JP7195943B2 - 金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能する金属アミドと、可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、
前記反応溶液を所定温度に加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程と、
合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程とを含み、
前記金属窒化物ナノ粒子は、窒化インジウム(Indium-Nitride:InN)であり、
前記可溶化剤は、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(tri-n-octylphosphine oxide:TOPO)とオレイルアミン(oleyl amine:OLA)であり、
前記反応溶液を調製する工程において、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1,1,1,3,3,3-Hexamethylpropanedisilazane:HMDS)からなる結晶成長抑制剤をさらに混合することを特徴とする。
本発明では、可溶化剤として、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(tri-n-octylphosphine oxide:TOPO)とオレイルアミン(oleyl amine)を用いたことにより、副生成物としてインジウム金属が生成しないので、金属インジウムによる汚染が解消される。ゆえに、本発明によれば、従来必要であった金属インジウムを除去するための洗浄工程が不要となる。これはTOPOが大きな双極子モーメントを持つために、その配位が可溶化剤としてのみならず、残存する金属アミドによる還元(合成された金属窒化物ナノ粒子が還元されてしまう事)を防ぐ効果があるためである。
また、本発明によれば、窒化物コロイド量子ドットのサイズ分布を改善することも可能となる。
したがって、本発明は、製造工程の短縮、および、製造歩留まりの向上を図ることが可能な、金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法の提供に貢献する。
このため、前記反応溶液を調製する工程において、HMDSからなる結晶成長抑制剤をさらに混合することが好ましい。
このように、前記反応溶液を調製する工程において、HMDSからなる結晶成長抑制剤をさらに混合して生成された量子ドットは、前記励起光の連続照射により、前記蛍光の発光強度が増大する。これにより、本発明は、長期安定に優れた発光特性を備えた、量子ドット(金属窒化物ナノ粒子)をもたらす。
分散媒Ldに好適な有機溶媒としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカンのような主鎖の炭素数が6~18である長鎖アルカン;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデセンのような環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼンのような芳香族炭化水素;ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールのようなアルコール;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、フェニルエーテルのようなエーテル;ジメチルホルムアミド、N-N’-ジメチルプロピレン尿素、トリス(N,N-ジメチルアミノ)ホフフィンオキシド、ジアザビシクロウンデセン、が挙げられる。
まず、金属を含有する化合物[コアの原料である金属を含有する化合物(第1化合物)]と、化合物(第1化合物)に含有される金属を窒化するための窒素供給源として機能する金属アミドと、副生成物を溶媒に分散させる可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程を備える。
また、前記反応溶液を所定温度に加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程を備える。
さらに、合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程を備える。
本例では、コアを構成する金属窒化物ナノ粒子を窒化インジウム(Indium-Nitride:InN)とするために、化合物(第1化合物)としては、後述する合成に必要な金属としてInを選択する。
