JP7207348B2 - 蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP7207348B2
JP7207348B2 JP2020029272A JP2020029272A JP7207348B2 JP 7207348 B2 JP7207348 B2 JP 7207348B2 JP 2020029272 A JP2020029272 A JP 2020029272A JP 2020029272 A JP2020029272 A JP 2020029272A JP 7207348 B2 JP7207348 B2 JP 7207348B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current collector
negative electrode
positive electrode
columnar
storage device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020029272A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021136081A (ja
Inventor
慈 佐々木
稔久 棟方
匠昭 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2020029272A priority Critical patent/JP7207348B2/ja
Publication of JP2021136081A publication Critical patent/JP2021136081A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207348B2 publication Critical patent/JP7207348B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Description

本明細書では、蓄電デバイスを開示する。
従来、蓄電デバイスとしては、集電効率を高めるために集電体部分の材料を工夫したもの(特許文献1~3)や、複数の集電板や導線を固定する集電構造に関するもの(特許文献4~6)などが知られている。また、エネルギー密度の高い蓄電デバイスとしては、複数の柱状負極と、各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、隣合う分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極とを備えたものも知られている(特許文献7)。この二次電池は、分離膜で周囲を囲われた柱状負極が正極内に配置された構造である。この二次電池の正極は、正六角柱からなる柱状正極を空間充填して得られたものであり、分離膜で囲われた柱状負極が、柱状正極の中心孔に配置されている。また、集電体の表面にアンダーコート層を備える二次電池が提案されている(特許文献8)。この二次電池では、アンダーコート層によって、瞬間的な温度上昇に対して大電流が流れることを抑制することができるとしている。
特開2019-32966号公報 特開2019-33066号公報 特開2018-116910号公報 特許第6159719号公報 特開2014-154272号公報 特開2015-103318号公報 特開2018-152229号公報 特開2019-36490号公報
しかしながら、特許文献1~3では、集電体の材料を工夫するものであるが、それだけでは、電極および集電板からの集電構造によって抵抗が生じ、電池全体の集電効率が向上することにならず、集電構造の工夫が必要であった。また、特許文献4~6では、集電板や導線の固定を試みる提案がされているが、重量体積エネルギーの高い電池を得る観点からは、問題があった。また、特許文献7では、負極集電構造は柱状負極の一方の端面を金属製の集電板に接続するものであったため、集電を効率的に行うことができず、重量エネルギー密度や体積エネルギー密度が十分高いとはいえなかった。また、特許文献8では、大電流が流れることを抑制する提案であるが、電極層と集電層との間にアンダーコート層を導入することで集電効率が低下してしまう欠点があった。このように、効率的な集電による高エネルギー密度化と電極の内部短絡に対処することができる集電構造が求められていた。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、分離膜で周囲を囲われた柱状負極が正極内に配置された蓄電デバイスにおいて、効率的に集電可能であり、且つ内部短絡時の徐放電機構を両立することができる蓄電デバイスを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、柱状の負極の端部側に体積抵抗率の高い集電層を設け、その集電層の上に体積抵抗率の低い集電層を設けるものとすれば、分離膜で周囲を囲われた柱状負極が正極内に配置された蓄電デバイスにおいて、効率的に集電可能であり、且つ内部短絡時の徐放電機構を両立することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する蓄電デバイスは、
負極活物質を含む複数の柱状負極と、
各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、
正極活物質を含み、隣合う前記分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極と、
前記正極から露出した複数の前記柱状負極の端面に接続された層状の第1集電体と、前記第1集電体に接続された層状の第2集電体とを備えている負極集電部と、を備え、
前記第1集電体は、前記第2集電体よりも高い体積抵抗率を有するものである。
