本開示の課題は、効率的かつ費用対効果の高い化合物(I)の製造方法を提供することである。
一態様では、本開示は、式(2):
(式中、R
1は、C
1-C
6アルキル基またはベンジル基を表す)で表される化合物の製造方法であって、方法は、
化合物(3):
と、
式(4a)で表される化合物またはその塩:
と、を反応させる工程を含む、方法を提供する。
別の態様では、化合物(3)と式(4a)で表される化合物またはその塩との反応は、カップリング剤の存在下で行われる。別の態様では、式(4a)で表される化合物またはその塩は、化合物式(4a)で表される化合物である。別の態様では、カップリング剤は、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド、およびジフェニルホスホリルクロリドからなる群より選択される。別の態様では、カップリング剤は、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファートである。
別の態様では、本方法は、さらに(i)第1のパラジウム触媒および第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物:
と、
ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物:
を得る工程と、
(ii)第2のパラジウム触媒および第2のリガンドの存在下で、式(14)で表される化合物と、
化合物(11):
と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、
前記第2のパラジウム触媒および第2のリガンドは、錯体を形成してもよく、
前記式(4a)で表される化合物は、その塩として得られてもよい工程を含む、方法である。
別の態様では、第1のパラジウム触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、パラジウムアセテート、およびアリルパラジウムクロリドダイマーからなる群より選択される。別の態様では、第1のパラジウム触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)である。
別の態様では、第1のリガンドは、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)、トリフェニルホスフィン、トリ-オルト-トリルホスフィン、およびブチルジ-1-アダマンチルホスフィンからなる群より選択される。別の態様では、第1のリガンドは、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラートである。
別の態様では、第2のパラジウム触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、パラジウムアセテート、およびアリルパラジウムクロリドダイマーからなる群より選択される。別の態様では、第2のパラジウム触媒は、パラジウムアセテートである。
別の態様では、第2のリガンドは、ジ-tert-ブチルシクロヘキシルホスフィン、1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、および1,2-エタンジイルビス[ジシクロヘキシル]ホスフィンからなる群より選択される。別の態様では、第2のリガンドは、1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンである。
別の態様では、第2のパラジウム触媒および第2のリガンドは、錯体を形成している。別の態様では、錯体は、[1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)である。
別の態様では、本開示は、化合物(I):
の製造方法であって、
式(2)で表される化合物を加水分解または水素化分解させる工程を含む、製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、化合物(I):
の製造方法であって、
式(2)で表される化合物を加水分解させる工程を含む、製造方法を提供する。
一態様では、加水分解は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムからなる群より選択される加水分解剤の存在下で行われる。別の態様では、加水分解剤は、水酸化ナトリウムである。
一態様では、水素化分解は、常圧もしくは加圧条件での水素雰囲気下、または、ギ酸アンモニウムの存在下において、パラジウム-炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム-炭素、酸化白金およびラネーニッケルからなる群より選択される触媒の存在下で行われる。別の態様では、触媒は、常圧の水素雰囲気下でパラジウム-炭素である。
別の態様では、本開示は、化合物(3):
の製造方法であって、
(i)触媒およびキラルリガンドの存在下で、化合物(5):
と、
シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)で表される化合物:
(式中、R
2は、C
1-C
6アルキル基またはベンジル基を表す)を得る工程と、
(ii)式(5a)で表される化合物を加水分解または水素化分解させる工程と、
を含む、製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、化合物(3):
の製造方法であって、
(i)触媒およびキラルリガンドの存在下で、化合物(5):
と、
シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)で表される化合物:
(式中、R
2は、C
1-C
6アルキル基またはベンジル基を表す)を得る工程と、
(ii)式(5a)で表される化合物を加水分解させる工程と、を含む、製造方法を提供する。
別の態様では、シクロプロパン化剤は、エチルジアゾアセテート、メチルジアゾアセテート、n-ブチルジアゾアセテート、ベンジルジアゾアセテート、イソプロピルジアゾアセテート、t-ブチルジアゾアセテートからなる群より選択される。別の態様では、シクロプロパン化剤は、エチルジアゾアセテートである。別の態様では、触媒は、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジブロモ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、およびジヨード(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマーからなる群より選択される。別の態様では、触媒はジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマーである。別の態様では、キラルリガンドは、(S,S)-2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン)、(-)-2,6-ビス[(3aS,8aR)-3a,8a-ジヒドロ-8H-インデノ[1,2-d]オキサゾリン-2-イル]ピリジン、および2,6-ビス[(4R,5R)-4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリニル]ピリジンからなる群より選択される。別の態様では、キラルリガンドは、(S,S)-2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン)である。
別の態様では、化合物(3)の製造における加水分解は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、トリメチルシラノール酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-プロピルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムからなる群より選択される加水分解剤の存在下で行われる。別の態様では、加水分解剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムである。別の態様では、加水分解剤は、水酸化ナトリウムである。
別の態様では、化合物(3)の製造における水素化分解は、常圧もしくは加圧条件での水素雰囲気下、または、ギ酸アンモニウムの存在下において、パラジウム-炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム-炭素、酸化白金およびラネーニッケルからなる群より選択される触媒の存在下で行われる。別の態様では、常圧条件での水素雰囲気下で、触媒はパラジウム-炭素である。
一態様では、本方法は、(i)化合物(6):
と、3-ブテン-1-オールと、を反応させることにより、化合物(7):
を得る工程と、
(ii)リガンドの存在下、得られた化合物(7)を触媒で処理して、化合物(5):
を得る工程と、
をさらに含む方法である。
別の態様では、塩基の存在下で、化合物(6)を塩基の存在下、3-ブテン-1-オールと反応させる。別の態様では、塩基は、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドおよびリチウムtert-ブトキシドからなる群より選択される。別の態様では、塩基は、カリウムtert-ブトキシドである。
別の態様では、化合物(5)の製造における触媒は、パラジウムアセテートおよびアリルパラジウムクロリドダイマーからなる群より選択される。別の態様では、触媒は、パラジウムアセテートである。別の態様では、リガンドは、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン、およびブチルジ-1-アダマンチルホスフィンからなる群より選択される。別の態様では、リガンドは、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼンである。
別の態様では、本開示は、以下の工程(i)~(ix):
(i)カップリング剤の存在下、化合物(12):
と、イソプロピルアミンと、を反応させることにより、化合物(6)を得る工程と、
(ii)工程(i)で得られた化合物(6)と、3-ブテン-1-オールと、を反応させることにより、化合物(7)を得る工程と、
(iii)リガンドの存在下、工程(ii)で得られた化合物(7)を触媒で処理することにより、化合物(5)を得る工程と、
(iv)触媒とキラルリガンドの存在下、工程(iii)で得られた化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)(式中、R
2はC
1-C
6アルキル基またはベンジル基を表す)で表される化合物を得る工程と、
(v)工程(iv)で得られた式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)工程(v)で得られた化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(ii)~(ix):
(ii)化合物(6)と、3-ブテン-1-オールと、を反応させることで、化合物(7)を得る工程と、
