図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図である。図1では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を示す。この部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部25がX方向に並んでおり、各部品供給部25では、複数のテープフィーダ4がX方向に並んでいる。各テープフィーダ4は、コンベア12側の先端部に部品供給位置40を有し、部品供給テープTP(図2、図3)に収容された部品を部品供給位置40に供給する。部品供給テープTPは、等ピッチで一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納し、テープフィーダ4は、部品供給テープTPを当該ピッチずつ間欠的にY方向に送り出すことで、部品供給位置40に部品を供給する。部品供給テープTPに収容される部品は、例えば集積回路、トランジスタあるいはコンデンサ等の小片状の電子部品である。
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド31を有する。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルによって部品を吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド31はテープフィーダ4の上方へ移動して、テープフィーダ4により部品供給位置40に供給された部品を吸着する。続いて、実装ヘッド31は作業位置の基板Bの上方に移動して部品の吸着を解除することで、基板Bに部品を実装する。こうして、実装ヘッド31は、テープフィーダ4により部品供給位置40に供給された部品を吸着して基板Bに実装する部品実装を実行する。
図2はテープフィーダの構成および動作の一例を模式的に示す側面図である。同図および以下の図面では、テープフィーダ4が部品供給テープTPを送り出すフィード方向Df(Y方向に平行)を適宜示すとともに、フィード方向Dfの矢印側をフィード方向Dfの「前」と、フィード方向Dfの矢印の反対側をフィード方向Dfの「後ろ」と取り扱う。つまり、部品供給テープTPの搬送方向が前側(他方側)に相当し、当該搬送方向と反対側が後側(一方側)に相当する。また、テープフィーダ4に取付可能な2本の部品供給テープTPを区別するために、同図および以下の図では、キャリアテープに対して異なる符号TP1、TP2を適宜用いる。
テープフィーダ4は、機械的構成であるフィーダ本体41と、フィーダ本体41を駆動するモーターMf、Mbとを備える。フィーダ本体41は、X方向に薄くてフィード方向Dfに長尺な偏平形状のケース42を有する。このケース42の側面には、バーコードで構成されたフィーダID421が付されている。フィーダID421はユニークであり、それが付されたテープフィーダ4を個別に識別するのに用いることができる。ケース42のフィード方向Dfの後端では、Z方向に延設されたテープ挿入口43a(破線で示す)が開口し、ケース42のフィード方向Dfの前方の上面に上記の部品供給位置40が設けられている。フィーダ本体41内ではテープ挿入口43aから部品供給位置40へ到るテープ搬送路43bが設けられている。このフィーダ本体41は、テープ挿入口43aからテープ搬送路43bに挿入された部品供給テープTPを、モーターMf、Mbの駆動力を受けてフィード方向Dfに送り出すことで、部品供給位置40に部品を供給する。
具体的には、フィーダ本体41は、テープ搬送路43bの上方でテープ挿入口43aに隣接して配置されたスプロケット44と、モーターMbの駆動力をスプロケット44に伝達するギヤ45とをケース42内に有し、スプロケット44はモーターMbが発生する駆動力を受けて回転する。さらに、フィーダ本体41は、テープセットユニット5が係合可能なブラケット411を有する。このブラケット411は、フィーダ本体41の後端部分においてフィード方向Dfに延設されて後方へ突出し、ブラケット411の下側は、ブラケット411に係合するテープセットユニット5の配置スペースとなっている。ブラケット411に係合されたテープセットユニット5はスプロケット44に下方から対向し、スプロケット44との間に部品供給テープTPを挟むことで、部品供給テープTPをスプロケット44に係合させる。こうして、スプロケット44とテープセットユニット5との間の装着箇所441に部品供給テープTPを装着することができる。また、これによって、スプロケット44は部品供給テープTPに係合しつつ回転することで、部品供給テープTPをフィード方向Dfに送り出すことができる。また、フィーダ本体41は、その前端部分に配置されて下方からテープ搬送路43bに隣接するスプロケット47と、モーターMfの駆動力をスプロケット47に伝達するギヤ48とをケース42内に有し、スプロケット47はモーターMfが発生する駆動力を受けて回転する。したがって、スプロケット47は、部品供給テープTPに係合しつつ間欠的に回転することで、部品供給テープTPをフィード方向Dfに間欠的に搬送することができる。
また、フィーダ本体41は、部品供給位置40のフィード方向Dfの上流側で部品供給テープTPに接触するカッターを有する。このカッターは、フィード方向Dfに間欠搬送される部品供給テープTPのカバーテープを中央で切り裂いて両側に捲くることで、部品供給位置40に供給された部品を露出させる。このように部品を露出するための構成は、例えば特開2015-053320号公報に記載のそれと同様である。ただし、部品を露出させる具体的構成は、この例に限られない。つまり、部品供給テープTPの幅方向(長手方向に直交する方向)の両側では、カバーテープを接着した接着部が、部品の収容部(ポケット)を挟んで設けられている。これら接着部のうち一方の接着部を残しつつ他方の接着部を剥ぎ取って、カバーテープを捲くることにより、部品を露出させてもよい。
ステップS11は、実装ヘッド31による部品実装に部品供給テープTP1が使用されている状態に対応する。つまり、フィーダ本体41には、テープ搬送路43bに沿って部品供給テープTP1が挿入されており、スプロケット47は部品供給テープTP1をフィード方向Dfへ間欠搬送することで、基板Bに実装される部品を部品供給位置40に供給する。また、ステップS11では、部品供給テープTP1の次に部品実装に使用される部品供給テープTP2の先端が、スプロケット44とテープセットユニット5との間に取り付けられている。こうして、次に使用される部品供給テープTP2がフィーダ本体41の後端部分で待機する。
ステップS12に示すように、部品供給テープTP1内の部品が使い切られて、テープフィーダ4が部品供給テープTP1を排出すると、ステップS13に示すローディングが実行される。具体的には、スプロケット44が回転を開始して部品供給テープTP2を部品供給位置40へ向けてフィード方向Dfに送り出し、部品供給テープTP2の先端をスプロケット47に係合させる。続いて、ステップS14において、例えば作業者がテープセットユニット5をケース42から取り外すと、部品供給テープTP2がスプロケット44から外れてテープ搬送路43bに落下する。これによって、スプロケット47は部品供給テープTP2をフィード方向Dfへ間欠搬送して、部品供給テープTP2内の部品を部品供給位置40に供給することができる。ちなみに、テープセットユニット5がケース42に装着された状態のまま、部品供給テープTPの間欠搬送を実行できるように構成することもできる。具体的には、モーターMbの停止時において、部品供給テープTPのフィード方向Dfの前側への移動に従動して回転する一方、部品供給テープTPのフィード方向Dfの後側への移動を規制するワンウェイクラッチをスプロケット44に設ければよい。
図3は部品供給テープを保持する部品供給リールとテープフィーダとの関係を模式的に示す図である。部品供給リール6は、軸心61と、軸心61を両側から挟む2枚の側板62とを有し、軸心61に巻き付けられた部品供給テープTPを側板62により両側から支える。また、部品供給リール6は、それぞれバーコードで構成されたリールID63および部品ID64を側板62に有する。リールID63はユニークであり、それが付された部品供給リール6を個別に識別するのに用いることができる。部品ID64は、それが付された部品供給リール6の部品供給テープTPに収納される部品に関する情報(部品の種類、個数等)を示す。なお、リールID63および部品ID64を別々のバーコードで構成する必要は必ずしもなく、これらを1つのバーコードで構成しても良い。
こうして、1台のテープフィーダ4に対して2個の部品供給リール6が配置され、当該1台のテープフィーダ4に対しては、2個の部品供給リール6それぞれから引き出された2本の部品供給テープTPを取り付けることができる。これら2個の部品供給リール6のうち、一の部品供給リール6は下方保持位置Llに保持され、他の部品供給リール6は下方保持位置Llより上方の上方保持位置Luに保持される。
これに対して、部品実装機1は、下方保持位置Llで部品供給リール6を保持するフィーダ取付台車7と、上方保持位置Luで部品供給リール6を保持する部品補給台車8とを備える。なお、フィーダ取付台車7および部品補給台車8の具体的な構成は後述することとし、図3では、これらは模式的に簡略化されて示されている。フィーダ取付台車7および部品補給台車8はいずれも部品供給部25に対して着脱可能に装着されている。後述するように、フィーダ取付台車7にはテープフィーダ4が着脱可能に装着され、フィーダ取付台車7は、部品供給リール6を保持する機能以外に、テープフィーダ4を保持する機能も果たす。フィーダ取付台車7は、部品供給部25にテープフィーダ4および部品供給リール6を配置する段取作業に主として使用され、部品補給台車8は。部品供給部25に部品供給リール6を補給する補給作業に主として使用される。
なお、部品供給部25に装着される全てのテープフィーダ4が図2に示すタイプ(本明細書では、「自動装填タイプ」と称する)のフィーダとは限らない。したがって、部品供給部25の一部のテープフィーダ4は、単一の部品供給テープTPのみを装着可能であるタイプのフィーダであってもよい。また、当該タイプのテープフィーダ4に装着される部品供給テープTPが巻き付けられた部品供給リール6は、フィーダ取付台車7に保持され、部品補給台車8には保持されない。
図4および図5はフィーダ取付台車および部品補給台車の右斜め後方から見た右後方斜視図であり、図6はフィーダ取付台車および部品補給台車の左斜め後方から見た左後方斜視図である。図4では、テープフィーダ4および部品供給リール6がフィーダ取付台車7から取り外されるとともに、部品供給リール6が部品補給台車8から取り外された状態が示され、図5では、複数のテープフィーダ4と1個の部品供給リール6がフィーダ取付台車7に保持されるとともに、複数の部品供給リール6が部品補給台車8に保持された状態が示され、図6では、1個のテープフィーダ4がフィーダ取付台車7に保持されるとともに、部品供給リール6がフィーダ取付台車7および部品補給台車8から取り外された状態が示されている。
