JP7207709B2 - 製造方法、補綴物製造支援装置およびプログラム - Google Patents

製造方法、補綴物製造支援装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、歯科用補綴物、製造方法、補綴物製造支援装置およびプログラムに関する。
従来から、歯科用補綴物およびその製造方法に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、窩洞内に装着されるか又は支台歯に被冠される歯科用補綴物を窩洞又は支台歯に正確に固着することができる構造にし、この歯科用補綴物をコンピュータを用いて設計する方法と、この設計方法で設計した歯科用補綴物をCAD/CAMシステムやCADシステムを利用した装置により作製する方法を開示する。これらの方法では、歯科用補綴物を、窩洞又は支台歯に当接される複数個の突起部と、必要に応じてマージンライン近傍部位とを除いた窩洞又は支台歯に対向する面全体にセメントスペースが確保されている構成にする。支台歯に被冠されるこの歯科用補綴物をコンピュータにより設計するには患者の口腔内から採得した印象に基づいて作製した石膏模型を測定して得た三次元計測データに基づき支台歯に当接される複数個の突起部と必要に応じてマージンライン近傍部位とを設け、該当接部位を除いて窩洞又は支台歯に対向する面全体にセメントスペースを設定する。
また、特許文献2は、精度の高い補綴物を得ることを可能とする歯科用計測加工システムを開示する。この歯科用計測加工システムは、クラウンであれば、補綴物作成の為のモデルの咬合面データ及び咬合面から側面の最大豊隆部までの部位のデータ及び支台歯と、クラウンとの接触ライン(マージンライン)データに基づき、また、補綴物モデルのうち、起伏が急な部分のデータ、部分的又は総入れ歯等の場合は、咬合時の高さ、幅等の口腔内環境を示すデータに基づき、加工する。
特開2007-215763号公報 WO2001/091664号公報
上記従来技術のように、最近はCAD/CAMなどのシステムを用いて、支台歯や内冠に適合する補綴物を製造することが行われており、今後は、口腔内スキャナーを使用することが増加すると考えられている。一般に、コーヌス角を6度にしたとき、支台歯等に対して最も適した補綴物の維持力が発揮されると言われている。なお、コーヌス角とは、支台歯または内冠の側面における軸面のテーパーを延長してできる円錐角の半分の角度である。しかし、実際は、歯の状態やその位置などの原因により、支台歯や内冠のコーヌス角を特定の角度に統一することは困難であり、支台歯等の様々なコーヌス角に対応した適合性の高い補綴物を作成することが望まれるところである。
一方、様々なコーヌス角に対応して適合性の良い補綴物を作成する場合、支台歯等の外面と補綴物の内面を接合するためのセメントスペースを一定にすると、折角適合性の良い補綴物を作成しても、装着時に補綴物の浮き上がりが生じ歯科医師による取付性が悪くなったり、逆に適切な維持力が発揮できず補綴物が離脱し易くなったりする場合がある。
本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物、その製造方法、補綴物製造支援装置およびプログラムを提供するものである。
上記課題を解決するために、支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造方法であって、支台歯または内冠のコーヌス角を測定し、測定したコーヌス角に基づき、支台歯または内冠と歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定する歯科用補綴物の製造方法であって、支台歯または内冠のコーヌス角の測定は、支台歯または内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、第3コーヌス角と第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定することを特徴とする歯科用補綴物の製造方法が提供される。
これによれば、コーヌス角に基づき支台歯等と補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定することで、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物の製造方法を提供することができる。さらに、これによれば、2つのコーヌス角の平均からセメントスペースを決定することで、支台歯等の側面の全周に亘り離脱防止と浮き上がり防止の両方を兼ね備えた歯科用補綴物の製造方法を提供することができる。
