以下、添付図面を参照して、X線CT装置の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態)
まず、実施形態に係るX線CT装置の各部分について概略を説明する。図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10と寝台装置30とコンソール装置40とを有する。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する装置であり、X線管11と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data AcquisitionSystem)18と、回転フレーム13と、制御装置15と、寝台装置30とを有する。
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集装置(DAS18)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(体軸方向、列方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽版を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器などの電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
DAS18(Data Acquisition System)は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持してもよい。なお、DAS18が生成した検出データは、一例として、回転フレーム13に設けられた発光ダイオードを有する送信機から光通信によって、固定フレーム等架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のその他の方式のデータ伝送方法を用いて行ってもよい。
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータやアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40に取り付けられた入力インタフェース43若しくは架台装置10に取り付けられた入力インタフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、例えば架台装置10に取り付けられた入力インタフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。また、制御装置15は、後述するエリア灯光器1の投光制御も行う。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。制御装置15または処理回路150の有する制御機能150aは、制御部の一例である。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、ユーザによるX線CT装置100の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集されたX線検出データからX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インタフェース43と、処理回路150とを備える。
メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、記憶部の一例である。
ディスプレイ42は、ユーザが参照するモニタであり、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路150によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
入力インタフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。例えば、入力インタフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。例えば、入力インタフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。入力インタフェース43は、入力部の一例である。
処理回路150は、X線CT装置100全体の動作を制御する。処理回路150は、例えば、制御機能150aと、前処理機能150bと、画像再構成機能150cと、画像生成機能150dとを有する。実施形態では、構成要素である制御機能150a、前処理機能150b、画像再構成機能150c、画像生成機能150dにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路150はプログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路150にて、制御機能150a、前処理機能150b、画像再構成機能150c、画像生成機能150dにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。なお、制御機能150a、前処理機能150b、画像再構成機能150c、画像生成機能150dは、それぞれ制御部、前処理部、再構成処理部、画像生成部の一例である。
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
処理回路150は、制御機能150aにより、入力インタフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路150の各種機能を制御する。処理回路150は、前処理機能150bにより、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。処理回路150は、再構成処理機能150cにより、前処理機能150bにより生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。処理回路150は、画像生成機能150dにより、入力インタフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、画像再構成処理機能150cによって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。