フィーダ取付台車7は、水平に配置された底板711と、底板711のX方向の両端から垂直に立設された2個の側壁板712とを有する。底板711は、X方向に平行な2辺とフィード方向Df(Y方向)に平行な2辺で構成された周縁を有し、平面視において矩形状である。各側壁板712は、フィード方向DfおよびZ方向に平行に底板711に取り付けられている。また、フィーダ取付台車7は、2個の側壁板712の間でX方向に延設されたビーム713を有する。ビーム713は、両側壁板712の前端において、両側壁板712の上端の間に掛け渡されている。
さらに、フィーダ取付台車7は、底板711の下面の4隅に取り付けられたキャスター714を有し、これらのキャスター714が地面(フィーダ取付台車7の設置面)に対して底板711を支える。したがって、作業者あるいは無人搬送車等からの外力に応じて、フィーダ取付台車7はキャスター714を回転させつつ移動できる。特に、2個の側壁板712それぞれには、上方かつ後方へ斜めに突出したハンドル715が設けられており、作業者はハンドル715を操作することで、フィーダ取付台車7を移動させることができる。
また、フィーダ取付台車7は、ビーム713の上端に取り付けられた取付プレート716と、取付プレート716の両端に取り付けられた2個のサイドプレート717とを有する。取付プレート716は水平に配置され、各サイドプレート717は、取付プレート716からフィード方向Dfの前側へ突出する。さらに、フィーダ取付台車7は、2個のサイドプレート717の間でX方向に延設されたサポートプレート718を有する。サポートプレート718は、2個のサイドプレート717の下端の間に掛け渡されて、水平に配置されている。
また、フィーダ取付台車7は、サイドプレート717の内側に、フィード方向Dfに平行に並ぶ2個の係合突起719a、719bを有する。これら係合突起719a、719bは、サイドプレート717の内壁から内側に(すなわち、X方向において2個のサイドプレート717で挟まれた空間に向けて)突出する。係合突起719aは、係合突起719bよりもフィード方向Dfにおいて後側に配置されている。
このフィーダ取付台車7は、2個のサイドプレート717の間であって、サポートプレート718の上側に配置されたフィーダ装着部73を有し、このフィーダ装着部73は2個のサイドプレート717およびサポートプレート718によって支持されている。フィーダ装着部73では、複数のフィーダスロット731(セット位置S)がX方向に並んでおり、各フィーダスロット731にテープフィーダ4を着脱可能に装着することができる。
さらに、フィーダ取付台車7は、2個の側壁板712の間であって、底板711の上方に配置されたリール保持部75を有し、このリール保持部75は2個の側壁板712により支持されている。リール保持部75では、複数のリールホルダー751(リール保持位置)がX方向に並んでおり、各リールホルダー751に部品供給リール6を着脱可能に装着することができる。そして、各リールホルダー751は、装着された部品供給リール6を下方保持位置Ll(図3)に保持する。
かかるフィーダ取付台車7において、複数のリールホルダー751は、複数のフィーダスロット731にそれぞれ対応して設けられる。つまり、一のリールホルダー751に保持された部品供給リール6から引き出された部品供給テープTPは、当該一のリールホルダー751に対応するフィーダスロット731に装着されたテープフィーダ4に取り付けられる。
また、フィーダ取付台車7は、フィーダ装着部73およびリール保持部75の下方において、底板711の上面に載置された廃棄ボックス77を有する。この廃棄ボックス77には、テープフィーダ4から排出された部品供給テープTPが廃棄される。
部品補給台車8は、それぞれ水平に配置された底板811および挿入板812を有する。底板811は、X方向に平行な2辺とフィード方向Df(Y方向)に平行な2辺で構成された周縁を有し、平面視においてX方向に延設された矩形状である。挿入板812は、X方向に平行な2辺とフィード方向Df(Y方向)に平行な2辺で構成された周縁を有し、平面視においてフィード方向Dfに延設された矩形状である。この挿入板812は、X方向における底板811の中央からフィード方向Dfの前側に突出するように、底板811に取り付けられている。
また、部品補給台車8は、底板811のX方向の両端から垂直に立設された2個の側壁板813を有する。各側壁板813は、フィード方向DfおよびZ方向に平行に底板811に取り付けられている。また、部品補給台車8は、2個の側壁板813の間でX方向に延設されたビーム814を有する。ビーム814は、両側壁板813の後端において、両側壁板813の上端の間に掛け渡されている。
さらに、部品補給台車8は、底板811の下面のX方向の両端に取り付けられたキャスター815と、挿入板812のフィード方向Dfの前端においてX方向の両側に取り付けられたキャスター815とを有し、これらのキャスター815が地面に対して底板811および挿入板812を支える。したがって、作業者あるいは無人搬送車等からの外力に応じて、部品補給台車8はキャスター815を回転させつつ移動できる。特に、ビーム814はハンドルとして機能し、作業者はビーム814を操作することで、部品補給台車8を移動させることができる。
また、部品補給台車8は、2個の側壁板813の上端にそれぞれ取り付けられた2個のサイドプレート816を有する。各サイドプレート816は、側壁板813からフィード方向Dfの前側へ突出する。さらに、各サイドプレート816のフィード方向Dfの前端には、フィード方向Dfに平行に延設されたスリット817が設けられている。各スリット817は、フィード方向Dfの前方へ開口し、フィーダ取付台車7の係合突起719a、719bと同一の高さに配置されている。
この部品補給台車8は、2個のサイドプレート816の間に挟まれるように配置されたユニット装着部83を有し、このユニット装着部83は2個のサイドプレート816により支持されている。ユニット装着部83では、複数のユニットスロット831(セット位置S)がX方向に並んでおり、各ユニットスロット831にテープセットユニット5を着脱可能に装着することができる。これら複数のユニットスロット831は、フィーダ取付台車7における複数のフィーダスロット731にそれぞれ対応して設けられている。特に、後述するようにフィーダ取付台車7に部品補給台車8が装着された状態では、互いに対応する一のユニットスロット831と一のフィーダスロット731とは、X方向において同じ位置(セット位置S)に位置決めされる。
さらに、部品補給台車8は、2個のサイドプレート816の間に挟まれるように配置されたリール載置台85を有し、このリール載置台85は、ユニット装着部83よりもフィード方向Dfの後側で、2個のサイドプレート816により支持されている。リール載置台85は、下方に窪んだ凹形状を有し、前側へ向かって登る前側傾斜板851を前端に有するとともに、後側に向かって登る後側傾斜板852を後端に有する。さらに、リール載置台85は、フィード方向Dfにおいて前側傾斜板851と後側傾斜板852との間に設けられた載置板853を有し、この載置板853に部品供給リール6を載置することができる。
そして、リール載置台85に保持された部品供給リール6から引き出された部品供給テープTPを、ユニット装着部83に装着されたテープセットユニット5により保持しておくことができる。かかる部品補給台車8は、次に説明するように、フィーダ取付台車7に着脱可能に装着することができ、部品補給台車8がフィーダ取付台車7に装着された状態において、リール載置台85は、載置板853に載置された部品供給リール6を上方保持位置Lu(図3)に保持する。
図7~図10はフィーダ取付台車への部品補給台車の装着作業を示す図である。特に、図7はフィーダ取付台車7から部品補給台車8が離間する装着前の状態を示す側面図であり、図8はフィーダ取付台車に部品補給台車を装着した装着後の状態を示す側面図であり、図9はフィーダ取付台車に部品補給台車を装着した装着後の状態を示す底面図であり、図10はフィーダ取付台車に部品補給台車を装着した装着後の状態を示す斜視図である。
装着作業は、フィード方向Df方向から見て、フィーダ取付台車7の2個のサイドプレート717のX方向の内側に2個のサイドプレート816が対向する状態(図4~図7に示す状態)から、部品補給台車8をフィーダ取付台車7へ移動させることで実行される。図7~図8に示すように、部品補給台車8がフィーダ取付台車7まで移動する過程の動作は、次の通りである。
部品補給台車8の各サイドプレート816は、リール保持部75より上方に位置しており、部品補給台車8がフィーダ取付台車7へ移動するのに伴って、各サイドプレート816はリール保持部75(およびリール保持部75に保持される部品供給リール6)の上方を通過する。また、部品補給台車8の挿入板812は、フィーダ取付台車7の底板711より下方に位置しており、挿入板812は、底板711と地面との間に挿入される。
Z方向において、部品補給台車8の各スリット817の幅と、係合突起719a、719bの幅とは同一(遊びを含む)であり、スリット817は、係合突起719aに係合(外嵌)してから、係合突起719bに係合(外嵌)する。これによって、フィーダ取付台車7のサイドプレート717の位置に対して、部品補給台車8のサイドプレート816の位置が、水平方向において拘束されて位置決めされる。
また、X方向において、フィーダ取付台車7の2個のサイドプレート717の内壁面の間の距離と、部品補給台車8の2個のサイドプレート816の外壁面の間の距離とは同一(遊びを含む)であり、部品補給台車8の2個のサイドプレート816は、フィーダ取付台車7の2個のサイドプレート717の間に係合する(嵌る)。これによって、フィーダ取付台車7のフィーダ装着部73の位置に対して、部品補給台車8のユニット装着部83の位置が、X方向において拘束されて位置決めされる。上述の通り、複数のユニットスロット831は複数のフィーダスロット731にそれぞれ対応している。したがって、X方向へ位置決めされた状態では、互いに対応する(すなわち、同じセット位置Sに位置する)一のユニットスロット831と一のフィーダスロット731とがフィード方向Dfに対向する。
また、図9に示すように、底板711の底面には、2個のキャスター714のフィード方向Dfの前方に2個のガイド部材72が設けられており、これらガイド部材72も位置決め機能を果たす。つまり、2個のガイド部材72は、フィード方向Dfに平行に延設されており、X方向において挿入板812の幅に相当する間隔を空けて互いに対向する。したがって、フィード方向Dfの前方へ進む挿入板812が2個のキャスター714の間を抜けて2個のガイド部材72間に嵌ると、2個のガイド部材72が挿入板812の位置をX方向の両側から拘束する。これによって、フィーダ取付台車7と部品補給台車8とがX方向に互いに位置決めされ、互いに対応する一のユニットスロット831と一のフィーダスロット731とがフィード方向Dfに対向する。
そして、最終的に、図8~図10に示すように、部品補給台車8の底板811がフィーダ取付台車7の底板711に突き当たる。こうして、フィーダ取付台車7への部品補給台車8の装着作業が完了する。
ところで、上記の装着作業に伴って、テープフィーダ4に装着されるテープセットユニット5を交換するユニット交換が実行される。続いては、テープセットユニット5の構成を説明してから、ユニット交換について説明する。
