JP7193019B2 - 不活化装置および不活化方法 - Google Patents
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Description
この傾向は、特に医療施設内で顕著である。すなわち、入院患者用の病室や病室内のトイレ、外来受付に隣接するトイレなどの狭い空間においては、患者由来の感染性微生物が撒布される。そして、撒布された感染性微生物は、この狭い空間を構成する表面(床、壁等)へ付着したり、空間内を浮遊したりする。そのため、その空間(トイレなど)に入った次の人間(他の患者や訪問者など)に感染し、場合によっては感染症が医療施設内で蔓延することもある。
また、特許文献2には、エレベータに人感センサ、ドアセンサを設置し、上記センサがエレベータ内に人間が不在で、ドアが閉まった状態を検知した際、エレベータ内に殺菌用の紫外線を放出するシステムが開示されている。ここで、放出する紫外線の波長は、約240nmと約280nmとの間の波長としている。
したがって、上記従来の除染システムでは、施設の除染を効率的に行うことができない。また、人間(患者)や動物の表面の除染を行うことができないため、人間(患者)や動物の行動範囲を考慮して、除染すべき領域を広範囲に広げる必要がある。
さらに、人に対して紫外線を照射する時間は、当該紫外線の波長に応じた時間とする。紫外線照射による人体への影響の度合いは、紫外線の波長ごとに異なる。そのため、人体への紫外線の許容積算光量を超えないように、紫外線の波長に応じた所定時間だけ人に対して紫外線を照射するようにすることで、人体へ悪影響を及ぼすことなく、効率的に除染を行うことができる。
このように、敢えて人に対して所定時間、紫外線を含む光を照射することで、人体の表面(皮膚や衣類の表面)に存在する少なくとも1つの有害な微生物やウイルスを不活化することができる。そのため、人から空間内への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。また、空間から退出した人が、空間外に有害な微生物やウイルスの拡散してしまうことを抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。また、190nm~235nmの波長域の紫外線を放出するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
さらに、人に対して紫外線を照射する時間は、当該紫外線の波長に応じた時間とする。紫外線照射による人体への影響の度合いは、紫外線の波長ごとに異なる。そのため、人体への紫外線の許容積算光量を超えないように、紫外線の波長に応じた所定時間だけ人に対して紫外線を照射するようにすることで、人体へ悪影響を及ぼすことなく、効率的に除染を行うことができる。
また、人が不在の空間に紫外線を含む光を照射することで、空間内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより空間内部に拡散したり、空間内の一部表面に人が接触して付着したりする有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに空間内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を効果的に不活化することができる。
さらに、空間内に人が存在しないと判断された場合に、人が不在の空間に紫外線を含む光を照射することで、空間内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより空間内部に拡散したり、空間内の一部表面に人が接触して付着したりする有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに空間内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を効果的に不活化することができる。
また、本発明に係る不活化方法の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行うステップと、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するステップと、を含む。
(第一の実施形態)
本実施形態では、頻繁に人が集まる施設の特に狭い空間(病室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖空間)において紫外線照射を行い、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化システムについて説明する。本実施形態における不活化システムは、従来は安全の観点から見送られてきた人間(患者)や動物といった生体に対する紫外線照射を敢えて所定時間実施して、有害な微生物やウイルスを不活化するものである。
この不活化システムは、不活化装置100を備える。不活化装置100は、閉鎖空間(個室トイレ)内200に紫外線を放出する紫外線照射部(UV照射部)10A、10Bの少なくとも一方を備える。ここで、UV照射部10A、10Bが放出する紫外線の波長域は、例えば200nm~320nmである。
このUV照射部10Aからは、下方向に紫外線が放出され、当該紫外線が、個室トイレ200の空間や、壁部202、床等に照射される。また、UV照射部10Aから放出される紫外線は、個室トイレ200に進入した人間(例えば、患者)300に対しては、当該人間300の上部から照射される。
このようにUV照射部10Bを設置することで、UV照射部10Bから放出される紫外線は、便器211に座した人間200の後頭部側上方より当該人間300に照射され、この人間300の目には直接には照射されない。
人感センサ11およびドアセンサ13は、個室トイレ200への人の入退出を検知するセンサであり、圧力センサ12は、個室トイレ200内における所定位置に人が存在することを検知するセンサである。
圧力センサ12は、例えば図1に示すように便座212の内部に設置され、便器211に設けられた便座212に人間300が座したかどうかを検知する。
ドアセンサ13は、例えば図1に示すようにドア203に設置され、個室トイレ200のドア203の開閉を検知する。
具体的には、制御部20は、センサ11~13の少なくとも1つの検出信号をもとに個室トイレ200内に人間300が存在すると判断された期間中に、UV照射部10A、10Bの少なくとも一方から、紫外線を、当該紫外線の波長に応じた所定時間、上記人間300を含む個室トイレ200内に照射するように制御する。
図2は、本実施形態における不活化装置100の動作を説明するフローチャートである。
まずステップS1において、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内における人間300の所在を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の所在を検知していないと判定した場合には、人間300の所在を検知するまで待機し、人間300の所在を検知するとステップS2に移行する。
次にステップS3では、制御部20は、タイマー1のカウント値をもとに、タイマー1のカウント開始から所定時間T1が経過したか否か、即ち、個室トイレ200内における人間300の所在を検知してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T1が経過していない場合には所定時間T1が経過するまで待機し、所定時間T1が経過したと判定するとステップS4に移行する。
ここで、所定時間T1は、UV照射部10Aから放出される紫外線の波長に応じた時間であり、安全規格上、生体に照射可能な最大時間以下に設定される。所定時間T1については、後で詳述する。
