JP7203378B2 - 体調評価方法、作業時体調評価方法、ならびに、体調評価システム、作業時体調評価システム - Google Patents

体調評価方法、作業時体調評価方法、ならびに、体調評価システム、作業時体調評価システム Download PDF

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Description

本願は、被評価者から得られた生体情報に基づいて、当該被評価者の体調評価を行う評価方法、および、体調評価システムに関する。
近年、無線LANなどインターネットへの接続環境が整備されるとともに、ブルートゥース(登録商標)などの近距離での情報伝達を可能とする手段の発達、さらに、スマートフォンなどの高性能のモバイル機器や、体温や心拍数、発汗量などの身体データを測定可能な小型センサ機器の普及により、センサ機器で取得された被評価者の生体情報に基づいて、評価対象者の体調を評価する評価システムや、評価結果に基づいて被評価者の健康状態を管理して近年問題化している熱中症の発症リスクを軽減させる管理システムが実用化されている。
このような体調評価システムの例として、被評価者の身体の動きを把握する三次元加速度センサと心拍を検出する生体情報計測部とを備えたウェアラブルな信号検出装置を用いて、被評価者の姿勢や動作を自動的に判別するとともに、姿勢の変化や運動の変化などにおいて生じる心拍数などの変化に基づいて、被評価者の自律神経機能の機能評価を行う姿勢識別装置とその評価方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2016-150102号公報
上記従来の姿勢識別装置では、機械的学習機能を備えることで、三次元加速度センサの測定値と心拍数や心拍における高周波数成分と低周波数成分との解析結果に基づいて、被評価者が静止状態である場合の姿勢や、運動を行っている状態であるかなどを高い精度で判別することができるともに、静止時と動作時との間や、姿勢の変化時に生じる心拍数の上昇とその後安定化するまでの時間や心拍数の変化の状態に基づいて、被評価者の自律神経機能の高さを示す評価値を算出することができる。
しかし、姿勢の変化にともなう心拍数の変化から被評価者の体調を正確に評価するためには、変化前後の姿勢が自立神経機能の評価に適した決められた姿勢であることが要求されるとともに、被測定者が十分にリラックスした状態であることが好ましい。しかし、上記従来の姿勢識別装置は、被評価者の姿勢を正確に識別することを主眼とするものであり、被評価者に特定の姿勢であることを強いることはない。このため、上記従来の姿勢識別装置が算出した自律神経機能評価値に基づいて評価された被評価者の体調評価結果が、被評価者の現時点での体調を正しく評価できていない場合がある。
本願は、上記従来技術の有する課題を解決することを目的とするものであり、被評価者の姿勢の変化に伴う心拍データの変化から、被評価者の体調を正確に評価することができる体調評価方法、および、体調評価システムに関する。さらに、本願は、本願で開示する体調評価方法を被評価者の就業前の体調を評価するために用いて、被評価者の作業時の体調を評価する、作業時体調評価方法、および、作業時体調評価システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願で開示する体調評価方法は、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価することを特徴とする。
また、本願で開示する作業時体調評価方法は、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価することを特徴とする。
本願で開示する体調評価システムは、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置と、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価する評価判定部とを備えたことを特徴とする。
また、本願で開示する作業時体調評価システムは、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置と、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価する評価判定部とを備えたことを特徴とする。
上記構成により、本願で開示する体調評価方法は、測定装置から得られた被評価者の心拍データと、身体の動きを示す加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合いを求めることができ、自律神経の働き度合いから被評価者の体調を客観的に評価することができる。
また、本願で開示する作業時体調評価方法は、上記構成を有することで、本願で開示する体調評価方法による評価結果を、被評価者の就業前の体調として把握し、さらに、作業によって生じる作業負担を推定することで、作業時の開始直後からの被評価者の体調を評価することができる。
さらに、上記の構成をそれぞれ有することで、本願で開示する体調評価システム、および、作業時体調評価システムは、本願で開示される体調評価方法、および、作業時体調評価方法を実行して、被評価者の体調を客観的に、かつ、より正確に評価することができる。
図1は、実施形態として説明する作業時体調評価システムの全体構成を説明するイメージ図である。 図2は、実施形態として説明する作業時体調評価システムの各部の構成を示すブロック図である。 図3は、被評価者の各種情報を取得する測定装置である生体センサを備えたアンダーシャツの構成を説明する図である。図3(a)がアンダーシャツの表面を、図3(b)がアンダーシャツの裏面を示す。 図4は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法における、体調評価の概略を説明するためのイメージ図である。 図5は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、アンケート記入時のスマートフォンの表示画像例を示すイメージ図である。 図6は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、座位時心拍データ計測時のスマートフォンの表示画像例を示すイメージ図である。 図7は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、立位時心拍データ計測時のスマートフォンの表示画像例を示すイメージ図である。 図8は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、就業前の体調評価結果を示すスマートフォンの表示画像例を示すイメージ図である。 図9は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法における、被評価者の心拍データの推移例を説明する図である。
本願で開示する体調評価方法は、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価する。
本願で開示する体調評価方法では、被評価者の生体情報としての心拍データと、被評価者の身体の動きを示す加速度データとを取得可能な測定装置を用い、被評価者がその姿勢を変化させた際の、心拍データと加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、被評価者の自律神経機能の働き度合いを測定することができる。このため、被評価者の測定時の体調を、客観的に評価することができる。
本願で開示する体調評価方法において、前記被評価者が椅子に腰掛けた状態の座位時における心拍データと、前記被評価者者が前記椅子から立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて、前記被評価者の体調を評価することが好ましい。一般に、座っている座位の状態から立ち上がって立位の状態へと姿勢が変化すると、体内の血圧変動を抑えるように自律神経機能が作用する。この状態を計測することで、被評価者の体調を客観的に、かつ、正確に評価することができる。
また、前記被評価者の動作に伴う加速度データから、前記立位時の身体の揺れを検出することが好ましい。このようにすることで、立位時に身体を真っ直ぐに維持しようとする自律神経の働き度合いに基づいて、被評価者の体調を評価することができる。
さらに、前記被評価者に対し、前記座位時の姿勢維持の指示、立ち上がるタイミングの指示、さらに、前記立位時の姿勢維持の指示を、前記被評価者が所持する携帯端末に画像を表示して行うことが好ましい。このようにすることで、一定の所要時間が必要な測定期間において被評価者が正しい姿勢を維持しやすくなり、より好ましい条件下での測定データを取得して精度の高い体調評価を行うことができる。