図11はテープセットユニットの構成を示す斜視図であり、図12Aはテープセットユニットの構成を示す側面図であり、図12Bはテープセットユニットの構成を示す断面図であり、図13はテープセットユニットの構成を示す平面図であり、図14はテープセットユニットの構成を示す正面図である。
テープセットユニット5は、ベースフレーム51と、ベースフレーム51に上方から対向するサポートフレーム52と、ベースフレーム51とサポートフレーム52との間に配置された複数(2個)の圧縮コイルバネ53とを備える。複数の圧縮コイルバネ53は、フィード方向Dfに並んで配置され、ベースフレーム51とサポートフレーム52とをZ方向へ互いに離間させる付勢力(弾性力)をベースフレーム51とサポートフレーム52とに与える。
ベースフレーム51は、フィード方向Dfに延設されたベース本体511を有する。ベース本体511は、平らに形成された底面511aを有する。また、ベースフレーム51は、ベース本体511のフィード方向Dfの前端から上方に延設された上方延設部512と、上方延設部512の上端からフィード方向Dfの前方に突出した前方突起513とを有する。さらに、ベースフレーム51は、ベース本体511の上面のX方向の一端において、フィード方向Dfに延設された側壁板514を有する。側壁板514は、ベース本体511から上方に突出する。
サポートフレーム52は、フィード方向Dfに延設されたサポート本体521を有する。サポート本体521は、ベースフレーム51のベース本体511に上方から対向し、上方からの平面視において、サポート本体521はベース本体511に重なる。このサポート本体521は、水平に形成されたテープ載置部521aをその上面に有し、テープ載置部521aに部品供給テープTPを載置することができる。つまり、サポートフレーム52は、サポート本体521のテープ載置部521aに載置された部品供給テープTPを支持する。また、サポート本体521には、X方向に貫通する係合孔521bが空いている。
また、サポートフレーム52は、サポート本体521のフィード方向Dfの前端から下方に延設された下方延設部522と、下方延設部522の下端からフィード方向Dfの後方へ突出した後方突起523とを有する。サポートフレーム52の後方突起523は、ベースフレーム51の前方突起513に下方から対向する。また、サポートフレーム52は、サポート本体521のフィード方向Dfの後端から下方に延設された下方延設部524と、下方延設部524の下端からフィード方向Dfの後方へ突出した後方突起525とを有する。
さらに、テープセットユニット5は、ベース本体511の後方に配置されたリアフレーム54を備える。リアフレーム54は、ベース本体511のフィード方向Dfの後端に取り付けられたリア本体541を有する。このリア本体541はZ方向に延設されてベース本体511から上方へ突出する一方、リア本体541の底面541aとベース本体511の底面511aとは、同一の平面に含まれる(すなわち、面一である)。さらに、リアフレーム54は、リア本体541の上端からフィード方向Dfの前方に突出する前方突起542を有する。リアフレーム54の前方突起542は、サポートフレーム52の後方突起525に上方から対向する。
上述の複数の圧縮コイルバネ53は、フィード方向Dfにおいて、ベースフレーム51の上方延設部512と、サポートフレーム52の下方延設部524との間に配置される。そして、各圧縮コイルバネ53の下端がベースフレーム51のベース本体511の上面に当接し、各圧縮コイルバネ53の上端がサポートフレーム52のサポート本体521の下面に当接する。したがって、サポートフレーム52は、ベースフレーム51から上方へ離れる方向(Z方向)へ各圧縮コイルバネ53により付勢される。これに対して、サポートフレーム52のフィード方向Dfの両側に設けられた後方突起523および後方突起525のそれぞれには、前方突起513および前方突起542が上方から対向する。したがって、各圧縮コイルバネ53の付勢力に抗する外力が作用していない状態では、各圧縮コイルバネ53の付勢力によって、サポートフレーム52の後方突起523および後方突起525のそれぞれが前方突起513および前方突起542に突き当たって、サポートフレーム52は最上点でベースフレーム51に対して静止する。
なお、各圧縮コイルバネ53は、ベース本体511の上面から上方に突出するサポート棒531に外嵌する。このサポート棒531は、Z方向に平行に延設され、ベース本体511の上面に取り付けられている。一方、サポート本体521には、サポート棒531がZ方向に挿入可能な挿入孔が空いており、ベースフレーム51とサポートフレーム52とが近接するに伴って、サポート棒531がサポート本体521の挿入孔に進入する。
また、テープセットユニット5は、ベースフレーム51の側壁板514に対して回転可能に取り付けられたレバー55を備える。このレバー55は、平面視において側壁板514とサポートフレーム52との間に配置されたレバーフレーム551を有する。レバーフレーム551の前端部には、長孔551aがX方向に貫通し、長孔551aの幅よりも大きな頭を有するボルト56が側壁板514の反対側から長孔551aに挿入され、当該ボルト56が側壁板514に螺合する。こうして、レバー55は、X方向に平行なボルト56(回転軸)を中心に回転可能に側壁板514に取り付けられている。また、レバー55は、レバーフレーム551からX方向に突出する係合突起552を有する。この係合突起552は、サポートフレーム52の係合孔521bに挿入されている。
さらに、レバー55は、レバーフレーム551のフィード方向Dfの後端に取り付けられたテープカバー553を有する。このテープカバー553は、レバーフレーム551のフィード方向Dfの後端から上方へ延設された側壁板553aと、側壁板553aから側壁板514の反対側に向けてX方向に延設された当接板553bと、当接板553bの側壁板514の反対側の端から下方へ延設された側壁板553cとを有する。当接板553bは、サポートフレーム52の後端部およびリアフレーム54の前端部をX方向に跨ぎ、側壁板553aと側壁板553cとは、サポートフレーム52の後端部およびリアフレーム54の前端部のX方向の両側に位置する。さらに、テープカバー553は、側壁板553aの前端から内側(すなわち、側壁板553c側)に突出した突き当て部553dを有する。
また、テープセットユニット5は、リアフレーム54の後方に配置されたブラケット57を有する。ブラケット57は、リアフレーム54のフィード方向Dfの後端に取り付けられたブラケット本体571を有する。このブラケット本体571はZ方向に立設されてリアフレーム54から上方へ突出する一方、ブラケット本体571の底面571aとリア本体541の底面541aとは、同一の平面に含まれる(すなわち、面一である)。
さらに、ブラケット57は、ブラケット本体571の上端に設けられたユニット係合突起572を有する。このユニット係合突起572は、テープセットユニット5の最上部に位置する。ユニット係合突起572は、ブラケット本体571の上端から上方に延設された上方延設部572aと、上方延設部572aの上端からX方向の両側に突出したフランジ572b、572cとを有し、フィード方向Dfから見てT字形状に構成されている。これらフランジ572b、572cはそれぞれフィード方向Dfに延設されている。
また、ブラケット57は、ブラケット本体571の下端に設けられたユニット係合孔573を有する。このユニット係合孔573は、ブラケット本体571の下端から上方に延設された上方延設孔573aと、上方延設孔573aの上端からX方向の両側に突出した溝573b、573cとを有し、フィード方向Dfから見てT字形状に構成されている。これら溝573b、573cは、フィード方向Dfに延設されている。このユニット係合孔573は、フィード方向Dfの両側(前側および後側)のそれぞれに開口する。このユニット係合孔573と、上記のユニット係合突起572とは、フィード方向Dfから見て同一の形状および寸法を有し、これらは合同である。
さらに、ブラケット57は、ブラケット本体571をフィード方向Dfに貫通するテープ導入孔574を有する。これによって、テープ導入孔574からリアフレーム54の上面を経由してサポートフレーム52のテープ載置部521aに到るテープ導入路が構成される。続いては、テープセットユニット5に部品供給テープTPを保持させるテープセット作業について説明する。
図15はテープセットユニットへのテープセット作業の第1手順を示す斜視図であり、 図16Aはテープセットユニットへのテープセット作業の第1手順を示す側面図であり、図16Bはテープセットユニットへのテープセット作業の第1手順を示す断面図であり、図17はテープセットユニットへのテープセット作業の第2手順を示す斜視図であり、 図18Aはテープセットユニットへのテープセット作業の第2手順を示す側面図であり、図18Bはテープセットユニットへのテープセット作業の第2手順を示す断面図であり、図19Aはテープセットユニットへのテープセット作業の第3手順を示す側面図であり、図19Bはテープセットユニットへのテープセット作業の第3手順を示す断面図である。なお、テープセット作業は、作業者によって実行される。
図15、図16Aおよび図16Bに示すように、テープセット作業の第1手順では、サポートフレーム52のテープ載置部521a上に部品供給テープTPが載置される。なお、図15、図16Aおよび図16Bでは、部品供給テープTPの一部(テープ載置部521aの近傍)のみが示されている。かかる部品供給テープTPの載置は、フィード方向Dfの後方からテープ導入孔574へ部品供給テープTPの先端を挿入し、部品供給テープTPをテープ載置部521aまで導入することで実行される。この際、サポートフレーム52の後方突起523および後方突起525のそれぞれが前方突起513および前方突起542に突き当たる最上点までサポートフレーム52はベースフレーム51に対して上昇している。そのため、サポートフレーム52の係合孔521bに係合突起552を介して係合するレバー55は、サポートフレーム52の最上点への上昇に伴って上方へ回転した状態で静止している。
図17、図18Aおよび図18Bに示すように、テープセット作業の第2手順では、作業者は、各圧縮コイルバネ53の付勢力に抗して、レバー55のテープカバー553を押し下げる。これによって、レバー55は下方に回転し、サポートフレーム52は、係合孔521bに係合する係合突起552を介してレバー55によって押されて、下方へ移動する。そして、レバー55の下部がベースフレーム51に当接すると、レバー55の回転が停止する。この状態において、長孔551aの延設方向はフィード方向Dfに平行となる。また、テープカバー553は、テープ導入孔574からテープ載置部521aに到る部品供給テープTPを覆う。具体的には、テープカバー553の当接板553bは、部品供給テープTPの上面に当接し、部品供給テープTPを拘束する(テープ拘束状態)。かかるテープ拘束状態によって、部品供給テープTPの移動が妨げられる。また、テープカバー553の側壁板553a、553bは、部品供給テープTPをX方向から挟む。