ステップS5では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を停止する。
ステップS6では、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内から人間300が退出したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300が退出していないと判定した場合にはそのまま待機し、人間300が退出したと判定するとステップS7に移行する。
ステップS7では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を開始し、ステップS1に戻る。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
この状態から個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Aにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、タイマー1のカウントが開始される。そして、時点Aから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Bにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
UV照射部10A、10Bから放出される200nm~320nmの波長域の紫外線は、人体に悪影響を及ぼす紫外線を含む。例えば、上記の波長域の紫外線が照射されると、紅斑や皮膚のDNA損傷による癌の誘発や、目の障害(眼痛・充血・角膜の炎症など)が起こり得る。
D(mJ/cm2)=W(mW/cm2)×N(回)×T1(sec)・・・(1)
つまり、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間T1は、以下のように表される。
T1≦Dmax/(W×N)・・・(2)
紫外線照射される人間の照射面上の照度を0.022(mW/cm2)、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式より、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間T1は30(sec)以下となる。
なお、上記の紫外線照射される人間の照射面上の照度は、閉鎖空間(個室トイレ)200内において人間300が立っているときの頭部(頂部)を紫外線照射面とし、閉鎖空間(個室トイレ)200の天井201から床上に立っている人間300の頭部までの距離を紫外線照射距離として設定した値である。
なお、1日に閉鎖空間内に人間が進入する回数Nは、安全サイドに多めに設定しておくことが好ましい。
エキシマランプの場合、給電後直ちに点灯する。よって、光源として低圧水銀ランプを用いる場合とは異なり、遮光用のシャッタを設ける必要はない。つまり、紫外線の照射と非照射とを比較的短い間隔で繰り返す場合には、エキシマランプに対する給電を制御すればよい。
UV放射線は、低波長ほど貫通力が小さい。例えば、約200nmといった低波長のUV放射線は、非常に効率良く水を通過するものの、ヒト細胞の外側部分(細胞質)による吸収が大きく、放射線に敏感なDNAを含む細胞核に到達するのに十分なエネルギーを有さない場合がある。そのため、上記の低波長のUV放射は、典型的には、ヒト細胞に対して、つまりヒトに対する悪影響が少ない。
したがって、上記の低波長のUV放射は、バクテリアを容易に貫通し、殺菌することが可能である。
このように、UV照射部10Aが有する紫外線光源が、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプである場合、図2および図3において設定した所定時間T1は、例えば最大時間である95(sec)に設定することができる。
波長選択フィルタとしては、例えば、HfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることができる。具体的には、当該光学フィルタは、合成石英ガラスよりなる基板の一面にHfO2層およびSiO2層が交互に積層されてなる誘電体多層膜が形成され、基板の他面にHfO2層およびSiO2層によるARコーティングが施された構成とすることができる。例えば、誘電体多層膜におけるHfO2層の厚みは約240nm、SiO2層の厚みは1460nmで、HfO2層およびSiO2層の層数は総数33層とすることができる。
しかしながら、波長選択フィルタとしてHfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合には、SiO2層およびAl2O3層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合と比較して、層の総数を少なくすることができる。そのため、入射角が0°のときの紫外線の透過率を高めることができ、所望の波長域190~235nmの紫外線の光強度を確保することができる。また、層の総数が少なくなることで、その分のコストを削減することができる。
また、閉鎖空間(個室トイレ200)から退出した人は、紫外線の照射後であり、皮膚や衣類表面に付着している有害な微生物やウイルスが減少もしくは除去されているため、閉鎖空間(個室トイレ200)から退出した人から他の領域への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。
具体的には、所定時間T1は、上記(2)式を満たす時間T1とする。このように、安全規格に基づいて、照射される紫外線の波長ごとに紫外線照射時間を設定するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
このように、人が不在の個室トイレ200内に紫外線を照射することで、個室トイレ200内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより個室トイレ200内部に拡散した有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに個室トイレ200内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化することができる。また、個室トイレ200内に人が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を連続して行うことで、上記の不活化をより効果的に行うことができる。
上述した第一の実施形態では、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われる場合について説明した。しかしながら、個室トイレ200内に人間が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を所定時間T2だけ行われるようにしてもよい。
制御部20は、ステップS1において、個室トイレ200内における人間300の所在を検知すると、ステップS11に移行して、UV照射部10Aからの紫外線の放出を開始し、ステップS2に移行する。
次にステップS13では、制御部20は、タイマー2のカウント値をもとに、タイマー2のカウント開始から所定時間T2が経過したか否か、即ち、個室トイレ200から人間300が退出してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T2が経過していない場合には所定時間T2が経過するまで待機し、所定時間T2が経過したと判定するとステップS14に移行する。
