JP7202209B2 - 樹脂改質剤 - Google Patents
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Description
本発明における濡れ性とは、塗料、印刷インキ及び接着剤等に対する親和性を意味し、後述する濡れ張力で評価されるものである。
一方で、分子内に極性基を有しない、いわゆる非極性で極めて不活性な高分子物質である熱可塑性樹脂、中でもポリオレフィン樹脂は、結晶性が高く、溶剤類に対する溶解性も著しく低い。そのため、接着性や塗装性等に課題があり、例えば、塗料、印刷インキ及び接着剤等に対する濡れ性や密着性が悪く、後加工の表面処理無しでは適用できない等の問題があった。
従来、濡れ性や密着性を向上させる方法としては、熱可塑性樹脂、例えばポリオレフィン樹脂成形品の表面にコロナ処理又はプラズマ処理を施す方法(例えば特許文献1参照)やフレーム処理する方法等が知られている。
本発明の目的は、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度を損なうことなく、コロナ処理、プラズマ処理及びフレーム処理等の表面処理により熱可塑性樹脂に付与された濡れ性及び密着性等の表面改質効果を持続させることができる樹脂改質剤を提供することにある。
(1)直鎖状の(a)-(b)ジブロック型構造;
(2)直鎖状の(b)-(a)-(b)トリブロック型構造;
(3)ポリオレフィン(a)のブロックの一方の末端にポリエステル(b)のブロックが2~3個結合してなる分岐型構造。
(1)本発明の樹脂改質剤は、熱可塑性樹脂本来の機械的強度(機械物性)を損なうことなく、コロナ処理、プラズマ処理及びフレーム処理等の表面処理により熱可塑性樹脂に付与された塗料、印刷インキ及び接着剤等に対する濡れ性及び密着性(特に塗装性向上効果)等の表面改質効果の持続性を熱可塑性樹脂に付与することができる。
(2)本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品をコロナ処理、プラズマ処理及びフレーム処理等により表面処理したものは、塗料、印刷インキ及び接着剤等に対する濡れ性及び密着性(特に塗装性向上効果)等の表面改質効果の持続性に優れる。
(1)直鎖状の(a)-(b)ジブロック型構造;
(2)直鎖状の(b)-(a)-(b)トリブロック型構造;
(3)ポリオレフィン(a)のブロックの一方の末端にポリエステル(b)のブロックが2~3個結合してなる分岐型構造。
ポリオレフィン(a)としては、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1-1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1-2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1-3)及びイソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1-4)、カルボキシル基及び水酸基の両方をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1-5)、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2-1)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2-2)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2-3)及びイソシアネート基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2-4)、及びカルボキシル基及び水酸基の両方をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2-5)等が挙げられる。これらの内で、変性の容易さ及び成形時の耐熱性の観点から好ましいのは、末端にカルボキシル基又はカルボン酸無水物基を有する(a1-1)及び(a2-1)である。
尚、本発明における末端とは、ポリマーを構成するモノマー単位の繰り返し構造が途切れる終端部を意味する。また、両末端とは、ポリマーの主鎖における両方の末端を意味し、片末端とは、ポリマーの主鎖におけるいずれか一方の末端を意味する。
装置(一例) :「HLC-8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSKgelGMHXL」[東ソー(株)製](2本)
「TSKgelMultiporeHXL-M」[東ソー(株)製] (1本)
試料溶液:0.3重量%のオルトジクロロベンゼン溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:135℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)
12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、
9,100、18,100、37,900、96,400、
190,000、355,000、1,090,000、
2,890,000)[東ソー(株)製]
炭素数2~30のオレフィンとしては、炭素数2~30のα-オレフィン及び炭素数4~30のジエンが挙げられる。
炭素数4~30のジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン及び1,11-ドデカジエン等が挙げられる。
炭素数2~30のオレフィンの内、分子量制御の観点から好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4~12のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン及びこれらの混合物であり、更に好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4~10のα-オレフィン、ブタジエン及びこれらの混合物、特に好ましいのはエチレン、プロピレン及びこれらの混合物である。
なお、α,β-不飽和カルボン酸(無水物)は、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物を意味する。