上記課題を解決するために、支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造を支援する補綴物製造支援装置であって、支台歯または内冠が撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、画像に撮像された支台歯または内冠のコーヌス角を測定するコーヌス角測定部と、測定したコーヌス角に基づき、支台歯または内冠と歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定するセメントスペース決定部と、決定したセメントスペースの厚さを出力する出力処理部と、を備え、コーヌス角測定部は、支台歯または内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、セメントスペース決定部は、第3コーヌス角と第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定することを特徴とする補綴物製造支援装置が提供される。
これによれば、支台歯等の画像に基づき支台歯等のコーヌス角に応じて異なるセメントスペースの厚さを出力することで、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物の製造を支援する補綴物製造支援装置を提供することができる。
上記課題を解決するために、支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造を支援する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、支台歯または内冠が撮像された画像に基づき支台歯または内冠のコーヌス角を測定し、測定したコーヌス角に基づき支台歯または内冠と歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定し、決定したセメントスペースの厚さを出力する、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、支台歯または内冠のコーヌス角の測定は、支台歯または内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、第3コーヌス角と第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定することを特徴とするプログラムが提供される。
これによれば、支台歯等の画像に基づき支台歯等のコーヌス角に応じて異なるセメントスペースの厚さを出力することで、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物の製造を支援する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、歯科医師による良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物、その製造方法、補綴物製造支援装置およびプログラムを提供することができる。
支台歯の石膏モデルに基づきテーパー角の測定を説明するための側面図。 支台歯の円錐角(テーパー角)を説明するための模式図。 本発明に係る第一実施例における歯科用補綴物のセメントスペースを説明するための模式図。 本発明に係る第一実施例における歯科用補綴物の製造方法を示すフローチャート。 本発明に係る第一実施例における歯科用補綴物のコーヌス角に応じたセメントスペースを示す表。 本発明に係る第二実施例における補綴物製造支援装置のブロック図。 本発明に係る第二実施例における補綴物製造支援装置の出力表示部の表示画面の例を示す図。
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図5を参照し、本実施例における歯科用の補綴物1を説明する。補綴物1は、補綴物1を取り付けるために形成された支台歯に直接、または、歯根や顎などの骨に埋め込まれたインプラント(人工歯根)または支台歯に取り付けられる内冠に、被せられる歯科治療に用いられる人工物である。支台歯または内冠は、通常咬合面の方向に向かって閉じた円錐形をなすように形成され、補綴物1の内側に設けられる外冠に嵌合するように形成される。
補綴物1は、たとえば図1の支台歯の石膏模型が示すように、治療する歯の状態やその位置、補綴物1の当該歯への装着方向などを考慮し、歯科医師の判断で適宜形成される。図1(A)に示される支台歯の石膏模型では、軸面のテーパーを延長してできる円錐角は約39.4°、すなわちコーヌス角は19.7°として形成されている。また、図1(B)に示される支台歯の石膏モデルでは、円錐角は約18°、コーヌス角は9°として形成されている。このように、支台歯または内冠の形状は、元になる歯の形状、治療の程度、その位置(正中側か奥歯側か)、装着方向などを考慮して形成されるため、基本的には支台歯や内冠の形状は一つ一つそれぞれ異なるものとなる。
なお、支台歯や内冠の円錐角(コーヌス角)の測定は、いかなる方法により測定されてもよく、特に限定されない。採得した印象に基づいて作製した石膏模型に角度計を当てて測定してもよいし、当該石膏模型を写真撮影した画像に引いた補助線から測定してもよいし、口腔内や石膏模型を撮影した画像に基づき角度を計測するアプリケーションにより測定してもよい。また、円錐角(コーヌス角)は、2か所以上測定することが好ましい。たとえば、頬側と舌側におけるコーヌス角(第1コーヌス角)を測定すると共に、このコーヌス角を測定した位置(軸面)と直交する位置(軸面)におけるコーヌス角(第2コーヌス角)を測定する。そして、これらの複数のコーヌス角に基づき後述するセメントスペースを決定することが好ましい。
