JP7205002B1 - 非侵襲物質分析装置 - Google Patents

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Abstract

非侵襲物質分析装置(1)は、サンプル支持板(10)と、励起光源(20)と、温度センサ(25,26)とを備える。サンプル支持板(10)は、サンプル載置領域(12)を含む主面(10a)と、主面(10a)とは反対側の主面(10b)とを有する。温度センサ(25,26)は、主面(10a)上に設けられている。サンプル載置領域(12)から主面(10b)まで延在する貫通孔(13)がサンプル支持板(10)に設けられている。励起光源(20)から放射される励起光(21)は、貫通孔(13)を通って、サンプル載置領域(12)上に載置されるサンプル(15)に照射される。

Description

本開示は、非侵襲物質分析装置に関する。
特表2017-519214号公報(特許文献1)は、光学媒質と、赤外光源と、プローブ光源と、フォトダイオードとを備える非侵襲分析システムを開示している。具体的には、光学媒質上に生体サンプルが載置される。赤外光源は、赤外光を放射する。赤外光は、光学媒質を通って、生体サンプルに照射される。赤外光は生体サンプルに吸収されて、生体サンプルが発熱する。生体サンプルの吸収熱の程度は、サンプル中のまたはサンプルの表面上の生体成分の量または濃度に依存する。
プローブ光源は、可視光であるプローブ光を光学媒質に向けて放射する。プローブ光は、光学媒質と生体サンプルとの間の界面で内部全反射されて、光学媒質から出射する。生体サンプルの吸収熱は、光学媒質に伝わって、光学媒質の屈折率を変化させる。光学媒質の屈折率の変化は、光学媒質と生体サンプルとの間の界面におけるプローブ光の内部全反射に影響を与え、光学媒質から出射されるプローブ光の進行方向を変化させる。フォトダイオードは、光位置センサとして機能して、プローブ光の進行方向の変化を検出する。フォトダイオードで検出されたプローブ光の進行方向の変化から、生体成分の量または濃度を測定する。例えば、サンプルが患者の皮膚である場合、生体成分として患者の血糖値が測定される。
特表2017-519214号公報
しかし、特許文献1に開示された非侵襲分析システムでは、生体サンプルの吸収熱が光学媒質全体に素早く拡散する。そのため、生体サンプルの吸収熱によるプローブ光の進行方向の変化が小さく、サンプル中のまたはサンプルの表面上の生体成分を正確に分析することができない。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、サンプル中のまたはサンプルの表面上の物質をより正確に分析することができる非侵襲物質分析装置を提供することである。
本開示の非侵襲物質分析装置は、サンプル支持板と、励起光源と、温度センサとを備える。サンプル支持板は、サンプル載置領域を含む第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面とを有する。励起光源は、サンプル載置領域上に載置されるサンプルに向かって励起光を放射する。温度センサは、第1主面上に設けられている。サンプル載置領域から第2主面まで延在する貫通孔がサンプル支持板に設けられている。励起光は、貫通孔を通って、サンプルに照射される。
本開示の非侵襲物質分析装置では、励起光が通る貫通孔が、サンプル支持板に設けられている。そのため、励起光は、サンプル支持板で吸収されることなく、より強い光強度でサンプルに到達する。サンプルの吸収熱が増加する。また、サンプルの吸収熱がサンプル支持板の厚さ方向(第1主面と第2主面とが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光がサンプルに照射されている時に温度センサから出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル中のまたはサンプルの表面上の物質をより正確に分析することができる。
実施の形態1の非侵襲物質分析装置の概略平面図である。 実施の形態1の非侵襲物質分析装置の、図1に示される断面線II-IIにおける概略断面図である。 実施の形態1の非侵襲物質分析装置の概略部分拡大断面図である。 ロックインアンプの回路図である。 実施の形態1の非侵襲物質分析方法のフローチャートを示す図である。 実施例1及び比較例1-1,1-2の規格化温度変動幅のシミュレーション結果を示す図である。 実施の形態1の変形例の非侵襲物質分析装置の概略断面図である。 実施の形態2の非侵襲物質分析装置の概略断面図である。 実施例2及び比較例2-1,2-2の規格化温度変動幅のシミュレーション結果を示す図である。 実施の形態3の非侵襲物質分析装置の概略平面図である。 実施の形態3の非侵襲物質分析装置の、図10に示される断面線XI-XIにおける概略断面図である。 実施の形態4の非侵襲物質分析装置の概略平面図である。 実施の形態4の非侵襲物質分析装置の、図12に示される断面線XIII-XIIIにおける概略断面図である。 実施の形態5の非侵襲物質分析装置の概略平面図である。 実施の形態5の非侵襲物質分析装置の、図14に示される断面線XV-XVにおける概略断面図である。 実施の形態6の非侵襲物質分析装置の概略平面図である。 実施の形態6の非侵襲物質分析装置の、図16に示される断面線XVII-XVIIにおける概略断面図である。
以下、実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
実施の形態1.
