JP7181312B2 - 植物育成用灯具 - Google Patents

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Description


本発明は、植物の成長を促進するための植物育成用灯具に関する。

内部環境をコントロールした閉鎖的または半閉鎖的な空間で植物を計画的に生産するシステムである植物工場では、温度、肥料、光照射時間、照射する光の照度等を調節することによって、植物の成長制御を行っている。

また、植物の成長等には、光の偏光状態が一定の影響を与える場合があると考えられている。例えば、特許文献1には、偏光照射機構を備える生物挙動コントロール装置が開示されており、この装置を用いた実験により、赤色の右円偏光のみを照射することにより、シロイヌナズナの成長が促進されたことが示されている。

このような特定の円偏光を照射することによって、植物の成長を促進する植物育成用灯具として、特許文献2に記載される植物育成用灯具(植物育成用の照明装置)が知られている。

この植物育成用灯具は、光源と、光源が出射した光の偏光状態を制御する偏光状態制御部材とを備え、光源が出射した光の一部の波長帯域の偏光状態を円偏光に変更すると共に、照射する光のうち、有効波長帯域(制御波長帯域)における光の円偏光度が0.3以上である構成を有する。特許文献2において、偏光状態制御部材としては、特定の波長帯域において、旋回方向が特定の円偏光を選択的に反射する、反射型円偏光板が例示されている。

特開2008-228688号公報 特開2012-226229号公報

特許文献2に記載される植物育成用灯具によれば、植物の成長を促進するための植物育成用灯具において、偏光状態を制御する部材の点数を少なくできる。

また、照射する光は、植物の成長を促進できる波長帯域における円偏光度が高い方が、植物の成長促進に有利である。特許文献2に記載される植物育成用灯具は、有効波長帯域における円偏光度が0.3以上であることにより、植物の成長を好適に促進できる。

ここで、特許文献2に記載される植物育成用灯具など、従来の植物育成用灯具では、例えば赤色の右円偏光を照射した場合に成長を促進できる植物など、特定の波長帯域の円偏光で成長を促進できる植物のみに対応できる。

一方、例えば、植物育成用灯具が、赤色の右円偏光を照射する灯具である場合には、青色の右または左円偏光の照射によって成長が促進される植物への対応は、さらなる改善が必要であった。

本発明の目的は、植物の成長を促進する植物育成用灯具において、成長を促進できる円偏光の色が異なる植物の成長促進に対応でき、加えて、いずれの色も円偏光度の高い光を照射できる植物育成用灯具を提供することにある。

このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。

[1] 光源と、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する反射型円偏光板と、を有し、

380nm以上500nm以下の波長帯域を青色波長帯域、500nm超600nm未満の波長帯域を緑色波長帯域、600nm以上780nm以下の波長帯域を赤色波長帯域とした際に、

光源として、青色波長帯域に発光の中心波長を有する青色光源、緑色波長帯域に発光の中心波長を有する緑色光源、および、赤色波長帯域に発光の中心波長を有する赤色光源の、2以上を有し、

反射型円偏光板は、青色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する青色反射コレステリック液晶層、緑色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する緑色反射コレステリック液晶層、および、赤色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する赤色反射コレステリック液晶層の、2以上を有し、

光源が、発光の中心波長を有する波長帯域と、反射型円偏光板のコレステリック液晶層が、有効波長帯域の中心波長を有する波長帯域とが、同じ色の波長帯域であり、

さらに、反射型円偏光板が、厚さ方向に位相差を有する偏光補正層を有することを特徴とする植物育成用灯具。

[2] 偏光補正層が、Cプレートである、[1]に記載の植物育成用灯具。

[3] 光源として、青色光源および赤色光源を有し、

反射型円偏光板が、青色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層を有する、[1]または[2]に記載の植物育成用灯具。

[4] 白色光を照射するための補助光源をさらに有する、[1]~[3]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[5] 反射型円偏光板のコレステリック液晶層において、選択的に反射する円偏光の旋回方向が、全て同じである、[1]~[4]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[6] 反射型円偏光板が、選択的に反射する円偏光の旋回方向が異なるコレステリック液晶層を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[7] 反射型円偏光板のヘイズが1%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[8] 反射型円偏光板のコレステリック液晶層の少なくとも1層が、散乱性を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[9] 反射型円偏光板が、コレステリック液晶層を支持するための支持体をさらに有する、[1]~[8]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[10] 光源が、一方向に、複数、配列されている、[1]~[9]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