水素原子はナトリウムアミドと反応し、窒素原料の減少を引き起こすため、下記の式(1)に示す、アルキルチオール類(金属錯体)を原料としてナトリウムアミドと反応させることが最も好ましい。
反応溶液を第1温度にて所定時間保持した後、反応溶液を室温まで冷却する。保持時間は、たとえば、1分~240分の範囲内に設定することができる。冷却方法としては、自然冷却でもよいし、反応容器に冷媒(たとえば冷却水)を循環させる強制冷却でもよい。冷却後の反応溶液に酸解離定数pKaが4.5より大きく、官能基の末端に水素を有する物質をエタノールと共に加えることで、分散剤で覆われた量子ドットを抽出する。当該物質としては、オレイン酸又はドデカンチオールを用いることができる。このように、酢酸よりも弱酸を使用し、冷却後の反応溶液に存する金属に対して反応させ、電離金属塩溶液とすると共に、量子ドット表面に対して弱結合して量子ドット相互の凝集を妨げるキャップ剤となる。つまり、遠心分離、デカンテーションを行い、目的とする中間生成物である沈降物を分離した際に、沈降物中に量子ドット以外の金属をXPS/EDXに検出させない効果を持つと共に、次の最終工程にて量子ドット分散液とした際に、凝集を抑制する効果を持ち、液中の平均粒子径測定値の劣化を抑制することができる。このように量子ドット以外の金属を除去する工程は必要に応じて繰り返し行うことができる。
したがって、本発明は、製造工程の短縮、および、製造歩留まりの向上を図ることが可能な、金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法をもたらす。
(実験例1)
実験例1は、結晶成長抑制剤(HMDS)を使用せず、コア1をInNとした金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法について説明する。以下において、TOPOは「トリ-n-オクチルホスフィンオキシド」を、OLAは「オレイルアミン」を意味する。
化合物(第1化合物)としてヨウ化インジウム(0.05g、0.1mmol)を、金属アミドとしてナトリウムアミド(0.04g、1mmol)を、可溶化剤としてTOPO(0.5mL、0.11mmol)およびOLA(0.1mL、0.03mmol)を、10mLバイアル(容器)中の1.5mLのフェニルエーテル(1.5mL)と混合し、220℃(150℃/分)、0.15MPaで加熱し、温度を10分間維持してから、室温(RT)まで冷却して、反応溶液を作製した。
次に、0.5mLのオレイン酸(OA)を加え、混合物を室温(RT)で撹拌してリガンドを交換し、過剰のナトリウムアミドを除去した。
次いで、QDを20mLのエタノールを用いて沈殿させ、6000rpmで3分間の遠心分離によって回収し、シクロヘキサン中の分散液で3回洗浄した。
冷却された反応溶液に含まれる、InNで構成されるコアのみからなる量子ドットを遠心分離により沈降させた。この沈降物を分散媒としてのシクロヘキサン中に再分散させて、金属窒化物ナノ粒子(量子ドット)分散液を得た。
実験例2は、可溶化剤として「TOPOのみ」を用いた点のみ実験例1と異なる。他の条件は実験例1と同一とした。
この結果、冷却された反応溶液には、従来法と同様に反応溶液に副生成物(金属インジウム)が残存することが分かった。これにより、従来法では必要であった操作(反応溶液にエタノールを加え、反応溶液に残存する副生成物をエタノール中に分散させる操作)が必要であることが確認された。
実験例1および実験例2の結果から、可溶化剤がTOPOのみの場合(OLAを含まない場合)と比較すると、TOPOおよびオレイルアミン(OLA)を加えた場合の結果は粒度分布が狭くなる効果が得られている。粒子同士の結着(凝集)を防ぐ効果であると考えられる。
実験例3は、可溶化剤として「OLAのみ」を用いた点のみ実験例1と異なる。他の条件は実験例1と同一とした。
この結果、冷却された反応溶液には、従来法と同様に反応溶液に副生成物(金属インジウム)が残存することが分かった。これにより、従来法では必要であった操作(反応溶液に硝酸を加え、反応溶液に残存する副生成物を硝酸中に分散させる操作)が必要であることが確認された。
実験例3の結果から、可溶化剤がOLAのみの場合(TOPOを含まない場合)には、反応溶液に副生成物が残存し、本発明の作用・効果は得られないことが分かった。
実験例4は、結晶成長抑制剤(HMDS)を使用して、コア1をInNとした金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法について説明する。実験例4は、さらに結晶成長抑制剤(HMDS)を用いた点のみ実験例1と異なる。他の条件は実験例1と同一とした。
