JP7209467B2 - 断熱容器及び断熱容器の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱容器及び断熱容器の製法に関する。
従来、断熱容器は、一般的に容器本体の壁厚内に発泡樹脂や断熱繊維材や断熱紛体を充填してある物があった(周知技術である)。
前記容器本体の壁厚内に充填する材料として、前記発泡樹脂は、主に低温断熱性を確保するのによく使われるが、高温断熱には適してなく、また、前記断熱繊維材や断熱紛体は、高温断熱に適したものがあるが、これらを壁厚内に充填するだけでは低温域及び高温域の双方で高い断熱性能を十分満たすのは困難である。
本発明の目的は、従来一般的な断熱容器よりも低温域及び高温域の双方において断熱性能をより一層向上させた容器を提供するところにある。
本発明の断熱容器の第1の特徴構成は、被保温材を収容可能な収容空間を内部に形成する容器本体部を設け、前記収容空間に被保温材を出し入れ自在な前記容器本体部の出入口に対し、その出入口を閉塞自在な蓋部を設け、前記容器本体部は第1の2重殻鋼製容器を、第2の外枠鋼製容器内に挿入させたものから形成し、前記第1の2重殻鋼製容器は、内側鋼製容器を外側鋼製容器内に挿入した状態でそれらの周壁間に第1スペーサー部材を収容して減圧した第1減圧気密層を備え、前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間は、第2スペーサー部材を収容した状態で、大気圧状態で密封してあり、前記蓋部は、その肉厚内に第3スペーサー部材を介在して減圧した第2減圧気密層を設け、前記第1減圧気密層には、前記第1スペーサー部材として耐熱性で低温に対する保温性能の高い二酸化ケイ素(SiO2)からなるエアロゲルの粉体と耐熱性で高温に対する保温性能の高い炭化ケイ素(SiC)の粉体との混合粉体を充填してあり、前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間には、前記第2スペーサー部材として、ヒュームドシリカ(SiO2)と炭化ケイ素(SiC)を含有する混合体を圧縮成型した断熱成形板と、前記混合粉体とを充填し、前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間における上端部には、弾力性のある断熱成形体を全周に亘って充填したところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、第1減圧気密層を構成する第1の2重殻鋼製容器と、その外側に形成する断熱紛体を充填した第2の外枠鋼製容器の2重構造の内部に被保温材の収容空間を形成して、その上で、第2減圧気密層を構成した蓋部により前記収容空間を閉塞することにより、より一層の断熱性能を上げることができる。
第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器との間に設けるヒュームドシリカと炭化ケイ素を含有する混合体を圧縮成型した断熱成形板と、二酸化ケイ素からなるエアロゲルの粉体と炭化ケイ素の粉体との混合紛体とにより第2スペーサー部材を構成することにより、第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器との間隔を、温度変化があっても長期に維持でき、断熱性能を高く維持できる。
つまり例えば、混合紛体のみでは、第1の2重殻鋼製容器及びその収容物からの荷重を受けた場合に、多孔質な混合紛体そのものが夫々潰れて第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器との間隔を維持できなくなったり、断熱容器の移動や振動に伴って混合紛体が移動して偏ったりする虞があり、やはり断熱性能が低下することがあり、また例えば、断熱成形板のみでは、温度変化に伴う第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器夫々の伸縮現象によって、断熱成形板には曲げ外力が作用して破壊される虞があり、その形状を維持できなくなって断熱性能が低下することがある。