ここで、所定時間T2は、人間300が退出した個室トイレ200内に存在する有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化するのに十分な時間に設定する。
ステップS14では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を停止し、ステップS1に戻る。
ここでは、個室トイレ200内に人間300が進入する前に、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が停止されているものとする。
この状態で個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Aにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が開始する。そして、時点Aから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Bにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、タイマー2のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
そして、個室トイレ200内から人間300が退出した時点Bから所定時間T2経過すると、その時点Cにおいて、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
次に、本発明における第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、閉鎖空間(個室トイレ)200に人間300が進入したことを人感センサ11で検知し、この人感センサ11の検出信号に基づき、UV照射部10Aからの紫外線の照射を制御する場合について説明した。この第二の実施形態では、個室トイレ200内にて人間300が便座212に着座した状態を圧力センサ12で検知し、この圧力センサ12の検知信号に基づき、紫外線の照射を制御する場合について説明する。
また、紫外線照射は、UV照射部10Bを用いて行われるものとする。
まずステップS21において、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内における人間300の所在を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の所在を検知していないと判定した場合には、人間300の所在を検知するまで待機し、人間300の所在を検知するとステップS22に移行する。
ステップS23では、制御部20は、圧力センサ12からの検出信号をもとに、便座212への人間300の着座を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の着座を検知していないと判定した場合には、着座を検知するまで待機し、人間300の着座を検知するとステップS24に移行する。
ステップS24では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を開始し、ステップS25に移行する。
次にステップS26では、制御部20は、タイマー1のカウント値をもとに、タイマー1のカウント開始から所定時間T1が経過したか否か、即ち、便座212への人間300の着座を検知してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T1が経過していない場合には所定時間T1が経過するまで待機し、所定時間T1が経過したと判定するとステップS27に移行する。
UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した姿勢を取った際に、人間300の後頭部側上方から紫外線を照射することを想定して、個室トイレ200の壁部202に設置されている。そのため、この場合の人間30の照射面(頭部)での照度は、上述した第一の実施形態のようにUV照射部10Aを用いて立っている人間300に紫外線を照射する場合の照度と同じ値としてよい。つまり、紫外線照射される人間の照射面上の照度は0.092(mW/cm2)とすることができる。
ステップS28では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を停止する。
ステップS29では、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内から人間300が退出したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300が退出していないと判定した場合にはそのまま待機し、人間300が退出したと判定するとステップS30に移行する。
ステップS30では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を開始し、ステップS21に戻る。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
この状態から個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Pにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Rにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
このように、閉鎖空間内の所定位置に存在する人に対して紫外線を含む光を照射することで、人体表面の意図した箇所に効果的に紫外線を照射することができる。また、個室トイレ200内にて便座212に座した状態の人間の動きは比較的小さい。そのため、便座212に座した状態の人間に紫外線を照射するようにすれば、効果的に人体表面(皮膚や衣類の表面)に存在する有害な微生物やウイルスを不活化することができる。
これにより、人が進入する前の個室トイレ200に紫外線が照射されている場合には、人が個室トイレ200内に進入した際に一旦紫外線照射を停止し、便座212に着座した状態の人間に対して所定時間(T1)紫外線を照射することができる。したがって、人が不在の個室トイレ200内への紫外線照射と、個室トイレ200に進入した人に対する紫外線照射とを適切に行うことができる。
UV照射部10Aを用いる場合、便座212に座っている人間300の紫外線照射面での照度は、床上に立っている人間300の紫外線照射面での照度と比較すると小さく、例えば0.010(mW/cm2)となる。
また、UV照射部10Aが有する光源がKrClエキシマランプである場合には、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式により、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間(所定時間T1)は、210(sec)となる。
このように、UV照射部10Aを用いた場合、UV照射部10Bを用いた場合と比較して紫外線照射時間(所定時間T1)を長くすることができる。
上述した第二の実施形態では、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われる場合について説明した。しかしながら、個室トイレ200内に人間が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を所定時間T2だけ行われるようにしてもよい。
制御部20は、ステップS21において、個室トイレ200内における人間300の所在を検知すると、ステップS23に移行する。
次にステップS31では、制御部20は、タイマー2のカウント値をもとに、タイマー2のカウント開始から所定時間T2が経過したか否か、即ち、個室トイレ200から人間300が退出してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T2が経過していない場合には所定時間T2が経過するまで待機し、所定時間T2が経過したと判定するとステップS32に移行する。
