JP7206746B2 - 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
ポリイミド樹脂を含む基材と、
前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、グリシジル基を有するシロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である接着層と、
を備える定着部材。
<2>
前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、1つ又は2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーである<1>に記載の定着部材。
<3>
前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーである<2>に記載の定着部材。
<4>
前記接着層全体に対する、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が10質量%以上90質量%以下である<1>~<3>のいずれか1項に記載の定着部材。
<5>
前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である<1>~<4>のいずれか1項に記載の定着部材。
<6> 前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである<5>に記載の定着部材。
<7>
前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである<6>に記載の定着部材。
<8>
前記接着層において、前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量に比べ、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が多い<5>~<7>のいずれか1項に記載の定着部材。
<9>
前記接着層において、前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して20質量%以上80質量%以下である<8>に記載の定着部材。
<10>
前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、SiH基を有するシロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である<1>~<9>のいずれか1項に記載の定着部材。
<11>
前記接着層において、前記SiH基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量に比べ、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が多い<10>に記載の定着部材。
<12>
前記接着層において、前記SiH基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して20質量%以上80質量%以下である<11>に記載の定着部材。
<13>
前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、シランカップリング剤を含む組成物の硬化物層である<1>~<12>のいずれか1項に記載の定着部材。
<14>
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、<1>~<13>のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
<15> <14>に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<16>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、<14>に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
<3>に係る発明によれば、グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、1つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーである場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<4>に係る発明によれば、グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が10質量%未満である場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<5>、<6>、又は<7>に係る発明によれば、接着層が、末端にビニル基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である定着部材に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<8>、又は<9>に係る発明によれば、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量に比べ、グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が少ない場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<10>に係る発明によれば、接着層が、末端にビニル基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である定着部材に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<11>、又は<12>に係る発明によれば、SiH基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量に比べ、グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が少ない場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<13>に係る発明によれば、接着層が、末端にビニル基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である定着部材に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材が提供される。
<14>、<15>又は<16>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂を含む基材と、基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、基材と弾性層との間に設けられ接着層と、を備え、接着層が、末端にビニル基を有するシロキサンポリマーのみを含む組成物の硬化物層である定着部材を適用した場合に比べ、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性に優れた定着部材を備えた、定着装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
そして、弾性層110Bは、シリコーンゴムを含む。一方、接着層110Dは、グリシジル基を有するシロキサンポリマー(以下「グリシジル基含有シロキサンポリマー」とも称する)を含む組成物の硬化物層である。
しかし、ポリイミド樹脂を含む基材110Aとシリコーンゴムを含む弾性層110Bとを接着させた場合、繰り返しの定着動作により、基材110Aと弾性層110Bとの界面で剥離し、接着耐久性が低い傾向がある。特に、高温高湿環境下では、基材110Aと弾性層110Bとの界面での剥離が生じやすい。
そのため、基材110Aと弾性層110Bとを接着する接着層に、グリシジル基を有するシロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である接着層110Dを適用すると、基材110Aと弾性層110Bとの接着性が向上する。その結果、高湿高温環境下における接着耐久性が向上する。
本実施形態に係る定着部材は、ベルト状の部材(定着ベルト)が例示できる。
基材は、ポリイミド樹脂を含む。つまり、基材としては、ポリイミド樹脂層が適用されることがよい。ポリイミド樹脂層には、周知の添加剤が含まれていてもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
・カラム:東ソーTSKgelα-M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
接着層は、基材と弾性層とを接着するための層である。接着層は、グリシジル基含有シロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である。
グリシジル基含有シロキサンポリマーは、1つ以上のグリシジル基と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
グリシジル基含有シロキサンポリマーの1分子が有するグリシジル基の数は、1以上であり、基材と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。
特に、グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、1つ又は2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーであることが好ましく、2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーであることがより好ましい。
グリシジル基含有シロキサンポリマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上50000以下が好ましい。
グリシジル基含有シロキサンポリマーの数平均分子量は、例えば200以上100000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上50000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