これに対して、断熱成形板と混合紛体との組み合わせによって第2スペーサー部材を構成することにより、第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器との間隔を断熱成形板が維持しながら、温度変化に伴う第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器夫々の伸縮変形を、混合紛体がクッション性部材となって吸収し、そのために断熱成形板の破損を防止し、断熱性能を良好に維持できる。
第1の2重殻鋼製容器の外側で第2の外枠鋼製容器との間隙空間における上端部に、弾力性のある断熱成形体を全周に亘って充填したことにより、容器が横転しても第1の2重殻鋼製容器と第2の外枠鋼製容器との間に充填する断熱材が溢流するのを防止でき、断熱性能を維持できる。
二酸化ケイ素からなるエアロゲルの粉体は、低温に対する保温性能が高く、炭化ケイ素の粉体は、高温に対する保温性能が高く、それらの混合粉体から第1スペーサー部材を構成することにより、高温及び低温に対する断熱性能を、幅広く向上させることができる。
本発明の第2の特徴構成は、前記蓋部には開口部を設け、並設する複数枚の内部の状態が観察できるガラス板間に前記第3スペーサー部材を介在させた状態で、前記複数枚のガラス板間に気密空間を形成すべく全周を気密状態に密封した状態で前記気密空間を減圧してある真空複層ガラスを、前記開口部に取り付けたところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、容器本体部内の状況が蓋部に取り付けた真空複層ガラスを通して観察でき、容器本体部内に収容する被保温材に対する保温管理を良好に行える。
本発明の第3の特徴構成は、前記断熱成形板を前記第2の外枠鋼製容器の内面に対して設置し、前記断熱成形板と前記第1の2重殻鋼製容器の側面との空間に前記混合粉体を充填してある。
本発明第4の断熱容器の製法の特徴構成は、前記第1の2重殻鋼製容器を形成するのに、前記内側鋼製容器と前記外側鋼製容器との間隙に、耐熱性で断熱性の前記混合粉体から成る前記第1スペーサー部材を充填し、前記第1の2重殻鋼製容器を乾燥機内で加熱して、前記内側鋼製容器と前記外側鋼製容器との間の粉体充填空間が常温になる前に、その粉体充填空間を気密状態に封印することにより前記第1減圧気密層を形成するところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、第1の2重殻鋼製容器を乾燥機内で加熱して、前記内側鋼製容器と前記外側鋼製容器間の粉体充填空間が常温になる前に、その粉体充填空間を気密状態に封印することにより、例えば、真空ポンプにより減圧するのに比べて、第1減圧気密層を簡単に形成できる。

(a)、(b)は、断熱容器の完成体の写真である。 鋼製容器の製造説明の一部を示す写真である。 (a)、(b)は、2重殻鋼製容器の組立作用説明図である。 (a)、(b)は、組立手順を示す写真、(c)は、容器本体部の上面図である。 (a)、(b)は、組立手順を示す写真、(c)は、容器本体部の上面図である。 (a)、(b)は、気密性を測定する写真である。 (a)、(b)、(c)は、組立手順を示す写真。 容器本体部を斜視した写真。 (a)、(b)、(c)、(d)は、鋼板の変化を示す写真。 液密性試験の写真。 (a)、(b)、(c)、(d)は、容器本体部の組立手順を示す写真、(e)は、容器本体部の縦断面図。 (a)は、容器本体部の写真、(b)は、容器本体部の縦断面図。 蓋部の写真。 (a)は、蓋部の写真、(b)は、断熱容器の完成写真。 (a)、(b)、(c)は、収容空間に収容するものの写真。 (a)、(b)、(c)は、実験装置の写真。 (a)、(b)は、実験状況を示す写真。 断熱容器の製作の流れを示すフローと写真。 断熱容器の製作手順を示す写真。 断熱容器の製作手順を示す写真。 断熱容器の製作手順を示す写真。 