図1から図4を参照して、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1を説明する。図1及び図2を参照して、非侵襲物質分析装置1は、サンプル支持板10と、励起光源20と、光学チョッパー22と、温度センサ25,26と、ロックインアンプ34と、信号処理部37と、物質分析部38とを備える。
サンプル支持板10は、主面10aと、主面10aとは反対側の主面10bとを有する。主面10aは、サンプル15が載置されるサンプル載置領域12を含む。サンプル15は、例えば、患者の指、手首、腕、耳たぶまたは唇のような生体サンプルである。本実施の形態では、サンプル支持板10は、基板11によって構成されている。基板11は、励起光21に対して不透明な材料で形成されている。基板11は、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタンまたはアクリル樹脂などのようなプラスチックまたはガラスで形成されている。
サンプル支持板10には、サンプル載置領域12から主面10bまで延在する貫通孔13が設けられている。主面10aの平面視において、サンプル15の大きさは、貫通孔13の大きさよりも大きい。
励起光源20は、サンプル載置領域12上に載置されるサンプル15に向かって励起光21を放射する。励起光21の波長は、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質の吸収波長に応じて定められる。励起光21は、例えば、中赤外光である。励起光21の波長は、例えば、6.0μm以上である。励起光21の波長は、8.0μm以上であってもよい。励起光21の波長は、例えば、13.0μm以下である。励起光21の波長は、11.0μm以下であってもよい。励起光21は、複数の波長を有する光であってもよい。例えば、非侵襲物質分析装置1を用いて患者の血糖値を測定する場合、励起光21の波長範囲は、糖の指紋スペクトルの波長を含む波長範囲(例えば、8.5μm以上10μm以下の波長範囲)である。励起光源20は、例えば、広帯域の中赤外光を放射し得る量子カスケードレーザである。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質に吸収されない参照光が、励起光21とともにサンプル15に照射されてもよい。
光学チョッパー22は、励起光21を周期的に強度変調する。光学チョッパー22は、例えば、複数の回転羽根を含む。複数の回転羽根は、励起光21に対して不透明な材料で形成されている。励起光21が複数の回転羽根の一つによって遮断される時、サンプル15は励起光21によって照射されない。これに対し、励起光21が、複数の回転羽根のうち互いに隣り合う一対の回転羽根の間を通り抜ける時、サンプル15は励起光21によって照射される。こうして、光学チョッパー22は、励起光源20から放射された励起光21を強度変調する。光学チョッパー22は、強度変調された励起光21の強度変調周波数と同じ周波数を有する参照信号を、電気配線30を通して、ロックインアンプ34に送信する。
光学チョッパー22によって強度変調された励起光21は、主面10b側からサンプル支持板10に入射する。励起光21は、貫通孔13を通って、サンプル15に照射される。励起光21は、例えば、貫通孔13の中心軸13c上を進む。励起光21が光学チョッパー22を通り抜ける時に、励起光21はサンプル15に照射される。励起光21は、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質に吸収される。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質による励起光21の吸収によって、サンプル15で吸収熱が発生する。これに対し、励起光21が光学チョッパー22によって遮断される時には、励起光21はサンプル15に照射されず、サンプル15で吸収熱は発生しない。そのため、サンプル15の温度は、励起光21の強度変調周波数で変動する。
サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質は、例えば、生体成分である。非侵襲物質分析装置1を用いて患者の血糖値を得る場合、非侵襲物質分析装置1によって分析される物質は、患者の表皮中の間質液中に存在している糖である。
温度センサ25,26は、主面10a上に設けられている。温度センサ25,26は、サンプル載置領域12に設けられている。サンプル15がサンプル載置領域12上に載置されると、温度センサ25,26は、サンプル15に接触して、サンプル15の温度を検出する。温度センサ25,26は、サンプル15の温度を検出して、当該温度に対応する温度信号をロックインアンプ34に出力する。具体的には、温度センサ25は、サンプル15のうち温度センサ25が接触している部分の温度を検出して、当該温度に対応する温度信号をロックインアンプ34に出力する。温度センサ26は、サンプル15のうち温度センサ26が接触している部分の温度を検出して、当該温度に対応する温度信号をロックインアンプ34に出力する。
サンプル15の温度は励起光21の強度変調周波数で変動するため、温度センサ25,26から出力される温度信号も励起光21の強度変調周波数で変動する。例えば、温度センサ25,26は、励起光21がサンプル15に照射されていない時に温度信号の最小値を出力し、励起光21がサンプル15に照射されている時に温度信号の最大値を出力する。温度信号の最大値と最小値との間の差は、温度信号の振幅である。温度センサ25,26の温度信号の振幅は、サンプル15の分析中の、温度センサ25,26によって測定されるサンプル15の温度変動幅に対応する。本実施の形態では、サンプル15の分析中は、サンプル15に強度変調された励起光21が照射されている間を意味する。
温度センサ25,26は、貫通孔13の近くに配置されている。例えば、温度センサ25,26の各々と貫通孔13との間の距離dは、50μm以下である。距離dは、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。距離dは、貫通孔13のサイズ(例えば、貫通孔13の直径)の10%以下である。距離dは、貫通孔13のサイズの5%以下であってもよい。主面10aの平面視において、温度センサ25,26は、貫通孔13の中心軸13cに対して、回転対称に配置されている。
図3を参照して、温度センサ25,26は、温度センサ本体27を含む。温度センサ25,26は、保護膜28をさらに含んでもよい。
温度センサ本体27は、例えば、熱電対、サーモパイル、サーミスタまたはダイオードである。
熱電対は、二つの異種材料片を互いに接触させて、二つの異種材料片の接触部に発生する熱起電力から、サンプル15の温度を測定する。熱電対を構成する二つの材料片は、例えば、鉄、銅ニッケル合金、銅、ニッケルクロム合金、ニッケルアルミニウム合金、ニッケルシリコン合金、ニッケルクロムシリコン合金、白金、白金ロジウム合金、ビスマス、アンチモン、または、これらの組合せ、によって形成される。熱電対を構成する二つの材料片は、p型ポリシリコンとn型ポリシリコンとによって形成されてもよい。サーモパイルは、複数の熱電対を接続することによって形成される。
サーミスタの電気抵抗は、サーミスタの温度によって変化する。サーミスタの電気抵抗から、サンプル15の温度を検出する。サーミスタは、好ましくは、温度抵抗係数が大きい材料で形成される。サーミスタは、例えば、酸化バナジウム、NiMoCo酸化物、Ti、多結晶シリコン、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマニウム、MnOまたはYBaCuOによって形成される。
ダイオードの順方向電圧は、ダイオードの温度に応じて変化する。ダイオードの順方向電圧から、サンプル15の温度を検出する。ダイオードは、例えば、Siダイオードである。
保護膜28は、温度センサ本体27を覆っている。保護膜28は、サンプル15が温度センサ本体27に接触することを防止する。保護膜28は、低い熱伝導率(例えば、0.5W/(m・K)以下の熱伝導率)と、薄い厚さ(例えば、10μm以下の厚さ)とを有することが望ましい。保護膜28の熱伝導率が低いため、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10全体に急速に拡がり難くなる。保護膜28は薄いため、保護膜28の熱伝導率が低くても、サンプル15の吸収熱は温度センサ本体27に効率的に伝導する。
図2を参照して、ロックインアンプ34は、電気配線30によって、光学チョッパー22に接続されている。ロックインアンプ34は、光学チョッパー22から、強度変調された励起光21の強度変調周波数と同じ周波数を有する参照信号を受信する。図1及び図2を参照して、ロックインアンプ34は、電気配線32によって、温度センサ25,26に接続されている。ロックインアンプ34は、温度センサ25,26から、サンプル15の温度に対応する温度信号を受信する。具体的には、ロックインアンプ34は、温度センサ25から、サンプル15のうち温度センサ25が接触している部分の温度に対応する温度信号を受信する。ロックインアンプ34は、温度センサ26から、サンプル15のうち温度センサ26が接触している部分の温度に対応する温度信号を受信する。