テープセット作業の第3手順では、作業者は、回転が停止したレバー55をフィード方向Dfの前方へ押し出す。つまり、レバー55は、長孔551aを介してボルト56により螺子止めされていることから、長孔551aがフィード方向Dfに平行となった状態では、レバー55は、ボルト56に対してフィード方向Dfに変位可能となる。そして、この第3手順により、圧縮コイルバネ53の付勢力に抗してレバー55の回転を規制することができる。つまり、図19Aおよび図19Bに示すように、フィード方向Dfにおいて、レバー55のレバーフレーム551の前端からは、前方突起551bが前方に突出する。これに対して、ベースフレーム51の上面の前端部分には、所定の厚みを有する規制板554が配置されている。次に説明するように、レバー55の前方突起551bは回転規制キーとして機能するとともに、規制板554は回転規制ストッパーとして機能し、前方突起551bが規制板554に接触(係合)することで、レバー55の回転が規制される。
図18Bに示すように、レバー55の回転が停止して、作業者がレバー55を押し出す前は、ボルト56が長孔551aのフィード方向Dfの前端に接触し、レバー55の前方突起551bが規制板554からフィード方向Dfの後方に退避する退避位置Le1にレバー55は位置する。レバー55が退避位置Le1に位置する状態では、レバー55は回転可能である。一方、図19Bに示すように、作業者がレバー55を押し出した後は、ボルト56が長孔551aのフィード方向Dfの後端に接触し、レバー55の前方突起551bが規制板554の上面に接触する接触位置Lcにレバー55は位置する。レバー55が接触位置Lcに位置する状態では、レバー55の回転に伴う前方突起551bの下方への移動が前方突起551bに下側から接触する規制板554によって規制される。つまり、レバー55の回転が規制板554によって規制される。
こうして部品供給テープTPを保持するテープセットユニット5をテープフィーダ4に取り付けることができる(図20A、図20Bおよび図21)。図20Aはテープフィーダへの取り付け時におけるテープセットユニットの状態を示す側面図であり、図20Bはテープフィーダへの取り付け時におけるテープセットユニットの状態を示す側面図であり、図21はテープフィーダにテープセットユニットを取り付けた状態を示す斜視図である。図20Bに示されるように、テープセットユニット5をテープフィーダ4に取り付ける際には、後述するレバー解除ボス41e(図25B、図27B、図29B等)の機能によって、レバー55が規制板554に対してフィード方向Dfの後方に戻されて、接触位置Lcから退避位置Le2に退避する。退避位置Le2に位置するレバー55の前方突起551bは、規制板554からフィード方向Dfの後側に退避する。これによって、レバー55は、圧縮コイルバネ53の付勢力によって回転可能となり、テープ拘束状態が解除される。
この退避位置Le2は、フィード方向Dfにおいて接触位置Lcと退避位置Le1との間に位置し、換言すれば、接触位置Lcより後側に位置するとともに退避位置Le1より前側に位置する。図20Bでは、退避位置Le2に位置して回転可能となったレバー55が回転する直前の状態が示され、この状態において、長孔551aのフィード方向Dfの前端(図20Bにおける右端)とボルト56との間には隙間Δが空いている。後述するように、この隙間Δは、テープフィーダ4に装着されたテープセットユニット5がフィード方向Dfの前側に押されてテープフィーダ4から離脱するのに要するテープセットユニット5(さらに言えば、レバー55以外のテープセットユニット5の部材)の移動量を確保するために設けられ、退避位置Le1と退避位置Le2との間の距離に相当する。このように、テープセットユニット5がテープフィーダ4に装着された状態では、レバー55は退避位置Le2に位置し、長孔551aの前端とボルト56との間に隙間Δが確保されている。
図21に示すように、テープフィーダ4のブラケット411のフィード方向Dfの後端には、フィーダ係合孔412が設けられている。具体的には、ブラケット411は、フィード方向Dfに延設された直方体形状を有するブラケット本体411aと、ブラケット本体411aのフィード方向Dfの後端においてブラケット本体411aから下方に突出したブラケット突出部411bとを有する。そして、フィーダ係合孔412は、ブラケット突出部411bをフィード方向Dfに貫通するように設けられて、ブラケット突出部411bのフィード方向Dfの両端で開口する。このフィーダ係合孔412は、ブラケット411の下端から上方に延設された上方延設孔412aと、上方延設孔412aの上端からX方向の両側に突出した溝412b、412cとを有し、T字形状に構成されている。これら溝412b、412cは、フィード方向Dfに延設されている。このフィーダ係合孔412は、フィード方向Dfの両側(前側および後側)のそれぞれに開口する。このフィーダ係合孔412と、上記のユニット係合突起572とは、フィード方向Dfから見て同一の形状および寸法を有し、これらは合同である。したがって、作業者は、部品供給テープTPを保持するテープセットユニット5のユニット係合突起572を、テープフィーダ4のフィーダ係合孔412にフィード方向Dfの後方から挿入することで、テープセットユニット5をテープフィーダ4に取り付けることができる。こうして、ユニット係合突起572が係合位置Lgでフィーダ係合孔412に係合するテープセットユニット5(すなわち、テープフィーダ4に装着されたテープセットユニット5)では、上述のようにレバー55は退避位置Le2に位置する。
そして、上述したように、後続のテープセットユニット5のテープフィーダ4への装着に伴って、先行のテープセットユニット5のテープフィーダ4からの取り外しを実行するユニット交換を、部品補給台車8を用いて実行することができる。
図22はユニット交換のために部品補給台車に対して作業者が実行する準備作業を示す斜視図であり、図23Aは部品供給台車が備えるロック機構を示す部分水平断面図であり、図23Bは部品供給台車が備えるロック機構を示す部分鉛直断面図であり、図23Cは部品補給台車が備えるロック機構を鉛直断面において模式的に示す図である。なお、図23Cは模式図であり、図23Aおよび図23B等と寸法関係において異なる。上述のように、部品補給台車8のユニット装着部83では、複数のユニットスロット831がX方向に並ぶ。各ユニットスロット831は、上述したユニット係合突起572と同一の形状および寸法を有するT字形状の係合突起であり、作業者は、テープセットユニット5のユニット係合孔573をユニットスロット831にフィード方向Dfから挿し込むことで、ユニットスロット831にテープセットユニット5を装着できる。
また、部品補給台車8は、図23A~図23Cに示すロック機構87を有する。このロック機構87は、複数のユニットスロット831に対応してそれぞれ設けられた複数のロックキー871と、X方向に延設されたバー873とを有し、複数のロックキー871はバー873に取り付けられている。バー873は、ユニット装着部83に対してX方向に移動可能に支持されており、作業者は、バー873のX方向の一端に設けられた取っ手875を操作することで、バー873をX方向に動かして、図23A~図23Cに示す「アンロック状態」と「ロック状態」とを切り換えることができる。
ユニットスロット831は、Z方向に延設された上方延設部831aと、上方延設部831aの上端からX方向の両側に突出したフランジ831b、831cとを有し、フィード方向Dfから見てT字形状に構成されている。これらフランジ831b、831cはそれぞれフィード方向Dfに延設されている。また、上方延設部831aの内部は部分的に中空に形成されており、ユニットスロット831は中空部831dを上方延設部831a内に有する。この中空部831dは、下方およびX方向への一方へ開口する。これに対して、バー873は、ユニットスロット831に装着されたテープセットユニット5のブラケット57の下方をX方向に延びており、ロックキー871は、中空部831dの下方の開口を介して、バー873から中空部831dの内部へ延びる。
また、テープセットユニット5のブラケット57は、内部に中空部575を有し、テープセットユニット5のブラケット57がユニットスロット831に装着された状態において、ブラケット57の中空部575とユニットスロット831の中空部831dとは、X方向に隣接して互いに連通する。そして、「アンロック状態」では、ロックキー871は、上方延設部831a内に収まり、中空部575から退避する。したがって、テープセットユニット5をユニットスロット831から取り外すことができる。一方、「ロック状態」では、ロックキー871は、上方延設部831aから中空部575へ突出する。その結果、ロックキー871はテープセットユニット5の中空部575へ係合し、テープセットユニット5のユニットスロット831からの取り外しが禁止される。
したがって、テープセットユニット5のユニットスロット831への装着にあたり、作業者は、取っ手875を適宜操作して、ロックキー871を中空部575から退避させつつ(アンロック状態)、テープセットユニット5のユニット係合孔573をユニットスロット831に挿し込む。続いて、作業者は、取っ手875を操作して、ロックキー871をテープセットユニット5の中空部575へ係合させる(ロック状態)。
なお、図22では、部品供給テープTPが省略されているが、作業者は、部品供給リール6から引き出された部品供給テープTPを保持したテープセットユニット5を、ユニットスロット831に装着する。そこで、作業者は、ユニットスロット831に装着されたテープセットユニット5に保持される部品供給テープTPが巻き付けられた部品供給リール6をリール載置台85に載置する。こうして、部品補給台車8に対する準備作業が完了する。なお、図22では、1対のテープセットユニット5および部品供給リール6を部品補給台車8にセットした場合が示されているが、作業者は、複数対のこれらを適宜部品補給台車8にセットすることができる。
図24~図32Cはユニット交換に伴って実行される動作を示す図である。これらの図では、交換前にテープフィーダ4に装着される先行のテープセットユニット5をテープセットユニット5Aと表し、交換後にテープフィーダ4に装着される後続のテープセットユニット5をテープセットユニット5Bと表す。また、テープフィーダ4の側壁に隠れる範囲でのテープセットユニット5の状態を明示するために、当該側壁を適宜透かして示す。かかるユニット交換は、図22に示すようにテープセットユニット5および部品供給リール6が装着された部品補給台車8を、上述の装着作業と同じ要領でフィーダ取付台車7に装着することで実行される。
装着作業の開始時点では、先行のテープセットユニット5Aのユニット係合突起572がテープフィーダ4のフィーダ係合孔412に係合する係合位置Lg(すなわち、フィーダ係合孔412の位置)に位置し、先行のテープセットユニット5Aは、テープフィーダ4のブラケット411に装着されている(図21、図24)。また、図25Bに示すように、テープフィーダ4には、サポートボス4e(サポート部)が設けられるとともに、テープセットユニット5には、フィード方向Dfの前方に開口したサポートスリット5e(被サポート部)が設けられており、サポートボス4eに対して、サポートスリット5eがフィード方向Dfの後側から係合(外嵌)する。つまり、テープフィーダ4のサポートボス4eは、テープセットユニット5のサポートスリット5eに係合することで、テープフィーダ4に装着されたテープセットユニット5(先行のテープセットユニット5A)を支持する。こうして、テープフィーダ4(フィーダ本体41)に装着されたテープセットユニット5をサポートボス4eによりしっかりと支持することができる。かかる状態から、装着作業に伴って、部品補給台車8に装着された後続のテープセットユニット5Bが、係合位置Lgに向けてフィード方向Dfに移動する(図24~図26)。そして、後続のテープセットユニット5Bの前端が先行のテープセットユニット5Aの後端に接触する(図27A、図27B)。