また、前記被評価者の体調を評価する際に、過去の同じ時期に記録された前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合との比較によって当該被評価者の体調を評価することが好ましい。自律神経の働き度合は、個人差があるため、過去の同じ時期のデータ(例えば毎日同じ時間に計測して蓄積されたデータ)と比較して評価することで、個人の体調変化を把握することができる。
本願で開示する作業時体調評価方法は、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価する。
このようにすることで、本願で開示する作業時体調評価方法では、就業前の被評価者の実際の体調を把握することができるため、作業負担に基づく作業時の体調評価を、作業開始直後から正確に行うことができる。
本願で開示する作業時体調評価方法は、前記被評価者についての体調評価結果から、前記被評価者の熱中症発症リスクを管理することができる。この結果、作業開始直後から、被評価者の熱中症発症リスクを、正確に管理することができる。
本願で開示する体調評価システムは、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置と、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価する評価判定部とを備える。
本願で開示する体調評価システムは、上記の構成を備えることで、評価判定部が、被評価者の姿勢の変化時における心拍データおよび/または加速度データに基づいて、自律神経機能の働き度合いを求めて、被評価者の体調を正確に評価することができる。
また、本願で開示する作業時体調評価システムは、被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置と、前記測定装置により取得された前記被評価者の前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記被評価者の自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価する評価判定部を備える。
本願で開示する作業時体調評価システムは、上記の構成を備えることで、評価判定部が、被評価者の就業前の体調を評価することができ、作業開始直後からの被評価者の体調を正確に評価することができる。
以下、本願で開示する体調評価方法とそのシステム、さらに、本願で開示する作業時体調評価方法とそのシステムについて、図面を用いて説明する。
(実施の形態)
本実施形態では、本願で開示する作業時体調評価方法、作業時体調評価システムについて、作業者の動作や服内温度、心拍数などに基づいて、作業によって受ける負担の大きさを示す作業負担指数と、作業者の熱的負荷の大きさを示す熱的負担指数とに基づいて、当該作業者の体調を評価して熱中症発症リスクを評価・管理する熱中症発症リスク管理方法、および、熱中症発症リスク管理システムを例示して説明する。
また、以下の実施形態では、本願で開示する体調評価方法が、上記例示する熱中症発症リスク管理方法において、被評価者である作業者の作業を開始する前の体調を評価する就業前体調評価方法として用いられる例を説明する。また、本願で開示する体調評価システムが、上記例示する作業時体調評価システムにおいて、被評価者である作業者の作業開始前の体調を評価するシステムとして用いられている例を説明する。
[熱中症発症リスク管理システムの概要]
本実施形態として説明する体調評価システムとしての熱中症発症リスク管理システムは、一つの建設現場で働く複数の作業者を被評価者として、それぞれの熱中症発症リスクを評価し、熱中症の発症リスクが高まっている作業者に警告を与えて適宜の休憩を採らせるなどの熱中症の発症リスクを管理するシステムである。
図1は、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムの概略構成を説明するためのイメージ図である。
また、図2は、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムの各部の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、建築現場で作業する被評価者である作業者10は、服内温度と、心拍データと、体の動きを検出するための加速度検出手段である3次元加速度センサを備えた、測定装置である生体センサ11を胸部に装着するとともに、生体センサ11で得られた各種情報を外部に送信する情報送信部として機能する携帯端末としてのスマートフォン12を所持している。
本実施形態で説明する熱中症発症リスク管理システムでは、作業者10の各種情報を取得する生体センサ11は、作業者10が着用するアンダーシャツの胸部に装着されている。
図3は、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムで作業者が着用するアンダーシャツの構成例を示す図である。図3(a)が、生体センサが装着されたアンダーシャツの表面を示し、図3(b)がアンダーシャツの裏面、すなわち、作業者の体表面に対向して接触する側を示している。
図3に示すように、作業者10が着用するアンダーシャツ18の胸部には、生体センサ11が配置されている。より具体的には、生体センサ11は、アンダーシャツ18の表面18aの胸部中央部分に配置された、データ取得送信ユニット11aと、このデータ取得送信ユニット11aに接続され、アンダーシャツ18の裏面18b、つまり、皮膚に接する側の部分に左右方向に延在して配置された電極部11bとから構成されている。
本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムでは、生体センサ11によって作業者10の心拍、服内温度、動作を検出するものであり、アンダーシャツ18の裏面に配置された心拍検出手段である電極が胸部に接触することで、より正確に作業者10の心拍を検出することができるようになっている。また、服内温度を検出する温度センサ(図示省略)と、3次元方向の加速度を検出する加速度センサチップ(図示省略)は、データ取得送信ユニット11a内に収容されている。
なお、本実施形態で説明する熱中症発症リスク管理システムにおいて、作業者10の心拍、服内温度、動作を取得する測定装置の配置例は、図3に示したアンダーシャツ18に生体センサ11を固着する方法には限られない。たとえば、生体センサ11を接着性の高いシート状の装着カバー内に入れてこれを胸部に直接貼り付ける方法、生体センサ11を体に密着保持することができる伸縮性のある装着ベルトを用いて作業者の胸部に配置する方法などを採用することができる。しかし、図3に示したように生体センサ11を作業者10が着用するアンダーシャツ18に固着する方法によれば、作業者10が、生体センサ11を装着することに対する特別な意識を緩和して必要な情報を取得することができる。また、仮に作業者10の発汗や作業中の体のひねりなどが生じた場合でも、アンダーシャツ18に固着された生体センサ11が、作業者10の体表面から外れてしまうことはなく、その装着位置も実質的に変化しない状態を維持することができる。このため、作業者10の心拍の一部を心拍データとして取得できない場合はあるものの、心拍データが全く取得できない状況が継続して続く事態は回避することができる。
なお、作業者10の心拍数を把握するための生体センサ11の配置場所としては、上記した作業者の胸部以外にも、作業者の腰部、背中、上腕部や脚部などに配置される形態を採用することができる。また、本実施形態で説明したような、工事現場で働く作業者を被評価者として熱中症の発症リスクを管理するシステムとしてではなく、たとえば、トレーニングを行うスポーツ選手などの体調評価として熱中症の発症リスクの評価を行う場合などでは、被評価者がスポーツウェアを着用することが考えられ、この場合も上半身に着用されるウェアの胸部に生体センサを配置することが最も合理的である。
生体センサ11と作業者11が所持するスマートフォン12とは、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの短距離間通信によって常時接続されていて、生体センサ11が取得する各種の情報は、随時スマートフォン12に送られている。
スマートフォン12は、生体センサ11から送られた作業者10の情報を送信する情報送信手段としての被評価者情報送信部13、データ受信部15、データ送信部16によって、無線LANや携帯電話の情報キャリアを用いて常時ネットワーク環境としてのインターネット20に接続されている。そして、スマートフォン12は、インターネット20上に設置されたリスク評価判定部22を備えたサーバであるクラウドサーバ21に被評価者情報である作業者10の服内温度、心拍データ、加速度センサの測定データを伝送する。