ロックインアンプ34は、温度センサ25,26から受信した温度信号を、光学チョッパー22から受信した参照信号で同期検波する。こうして、ロックインアンプ34は、温度センサ25の温度変動幅信号と、温度センサ26の温度変動幅信号とを出力する。温度センサ25の温度変動幅信号は、サンプル15の分析中の、温度センサ25によって測定されるサンプル15の温度変動幅に対応する温度変動幅信号である。温度センサ26の温度変動幅信号は、サンプル15の分析中の、温度センサ26によって測定されるサンプル15の温度変動幅に対応する温度変動幅信号である。
図4を参照して、ロックインアンプ34の動作を具体的に説明する。ロックインアンプ34は、乗算器35と、ローパスフィルタ36とを含む。乗算器35は、温度センサ25の温度信号と参照信号とを乗算する。乗算器35は、温度センサ25の温度信号の振幅に比例する直流成分と、励起光21の強度変調周波数の二倍の周波数で変動する交流成分とを出力する。ローパスフィルタ36は、交流成分を除去して、直流成分を通す。こうして、ロックインアンプ34は、温度センサ25の温度信号の振幅に比例する直流成分を出力する。温度センサ25の温度信号の振幅は、サンプル15の分析中の、サンプル15のうち温度センサ25に接触している部分の温度変動幅に対応する。そのため、直流成分は、温度センサ25の温度変動幅信号である。
同様にして、ロックインアンプ34は、温度センサ26の温度信号の振幅に比例する直流成分を出力する。直流成分は、温度センサ26の温度変動幅信号である。
図1及び図2を参照して、信号処理部37は、ロックインアンプ34に接続されている。信号処理部37は、ロックインアンプ34から、温度センサ25の温度変動幅信号及び温度センサ26の温度変動幅信号を受信する。信号処理部37は、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号との平均を算出する。信号処理部37は、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号との平均に対応する平均温度変動幅信号を出力する。信号処理部37は、例えば、プロセッサと記憶装置とを含むマイクロコンピュータである。プロセッサが記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、信号処理部37は動作する。
物質分析部38は、信号処理部37に接続されている。物質分析部38は、信号処理部37から、平均温度変動幅信号を受信する。物質分析部38は、平均温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
例えば、物質分析部38は、励起光21の波長と物質の種類とが対応づけられているデータテーブルと、平均温度変動幅信号の大きさと物質の量または濃度とが対応づけられているデータテーブルとを参照して、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質の種類を特定するとともに、当該物質の量または濃度を算出する。物質分析部38は、例えば、プロセッサと記憶装置とを含むマイクロコンピュータである。これらのデータテーブルは、記憶装置に記憶されている。プロセッサが記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、物質分析部38は動作する。
基板11の熱伝導率は、例えば、5W/(m・K)以下であってもよく、2W/(m・K)以下であってもよく、1W/(m・K)以下であってもよく、0.3W/(m・K)以下であってもよい。そのため、サンプル15に励起光21が照射されることによってサンプル15に発生する吸収熱が基板11全体に急速に拡がり難くなって、温度センサ25,26の温度変動幅信号が大きくなる。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより高い精度で分析することができる。
基板11の熱伝導率は、サンプル15の熱伝導率より小さいことが好ましい。例えば、サンプル15が人の皮膚である場合には、サンプル15の熱伝導率は約0.5W/(m・K)である。基板11がプラスチックで形成されている場合には、基板11の熱伝導率は0.1W/(m・K)以上0.3W/(m・K)以下である。そのため、サンプル15に励起光21が照射されることによってサンプル15に発生する吸収熱が基板11全体に急速に拡がり難くなって、温度センサ25,26の温度変動幅信号が大きくなる。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより高い精度で分析することができる。
サンプル15の吸収熱の熱拡散長Lは、式(1)によって与えられる。
Figure 0007205002000001
ここで、fはサンプル15の吸収熱の周波数(励起光21の強度変調周波数)であり、αはサンプル15の熱拡散係数である。
上記式(1)に照らして、サンプル15の表面から数十μm以上離れたサンプル15中に存在する物質(例えば、間質液中の糖)を分析するために、サンプル15の吸収熱の周波数(励起光21の強度変調周波数)は、例えば、5Hz以上100Hz以下に設定される。
図5を主に参照して、非侵襲物質分析装置1を用いた本実施の形態の非侵襲物質分析方法を説明する。
本実施の形態の非侵襲物質分析方法は、サンプル載置領域12上にサンプル15を載置すること(S1)を備える。サンプル支持板10の温度とサンプル15の温度との間に差があると、サンプル支持板10とサンプル15との間で熱の移動が発生する。この熱の移動は、温度変動幅信号の検出を困難にして、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質の分析を困難にする。そこで、サンプル支持板10とサンプル15との間に熱平衡状態が実現するまで、後述するステップS2を行わない。サンプル支持板10とサンプル15との間の熱平衡状態の実現は、温度センサ25,26によって検出され得る。例えば、単位時間当たりの温度センサ25,26の温度信号の変化が閾値(例えば0.1℃/分)以下となると、サンプル支持板10とサンプル15との間に熱平衡状態が実現されたと見なして、ステップS2を行う。
本実施の形態の非侵襲物質分析方法は、光学チョッパー22によって強度変調された励起光21をサンプル15に照射すること(S2)を備える。光学チョッパー22は、励起光21の強度変調周波数と同じ周波数を有する参照信号を、電気配線30を通して、ロックインアンプ34に送信する。
励起光21が光学チョッパー22を通り抜ける時には、励起光21はサンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質によって吸収されて、サンプル15で吸収熱が発生する。これに対し、励起光21が光学チョッパー22によって遮断される時には、サンプル15で吸収熱は発生しない。そのため、温度センサ25,26から出力される温度信号は、励起光21の強度変調周波数で変動する。
本実施の形態の非侵襲物質分析方法は、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号とを得る(S3)ことを備える。
具体的には、ロックインアンプ34は、光学チョッパー22から参照信号を受信するとともに、温度センサ25から温度信号を受信する。ロックインアンプ34は、乗算器35と、ローパスフィルタ36とを含む。乗算器35は、温度センサ25の温度信号と参照信号とを乗算する。乗算器35は、温度センサ25の温度信号の振幅に比例する直流成分と、励起光21の強度変調周波数の二倍の周波数で変動する交流成分とを出力する。ローパスフィルタ36は、交流成分を除去して、直流成分を通す。こうして、ロックインアンプ34は、温度センサ25の温度信号の振幅に比例する直流成分を出力する。直流成分は、温度センサ25の温度変動幅信号である。
同様にして、ロックインアンプ34は、温度センサ26の温度信号の振幅に比例する直流成分を出力する。直流成分は、温度センサ26の温度変動幅信号である。
本実施の形態の非侵襲物質分析方法は、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号との平均を、平均温度変動幅信号として得る(S4)ことを備える。具体的には、信号処理部37は、ロックインアンプ34から、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号とを受信する。信号処理部37は、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号との平均を、平均温度変動幅信号として算出する。信号処理部37は、平均温度変動幅信号を物質分析部38に出力する。
本実施の形態の非侵襲物質分析方法は、平均温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する(S5)ことを備える。物質分析部38は、信号処理部37から、平均温度変動幅信号を受信する。例えば、物質分析部38は、励起光21の波長と物質の種類とが対応づけられているデータテーブルと、平均温度変動幅信号の大きさと物質の量または濃度とが対応づけられているデータテーブルとを参照して、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質の種類を特定するとともに、当該物質の量または濃度を算出する。
図6を参照して、本実施の形態の実施例1と比較例1-1,1-2とを対比することによって、本実施の形態の非侵襲物質分析装置1の作用を説明する。