図2を参照して、支台歯2の円錐角およびコーヌス角を説明する。支台歯2は、歯茎GMから円錐台の形状で突出するように形成されている。本図に示す支台歯2は、簡略化のため軸面の母線が直線として模式化して表現されている。支台歯2の円錐角とは、母線が直線である場合はマージン(支台歯2と補綴物1の境界部分)における軸面のテーパー角に基づき求められる。母線が直線でなく曲率を有して側面が丸みを有する場合は、支台歯2の円錐角とは、マージンにおける軸面のテーパー角と頂部付近のテーパー角を平均した角度とすることができる。
また、母線が直線ではなく途中で1回折れ曲がっていて側面が2つの面から構成されるような場合は、支台歯2の円錐角とは、2つの直線の母線の内長い方の母線のテーパー角を当該支台歯2の円錐角としてもよいし、2つの直線の母線がほぼ同じくらいの長さである場合には、2つの母線のテーパー角の平均を当該支台歯2の円錐角としてもよい。本図(A)に示す支台歯2の円錐角Aaは、本図(B)に示す支台歯2の円錐角Abより大きい。したがって、本図(A)に示す支台歯2のコーヌス角Aa/2は、本図(B)に示す支台歯2のコーヌス角Ab/2より大きいことを示す。
図3を参照して、図2(A)および図2(B)に示す支台歯2に対応する補綴物1とセメントスペース3について説明する。図3が示すように、補綴物1の内側(外冠に相当)は、支台歯2の形状に合わせて、支台歯2に適合するように形成される。支台歯2の側面に適合する補綴物1の内側において、その軸面から形成される円錐角は、支台歯2の円錐角と同じである。すなわち、図3(A)における補綴物1の内側の円錐角は、本図の支台歯2の円錐角Aaに等しい。また、図3(B)における補綴物1の内側のテーパー角は、本図の支台歯2の円錐角Abに等しい。
したがって、支台歯2の側面と補綴物1の内側の当該側面に適合する面とはほぼ同じ厚さのセメントスペース3が確保される。ここで、セメントスペース3とは、支台歯2に補綴物1を固定するのに使うセメントを塗布するために、支台歯2と補綴物1の内側との間に確保される隙間を言う。なお、母線が湾曲している/折れ曲がっている場合でも、支台歯2の側面と補綴物1の内側の当該側面に対応する面とはほぼ同じ厚さのセメントスペース3が確保されることが好ましい。
図3(A)に示すように、比較的大きな円錐角Aaを有する支台歯2と補綴物1は、所定の厚さWaのセメントスペース3が確保されるように補綴物1の内側は形成されている。また、図3(B)に示すように、比較的小さな円錐角Abを有する支台歯2と補綴物1は、所定の厚さWbのセメントスペース3が確保されるように補綴物1の内側は形成されている。ここで、Wa<Wbの関係が成立している。すなわち、比較的大きなコーヌス角Aa/2を有する支台歯2と補綴物1のセメントスペース3の厚さWaは、比較的小さいコーヌス角Ab/2を有する支台歯2と補綴物1のセメントスペース3の厚さWbより薄い。すなわち、第1コーヌス角(Aa)のセメントスペース3の厚さWaは、第1コーヌス角より小さい第2コーヌス角(Ab<Aa)のセメントスペース3の厚さWbより薄い(Wa<Wb)。
より具体的には、図5に示すように、発明者の数多くの実験の結果、たとえば、コーヌス角が19°以上の場合にはセメントスペースは0μm、コーヌス角が10°以上12°未満の場合にはセメントスペースは20μm、コーヌス角が5°未満の場合にはセメントスペースは45μmが好ましいことが明らかとなっている。なお、円錐台の頂部におけるセメントスペースの厚さは、特に限定されないが、通常同じ厚さのセメントを塗布することが好ましいことから、テーパーのある軸面におけるセメントスペースの厚さと同じであることが好ましい。
なお、支台歯2の形成は、通常歯科医師によりなされるが、支台歯2に適合するように補綴物1を形成するのは、通常歯科技工士によりなされる。また、補綴物1の支台歯2への装着は、通常歯科医師によりなされる。歯科技工士が作製する補綴物1の支台歯2に対する適合が緩いと、歯科医師による装着作業において補綴物1は支台歯2から離脱し易くなり、逆に適合がきついと装着し難く浮き上がりが生じてしまう。しかし、大きなコーヌス角を有する支台歯2におけるセメントスペース3の厚さWaは、小さいコーヌス角を有する支台歯2におけるセメントスペース3の厚さWbより薄いことで、離脱防止と浮き上がり防止の両方を兼ね備えた歯科用の補綴物1を提供することができる。なお、上記では支台歯2を例に説明したが、歯根(人工歯根を含む)または支台歯に取り付けられる内冠の場合でも同様である。