クラウドサーバ21は、内部にデータ受信部23とデータ送信部26を備えていて、インターネット20を介した情報の授受を行うことができるとともに、評価判定部22を備えていて、複数の作業者10からの測定データを受信して、それぞれの作業者の暑熱環境を評価する。
また、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムでは、個々の作業者の熱中症発症リスクを管理して、特に熱中症発症リスクが高いと判断された場合には、その情報を伝達して当該作業者が熱中症発症リスクを低減する対策を採ることを促すものであるため、クラウドサーバ21は、熱中症発症リスクを評価、判定し、熱中症の発症リスクが高まっている場合にはその旨を当該作業者に警告する警告情報を作成する。また、クラウドサーバ21は、データ記録部24を備えていて、複数人いる作業者10それぞれからの測定データ、警告情報の作成履歴などを時系列に記録することができる。
さらに、クラウドサーバ21は、気象情報取得部25を有していて、インターネット20を介して気象情報を提供する情報サイトから気象情報を取得して、作業者10が作業している地域での気温や湿度、日照量などの現在時刻での気象条件や、今後数時間内における変化を見込んだ気象予報を取得することができる。
また、クラウドサーバ21は、インターネット20を介して、被評価者である作業者10の作業を建築現場で監督する管理者である現場監督30が使用する管理者情報端末としてのパソコン31と接続されている。このため、作業者10が作業する作業現場にいる現場監督30は、パソコン31のデータ受信部33によって、クラウドサーバ21から随時送信される作業者10から得られた測定結果や、評価判定部22によって警告情報が生成されたか否かを把握することができる。
クラウドサーバ21の評価判定部22は、作業者10が装着する測定装置である生体センサ11から得られた心拍データ、加速度データ、服内温度データに基づいて、作業者10の体調を評価し、さらに、作業負担指数を算出して、服内温度情報と、インターネットを経由して取得した作業地の環境温度情報とを加味して、作業者10の熱中症発症リスク指数を算出する。
なお、評価判定部22で行われる、作業者10の作業負担推定や熱中症発症リスク評価の具体的な内容については、後に説明する。
クラウドサーバ21は、データ記録部24に記録された判定対象の作業者10の過去の履歴情報としての履歴データや、気象情報取得部25で取得した作業地域の気象情報、さらには、判定対象の作業者と同じ現場で働いている、判定対象の作業者以外の作業者から取得された各種情報の変化などの環境情報に基づいて、作業者10個人の熱中症発症リスクの評価結果を補正して、より現実に即した熱中症発症リスクの管理を行うことができる。
なお、本実施形態で例示する熱中症発症リスク管理システムにおいて、評価判定部22を備えるのはクラウドサーバ21に限られない。例えば、管理者情報端末や事業所の管理コンピュータ上に、クラウドサーバ21の各種機能を実装してもよく、その機能が実現できるのであれば、評価判定部が実装される場所や機器は問わない。
現場監督30のパソコン31は、作業者10を含めた当該現場監督30が監督する作業現場に所属する作業者についての測定装置で得られた各種の情報や警告情報が生成されたか否かを管理する情報管理部32を備えている。情報管理部32は、クラウドサーバ21から送信された情報に基づいて、それぞれの作業者10から得られた情報や警告情報が生成されたか否かの熱中症発症リスク評価の基準となる情報を常に最新情報として把握している。また、情報管理部32は、取得した各作業者の熱中症発症リスクの評価判定結果やその他の環境情報を表示画像処理部35へと出力し、表示画像処理部35で液晶モニタなどの表示デバイス36上に表示される画面内容が調整される。
このようにして、現場監督30は、自分が監督する作業現場で働く作業者10の情報や熱中症発症リスクなどを、全体として一元的に、または、作業者個々の詳細情報として見やすい画面で把握することができる。なお、表示画像処理部35で処理された表示デバイス36に表示される具体的な画面内容については、適宜形成されるシステムによって求められる情報を見やすく表示できればよいため、本明細書での具体的な詳細の説明は省略する。
さらに、現場監督30のパソコン31では、警告情報を通知した後に当該作業者10から得られる各種情報や、作業者10からの警告情報の受領確認を受け取ることで、作業者10が熱中症の発症を予防するための対策を行ったか否かを確認することができ、作業者10が熱中症の発症を予防するための対応をとっていない場合には、対象の作業者10に繰り返して警告情報を伝達するなど、作業者10の注意喚起を行うことができる。
なお、上記説明では、作業者10に熱中症を発症するリスクが高くなっていることを報知する警告情報を、クラウドサーバ21の評価判定部22で生成する例を説明したが、警告情報を、現場監督30のパソコン31に設置された情報管理部32で生成することができる。また、評価判定部22と、情報管理部32の双方で警告情報を生成するように設定することもできる。このようにすることで、作業現場を実際に監督している現場監督30のパソコン31から、評価判定部22での判定結果に先んじて警告情報を生成して対象となる作業者10に伝達することで、作業現場の実情に応じて熱中症の発症リスクをより低減することができる場合がある。
クラウドサーバ21の評価判定部22、または、現場監督30のパソコン31で生成された警告情報は、現場監督30のパソコン31のデータ送信部34から、無線LANなどのローカルネットワークや携帯電話の情報キャリアを含めたネットワークを介して作業者10が装備するスマートフォン12に送信される。警告情報を受け取ったスマートフォン12の警告報知部14は、音声、画面表示、ランプの点灯または点滅、振動などの各種の情報伝達手段を用いて、作業者10に対して、自分が熱中症を発症するリスクが高まっていることを報知する。警告情報を確認した作業者10は、スマートフォン12のタッチパネルまたは操作ボタンなどを通じて警告情報を受け取った旨を報告するとともに、作業を中断して休息をとるなど熱中症を予防するための対策を実行する。
作業者10のスマートフォン12は、作業者10が警告情報を確認して作業を中断したことを監督者30のパソコン31に送信し、監督者30は、作業者10が熱中症の発症を予防する対策をとったことを確認できる。
さらに、本実施形態で説明する熱中症発症リスク管理システムでは、現場監督30が把握している作業現場での熱中症発症リスクデータを、作業者10のスマートフォン12に送信して、作業者10が、自分が働いている作業現場での熱中症発症リスクの現状を確認することができる。例えば、自分以外の作業者の熱中症発症リスクが高くなっていることが確認できれば、各作業者自身が熱中症の発症を積極的に予防する対応を採ることが可能となる。また、他に熱中症発症リスクの警告情報を受け取って作業を中断した作業者がいることがわかれば、現場監督30からの自分宛の警告情報により素直に応じることが期待できる。
さらに、作業者10が所有するスマートフォン12で、当該作業者10の現在までの熱中症発症リスクの変化や、生体センサ11で取得された自身の心拍数、加速度データから計算された健康状態の評価結果や、消費カロリーなどの関連情報を画面に表示して、作業者10自身が参照することができる。これら、作業者10が所有するスマートフォンでの表示画面についても、それぞれの目的に応じて必要事項を見やすく表示することができればよいため、本明細書での詳細な説明は省略する。
クラウドサーバ21は、インターネット20を通じて作業者10が所属する会社や事業所40内の管理コンピュータ41にも接続されていて、現場監督30のパソコン31に送信された作業者10の測定結果情報や、クラウドサーバ21が熱中症の発症リスクを判断するために用いた各種の情報を、リアルタイムで、事業所40の管理コンピュータ41に対して送信する。事業所40の管理コンピュータ41は、自身のデータ受信部42とデータ送信部43とを備えているため、インターネットを介して現場監督30のパソコン31とも接続されていて、現場監督30から作業者10に対して警告情報が正しく伝達されたか、作業者10が熱中症の予防対策をとったか、などの情報を確認し、必要に応じて所定の指示を行うことができる。このため、作業者10の熱中症発症リスクの回避を効果的にバックアップすることができる。
また、図1では明示していないが、クラウドサーバ21、現場監督30のパソコン31、および、事業所40の管理コンピュータ40は、インターネット20で接続されているため、パソコン31や管理コンピュータ40の側からクラウドサーバ21にアクセスすることができ、クラウドサーバ21でのデータ処理内容を制御したり、評価判定部22での判定プログラムを更新したり、クラウドサーバ21から熱中症予防管理に必要な情報を適宜取り出したりすることができる。