エリア灯光器1(エリアファインダ)は、光を天板33又は被検体Pの方向に向けて投光することにより、X線CT装置100がCT撮影を行う撮影範囲を確認することができるようにするための投光器である。具体的には、エリア灯光器1により示されるチャネル方向(FOV方向)の範囲又はスライス方向(体軸方向)の範囲に基づいて、ユーザはX線CT装置100がCT撮影を行う撮影範囲を確認することができる。エリア灯光器1の例としては、例えば、レーザー投光器、LED投光器、水銀灯投光器、ハロゲンランプその他の投光器が挙げられる。エリア灯光器1による撮影範囲の確認は、X線の曝射を伴わずに行うことができるので、例えば位置決め撮影によりスキャノ画像/スカウト画像を取得することにより被検体Pの撮影を行う場合と比較して、放射線による被曝を低減することができる。
また、これに加えて、X線CT装置100は、X線パスを表示するX線パス投光器、天板33の短手方向の中心位置を通り、天板33の長手方向に平行な直線である正中線を表示する正中線投光器等を備えても良い。
なお、ユーザは、エリア灯光器1の光により示される範囲をそのまま取得して、CT撮影を行う撮影範囲を取得してもよいし、エリア灯光器1の光により示される範囲に基づいて、CT撮影を行う撮影範囲を手動でまたは自動で取得してもよい。換言すると、エリア灯光器1の光により示される範囲と、CT撮影を行う撮影範囲とは同じ範囲であってもよいし、異なる範囲であっても良い。
次に、実施形態に係る背景について簡単に説明する。
エリア灯光器1を使用して撮影を行う場合、エリア灯光器1の点灯は、通常、検査条件の詳細設定の前に行われる場合が多い。例えば、体の各部位の検査条件をあらかじめ設定しておき、それらのあらかじめ設定された検査条件のうちのいずれかのプランの選択の前に、被検体Pを天板33に載せ、エリア灯光器1を使用する場合がある。
このような場合、エリア灯光器1の点灯を開始した時点では、エリア灯光器1は、撮影部位を認識できないため、初期状態においてエリア灯光器1の光により天板33上に示される範囲は、CT撮影を行う撮影範囲を反映したものになっていない。例えば、初期状態において、エリア灯光器1は、あらかじめ決められた設定値や、使用時の設定値を初期値として用いて、天板33上に光を投光する。そのため、ユーザは、エリア灯光器1の光により天板33上に示される範囲を、CT撮影を行う撮影範囲と等しい範囲とするために、手動でエリア灯光器1の表示範囲を、例えば架台装置10側に備えられたタッチパネル等で修正する必要があり、操作性が低下していた。
一例として、架台装置10のフロント側(天板33が挿入される側)及び架台装置10のリア側(架台装置10において、天板33が挿入される側と反対側)の両方に、エリア灯光器1を点灯させるためのボタンがあるが、エリア灯光器1の表示範囲を変更するためのタッチパネル等が、架台装置10のフロント側にのみ備えられており、架台装置10のリア側には備えられていない場合などが挙げられる。ここで、例えば架台装置10のリア側で撮影を行うため、エリア灯光器1を点灯させるためのリア側のボタンを用いてエリア灯光器1を点灯させた場合を考える。かかる場合、表示範囲を変更するためのタッチパネルがリア側にないため、ユーザはフロント側まで回り込んでフロント側のタッチパネルを用いてエリア灯光器1の表示範囲の変更を行う必要があり、操作性が低下していた。
かかる背景に鑑み、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の状態を示す情報と架台装置10の状態を示す情報とのうち少なくとも一方の情報に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(X方向)の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(Z方向)の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得し、取得した当該範囲に基づいてエリア灯光器1を制御する。
これにより、撮影範囲の設定をユーザが手動で設定を行わずに自動で行うことができ、操作性が向上する。
図2~図7を用いて、かかる処理の詳細について説明する。図2は、実施形態に係るX線CT装置100が行う処理の流れについて説明したフローチャートである。
まず、ステップS100において被検体Pのセッティングを行う前に、患者情報の検査予約リストへの登録や詳細上の入力が行われる。続いて、ステップS100~S170において、さまざまなセッティングや、情報の取得が行われる。これらのステップS100~S170の処理の詳細は撮影部位等により異なる。以下、撮影部位(撮影対象)が「嚥下」の場合、撮影部位が「手」の場合、撮影部位が「足」の場合、撮影部位が「頭部」の場合、撮影部位が「頭部」かつ被検体Pが「小児」の場合におけるステップS100~S170の処理について、図3~図6を用いて説明する。図3は、撮影部位が「嚥下」の場合の撮影を、図4は、撮影部位が「手」の場合の撮影、図5は、撮影部位が「足」の場合の撮影、図6は、撮影部位が「頭部」の場合の撮影を表す。
図3を用いて、撮影部位が「嚥下」の場合について説明する。
撮影部位が「嚥下」の場合、被検体Pを例えば架台装置10のリア側(天板33が架台装置10に挿入される方向とは反対側)に配置して撮影が行われる。撮影部位が「嚥下」の場合、例えば被検体Pを椅子54に座らせた状態で、架台装置10のボアに頭50を入れさせて撮影を行う。
架台センター高さ2は、架台装置10にチルトがない場合の、架台装置10の中心の高さを表す。架台センター高さ2は、寝台装置30の上下方向の位置の基準となる高さである。ここで、寝台上下位置52は、寝台装置30の上下方向の位置を表し、具体的には天板33の上下方向の位置を意味する。幅53は、架台センター高さ2と寝台上下位置52との差を表す。撮影部位が「嚥下」の場合、幅53は例えば100mm以下となる。従って、撮影部位が「嚥下」の場合、寝台上下位置52は、例えば架台センター高さ2を基準に、-100mm以下の高さとなる。
