以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波プローブ及び超音波診断装置を説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波プローブが適用された超音波診断装置の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
超音波プローブ101は、例えば、エレベーション方向及びアジマス方向に格子状(2次元状)に配置された複数の振動素子(圧電振動子)を有する。アジマス方向は、エレベーション方向と直交する方向である。また、エレベーション方向及びアジマス方向は、振動素子の超音波の放射面から放射される超音波の放射方向と直交する。なお、エレベーション方向及びアジマス方向は、互いに交差していればよい。また、エレベーション方向及びアジマス方向は、超音波の放射方向と交差していればよい。エレベーション方向は、第1の方向の一例である。アジマス方向は、第2の方向の一例である。
複数の振動素子は、装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信する。そして、超音波プローブ101は、反射波を電気信号である反射波信号に変換し、反射波信号を装置本体100に出力する。また、超音波プローブ101は、例えば、振動素子に設けられる整合層と、振動素子から後方への超音波の伝播を防止する背面負荷材(バッキング材)101s(図3参照)等を有する。背面負荷材101sについては後述する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の振動素子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、超音波の送信方向に対する移動体の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、サブアレイ毎に、複数の反射波信号に対して、受信指向性を決定するのに必要な遅延量を与える遅延処理を実行する。なお、サブアレイとは、超音波プローブ101の全ての振動素子を複数のグループに分けた場合に、複数のグループのそれぞれに属する所定数の振動素子の集合を指す。例えば、各グループに属する振動素子の数は、複数である。そして、超音波プローブ101は、サブアレイ毎に、遅延処理が実行された複数の反射波信号を加算する加算処理を実行する。そして、超音波プローブ101は、サブアレイ毎に、加算処理による加算後の反射波信号を送受信回路110に出力する。
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の振動素子が一列で配置された1次元アレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4次元プローブや2次元アレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4次元プローブは、1次元アレイプローブのように一列で配列された複数の振動素子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の振動素子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2次元アレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の振動素子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。2次元アレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。以下、超音波プローブ101が、2次元アレイプローブであり、かつ、リニア型超音波プローブである場合について説明する。
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データにより示される超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって実現される。
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、通信制御回路120と、信号処理回路130と、画像生成回路140と、記憶回路150と、制御回路160とを有する。
送受信回路110は、制御回路160による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波(超音波の反射波)を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。
例えば、送受信回路110は、制御回路160による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101から超音波ビームを送信させる。送受信回路110は、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。
レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動素子毎の送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を供給する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、振動素子の超音波の放射面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、送信パルサからケーブルを介して超音波プローブ101内の振動素子まで伝達した後に、振動素子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動によって発生した超音波は、被検体Pの内部に送信される。ここで、振動素子毎に異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送受信回路110は、制御回路160による制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間に送信駆動電圧の値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、A/D(Analog to Digital)変換器と、受信ビームフォーマ等を有し、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行なって、デジタルデータである反射波データを生成する。そして、送受信回路110は、生成した反射波データを信号処理回路130に送信する。
通信制御回路120は、装置本体100と、超音波プローブ101との通信を行う回路である。例えば、通信制御回路120は、後述する変換回路101lから送信された検出信号を受信すると、受信した検出信号を制御回路160に送信する。
信号処理回路130は、送受信回路110から送信された反射波データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された反射波データをBモードデータ又はドプラデータとして画像生成回路140に出力する。信号処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。信号処理回路130は、信号処理部の一例である。
例えば、信号処理回路130は、反射波データに対して、対数増幅及び包絡線検波処理等を施して、サンプル点毎の信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。そして、信号処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路140に出力する。
また、信号処理回路130は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が挙げられる。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングでは、スキャン方式として、以下の方式が知られている。例えば、かかるスキャン方式として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、パルスサブトラクション法(Pulse Subtraction法)又はパルスインバージョン法(Pulse Inversion法)と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)、及び、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPM等が知られている。
また、信号処理回路130は、反射波データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を反射波データから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。信号処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140に出力する。
画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたBモードデータ及びドプラデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成したドプラデータから運動情報が映像化されたドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、例えば、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像生成回路140は、プロセッサにより実現される。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
なお、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
記憶回路150は、画像生成回路140により生成された各種の画像データを記憶する。また、記憶回路150は、信号処理回路130により生成されたデータも記憶する。記憶回路150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、記憶回路150は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
また、記憶回路150は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。