変性に用いられるα,β-不飽和カルボン酸(無水物)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びモノ又はジカルボン酸の無水物が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸[(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。以下同様。]、マレイン酸(無水物)、フマル酸、イタコン酸(無水物)及びシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。
これらの内、変性の容易さの観点から好ましいのは、ジカルボン酸及びモノ又はジカルボン酸の無水物であり、更に好ましいのは、マレイン酸(無水物)及びフマル酸、特に好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
α,β-不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、例えば、(a1-0)の末端二重結合に、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で、α,β-不飽和カルボン酸(無水物)を付加反応(エン反応)させることにより行うことができ、反応温度は、好ましくは170~230℃である。
二次変性に用いるラクタムとしては、炭素数6~12(好ましくは6~8、更に好ましくは6)のラクタム等が挙げられ、具体的には、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2~12(好ましくは4~12、更に好ましくは6~12)のアミノカルボン酸等が挙げられ、具体的には、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニン等)、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナント酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノペラルゴン酸、ω-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
ラクタム及びアミノカルボン酸の内好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω-アミノカプリル酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸であり、更に好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、ω-アミノカプリル酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸、特に好ましいのはカプロラクタム及び12-アミノドデカン酸である。
酸化法によるカルボキシル基の導入は、公知の方法、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。ヒドロホルミル化によるカルボキシル基の導入は、公知の方法を含む種々の方法、例えば、Macromolecules、VOl.31、5943頁記載の方法で行うことができる。
(a1-1-4)は、(a1-1-3)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
ラクタム及びアミノカルボン酸としては、前記(a1-1-1)の二次変性に用いられるラクタム及びアミノカルボン酸として例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲、使用量も同様である。
尚、本発明における酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含むKOH/メタノール溶液を用いた滴定によって測定され、酸基がカルボン酸無水物基の場合、メタノールによりハーフエステル化された後のハーフエステル化酸価として測定される。
変性に使用できる水酸基を有するアミンとしては、炭素数2~10の水酸基を有するアミンが挙げられ、具体的には2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、4-アミノブタノール、5-アミノペンタノール、6-アミノヘキサノール及び3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
これらの内、変性の容易さの観点から好ましいのは、炭素数2~6の水酸基を有するアミン(2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、5-アミノペンタノール及び6-アミノヘキサノール等)であり、更に好ましいのは2-アミノエタノール及び4-アミノブタノール、特に好ましいのは2-アミノエタノールである。
ジアミンとしては、炭素数2~12のジアミン等が使用でき、具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及びデカメチレンジアミン等が挙げられる。
これらの内、変性の容易さの観点から好ましいのは、炭素数2~8のジアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミン等)であり、更に好ましいのはエチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン、特に好ましいのはエチレンジアミンである。
ポリイソシアネートとしては、炭素数(イソシアネート(NCO)基中の炭素原子を除く。以下同様。)6~20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性体及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
ポリイソシアネートの内好ましいのは、TDI、MDI及びHDIであり、更に好ましいのはHDIである。
ポリイソシアネートのイソシアネート基と(a1-2)の水酸基との当量比(NCO:OH)は、好ましくは1.8:1~3:1であり、更に好ましくは2:1である。
