JP7202949B2 - 接合構造の設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合構造の設計方法に関する。
鋼管柱とH形鋼梁との接合構造として、通しダイヤフラム工法が知られている。通しダイヤフラム工法では、鋼管柱をH形鋼梁の上下フランジ位置で切断した上で、ダイヤフラムを挿入して鋼管柱に溶接し、ダイヤフラムに梁ブラケットの上下フランジを溶接するとともに梁ブラケットのウェブを鋼管柱のスキンプレートに溶接接合し、梁ブラケットとH形鋼梁とを高力ボルト接合する。
これに対して、特許文献1では、鋼管柱を切断することなく鋼管柱の外側にダイヤフラムを設置する外ダイヤフラム工法であって、鋼管柱の柱面に接触しH形鋼梁の上下フランジにそれぞれ接合される外ダイヤフラムを鋼管柱の外周方向に分割された分割ダイヤフラムとし、鋼管柱の柱面に接触圧が作用するように分割ダイヤフラム同士を互いに締め付け固定する技術が記載されている。
上記のような特許文献1に記載された技術では、外ダイヤフラムの設置によって鋼管柱の切断が不要になるのに加えて、外ダイヤフラムを面摩擦によって鋼管柱に接合するため、この部分における溶接が不要になり、加工量が大幅に減少する。
国際公開第2017/026113号
ところで、特許文献1に記載された接合構造では、外ダイヤフラムが鋼管柱に溶接されないため、H形鋼梁に作用する曲げモーメントによってフランジに生じる引張偶力は直接的に鋼管柱の柱面に伝達されるのではなく、鋼管柱の周りに締め付け固定された外ダイヤフラムを介して反対側の柱面への圧縮力として作用する。自重や積載荷重が作用する場合、反対側の外ダイヤフラムに接合されたH形鋼梁のフランジには引張偶力が生じているため上記の圧縮力が相殺されて問題は生じない。
しかしながら、例えば地震荷重が作用して、反対側の外ダイヤフラムに接合されたフランジに圧縮偶力が生じている場合、鋼管柱の柱面に作用する圧縮力が過大になり、鋼管柱に局部変形が生じる可能性がある。このような局部変形が生じると鋼管柱の柱面と外ダイヤフラムとの間に隙間が生じ、接合構造のエネルギー吸収能力が低下する。従って、地震時を考慮した設計にあたっては角形鋼管柱の局部変形の影響を評価する必要があるが、そのための効果的な手法についてはまだ提案されていない。
そこで、本発明は、面摩擦によって接合される外ダイヤフラムを有する角形鋼管柱と梁との接合構造において、角形鋼管柱の局部変形の影響を評価することを可能にする接合構造の設計方法を提供することを目的とする。
本実施形態のある観点によれば、互いに対向する第1および第2の平坦面、第1および第2の平坦面に直交し互いに対向する第3および第4の平坦面、ならびに第1から第4の平坦面のそれぞれの間にある円柱面を側面に含む角形鋼管柱と、第1から第4の平坦面にそれぞれ当接される第1から第4の分割ダイヤフラムを含み、第1から第4の分割ダイヤフラムが平面視において角形鋼管柱を囲むように配置されるとともに平坦面に接触圧を作用させるように互いに締結されることによって構成される外ダイヤフラムと、少なくとも第1の分割ダイヤフラムに接合される梁とを備える接合構造の設計方法であって、第1の平坦面の局部変形による角形鋼管柱の全塑性耐力計算値CLp0を評価する工程と、全塑性耐力計算値CLp0が発生したときの節点モーメント計算値CLp0に基づいて梁の全塑性耐力、角形鋼管柱の全塑性耐力、または梁と角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定する工程とを含む、接合構造の設計方法が提供される。
上記の接合構造の設計方法において、全塑性耐力計算値CLp0が発生したときの節点モーメント計算値CLp0よりも小さくなるように、梁の全塑性耐力、角形鋼管柱の全塑性耐力、または梁と角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定してもよい。