このように、支台歯2等のコーヌス角に応じて、支台歯2等と補綴物1と間のセメントスペース3の厚さが異なる歯科用の補綴物1を提供することにより、歯科医師による良好な取付性を確保し装着時における補綴物1の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物1の離脱を防止することができる。コーヌス角が比較的小さい場合、補綴物1を支台歯2に装着する際にはあそびになるセメントスペースがある程度存在する方が装着し易いため、セメントスペースを厚めにすることが好ましい。逆に、コーヌス角が比較的大きい場合、補綴物1を支台歯2に装着することが容易であるため厚いセメントスペースは不要であり、支台歯2等と補綴物1の内側における隙間が小さく形状がほぼ一致することから生じる維持力を発揮させて離脱防止を図りながら装着する方が好ましい。
図4を参照して、補綴物1の製造方法を説明する。なお、フローチャートにおけるSはステップを意味する。S100において、支台歯2の頬側の軸面と舌側の軸面から形成されるコーヌス角(第3コーヌス角)を測定する。上述したように、測定方法は特に限定されず、たとえば、支台歯2の石膏模型に基づき角度計により測定してもよい。S102において、上記第3コーヌス角を測定した軸面と直交する方向の軸面(歯列方向に垂直な軸面)から形成されるコーヌス角(第4コーヌス角)を測定する。たとえば、奥歯の支台歯である場合、第4コーヌス角は、支台歯2の近心側軸面と遠心側軸面から形成されるコーヌス角である。
S104において、第3コーヌス角と第4コーヌス角の平均を計算する。S106において、平均したコーヌス角に基づき、支台歯2と補綴物1と間のセメントスペース3の厚さを図5に示すコーヌス角セメントスペース対応表50に基づき決定する。このように、任意の位置での第3コーヌス角と、第3コーヌス角を測定した位置とほぼ直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、第3コーヌス角と第4コーヌス角との平均からセメントスペース3を決定することが好ましい。これによれば、2つのコーヌス角の平均からセメントスペースを決定することで、支台歯等の側面の全周に亘り離脱防止と浮き上がり防止の両方を兼ね備えた歯科用の補綴物1の製造方法を提供することができる。なお、3か所以上のコーヌス角を測定してもよく、これらのコーヌス角の平均や中央値などに基づき決定してもよい。
このように、測定したコーヌス角に基づき、支台歯2等と補綴物1と間のセメントスペースの厚さを決定することで、歯科医師による良好な取付性を確保し装着時における補綴物1の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物1の離脱を防止する歯科用の補綴物1の製造方法を提供することができる。
<第二実施例>
図6乃至図7を参照し、本実施例における歯科用の補綴物製造支援装置100を説明する。なお、重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明を省略する。補綴物製造支援装置100は、支台歯または内冠に被せられる歯科用の補綴物1の製造を支援する装置である。補綴物製造支援装置100は、支台歯または内冠が撮像された画像を取得する撮像画像取得部10と、取得した画像に撮像された支台歯等のコーヌス角を測定するコーヌス角測定部20と、測定したコーヌス角に基づき、支台歯等と補綴物1と間のセメントスペースの厚さを決定するセメントスペース決定部30と、決定したセメントスペースの厚さを出力する出力処理部40とを処理部Prcに備える。
また、補綴物製造支援装置100は、さらに、コーヌス角セメントスペース対応表50と、取得した画像を記憶する画像格納部60とを記憶部Memに備える。また、補綴物製造支援装置100は、さらに、支台歯または内冠を撮像する撮像部Camと、ネットワークを介して他の機器等から画像を取得する通信部Comと、取得した画像から対象となる支台歯等を指定する操作入力部Oprと、出力処理部40が出力したセメントスペースの厚さを出力する出力表示部Dspとを備える。
撮像画像取得部10は、補綴物1とのセメントスペースを決定するためにコーヌス角を測定する支台歯2等が写った画像を取得する。撮像画像取得部10は、画像格納部60に記憶されている画像から、操作入力部Oprでコーヌス角を測定するために指定された画像を取得する。なお、画像格納部60に記憶されている画像は、補綴物製造支援装置100に設けられた撮像部Camで支台歯2などを撮像した画像であってもよいし、他の機器から通信部Comを介して得た画像であってもよい。ここで、画像格納部60に記憶されている画像は、支台歯2の頬側の軸面と舌側の軸面が写った画像と、この頬舌軸面と直交する軸面が写った画像とが組になって格納されているものとする。
コーヌス角測定部20は、取得した画像に写った支台歯2等に基づき、そのコーヌス角を測定する。コーヌス角測定部20におけるコーヌス角の測定方法は、まず、図1に示すように、画像から支台歯2を認識し、認識した支台歯2の一方側の軸面(図1(A)においては支台歯の左側の軸面)のテーパー角を測定し、次に、支台歯2の他方側の軸面(本図において支台歯の右側の軸面)のテーパー角を測定する。そうすると、一方側のテーパー角と他方側のテーパー角から、支台歯2の円錐角が計算できる(たとえば、本図の支台歯の円錐角は39.440°である)。また、本図が支台歯2の頬舌軸面が写った画像であるとすると、その頬舌軸面と直交する軸面が写った画像である図1(B)を用い、同様に円錐角を計算する(本図の支台歯の円錐角は17.992°である)。なお、本図の支台歯2は、側面の母線がほぼ直線なのでマージンにおける軸面のテーパー角のみに基づいて求めている。そして、この支台歯2のコーヌス角は、両者を平均した円錐角の半分であるから、(39.440°+17.992°)/4=14.358°と求められる。なお、人工的に製作した内冠の場合は、円錐角はどこで測定しても同じである場合が多いので、1つの円錐角に基づいてコーヌス角を求めてもよい。