ウレタン化反応を促進するために、必要によりウレタン化反応に一般的に用いられる触媒を使用してもよい。触媒としては、金属触媒{錫触媒[ジブチルチンジラウレート及びスタナスオクトエート等]、鉛触媒[2-エチルヘキサン酸鉛及びオクテン酸鉛等]、その他の金属触媒[ナフテン酸金属塩(ナフテン酸コバルト等)及びフェニル水銀プロピオン酸塩等]};アミン触媒{トリエチレンジアミン、ジアザビシクロアルケン〔1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7等〕、ジアルキルアミノアルキルアミン(ジメチルアミノエチルアミン及びジメチルアミノオクチルアミン等)、複素環式アミノアルキルアミン[2-(1-アジリジニル)エチルアミン及び4-(1-ピペリジニル)-2-ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸(ギ酸等)塩、N-メチル又はエチルモルホリン、トリエチルアミン及びジエチル-又はジメチルエタノールアミン等};及びこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
触媒の使用量は、ポリイソシアネート及び(a1-2)の合計重量に基づいて、好ましくは3重量%以下であり、好ましくは0.001~2重量%である。
二次変性に用いるジオールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミンが挙げられる。
(a1-0)及び(a2-0)に、ポリオレフィン中のプロピレンに由来する構成単位の含有量が30~100モル%のものを用いることで、所定のプロピレン量を含有するポリオレフィン(a)を得ることができる。
即ち、13C-NMRで得られるプロピレン中の側鎖メチル基由来の炭素ピークについて、化学シフト19.0~20.0ppmの範囲で観測されるペンタッド各ピーク(H)、ペンタッドがメソ構造のみで形成されるアイソタクティックのプロピレン中のメチル基由来の炭素ピークが21.8ppmで観測されるメチル基ピーク(Ha)とした場合、アイソタクティシティ-は、以下の式で算出される。
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (1)
但し、式中、Haはアイソタクチック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さである。
本発明におけるポリエステル(b)としては、ジカルボン酸(e1)又はそのエステル形成性誘導体(e2)とジオール(f)とを必須構成単量体とするポリエステル(b1)及びジオール(f)又は1価のアルコール(g)にラクトンモノマー(h)を開環重合させたポリエステル(b2)等が挙げられる。
スルホン酸塩基における塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩、アンモニウム塩、ヒドロキシアルキル(炭素数2~4)基を有するモノ、ジ又はトリアミン(モノ、ジ又はトリエチルアミン、モノ、ジ又はトリエタノールアミン及びジエチルエタノールアミン等)等のアミン塩、前記アミンの4級アンモニウム塩及びアミジニウム(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム等)又はグアニジウム(2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム等)等の塩等が挙げられる。
ジオール(f)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステル(b)の1分子中のスルホン酸(塩)基の量は、濡れ性向上及び密着性向上(塗装性向上)等の表面改質効果の持続性の観点から、1~80個であることが好ましく、更に好ましくは3~60個である。
本発明におけるブロックポリマー(X)は、プロピレンに由来する構成単位を30モル%以上有するポリオレフィン(a)のブロックと、ポリエステル(b)のブロックとを構成単位として有し、分子構造が下記(1)~(3)のいずれかの構造である。
(1)直鎖状の(a)-(b)ジブロック型構造;
(2)直鎖状の(b)-(a)-(b)トリブロック型構造;
(3)ポリオレフィン(a)のブロックの一方の末端にポリエステル(b)のブロックが2~3個結合してなる分岐型構造。
尚、上記においては各構造を有するブロックポリマー(X)を得る際のポリオレフィン(a)とポリエステル(b)の組合せの一例を示したが、上述の通り、(a)と(b)は種々の官能基を有するため、(a)が有する官能基と(b)が有する官能基が反応し得るものであればいかなる組合せでも採用することができる。
生成水を反応系外に除去する方法としては、以下の方法が挙げられる。
[1]水と相溶しない有機溶媒(例えばトルエン、キシレン及びシクロヘキサン等)を使用して、還流下、有機溶媒と生成水とを共沸させて、生成水のみを反応系外に除去する方法。
[2]反応系内にキャリアガス(例えば空気、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素等)を吹き込み、キャリアガスと共に生成水を反応系外に除去する方法。
[3]反応系内を減圧にして生成水を反応系外に除去する方法。
反応を促進させるために、(a)及び(b)の重量に基づいて、0.001~5重量%の触媒を使用することが好ましい。触媒としては、有機金属化合物(ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、オクタン酸鉛及びオクタン酸ビスマス等)、3級アミン{トリエチレンジアミン、炭素数1~8のアルキル基を有するトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等)、ジアザビシクロアルケン類〔1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7〕等};及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
本発明の樹脂改質剤(Y)は、上述のブロックポリマー(X)を含有する。
樹脂改質剤(Y)は、後述の熱可塑性樹脂(C)用の樹脂改質剤として好適に使用できる。
樹脂改質剤(Y)は、後述の着色剤(D1)、離型剤(D2)、酸化防止剤(D3)、難燃剤(D4)、紫外線吸収剤(D5)、抗菌剤(D6)、相溶化剤(D7)、充填剤(D8)及びエステル交換防止剤(D9)等の添加剤(D)を含有することができる。