制御回路160は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路160は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路150から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、通信制御回路120、信号処理回路130及び画像生成回路140の処理を制御する。また、制御回路160は、記憶回路150に記憶された表示用の超音波画像データにより示される超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。制御回路160は、表示制御部又は制御部の一例である。制御回路160は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、図1における複数の回路(例えば、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路160)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路160は、プロセッサにより実現される1つの処理回路に統合されてもよい。
以上、実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。次に、図2を参照して、超音波プローブ101の構成の一例について説明する。図2は、第1の実施形態に係る超音波プローブ101の構成の一例を示す図である。
図2に例示するように、超音波プローブ101は、複数のモジュール101aと、ケーブル101bと、コネクタ101cとを備える。
複数のモジュール101aのそれぞれは、サブアレイ101f毎に設けられる。すなわち、1つのモジュール101aは、1つのサブアレイ101fに対応する。このため、例えば、超音波プローブ101の全ての振動素子101eにより構成される振動素子アレイが、4つのサブアレイ101fに分けられる場合には、図2の例に示すように、モジュール101aの数は、4つとなる。なお、サブアレイ101fの数及びモジュール101aの数は、これに限られない。例えば、サブアレイ101fの数及びモジュール101aの数は、2以上の数であればよい。第1の実施形態に係るモジュール101aは、送受信用IC101dと、サブアレイ101fを構成する複数の振動素子101eと、温度検出素子101gとを備える。温度検出素子101gは、サーミスタ等により温度検出部の一例である。なお、図2には、モジュール101aの構成例が簡易的に示されている。モジュール101aの詳細な構成については、後述する。
送受信用IC101dは、装置本体100から送信された駆動信号を受信すると、受信した駆動信号を、受信した駆動信号に対応する振動素子101eに供給する。
また、送受信用IC101dは、サブアレイ101fを構成する複数の振動素子101eから出力される複数の反射波信号に対して、受信指向性を決定するのに必要な遅延量を与える遅延処理を実行する。そして、送受信用IC101dは、遅延処理が実行された複数の反射波信号を加算する加算処理を実行する。そして、送受信用IC101dは、遅延処理が実行された複数の反射波信号を加算する加算処理を実行する。そして、送受信用IC101dは、ケーブル101b及びコネクタ101cを介して、加算処理による加算後の反射波信号を送受信回路110に送信する。
送受信用IC101dは、動作する際に電力を消費するため、発熱する。また、振動素子101eは、超音波の送信時の変換ロス、背面材や音響レンズでの減衰吸収のため、発熱する。送受信用IC101d及び振動素子101eの発熱により、超音波プローブ101内の温度が上昇する。
そこで、超音波診断装置1が温度制御を行うために、サーミスタ等の温度検出素子101gは、超音波プローブ101内に設けられ、超音波プローブ101内の温度を検出する。温度検出素子101gは、検出した温度を示す検出信号を、ケーブル101bを介して、コネクタ101c内の後述する変換回路101lに送信する。したがって、変換回路101lは、複数(図2の例では4つ)の送受信用IC101dのそれぞれから送信された検出信号を受信する。図2に示す場合、変換回路101lは、4つの検出信号を受信する。
ケーブル101bは、送受信用IC101dと、装置本体100との通信を行うためのケーブルである。例えば、ケーブル101bの一端には、4つの送受信用IC101dのそれぞれが接続されている。また、ケーブル101bの他端には、コネクタ101cが接続されている。コネクタ101cが、装置本体100のポート(図示せず)に接続されることで、ケーブル101b及びコネクタ101cを介して、送受信用IC101dと装置本体100との間で通信を行うことが可能となる。
第1の実施形態では、コネクタ101cは、変換回路101lを備える。変換回路101lは、受信した複数(図2の例では4つ)の検出信号を単一の検出信号に変換する。例えば、変換回路101lは、複数の検出信号の中から、最も高い温度を示す検出信号を特定する。そして、変換回路101lは、特定した検出信号を装置本体100の通信制御回路120に送信する。すなわち、変換回路101lは、複数の検出信号の中から、最も高い温度を示す検出信号を出力する。変換回路101lは、変換部の一例である。
ここで、図2に示す実線は、アナログ信号の通信経路を示し、破線は、デジタルデータの通信経路を示す。例えば、送受信回路110からコネクタ101c及びケーブル101bを介して、送受信用IC101dに送信される駆動信号は、実線で示されるように、アナログ信号である。同様に、送受信用IC101dから振動素子101eに供給される駆動信号も、実線で示されるように、アナログ信号である。