[11] 光源がLEDである、[1]~[10]のいずれかに記載の植物育成用灯具。

本発明の植物育成用灯具は、特定の波長帯域の特定の円偏光を照射することで、成長を促進できる円偏光の色が異なる植物の成長促進に対応できる。また、いずれの色も高い円偏光度の円偏光を照射できる。

本発明の植物育成用灯具の一例を概念的に示す断面図である。 図1に示す植物育成用灯具を別の方向から見た際の概念図である。 本発明の植物育成用灯具に用いられる反射型円偏光板の一例を概念的に示す例である。 通常のコレステリック液晶層を説明するための概念図である。 散乱性のコレステリック液晶層を説明するための概念図である。 本発明の植物育成用灯具に用いられる反射型円偏光板の別の例を概念的に示す例である。

以下、本発明の植物育成用灯具について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。

なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。

本発明において、青色光とは、380~500nmの波長帯域(青色波長帯域)の光であり、緑色光とは、500nm超600nm未満の波長帯域(緑色波長帯域)の光であり、赤色光とは、600~780nmの波長帯域(赤色波長帯域)の光である。

従って、可視光は380~780nmの波長帯域の光、紫外線は波長が380nm未満の光、赤外線は波長が780nm超の光である。

本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレタデーション、および、厚さ方向のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。

本発明において、Re(λ)、Rth(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、

遅相軸方向(°)

Re(λ)=R0(λ)

Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×dが算出される。

なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。

本発明において、屈折率nx、ny、および、nzは、アッベ屈折計(NAR-4T、アタゴ社製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR-M2(アタゴ社製)にて、干渉フィルタとの組み合わせで測定できる。

また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、および、各種光学フィルムのカタログの値を使用できる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、および、ポリスチレン(1.59)。

図1および図2に、本発明の植物育成用灯具の一例を概念的に示す。

なお、図1は、本発明の植物育成用灯具10を長手方向と直交する方向に切断した断面を概念的に示す図である。他方、図2は、本発明の植物育成用灯具10を、短手方向すなわち図1と直交する方向から見た概念図である。すなわち、図1は、図2のI-I線断面図である。

図示例が示す植物育成用灯具10は、植物の成長を促進できる、特定の波長帯域(波長領域)の特定の旋回方向の円偏光(円偏光の光)を、植物に照射するための装置である。植物育成用灯具10は、灯具本体12と、青色光源14Bおよび赤色光源14Rを有する光源ユニット16と、反射型円偏光板18とを有する。

後述するが、本発明の植物育成用灯具10において、反射型円偏光板18は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する。

周知のように、コレステリック液晶層は、有効波長帯域すなわち選択的な反射波長帯域を有し、有効波長帯域において、右円偏光または左円偏光を選択的に反射する。具体的には、コレステリック液晶層は、有効波長帯域の左円偏光を反射して、それ以外の光は、有効波長帯域の右円偏光を含めた、全ての光を透過する。または、コレステリック液晶層は、有効波長帯域の右円偏光を反射して、それ以外の光は、有効波長帯域の左円偏光を含めた、全ての光を透過する。

従って、本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長の促進できる目的とする波長帯域において、植物の成長を促進できる旋回方向の円偏光(円偏光成分)が多い、円偏光度が高い光を出射でき、植物の成長を好適に促進できる。

言い換えれば、本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長を促進できる特定の波長帯域において、植物の成長に寄与する特定の旋回方向の円偏光の割合が多い光を、植物に照射できる。

なお、植物育成用灯具10は、図示した部材以外にも、必要に応じて、反射部材、放熱部材、赤外線吸収部材、紫外線吸収部材、レンズ、プリズム、光源14の点灯および消灯の制御回路等、公知の植物育成用灯具(光照射装置)に設けられる、各種の部材を有してもよい。

