JP7196914B2 - 樹脂付金属箔、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板 - Google Patents

樹脂付金属箔、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板 Download PDF

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Description

本発明は樹脂付金属箔、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板に関する。
金属箔の表面に絶縁樹脂層を有する樹脂付金属箔は、金属箔をエッチング等によって加工して伝送回路を形成してプリント基板として用いられる。
高周波信号の伝送に用いられるプリント基板には、伝送特性に優れることが要求される。伝送特性を高めるには、プリント基板の絶縁樹脂層として、比誘電率及び誘電正接が低い樹脂を用いる必要がある。比誘電率及び誘電正接が小さい樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマーが知られている。
フルオロポリマーを含む絶縁樹脂層を有する樹脂付金属箔を形成する材料として、フルオロポリマーのパウダーが溶媒に分散したパウダー分散液が提案されている(特許文献1~3参照。)。このパウダー分散液は、他の絶縁樹脂及びそのワニスを配合すれば、得られる樹脂付金属箔の諸物性を任意に調整できる利点や、金属箔の表面に塗布乾燥するだけで樹脂付金属箔を形成できる利点がある。
また、電子機器の高密度化に伴い、プリント基板同士をプリプレグ等の他の基板を介して接着させるプリント基板の多層化が検討されている。
フルオロポリマーを絶縁樹脂層とする樹脂付金属箔から形成されたプリント基板を多層化する検討としては、プリント基板の絶縁樹脂層上にケイ素原子、窒素原子又は硫黄原子を有するシランカップリング剤の被覆層を設け、被覆層と特定のフルオロポリマーを主成分とするプリプレグとを熱圧着により接着させる検討がある(特許文献4参照)。
国際公開第2017/222027号 国際公開第2016/159102号 特開2017-193655号公報 特開2018-011033号公報
フルオロポリマーを含む絶縁樹脂層の表面に他の基板(プリプレグ等。)を積層して多層化する態様や、前記絶縁樹脂層の表面に他の基板(カバーレイフィルム等。)を積層してパッケージングする態様では、得られるプリント基板の電気特性や生産性の観点から、前記絶縁樹脂層と他の基板は強固に積層される必要がある。
しかし、フルオロポリマーは本質的に疎水性かつ低粘着性であり、前記絶縁樹脂層と他の基板とを強固に積層するのは容易ではない。表面処理(プラズマ処理、コロナ処理、電子線処理等。)により、前記樹脂層を親水性に改質して接着性を付与する方法が知られている。しかし、表面処理では、経時的変性や形状変化等を誘引し、前記絶縁樹脂層の本来の電気特性や機械的強度を損なう場合がある。
このように、フルオロポリマーのパウダーを含むパウダー分散液から、フルオロポリマーを含む、各種物性を具備しつつ、接着性に特に優れた絶縁樹脂層を有する樹脂付金属箔を製造するための方法が求められている。
また、フルオロポリマーは、本質的に粘着性が低く、熱伸縮性も高いため、前記絶縁樹脂層とする樹脂付金属箔から形成されたプリント基板を、その寸法安定性を損なわずに、プリプレグ等の他の基板と強固に接着させて多層化するのも容易ではない。
特許文献4における検討においては、多層化後の伝送特性や機械的強度を保持するために、高融点のフルオロポリマーを用いるのが望ましい。この場合、多層化に際して、プリント基板とプリプレグとを高温で熱圧着する必要がある。そのため、熱圧着における高温によって、プリント基板の寸法安定性が低下する課題がある。多層化に際して、プリント基板の寸法安定性が損なわれると、得られる多層プリント基板の反りが問題となり易い。
また、プリント基板の実装工程において、はんだペーストを載せて加熱する方式(はんだリフロー方式)をとる場合、加熱によって前記絶縁樹脂層と、プリプレグが硬化した硬化物層との界面に膨れが発生するため、はんだリフロー耐性も課題となる。
このように、フルオロポリマーを絶縁樹脂層とするプリント基板を多層化するに際しては、プリント基板の寸法安定性を損なわないように、プリプレグ等の他の基板と低温接着でき、はんだリフロー方式等の加熱工程における膨れが発生しにくいプリント基板が求められており、かかるプリント基板を形成できる樹脂付金属箔が求められている。
さらに、特許文献4に記載の多層基板においては、フルオロポリマーを含む絶縁樹脂層上に設けられたシランカップリング剤の被覆層により、絶縁樹脂層の電気特性が低下しやすい。また、前記絶縁樹脂層とプリプレグとを高温で熱圧着する場合には、フルオロポリマーに比較して耐熱性が概して低いマトリックス樹脂(フッ素原子を有さないマトリックス樹脂等。)を含むプリプレグの使用も困難である。
このように、フルオロポリマーを絶縁樹脂層とし、それぞれの層を形成する材料の特性が損なわずに、それぞれの層が強固に接着され、反りが少ない、金属箔を有する積層体が求められている。
本発明は、電気特性及び機械的強度に優れ、プリント基板を製造するために有用な、フルオロポリマーを含む、接着性に優れた樹脂層を有する樹脂付金属箔の効率的な製造方法を提供する。
本発明は、電気特性及び機械的強度に優れ、プリント基板を製造するために有用な、フルオロポリマーを含む、接着性に優れた樹脂層を有する樹脂付金属箔を提供する。
本発明は、伝送特性及び機械的強度に優れ、各層が強固に接着され、反りが少ない積層体及びプリント基板を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]金属箔の表面に樹脂層を有する樹脂付金属箔の製造方法であり、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと80~300℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である分散剤と溶媒とを含むパウダー分散液を金属箔の表面に塗布し、前記温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度にて金属箔を保持し、前記温度領域超の温度にてテトラフルオロエチレン系ポリマーを焼成させて金属箔の表面にテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層を形成する、樹脂付金属箔の製造方法。
[2]樹脂層の水接触角が、70~100°である、[1]に記載の製造方法。
[3]分散剤が、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマーである、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記温度領域に金属箔を保持する際の温度が、100~300℃である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記温度領域に金属箔を保持する際の雰囲気が、酸素ガスを含む雰囲気である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]テトラフルオロエチレン系ポリマーを焼成させる際の温度が、330~380℃である、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]金属箔、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、及び、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する親水成分を含む接着部位をこの順に有し、前記樹脂層と前記接着部位とが接している、樹脂付金属箔。
[8]前記接着部位が、島状に存在している、[7]に記載の樹脂付金属箔。
[9]前記親水成分が、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマーに由来する、[7]又は[8]に記載の樹脂付金属箔。
[10]前記[7]~[9]のいずれかに記載の樹脂付金属箔と他の基板とを熱プレス法により接着させて積層体を得る、積層体の製造方法。
[11]金属箔、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、及び、マトリックス樹脂を含むプリプレグの硬化物層をこの順に有し、前記樹脂層と前記硬化物層との間に、前記樹脂層及び前記硬化物層に接する、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含む相溶層をさらに有する、積層体。
[12]前記相溶層の厚さが、1~500nmである、[11]に記載の積層体。
[13]前記相溶層が、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマーに由来する、[11]又は[2]に記載の積層体。
[14]前記マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素原子を有さないマトリックス樹脂である、[11]~[13]のいずれかに記載の積層体。
[15]伝送回路、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、マトリックス樹脂を含むプリプレグの硬化物層をこの順に有し、前記樹脂層と前記硬化物層との間に、前記樹脂層及び前記硬化物層に接する、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含む相溶層をさらに有する、プリント基板。
本発明の製造方法によれば、電気特性と機械的強度を具備し、プリント基板を製造するために有用な、フルオロポリマーを含む、接着性に優れた樹脂層を有する樹脂付金属箔を、効率的に製造できる。
本発明の樹脂付金属箔は、フルオロポリマーを含む樹脂層を有するにもかかわらず、その寸法安定性を損なわないように、他の基板と低温接着できるだけでなく、プリント基板とした場合に耐熱性が優れ、膨れが発生しにくい。
本発明の積層体は、伝送特性及び機械的強度に優れ、各層が強固に接着され、反りが少ない。
本発明のプリント基板は、伝送特性及び機械的強度に優れ、各層が強固に接着され、反りが少ない。本発明によれば、伝送特性及び機械的強度に優れ、各層が強固に接着され、反りが少ないプリント基板を製造できる。
実施例の例3-1における樹脂付銅箔Aの樹脂層の表面をAFM-IR法により分析して得られる画像である。 実施例の例4-1における積層体Bの断面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、パウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、パウダーの体積基準累積90%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ-8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「ポリマーの融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「分散剤の質量減少率」は、分散剤を温度領域の下限から上限に昇温させた際の分散剤の質量減少量を、昇温時間と分散剤の試料量とで除した%値である。
「反り率」は、サンプル(樹脂付金属箔、積層体等)から180mm角の四角い試験片を切り出し、試験片についてJIS C 6471:1995(IEC 249-1:1982)に規定される測定方法にしたがって測定される値である。
「寸法変化率」は、次のようにして求められる値である。サンプル(樹脂付金属箔、積層体等)を150mm角で切り出し、0.3mmのドリルを用いて四隅に穴を空けて三次元測定器で穴の位置を測定する。樹脂付金属箔の金属箔をエッチングで取り除き、130℃で30分間乾燥する。四隅に空けた穴の位置を三次元測定器で測定する。エッチング前後の穴の位置の差から寸法変化率を算出する。
