351と「キャンセル」ボタン352とが設けられている。「OK」ボタン351は、ユーザの所望の用紙が手差しトレイに載置されていることをMFP10に知らせる(通知する)ボタンである。ユーザは、当該手差し確認画面350を確認した後、所望の用紙を手差しトレイに載置して当該「OK」ボタン351を押下することによって、手差しトレイ内の用紙を用いた印刷出力処理の実行を許容する。「キャンセル」ボタン352は、印刷ジョブの中止を指示するボタンである。ユーザの所望の用紙が手差しトレイに載置されていないこと等によってユーザが印刷ジョブの実行を中止させたい場合、当該ユーザは、手差し確認画面350において当該「キャンセル」ボタン352を押下する。
このように、手差しトレイが給紙トレイとして指定されている場合、印刷ジョブの実行に際して手差しトレイ内の用紙を給紙する直前で、印刷ジョブが一旦停止する。
この第2実施形態では、コンピュータ50は、MFP10のこの機能(手差しトレイの指定によって印刷ジョブを自動的に一旦停止させる機能)を利用して、印刷出力部3によって出力された印刷出力物が貯留部35内に貯留された状態で印刷ジョブを停止させる。詳細には、コンピュータ50は、当該機能が利用されるようにプリンタドライバからMFP10への指令内容を変更することによって、当該印刷出力物が貯留部35内に貯留された状態で印刷ジョブを停止させる。
具体的には、コンピュータ50は、MFP10に手差しトレイが設けられていることを装置構成情報に基づいて確認した上で、用紙挿入処理を一時停止させるための追加設定内容C20を自動的に設定する。
より具体的には、まず、コンピュータ50は、MFP10における手差しトレイの有無(MFP10が手差しトレイを有するか否か)を示す手差しトレイ有無情報(装置構成情報)をMFP10から取得する。なお、手差しトレイ有無情報は、ステップS11(図5)において取得されてもよく、あるいは、ステップS13において装置状態情報の代わりに取得されてもよい。
そして、コンピュータ50は、当該手差しトレイ有無情報に基づいて、MFP10における手差しトレイの有無を判定する。
MFP10が手差しトレイを有する旨が判定される場合、設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が選択可能状態に変更される(図7参照)。なお、MFP10が手差しトレイを有しない旨が判定される場合は、設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が選択不可状態に変更される。
その後、印刷設定画面200(図7)において設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が選択されると、コンピュータ50は、追加設定内容を自動的に設定する(ステップS21(図8))。
図13は、第2実施形態に係るページ単位設定画面(設定項目「ページ単位設定」に関する設定画面)250を示す図である。コンピュータ50は、当該設定項目「ページ単位設定」に関する設定内容C10,C20を新たに設定(作成)する。なお、追加設定内容C10,C20の自動設定処理に際して当該ページ単位設定画面250(図13)は表示されず、当該設定内容C10,C20はプリンタドライバによって自動的に設定される。
設定内容C10は、印刷出力部3によって出力された印刷出力物に追加用紙(ここでは白紙)を挿入する用紙挿入処理を実行すべき旨を示す設定内容である。
設定内容C20は、当該用紙挿入処理に関する詳細設定内容(サブ設定内容)であり、当該用紙挿入処理をMFP10において一時停止させるための設定内容である。ここでは、MFP10が手差しトレイを有する旨が装置構成情報(詳細には、手差しトレイ有無情報)に基づき判定されたことに基づいて、追加用紙(白紙)を給紙する給紙トレイ(追加用紙の供給用トレイ)として手差しトレイを指定する設定内容C23(C20)が自動的に設定される。
このように、印刷出力部3によって出力された印刷出力物に、MFP10の手差しトレイから給紙した追加用紙を挿入する追加設定内容(C10,C20(C23))が、自動的に設定される。