本発明の樹脂組成物(Z)は、本発明の樹脂改質剤(Y)と熱可塑性樹脂(C)とを含有する。
樹脂改質剤(Y)と熱可塑性樹脂(C)との重量比[(Y):(C)]は、機械物性並びに濡れ性向上効果及び密着性向上(塗装性向上)効果の持続性の観点から、好ましくは1:99~50:50、更に好ましくは5:95~20:80、特に好ましくは10:90~15:85である。
これらの内、成形品の機械物性並びに濡れ性向上効果及び密着性向上(塗装性向上)効果の持続性の観点から、好ましいのは(C1)及び(C2)の内のPVDF、更に好ましいのは(C1)、特に好ましいのは、(C1)の内のポリプロピレン(ホモタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン及びエチレン/プロピレン共重合体)、最も好ましいのは、ホモタイプポリプロピレンである。
エステル交換防止剤(D9)としては、例えばリン酸エステル[ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、モノオクタデシルホスフェート及びジオクタデシルホスフェート等]及び亜リン酸エステル[トリス(2,4-ジ‐t-ブチルフェニル)ホスファイト等]等が挙げられる。
このとき、樹脂改質剤(Y)に含まれている添加剤(D)と同様の添加剤(D)を、樹脂組成物(Z)に添加してもよい。
溶融混合する方法としては、一般的にはペレット状又は粉体状にした各成分を、適切な混合機(ヘンシェルミキサー等)で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が適用できる。
溶融混合時の各成分の添加順序には特に制限はないが、例えば、
[1](C)と(Y)を溶融混合した後、必要により(D)を一括投入して溶融混合する方法;
[2](C)と(Y)を溶融混合する際、(C)の一部をあらかじめ溶融混合して(Y)の高濃度組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作製した後、残りの(C)並びに必要に応じて(D)を溶融混合する方法(マスターバッチ法又はマスターペレット法);
等が挙げられる。
[2]の方法におけるマスターバッチ樹脂組成物中の(Y)の濃度は、好ましくは20~80重量%であり、更に好ましくは50~70重量%である。
[1]及び[2]の方法の内、(Y)を(C)に効率的に分散しやすいという観点から、[2]の方法が好ましい。
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物(Z)を成形したものである。成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形及びフィルム成形(キャスト法、テンター法及びインフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形又は発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
成形品を塗装する方法としては、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装及び刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、プラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が使用でき、具体的にはポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料及びアクリルウレタン樹脂塗料等が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが10~50μmであることが好ましい。
印刷インキとしては、プラスチックの印刷に一般的に用いられるものが使用でき、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキ及びオフセットインキ等が挙げられる。
(Y)を含有する本発明の成形品を表面処理したものは、優れた濡れ性及びその持続性を有することから、以下の用途にも好適に用いることができる。即ち、電池のセパレータ用PPの液濡れ性向上、水処理膜のPEやPVDFの液濡れ性向上、繊維強化用短繊維ポリオレフィンの液濡れ性向上、ビニールハウス(プラスチックハウス)の液濡れ性向上、自動車内装材・外装材の液濡れ性向上や食品包装フィルムの液濡れ性向上にも好適である。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=32モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-1)95部を得た。
(a-1)のMnは4,000、プロピレン含有量は32モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは40%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-エプロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=52モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-2)95部を得た。
(a-2)のMnは4,000、プロピレン含有量は52モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは60%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量1-ブテン-プロピレンランダム共重合体[1-ブテン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=82モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-3)95部を得た。
(a-3)のMnは4,000、プロピレン含有量は82モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは80%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-4)95部を得た。