なお、テープフィーダ4のフィーダ本体41はレバー解除ボス41eを有している。これに対して、先行のテープセットユニット5Aがテープフィーダ4に装着される過程において、テープセットユニット5Aのレバー55は、レバー解除ボス41eに当接して、当該レバー解除ボス41eによって規制板554に対して後側へ押し遣られる。これによって、テープセットユニット5の状態は、上述した図18Bの状態から図20Bの状態へ移る。したがって、図25Bに示す先行のテープセットユニット5Aは、図20Bの状態にある。
先行のテープセットユニット5Aに接触した後続のテープセットユニット5Bがさらに前側に進むと、先行のテープセットユニット5Aが前側へ押し出される。ただし、先行のテープセットユニット5Aのレバー55は、レバー解除ボス41eに当接して、レバー解除ボス41eの前側の移動はレバー解除ボス41eにより規制されている。そのため、レバー55を残したまま、先行のテープセットユニット5Aのうち、レバー55以外の部材が前側に移動して、先行のテープセットユニット5Aのユニット係合突起572がフィーダ係合孔412から前側へ抜け出す(係合位置Lgから退出する)。なお、上述の長孔551aの前端とボルト56との間の隙間Δは、ユニット係合突起572がフィーダ係合孔412から抜け出すためにユニット係合突起572が移動する距離以上に設けられている。
このようにして後続のテープセットユニット5Bがフィード方向Dfへ移動すると、先行のテープセットユニット5Aが後続のテープセットユニット5Bに押し出され、先行のテープセットユニット5Aのユニット係合突起572が係合位置Lgからフィード方向Dfの前方へ退出して、フィーダ係合孔412から抜け出す(図28A、図28B)。その結果、先行のテープセットユニット5Aは、テープフィーダ4のブラケット411から離脱して、自重により落下する(図28A~図30B)。詳述すると、先行のテープセットユニット5Aのユニット係合突起572がフィーダ係合孔412からフィード方向Dfの前方へ抜け出すと、先行のテープセットユニット5Aのサポートスリット5eがサポートボス4eに係合した状態で、先行のテープセットユニット5Aの後端がサポートボス4eを中心に回転しつつ落下する(図28B)。さらに、先行のテープセットユニット5Aが落下するのに伴って、先行のテープセットユニット5Aのサポートスリット5eがテープフィーダ4のサポートボス4eから離脱する。こうして、先行のテープセットユニット5Aがテープフィーダ4から取り外される。なお、離脱した先行のテープセットユニット5Aは、図12Bの状態にある。
上述の通り、テープフィーダ4のフィーダ本体41はレバー解除ボス41eを有しており、フィーダ本体41に装着された先行のテープセットユニット5Aのテープカバー553の前端に位置する突き当て部553dは、レバー解除ボス41eに当接している。一方、上述のように、レバー55は、長孔551aに挿入されたボルト56によってベースフレーム51に取り付けられている。そのため、先行のテープセットユニット5Aが後続のテープセットユニット5Bにより押し出される上記の過程では、先行のテープセットユニット5Aのレバー55のフィード方向Dfの移動がフィーダ本体41により妨げられた状態で、先行のテープセットユニット5A(のレバー55以外の部材)がフィード方向Dfに移動し、先行のテープセットユニット5Aのテープ束縛状態は継続的に解除されている。
続いて、図31に示すように、後続のテープセットユニット5Bのユニット係合突起572がフィード方向Dfの後方から係合位置Lgに進入する。この際、後続のテープセットユニット5Bがテープフィーダ4のブラケット411に装着されるまでは、後続のテープセットユニット5Bはテープ拘束状態に維持される。一方、図31に示すように、後続のテープセットユニット5Bのユニット係合突起572が係合位置Lgに進入するのに伴って、後続のテープセットユニット5Bが備えるレバー55のテープカバー553の突き当て部553dがフィーダ本体41のレバー解除ボス41eに当接する。さらに、レバー55のフィード方向Dfの移動がフィーダ本体41により妨げられた状態で、テープセットユニット5(のレバー55以外の部材)がフィード方向Dfに移動する。そのため、レバー55が接触位置Lcから退避位置Le2へフィーダ本体41により相対的に押し出されて、フィーダ本体41の前方突起551bが規制板554から外れる(図32B)。その結果、レバー55が圧縮コイルバネ53の付勢力により上方へ回転して、テープ拘束状態が解除されるとともに、部品供給テープTPがスプロケット44に押し付けられて部品供給テープTPの孔がスプロケット44の歯に嵌合し、部品供給テープTPのフィード方向Dfの送り出しが可能となる。こうして、後続のテープセットユニット5Bのユニット係合突起572が係合位置Lgでフィーダ係合孔412に係合して、後続のテープセットユニット5Bがテープフィーダ4のブラケット411に装着され(図32A、図32B)、ユニット交換が完了する。さらに、図32Cに示すように、部品補給台車8がフィーダ取付台車7からフィード方向Dfの後方に引き抜かれると、テープフィーダ4に装着された後続のテープセットユニット5Bは、部品補給台車8から離脱してテープフィーダ4に残る。
図33は上述の部品実装機を備えた部品実装システムの構成を示すブロック図である。図33では、部品実装機1の部品供給部25から取り外された部品補給台車8が部品実装機1と別に示されている。この部品実装システム9は、上述の部品実装機1と、部品補給支援装置91とを備える。ここでは、図33を用いて、部品実装システム9の電気的構成について主に説明する。
図33に示すように、テープフィーダ4はテープセンサ491を有する。このテープセンサ491は、ブラケット411に係合するテープセットユニット5とスプロケット44との間の装着箇所441(図2、図3)に装着された部品供給テープTPを検出する。また、フィーダ取付台車7は、部品補給台車8に付された補給台車ID86を読み取るリーダ78を有する。補給台車ID86は、バーコードで構成されてユニークであり、それが付された部品補給台車8を個別に識別するのに用いることができる。リーダ78は、フィーダ取付台車7に部品補給台車8が装着された状態で、当該部品補給台車8の補給台車ID86に対向する位置に取り付けられている。つまり、リーダ78は、フィーダ取付台車7に装着された部品補給台車8の補給台車ID86をスキャンすることで、これを読み取る。なお、補給台車ID86およびリーダ78の構成はここの例に限られず、例えばRFID(Radio Frequency Identifier)でもよい。
また、部品実装機1は、制御部101、記憶部102および通信部103を備える。制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されたプロセッサであり、部品実装機1の全体の制御を実行する。記憶部102は、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成され、後に説明する部品フィーダ情報Ipf等を記憶する。通信部103は、部品実装機1と部品補給支援装置91との間の通信を実行する。同様に、部品補給台車8も、当該部品補給台車8と部品補給支援装置91との間の通信を実行する通信部803を備える。
部品補給支援装置91は、演算部911、記憶部912、通信部913およびユーザーインターフェース914を備え、例えばパーソナルコンピュータにより構成される。演算部911は例えばCPUで構成されたプロセッサであり、部品補給支援装置91における演算機能を担う。記憶部912は、例えばHDDで構成され、後に説明する部品対応関係情報Ipやフィーダ対応関係情報Ifを記憶する。通信部913は、部品実装機1の制御部101との通信や、部品補給台車8の通信部803との通信を実行する。また、ユーザーインターフェース914は、マウスやキーボート等の入力機器や、ディスプレイ等の表示機器で構成される。さらに、部品補給支援装置91は、フィーダID421、リールID63および部品ID64等を読み取るリーダ915を備える。なお、部品補給支援装置91の具体的な構成は、ここの例に限られず、例えば持ち運びが可能なタブレット端末であってもよい。
かかる部品実装システム9が備える部品補給支援装置91は、部品補給台車8を用いたテープフィーダ4への部品補給を支援する機能を果たす。特に、部品供給部25の複数のテープフィーダ4のうち、部品補給の対象となる複数の補給対象テープフィーダ4に一括して部品補給を行う作業を、部品補給支援装置91により支援することができる。この点について、次に説明する。
図2のステップS13に示すように、テープフィーダ4の装着箇所441に装着された部品供給テープTPのローディングが実行されて、当該部品供給テープTPの先端がスプロケット44まで送り出されると、図24~図32Cに示したユニット交換(装着作業)を実行することができる。この明細書では、かかるユニット交換により、部品供給に使用中の部品供給テープTPの次に部品供給に使用される部品供給テープTPを装着箇所441に取り付けることをプリセットと称し、テープフィーダ4の装着箇所441に装着された部品供給テープTPがローディングによってスプロケット44に係合した時点から、当該部品供給テープTPの部品が使い切られるまでの期間をプリセット可能期間と称する。
一の部品供給部25に装着された自動装填タイプのテープフィーダ4の全てがプリセット可能期間となると、これらのテープフィーダ4により部品供給に使用される部品供給テープTPが巻き付けられた部品供給リール6を、部品補給台車8のリール載置台85からフィーダ取付台車7のリール保持部75に移して、部品補給台車8をフィーダ取付台車7から取り外すことができる。また、部品補給台車8の取り外しに伴って、テープフィーダ4に係合するテープセットユニット5は、部品補給台車8のユニットスロット831から外れて、テープフィーダ4に係合した状態で留まる。これによって、例えば図24に示した、部品補給台車8の装着前のフィーダ取付台車7の状態、すなわち、テープフィーダ4の装着箇所441に装着された部品供給テープTPが巻き付けられた部品供給リール6がフィーダ取付台車7により保持された状態が実現される。
したがって、作業者は、プリセット可能期間となったこれらのテープフィーダ4に対して、図24~図32Cに示したユニット交換を同時に行うことで、部品補給を一括して行うことができる(一括補給)。特に、この実施形態では、かかる部品の一括補給に先立って、作業者が当該一括補給の準備を部品補給台車8に対して行えるように、部品補給支援装置91が支援を行う。
図34は部品補給支援装置により実行される部品補給支援の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、部品補給支援装置91の演算部911の演算により実行される。
