JP7205851B2 - 屈折率測定装置、屈折率測定方法およびプログラム - Google Patents

屈折率測定装置、屈折率測定方法およびプログラム Download PDF

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特許法第30条第2項適用 1.公益社団法人応用物理学会、第65回応用物理学会 春季学術講演会講演予稿集、講演番号:17p-A402-16、発行年月日:平成30年3月5日 2.公益社団法人応用物理学会、第65回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集、講演番号:17p-A402-17、発行年月日:平成30年3月5日 3.公益社団法人応用物理学会、第65回応用物理学会春季学術講演会 早稲田大学西早稲田キャンパス、開催日 平成30年3月17日 4.公益社団法人応用物理学会、第65回応用物理学会春季学術講演会 早稲田大学西早稲田キャンパス、開催日 平成30年3月17日
本発明は、屈折率測定装置、屈折率測定方法およびプログラムに関する。
従来、物質の屈折率を測定する手法としては、様々な方法がある。例えば固体試料の屈折率を測定する方法としては、異なる屈折率を持つ誘電体の平坦な界面での屈折角を測定する最小偏角法や臨界角法などといった方法、エリプソメータのような薄膜試料の干渉効果による反射特性を測定する方法、などが知られている。また、流体(気体及び液体)試料の屈折率を測定する方法としては、マイケルソンモーレー型干渉計や、吸収スペクトル分光法など、試料を伝播する光の吸収を測定するものが一般的である。
実用化されている屈折率測定法には、図30に示すものがある。例えば、プリズムを用いる最小偏角法、臨界角法およびVブロック法は、屈折率のみが測定できる。また、分光エリプソメータは、複素屈折率や膜厚等が測定できる。なお、複素屈折率は、様々な物質の内部での光の挙動を表すパラメータの1つであり、実部は屈折率を表し、虚部は吸収特性を表す。
特許文献1には、光照射に対する導波モード共鳴格子からの反射光を受けてその波長を変化させたときの波長スペクトルまたは照射光の入射角度を変化させたときの角度スペクトルを測定するスペクトル測定手段と、前記スペクトル測定手段の測定結果に基づいてピークの強度から試料への複素屈折率の虚部を計算する演算手段と、を備える屈折率計が記載されている。特許文献1に記載の屈折計は、様々な形態やサイズの試料の複素屈折率(実部および虚部)を高い精度で測定する。
特許文献2には、試料への光照射に対する反射光を受け、照射光の入射角度を変化させたときの角度スペクトルまたは照射光の波長を変化させたときの波長スペクトルを測定し、異なる2つの導波モードの共鳴放射角を求めるスペクトル測定手段を備える導波モード共鳴格子を用いた屈折率測定装置が記載されている。特許文献2に記載の装置は、導波モード共鳴格子の構造が設計通りでない場合や配置がずれた場合でも、試料の屈折率の絶対値を容易に且つ高い精度で算出する。
特許文献3には、半導体または誘電体からなる基板と、プリズム構造を有し、支持台上に設けられる蓋体部と、支持台の上部と蓋体部の下端のいずれか1つに形成される微細流路とを備える微細流路構造体を備えるプリズム入射型シリコン基盤の液浸微細流路測定装置が記載されている。
特開2009-92569号公報 特開2012-58218号公報 特表2018-503810号公報
R. Soref et al., Nature Photon. 4, 495 (2010). B. Jalali, Nature Photon.4, 506 (2010). G.Beadie et al.,Applied Optics54,31(2015)
「赤外屈折率」は、様々な分野に必須のパラメータ(非特許文献1,2参照)であるが、現在までに中近赤外領域(900nm-10μm程度)における精度の高い屈折率測定法は存在しない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極微小量のサンプルの複素屈折率を広帯域かつ高精度に測定する屈折率測定装置、屈折率測定方法およびプログラムを提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明による請求項1に係る屈折率測定装置は、少なくとも中近赤外領域で透明な基板と、前記基板上に、特定の周波数で共振する光アンテナを複数個配置した光アンテナアレイと、入射光を前記基板上の前記光アンテナに照射する照射手段と、前記光アンテナの周囲を透過した透過光の透過強度を測定する測定手段と、を備え、前記測定手段は、前記照射手段が入射光を前記光アンテナの周囲に照射し、前記透過強度が最小となる前記光アンテナの共振周波数を求め、その結果をもとに前記共振周波数対アンテナ周囲の屈折率で示される前記光アンテナの特性曲線を計算し、前記光アンテナの特性曲線上における前記共振周波数から前記光アンテナの周囲の屈折率を測定することを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、極微小量のサンプルの複素屈折率を広帯域かつ高精度に測定する屈折率測定装置、屈折率測定方法およびプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る屈折率測定装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の屈折率測定方法の概要を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナアレイの配置例を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナのナノ構造を示す斜視図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置のBaF基板上に装着された光アンテナアレイのアレイ状配置を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナアレイの配置の状態を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナアレイ中の光アンテナの配置を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置のアンテナアレイの作製例を示す図である。 図5Aの拡大図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナの拡大図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の変形例の光アンテナアレイの配置例を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の変形例の光アンテナのナノ構造を示す斜視図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の屈折率測定装置の作製方法を示す斜視図である。 図7Aの基板にサンプル(PMMA)を塗布して作製した実証用基板を示す斜視図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の作製した実証用基板を用いた測定の概要を説明する図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の実証用基板を用いて、サンプルの複素屈折率を測定するInfrared ray from Cassegrain mirrorを示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナがIncident lightの照射で共振回路になることを説明する図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナが共振回路を形成した場合の共振特性を示す図である。 