本開示は、分離膜で周囲を囲われた柱状負極が正極内に配置された蓄電デバイスにおいて、効率的に集電可能であり、且つ内部短絡時の徐放電機構を両立することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、正極から露出した柱状負極の端面側に層状の第1集電体を設けることによって、多数の柱状負極を並列接続することが可能となる。この場合、層状の第1集電体は膜厚の制御により抵抗を容易に制御可能である。また、体積抵抗率の高い第1集電体のみでは、抵抗が高いので全ての柱状負極からの電流を実用的な電圧低下範囲で流すことはできない。そこで、第1集電体上に、より低抵抗な第2集電体を配置した集電構造を設計することができる。すなわち、柱状負極と第2集電体の間の抵抗を、第1集電体が第2集電体よりも高い体積抵抗率を有するものとすることによって、柱状負極の並列接続による低抵抗化を図ることができる。また、第1集電体の抵抗を大きくすることによって、いずれかの単セルで短絡が生じた際に周辺の電極からの電流の流れこみ、ひいては発熱を抑制することができる。したがって、この蓄電デバイスでは、効率的な集電による高エネルギー密度化と内部短絡時の徐放電機構とを両立することができる。
蓄電デバイス10の一例を示す模式図。 蓄電デバイス10の断面図を示す模式図。 第1集電体の厚さと柱状負極端面の面積と抵抗との関係図。 実施例1,2の蓄電デバイス10の説明図。
(蓄電デバイス)
実施形態で説明する本開示の蓄電デバイスは、複数の柱状負極と、分離膜と、正極と、負極集電部とを備えている。この蓄電デバイスは、正極に電気的に接続された正極集電体を備えているものとしてもよい。この蓄電デバイスは、例えば、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、アルカリ金属二次電池、アルカリ金属イオン電池などとしてもよい。蓄電デバイスのキャリアイオンは、リチウムイオンやナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンやマグネシウムイオンやストロンチウムイオン、カルシウムイオンなどの第2族イオンなどが挙げられる。また、正極は、柱状負極の周りに存在するものとしてもよいし、柱状負極の間の空間に充填されているものとしてもよい。また、この蓄電デバイスは、分離膜を介して正極と隣り合う状態で複数の柱状負極が結束された構造を有するものとしてもよい。更に、この蓄電デバイスは、柱状負極、正極及び分離膜のうち1以上に電解液を含むものとしてもよい。正極及び柱状負極には、集電線などの集電部材が埋設されているものとしてもよいし、この集電部材を備えないものとしてもよい。ここでは、説明の便宜のため、リチウムイオンをキャリアとするリチウムイオン二次電池をその主たる一例として以下説明する。
ここで、本実施形態で開示する蓄電デバイスについて図面を用いて説明する。図1は、蓄電デバイス10の一例を示す模式図である。図2は、蓄電デバイス10の断面図を示す模式図である。蓄電デバイス10は、柱状負極12と、分離膜15と、正極16と、正極集電体17と、負極集電部20とを備えている。単セル11は、柱状負極12と、分離膜15と、正極16とにより構成されている。この蓄電デバイス10は、負極活物質を含む柱状負極12と、柱状負極12の周りに分離膜15を介して形成された正極活物質を含む正極16とを備えている。この蓄電デバイス10は、分離膜15及び正極16が形成された柱状負極12を含む単セル11を複数結束した構造を有するものとしてもよい。また、この蓄電デバイス10では、500本以上の柱状負極12が結束された構造を有しているものとしてもよい。あるいは、蓄電デバイス10は、柱状負極12と、柱状負極12の表面に形成された分離膜15と、柱状負極12の間に分離膜15を介して正極16が充填された構造を有するものとしてもよい。
柱状負極12は、負極活物質を含む部材である。ここで、「柱状」とは、屈曲しない太さのもののほか、屈曲可能な繊維状の太さのものも含むものとする。この柱状負極12は、柱状であればよく、その断面は円形であってもよいし、多角形であってもよい。蓄電デバイス10では、複数の柱状負極12が所定方向に配列されている。この柱状負極12は、蓄電デバイス10の最も短い辺の方向とは異なる方向に配列されているものとしてもよい。柱状負極12は、負極集電部20に接続される端部以外の外周が分離膜15に覆われている。例えば、柱状負極12は、蓄電デバイス10全体の負極容量の1/nの容量を有し、n個が負極集電部20に並列接続されているものとしてもよい。この柱状負極12は、長手方向に垂直な断面の直径Dが10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、30μm以上であるものとしてもよい。また、柱状負極12の直径Dは、800μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、400μm以下であるものとしてもよい。この直径Dが10μm以上では、電極構造体としての強度を担保することができ安定した充放電ができる。また、この直径Dが800μm以下ではキャリアのイオンの移動距離が長くなりすぎず、高出力性能が得られる。また、この直径Dが10~500μmの範囲では、単位体積あたりのエネルギー密度をより高めることができる。あるいは、この範囲では、キャリアのイオンの移動距離をより短くすることができ、より大きな電流で充放電を行うことができる。この柱状体の長手方向の長さは、蓄電デバイスの用途などに応じて適宜定めることができ、例えば、20mm以上200mm以下の範囲などとしてもよい。柱状体の長さが20mm以上では、電池容量をより高めることができ好ましく、200mm以下では、負極の電気抵抗をより低減することができ好ましい。
柱状負極12は、負極活物質としての炭素材料を含むものが好ましく、負極活物質として炭素繊維14の束及び炭素材料の一体物のうちいずれか1以上であるものとしてもよい。炭素材料は、導電性が高く、柱状負極12として好ましい。炭素材料としては、例えば、グラファイト類や、コークス類、ガラス状炭素類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類のうち1以上が挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が好ましい。また、グラファイト構造を有する炭素繊維14としてもよい。このような炭素繊維14は、例えば、繊維方向である長手方向に結晶が配向したものが好ましい。また、長手方向(繊維方向)に直交する方向に断面視したときに結晶が中心から外周面側に放射状に配向したものであることが好ましい。炭素繊維14の直径dは、例えば、5μm以上としてもよいし、7.5μm以上としてもよいし、10μm以上としてもよい。また、炭素繊維11の直径dは、50μm以下の範囲としてもよいし、25μm以下としてもよいし、20μm以下としてもよい。柱状負極12は、複数の炭素繊維14を撚糸して得られたものとしてもよいし、複数の炭素繊維14を結着材により結着させたものとしてもよい。結着材は、キャリアイオンの伝導性を有するものが好ましく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)や、PVdFとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF-HFP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びPMMAとアクリルポリマーとの共重合体などが挙げられる。また、柱状負極12は、炭素材料の原料を柱状に成形したものを炭素化した一体物としてもよいし、炭化した炭素材料を結着材などで固形化したものとしてもよい。