断熱容器の一部切欠き平面図。 断熱容器の縦断面図。 断熱容器の一部拡大縦断面図。 断熱容器の一部拡大縦断面図。 断熱容器の一部拡大縦断面図。 断熱容器の一部拡大縦断面図。 第1減圧気密層に充填する各充填材料における熱伝導率の圧力依存性を示すグラフ。 本発明の断熱容器の全体斜視図である。 本発明の断熱容器の縦断面図である。 外枠鋼製容器の組立説明図で、(a)は外枠鋼製容器の縦断面図、(b)は外枠鋼製容器に高性能断熱材を組み付ける途中の縦断面図である。 外枠鋼製容器に2重殻鋼製容器を組み立てる説明図で、(a)は外枠鋼製容器に2重殻鋼製容器を内嵌する途中の縦断面図、(b)は両者の組み付け後の縦断面図である。 外枠鋼製容器に2重殻鋼製容器を組み立てる説明図で、(a)は両者間の上部隙間を示す縦断面図、(b)は両者間の上部隙間に断熱塗料ボードを充填した状態の縦断面図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔耐火耐冷断熱ボックス〕
1. 断熱ボックスの概要
被保温材を収容可能な収容空間Sを内部に形成する容器本体部としての断熱ボックス20の完成体を、図1(a),(b)および図29、断熱ボックス20の構成図を、図22~27および図30に示す。図22および23に示すように、断熱ボックス20は内寸300×300×300mm,断熱厚み20mmで外寸は340×340×340mmの立方体の形状であり、断熱ボックス主要部17(図面の丸数字に対応する。以下同じ)と上蓋16からなる。図27に示すように、第1スペーサー部材を収容して減圧した第1減圧気密層23を形成すべく、第1減圧気密層23内にSiC添加シリカエアロゲル粉末10を充填した2重殻鋼製容器(第1容器)11と、その外側に図25および図26に示すように、外枠鋼製容器(第2容器)18を設け、2重殻鋼製容器11と外枠鋼製容器18との間に、第2スペーサー部材として高性能断熱材9とSiC添加シリカエアロゲル粉末10とを挿入・充填し、断熱ボックス内側の2重殻鋼製容器11の内側表面には、断熱塗料13および防水材14の塗装を行った。また図22および図24に示すように、断熱ボックス内部の状況を観察できるように、上蓋16として真空ガラス2を用いた。尚、断熱ボックス20は、同構造の物を2体(20A、20B)製作し、断熱ボックス20Aは、試験温度が-196℃の極寒編と、試験温度が39.7℃の長時間編用とに使用し、断熱ボックス20Bは、500℃の灼熱編試験に用いた。
以下、断熱ボックス20の製作の流れを図18、断熱ボックス20の製作手順を図19~図21に示す。断熱ボックス製作手順の詳細については下記に説明する。
1.1 2重殻鋼製容器
(1) 2重殻鋼製容器の組立
図25および図26、図30に示す2重殻鋼製容器11は、厚み1.6mmの鋼板12で構成され、2重殻鋼製容器11の内側および外側鋼製容器を別々に製作した。図2に示すように各々の鋼製容器は溶接時に歪が発生しないように溶接裏面を水冷却しながら慎重にTig溶接で上面を除く5面を組み立てた。図3(a),(b)に示すように、2重殻の外側鋼製容器内に内側鋼製容器に挿入し、上面開口部の4面のうち、向かい合う面の一対を幅10mm,厚み1.6mmの鋼材を用いてTig溶接で外側鋼製容器と内側鋼製容器を固定化した。
(2) SiC添加シリカエアロゲル粉末の充填
シリカエアロゲル(Cabot Corporation製(ドイツ),商品名P―200,平均粒径0.01~1.2mm)と輻射低減材である炭化ケイ素 (SiC,屋久島電工株式会社,平均粒径2μm)と100:20(重量比)で配合したSiC添加シリカエアロゲル粉末10を図4(a),(b),(c)に示すように、第1スペーサーとして、2重殻鋼製容器11の底面および側面の空間部分に上面開口部の2面より、流し込んで側面上部まで充填した。
(3) 2重殻鋼製容器の上面閉塞