図11の共振回路の透過スペクトルを示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置のTransmission spectra w/o sampleの周波数特性を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナが共振周波数シフトした場合のTransmission spectra w/o sampleの周波数特性を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の対象サンプルの屈折率と吸収を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナ周囲の屈折率解析結果を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナの特性曲線との誤差Error (%)を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の顕微FTIRを用いて測定した光アンテナアレイの透過スペクトルの一例を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナアレイに対して行って得られたPMMAの屈折率の光周波数依存性を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナが共振周波数シフトした場合の周波数特性を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置のFEMによる数値解析のための解析モデルを示す図である。 図21の解析モデルを用いた透過スペクトルの屈折率依存性の解析結果を示す図である。 図21の解析モデルを用いた透過スペクトルの吸収係数依存性の解析結果を示す図である。 図21の解析モデルを用いて、光アンテナのコ字形リングの一辺のサイズxを600-150nmの範囲で変化させた場合、LC共振(LC Resonance)における特性曲線の導出を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置のFEMによる解析結果と近似曲線との誤差Δnを示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の各FEMプロット点における特性曲線との誤差Δnのカラープロットを行った図である。 図21の解析モデルを用いて、光アンテナのコ字形リングの一辺のサイズxを600-150nmの範囲で変化させた場合、LC共振(LC Resonance)における特性曲線の導出を示す図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の各FEMプロット点における特性曲線との誤差Δnのカラープロットを行った図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の光アンテナ装着基板上の光アンテナアレイの配置を示す平面図である。 図29Aのx1領域の光アンテナアレイ内のコ字形リングの光アンテナ10のサイズおよび配置を示す図である。 図29AにおいてIncident lightを照射した場合の側面図である。 本実施形態に係る屈折率測定装置の屈折率測定方法と実用化されている各屈折率測定法とを対比して示し効果を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る屈折率測定装置の構成を示す図である。
本発明は、メタマテリアルの共振を用いて、極微小量の液状サンプルの複素屈折率を広帯域かつ高精度に測定する屈折率測定装置および屈折率測定方法である。本発明は、新しい屈折率測定装置および屈折率測定方法として、「ナノアンテナ共振を用いた広帯域複素屈折率測定」(Infrared Refractive Index Measurement using Metamaterial Resonance: RIM-MR)と命名する。
図1に示すように、屈折率測定装置1は、少なくとも中近赤外領域(900nm-10μm程度)で透明な基板2と、基板2上に、特定の周波数で共振する光アンテナ(Optical Nano-antenna)10を複数個配置した光アンテナアレイ(Optical Nano-antenna array)100と、Incident light(入射光)を基板2上の光アンテナ10に照射する照射手段3(図9参照)と、光アンテナ10の周囲を透過したTransmitted lightの透過強度を測定する顕微FTIR4(測定手段)(図2参照)と、を備える。
<基板2>
基板2は、例えば中近赤外領域(900nm-10μm程度)で透明なBaF(フッ化バリウム)基板2である。BaF基板2は、透過波長領域が可視から赤外域まで95%以上の平均透過率を有する。なお、BaF基板に代えて、中近赤外領域(900nm-10μm程度)で透明な他の化合物単結晶(多結晶)基板、例えばCaF(フッ化カルシュウム)基板を用いてもよい。
<光アンテナ10>
光アンテナ10は、金属(例えば、Au,Ag,Cu,Al,Ti)で構成されたナノスケールのメタマテリアル(金属アンテナ)である。光アンテナ10は、特定の周波数で共振する電気回路、すなわち抵抗R、コイルL、コンデンサCを直列または並列に接続したRLC回路を構成する。光アンテナ10は、特定の周波数で共振する電気回路(RLC回路)であればどのような構造でもよい。本実施形態では、作製誤差の低減の観点(後述)から矩形環状の一端を切り欠いてコ字型リングに形成したナノ構造としている。
各光アンテナ10は、構成要素となるナノ構造は同一であるが、外形寸法や切欠きの幅を僅かに変えることで、それぞれの光アンテナ10は、共振周波数の特性の異なるメタマテリアルとなっている。光アンテナ10の集合体が光アンテナアレイ100を形成する。なお、詳細は後述するが、光アンテナアレイ100の一つ一つが、光アンテナ10の共振周波数の特性曲線の1プロットに対応する。
光アンテナ10には、プラズモン(plasmon)励起を起こす近赤外光が照射される。プラズモンは、プラズマ振動の量子であり、金属中の自由電子が集団的に振動して擬似的な粒子として振る舞う状態をいう。光アンテナ10の金属表面や金属微粒子の表面プラズモン(Surface Plasmon)が励起されると、表面に局在した強い電磁場が誘起される。本実施形態では、光アンテナ10に表面プラズモンを併用する。なお、表面プラズモン共鳴のためには、Au、Agの貴金属材料が好ましい。
図2は、屈折率測定方法の概要を示す図である。
図2に示すように、屈折率測定装置1は、顕微FTIR4(測定手段)と、光アンテナ10の周囲の屈折率を記憶するテーブル(記憶手段5)と、顕微FTIR4による、測定結果を解析してサンプル(試料)の複素屈折率(屈折率nと吸収係数κ)を得る紫外可視近赤外分光光度計6(測定手段)と、を備える。上記測定手段4、記憶手段5および解析手段6の詳細については後記する。
顕微FTIR4は、実証用基板20(光アンテナ装着基板)を透過したTransmitted lightの透過強度を測定する測定手段としての機能を有する。
顕微FTIR4は、入射光を光アンテナ10の周囲に照射し、光アンテナ10の共振周波数を求め、その結果から光アンテナ10の特性曲線を計算して、光アンテナ10の周囲の屈折率を測定する。
顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いた場合の光アンテナ10の共振周波数と、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かない場合の光アンテナ10の共振周波数との共振周波数シフトをもとに、サンプル8の屈折率を測定する。