あるいは、柱状負極12は、キャリアのイオンを吸蔵放出可能な複合酸化物を柱状体に成形したものとしてもよい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。この複合酸化物からなる負極は、その表面の少なくとも一部に導電成分が形成されているものとしてもよい。この導電成分により、導電性をより高めることができる。この導電成分は、導電性の高い材料であれば特に限定されないが、例えば、金属としてもよい。
分離膜15は、キャリアイオン(例えばリチウムイオン)のイオン伝導性を有し柱状負極12と正極16とを絶縁するものであり、柱状負極12の周囲に設けられている。分離膜15は、正極16と対向する柱状負極12の外周面の全体に形成されており、柱状負極12と正極16との短絡を防止している。この分離膜15は、例えば、樹脂を含む原料溶液から自立膜を作製し、柱状負極12の表面をこの自立膜で被覆させることにより形成されてもよいし、原料溶液へ柱状負極12を浸漬させてその表面にコートすることにより形成されるものとしてもよい。この分離膜15の樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)や、PVdFとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF-HFP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びPMMAとアクリルポリマーとの共重合体などが挙げられる。例えば、PVdFとHFPとの共重合体では、電解液の一部がこの膜を膨潤ゲル化し、イオン伝導膜となる。この分離膜15の厚さは、例えば、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、8μm以上であるものとしてもよい。この厚さが2μm以上では、絶縁性を確保する上で好ましい。特に、分離膜15の厚さが2μm以上であれば、作製しやすい。また、分離膜15の厚さは、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。この厚さが15μm以下では、イオン伝導性の低下を抑制できる点や、セルに占める体積をより低減する上で好ましい。分離膜15の厚さが2~15μmの範囲では、イオン伝導性及び絶縁性が好適である。
分離膜15は、キャリアであるイオンを伝導する電解液を含むものとしてもよい。この電解液は、例えば、非水系溶媒などが挙げられる。電解液の溶媒としては、例えば、非水電解液の溶媒などが挙げられる。この溶媒としては、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、エチル-n-ブチルカーボネート、メチル-t-ブチルカーボネート、ジ-i-プロピルカーボネート、t-ブチル-i-プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ-ブチルラクトン、γ-バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3-ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。この電解液には、蓄電デバイス10のキャリアであるイオンを含む支持塩を溶解したものとしてもよい。支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。
正極16は、正極活物質を含み、隣合う分離膜15同士の間を埋めるように設けられている。正極16は、正極活物質と、必要に応じて導電材と、結着材とを含むものとしてもよい。正極16は、蓄電デバイス10の作製時において、柱状負極12を内包し断面の外形を六角形状とするものとしてもよい(図1参照)。この形状であれば、正極活物質が外周に形成された柱状負極12を結束すると、正極16が柱状負極12の間に充填されやすく好ましい。この正極16は、複数の柱状負極12の間に存在するものとすればよく、図1に示すように、外形が六角形状であることに限定されない。正極16は、導電材を含み、それ自体に導電性を有するものとし、集電部材などは省略されているものとしてもよい。正極16には、いずれかの領域に正極集電体17が接続されている。この正極16は、例えば、柱状負極12の外周に分離膜15を形成したのち、その外周に正極16の原料を塗布して形成されたものとしてもよい。
正極16は、例えば、正極活物質と、導電材と、必要に応じて結着材とを混合した正極合材からなるものとしてもよい。正極活物質は、例えば、キャリアであるリチウムを吸蔵放出可能な材料が挙げられる。正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属とを有する化合物、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。具体的には、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0≦x≦1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoaNibMnc2(a>0、b>0、c>0、a+b+c=1)、Li(1-x)CoaNibMnc4(0<a<1、0<b<1、1≦c<2、a+b+c=2)などとするリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をV25などとする遷移金属酸化物などを用いることができる。また、基本組成式をLiFePO4とするリン酸鉄リチウム化合物などを正極活物質として用いることができる。これらのうち、リチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32やLiNi0.4Co0.3Mn0.32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素、例えば、AlやMgなどの成分を含んでもよい趣旨である。