(iii)リガンドの存在下、工程(ii)で得られた化合物(7)を触媒で処理することにより、化合物(5)を得る工程と、
(iv)触媒とキラルリガンドの存在下、工程(iii)で得られた化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)(式中、R2はC1-C6アルキル基またはベンジル基を表す)で表される化合物を得る工程と、
(v)工程(iv)で得られた式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)工程(v)で得られた化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(iii)~(ix):
(iii)リガンドの存在下、化合物(7)を触媒で処理して、化合物(5)を得る工程と、
(iv)触媒とキラルリガンドの存在下、工程(iii)で得られた化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)(式中、R2はC1-C6アルキル基またはベンジル基を表す)で表される化合物を得る工程と、
(v)工程(iv)で得られた式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)工程(v)で得られた化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(iv)~(ix):
(iv)触媒とキラルリガンドの存在下、化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)(式中、R2はC1-C6アルキル基またはベンジル基を表す)で表される化合物を得る工程と、
(v)工程(iv)で得られた式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)工程(v)で得られた化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(v)~(ix):
(v)式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)工程(v)で得られた化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(vi)~(ix):
(vi)第1のパラジウム触媒と第1のリガンドの存在下で、式(13)で表される化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロンと、を反応させることにより、式(14)で表される化合物を得る工程と、
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、工程(vi)で得られた式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成してよく、式(4a)で表される化合物が、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程(vii)~(ix):
(vii)第2のパラジウム触媒と第2のリガンドの存在下で、式(14)で表される化合物と、化合物(11)と、を反応させることにより、式(4a)で表される化合物を得る工程であって、第2のパラジウム触媒と第2のリガンドが、錯体を形成していてもよく、式(4a)で表される化合物は、その塩として得られてもよい、工程と、
(viii)化合物(3)と、工程(vii)で得られた式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた式(2)で表される化合物を加水分解させて、化合物(I)を得る工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程:
化合物(3)と、式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
式(2)で表される化合物を加水分解させる工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程:
式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
化合物(3)と、式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
式(2)で表される化合物を加水分解させる工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程:
触媒とキラルリガンドの存在下で、化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)で表される化合物を得る工程と、
式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
化合物(3)と、式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
式(2)で表される化合物を加水分解させる工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、本開示は、以下の工程:
リガンドの存在下で、化合物(7)を触媒で処理して、化合物(5)を得る工程と、
触媒とキラルリガンドの存在下、化合物(5)と、シクロプロパン化剤と、を反応させることにより、式(5a)で表される化合物を得る工程と、
式(5a)で表される化合物を加水分解させて、化合物(3)を得る工程と、
化合物(3)と、式(4a)で表される化合物またはその塩と、を反応させることにより、式(2)で表される化合物を得る工程と、
式(2)で表される化合物を加水分解させる工程と、
を含む、化合物(I)の製造方法を提供する。
別の態様では、R1は、好ましくはメチルまたはエチルである。別の態様では、R1は、より好ましくはエチルである。
別の態様では、R2は、好ましくはメチルまたはエチルである。別の態様では、R2は、より好ましくはエチルである。
本開示の他の態様は、本明細書に開示される態様のうちの2つ以上の適切な組み合わせを含み得る。
別の態様では、本開示は、(1’S,2’R)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボン酸である化合物を提供する。
別の態様では、本開示は、エチル(1’S,2’R)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボキシレートである化合物を提供する。
別の態様では、本開示は、4-メチリデン-N-(プロパン-2-イル)-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-6-カルボキサミドである化合物を提供する。
別の態様では、本開示は、3-ブロモ-4-[(ブタ-3-エン-1-イル)オキシ]-N-(プロパン-2-イル)ベンズアミドである化合物を提供する。
本開示は、効率的かつ費用対効果の高い化合物(I)の製造方法を提供する。
別段の指示がない限り、原子価が満たされていない任意の原子は、原子価を満たすのに十分な水素原子を有すると仮定される。
本明細書で使用される場合、以下の用語は下記に示される意味を有する。
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
本明細書で使用される場合、用語「または」は、論理和(すなわち、および/または)であり、用語「いずれか」、「そうでない場合」、「代替的に」、および同様の効果の語などで明示的に示されていない限り、排他的論理和を示さない。
本明細書で使用される「C1-C6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素から誘導される基を指す。C1-C6アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1-メチル-1-エチルプロピル、2-メチル-2-エチルプロピル、1-エチルブチルおよび2-エチルブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「カップリング剤」という用語は、アミンとカルボン酸との反応を促進してアミド結合を形成する試薬を指す。カップリング剤の例としては、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド、ジフェニルホスフィンクロリド、ジフェニルホスホリルクロリド、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、およびO-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「シクロプロパン化剤」という用語は、アルケンをシクロプロピル環に変換するために使用される試薬を指す。シクロプロパン化剤の例としては、C1-C6アルキルジアゾアセテート、およびベンジルジアゾアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例としては、エチルジアゾアセテート、メチルジアゾアセテート、n-ブチルジアゾアセテート、ベンジルジアゾアセテート、イソプロピルジアゾアセテート、t-ブチルジアゾアセテート、n-プロピルジアゾアセテート、sec-ブチルジアゾアセテート、イソブチルジアゾアセテート、n-ペンチルジアゾアセテート、n-ヘキシルジアゾアセテート、1-メチルブチルジアゾアセテート、2-メチルブチルジアゾアセテート、3-メチルブチルジアゾアセテート、1,1-ジメチルプロピルジアゾアセテート、1,2-ジメチルプロピルジアゾアセテート、2,2-ジメチルプロピルジアゾアセテート、1-メチルペンチルジアゾアセテート、2-メチルペンチルジアゾアセテート、3-メチルペンチルジアゾアセテート、4-メチルペンチルジアゾアセテート、1,1-ジメチルブチルジアゾアセテート、1,2-ジメチルブチルジアゾアセテート、1,3-ジメチルブチルジアゾアセテート、2,2-ジメチルブチルジアゾアセテート、2,3-ジメチルブチルジアゾアセテート、1-メチル-1-エチルプロピルジアゾアセテート、2-メチル-2-エチルプロピルジアゾアセテート、1-エチルブチルジアゾアセテートおよび2-エチルブチルジアゾアセテートが挙げられる。好ましい例としては、エチルジアゾアセテート、メチルジアゾアセテート、n-ブチルジアゾアセテート、ベンジルジアゾアセテート、イソプロピルジアゾアセテート、t-ブチルジアゾアセテート、n-プロピルジアゾアセテート、sec-ブチルジアゾアセテート、イソブチルジアゾアセテート、n-ペンチルジアゾアセテート、またはn-ヘキシルジアゾアセテートが挙げられ、より好ましい例としては、エチルジアゾアセテート、メチルジアゾアセテート、n-ブチルジアゾアセテート、ベンジルジアゾアセテート、イソプロピルジアゾアセテートまたはt-ブチルジアゾアセテートが挙げられる。最も好ましい例としては、エチルジアゾアセテートである。