一方、送受信回路110から信号処理回路130に送信される反射波データ、通信制御回路120から制御回路160に送信される検出信号、及び、信号処理回路130から画像生成回路140に送信される各種のデータ等も、破線で示されるように、デジタルデータである。
次に、モジュール101aの詳細について説明する。図3は、第1の実施形態に係るモジュール101aの構成の一例を示す図である。図3に例示するように、モジュール101aは、複数の振動素子101e、信号引き出し用のフレキシブル配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)101hと、背面負荷材101sと、基板101kと、送受信用IC101dとを有する。
振動素子101eは、超音波の放射面を有する。振動素子101eの超音波の放射面には、グランド電極が設けられている。また、振動素子101eの超音波の放射面とは反対側の面(背面)には、信号電極が設けられている。グランド電極には、例えば、グランド接地用のフレキシブル配線板(図示せず)が接続されている。また、信号電極には、フレキシブル配線板101hが接続されている。振動素子101eは、駆動信号によって駆動されて、超音波の放射面から超音波を放射する。また、振動素子101eは、超音波の反射波を受信すると、受信した反射波を反射波信号に変換し、反射波信号を信号電極から出力する。
フレキシブル配線板101hは、例えば、両面FPCである。フレキシブル配線板101hが両面FPCである場合、フレキシブル配線板101hの振動素子101e側の面とは反対側の面(背面)には、複数の振動素子の信号電極のそれぞれに接続される配線パターンのそれぞれが設けられている。配線パターンのそれぞれは、フレキシブル配線板101hの両面を電気的に接続するスルーホールを介して、フレキシブル配線板101hの振動素子101e側の面に設けられた接着用パッドに接続されている。接着用パッドのそれぞれは、接続される対象の信号電極に対向する位置に設けられている。そして、各接着パッドと、対応する信号電極とが接着される。
図3に示すように、フレキシブル配線板101hは、背面負荷材101sの側面と略平行になるように、折り曲げられている。例えば、フレキシブル配線板101hは、背面負荷材101s及び基板101kを挟み込むように折り曲げられている。
背面負荷材101sは、複数の振動素子101eの超音波の放射面とは反対側の面に対向するように設けられている。背面負荷材101sは、音響部材101i及び高熱伝導部材101jを有する。音響部材101iは、振動素子101eから背面方向(超音波の送信方向とは逆の方向)への超音波の伝搬を抑制する。例えば、音響部材101iは、振動素子101eから、超音波の放射方向とは逆方向に放射される超音波を減衰させるとともに吸収する。音響部材101iは、酸化亜鉛等の金属酸化物を充填した樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を基材とし、タングステン粉末、酸化亜鉛粉末、炭化タングステン及び炭素繊維のうち少なくとも1つを混練し、硬化させたものである。音響部材101iは、例えば、略直方体である。音響部材101iの振動素子101eに対向する面(振動素子101e側の面)は、フレキシブル配線板101hを介して、サブアレイ101fを構成する複数の振動素子101eに設けられた複数の信号電極に音響的に接続されている。音響部材101iは、第1の層の一例である。
高熱伝導部材101jは、音響部材101iの振動素子101e側とは反対側に設けられ、かつ、熱伝導率が所定値以上の部材により形成される。高熱伝導部材101jは、例えば、アルミニウム、銅、炭素繊維又は高熱伝導性セラミックである。高熱伝導部材101jは、例えば、略直方体である。高熱伝導部材101jの1つの面と、音響部材101iの振動素子101e側の面とは反対側の面とが接着されている。高熱伝導部材101jは、高熱伝導部材101j内の熱伝導により、振動素子101eが発生した熱及び送受信用IC101dが発生した熱が伝搬される背面負荷材101s(具体的には、音響部材101i)を均熱化する。高熱伝導部材101jは、第2の層の一例である。
基板101kには、送受信用IC101dが搭載されている。送受信用IC101dは、基板101k上に設けられた配線パターンに接続されている。送受信用IC101dに接続された配線パターンは、フレキシブル配線板101hの振動素子101e側の面に振動素子101e毎に設けられた配線パターンに、フレキシブル配線板101hに形成されたスルーホールを介して電気的に接続されている。
また、振動素子101eのグランド電極に電気的に接続された配線パターンであって、グランド接地用のフレキシブル配線板(図示せず)に設けられた配線パターンと、送受信用IC101dに接続された配線パターンとも電気的に接続されている。
したがって、送受信用IC101dと、振動素子101eの信号電極と、振動素子101eのグランド電極とは電気的に接続されている。