また、撮影部位が「嚥下」の場合、天板33は使用されていないので、撮影開始時の天板33の長手方向の位置である天板スライド位置は、「0mm」となる。また、撮影部位が「嚥下」の場合、被検体Pは椅子54に座り撮影を行うので、天板33には重量はかからず、天板上重量は「0kg」となる。また、撮影にあたって、被検体保持具は特に使用されないので、被検体保持具/付属品は、「特になし」となる。なお、被検体保持具や付属品の装着の有無やその種類の判定については、例えば天板33と付属品の嵌合の一部の形状を付属品の種類ごとに識別可能なように形を変えておき、それを光学センサで種類を検知したり、ICチップなどを付属品などに埋め込むことにより識別する方法がある。
また、撮影部位が「嚥下」の場合、制御装置15は、架台装置10を、後ろ側に、チルト角51だけチルトさせて撮影を行う。制御装置15は、撮影部位が「嚥下」の場合、例えば、架台装置10のチルト角度51を20度以上にして、軸3の方向に架台装置10をチルトさせて、被検体Pの撮影を行う。従って、撮影部位が「嚥下」の場合、チルト角度は、例えば、「+20度以上」となる。
撮影部位が「嚥下」の場合のステップS100~S170の処理について説明する。ステップS100において、被検体Pの位置が所定の位置になるようにセッティングが行われる。具体的には、ユーザは被検体Pに椅子54を用意し、架台装置10のリア側に配置する。ステップS110において、制御装置15は、寝台上下位置が、例えば「架台センター高さ-100mm以下」の位置となるように天板33の上下位置方向の位置を制御する。制御装置15は、ステップS120において、例えばエンコーダなどにより情報を収集することにより、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報を取得する。
また、撮影部位が「嚥下」の場合、天板33は撮影に使用しないので、ステップS130に示す天板33の長手方向の移動は行われない。ステップS140において、制御装置15は、例えばエンコーダなどにより情報を収集することにより、寝台装置30の長手方向のスライド位置に係る情報を取得するが、ステップS130で天板33の長手方向のスライドは行われていないので、天板スライド位置は、例えば「0mm」となる。
続いて、制御装置15は、ステップS150において、架台装置10を後ろにチルトする。ここで、「後ろにチルト」とは、架台装置10のリア側が上下方向で下になるようにチルトすることを意味する。続いて、制御装置15は、ステップS160において、例えばエンコーダや角度センサなどで情報を収集することにより、架台装置10のチルト角を取得する。ここで、架台装置10が前にチルトしているときにはチルト角は負のチルト角になり、架台装置10が後ろにチルトしているときにはチルト角は正のチルト角になる。撮影部位が「嚥下」の場合、ステップS160において制御装置15が取得するチルト角は、例えば+20度以上の角度となる。
ステップS170において、制御装置15は、寝台装置30への荷重に係る情報を取得するが、撮影部位が「嚥下」の場合、天板33が使われていないので天板上重量は0kgとなる。ここで、寝台装置30への荷重に係る情報を取得する方法としては、例えば、天板下や寝台下に重量センサやひずみゲージなどを組み込む方法が挙げられる。
次に、図4を用いて、撮影部位が「手」の場合について説明する。
撮影部位が「手」の場合も、「嚥下」の場合と同様、被検体Pを例えば架台装置10のリア側に配置して撮影が行われる。撮影部位が「手」の場合、被検体Pを椅子54に座らせた状態や被検体Pに立ってもらった状態で、架台装置10のボアに手60を入れさせて撮影を行う。また、撮影部位が「手」の場合、天板33をスライドさせ、スライドさせた天板33の上に被検体Pの手60をのせることにより、撮影が行われる。
撮影部位が「手」の場合、寝台上下位置は、架台センター高さ2と等しくなる。天板スライド位置は、天板33を長手方向にスライドさせるので、例えば、「400~600mm」とし、被検体Pの手60が置けるように天板33の先端がスキャン面中心から200mm~300mm程度入った位置まで、制御装置15は天板33を移動させる。
また、天板33の上に手の重量がかかるので、天板上重量は、例えば「3~10kg」となる。また、撮影にあたって、被検体保持具は特に使用されないので、被検体保持具/付属品は、「特になし」となる。または、延長天板が使用された場合、被検体保持具/付属品は、「延長天板」となる。また、撮影部位が「手」の場合、架台装置10のチルトは特に不要であるので、チルト角度は、「0度」となる。
撮影部位が「手」の場合のステップS100~S170の処理について説明する。ステップS100において、被検体Pの位置が所定の位置になるようにセッティングが行われる。具体的には、ユーザは被検体Pに椅子54を用意し、架台装置10のリア側に配置する。ステップS110において、撮影部位が「手」の場合、制御装置15は、天板33を上下方向に移動する。または、制御装置15は、天板33の上下方向の移動が不要な場合、天板33の上下移動は特に行わなくてもよい。制御装置15は、ステップS120において、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報を取得する。
ステップS130において、制御装置15は、天板33を長手方向に移動する。ステップS140において、制御装置15は、寝台装置30の長手方向のスライド位置に係る情報を取得する。撮影部位が「手」の場合、ステップS150において制御装置15は、架台装置10のチルトは行わない。従って、撮影部位が「手」の場合、ステップS160において制御装置15が取得するチルト角は、0度となる。ステップS170において、制御装置15は、寝台装置30への荷重に係る情報を取得する。