本明細書で使用される「加水分解剤」という用語は、エステルのカルボン酸への変換を促進する試薬を指す。加水分解剤の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化セシウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-プロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチルシラノール酸ナトリウム、トリメチルシラノール酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、およびリン酸カリウムが含まれるが、これらに限定されない。
本開示におけるすべての方法は、連続プロセスとして実施することができる。本明細書で使用される「連続プロセス」という用語は、中間体を単離することなく行われる工程を表す。
以下の合成スキームは、本開示の化合物を調製することができる方法を例示する。出発物質は、商業的供給源から得ることができ、または当業者に公知の十分に確立された文献方法によって調製することができる。
以下のスキームおよび実施例で使用される略語は、当業者に周知である。使用される略語のいくつかは以下の通りである。MTBEはメチル tert-ブチルエーテル、MSAはメタンスルホン酸、NMTはnot more than(以下)、NLTはnot less than(以上)、hは時間、minは分、THFはテトラヒドロフラン、MeTHFまたは2-MeTHFは2-メチルテトラヒドロフラン、DMSOはジメチルスルホキシド、aqは水性、equivは当量、LRは限界反応試薬、iPr-Pyboxは2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、およびRBFは丸底フラスコである。
スキーム1
スキーム1は、式(4)および(4a)で表される化合物の合成を例示する。塩基の存在下、塩化クロトニル(化合物(8))をC1-C6アルコールで処理することにより、エステル(式(9)の化合物)が形成される(Bull.Chem.Soc.Japan 1967,40,1132-1239を参照のこと)。この反応に使用できる塩基の例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルピペリジン、およびジメチルシクロヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、塩基はトリエチルアミンである。得られたエステルを9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)で処理し、パラジウム触媒系の存在下でハロゲン化アリール(化合物(11))とカップリングさせることにより、式(4a)で表される化合物を得られ、次いでこれをMSAで処理することにより、式(4)で表される化合物を得ることができる。代表的な触媒系としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、または2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)、トリシクロヘキシルホスフィン、フェニルジシクロヘキシルホスフィン1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルなどのリガンドと、パラジウムアセテートもしくはアリルパラジウムクロリドダイマーと、の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、触媒系はパラジウムアセテートおよび2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)である。メタンスルホン酸で処理すると、メタンスルホン酸塩(式(4)の化合物)が形成される。代替塩は、式(4)で表される化合物の遊離塩基を代替酸と反応させることによって、同様の方法で調製することができる。
あるいは、4-ブロモブタン酸のC1-C6アルキルエステル(式(13)で表される化合物)を、パラジウム触媒系の存在下でビス(ピナコラート)ジボロンで処理して、ボロナート(式(14)で表される化合物)を得ることができる(J.Org.Chem,2012,77,6629-6633を参照のこと)。触媒系の例としては、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)、トリフェニルホスフィン、トリ-オルト-トリルホスフィン、およびブチルジ-1-アダマンチルホスフィンなどのリガンドと、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、パラジウムアセテート、またはアリルパラジウムクロリドダイマーと、の組み合わせが挙げられる。一態様では、触媒系は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)およびトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラートである。
ボロナート(式(14)で表される化合物)をパラジウム触媒系の存在下でハロゲン化アリール(化合物(11))とカップリングさせて、式(4a)で表される化合物を得ることができる。代表的な触媒系には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)、または1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、1,2-エタンジイルビス[ジシクロヘキシル]ホスフィンなどのリガンドと、パラジウムアセテートもしくはアリルパラジウムクロリドダイマーと、の組み合わせ、または[1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのようなパラジウム触媒とリガンドから形成される錯体が含まれるが、これらに限定されない。一態様では、触媒系は、パラジウムアセテートおよび1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンである。別の態様では、触媒系は[1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)である。
スキーム2
スキーム2は、式(4a)で表される化合物の合成を例示する。式(4)で表される化合物を塩基で処理して、遊離塩基(式(4a)で表される化合物)を得ることができる。この反応に使用される塩基の例としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルピペリジンおよびジメチルシクロヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、塩基はトリエチルアミンである。
スキーム3
スキーム3は、化合物(3)の製造を示す。塩基およびカップリング剤の存在下で、3-フルオロ-4-ブロモ安息香酸(化合物(12))と、イソプロピルアミンと、を反応させることにより、アミド(化合物(6))を得ることができる。塩基の例としては、1-メチル-イミダゾール、4,4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびジイソプロピルエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、塩基は、1-メチル-イミダゾールである。この反応で使用される代表的なカップリング剤には、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(TCFH)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)、および2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)が含まれるが、これらに限定されない。一態様では、カップリング剤は、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(TCFH)である。
強塩基の存在下で、アミド(化合物(6))と、3-ブテン-1-オールと、を反応させることにより、化合物(7)を得ることができる。この反応で使用される代表的な塩基には、カリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムヘキサメチルジシラジドおよびリチウムヘキサメチルジシラジドが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、塩基は、カリウムtert-ブトキシドである。化合物(7)の環化反応は、パラジウム触媒系の存在下で行うことができる。この反応に使用されるパラジウム触媒の例としては、パラジウムアセテートおよびアリルパラジウムクロリドダイマーが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、触媒は、パラジウムアセテートである。代表的なリガンドには、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジ-イソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン、ブチルジ-1-アダマンチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィノジメチルアミノビフェニル、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1、1’-ビナフタレン、1,1’-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリ-オルト-トリルホスフィン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン、1,1’-ビス(ジ-i-プロピルホスフィノ)フェロセン、2-ジフェニルホスフィノ-2’,6’-ビス(ジメチルアミノ)-1,1’-ビフェニル、ジシクロヘキシル(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)ホスフィン、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2’-メチルビフェニル、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(2-ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)エーテル、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1、1’-ビフェニル、1,3,5,7-テトラメチル-6-フェニル-2,4,8-トリオキサ-6-ホスファダマンテ、ビス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)ホスフィンエーテル、トリフェニルホスフィン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1、1’-ビフェニル、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、[5-(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4-イル](ジフェニル)ホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)キサンテン、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2’-メチルビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ビス(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、4,6-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェノキサジン、トリ-2-フリルホスフィン、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、ベンジルジ-1-アダマンチルホスフィン、2-ジ-t-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル、およびジシクロヘキシル[3-(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロピル]ホスフィンが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、リガンドは、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル、(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン、およびブチルジ-1-アダマンチルホスフィンからなる群より選択される。