正極16に含まれる導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着材は、活物質粒子や導電材粒子を繋ぎ止めて所定の形状を保つ役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極16において、正極活物質の含有量は、より多いことが好ましく、正極16の質量全体に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。導電材の含有量は、正極16の全体の質量に対して0質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。このような範囲では、電池容量の低下を抑制し、導電性を十分に付与することができる。また、結着材の含有量は、正極16の質量全体に対して0.1質量%以上5質量%以下の範囲であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下の範囲であることがより好ましい。
正極集電体17は、導電性を有する部材であり、正極16に電気的に接続されている。この正極集電体17は、蓄電デバイス10の側面側に配設されている。この正極集電体17は、例えば、カーボンペーパー、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、白金、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化(還元)性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀、白金、金などで処理したものも用いることができる。正極集電体17の形状は、正極16が接続できるものであれば特に限定されず、例えば、板状、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
負極集電部20は、導電性を有し、柱状負極12から集電する部材であり、柱状負極12の端面12aに電気的に接続されている。負極集電部20は、第1集電体21と第2集電体22とを備えている。第1集電体21は、正極16から露出した複数の柱状負極12の端面12aに接続され平面21aを有する層状の部材である。第2集電体22は、第1集電体21の平面21aに接続された平面22aを有する層状の部材である。ここで「層状」とは、複数の柱状負極12が接続可能であり、1以上の表面が平面であってもよいし平面でなくてもよい1層の平らな形状をいうものとし、例えば、50μm以下の膜状や1000μm以下の板状などを含むものとする。この第1集電体21は、第2集電体22よりも高い体積抵抗率を有する。この第1集電体21は、より高い体積抵抗率を有することによって、例えば、部分的な内部短絡が生じた際に大きな抵抗として働き、急激な放電をより抑える徐放電機能を発現する。この第1集電体21は、多数の柱状負極12が並列接続されるため、通常の充放電時には、集電に与える影響が少なくなっている。また、第2集電体22はより低い体積抵抗率を有することによって、効率よい集電を実現する。
第1集電体21は、第2集電体22に比してより高い体積抵抗率を有することが好ましいが、第2集電体22の10倍以上、より好ましくは100倍以上、あるいは200倍以上や500倍以上の体積抵抗率を有するものとしてもよい。第2集電体22の体積抵抗率は、より低いほど好ましい。また、第1集電体21は、本数Nが500本以上である柱状負極12が並列接続されているものとしてもよいし、1千本以上や、1万以上の柱状負極12が並列接続されているものとしてもよい。並列接続の本数Nに応じて、第1集電体21を介して1本の単セル11にかかる抵抗が決定されるため、所望の充放電特性に応じて、柱状負極12の並列接続の本数Nや第1集電体21の体積抵抗率の高さなどを適宜設定すればよい。例えば、第1集電体21は、体積抵抗率が1.0×10-6Ωm以上であり、第2集電体22は、体積抵抗率が1.0×10-7Ωm以下であるものとしてもよい。第1集電体21は、体積抵抗率が1.0×10-5Ωm以上であるものとしてもよいし、1.0×10-4Ωm以上であるものとしてもよい。また、第2集電体22は、体積抵抗率が5.0×10-8Ωm以下であるものとしてもよいし、体積抵抗率が2.0×10-8Ωm以下であるものとしてもよい。
負極集電部20の総抵抗は、より低いことが好ましく、例えば、1.0mΩ以下であることが好ましく、0.7mΩ以下であることがより好ましく、0.1mΩ以下であることが更に好ましい。負極集電部20の総抵抗がより低いと、エネルギー密度の観点からより好ましい。
負極集電部20において、柱状負極12の端面12aの面積Sに対する第1集電体21の厚さtの比t/Sが0.01以下であることが好ましい。このt/Sがより小さいと、柱状負極12と同じ形状の第1集電体121(後述図3B参照)と同様の効果をより発揮しやすくなり、好ましい。即ち、このt/Sがより小さいと、単セル11にかかる抵抗をより抑制しつつ、部分短絡時の徐放電機能を発揮することができる。このt/Sは、0.008以下が好ましく、0.006以下がより好ましい。また、厚さtの第1集電体21を作製する限界から、t/Sは0.001以上や0.002以上が好ましい。
第1集電体21は、その厚さtが第2集電体22の厚さTよりも薄い(小さい)ことが好ましい。第1集電体21の厚さtは、より薄いことが抵抗を高める上で効果的である。また、第2集電体22の厚さTは、より厚いことが抵抗を低減する上で効果的である。第1集電体21は、その厚さtが第2集電体22の厚さTの1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/5以下としてもよい。第1集電体21の厚さtは、例えば、75μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下が更に好ましく、20μm以下としてもよい。厚さtは、作製上の制限から、2μm以上や5μm以上であるものとしてもよい。また、第2集電体22の厚さTは、例えば、25μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上としてもよい。厚さTは、体積あたりのエネルギー密度の観点からは、より薄いことが好ましく、1000μm以下や500μm以下としてもよい。