図5を用いて、撮影部位が「足」の場合について説明する。撮影部位が「足」の場合、被検体Pは天板33の上に横になり、足70を架台装置10のボアの中に入れて撮影が行われる。寝台上下位置71は、架台センター高さ2より、幅72だけ下の位置となる。ここで、幅72は、例えば50mmである。また、天板33のスライドは行われ、天板上重量は、被検体Pの体重となる。また、撮影にあたって、被検体保持具は延長天板以外特に使用されないので、被検体保持具/付属品は、「特になし又は延長天板」となる。また、架台装置10のチルトは特に不要であるので、チルト角度は、「0度」となる。
撮影部位が「足」の場合のステップS100~S170の処理について説明する。ステップS100において、被検体Pの位置が所定の位置になるようにセッティングが行われる。具体的には、天板33上の所定の位置に被検体Pがくるようにセッティングが行われる。ステップS110において、制御装置15は、天板33を上下方向に移動する。制御装置15は、ステップS120において、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報を取得する。ステップS130において、制御装置15は、天板33を長手方向に移動する。ステップS140において、制御装置15は、寝台装置30の長手方向のスライド位置に係る情報を取得する。また、ステップS150において制御装置15は、架台装置10のチルトは行わないので、ステップS160において制御装置15が取得するチルト角は、0度となる。ステップS170において、制御装置15は、寝台装置30への荷重に係る情報を取得する。
図6を用いて、撮影部位が「頭部」の場合について説明する。撮影部位が「頭部」の場合、撮影部位が「足」の場合と同様、被検体Pは天板33の上に横になり、頭81を架台装置10のボアの中に入れて撮影が行われる。撮影部位が「頭部」の場合、ヘッドレスト90が撮影に用いられる。寝台上下位置8は、架台センター高さ2より、幅83だけ下の位置となる。ここで、幅83は、例えば100mmである。また、天板33のスライドは行われ、天板上重量は、被検体Pの体重となる。また、制御装置15は、架台装置10を、前側に、軸4の方向に、チルト角80だけチルトさせて撮影を行う。チルト角度は、例えば、0度~15度となる。
撮影部位が「頭部」の場合のステップS100~S170の処理について説明する。ステップS100において、被検体Pの位置が所定の位置になるようにセッティングが行われる。ステップS110において、制御装置15は、天板33を上下方向に移動する。制御装置15は、ステップS120において、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報を取得する。ステップS130において、制御装置15は、天板33を長手方向に移動する。ステップS140において、制御装置15は、寝台装置30の長手方向のスライド位置に係る情報を取得する。ステップS150において、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる。ステップS160において、制御装置15は、架台装置10のチルト角を取得する。ステップS170において、制御装置15は、寝台装置30への荷重に係る情報を取得する。
次に、撮影部位が「頭部」であり、かつ被検体Pが「小児」の場合について説明する。かかる場合、撮影部位が「頭部」であり、かつ被検体Pが大人である場合と基本的には同様であるが、被検体保持具/付属品として、「ベビーベッド」が追加で用いられる。また、天板上重量は、被検体Pが大人である場合と比較して小さくなり、また寝台上下位置に関しても、被検体Pが大人である場合と比較して異なる上下位置において撮影されてよい。
次に、図7を用いて、ステップS180の処理について説明する。図7は、実施形態に係るX線CT装置100により行われる撮影の例について説明した図である。ステップS180において、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の状態を示す情報と架台装置10の状態を示す情報とのうち少なくとも一方に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(X軸方向)の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(Z軸方向)の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得し、取得した範囲に基づいてエリア灯光器1を制御する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の状態を示す情報と架台装置10の情報とのうち少なくとも一方に基づいて、撮影部位を推定し、推定した撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とを取得し、取得した範囲に基づいてエリア灯光器1を制御する。ここで、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報、寝台装置30の天板33の長手方向のスライド位置に係る情報、被検体保持具に係る情報、寝台装置30への荷重に係る情報が、寝台装置30の状態を示す情報の例である。また、架台装置10のチルト角度に係る情報が、架台装置10の状態を示す情報の例である。
一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の状態を示す情報と架台装置10の情報とのうち少なくとも一方に基づいて、撮影部位を推定し、推定した撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とを計算により算出し、算出した範囲に基づいてエリア灯光器1を制御する。
なお、上述のチャネル方向の範囲及びスライス方向の範囲の取得は、上述の例のようにチャネル方向の範囲及びスライス方向の範囲を計算により算出する場合と、例えばメモリ41に記憶されたテーブルからデータを読み出してチャネル方向の範囲及びスライス方向の範囲に係るデータを取得する場合の両方の場合を含む。後者の場合、メモリ41は、寝台装置30の状態を示す情報や架台装置10の状態を示す情報と、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲やスライス方向の範囲の初期設定値とを、例えばテーブルの形で関連付けて記憶する。