なお、上記説明においては、作業者が装備する携帯端末としてスマートフォンを例示したが、作業者の携帯端末はスマートフォンには限られず、携帯電話機やタブレット機器、さらには、熱中症発症リスク管理システムに特化した、情報の送受信が可能な専用の小型端末機器を用いることができる。ただし、本願で開示する体調評価方法における体調評価時に、体調を正しく評価するための姿勢を個々の作業者それぞれに対して指示するために、画像情報や音声情報を伝達する伝達機能を有していることが好ましい。また、現場監督が操作する管理者情報端末としては、例示したパソコン、特に図1で図示したデスクトップパソコン以外にも、ノートパソコン、タブレット型パソコン、小型サーバ機器などの、ネットワークを通じた情報の送受信とデータ表示、データ記録などが可能な各種の情報機器を採用することができる。
さらに、上記説明では、現場監督の管理者情報端末から作業者の携帯端末に警告情報を送信する形態を説明したが、警告情報がクラウドサーバの評価判定部で生成される場合には、クラウドサーバから直接作業者の携帯端末に警告情報を送信するようにシステムを構成することもできる。
さらに、作業者、現場監督、事業所内の管理部門を結ぶ情報伝達手段としては、上記例示したものに限られず、データの送受信を行う各種の情報通信手段を利用できることは言うまでもない。
次に、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムに含まれる、就業前体調評価ステムと、当該システムにおける体調評価方法について説明する。
[就業前体調評価の概要]
図4は、本実施形態にかかる体調評価方法である就業前体調評価の概略を説明するためのイメージ図である。
図4における白矢印は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法における時間の経過を表し、白矢印の上の人体モデルが、体調評価時における被評価者である作業者の姿勢を示している。
図4に示すように、本実施形態にかかる体調評価は、一定時間座った状態(座位時)の心拍データと、座った状態から立ち上がり、さらに一定時間立っている状態(立位時)の心拍データとを取得して、座位時と立位時との異なった姿勢における被評価者の心拍数を比較することにより、被評価者の自律神経機能の働き度合いを推定して、当該被評価者の測定時点での体調を評価するものである。
座位時と立位時との心拍数の変化については、降圧剤の使用で血圧が低下した場合に、座位時と立位時での心拍数が減少し、さらに、座位時と立位時との間での心拍数の差が増加するという研究結果が知られている(Van Nueten ら、1998年。、および、Mazza, Aら、2002年。等)。このため、座位時と立位時との心拍数の変化から、被評価者における血圧の変化を間接的に評価できることが期待される。また、被評価者の体調が優れないときは、座位時と立位時の両方において心拍数が下がっていることが予想される。
これらの知見に基づいて、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、被評価者の座位時の心拍データと立位時の心拍データとを取得して、被評価者の座位時と立位時との心拍数の変化に基づいて自律神経機能の働き度合いを把握し、被評価者の体調を評価する。また、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、加速度データに基づいて立位時における被評価者の身体の動きを検出し、身体をどの程度真っ直ぐな状態に維持できているかに基づいて、被評価者の自律神経の働き度合いを把握して、体調評価を行う。
また、これらの体調評価時には、正確な体調評価を行う上で、被評価者が座位時の姿勢と立位時の姿勢とを正しく維持していることが重要となる。このため、本実施形態にかかる就業前体調評価システムでは、被評価者が所持するスマートフォンを用いて、被評価者が正しい測定姿勢を維持できるように指示を行う。
図4において、まず、被評価者に対して背もたれのない椅子に腰掛けるように指示する(t1)。背もたれのない椅子に腰掛けることで、被評価者は姿勢を真っ直ぐな状態に維持する必要があり、自律神経機能が発揮されている状態となる。椅子に背もたれがある場合でも、被評価者に対して背もたれに寄りかかること無く、背中を伸ばして着座する姿勢を維持するように指示する。
ここで、本実施形態にかかる体調評価方法では、被評価者をリラックスさせるためと、座位に移る前の動作の影響を排除することを目的として、この期間を被評価者に自身の主観的な体調や別途測定した当日の体重、血圧などの測定結果についてのアンケートに回答する回答期間(白矢印51の期間)としている。アンケートへの回答方法については、後に詳述する。
なお、このアンケートへの回答期間51については、被評価者の心拍データや、加速度データを用いた体調評価を行わないため、適宜省略することができる。
次に、被評価者が背もたれのない椅子に座った状態で、被評価者の座位時における心拍データの取得を開始する(t2)。一例として、座位時の心拍データを取得する座位時測定期間(図中白矢印52の期間)を1分間に設定することができる。この状態では、被評価者が落ち着いていることでより正確な座位時の心拍データを取得できるため、後述するように、被評価者が落ち着くことができるような指示を与える。
1分間の座位時測定期間(52)が終了すると、被評価者に対して椅子から立ち上がるよう指示を与える(t3)。その後、一例として30秒間(図中白矢印53の期間)の立位時測定期間の間、被評価者になるべく真っ直ぐに立った状態での立位を維持するよう指示する。なお、立位時測定期間53では、3次元加速度センサによって得られた加速度データに基づいて、被評価者の身体の揺れ(ふらつき)を計測する。
30秒間の立位時測定期間53が終了すると、就業前体調評価が終了する。座位時測定期間52の心拍数と立位時測定期間53の心拍数とに基づいて、被評価者の体調を表す体調評価指数を算出する。なお、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、被評価者に対して体調評価の結果である体調評価指数を伝達して、その日の客観的な体調が把握できるようにしている。
以上の説明のように、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、被評価者の座位時の心拍データと立位時の心拍データとの比に基づいて当該被評価者の自律神経機能の発揮度合いを推定し、この推定結果を計測時点での客観的な体調評価結果とするものである。
[被評価者への正しい測定姿勢の指示]
上述のように、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、被評価者の自律神経機能を測定する上では、座位時と立位時との心拍数を正確に検出する必要がある。特に、座位時には背もたれに寄りかかることなく背筋を伸ばした状態で座っていること、立位時には身体の揺れが生じないようにまっすぐ立っている状態を維持すること、そして、座位時から立位時への切り替えとなる立ち上がり動作を正しいタイミングで行うことが正確に心拍数を測定する上で重要となる。
また、上記実施形態として示した就業前体調評価方法では、座位時測定期間52を1分間、立位時測定期間53を30秒間として設定しているため、それぞれの測定期間の間、被評価者を飽きさせずに正しい姿勢を維持してもらえるような工夫も必要となる。
そこで、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、測定装置10で取得した心拍データと加速度データとをクラウドサーバ21の評価判定部に送信する被評価者情報送信部13の機能を果たすために被評価者が所持しているスマートフォン12の画面に被評価者が正しい姿勢を維持できるように誘導する、誘導表示を行う。
なお、以下の説明で例示するスマートフォンの表示画面は、説明の便宜上横長の形状となっている。この場合は、スマートフォンの画像表示機能である、画像の形状に合わせて適宜回転させる機能を用いて、スマートフォンを横長の状態で保持して見ることができる。
また、以下で例示する表示画面を、縦長に保持した状態のスマートフォンの表示画面上に表示して、当該表示部分の上方、および/または、下方の部分に、他の各種情報が表示されるようにすることができる。
もちろん、以下の説明で例示する表示項目が縦長の画面に表示されるように、各項目の形状や配置位置を適宜変化させることができることは言うまでもない。
また、以下の各図は、あくまでも例示であるため、バッテリーの残量や電波の受信状態など、スマートフォンの下面に常に表示されている状態表示については表示を省略している。
図5は、作業者が所持するスマートフォンにおけるアンケート期間での表示画像の例を示している。
