JP7208212B2 - 透過電子顕微鏡および光学系の調整方法 - Google Patents

透過電子顕微鏡および光学系の調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、透過電子顕微鏡および光学系の調整方法に関する。
透過電子顕微鏡では、明視野像および暗視野像を取得することができる。明視野像は、対物レンズの後方に形成される電子回折図形のなかから、透過波を対物絞りで選んで結像することで取得できる。暗視野像は、対物レンズの後方に形成される電子回折図形のなかから、1つの回折波を対物絞りで選んで結像することで取得できる(例えば、特許文献1参照)。
透過電子顕微鏡では、電子銃から放出された電子線は、照射系レンズにより集束されて試料に照射され、試料を透過した電子線は、対物レンズの後焦点面でクロスオーバーを形成し、後焦点面に配置された対物絞りを通過して、スクリーンに結像される。
国際公開第2016/166805号
透過電子顕微鏡では、照射系レンズを用いて、試料上における電子線の照射範囲を変更できる。しかしながら、照射系レンズを用いて電子線の照射範囲を変更すると、電子線の収束角も変化してしまう。電子線の収束角が変化してしまうと、電子回折図形の形成位置が変化してしまい、明視野像および暗視野像を正しく取得できない場合があった。
本発明に係る透過電子顕微鏡の一態様は、
電子線の照射範囲を変更するための第1照射系レンズと、
前記第1照射系レンズの後段に配置された第2照射系レンズと、
前記第1照射系レンズと前記第2照射系レンズとの間に配置された第1偏向器および第2偏向器と、
前記第2照射系レンズの後段に配置された対物レンズと、
前記第1照射系レンズ、前記第2照射系レンズ、前記第1偏向器、および前記第2偏向器を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1照射系レンズの励磁量に基づいて、前記第2照射系レンズが第1光学条件となる前記第2照射系レンズの励磁量を決定する処理と、
前記第2照射系レンズの励磁量に基づいて、前記第1偏向器および前記第2偏向器が第2光学条件となる前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を決定する処理と、
を行い、
前記第1光学条件は、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても、電子線の収束角が一定となる光学条件であり、
前記第2光学条件は、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても、電子線の照射位置および電子線の照射角度が一定となる光学条件である。
このような透過電子顕微鏡では、第1照射系レンズを用いて電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つことができる。
本発明に係る光学系の調整方法の一態様は、
電子線の照射範囲を変更するための第1照射系レンズと、
前記第1照射系レンズの後段に配置された第2照射系レンズと、
前記第1照射系レンズと前記第2照射系レンズとの間に配置された第1偏向器および第2偏向器と、
前記第2照射系レンズの後段に配置された対物レンズと、
を含む、透過電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
前記第2照射系レンズの励磁量を第1励磁量に設定する工程と、
前記第2照射系レンズの励磁量が前記第1励磁量である第1状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射位置を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第1シフトデータとして記録する工程と、
前記第1状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射角度を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第1チルトデータとして記録する工程と、
前記第1状態で、前記第1照射系レンズを用いて電子線の収束角を調整し、前記第1照射系レンズの励磁量を第1収束角データとして記録する工程と、
前記第2照射系レンズの励磁量を前記第1励磁量とは異なる第2励磁量に設定する工程と、
前記第2照射系レンズの励磁量が前記第2励磁量である第2状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射位置を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第2シフトデータとして記録する工程と、
前記第2状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射角度を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第2チルトデータとして記録する工程と、
前記第2状態で、前記第1照射系レンズを用いて電子線の収束角を調整し、前記第1照射系レンズの励磁量を第2収束角データとして記録する工程と、
前記第1シフトデータおよび前記第2シフトデータに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の照射位置が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器の制御量または前記第2偏向器の制御量の関係式を導出する工程と、
前記第1チルトデータおよび前記第2チルトデータに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の照射角度が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器の制御量または前記第2偏向器の制御量の関係式を導出する工程と、
前記第1収束角データおよび前記第2収束角データに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の収束角が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1照射系レンズの励磁量の関係式を導出する工程と、
を含む。
このような光学系の調整方法では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つための、第1照射系レンズの励磁量と第2照射系レンズの励磁量の関係式、および第2照射系レンズと第1偏向器および第2偏向器の制御量の関係式を得ることができる。
実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を示す図。 明視野像を取得するときの光線図。 図2に示す光学系の状態で取得された対物絞りを通過した透過波の像。 図2に示す光学系の状態で取得された明視野像。 図2に示す光学系の状態から第1照射系レンズの励磁量を増加させた場合の光線図。 図5に示す光学系の状態で取得された対物絞りを通過した透過波の像。 図5に示す光学系の状態で取得された明視野像。 第1照射系レンズの励磁量の変化に応じて第2照射系レンズの励磁量を変化させたときの光線図。 第1照射系レンズの励磁量の変化に応じて第2照射系レンズの励磁量を変化させて取得された明視野像。 第1照射系レンズの励磁量の変化に応じて第2照射系レンズの励磁量を変化させて取得された明視野像。 第1照射系レンズの励磁量の変化に応じて第2照射系レンズの励磁量を変化させて取得された明視野像。 実施形態に係る透過電子顕微鏡の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 第1照射系レンズの励磁量と第2照射系レンズの励磁量の関係式を示すグラフ。 ビームシフトを説明するための図。 第2照射系レンズの励磁量とビームシフトの関係式を示すグラフ。 ビームチルトを説明するための図。 第2照射系レンズの励磁量とビームチルトの関係式を示すグラフ。 第2照射系レンズの励磁量とチルトコンペンセーターの関係式を示すグラフ。 第2照射系レンズの励磁量とシフトコンペンセーターの関係式を示すグラフ 第2照射系レンズの励磁量とシフトコンペンセーターの関係式を説明するための図。 コンペンセータースイッチを説明するための図。 関数の切り替えのタイミングを説明するための図。 関数の切り替えのタイミングを説明するための図。 光学系の調整方法の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 電子顕微鏡