第1集電体21は、例えば、導電材としての金属粒子や炭素粒子を分散したインクを固形化したものや、導電性を有する導電性ポリマーなどとしてもよい。導電材の金属は、例えば、銀などの貴金属などが挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン系、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系などの高分子材料が挙げられる。
第2集電体22の材質及び形状は、例えば、上述した正極集電体17で挙げたいずれかの材質及び形状を用いることができる。
この第1集電体21や第2集電体22の作製方法は、以下のようにすることができる。第1集電体21は、例えば、膜上に形成したものを柱状負極12の端面12aに配置して圧着するものとしてもよい。また、インクや導電性ポリマーを用いる場合は、柱状負極12の端面12aに印刷などして形成することもできる。このとき、柱状負極12と正極16とが短絡しないように、露出した柱状負極12同士の間や、正極16と第1集電体21との間に絶縁層23(後述図4参照)を形成してもよい。この絶縁層23は、例えば、分離膜15で挙げた材質のいずれかであるものとしてもよい。第2集電体22は、例えば第1集電体21の表面を平面とし、これに第2集電体22の箔などを配置して圧着するものとしてもよい。あるいは、第2集電体22の原料ペーストを第1集電体21の平面21a上に印刷して第2集電体22を形成するものとしてもよい。第1集電体21や第2集電体22が膜状や板状を含む層状で形成されていれば第1集電体21や第2集電体22を端面12aに接続する構造を比較的簡便な工程で作製することができる。
蓄電デバイス10において、負極集電部20の有する満充電状態からの内部短絡時における徐放電機能は、安全性の観点では、より長いことが好ましく、例えば、20分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、1時間以上であることが更に好ましい。この徐放電機能がより長ければ、セル内部の部分短絡時において急激な放電をより抑制し、安全性をより確保することができる。この徐放電機能は、蓄電デバイス10の抵抗の増加など、エネルギー密度の観点からは、5時間以下としてもよい。
この蓄電デバイス10において、体積エネルギー密度は、より高いことがより好ましく、例えば、400Wh/L以上であることが好ましく、500Wh/L以上であることがより好ましく、600Wh/L以上であることが更に好ましい。この蓄電デバイス10において、正極活物質の容量に対する負極活物質の容量の比である正負極容量比(負極容量/正極容量)は、1.0以上1.5以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.2以下の範囲である。正極16の形成厚さは、柱状負極12の直径D及び正負極容量比に応じて適宜設定されるが、例えば、5μm以上50μm以下の範囲としてもよい。正極16の形成厚さは、例えば、柱状負極12上に形成された部分のうち最大の厚さをいうものとする。
以上詳述した蓄電デバイス10では、分離膜15で周囲を囲われた柱状負極12が正極16内に配置されたものにおいて、効率的に集電可能であり、且つ内部短絡時の徐放電機構を両立することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、正極16から露出した柱状負極12の端面12a側に層状の第1集電体21を設けることによって、多数の柱状負極12を並列接続することが可能となる。この場合、層状の第1集電体21は膜厚の制御により抵抗を容易に制御可能である。また、体積抵抗率の高い第1集電体21のみでは、抵抗が高いので全ての柱状負極12からの電流を実用的な電圧低下範囲で流すことはできない。そこで、第1集電体21上に、より低抵抗な第2集電体22を配置した集電構造を設計することができる。すなわち、柱状負極12と第2集電体22との間の抵抗を、第1集電体21が第2集電体22よりも高い体積抵抗率を有するものとすることによって、柱状負極12の並列接続による低抵抗化を図ることができる。また、第1集電体21の抵抗を大きくすることによって、いずれかの単セル11で短絡が生じた際に周辺の電極からの電流の流れこみ、ひいては発熱を抑制することができる。したがって、この蓄電デバイス10では、体積抵抗率の異なる2層構造の負極集電部20を備えることによって、効率的な集電による高エネルギー密度化と内部短絡時の徐放電機構とを両立することができる。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、蓄電デバイスのキャリアをリチウムイオンとしたが、特にこれに限定されず、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの2族元素イオンとしてもよい。また、正極活物質は、キャリアのイオンを含むものとすればよい。また、電解液を非水系電解液としたが、水溶液系電解液としてもよい。
上述した実施形態では、柱状負極12は、円柱形状である例を説明したが、特にこれに限定されず、四角柱や六角柱などの形状としてもよい。また、正極16は、外径を六角柱状で示したが、四角柱状や円柱状としてもよい。
上述した実施形態では、正極活物質を遷移金属複合酸化物としたが、特に限定されず、例えば、キャパシタに用いられる炭素材料としてもよい。炭素材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性炭類、コークス類、ガラス状炭素類、黒鉛類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維類、カーボンナノチューブ類、ポリアセン類などが挙げられる。このうち、高比表面積を示す活性炭類が好ましい。炭素材料としての活性炭は、比表面積が1000m2/g以上であることが好ましく、1500m2/g以上であることがより好ましい。比表面積が1000m2/g以上では、放電容量をより高めることができる。この活性炭の比表面積は、作製の容易性から3000m2/g以下であることが好ましく、2000m2/g以下であることがより好ましい。なお、正極では、イオン伝導媒体に含まれるアニオン及びカチオンの少なくとも一方を吸着、脱離して蓄電するものと考えられるが、さらに、イオン伝導媒体に含まれるアニオン及びカチオンの少なくとも一方を挿入、脱離して蓄電するものとしてもよい。