上記の接合構造の設計方法において、全塑性耐力計算値CLp0を、第1の平坦面と第1の分割ダイヤフラムとが接触する領域の1/2の長さb、円柱面の板厚中心部断面の半径r、および円柱面における単位長さあたりの全塑性モーメントmpcを用いて式(i)によって算出してもよい。
Figure 0007202949000001
さらに、節点モーメント計算値CLp0に基づいて、曲げモーメントと軸力との組み合わせ応力を考慮した局部変形による角形鋼管柱の全塑性耐力計算値に対応する節点モーメント計算値CLを、角形鋼管柱の全塑性曲げ耐力計算値に対応する節点モーメントCCを用いて式(ii)によって算出し、節点モーメント計算値CLに基づいて梁の全塑性耐力、角形鋼管柱の全塑性耐力、または梁と角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定してもよい。ここでは節点モーメントで整理しているが、別位置のモーメントや、梁または柱のせん断力等で整理しても良い。
Figure 0007202949000002
上記の接合構造の設計方法において、接合構造は、第2、第3または第4の分割ダイヤフラムの少なくともいずれかに接合される梁をさらに備えてもよい。
上記の構成によれば、面摩擦によって接合される外ダイヤフラムを有する角形鋼管柱と梁との接合構造において、角形鋼管柱の局部変形の影響を評価することができる。
本発明の一実施形態に係る接合構造の斜視図である。 図1に示す接合構造について実施した十字試験の概要を示す図である。 図2に示す十字試験の結果を示すグラフである。 通しダイヤフラム工法の十字試験の結果を示すグラフである。 図1に示す接合構造における引張偶力と圧縮偶力との発生状態の例を示す図である。 角形鋼管柱の局部変形をモデル化して示す図である。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。 角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る接合構造の斜視図である。図1に示された接合構造1は、角形鋼管柱2と、外ダイヤフラム3と、H形鋼梁4とを含む。
角形鋼管柱2は、断面が全体として矩形状であり角部が丸められた鋼管、具体的には例えば冷間ロール成形角形鋼管である。角形鋼管柱2の側面は、互いに対向する平坦面21A,21Bと、平坦面21A,21Bに直交し互いに対向する平坦面21C,21Dと、平坦面21A~21Dのそれぞれの間にある円柱面22とを含む。
外ダイヤフラム3は、角形鋼管柱2の平坦面21A~21Dにそれぞれ当接される分割ダイヤフラム31A~31Dを含む。分割ダイヤフラム31A~31Dは、平面視において角形鋼管柱2を囲むように配置されるとともに、平坦面21A~21Dに接触圧を作用させるように互いに締結される。本実施形態では、後述するようにH形鋼梁4が上フランジ41、ウェブ42および下フランジ43を有し、外ダイヤフラム3は上フランジ41に接合される上側外ダイヤフラム3Aと下フランジ43に接合される下側外ダイヤフラム3Bとを含む。
それぞれの分割ダイヤフラム31A~31Dは、H形鋼梁4の上フランジ41または下フランジ43に接合される梁プレート311と、角形鋼管柱2の平坦面21A~21Dにそれぞれ当接される柱プレート312とを含む。梁プレート311は、例えば図示された例のように上フランジ41または下フランジ43に添接され、高力ボルト接合などのボルト接合や、隅肉溶接などによって上フランジ41または下フランジ43に接合される。あるいは、梁プレート311は、突合せ溶接によって上フランジ41または下フランジ43に接合されてもよい。
さらに、図示された例において、それぞれの分割ダイヤフラム31A~31Dは、柱プレート312の両側に延出する締結プレート313を含む。互いに隣接する分割ダイヤフラム31A~31Dの間で締結プレート313を重ね合わせ、ボルト314およびナット315を用いて締結することによって、分割ダイヤフラム31A~31Dのそれぞれの柱プレート312が角形鋼管柱2の平坦面21A~21Dに押し付けられて接触圧が作用し、外ダイヤフラム3を面摩擦によって角形鋼管柱2に接合することができる。