別の態様では、リガンドは、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼンである。
アルケン(化合物(5))を、触媒およびキラルリガンドの存在下、シクロプロパン化剤で処理して、キラルシクロプロパン(化合物(5a))を得ることができる。シクロプロパン化剤の例としては、C1-C6アルキルジアゾアセテート、およびベンジルジアゾアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例としては、エチルジアゾアセテート、メチルジアゾアセテート、n-ブチルジアゾアセテート、ベンジルジアゾアセテート、イソプロピルジアゾアセテート、t-ブチルジアゾアセテートが挙げられる。一態様では、シクロプロパン化剤は、エチルジアゾアセテートである。この反応で使用される代表的な触媒には、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジブロモ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジヨード(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼン錯体、およびビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)が含まれるが、これらに限定されない。一態様では、触媒は、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジブロモ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー、およびジヨード(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマーから選択される。別の態様では、触媒はジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマーである。
この反応で使用できるキラルリガンドには、(S,S)-2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン)、(4S,4’S)-2,2’-(ペンタン-3,3’-ジイル)ビス(4-ベンジル-4,5-ジヒドロオキサゾール)、(R,R)-(+)-2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス[(4S)-4-ベンジル-2-オキサゾリン]、(3aS,3a’S,8aR,8a’R)-2,2’-(1,3-ビス(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロパン-2,2-ジイル)ビス(8,8a-ジヒドロ-3aH-インデノ[1,2-d]オキサゾール)、[3aR-[2(3’aR*,8’aS*),3’aβ,8’aβ]]-(+)-2,2’-メチレンビス[3a,8a-ジヒドロ-8H-インデン[1,2-d]オキサゾール]、(3aR,3’aR,8aS,8’aS)-2,2’-(1-メチルエチリデン)ビス[3a,8a-ジヒドロ-8H-インデン[1,2-d]オキサゾール]、(-)-2,6-ビス[(3aS,8aR)-3a,8a-ジヒドロ-8H-インデノ[1,2-d]オキサゾリン-2-イル]ピリジン、(4S,4’S)-(-)-2,2’-(3-ペンチリデン)ビス(4-イソプロピルオキサゾリン)、2,6-ビス[(4R,5R)-4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリニル]ピリジン、(4S)-(+)-4-[4-(tert-ブチル)フェニル]-α-[(4S)-4-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2-オキサゾリジニリデン]-2-オキサゾリンアセトニトリル、(4S,4’S)-2,2’-(1-フェニルプロパン-2,2-ジイル)ビス(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾール)、2,2-ビス(2-(4(S)-t-ブチル-1,3-オキサゾリニル))プロパン、2,6-ビス[(4R,5R)-4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリニル]ピリジン、(4S,4’S)-2,2’-(1,3-ビス[4-(t-ブチル)フェニル)プロパン-2,2-ジイル]ビス(4-フェニル-4,5-ジヒドロオキサゾール)、2,2’-メチレンビス((4R,5S)-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン)、(S,S)-2,2’-メチレンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス[(4S)-4-tert-ブチル-2-オキサゾリン]、2,2-ビス(2-(4(S)-t-ブチル-1,3-オキサゾリニル))プロパン、2,6-ビス[(4R)-4-tert-ブチルオキサゾリン-2-イル]ピリジン、(4S)-(+)-4-[4-(tert-ブチル)フェニル]-α-[(4S)-4-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2-オキサゾリジニリデン]-2-オキサゾリンアセトニトリル、(S)-4-(tert-ブチル)-2-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-4,5-ジヒドロオキサゾール、(S)-4-tert-ブチル-2-(2-ピリジル)オキサゾリン、および(R,R)-(-)-2,3-ビス(tert-ブチルメチルホスフィノ)キノキサリンが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、キラルリガンドは、(S,S)-2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン)、(-)-2,6-ビス[(3aS,8aR)-3a,8a-ジヒドロ-8H-インデノ[1,2-d]オキサゾリン-2-イル]ピリジンおよび2,6-ビス[(4R,5R)-4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリニル]ピリジンからなる群より選択される。別の態様では、キラルリガンドは、(S,S)-2,2’-(2,6-ピリジンジイル)ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン)である。
シクロプロピルエステル(式(5a)で表される化合物)を加水分解して、加水分解剤で処理することによって酸(化合物(3))を得ることができる。代表的な加水分解剤には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、トリメチルシラノール酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-プロピルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、および水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、加水分解剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムである。別の態様では、加水分解剤は、水酸化ナトリウムである。
スキーム4
スキーム4は、化合物(I)の製造を示す。化合物(3)と、式(4)または(4a)で表される化合物と、を反応させて、アミド(式(2)で表される化合物)を得ることができる。塩基の例としては、1-メチル-イミダゾール、4,4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびジイソプロピルエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、塩基は1-メチル-イミダゾールである。いくつかの態様では、カップリングはカップリング剤の存在下で行われる。カップリング剤の例としては、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド、ジフェニルホスフィンクロリド、ジフェニルホスホリルクロリド、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、カップリング剤は、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド、およびジフェニルホスホリルクロリドからなる群より選択される。別の態様では、カップリング剤は、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファートである。
エステル(式(2)で表される化合物)の加水分解により、化合物(I)を得ることができる。一態様では、加水分解は、加水分解剤の存在下で行われる。代表的な加水分解剤には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化セシウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、トリメチルシラノール酸ナトリウム、トリメチルシラノール酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、加水分解剤は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化カリウムからなる群より選択される。別の態様では、加水分解剤は、水酸化ナトリウムである。