実施例1では、基板11は、励起光21を透過させない材料(例えば、プラスチックまたはガラス)で形成されている。また、実施例1では、貫通孔13の直径は36μmであり、励起光21の光照射領域21bの直径は30μmである。比較例1-1は実施例1と同様であるが、基板11に貫通孔13が形成されていない。比較例1-2は比較例1-1と同様であるが、比較例1-2では、励起光21に対する基板11の透過率が100%であると仮定している。図6の規格化温度変動幅は、実施例1の主面10aのうち貫通孔13の縁の温度変動幅によって規格化された、実施例1、比較例1-1及び比較例1-2の各々の主面10aの各地点の温度変動幅である。主面10aの各地点の温度変動幅は、励起光21をサンプル15に照射しない時の主面10aの各地点の温度と励起光21をサンプル15に照射した時の主面10aの各地点の温度との間の差によって与えられる。
実施例1では、サンプル支持板10に貫通孔13が設けられている。そのため、励起光21は、サンプル支持板10で吸収されることなく、より強い光強度でサンプル15に到達する。サンプル15の吸収熱が増加する。また、貫通孔13中の空気の熱伝導率(0.024W/(m・K))は、基板11の熱伝導率(例えば、プラスチックの熱伝導率:約0.1W/(m・K)以上約0.3W/(m・K)、ガラスの熱伝導率:約0.5W/(m・K)以上約0.7W/(m・K))よりも低い。そのため、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。サンプル15の分析中の主面10aの温度変動幅が大きくなる。実施例1では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
これに対し、比較例1-1では、基板11は励起光21を透過させない材料で形成されている。そのため、励起光21はサンプル15に到達せず、サンプル15の吸収熱は発生しない。サンプル15の分析中の主面10aの温度変動幅は、ゼロである。比較例1-1では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を正確に分析することができない。
比較例1-2では、励起光21に対する基板11の透過率が100%であると仮定しており、励起光21はサンプル15に到達する。そのため、サンプル15の分析中の主面10aの温度変動幅は、ゼロではない。しかし、比較例1-2では、基板11に貫通孔13が設けられていない。そのため、比較例1-2では、サンプル15の吸収熱は、実施例1よりも、サンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)素早くに拡散する。比較例1-2における主面10aの温度変動幅は、実施例1における主面10aの温度変動幅より小さい。比較例1-2では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を正確に分析することができない。
(変形例)
サンプル支持板10(基板11)は、励起光21に対して透明な材料で形成されてもよい。温度センサ25,26の数は三つ以上でもよい。
温度センサ26が省略されてもよく、温度センサ25の数は一つでもよい。この場合、信号処理部37が省略される。物質分析部38は、ロックインアンプ34から、温度センサ25の温度変動幅信号を受信する。物質分析部38は、温度センサ25の温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。ステップS3では温度センサ25の温度変動幅信号を得ており、ステップS4は省略され、ステップS5では、温度センサ25の温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
図7に示されるように、非侵襲物質分析装置1は、ビームスプリッタ23と、光検出器24とをさらに備えてもよい。光学チョッパー22によって強度変調された励起光21は、ビームスプリッタ23に入射する。ビームスプリッタ23は、励起光21を、サンプル15に向かう励起光21と、光検出器24に向かう励起光21とに分ける。ビームスプリッタ23は、光学チョッパー22によって強度変調された励起光21の一部を光検出器24に入射させる。光検出器24は、強度変調された励起光21の強度を検出する。光検出器24は、例えば、フォトダイオードである。光検出器24は、電気配線30によって、ロックインアンプ34に接続されている。光検出器24は、強度変調された励起光21の強度に対応する参照信号を、ロックインアンプ34に出力する。
図7に示される変形例によれば、温度センサ25,26の温度変動幅信号から励起光21の強度の変動の影響を取り除くことができる。励起光21の強度が変動しても、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1の効果を説明する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1は、サンプル支持板10と、励起光源20と、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)とを備える。サンプル支持板10は、サンプル載置領域12を含む第1主面(主面10a)と、第1主面とは反対側の第2主面(主面10b)とを有する。励起光源20は、サンプル載置領域12上に載置されるサンプル15に向かって励起光21を放射する。少なくとも一つの温度センサは、第1主面上に設けられている。サンプル載置領域12から第2主面まで延在する貫通孔13がサンプル支持板10に設けられている。励起光21は、貫通孔13を通って、サンプル15に照射される。
非侵襲物質分析装置1では、励起光21が通る貫通孔13がサンプル支持板10に設けられている。そのため、励起光21は、サンプル支持板10で吸収されることなく、より強い光強度でサンプル15に到達する。サンプル15の吸収熱が増加する。また、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(第1主面(主面10a)と第2主面(主面10b)とが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
非侵襲物質分析装置1では、サンプル支持板10(基板11)として、励起光21に対して不透明な材料を採用することが可能になる。サンプル支持板10(基板11)の材料の選択肢が拡がる。サンプル支持板10(基板11)の材料として、励起光21に対して不透明であるが熱伝導率が低い材料(例えば、プラスチックまたはガラス)を採用することにより、励起光21がサンプル15に照射されている時に少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1では、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)は、サンプル載置領域12に設けられており、かつ、サンプル15に接触する。
そのため、サンプル15の吸収熱は、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)に効率的に伝導する。励起光21がサンプル15に照射されている時に少なくとも一つの温度センサから出力される温度信号が大きくなる。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1は、物質分析部38をさらに備える。物質分析部38は、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)の温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。少なくとも一つの温度センサの温度変動幅信号は、サンプル15の分析中の、少なくとも一つの温度センサによって測定されるサンプル15の温度変動幅に対応している。
温度変動幅信号では、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)から出力される温度信号に含まれるノイズが除去される。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1は、信号処理部37と、物質分析部38をさらに備える。少なくとも一つの温度センサは、複数の温度センサ25,26である。信号処理部37は、複数の温度変動幅信号の平均を出力する。複数の温度変動幅信号は、各々、サンプル15の分析中の、複数の温度センサ25,26のうち対応するものによって測定されるサンプル15の温度変動幅に対応する。物質分析部38は、複数の温度変動幅信号の平均に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
温度変動幅信号では、温度センサ25,26から出力される温度信号に含まれるノイズが除去される。また、複数の温度変動幅信号の平均は、複数の温度変動幅信号間のばらつきを低減する。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1では、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)は、温度センサ本体27を含む。温度センサ本体27は、熱電対、サーモパイル、サーミスタまたはダイオードである。
そのため、サンプル15の吸収熱を測定するためのプローブ光を放射するプローブ光源と、当該プローブ光の偏向を検出する光位置センサとが不要になる。非侵襲物質分析装置1は、小型化され得る。
少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)は、温度センサ本体27を覆う保護膜28をさらに含む。
保護膜28は、サンプル15が温度センサ本体27に接触することを防止する。そのため、温度センサ本体27の寿命が延びる。
実施の形態2.