H形鋼梁4は、上フランジ41、ウェブ42、および下フランジ43を有する。本実施形態では、接合構造1が、外ダイヤフラム3のうち分割ダイヤフラム31A,31Bに接合される2本のH形鋼梁4を含む。ここで、分割ダイヤフラム31A,31Bは、角形鋼管柱2の互いに対向する平坦面21A,21Bに当接される。接合構造1は、分割ダイヤフラム31C,31Dのいずれか、または両方に接合されるH形鋼梁4をさらに含んでもよい。具体的には、例えば、接合構造1は、分割ダイヤフラム31Aに接合される1本のH形鋼梁4のみを含んでもよいし、分割ダイヤフラム31A,31Cにそれぞれ接合されてL字形をなす2本のH形鋼梁4を含んでもよいし、分割ダイヤフラム31A~31Cにそれぞれ接合されてT字形をなす3本のH形鋼梁4を含んでもよいし、分割ダイヤフラム31A~31Dにそれぞれ接合されて十字形をなす4本のH形鋼梁4を含んでもよい。なお、図示された例において、H形鋼梁4は角形鋼管柱2の平坦面21A~21Dにそれぞれ直交するように配置されるが、他の例ではH形鋼梁4が平坦面21A~21Dに斜交するように配置されてもよい。
なお、上述したような接合構造の細部の構成、および変形例については、例えば国際公開第2017/026113号を参照して適宜実施することが可能である。
図2に、図1に示す接合構造について実施した十字試験の概要を示す。十字試験では、角形鋼管柱2の下端を固定するとともに、角形鋼管柱2の両側に接合されるH形鋼梁4について、角形鋼管柱2とは反対側の端部で鉛直方向変位を固定した状態で、角形鋼管柱2の上端に水平方向の荷重(地震時の荷重を模擬している)を作用させた。その結果、図3のグラフに示すように、層間変形角0.02rad付近から荷重上昇を伴わずに変形が増大する区間が発生した。このような区間を含むスリップ型の挙動が接合構造において発生する場合、例えば図4のグラフに示す通しダイヤフラム工法の接合構造における同様の試験結果のような紡錘型の挙動の場合に比べて、接合構造のエネルギー吸収能力(グラフ上でループによって囲まれる領域の面積で表される)が低くなる。
十字試験後の接合構造1を観察したところ、角形鋼管柱2の平坦面21Aに変形が生じたことによって、平坦面21Aに当接される分割ダイヤフラム31Aの柱プレート312との間に隙間が生じていた。これは、十字試験において、図5に示すように分割ダイヤフラム31Bに接合されるH形鋼梁4の上フランジ41に荷重によるモーメントによる引張偶力F1が発生したときに、角形鋼管柱2を挟んで対向する分割ダイヤフラム31Aに接合される上フランジ41には圧縮偶力F2が発生しており、分割ダイヤフラム31Bから分割ダイヤフラム31C,31Dを介して伝達された引張偶力が分割ダイヤフラム31Aに作用する圧縮偶力と同じ向きで合成された結果、分割ダイヤフラム31Aの柱プレート312から角形鋼管柱2の平坦面21Aに作用する圧縮荷重Pが過大になり、平坦面21Aに局部変形が生じたものと考えられる。
そこで、本発明者らは、上記のような局部変形を考慮した角形鋼管柱2の全塑性耐力を評価する手法について検討した。例えば大きな地震荷重が作用した場合にH形鋼梁4が角形鋼管柱2よりも先に降伏して塑性化することによって、角形鋼管柱2の塑性化を防止または低減し、地震時における構造物の倒壊を阻止することができるが、このような設計をする際に角形鋼管柱2の全塑性耐力を局部変形を考慮して評価することによって、H形鋼梁4の降伏前には角形鋼管柱2に局部変形が生じず、従って図3のグラフに示されたようなスリップ型の挙動が生じないことによって、地震のエネルギーを接合構造1において十分に吸収することができる。
(局部変形による角形鋼管の全塑性耐力評価)