化合物(I)は、公知の方法で塩に変換される。塩としては薬学的に許容される塩が好ましい。塩は、水溶性のものが好ましい。薬学的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またはアミン塩などが挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、またはグルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、カリウムおよびナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウムおよびマグネシウムなどが挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムなどが挙げられる。アミン塩としては、例えば、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、およびN-メチル-D-グルカミンなどが挙げられる。
実施例
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明により限定されるものではない。
本明細書で使用される化合物名は、一般にIUPAC規則に従って化学名を生成するコンピュータプログラムACD/Name(登録商標)もしくはChemdraw(登録商標)Ultraに基づくか、またはIUPAC命名法に基づく。
以下、表1に示す実施例を化合物番号と記載することがある。
1.化合物(4)の調製
容器にMTBE(15.0L、11.1kg、10L/kg LR)、無水エタノール(0.86kg、1.3当量)、トリエチルアミン(2.20kg、1.5当量)を投入し、窒素下で0℃に冷却した。バッチ温度10℃以下を維持しながら、塩化クロトニル(化合物(8)、CAS番号10487-71-5、1.52kg、1当量、LR)を添加した。得られた混合物を、残留出発物質が1%以下になるまで2時間以上撹拌した。混合物を濾過し、濾過ケーク(フィルターケーク)をMTBE(2.24kg、3.0L、2.75L/kg LR)で洗浄した。化合物(9)の混合生成物リッチ濾液溶液を3L/kg LRに濃縮し、残留エタノール(1%v/v以下)について試験した。9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)(20.2kg、THF中0.5M溶液、1.55当量)を20℃で反応溶液に添加した。得られた混合物を、残留化合物(9)が1%以下になるまで20℃で1時間以上静置(エージング)させた。3-アミノ-4-クロロベンゾニトリル(化合物(11)、CAS番号53312-79-1、1.10kg、1.0当量、LR)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)(0.030kg、0.010当量)、パラジウムアセテート(0.0082kg、0.0050当量)、リン酸カリウム(2.29kg、1.5当量)、および水(0.18kg、1.5当量)を20℃で容器に添加した。残留3-アミノ-4-クロロベンゾニトリル(化合物(11))が1%以下になるまで、混合物を60℃に加熱した。混合物を20℃に冷却した。水(6.7L、6.0L/kg LR)およびN-アセチル-L-システイン(1.18kg、1.0当量)を混合物に添加し、引き続いて20℃で1時間以上撹拌した。撹拌を停止し、下層の水層を除去した。リッチ有機相をMTBE(8.17kg、11.0L、10.0L/kg LR)で希釈し、水(5.5L、5L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相を4L/kg LRに濃縮し、残留THFが0.2%v/v以下になり、残留水が0.8%w/w以下になるまでエタノールと溶媒交換した。エタノール(6.8kg、8.6L、7.8L/kg LR)を投入し、得られた混合物を均質な溶液が得られるまで20℃で撹拌した。メタンスルホン酸(0.73kg、1.05当量)を20℃で2時間以上にわたって投入し、引き続いてn-ヘプタン(16.0kg、21.9L、20L/kg LR)を20℃で2時間以上にわたって添加した。得られたスラリーを濾過し、n-ヘプタン/エタノール(6.6L、体積で5:3、3L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(4)を固体として得た(1.67g、収率71%)。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ9.10-8.04(br s,3H)、7.25-7.16(m,3H)、4.05(q,J=7.1Hz,2H)、2.61-2.52(m,2H)、2.44(s,3H)、2.34(t,J=7.5Hz,2H)、1.77(quin,J=7.6Hz,2H)、1.17(t,J=7.1Hz,3H)。
2.化合物(4)の代替調製
容器に、窒素下、2-メチルブタノール(1.2L、12L/kg LR)、水(150mL、16当量)およびエチル 4-ブロモブタノエート(100g、1当量、LR)を投入した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(2.42g、0.05当量)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(5.84g、0.03当量)、ビス(ピナコラート)ジボロン(143g、1.1当量)およびリン酸カリウム(229g、2当量)を投入した。得られた混合物を65℃に15時間以上加熱した。混合物を20℃に冷却し、リッチ有機相を飽和塩化アンモニウム水溶液(1.0L、10L/kg LR)で洗浄し、トルエン(0.50L、5L/kg LR)で希釈し、水(1.0L、10L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相をMTBE(0.25L、2.5L/kg)で希釈し、塩化ナトリウム水溶液(0.10L、5重量%、1L/kg)で洗浄した。リッチ有機相をポリッシュ濾過し、2~3L/kg LRに濃縮し、トルエン(1.0L、10L/kg LR)で希釈し、2~3L/kg LRに濃縮し、トルエン(1.0L、10L/kg LR)で希釈した。濃縮溶液をさらに精製することなく次の工程でそのまま使用した。
別のバイアルにおいて、アニソール(5.0mL、4.0L/kg LR)、パラジウムアセテート(II)(53.4mg、0.03当量)および1,1-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン(148mg、0.033当量)を20℃で10分間以上撹拌し、引き続いて3-アミノ-4-クロロベンゾニトリル(1.15g、1当量、LR)を撹拌した。最後に、ボロナートの粗溶液(1.40当量)を容器に投入した。リン酸三ナトリウム(1.61g、3当量)および水(6.9mL、6L/kg LR)を投入し、引き続いて混合物を90℃に20時間以上加熱した。混合物を20℃に冷却し、下層の水相を除去した。リッチ有機相を、水(11.5mL、10L/kg LR)中のN-アセチルシステイン(1.15g、100重量%)、飽和塩化ナトリウム水溶液(11.5mL、10L/kg LR)、および水(11.5mL、10L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相を、1~2L/kg LRに濃縮し、無水エタノール(9.2mL、8L/kg LR)およびn-ヘプタン(9.2mL、8L/kg LR)で希釈した。メタンスルホン酸(870mg、0.59mL、1.20当量)を20℃で投入し、引き続いてn-ヘプタン(9.2mL、8L/kg LR)を20℃で10分間以上にわたって添加した。得られたスラリーを濾過し、n-ヘプタン/エタノール(3.45mL、体積で3:1、3L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(4)を固体として得た(1.3g、収率55%)。
3.化合物(4)の第2の代替調製
容器に、窒素下、3-アミノ-4-クロロベンゾニトリル(10.0g、1当量、LR)、エチル 4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ブタノエート(22.2g、1.40当量)、2-メチルテトラヒドロフラン(66.7mL、6.67L/kg LR)およびN-メチルピロリドン(13.3mL、1.33L/kg LR)を投入した。容器を窒素雰囲気に置換し、次いで、[1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.98g、0.04当量)を添加した。容器を窒素雰囲気に置換し、次いで、脱気した炭酸カリウム溶液(炭酸カリウム(31.7g、3.50当量)と水(30mL、3.0L/kg LR)との混合物)を投入し、次いで、混合物を75℃に加熱し、14時間以上撹拌した。混合物を40℃に冷却し、14重量%塩化ナトリウム溶液(60mL、6.0L/kg LR)およびN-アセチルシステイン(5.35g、0.500当量)を投入し、混合物を40℃で1時間以上撹拌した。水相を除去し、水(80mL、8.0L/kg LR)、N-アセチルシステイン(5.35g、0.500当量)および炭酸カリウム(9.06g、1.00当量)を有機相に投入し、混合物を40℃で1時間以上撹拌した。水相を除去し、水(80mL、8.0L/kg LR)、N-アセチルシステイン(5.35g、0.500当量)および炭酸カリウム(9.06g、1.00当量)を有機相に投入し、混合物を40℃で1時間以上撹拌した。水相を除去し、リッチ有機相を10重量%塩化ナトリウム溶液(60mL、6.0L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相をセライトのパッドを通して濾過し、セライトパッドを2-メチルテトラヒドロフラン(40mL、4.0L/kg LR)で洗浄した。濾液を4L/kg LRに濃縮した。4L/kg LRを終点として、エタノール(110mL、11.0L/kg LR)を用いて、2回置き換えを行った。エタノール(80mL、8.0L/kg LR)を添加し、混合物を35℃に加熱した。メタンスルホン酸(3.15g、0.500当量)を35℃で投入し、次いで、混合物を1時間にわたって20℃に冷却した。メタンスルホン酸(4.41g、0.700当量)を1時間にわたって投入し、次いで、n-ヘプタン(200mL、20L/kg LR)を20℃で2時間にわたって添加した。得られたスラリーを濾過し、n-ヘプタン/エタノール(99mL、体積で5:3、9.9L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(4)を固体として得た(16.6g、収率77%)。
4.化合物(4a)の調製
容器に化合物(4)(15.0g、45.7mmol)を投入し、約5分間静置(エージング)させ、トリエチルアミン(5.55g、54.8mmol)を投入し、1時間以上撹拌した。水(225mL)を3時間以上かけて投入し、一晩静置(エージング)させた。沈殿物を濾過によって回収し、3:1の水/エタノール(45mL)ですすぎ、水(30mL)で洗浄し、真空下、50℃で乾燥させて、化合物(4a)を得た(9.74g、41.9mmol、収率91.8%)。