「算術平均粗さRa」及び「最大高さRz」は、Oxford Instruments社製の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、下記測定条件にて、サンプル(樹脂付金属箔、積層体等)の表面(1μm範囲)について測定した際の値である。
プローブ:AC160TS-C3(先端R <7nm、バネ定数 26N/m)、測定モード:AC-Air、Scan Rate:1Hz。
「比誘電率(20GHz)及び誘電正接(20GHz)」は、SPDR(スプリットポスト誘電体共振器)法により、23℃±2℃、50±5%RHの範囲内の環境下にて、周波数20GHzで測定される値である。
「耐熱性樹脂」とは、融点が280℃以上の高分子化合物、又はJIS C 4003:2010(IEC 60085:2007)で規定される最高連続使用温度が121℃以上の高分子化合物を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「単位A」とも記す。
本発明の樹脂付金属箔の製造方法は、特定パウダーと特定分散剤と溶媒とを含むパウダー分散液を金属箔の表面に塗布し、特定の温度雰囲気で段階的に加熱保持して、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「TFE系ポリマー」とも記す。)を含む樹脂層(以下、「F樹脂層」とも記す。)を金属箔の表面に形成する方法である。本発明におけるパウダー分散液は、TFE系ポリマーのパウダーが粒子状に分散した分散液である。
本発明の製造方法で得られる樹脂付金属箔のF樹脂層が他の基板との接着性に優れている理由は、必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
本発明におけるパウダー分散液は、所定の質量減少率(80~300℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である。)を示す分散剤を含み、TFE系ポリマーのパウダー及び分散剤の高度な相互作用により、分散安定性と塗布時のパウダーのパッキング能とが高い。つまり、このパウダー分散液を金属箔の表面に塗布して所定の温度(80~300℃の温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度)に保持すると、溶媒の揮発と分散剤の分解とが進行しながら、特定パウダーが密にパッキングした平滑性の高い被膜が形成される。さらに、この際、分散剤は、親水性になり特定パウダーに弾かれやすくなり、表面に流動しやすくなると考えられる。よって、この保持により、親水性の成分が表面に偏析した状態が形成されるとも考えられる。
本発明においては、この状態で、さらに高い温度(前記温度領域超の温度。)にて前記被膜からF樹脂層を形成するため、結果として、前記F樹脂層の表面は親水性と平滑性が高まり、接着性に優れたF樹脂層を有する樹脂付金属箔が得られたと考えられる。
本発明の製造方法における樹脂付金属箔は、金属箔の少なくとも一方の表面に、F樹脂層を有する。つまり、樹脂付金属箔は、金属箔の片面のみにF樹脂層を有していてもよく、金属箔の両面にF樹脂層を有していてもよい。
樹脂付金属箔の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下が特に好ましい。反り率の下限は、通常、0%である。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性が優れる。
樹脂付金属箔の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下が特に好ましい。この場合、樹脂付金属箔から得られるプリント基板を多層化しやすい。
本発明における金属箔の材質としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等が挙げられる。
金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。金属箔の表面には、防錆層(クロメート等の酸化物皮膜等)、耐熱層等が形成されていてもよい。
金属箔の表面の十点平均粗さは、0.2~1.5μmが好ましい。この場合、F樹脂層との接着性が良好となり、伝送特性に優れたプリント基板が得られやすい。
金属箔の厚さは、樹脂付金属箔の用途において機能が発揮できる厚さであればよい。金属箔の厚さは、2μm以上が好ましく、3μm以上が特に好ましい。また、金属箔の厚さは、40μm以下が好ましく、20μm以下が特に好ましい。
金属箔の表面はシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の全体がシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の一部がシランカップリング剤により処理されていてもよい。
本発明の製造方法におけるF樹脂層は、パウダー分散液から形成される層である。
前述したとおり、F樹脂層の表面は分散剤に起因する親水性を有する。F樹脂層の表面の水接触角は、70~100°が好ましく、70~90°が特に好ましい。前記範囲が上限以下であれば、F樹脂層と他の基材との接着性がより優れる。前記範囲が下限以上であれば、F樹脂層の電気特性(低誘電損失と低誘電率)がより優れる。
F樹脂層の厚さは、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましい。また、F樹脂層の厚さは50μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm未満が特に好ましい。この範囲において、プリント基板の伝送特性と樹脂付金属箔の反り抑制とをバランスさせやすい。樹脂付金属箔が金属箔の両面にF樹脂層を有する場合、それぞれのF樹脂層の組成及び厚さは、樹脂付金属箔の反りを抑制する点から、それぞれ同じであることが好ましい。
F樹脂層の厚さの具体的な態様としては、1~50μmが挙げられ、1~15μm、1μm以上10μm未満、5~15μm等の態様が挙げられる。
F樹脂層の比誘電率は、2.0~3.5が好ましく、2.0~3.0がより好ましい。この場合、F樹脂層の電気特性及び接着性の双方が優れ、低誘電率が求められるプリント基板等に樹脂付金属箔を好適に使用できる。
F樹脂層の表面のRaは、F樹脂層の厚さ未満であり、2.2~8μmが好ましい。この範囲において、他の基板の接着性と加工性とをバランスさせやすい。
本発明におけるパウダー分散液は、TFE系ポリマーを含む体積基準累積50%径が0.05~6.0μmのパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)と、80~300℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である分散剤と、溶媒とを含む。
本発明の製造方法におけるTFE系ポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含むポリマーである。TFE系ポリマーは、TFEのホモポリマーであってもよく、TFEとTFEと共重合可能な他のモノマー(以下、コモノマーとも記す。)とのコポリマーであってもよい。TFE系ポリマーは、ポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位を90~100モル%含むのが好ましい。
TFE系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEとエチレンのコポリマー(ETFE)、TFEとプロピレンのコポリマー、TFEとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)のコポリマー(PFA)、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー(FEP)、TFEとクロロトリフルオロエチレンのコポリマーが挙げられる。
TFE系ポリマーの溶融温度は、380℃において1×10~1×10Pa・sが好ましく、340℃において1×10~1×10Pa・sが好ましく、300℃において1×10~1×10Pa・sが好ましい。この場合、パウダー分散液を金属箔の表面に塗布して所定の温度(80~300℃の温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度。)に保持した際に、パウダーが密にパッキングした平滑性の高い被膜をより形成しやすい。
TFE系ポリマーの好適な態様としては、低分子量のPTFEが挙げられる。低分子量のPTFEは、コア部分とシェル部分からなるコア-シェル構造においてシェル部分のみが上記溶融粘度を満たすPTFEであってもよい。
低分子量のPTFEとしては、高分子量のPTFE(溶融粘度が1×10~1×1010Pa・s程度。)に放射線を照射して得られるPTFE(国際公開第2018/026012号、国際公開第2018/026017号等を参照。)であってもよく、TFEを重合してPTFEを製造する際に連鎖移動剤を用い分子量を低減して得られるPTFE(特開2009-1745号公報、国際公開第2010/114033号等を参照。)であってよい。
なお、低分子量のPTFEは、TFEを単独で重合して得られたポリマーであってもよく、TFEとコモノマーとを共重合して得られたコポリマーであってもよい(国際公開第2009/20187号等を参照。)。ポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位は、99.5モル%以上が好ましく、99.8モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上がさらに好ましい。TFE単位が前記範囲であると、PTFE物性を維持できる。コモノマーとしては、後述するフルオロモノマーが挙げられ、HFP、PAVE又はFAEが好ましい。
コア-シェル構造を有するPTFEとしては、特表2005-527652号公報、国際公開第2016/170918号等に記載のPTFEが挙げられる。シェル部分の溶融粘度を前記範囲とするためには、連鎖移動剤を用いてシェル部分を低分子量化する方法(特開2015-232082号公報等を参照。)、シェル部分の製造の際にTFEと前記コモノマーとを共重合する方法(特開平09-087334号公報を参照。)等が挙げられる。
後者の場合、コモノマーの使用量はTFEに対して0.001~0.05モル%が好ましい。また、シェル部分だけでなくコア部分も共重合により製造してもよい。この場合もコモノマーの使用量はTFEに対して0.001~0.05モル%が好ましい。
低分子量のPTFEの標準比重は、2.14~2.22が好ましく、2.16~2.20がより好ましい。標準比重は、ASTM D4895-04に準拠して測定できる。
TFE系ポリマーの好適な態様としては、TFEとコモノマーとのコポリマーであり、コポリマーに含まれる全単位に対して、コモノマーに基づく単位を0.5モル%超含むフルオロポリマー(以下、「ポリマーF」とも記す。)も挙げられる。ポリマーFの融点は、240℃以上330℃未満が好ましく、260~320℃がより好ましく、295~310℃が特に好ましい。この場合、ポリマーの耐熱性と溶融成形性がバランスする。ポリマーFとしては、ETFE、FEP、PFA等が挙げられる。ポリマーFとしては、電気特性(比誘電率、誘電正接)及び耐熱性の点から、PFA又はFEPがより好ましく、PFAが特に好ましい。
TFE系ポリマーとしては、F樹脂層と金属箔の接着性が優れる点から、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(以下、「官能基」とも記す。)を有するTFE系ポリマーが好ましい。官能基はプラズマ処理等により付与してもよい。
官能基は、TFE系ポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者のポリマーとしては、官能基を、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として有するポリマーが挙げられる。
ポリマーFとしては、官能基を有する単位とTFE単位とを含むポリマーが好ましい。また、この場合のポリマーFは、さらに他の単位(後述するPAVE単位、HFP単位等)を含むのが好ましい。