図8を参照して、実施の形態2の非侵襲物質分析装置1bを説明する。本実施の形態の非侵襲物質分析装置1bは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
非侵襲物質分析装置1bでは、サンプル支持板10は、基板11に加えて、低熱伝導膜14を含む。
本実施の形態の基板11は、実施の形態1の基板11よりも高い熱伝導率を有している。本実施の形態では、基板11は、サンプル15の熱伝導率より大きくてもよい。本実施の形態では、基板11は、例えば、シリコン(熱伝導率:約160W/(m・K))のような半導体基板で形成されている。基板11が半導体材料で形成されているため、小さなサイズ(例えば、数十μmの直径)を有する貫通孔13が半導体微細加工プロセスを用いて容易に形成され得る。
低熱伝導膜14は、基板11上に設けられている。低熱伝導膜14は、基板11よりも低い熱伝導率を有している。低熱伝導膜14の熱伝導率は、例えば、基板11の熱伝導率の20%以下である。低熱伝導膜14の熱伝導率は、基板11の熱伝導率の10%以下であってもよく、基板11の熱伝導率の5%以下であってもよく、基板11の熱伝導率の2%以下であってもよく、基板11の熱伝導率の1%以下であってもよい。低熱伝導膜14は、例えば、二酸化シリコン(熱伝導率:1.4W/(m・K))で形成されている。
主面10aは、低熱伝導膜14によって形成されている。主面10aの一部が、低熱伝導膜14によって形成されてもよい。サンプル載置領域12は、低熱伝導膜14によって形成されている。温度センサ25,26は、低熱伝導膜14上に設けられている。貫通孔13は、基板11及び低熱伝導膜14の両方に設けられている。
図9を参照して、本実施の形態の実施例2と比較例2-1,2-2とを対比することによって、本実施の形態の非侵襲物質分析装置1bの作用を説明する。
実施例2では、基板11はシリコンで形成されており、低熱伝導膜14は二酸化シリコンで形成されている。また、実施例2では、貫通孔13の直径は36μmであり、励起光21の光照射領域21bの直径は30μmである。比較例2-1は、実施例2と同様であるが、基板11に貫通孔13が形成されていない。比較例2-2は、比較例2-1と同様であるが、比較例2-2では、励起光21に対する基板11の透過率が100%であると仮定している。図9の規格化温度変動幅は、実施例2の主面10aのうち貫通孔13の縁の温度変動幅によって規格化された、実施例2、比較例2-1及び比較例2-2の各々の主面10aの各地点の温度変動幅である。主面10aの各地点の温度変動幅は、励起光21をサンプル15に照射しない時の主面10aの各地点の温度と励起光21をサンプル15に照射した時の主面10aの各地点の温度との間の差によって与えられる。
実施例2では、サンプル支持板10に貫通孔13が設けられている。そのため、励起光21は、サンプル支持板10で吸収されることなく、より強い光強度でサンプル15に到達する。サンプル15の吸収熱が増加する。また、貫通孔13中の空気の熱伝導率(0.024W/(m・K))は、基板11の熱伝導率(例えば、シリコンの熱伝導率:約160W/(m・K))よりも低い。そのため、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。サンプル15の分析中の主面10aの温度変動幅が大きくなる。実施例1では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
これに対し、比較例2-1では、サンプル支持板10に貫通孔13は設けられていないが、基板11は、シリコンで形成されており、励起光21を透過させ得る。そのため、励起光21はサンプル15に到達して、主面10aの温度変動幅はゼロではない。しかし、比較例2-1では、励起光21の一部は、主面10bにおいて反射されたり、基板11において吸収される。そのため、比較例2-1においてサンプル15に到達する励起光21の強度は、実施例2においてサンプル15に到達する励起光21の強度より少ない。さらに、比較例2-1では、サンプル15の吸収熱は、実施例2よりも、サンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)素早くに拡散する。その結果、比較例2-1における主面10aの温度変動幅は、実施例2における主面10aの温度変動幅より小さい。比較例2-1では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を正確に分析することができない。
比較例2-2では、基板11に貫通孔13が設けられていない。そのため、比較例2-2では、サンプル15の吸収熱は、実施例2よりも、サンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)素早くに拡散する。比較例2-2における主面10aの温度変動幅は、実施例2における主面10aの温度変動幅より小さい。比較例2-2では、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を正確に分析することができない。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1bは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1の効果に加えて、以下の効果をさらに奏する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1bでは、サンプル支持板10は、基板11と、低熱伝導膜14とを含む。低熱伝導膜14は、基板11上に設けられており、かつ、基板11よりも低い熱伝導率を有している。第1主面(主面10a)の少なくとも一部は、低熱伝導膜14によって形成されている。少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)は、低熱伝導膜14上に設けられている。
低熱伝導膜14によって、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(主面10aと主面10bとが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
実施の形態3.