ステップS101では、演算部911は、部品が実装された基板B(部品実装基板)を部品実装機1を用いて生産する生産計画を取得して、記憶部912に保存する。かかる生産計画の取得は、例えばユーザーインターフェース914を介した作業者の入力作業により実行される。具体的には、生産計画は、生産すべき基板の品種と枚数とを対応付けて示す。また、演算部911は、生産計画の進捗状況(生産進捗)を部品実装機1から取得する(ステップS102)。つまり、生産計画のうち、現時点で生産済みの基板の品種および枚数、換言すれば、何れの品種の何枚目までの基板が現時点において生産済みであるかが進捗状況として取得される。また、演算部911は、生産計画に基づき部品実装機1を制御するための基板データを部品実装機1から取得する(ステップS103)。この基板データは、生産計画に応じた手順で基板Bに部品を実装するように部品実装機1を制御するためのプログラムであり、部品実装機1の制御部101は基板データに基づき、コンベア12、テープフィーダ4および実装ヘッド31等の動作を制御して、基板Bに部品を実装する。
ステップS104では、部品実装機1の複数(図1の例では4個)の部品供給部25を識別するする供給部番号Ncがゼロにリセットされ、ステップS105では、供給部番号Ncがインクリメントされる。また、ステップS106では、現在の供給部番号Nc(ここでは、Nc=1)に対応する部品供給部25に装着された各テープフィーダ4を識別するフィーダ番号Nfがゼロにリセットされ、ステップS107では、フィーダ番号Nfがインクリメントされる。
そして、ステップS108では、供給部番号Ncの部品供給部25におけるフィーダ番号Nfのテープフィーダ4、すなわち対象のテープフィーダ4が自動装填タイプのテープフィーダ4であるかが判断される。対象のテープフィーダ4が自動装填タイプである場合(ステップS108で「YES」の場合)、対象のテープフィーダ4がプリセット期間となるまでの時間が、生産進捗と基板データとに基づき計算され(ステップS109)、ステップS110に進む。具体的には、現在の生産進捗を始点として、基板データに基づき対象のテープフィーダ4が部品を供給した場合をシミュレーションした結果に基づき、当該時間が計算される。
つまり、WO2018/135446の図9等に例示されるように、演算部911が取得する生産計画は、基板の生産枚数と生産順序とを基板の品種ごとに示すとともに、当該品種の基板を1枚生産するのに要する部品の個数を部品名ごとに示す。さらに、演算部911は、基板データに従って生産計画を実行した場合に部品実装機1が1枚の基板へ全部品を実装するのに要する時間、すなわちサイクルタイムを取得することができる。また、演算部911は、リールID63に保持される部品供給テープTPにおける部品の残数をリールID63に関連付けて記憶部912に記憶する。したがって、対象のテープフィーダ4が部品供給に使用中の一の部品供給テープTPにおける部品残数、当該部品が1枚の基板に実装される個数およびサイクルタイムから、一の部品供給テープTPの部品が使い切られて次の部品供給テープTPがローディングされるタイミング、すなわちプリセット可能期間の開始時刻が計算できる。
一方、対象のテープフィーダ4が自動装填タイプでない場合(ステップS108で「NO」の場合)、ステップS109を経ずにステップS110に進む。
ステップS110では、残数警告までの時間が計算される。具体的には、対象のテープフィーダ4に装着されている全部品供給テープTPに収容される部品の個数(すなわち、部品残数)が警告残数となる時間が、上記と同様に生産進捗と基板データとに基づき計算される。なお、この警告残数は作業者に警告を行うタイミングを与え、部品実装機1は、テープフィーダ4の部品残数が警告残数となると、作業者に警告を報知する。
ステップS111では、残数停止までの時間が計算される。具体的には、対象のテープフィーダ4の部品残数が停止残数となる時間が、上記と同様に生産進捗と基板データとに基づき計算される。なお、この停止残数は、警告残数より小さい値であって、テープフィーダ4による部品供給を停止するタイミングを与え、部品実装機1は、テープフィーダ4の部品残数が停止残数となると、テープフィーダ4による部品供給を停止する。
また、ステップS112では、フィーダ取付台車7の交換までの時間が計算される。つまり、生産計画に応じて生産する基板の品種が変わるような場合には段取変更が行われる。そこで、この段取変更までの時間が計算される。
ステップS113では、フィーダ番号Nfが最大値Nfx(供給部番号Ncにおけるテープフィーダ4の個数に相当)に到達したかが確認され、フィーダ番号Nfが最大値Nfxに到達するまで、ステップS107~S112が実行される。これによって、供給部番号Ncの部品供給部25の全てのテープフィーダ4に対してステップS107~S112が実行される。
ステップS114では、供給部番号Ncが最大値Ncx(部品実装機1における供給部番号Ncの個数に相当)に到達したかが確認され、供給部番号Ncが最大値Ncxに到達するまで、ステップS105~S113が実行される。これによって、部品実装機1の全ての部品供給部25に対してステップS105~S113が実行される。
ちなにみ、ここでは1台の部品実装機1について説明を行った。しかしながら、複数の部品実装機1が直列に並ぶ生産ラインにおいて、複数の部品実装機1に順番に基板Bを搬送して各部品実装機1に基板Bへの部品実装を実行させる場合には、これら複数の部品実装機1のそれぞれについて、ステップS102~S114が実行される。また、各部品実装機1が複数のレーン(例えばデュアルレーン)を有する場合には、これら複数のレーンのそれぞれについて、ステップS102~S114が実行される。さらに、複数の生産ラインが設けられている場合には、これら複数の生産ラインのそれぞれについて、ステップS101~S114が実行される。
ステップS115では、ステップS101~S114での演算結果に基づき、演算部911はタイムテーブルを算出する。このタイムテーブルは、ステップS109~S112で算出したテープフィーダ4の各事象の発生時刻を各テープフィーダ4について示し、例えば、自動装填タイプのテープフィーダ4のプリセット可能期間を各テープフィーダ4について示す。
ステップS116では、演算部911は、テープフィーダ4への部品の補給タイミングを算出する。特に、演算部911は、上記の一括補給を実行可能となるタイミングを、複数の部品供給部25のそれぞれについて判断する。具体的には、部品供給部25に含まれる自動装填タイプの複数のテープフィーダ4それぞれのプリセット可能期間が重複する期間が、一括補給可能期間(補給タイミング)として算出される。この一括補給可能期間は、部品供給部25のフィーダ取付台車7に装着された部品補給台車8に保持される全ての部品供給リール6を、部品補給台車8からフィーダ取付台車7に移して、部品補給台車8をフィーダ取付台車7から取り外し可能となる期間に相当する。かかる一括補給可能期間の算出は、複数の部品供給部25のそれぞれについて実行される。
ここで、複数の部品供給部25とは、部品補給管理支援の対象に含まれる複数の部品供給部25に相当する。例えば、1台の部品実装機1を対象とする場合には、複数の部品供給部25は当該部品実装機1に含まれる全部品供給部25に相当し、複数の部品実装機1が直列に並ぶ生産ラインを対象とする場合には、複数の部品供給部25は当該生産ラインに含まれる全部品供給部25に相当する。
ステップS117では、一括補給可能期間で実行する一括補給で、テープフィーダ4に補給する部品が決定される。具体的には、部品供給部25が備える自動装填タイプの複数のテープフィーダ4のうち、部品補給の対象となる補給対象テープフィーダ4が特定される。例えば、プリセット可能期間となった際にテープフィーダ4に装着されている部品供給テープTPに収容される部品残数が、テープフィーダ4が生産計画に基づき供給すべき部品の個数以上である場合には、当該テープフィーダ4には部品を補給する必要が無い。したがって、当該テープフィーダ4は、部品補給の対象から外される。こうして特定された複数の補給対象テープフィーダ4に対する補給部品が決定される。
ステップS118では、ステップS117での決定結果が補給リストTとしてユーザーインターフェース914のディスプレイに表示される。図35は補給リストTの一例を示す図である。この補給リストTでは、一括補給可能期間が開始時刻と終了時刻(例えば、ts1~te1)とで示される。さらに、この補給リストTでは、一括補給可能期間と、当該一括補給可能期間での一括補給の対象となる部品供給部25と、当該部品供給部25の各フィーダ4a、4b、4c、4d、…に一括補給で補給する部品(P1a、P1b…等)が示される。なお、対象の部品供給部25に含まれる複数のテープフィーダ4のうち、各補給対象テープフィーダ4に対して部品P1a、P1b、…が表示される一方、補給対象テープフィーダ4以外のテープフィーダ4に対しては、補給すべき部品がないことを示す「-」が表示される。
かかる部品補給支援装置91を備える部品実装システム9では、作業者は、部品実装機1の部品供給部25から離れた作業場所において、図35の補給リストTを参照しつつ、後の一括補給で補給する部品に対応する部品供給リール6(部品供給テープTP)を部品補給台車8に準備する一括補給準備を実行できる。
図36は一括補給準備の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、部品補給支援装置91の演算部911の演算により実行される。ステップS201では、一括補給の指定の有無が確認される。具体的には、作業者はユーザーインターフェース914に表示された補給リストTに示される複数の一括補給可能期間のうちの一の一括補給可能期間を指定でき、演算部911は、指定された一括補給可能期間に対応する一括補給のための準備が開始されたと判断する。
ステップS202では、補給台車ID86が取得されたか否かが確認される。具体的には、作業者が一括補給準備を実行する部品補給台車8の補給台車ID86をリーダ915により読み取ると、演算部911は、リーダ915に読み取られた補給台車ID86を取得したと判断する(ステップS202で「YES」)。これによって、演算部911は、一括補給準備の対象である部品補給台車8を補給台車ID86により特定できる。
続いて、作業者は、補給リストTを参照しつつ、一括補給準備で部品補給台車8のリール載置台85に載置すべき部品供給リール6を部品庫から取り出し、この部品供給リール6に付された部品ID64およびリールID63をリーダ915により読み取る。こうしてリーダ915に読み取られた部品ID64およびリールID63が演算部911に取得される(ステップS203、S204で「YES」)。
さらに、作業者は、部品供給リール6から引き出した部品供給テープTPの先端部をテープセットユニット5に保持させつつ、このテープセットユニット5を部品補給台車8のユニットスロット831に装着する。この際、作業者は、補給リストTを参照しつつ、当該部品供給テープTP内の部品を補給すべきテープフィーダ4のセット位置Sに対応するユニットスロット831にテープセットユニット5を装着する。これを受けて、部品補給台車8の通信部803は、テープセットユニット5が装着されたユニットスロット831に対応するセット位置Sを、部品補給支援装置91の通信部913に送信し、演算部911は、通信部913により受信されたセット位置Sを取得する(ステップS205で「YES」)。