セメントスペース決定部30は、記憶部Memに記憶されているコーヌス角セメントスペース対応表50を参照し、測定したコーヌス角に対応する支台歯2等と補綴物1と間のセメントスペースの厚さを決定する(本図の場合、セメントスペースは15μmである)。
出力処理部40は、セメントスペース決定部30が決定したセメントスペースの厚さを少なくとも出力する。図7は、出力処理部40が、使用者が見ることのできる出力表示部Dspに出力した表示画面を示す。出力処理部40は、測定対象となった支台歯2の画像(頬舌方向とその方向と直交する方向の軸面が写った画像)と、その画像から測定した2つの円錐角と、その円錐角から計算した平均コーヌス角と、そのコーヌス角に基づくセメントスペースの厚さを出力表示部Dspに出力し、出力表示部Dspは、本図に示すように、補綴物製造支援装置100の使用者に表示する。なお、出力処理部40は、通信部Comを介して他の機器に対してセメントスペースの厚さをデータとして出力してもよい。
このように、支台歯等の画像に基づき、支台歯等のコーヌス角に応じて異なるセメントスペースの厚さを出力することで、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物の製造を支援する補綴物製造支援装置100を提供することができる。
図6に示すように、補綴物製造支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)から構成される処理部Prc、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリデバイスなどの記憶部Mem、インターネットやLAN(Local Area Network)などと繋がるネットワークインターフェースの通信部Com、タッチパネル等の操作入力部Opr、情報を表示するためのディスプイ等の出力表示部Dspなどを有し、これらが、内部バス等の伝送路を介して互いに接続されたものである。
処理部Prcは、プログラムを実行することができるCPU等のプロセッサおよびその周辺回路を有する。処理部Prcは、これらにより、上述した撮像画像取得部10、コーヌス角測定部20、セメントスペース決定部30、および出力処理部40の機能を実行するための演算処理を行うと共に、補綴物製造支援装置100の全体的な動作を制御する制御部Ctlを備え、上述した他の構成要素との間で制御信号および情報信号(データ)の送受信を行う。
記憶部MemのROMには、一般に、電源投入後、最初に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録されており、これが実行されることによりメモリデバイスに記憶されたプログラムやデータが、制御部Ctlによって一旦これらを一時的に記憶するためのRAMに書き出され、それらのプログラムが制御部Ctlによって実行される。記憶部Memに記憶されているプログラムは、オペレーティングシステムプログラムや各種アプリケーションプログラム(補綴物製造支援装置100用のプログラムを含む)である。
補綴物製造支援装置100用のプログラムは、通常通信部Comを介して外部からダウンロードして補綴物製造支援装置100にインストールされる。インストールされた補綴物製造支援装置100用のプログラムは、使用者が操作入力部Oprを使って起動される。起動されると、制御部Ctlは、補綴物製造支援装置100用のプログラムの処理の実行、制御に必要な各種演算処理を行うように構成されており、上述した撮像画像取得部10、コーヌス角測定部20、セメントスペース決定部30、および出力処理部40が行う機能を処理部Prcの一部の機能として実行/制御する。補綴物製造支援装置100は、上述したように、使用者から、操作入力部Oprを介して対象となる支台歯等のセメントスペースの厚さを出力することを要求されると、出力表示部Dspを介してセメントスペースの厚さを表示する。
また、補綴物製造支援装置100として機能させる情報処理方法としてコンピュータに実行させるためのプログラムとしても提供できる。すなわち、支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造を支援する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、支台歯等が撮像された画像に基づき支台歯等のコーヌス角を測定し、測定したコーヌス角に基づき支台歯等と補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定し、決定したセメントスペースの厚さを出力する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