官能基としては、F樹脂層と金属箔の接着性の観点から、カルボニル基含有基が好ましい。カルボニル基含有基としては、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物残基(-C(O)O(O)C-)、脂肪酸残基等が挙げられ、カルボキシ基及び酸無水物残基が好ましい。
官能基を有する単位は、官能基を有するモノマーに基づく単位が好ましく、カルボニル基含有基を有するモノマーに基づく単位、ヒドロキシ基を有するモノマーに基づく単位、エポキシ基を有するモノマーに基づく単位及びイソシアネート基を有するモノマーに基づく単位がより好ましく、カルボニル基含有基を有するモノマーに基づく単位が特に好ましい。
カルボニル基含有基を有するモノマーとしては、酸無水物残基を有する環状モノマー、カルボキシ基を有するモノマー、ビニルエステル及び(メタ)アクリレートが好ましく、酸無水物残基を有する環状モノマーが特に好ましい。
前記環状モノマーとしては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」とも記す。)及び無水マレイン酸が好ましい。
官能基を有する単位及びTFE単位以外の他の単位としては、HFP単位、PAVE単位及びFAE単位が好ましい。
PAVEとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(PPVE)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等が挙げられ、PPVEが好ましい。
FAEとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH等が挙げられ、CH=CH(CFF、CH=CH(CFFが好ましい。
ポリマーFとしては、官能基を有する単位と、TFE単位と、PAVE単位又はHFP単位とを含むポリマーが好ましい。かかるポリマーFの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載された重合体(X)が挙げられる。
ポリマーFにおけるTFE単位の割合は、ポリマーFを構成する全単位のうち、90~99モル%が好ましい。
ポリマーFにおけるPAVE単位又はHFP単位の割合は、ポリマーFを構成する全単位のうち、0.5~9.97モル%が好ましい。
ポリマーFにおける官能基を有する単位の割合は、ポリマーFを構成する全単位のうち、0.01~3モル%が好ましい。
本発明の製造方法におけるパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)は、TFE系ポリマーを含むパウダーである。Fパウダーは、本発明の効果を損なわない範囲において、TFE系ポリマー以外の成分を含んでいてもよいが、TFE系ポリマーを主成分とするのが好ましい。FパウダーにおけるTFE系ポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%が特に好ましい。
FパウダーのD50は、0.05~6.0μmが好ましく、0.1~3.0μmがより好ましく、0.2~3.0μmが特に好ましい。この範囲において、Fパウダーの流動性と分散性が良好となり、樹脂付金属箔におけるTFE系ポリマーの電気特性(低誘電率等)や耐熱性が最も発現しやすい。
FパウダーのD90は、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。パウダーのD90は、0.3μm以上が好ましく、0.8μm以上が特に好ましい。この範囲において、Fパウダーの流動性と分散性が良好となり、F樹脂層の電気特性(低誘電率等)や耐熱性が最も発現しやすい。
Fパウダーの疎充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.08~0.5g/mLが特に好ましい。
Fパウダーの密充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.1~0.8g/mLが特に好ましい。
Fパウダーの製造方法としては、特に限定されず、国際公開第2016/017801号の[0065]~[0069]に記載の方法を採用できる。なお、Fパウダーは、所望のパウダーが市販されていればそれを用いてもよい。
本発明の製造方法における分散剤は、80~300℃の温度領域において1質量%/分以上の質量減少率を示す化合物である。分散剤は、100~200℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である化合物であるか、200~300℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である化合物であることが好ましい。
分散剤の質量減少率は、昇温ペースを10℃/分とし、分散剤の試料量は10mgとし、混合ガス(ヘリウム90体積%と酸素10体積%)雰囲気下にて、熱重量測定装置(TG)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を使用して測定できる。
例えば、「分散剤の200~300℃の温度領域における質量減少率」は、分散剤の10mgを、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用い、混合ガス(ヘリウム90体積%と酸素10体積%)雰囲気下、10℃/分のペースで200℃から300℃に昇温させた際の質量減少量を、昇温時間(10分)と分散剤の試料量(10mg)とで除した値のパーセンテージ値として求められる。
質量減少率の上限は、50質量%/分が好ましい。
質量減少率は、2~50質量%/分が好ましく、4~20質量%/分がより好ましく、6~15質量%/分が特に好ましい。
質量減少率が1質量%/分以上であれば、F樹脂層の表面の親水性と平滑性をバランスさせやすい。質量減少率が50質量%/分以下であれば、F樹脂層の表面の平滑性と分散剤の分解成分による金属箔の劣化抑制とをバランスさせやすい。
本発明の製造方法における分散剤は、疎水部位と親水部位を有する化合物(界面活性剤)が好ましく、含フッ素部位と親水部位を有する化合物(フッ素系界面活性剤)が特に好ましい。
分散剤としては、ポリオール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリカプロラクタム及びポリマー状ポリオールが好ましく、ポリマー状ポリオールがより好ましい。
ポリマー状ポリオールとは、炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに基づく単位と2以上の水酸基を有するポリマーをいう。ポリマー状ポリオールとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール及びフルオロポリオールが特に好ましく、フルオロポリオールが最も好ましい。ただし、フルオロポリオールとは、Fポリマーではない、水酸基とフッ素原子とを有するポリマー状ポリオールである。また、ポリマー状ポリオールは、水酸基の一部が化学修飾され、変性されていてもよい。
フルオロポリオールとしては、主鎖がエチレン性不飽和モノマーに由来する炭素鎖からなり、側鎖に含フッ素炭化水素基と水酸基とを有するポリマー状ポリオールが挙げられる。前記含フッ素炭化水素基は、複数(2又は3)の1価含フッ素炭化水素基が結合した3級炭素原子を有する基であるのが好ましい。
分散剤としては、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマー(以下、「界面活性剤F」とも記す。)が好ましく、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「(メタ)アクリレートF」とも記す。)とポリオキシアルキレンモノオール基を有する(メタ)アクリレート(以下、「(メタ)アクリレートAO」とも記す。)とのコポリマー(以下、「界面活性剤F1」とも記す。)が特に好ましい。
界面活性剤Fにおけるポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基は、それぞれ炭素数4~12の基が好ましい。
界面活性剤Fは、ポリオキシアルキレン基とアルコール性水酸基の両方を側鎖に有していてもよく、片方の基のみを側鎖に有してもいてもよく、少なくともポリオキシアルキレン基を側鎖に有しているのが好ましい。
本発明者らは、前記温度領域における界面活性剤Fの質量減少は、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基の離脱とポリオキシアルキレン基中のオキシアルキレン単位の分解又はアルコール性水酸基の存在とによって進行することを知見している。さらに、界面活性剤Fは、前記温度領域において、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基が離脱する反面、ポリオキシアルキレン基はオキシアルキレン単位の部分分解にとどまりやすく、親水の高い成分を形成することを知見している。この親水成分が、効果的に表面偏析するため、F樹脂層の表面は親水性となるだけでなく、パウダーのパッキングにおける粉落ちを抑制してF樹脂層の平滑性を高めるため、樹脂付金属箔の接着性が優れると考えられる。
(メタ)アクリレートFは、式CH=CRC(O)O-X-Rで表される化合物が好ましい。
は、水素原子又はメチル基を示す。
は、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CHNHC(O)-、-(CHNHC(O)-又は-CHCH(CH)NHC(O)-を示す。
は、-OCF(CF)(C(CF(CF)(=C(CF)、-OC(CF)(=C(CF(CF)(CF(CF)、-OCH(CHOCHCH(CFF)2、-OCH(CHOCHCH(CFF)、-(CFF又は-(CFFを示す。
(メタ)アクリレートAOは、式CH=CRC(O)O-Q-OHで表される化合物が好ましい。
は、水素原子又はメチル基を示す。
は、-(CH(OCHCH-、-(CH(OCHCH(CH))-又は-(CH(OCHCHCHCH-を示す(nは1~4の整数を、nは2~100の整数を示し、nとしては2~20の整数が好ましい。)。
(メタ)アクリレートFの具体例としては、CH=CHCOO(CHOCF(CF)(C(CF(CF)(=C(CF)、CH=CHCOO(CHOC(CF)(=C(CF(CF)(CF(CF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCHCH(CFF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCHCH(CFF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCH(CFF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCH(CFF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCH(CFF)、CH=C(CH)COO(CHNHCOOCH(CHOCH(CFF)が挙げられる。
(メタ)アクリレートAOの具体例としては、CH=CHCOO(CHCHO)OH、CH=CHCOO(CHCHO)10OH、CH=CHCOO(CHCHO)12OH、CH=C(CH)COO(CHCH(CH)O)OH、CH=C(CH)COO(CHCH(CH)O)12OH、CH=C(CH)COO(CHCH(CH)O)16OHが挙げられる。
界面活性剤F1に含まれる全単位に対する(メタ)アクリレートFに基づく単位の割合は、20~60モル%が好ましく、20~40モル%が特に好ましい。
界面活性剤F1に含まれる全単位に対する(メタ)アクリレートAOに基づく単位の割合は、40~80モル%が好ましく、60~80モル%が特に好ましい。
界面活性剤F1における(メタ)アクリレートFに基づく単位の含有量に対する(メタ)アクリレートAOに基づく単位の含有量の比率は、1~5が好ましく、1~2が特に好ましい。
界面活性剤F1は、(メタ)アクリレートAOに基づく単位と(メタ)アクリレートAOに基づく単位のみからなっていてもよく、さらに他の単位をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤F1のフッ素含有量は、10~45質量%が好ましく、15~40質量%が特に好ましい。