化合物(第1化合物)としてヨウ化インジウム0.050g(0.1ミリモル)と、金属アミドとしてナトリウムアミドを0.04g(1ミリモル)と、可溶化剤としてトリ-n-オクチルホスフィンオキシド(TOPO)を0.44g(1.14ミリモル)およびオレイルアミン(OLA)と、ドデカンチオール0.02g(0.3ミリモル)と、結晶成長抑制剤としてHMDS(0.3ミリモル)、溶媒としてDOWTHERM A2mlとを反応容器内で混合して反応溶液を調製した。この反応溶液を220℃(第1温度)まで急速に(150℃/min)加熱して10分保持した後、反応溶液を室温まで冷却した。
冷却された反応溶液に含まれる、InNで構成されるコアのみからなる量子ドットを遠心分離により沈降させた。この沈降物を分散媒としてのシクロヘキサン中に再分散させて、金属窒化物ナノ粒子(量子ドット)分散液を得た。
また、結晶成長抑制剤(HMDS)を加えたことにより、作製された量子ドット(金属窒化物ナノ粒子)は、励起光の連続照射により蛍光を発光するものとなる。
実験例5は、金属窒化物ナノ粒子として「InN」に代えて「GaInN」を用いた点のみ実験例1と異なる。他の条件は実験例1と同一とした。
この結果、冷却された反応溶液には、従来法では反応溶液に残存していた副生成物(金属インジウム)が存在せず、副生成物による汚染が無いことが分かった。これにより、従来法では必要であった操作が不要であることが確認された。
以上の結果から、InNに代えてGaInNからなる金属窒化物ナノ粒子においても、本発明の製法は有効であることが確認された。
実験例6は、金属窒化物ナノ粒子として「InN」に代えて「GaN」を用いた点のみ実験例1と異なる。他の条件は実験例1と同一とした。
この結果、冷却された反応溶液には、従来法では反応溶液に残存していた副生成物(金属インジウム)が存在せず、副生成物による汚染が無いことが分かった。これにより、従来法では必要であった操作が不要であることが確認された。
以上の結果から、InNに代えてGaNからなる金属窒化物ナノ粒子においても、本発明の製法は有効であることが確認された。
(評価例1)
図4は、本発明の製法により作製された各量子ドットの評価結果1である。
図4において、(a)各量子ドットのXRDパターンを示すグラフであり、(b)各量子ドットを含むシクロヘキサン溶液の分散を示す写真である。(b)において、左側パネル、中央パネルおよび右側パネルは順に、OLA-InN QDの場合、TOPO-InN QDの場合、およびTOPO / OLA-InN QDの場合を表している。
図5において、(a)はOLA-InN QDのTEM像、(b)はTOPO-InN QDのSTEM-HAADF画像、(c)はTOPO / OLA-InN QDのSTEM-HAADF画像、を表している。(b)および(c)の挿入図は、QDのサイズ分布ヒストグラムと、対応する標準偏差およびそれらの平均数直径(MN)である。(d)はTOPO-InN QDの拡大TEM像であり、(e)はTOPO / OLA-InN QDの拡大TEM像である。
図6において、(a)はSi基板上に形成されたTOPO-InN QD薄膜のXPSスペクトルであり、UV-Vis-NIR吸収分光法により測定した。(b)はInNバルクとTOPO-InN QD薄膜のエネルギーを比較するグラフであり、X線光電子分光法(XPS)を用い、光エネルギーギャップおよび価電子帯最大値(EVBM)が測定された。
以上の図4~図7に示した結果より、InN量子ドットの新しい合成法の適用性が実証された。
(化学薬品)
ヨウ化インジウム(99.99%)はKojundo Chemical Laboratory Co., Ltd. から購入した。ナトリウムアミド(98%)はSigma-Aldrichから購入した。
オレイルアミン(> 50.0%、OLA)、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(> 95.0%、TOPO)およびフェニルエーテル(> 99%)は東京化成工業(株)から購入した。
オレイン酸(> 85%、OA)およびシクロヘキサン(99.5%)は関東化学株式会社から購入した。
OLAは蒸留後に使用したが、他の化学物質はそれ以上精製せずに使用した。
OLA-InN量子ドットは、以前に記載された方法に従っていくつかの修正を加えて合成した(先行文献7)。ヨウ化インジウム(0.05g、0.1mmol)、ナトリウムアミド(0.04g、1mmol)およびOLA(0.1mL、0.03mmol)を、10mLバイアル(容器)中の1.5mLのフェニルエーテル(1.5mL)と混合し、220℃(150℃/分)、0.15MPaで加熱し、温度を10分間維持してから、室温(RT)まで冷却した。
次に、0.5mLのオレイン酸(OA)を加え、混合物を室温(RT)で撹拌してリガンドを交換し、過剰のナトリウムアミドを除去した。