まず、本発明の一実施形態に係る透過電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成を示す図である。
透過電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子源10と、第1照射系レンズ20と、第2照射系レンズ22と、第1偏向器30と、第2偏向器32と、対物レンズ40と、対物絞り42と、中間レンズ50と、投影レンズ52と、撮像装置60と、処理部70と、操作部80と、表示部82と、記憶部84と、を含む。
電子源10は、電子線を放出する。電子源10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。電子源10から放出された電子線は、加速管12で加速される。
第1照射系レンズ20は、電子源10の後段に配置されている。すなわち、第1照射系レンズ20は、電子源10の下流側に位置している。第2照射系レンズ22は、第1照射系レンズ20の後段に配置されている。第1照射系レンズ20および第2照射系レンズ22は、電子線を集束して試料2に照射する。
第1照射系レンズ20は、試料2上における電子線の照射範囲を変更するために用いられる。第1照射系レンズ20の励磁量を制御することによって、電子線の照射範囲を調整できる。
第2照射系レンズ22は、試料2に照射される電子線の収束角を変更するために用いられる。第2照射系レンズ22の励磁量を制御することによって、電子線の収束角を調整できる。透過電子顕微鏡100では、第2照射系レンズ22の励磁量には、あらかじめ6つのプリセット値が設定されている。すなわち、透過電子顕微鏡100では、6つの収束角を選択可能である。なお、プリセット値の数は、6つに限定されず、任意の数に設定可能である。
第1偏向器30および第2偏向器32は、第1照射系レンズ20と第2照射系レンズ22との間に配置されている。図示の例では、第1照射系レンズ20の後段に第1偏向器30が配置され、第1偏向器30の後段に第2偏向器32が配置されている。第1偏向器30および第2偏向器32は、例えば、磁場を発生させて電子線を偏向させる偏向コイルである。なお、第1偏向器30および第2偏向器32は、静電場を発生させて電子線を偏向させる静電偏向板であってよい。
図示はしないが、透過電子顕微鏡100は、試料ステージを備えている。試料ステージは、試料2を保持している。
対物レンズ40は、第2照射系レンズ22の後段に配置されている。対物レンズ40は、電子線で透過電子顕微鏡像(TEM像)を結像するための初段のレンズである。
対物絞り42は、対物レンズ40の後段に配置されている。対物絞り42は、対物レンズ40の後方に配置される。
中間レンズ50は、対物レンズ40の後段に配置されている。投影レンズ52は、中間レンズ50の後段に配置されている。対物レンズ40の後方磁界、中間レンズ50、および投影レンズ52は、試料2を透過した電子線でTEM像を結像するための結像系を構成している。
透過電子顕微鏡100は、第1照射系レンズ20、第1偏向器30、第2偏向器32、第2照射系レンズ22、対物レンズ40、対物絞り42、中間レンズ50、および投影レンズ52を含む光学系を備えている。第1照射系レンズ20、第1偏向器30、第2偏向器32、第2照射系レンズ22、対物レンズ40、対物絞り42、中間レンズ50、および投影レンズ52は、光学系の光軸Lに沿ってこの順で配置されている。
撮像装置60は、結像系で形成された像を撮影する。撮像装置60は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary metal oxide semiconductor)カメラなどのデジタルカメラである。
操作部80は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部70に出力する。操作部80の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどの入力機器により実現することができる。
表示部82は、処理部70によって生成された画像を表示する。表示部82の機能は、LCD(liquid crystal display)、操作部80としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
記憶部84は、処理部70の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶している。また、記憶部84は、処理部70のワーク領域としても機能する。記憶部84の機能は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。
処理部70(コンピュータ)の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing
Unit)等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部70は、制御部72と、表示制御部74と、を含む。
制御部72は、透過電子顕微鏡100を構成する各部を制御する。制御部72は、例えば、透過電子顕微鏡100の光学系を制御する。また、制御部72は、撮像装置60を制御する。
表示制御部74は、処理部70によって生成された画像を、表示部82に表示させる処理を行う。例えば、表示制御部74は、第1照射系レンズ20の励磁量の情報を受け付けて、第1照射系レンズ20の励磁量に応じた電子線の照射範囲の情報を、表示部82に表示させる。
透過電子顕微鏡100では、電子源10から放出された電子線は、第1照射系レンズ20および第2照射系レンズ22で集束され、第1偏向器30および第2偏向器32で偏向されて、試料2に照射される。対物レンズ40、中間レンズ50、および投影レンズ52で構成された結像系は、試料2を透過した電子線で透過電子顕微鏡像(TEM像)を結像する。TEM像は、撮像装置60で撮影される。
ここで、試料2を通過した電子線は、対物レンズ40の後焦点面でクロスオーバーを形成し、対物レンズ40の後方に配置された対物絞り42を通過する。このとき、対物レンズ40の後方に形成される電子回折図形のなかから、透過波を対物絞り42で選ぶことで、明視野像を取得できる。また、対物レンズ40の後方に形成される電子回折図形のなかから、1つの回折波を対物絞り42で選んで結像することで暗視野像を取得できる。
透過電子顕微鏡100では、第1照射系レンズ20の励磁量を制御することで、試料2に照射される電子線の照射範囲を調整できる。
2. 動作
次に、透過電子顕微鏡100の動作を説明する。透過電子顕微鏡100では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つことができる。以下、電子線の照射範囲を変更するときの透過電子顕微鏡100の動作について説明する。
図2は、明視野像を取得するときの光線図を示している。図3は、図2に示す光学系の状態で取得された対物絞り42を通過した透過波の像であり、図4は、図2に示す光学系の状態で取得された明視野像である。
対物レンズ40は、試料2の前方、すなわち、試料2の上流側に前方磁界40aを形成し、試料2の後方、すなわち、試料2の下流側に後方磁界40bを形成する。
図2に示す光学系では、クロスオーバーが対物絞り42の位置に形成されている。図2および図3に示すように、対物レンズ40の後方に形成された電子回折図形のなかから、透過波を対物絞り42で選ぶことで、図4に示すように、明視野像を取得できる。
図5は、図2に示す光学系の状態から、第1照射系レンズ20の励磁量を増加させた場合の光線図を示している。図6は、図5に示す光学系の状態で取得された対物絞り42を通過した透過波の像であり、図7は、図5に示す光学系の状態で取得された明視野像である。
図5に示すように、電子線の照射範囲を変更するために、第1照射系レンズ20の励磁量を増加させると、電子線の収束角が変化し、電子線のクロスオーバーの位置が光軸Lに沿って移動する。すなわち、図5に示す光学系では、クロスオーバーが対物絞り42の位置に形成されていない。したがって、図6に示すように、透過波が拡がり、図7に示すように、明視野像の視野が制限され、対物絞り42の影に像が見えてしまっている。このように、図5に示す光学系では、良好な明視野像が取得できない。