界面活性剤F1は、ノニオン性であるのが好ましい。
界面活性剤F1の質量平均分子量は、2000~80000が好ましく、6000~20000が特に好ましい。
本発明の製造方法における溶媒は、分散媒であり、25℃で液状の不活性かつFパウダーと反応しない溶媒(化合物)であり、パウダー分散液に含まれる溶媒の以外の成分よりも低沸点であり、加熱等によって揮発し除去できる溶媒が好ましい。
パウダー分散液を金属箔の表面に塗布して形成される塗膜中の溶媒は、TFE系ポリマーの焼成が終了するまでに除去される。溶媒は、前記温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度にて金属箔を保持する前に除去されてもよく、前記温度で保持されている間に除去されてもよく、焼成中に除去されてもよい。溶媒は、少なくとも前記温度で保持されている間に少なくとも一部が除去されることが好ましい。
溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、含窒素化合物(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等)、含硫黄化合物(ジメチルスルホキシド等)、エーテル(ジエチルエーテル、ジオキサン等)、エステル(乳酸エチル、酢酸エチル等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等)、グリコールエーテル(エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等)、セロソルブ(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)等が挙げられる。溶媒化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、瞬間的に揮発せずに、前記温度領域に保持中に揮発する溶媒が好ましく、沸点80~275℃の溶媒が好ましく、沸点125~250℃の溶媒が特に好ましい。この範囲において、金属箔の表面に塗布したパウダー分散液を所定の温度に保持した際に、溶媒の揮発と分散剤の部分的な分解及び流動とが効果的に進行し、分散剤が表面偏析しやすい。
溶媒としては、有機化合物が好ましく、シクロヘキサン(沸点:81℃)、2-プロパノール(沸点:82℃)、1-プロパノール(沸点:97℃)、1-ブタノール(沸点:117℃)、1-メトキシ-2-プロパノール(沸点:119℃)、N-メチルピロリドン(沸点:202℃)、γ-ブチロラクトン(沸点:204℃)、シクロヘキサノン(沸点:156℃)及びシクロペンタノン(沸点:131℃)がより好ましく、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン及びシクロペンタノンが特に好ましい。
本発明の製造方法におけるパウダー分散液は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料を含んでいてもよい。他の材料は、パウダー分散液に溶解してもよく、溶解しなくてもよい。
かかる他の材料は、非硬化性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよい。
非硬化性樹脂としては、熱溶融性樹脂、非溶融性樹脂が挙げられる。熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。非溶融性樹脂としては、硬化性樹脂の硬化物等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、反応性基を有するポリマー、反応性基を有するオリゴマー、低分子化合物、反応性基を有する低分子化合物等が挙げられる。反応性基としては、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、熱硬化性アクリル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリオレフィン樹脂、熱硬化性変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド-シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂が挙げられる。なかでも、プリント基板用途に有用な点から、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリイミド、ポリイミド前駆体、エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ビスマレイミド樹脂及び熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましく、エポキシ樹脂及び熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、フェノールとフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノールのグリシジルエーテル化物、アルコールのジグリシジルエーテル化物、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
ビスマレイミド樹脂としては、特開平7-70315号公報に記載される、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂とビスマレイミド化合物とを併用した樹脂組成物(BTレジン)、国際公開第2013/008667号に記載の発明、その背景技術に記載のものが挙げられる。
ポリアミック酸は、通常、TFE系ポリマーの官能基と反応しうる反応性基を有している。
ポリアミック酸を形成するジアミン、多価カルボン酸二無水物としては、例えば、特許第5766125号公報の[0020]、特許第5766125号公報の[0019]、特開2012-145676号公報の[0055]、[0057]等に記載のものが挙げられる。なかでも、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香族ジアミンと、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸二無水物との組合せからなるポリアミック酸が好ましい。
熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、硬化性の樹脂の熱溶融性の硬化物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、ポリフェニレンエーテル等が挙げられ、熱可塑性ポリイミド、液晶性ポリエステル及びポリフェニレンエーテルが好ましい。
また、かかる他の材料としては、チキソ性付与剤、消泡剤、無機フィラー、反応性アルコキシシラン、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤等も挙げられる。
パウダー分散液中のFパウダーの割合は、5~60質量%が好ましく、35~45質量%が特に好ましい。この範囲において、F樹脂層の比誘電率及び誘電正接を低く制御しやすい。また、パウダー分散液の均一分散性が高く、F樹脂層の機械的強度に優れる。
パウダー分散液中の分散剤の割合は、0.1~30質量%が好ましく、5~10質量部が特に好ましい。この範囲において、Fパウダーの均一分散性と、F樹脂層の表面の親水性及び電気特性とをバランスさせやすい。
パウダー分散液中の溶媒の割合は、15~65質量%が好ましく、25~50質量部が特に好ましい。この範囲において、パウダー分散液の塗布性が優れ、かつ樹脂層の外観不良が起こりにくい。
本発明の製造方法においては、パウダー分散液を金属箔の表面に塗布する。
塗布方法としては、塗布後の金属箔の表面にパウダー分散液からなる安定したウェット膜が形成される方法であればよく、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等が挙げられる。
また、80~300℃の温度領域に金属箔を供する前に、前記温度領域未満の温度にて金属箔を加熱して、ウェット膜の状態を調整してもよい。この調製は、溶媒が完全に揮発しない程度にされ、通常、50質量%以下の溶媒を揮発させる程度にされる。
本発明の製造方法においては、パウダー分散液を金属箔の表面に塗布した後に、80~300℃の温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度(以下、「保持温度」とも示す。)にて金属箔を保持する。保持温度は、雰囲気の温度を示す。
保持は、1段階で実施してもよく、異なる温度にて2段階以上で実施してもよい。
保持の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法等が挙げられる。
保持における雰囲気は、常圧下、減圧下のいずれの状態であってよい。また、前記保持における雰囲気は、酸化性ガス(酸素ガス等。)雰囲気、還元性ガス(水素ガス等。)雰囲気、不活性ガス(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等。)雰囲気のいずれであってもよい。
保持雰囲気は、分散剤の分解が促され、F樹脂層の接着性がより向上する観点から、酸素ガスを含む雰囲気が好ましい。この際の酸素ガス濃度(体積基準)は、1×10~3×10ppmが好ましく、0.5×10~1×10ppmが特に好ましい。この範囲において、分散剤の分解促進と、金属箔の酸化抑制とをバランスさせやすい。
保持温度は、80~300℃の温度領域内の質量減少率が1質量%/分以上となる温度であり、100~300℃がより好ましい。100~200℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である分散剤を使用した場合の保持温度は、100~200℃がより好ましく、160~200℃が特に好ましい。また、200~300℃の温度領域における質量減少率が1質量%/分以上である分散剤を使用した場合の保持温度は、200~300℃が好ましく、220~260℃が特に好ましい。
上記温度範囲において、分散剤の部分的な分解及び流動が効果的に進行し、分散剤をより表面偏析させやすい。
保持温度に保持する時間は、0.1~10分間が好ましく、0.5~5分間が特に好ましい。
本発明の製造方法においては、さらに、保持温度超の温度領域(以下、「焼成温度」とも記す。)にてTFE系ポリマーを焼成させて金属箔の表面にF樹脂層を形成する。焼成温度は、雰囲気の温度を示す。本発明の製造方法においては、Fパウダーが密にパッキングし、分散剤に由来する親水成分が効果的に表面偏析した状態でTFE系ポリマーの融着が進行するため、平滑性と親水性に優れたF樹脂層が形成される。なお、パウダー分散液が熱溶融性樹脂を含めばTFE系ポリマーと溶解性樹脂との混合物からなるF樹脂層が形成され、パウダー分散液が熱硬化性樹脂を含めばTFE系ポリマーと熱硬化性樹脂の硬化物とからなるF樹脂層が形成される。
加熱の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法等が挙げられる。F樹脂層の表面の平滑性を高めるために、加熱板、加熱ロール等で加圧してもよい。加熱の方法としては、短時間で焼成でき、遠赤外線炉が比較的コンパクトである点から、遠赤外線を照射する方法が好ましい。加熱の方法は、赤外線加熱と熱風加熱とを組み合わせてもよい。
遠赤外線の有効波長帯は、TFE系ポリマーの均質な融着を促す点から、2~20μmが好ましく、3~7μmがより好ましい。
焼成雰囲気は、常圧下、減圧下のいずれの状態であってよい。また、前記焼成における雰囲気は、酸化性ガス(酸素ガス等。)雰囲気、還元性ガス(水素ガス等。)雰囲気、不活性ガス(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等。)雰囲気のいずれであってもよく、金属箔、形成されるF樹脂層それぞれの酸化劣化を抑制する観点から、還元性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