図5(a),(b),(c)に示すように、SiC添加シリカエアロゲル粉末10の充填完了後、2重殻鋼製容器11の上面の残りの2面を幅10mm,厚み1.6mmの鋼板を用いてTig溶接で閉塞した。尚、2面の内1面の鋼板は気密性確認用の圧力計を取付けるために、M5のボルト穴にナットを一か所取付けており、M5ナットがSiC添加シリカエアロゲル粉末10側になるようにTig溶接にて閉塞した。
(4) 2重殻鋼製容器内の減圧ならびに気密性テスト
2重殻鋼製容器11を130℃に設定した乾燥機に30分静置し、2重殻鋼製容器11の内部ガス(空気)を放出させた。30分経過後、2重殻鋼製容器11を取出し、図6(a)に示すように、直ちに圧力計を取付けて常温放置状態を維持した。2重殻鋼製容器11内の圧力は、2重殻鋼製容器11の温度が低下するとともに減少し、図6(b)に示すように、大気圧より-0.08MPaまで減圧でき、12時間経過後も同値であることを確認して2重殻鋼製容器11の気密性テストを終了した。
尚、参考文献1の図28では、内圧を大気圧(105Pa)より1桁下げることによって、シリカエアロゲルの熱伝導率が約半分のλ=0.007 W/mK程度まで低下することが示されている。
[参考文献1]
未利用熱エネルギー活用の新開発と〔採算性を重視した〕熱省エネ新素材・新製品設計/採用のポイント 別冊
主題;優れた断熱性能を示す高強度エアロゲルの開発,金森主祥(京都大学 大学院 理学研究科 化学専攻) 他,P.289
(5) 2重殻鋼製容器内面(断熱ボックス内面側)への断熱塗料の施工と再減圧
気密性テスト完了後、図7(a)、図25および図26に示すように、断熱ボックス内面側の2重殻鋼製容器11内面(5面)に対して、特殊無機系樹脂にガラス繊維ならびにシリカエアロゲル粉末を添加した断熱塗料13をコテならびにゴムベラを用いて3回塗布した。その後、2重殻鋼製容器11の圧力計を取外し、断熱塗料13の完全乾燥と2重殻鋼製容器11内の再減圧のために再度、130℃に設定した乾燥機に入れ30分静置した。30分経過後、2重殻鋼製容器11を取出し、図7(b),(c)に示すように、直ちに圧力計取付け箇所の穿孔部をTig溶接にて封孔処理を行った。断熱塗料13の最終乾燥膜厚の確認は電磁式膜厚計を用いて行い、乾燥膜厚が薄い場合は再塗布、厚い場合はサンドペーパーにて1mmになるように調整した。
(6) 防水材の施工
極寒編(液体窒素-196℃)の試験では、断熱ボックス20内に水を溜めて実施される。
このため、断熱塗料13の完全乾燥ならびに2重殻鋼製容器11の封孔処理後、断熱塗料13塗装面上に図8、図25および図26に示すように、防水材14(株式会社ソフランウイズ製,商品名ソフランネート5050,ポリウレタン樹脂系)の塗装を行った。
尚、防水材14は、ゴムベラを用いて塗布し、乾燥膜厚を0.5mmとした。
1.2 外枠鋼製容器
(1) 外枠鋼製容器の組立
図25および図26に示すように、外枠鋼製容器18は4側面の厚みが1.6mmの鋼板8、底面が0.27mmの鋼板(薄板)15で構成され、溶接時に歪が発生しないように溶接裏面を水冷却しながら慎重にTig溶接で上面を除く5面を図9(a)に示すように、組み立てた。
灼熱編の試験では、500℃に加熱された鉄板上に直接接するため、図9(b)に示すように、底面鋼板の厚みが1.6mmでは熱によって鋼板の底面の両端の浮きが10mm程度、生じてしまう。
底面が薄板の厚み0.27mmの鋼材では、図9(d)のように、500℃の加熱条件でも1mm程度の浮きであり、試験時の浮き条件5mm以下を満足できた。尚、底面の厚みが0.27mmの鋼板(薄板)15のものは、図9(c)に示すように、保温保冷工事で使用される板金(カラー鉄板)の亜鉛めっき塗装をディスクサンダーで削り落としたものを使用した。
(2) 外枠鋼製容器の液体窒素(LN2,-196℃)漏れテスト
極寒編(液体窒素LN2,-196℃)の試験では、外枠鋼製容器18は直接、液体窒素(LN2,-196℃)に接するため、耐液密性(耐LN2性)が必要となる。外枠鋼製容器18の溶接部において外面から内面に液体窒素の漏れがないかどうかを、図10に示すように、液体窒素を溜めた容器内に浸漬して確認した。
(3) 2重殻鋼製容器と外枠鋼製容器間の断熱施工