次いで、QDを20mLのエタノールを用いて沈殿させ、6000rpmで3分間の遠心分離によって回収し、シクロヘキサン中の分散液で3回洗浄した。
TOPO-InN量子ドットの合成は、0.03mmolのOLAに代えて0.5mL(0.11mmol)のTOPOを使用した点のみ、前述した「OLA-InN量子ドットの合成」と異なる。その他の点は「OLA-InN量子ドットの合成」と同一である。
X線回折(XRD)パターンを得るための試料は、ガラス基板上にシクロヘキサン中に分散した精製QDをドロップキャスティングすることによって調製した。
TEM試料は、希釈したQDを炭素被覆200メッシュの銅グリッド上に滴下することによって調製した。
図4(a)は、各量子ドットのXRDパターンを示すグラフであり、顕微鏡スライド上のInN量子ドットの面外XRDパターンを示したものである。
OLA-InN量子ドットのXRDパターンでは、インジウム金属に対応するピークが以前の報告と同様に観察された(先行文献7)。
この現象は、ナトリウムアミドの分解中に生成された電子によるInNの減少のために起こるものである。
リガンドとしてTOPOを添加すると、インジウム金属からのXRDピークは消失し、TOPO分子は生成された電子がナトリウムアミド分解を取り囲むことを妨げた。
ここで、リガンド(ligand)とは、特定の受容体(receptor)に特異的に結合する物質のことである。リガンドが対象物質と結合する部位は決まっており、選択的または特異的に高い親和性を発揮する。
図4(b)において、左側パネル、中央パネルおよび右側パネルは順に、OLA-InN QDの場合、TOPO-InN QDの場合、およびTOPO / OLA-InN QDの場合を表している。
OLA-InN QDは均一な分散を示さず、灰色の金属沈殿物が形成された。
これに対して、OLA-InN QDはシクロヘキサン中で1ヶ月以上安定して分散を示した。
TOPO / OLA-InN QDも、OLA-InN QDと同様の均一分散を示した。これは、TOPOの大きな双極子モーメント4.51D、フェニルエーテルへのNaNH 2の可溶化、凝集からのQDの防止、および反応時間の短縮に起因すると思われる。
図5において、(a)はOLA-InN QDのTEM像、(b)はTOPO-InN QDのSTEM-HAADF画像、(c)はTOPO / OLA-InN QDのSTEM-HAADF画像、を表している。(b)および(c)の挿入図は、QDのサイズ分布ヒストグラムと、対応する標準偏差およびそれらの平均数直径(MN)である。(d)はTOPO-InN QDの拡大TEM像であり、(e)はTOPO / OLA-InN QDの拡大TEM像である。
図5(b)に示すように、TOPO-InN量子ドットは2~3個の粒子からなる凝集体であり、直径MNが4.2nmであり、標準偏差σが約43%であった。図5(a)に観察されたインジウム金属の粒子は、図5(b)では同定されなかった。
図5(a)と図5(b)の結果から、TOPOは、インジウム金属の生成を妨げるのに有効であることが判明した。
図5(c)に示すように、TOPO / OLA-InN量子ドットは、直径MNが3.5nm、標準偏差σが約34%であった。TOPO / OLA-InN量子ドットにおけるサイズ分布の改善は、TOPOおよびOLAリガンドの共添加後のTOPAより長いOLAアルキル鎖に起因する可能性があり、他のQDに対する強い反発力に起因すると考えられる。
以上の結果から、TOPOとOLAは、InN量子ドットの合成の間に異なる役割を果たしていると考えられる。
このように、これらの粒子はInNの励起子ボーア半径(8nm)以下の高結晶性およびナノ粒子半径を示すQDを定義した。
図6(a)および図6(b)より、TOPO / OLA-InN QDは、OLA-InN QDと比較して、インジウム副生成物を含まないことが分かった。
さらに、TOPO / OLA-InN量子ドットでは、直径がMN3.5nmであり、標準偏差σが約34%であることから、TOPO / OLA-InN量子ドットのサイズ分布の改善は、TOPOおよびOLAリガンドの共添加後のTOPOより長いOLAアルキル鎖に起因する可能性があり、他のQDに対する強い反発力に起因すると考えられる。
したがって、TOPOとOLAは、InN量子ドットの合成の間に異なる役割を果たすように思われた。
半導体の場合、最小結合エネルギーを有する検出された電子は、最も浅い価電子帯エネルギー領域に位置していた。
したがって、検出された第1上昇区間の外挿点をEVBMとした
XPSスペクトルの起源は、-5.2eVのニッケルの仕事関数とみなされることから、外挿点がEVBMの位置を-6.2eVに示すように定義した。