図10及び図11を参照して、実施の形態3の非侵襲物質分析装置1cを説明する。本実施の形態の非侵襲物質分析装置1cは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
非侵襲物質分析装置1cは、基準温度センサ40,41をさらに備える。基準温度センサ40,41は、温度センサ25,26と同様に構成されている。具体的には、基準温度センサ40,41は、温度センサ本体27(図3を参照)を含む。基準温度センサ40,41は、温度センサ本体27を覆う保護膜28(図3を参照)をさらに含んでもよい。
基準温度センサ40,41は、主面10a上に設けられている。基準温度センサ40,41は、サンプル載置領域12に設けられており、かつ、サンプル15に接触する。基準温度センサ40,41は、サンプル15の温度に対応する基準温度信号を、ロックインアンプ34に出力する。具体的には、基準温度センサ40は、サンプル15のうち基準温度センサ40が接触している部分の温度に対応する基準温度信号を出力する。基準温度センサ41は、サンプル15のうち基準温度センサ41が接触している部分の温度に対応する基準温度信号を出力する。
サンプル15が生体である場合には、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質の分析中に、サンプル15の熱変動(例えば、生体の体温の変動など)またはサンプル15の動き(例えば、サンプル15に含まれる筋肉の収縮もしくは弛緩、または、サンプル15の位置の変動など)が生じることがある。基準温度センサ40,41は、サンプル15の吸収熱の影響を受けることなく、サンプル15の熱変動または動きに起因する温度変動を検出する。そのため、主面10aの平面視において、基準温度センサ40,41の各々と貫通孔13との間の距離dは、温度センサ25,26の各々と貫通孔13との間の距離dより大きい。距離dは、例えば、距離dの10倍以上である。距離dは、距離dの20倍以上であってもよい。一例では、距離dは5μmであり、距離dは200μmである。
主面10aの平面視において、基準温度センサ40,41は、貫通孔13の中心軸13cに対して、回転対称に配置されている。そのため、サンプル15の熱変動または動きに起因する温度変動をより正確に検出することができる。
主面10aの平面視において、基準温度センサ40は、貫通孔13の中心軸13cに対して、温度センサ25と同じ方向に配置されている。そのため、サンプル15の分析中ののサンプル15の熱変動または動きに起因する基準温度センサ40の基準温度信号の変動は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度センサ25の温度信号の変動と同様である。基準温度センサ40は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度センサ25の温度信号の変動を、サンプル15の吸収熱の影響を受けることなく、より正確に検出することができる。
主面10aの平面視において、基準温度センサ41は、貫通孔13の中心軸13cに対して、温度センサ26と同じ方向に配置されている。そのため、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する基準温度センサ41の温度信号の変動は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度センサ26の温度信号の変動と同様である。基準温度センサ41は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度センサ26の温度信号の変動を、サンプル15の吸収熱の影響を受けることなく、より正確に検出することができる。
ロックインアンプ34は、実施の形態1と同様に、温度センサ25の温度変動幅信号と温度センサ26の温度変動幅信号とを、信号処理部37に出力する。温度センサ25の温度変動幅信号及び温度センサ26の温度変動幅信号は、サンプル15の吸収熱の影響に加えて、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響を受けている。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を正確に分析するためには、温度センサ25の温度変動幅信号及び温度センサ26の温度変動幅信号から、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響を取り除く必要がある。
そこで、信号処理部37は、基準温度センサ40の基準温度信号と基準温度センサ41の基準温度信号とを受信する。信号処理部37は、サンプル15の分析中の基準温度センサ40の基準温度信号の変動幅を、基準温度センサ40の基準温度変動幅信号として算出する。信号処理部37は、サンプル15の分析中の基準温度センサ41の基準温度信号の変動幅を、基準温度センサ41の基準温度変動幅信号として算出する。
信号処理部37は、温度センサ25の温度変動幅信号と基準温度センサ40の基準温度変動幅信号との間の差を、温度センサ25の較正済温度変動幅信号として算出する。温度センサ25の較正済温度変動幅信号は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響が取り除かれた、サンプル15の吸収熱に起因する温度センサ25の温度変動幅信号である。同様に、信号処理部37は、温度センサ26の温度変動幅信号と基準温度センサ41の基準温度変動幅信号との間の差を、温度センサ26の較正済温度変動幅信号として算出する。温度センサ26の較正済温度変動幅信号は、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響が取り除かれた、サンプル15の吸収熱に起因する温度センサ26の温度変動幅信号である。
信号処理部37は、温度センサ25の較正済温度変動幅信号と温度センサ26の較正済温度変動幅信号との平均を、平均較正済温度変動幅信号として算出する。物質分析部38は、平均較正済温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
(変形例)
温度センサ26が省略されてもよく、温度センサ25の数は一つでもよい。この場合、信号処理部37は、温度センサ25の較正済温度変動幅信号を物質分析部38に出力する。物質分析部38は、温度センサ25の較正済温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1cは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1の効果に加えて、以下の効果をさらに奏する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1cは、第1主面(主面10a)上に設けられている基準温度センサ40,41をさらに備える。基準温度センサ40,41は、サンプル載置領域12に設けられており、かつ、サンプル15に接触する。第1主面の平面視において、基準温度センサ40,41と貫通孔13との間の第2距離(距離d)は、温度センサ25,26と貫通孔13との間の第1距離(距離d)の10倍以上である。
基準温度センサ40,41は、サンプル15の吸収熱の影響を受けることなく、サンプル15の分析中の温度変動を検出する。そのため、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響を受けることなく、サンプル15の吸収熱による温度変動をより正確に検出することができる。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1cでは、信号処理部37は、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)の温度変動幅信号を基準温度センサ40,41の基準温度変動幅信号で較正することによって、少なくとも一つの温度センサの較正済温度変動幅信号を算出する。物質分析部38は、少なくとも一つの温度センサの較正済温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)の温度変動幅信号を基準温度センサ40,41の基準温度変動幅信号で較正することによって、サンプル15の分析中のサンプル15の熱変動または動きに起因する温度信号の変動の影響を受けることなく、サンプル15の吸収熱による温度変動をより正確に検出することができる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
実施の形態4.
図12及び図13を参照して、実施の形態4の非侵襲物質分析装置1dを説明する。本実施の形態の非侵襲物質分析装置1dは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
非侵襲物質分析装置1dは、光学媒質45をさらに備える。光学媒質45は、励起光21を透過させる。励起光21に対する光学媒質45の透過率は、励起光21に対するサンプル支持板10(基板11)の透過率より大きい。励起光21が中赤外光である場合、光学媒質45は、例えば、カルコゲナイドガラス(SSbSnGe)で形成されている。
光学媒質45は、貫通孔13を閉塞する。サンプル載置領域12の一部は、光学媒質45によって形成されている。サンプル載置領域12の全部が、光学媒質45によって形成されてもよい。サンプル15は、光学媒質45上に載置され得る。貫通孔13の一部は、光学媒質45で充填されている。貫通孔13のうち光学媒質45よりも主面10bに近位する部分は、光学媒質45によって充填されていない空洞である。励起光21は、光学媒質45及び空洞を通って、サンプル15に照射される。貫通孔13の全体が、光学媒質45で充填されてもよい。
光学媒質45の熱伝導率は、基板11の熱伝導率よりも低い。光学媒質45の熱伝導率は、基板11の熱伝導率の10%以下であってもよく、基板11の熱伝導率の5%以下であってもよく、基板11の熱伝導率の2%以下であってもよい。例えば、基板11はシリコン(熱伝導率:約160W/(m・K))で形成されており、光学媒質45はカルコゲナイドガラス(熱伝導率:0.36W/(m・K))で形成されている。空洞中の空気の熱伝導率(0.024W/(m・K))は、基板11の熱伝導率よりも低い。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1dは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1の効果と同様の以下の効果を奏する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1dは、励起光21を透過させる光学媒質45をさらに備える。光学媒質45は、貫通孔13を閉塞する。サンプル載置領域12の少なくとも一部は、光学媒質45によって形成されている。励起光21は、光学媒質45を通って、サンプル15に照射される。
そのため、励起光21は、サンプル支持板10で吸収されることなく、より強い光強度でサンプル15に到達する。サンプル15の吸収熱が増加する。また、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(第1主面(主面10a)と第2主面(主面10b)とが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に温度センサ25,26から出力される温度信号が大きくなる。サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
サンプル15は、光学媒質45上に載置され得る。そのため、サンプル15のサイズが貫通孔13のサイズより小さくても、あるいは、サンプル15が液体であっても、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析することができる。
中赤外光のような励起光21に対して透明な光学媒質45は、サンプル支持板10(基板11)よりも、高価かつ機械的強度が低い。光学媒質45はサンプル支持板10(基板11)の貫通孔13内に設けられるため、サンプル支持板10(基板11)全体を光学媒質45によって形成する場合に比べて、光学媒質45の使用量は減少する。そのため、非侵襲物質分析装置1dの機械的強度が向上するとともに、非侵襲物質分析装置1dのコストを低減させることができる。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1dでは、サンプル支持板10は、基板11を含む。光学媒質45は、基板11よりも低い熱伝導率を有する。
そのため、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(第1主面(主面10a)と第2主面(主面10b)とが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に温度センサ25,26から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
実施の形態5.