焼成雰囲気としては、不活性ガスから構成され酸素ガス濃度が低いガス雰囲気が好ましく、窒素ガスから構成され酸素ガス濃度(体積基準)が500ppm未満のガス雰囲気が好ましい。酸素ガス濃度(体積基準)は、300ppm以下が特に好ましい。また、酸素ガス濃度(体積基準)は、通常、1ppm以上である。この範囲において、分散剤のさらなる酸化分解が抑制され、F樹脂層の親水性を向上させやすい。
焼成温度は、300℃超であり、300℃超400℃以下が好ましく、330~380℃が特に好ましい。この場合、TFE系ポリマーが、緻密なF樹脂層をより形成しやすい。
焼成温度に保持する時間は、30秒~5分間が好ましく、1~2分間が特に好ましい。
樹脂付金属箔における樹脂層が従来の絶縁材料(ポリイミド等の熱硬化性樹脂の硬化物。)の場合、熱硬化性樹脂を硬化させるために長時間の加熱が必要である。一方、本発明においては、TFE系ポリマーの融着により短時間の加熱で樹脂層を形成できる。また、パウダー分散液が熱硬化性樹脂を含む場合、焼成温度を低くできる。このように、本発明の製造方法は、樹脂付金属箔に樹脂層を形成する際の金属箔への熱負荷が小さい方法であり、金属箔へのダメージが小さい方法である。
本発明の製造方法で得られる樹脂付金属箔には、F樹脂層の線膨張係数を制御したり、F樹脂層の接着性をさらに改善したりするために、F樹脂層の表面に表面処理をしてもよい。表面処理の方法としては、アニール処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、UVオゾン処理、エキシマ処理、ケミカルエッチング、シランカップリング処理、微粗面化処理等が挙げられる。
アニール処理において、温度は120~180℃が、圧力は0.005~0.015MPaが、時間は30~120分間が、それぞれ好ましい。
プラズマ処理におけるプラズマ照射装置としては、高周波誘導方式、容量結合型電極方式、コロナ放電電極-プラズマジェット方式、平行平板型、リモートプラズマ型、大気圧プラズマ型、ICP型高密度プラズマ型等が挙げられる。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガス等が挙げられ、希ガス又は窒素ガスが好ましい。プラズマ処理に用いるガスの具体例としては、アルゴンガス、水素ガスと窒素ガスの混合ガス、水素ガスと窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスが挙げられる。
プラズマ処理における雰囲気としては、希ガス又は窒素ガスの体積分率が70体積%以上の雰囲気が好ましく、100体積%の雰囲気が特に好ましい。この範囲において、F樹脂層の表面のRaを2.0μm以下に調整して、F樹脂層の表面に微細凹凸を形成しやすい。
本発明の製造方法で得られる樹脂付金属箔のF樹脂層の表面は、親水性が高く接着性に優れるため、他の基板と容易に強固に積層できる。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体等が挙げられる。
プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等。)の基材(トウ、織布等。)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、耐熱性樹脂の1種以上を含むフィルムであり、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル等が挙げられる。
樹脂付金属箔のF樹脂層の表面に他の基材を積層する方法としては、樹脂付金属箔と他の基板とを熱プレスする方法が挙げられる。
他の基板がプリプレグの場合のプレス温度は、TFE系ポリマーの融点以下が好ましく、120~300℃がより好ましく、160~220℃が特に好ましい。この範囲において、プリプレグの熱劣化を抑制しつつ、F樹脂層とプリプレグを強固に接着できる。
基板が耐熱性樹脂フィルムの場合のプレス温度は、310~400℃が好ましい。この範囲において、耐熱性樹脂フィルムの熱劣化を抑制しつつ、F樹脂層と耐熱性樹脂フィルムを強固に接着できる。
熱プレスは、減圧雰囲気下で行うことが好ましく、20kPa以下の真空度で行うのが特に好ましい。この範囲において、積層体におけるF樹脂層、基板、金属箔それぞれの界面への気泡混入が抑制でき、酸化による劣化を抑制できる。
また、熱プレス時は前記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。前記真空度に到達する前に昇温すると、F樹脂層が軟化した状態、すなわち一定程度の流動性、密着性がある状態にて圧着されてしまい、気泡の原因となる。
熱プレスにおける圧力は、0.2MPa以上が好ましい。また、圧力の上限は、10MPa以下が好ましい。この範囲において、基板の破損を抑制しつつ、F樹脂層と基板とを強固に密着できる。
本発明の製造方法で得られる樹脂付金属箔やその積層体は、フレキシブル銅張積層板やリジッド銅張積層板として、プリント基板の製造に使用できる。
例えば、本発明における樹脂付金属箔の金属箔をエッチング等によって所定のパターンの導体回路(パターン回路)に加工する方法や、本発明における樹脂付金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等。)によってパターン回路に加工する方法を使用すれば、本発明における樹脂付金属箔からプリント基板を製造できる。
プリント基板の製造においては、パターン回路を形成した後に、パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらにパターン回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、例えば、本発明におけるパウダー分散液によっても形成できる。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にソルダーレジストを積層してもよい。ソルダーレジストは、本発明におけるパウダー分散液によって形成できる。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。カバーレイフィルムは、本発明におけるパウダー分散液によっても形成できる。
本発明の樹脂付銅箔は、金属箔、TFE系ポリマーを含む樹脂層(以下、「F1樹脂層」とも記す。)、F1樹脂層と接する特定の接着部位を有する樹脂付金属箔である。本発明の樹脂付金属箔(本発明の樹脂付銅箔から得られる、積層体やプリント基板も含む。以下同様。)が、その寸法安定性を損なわないように他の基板と低温接着できる理由は、必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
特定の接着部位は、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する親水成分を含んでおり、この親水成分の特性(極性、反応性等)により接着性が発現すると考えられる。接着部位はF1樹脂層に接して形成されており、本発明の樹脂付金属箔と他の基材との接着積層物のF1樹脂層と他の基材の境界には、親水成分がそれぞれと高度に相溶して接着層を形成しているとも考えられる。つまり、本発明の樹脂付金属箔の接着性は、主として接着部位によるとも考えられ、具体的には、高温加熱によるTFE系ポリマーの融着接着に必ずしもよらない。そのため、本発明の樹脂付金属箔は、非粘着性かつ熱伸縮性のTFE系ポリマーをF1樹脂層としながらも、比較的低温でも、その寸法安定性を損なわないように他の基板と接着させて、反りが少ない多層基板(多層プリント基板等)に加工できる。
本発明の樹脂付銅箔は、金属箔、F1樹脂層、F1樹脂層に接した接着部位をこの順に有する。本発明の樹脂付銅箔の層構成としては、例えば、金属箔/F1樹脂層/接着部位、F1樹脂層/金属箔/F1樹脂層/接着部位、接着部位/F1樹脂層/金属箔/F1樹脂層/接着部位、金属箔/F1樹脂層/金属箔/F1樹脂層/接着部位が挙げられる。「金属箔/F1樹脂層/接着部位」とは、金属箔、F1樹脂層、接着部位がこの順に積層されていることを示し、他の層構成も同様である。
本発明の樹脂付金属箔の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下が特に好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性に優れる。
本発明の樹脂付金属箔の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下が特に好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工し、さらにそれを多層化しやすい。
本発明の樹脂付金属箔の樹脂部分(F1樹脂層及び接着部位)の比誘電率(20MHz)は、2.0~3.5が好ましく、2.0~3.0が特に好ましい。この範囲において、F1樹脂層の電気特性(低比誘電率等)及び接着性の双方が優れ、優れた伝送特性が求められるプリント基板等に樹脂付金属箔を好適に用いることができる。
本発明の樹脂付金属箔の樹脂部分(F1樹脂層及び接着部位)の表面のRaは、2nm~3μmが好ましく、3nm~1μmがより好ましく、4nm~500nmがさらに好ましく、5nm~300nmが特に好ましい。この範囲において、他の基板との接着性と、樹脂部分の表面の加工のしやすさとをバランスさせやすい。
本発明の樹脂付金属箔における金属箔の態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における金属箔の態様と同様である。
本発明におけるF1樹脂層は、TFE系ポリマーを含む。
F1樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて無機フィラー、TFE系ポリマー以外の樹脂、添加剤等を含んでいてもよい。
F1樹脂層の厚さは、1~100μmが好ましく、3~75μmがより好ましく、5~50μmが特に好ましい。F1樹脂層の厚さが前記下限値以上であれば、プリント基板としての伝送特性がさらに優れる。F1樹脂層の厚さが前記上限値以下であれば、樹脂付金属箔が反りにくい。
本発明の樹脂付金属箔において、金属箔の厚さに対するF1樹脂層の厚さの比は、0.1~5.0が好ましく、0.2~2.5が特に好ましい。金属箔の厚さに対するF1樹脂層の厚さの比が前記下限値以上であれば、プリント基板としての伝送特性がさらに優れる。本発明の樹脂付金属箔は、接着部位を有するため、前記比が大きい場合(例えば、F1樹脂層が厚い場合。)においても、本発明の樹脂付金属箔の寸法安定性を損なわないように他の基板と低温接着でき、多層化後の反りが抑えられる。
本発明の樹脂付金属箔におけるTFE系ポリマーの態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法におけるTFE系ポリマーの態様と同様である。
本発明の樹脂付金属箔における接着部位は、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する親水成分を含む。
接着部位は、親水成分のみからなっていてもよく、親水成分と親水成分以外の成分(TFE系ポリマー等。)とからなってもよい。
親水成分としては、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する有機化合物(ただし、TFE系ポリマーを除く。以下同様。)が好ましく、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する水接触角が30°~90°の有機化合物が特に好ましい。なお、前記有機化合物は、ケイ素原子を有さないのが好ましい。
有機化合物としては、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するポリマーが好ましく、エーテル性酸素原子とヒドロキシ基又はカルボキシ基とを有するポリマーがより好ましく、エーテル性酸素原子とヒドロキシ基又はカルボキシ基とを有するフルオロポリマーが特に好ましい。この場合、前述した様に、F1樹脂層と接着部位との境界におけるTFE系ポリマーと親水成分との相溶性が向上し、F1樹脂層と接着部位との接着強度がより向上しやすい。