さらに、コンピュータ50は、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容C30(図10)をも自動的に設定する。
このような設定内容C10,C20(C23),C30が、追加設定内容として自動的に設定される(ステップS21)。
その後、ユーザによる実行指示操作が受け付けられて(ステップS22)、印刷ジョブデータがコンピュータ50からMFP10へと送信される(ステップS23)。
そして、MFP10は、当該印刷ジョブデータの受信に応答して、印刷出力部3による印刷出力処理を開始する。当該印刷出力部3によって出力された印刷出力物は、追加設定内容C30に基づいて、当該印刷出力部3から後処理機30内の貯留部35へと搬送される。
その後、印刷ジョブに係る本来の印刷対象データ(5ページの印刷対象データの全て)の印刷出力が完了すると、MFP10は、追加設定内容C10,C23に従って、手差しトレイから追加用紙(白紙)を給紙して印刷出力物に挿入する用紙挿入処理を試行する。
ただし、ここでは、当該追加設定内容C23(図13)において、追加用紙(白紙)の給紙トレイとして手差しトレイが指定されている。そのため、MFP10は、追加用紙の出力(手差しトレイからの追加用紙の給紙)に先立って、印刷ジョブを停止(一時停止)するとともに、手差し確認画面350(図14)をタッチパネル25に表示する。
その後、ユーザは、コンピュータ50の存在位置からMFP10の存在位置へと移動した後、当該手差し確認画面350において「キャンセル」ボタン352を押下する。
MFP10は、「キャンセル」ボタン352の押下操作(すなわち、一時停止中の印刷ジョブの中止指示)を当該ユーザから受け付ける。
そして、MFP10は、印刷出力部3によって出力された印刷出力物(本来の印刷対象データの全ページの印刷出力物)が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で、印刷ジョブの実行を中止する。
その結果、後処理機30内の貯留部35に貯留された印刷出力物(印刷ジョブの実行が中止されるまでに既に印刷出力された印刷出力物)に対する後処理は施されずに、当該印刷出力物は排紙トレイ31に排出される。そして、ユーザは、当該排紙トレイ31から当該印刷出力物(所望の印刷出力物)を取得する。
このように、第2実施形態では、手差しトレイ有無情報(装置構成情報)に基づいて、追加設定内容(C20)の自動設定動作が実行される。
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
<用紙挿入処理の設定に関する改変例>
たとえば、上記各実施形態等では、用紙挿入処理を実行すべき旨を示す追加設定内容C10と当該用紙挿入処理を一時停止させるための追加設定内容C20とを設定するにあたって、設定項目「ページ単位設定」が用いられているが、これに限定されず、裏カバー(裏表紙)を挿入することが可能な設定項目「裏カバー」等が用いられてもよい。
ここでは、この改変例の思想が上記第1実施形態に適用される態様を例示する。
具体的には、印刷設定画面200(図7)において設定項目「出力方法」の設定値「持ち去り防止印刷」が選択されると、コンピュータ50は、追加設定内容を自動的に設定する。
図16は、プリンタドライバの印刷設定画面における「カバーシート/挿入紙」タブ画面220を示す図である。コンピュータ50は、当該「カバーシート/挿入紙」タブ画面220に含まれる設定項目「裏カバー」の設定値を値「オフ」から値「オン」に変更し、MFP10の印刷出力部3によって出力された印刷出力物に追加用紙(裏カバー)を挿入する用紙挿入処理(裏カバー挿入処理)を実行すべき旨を示す追加設定内容C10を自動的に設定する。さらに、コンピュータ50は、装置状態情報(ここでは用紙サイズ情報)に基づいて、MFP10の給紙トレイに配置されている出力用紙の用紙サイズ(ここでは「A4」)とは異なる用紙サイズ(たとえば「B6」)を追加用紙(裏カバー)の用紙サイズとして指定する追加設定内容C21(C20)を自動的に設定する。なお、当該追加設定内容C10,C20の自動設定処理に際して当該「カバーシート/挿入紙」タブ画面220(図16)は表示されず、当該追加設定内容C10,C20はプリンタドライバによって自動的に設定される。