<灯具本体>

上述のように、植物育成用灯具10は、灯具本体12と、光源14を有する光源ユニット16と、反射型円偏光板18とを有する。

灯具本体12は、筐体24と、光透過板26とを有する。

筐体24は、略円弧状の断面形状を有し、円弧の頂部に開口24aを有する。この開口24aから青色光源14Bおよび赤色光源14Rを挿入して、筐体24の円弧の頂部外面側から、光源ユニット16が筐体24すなわち灯具本体12に固定される。

図2に示すように、植物育成用灯具10すなわち筐体24は長尺状である。従って、筐体24は、中空の略円柱(円筒)状のものを、高さ方向に切断した、劣弧側の形状を有する。

図1は、植物育成用灯具10の長手方向(円柱の高さ方向)と直交する方向の断面(図2のI-I線断面)である。従って、図1において、筐体24は、紙面に垂直な方向に長尺なものである。なお、図2においては、植物育成用灯具10の構成を明確に示すために、筐体24を破線で示して省略し、光源14等を明記している。

筐体24の内面は、光反射面となっている。すなわち、筐体24は、植物育成用灯具10におけるリフレクタとして作用する。

筐体24の内面の光反射面には、制限はなく、光学機器等で用いられている光反射面が、各種、利用可能である。光反射面としては、金属膜、白色面、および、拡散反射面等が例示される。または、筐体24を金属材料、白色の材料、および、光拡散性の材料等で形成することで、筐体24の内面を光反射面としてもよい。

図示例において、筐体24は略円弧状の断面形状を有するものであるが、本発明は、これに制限はされない。

筐体24の断面形状としては、略円弧状以外にも、矩形状、台形状、三角形状、および、放物線状等の各種の形状が利用可能である。

また、筐体24すなわち本発明の植物育成用灯具は、長尺なものに制限はされず、例えば、円形、正方形、および、三角形等の平面形状(光透過板26の形状)を有していてもよい。しかしながら、本発明の植物育成用灯具は、広い面積にわたって植物の成長を促進できる観点から、筐体24を長尺にして、後述するように複数の光源14を配列することが好ましい。

筐体24すなわち植物育成用灯具10の長手方向の長さは、制限はないが、植物育成用灯具10の取り扱い性、および、加工コスト等を考慮すると、50~200cmが好ましく、100~150cmがより好ましい。

筐体24すなわち植物育成用灯具10の短手方向の長さは、制限はないが、植物育成用灯具10の取り扱い性、および、加工コスト等を考慮すると、3~30cmが好ましく、5~10cmがより好ましい。

上述したように、筐体24の開放面は、光透過板26によって閉塞される。従って、光透過板26も、筐体24と同様に長尺なものであり、長方形状である。植物育成用灯具10において、この光透過板26が灯具本体12からの光照射面となる。

なお、本発明において、筐体24の開放面は、光透過板26によって閉塞される構成に制限はされない。例えば、筐体24の開放面を、後述する反射型円偏光板18によって閉塞する構成も利用可能である。

光透過板26は、光源14が出射した光を十分な透過率で透過できるものであれば、筐体24の開放面すなわち筐体24からの光の出射面(出射口)と同様の平面形状を有する板状物が、各種、利用可能である。

なお、光透過板26は、筐体24の開放面を完全に閉塞する形状に制限はされない。すなわち、光透過板26は、後述する反射型円偏光板18の貼着に十分な面積を有するものであれば、周辺部で筐体24との間に間隙を有するものでもよく、また、規則的または不規則に貫通孔を有するものでもよい。

灯具本体12、筐体24および光透過板26の形成材料としては、制限はなく、光源14が照射する光および熱に対して十分な耐性を有し、かつ、十分な機械的強度を有するものであれば、各種の材料で形成できる。

一例として、ポリカーボネート(PC(Polycarbonate))、ポリエチレンテレフタレート(PET(Polyethylene terephthalate))、ポリプロピレン、ポリエチレン、および、アクリル樹脂等の樹脂材料が挙げられる。

筐体24および光透過板26は、同じ材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。筐体24と光透過板26とを同じ材料で形成する場合には、筐体24と光透過板26とを一体成型してもよい。また、必要に応じて、公知の手段で光透過板26を筐体24から取り外し可能にしてもよい。