5.化合物(4a)の代替調製
容器に、化合物(4)(10.0g、1当量、LR)、アセトニトリル(10mL、1.0L/kg LR)およびエタノール(30mL、3.0L/kg LR)を投入した。トリエチルアミン(4.01g、1.3当量)を投入し、次いで、水(60mL、6.0L/kg LR)を25℃で3時間にわたって添加した。混合物を0℃に冷却し、1時間以上静置(エージング)させた。得られたスラリーを濾過し、水/エタノール(30mL、体積で2:1、3.0L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(4a)を固体として得た(6.53g、収率92%)。
6.化合物(6)の調製
容器にアセトニトリル(11.86kg、5L/kg LR)、1-メチル-イミダゾール(2.46kg、2.2当量)、3-フルオロ-4-ブロモ安息香酸(化合物(12)、CAS番号153556-42-4、3.0kg、1当量、LR)を投入し、0℃に冷却した。バッチ温度を10℃以下に維持しながらイソプロピルアミン(0.90kg、1.1当量)を添加した。バッチ温度を20℃未満に維持しながら、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(4.23kg、1.1当量)を添加した。混合物を20℃に加温し、残留出発物質が1%以下になるまで1時間以上静置(エージング)させた。混合物を4L/kgに濃縮し、50℃に加温した。バッチ温度を50℃に維持しながら、水(36kg、12L/kg)を4時間以下かけて添加した。水の添加が完了したら、混合物を1時間以上かけて20℃に冷却し、引き続いて2時間以上かけて20℃で静置(エージング)させた。そのスラリーを濾過し、アセトニトリル/水(3L、体積で1:4、3L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(6)を固体として得た(3.3kg、収率94%)。1H NMR(DMSO-d6,500MHz):δ=8.35(br d,J=6.7Hz,1H)、8.19(br d,J=5.5Hz,1H)、7.89-7.93(m,1H)、7.46(br t,J=8.7Hz,1H)、4.07(dq,J=13.2,6.7Hz,1H)、1.15ppm(br d,J=6.7Hz,6H)。
7.化合物(7)の調製
容器に、THF(670g、3L/kg LR)、3-ブテン-1-オール(141g、2当量)および化合物(6)(250g、1当量、LR)を投入した。すべての固体が溶解するまで混合物を撹拌した。カリウムtert-ブトキシド(755g、THF中20重量%溶液、1.4当量)を、温度を25℃以下に維持しながら添加した。添加が完了したら、残留出発物質が1%以下になるまで、混合物を20℃で16時間以上静置(エージング)させた。混合物を重炭酸カリウム水溶液(1.25L、5重量%、5L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相を50℃に加温し、アセトニトリル(5%以下残留THF)に溶媒交換し、5L/kgの体積に調整した。バッチ温度を50℃に維持しながら、水(2.5L、10L/kg LR)を2時間以上にわたって添加した。水の添加が完了したら、混合物を1時間以上かけて20℃に冷却し、引き続いて2時間以上かけて20℃で静置(エージング)させた。そのスラリーを濾過し、アセトニトリル/水(750mL、体積で1:2、3L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(7)を固体として得た(277g、収率92%)。1H NMR(DMSO-d6,500MHz):δ=8.18(br d,J=7.6Hz,1H)、8.09(d,J=2.1Hz,1H)、7.85(dd,J=8.5,2.1Hz,1H)、7.17(d,J=8.9Hz,1H)、5.88-5.92(m,1H)、5.19(dd,J=17.2,1.7Hz,1H)、5.10(d,J=10.4Hz,1H)、4.16(t,J=6.6Hz,2H)、4.07(dd,J=13.9,6.9Hz,1H)、2.51-2.54(m,2H)、1.15ppm(d,J=6.4Hz,6H)。
8.化合物(7)の代替調製
容器に、THF(60mL、2.0L/kg LR)、3-ブテン-1-オール(16.6g、2.00当量)および化合物(6)(30g、1当量、LR)を投入した。すべての固体が溶解するまで混合物を撹拌した。カリウムtert-ブトキシド(150g、THF中1.0mol/L溶液、1.50当量)を、温度を25℃以下に維持しながら添加した。添加が完了したら、残留出発物質が1%以下になるまで、混合物を20℃で16時間以上静置(エージング)させた。反応混合物の一部(116g、化合物(6)13gに相当)にMTBE(78mL、6.0L/kg LR)を投入し、混合物を5重量%炭酸水素カリウム溶液(65mL、5L/kg LR)で洗浄した。リッチ有機相を4L/kg LRに濃縮した。5L/kg LRを終点として、アセトニトリル(65mL、5.0L/kg LR)を用いて、2回置き換えを行った。得られた混合物を20℃に冷却し、化合物(7)の沈殿を確認した。水(130mL、10L/kg LR)を4時間以上にわたって添加し、混合物を20℃で0.5時間以上静置(エージング)させた。そのスラリーを濾過し、アセトニトリル/水(39mL、体積で1:2、3.0L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(7)を固体として得た(14.0g、収率90%)。
9.化合物(5)の調製
撹拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、2-メチルテトラヒドロフラン(22.5mL、4.5L/kg(体積))およびイソプロパノール(2.5mL、0.5L/kg(体積))を添加した。フラスコをセプタムで密封し、窒素を20分間注入(スパージング)することによって脱気した。次いで、化合物(7)(4.99g、1.0当量、LR)を窒素下で投入し、引き続いて1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(130.2mg、0.018当量)およびパラジウムアセテート(II)(35.3mg、0.01当量)を窒素下で投入した。10分間撹拌した後、テトラメチルアンモニウムアセテート(4.3g)を窒素下で投入した。窒素で10分間注入(スパージング)することによって脱気し、次いで75℃に一晩加熱した。15.5時間後、アリコートを取り、UPLC分析に供したところ、完全な変換が示された。流体をMeTHF(10L/kg(体積)、50mL)で希釈し、室温に冷却した。流体を濾過し、固体をMeTHF(2L/kg(体積)、10mL)でリンスした。濾液溶媒を蒸留によってイソプロパノールに交換した。流体を5volに蒸留した。イソプロパノール(5L/kg(vol))の3回の投入が、最初の2回の注入については5volおよび3回目については7volの終点で完了した。次いで、流体を250mLのRBFに移し、50℃まで加熱した。水(14L/kg(体積)、140mL)を結晶化が起こる2時間にわたって添加し、20℃に冷却し、室温で2時間静置(エージング)させた。生成物を濾過によって単離し、ケークを1:2のイソプロパノール/水(4L/kg(体積)、20mL)で洗浄した。次いで、固体を50℃で一晩、完全真空および窒素掃引で乾燥させた。乾燥後、白色固体3.21gを得た。HPLCおよび1H NMRにより、化合物(5)の形成が収率87%で確認された。
10.化合物(5)の代替調製
容器にN-メチルピロリドン(75mL、5L/kg LR)を投入し、次いでこれを脱気し、引き続いて窒素下で1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(0.267g、0.012当量)およびパラジウムアセテート(II)(0.108g、0.01当量)を投入した。得られた混合物を窒素下にて20℃で0.5時間以上静置(エージング)させた。化合物(7)(15g、1当量、LR)および酢酸テトラメチルアンモニウム(12.85g、2.0当量)を投入し、引き続いて混合物を75℃に12時間以上加熱した。残留出発物質が1%以下である場合、混合物を50℃に冷却した。バッチ温度を50℃に維持しながらアセトン(45mL、3L/kg LR)を投入した。バッチ温度を50℃に維持しながら水(90mL、6L/kg LR)を投入した。化合物(5)の種結晶(0.15g、1%)を投入し(必須ではない)、混合物を50℃で0.5時間以上静置(エージング)させた。バッチ温度を50℃に維持しながら、水(90mL、6L/kg LR)を4時間以上にわたって添加した。混合物を20℃に冷却し、2時間以上静置(エージング)させた。そのスラリーを濾過し、アセトン/水(120mL、体積で1:4、8L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(5)を固体として得た(9.81g、収率88%)。1H NMR(600MHz,DMSO-d6)δ8.17(d,J=2.1Hz,1H)、8.12(d,J=7.6Hz,1H)、7.69(dd,J=8.5,2.1Hz,1H)、6.86(d,J=8.5Hz,1H)、5.70(s,1H)、5.02(s,1H)、4.22(t,J=5.7Hz,2H)、4.10(m,1H)、2.65(t,J=5.5Hz,2H)、1.16(d,J=6.7Hz,6H)。
11.化合物(5)の第2の代替調製
容器に、2-メチルテトラヒドロフラン(100mL、5mL/g LR)、化合物(6)(20g、1当量、LR)、3-ブテン-1-オール(12.2g、2.2当量)およびナトリウムtert-ブトキシド(12.18g、1.6当量)を窒素下、25℃で投入した。得られた混合物を、残留出発物質が1%以下になるまで、40℃に6時間以上加熱した。混合物を、2-メチルテトラヒドロフラン(80mL、4mL/g LR)で希釈し、炭酸ナトリウム水溶液(100mL、5mL/g LR)で40℃で洗浄した。リッチ有機相を、塩化ナトリウム水溶液(100mL、13重量%、5mL/g LR)で洗浄し、残留水が0.4重量%以下になるまで一定体積で共沸乾燥させた。1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(460mg、0.013当量)、パラジウムアセテート(II)(172mg、0.01当量)および酢酸テトラメチルアンモニウム(20.43g、2当量)を反応物に投入し、引き続いて16時間以上75℃に加熱し、残留化合物(7)は1%以下であった。混合物を50℃に冷却し、水(100mL、5mL/g LR)で洗浄した。リッチ有機相を、残留水が0.5重量%以下になるまで一定体積で共沸乾燥させた。リッチ有機相を50℃でポリッシュ濾過し、5mL/g LRに濃縮し、40℃で1時間以上保持した(種床が形成された)。n-ヘプタン(200mL、10L/kg LR)を2時間以上にわたって投入し、続いて20℃に冷却し、20℃で2時間以上静置(エージング)させた。得られたスラリーを濾過し、2-メチルテトラヒドロフラン/n-ヘプタン(40mL、体積で2:3、2L/kg LR)、引き続いてn-ヘプタン(40mL、2L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(5)を固体として得た(14.2g、収率79%)。