こうして、部品ID64、リールID63およびセット位置Sの全情報が取得されると(ステップS206で「YES」)、これらの組合せが、生産計画に基づく基板データに適合するかが判断される(ステップS207)。具体的には、基板データには、テープフィーダ4のセット位置Sごとにテープフィーダ4にセットすべき部品ID64が設定されているため、基板データが示すセット位置Sの部品ID64と、フィーダ取付台車7のセット位置Sに取り付けられているリールID63に対応する部品ID64とが一致するかが照合される。例えば作業者がテープセットユニット5を装着するユニットスロット831を間違えた場合には、これらの組み合わせが基板データに適合せず、ステップS207で「NO」と判断される。その結果、ユーザーインターフェース914に組み合わせが基板データに不適合である旨の警告が表示され(ステップS208)、ステップS210に進む。一方、これらの組み合わせが基板データに適合する場合(ステップS207で「YES」の場合)には、演算部911は、これらを対応付けた部品対応関係情報Ipを生成して、記憶部912に保存し(ステップS209)、ステップS210に進む。
ちなみに、部品ID64、リールID63およびセット位置Sの組合せが生産計画に基づく基板データに適合する場合には、演算部911は、ステップS102で取得した過去の生産進捗に基づき作成された補給リストTが、現在の生産進捗に適合するかを判断する補給リスト適合判断をさらに実行してもよい。つまり、途中で生産がエラー等により中断したような場合には、補給リストTの作成のために取得した進捗状況(ステップS102)から算出した一括補給可能期間において、一括補給対象のテープフィーダ4のうち一部のテープフィーダ4に対してプリセットが実行できず、一括補給が不可能となる状況が生じうる。したがって、当該一括補給可能期間に補給リストTに従って一括補給が可能である、すなわち補給リストTが現在の生産進捗に適合する場合に、ステップS207で「YES」と判断する一方、これらが適合しない場合には、ステップS207で「NO」と判断してもよい。
ステップS210では、一括補給準備が完了したか否かが判断される。具体的には、ステップS201で指定された一括補給の対象となる全補給対象テープフィーダ4のセット位置Sに対応する全ユニットスロット831にテープセットユニット5が装着されたか否かが判断される。テープセットユニット5が未装着のユニットスロット831がこれらのうちに存在する場合には、一括補給準備が未完であると判断され(ステップS210で「NO」)、ステップS203に戻る。一方、全ユニットスロット831へのテープセットユニット5の装着が確認されると、一括補給準備が完了したと判断される(ステップS210で「YES」)。
こうして一括補給準備が完了すると、図37に示す部品対応関係情報Ipが記憶部912に保存されることとなる。ここで、図37は部品対応関係情報の一例を模式的に示す図である。図37において、斜線のハッチングが付されたセット位置S2、S4、S5が補給対象テープフィーダ4のセット位置Sに相当する。こうして、セット位置Sと、当該セット位置Sに対応するテープセットユニット5上の部品供給テープTPの部品ID64およびリールID63とを対応付けた部品対応関係情報Ipが、各補給対象テープフィーダ4のセット位置Sについて生成されて保存される。
一括補給準備が完了した部品補給台車8は、対象の部品供給部25のフィーダ取付台車7に装着される。なお、この一括補給準備より先に実行された当該フィーダ取付台車7への段取作業では、図38のフィーダ対応関係情報Ifが当該フィーダ取付台車7について生成されて、記憶部912に予め保存されている。ここで、図38はフィーダ対応関係情報の内容を模式的に示す図である。図38に示すように、フィーダ対応関係情報Ifは、フィーダ取付台車7におけるセット位置Sと、当該セット位置Sに装着されたテープフィーダ4のフィーダID421とを対応付けて示し、フィーダ取付台車7の複数のセット位置Sそれぞれについてフィーダ対応関係情報Ifが生成・保存される。
そして、部品補給台車8が部品供給部25のフィーダ取付台車7に装着されると、図24~図32Cに示した要領で、部品補給台車8に装着された複数のテープセットユニット5が、それぞれ複数の補給対象テープフィーダ4に係合する。その結果、複数の補給対象テープフィーダ4に、複数のテープセットユニット5に保持される部品供給テープTPが装着される。
また、部品補給台車8のフィーダ取付台車7への装着に伴って、当該部品補給台車8に関する部品対応関係情報Ipと、当該フィーダ取付台車7に関するフィーダ対応関係情報Ifとが統合されて(データマージ)、部品フィーダ情報Ipfが生成される(図39)。図39は部品フィーダ情報の内容を模式的に示す図である。図39に示すように、部品フィーダ情報Ipfは、同一のセット位置Sに対応するフィーダID421、部品ID64およびリールID63を対応付けて、複数の補給対象テープフィーダ4のそれぞれについて示す。
なお、部品補給台車8を部品供給部25のフィーダ取付台車7に装着するに先立って、上記の補給リスト適合判断を実行してもよい。つまり、これから装着予定の部品補給台車8に対する準備で参照した補給リストTについて、補給リスト適合判断を実行し、適合の場合は部品補給台車8の装着を許可する一方、不適合の場合は部品補給台車8の装着を禁止して作業者に警告を出してもよい。
以上に説明した実施形態では、部品実装機1では、それぞれ装着箇所441を有する複数のテープフィーダ4が部品供給部25に配置され、複数のテープフィーダ4がそれぞれの装着箇所441に装着された部品供給テープTPに収容される部品を供給する。そして、かかる部品実装機1に対して、部品補給を効率的に行うことができる。具体的には、部品実装機1のテープフィーダ4に部品を補給するにあたり部品補給台車8が使用される。この部品補給台車8は、複数のテープフィーダ4にそれぞれ対応する複数のユニットスロット831を有する。そして、部品補給台車8を部品実装機1の部品供給部25に装着することで、複数のテープフィーダ4のうち、複数の補給対象テープフィーダ4のそれぞれに対応する(換言すれば、同一のセット位置Sに位置する)ユニットスロット831に保持される部品供給テープTPを複数の補給対象テープフィーダ4それぞれの装着箇所441一括して装着できる(一括補給)。特に、生産計画に基づき、一括補給の準備のために部品補給台車8のユニットスロット831に保持すべき部品供給テープTPを示す補給リストT(準備計画)が算出される。したがって、部品実装機1による部品実装と並行して、生産計画に基づき部品補給台車8に部品供給テープTPを準備しておき、補給が必要なタイミングで一括補給を実行して、複数の補給対象テープフィーダ4に部品供給テープTPを補給できる。こうして、本実施形態では、テープフィーダ4への部品補給を効率的に行うことが可能となっている。
また、補給リストTを作業者に表示するユーザーインターフェース914が具備されている。かかる構成では、作業者は、ユーザーインターフェース914に表示された補給リストTを確認しつつ、部品補給台車8に部品供給テープTPを準備しておくことができる。
また、部品供給テープTPには、当該部品供給テープTPに収容される部品に関する部品情報(リールID63および部品ID64)が設けられている。これに対して、演算部911は、ユニットスロット831と、当該ユニットスロット831に保持された部品供給テープTPの部品情報との対応関係を示す部品対応関係情報Ipが生産計画に適合しない場合(ステップS207で「NO」の場合)には、作業者に警告を出す(ステップS208)。かかる構成では、部品補給台車8への部品供給テープTPの準備作業にミスが生じた場合に、作業者に警告を出すことができる。
また、テープフィーダ4には、当該テープフィーダ4に関するフィーダ情報(フィーダID421)が設けられている。これに対して、演算部911は、ユニットスロット831と、当該ユニットスロット831に保持された部品供給テープTPの部品情報との対応関係を示す部品対応関係情報Ipと、ユニットスロット831と、当該ユニットスロット831に対応するテープフィーダ4のフィーダ情報との対応関係を示すフィーダ対応関係情報Ifとを取得する。そして、部品補給台車8が部品供給部25のフィーダ取付台車7へ装着されると、互いに対応する(すなわち、同一のセット位置Sに対応する)ユニットスロット831とテープフィーダ4とについて、ユニットスロット831に保持される部品供給テープTPの部品情報と、テープフィーダ4のフィーダ情報とを関連付けて示す部品フィーダ情報Ipfを生成する。かかる構成では、部品補給台車8の部品供給部25への装着に伴って、部品フィーダ情報Ipfが生成される。したがって、部品補給後におけるテープフィーダ4に対する部品供給テープTPの配置状況を、部品フィーダ情報Ipfにより的確に把握することができる。
また、テープフィーダ4には、先行のテープセットユニット5Aおよび後続のテープセットユニット5Bの両方が係脱可能である。そして、先行のテープセットユニット5Aおよび後続のテープセットユニット5Bの一のテープセットユニット5がテープフィーダ4に係合することで、当該一のテープセットユニット5により保持される部品供給テープTPがテープフィーダ4の装着箇所441に装着される。また、部品補給台車8のユニットスロット831には、後続のテープセットユニット5Bが装着可能であり、後続のテープセットユニット5Bがユニットスロット831に装着されることで、後続のテープセットユニット5Bに保持される部品供給テープTPがユニットスロット831に保持される。そして、先行のテープセットユニット5Aが補給対象テープフィーダ4に係合した状態で、補給対象テープフィーダ4に対応するユニットスロット831に後続のテープセットユニット5Bが装着された部品補給台車8が部品供給部25に装着されると、後続のテープセットユニット5Bが先行のテープセットユニット5Aを押し出して補給対象テープフィーダ4から離脱させつつ、補給対象テープフィーダ4に係合する。かかる構成では、部品補給台車8を部品供給部25に装着するといった動作によって、補給対象テープフィーダ4に装着されるテープセットユニット5を、先行のテープセットユニット5Aから後続のテープセットユニット5Bに交換して、後続のテープセットユニット5Bに保持される部品供給テープTPを補給対象テープフィーダ4に簡単に装着することができる。