透過電子顕微鏡100では、第1照射系レンズ20の励磁量の変化に応じて、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させることによって、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角を一定に保つことができる。
図8は、第1照射系レンズ20の励磁量の変化に応じて、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させたときの光線図を示している。図9~図11は、第1照射系レンズ20の励磁量の変化に応じて、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させて取得された明視野像である。
図8に示すように、第1照射系レンズ20の励磁量の変化に応じて第2照射系レンズ22の励磁量を変化させることによって、電子線の照射範囲が変化しても、電子線の収束角を一定にでき、クロスオーバーの位置を変化させないことができる。したがって、図9~図11に示すように、電子線の照射範囲を変更しても、良好な明視野像を取得できる。
3. 処理
3.1. 処理の流れ
図12は、透過電子顕微鏡100の処理部70の処理の一例を示すフローチャートである。
制御部72は、操作部80を介して電子線の照射範囲の情報が入力されると(S10のYse)、当該照射範囲の情報に基づいて第1照射系レンズ20の励磁量を決定する。(S12)。
次に、制御部72は、第1照射系レンズ20の励磁量に基づいて、第2照射系レンズ22が第1光学条件となる第2照射系レンズ22の励磁量を決定する(S14)。
ここで、第1光学条件とは、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても、電子線の収束角が一定となり、電子線のクロスオーバーが対物絞り42の位置に形成される光学条件である。第2照射系レンズ22の励磁量は、あらかじめ記憶部84に記憶された、第1照射系レンズ20の励磁量と第2照射系レンズ22の励磁量の関係式を用いて決定される。この関係式については、後述する「3.2.1. 処理S14で用いられる関係式」で説明する。
次に、制御部72は、処理S14で決定された第2照射系レンズ22の励磁量に基づいて、第1偏向器30および第2偏向器32が第2光学条件となる第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を決定する(S16)。
第2光学条件とは、第1照射系レンズ20および第2照射系レンズ22の励磁量が変化しても、電子線の照射位置および電子線の照射角度が一定となる光学条件である。第1照射系レンズ20の制御量および第2照射系レンズ22の制御量は、あらかじめ記憶部84に記憶された、第2照射系レンズ22の励磁量と第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量の関係式を用いて決定される。この関係式については、後述する「3.2.2. 処理S16で用いられる関係式」で説明する。なお、第1偏向器30の制御量は、第1偏向器30が偏向コイルの場合、励磁量であってもよい。第2偏向器32の制御量についても同様である。
次に、制御部72は、処理S12で決定された励磁量となるように、第1照射系レンズ20を制御する(S18)。次に、制御部72は、処理S14で決定された励磁量となるように、第2照射系レンズ22を制御する(S20)。次に、制御部72は、処理S16で決定された制御量となるように、第1偏向器30および第2偏向器32を制御する(S22)。
例えば、処理S18では、制御部72は、処理S12で決定された励磁量の情報を含む制御信号を、不図示の第1照射系レンズ20を制御するための駆動回路に送る。これにより、駆動回路が制御信号に基づいて第1照射系レンズ20に励磁電流を供給し、第1照射系レンズ20が動作する。なお、処理S20および処理S22も同様に行われる。
次に、表示制御部74は、第1照射系レンズ20の励磁量に基づいて、当該励磁量に応じた電子線の照射範囲の情報を、表示部82に表示させる(S24)。
透過電子顕微鏡100では、制御部72が上記の処理を行うことによって、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定とすることができる。
3.2. 関係式
3.2.1. 処理S14で用いられる関係式
処理S14では、第1照射系レンズ20の励磁量と第2照射系レンズ22の励磁量の関係式を用いて、第1照射系レンズ20の励磁量から、第2照射系レンズ22の励磁量を決定する。
図13は、第1照射系レンズ20の励磁量E1と第2照射系レンズ22の励磁量E2の関係式を示すグラフである。なお、図13に示すグラフの横軸は、励磁量E1に対応する第1照射系レンズ20に印加される電圧または電流の大きさである。図13に示すグラフの縦軸についても同様である。
励磁量E1と励磁量E2の関係式は、例えば、反比例関数で表される。図13に示す関係式を用いることで、励磁量E1から励磁量E2を決定できる。
3.2.2. 処理S16で用いられる関係式
処理S16では、第2照射系レンズ22の励磁量E2と第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の関係式として、励磁量E2とビームシフトXの関係式、励磁量E2とビームシフトYの関係式、励磁量E2とビームチルトXの関係式、励磁量E2とビームチルトYの関係式、励磁量E2とチルトコンペンセーターXの関係式、励磁量E2とチルトコ
ンペンセーターYの関係式、励磁量E2とシフトコンペンセーターXの関係式、励磁量E2とシフトコンペンセーターYが用いられる。すなわち、処理S16では、この8つの関係式を用いて、第2照射系レンズ22の励磁量E2から、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を決定する。
(1)励磁量E2とビームシフトの関係式
図14は、ビームシフトを説明するための図である。なお、図14には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。なお、Z軸は、光軸Lに平行な軸である。
図14に示すように、第1偏向器30および第2偏向器32を用いることで、電子線をシフトさせることができ、試料2上における電子線の照射位置を調整できる。
図15は、第2照射系レンズ22の励磁量E2とビームシフトX(SX)の関係式を示すグラフ、および第2照射系レンズ22の励磁量E2とビームシフトY(SY)の関係式を示すグラフである。
ビームシフトX(SX)は、X方向における電子線の照射位置を制御するためのパラメーターであり、ビームシフトY(SY)は、Y方向における電子線の照射位置を制御するためのパラメーターである。
具体的には、ビームシフトX(SX)は、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させても、X方向における電子線の照射位置が一定となる、第1偏向器30(または第2偏向器32)の制御量である。ビームシフトY(SY)は、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させても、Y方向における電子線の照射位置が一定となる、第1偏向器30(または第2偏向器32)の制御量である。
透過電子顕微鏡100では、第1偏向器30を基準として、第1偏向器30に第2偏向器32を連動させることでビームシフトの調整を行う場合と、第2偏向器32を基準として第2偏向器32に第1偏向器30を連動させることでビームシフトの調整を行う場合と、がある。図15に示すビームシフトXおよびビームシフトYは、基準として動作する偏向器の制御量である。図15では、ビームシフトXおよびビームシフトYは、偏向器の制御量に対応する偏向器に印加される電圧または電流の大きさである。
励磁量E2とビームシフトX(SX)の関係式、および励磁量E2とビームシフトY(SY)の関係式は、例えば、スプライン関数で表される。なお、ここでは、図15に示す2つの関係式がスプライン関数で表されているが、当該2つの関係式はスプライン関数に限定されない。
(2)励磁量E2とビームチルトの関係式