顕微FTIR4は、光アンテナアレイ100に対して、サンプル8の屈折率を広帯域に測定する。
屈折率測定装置1の顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲の屈折率をテーブルとして記憶する記憶手段5を備え、このテーブルは、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かないで測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を初期値として格納する。顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いて測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を、このテーブルに格納された該当光アンテナの初期値で初期化して、該当サンプルの屈折率を測定する。
紫外可視近赤外分光光度計6は、顕微FTIR4による、測定結果を解析してサンプル(試料)の複素屈折率(屈折率と吸収係数)を得る解析手段としての機能を有する。
紫外可視近赤外分光光度計6は、広帯域に測定したサンプル8の屈折率をもとに、クラマース・クローニッヒの関係式に従ってサンプル8の吸収定数κを求める。
図3A-Bは、光アンテナ10および光アンテナアレイ100の構成を示す図であり、図3Aは、光アンテナアレイ100の配置例を示す図、図3Bは、光アンテナ10のナノ構造を示す斜視図である。
図1および図3A-Bに示すように、光アンテナ10は、矩形環状体の幅が、例えば50nmである。また、高さ(厚さ)は、例えば50nmである。コ字型(円形環状で構成する場合はC字型)の金属のメタマテリアルである。図3Bに示すように、光アンテナ10は、矩形環状体の縦横比が、例えば1:1(x:x)であり、矩形環状体の幅が、例えば50nmである。また、高さ(厚さ)は、例えば50nmである。矩形環状体の幅と高さ(厚さ)と金属の材質は、光アンテナ10の共振周波数の特性に大きな影響を及ぼさない。これに対して、矩形環状体の縦横の長さ、すなわち光アンテナ10の大きさ(外形寸法)と矩形環状体の切欠き(図3Bでは一辺)の長さは、光アンテナ10の共振周波数の特性に影響を及ぼす。この点に着目して、各光アンテナ10の外形寸法や切欠きの幅を僅かに変えることで、光アンテナアレイ100の共振周波数の特性曲線のプロットを多数測定可能にする。
また、光アンテナ10は、作製誤差により設計上の寸法通りに作製することは難しい。例えば、EB(electron beam)で掃引した場合、一番最後のエッジの部分の形状が変わる、またリフトオフ時の剥がした時の弱さによりコ字形リング(またはバー形状)のエッジが丸まったり拡がったりする。
ちなみに、後記する図6A-Bに示すC字型の光アンテナ10Aでは、設計上の寸法通りに作製することはより難しい。そこで、本実施形態では、光アンテナアレイ100を形成後に、一旦空気中で測定し、光アンテナ10の周囲の屈折率を初期値として格納する。光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いて測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を、テーブルに格納された該当光アンテナ10の初期値で初期化して、サンプル8(図1参照)の屈折率を測定することで、各光アンテナ10の作製時の誤差を吸収する方法をとる。
<光アンテナアレイ100>
光アンテナアレイ100は、光アンテナ10をアレイ状に配置した光アンテナ10の集合体である。
例えば、図1および図3Aに示すように、光アンテナアレイ100は、光アンテナ10をアレイ状に配置した領域λ1~λ9を有する。光アンテナアレイ100の具体的な配置は下記の通りである。
図4A-Cは、光アンテナアレイ100の配置を示す平面図であり、図4AはBaF基板2上に装着された光アンテナアレイ100のアレイ状配置を示す図、図4Bは光アンテナアレイ100の配置の状態を示す図、図4Cは光アンテナアレイ100中の光アンテナ10の配置を示す図である。
図4Aに示すように、BaF基板2上に、特定の周波数で共振する光アンテナアレイ100を複数個配置する。光アンテナアレイ100は、a×aの領域に、図4Bに示す光アンテナ10をアレイ状に配置する。上記領域サイズaは、例えば100μmである。また、隣接する光アンテナアレイ100同士の間隔は、上記領域サイズaと同じとする。なお、光アンテナアレイ100の配置は一例であり、隣接する光アンテナアレイ100同士の間隔は、上記領域サイズaとは異なるサイズであってもよい。
図4Cに示すように、光アンテナアレイ100内の光アンテナ10の形状は、コ字形リングであり、1つの光アンテナアレイ100内の形状はすべて同じである。光アンテナ10は、一辺の長さx、隣接する光アンテナ10間距離x、リングの幅50nmである。
光アンテナアレイ100の一つ一つが、光アンテナ10の共振周波数の特性曲線の1プロットに対応する。
<光アンテナアレイ100および光アンテナ10の作製例>
図5A-Cは、光アンテナアレイ100および光アンテナ10の作製例を示す図であり、図5Aは光アンテナアレイ100の作製例を示す図、図5Bは図5Aの拡大図、図5Cは光アンテナ10の拡大図である。
図5A-Cに示すように、後記する実証用基板作製プロセス(図7A参照)によって光アンテナアレイ100および光アンテナ10を作製した。
<光アンテナの変形例>
図6A-Bは、変形例の光アンテナ10Aおよび光アンテナアレイ100Aの構成を示す図であり、図6Aは、光アンテナアレイ100Aの配置例を示す図、図6Bは、光アンテナ10Aのナノ構造を示す斜視図である。
図6Bに示すように、光アンテナ10Aは、図3A-Bの光アンテナ10に比べよりリング状となっている。光アンテナ10Aは、矩形環状体の幅が、例えば50nmである。また、高さ(厚さ)は、例えば50nmである。図6Bに示すように、光アンテナ10は、矩形環状体の縦横比が、例えば1:1(x:x)であり、矩形環状体の幅が、例えば50nmである。また、高さ(厚さ)は、例えば50nmである。
<実証用基板作製プロセス>
実証用基板作製プロセスについて説明する。
図7A-Bは、実証用基板作製プロセスを説明する図であり、図7Aは、屈折率測定装置の作製方法を示す斜視図、図7Bは、図7Aの基板にサンプル8(例えばPMMA)を塗布して作製した実証用基板を示す斜視図である。
図7Aに示すように、透明な基板2を準備する。基板2は、例えばBaF基板であるが、どのような基板でもよい。本実施形態では、中近赤外領域(900nm-10μm程度)における精度の高い屈折率測定法であるので、この中近赤外領域で透明な他の化合物単結晶(多結晶)基板を用いる。
1.EB描画
BaF基板2の表面にレジストを塗布し、EB7により光アンテナ10の形状を描画する。光アンテナ10の形状は、EB7照射側から見た場合、例えば図6Bに示すコ字形リングであり、一辺のサイズx、幅50nmである。なお、この光アンテナ10は、後記図29Bに示すようにアレイ状に配置され、光アンテナアレイ100を構成する。
2.現像
EB描画されたBaF基板2の表面のレジストを現像により除去する
3.金属蒸着
BaF基板2の表面に、メタマテリアルとなる金属材料(例えばAu、またはTi/Au:40/10nm)を蒸着する。
4.リフトオフ(lift-off)
リフトオフによりBaF基板2上に、ナノスケールのメタマテリアルとなる光アンテナ10を形成する。
このように、電子ビーム描画およびリフトオフプロセスを用いて、BaF基板2上に前記図5Cに示す光アンテナ10が形成される。光アンテナ10は、前記図5A-Bに示すようにアレイ状に配置され、各領域が1つの光アンテナアレイ100を構成する。BaF基板2上に異なる共振周波数をもつ光アンテナアレイ100が複数個配置される。光アンテナアレイ100同士の間隔は、例えば100μmである。