送受信用IC101dは、装置本体100から送信された駆動信号を受信すると、受信した駆動信号を、受信した駆動信号に対応する振動素子101e、すなわち、駆動対象の振動素子101eに対して送信する。送受信用IC101dは、駆動信号を送信することで、駆動対象の振動素子101eの両電極(信号電極及びグランド電極)間を駆動信号に応じた電圧で印加する。これにより、駆動対象の振動素子101eが駆動されて超音波を放射する。なお、送受信用IC101dは、フレキシブル配線板101hに直接実装されてもよい。例えば、送受信用IC101dは、「Chip on film」等の実装技術により、フレキシブル配線板101hに直接実装されてもよい。
ここで、図4及び図5を参照して、比較例に係る超音波プローブについて説明する。図4は、第1の比較例に係る超音波プローブのモジュールを説明するための図である。図4に例示する第1の比較例に係る超音波プローブは、セクタ型超音波プローブであり、かつ、2次元アレイプローブである。第1の比較例に係る超音波プローブは、温度制御を行うために、サーミスタ204を備える。
図4の上部は、第1の比較例に係る超音波プローブのモジュールの一部を、アジマス方向と直交する面であって、エレベーション方向に沿う面から見た場合の図である。また、図4の下部は、第1の比較例に係る超音波プローブのモジュールの一部の下面図である。
図4の上部に示すように、第1の比較例に係る超音波プローブは、振動素子アレイ201、音響部材202及び高熱伝導部材203を備える。振動素子アレイ201は、エレベーション方向及びアジマス方向に格子状に配置された複数の振動素子により構成される。
ここで、超音波プローブでは、温度制御が行われる際に、超音波プローブの内部の温度として、なるべく高い温度が検出されることが好ましい。そのため、第1の比較例に係る超音波プローブでは、サーミスタ204は、図4の下部に示すように、振動素子アレイ201の中央部分の位置に対応する高熱伝導部材203の位置に設けられる。サーミスタ204をこのような位置に設ける理由の一例について説明する。セクタ型超音波プローブであり、かつ、2次元アレイプローブである第1の比較例に係る超音波プローブは、超音波の送受信を行う際に、全振動素子を駆動していると考えられる。このため、振動素子アレイ201の中央部分の温度が最も高くなると考えられる。また、送信開口又は受信開口の口径が、全振動素子を駆動する場合の口径よりも狭くなる場合であっても、振動素子アレイ201の中央部分の振動素子が駆動していると考えられる。したがって、この場合においても、振動素子アレイ201の中央部分の温度が最も高くなると考えられる。このため、サーミスタ204は、振動素子アレイ201の中央部分の位置に対応する高熱伝導部材203の位置に設けられる。
なお、セクタ型超音波プローブである第1の比較例に係る超音波プローブが備える振動素子アレイ201のサイズは、リニア型超音波プローブ等と比較して、小規模である。また、図4の上部及び下部に示すように、音響部材202及び高熱伝導部材203により構成される背面負荷材は、分割されておらず、一体的に形成されている。このため、高熱伝導部材203は、背面負荷材(具体的には、音響部材202)の均熱化を図ることができる。よって、図4の下部に示すように、サーミスタ204が、振動素子アレイ201の中央部分ではなく端部の位置に対応する高熱伝導部材203の位置に設けられてもよい。
図5は、第2の比較例に係る超音波プローブのモジュールを説明するための図である。図5に例示する第2の比較例に係る超音波プローブは、リニア型超音波プローブであり、かつ、2次元アレイプローブである。第2の比較例に係る超音波プローブは、温度制御を行うために、サーミスタ301dを備える。
図5の上部は、第2の比較例に係る超音波プローブのモジュールの一部を、アジマス方向と直交する面であって、エレベーション方向に沿う面から見た場合の図である。また、図5の下部は、第2の比較例に係る超音波プローブのモジュールの一部の下面図である。
図5の上部に示すように、第2の比較例に係る超音波プローブは、サブアレイ301a、音響部材301b及び高熱伝導部材301cを有するモジュールを複数備える。複数のモジュールは、エレベーション方向に並んで設けられている。ここでいうサブアレイ301aとは、第2の比較例に係る超音波プローブの全ての振動素子を複数のグループに分けた場合に、複数のグループのそれぞれに属する所定数の振動素子の集合を指す。サブアレイ301aは、エレベーション方向及びアジマス方向に格子状に配置された複数の振動素子により構成される。
ここで、第2の比較例に係る超音波プローブの全ての振動素子により構成される振動素子アレイのサイズは、セクタ型超音波プローブ等と比較して、大規模である。このため、第2の比較例に係る超音波プローブが、送信開口の位置及び受信開口の位置を移動しつつ走査を行う場合には、一部の振動素子だけが駆動される。このため、振動素子アレイの最も温度が高くなる部分は、一定ではなく、変化する。
また、第2の比較例に係る超音波プローブでは、振動素子の数が多いため、複数のモジュールが設けられる。そして、複数のモジュールのそれぞれが、サブアレイ301aを構成する複数の振動素子から出力される反射波信号を処理する。したがって、第2の比較例に係る超音波プローブでは、音響部材及び高熱伝導部材が複数の音響部材301b及び複数の高熱伝導部材301cに分割される。このため、隣接する2つのモジュール間の熱抵抗は、比較的高いものとなる。すなわち、隣接する2つのモジュール間の熱伝達率が比較的低くなる。したがって、隣接する2つのモジュール間では、温度差が大きくなる傾向がある。このため、各モジュールにおいて、温度検出が行われる必要がある。