図16は、ビームチルトを説明するための図である。ビームチルトは、試料2に照射される電子線の照射角度を制御するためのパラメーターである。
図16に示すように、第1偏向器30および第2偏向器32を用いることで、電子線の照射角度(Tilt)を調整できる。電子線の照射角度は、光軸Lに対する電子線の傾きである。
図17は、第2照射系レンズ22の励磁量E2とビームチルトX(TX)の関係式を示すグラフ、および第2照射系レンズ22の励磁量E2とビームチルトY(TY)の関係式を示すグラフである。
ビームチルトX(TX)は、X方向における電子線の照射角度を制御するためのパラメーターであり、ビームチルトY(TY)は、Y方向における電子線の照射角度を制御するためのパラメーターである。
具体的には、ビームチルトX(TX)は、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させても、X方向における電子線の照射角度が一定となる、第2偏向器32の制御量である。ビームチルトY(TY)は、第2照射系レンズ22の励磁量を変化させても、Y方向における電子線の照射角度が一定となる、第2偏向器32の制御量である。
透過電子顕微鏡100では、第2偏向器32を基準として、第2偏向器32に第1偏向器30を連動させることで、ビームチルトの調整が行われる。図17に示すビームチルトX(TX)およびビームチルトY(TY)は、基準として動作する第2偏向器32の制御量である。図17では、ビームチルトX(TX)およびビームチルトY(TY)は、第2偏向器32の制御量に対応する第2偏向器32に印加される電圧または電流の大きさである。
励磁量E2とビームチルトX(TX)の関係式、および励磁量E2とビームチルトY(TY)の関係式は、例えば、スプライン関数で表される。なお、ここでは、図17に示す2つの関係式がスプライン関数で表されているが、当該2つの関係式は、スプライン関数に限定されない。
(3)励磁量E2とチルトコンペンセーターの関係式
電子線の照射角度を変更するときには、電子線の照射位置が変わらないように、電子線を傾斜させなければならない。そのため、透過電子顕微鏡100では、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させる。このときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比をチルトコンペンセーター(チルト連動比)という。
図18は、第2照射系レンズ22の励磁量E2とチルトコンペンセーターX(TcX)の関係式を示すグラフ、および第2照射系レンズ22の励磁量E2とチルトコンペンセーターY(TcY)の関係式を示すグラフである。
チルトコンペンセーターX(TcX)は、X方向における電子線の照射角度を制御するときに、照射位置が変わらないように第1偏向器30と第2偏向器32を連動させるための第1偏向器30と第2偏向器32の連動比である。チルトコンペンセーターY(TcY)は、Y方向における電子線の照射角度を制御するときに照射位置が変わらないように第1偏向器30と第2偏向器32を連動させるための第1偏向器30と第2偏向器32の連動比である。
透過電子顕微鏡100では、第2偏向器32を基準として、第2偏向器32に第1偏向器30を連動させることでビームチルトの調整を行う。図18に示すチルトコンペンセーターX(TcX)およびチルトコンペンセーターY(TcY)は、基準として動作する第2偏向器32の制御量に対する第1偏向器30の制御量の割合である。そのため、図17に示す関係式で、基準として動作する第2偏向器32の制御量が決まれば、図18に示す関係式を用いて第2偏向器32に連動する第1偏向器30の制御量がきまる。
励磁量E2とチルトコンペンセーターX(TcX)の関係式、および励磁量E2とチルトコンペンセーターY(TcY)の関係式は、例えば、スプライン関数で表される。なお、ここでは、図18に示す2つの関係式がスプライン関数で表されているが、当該2つの関係式は、スプライン関数に限定されない。
(4)励磁量E2とシフトコンペンセーターの関係式
電子線の照射位置を変更するときには、電子線の照射角度が変わらないように、電子線をシフトさせなければならない。そのため、透過電子顕微鏡100では、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させる。このときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比をシフトコンペンセーター(シフト連動比)という。
図19は、第2照射系レンズ22の励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式を示すグラフ、および第2照射系レンズ22の励磁量E2とシフトコンペンセーターY(ScY)の関係式を示すグラフである。
シフトコンペンセーターX(ScX)は、X方向における電子線の照射位置を制御するときに、照射角度が変わらないように第1偏向器30と第2偏向器32を連動させるための第1偏向器30と第2偏向器32の連動比である。シフトコンペンセーターY(ScY)は、Y方向における電子線の照射角度を制御するときに、照射角度が変わらないように第1偏向器30と第2偏向器32を連動させるための第1偏向器30と第2偏向器32の連動比である。
励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式、および励磁量E2とシフトコンペンセーターY(ScY)の関係式は、例えば、2つの関数で表される。図19に示す例では、励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式、および励磁量E2とシフトコンペンセーターY(ScY)の関係式は、反比例関数(f(x))と、上に凸の2次関数(g(x))からなる。
図20は、励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式を説明するための図である。
図20に示すように、励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式は、関数f(x)と関数g(x)からなる。励磁量E2からシフトコンペンセーター(ScX)を求めるためには、関数f(x)と関数g(x)の交点で関数を切り替えればよい。
制御部72は、関数を切り替えるとともに、コンペンセータースイッチを切り替える。図21は、コンペンセータースイッチを説明するための図である。
コンペンセータースイッチは、第1偏向器30を基準として動作するのか、それとも第2偏向器32を基準とし動作するのかを切り替えるスイッチである。図21に示すように、コンプスイッチ0(COMP SW0)では、第2偏向器32を基準として、第2偏向器32に第1偏向器30を連動させて動作する。コンプスイッチ1(COMP SW1)では、第1偏向器30を基準として、第1偏向器30に第2偏向器32を連動させて動作する。
なお、電子線の照射角度(Tilt)の制御については、コンプスイッチ0の場合も、コンプスイッチ1の場合も、第2偏向器32を基準として第2偏向器32に第1偏向器30を連動させる。
図20に示すように、関数の切り替えとコンペンセータースイッチの切り替えは連動しており、関数f(x)の範囲では、コンプスイッチ0に設定され、関数g(x)の範囲では、コンプスイッチ1に設定される。
なお、シフトコンペンセーターXの関数と、シフトコンペンセーターYの関数を別々に
設定することは可能である。しかしながら、シフトコンペンセーターXと、シフトコンペンセーターYにおいて、コンペンセータースイッチを切り替えるタイミングは同じにしなければならない。
図22および図23は、関数の切り替えのタイミングを説明するための図である。
図22および図23に示すように、シフトコンペンセーターXとシフトコンペンセーターYで、関数f(x)と関数g(x)の交点が異なる場合、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYの両方で関数を切り替えることができるタイミングで、関数およびコンペンセータースイッチを同時に切り替える。
例えば、図22に示すように、励磁量E2を、励磁量E2=Aから励磁量を減少させて、励磁量E2=B、励磁量E2=C、励磁量E2=Dの順に変化させる。