制御装置15が取得した情報が、図7(a)の1列目で表せる場合、すなわち、ステップS120において制御装置15が取得した寝台上下位置が、「架台センター高さ-100mm以下」であり、ステップS140において制御装置15が取得した天板スライド位置が「0mm」であり、ステップS170において制御装置15が取得した天板上重量が「0kg」であり、被検体保持具/付属品は、「特になし」であり、ステップS160において制御装置15が取得したチルト角度が「+20度以上」である場合を考える。この場合、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、天板33が使用されておらず、またチルト角度が正になっていること等を考慮して、図7(b)に示されているように、撮影部位が「嚥下」であると推定する。続いて、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、推定した撮影部位「嚥下」に基づいて、図7(c)に示されているように、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲が、「M」であり、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(体軸方向)の範囲が、「160mm」である旨の情報を取得する。より具体的には、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、例えば、推定した撮影部位「嚥下」に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲が、「M」であり、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(体軸方向)の範囲が、「160mm」である旨、計算により算出する。また、別の例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、例えば、メモリ41から、撮影部位「嚥下」に対応する、チャネル方向(FOV)の範囲及びスライス方向(体軸方向)の範囲の初期設定値のデータを読み出し、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲が、「M」であり、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(体軸方向)の範囲が、「160mm」である旨の情報を取得する。また、別の例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、例えば、メモリ41から、寝台装置30の状態を表す情報や架台装置10の状態を表す情報に基づいて、チャネル方向(FOV)の範囲及びスライス方向(体軸方向)の範囲の初期設定値のデータを直接読み出してもよい。
また、制御装置15が取得した情報が、図7(a)の2列目で表せる場合、すなわち、ステップS120において制御装置15が取得した寝台上下位置が、「架台センター高さ」であり、ステップS140において制御装置15が取得した天板スライド位置が「400~600mm」であり、ステップS170において制御装置15が取得した天板上重量が「3kg~10kg」であり、被検体保持具/付属品は、「特になし」または「延長天板」であり、ステップS160において制御装置15が取得したチルト角度が「0度」である場合を考える。かかる場合、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、天板上重量が、3kg~10kgであり全体重がかかっているわけではないこと、被検体保持具としてベビーベットが取り付けられていないことから小児撮影でもなさそうであること、及び寝台上下位置等を考慮して、図7(b)に示されているように、撮影部位が「手」であると推定する。続いて、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、推定した撮影部位「手」に基づいて、図7(c)に示されているように、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲が、「S」であり、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(体軸方向)の範囲が、「80mm」である旨の情報を取得する。
また、制御装置15が取得した情報が、図7(a)の3列目で表せる場合、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、天板上重量に全体重がかかっていること、被検体保持具が特にないこと、チルト角度が0であること、寝台上下位置、天板上重量等を総合的に考慮して、図7(b)に示されているように、撮影部位が「足」であると推定する。続いて、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、推定した撮影部位「足」に基づいて、図7(c)に示されているように、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲が、「S」であり、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向(体軸方向)の範囲が、「160mm」である旨の情報を取得する。
また、制御装置15が取得した情報が、図7(a)の4列目で表せる場合、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、被検体保持具としてヘッドレストが使われていること等を考慮して、図7(b)に示されているように、撮影部位が「頭部」であると推定する。続いて、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、推定した撮影部位「頭部」に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲及びスライス方向(体軸方向)の範囲を取得する。