図4を用いて説明したように、座位時測定期間52が始まる前に、被評価者が座位時に好ましい計測姿勢をとることができるように指示することと、被評価者がいち早くリラックス状態となるように誘導することが目的となる。このため、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、座位時測定期間52の前に、被評価者に自身の主観的な体調や血圧体重などの計測結果を入力させるアンケートへの回答期間51を設けている。
まず、図5(a)に示す画面によって、被評価者に就業前体調評価を開始する操作を行わせる。このとき、図5(a)に示すように、被評価者の所持するスマートフォンの画面では、被評価者に対して、座位時測定期間52での正しい測定時姿勢をとることができるように、「背もたれに寄りかからないように座ってください。」などの姿勢についての指示を与える。被評価者は、正しい姿勢を確認した後に、画面上の「スタート」ボタンをタッチする。
なお、前述のように、アンケートの回答期間51は省略することができるため、アンケートへの回答を省略して直ちに座位時測定期間52を開始する場合には、被評価者は画面上の「スキップ」ボタンをタッチする。
図5(a)で「スタート」ボタンをタッチすると、図5(b)に示す、被評価者自身の主観的な体調を入力するための画面が表示される。本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、図5(b)に示すように、自己の体調を、評価する指標としてわかり易い「疲労度」で表すようにしている。また、図5(b)に例示するように、自身の疲労度の入力を画面横方向に延びたバー(横棒、帯)をタッチすることで入力できるようにしている。
自身の体調評価として疲労度を入力する場合には、図5(b)に示したような横方向に延びたバー上をタッチして入力する方法に限られず、例えば、「なし」「少しある」「かなりある」「とても疲れている」などの文字を表示して最もふさわしいものを選択できるような入力方法が考えられる。また、被評価者に、疲労度を10段階などの数値で入力させることも考えられる。しかし、これらの入力方法は、結果として「疲労度」を段階的に表すこととなり、複数の選択肢や数値の中間の状態を選択することができなくなる。これに対して、図5(b)に示すように、疲労度について両端に「最良」と「最悪」と表示され、自身の前回の評価結果がある場合にはその位置を示す指標が示されている、適宜色彩や濃度をグラディエーションとして変化させたバー上をタッチするように設定することで、被評価者が自身の感覚にしたがった評価値を視覚で確認しながら把握することができ、より適切と感じられる疲労度を入力することができる。
なお、本実施形態の就業前体調評価方法では、図5(c)に示すように、被評価者が自信の疲労度として選択した位置をバー上に「○」印61で表されるため、被評価者は、タッチ後に改めて「○」印61の位置がバー上のどの位置となっているかを確認することができ、必要に応じて「○」印61を再びタッチしながら左右にスライドさせることで、より自身の感覚を正確に表すことができる位置を示すことができる。
スマートフォンの画面上で、自身の体調評価を入力した後、被評価者は、図5(c)の下側に示されている「血圧・体重入力」ボタンをタッチして、図5(d)として示す、血圧と体重の入力画面に進む。
なお、血圧や体重を毎日測定するとは限らないため、血圧と体重の入力を省略する場合には、「次へ」のボタンをタッチすることで、次の座位時測定期間52に移行する。
図5(d)に示す、血圧と体重とを入力する画面では、最高血圧と、最低血圧、さらに、体重の数値を入力する。これらの数値は、上述した「疲労度」とは異なり、具体的な数値として把握されているものであるため、数値をそのまま入力することができる。なお、数値の選択方法としては、入力するボックスの横にプルダウン方式で数値が表示され、適切な値を選択する方法や、別画面としてテンキーを表示して、数字をそのまま入力するなど、スマートフォンの画面上で数字を入力する各種の手段が選択できる。
血圧と体重の入力が終了したら、被評価者は、画面下側の「次へ」のボタンにタッチし、次の座位時測定期間52に移行する。
図6は、本実施形態にかかる就業前体調評価方法において、座位時測定期間に被評価者の所持するスマートフォンに表示される画面の例を示している。
座位時の心拍データなどを検出する座位時測定期間52では、被評価者が背もたれにもたれかかることなく背中を伸ばした正しい姿勢を維持すること、心拍データを取得するため測定期間中はリラックスした状態を保つこと、さらに、これを1分間の座位時測定期間中維持すること、が重要となる。そこで、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、被評価者に対して、座位を維持するように指示するとともに、実際に測定されている被評価者の心拍数を表示して、その数値を下げるように指示して、被評価者が心を落ち着かせることがより容易にできるようにしている。
座位時測定期間52では、被評価者が所持するスマートフォンの画面に、図6(a)に示すように、中央部分に目立つように計測中の心拍数が表示される。また、背もたれのない椅子に背を伸ばした正しい姿勢で腰掛けている人物のイメージ図とともに「静かに座ったままの状態を維持してください。」というメッセージが表示される。このようにして、被評価者に正しい座位を維持することを指示する。
心拍データの取得が始まると、図6(b)に示すように、スマートフォンの画面には、「表示される拍数が下がるように心を落ち着かせてください。」との指示が表示される。このように、自身の心拍数を表示するとともにその値を小さくするように、との具体的な指示が表示されることで、被評価者は自分の心拍数を確認しつつその数値を下げようと指示通りにリラックスすることを心がける。
このように、普段は数値として知覚できない心拍数などの生体情報をリアルタイムで被評価者にフィードバックすることで、通常は自分では意識できない状態を制御するように訓練するバイオフィードバックの手法を用いることで、被評価者が自らをリラックスさせる方法を習得することを期待できるとともに、リラックス時の心拍データを取得できるため被評価者の体調評価をより正確に行えるようになる。
一例として1分間に設定した座位時測定期間52の終了に近づくと、図6(c)に示すように、「下のカウントダウンが0になると同時に、ゆっくりと立ち上がってください。」との表示とともに、表示画面内に「10秒前」などのカウントダウンが表示される。
このようにすることで、被評価者が座位時の心拍データ取得期間中に飽きてしまい、正しい測定姿勢が崩れてしまうことが回避できる。また、座位時から立位時への姿勢の切り替え動作である立ち上がり動作に対して、被評価者は事前にそのタイミングを知って心づもりをすることができ、立ち上がり動作を落ち着いて行うことができるようになる。
カウントダウンが終了し、立位時測定期間53への移行時間(t3)となると、図6(d)に示すように、スマートフォンの画面に、被評価者を立ち上がらせる指示が表示される。
次に、立位時の心拍データ取得期間53では、一例として設定した30秒間の間、被評価者の心拍数を計測するとともに、3次元加速度センサによって被評価者の身体の揺れが測定される。
図7は、立位時測定期間における、スマートフォンの表示画面の例である。
立位時測定期間53では、図7(a)に示すように、直立している人物を表すイメージ図とともに、被評価者に対して引き続き心拍データを取得している状態であることを伝える。また、3次元加速度センサによって測定された、被評価者の身体の揺れを示す加速度データを数値化して「ふらつき指数」として表示し、「身体のふらつき指数が小さくなるように心がけてください。」というメッセージを表示する。
このように、身体の揺れを指標化したふらつき指数を指示して、被評価者がふらつくことなく真っ直ぐに立っている姿勢を維持させることは、座位時に心拍データを表示して被評価者に心拍数を制御するように指示した場合と同様バイオフィードバックの手法であり、被評価者が身体を揺らすことなく直立した姿勢を維持できるコツをつかむことが期待できるとともに、立位時測定期間53の期間中、被評価者がリラックスした状態で心拍データや加速度データの取得ができるようになることが期待できる。
なお、本実施形態の就業前体調評価方法では、加速度データに基づいて被評価者の身体の揺れの度合いを「ふらつき指数」として数値化し、被評価者に対してその数値が小さくなるように意識させた。被評価者がまっすぐ立っている状態を把握できるようにする方法としては、他にも、加速度データに基づいて被評価者の身体の中心位置の動きを把握するようにし、把握された身体の中心位置をスマートフォンの画面上に表された円内にとどめるようにさせることなども考えられる。この場合でも、ふらつき指数が小さな値となるように意識させる場合と同様のバイオフィードバック効果が得られる。