親水成分としては、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における分散剤に由来する親水成分が好ましい。前記親水成分としては、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における界面活性剤Fが好ましく、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における界面活性剤F1が特に好ましい。
本発明の樹脂付金属箔における接着部位は、層状に存在していてもよく、島状に存在していてもよく、島状に存在しているのが好ましい。この場合、樹脂付金属箔のF1樹脂層の電気特性(低比誘電率、低誘電正接等)と、接着部位を形成する親水成分による接着性とをバランスさせやすい。つまり、親水成分の存在による電気特性の低下を抑えつつ、接着性を発現しやすい。
層状に存在する接着部位の厚さ及び島状に存在する接着部位の高さは、1~1000nmが好ましく、5~500nmがより好ましく、5~300nmがさらに好ましく、5~200nm特に好ましい。この場合、樹脂付金属箔のF1樹脂層の電気特性と接着部位の接着性とをバランスさせやすい。
本発明の樹脂付金属箔の製造方法としては、(i)金属箔及びF1樹脂層を有する樹脂付金属箔のF1樹脂層の表面に、親水成分を含む塗工液を塗布する方法、(ii)金属箔の表面に、TFE系ポリマー及び親水成分を含む塗工液を塗布する方法が挙げられる。F1樹脂層と接着部位の境界におけるTFE系ポリマーと親水成分が相溶して、樹脂付金属箔のF1樹脂層と接着部位の接着性が向上しやすい点から、(ii)の方法が好ましい。
(ii)の方法の具体例としては、TFE系ポリマーを含むパウダーと、親水成分と、液状媒体とを含むパウダー分散液を金属箔の表面に塗布し、100~300℃の温度領域内の温度にて金属箔を保持し、前記温度領域超の温度領域にてTFE系ポリマーを焼成させることにより、金属箔の表面にTFE系ポリマーを含むF1樹脂層を形成すると同時にF1樹脂層の表面に親水成分を含む接着部位を形成する方法が挙げられる。
具体的には、本発明の樹脂付金属箔は、本発明の樹脂付金属箔の製造方法により、製造するのが好ましい。この場合の製造態様は、好ましい態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法の態様と同様である。
本発明の樹脂付金属箔においては、接着部位が層状に存在する場合、接着部位の接着性をさらに改善するために、接着部位の表面を表面処理してもよい。接着部位が島状に存在する場合、F1樹脂層の線膨張係数を制御したり、F1樹脂層や接着部位の接着性をさらに改善したりするために、F1樹脂層及び接着部位の表面を表面処理してもよい。
表面処理としては、アニール処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、UVオゾン処理、エキシマ処理、ケミカルエッチング、シランカップリング処理、微粗面化処理等が挙げられる。アニール処理及びプラズマ処理のそれぞれの態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における態様と同様である。
本発明の樹脂付金属箔は、F1樹脂層の表面に接着部位が存在し接着性に優れるため、他の基板と強固に低温接着できる。つまり、本発明の樹脂付金属箔は、本質的に熱伸縮性であるTFE系ポリマーを樹脂層としながらも、樹脂層の厚さと金属箔の種類又は厚さとに影響されずに、寸法安定性を損なうことなく、他の基板と低温接着できる。
本発明の樹脂付金属箔と他の基板とを熱プレス法により接着させて、積層体を製造するのが好ましい。
他の基材の態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における態様と同様である。
また、熱プレス法の態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における態様と同様である。
本発明の樹脂付金属箔は、電気特性、耐薬品性(エッチング耐性)等の物性に優れたTFE系ポリマーを樹脂層とするため、本発明の樹脂付金属箔やその積層体は、フレキシブル銅張積層板やリジッド銅張積層板として、プリント基板の製造に用いることができる。
本発明の樹脂付金属箔をプリント基板の製造に用いる場合の態様は、好適な態様も含めて、本発明の製造方法で得られる樹脂付金属箔をプリント基板の製造に用いる場合の態様と同様である。
本発明の積層体は、金属箔、TFE系ポリマーを含む樹脂層(以下、「F2樹脂層」とも記す。)、F2樹脂層と接する特定の相溶層を有する樹脂付金属箔と、特定のプリプレグとを熱圧着した積層体である。本発明の積層体(本発明の積層体から得られるプリント基板も含む。以下同様。)が、伝送特性及び機械的強度に優れ、各層が強固に接着され、反りが少ない理由は、必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
特定の相溶層は、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含んでおり、フッ素原子を有する部位の特性(相溶性等)によりF2樹脂層との接着性が発現し、酸素原子を有する部位の特性(極性、反応性等)によりプリプレグの硬化物層との接着性が発現すると考えられる。そして、F2樹脂層に含まれるTFE系ポリマーの熱融着性が発現する温度に比べ、相溶層による接着性は、比較的低温で発現する。そのため、TFE系ポリマーの融点が高くても、樹脂付金属箔の樹脂側にプリプレグを比較的低温で強固に接着できる。
樹脂付金属箔とプリプレグとを比較的低温で接着できるため、プリプレグの硬化物層の特性(電気特性及び機械的強度)が低下しにくい。また、プリプレグとして、TFE系ポリマーに比較して耐熱性が概して低い電気特性、機械的強度等に優れる、マトリックス樹脂(フッ素原子を有さないマトリックス樹脂等。)を含むプリプレグを使用できる。また、F2樹脂層は、TFE系ポリマーを含むため、電気特性に優れる。また、相溶層は、シランカップリング剤の被覆層のように、F2樹脂層の電気特性を低下させにくい。このように、硬化物層が電気特性及び機械的強度が優れ、F2樹脂層が電気特性に優れ、かつ熱や相溶層によってそれらの特性が低下しにくいため、積層体全体として伝送特性及び機械的強度に優れる。
また、非粘着性かつ熱伸縮性のTFE系ポリマーをF2樹脂層としながらも、比較的低温で、樹脂付金属箔の寸法安定性を損なわないように樹脂付金属箔とプリプレグとを接着させることによって、反りが少ない積層体が得られる。
本発明の積層体は、金属箔、F2樹脂層、F2樹脂層に接した相溶層、相溶層に接した硬化物層をこの順に有する。本発明の積層体の層構成としては、例えば、金属箔/F2樹脂層/相溶層/硬化物層、金属箔/F2樹脂層/相溶層/硬化物層/相溶層/F2樹脂層/金属箔が挙げられる。「金属箔/F2樹脂層/相溶層/硬化物層」とは、金属箔、F2樹脂層、相溶層、硬化物層がこの順に積層されていることを示し、他の層構成も同様である。
本発明の積層体の反り率は、5%以下が好ましく、1%以下が特に好ましい。この場合、積層体をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性に優れる。
本発明の積層体の基板部分(F2樹脂層、相溶層及び硬化物層)の比誘電率(20GHz)は、5.5以下が好ましく、4.7以下がより好ましく、4.0以下がさらに好ましく、3.6以下が特に好ましい。基板部分の誘電正接(20GHz)は、0.02以下が好ましく、0.009以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましく、0.003以下が特に好ましい。この範囲において、基板部分の電気特性(低比誘電率、低誘電正接等)及び接着性の双方が優れ、優れた伝送特性が求められるプリント基板等に積層体を好適に用いることができる。
本発明の積層体における金属箔の態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法における金属箔の態様と同様である。
本発明の積層体におけるF2樹脂層は、TFE系ポリマーを含む。
F2樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて無機フィラー、TFE系ポリマー以外の樹脂、添加剤等を含んでいてもよい。
F2樹脂層の厚さは、1~100μmが好ましく、3~75μmがより好ましく、5~50μmが特に好ましい。F2樹脂層の厚さが前記下限値以上であれば、プリント基板としての伝送特性がさらに優れる。F2樹脂層の厚さが前記上限値以下であれば、積層体が反りにくい。
本発明の積層体における金属箔の厚さに対するF2樹脂層の厚さの比は、0.1~5.0が好ましく、0.2~2.5が特に好ましい。金属箔の厚さに対するF2樹脂層の厚さの比が前記下限値以上であれば、プリント基板としての伝送特性がさらに優れる。本発明の積層体は、相溶層を有するため、前記比が大きい場合(例えば、F2樹脂層が厚い場合。)においても、積層体を製造する際に樹脂付金属箔の寸法安定性を損なわずに樹脂付金属箔とプリプレグとを低温接着でき、積層体の反りが抑えられる。
本発明の積層体におけるTFE系ポリマーの態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔の製造方法におけるTFE系ポリマーの態様と同様である。
本発明の積層体における相溶層は、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含む。
相溶層は、前記成分のみからなっていてもよく、前記成分と前記成分以外の成分(TFE系ポリマー等)とからなってもよい。
前記成分の態様は、好適な態様も含めて、本発明の樹脂付金属箔における親水成分の態様と同様である。特に好適な態様においては、F2樹脂層と相溶層との境界におけるTFE系ポリマーと前記成分との相溶性が向上し、F2樹脂層と相溶層との接着強度がより向上しやすい。また、相溶層とプリプレグの硬化物層との境界における前記成分とプリプレグのマトリックス樹脂との相溶性や反応性が向上し、相溶層とプリプレグの硬化物層との接着強度がより向上しやすい。
相溶層の厚さは、1~500nmが好ましく、5~100nmが特に好ましい。この場合、樹脂付金属箔のF2樹脂層の電気特性と相溶層の接着性とをバランスさせやすい。
本発明の積層体における硬化物層は、マトリックス樹脂を含むプリプレグの硬化物である。マトリックス樹脂は、フッ素原子を有さないマトリックス樹脂が好ましい。
プリプレグとしては、強化繊維シートにマトリックス樹脂が含浸されたプリプレグが挙げられる。
強化繊維シートとしては、複数の強化繊維からなる強化繊維束、該強化繊維束を織成してなるクロス、複数の強化繊維が一方向に引き揃えられた一方向性強化繊維束、該一方向性強化繊維束から構成された一方向性クロス、これらを組み合わせたシート、複数の強化繊維束を積み重ねたシート等が挙げられる。
強化繊維としては、長さが10mm以上の連続した長繊維が好ましい。強化繊維は、強化繊維シートの長さ方向の全長または幅方向の全幅にわたり連続している必要はなく、途中で分断されていてもよい。
強化繊維としては、無機繊維、金属繊維、有機繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維等が挙げられる。
強化繊維は、表面処理が施されているものであってもよい。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プリント基板用途では、強化繊維としては、ガラス繊維が好ましい。
マトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂付金属箔の製造方法の説明で挙げられた熱硬化性樹脂と同じ樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、本発明の樹脂付金属箔の製造方法の説明で挙げられた熱可塑性樹脂と同じ樹脂が挙げられる。
マトリックス樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プリプレグのマトリックス樹脂としては、加工性の点から、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のマトリックス樹脂が好ましい。
プリプレグの厚さは、10μm以上5mmが好ましく、30μm以上3mm以下がより好ましく、80μm以上1mm以下が特に好ましい。ただし、プリプレグの厚さはプリント基板の用途により適宜設定できる。