また、制御装置15が取得した情報が、図7(a)の5列目で表せる場合、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、被検体保持具としてベビーベッド等が使われていること等を考慮して、図7(b)に示されているように、撮影部位が「頭部」かつ撮影対象が「小児」であると推定する。続いて、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、推定した撮影部位等に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向(FOV)の範囲及びスライス方向(体軸方向)の範囲を取得する。
以上をまとめると、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、被検体保持具(付属品)に係る情報に基づいて、撮影部位や撮影対象を推定し、推定した撮影対象や撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、被検体保持具(付属品)が「ベビーベッド」である場合、撮影対象が小児であると推定し、被検体保持具(付属品)が「ヘッドレスト」である場合、撮影部位が頭部であると推定し、被検体保持具(付属品)が「延長天板」である場合、撮影部位が手、足等であると推定し、それらの推定結果に基づいて当該範囲を取得する。
また、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30への荷重に係る情報に基づいて、撮影部位や撮影対象を推定し、推定した撮影対象や撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30への荷重が、成人の全体重と判断される重さの荷重である場合、撮影対象が小児以外であり、かつ撮影部位が頭部または足であると推定し、寝台装置30への荷重が、3~10kg程度である場合、撮影部位が手であるか、または撮影対象が小児であると推定し、寝台装置30への荷重が0である場合、撮影対象が嚥下であると推定し、それらの推定結果に基づいて当該範囲を取得する。
また、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、架台装置10のチルト角に係る情報に基づいて、撮影部位や撮影対象を推定し、推定した撮影対象や撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、架台装置10が、正の角度方向にチルトしている場合、撮影部位が嚥下又は頭部であると推定し、それらの推定結果に基づいて当該範囲を取得する。
また、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の天板33の長手方向のスライド位置に係る情報に基づいて、撮影部位や撮影対象を推定し、推定した撮影対象や撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、天板33が長手方向にスライドしていない場合、撮影部位が嚥下であると推定し、それらの推定結果に基づいて当該範囲を取得する。
また、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報に基づいて、撮影部位や撮影対象を推定し、推定した撮影対象や撮影部位に基づいて、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲とのうち少なくとも一方の範囲を取得する。一例として、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、寝台上下位置が架台センター高さと同程度な場合、撮影部位が手であると推定し、寝台上下位置が架台センター高さの下50mm程度な場合、撮影部位が足又は小児の頭部であると推定し、寝台上下位置が架台センター高さの下100mm程度な場合、撮影部位が嚥下又は頭部であると推定し、それらの推定結果に基づいて当該範囲を取得する。
図2に戻り、制御装置15は、ステップS180で推定した撮影部位や、取得した撮影範囲等の取得結果を、図示しない出入力インタフェースに出力し、ユーザから、制御装置15が推定した結果が間違っている場合の修正入力を受け付ける。例えば、制御装置15は、推定した撮影部位に係る情報や、取得した撮影範囲を、架台装置10のフロント側に備えられた出入力インタフェースに出力し、ユーザからの修正入力を受け付ける。例えば、制御装置15が、撮影部位を「頭部」と推定したが、実際には撮影部位は「足」であった場合、制御装置15は、当該出入力インタフェースから、撮影部位が「足」である旨の修正入力を受け付ける。また、例えば、制御装置15が、撮影範囲を「S」の旨の情報を取得したが、実際には、撮影範囲が「M」であるのが適当である場合、制御装置15は、当該出入力インタフェースを通じて、ユーザから、撮影範囲が「M」である旨の修正入力を受け付ける。
続いて、制御装置15は、ステップS190において、エリア灯光器1の光により示される範囲が、ステップS180で制御装置15により取得された範囲、またはステップS185でユーザから受け付けた修正入力に基づいて取得された範囲となるように、エリア灯光器1を点灯するよう制御する。