本実施形態では、光アンテナ10を、100×100μmの光ナノアンテナ100領域に配置した。また、光アンテナ10は、コ字形リングのメタマテリアルとし、一辺のサイズx=150-600nmをEBで描画した。
次に、上記実証用基板へのサンプルの導入について述べる。以下、サンプルとして、PMMAの複素屈折率を測定する例について述べる。
図7Aに示す光アンテナ10(光アンテナアレイ100)が装着(装荷)された実証用基板20(光アンテナ装着基板)に、屈折率測定の対象となるサンプル8を塗布または滴下する。
図7Bに示すように、実証用基板20上に、スピンコート法(例えば1:1スピンコート法)でサンプル8を塗付して、サンプル8を有する実証用基板20が完成した。サンプル8は、液状サンプルであり、例えばPMMA(Polymethyl methacrylate:ポリメタクリル酸メチル樹脂)の屈折率を測定する。
<作製した基板の概要>
作製した基板の概要について説明する。
図8は、作製した実証用基板20(光アンテナ装着基板)を用いた測定の概要を説明する図である。
図8に示すように、作実証用基板20(光アンテナ装着基板)は、測定用基板9に載置され、屈折率測定にあたり測定用基板9として取り扱われる。測定用基板9は、例えば金属板であり、円形の開口部9a~9cが開口している。図8では、実証用基板20は、測定用基板9の開口部9aを上面から覆うように載置される。実証用基板20は、指で摘まんで移動できる。
図9は、実証用基板20を用いて、サンプル8の複素屈折率を測定するInfrared ray from Cassegrain mirrorを示す図である。
図9に示すように、屈折率測定装置1(図1参照)は、Incident lightを作実証用基板20上の光アンテナ10に照射するInfrared ray from Cassegrain mirror3(図1の照射手段)を備える。
Infrared ray from Cassegrain mirror3は、実証用基板20上の光アンテナ10にIncident light(入射光)を照射する。
以下、上述のように構成されたる屈折率測定装置の屈折率測定方法について説明する。
[原理説明]
まず、本発明の屈折率測定装置および屈折率測定方法の原理について説明する。
本発明は、メタマテリアルの共振を用いて、極微小量の液状サンプルの複素屈折率を広帯域かつ高精度に測定する。
本発明者らは、入射光の周波数がメタマテリアルの共振周波数に一致すると、内部に強い自由電子の振動が現れ、それに伴ってエネルギーの減衰が起きることに着目した。このとき、メタマテリアルの周囲を測定対象のサンプル材料で埋めた場合、その材料の複素屈折率によってLおよびCの値が変化し、メタマテリアルの共振に伴うエネルギー減衰周波数のシフトが確認される。特に、エネルギー減衰周波数のシフトは、サンプル材料の屈折率に支配的となる。
図10は、光アンテナ10がIncident lightの照射で共振回路になることを説明する図である。
図10に示すように、光アンテナ10は、Incident lightの照射でInduced currentが生起し、RLC回路は共振回路を形成する。
図11は、光アンテナ10が共振回路を形成した場合の共振特性を示す図である。図12は、図11の共振回路の透過スペクトルを示す図である。
図11の円矢印に示すように、光アンテナ10が共振回路を形成した場合、コ字形リング全周に、LC共振(LC Resonance)が発生すると共に、図11の直線矢印に示すように、コ字形リングの一辺にMie共振(Mie Resonance)が発生する。
解析結果の図12に示すように、透過スペクトルには、2つの共振周波数のLC ResonanceとMie Resonanceとが発生している。
また、上記光アンテナ10は、光アンテナ10の近傍のサンプル8の有無によって共振周波数がシフトする。
すなわち、サンプル8を塗布していない場合の透過スペクトルに対してサンプル8を塗布した場合には、屈折率変化に伴う光アンテナ10の共振周波数シフトが確認される(図14で後記)。
以下、上記原理説明についてより詳細に述べる。
<光アンテナを用いた屈折率測定方法の手順>
(準備)
まず、図1に示すように、可視から中近赤外領域まで透明なBaF基板2上に、特定の周波数で共振する光アンテナアレイ100を複数個配置したチップ(光アンテナ装着基板)を用意する。
<手順(1)>
顕微赤外分光を用いて、サンプル8を塗布していない状態、すなわち空気の場合の光アンテナ10の共振周波数(透過強度が最小となる周波数)を求める。そして、その結果から光アンテナ10の特性曲線(共振周波数対アンテナ周囲の屈折率)を計算する(後述)。
図13は、Transmission spectra w/o sampleの周波数特性を示す図であり、上段はその透過率(Transmittance)を示し、下段はその屈折率(Refractive index)を示す。
図13の上段に示すように、光アンテナ10の共振周波数(Resonance frequency)を求める。次に、図13の下段に示すように、光アンテナ10の特性曲線(Characteristic curve)上における該当共振周波数を屈折率(Refractive index)1とする。
<手順(2)>
前記チップ(光アンテナ装着基板)上に対象の液状サンプル8(PMMA)を滴下し、上記手順(1)と同様の測定を行うことで光アンテナ100の共振周波数を求め、先ほどの特性曲線と合わせることで特定の周波数における屈折率を得る。
図14は、光アンテナ10が共振周波数シフトした場合のTransmission spectra w/o sampleの周波数特性を示す図であり、上段はその透過率(Transmittance)を示し、下段はその屈折率(Refractive index)を示す。
図14の上段の破線に示すように、光アンテナ10が共振周波数シフトした場合の共振周波数を求める。次に、図14の下段に示すように、光アンテナ10の特性曲線上における共振周波数シフトした場合の共振周波数を屈折率(Refractive index)nとする。
<手順(3)>
以上の操作を全ての光アンテナアレイ100に対して行うことで、最終的に対象サンプルの屈折率nを広帯域に得ることが可能となる。
図15は、対象サンプルの屈折率(図15の左縦軸)と吸収(図15の右縦軸)を示す図である。図15に示すように、対象サンプルの屈折率nを広帯域に得ることができる。図15中、K.K relationは、クラマース・クローニッヒの関係式(Kramers-Kronig relation)により吸収定数κを求めることを示す(後記)。クラマース・クローニッヒの関係式を用いることで周波数応答関数の実部か虚部の一方から他方を計算で求めることができる。ここでは、ブロードバンドで測定した対象サンプルの屈折率nからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで対象サンプルの吸収定数κを計算で求める。
上記手順(1)において、光アンテナ10の特性曲線(Characteristic curve)を近似解で求めることが必須となる。
そこで本実施形態では、光アンテナ10の特性曲線の導出を下記の方法で行う。
まず有限要素法によりBaF基板2上の光アンテナ10の透過特性を解析することで、共振周波数を求める。
解析に用いた光アンテナ10の形状は、図3Bに示す通りである。図3Bにおいて、光アンテナ10のリングの一辺のサイズxを200-600 nmの範囲で変化させた解析結果を図16に示す。
図16は、光アンテナ10周囲の屈折率(Refractive index near antenna)の解析結果を示す図である。図16中、プロット点はFEMシミュレーション(FEM simulation)、破線は近似解(Approximate solution)である。