ここで、所定時間T2は、人間300が退出した個室トイレ200内に存在する有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化するのに十分な時間に設定する。
ステップS33では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を停止し、ステップS21に戻る。
ここでは、個室トイレ200内に人間300が進入する前に、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が停止されているものとする。
この状態で個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Pにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知される。その後、人間300が便座212に着座すると、その時点Qにおいて、圧力センサ12により人間300の着座が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が開始する。そして、時点Qから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Rにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、タイマー2のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
そして、個室トイレ200内から人間300が退出した時点Rから所定時間T2経過すると、その時点Sにおいて、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
上述した第二の実施形態では、人感センサ11を用いて個室トイレ200内における人間300の所在を検知する場合について説明したが、ドアセンサ13を用いて個室トイレ200への人間300の入退出を検知するようにしてもよい。
図10は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
すると、この時点P2において、タイマー0のカウントが開始される。タイマー0は、動作開始から所定時間T0が経過した時点でカウントを終了し、カウント終了信号を制御部20に送信するとともに、リセットされるように設定されている。なお、タイマー0は、カウントの途中でも、圧力センサ12により人間300が便座212に座したことが検知された場合は、制御部20によってリセットされるように設定されている。
ここで、上記の所定時間T0は、個室トイレ200内に人間300が進入した後、便座212に座すまでの時間よりも十分長くなるように設定されている。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すべくドア203を開けると、その時点R1において、ドアセンサ13によりドア203が開いたことが検知される。続いて、個室トイレ200から人間300が退出しドア203が閉じられた時点R2において、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことが検知される。
言い換えると、圧力センサ12から人間300の着座を示す検出信号を受け取った場合には、次に圧力センサ12から人間300の退座を示す検出信号を受信しない限り、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことを示す検出信号を受信しても、タイマー0のカウントは開始しないようにすることができる。
このように、ドアセンサ13からの検出信号と圧力センサ12からの検出信号の双方を確認することで、個室トイレ200内に人が存在しないことを適切に判断することができる。
なお、上記各実施形態においては、不活化装置100を個室トイレに設置する場合について説明したが、上記に限定されるものではない。不活化装置100は、病室やエレベータ、会議室など、頻繁に人が集まる施設の特に狭い空間に設置することができる。
また、不活化装置100から人間に紫外線を照射するタイミングは、人間が閉鎖空間内に存在する期間中の任意のタイミングであってよい。ただし、人間が閉鎖空間内に存在する期間のうち、有害な微生物やウイルスが飛散する可能性が高いタイミングを検知可能な場合には、そのタイミングで紫外線を照射することが好ましい。
例えば、エキシマランプへの給電を制御して、当該エキシマランプの発光動作時間を10ms以上1000ms以下とし、それに続く休止時間を10ms以上10秒以下として、発光動作と休止とを繰り返す場合、上記の所定時間T1は発光動作時間の総和となる。
具体的には、例えばKrClエキシマランプの発光動作時間を100ms、休止時間を100msとし、所定時間T1が30secであるときは、KrClの発光動作回数は300回となり、Krエキシマランプの動作時間は、休止時間を含め60secとなる。
例えば、人を含む空間がトイレであるとき、光源の動作が断続的となるように制御して紫外線照射期間をより長く設定することにより、排便やスプラッシュに伴う細菌、ウイルス等の飛散時にも紫外線照射を実施できる可能性を高くすることができる。
よって、紫外線光源としては、給電制御で紫外線発光動作と休止時間とを繰り返すことが可能な光源が好適である。
そのような光源としては、例えば前記したようなエキシマランプ(KeClエキシマランプ)や固体光源(発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD))などが使用可能である。
Claims (5)
- 人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部は、190nm~235nmの波長域の光を透過し、それ以外の波長域の光の透過を阻止する波長選択フィルタを備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御することを特徴とする不活化装置。 - 人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御し、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御することを特徴とする不活化装置。 - 人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、
前記紫外線の照射が停止した後、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御することを特徴とする不活化装置。 - 人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、
前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。 - 人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、
前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行うステップと、
前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、
前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。
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