上述した実施形態では、特に説明しなかったが、第1集電体21と第2集電体22との間には、ヒューズ機構を備えた接続部を有するものとしてもよい。なお、負極集電部20では、第1集電体21の抵抗が第2集電体22の抵抗に比べて大きいことによって第1集電体21そのものがヒューズの役割を果たすことから、改めてヒューズ機構を加えなくとも徐放電機構が担保される。
以下には、上述した蓄電デバイスを具体的に作製した例を実施例として説明する。
まず、第2集電体に比して高抵抗である層状の第1集電体について、その有効性を検討した。図3は、第1集電体21の厚さtと、柱状負極12の端面の面積Sと、第1集電体21の抵抗との関係図である。図3Aが厚さt/面積Sに対する抵抗比の関係図であり、図3Bが理想的な第1集電体121の構成図であり、図3C、Dが厚さtの異なる層状の第1集電体21の構成図である。図3Bに示すように、多本数の柱状負極12を有する蓄電デバイス10において、低抵抗である第2集電体22と柱状負極12との間にそれぞれ高抵抗な柱状の第1集電体121を配設すると、通常時は柱状負極12が並列接続されているため、高抵抗な第1集電体121が存在しても全体では電流負荷が低減される。一方、局所で短絡が生じた場合は、高抵抗な第1集電体121の存在によって、短絡部分の電流集中が大幅に抑制される徐放電の効果が得られると予想される。しかしながら、柱状負極12と同形の第1集電体121を多数(数百~数万)の柱状負極12のそれぞれに形成することは極めて困難である。そこで、図3C,3Dに示すように、比較的作製が容易である膜状や板状を含む層状の第1集電体21を形成した場合において、図3Bに示す蓄電デバイス110と同じような効果が得られるかを検討した。ここでは、図3Bの第1集電体121の抵抗値を「1」に規格化し、層状の第1集電体21の抵抗値が第1集電体21の厚さtに応じてどのような挙動をするかについて計算により検討した。図3Aがその計算結果である。図3Aの縦軸は、層状の第1集電体21の抵抗値を柱状の第1集電体121の抵抗値で除算して規格化した値とした。図3Aの横軸は、第1集電体21の厚さt(μm)を柱状負極12の1本の端面面積S(μm2)で除算し、単位面積あたりの厚さとして規格化した値とした。図3Aに示すように、厚さtが極限まで薄くなれば、第1集電体21の面方向(図3の横方向)に流れる電流が略なくなり、図3Bの第1集電体121と同じ抵抗「1」を示す。一方、図3Dに示すように、厚さtが厚くなれば、第1集電体21の面方向に流れる電流が多くなり、高抵抗層の効果が減少する。図3Aに示すように、t/Sが0.01以下では、第1集電体121の35%以上の抵抗値を示し、高抵抗の第1集電体21の効果が得られるものと推察された。
(実施例1)
(蓄電デバイスの作製)
直径dが7μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製)を400本撚糸して結束した直径Dが156.5μmの炭素繊維結束体を柱状負極とした。この柱状負極に対し、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解させた溶液をディップ法で被覆、乾燥することで、5μmの膜厚で負極の表面に分離膜としてのポリマー膜を均一塗布した。次に、正極活物質(LiNi0.5Co0.2Mn0.32)と、導電材としてのアセチレンブラック(デンカ社製HS-100)と、導電材としての気相成長炭素繊維(昭和電工製VGCF)と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ製PVdF7305)とを質量比で90:4:2:4となるよう配合したものにN-メチルピロリドンを加えて正極合材ペーストとした。上記のポリマー被覆負極に対して正極スラリーをディップコートして、正極合材の厚さが35μmとなるように正極合材層を形成した。このように作製した負極/ポリマー膜/正極合材層の単セルを107列×495行(52965本)で積層して、静水圧プレスを用いてプレスすることで、96.2mm×24.5mm、高さ88mm)の電極構造体を得た。この電極構造体をAl製のケースに収納し、正極から露出した柱状負極の先端側に分離膜と同等の絶縁層を形成したのち、銀及び銀ナノ粒子を分散したインクを厚さ15.65μmとなるように印刷処理し、柱状負極の端面に電気的に接続した層状の第1集電体を形成した。第1集電体を形成後、120℃で熱処理した。そして、第1集電体の上面に第2集電体としての銅箔(厚さ100μm)を貼付し、押厚して固着させた。Alケースは、電極構造体の側面に電気的に接続し、正極集電体とした。このケースに非水電解液を注液して封止することにより得られた試験セルを実施例1とした。非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比で30/40/30で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。図4は、実施例1,2の蓄電デバイス10の説明図である。この蓄電デバイス10では、正極16と第1集電体21との間に絶縁層23が形成されている。
(実施例1の抵抗及び徐放電機構の検討)
実施例1において、第1集電体の体積抵抗率は1.68×10-4Ωmであり、第2集電体の体積抵抗率は1.65×10-8Ωmである。また、第1集電体の厚さは15.65μmであり、第2集電体の厚さは100μmであり、第1集電体の総抵抗は、1.87×10-6Ωであり、第2集電体の総抵抗は、6.60×10-4Ωと見積もられる。負極集電部の全抵抗の大きさは、第1集電体の総抵抗+第2集電体の総抵抗であり、6.62×10-4Ωであるから、セル全体の抵抗に対して負極集電部の総抵抗値は、0.7mΩ以下を満たすものであった。一方、各集電体を単セル1本あたりの抵抗で比較すると、第1集電体の抵抗は、9.91×10-2Ωであり、第2集電体の総抵抗は、6.60×10-4Ωであり、各集電体層の抵抗の大きさは、第1集電体>>第2集電体を満たすものであった。ここで、第1集電体と柱状負極との接点付近で短絡が生じた場合を検討する。ここでは、第1集電体の抵抗が隣の電極からの電流の流れ込みが起こらない程度に十分大きいので、放電時間は第1集電体の柱状負極1本あたりの抵抗で決まる放電電流との間に、柱状負極1本あたりの第1集電体抵抗=セル平均電圧/放電電流、との関係が成り立つ。実施例1では、負極1本あたりの抵抗は、6.75×10-2Ωであるので、セル平均電圧を3.7Vとすると、放電電流は37.3Aとなる。したがって、放電時間=35Ah/放電電流=35/37.3=0.937hとなる。即ち、実施例1の負極集電部の構造によれば、単セル同士で短絡が生じた場合であっても、高抵抗な第1集電体の存在によって、放電時間約1時間の徐放電機構が成立することが明らかとなった。