なお、図16の縦軸の光アンテナ10周囲の屈折率は、滴下する対象サンプルの屈折率と同義である。
上記手順(1)では、n=1における共振周波数ωのみで、図16に示すプロット点の全てを通るような近似解を求める。
上記近似解、すなわち光アンテナ10の特性曲線は、次式(1)-(3)で示される。
ω=1/(f(ω)n+f(ω)) …(1)
(ω)=0.0122ω -1.887 …(2)
(ω)=14.695ω -2.103 …(3)
上記近似解を式(1)で与えたときの、有限要素法で得られた結果との誤差を図17に示す。
図17は、光アンテナ10の特性曲線(Refractive index near antenna)との誤差Error (%)を示す図である。
図17に示すように、光アンテナ10のコ字形リングの一辺のサイズxを200-600nmの範囲で変化させた場合、有限要素法の結果と比較して誤差Error (%)範囲の特性曲線を得ることができた。
[実施例]
以下、式(1)に示す光アンテナ10の特性曲線を用いた、本屈折率測定方法によるサンプルの実施例について説明する。
前記図1~図4の光アンテナ10の共振を用いた屈折率測定方法を説明する。
図4A-Cに示す光アンテナ装着基板を作製する。屈折率測定のサンプル8は、PMMAであり、図7Bの方法で準備した。
まず、電子ビーム描画およびリフトオフプロセスを用いて、BaF基板2上に異なる共振周波数をもつ光アンテナアレイ100を複数個配置した(図4A参照)。異なる共振周波数をもつ光アンテナアレイ100は、光アンテナアレイ100を形成する光アンテナ10のナノスケールのメタマテリアル構造を、光アンテナアレイ100毎に僅かに変化させる。例えば、光アンテナ10のコ字形リングの一辺のサイズx(図3B参照)を変える。
このとき、光アンテナ10の形状は、図4B-Cに示すコ字形リングであり、1光アンテナアレイ100内の形状はすべて同じ(ただし一辺のサイズxは変えている)である。このコ字形リングを光アンテナアレイ100毎に1辺とリング間距離xを250nmから600nm まで、50nmずつ変化させた。
また、各光アンテナアレイ100の領域サイズは、FTIR(Fourier transform infrared spectrometer:顕微フーリエ変換赤外分光)のスポットサイズと同一の100μm 角とした。
光アンテナアレイ100の領域サイズとFTIRのスポットサイズとの関係について説明する。
光アンテナアレイ100の中心にIncident lightがあたると、共振点のドロップがより急峻となり、光アンテナアレイ100の中心にIncident lightがあたらないと共振点のドロップが低下する。しかし、共振周波数自体は変わらない。
また、光アンテナアレイ100内の光アンテナ10は、光アンテナ10の周囲のIncident lightの照射に反応する。このため、光アンテナ10は、顕微FTIR4(後記図2参照)の顕微分光のスポットの解像度(何処までスポットを小さくできるか)の全部にかぶる程度に並べて置いて方がよい。例えば、顕微FTIR4の顕微分光のスポットが、100×100μmまで小さくできるのであれば、その100×100μmの全域に光アンテナ10を並べて置いて方がよりはっきりと、共振点を知ることができる。また、光アンテナアレイ100内の光アンテナ10のナノスケールのメタマテリアル構造を変えているので、光アンテナアレイ100の数がプロットの数になる。例えば、プロット点を1000個採りたい場合は、光アンテナアレイ100を1000個測ることになる。いま、プロット点を100個採りたい場合、光アンテナアレイ100の領域が100×100μmで、隣接する光アンテナアレイ100の領域までの距離が100μmの場合には、プロット点の1点が200μmのサイズを要する。このため、プロット点を100個の場合は、200μmで10×10であるので、2000μm=2mmとなる。2×2mm角で100点のプロット点が取れることになる。したがって、10×10mmでは、1000点取れることとなり、滴下する対象サンプルは一滴で済む。
図18は、顕微FTIR4(後記図2参照)を用いて測定した光アンテナアレイ100の透過スペクトルの一例を示す図である。図18は、前記図14の実評価例に対応する。光アンテナ10のコ字形リングの一辺のサイズx(図3B参照)は300nmとした。
図18に示すように、BaF基板2上にPMMAを塗布していない場合の透過スペクトルw/ PMMA106.9 THz n=1.4035に対して、PMMAを塗布した場合の透過スペクトルはw/o PMMA129.3 THz n=1.0000である。このように、PMMAを塗布していない場合の透過スペクトルに対して、PMMAを塗布した場合には、屈折率変化に伴う光アンテナ10の共振周波数シフトが確認された。
光アンテナ10の特性曲線は、前記式(1)-(3)で示した。
式(1)のωに、PMMAを塗布していない場合の光アンテナ10の共振周波数を代入することで、対象の光アンテナの特性曲線を得ることができる。
ここで、式(1)のωに、PMMAを塗布した場合の共振周波数を代入した結果、PMMAの屈折率は1.4035 と算出できた(図18参照)。
以上の測定と操作を作製した全ての光アンテナアレイ100に対して行って得られたPMMAの屈折率の光周波数依存性を図19に示す。
図19は、光アンテナアレイ100に対して行って得られたPMMAの屈折率の光周波数依存性(Calculated index and transmittance spectrum of PMMA)を示す図である。左縦軸に屈折率n、右縦軸に透過率(Transmittance)(%)をとる。
図19中のプロット点は、実験値(Experimental value)である。なお、非特許文献3に示す値および顕微FTIR4(後記図2参照)によって得られた分子振動に伴うPMMAの吸収スペクトルも併せて示す。非特許文献3に示す値との比較により、本実施形態による感度は250THz近傍で5×10-4程度であることが分かった。分子振動に伴う吸収がある領域では、屈折率も大きく変動することが予想される。光アンテナアレイ100の数を増やすことにより周波数分解能を上げることが可能になる。
[測定アルゴリズム]
屈折率測定装置1の屈折率測定方法の測定アルゴリズムについて説明する。
図20は、光アンテナ10が共振周波数シフトした場合のTransmission spectra w/o sampleの周波数特性を示す図であり、上段はその透過率(Transmittance)を示し、下段はその屈折率(Refractive index)(図20の左縦軸)と吸収(図20の右縦軸)を示す。
図20の上段の細実線は、サンプルがない場合の光アンテナ10の共振周波数(透過強度が最小となる周波数)を示し、図20の上段の太実線は、サンプルがある場合の光アンテナ10の共振周波数を示す。
屈折率測定方法の測定アルゴリズムは、下記の通りである。
1.透過率測定(サンプルなし)
2.共振周波数から特性曲線の導出
光アンテナ10の共振周波数ωから特性曲線を導出し、屈折率(Refractive index)1とする。
3.透過率測定(サンプルあり)
4.共振周波数から屈折率導出
光アンテナ10が共振周波数シフトした場合の共振周波数ωから特性曲線を導出し、屈折率nとする。
5.全光アンテナアレイ100でのプロット
全ての光アンテナアレイ100に対して行うことで、最終的に対象サンプルの屈折率を広帯域に得る。
6.クラマース・クローニッヒの関係式より吸収特性導出
クラマース・クローニッヒの関係式により吸収定数κを求める。
[共振周波数から特性曲線の導出]
図21~図28を参照して共振周波数から特性曲線の導出について詳細に説明する。
図21は、FEMによる数値解析のための解析モデルを示す図である。