プリプレグとしては、以下の商品名のプリプレグが挙げられる。
パナソニック社製のメグトロン(MEGTRON) GXシリーズのR-G520、R-1410W、R-1410A、R-1410E、MEGTRONシリーズのR-1410W、R-1410A、R-1410E、MEGTRONシリーズのR-5680、R-5680(J)、R-5680(NJ)、R-5670、R-5670(N)、R-5620S、R-5620、R-5630、R-1570、HIPERシリーズノR-1650V、R-1650D、R-1650M、R-1650E、R-5610、CR-5680、CR-5680(N)、CR-5680(J)。
日立化成工業社製のGEA-770G、GEA-705G、GEA-700G、GEA-679FG、GEA-679F(R)、GEA-78G、TD-002、GEA-75G、GEA-67、GEA-67G。
住友ベークライト社製のEI-6765、panasonic社製のR-5785。
三菱ガス化学社製のGEPL-190T、GEPL-230T、GHPL-830X TypeA、GHPL-830NS、GHPL-830NSR、GHPL-830NSF。
DOOSAN CORPORATION社製のGEPL-190T、GEPL-230T、GHPL-830X TypeA、GHPL-830NS、GHPL-830NSR、GHPL-830NSF。
GUANDONG Shengyi SCI. TECH社製のSP120N、S1151G、S1151GB、S1170G、S1170GB、S1150G、S1150GB、S1140F、S1140FB、S7045G、SP175M、S1190、S1190B、S1170、S0701、S1141KF、S0401KF、S1000-2M、S1000-2MB、S1000-2、S1000-2B、S1000、S1000B、S1000H、S1000HB、S7136H、S7439、S7439B。
SHANGHAI NANYA社製のNY1135、NY1140、NY1150、NY1170、NY2150、NY2170、NY9135、NY9140、NY9600、NY9250、NY9140HF、NY6200、NY6150、NY3170LK、NY6300、NY3170M、NY6200、NY3150HF CTI600、NY3170HF、NY3150D、NY3150HF、NY2170H、NY2170、NY2150、NY2140、NY1600、NY1140、NY9815HF、NY9810HF、NY9815、NY9810。
ITEQ CORPORATION社製のIT-180GN、IT-180I、IT-180A、IT-189、IT-180、IT-258GA3、IT-158、IT-150GN、IT-140、IT-150GS、IT-150G、IT-168G1、IT-168G2、IT-170G、IT-170GRA1、IT-958G、IT-200LK、IT-200D、IT-150DA、IT-170GLE、IT-968G、IT-968G SE、IT-968、IT-968 SE。
NANYA PLASTICS社製のUV BLOCK FR-4-86、NP-140 TL/B、NP-140M TL/B、NP-150 R/TL/B、NP-170
R/TL/B、NP-180 R/TL/B、NPG R/TL/B、NPG-151、NPG-150N、NPG-150LKHD、NPG-170N、NPG-170 R/TL/B、NPG-171、NPG-170D R/TL/B、NPG-180ID/B、NPG-180IF/B、NPG-180IN/B、NPG-180INBK/B(BP)、NPG-186、NPG-200R/TL、NPG-200WT、FR-4-86 PY、FR-140TL PY、NPG-PY R/TL、CEM-3-92、CEM-3-92PY、CEM-3-98、CEM-3-01PY、CEM-3-01HC、CEM-3-09、CEM-3-09HT、CEM-3-10、NP-LDII、NP-LDIII、NP-175R/TL/B、NP-155F R/TL/B、NP-175F R/TL/B、NP-175F BH、NP-175FM BH。
TAIWAN UNION TECHNOLOGY社製のULVP series、LDP series。
ISOLA GROUP社製のA11、R406N、P25N、TerraGreen、I-Tera MT40、IS680 AG、IS680、Astra MT77、G200、DE104、FR408、ED130UV、FR406、IS410、FR402、FR406N、IS420、IS620i、370TURBO、254、I-Speed、FR-408HR、IS415、370HR。
PARK ELECTROCHEMICAL社製のNY9000、NX9000、NL9000、NH9000、N9000-13 RF、N8000Q、N8000、N7000-1、N7000-2 HTスラッシュ-3、N7000-3、N5000、N5000-30、N-5000-32、N4000-12、N4000-12SI、N4000-13、N4000-13SI、N4000-13SI、N4000-13EP、N4000-13EP SI、N4350-13RF、N4380-13RF、N4800-20、N4800-20SI、Meteorwave1000、Meteorwave2000、Meteorwave3000、Meteorwave4000、Mercurywave9350、N4000-6、N4000-6FC、N4000-7、N4000-7SI、N4000-11、N4000-29。
ROGERS CORPORATION社製のRO4450B、RO4450F、CLTE-P、3001 Bonding Film、2929 Bondply、CuClad 6700 Bonding Film、ULTRALAM 3908 Bondply、CuClad 6250 Bonding Film。
利昌工業社製のES-3329、ES-3317B、ES-3346、ES-3308S、ES-3310A、ES-3306S、ES-3350、ES-3352、ES-3660、ES-3351S、ES-3551S、ES-3382S、ES-3940、ES-3960V、ES-3960C、ES-3753、ES-3305、ES-3615、ES-3306S、ES-3506S、ES-3308S、ES-3317B、ES-3615。
本発明の積層体は、金属箔、F2樹脂層及び相溶層を有する樹脂付金属箔と、プリプレグとを熱プレス法により接着させて製造できる。具体的には、本発明の樹脂付金属箔は、本発明の樹脂付金属箔とプリプレグとを熱プレス法により接着させて製造するのが好ましい。
本発明の積層体における樹脂付銅箔の相溶層は、層状に存在していてもよく、島状に存在していてもよい。樹脂付金属箔は、相溶層が層状に存在する場合、相溶層の表面の接着性に優れるため、プリプレグと強固に低温接着できる。また、樹脂付金属箔は、相溶層が島状に存在する場合、F2樹脂層及び相溶層の表面の接着性に優れるため、プリプレグと強固に低温接着できる。つまり、本発明における樹脂付金属箔は、本質的に熱伸縮性であるTFE系ポリマーを樹脂層としながらも、樹脂層の厚さと金属箔の種類又は厚さとに影響されずに、寸法安定性を損なうことなく、プリプレグと低温接着できる。
かかる樹脂付金属箔を製造する方法としては、(i)金属箔及びF2樹脂層を有する樹脂付金属箔のF2樹脂層の表面に、相溶層を形成する成分(前述した、80~300℃にける重量減少率が1質量%/分以上である分散剤等。)を含む塗工液を塗布する方法、(ii)金属箔の表面に、TFE系ポリマー及び前記成分を含む塗工液を塗布する方法が挙げられる。F2樹脂層と相溶層の境界におけるTFE系ポリマーと前記成分が相溶して、樹脂付金属箔のF2樹脂層と相溶層の接着性が向上しやすい点から、(ii)の方法が好ましい。
(ii)の方法の具体例としては、TFE系ポリマーを含むパウダーと、前記分散剤(前述した、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマー等。)と、液状媒体とを含むパウダー分散液を金属箔の表面に塗布し、80~300℃の温度領域にて金属箔を保持し、前記温度領域超の温度領域にてTFE系ポリマーを焼成させることにより、金属箔の表面にTFE系ポリマーを含むF2樹脂層を形成すると同時にF2樹脂層の表面に相溶層を形成する方法が挙げられる。
本発明の積層体を製造する際、樹脂付金属箔の相溶層の表面又はF2樹脂層及び相溶層の表面にプリプレグを積層する方法としては、樹脂付金属箔とプリプレグとを熱プレスする方法が挙げられる。
プレス温度は、TFE系ポリマーの融点以下が好ましく、120~300℃がより好ましく、160~220℃が特に好ましい。この範囲において、プリプレグの熱劣化を抑えつつ、相溶層とプリプレグとを強固に接着できる。
熱プレスは、減圧雰囲気下で行うことが好ましく、20kPa以下の真空度で行うのが特に好ましい。この範囲において、積層体における金属箔、F2樹脂層、相溶層、硬化物層のそれぞれの界面への気泡混入を抑え、酸化による劣化を抑えることができる。
また、熱プレス時は前記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。前記真空度に到達する前に昇温すると、F2樹脂層が軟化した状態、すなわち一定程度の流動性、密着性がある状態にて圧着されてしまい、気泡の原因となる。
熱プレスにおける圧力は、0.2~10MPaが好ましい。この範囲において、プリプレグの破損を抑えつつ、相溶層とプリプレグとを強固に接着できる。
本発明の積層体は、電気特性、耐薬品性(エッチング耐性)等の物性に優れたTFE系ポリマーを樹脂層とするため、本発明の積層体は、フレキシブル銅張積層板やリジッド銅張積層板として、プリント基板の製造に用いることができる。
例えば、本発明の積層体の金属箔をエッチング処理して所定のパターンの導体回路(伝送回路)に加工する方法や、本発明の積層体の金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等)によって伝送回路に加工する方法によって、本発明の積層体からプリント基板を製造できる。
本発明の積層体から製造されたプリント基板は、伝送回路、F2樹脂層、硬化物層をこの順に有し、F2樹脂層と硬化物層との間に、F2樹脂層及び硬化物層に接する相溶層をさらに有する。本発明のプリント基板の層構成としては、例えば、伝送回路/F2樹脂層/相溶層/硬化物層、伝送回路/F2樹脂層/相溶層/硬化物層/相溶層/F2樹脂層/伝送回路が挙げられる。
プリント基板の製造においては、伝送回路を形成した後に、伝送回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに伝送回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、例えば、本発明におけるパウダー分散液によっても形成できる。
プリント基板の製造においては、伝送回路上にソルダーレジストを積層してもよい。ソルダーレジストは、本発明におけるパウダー分散液によって形成できる。
プリント基板の製造においては、伝送回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。カバーレイフィルムは、本発明におけるパウダー分散液によっても形成できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各種測定方法を以下に示す。
<ポリマーの溶融粘度>
ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ-8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した。
<ポリマーの融点>
示差走査熱量計(セイコーインスツル社製、DSC-7020)を用い、TFE系ポリマーを10℃/分の速度で昇温させて測定した。
<パウダーのD50及びD90>
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用い、パウダーを水中に分散させて測定した。
<樹脂層の平滑性>
光照射した樹脂層を斜め上方から目視し、下記基準で評価した。
A:模様が確認されない。
B:縞模様は確認されないが、ゆず肌模様が確認される。
C:縞模様が確認される。
<樹脂層の水接触角>