(実施例2)
直径40μm、長さ88mmの炭素ロッドからなる柱状負極を用い、実施例1と同様に、厚さ5μmの分離膜で被覆したあと、厚さ35μmの正極合材を被覆した単セルを作製した。これを縦107列、横495行結束して、縦24.5mm×横92.6mm×高さ88mmの蓄電デバイスとした。この上面に、図4に示したように、第1集電体として導電性高分子(ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホン酸,体積抵抗率3×10-6Ωm)を厚さ50μmとなるように形成した。この第1集電体の上面に第2集電体としての厚さ100μmの銅箔(体積抵抗率1.68×10-8Ωm)を配置し、押厚して固着させた。実施例1と同様に、作製した電極構造体をAlケースに入れ、電解液を注液して得られた蓄電デバイスを実施例2とした。表1に、実施例1、2の計算結果をまとめた。
(実施例2の抵抗及び徐放電機構の検討)
第1集電体の厚さが50μmであり、第2集電体の厚さが100μmである。第1集電体の総抵抗は1.27×10-6Ωであり、第2集電体の総抵抗は6.60×10-4Ωと見積もられた。負極集電部の全抵抗の大きさは、第1集電体の総抵抗+第2集電体の総抵抗であるので、6.61×10-4Ωであり、セル全体の抵抗に対して負極集電部の総抵抗は、0.7mΩ以下を満たすことがわかった。一方、各集電体の単セル1本あたりの抵抗で比較すると、第1集電体の抵抗は6.75×10-2Ωであり、第2集電体の総抵抗が6.60×10-4Ωであるから、各集電体の抵抗の大きさは、第1集電体>>第2集電体を満たすことがわかった。また、実施例2において、柱状負極1本あたりの抵抗は6.75×10-2Ωであるので、セル平均電圧3.7Vとすると、放電電流は54.8Aとなり、放電時間=35Ah/放電電流=35/54.8=0.639となる。即ち、実施例2の負極集電部の構造によれば、単セル同士で短絡が生じた場合であっても、高抵抗な第1集電体の存在によって、放電時間約30分以上の徐放電機構が成立することが明らかとなった。
Figure 0007207348000001
なお、本開示は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
10,110 蓄電デバイス、11 単セル、12 負極、12a 端面、14 炭素繊維、15 分離膜、16 正極、17 正極集電体、20 負極集電部、21,121 第1集電体、21a,22a 平面、22 第2集電体、23 絶縁層、d,D 直径、N 本数、t,T 厚さ、S 面積。

Claims (9)

  1. 負極活物質を含む複数の柱状負極と、
    各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、
    正極活物質を含み、隣合う前記分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極と、
    前記正極から露出した複数の前記柱状負極の端面に接続された層状の第1集電体と、前記第1集電体に接続された層状の第2集電体とを備えている負極集電部と、を備え、
    前記第1集電体は、前記第2集電体よりも高い体積抵抗率を有し、前記第2集電体の100倍以上の体積抵抗率を有する、蓄電デバイス。
  2. 負極活物質を含む複数の柱状負極と、
    各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、
    正極活物質を含み、隣合う前記分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極と、
    前記正極から露出した複数の前記柱状負極の端面に接続された層状の第1集電体と、前記第1集電体に接続された層状の第2集電体とを備えている負極集電部と、を備え、
    前記第1集電体は、前記第2集電体よりも高い体積抵抗率を有
    前記第1集電体は、体積抵抗率が1.0×10 -6 Ωm以上であり、
    前記第2集電体は、体積抵抗率が1.0×10 -7 Ωm以下である、蓄電デバイス。
  3. 前記負極集電部の総抵抗が0.7mΩ以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス。
  4. 負極活物質を含む複数の柱状負極と、
    各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、
    正極活物質を含み、隣合う前記分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極と、
    前記正極から露出した複数の前記柱状負極の端面に接続された層状の第1集電体と、前記第1集電体に接続された層状の第2集電体とを備えている負極集電部と、を備え、
    前記第1集電体は、前記第2集電体よりも高い体積抵抗率を有
    前記負極集電部の総抵抗が0.7mΩ以下である、蓄電デバイス。
  5. 前記柱状負極の端面の面積Sに対する前記第1集電体の厚さtの比t/Sが0.01以下である、請求項3又は4に記載の蓄電デバイス。
  6. 負極活物質を含む複数の柱状負極と、
    各柱状負極の周囲を囲うように設けられた分離膜と、
    正極活物質を含み、隣合う前記分離膜同士の間を埋めるように設けられた正極と、
    前記正極から露出した複数の前記柱状負極の端面に接続された層状の第1集電体と、前記第1集電体に接続された層状の第2集電体とを備えている負極集電部と、を備え、
    前記第1集電体は、前記第2集電体よりも高い体積抵抗率を有
    前記柱状負極の端面の面積Sに対する前記第1集電体の厚さtの比t/Sが0.01以下である、蓄電デバイス。
  7. 前記第1集電体は、その厚さtが前記第2集電体の厚さTよりも小さい、請求項1~のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  8. 前記第1集電体は、その厚さtが前記第2集電体の厚さTの1/2以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