図14及び図15を参照して、実施の形態5の非侵襲物質分析装置1eを説明する。本実施の形態の非侵襲物質分析装置1eは、実施の形態4の非侵襲物質分析装置1dと同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
主面10aの平面視において、本実施の形態の貫通孔13のサイズは実施の形態4の貫通孔13のサイズより大きく、かつ、本実施の形態の光学媒質45のサイズは実施の形態4の光学媒質45のサイズより大きい。例えば、主面10aの平面視において、本実施の形態の貫通孔13の直径及び光学媒質45の直径は、各々、200μmである。本実施の形態では、温度センサ25,26は、光学媒質45上に配置されている。本実施の形態においても、実施の形態4と同様に、光学媒質45の熱伝導率は、基板11の熱伝導率よりも低い。主面10aの平面視において、温度センサ25,26は、励起光21の光照射領域21bの外側に配置されている。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1eは、実施の形態4の非侵襲物質分析装置1dの効果に加えて、以下の効果をさらに奏する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1eでは、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)は、基板11よりも低い熱伝導率を有する光学媒質45上に配置されている。
そのため、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(第1主面(主面10a)と第2主面(主面10b)とが互いに対向する方向)に加えて、第1主面が延在する方向にもに逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に、少なくとも一つの温度センサ(例えば、温度センサ25,26)から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
実施の形態6.
図16及び図17を参照して、実施の形態6の非侵襲物質分析装置1fを説明する。本実施の形態の非侵襲物質分析装置1fは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
非侵襲物質分析装置1fは、温度センサ25,26(図1及び図2を参照)に代えて、温度センサ50を備えている。温度センサ50は、第1光導波路51と、導波路型リング共振器52と、第2光導波路53と、クラッド層54とを含む。温度センサ50は、終端部55,56をさらに含んでもよい。
基板11は、第1光導波路51と、導波路型リング共振器52と、第2光導波路53と、クラッド層54とを支持している。基板11は、主面10bを有する。基板11は、例えば、シリコン基板である。
プローブ光源58から放射されるプローブ光は、第1光導波路51に入射される。プローブ光の波長は、励起光21の波長より短くてもよい。例えば、プローブ光源58は光通信用レーザダイオードであり、プローブ光の波長は1100nm以上1700nm以下である。
第1光導波路51は、プローブ光が入射される端51aと、端51aとは反対側の端51bとを含む。第1光導波路51は、クラッド層54より高い屈折率を有している。プローブ光は、第1光導波路51を伝搬する。第1光導波路51は、例えば、シリコン導波路である。
導波路型リング共振器52は、第1光導波路51に光学的に結合している。導波路型リング共振器52は、クラッド層54よりも高い屈折率を有している。プローブ光は、導波路型リング共振器52を伝搬する。導波路型リング共振器52は、熱光学効果を有している。導波路型リング共振器52は、例えば、シリコン導波路である。シリコンの熱光学係数は、2.3×10-4(K-1)である。シリコンは、光導波路用の光学材料の中で比較的大きな熱光学係数を有している。貫通孔13は、導波路型リング共振器52の内側に形成されている。
第2光導波路53は、導波路型リング共振器52に光学的に結合している。第2光導波路53は、クラッド層54よりも高い屈折率を有している。プローブ光は、第2光導波路53を伝搬する。主面10aの平面視において、第2光導波路53は、導波路型リング共振器52に関して、第1光導波路51に対称に配置されている。第2光導波路53は、光強度検出器59に光学的に結合されている端53aと、端53aとは反対側の端53bとを含む。端51a,53aは、導波路型リング共振器52に対して同じ側にある。端51b,53bは、導波路型リング共振器52に対して同じ側にある。
クラッド層54は、第1光導波路51、導波路型リング共振器52及び第2光導波路53を基板11から隔てている。クラッド層54は、第1光導波路51、導波路型リング共振器52及び第2光導波路53を覆っている。クラッド層54は、主面10aを有する。クラッド層54の熱伝導率は、基板11の熱伝導率よりも小さい。クラッド層54は、例えば、シリカ系ガラスで形成されている。
終端部55は、第1光導波路51の端51bに設けられている。終端部56は、第2光導波路53の端53bに設けられている。終端部55,56は、プローブ光を散乱または吸収して、導波路型リング共振器52、プローブ光源58及び光強度検出器59へ進むプローブ光の戻り光を低減する。終端部55,56は、例えば、導波路の外に散乱しやすい先細りの導波路と、散乱光を吸収する電極(例えば、金属電極)とで形成されている。
サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質による励起光21の吸収によって、サンプル15で吸収熱が発生する。サンプル15の吸収熱は、導波路型リング共振器52に伝導して、導波路型リング共振器52の温度が変化する。導波路型リング共振器52は熱光学効果を有している。そのため、導波路型リング共振器52の温度が変化すると、導波路型リング共振器52の屈折率が変化して、導波路型リング共振器52を介した第1光導波路51から第2光導波路53へのプローブ光の結合率が変化する。
光強度検出器59は、例えば、フォトダイオードである。光強度検出器59は、導波路型リング共振器52を介した第1光導波路51から第2光導波路53へのプローブ光の光強度を検出する。光強度検出器59は、ロックインアンプ34に接続されている。光強度検出器59は、プローブ光の光強度信号を、ロックインアンプ34に出力する。
ロックインアンプ34は、光強度検出器59から受信したプローブ光の光強度信号を、光検出器24から受信した励起光強度信号で同期検波する。ロックインアンプ34は、光強度検出器59の光強度信号の振幅に比例する直流成分を出力する。直流成分は、サンプル15の分析中のサンプル15の温度変動幅に対応しており、温度センサ50の温度変動幅信号である。ロックインアンプ34は、温度センサ50の温度変動幅信号を物質分析部38に出力する。
物質分析部38は、ロックインアンプ34から温度センサ50の温度変動幅信号を受信する。物質分析部38は、温度センサ50の温度変動幅信号に基づいて、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質を分析する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1fは、実施の形態1の非侵襲物質分析装置1の効果と同様の以下の効果を奏する。