(a-4)のMnは4,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量ホモタイプポリプロピレン[ホモタイプポリプロピレンを410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-5)95部を得た。
(a-5)のMnは4,000、プロピレン含有量は100モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは99%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:2.0]90部、無水マレイン酸20部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a-6)95部を得た。
(a-6)のMnは4,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:1,400、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-7)95部を得た。
(a-7)のMnは1,500、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:2,400、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-8)95部を得た。
(a-8)のMnは2,500、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:10,000、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-9)95部を得た。
(a-9)のMnは10,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:10,000、1分子当たりの二重結合の平均数:2.0]90部、無水マレイン酸20部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a-10)95部を得た。
(a-10)のMnは10,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:1,400、1分子当たりの二重結合の平均数:2.0]90部、無水マレイン酸20及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a-11)95部を得た。
(a-11)のMnは1,500、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン95部を得た。
次いで、製造例1と同様の耐圧反応容器に、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有する上述のポリオレフィン90部及びビス(2-アミノエチル)エーテル10部を投入し、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら200℃に昇温し、同温度で2時間反応させた。過剰のビス(2-アミノエチル)エーテルを減圧下(0.013MPa以下)、200℃で2時間かけて留去し、アミノ基を片末端に有する変性ポリオレフィン(a-12)を得た。
(a-12)のMnは4,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン95部を得た。
次いで、製造例1と同様の耐圧反応容器に、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有する上述のポリオレフィン90部及びエタノールアミン5部を投入し、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら180℃に昇温し、同温度で2時間反応させた。過剰のエタノールアミンを減圧下(0.013MPa以下)、180℃で2時間かけて留去し、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a-13)を得た。
(a-13)のMnは4,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、ε-カプロラクトン120部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルの1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩360部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均1個有するポリエステルモノオール(b-1)を得た。
(b-1)の水酸基価は112mgKOH/g、酸価は112mgKOH/g、Mnは500であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、PEG(Mn:200)630部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩500部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均2個有するポリエステルモノオール(b-2)を得た。
(b-2)の水酸基価は55mgKOH/g、酸価は55mgKOH/g、Mnは1,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、ジエチレングリコール800部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩1700部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均6個有するポリエステルモノオール(b-3)を得た。
(b-3)の水酸基価は28mgKOH/g、酸価は28mgKOH/g、Mnは2,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、PEG(Mn:300)210部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩200部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均7個有するポリエステルモノオール(b-4)を得た。