検討にあたり、まず、面外圧縮力のみを考慮して局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力を評価する。図6に、角形鋼管柱2の局部変形部分をモデル化して示す。図6に示されたモデルは、対称性を考慮し、平坦面21Aの幅方向の1/2、かつ平坦面21Aと分割ダイヤフラム31Aとが接触する領域の長さ方向の1/2の領域Rとそれに隣接する平坦面21Aおよび円柱面22を含む。ここで、図1に示された例では外ダイヤフラム3が上側外ダイヤフラム3Aと下側外ダイヤフラム3Bとを含むが、領域Rは、上側外ダイヤフラム3Aに含まれる分割ダイヤフラム31Aと平坦面21Aとが接触する領域の長さ方向の1/2の領域である。領域Rには、例えば図5に示したような状況において、図6に矢印で示す向きに圧縮荷重Pが作用する。
図6に示されたモデルにおいて、降伏線は、角形鋼管柱2の板厚中心を通り、平坦面21Aと円柱面22との境界、および円柱面22の中間点に設定されている。角形鋼管柱2の板厚をtとすると、円柱面22の外側半径は2.5t、円柱面22を通る降伏線の半径(円柱面22の板厚中心部断面の半径)rは2.0tである。図6には、降伏線を示す実線と、それ以外の部材位置を示す破線と、これらの線の節点A~Kとが示されている。
上記のようなモデルにおいて、領域R(領域ABFE)がY方向に-δだけ変位する場合を考える。分割ダイヤフラム31Aに隣接する分割ダイヤフラム31C(または分割ダイヤフラム31D)の柱プレート312による拘束を考慮によって、降伏線DHにX方向の変位は生じないものとする。この場合において、各降伏線の長さが変化せず、節点での回転が生じると仮定した場合、各降伏線の単位モーメント、長さ、および回転角の増分は、表1に示すように求められる。表1において、mpfは角形鋼管柱2の平坦面21Aにおける単位長さあたりの全塑性モーメント、mpcは角形鋼管柱2の円柱面22における単位長さあたりの全塑性モーメントであり、それぞれ以下の式(1)および式(2)によって算出される。なお、σyfは平坦面21Aの降伏点または耐力(設計においては基準強度に置き換える)、σycは円柱面22の降伏点または耐力(設計においては基準強度に置き換える)である。また、図6に示されるように、長さdは平坦面21Aの幅の1/2、長さbは平坦面21Aと分割ダイヤフラム31Aとが接触する領域Rの長さの1/2、長さcは角形鋼管柱2の局部変形による形状変化部分の長さ、rは円柱面22の断面半径である。
Figure 0007202949000003
Figure 0007202949000004
ここで、接合構造についてのFEM解析の結果から、角形鋼管柱2に局部変形が生じた場合、主に降伏するのは平坦面21Aと円柱面22との境界、および円柱面22の中間点の降伏線(図6に太線で示す降伏線BF,CG,DH)である。そこで、この3つの降伏線以外には塑性変形が生じないと仮定してモデルを単純化し、表1の値を用いて内力仕事と外力仕事とのつり合いより面外圧縮力のみを考慮すると、局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0は以下の式(3)のように算出される。
Figure 0007202949000005
(組み合わせ応力を考慮した角形鋼管の全塑性耐力評価)
次に、曲げモーメントと軸力との組み合わせ応力を考慮して角形鋼管柱2の全塑性耐力を評価する。接合構造についてのFEM解析の結果から、角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLは、せん断スパンSR(角形鋼管柱2の長さをL、外径をDとして、SR=L/2D)が大きいと角形鋼管柱2の全塑性曲げ耐力計算値CCに収束し、SRが小さい範囲ではそれとは異なる値に収束する。ここで、SRが小さい場合は角形鋼管柱2に曲げがほとんど生じないことから、上記の収束値は式(3)で算出された局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0に対応するものと考えられる。従って、組み合わせ応力を考慮した局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLは、式(4)のようにCLp0およびCCとの相関式で表され、これをCLの式に書き換えると式(5)になる。なお、式(4)および式(5)では、せん断応力は角形鋼管柱2の側面(平坦面21C,21D)で負担されるため局部変形への影響は小さいと考え、全塑性曲げ耐力計算値CCのみを対象とした。