25℃にて樹脂付金属箔の樹脂層の表面に純水(約2μL)を置いた際の、水滴と樹脂層の表面とのなす角度を、接触角計(協和界面科学社製CA-X型)を用いて測定し、下記基準で評価した。
A:水接触角が70°以上90°以下である。
B:水接触角が90°超100°以下である。
C:水接触角が100°超である。
<樹脂層の反り率>
積層体から180mm角の四角い試験片を切り出した。この試験片について、JIS C 6471:1995に規定される測定方法にしたがって反り率を測定した。
<樹脂層の表面のRa及びRz>
Oxford Instruments社製のAFMを用いて、樹脂層の1μm範囲の表面のRa及びRzを下記測定条件にて測定した。
プローブ:AC160TS-C3(先端R <7nm、バネ定数 26N/m)、測定モード:AC-Air、Scan Rate:1Hz。
<積層体の剥離強度>
積層体から、長さ100mm、幅10mmの矩形状の試験片を切り出した。試験片の長さ方向の一端から50mmの位置まで、樹脂付銅箔とプリプレグの硬化物とを剥離した。次いで、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置を中央にして、引張り試験機(オリエンテック社製)を用いて、引張り速度50mm/分で90度剥離し、最大荷重を剥離強度(N/cm)とした。
<比誘電率及び誘電正接>
プリント基板の基板部分(樹脂層、相溶層及び硬化物層)について、SPDR(スプリットポスト誘電体共振器)法により、23℃±2℃、50±5%RHの範囲内の環境下にて、周波数20GHzで比誘電率(20GHz)及び誘電正接(20GHz)を測定した。
使用した材料を以下に示す。
[パウダー]
パウダー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含む酸無水物基を有するコポリマー(融点:300℃)からなるパウダー(D50:1.7μm、D90:3.8μm)
ポリマー2:TFE単位を99.5モル%以上含む実質的にTFEのホモポリマー(380℃における溶融粘度:1.4×10)からなるパウダー(D50:0.3μm、D90:0.6μm)。
[分散剤]
分散剤1:ペルフルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリレートとポリオキシエチレン基を有する(メタ)アクリレートのコポリマー(ノニオン性界面活性剤、100~200℃における質量減少率が1質量%/分未満であり200~300℃における質量減少率が6質量%/分である。)。
分散剤2:ペルフルオロアルキル基を有するメタクリレートとヒドロキシブチルメタクリレートのコポリマー(ノニオン性界面活性剤、100~200℃及び200~300℃における質量減少率がそれぞれ1質量%/分未満である。)
分散剤3:CH=CHC(O)O(CHOCF(CF)C(CF(CF)(=C(CF)とCH=CHC(O)O(CHCHO)10Hとのコポリマー(100~200℃における質量減少率が1質量%/分未満であり200~300℃における質量減少率が6質量%/分である。)。
[金属箔]
銅箔1:超低粗度電解銅箔(福田金属箔粉工業社製、CF-T4X-SV、厚さ:18μm)。
[プリプレグ]
プリプレグ1:FR-4(日立化成社製、GEA-67N 0.2t(HAN)、強化繊維:ガラス繊維、マトリックス樹脂:エポキシ樹脂、厚さ:0.2mm)。
(例1)樹脂付銅箔の製造例
(例1-1)樹脂付銅箔1の製造例
パウダー1の50質量部、分散剤1の5質量部、N-メチルピロリドンの45質量部を混合してパウダー分散液を調製した。
銅箔1の表面にダイコーターを用いてパウダー分散液を塗布し、銅箔1を通風乾燥炉(雰囲気温度:230℃、雰囲気ガス:酸素ガス濃度8000ppmの窒素ガス。)に通して1分間保持し、遠赤外線炉(温度:340℃、ガス:酸素ガス濃度100ppm未満の窒素ガス。)にさらに通して1分間保持し、銅箔1の表面にポリマー1の樹脂層(厚さ5μm)を有する樹脂付銅箔1を得た。
(例1-2)~(例1-6)樹脂付銅箔2~6の製造例
パウダー及び分散剤の種類と、通風乾燥炉の雰囲気温度及び通風乾燥炉の雰囲気ガスの酸素ガス濃度とを変更する以外は、例1と同様にして樹脂付銅箔2~6を得た。
それぞれの樹脂付銅箔の樹脂層の物性(水接触角と平滑性)を評価した。結果をまとめて下表1に示す。
Figure 0007196914000001
(例2)積層体の製造例
(例2-1)積層体1の製造例
樹脂付銅箔1の樹脂層の表面を真空プラズマ処理した。処理条件は、出力:4.5kW、導入ガス:アルゴンガス、導入ガス流量:50cm/分間、圧力:50mTorr(6.7Pa)、処理時間:2分間とした。
処理後の樹脂付銅箔1の樹脂層の表面にプリプレグ1を重ね、185℃、3.0MPaの加圧条件にて、60分間、真空熱プレスして積層体1を得た。
(例2-2)~(例2-4)積層体2~4の製造例
樹脂付銅箔を変更する以外は例2-1と同様にして積層体2~4を製造した。
それぞれの積層体の剥離強度を測定した。結果をまとめて下表2に示す。
Figure 0007196914000002
(例3)積層体Aの製造例
パウダー1の50質量部、分散剤3の5質量部及びN-メチルピロリドンの45質量部を含むパウダー分散液を、銅箔1の表面にダイコーターを用いて塗布した。パウダー分散液が塗布された銅箔1を通風乾燥炉(雰囲気温度:230℃、雰囲気ガス:酸素ガス濃度8000ppmの窒素ガス)に通して1分間保持し、遠赤外線炉(温度:340℃、ガス:酸素ガス濃度100ppm未満の窒素ガス)にさらに通して1分間焼成した。銅箔1の表面にポリマー1のF樹脂層(厚さ5μm)を有する樹脂付銅箔Aを得た。
樹脂付銅箔AのF樹脂層及び接着部位の表面を真空プラズマ処理した。処理条件は、出力:4.5kW、導入ガス:アルゴンガス、導入ガス流量:50cm/分間、圧力:50mTorr(6.7Pa)、処理時間:2分間とした。
樹脂付銅箔AのF樹脂層の表面を全反射-赤外吸収スペクトル法(ATR-IR分析法)により分析した結果、カルボキシ基の吸収ピークが確認された。また、樹脂付銅箔AのF樹脂層の表面をAFM-IR法により分析した。樹脂付銅箔Aの表面をAFM-IR法で分析して得られる画像を図1に示す。図1中の白点部12は、F樹脂層10に接した島状の凸部であり、凸部からはエーテル性酸素原子とカルボキシ基と-CF-構造とに起因する赤外吸収スペクトルが検出された。すなわち、図1中の白点部12は、F樹脂層10の表面に点在する島状の接着部位であり、接着部位は、分散剤3に由来する、エーテル性酸素原子及びカルボキシ基を有する親水成分を含む。
真空プラズマ処理後の樹脂付銅箔AのF樹脂層及び接着部位の表面に、プリプレグ1を重ね、185℃、3.0MPaの加圧条件にて、60分間、真空熱プレスして積層体Aを得た。積層体Aの反り率は0.3%であり、剥離強度は12N/cmであった。
また、積層体Aをはんだ浴に浮かべるはんだ耐熱性試験に供した結果、積層体Aの場合には288℃のはんだに5秒間、5回浮かべても、膨れが発生しなかった。一方、島状の凸部を有さない積層体の場合には、288℃のはんだに5秒間、2回浮かべた段階で、膨れが発生した。
(例4)積層体Bの製造例
パウダー1の50質量部、分散剤3の5質量部及びN-メチルピロリドンの45質量部を含むパウダー分散液を、銅箔1の表面にダイコーターを用いて塗布した。パウダー分散液が塗布された銅箔1を通風乾燥炉(雰囲気温度:230℃、雰囲気ガス:酸素ガス濃度8000ppmの窒素ガス)に通して1分間保持し、遠赤外線炉(温度:340℃、ガス:酸素ガス濃度100ppm未満の窒素ガス)にさらに通して1分間焼成した。銅箔1の表面に樹脂部分(厚さ5μm)を有する樹脂付銅箔Bを得た。
樹脂付銅箔Bの樹脂部分の表面をプラズマ処理した。プラズマ処理装置としては、NORDSON MARCH社のAP-1000を用いた。プラズマ処理条件は、RF出力:300W、電極間ギャップ:2インチ、導入ガス:アルゴンガス、導入ガス流量:50cm/分、圧力:13Pa、処理時間:1分間とした。プラズマ処理後の樹脂部分の表面のRaは14.5nmであり、Rzは195nmであった。
プラズマ処理後の樹脂付銅箔Bの樹脂部分の表面に、プリプレグ1を重ね、プレス温度:185℃、プレス圧力:3.0MPa、プレス時間:60分間の条件にて、真空熱プレスして、銅箔1、樹脂部分、プリプレグの硬化物層をこの順に有する、積層体Bを得た。
積層体Bの断面を走査型透過電子顕微鏡により観察した結果、図2に示すように、F樹脂層10’と硬化物層14’との間に厚さ60nmの相溶層12’が形成されていた。エネルギー分散型X線分析により分析した結果、相溶層12’は酸素原子とフッ素原子を含むことを確認した。積層体Bの反り率は0.3%であり、剥離強度は12N/cmであった。
積層体Bに伝送回路を形成して得られるプリント基板の比誘電率(20GHz)は4.32であり誘電正接(20GHz)は0.01568であった。
(例5)積層体B’の製造例
パウダー分散液に分散剤3を含ませない以外は、例4と同様にして積層体B’を得た。積層体B’は相溶層を有さずF樹脂層と硬化物層とが直接接しており、その剥離強度は6N/cmであった。
本発明の樹脂付金属箔の製造方法は、フルオロポリマーを含む、接着性に優れた樹脂層を有する樹脂付金属箔の製造に適した方法であり、プリント基板等の製造に有用である。
本発明の樹脂付金属箔及び積層体は、プリント基板の材料として有用である。
なお、2018年05月30日に出願された日本特許出願2018-104011号、2018年07月18日に出願された日本特許出願2018-134926号及び2018年07月18日に出願された日本特許出願2018-134927号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
10 F樹脂層、
12 白点部、
10’ F樹脂層、
12’ 相溶層、
14’ 硬化物層。

Claims (9)

  1. 金属箔、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、及び、エーテル性酸素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する親水成分を含む接着部位をこの順に有し、前記樹脂層と前記接着部位とが接している、樹脂付金属箔。
  2. 前記接着部位が、島状に存在している、請求項に記載の樹脂付金属箔。
  3. 前記親水成分が、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマーに由来する、請求項又はに記載の樹脂付金属箔。
  4. 請求項のいずれか1項に記載の樹脂付金属箔と他の基板とを熱プレス法により接着させて積層体を得る、積層体の製造方法。
  5. 金属箔、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、及び、マトリックス樹脂を含むプリプレグの硬化物層をこの順に有し、前記樹脂層と前記硬化物層との間に、前記樹脂層及び前記硬化物層に接する、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含む相溶層をさらに有する、積層体。
  6. 前記相溶層の厚さが、1~500nmである、請求項に記載の積層体。
  7. 前記相溶層が、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基とポリオキシアルキレン基又はアルコール性水酸基とを側鎖に有するポリマーに由来する、請求項又はに記載の積層体。
  8. 前記マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種の、フッ素原子を有さないマトリックス樹脂である、請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 伝送回路、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む樹脂層、マトリックス樹脂を含むプリプレグの硬化物層をこの順に有し、前記樹脂層と前記硬化物層との間に、前記樹脂層及び前記硬化物層に接する、フッ素原子及び酸素原子を有する成分を含む相溶層をさらに有する、プリント基板。
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