(b-4)の水酸基価は14mgKOH/g、酸価は14mgKOH/g、Mnは4,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、ジエチレングリコール55部、ヘキサノール15部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩150部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均5個有するポリエステルモノオール(b-5)を得た。
(b-5)の水酸基価は28mgKOH/g、酸価は0mgKOH/g、Mnは2,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、ジエチレングリコール45部、PEG(Mn:200)80部、テレフタル酸35部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩55部及びジブチル錫オキサイド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均2個有するポリエステルジオール(b-6)を得た。
(b-6)の水酸基価は56mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/g、Mnは2,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、PEG(Mn:300)120部、5-スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩80部及びジブチルスズオキシド0.2部を投入し、0.067MPaの減圧下で190℃まで昇温し、メタノールを留去しながら同温度で6時間エステル交換反応させ、1分子内にスルホン酸ナトリウム塩基を平均5個有するポリエステルジオール(b-7)を得た。
(b-7)の水酸基価は56mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g、Mnは2,000であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=20モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,900、1分子当たりの二重結合の平均数:1.0]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボン酸無水物基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a’-1)95部を得た。
(a’-1)のMnは4,000、プロピレン含有量は20モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは10%であった。
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量エチレン-プロピレンランダム共重合体[エチレン-プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量=96モル%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:10,000、1分子当たりの二重結合の平均数:2.0]90部、無水マレイン酸20部及びキシレン100部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に140℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキシド[商品名「パークミルD」、日油(株)製]2.0部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレン及び未反応の無水マレイン酸を留去して、カルボン酸無水物基がポリマーにグラフトされたポリオレフィン(a’-2)95部を得た。
(a’-2)のMnは10,000、プロピレン含有量は96モル%、プロピレン部分のアイソタクティシティーは90%であった。
撹拌機、温度計及び加熱冷却装置を備えた反応容器に、製造例1で得られた(a-1)100部、製造例14で得られたポリエステルモノオール(b-1)50部及び酸化防止剤「イルガノックス1010」0.3部を投入し、撹拌しながら210℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で5時間反応させて、Mnが6,000のブロックポリマー(X-1)を含有してなる樹脂改質剤(Y-1)を得た。
使用原料及びその使用量を表2又は表3に記載のものに代えた以外は実施例1と同様に行い、樹脂改質剤(Y-2)~(Y-20)及び(RY-1)~(RY-3)を得た。
表4及び表5に示す配合処方(部)に従って、各配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、220℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して、樹脂組成物(Z-1)~(Z-29)及び(RZ-1)~(RZ-8)を得た。
(C-1):ホモタイプポリプロピレン
[商品名「サンアロマーPM900A」、サンアロマー(株)製]
(C-2):ブロックタイプポリプロピレン
[「PM771M」、サンアロマー(株)製]
(C-3):エチレン-プロピレン共重合体
[商品名「サンアロマーPB222A」、サンアロマー(株)製]
(C-4):ポリエチレン
[商品名「ノバテックHJ490」、日本ポリエチレン(株)製]
(C-5):耐衝撃性ポリスチレン樹脂
[「HIPS 433」、PSジャパン(株)製]
(C-6):ポリフッ化ビニリデン樹脂
[「KYNAR741」、アルケマ(株)製]
尚、以下の評価(3)~(6)では、上記成形試験片を以下に示した機器と条件で表面処理(コロナ処理)を行った試験片を用いて評価した。
・機器:信光電気計装株式会社製 コロナスキャナーASA-4
