JP7201538B2 - 計測システム、計測方法および間隔決定方法 - Google Patents
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Description
ここで、センサの設置間隔は、山留め計測に要求される精度を満たすように決定できることが望ましい。
図1は、第1参考例に係る計測システム1の構成例を説明するための模式図である。図1に示す計測システム1は、絶対位置情報取得部11と、傾斜角情報取得部12と、出力部13を備える。絶対位置情報取得部11は、掘削方向に長手方向を有する芯材21を用いて構成された山留め壁2の頭部2a(以下、山留め壁頭部2aともいう)の所定の計測点3の絶対位置を表す情報を取得する。図1に示す例において、絶対位置情報取得部11は、絶対位置計測部30によって非接触で計測された山留め壁頭部2aの所定の計測点3の絶対位置を表す情報を取得する。傾斜角情報取得部12は、芯材21の長手方向に所定の間隔で芯材21に取り付けられた複数の傾斜角検知部4を用いて計測された芯材21の傾斜角を表す情報を傾斜角検知部4毎に取得する。複数の傾斜角検知部4は、例えば、山留め壁2の施工前に予め芯材21に取り付けられている。傾斜角検知部4は、山留め壁2を構成する複数の芯材21のすべてに取り付けられていてもよいし、一部に(例えば芯材21の所定本間隔で)取り付けられていてもよい。出力部13は、絶対位置情報取得部11が取得した絶対位置を表す情報に基づく計測点3の絶対変位を表す情報と、傾斜角情報取得部12が取得した傾斜角を表す情報に基づく芯材21の相対変位を表す情報を合わせて出力する。計測システム1は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ等のコンピュータと、通信装置等の周辺装置との組み合わせから構成することができる。出力部13は、上記コンピュータの表示装置であったり、携帯端末等の他のコンピュータの表示装置であったりする。
次に、図3および図4を参照して第2参考例に係る計測システム1aについて説明する。図3は、第2参考例に係る計測システム1aの構成例を説明するための模式図である。図4は、図3に示す山留め壁2の変位の例を模式的に示す平面図である。なお、図3および図4において、図1および図2に示すものと同一の構成には同一の符号を用いている。
次に、図5~図7を参照して第3参考例に係る計測システム1bについて説明する。図5は、第3参考例に係る計測システム1bの構成例を説明するための模式図である。図6は、図5に示すテープ式傾斜計40の構成例を模式的に示す平面図である。図7は、図6に示すテープ式傾斜計40の芯材21への取り付け例を示す模式図である。なお、図5~図7において、図1および図2に示すものと同一の構成には同一の符号を用いている。
次に、図10、図11、図12、図13、図14および図8を参照して本発明の第1実施形態に係る計測システム100について説明する。
図10は、本発明の第1実施形態に係る計測システム100の構成例を説明するための模式図である。また、図11は、本発明の第1実施形態に係る3軸MEMS加速度センサ(傾斜角検知部4)の構成例を説明するための模式図である。また、図12は、図11に示す加速度センサの精度と深度方向(掘削方向)の設置間隔との関係を表す図である。また、図13は、掘削平面における山留め壁2の相対変位の例を模式的に示す図である。また、図14は、図11に示す加速度センサの精度と水平方向の設置間隔との関係を表す図である。
なお、図10において、図1に示すものと同一の構成には同一の符号を用いている。すなわち、計測システム100は、図1に示す計測システム1に対応した形で構成される。
ここで、図1と図10とで相違する点は以下の通りである。
すなわち、計測システム100を示す図10においては、傾斜角検知部は、長手方向(掘削方向)に所定の第1間隔lvで芯材21に取り付けられた複数の傾斜角検知部4から構成される傾斜角検知ユニット4v(第1傾斜角検知ユニット)である。
つまり、計測システム1を示す図1においては、芯材21には、長手方向(掘削方向)に5つ(複数)の傾斜角検知部4が所定の間隔(一定間隔)で取り付けられている。
これに対して、計測システム100を示す図10においては、芯材21には、長手方向(掘削方向)に傾斜角検知ユニット4vを構成する5つ(複数)の傾斜角検知部4が所定の第1間隔lvで取り付けられている。
つまり、計測システム1を示す図1においては、芯材21には、長手方向に対して直角の方向である水平方向に2つ(2つ)の傾斜角検知部4が所定の間隔(一定間隔)で取り付けられている。