Figure 0007202949000006
ここで、角形鋼管柱2の全塑性曲げ耐力計算値CCは、例えば以下の式(6)を用いて算出することができる。式(6)において、Zは角形鋼管柱2の塑性断面係数、Lは角形鋼管柱2の長さ、Bは角形鋼管柱2の幅、nは軸力比である。ここで、軸力は全塑性曲げ耐力を低減させるものとして考慮されている。
Figure 0007202949000007
図7Aから図7Iは、角形鋼管柱の全塑性耐力の計算値と解析値とを示すグラフである。径厚比D/tが33,25,19の3通り、軸力比nが0,0.3,0.5の3通りの合計9通りのケースについて比較した結果、いずれの場合も、上記の式(5)で算出された角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLは、せん断スパンSRが小さい範囲では式(3)で算出された局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0に漸近し、SRが大きい範囲では角形鋼管柱2の全塑性曲げ耐力計算値CCに漸近するという、角形鋼管柱2の全塑性耐力解析値の傾向をよく捉えている。グラフに示された各例におけるCLは0.96~1.22である。
以上で説明したような角形鋼管の全塑性耐力評価の結果は、原理的には荷重Pを3点曲げ試験の中央荷重として整理したものである。なお、角形鋼管柱2の全塑性曲げ耐力計算値CCは、全塑性モーメント計算値を載荷重治具の材軸方向長さBの範囲で等分布荷重が生じているものとして計算している。これを実設計に適用するにあたっては、角形鋼管柱2およびH形鋼梁4の挙動を考慮する必要があるため、以下のように接合構造(柱梁架構)の節点モーメントとして整理する。まず、局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0が発生したときの節点モーメント計算値CLp0を定義する。節点モーメント計算値CLp0は、図5に示した偶力F1,F2の合計が局部変形による全塑性耐力計算値CLp0に等しくなったとき(F1+F2=CLp0)に発生する。なお、他の例で、角形鋼管柱2の片側のみにH形鋼梁4が接合される場合、節点モーメント計算値CLp0は、H形鋼梁4から受ける圧縮力F1が局部変形による全塑性耐力計算値CLp0に等しくなったとき(F1=CLp0)に発生する。
さらに、組み合わせ応力を考慮した角形鋼管の全塑性耐力評価について説明したように、角形鋼管柱2の全塑性耐力解析値は、せん断スパンSRが大きいと角形鋼管柱2の全塑性曲げ耐力計算値CCに収束し、SRが小さい範囲では局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0に収束する。曲げモーメントおよび軸力との組合せ応力を考慮した局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力に対応する節点モーメント計算値CLについても同様に、せん断スパンSRが大きいと角形鋼管柱2の全塑性モーメントに対応する節点モーメントCCに収束し、SRが小さい範囲ではCLp0に対応する節点モーメント計算値CLp0に収束する。従って、組み合わせ応力を考慮した節点モーメント計算値CLは、以下の式(7)のようにCLp0およびCCとの相関式で表され、これをCLの式に書き換えると式(8)になる。
Figure 0007202949000008