図21に示す解析モデルを用いて、FEMにより透過スペクトルを解析する。
光アンテナ10のサイズxを変化させる。光アンテナ10の金属材料は、Auとする。
BaF基板2上部の屈折率をパラメータとする。
前記図11で示したように、コ字形リング全周に、LC共振(LC Resonance)が発生し、コ字形リングの一辺にMie共振(Mie Resonance)が発生する。前記図12に示すように、透過スペクトルには、2つの共振周波数のLC共振・Mie共振とが発生する。
図22は、図21の解析モデルを用いた透過スペクトルの屈折率依存性の解析結果を示す図である。
図22に示すように、光アンテナ10の周辺屈折率の変化に伴うLC共振・Mie共振のシフトを確認できた。
図23は、図21の解析モデルを用いた透過スペクトルの吸収係数依存性の解析結果を示す図である。
図22に示すように、光アンテナ10の周辺吸収係数の変化に伴うLC共振・Mie共振のシフトは微小であることが確認できた。
図24は、図21の解析モデルを用いて、光アンテナ10のコ字形リングの一辺のサイズxを600-150nmの範囲(ステップ50nm)で変化させた場合、LC共振(LC Resonance)における特性曲線の導出を示す図である。LC共振(LC Resonance)における特性曲線は、光アンテナ10周囲の屈折率の解析結果を示す。図26中、プロット点はFEMシミュレーション(FEM simulation)、破線は近似解(Approximate solution)である。
なお、図24の縦軸の光アンテナ10周囲の屈折率は、滴下するサンプルの屈折率と同義である。
FEMによる精確な解析結果に対してn=1(図24の◎印参照)のときのデータを用いて近似曲線を引く。
具体的には、n=1における共振周波数ωのみで、図24に示すプロット点の全てを通るような近似曲線を引く。
上記近似曲線、すなわち光アンテナ10のLC共振(LC Resonance)における特性曲線は、次式(4)-(6)で示される。
Figure 0007205851000001
上記近似曲線を式(4)で与えたときの、FEMによる解析結果と近似曲線との誤差Δnを図25に示す。
図25は、FEMによる解析結果と近似曲線との誤差Δnを示す図である。
図25に示すように、近似曲線上の屈折率nccは、上記式(4)から導かれて式(7)で示される。さらに、近似曲線上の屈折率nccとFEMによる解析結果の屈折率nFEMとの誤差Δnは、次式(8)で示される。
Figure 0007205851000002
Δnの平均は、2.649×10-3となった。
図26は、各FEMプロット点における特性曲線との誤差Δnのカラープロットを行った図である。
図27は、図21の解析モデルを用いて、光アンテナ10のコ字形リングの一辺のサイズxを600-150nmの範囲(ステップ50nm)で変化させた場合、LC共振(LC Resonance)における特性曲線の導出を示す図である。Mie共振(Mie Resonance)における特性曲線は、光アンテナ10周囲の屈折率の解析結果を示す。図26中、プロット点はFEMシミュレーション、破線は近似解(Approximate solution)である。
なお、図27の縦軸の光アンテナ10周囲の屈折率nは、滴下するサンプルの屈折率と同義である。
FEMによる精確な解析結果に対してn=1(図27の◎印参照)のときのデータを用いて近似曲線を引く。
具体的には、n=1における共振周波数ωのみで、図27に示すプロット点の全てを通るような近似曲線を引く。
上記近似曲線、すなわち光アンテナ10のMie共振(Mie Resonance)における特性曲線は、次式(9)-(12)で示される。
Figure 0007205851000003
上記近似曲線を式(9)で与えたときの、FEMによる解析結果と近似曲線との誤差Δnを前記図25に示す。
前記図25に示すように、近似曲線上の屈折率nccは、上記式(9)から導かれて式(13)で示される。さらに、近似曲線上の屈折率nccとFEMによる解析結果の屈折率nFEMとの誤差Δnは、次式(14)で示される。
Figure 0007205851000004
Δnの平均は、1.754×10-3となった。
図28は、各FEMプロット点における特性曲線との誤差Δnのカラープロットを行った図である。
以上、共振周波数から特性曲線の導出について説明した。
共振周波数から特性曲線の導出についてまとめると、下記の通りである。
(1)光アンテナ共振を用いた屈折率測定法である。
赤外域の複素屈折率が広帯域に測定可能である。
(2)シミュレーション
光アンテナ10周辺屈折率の変化による共振シフトを確認した。
サンプルの吸収係数による共振シフトは微少である。
(3)特性曲線導出
LC共振(LC Resonance)は、上記式(4)で導出可能である。
誤差平均は、2.649×10-3となった。
Mie共振(Mie Resonance)は、上記式(13)で導出可能である。
誤差平均は、1.754×10-3となった。
[屈折率測定方法の具体例]
<測定に使用する装置>
前記図2および図29を参照して屈折率測定方法の具体例について詳細に説明する。
前記図2に示すように、ステップS1で光アンテナ装着基板2上に、極少量サンプルを滴下する。
ステップS2で、顕微/紫外可視近赤外分光を行う。測定に使用する装置は、顕微FTIR4(測定手段)と、光アンテナ10の周囲の屈折率を記憶するテーブル(記憶手段5)と、紫外可視近赤外分光光度計6(測定手段)と、を備える。
顕微FTIR4は、実証用基板20(光アンテナ装着基板)を透過したTransmitted lightの透過強度を測定する測定手段としての機能を有する。
顕微FTIR4は、IRTracer-100 & AIM-9000(登録商標)を使用した。顕微FTIR4は、測定範囲が700~6500 (cm-1)≒21~195(THz)、分解能が2(cm-1)≒50(GHz),constantである。
顕微FTIR4は、CPU等を備え、下記、本屈折率測定方法の解析プログラムを実行する。
顕微FTIR4は、入射光を光アンテナ10の周囲に照射し、光アンテナ10の共振周波数を求め、その結果から光アンテナ10の特性曲線を計算して、光アンテナ10の周囲の屈折率を測定する。
顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いた場合の光アンテナ10の共振周波数と、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かない場合の光アンテナ10の共振周波数との共振周波数シフトをもとに、サンプル8の屈折率を測定する。
顕微FTIR4は、光アンテナアレイ100に対して、サンプル8の屈折率を広帯域に測定する。
屈折率測定装置1の顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲の屈折率をテーブルとして記憶する記憶手段5を備え、このテーブルは、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かないで測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を初期値として格納する。顕微FTIR4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いて測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を、このテーブルに格納された該当光アンテナの初期値で初期化して、該当サンプルの屈折率を測定する。