これに対して、計測システム100を示す図10においては、芯材21には、長手方向に対して直角の方向である水平方向に傾斜角検知ユニット4hを構成する2つ(複数)の傾斜角検知部4が所定の第2間隔lhで取り付けられている。
そこで、まず、深度方向における設置間隔lv(所定の第1間隔)についての決定方法について説明する。
3軸MEMS加速度センサ(傾斜角検知部4)は、図11に示すように、重力の作用方向を検出することで測点の傾斜角を検出できる。図11に示すように、三次元直交座標系O-xyzにおいて、傾斜角検知部4がy軸回りを1軸回転するとき、傾斜角検知部4によって検出される加速度をαx,αzとすると、y軸回りの傾斜角θyは、次式(1)で計算される。
θy=sin-1(αx/1G)…(1)
なお、「1G」は、地球に加わる重力=約9.806m/sec^2を表す。
δx=l・sinθy…(2)
l=δx・(1G/αx)…(3)
ここで、上式(3)のαxに傾斜角検知部4が検出できる最小単位αx_minを、δxに山留め計測管理に要求される変位の最小単位δx_minを代入すると、山留め壁の深度方向におけるセンサ(傾斜角検知部4)設置間隔lvは次式(4)で表される。
従来の山留め計測では、多段式傾斜計や挿入式傾斜計を用いてミリメートル(mm)単位の変位計測が実施されてきた。
従って、δx_min=0.01mmでは過剰な計測精度を持つこととなり、δx_min=1mmではミリメートル単位の分解能を保証するための計測精度としては不十分である。
0.05≦δx_min≦0.5…(5)
ここで、上式(5)を満たすδx_min=0.1とした場合、式(4)を用いて、深度方向に関する設置間隔lvを試算すると、図12のようになる。
つまり、出力部13における第1間隔決定部13vは、センサ(傾斜角検知部4)に要求される変位の最小単位δx_min(傾斜角検知部が検出する変位の最小単位)、およびセンサが検出できる最小単位αxに応じて、図12に示すような設置間隔lvを決定する。
これにより、出力部13は、決定された設置間隔lvを用いて、図8に示すように、測線がn本のときの測点P1(基点:掘削方向の一番下の傾斜角検知部4の位置)を通る鉛直方向(掘削方向)の直線である基準線に対応する測点P2(掘削方向の一番下から2番目の傾斜角検知部4の位置)の水平変位量δ1、…、測点Pn+1(掘削方向の一番下から(n+1)番目の傾斜角検知部4の位置)の水平変位量δnを、すなわち、n個の水平変位量δ1~水平変位量δn(第1相対変位を表す情報)を精度よく求めることができる。
続いて、水平方向における設置間隔lh(所定の第2間隔)についての決定方法について説明する。
山留め支保工である腹起しの管理は、簡易に応力状態を計測することが困難であるため、目視による観察が主体となっている。しかしながら、腹起しは山留め壁や切梁の点検通路で隠れてしまうことが多く、目視観察自体が難しいという問題を抱えている。
ここで、「腹起し」とは、地面を掘削するときに、土が崩れないように山留めに使う部材であり、すなわち、地中を掘削するとき、廻りの土が崩れないように矢板などで山留めをおこなうが、山留め壁2が崩れないように押さえる部材のことを言う。本実施形態において、「腹起し」は、例えば特開2018-188874に記載されているように、深度方向の山留め壁頭部2aの所定の距離だけ離れたところにおいて、芯材21に取り付けられている。
そこで、本実施形態においては、腹起しの計測管理を対象として、水平方向におけるセンサ(傾斜角検知ユニット4h)を構成する傾斜角検知部4の設置間隔lhを提案する。なお、提案された設置間隔lhは、水平方向におけるセンサ(傾斜角検知ユニット4h)を構成する傾斜角検知部4の設置間隔lhとして、第2間隔決定部13hにより決定されるものとする。
θx=δx’/Le…(6)
ここで、Leは腹起しの有効スパン長、δx’は腹起しのたわみである。
腹起し長は0.1m(100mm)単位で設計されるため、式(6)にLe=100(mm)を代入すると、腹起しのたわみの最小単位δx_min’(mm)に関する条件は次式(7)のようになる。
δx_min’≦1/3…(7)
θx=sin-1(αx/1G)…(11)
δx=l・sinθx…(12)
l=δx・(1G/αx)…(13)
lh=δx_min’・(1G/αx_min)…(8)
ここで、式(7)を満たすδx_min’=0.3とした場合、式(8)を用いて、水平方向に関する設置間隔lhを試算すると、図14のようになる。
つまり、出力部13における第2間隔決定部13hは、センサ(傾斜角検知部4)に要求される変位の最小単位δx_min’(傾斜角検知部が検出する変位の最小単位)、およびセンサが検出できる最小単位αxに応じて、図14に示すような設置間隔lhを決定する。