本実施形態に係る接合構造1において、H形鋼梁4の全塑性耐力に対応する節点モーメントが式(8)を用いて算出された節点モーメント計算値CLよりも小さくなるように角形鋼管柱2およびH形鋼梁4を設計することによって、上述したように例えば大きな地震荷重が作用した場合にH形鋼梁4を角形鋼管柱2よりも先に降伏させ、かつH形鋼梁4の降伏前には角形鋼管柱2に局部変形が生じないようにすることができる。なお、せん断スパンSRが小さい範囲ではCLが局部変形による角形鋼管柱2の節点モーメント計算値CLp0に漸近することから、CLCLp0とみなして角形鋼管柱2の全塑性耐力に対応する節点モーメントを算出してもよい。また、上記では平坦面21Aの局部変形による角形鋼管柱2の全塑性耐力計算値CLp0および節点モーメント計算値CLp0に基づいてH形鋼梁4の全塑性耐力を決定する例について説明したが、同様に全塑性耐力計算値CLp0および節点モーメント計算値CLp0に基づいて角形鋼管柱2の全塑性耐力、またはH形鋼梁4と角形鋼管柱2との間のパネルゾーンの全塑性耐力を決定してもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…接合構造、2…角形鋼管柱、21A~21D…平坦面、22…円柱面、3…外ダイヤフラム、3A…上側外ダイヤフラム、3B…下側外ダイヤフラム、31A~31D…分割ダイヤフラム、311…梁プレート、312…柱プレート、313…締結プレート、314…ボルト、315…ナット、4…H形鋼梁、41…上フランジ、42…ウェブ、43…下フランジ。

Claims (5)

  1. 互いに対向する第1および第2の平坦面、前記第1および第2の平坦面に直交し互いに対向する第3および第4の平坦面、ならびに前記第1から第4の平坦面のそれぞれの間にある円柱面を側面に含む角形鋼管柱と、
    前記第1から第4の平坦面にそれぞれ当接される第1から第4の分割ダイヤフラムを含み、前記第1から第4の分割ダイヤフラムが平面視において前記角形鋼管柱を囲むように配置されるとともに前記平坦面に接触圧を作用させるように互いに締結されることによって構成される外ダイヤフラムと、
    少なくとも前記第1の分割ダイヤフラムに接合される梁と
    を備える接合構造の設計方法であって、
    前記第1の平坦面の局部変形による前記角形鋼管柱の全塑性耐力計算値CLp0を評価する工程と、
    前記全塑性耐力計算値CLp0が発生したときの節点モーメント計算値CLp0に基づいて前記梁の全塑性耐力、前記角形鋼管柱の全塑性耐力、または前記梁と前記角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定する工程と
    を含む、接合構造の設計方法。
  2. 前記全塑性耐力計算値CLp0が発生したときの節点モーメント計算値CLp0よりも小さくなるように、前記梁の全塑性耐力、前記角形鋼管柱の全塑性耐力、または前記梁と前記角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定する、請求項1に記載の接合構造の設計方法。
  3. 前記全塑性耐力計算値CLp0を、前記第1の平坦面と前記第1の分割ダイヤフラムとが接触する領域の1/2の長さb、前記円柱面の板厚中心部断面の半径r、および前記円柱面における単位長さあたりの全塑性モーメントmpcを用いて式(i)によって算出する、請求項1または請求項2に記載の接合構造の設計方法。
    Figure 0007202949000009
  4. 前記節点モーメント計算値CLp0に基づいて、曲げモーメントと軸力との組み合わせ応力を考慮した局部変形による前記角形鋼管柱の全塑性耐力に対応する節点モーメント計算値CLを、前記角形鋼管柱の全塑性曲げ耐力計算値に対応する節点モーメントCCを用いて式(ii)によって算出し、前記節点モーメント計算値CLに基づいて前記梁の全塑性耐力、前記角形鋼管柱の全塑性耐力、または前記梁と前記角形鋼管柱との間のパネルゾーンの全塑性耐力の少なくともいずれかを決定する、請求項3に記載の接合構造の設計方法。
    Figure 0007202949000010
  5. 前記接合構造は、前記第2、第3または第4の分割ダイヤフラムの少なくともいずれかに接合される梁をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合構造の設計方法。
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