・処理条件:処理電力12.5kV、処理速度70mm/s、室温
(1)外観
試験片(80×80×2mm)の表面の外観を目視で観察して、以下の基準で評価した。
○:異常なく良好(樹脂改質剤を含有しない熱可塑性樹脂と同等)
×:表面荒れ、フクレ等が認められる。
熱可塑性樹脂(C)に本発明の樹脂改質剤(Y)を配合した際の機械的強度の低下率を、アイゾット衝撃強度及び曲げ弾性率について評価した。尚、機械的強度の低下率は樹脂改質剤(Y)の配合量によっても異なるので、樹脂改質剤(Y)の種類による低下率を明確にするため、特定の配合量での低下率をその際の樹脂改質剤(Y)の配合重量%で除した値を用いて評価した。
即ち、下式により求めた機械強度の低下率(%/重量%)を用いて以下の評価基準で評価した。
[機械的強度の低下率(%/重量%)]={[配合前の機械的強度]-[配合後の機械的強度]}/[配合前の機械的強度]/[樹脂改質剤の配合重量]×100(%)
例えば、ホモタイプポリプロピレン(アイゾット衝撃強度=2.0J/m)に樹脂改質剤(Y)を10重量%配合した場合で、配合後のアイゾット衝撃強度が1.8J/mである場合、計算式は以下の通りとなる。
[機械的強度の低下率(%/重量%)]=[2.0(J/m)-1.8(J/m)]/2.0(J/m)/10(重量%)×100(%)=1.0(%/重量%)
◎: [低下率]≦0.5
○:0.5<[低下率]≦1.5
○-:1.5<[低下率]≦2.5
△:2.5<[低下率]≦5.5
×:5.5<[低下率]
(2-1)アイゾット衝撃強度(単位:J/m)
ASTM D256 Method A(ノッチ付き、3.2mm厚)に準拠して測定した。
(2-2)曲げ弾性率(単位:MPa)
ASTM D638に準拠して測定した。
表面処理(コロナ処理)を行った試験片について、JIS K6768(1999)に準拠して濡れ張力を測定して濡れ性を評価した。濡れ張力が大きいほど塗料や接着剤に対する濡れ性が高く、濡れ性が良好である。
表面処理(コロナ処理)を行った試験片について、室温25℃、湿度50%RHの条件下で静置して、1週間経過後に濡れ性を上述の評価方法で確認し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:時間経過前の濡れ性と比較して、濡れ張力の低下が見られない
○:時間経過前の濡れ性と比較して、濡れ張力の低下が1dyn/cm
○-:水に浸漬する処理前の濡れ性と比較して、濡れ張力の低下が2dyn/cm
×:時間経過前の濡れ性と比較して、濡れ張力の低下が3dyn/cm以上
塗装性(塗料に対する濡れ性と密着性)について、ウレタン系塗料の密着性で評価を行った。表面処理(コロナ処理)を行った試験片(100×100×2mm)上にウレタン系塗料をアプリケーターで乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、80℃で30分間乾燥後の塗装面について、JIS K 5600-5-6に準拠して、透明感圧付着テープを用いて碁盤目剥離試験を行った。碁盤目数100の内、塗膜が剥離しなかった部分の数を計測して以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:剥離しなかった数が100
○+:剥離しなかった数が95~99
○:剥離しなかった数が90~94
○-:剥離しなかった数が81~89
△:剥離しなかった数が50~80
×:剥離しなかった数が0~49
表面処理(コロナ処理)を行った試験片について、室温25℃、湿度50%RHの条件下で静置して、1週間経過後に密着性を上述の密着性の評価方法で評価した。
本発明の成形品は、優れた機械物性並びに優れた濡れ性、塗装性、印刷性及びこれらの持続性を有し、この成形品に塗装及び/又は印刷を施すことにより塗膜等との密着性が良好な成形物品が得られる。
Claims (10)
- プロピレンに由来する構成単位を30モル%以上有するポリオレフィン(a)のブロックと、ポリエステル(b)のブロックとを構成単位として有し、分子構造が下記(1)~(3)のいずれかの構造であるブロックポリマー(X)を含有してなり、前記ポリエステル(b)の数平均分子量(Mn)が500~10,000であって、該(b)が1分子中1~7個のスルホン酸(塩)基を有し、前記ブロックポリマー(X)の数平均分子量が、3,000~14,000であり、前記ブロックポリマー(X)に対する前記ポリエステル(b)のブロックの重量比率[(b)/(X)]が20~60重量%であるポリオレフィン樹脂(C1)用樹脂改質剤(Y)。
(1)直鎖状の(a)-(b)ジブロック型構造;
(2)直鎖状の(b)-(a)-(b)トリブロック型構造;
(3)ポリオレフィン(a)のブロックの一方の末端にポリエステル(b)のブロックが2~3個結合してなる分岐型構造。 - 前記ポリオレフィン(a)中のプロピレン部分のアイソタクティシティーが90%~100%である請求項1記載の樹脂改質剤。
- 前記ブロックポリマー(X)が、前記ポリオレフィン(a)のブロックと前記ポリエステル(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合又はウレタン結合を介して結合されてなる請求項1又は2記載の樹脂改質剤。
- 前記ブロックポリマー(X)が、(a)-(b)ジブロック型ポリマーである請求項1~3のいずれか記載の樹脂改質剤。
- コロナ処理、プラズマ処理又はフレーム処理により表面処理された樹脂成形品の濡れ性の持続性向上剤又はコロナ処理、プラズマ処理又はフレーム処理により表面処理された樹脂成形品の密着性の持続性向上剤として用いられる請求項1~4のいずれか記載の樹脂改質剤。
- 請求項1~5のいずれか記載の樹脂改質剤(Y)と熱可塑性樹脂(C)とを含有してなり、前記熱可塑性樹脂(C)がポリオレフィン樹脂(C1)である樹脂組成物(Z)。
- 前記樹脂改質剤(Y)と前記熱可塑性樹脂(C)の重量比[(Y):(C)]が、1:99~50:50である請求項6記載の樹脂組成物。
- 請求項6又は7記載の樹脂組成物(Z)を成形してなる成形品。
- 請求項8記載の成形品にコロナ処理、プラズマ処理又はフレーム処理を施してなる成形品。
- 請求項9記載の成形品に塗装、印刷及び接着剤塗布からなる群から選ばれる少なくとも1種の処理を施してなる成形物品。
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