12.化合物(5)の第3の代替調製
容器に、N,N-ジメチルアセトアミド(350mL、3.5L/kg LR)、リン酸三カリウム(136g、2.0当量)、パラジウムアセテート(1.44g、0.0200当量)および1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(4.29g、0.0300当量)を投入した。容器を窒素雰囲気に置換し、混合物を2時間にわたって85℃に加熱し、85℃で1時間撹拌した。容器に、N,N-ジメチルアセトアミド(150mL、1.5L/kg LR)中の化合物(7)(100g、1当量、LR)を85℃で4時間にわたって投入し、次いで、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を50℃に冷却した後、酢酸エチル(1.0L、10L/kg LR)、20重量%塩化ナトリウム溶液(1.0L、10L/kg LR)およびN-アセチルシステイン(26.1g、0.500当量)を投入し、混合物を50℃で1時間以上撹拌した。水相を除去し、リッチ有機相に20重量%塩化ナトリウム溶液(1.0L、10L/kg LR)、N-アセチルシステイン(26.1g、0.500当量)および炭酸カリウム(44.2g、1.00当量)を投入し、50℃で1時間以上撹拌した。水相を除去し、リッチ有機相に20重量%塩化ナトリウム溶液(1.0L、10L/kg LR)および炭酸カリウム(44.2g、1.00当量)を投入し、50℃で15分間以上撹拌した。水相を除去し、リッチ有機相を20重量%塩化ナトリウム溶液(1.0L、10L/kg LR)で50℃で洗浄した。有機相を5L/kg LRに濃縮し、イソプロパノール(5L/kg LR)の3回の投入が、最初の2回の注入については5L/kg LR、3回目については6L/kg LRの終点で完了した。得られた混合物を50℃に加熱した。水(300mL、3.0L/kg LR)を50℃で15分間にわたって添加し、その間に結晶化が起こった。さらなる水(1.1L、11L/kg LR)を50℃で3時間にわたって添加し、次いで、混合物を20℃に冷却し、2時間静置(エージング)させた。得られたスラリーを濾過し、イソプロパノール/水(900mL、体積で1:2、9L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させて、化合物(5)を固体として得た(66.8g、収率90%)。
13.化合物(3)の調製
容器に2-メチルテトラヒドロフラン(1.5L)、化合物(5)(100g、432.3mmol)、(S,S)-(2,6-ビス(4-イソプロピル)-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン(3.949g、12.97mmol)を投入し、さらなる2-メチルテトラヒドロフラン(0.5mL)に窒素を約10分間パージし、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー(4.094g、6.485mmol)を投入し、50℃に加熱した。エチルジアゾアセテート(Maurya,R.A.らによるGreen Chem.、2014、16、p.116における説明の通りに調製したEDA、0.44L、トルエン中15重量%溶液、1.2当量)を115分間にわたって投入し、反応物を50℃で一晩静置(エージング)させた。HPLC分析に基づいて、反応は完了しなかったので、さらに0.2当量のEDAを20分かけて添加した。50℃で2時間後、HPLC分析によって反応が完了した。24時間後、混合物に水酸化テトラメチルアンモニウム(465.5mL、1297mmol)を投入して、50℃で一晩静置(エージング)させた。混合物を20℃に冷却し、有機相を水(200mL)で洗浄した。水相を、先の水相と合わせ、20℃で72時間静置(エージング)させ、45℃に加熱し、水(107mL)中のアセトン(967mL)、水(193mL)およびHCl(37%)を投入した。バッチを45℃で1.5時間静置(エージング)させた。混合物を2時間かけて35℃に冷却し、1時間静置(エージング)させ、1時間かけて20℃に冷却し、1時間静置(エージング)させた。その混合物を濾過し、水(540mL)およびアセトン(60mL)で洗浄し、次いで、50℃で一晩、真空下で乾燥させることにより、化合物(3)を得た(68.5g、収率54.8%)。
14.化合物(3)の代替調製
容器に、窒素下、2-メチルテトラヒドロフラン(1.5L、15mL/g LR)、化合物(5)(0.1kg、1当量、LR)、(S,S)-(2,6-ビス(4-イソプロピル)-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン((S,S)-iPr-Pybox)(3.95g、0.03当量)およびジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー([RuCl2(cymene)]2)(4.09g、0.015当量)を投入した。さらなる2-メチルテトラヒドロフラン(0.5L、5mL/g LR)を投入した。混合物を50℃に1時間以上加熱した。バッチ温度を60℃未満に維持しながら、エチルジアゾアセテート(Maurya,R.A.らによるGreen Chem.、2014、16、p.116において説明されている通りに調製した、0.44L、トルエン中15重量%溶液、1.20当量)を3時間にわたって投入した。添加が完了したら、残留出発物質が2%以下になるまで混合物を50℃で静置(エージング)させた。バッチ温度を70℃未満に維持しながら、水酸化テトラメチルアンモニウム(0.466L、水中25%w/w、3.0当量)を、化合物(5a)を含有するリッチ有機流体に添加した。添加が完了後、有機相中の化合物(5a)の濃度が1.1mg/mL以下になるまで、混合物を50℃で12時間以上静置(エージング)させた。混合物を15℃に冷却し、下層の生成物リッチな水層を除去した。希薄有機相を水(0.2L、2mL/g LR)で抽出した。生成物リッチな水相を除去した。すべての生成物リッチな水相を合わせて、水(0.2L、2mL/g LR)およびアセトン(1L、10mL/g LR)で希釈し、50℃に加熱した。塩酸水溶液(0.12L、12M、3.1当量)を50℃で混合物に添加した。化合物(3)の種(1.0g、0.01g/g LR)を混合物に添加し、50℃で2時間以上静置(エージング)させた。混合物を8時間以上にわたって20℃に冷却し、続いて20℃で2時間以上静置(エージング)させた。スラリーを濾過し、水/アセトン(0.6L、体積で9:1、6mL/g LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させた。粗固体をアセトン/水から再結晶させて、化合物(3)を固体として得た(68.7g、収率54.9%)。1H NMR(600MHz,DMSO-d6)δ8.02(d,J=7.7Hz,1H)、7.61(br d,J=8.5Hz,1H)、7.29(br s,1H)、6.81(d,J=8.5Hz,1H)、4.29(m,1H)、4.10(m,1H)、4.08(m,1H)、2.18(t,J=7.3Hz,1H)、2.08(br t,J=5.0Hz,2H)、1.70(dd,J=8.2,4.9Hz,1H)、1.43(t,J=5.7Hz,1H)、1.15(d,J=6.4Hz,6H)。
15.化合物(3)の第2の代替調製
容器に、窒素下、トルエン(70mL、7.0L/kg LR)、化合物(5)(10g、1当量、LR)、(S,S)-(2,6-ビス(4-イソプロピル)-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン((S,S)-iPr-Pybox)(182mg、0.014当量)およびジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー([RuCl2(cymene)]2)(185mg、0.007当量)を投入した。さらなるトルエン(5mL、0.5L/kg LR)を投入した。混合物を55℃に加熱し、1時間以上撹拌した。エチルジアゾアセテート(トルエン中15重量%溶液、1.05当量)を55℃で3時間にわたって投入した。添加が完了後、ラインをトルエン(5mL、0.5L/kg LR)で洗浄し、混合物を55℃で1時間静置(エージング)させた。さらなるエチルジアゾアセテート(0.2当量)を0.5時間にわたって投入し、混合物を55℃で1時間撹拌した。反応混合物を45℃に冷却し、次いで、エタノール(20mL、2L/kg LR)および4mol/L水酸化ナトリウム溶液(32.4mL、3.0当量)を投入した。混合物を45℃で8時間以上撹拌した。混合物を25℃に冷却し、水(17.5mL、1.75L/kg LR)を添加した。混合物を0.5時間撹拌した後、有機相を除去した。生成物リッチな水層に、テトラヒドロフラン(75.5mL、7.55L/kg LR)、クエン酸溶液(クエン酸一水和物(8.62g、0.95当量)および水(6.9mL、0.69L/kg LR))を投入した。塩酸溶液(35%塩酸(7.2g)および水(3.3mL))を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。水相を除去し、有機相中の化合物(3)およびそのエナンチオマーの総含有量をHPLCによって分析した。リッチ有機相を9L/kg LRに濃縮し、テトラヒドロフランを添加して、テトラヒドロフラン/[化合物(3)およびそのエナンチオマー]比を3.8/1(g/g)に調整した。混合物を45℃に加熱し、次いで、エタノール(20mL、2L/kg LR)を投入した。混合物を1時間にわたって25℃に冷却した後、化合物(3)の種(10mg、0.001g/g LR)を添加した。水(80mL、8L/kg LR)を3時間にわたって投入し、混合物を25℃で1時間撹拌し、次いで、18℃に冷却した。混合物を一晩撹拌した後、得られたスラリーを濾過し、エタノール/水(24mL、体積で5:3、2.4L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(3)を固体として得た(7.41g、収率59%)。
16.化合物(2)の調製