図7(b)に示すように、立位時測定期間53の終了が近づくと、「まもなく計測が終了します。」などの案内とともに、立位時測定期間53の終了時刻(t4)までのカウントダウンを表示する。このようにすることで、被評価者を飽きさせることなく、立位時測定期間53の終了まで正しい立位の姿勢を保っているように誘導することができる。
立位時測定期間53が終了すると(t4)、スマートフォンの表示画面に計測が終了したことを伝えるメッセージが表示される。また、このとき、測定期間中に得られた座位時の心拍数と、立位時の心拍数とに基づいて被評価者の体調評価を行った結果を、例えば「心拍指数は平常レベルでした。」(図7(c))、または、「心拍指数がやや高めでした。」(図7(d))などと表示する。このようにすることで、例えば、「心拍指数がやや高めでした。」との体調評価を受けた被評価者は、その後の作業中における自身の体調変化により気を配るようになるなど、体調が平常時と異なる状態を知らずに無理をして、急激な体調悪化が生じることが内容に注意して行動できるようになる。
なお、図7(c)、図7(d)で表示される体調評価結果について、例えば、就業前体調評価を行う回数が4回以下である被評価者については、一般的な平均値との対比から評価を行い、就業前体調評価を5回以上行った経験がある被評価者については、過去の自分自身のデータとの比較で評価することにより、被評価者個人個人の特性に応じたより正確な体調評価を行うことができる。
なお、本実施形態にかかる始業前体調評価方法では、立位時測定期間53が終了した後に、被評価者が自身の体調評価結果について、さらに詳細なデータを確認できるようになっている。
図8は、被評価者の体調評価結果の詳細を示す画面表示例である。
例えば、図7(c)、図7(d)に示されている「結果確認」ボタンをタッチすることで、図8として示す、当該被評価者の体調評価結果について、心拍数そのもの変化を示す心拍指数、座位時と立位時との心拍数の変動度合いから導かれた自律神経の働き度合を示す快調指数、さらに、立位時に真っ直ぐに立っている状態をどの程度維持できたかを示す立位バランス指数について、過去数日間(図8の例では約2ヶ月間)の推移が表され、測定当日の自身の体調がどの程度であるかを感覚的に把握できるようになっている。なお、図8において、各指標の推移を示すグラフに示された破線は、過去の変動の95%存在区間を表しており、破線で挟まれた領域から評価結果が外れることは、普段とは異なる体調である可能性を意味する。
なお、体調評価結果の詳細例としては、図8で例示した自身の履歴との比較には限られず、同じ作業現場で働く他の作業者の体調評価結果との比較など、当該被評価者が自身の体調をより客観的に把握することができる各種の情報を用いることができる。
また、上記説明した就業前体調評価は、全体として少なくとも1分半の時間をかけて被評価者の体調を評価するものである。例えば、急な用事で座位や立位の姿勢を保っていることができない場合には、被評価者は、座位時測定期間52中において、また、立位時測定期間53中において、スマートフォンの画面に表示される「スキップ」ボタン(図6(a)~図6(d)、図7(a)、図7(b))をタッチすることで、就業前体調評価を終了させることができる。
[体調評価のアルゴリズム]
以下、本実施形態にかかる就業前体調評価方法における体調評価のアルゴリズムを説明する。
本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、被評価者が着用するシャツの胸部に配置された測定装置である生体センサから、被評価者の心拍データと3次元加速度センサで検出されたx、y、zの各方向における加速度データが測定される。測定された心拍データと、加速度データとに基づいて、評価判定部が被評価者の就業前の体調評価を行う。
なお、以下のアルゴリズムの説明において、それぞれの指標を次のように定義する。
まず、心拍の計測番号をiとし、i番目の心拍間隔をms単位で表したものをRR[i]、i番目の心拍間隔を秒(s)単位で表したものをRR(s)[i]とする。また、i番目の心拍波形の発生時刻[s](i=0,1,2,3,・・・)をtR[i]として、i番目の心拍までの心拍間隔(tR[i-1]からtR[i]までの)におけるx方向y方向z方向それぞれの加速度センサが取得した加速度データの最大値、すなわちピーク加速度[単位G]の値を、Ax[i](x軸加速度ピーク値)、Ay[i](y軸加速度ピーク値)、Az[i](z軸加速度ピーク値)とする。
(1.心拍数HR(t)と心拍信頼性qHR(t)の計算)
生体センサでは、ms(マイクロ秒)単位で心拍が計測されるとすると、上記の定義から下記式(1)を用いてi番目に発生した心拍間隔RR[i]を秒間隔に変換できる。そして、瞬時心拍数HR[i]を下記式(2)によって求める。
Figure 0007203378000001
生体センサからサンプリングした生データは、被評価者の皮膚と電極との接触不良等の影響で、一定割合のノイズ(異常な心拍データ)が含まれている可能性がある。そこで1拍ごとのデータ(心拍間隔)に対して、例えば、心拍間隔が0.33秒以上かつ1.33秒以下であって、かつ、1つ前のデータとの差(差分心拍間隔)が0.15秒以下のデータを正常と判定してラベリングする。
すなわち、上記の3つの条件全てを満たす場合は、測定された心拍データが正常なものであると判断してqHR[i]=1とする。一方、3つの条件の内のいずれかの条件を満たさない場合は、測定された心拍データは異常なデータであると判断してqHR[i]=0とする。
なお、心拍数の計測開始直後は、後検出の可能性が高いため、qHR[1]=0とする。また、心拍データが正常か異常かを判断する上記の3つの指標は、生体センサによる心拍データの計測精度などに基づいて、適宜調整されるべき数値である。
(2.加速度ピーク時系列の指数移動平均と2乗偏差の計算)
3次元加速度センサで取得された、x、y、zの各軸方向における加速度データの最大値を加速度ピークとし、この加速度ピーク時系列{(Ax[i]、Ay[i]、Az[i])}に対して、そのトレンド成分(低周波成分)を表す指数移動平均を計算する。
本実施形態にかかる就業前体調評価システムで得られる加速度ピーク時系列は、心拍波形の検出毎に出力されるものであるため、不等な時間間隔で得られるものであることに注意が必要である。
まず、最初(i=1)、加速度ピーク値(Ax[1]、Ay[1]、Az[1])に対して、指数移動平均を下記式(3)として定める。なお、x軸、y軸、z軸各軸方向における指数移動平均については、下記式(3)に示すように、ピーク値を示すAx、Ay、Azの上に横線を表示して表すこととする。
Figure 0007203378000002
続いて、iが2以上については、下記式(4)~式(6)で求める。
Figure 0007203378000003
ここで、βAは、過去の影響幅を決定するパラメータであり、職種や運動に応じた身体運動の早さなどを考慮して所定の値として設定される。ここでは、βA=0.3[1/s]とする。
加速度ピーク値の指数移動平均まわりの2乗偏差を、以下に示す式(7)と式(8)で求める。
Figure 0007203378000004
(3.健康指標の計算)
次に、測定された心拍データと加速度データとに基づいて、被評価者の体調を評価する健康指数を算出する。
図9は、図4に示した被評価者の姿勢の変化に伴って測定された、被評価者の心拍数の変化の一例を示している。
以下、図4と図9とに基づいて、それぞれの測定期間での心拍数の変化に基づいて、具体的な健康指数の算出方法を説明する。
まず、被評価者が着座して、自身の体調についてのアンケートに回答しているt1からt2までの回答期間51について、瞬時心拍数{HR[i]}の中で、qHR[i]=1であるもののみを用い、事前中央心拍数<HRpre>を計算する。
Figure 0007203378000005
なお、本実施形態の体調評価方法では、事前中央心拍数を用いた評価は行わないが、シャツや心拍計の装着状態の確認、計測前状態の確認(計測前の状態が安静に近いかどうかの確認)などとして利用することができる。
続いて、アンケートへの回答期間51が終了(t2)した後の、t2からt3までの座位時測定期間52では、座位時測定期間52の終了時間(t3)の10秒前までの50秒間の間(t2からt3aまで)、5秒ごと(最初のみ10秒間)に、10秒区間[t、t+10]の移動中央心拍数<HR(10s) sit>を計算する。
また、t2からt3aまでの50秒間の瞬時心拍数{HR[i]}の中で、qHR[i]=1であるもののみを用い、座位中央心拍数<HRsit>を計算する。ここでは、qHR[i]=1のデータの中央値をそのまま座位中央心拍数<HRsit>とする。
Figure 0007203378000006