図31(a)、(b)に示すように、外枠鋼製容器18の5内面(底面および側面)に対して、図11(a)に示すように、側面には5mm厚み、底面には6.33mm厚みにスライスした高性能断熱材9を設置した。尚、側面の高性能断熱材9は、図11(e)に示すように上部より-10mmまで施工した。
高性能断熱材9は、黒崎播磨株式会社製(商品名;POREXTHERM WDS)であり、ヒュームドシリカ(SiO2,80部)、炭化ケイ素SiC,15部),その他(セラミックファイバー他,5部)の混合体を圧縮(プレス)成型した断熱ボードである。
ついで図11(b)に示すように、外枠鋼製容器18の底面に敷設した高性能断熱材9の上面に2重殻鋼製容器11内に充填したSiC添加シリカエアロゲル粉末10を1.9mm敷き詰めた(図32(a))。その後、図11(c)に示すように、外枠鋼製容器18内に2重殻鋼製容器11を挿入し(図32(a))、ついで高性能断熱材9と2重殻鋼製容器11との側面の空間(1.9mm)の開口部より、図11(d)に示すように、2重殻鋼製容器11内に充填したSiC添加シリカエアロゲル粉末10を流し込んで図11(e)に示すように、側面上部より-10mmの位置まで充填した(図32(b)矢印)。
(4) 2重殻鋼製容器と外枠鋼製容器間の断熱材(高性能断熱材ならびにSiC添加シリカエアロゲル粉末)の溢流防止対策
断熱ボックスが横転しても、2重殻鋼製容器11と外枠鋼製容器18間の断熱材が溢流しないように、2重殻鋼製容器11と外枠鋼製容器18間との上部隙間に、図12(a),(b) 、図33(a)、(b)に示すように、断熱塗料13を厚み10mmまで塗り重ねして作製したボード化した断熱塗料ボード6を隙間なく充填した(図33(b))。隙間なく充填することによって、極寒編(-196℃)の試験では、液化窒素によって2重殻鋼製容器11と外枠鋼製容器18の空間も時間の経過とともに冷却によって温度が低下し、内圧が減圧状態となり、図28に示すように、SiC添加シリカエアロゲル粉末10の低熱伝導率化も期待できる。
つまり、前記断熱塗料ボード6に要求される性能は、外枠鋼製容器が受熱した時に、低温及び高温ともに対して断熱性能があり、外枠鋼製容器の膨張による隙間の閉塞維持力並びに収縮に対して破壊しない等の適度な弾力性(復元性)を併せ持つ性能が最良である。
そこで、断熱塗料ボード6の評価結果を次の表1に示す。
Figure 0007209467000001
表1より、硬度測定においては、無機系の材料で前記断熱塗料以外は、形状が粉粒体であったり繊維状であったりして測定が困難であったり、断熱材料全体としての硬度を計測するには上記要求性能を満たすには適切でない。つまり、容器転倒時の2重殻鋼製容器と外枠鋼製容器間断熱材の溢流防止機能として、粉粒体や繊維材は適切でない。
また、泡ガラスは、脆くこれも上記機能を満たすには適切でない。
更に、有機系の材料では、高温環境下での断熱(例えば500℃)には適用困難である。表1の硬度測定で、硬質ウレタンフォーム~ポリスチレンフォームにおいて、測定後凹ありと説明あるのは硬度計がめり込んで、復元しなかったことを示す。
従って、表1の前記断熱塗料で形成した断熱塗料ボードは、温度使用範囲θが-200℃~600℃で、熱伝導率0.032(W/mK)、測定硬度が65の弾力性(復元性)があるもので、他の材料に比べて極低温域及び極高温域で前述の溢流防止機能を満たすものである。
ただし、硬度測定は、高分子計器株式会社製のアスカーゴム硬度計C型を用いた。参考に、この硬度計では、人の肌は約10、車のタイヤは約80の値が得られる。
尚、断熱塗料ボード6を成形するための断熱塗料13は、バインダーとしてケイ酸塩((株)ゼットアールシー・ジャパン製、商品名:ゼロVOC水性常温亜鉛めっきZRC-液状)(前述の部分で前記特殊無機系樹脂と称している)100質量部に対して、耐アルカリ性ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、商品名:ACS6H-103(20)/V、φ13μm×6mm長さ)5質量部を添加して撹拌混合後、多孔質のシリカエアロゲル粉末(Cabot Corporation製、商品名:P200、平均粒径:0.01~1.2mm)を10質量部添加して撹拌混合した物である。