ここで、振動素子アレイは、上面視で、長方形となる。第2の比較例に係る超音波プローブでは、信号引き出しの実現のために、振動素子アレイの短手方向に、複数のサブアレイ301aに分割することで、引き出し面の大きさを十分に確保することが望ましい。このため、1つのモジュールに含まれる1つの背面負荷材の形状は、極端な長辺短辺比を有する細長い長方形となる。例えば、背面負荷材の形状は、アジマス方向を長手方向とする長方形となる。このため、高熱伝導部材301cによる均熱化が充分に図られず、1つの背面負荷材の長手方向において、最も高い温度と最も低い温度との差が、ある程度大きくなる。また、送信開口の位置及び受信開口の位置の変化により、1つの背面負荷材において、最も高い温度となる部分も変化する。このため、1つの背面負荷材において、最も高い温度をサーミスタ301dにより検出する場合には、長手方向における複数の位置に複数のサーミスタ301dを設ける必要がある。
例えば、図5の下部に示すように、各モジュールにおいて、高熱伝導部材301cのアジマス方向において互いに異なる複数(4つ)の位置に、複数のサーミスタ301dを設ける必要がある。しかしながら、この場合には、モジュールの数が6つであるため、多数(24(4×6)個)のサーミスタ301dを設ける必要がある。このため、最も高い温度を検出するための回路の規模が大きくなったり、サーミスタ301dの消費電力が増大したり、サーミスタ301dからの検出信号を伝達するためのケーブルの線数が増加したり、サーミスタ301dの購入費用等のコストが増大したりしてしまう。
そこで、第1の実施形態に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1は、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができるように、以下に説明するように構成されている。
図6は、第1の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aを説明するための図である。図6に例示する超音波プローブ101は、上述したように、リニア型超音波プローブであり、かつ、2次元アレイプローブである。第1の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aは、温度制御を行うために、温度検出素子101gを備える。
図6の上部は、第1の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aの一部を、アジマス方向と直交する面であって、エレベーション方向に沿う面から見た場合の図である。また、図5の下部は、第1の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aの一部の下面図である。
超音波プローブ101は、図5の上部に示すように、サブアレイ101f、音響部材101i及び高熱伝導部材101jを有するモジュール101aを複数備える。複数のモジュール101aは、エレベーション方向に並んで設けられている。サブアレイ101fは、エレベーション方向及びアジマス方向に格子状に配置された複数の振動素子101eにより構成される。
ここで、図6に示すように、第1の実施形態では、複数(6つ)のモジュール101aのうちエレベーション方向に隣接する2つのモジュール101a間で、アジマス方向における温度検出素子101gの配置を示す配置パターンが異なる。
図7A~図7Eを参照して、配置パターンの一例について説明する。ここでは、5種類の配置パターンについて説明する。図7A~図7Eは、第1の実施形態に係る配置パターンの一例を示す図である。また、高熱伝導部材101jに、アジマス方向における4つの異なる位置に、温度検出素子101gが配置される場合について説明する。図7Aは、アジマス方向において1番目の位置に温度検出素子101gが配置されたことを示す配置パターン(1)を示す。図7Bは、アジマス方向において2番目の位置に温度検出素子101gが配置されたことを示す配置パターン(2)を示す。図7Cは、アジマス方向において3番目の位置に温度検出素子101gが配置されたことを示す配置パターン(3)を示す。図7Dは、アジマス方向において4番目の位置に温度検出素子101gが配置されたことを示す配置パターン(4)を示す。図7Eは、温度検出素子101gが配置されていないことを示す配置パターン(5)を示す。このように、温度検出素子101gの配置位置に応じて配置パターンは、異なる。また、温度検出素子101gが配置されていない場合も、配置パターンに含まれる。なお、本実施形態では、超音波プローブ101が備える複数のモジュール101aのうち、少なくとも2つのモジュール101aが、背面負荷材101sに設けられた温度検出素子101gを有していればよい。
図6において、上述したように、隣接する2つのモジュール101a間で配置パターンが異なっている。例えば、一番左側のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(1)であり、左から2番目のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(4)である。また、左から3番目のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(2)であり、右から3番目のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(3)である。右から2番目のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(1)であり、一番右側のモジュール101aの配置パターンは、配置パターン(4)である。