励磁量E2=Aでは、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数f(x)が用いられる。このとき、コンペンセータースイッチは、コンプスイッチ0に設定される。
励磁量E2=Bでは、シフトコンペンセーターXが関数g(x)に切り替わるタイミングとなるが、シフトコンペンセーターYは関数f(x)のままである。そのため、励磁量E2=Bでは、関数の切り替えを行わずに、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数f(x)が用いられる。
励磁量E2=Cでは、シフトコンペンセーターYが関数g(x)に切り替わるタイミングとなる。そのため、励磁量E2=Cにおいて、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数f(x)から関数g(x)に切り替える。このとき、コンペンセータースイッチもコンプスイッチ0からコンプスイッチ1に切り替える。
励磁量E2=Dでは、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数g(x)が用いられる。このとき、コンペンセータースイッチは、コンプスイッチ1に設定されている。
また、例えば、図23に示すように、励磁量E2を、励磁量E2=Dから励磁量を増加させて、励磁量E2=C、励磁量E2=B、励磁量E2=Aに変化させる。
励磁量E2=Dでは、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数g(x)が用いられる。このとき、コンペンセータースイッチは、コンプスイッチ1に設定される。
励磁量E2=Cでは、シフトコンペンセーターYが関数f(x)に切り替わるタイミングとなるが、シフトコンペンセーターXは関数g(x)のままである。そのため、励磁量E2=Cでは、関数の切り替えを行わずに、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数g(x)が用いられる。
励磁量E2=Bでは、シフトコンペンセーターXが関数f(x)に切り替わるタイミングとなる。そのため、励磁量E2=Bにおいて、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYともに、関数g(x)から関数f(x)に切り替える。このとき、コンペンセータースイッチもコンプスイッチ1からコンプスイッチ0に切り替える。
励磁量E2=Aでは、シフトコンペンセーターXおよびシフトコンペンセーターYとも
に、関数f(x)が用いられる。このとき、コンペンセータースイッチは、コンプスイッチ0に設定されている。
4. 光学系の調整方法
図24は、透過電子顕微鏡100の光学系の調整方法の一例を示すフローチャートである。
まず、透過電子顕微鏡100に試料2を導入し、試料2を観察可能な状態にする(S100)。具体的には、試料ホルダーに試料2をセットし、試料ホルダーを試料室に挿入して、試料2を試料室に配置する。そして、試料2に電子線を照射して、試料2を観察可能な状態にし、観察視野を決定する。例えば、試料ステージを動作させて視野を変更して、所望の視野を探し、観察視野を決定する。そして、制御部72における光学系の制御モードを、調整モードに設定する。調整モードは、光学系を構成するレンズや偏向器を調整するためのモードであり、各レンズおよび各偏向器は連動しない。
次に、第2照射系レンズ22の励磁量E2を設定する(S102)。透過電子顕微鏡100では、第2照射系レンズ22の励磁量E2には、6つのプリセット値が設定されている。ここでは、6つのプリセット値のうちの1つが選択される。例えば、プリセット値として、励磁量α1、励磁量α2、励磁量α3、励磁量α4、励磁量α5、および励磁量α6が設定されており、ここでは、励磁量α1(n=1)が選択されたものとする。
励磁量E2=α1の状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて、電子線の照射位置を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1シフトデータとして記録する(S104)。
例えば、電子線の照射位置の調整は、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて、電子線の照射位置を光軸Lの位置とすることで行われる。第1シフトデータは、X方向の照射位置を調整したときの第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の情報、Y方向の照射位置を調整したときの第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の情報を含む。
次に、励磁量E2=α1の状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて、電子線の照射角度を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1チルトデータとして記録する(S106)。
例えば、電子線の照射角度の調整は、電圧軸合わせにより行われる。電圧軸合わせは、加速電圧に変動を加えて像が拡大縮小するときの中心を、光軸Lの位置に合わせることによって行われる。第1チルトデータは、X方向の照射角度を調整したときの第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の情報、Y方向の照射角度を調整したときの第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の情報を含む。
次に、励磁量E2=α1の状態で、チルトコンペンセーターを調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1チルト連動比データとして記録する(S108)。
チルトコンペンセーターの調整は、電子線の照射角度を変更しても、電子線の照射位置が変わらないように第1偏向器30および第2偏向器32を調整することで行われる。第1チルト連動比データは、X方向の照射角度を変更したことによる照射位置のずれを補正したときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の情報、Y方向の照射角度を変更したことによる照射位置のずれを補正したときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比
の情報を含む。
次に、結像系を電子回折モードとし、対物絞り42を光軸L上に挿入する(S110)。そして、対物絞り42が表示部82やスクリーンに表示されるように、結像系を調整する。
次に、励磁量E2=α1の状態で、電子回折図形にフォーカスが合うように第1照射系レンズ20を調整し、第1照射系レンズ20の励磁量を第1収束角データとして記録する(S112)。
例えば、電子回折図形の回折点がスポットとなるように、第1照射系レンズ20を調整する。すなわち、電子線のクロスオーバーが対物絞り42の位置に形成されるように、第1照射系レンズ20を調整する。このようにして、電子線の収束角を調整できる。第1収束角データは、電子回折図形にフォーカスを合わせたときの第1照射系レンズ20の励磁量の情報を含む。
次に、励磁量E2=α1の状態で、シフトコンペンセーターを調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1シフト連動比データとして記録する(S114)。
シフトコンペンセーターの調整は、電子回折モードで行われる。シフトコンペンセーターの調整は、電子線の照射位置を変更しても、電子線の照射角度が変わらないように調整することで行われる。第1シフト連動比データは、X方向の照射位置を変更したことによる照射角度のずれを補正したときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の情報、Y方向の照射位置を変更したことによる照射角度のずれを補正したときの第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の情報を含む。
電子線の照射位置、電子線の照射角度、電子線の収束角、チルトコンペンセーター、およびシフトコンペンセーターの調整が完了するまで、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、およびステップS114を繰り返す。