さらに、コンピュータ50は、ステープル処理を実行すべき旨を示す追加設定内容C30(図10)をも自動的に設定する。
このように、設定項目「裏カバー」(および設定項目「ステープル」)を用いて追加設定内容が自動的に設定されてもよい。
その後の動作は、上記第1実施形態と同様である。
なお、ここでは、この改変例の思想が上記第1実施形態に適用されているが、これに限定されず、当該改変例の思想が他の実施形態に適用されてもよい。
たとえば、当該追加設定内容C21に代えて、MFP10の給紙トレイに現在配置されている出力用紙の用紙種類(たとえば「普通紙」)とは異なる用紙種類(たとえば「厚紙」)を追加用紙(裏カバー)の用紙種類として指定する追加設定内容C22(C20)が自動的に設定されてもよい。
あるいは、当該追加設定内容C21に代えて、追加用紙(裏カバー)が給紙される給紙トレイとしてMFP10の手差しトレイを指定する追加設定内容C23(C20)が自動的に設定されてもよい。
<キャンセル指示要求画面に関する改変例>
また、上記各実施形態等において、印刷ジョブ(詳細には持ち去り防止印刷ジョブ)の実行指示がユーザによって付与された際に、さらに、キャンセル指示要求画面400(図15)がコンピュータ50の表示部56b(プリンタドライバの表示画面)に表示されてもよい。
図15は、キャンセル指示要求画面400を示す図である。キャンセル指示要求画面400は、MFP10において開始された後に一時停止される印刷ジョブの実行をキャンセル(中止)させる中止指示の付与をユーザに要求する画面である。当該キャンセル指示要求画面400は、コンピュータ50の表示部56b(プリンタドライバの表示画面)に表示される。キャンセル指示要求画面400においては、当該中止指示の付与を要求するメッセージ(たとえば、「最終ページの印刷後に一時停止通知画面がMFPにて表示されますので、『キャンセル』ボタンを押して印刷出力物を受け取ってください。」)が表示される。
ユーザは、印刷ジョブの実行指示を付与した後、当該キャンセル指示要求画面400において当該メッセージを確認し、コンピュータ50の存在位置からMFP10の存在位置へと移動する。そして、ユーザは、MFP10のタッチパネル25に表示された一時停止通知画面300(図11)において「キャンセル」ボタン302を押下する。これにより、印刷出力部3によって出力された印刷出力物(本来の印刷対象データの全ページの印刷出力物)が後処理機30内の貯留部35に貯留された状態で印刷ジョブが停止し、当該印刷出力物が排紙トレイ31に排出される。
このように、持ち去り防止印刷ジョブの実行指示がユーザによって付与された際に、キャンセル指示要求画面400がコンピュータ50において表示されてもよい。
<その他の改変例>
また、上記各実施形態等では、ステープル処理がMFP10(後処理機30)によって実行される場合には、印刷出力部3からの印刷出力物が後処理機30内の貯留部35へと搬送されて一旦貯留される。一方、ステープル処理がMFP10によって実行されない場合には、当該印刷出力物は、後処理機30内の貯留部35には貯留されずに排紙トレイ31へと直ちに排出される。すなわち、上記各実施形態に係るMFP10においては、ステープル処理の実行の有無に応じて貯留部35による印刷出力物の貯留の有無が変更される。そのような事情を考慮し、上記各実施形態等では、当該印刷出力物を後処理機30内の貯留部35にて一旦貯留させるために、追加設定内容の自動設定処理(ステップS21(図8))において、ステープル処理を実行すべき旨を示す設定内容C30(図10)が設定されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。たとえば、MFP10におけるステープル処理の実行の有無にかかわらず印刷出力部3からの印刷出力物が後処理機30の貯留部35内に常に一旦貯留される場合等には、設定内容C30は設定されなくてもよい。