隣接する2つのモジュール101a間で配置パターンを異ならせる理由について説明する。例えば、送信開口及び受信開口が狭くなった場合であっても、複数のモジュールの複数のサブアレイ101fに亘って、送信開口及び受信開口が設定される傾向がある。このため、隣接する2つのモジュール101a間では、アジマス方向において略同一の位置の振動素子101eが発熱する傾向がある。よって、隣接する2つのモジュール101a間では、アジマス方向において略同一の位置の温度は、略同一となる傾向がある。
したがって、隣接する2つのモジュール101a間では、アジマス方向において異なる位置の温度を検出したほうが、超音波プローブ101全体では、最低限の個数の温度検出素子101gを用いて、効率良く、振動素子アレイにおける最大の温度を検出することができる。これらの理由から、第1の実施形態に係る超音波プローブ101では、隣接する2つのモジュール101a間で、アジマス方向における温度検出素子101gの配置を示す配置パターンが異なる。
図6に示す超音波プローブ101と、図5に示す第2の比較例に係る超音波プローブは、共に、リニア型超音波プローブであり、かつ、2次元アレイプローブである。しかしながら、第2の比較例に係る超音波プローブでは、温度制御に用いられるサーミスタ301dの数が24個である。これに対して、第1の実施形態に係る超音波プローブ101では、1つのモジュール101aが1つの温度検出素子101gを有するので、温度制御に用いられる温度検出素子101gの数が6個である。
したがって、第1の実施形態に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。よって、超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、最も高い温度を検出するための回路の規模の増大を抑制することができる。また、超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、温度検出素子101gの消費電力の増大を抑制することができる。また、超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、温度検出素子101gからの検出信号を伝達するためのケーブルの線数の増加を抑制することができる。また、超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、温度検出素子101gの購入費用等のコストの増大を抑制することができる。
次に、温度制御において、制御回路160が実行する処理の一例について説明する。例えば、上述したように、変換回路101lは、受信した複数の検出信号の中から、最も高い温度を示す検出信号を通信制御回路120に送信する。通信制御回路120は、受信した検出信号を制御回路160に送信する。
制御回路160は、検出信号を受信すると、受信した検出信号が示す温度と、第1の閾値とを比較し、検出信号が示す温度が第1の閾値以上である場合には、超音波プローブ101の走査動作(スキャン動作)を停止させる。又は、制御回路160は、検出信号が示す温度が第1の閾値以上である場合には、超音波プローブ101への電力の供給を停止させて、超音波プローブ101の動作を停止させる。
また、制御回路160は、検出信号が示す温度と、第1の閾値よりも小さい第2の閾値とを比較する。そして、制御回路160は、検出信号が示す温度が第2の閾値以上かつ第1の閾値未満である場合には、超音波プローブ101が被検体Pから離れて空中放置の状態となった際に、超音波の送信を停止するように、超音波プローブ101を制御する。
また、制御回路160は、検出信号が示す温度と、第2の閾値よりも小さい第3の閾値とを比較する。そして、制御回路160は、検出信号が示す温度が第3の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、送信電圧を所定値下げるように、超音波プローブ101を制御する。ここで、送信電圧とは、例えば、駆動対象の振動素子101eの両電極(信号電極及びグランド電極)間に印加される電圧であって駆動信号に応じた電圧を指す。
以上、第1の実施形態に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1について説明した。超音波プローブ101及び超音波診断装置1によれば、上述したように、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。
なお、第1の実施形態において、温度検出素子101gとして熱電対が用いられてもよい。熱電対は、温度を検出し、検出した温度を示す検出信号を出力する。熱電対は、温度検出部の一例である。
(第1の実施形態の第1の変形例)
なお、上述した実施形態では、変換回路101lが、複数の検出信号の中から、最も高い温度を示す検出信号を出力する場合について説明した。しかしながら、変換回路101lは、複数の検出信号のそれぞれを一定時間毎に切り替えて出力してもよい。そこで、このような変形例を、第1の実施形態に係る第1の変形例として説明する。