このように本実施形態では、部品実装システム9が本発明の「部品実装システム」の一例に相当し、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、部品供給部25が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、テープフィーダ4が本発明の「フィーダ」の一例に相当し、装着箇所441が本発明の「装着箇所」の一例に相当し、実装ヘッド31が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品補給台車8が本発明の「補給台車」の一例に相当し、ユニットスロット831が本発明の「保持部」の一例に相当し、部品補給支援装置91が本発明の「部品補給支援装置」の一例に相当し、演算部911が本発明の「演算部」の一例に相当し、記憶部912が本発明の「記憶部」の一例に相当し、ユーザーインターフェース914が本発明の「準備計画表示部」の一例に相当し、補給リストTが本発明の「準備計画」の一例に相当し、リールID63および部品ID64が本発明の「部品情報」の一例に相当し、フィーダID421が本発明の「フィーダ情報」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。図40は一括補給の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートは、部品補給支援装置91の演算部911の演算により実行される。
ステップS301では、部品補給台車8が部品供給部25のフィーダ取付台車7に装着されるのに伴って、フィーダ取付台車7のリーダ78が部品補給台車8の補給台車ID86を取得したかが確認される。補給台車ID86が取得されると(ステップS301で「YES」)、当該補給台車ID86が適切であるか、すなわち一括補給のために部品供給部25に装着されるべき部品補給台車8の補給台車ID86であるかが判断される(ステップS302)。
補給台車ID86が不適切である場合(ステップS302で「NO」の場合)、ユーザーインターフェース914は、部品補給台車8と部品供給部25との組み合わせが不適切である旨を示す警告を表示する(ステップS303)。
補給台車ID86が適切である場合(ステップS302で「YES」の場合)、テープセンサ491が、部品補給台車8に保持された部品供給テープTPが、当該テープセンサ491の属するテープフィーダ4の装着箇所441に装着されたか否かを判断する。つまり、ユニット交換が実行された場合、先行の部品供給テープTPが装着箇所441から落下した後に、後続の部品供給テープTPが装着箇所441に進入するため、装着箇所441では、部品供給テープTPあり、部品供給テープTPなし、部品供給テープTPありといった順で、部品供給テープTPの存在状況が変化する。したがって、テープセンサ491はかかる変化に基づき、部品補給台車8に保持された部品供給テープTPの装着箇所441への装着を確認できる。
かかる装着確認は、フィーダ取付台車7に保持される複数のテープフィーダ4のそれぞれで個別に実行される。そして、部品供給テープTPの装着が検知されたテープフィーダ4については、検知箇所が適切であるか、すなわち当該テープフィーダ4のセット位置Sが、補給対象テープフィーダ4のセット位置Sに一致するかが確認される(ステップS305)。ステップS305で検知箇所が適切(YES)と判断されたテープフィーダ4については、図39に示すようにデータの統合が実行されて、部品フィーダ情報Ipfが生成される(ステップS306)。一方、ステップS305で検知箇所が不適切と判断されたテープフィーダ4については、データの統合は実行されず、ユーザーインターフェース914は、部品補給台車8に保持された部品供給テープTPの装着先であるテープフィーダ4が不適切であるとの警告を表示する(ステップS303)。
ステップS307では、一括補給の補給対象テープフィーダ4の全てについて、部品補給台車8に保持された部品供給テープTPの装着が検知されたかが確認される。そして、全補給対象テープフィーダ4について当該部品供給テープTPの装着が検知されていない場合(ステップS307で「NO」の場合)には、ユーザーインターフェース914は、部品供給テープTPが未補給である補給対象テープフィーダ4が存在する旨を表示する。
かかる変形例では、複数のテープフィーダ4は、それぞれの装着箇所441への部品供給テープTPの装着を検知するテープセンサ491を有する。これに対して、演算部911は、部品補給台車8が部品供給部25へ装着されると、複数の補給対象テープフィーダ4のうち、装着箇所441への部品供給テープTPの装着が検知された補給対象テープフィーダ4について部品フィーダ情報Ipfを生成する一方、装着箇所441への部品供給テープTPの装着が検知されない補給対象テープフィーダ4については部品フィーダ情報Ipfを生成しない(ステップS304~S306)。かかる構成では、例えば部品補給台車8の運搬途中で、テープセットユニット5が部品補給台車8から脱落する等の不具合に起因して、補給対象テープフィーダ4への部品供給テープTPの装着に失敗した場合には、かかる状況を反映した適切な部品フィーダ情報Ipfを生成することができる。
また、演算部911は、部品補給台車8の部品供給部25への装着後に、装着箇所441への部品供給テープTPの配置が検知されない補給対象テープフィーダ4の存在を確認すると(ステップS307で「NO」)、作業者に警告を出す(ステップS303)。かかる構成では、例えば部品補給台車8の運搬途中における不具合に起因して、補給対象テープフィーダ4への部品供給テープTPの装着に失敗した場合には、作業者に警告を出すことができる。
また、演算部911は、部品補給台車8の部品供給部25への装着に伴って、複数のテープフィーダ4のうち、補給対象テープフィーダ4以外のテープフィーダ4の装着箇所441への部品供給テープTPの装着が検知されると(ステップS305)、作業者に警告を出す(ステップS303)。かかる構成では、補給対象テープフィーダ4と異なるテープフィーダ4に誤って部品供給テープTPが装着された場合には、作業者に警告を出すことができる。
また、部品補給台車8には、当該部品補給台車8を識別する補給台車ID86が付され、部品供給部25のフィーダ取付台車7は、当該フィーダ取付台車7に装着される部品補給台車8に付された補給台車ID86を読み取るリーダ78を有する。これに対して、演算部911は、リーダ78に読み取られた補給台車ID86が示す部品補給台車8と部品供給部25との組み合わせが不適切な場合(ステップS302で「NO」の場合)には、作業者に警告を出す(ステップS303)。かかる構成では、間違った部品供給部25に対して部品補給台車8が装着されるのを抑制できる。
また、ここに示した変形例と別の変形を上記の実施形態に加えることができる。例えば、一括補給の対象となるフィーダは、テープフィーダに限られず、図41に示すトレイフィーダでもよい。図41は一括補給の対象となるトレイフィーダの構成を模式的に示す図である。
図41に示すように、この部品実装機120は、パレット121に載置された部品を基板Bに実装するものであり、Z方向に積奏された複数のラック123(部品供給部)を有する。複数のラック123が「フィーダ」に相当し、各ラック123は、パレット121が装着される底面123aを有する。各ラック123は、底面123aからパレット引出部材(図示省略)にパレット121に受け渡し、実装ヘッドは、パレット引出部材を介してラック123から供給されたパレット121上の部品を基板Bに実装する。さらに、部品実装機120は、複数のラック123の下方に、空になったパレット121を回収するパレット回収部125を有する。
一方、部品補給台車8は、複数のラック123に対応して、複数のパレットスロット87を有する。そして、ステップS401では、複数のラック123のうち、各補給対象ラック123(空のラック123)に対応する各パレットスロット87にパレット121を保持した部品補給台車8が部品実装機120に向けて運搬される。そして、部品補給台車8が部品実装機120に到達して(ステップS402)、各パレットスロット87に設けられたパレット押出部材871が部品実装機120側に移動することで(ステップS403)、部品実装機1の部品供給部(すなわち、複数のラック123)への部品補給台車8の装着が完了する。これによって、パレットスロット87が複数の補給対象ラック123のそれぞれに装着されて、一括補給が完了する。かかる構成に対しても、上記の実施形態を同様に適用できる。
また、演算部911が図34に示す部品補給支援を繰り返し実行する変形例も考えられる。この変形例では、例えば所定間隔を空けて設定された実行時刻となる度に、生産計画の取得、生産進捗の取得および基板データの取得(ステップS101、S102、S103)が実行され、当該実行時刻におけるリアルタイムの生産進捗に基づき、補給リストTが生成される。
また、一括補給を行うタイミングを、時間的に幅を有する一括補給可能期間として示す必要はない。すなわち、一括補給を行うタイミングとして、一括補給可能時刻(例えば、一括補給可能期間の開始時刻)を作業者に示すことができる。この場合、図42に示すように、補給リストTを変形してもよい。
図42は補給リストの変形例を模式的に示す図である。図42の補給リストTでは、セット位置S1、S2、…にセットされた各テープフィーダ4について、一括補給可能時刻におけるプリセットの可否、補給の要否および補給の実行の有無(不用/実行/不可)を示す。ここで、補給の実行が不要である(「補給の実行」の欄が「不要」)とは、対象のテープフィーダ4にプリセットを実行可能ではあるが、当該テープフィーダ4に装着されている部品供給テープTPに残る部品により生産計画を完了できるため、当該テープフィーダ4への部品補給が不要であり、したがって、当該テープフィーダ4への部品補給の実行が不要であることを示す。補給を実行する(「補給の実行」の欄が「実行」)とは、対象のテープフィーダ4にプリセットが実行可能であるとともに、当該テープフィーダ4に装着されている部品供給テープTPに残る部品により生産計画を完了できず、生産計画の継続のために当該テープフィーダ4への部品補給が必要であるため、テープフィーダ4への部品補給を実行することを示す。補給が不可である(「補給の実行」の欄が「不可」)とは、対象のテープフィーダ4に装着されている部品供給テープTPに残る部品により生産計画を完了できず、生産計画の継続のために当該テープフィーダ4への部品補給が必要ではあるが、当該テープフィーダ4へのプリセットが実行できず、当該テープフィーダ4への部品補給が実行できないことを示す。
この補給リストTの例によると、一括補給時刻において、セット位置S1のテープフィーダ4に対して、プリセットは実行できず、部品の補給は不要である。その結果、セット位置S1のテープフィーダ4に対しては、一括補給可能時刻において補給の実行が不要であると示される。セット位置S2のテープフィーダ4に対しては、一括補給時刻において、プリセットが実行可能であり、部品の補給が必要である。その結果、セット位置S2のテープフィーダ4に対しては、一括補給可能時刻に補給を実行すると示される。また、セット位置S3のテープフィーダ4に対しては、一括補給時刻において、部品の補給が必要であるが、プリセットは実行できない。その結果、セット位置S3のテープフィーダ4に対しては、補給の実行が不可であると示される。
あるいは、フィーダ係合部を係合孔(フィーダ係合孔412)で構成する一方、ユニット係合部を係合突起(ユニット係合突起572)で構成している。しかしながら、フィーダ係合部を係合突起で構成する一方、ユニット係合部を係合孔で構成してもよい。その他の係合孔および係合突起についても、これらを適宜入れ換えて構成することができる。
また、部品補給台車8の運搬は、作業者によらず、無人搬送車により行ってもよい。あるいは、部品補給台車8に対する一括補給準備に適宜ロボットを利用してもよい。