本実施の形態の非侵襲物質分析装置1fでは、温度センサ50は、プローブ光が入射される第1光導波路51と、第1光導波路51に光学的に結合する導波路型リング共振器52と、導波路型リング共振器52とプローブ光の強度を検出する光強度検出器59とに光学的に結合する第2光導波路53とを含む。
非侵襲物質分析装置1fでは、励起光21が通る貫通孔13がサンプル支持板10に設けられている。そのため、励起光21は、サンプル支持板10で吸収されることなく、より強い光強度でサンプル15に到達する。サンプル15の吸収熱が増加する。また、サンプル15の吸収熱がサンプル支持板10の厚さ方向(第1主面(主面10a)と第2主面(主面10b)とが互いに対向する方向)に逃げ難くなる。励起光21がサンプル15に照射されている時に温度センサ50から出力される温度信号が大きくなる。そのため、サンプル15中のまたはサンプル15の表面上の物質をより正確に分析することができる。
今回開示された実施の形態1-6はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1-6の少なくとも二つを組み合わせてもよい。本開示の範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
1,1b,1c,1d,1e,1f 非侵襲物質分析装置、10 サンプル支持板、10a,10b 主面、11 基板、12 サンプル載置領域、13 貫通孔、13c 中心軸、14 低熱伝導膜、15 サンプル、20 励起光源、21 励起光、21b 光照射領域、22 光学チョッパー、23 ビームスプリッタ、24 光検出器、25,26,50 温度センサ、27 温度センサ本体、28 保護膜、30,32 電気配線、34 ロックインアンプ、35 乗算器、36 ローパスフィルタ、37 信号処理部、38 物質分析部、40,41 基準温度センサ、45 光学媒質、51 第1光導波路、51a,51b 端、52 導波路型リング共振器、53 第2光導波路、53a,53b 端、54 クラッド層、55,56 終端部、58 プローブ光源、59 光強度検出器。

Claims (9)

  1. サンプル載置領域を含む第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有するサンプル支持板と、
    前記サンプル載置領域上に載置されるサンプルに向かって励起光を放射する励起光源と、
    前記第1主面上に設けられている少なくとも一つの温度センサと、
    前記第1主面上に設けられている基準温度センサとを備え、
    前記サンプル載置領域から前記第2主面まで延在する貫通孔が前記サンプル支持板に設けられており、
    前記励起光は、前記貫通孔を通って、前記サンプルに照射され、
    前記基準温度センサは、前記サンプル載置領域に設けられており、かつ、前記サンプルに接触し、
    前記第1主面の平面視において、前記基準温度センサと前記貫通孔との間の第2距離は
    、前記少なくとも一つの温度センサと前記貫通孔との間の第1距離の10倍以上であ
    前記少なくとも一つの温度センサおよび前記基準温度センサの検出値に基づいて物質分析を行う、非侵襲物質分析装置。
  2. 前記少なくとも一つの温度センサは、前記サンプル載置領域に設けられており、かつ、前記サンプルに接触する、請求項1に記載の非侵襲物質分析装置。
  3. 前記サンプル支持板は、基板と、前記基板上に設けられており、かつ、前記基板よりも低い熱伝導率を有する低熱伝導膜とを含み、
    前記第1主面の少なくとも一部は、前記低熱伝導膜によって形成されており、
    前記少なくとも一つの温度センサは、前記低熱伝導膜上に設けられている、請求項1または請求項2に記載の非侵襲物質分析装置。
  4. 前記サンプルに照射される前記励起光を周期的強度変調させて前記少なくとも一つの温度センサの温度変動幅信号を生じさせる周期的強度変調機構と、
    物質分析部をさらに備え、
    前記物質分析部は、前記少なくとも一つの温度センサの前記温度変動幅信号に基づいて、前記サンプル中のまたは前記サンプルの表面上の物質を分析し、
    前記温度変動幅信号は、前記サンプルの分析中の、前記少なくとも一つの温度センサによって測定される前記サンプルの温度変動幅に対応している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の非侵襲物質分析装置。
  5. 信号処理部と、
    物質分析部をさらに備え、
    前記少なくとも一つの温度センサは、複数の温度センサであり、
    前記信号処理部は、複数の温度変動幅信号の平均を出力し、
    前記複数の温度変動幅信号は、各々、前記サンプルの分析中の、前記複数の温度センサのうち対応するものによって測定される前記サンプルの温度変動幅に対応し、
    前記物質分析部は、前記複数の温度変動幅信号の前記平均に基づいて、前記サンプル中のまたは前記サンプルの表面上の物質を分析する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の非侵襲物質分析装置。
  6. 信号処理部と、
    物質分析部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記少なくとも一つの温度センサの温度変動幅信号を前記基準温度センサの基準温度変動幅信号で較正することによって、前記少なくとも一つの温度センサの較正済温度変動幅信号を算出し、
    前記物質分析部は、前記較正済温度変動幅信号に基づいて、前記サンプル中のまたは前記サンプルの表面上の物質を分析し、
    前記温度変動幅信号は、前記サンプルの分析中の、前記少なくとも一つの温度センサによって測定される前記サンプルの温度変動幅に対応し、
    前記基準温度変動幅信号は、前記サンプルの分析中の、前記基準温度センサによって測定される前記サンプルの温度変動幅に対応している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の非侵襲物質分析装置。
  7. 前記少なくとも一つの温度センサは、温度センサ本体を含み、
    前記温度センサ本体は、熱電対、サーモパイル、サーミスタまたはダイオードである、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の非侵襲物質分析装置。
  8. 前記少なくとも一つの温度センサは、前記温度センサ本体を覆う保護膜をさらに含む、請求項に記載の非侵襲物質分析装置。
  9. 前記少なくとも一つの温度センサは、プローブ光が入射される第1光導波路と、前記第1光導波路に光学的に結合する導波路型リング共振器と、前記導波路型リング共振器と前記プローブ光の強度を検出する光強度検出器とに光学的に結合する第2光導波路とを含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の非侵襲物質分析装置。
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