これらの調整が完了すると(S116のYes)、n=6か否かを判定する(S118)。すなわち、励磁量E2のすべてのプリセット値で処理を行ったか否かを判定する。n=6ではないと判定した場合(S118のNo)、励磁量E2をα2(n=2)とし(S119)、第2照射系レンズ22の励磁量E2を励磁量E2=α2に設定する(S102)。
励磁量E2=α2の状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて、電子線の照射位置を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2シフトデータとして記録する(S104)。
次に、励磁量E2=α2の状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて、電子線の照射角度を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2チルトデータとして記録する(S106)。
次に、励磁量E2=α2の状態で、チルトコンペンセーターを調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2チルト連動比データとして記録する(S108)。
次に、結像系を電子回折モードとし、対物絞り42を光軸L上に挿入する(S110)。そして、対物絞り42に焦点が合うように、結像系を調整する。
次に、励磁量E2=α2の状態で、電子回折図形にフォーカスが合うように第1照射系レンズ20を調整し、第1照射系レンズ20の励磁量を第2収束角データとして記録する(S112)。
次に、励磁量E2=α1の状態で、シフトコンペンセーターを調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2シフト連動比データとして記録する(S114)。
電子線の照射位置、電子線の照射角度、電子線の収束角、チルトコンペンセーター、およびシフトコンペンセーターの調整が完了するまで、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112、およびステップS114を繰り返す。
これらの調整が完了すると(S116のYes)、励磁量E2をα3(n=3)とし(S119)、第2照射系レンズ22の励磁量E2を励磁量E2=α3に設定する(S102)。
このようにして、励磁量E2=α3の状態、励磁量E2=α4の状態、励磁量E2=α5の状態、および励磁量E2=α6の状態においても、同様に、ステップS102~ステップS119の処理を行う。
ステップS118において、n=6と判定された場合(S118のYes)、すなわち、励磁量E2のすべてのプリセット値で処理を行ったと判定した場合、励磁量E1と励磁量E2の関係式、励磁量E2とビームシフトXの関係式、励磁量E2とビームシフトYの関係式、励磁量E2とビームチルトXの関係式、励磁量E2とビームチルトYの関係式、励磁量E2とチルトコンペンセーターXの関係式、励磁量E2とチルトコンペンセーターYの関係式、励磁量E2とシフトコンペンセーターXの関係式、励磁量E2とシフトコンペンセーターYの関係式を導出する(S120)。
励磁量E1と励磁量E2の関係式は、励磁量E2=α1で取得された第1収束角データ、励磁量E2=α2で取得された第2収束角データ、励磁量E2=α3で取得された第3収束角データ、励磁量E2=α4で取得された第4収束角データ、励磁量E2=α5で取得された第5収束角データ、および励磁量E2=α6で取得された第6収束角データに基づいて、導出できる。
例えば、図13に示すように、第1~第6収束角データをプロットし、反比例関数(y=a/(x-b)+c)でフィッティングする。これにより、励磁量E1と励磁量E2の関係式を導出することができる。
励磁量E2とビームシフトXの関係式は、励磁量E2=α1で取得された第1シフトデータ、励磁量E2=α2で取得された第2シフトデータ、励磁量E2=α3で取得された第3シフトデータ、励磁量E2=α4で取得された第4シフトデータ、励磁量E2=α5で取得された第5シフトデータ、および励磁量E2=α6で取得された第6シフトデータに基づいて、導出できる。
例えば、図15に示すように、第1~第6シフトデータをプロットし、スプライン関数でフィッティングする。これにより、励磁量E2とビームシフトXの関係式を導出するこ
とができる。
なお、図15に示す励磁量E2とビームシフトYの関係式も同様に導出することができる。
励磁量E2とビームチルトXの関係式は、励磁量E2=α1で取得された第1チルトデータ、励磁量E2=α2で取得された第2チルトデータ、励磁量E2=α3で取得された第3チルトデータ、励磁量E2=α4で取得された第4チルトデータ、励磁量E2=α5で取得された第5チルトデータ、および励磁量E2=α6で取得された第6チルトデータに基づいて、導出できる。
例えば、図17に示すように、第1~第6チルトデータをプロットし、スプライン関数でフィッティングする。これにより、励磁量E2とビームチルトX(TX)の関係式を導出することができる。
なお、図17に示す励磁量E2とビームチルトY(TY)の関係式も同様に導出することができる。
励磁量E2とチルトコンペンセーターXの関係式は、励磁量E2=α1で取得された第1チルト連動比データ、励磁量E2=α2で取得された第2チルト連動比データ、励磁量E2=α3で取得された第3チルト連動比データ、励磁量E2=α4で取得された第4チルト連動比データ、励磁量E2=α5で取得された第5チルト連動比データ、および励磁量E2=α6で取得された第6チルト連動比データに基づいて、導出できる。
例えば、図18に示すように、第1~第6チルト連動比データをプロットし、スプライン関数でフィッティングする。これにより、励磁量E2とチルトコンペンセーターX(TcX)の関係式を導出することができる。
なお、図18に示す励磁量E2とチルトコンペンセーターY(TcY)の関係式も同様に導出することができる。
励磁量E2とシフトコンペンセーターXの関係式は、励磁量E2=α1で取得された第1シフト連動比データ、励磁量E2=α2で取得された第2シフト連動比データ、励磁量E2=α3で取得された第3シフト連動比データ、励磁量E2=α4で取得された第4シフト連動比データ、励磁量E2=α5で取得された第5シフト連動比データ、および励磁量E2=α6で取得された第6シフト連動比データに基づいて、導出できる。
例えば、図19に示すように、第1~第6シフト連動比データをプロットし、励磁量E2が大きい範囲を反比例関数(y=a/(x-b)+c)でフィッティングし、励磁量E2が小さい範囲を上に凸の2次関数(y=ax+bx+c)でフィッティングする。これにより、励磁量E2とシフトコンペンセーターX(ScX)の関係式を導出することができる。
なお、図19に示す励磁量E2とシフトコンペンセーターY(ScY)の関係式も同様に導出することができる。
このようにして導出した9つの関係式を、記憶部84に記憶する(S122)。そして、制御部72における光学系の制御モードを、調整モードから連動モードに移行させる。連動モードでは、処理部70が、上述した図12に示すフローチャートに従って処理を行う。これにより、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、
および電子線の照射角度が一定に保たれる。
以上の工程により、光学系を調整できる。
5. 作用効果
透過電子顕微鏡100は、電子線の照射範囲を変更するための第1照射系レンズ20と、第1照射系レンズ20の後段に配置された第2照射系レンズ22と、第1照射系レンズ20と第2照射系レンズ22との間に配置された第1偏向器30および第2偏向器32と、第1照射系レンズ20、第2照射系レンズ22、第1偏向器30、および第2偏向器32を制御する制御部72と、を含む。また、制御部72は、第1照射系レンズ20の励磁量に基づいて、第2照射系レンズ22が第1光学条件となる第2照射系レンズ22の励磁量を決定する処理と、第2照射系レンズ22の励磁量に基づいて、第1偏向器30および第2偏向器32が第2光学条件となる第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を決定する処理と、を行う。ここで、第1光学条件は、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても、電子線の収束角が一定となる光学条件であり、第2光学条件は、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても、電子線の照射位置および電子線の照射角度が一定となる光学条件である。