続いて、制御装置15は、ステップS200において、ステップS180で制御装置15により取得された範囲に基づいて、CT撮影を行う撮影範囲を取得する。一例として、制御装置15は、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲と、エリア灯光器の光により示されるスライス方向の範囲とを、そのままCT撮影を行う撮影範囲とする。しかしながら、実施形態はこれに限られず、エリア投光器1の光により示される範囲と、CT撮影を行う範囲とは異なる範囲であってもよい。また、別の例として、制御装置15は、ステップS180で制御装置15により推定された撮影部位の情報を架台装置10からコンソール40に送信し、処理回路150に、撮影計画を自動で設定させてもよい。撮影計画を自動で設定した処理回路150は、選択された撮影計画に基づいて、CT撮影を行う撮影範囲を取得する。制御装置15または処理回路150が、CT撮影を行う撮影範囲を自動取得することで、ユーザは、患者情報をインプットすることなく、エリア灯光器1を点灯すると同時にCT撮影を行う撮影範囲を自動で設定することが可能になり、ユーザの作業性の向上を図ることができる。
また、制御装置15は、ステップS180で制御装置15により取得された範囲に基づいて、例えばエリア灯光器1の光により示される範囲の大きさに基づいて、X線検出器12に係るDAS(Data Acquisition System)のゲインの設定を行ってもよい。このことにより、DASのゲインを自動的に設定することができ、操作性が更に向上する。
また、制御装置15は、ステップS180で制御装置15により取得された範囲に基づいて、X線の曝射条件の推奨値等を取得してもよい。例えば、制御装置15は、ステップS180で制御装置15により取得された範囲に基づいて、管電圧、管電流、X線の照射時間の推奨値等を取得しても良い。
続いて、ステップS210において、X線CT装置100は、ステップS200で取得された条件に基づいてCT撮影を実行する。
なお、実施形態は上述の例に限られない。
前述のように、実施形態において、制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150が種々の情報を取得する場合、当該情報を計算により算出する場合であってもよいし、当該情報に関連する情報を例えばメモリ41から読み出す場合であってもよい。後者のケースの場合、メモリ41は、例えば、被検体保持具に係る情報、撮影対象や撮影部位に係る情報、チルト角に係る情報、天板33の長手方向のスライド位置に係る情報、寝台装置30の上下方向の位置に係る情報等と、エリア灯光器1の光により示されるチャネル方向の範囲に係る情報、エリア灯光器1の光により示されるスライス方向の範囲に係る情報、CT撮影を行う撮影範囲に係る情報、DASのゲインの設定に係る情報、X線の曝射条件の推奨値に係る情報等との関係を表したテーブルをデータとして記憶する。制御装置15または制御機能150aを有する処理回路150は、メモリ41から当該テーブルを読み出すことにより、それら種々の情報を取得する。
実施形態は、一管球型でかつ、Rotate/RotateタイプのX線CT装置100の場合で説明したが、実施形態はこれに限られない。X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotateタイプ、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotateタイプ等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転フレームに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。
また、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、電子銃から発生した電子ビームを収束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い変更した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。
また、X線CT装置100は、2種類の異なるX線エネルギーで撮影を行ういわゆるデュアルエナジースキャン方式で撮影を行ってもよく、また3種類以上の異なるX線エネルギーで撮影を行ういわゆるマルチエネルギースキャン方式で撮影を行ってもよい。かかる場合、物質弁別の方式は、投影データを用いて物質弁別を行う方式でもよいし、画像データを用いて物質弁別を行う方式でもよい。また、撮影方式は、Kvスイッチング方式、デュアルソース方式、積層型検出器方式のいずれの撮影方式であってもよい。
また、天板33の移動方式としては、天板33だけを移動させてもよいし、寝台装置30の支持フレーム34ごと移動する方式であってもよい。実施形態を立位CTに適用する場合、天板33に相当する患者支持機構を移動する方式であってもよい。
また、ヘリカルスキャンや位置決めスキャン等、架台装置10の天板33の位置関係の相対的な変更を伴うスキャン実行の際、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われても良いし、架台装置10の走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
また、実施形態中で説明した処理回路150による処理は、コンソール装置40又は外部のワークステーション(画像処理装置)のどちらで実行することにしても構わない。また、処理回路150による処理は、コンソール装置40と外部の画像処理装置の両方で同時に処理することにしても構わない。
また、投影データや画像再構成データの記憶は、コンソール装置40のメモリ41が行う場合に限らず、インターネット等の通信ネットワークを介してX線CT装置100と接続可能なクラウドサーバがX線CT装置100からの保存要求を受けて投影データや再構成画像データの記憶を行っても良い。
また、処理回路150は、コンソール装置40に含まれる場合に限られず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
実施形態に係るX線CT装置100は、被検体周囲1周、360度分のデータを収集するフルスキャン方式を用いてもよいし、180度+ファン角度分のデータを収集するハーフスキャン方式を用いてもよい。
また、実施形態は、歯科用CTにも適用可能である。
以上のように、実施形態に係るX線CT装置によれば、エリア灯光器の操作性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。