グリシジル基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記一般式(GS)で表される化合物が挙げられる。
一般式(GS)中、RG1~RG8が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(GS)中、RG1~RG8が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
また、一般式(GS)中のRG3とRG4とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(GS)中のRG1とRG2とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(GS)中のRG5とRG6とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、接着層は、グリシジル基含有シロキサンポリマーと共に、さらに、有機チタネート化合物、SiH基を有するシロキサンポリマー、及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を含む組成物の硬化物層であることがよい。
有機チタネート化合物は、シランカップリング剤(アルキルシラン等)に比べ、加水分解時の反応速度が速く、ポリイミド樹脂を含む基材の少ない官能基に対しても加水分解及び脱水縮合反応が十分に発生する。そのため、基材と弾性層との高湿高温環境下における接着耐久性が向上し易くなる。
有機チタネート化合物としては、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、アルキルチタネートが好ましく、テトラアルキルチタネートがより好ましい。
より具体的には、有機チタネート化合物としては、下記一般式(T1)又は(T2)で示される有機チタネート化合物が好ましく、一般式(T1)で示される有機チタネート化合物が好ましい。
・一般式(T1): Ti(OR)4
・一般式(T2):(RO)3Ti-O-Ti(OR)3
ただし、式(T1)及び(T2)中、Rは、それぞれ独立して、アルキル基を表す。
また、有機チタネート化合物としては、(n-C3H7O)3TiOSi(CH3)(OC3H7)2、(n-C3H7O)3TiOSi(CH3)2(OC3H7)、[(CH3)3SiO]3TiOSi(CH3)2(OC3H7)2、[(CH3)3SiO]4Tiも挙げられる。
ここで、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量に比べ、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量が多いことが好ましい。
具体的には、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量は、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して20質量%以上80質量%以下が好ましく、23質量%以上78質量%以下がより好ましく、25質量%以上75質量%以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーは、1つ以上のSiH構造(すなわち、ケイ素原子と水素原子とが直接結合した構造)と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSiH構造の数は、1以上であり、接着剤層と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上100000以下がより好ましく、2以上50000以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上50000以下が好ましい。
SiH含有シロキサンポリマーの数平均分子量は、例えば200以上100000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上50000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
SiH含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R11~R17が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11~R17が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
また、一般式(1)中のR13とR14とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR11とR12とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR15とR16とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
ここで、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、SiH含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量に比べ、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量が多いことが好ましい。
具体的には、SiH含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量は、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して20質量%以上80質量%以下が好ましく、25質量%以上75質量%以下がより好ましい。
シランカップリング剤としては、Si原子にアルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも一方が直接結合した化合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、特に、アルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランは、Si原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、R21~R24が示すアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中のR21~R24は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるテトラアルコキシシランは、これらの中でも、R21~R24がメチル基又はエチル基である化合物が好ましく、R21~R24のいずれもがメチル基である化合物がより好ましい。
ここで、アルケニル基としては、例えば、炭素数2以上4以下のアルケニル基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基が好ましい。
アルケニル系シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中のR31~R33は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基は、これらの中でも、アルケニル基が好ましく、末端に二重結合を有するアルケニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
ここで、高温高湿環境下での基材と弾性層との接着耐久性向上の観点から、シランカップリング剤に由来する成分の含有量に比べ、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量が多いことが好ましい。
具体的には、シランカップリング剤に由来する成分の含有量は、グリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して15質量%以上85質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましい。
その他の成分としては、例えば、補強性フィラー(例えば、シリカ、酸化鉄、酸化セリウム等)等の周知の添加剤も挙げられる。
弾性層は、シリコーンゴムを含む。つまり、弾性層は、シリコーンゴム層であることがよい。
これらの中でも、シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)が好ましい。
水素結合シリル基(-SiH)を有する第1のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第1のポリシロキサンにおいて、水素結合シリル基(-SiH)は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第1のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル基(-CH=CH2)を有する第2のポリシロキサンとしては、特に限定されず、公知の材料が使用され得る。第2のポリシロキサンにおいて、ビニル基は主鎖の末端に存在していても、主鎖の側鎖に存在していてもよい。
これらの第2のポリシロキサンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、補強剤(カーボンブラック等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
表面層は、例えば、耐熱性離型材料(表面層形成用材料)を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
フッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層は、表面層となる筒状体を予め準備し、筒状体の内面に接着層を形成した上で、弾性層の外周上に被覆させることで、表面層を形成してもよい。また、表面層は、筒状体の内周面にビニル基等の官能基を導入した上で、弾性層の外周上に被覆させた後、筒状体の内周面に官能基と弾性層の外周面の官能基とを反応させることで、表面層を形成してもよい。