そのため、透過電子顕微鏡100では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つことができる。したがって、透過電子顕微鏡100では、例えば、電子線の照射範囲を変更しても、対物絞り42で透過波または回折波を選択した状態を維持できる。
例えば、電子線の照射範囲を変更すると、電子線の収束角等が変化する場合、図7に示すように、良好な明視野像や良好な暗視野像を取得できない。これに対して、透過電子顕微鏡100では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角等を一定に保つことができるため、電子線の照射範囲を変更しても、良好な明視野像や良好な暗視野像を取得できる。
さらに、透過電子顕微鏡100では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つことができるため、対物絞り42を挿入した状態で、電子線の照射範囲を変更できる。
例えば、生体試料などの軽元素で構成される試料は、対物絞り42を挿入しなれば高いコントラストが得られない。しかしながら、電子線の照射範囲を変更すると、電子線の収束角等が変化する場合、対物絞り42を挿入した状態で、電子線の照射範囲を変更すると、像が取得できない。これに対して、透過電子顕微鏡100では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角等を一定に保つことができるため、対物絞り42を挿入した状態で、電子線の照射範囲を変更できる。したがって、生体試料などを、高いコントラストの状態を維持したまま、観察を続けることができる。
透過電子顕微鏡100では、第1照射系レンズ20の励磁量に応じた電子線の照射範囲の情報を、表示部82に表示する表示制御部74を含む。そのため、透過電子顕微鏡100では、ユーザーが、電子線の照射範囲を容易に把握できる。
透過電子顕微鏡100における光学系の調整方法は、第2照射系レンズ22の励磁量を第1励磁量(励磁量B2=α1)に設定する工程と、第2照射系レンズ22の励磁量が第1励磁量である第1状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて電子線の照射位置を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1シフトデータとして記録する工程と、第1状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて電
子線の照射角度を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第1チルトデータとして記録する工程と、第1状態で、第1照射系レンズ20を用いて電子線の収束角を調整し、第1照射系レンズ20の励磁量を第1収束角データとして記録する工程と、を含む。
さらに、第2照射系レンズ22の励磁量を第1励磁量とは異なる第2励磁量(励磁量B2=α2)に設定する工程と、第2照射系レンズ22の励磁量が第2励磁量である第2状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて電子線の照射位置を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2シフトデータとして記録する工程と、第2状態で、第1偏向器30および第2偏向器32を用いて電子線の照射角度を調整し、第1偏向器30の制御量および第2偏向器32の制御量を第2チルトデータとして記録する工程と、第2状態で、第1照射系レンズ20を用いて電子線の収束角を調整し、第1照射系レンズ20の励磁量を第2収束角データとして記録する工程と、を含む。
さらに、第1シフトデータおよび第2シフトデータに基づいて、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても電子線の照射位置が一定となる、第2照射系レンズ22の励磁量と第1偏向器30の制御量または第2偏向器32の制御量の関係式を導出する工程と、第1チルトデータおよび第2チルトデータに基づいて、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても電子線の照射角度が一定となる、第2照射系レンズ22の励磁量または第2偏向器32の制御量の関係式を導出する工程と、第1収束角データおよび第2収束角データに基づいて、第1照射系レンズ20の励磁量が変化しても電子線の収束角が一定となる、第2照射系レンズ22の励磁量と第1照射系レンズ20の励磁量の関係式を導出する工程と、を含む。
そのため、透過電子顕微鏡100における光学系の調整方法では、電子線の照射範囲を変更しても、電子線の収束角、電子線の照射位置、および電子線の照射角度を一定に保つための、第1照射系レンズ20の励磁量と第2照射系レンズ22の励磁量の関係式、第2照射系レンズ22の励磁量と第1偏向器30および第2偏向器32の制御量の関係式を得ることができる。
透過電子顕微鏡100における光学系の調整方法は、第1状態において、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正し、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比を第1チルト連動比データとして記録する工程と、第1状態において、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正し、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比を第1シフト連動比データとして記録する工程と、を含む。
さらに、第2状態において、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正し、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比を第2チルト連動比データとして記録する工程と、第2状態において、第1偏向器30と第2偏向器32を連動させて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正し、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比を第2シフト連動比データとして記録する工程と、を含む。
さらに、第1チルト連動比データおよび第2チルト連動比データに基づいて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正するための、第2照射系レンズ22の励磁量と、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の関係式を導出する工程と、第1シフト連動比データおよび第2シフト連動比データに基づいて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正するための、第2照射系レンズ2
2の励磁量と、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の関係式を導出する工程と、を含む。
そのため、透過電子顕微鏡100における光学系の調整方法では、電子線の照射角度を変更したことによる照射位置のずれを補正するための、第2照射系レンズ22の励磁量と、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の関係式、および電子線の照射位置を変更したことによる照射角度のずれを補正するための、第2照射系レンズ22の励磁量と、第1偏向器30と第2偏向器32の連動比の関係式を導出することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…試料、10…電子源、12…加速管、20…第1照射系レンズ、22…第2照射系レンズ、30…第1偏向器、32…第2偏向器、40…対物レンズ、42…対物絞り、50…中間レンズ、52…投影レンズ、60…撮像装置、70…処理部、72…制御部、74…表示制御部、80…操作部、82…表示部、84…記憶部、100…透過電子顕微鏡