  9. 前記第1集電体は、500本以上の前記柱状負極が並列接続されている、請求項1~のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
JP2020029272A 2020-02-25 2020-02-25 蓄電デバイス Active JP7207348B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020029272A JP7207348B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 蓄電デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020029272A JP7207348B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 蓄電デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021136081A JP2021136081A (ja) 2021-09-13
JP7207348B2 true JP7207348B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=77661520

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020029272A Active JP7207348B2 (ja) 2020-02-25 2020-02-25 蓄電デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7207348B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011007548A1 (ja) 2009-07-14 2011-01-20 川崎重工業株式会社 ファイバー電極を備える蓄電デバイス及びその製造方法
WO2011007549A1 (ja) 2009-07-14 2011-01-20 川崎重工業株式会社 ファイバー電極及びファイバー電池、並びにその製造方法、ファイバー電極及びファイバー電池の製造設備
JP2018152229A (ja) 2017-03-13 2018-09-27 株式会社豊田中央研究所 二次電池
JP2019185933A (ja) 2018-04-04 2019-10-24 株式会社豊田中央研究所 二次電池及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011007548A1 (ja) 2009-07-14 2011-01-20 川崎重工業株式会社 ファイバー電極を備える蓄電デバイス及びその製造方法
WO2011007549A1 (ja) 2009-07-14 2011-01-20 川崎重工業株式会社 ファイバー電極及びファイバー電池、並びにその製造方法、ファイバー電極及びファイバー電池の製造設備
JP2018152229A (ja) 2017-03-13 2018-09-27 株式会社豊田中央研究所 二次電池
JP2019185933A (ja) 2018-04-04 2019-10-24 株式会社豊田中央研究所 二次電池及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021136081A (ja) 2021-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6631568B2 (ja) 二次電池及びその製造方法
JP6919488B2 (ja) 二次電池及びその製造方法
DE112018007342T5 (de) Hybridelektroden und elektrochemische zellen und module, die diese verwenden
US11171389B2 (en) Secondary battery and method for producing the same
US7651818B2 (en) Lithium ion secondary battery and charging method therefor
JP2018152229A (ja) 二次電池
JP7234853B2 (ja) 電極構造体、二次電池及び電極構造体の製造方法
JP7111119B2 (ja) 蓄電デバイス
JP7007240B2 (ja) 二次電池
JP7215439B2 (ja) 蓄電デバイス及び蓄電デバイスモジュール
JP7207348B2 (ja) 蓄電デバイス
JP2019160733A (ja) 二次電池
JP6991876B2 (ja) 二次電池
JP7200971B2 (ja) 蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
JP7136150B2 (ja) 蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス
JP7322903B2 (ja) 蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法
JP7424120B2 (ja) 蓄電デバイス
JP2004253341A (ja) 電気化学素子
JP7047826B2 (ja) 活物質膜及び蓄電デバイス
JP2020080208A (ja) 二次電池及び柱状電極
JP2022131712A (ja) 蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
JP7298380B2 (ja) 二次電池用負極及びそれを用いた二次電池
JP7180131B2 (ja) 二次電池及びその製造方法
JP2023065025A (ja) 構造体、蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法
JP6991877B2 (ja) 二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220815

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7207348

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150