本実施形態に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係る定着部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、トナー像が表面に形成された記録媒体を第1回転体と第2回転体との接触部に挿通してトナー像を定着する定着装置が例示できる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
(基材(PI基材)の作製)
ポリイミド前駆体(ポリイミドワニス「Uワニス-S」、宇部興産製)のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液を、直径φ30mmの金型上にスパイラル塗布し、380℃まで次のステップ昇温により焼成した。ステップ昇温は、25℃から120℃まで昇温し、120℃で1時間維持し、120℃から250℃まで昇温し、250℃で1時間維持し、250℃から380℃まで昇温し、380℃で1時間維持した後、380℃から25℃まで降温した。
これにより、外径30mm、膜厚60μm、幅400mmのポリイミド樹脂層単層からなる管状の基材を得た。
続いて、接着剤として、下記式(G1)で示されるジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Sigma-Aldrich社製、数平均分子量=800)50質量部と、両末端にSiH基を有する含有ポリ(ジメチルシロキサン) (Sigma-Aldrich社製、数平均分子量=580)50質量部と、をヘプタンに希釈し、10質量%成分とした溶液を、5分間撹拌した後、接着剤塗布液を得た。
これを、ポリイミド樹脂層単層からなる管状の基材の外周面に、ウェス塗布法を用いて接着剤塗布液を塗布し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、30分間風乾後、150℃20分の焼成を行うことで、膜厚0.1μmの接着剤皮膜を形成した。
続いて、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
定着ベルトにおいて、接着剤層の膜厚は0.1μm、弾性層の膜厚は200μm、表面層の膜厚は30μmであった。
ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)に代えて、下記式(G2)で示されるモノグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン) (Sigma-Aldrich社製、数平均分子量=5000)50質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
さらに、テトラノルマルブチルチタネート(オルガチックスTA21;マツモトファインケミカル社製)をジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と等量混合(合計50質量部)した以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
さらに、テトラエトキシシラン(T0100;東京化成工業社製)をジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と等量混合(合計50質量部)した以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
さらに、テトラノルマルブチルチタネート(オルガチックスTA21;マツモトファインケミカル社製)とテトラエトキシシラン(T0100;東京化成工業社製)とを、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)と1:1:2(質量比)で混合(合計76質量部)し、両末端にSiH基を有する含有ポリ(ジメチルシロキサン)を24質量部として、総固形分を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)に代えて、ビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン) (Sigma-Aldrich社製、数平均分子量=25000)50質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
実施例1において、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)を使用せず、両末端にSiH基を有する含有ポリ(ジメチルシロキサン)(ヒドリド末端ポリ(ジメチルシロキサン))100質量部を単独で使用した以外は、実施例1と同様にして、接着剤塗布液を得た。
そして、この接着剤塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
各例で作製した定着ベルトについて、次の評価を実施した。結果を表1に示す。
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出し、切れ目を入れて90°方向剥離試験を行い、弾性層の凝集破壊面積を評価した。
なお、90°剥離試験は、基材を固定し、弾性層側を引っ張って実施する。
そして、弾性層の凝集破壊面積は、基材側の剥離面に対して、弾性層の一部が残存する領域(残存領域)の面積率(%)として測定した。
作製した定着ベルトを、作製直後、ベルトを20mm幅に切り出した。20mm幅に切り出したベルトを、プレッシャークッカー試験(150℃、100%Rh、0.35MPa、100時間、espec社製、高度加速寿命試験装置)に投入後、弾性層と基材と界面に切り目を入れ、弾性層と表面層を保持した状態で、90°方向剥離試験を行い、弾性層の凝集破壊面積を評価した。弾性層が短い長さで母材破断した場合は、弾性層表面をゴム手袋でこすることで、界面はがれの有無を確認し、界面剥離面積(凝集破壊面積=100%-界面剥離面積)を評価した。
なお、表1中、量比の欄において、「(A)(%)」は、接着層において、ポリ(ジメチルシロキサン)に由来する成分の含有量(対接着剤層)を示す。
「(B)/(A)」は、接着層において、有機チタネート化合物に由来する成分の含有量(B)とグリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分(A)との比を示す。
「(C)/(A)」は、接着層において、SiH基含有シロキサンポリマーに由来する成分の含有量(C)とグリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分(A)との比を示す。
「(D)/(A)」は、接着層において、シランカップリング剤に由来する成分の含有量(D)とグリシジル基含有シロキサンポリマーに由来する成分(A)との比を示す。
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
110D 接着層
Claims (14)
- ポリイミド樹脂を含む基材と、
前記基材上に設けられたシリコーンゴムを含む弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に設けられ、グリシジル基を有するシロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である接着層と、
を備える定着部材。 - 前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、1つ又は2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーである請求項1に記載の定着部材。
- 前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーが、2つのグリシジル基を有するシロキサンポリマーである請求項2に記載の定着部材。
- 前記接着層全体に対する、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が10質量%以上90質量%以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の定着部材。
- 前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、有機チタネート化合物を含む組成物の硬化物層である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の定着部材。
- 前記有機チタネート化合物が、アルキルチタネートである請求項5に記載の定着部材。
- 前記アルキルチタネートが、テトラアルキルチタネートである請求項6に記載の定着部材。
- 前記接着層において、前記有機チタネート化合物に由来する成分の含有量と、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量とが等量である請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の定着部材。
- 前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、SiH基を有するシロキサンポリマーを含む組成物の硬化物層である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の定着部材。
- 前記接着層において、前記SiH基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーに由来する成分の含有量に対して100質量%以上200質量%以下である請求項9に記載の定着部材。
- 前記接着層が、前記グリシジル基を有するシロキサンポリマーと共に、シランカップリング剤を含む組成物の硬化物層である請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の定着部材。
- 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。 - 請求項12に記載の定着装置を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項12に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
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