例えば、変換回路101lは、複数の検出信号のそれぞれを順々に、一定時間ごとに選択する。そして、変換回路101lは、検出信号を選択する度に、選択された検出信号を通信制御回路120に送信する。通信制御回路120は、検出信号を受信すると、受信した検出信号を制御回路160に送信する。
制御回路160は、検出信号を受信する度に、一定の期間の間に受信した検出信号の中から、最も高い温度を示す検出信号を特定する。ここでいう一定の期間とは、例えば、制御回路160が検出信号を受信したタイミング(受信タイミング)から、この受信タイミングから所定時間前までの期間である。そして、制御回路160は、特定した検出信号が示す最も高い温度を用いて、第1の実施形態と同様の処理を行う。すなわち、制御回路160は、一定の期間の間に変換回路101lから出力された複数の検出信号が示す複数の温度のうち最も高い温度を用いて、第1の実施形態と同様の処理を行う。
以上、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1について説明した。第1の変形例によれば、第1の実施形態と同様に、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。
(第2の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、振動素子101eがモジュール101aに含まれる場合について説明した。しかしながら、振動素子101eがモジュール101aに含まれなくてもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、第2の実施形態についての説明では、第1の実施形態と異なる点を主に説明する。
図8は、第2の実施形態に係る超音波プローブ101の構成の一例を示す図である。図9は、第2の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aを説明するための図である。上述した第1の実施形態では、超音波プローブ101の全ての振動素子101eにより構成される振動素子アレイが、4つのサブアレイ101fに分けられる場合について説明した。第2の実施形態では、図8及び図9に示すように、全ての振動素子101eにより構成される振動素子アレイ101mが、分割されずに用いられる。すなわち、第2の実施形態では、全ての振動素子101eが分割されずに一体となった振動素子アレイ101mが用いられる。第2の実施形態では、超音波プローブ101が振動素子アレイ101mを備えるものの、モジュール101aには、振動素子アレイ101mが含まれない。
以上、第2の実施形態に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1について説明した。第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。
(第3の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、背面負荷材101sが高熱伝導部材101jを備え、高熱伝導部材101jに温度検出素子101gが設けられる場合について説明した。しかしながら、背面負荷材101sが高熱伝導部材101jを備えなくてもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、第3の実施形態についての説明では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点を主に説明する。
図10は、第3の実施形態に係る超音波プローブ101のモジュール101aを説明するための図である。なお、以下、第2の実施形態に係るモジュール101aが高熱伝導部材101jを備えない場合の実施形態を第3の実施形態として説明するが、第1の実施形態に係るモジュール101aが高熱伝導部材101jを備えない場合の実施形態にも、以下で説明する内容が適用される。
図10に例示するように、第3の実施形態に係るモジュール101aは、高熱伝導部材101jを備えずに、音響部材101iを備える。図10の下部に例示するように、音響部材101iに、アジマス方向における4つの異なる位置に、温度検出素子101gが設けられる。第3の実施形態に係る音響部材101iは、層の一例である。図10の下部に示すように、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、エレベーション方向に隣接する2つのモジュール101a間で、アジマス方向における温度検出素子101gの配置を示す配置パターンが異なる。
以上、第3の実施形態に係る超音波プローブ101及び超音波診断装置1について説明した。第3の実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。
なお、上述した実施形態では、1つの高熱伝導部材101j又は1つの音響部材101iに、1つの温度検出素子(例えば、1つのサーミスタ又は1つの熱電対)101gを設けるか、若しくは、温度検出素子101gを設けない場合について説明した。しかしながら、1つの高熱伝導部材101j又は1つの音響部材101iに、2つ以上の温度検出素子101gが設けられてもよい。
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、温度を検出する温度検出素子101gの数の増大を抑制しつつ、振動素子アレイにおいて最も高い温度を検出することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。