顕微FTIR4は、上述したように、光アンテナ10の周囲の屈折率を記憶するテーブル(記憶手段5)を有する。なお、このテーブル(記憶手段5)は、顕微FTIR4と別体に構成されていてもよい。顕微FTIR4は、このテーブルに格納した光アンテナ10の周囲の屈折率を参照して、屈折率がどのように変化したかを知ることができる。このテーブルには、最初に一回空気中で測定した、光アンテナ10の周囲の屈折率が初期値として格納される。テーブルに空気中で測定した初期値を格納しておくことで、各光アンテナ10に対してどれ位の作製誤差があるかが分かる。すなわち、空気中で測定した誤差分を一回初期化することで、各光アンテナ10の作製誤差(形状誤差)を、測定誤差から除外することができる。
光アンテナ10の作製誤差が発生する要因としては、EBで掃引した場合、一番最後のエッジの部分の形状が変わることや、マスクなどを剥がした時のメタマテリアルの弱さが挙げられる。また、実際に作製されたメタマテリアル(金属アンテナ)には、コ字形リング(またはバー形状)のエッジ部分に丸まりや拡がりがあるバラツキがある。
そこで、本実施形態では、光アンテナ10の周囲の屈折率を記憶するテーブルを備え、このテーブルを使って、空気中で測定した誤差分を初期化することで、各光アンテナ10の作製誤差(形状誤差)の影響をなくすようにしている。
紫外可視近赤外分光光度計6は、顕微FTIR4による、測定結果を解析してサンプル(試料)の複素屈折率(屈折率と吸収係数)を得る解析手段としての機能を有する。
紫外可視近赤外分光光度計6は、MSV-5300(登録商標)を使用した。紫外可視近赤外分光光度計6は、測定範囲が1600~200(nm)≒187~1500(THz)、分解能が0.5(nm)≒50(GHz)(1600nmの場合)~370(GHz)(200nmの場合)である。
紫外可視近赤外分光光度計6は、広帯域に測定したサンプル8の屈折率をもとに、クラマース・クローニッヒの関係式に従ってサンプル8の吸収定数κを求める。
図2に戻って、ステップS3で、分子振動等の物性情報とともに、可視から中赤外領域まで光学定数の情報をブロードバンドに得る。
<測定手順>
図29A-Cは、測定手順を説明する図であり、図29Aは実証用基板20(光アンテナ装着基板)上の光アンテナアレイ100の配置を示す平面図、図29Bは図29Aのx1領域の光アンテナアレイ100内のコ字形リングの光アンテナ10のサイズおよび配置を示す図、図29Cは図29AにおいてIncident lightを照射した場合の側面図である。
<透過率測定(<w/o sample>)>
1.まず、実証用基板20(光アンテナ装着基板)上に、サンプルを置かない状態、すなわち実証用基板20上に空気がある状態で透過率測定(<w/o sample>)を実行する。
この透過率測定(<w/o sample>)は、バックグラウンド測定である。この透過率測定(<w/o sample>)は、サンプルを置かない状態で、Infrared ray from Cassegrain mirror3(図9参照)を用いて、実証用基板20上の光アンテナ10にIncident lightを照射する。
顕微FTIR4(図2参照)は、実証用基板20の光アンテナ10近傍を透過したTransmitted lightの透過強度を1つ1つ測定する。そして、紫外可視近赤外分光光度計5(図2参照)は、顕微FTIR4による、サンプルを置かない状態の測定結果を解析してサンプルを置かない状態での透過率データを算出する。
ここで、サンプルを置かない状態で透過率測定(<w/o sample>)を実行した結果について、すべての光アンテナ10についての、光アンテナ10の周囲の屈折率をあらかじめテーブル(記憶手段5(図2参照))に蓄積しておく。
<サンプル塗布>
2.次に、図7Bに示すように、実証用基板20(光アンテナ装着基板)に、屈折率測定の対象となるサンプル8(PMMA)を、1:1スピンコート法で塗付する。
<透過率測定(<w/ sample>)>
3.次に、実証用基板20(光アンテナ装着基板)上のサンプル8(PMMA)の透過率測定(<w/ sample>)を実行する。すなわち、
この透過率測定(<w/o sample>)は、バックグラウンド測定である。この透過率測定(<w/o sample>)は、サンプル塗布した実証用基板20上の光アンテナ10に、Infrared ray from Cassegrain mirror3(図9参照)を用いて、Incident lightを照射する。
顕微FTIR4(図2参照)は、サンプル塗布した実証用基板20の光アンテナ10近傍を透過したTransmitted lightの透過強度を1つ1つ測定する。そして、紫外可視近赤外分光光度計5(図2参照)は、顕微FTIR4による、サンプル塗布した実証用基板20を透過したTransmitted lightの測定結果を解析してサンプルの透過率データを算出する。
上記サンプルの透過率データを算出では、各光アンテナ10について、サンプル8を置いた状態で透過率測定(<w/o sample>)した結果から、上記1.であらかじめ蓄積したサンプル8を置かない状態で透過率測定(<w/o sample>)した結果を差し引くことで、各光アンテナ10の作製誤差の要因を除去する。
上記屈折率測定方法により、PMMA塗布による共振周波数シフトを確認できた。また、アンテナサイズ変化による共振周波数シフトを確認した。さらに、屈折率測定と並行して物性情報を得られることを確認した。
以上のことから、PMMA屈折率は、80~250THz帯で1.416~1.474であることが得られた。
以上説明したように、本実施形態に係る屈折率測定装置1(図1参照)は、少なくとも中近赤外領域で透明な基板2(図1参照)と、基板2上に、特定の周波数で共振する光アンテナ10を複数個配置した光アンテナアレイ100(図1参照)と、入射光を光アンテナ10の周囲に照射し、光アンテナ10の共振周波数を求め、その結果から光アンテナ10の特性曲線を計算して、光アンテナ10の周囲の屈折率を測定する測定手段4(図2参照)と、を備える。測定手段4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いた場合の光アンテナ10の共振周波数と、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かない場合の光アンテナ10の共振周波数との共振周波数シフトをもとに、サンプル8の屈折率を測定する。測定手段4は、広帯域に測定したサンプル8の屈折率をもとに、クラマース・クローニッヒの関係式に従ってサンプル8の吸収定数を求める。
また、本実施形態に係る屈折率測定方法は、入射光を光アンテナ10の周囲に照射し、光アンテナ10の共振周波数を求めるステップと、求めた光アンテナ10の共振周波数から光アンテナ10の特性曲線を計算して、光アンテナ10の周囲の屈折率を測定するステップと、広帯域に測定したサンプル8の屈折率をもとに、クラマース・クローニッヒの関係式に従ってサンプル8の吸収定数を求めるステップと、を実行する。
これにより、実証用基板20(光アンテナ装着基板)に対象サンプル8を滴下し、既存の顕微分光装置(赤外フーリエ分光・紫外可視分光光度計)で透過強度を測定し、得られたデータを迅速解析することで、サンプルの複素屈折率(屈折率と吸収係数)を得ることができる。このように、メタマテリアルの共振を用いて、極微小量の液状サンプルの複素屈折率を広帯域かつ高精度に測定することができる。
特に、本発明は、既存の顕微分光装置にサンプル滴下用のメタマテリアル基板および解析プログラムを追加するだけで、広帯域な複素屈折率を得られるという特有の効果がある。また、サンプルも少量で済むことも特筆すべき効果である。
本実施形態では、光アンテナ10の周囲の屈折率をテーブルとして記憶する記憶手段5を備え、このテーブルは、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置かないで測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を初期値として格納する。測定手段4は、光アンテナ10の周囲にサンプル8を置いて測定した光アンテナ10の周囲の屈折率を、テーブルに格納された該当光アンテナ10の初期値で初期化して、サンプル8の屈折率を測定する。