容器に、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(72.9g、1.26当量)およびアセトニトリル(250mL、4.17mL/g LR)を投入した。混合物を0℃に冷却した。1-メチルイミダゾール(64.8g、3.82当量)を約5分間にわたって滴加した。フラスコをアセトニトリル(60mL、1mL/g LR)ですすいだ。化合物(3)(59.8g、1当量、LR)をフラスコに添加した。フラスコをアセトニトリル(50mL、0.83mL/g LR)ですすいだ。化合物(4)(72.7g、1.07当量)を投入した。フラスコをテトラヒドロフラン(150mL、2.5mL/g LR)ですすいだ。反応温度を50℃に上げ、残留出発物質が1%以下になるまで静置(エージング)させた。水(585mL、9.75mL/g LR)を2時間以上にわたって添加した後、混合物を50℃から20℃まで2時間以上にわたって冷却した。得られたスラリーを濾過し、水/アセトニトリル(540mL、体積で1:1、9mL/g LR)の混合溶液で洗浄した。その湿ケークを真空中で乾燥させることにより、化合物(2)を得た(100.4g、収率96%)。1H NMR(600MHz,DMSO-d6)δ9.87(s,1H)、8.05(d,J=7.7Hz,1H)、7.93(br s,1H)、7.65(dd,J=8.5,1.8Hz,1H)、7.56(dd,J=8.1,1.3Hz,1H)、7.43(br s,1H)、7.42(d,J=8.1Hz,1H)、6.83(d,J=8.5Hz,1H)、4.32(m,1H)、4.10(m,1H)、4.08(m,1H)、3.97(q,J=7.2,4.1Hz,2H)、2.66(m,2H)、2.49(m,1H)、2.28(t,J=7.3Hz,2H)、2.14(m,2H)、1.81(dd,J=8.2,4.9Hz,1H)、1.75(m,2H)、1.60(t,J=5.7Hz,1H)、1.17(d,J=6.6Hz,6H)、1.14(t,J=7.2Hz,3H)。
17.化合物(4a)を用いた化合物(2)の調製
容器にアセトニトリル(30.95g)を投入し、クロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(6.03g、21.3mmol)で処理し、化合物(3)(5.00g、17.3mmol)、引き続いて化合物(4a)(4.60g、19.8mmol)で処理し、次いで、THF(15.50g)および1-メチルイミダゾール(4.24g、51.6mmol)を投入した。混合物を50℃に加熱し、次いで、反応完了の工程内管理を通過したときに室温に冷却した。混合物を30℃に加熱し、5mLのアリコート中の17.5mLの水でゆっくり処理した。さらに32.5mLの水を添加し、反応物を20℃で72時間保持した。沈殿物を濾過によって回収し、アセトニトリルおよび水の1:1混合物(9L/kg)で洗浄し、次いで、50℃において真空中で乾燥させて、7.52g(収率86%)の化合物(2)を得た。
18.化合物(4a)を用いた化合物(2)の代替調製
容器に、アセトニトリル(30mL、6L/kg LR)、THF(12.5mL、2.50L/kg LR)、化合物(3)(5.0g、1当量、LR)、化合物(4a)(4.3g、1.07当量)およびクロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(5.92g、1.22当量)を投入した。バッチ温度を30℃未満に維持しながら、1-メチルイミダゾール(3.87g、2.73当量)を添加した。混合物を55℃に加熱し、3時間撹拌し、次いで、45℃に冷却した。化合物(2)の種(5mg、0.001g/g LR)を添加し、混合物を45℃で15分間以上撹拌した。水(50mL、10L/kg LR)を45℃で2時間にわたって添加し、次いで、混合物を室温に冷却した。混合物を一晩撹拌した後、得られたスラリーを濾過し、アセトニトリル/水(45mL、体積で1:1、9L/kg LR)の混合溶液で洗浄し、真空中で乾燥させることにより、化合物(2)を固体として得た(8.06g、収率93%)。
19.化合物(I)の調製
オーバーヘッドスターラーを備えた容器に、化合物(2)(8.0g、15.9mmol)およびTHF(35mL)を15~20℃で投入した。水(3.52mL)を投入し、続いて水酸化ナトリウム水溶液(水中50重量%、1.27mL、23.8mmol)を投入し、窒素でパージした。得られた混合物を20℃で一晩撹拌し、次いで、さらなる水(7.2mL、400mmol)を投入し、室温で24時間撹拌した。混合物にHCl(2.0mL、24mmol)を室温で投入し、1時間以上撹拌した。アセトン(6.60mL、90mmol)を添加し、次いで、均質な混合物が得られるまで連続的に投入した(合計添加量48mL)。水(52mL)を5~10分間にわたって添加し、室温で一晩撹拌した。沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(2L/kg(vol))および水(3L/kg(vol))の混合溶液で洗浄し、次いで、65℃で3日間にわたって真空下で乾燥させて、6.38g(収率85%)の化合物(I)を得た。
20.化合物(I)の代替調製
容器に、化合物(2)(16.0g、1.0当量、LR)およびTHF(96mL、6mL/g LR)を15~20℃で投入した。水(17.6mL、1.1mL/g LR)を投入し、続いて水酸化ナトリウム水溶液(9.5mL、5M、1.5当量)を投入した。得られた混合物を、残留出発物質が0.5%以下になるまで15~20℃で撹拌した。塩酸水溶液(9.5mL、6M、1.8当量)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。撹拌を停止し、相を分離させ、下層の水層を除去した。生成物リッチな有機相をポリッシュ濾過した。濾液をアセトン(53mL、3.3mL/g LR)および水(64mL、4.0mL/g LR)で希釈した。種結晶(0.32g、0.02g/g LR)を添加し、引き続いて4時間以上湿式粉砕し、得られたスラリーを20℃で12時間以上静置(エージング)させた。水(104mL、6.5mL/g LR)を5時間以上にわたって投入し、続いてスラリーを1時間以上静置(エージング)させた。そのスラリーを濾過し、湿ケークを水/アセトン(80mL、体積で3:2、5mL/g LR)で洗浄し、ケークを真空中で乾燥させることにより、化合物(I)を得た(13.1g、収率87%)。1H NMR(600MHz,DMSO-d6):δ1.153(d,J=6.6Hz,3H)、1.151(d,J=6.6Hz,3H)、1.56-1.60(m,1H)、1.69-1.76(m,2H)、1.78(dd,J=7.8,4.8Hz,1H)、2.06-2.16(m,2H)、2.20(t,J=7.5Hz,2H)、2.44-2.49(m,1H)、2.60-2.70(m,2H)、4.04-4.13(m,2H)、4.28-4.34(m,1H)、6.83(d,J=8.6Hz,1H)、7.40(d,J=7.8Hz,1H)、7.42(d,J=1.8Hz,1H)、7.56(dd,J=7.8,1.5Hz,1H)、7.64(dd,J=8.6,2.1Hz,1H)、7.87(d,J=1.5Hz,1H)、8.04(d,J=7.8Hz,1H)、9.90(s,1H)、12.09(s,br,1H)。
21.化合物(I)の第2の代替調製
容器に、化合物(2)(20.0g、1.0当量、LR)およびTHF(120mL、6.0mL/g LR)を15~20℃で投入した。水(22.0mL、1.1mL/g LR)を投入し、続いて水酸化ナトリウム溶液(11.9mL、5mol/L、1.5当量)を添加した。得られた混合物を、残留出発物質が0.2%以下になるまで20~25℃で撹拌した。塩酸溶液(9.80mL、6mol/L、1.48当量)を添加し、次いで、水酸化ナトリウム溶液(1mol/L)および塩酸溶液(1mol/L)で水相のpHを3.0~4.0に調整した。水相を除去し、生成物リッチな有機相をポリッシュ濾過した。濾液をアセトン(100mL、5.0mL/g LR)および水(74mL、3.7mL/g LR)で希釈した。種結晶(0.40g、0.02g/g LR)を添加し、次いで、水(160mL、8.0L/kg LR)を22℃で6時間にわたって添加した。得られたスラリーを0℃に冷却し、一晩撹拌した。そのスラリーを濾過し、湿ケークを水/アセトン(100mL、体積で3:2、5.0mL/g LR)の混合溶液で洗浄し、ケークを真空中で乾燥させることにより、化合物(I)を得た(17.9g、収率95%)。
本方法は、工程数を減らし、シクロプロパン化の立体選択性を改善し、ウィッティヒ反応によるエキソメチレン部位形成の工程をヘック反応によるエキソメチレン部位形成の工程に変更した効率的で費用対効果の高い方法である。例えば、実施例12では、ヘック反応によるエキソメチレン部位形成の工程により、化合物(5)を90%の高収率で得た。例えば、実施例13~15では、化合物(3)のジアステレオ選択性が{[エチル(1’S,2’R)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボキシレート]+[エチル(1’R,2’S)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボキシレート]}/{[エチル(1’S,2’S)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボキシレート]+[エチル(1’R,2’R)-6-[(プロパン-2-イル)カルバモイル]-2,3-ジヒドロスピロ[[1]ベンゾピラン-4,1’-シクロプロパン]-2’-カルボキシレート]}=97.5/2.5で向上し、化合物(3)が高収率で得られた。
化合物(I)の製造方法としては、好ましくは、上記実施例である3.化合物(4)の第2の代替調製、5.化合物(4a)の代替調製、6.化合物(6)の調製、8.化合物(7)の代替調製、12.化合物(5)の第3の代替調製、15.化合物(3)の第2の代替調製、18.化合物(4a)を用いた化合物(2)の代替調製、および21.化合物(I)の第2の代替調製の組み合わせである。
発明の概要および要約の項目ではなく、発明を実施するための形態の項目は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。発明の概要および要約の項目は、発明者(複数可)によって企図される本開示の1つまたは複数の、ただしすべてではない例示的な実施形態を記載することができ、したがって、本開示および添付の特許請求の範囲を決して限定することを意図するものではない。
本開示は、指定された機能およびその関係の実施を示す機能的構成要素を用いて上述されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。指定された機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
特定の実施形態の前述の説明は、本開示の一般的な性質を十分に明らかにするので、他者は、当業者の技術の範囲内で知識を適用することによって、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、過度の実験を行うことなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に容易に修正および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書に提示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図されている。本明細書の表現または用語は、本明細書の用語または表現が教示およびガイダンスに照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることを理解されたい。
本開示の広がりおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。