なお、この座位中央心拍数<HRsit>としては、文字通りの中央値を採用する以外にも、qHR[i]=1のデータの平均値(単純平均)を用いることもできる。心拍の計測が安定している(欠損やノイズがほとんどない)ときは、平均値が好ましい。しかし、ここでは、計測の安定性が低い、あるいは不明として、異常値の影響を受けにくい中央値を用いた。
続いて、立位時のデータ取得期間への移行のための立ち上がり指示時(t3)から、計測終了のt4までの間、5秒ごとに5秒区間[t、t+5]の移動中央心拍数A(5s) RMSを計算する。
Figure 0007203378000007
また、立ち上がり指示後5秒後(t3b)から、30秒後(t4)までの区間の加速度2乗偏差{ΔA2[i]}を用いて、立位バランス指数Aupを計算する。
Figure 0007203378000008
加えて、立ち上がり指示5秒後(t3b)から、30秒後(t4)までの25秒間の瞬時心拍数{HR[i]}の中で、qHR[i]=1であるもののみを用い、その中央値を算出して立位中央心拍数<HRup>を計算する。
Figure 0007203378000009
図9において、符号71で示す実線が被評価者の心拍数(HR:単位はbpm)、破線72が座位中央心拍数<HRsit>、破線73が立位中央心拍数<HRup>をそれぞれ示している。
なお、t3aからt3までの起立指示前の10秒間と、t3からt3bまでの起立指示後の5秒間のあわせて15秒間の心拍データを使用しないのは、起立前の被評価者の緊張により心拍が乱れる可能性があり、起立直後の心拍は起立運動の違い(立ち上がる速さなど)の影響を受けるからである。なお、この期間、10秒+5秒は、一例であって、例えば、全体の計測時間などに応じて変更することができ、起立指示前は5秒から20秒間程度、起立指示後は5秒から20秒程度とすることが好ましい。
本実施形態にかかる体調評価方法では、被評価者の体調を評価する指数としての快調指数GSを、上記求められた立位中央心拍数と座位中央心拍数とを用いて、下記式(14)のようにして求める。
Figure 0007203378000010
(評価の基準)
本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、体調評価指数として上記説明した心拍指数と快調指数について、予め定められた評価基準に基づいて評価を行う。なお、上記で説明した立位バランス指数については、被評価者が故意に異常値を誘導可能な指標であるため、評価には使用せずに数値を表示する(図8)のみとする。
本実施形態にかかる就業前体調評価における評価基準は、被評価者が本実施形態にかかる体調評価を行った経験に応じて変更している。
より具体的には、本実施形態にかかる就業前体調評価方法では、当該被評価者について過去5回分の評価結果がデータとして残っていない、すなわち、その被評価者についての体調評価が5回目までの場合は、心拍指数の評価基準を下記表1のように定める。
Figure 0007203378000011
また、快調指数については、その評価基準を下記表2のように定めている。
Figure 0007203378000012
表1、表2に、それぞれの評価基準の説明を記載したように、被評価者の体調評価回数が5回未満の場合には、一般的な評価結果、すなわち、より多くの評価結果の解析から得られた心拍指数と快調指数との比較において、被評価者の体調評価を行う。
一方、被評価者の過去の履歴データが5回分以上残っている場合には、そのデータから当該被評価者における心拍指数と快調指数との傾向が把握できていると考えて、過去の評価結果に対する位置づけから体調評価を行う。
具体的に、心拍指数の評価基準を表3に示す。
Figure 0007203378000013
また、快調指数の評価基準を表4に示す。
Figure 0007203378000014
表3、表4に示すとおり、6回目の体調評価からその判定基準として過去データの標本平均と標本標準偏差とを用いて判断基準を設けることで、被評価者のそれぞれの特徴を考慮して、より適切な体調評価を行うことができる。
なお、上記では、一般的なデータと当該被評価者の履歴データとの採用の区分け基準の評価回数を5回としたが、この数値は、当該被評価者の心拍指数や快調指数によって適宜変更させることができる。たとえば、5回の体調評価を行った履歴データのばらつきが大きい被評価者については、例えば、8回、10回などとさらに履歴データを積み重ねて、当該被評価者の特徴が把握できたと考えられる時点から、履歴データに基づく評価基準採用するようにすることが好ましい場合がある。
また、多くの評価履歴を有している被評価者の場合には、季節や評価した曜日など、より等しい条件での体調評価が行われたと考えられるデータを用いて、評価基準となる過去データとすることができる。
以上説明した就業前体調評価を行うことで、本実施形態にかかる作業時体調評価における就業前の体調が把握できる。
[作業負担の算出]
ここで、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムにおける、被評価者の作業負担の算出について説明する。
本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムでは、上記説明したように、被評価者のシャツに装着された測定装置である生体センサから、被評価者の心拍データと、加速度データ、また、服内の温度データが取得される。これらのデータに基づいて、被評価者のオンタイムでの作業負担を推定する。
具体的には、まず、上記説明した就業前体調評価のアルゴリズムと同様にして、被評価者である作業者から検出された心拍データから、中央心拍数を算出する。この場合において、作業中は被評価者が身体を動かしている状態にあることを考慮して、部分区間の心拍波形検出率(上記qHR[i]=1の割合)が50%以上であった場合に、部分区間に含まれる心拍データの取得間隔から部分区間あたり(例えば、過去1分間あたり)の心拍数に換算して中央心拍数HRを得る。
一方、心拍波形検出率が基準値が50%未満であれば、心拍データに信頼性がないと判断して、後述するように、評価判定部は、当該区間については加速度データを用いて作業負担指数を算出するようにする。
加速度センサによって得られた加速度データについても、上記就業前体調評価における立位バランス指数の算出と同様にして、不等時間間隔データの指数移動平均を、x軸、y軸、z軸それぞれの方向の加速度データ{Ax(t)}、{Ay(t)}、{Az(t)}について、時定数を10secとして、統計学の手法である指数移動平均法を用いてそれぞれの軸方向における加速度データの指数移動平均を求める。なお、ここでの時定数は特に限定されないが、例えば5~10secの範囲で加速度センサの性能に応じて適宜決定すればよい。
このようにして得られた、中央心拍数データについて、履歴データと予め作成した標準心拍応答モデルとに基づいて中央心拍数を補正し、標準化心拍数を求める。
具体的には、心拍応答係数および切片心拍数、ならびに、標準心拍応答モデルのパラメータである標準心拍応答係数および標準切片心拍数を用いて、中央心拍数データを以下の数式(式15)で標準化心拍数に変換する。
HRS[k]=(αs/αr)(HR[k]-βr)+βs (15)
ここで、
・中央心拍数データ :HR[k]
・標準化心拍数 :HRS[k]
・心拍応答係数 :αr
・切片心拍数 :βr
・標準心拍応答係数 :αs
・標準切片心拍数 :βs
である。なお、ここでkは、部分区間の番号を表す。
標準心拍応答モデルとは、大人数を測定対象として得られた大規模データを基に作成された心拍応答モデルである。加速度(身体の動き)に対するヒトの標準的な心拍応答を表したモデルで、各種パラメータ及び所定の数式で表現できる。
この大規模データを用いて区間毎に中央値を求め、各中央値に対して当てはめた近似曲線FHRとしての標準心拍応答モデルを得る。
近似曲線FHRを加速度偏差ARMSを与えたとき、推定標準化心拍数FHRを与える関数FHR(ARMS)として表現できる。また、FHRの直線的に変化している部分、すなわち、加速度の変化に対して心拍数の変化が直線的に変化する部分の傾きを標準心拍応答係数とし、近似曲線の切片が標準切片心拍数に相当する。
このようにして得られた標準化心拍数と加速度偏差とに基づいて、評価判定部は作業者の作業負担指数を算出する。なお、このとき評価判定部は、標準化心拍数を用いるか、それとも推定標準化心拍数を用いるかを、標準化心拍応答モデルに基づいて作成された補正マップを利用して判定する。
一方、心拍波形検出率Qが基準値(上記例では50%)以上ではない場合には、評価判定部22は、得られた心拍データの信憑性が低いと判断して中央心拍数の算出は行わずに、生体センサから得られた加速度データから作業者の動作状況を示す数値である加速度偏差を算出する。この場合には、加速度偏差のみに基づいて、評価判定部は作業者の作業負担指数を算出する。