1.3上蓋
(1) 真空ガラス
図22および図24、図29、図30に示すように、上面より断熱ボックス内部の状態が観察できるように上蓋16は、2枚の板ガラス内に第3スペーサーを介在して形成された気密空間を、減圧してほぼ真空にした第2減圧気密層25に形成する真空ガラス2を用いた。真空ガラス2は日本板硝子株式会社製 の「スペーシア」用い、図24に示すように、335×270×厚み6.2mmの真空ガラスの2層構造とした。尚、図13に示すように、真空ガラスを固定化するために、固定基材として高密度硬質ウレタンフォーム3(公称密度300 kg/m3)に、ウレタン系接着剤を用いて固定化した。また長手方向両端の隙間をなくすために、図24に示すように硬質ウレタンフォーム5(公称密度45kg/m3)を用いて、ウレタン系接着剤にて固定化した。
図22および図24、図30に示すように、断熱ボックス主要部17に接触する上蓋16の下面にクッション材として、ゴムスポンジ4 (ソフトプレン工業株式会社製,商品名:OP180,幅20mm,厚み4.6mmの片面粘着テープ付き)を貼付した。
(2) バックルの取付け
図14(b),図22および24、図29、図30に示しているように、上蓋16と断熱ボックス主要部17とを一体化するために、1辺当り2個のバックル7を計8個ウレタン系接着剤で固定化した。
(3) 遮熱塗料
長時間編では39.7℃に設定された恒温室内の照明ライトから発生する近赤外線を反射させて高密度硬質ウレタンフォーム3や硬質ウレタンフォーム5を通して断熱ボックス20内へ熱が進入するのを防ぐ目的で、真球で無孔質シリカ粉末(SiO2)からなる遮熱塗料1は、(図面の丸数字に対応する。以下同じ日本中央研究所株式会社製 商品名:アドグリーンコートEX-009(白色))を採用し、図22および24に示しているように、真空ガラス2面上の観察部(250×250mm)を除く真空ガラス2の部分と2種のウレタンフォーム3、5の外表面に2時間間隔で3回塗装した。
〔各種試験(極寒・灼熱・長期間編)の実施〕
2. 極寒編(-196℃)
(試験概要)
断熱ボックス20A内に1℃の水を底面から5cmの高さまで注ぎ入れ、ついで図15(a),(b),(c)に示すように、回転用基材に固定化された人形が水面上を回転するように水中に設置し、ついで断熱ボックス20Aを液体窒素(LN2)貯槽用鋼製容器内の底面に静置する。この状態で液体窒素(LN2)貯槽用鋼製容器の底面からの高さが20cmになるように液体窒素(LN2,-196℃) を注ぎ入れ、断熱ボックス20Aの外表面を冷却した。液体窒素の投入と同時にタイマーが作動し、断熱ボックス20A内の水が凍結し、回転している人形が停止するまでの時間を計測した。尚、試験中に液体窒素が自然蒸発して減少するため、5分毎に液体窒素を補充した。
(試験結果)
回転している人形の停止時間は、51分31秒であった。
3. 灼熱編(500℃)
(試験概要)
灼熱編(500℃)の試験では、断熱ボックス20Bを使用した。
図16(a)に示しているように、厚さ2cmの鋼板下面をガスバーナーで炙って、その表面温度が500℃になった鋼板上面に断熱ボックス20Bを静置し、直ちに図16(b),(c)に示すように、φ1cm×10cmの氷柱3本上の土台におかれた人形を断熱ボックス20B内底面に静置する。人形が静置されたと同時にタイマーが作動し、氷柱が融解して人形が転倒するまでの時間を計測した。
(試験結果)
氷柱が融解して人形が転倒するまでの時間は、19分21秒であった。
4. 長時間編(39.7℃)
(試験概要)