このように、支台歯等の画像に基づき、支台歯等のコーヌス角に応じて異なるセメントスペースの厚さを出力することで、良好な取付性を確保し装着時における補綴物の浮き上がりを防止すると共に、適切な維持力を備えて補綴物の離脱を防止する歯科用補綴物の製造を支援する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる。
本プログラムは、補綴物製造支援装置100用のプログラムであり、補綴物製造支援装置100にインストールされ、使用者が操作入力部Oprを使って起動される。本プログラムは、起動されると、撮像画像取得部10、コーヌス角測定部20、セメントスペース決定部30、および出力処理部40が行う機能として実行される。
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
1 歯科用補綴物
2 支台歯(内冠)
3 セメントスペース
Aa、Ab 円錐角(テーパー角)
Wa、Wb セメントスペースの厚さ
GM 歯茎
100 補綴物製造支援装置
10 撮像画像取得部
20 コーヌス角測定部
30 セメントスペース決定部
40 出力処理部
50 コーヌス角セメントスペース対応表
60 画像格納部
Prc 処理部
Mem 記憶部
Com 通信部
Cam 撮像部
Opr 操作入力部
Dsp 出力表示部

Claims (3)

  1. 支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造方法であって、
    前記支台歯または前記内冠のコーヌス角を測定し、
    測定したコーヌス角に基づき、前記支台歯または前記内冠と前記歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定する歯科用補綴物の製造方法であって、
    前記支台歯または前記内冠のコーヌス角の測定は、前記支台歯または前記内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、前記第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、
    前記第3コーヌス角と前記第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定する、
    ことを特徴とする歯科用補綴物の製造方法
  2. 支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造を支援する補綴物製造支援装置であって、
    前記支台歯または前記内冠が撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、
    前記画像に撮像された前記支台歯または前記内冠のコーヌス角を測定するコーヌス角測定部と、
    測定したコーヌス角に基づき、前記支台歯または前記内冠と前記歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定するセメントスペース決定部と、
    決定したセメントスペースの厚さを出力する出力処理部と、
    を備え
    前記コーヌス角測定部は、前記支台歯または前記内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、前記第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、
    前記セメントスペース決定部は、前記第3コーヌス角と前記第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定する、
    ことを特徴とする補綴物製造支援装置。
  3. 支台歯または内冠に被せられる歯科用補綴物の製造を支援する情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記支台歯または前記内冠が撮像された画像に基づき前記支台歯または前記内冠のコーヌス角を測定し、
    測定したコーヌス角に基づき前記支台歯または前記内冠と前記歯科用補綴物と間のセメントスペースの厚さを決定し、
    決定したセメントスペースの厚さを出力する、
    情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記支台歯または前記内冠のコーヌス角の測定は、前記支台歯または前記内冠の任意の位置での第3コーヌス角と、前記第3コーヌス角を測定した位置と略直交する位置での第4コーヌス角とを測定し、
    前記第3コーヌス角と前記第4コーヌス角との平均からセメントスペースを決定する、
    ことを特徴とするプログラム。
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