さらに評価判定部は、生体センサから得られた作業者の服内温度データと、作業者が作業する現場での環境温度データとに基づいて、作業者の暑熱負荷指数を算出する。作業現場の環境温度データは、クラウドサーバの気象情報取得部により取得された作業現場の周囲の気温データ、作業者が屋内で作業している場合などではその作業場に配置された温度センサから得られる温度情報などに基づいて、取得することができる。
そして、評価判定部は、得られた作業負担指数と暑熱負荷指数とに基づいて、当該作業者の熱中症発症リスクを熱中症発症リスク指数として算出する。
[就業前体調評価結果の活用]
本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理システムでは、上記アルゴリズムで算出された、作業負担指数と暑熱負荷指数とに基づいて、熱中症発症リスク指数を算出し、その値が所定の基準値を超えると、当該作業者が熱中症を発症するリスクが高いと判定される。
このような体調評価方法において、作業負担指数の算出に用いられた標準心拍指数と、作業負荷指数とを用いて、評価対象の作業者の安静時の心拍数である心拍指数を推定することで、熱中症発症リスク以外を含む作業者の全体的な体調評価を行うことができる。ここで、この体調評価方法では、実際の被評価者の心拍数と体の動きとの関係から安静時心拍数の推定値である心拍指数を計算するものであり、被評価者の体の動きに伴う心拍数データの変動について一定数以上のデータが必要となる。このため、健康状態を正確に評価する上では、可能であれば午前中、少なくとも作業開始後2時間程度の作業中のデータ取得が必要となり、作業開始直後の作業者の体調を正しく評価することができない。
これに対し、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理方法において、就業前体調評価を行うことにより、被評価者である作業者の作業開始前の体調を把握することができるため、作業開始直後における体調評価を正確に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる熱中症発症リスク管理方法、および、管理システムでは、被評価者である作業者から実際に得られたデータに基づいて、熱中症の発症リスクを正確に管理することができる。
なお、本願で開示する作業時体調評価方法と体調評価システムでは、建築現場や運送業などの暑熱負荷が厳しい環境下で作業負荷が大きな作業を行う作業者の体調を評価する方法として、熱中症発症リスクの管理のみに限られず、一般的な体調の変化を評価することができる。例えば、作業を行うものではないが、炎天下に屋外でトレーニングを行うスポーツ選手や、暑熱負荷に弱い高齢者の体調評価方法としても利用することができる。
また、本実施形態の熱中症発症リスク評価において説明した、就業前体調評価方法、および、体調評価システムによれば、被評価者である作業者の作業開始前の体調を評価することかできるので、作業開始直後からの作業者の体調評価を正確に行うことができる。
なお、上記実施形態において、被評価者である作業者の体調評価として、作業者に対する熱中症発症リスク評価方法における作業開始前の就業前体調評価方法を例示して説明したが、本願で開示する体調評価方法も上記就業前体調評価には限られない。上述のように、トレーニングを行うスポーツ選手を被評価者として、例えば、トレーニング開始前と、トレーニング終了後のクールダウン後の体調の変化を比較する、高齢者施設において、毎朝と夕方とに定期的な体調評価を行うなど、同じ被評価者の体調の一日の変化を計測評価する方法としても利用することができる。
なお、上記実施形態では、被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合の評価として、椅子に腰掛けた状態の座位時の心拍データと立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて評価する方法を説明した。しかし、本願で開示する体調評価方法では、他にも、臥位と臥位から上半身を起こしたときの姿勢の違いによる心拍データや、加速度データとに基づいて、被評価者の体調を評価することができる。
また、上記実施形態では、体調評価時に、被評価者が所持する携帯端末としてのスマートフォンに画像を表示して、正しい姿勢の維持とリラックスすることとを指示する方法について説明した。しかし、被評価者の指示は、スマートフォンやこれに変わる画像表示機能を備えた携帯端末によるものには限らず、例えば、音声による指示、振動による指示方法など、被評価者に対して、自分が採るべき姿勢とその姿勢を維持すべき残り時間とを把握させることができる様々な方法を採用することができる。
本願で開示する体調評価方法、体調評価システム、作業時体調評価方法、および、作業時体調評価システムは、様々な状態に置かれている評価者の体調を正確に把握して評価する方法として、有用である。
11 生体センサ(測定装置)
51 アンケート回答期間
52 座位時測定期間
53 立位時測定期間
t3 立ち上がりのタイミング

Claims (7)

  1. 被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、
    前記測定装置により取得された前記被評価者の座位時における心拍データと、前記被評価者が前記座位から立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価する体調評価方法であって、
    前記立位時の心拍データを取得する期間では、前記被評価者の動作に伴う加速度データから、前記立位時の身体のふらつきを検出して前記被評価者に前記身体のふらつきの度合いを表示することを特徴とする、体調評価方法。
  2. 前記被評価者に対し、前記座位時の姿勢維持の指示、立ち上がるタイミングの指示、さらに、前記立位時の姿勢維持の指示を、前記被評価者が所持する携帯端末に表示して行う、請求項1記載の体調評価方法。
  3. 前記被評価者の体調を評価する際に、過去の同じ時間に記録された前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合との比較によって当該被評価者の体調を評価する、請求項1または2に記載の体調評価方法。
  4. 被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、
    前記測定装置により取得された前記被評価者の座位時における心拍データと、前記被評価者が前記座位から立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、
    さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価する体調評価方法であって、
    前記立位時の心拍データを取得する期間では、前記被評価者の動作に伴う加速度データから、前記立位時の身体のふらつきを検出して前記被評価者に前記身体のふらつきの度合いを表示することを特徴とする、作業時体調評価方法。
  5. 前記被評価者についての体調評価結果から、前記被評価者の熱中症発症リスクを管理する、請求項4に記載の作業時体調評価方法。
  6. 被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置と、
    前記測定装置により取得された前記被評価者の座位時における心拍データと、前記被評価者が前記座位から立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の体調を評価する評価判定部とを備え、前記立位時の心拍データを取得する期間では、前記被評価者の動作に伴う加速度データから、前記立位時の身体のふらつきを検出して前記被評価者に前記身体のふらつきの度合いを表示することを特徴とする、体調評価システム。
  7. 被評価者の心拍データを検出する心拍検出手段と、前記被評価者の動作に伴う加速度データを検出する加速度検出手段とを備えた測定装置を用い、
    前記測定装置により取得された前記被評価者の座位時における心拍データと、前記被評価者が前記座位から立ち上がった後の立位時の心拍データとに基づいて、前記被評価者の姿勢の変化に伴う自律神経機能の働き度合を求めて当該被評価者の就業前の体調を評価し、さらに、前記心拍データと前記加速度データとの少なくともいずれか一方から、前記被評価者の作業負担を推定して、当該被評価者の作業中の体調を評価する評価判定部とを備え、前記立位時の心拍データを取得する期間では、前記被評価者の動作に伴う加速度データから、前記立位時の身体のふらつきを検出して前記被評価者に前記身体のふらつきの度合いを表示することを特徴とする、作業時体調評価システム。
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