長時間編(39.7℃)の試験では、極寒編(-196℃)で使用した断熱ボックス20A 内に発生した氷を60℃の水で融解後、内部の水を除去して常温に戻したものを長時間編(39.7℃)の試験体とした。あらかじめ重量が測定されたプラスチック棒付きアイスキャンディーを図17(b)に示すように、断熱ボックス20A内の高さ中央位置に固定化し、この断熱ボックス20Aを図17(a)に示すように、岐阜県多治見市のH28年度の夏場における最高気温である39.7℃に調節された恒温室内に80分間静置した。80分経過後に断熱ボックス20A内のアイスキャンディーを取り出して残存するアイスキャンディーの重量を測定し、80分間で融解したアイスキャンディーの量を算定した。
(試験結果)
アイスキャンディー融解量は、1g未満であった。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
1 遮熱塗料
2 真空ガラス
3 高密度硬質ウレタンフォーム
4 ゴムスポンジ
5 硬質ウレタンフォーム
6 断熱塗料ボード
7 バックル
8 鋼板
9 高性能断熱材
10 炭化ケイ素添加シリカエアロゲル粉末
11 2重殻鋼製容器(第1容器)
12 鋼板
13 断熱塗料
14 防水材
15 鋼板(薄板)
16 上蓋(蓋部)
17 断熱ボックス主要部
18 外枠鋼製容器(第2容器)
20 断熱ボックス(容器本体部)
23 第1減圧気密層
25 第2減圧気密層
S 収容空間

Claims (4)

  1. 被保温材を収容可能な収容空間を内部に形成する容器本体部を設け、
    前記収容空間に被保温材を出し入れ自在な前記容器本体部の出入口に対し、その出入口を閉塞自在な蓋部を設け、
    前記容器本体部は第1の2重殻鋼製容器を、第2の外枠鋼製容器内に挿入させたものから形成し、
    前記第1の2重殻鋼製容器は、内側鋼製容器を外側鋼製容器内に挿入した状態でそれらの周壁間に第1スペーサー部材を収容して減圧した第1減圧気密層を備え、
    前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間は、第2スペーサー部材を収容した状態で、大気圧状態で密封してあり、
    前記蓋部は、その肉厚内に第3スペーサー部材を介在して減圧した第2減圧気密層を設け、
    前記第1減圧気密層には、前記第1スペーサー部材として耐熱性で低温に対する保温性能の高い二酸化ケイ素(SiO2)からなるエアロゲルの粉体と耐熱性で高温に対する保温性能の高い炭化ケイ素(SiC)の粉体との混合粉体を充填してあり、
    前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間には、前記第2スペーサー部材として、ヒュームドシリカ(SiO2)と炭化ケイ素(SiC)を含有する混合体を圧縮成型した断熱成形板と、前記混合粉体とを充填し、
    前記第1の2重殻鋼製容器の外側で前記第2の外枠鋼製容器との間隙空間における上端部には、弾力性のある断熱成形体を全周に亘って充填してある断熱容器。
  2. 前記蓋部には開口部を設け、並設する複数枚の内部の状態が観察できるガラス板間に前記第3スペーサー部材を介在させた状態で、前記複数枚のガラス板間に気密空間を形成すべく全周を気密状態に密封した状態で前記気密空間を減圧してある真空複層ガラスを、前記開口部に取り付けてある請求項1に記載の断熱容器。
  3. 前記断熱成形板を前記第2の外枠鋼製容器の内面に対して設置し、
    前記断熱成形板と前記第1の2重殻鋼製容器の側面との空間に前記混合粉体を充填してある請求項1または2に記載の断熱容器。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の前記第1の2重殻鋼製容器を形成するのに、
    前記内側鋼製容器と前記外側鋼製容器との間隙に、耐熱性で断熱性の前記混合粉体から成る前記第1スペーサー部材を充填し、
    前記第1の2重殻鋼製容器を乾燥機内で加熱して、前記内側鋼製容器と前記外側鋼製容器との間の粉体充填空間が常温になる前に、その粉体充填空間を気密状態に封印することにより前記第1減圧気密層を形成する断熱容器の製法。
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