これにより、出力部13は、決定された設置間隔lhを用いて、図8に示すように、測線がn本のときの測点P1(基点:変形前の掘削平面の4隅に最も近い位置に取り付けられた傾斜角検知部4の位置)を通る水平方向の直線である基準線に対応する測点P2(測点P1から設置間隔lh離れた2番目の傾斜角検知部4の位置)の水平変位量δ1、…、測点Pn+1(測点P1から設置間隔lh×n離れた(n+1)番目の傾斜角検知部4の位置)の水平変位量δnを、すなわち、n個の水平変位量δ1~水平変位量δn(第2相対変位を表す情報)を精度よく求めることができる。
また、計測システム100は、腹起しのたわみの計測管理に用いることができる。
また、計測システム100においては、山留め計測に用いる加速度センサ(傾斜角検知部4)の水平方向における設置間隔は、式(8)に基づいて設計する。これにより、式(8)のδx_min’は実用上、式(7)の範囲(1/3mm以下)をとることができる。
すなわち、計測システム100においては、山留め壁2の計測管理において、山留め壁2の芯材にMEMS型加速度センサ(傾斜角検知部4)を取り付けて壁面水平(面外)方向の相対変位を計測する際に、傾斜角検知ユニット4v、4hはセンサ精度を踏まえたセンサの合理的な設置方法によって決定された設置間隔(所定の第1間隔lv、所定の第2間隔lh)を有している。
Claims (6)
- 鉛直方向である掘削方向に長手方向を有する芯材を用いて構成された山留め壁において、前記長手方向に所定の第1間隔で前記芯材に取り付けられた複数の傾斜角検知部から構成される第1傾斜角検知ユニットを用いて計測された前記芯材の傾斜角を表す情報を前記第1傾斜角検知ユニットから取得し、
前記長手方向に対して直交する方向である水平方向に所定の第2間隔で前記芯材に取り付けられた複数の前記傾斜角検知部から構成される第2傾斜角検知ユニットを用いて計測された前記芯材の傾斜角を表す情報を前記第2傾斜角検知ユニットから取得する傾斜角情報取得部と、
前記第1傾斜角検知ユニットから取得した前記傾斜角を表す情報に基づく第1相対変位を表す情報と、前記第2傾斜角検知ユニットから取得した前記傾斜角を表す情報に基づく第2相対変位を表す情報とを、出力する出力部と
を備えることを特徴とする計測システム。 - 前記出力部は、前記所定の第1間隔、および前記所定の第2間隔を、前記傾斜角検知部が検出する変位の最小単位、および前記傾斜角検知部が検出できる最小単位に応じて決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の計測システム。 - 前記第2傾斜角検知ユニットは、前記芯材に取り付けられた腹起しの配置位置に対応して取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測システム。 - 前記長手方向における前記山留め壁の頭部の所定の計測点の絶対位置を表す情報を取得する絶対位置情報取得部と、を備え、
前記出力部は、
前記第1相対変位を表す情報と、前記第2相対変位を表す情報と、前記絶対位置情報取得部が取得した前記絶対位置を表す情報に基づく絶対変位を表す情報と、を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の計測システム。 - 鉛直方向である掘削方向に長手方向を有する芯材を用いて構成された山留め壁において、前記長手方向に所定の第1間隔で前記芯材に取り付けられた複数の傾斜角検知部から構成される第1傾斜角検知ユニットを用いて計測された前記芯材の傾斜角を表す情報を前記第1傾斜角検知ユニットから取得し、
前記長手方向に対して直交する方向である水平方向に所定の第2間隔で前記芯材に取り付けられた複数の前記傾斜角検知部から構成される第2傾斜角検知ユニットを用いて計測された前記芯材の傾斜角を表す情報を前記第2傾斜角検知ユニットから取得する傾斜角情報取得部を用いて、
出力部によって、前記第1傾斜角検知ユニットから取得した前記傾斜角を表す情報に基づく第1相対変位を表す情報と、前記第2傾斜角検知ユニットから取得した前記傾斜角を表す情報に基づく第2相対変位を表す情報とを、出力する
ことを特徴とする計測方法。 - 請求項1に記載の計測システムにおける前記所定の第1間隔、および前記所定の第2間隔を、前記傾斜角検知部が検出する変位の最小単位、および前記傾斜角検知部が検出できる最小単位に応じて決定する
ことを特徴とする間隔決定方法。
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