これにより、光アンテナ10の作製誤差(形状誤差)の影響をなくすことができる。
図30は、本実施形態に係る屈折率測定方法と実用化されている各屈折率測定法とを対比して示して、本実施形態の効果を説明する図である。
図30に示すように、本発明は、現行の実用化されている屈折率測定法に比べて以下に記載する特徴を有している。
A.紫外から中赤外までの超広帯域における複素屈折率(屈折率と吸収係数)を測定可能である。
B.サンプルが極少量であっても精細な測定が可能である。例えば、液状サンプル一滴(1×1mm、厚さ100nm程度)で測定可能である。
C.安価な実装コストで複素屈折率を測定できる。すなわち、既存の顕微分光装置に、メタマテリアル基板と解析プログラムを追加するだけで、分子振動などの情報とともに複素屈折率の測定が可能となる。
また、上記した実施形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述文書中や図面中に示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、上記実施の形態では、装置は、屈折率測定装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、名称は赤外屈折率測定装置、複素屈折率測定装置等であってもよい。また、方法およびプログラムは、屈折率測定方法という名称を用いたが、赤外屈折率測定方法、解析プログラム等であってもよい。
1 屈折率測定装置
2 BaF基板(基板)
3 Infrared ray from Cassegrain mirror
4 顕微FTIR(測定手段)
5 記憶手段
6 紫外可視近赤外分光光度計(測定手段)
8 サンプル
10 光アンテナ(メタマテリアル,RLC回路)
20 実証用基板(光アンテナ装着基板)
100 光アンテナアレイ
n 屈折率
κ 吸収定数

Claims (10)

  1. 少なくとも中近赤外領域で透明な基板と、
    前記基板上に、特定の周波数で共振する光アンテナを複数個配置した光アンテナアレイと、
    入射光を前記基板上の前記光アンテナに照射する照射手段と、
    前記光アンテナの周囲を透過した透過光の透過強度を測定する測定手段と、を備え、
    前記測定手段は、
    前記照射手段が入射光を前記光アンテナの周囲に照射し、前記透過強度が最小となる前記光アンテナの共振周波数を求め、その結果をもとに前記共振周波数対アンテナ周囲の屈折率で示される前記光アンテナの特性曲線を計算し、前記光アンテナの特性曲線上における前記共振周波数から前記光アンテナの周囲の屈折率を測定する
    ことを特徴とする屈折率測定装置。
  2. 前記測定手段は、前記光アンテナの周囲にサンプルを置いた場合の前記光アンテナの共振周波数と、前記光アンテナの周囲に前記サンプルを置かない場合の前記光アンテナの共振周波数との共振周波数シフトをもとに、前記サンプルの屈折率を測定する
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の屈折率測定装置。
  3. 前記光アンテナアレイは、複数個配置されており、各前記光アンテナアレイは、前記共振周波数の特性の異なる前記光アンテナを有し、
    前記測定手段は、
    各前記光アンテナアレイが、前記光アンテナの特性曲線の1プロットに対応するとともに、すべての前記光アンテナアレイの前記光アンテナの特性曲線のプロットを複数取得して前記サンプルの屈折率を広帯域に測定する
    ことを特徴とする請求項に記載の屈折率測定装置。
  4. 前記測定手段は、広帯域に測定した前記サンプルの屈折率をもとに、クラマース・クローニッヒの関係式に従ってサンプルの吸収定数を求める
    ことを特徴とする請求項3に記載の屈折率測定装置。
  5. 前記光アンテナの周囲の屈折率を記憶する記憶手段を備え、
    前記記憶手段は、前記光アンテナの周囲にサンプルを置かないで測定した前記光アンテナの周囲の屈折率を初期値として格納する
    ことを特徴とする請求項1に記載の屈折率測定装置。
  6. 前記測定手段は、前記光アンテナの周囲に前記サンプルを置いて測定した前記光アンテナの周囲の屈折率を、前記記憶手段に格納された該当光アンテナの前記初期値で初期化して、前記サンプルの屈折率を測定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の屈折率測定装置。
  7. 前記光アンテナは、金属で構成されたナノスケールのRLC回路である
    ことを特徴とする請求項1に記載の屈折率測定装置。
  8. 少なくとも中近赤外領域で透明な基板と、
    前記基板上に、特定の周波数で共振する光アンテナを複数個配置した光アンテナアレイと、
    入射光を前記基板上の前記光アンテナに照射する照射手段と、
    前記光アンテナの周囲を透過した透過光の透過強度を測定する測定手段と、を備える屈折率測定方法であって、
    前記測定手段は、
    前記光アンテナの特性曲線の1プロットに対応するとともに、すべての前記光アンテナアレイの前記光アンテナの特性曲線のプロットを複数取得してサンプルの屈折率を広帯域に測定するステップと、
    入射光を前記光アンテナの周囲に照射し、前記透過強度が最小となる前記光アンテナの共振周波数を求めるステップと、
    求めた前記共振周波数対アンテナ周囲の屈折率で示される前記光アンテナの特性曲線を計算するステップと、
    前記光アンテナの特性曲線上における前記共振周波数から前記光アンテナの周囲の屈折率を測定するステップと、
    を有することを特徴とする屈折率測定方法。
  9. 少なくとも中近赤外領域で透明な基板と、
    前記基板上に、特定の周波数で共振する光アンテナを複数個配置した光アンテナアレイと、
    入射光を前記基板上の前記光アンテナに照射する照射手段と、
    前記光アンテナの周囲を透過した透過光の透過強度を測定する測定手段と、を備え、
    前記光アンテナアレイは、複数個配置されており、各前記光アンテナアレイは、共振周波数の特性の異なる前記光アンテナを有しており、
    前記測定手段は、
    各前記光アンテナアレイに対して、
    入射光を前記光アンテナの周囲に照射し、前記透過強度が最小となる前記光アンテナの共振周波数を求めるステップと、
    求めた前記共振周波数対アンテナ周囲の屈折率で示される前記光アンテナの特性曲線を計算するステップと、
    前記光アンテナの特性曲線上における前記共振周波数から前記光アンテナの周囲の屈折率を測定するステップと、を実行し、
    すべての前記光アンテナアレイの前記光アンテナの特性曲線のプロットを複数取得してサンプルの屈折率を広帯域に測定する
    ことを特徴とする屈折率測定方法。
  10. 少なくとも中近赤外領域で透明な基板と、
    前記基板上に、特定の周波数で共振する光アンテナを複数個配置した光アンテナアレイと、入射光を前記基板上の前記光アンテナに照射する照射手段と、前記光アンテナの周囲を透過した透過光の透過強度を測定する測定手段と、を備える屈折率測定装置としてのコンピュータに、
    入射光を前記光アンテナの周囲に照射し、前記透過強度が最小となる前記光アンテナの共振周波数を求め、その結果をもとに前記共振周波数対アンテナ周囲の屈折率で示される前記光アンテナの特性曲線を計算する手順、
    前記光アンテナの特性曲線上における前記共振周波数から前記光アンテナの周囲の屈折率を測定する手順
    を実行させるためのプログラム。
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