Claims (6)

  1. 電子線の照射範囲を変更するための第1照射系レンズと、
    前記第1照射系レンズの後段に配置された第2照射系レンズと、
    前記第1照射系レンズと前記第2照射系レンズとの間に配置された第1偏向器および第2偏向器と、
    前記第2照射系レンズの後段に配置された対物レンズと、
    前記第1照射系レンズ、前記第2照射系レンズ、前記第1偏向器、および前記第2偏向器を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記第1照射系レンズの励磁量に基づいて、前記第2照射系レンズが第1光学条件となる前記第2照射系レンズの励磁量を決定する処理と、
    前記第2照射系レンズの励磁量に基づいて、前記第1偏向器および前記第2偏向器が第2光学条件となる前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を決定する処理と、
    を行い、
    前記第1光学条件は、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても、電子線の収束角が一定となる光学条件であり、
    前記第2光学条件は、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても、電子線の照射位置および電子線の照射角度が一定となる光学条件である、透過電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記第2照射系レンズの励磁量を決定する処理では、前記第1照射系レンズの励磁量と前記第2照射系レンズの励磁量との関係式を用いて、前記第1照射系レンズの励磁量から、前記第2照射系レンズの励磁量を求める、透過電子顕微鏡。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1偏向器および前記第2偏向器を制御する処理では、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量の関係式を用いて、前記第2照射系レンズの励磁量から前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を決定する、透過電子顕微鏡。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記第1照射系レンズの励磁量に応じた電子線の照射範囲の情報を、表示部に表示する表示制御部を含む、透過電子顕微鏡。
  5. 電子線の照射範囲を変更するための第1照射系レンズと、
    前記第1照射系レンズの後段に配置された第2照射系レンズと、
    前記第1照射系レンズと前記第2照射系レンズとの間に配置された第1偏向器および第2偏向器と、
    前記第2照射系レンズの後段に配置された対物レンズと、
    を含む、透過電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
    前記第2照射系レンズの励磁量を第1励磁量に設定する工程と、
    前記第2照射系レンズの励磁量が前記第1励磁量である第1状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射位置を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第1シフトデータとして記録する工程と、
    前記第1状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射角度を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第1チルトデータとして記録する工程と、
    前記第1状態で、前記第1照射系レンズを用いて電子線の収束角を調整し、前記第1照射系レンズの励磁量を第1収束角データとして記録する工程と、
    前記第2照射系レンズの励磁量を前記第1励磁量とは異なる第2励磁量に設定する工程と、
    前記第2照射系レンズの励磁量が前記第2励磁量である第2状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射位置を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第2シフトデータとして記録する工程と、
    前記第2状態で、前記第1偏向器および前記第2偏向器を用いて電子線の照射角度を調整し、前記第1偏向器の制御量および前記第2偏向器の制御量を第2チルトデータとして記録する工程と、
    前記第2状態で、前記第1照射系レンズを用いて電子線の収束角を調整し、前記第1照射系レンズの励磁量を第2収束角データとして記録する工程と、
    前記第1シフトデータおよび前記第2シフトデータに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の照射位置が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器の制御量または前記第2偏向器の制御量の関係式を導出する工程と、
    前記第1チルトデータおよび前記第2チルトデータに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の照射角度が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器の制御量または前記第2偏向器の制御量の関係式を導出する工程と、
    前記第1収束角データおよび前記第2収束角データに基づいて、前記第1照射系レンズの励磁量が変化しても電子線の収束角が一定となる、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1照射系レンズの励磁量の関係式を導出する工程と、
    を含む、光学系の調整方法。
  6. 請求項5において、
    前記第1状態において、前記第1偏向器と前記第2偏向器を連動させて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正し、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比を第1チルト連動比データとして記録する工程と、
    前記第1状態において、前記第1偏向器と前記第2偏向器を連動させて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正し、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比を第1シフト連動比データとして記録する工程と、
    前記第2状態において、前記第1偏向器と前記第2偏向器を連動させて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正し、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比を第2チルト連動比データとして記録する工程と、
    前記第2状態において、前記第1偏向器と前記第2偏向器を連動させて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正し、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比を第2シフト連動比データとして記録する工程と、
    前記第1チルト連動比データおよび前記第2チルト連動比データに基づいて、電子線の照射角度を変更したことによる電子線の照射位置のずれを補正する、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比の関係式を導出する工程と、
    前記第1シフト連動比データおよび前記第2シフト連動比データに基づいて、電子線の照射位置を変更したことによる電子線の照射角度のずれを補正する、前記第2照射系レンズの励磁量と、前記第1偏向器と前記第2偏向器の連動比の関係式を導出する工程と、
    を含む、光学系の調整方法。
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