しかしながら、TOPO-InN量子ドットは、標準偏差が42%の広範なサイズ分布を示し、各粒子は、量子サイズ効果のためわずかに異なるエネルギーしか示さない筈である。
この現象は、リガンドからQDへの電荷移動に起因しており、EVBMシフトは、リガンド-QD界面双極子とリガンドの固有双極子モーメントの両方の寄与から生じたものと考えられる。
およそ1eVのEVBMシフトがリガンド交換によって報告されており、0.3eVのEVBMシフトが合理的であると考えられた。
また、伝導帯最大(ECBM)のエネルギーは、EVBMと光エネルギーギャップに基づいて-4.5eVと推定された。
図7は、TOPO-InN量子ドットとTOPO / OLA-InN量子ドットのInNと実験エネルギーギャップにおけるエネルギーギャップの粒径依存性を示している。
EMAは、以下の式(1)に示すように、ナノ粒子のハミルトニアンの固有値を解くことによって得られた。
式(1)において、第3の減算項は、1 / r依存性を有する励起子のクールラム相互作用エネルギーを表している。
式(1)において、第3項および第4項は、材料の高い誘電率のためにしばしば無視されるが、柱状相互作用を含むEMAを図7に破線で示した。
ここでは、エネルギーギャップの計算に以下の値を使用した。
例えば、Eg,bulk= 0.692;me *=0.055m0;mh *=0.3m0;r=13.52 である。
一方、TOPO / OLA-InN量子ドットの光エネルギーギャップは、表面に高密度電子(3~5×1013cm-2)が存在することによるものと思われるが、 InNは、Moss-Bursteinシフトを達成した。この現象は、電子キャリア濃度を増加させることによって光エネルギーギャップがシフトしたためとする報告がある。
したがって、InN量子ドットの光エネルギーギャップは、量子サイズ効果だけでなく、クーロン相互作用およびモスバースト効果からも決定することができた。
TOPOは、非極性有機溶媒中でのNaNH 2の可溶化を達成し、インジウム金属の副生成物を防止することが分かった。
さらに、OLAは、粒子分散がInNナノ粒子間の結合を妨害することを回避した。
さらに、XRD測定では、TOPO-InN量子ドットとTOPO / OLAInN量子ドットがh-InNと同定され、STEM画像では、h-InN格子間隔と完全に一致する単結晶であることが確認された。
Taucプロット分析およびXPS分析は、QDの光エネルギーギャップを明らかにし、EVBMは、リガンドからQDへの電荷移動のためにInNバルクよりも浅いレベルに位置することが分かった。
最後に、EMAを用いてQD半径に対するエネルギーギャップを計算した。 TOPO-InN QDおよびTOPO / OLA-InN QDのそれはクーロン相互作用を含むものと一致することが分かった。
Claims (2)
- 金属窒化物ナノ粒子を分散媒中に分散させた金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法において、
金属を含有する化合物と、窒素供給源として機能する金属アミドと、可溶化剤と、溶媒とを混合して反応溶液を調製する工程と、
前記反応溶液を所定温度に加熱し、前記化合物と前記金属アミドとを加熱反応させることにより、金属窒化物ナノ粒子を合成すると共に、加熱反応により生成される副生成物を前記可溶化剤により前記溶媒に分散させる工程と、
合成後の反応溶液から金属窒化物ナノ粒子を抽出して前記分散媒中に分散させる工程とを含み、
前記金属窒化物ナノ粒子は、窒化インジウム(Indium-Nitride:InN)であり、
前記可溶化剤は、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(tri-n-octylphosphine oxide:TOPO)とオレイルアミン(oleyl amine:OLA)であり、
前記反応溶液を調製する工程において、HMDS(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン)からなる結晶成長抑制剤をさらに混合することを特徴とする金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。 - 前記金属窒化物ナノ粒子が、InN(窒化インジウム)に代えて、
GaInN、GaN、AlN、AlInN、ZnPbN2、ZnSnN2、ZnGeN2、及びZnSiN2から選択される1種である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属窒化物ナノ粒子分散液の製造方法。
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