なお、筐体24と光透過板26とを一体成型しない場合には、両者の固定は、接着剤、固定冶具、凹部と凸部の篏合、ビス止め、および、ボルトナット等、公知の方法で行えばよい。

<光源>

上述したように、略円弧状の断面形状を有する筐体24の円弧の頂部には、開口24aが形成され、開口24aから青色光源14Bおよび赤色光源14Rを挿入して、筐体24の円弧の頂部外面側から、光源ユニット16が固定される。

光源ユニット16は、光源に加え、光源14を点灯および制御するための基板等を有する、光源14の種類に応じた公知の発光装置である。

筐体24への光源ユニット16の取り付け方法には、制限はなく、筐体24および光源ユニット16の形状および構成等に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。また、光源ユニット16は、筐体24に取り外し可能に取り付けられてもよい。

光源ユニット16は、一方向に配列されて複数の青色光源14Bおよび赤色光源14Rを有するが、個々の光源は、光源ユニット16から取り外しおよび交換が、可能でも不可能でもよい。

本発明の植物育成用灯具は、光源として、青色光の波長帯域すなわち青色波長帯域(380~500nm)に発光の中心波長を有する青色光源、緑色光の波長帯域すなわち緑色波長帯域(500nm超600nm未満)に発光の中心波長を有する緑色光源、および、赤色光の波長帯域すなわち赤色波長帯域(600~780nm)に発光の中心波長を有する赤色光源の、2以上を有する。

なお、光源の発光の中心波長すなわち光源の中心波長とは、光源の発光が最大となる波長であり、すなわち、光源の発光スペクトル特性における最大ピークとなる波長である。

本発明の植物育成用灯具において、青色光源、緑色光源および赤色光源の、いずれを用いるかは、栽培する植物の成長を促進できる波長に応じて、適宜、選択すればよい。

ここで、植物の成長(重量増加)の促進には、赤色光の照射および青色光の照射が好適である。すなわち、植物は、青色光の右または左円偏光の照射、もしくは、赤色光の右または左円偏光の照射によって成長が促進されるものが多い。

これに応じて、図示例の植物育成用灯具10は、好ましい態様として、青色光の波長帯域に中心波長を有する青色光源14Bおよび赤色光の波長帯域に中心波長を有する赤色光源14Rを用いている。

しかしながら、本発明の植物育成用灯具において、光源は、青色光源14Bおよび赤色光源14Rに制限はされない。

すなわち、本発明の植物育成用灯具は、光源として、青色光源と緑色光源とを用いてもよく、緑色光源と赤色光源とを用いてもよく、青色光源と緑色光源と赤色光源とを用いてもよい。

さらに、本発明の植物育成用灯具は、必要に応じて、青色光源、緑色光源および赤色光源の2以上に加え、非可視光の帯域に発光の中心を有する光源、例えば、赤外線の波長帯域に中心波長を有する赤外光源を併用してもよい。なお、植物育成用灯具としては、青色光源、緑色光源および赤色光源のいずれか2つと、非可視光の帯域に発光の中心を有する光源との組み合わせも、利用可能である。

光源には制限はなく、植物育成用灯具10が対象とする植物の成長を制御できる波長の光を出射できるものであれば、各種の光源(発光素子)が利用可能である。

一例として、蛍光灯などの蛍光ランプ、LED、水銀灯等の放電ランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、レーザーライト、有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode)、メタルハライドランプ、および、キセノンランプ等の光源が挙げられる。中でも、効率性の観点からLEDが好ましい。

また、これらの光源に、特定の波長帯域の光を反射あるいは透過するフィルタを組み合わせた光源、および/または、これらの光源に、波長を変換する蛍光体を組み合わせた光源も、利用可能である。

本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長を促進する光を照射するための、青色光源、緑色光源および赤色光源のいずれか2つ、例えば、青色光源14Bおよび赤色光源14Rに加えて、白色光を照射するための補助光源をさらに有することが好ましい。補助光源は、青色光源、緑色光源または赤色光源よりも低光量の白色光を照射するものであることが好ましい。

植物育成用灯具10が、植物の成長促進用の光源14に加え、低光量の白色光を照射するための補助光源を有することにより、植物の栽培を行う作業者の作業環境における視認性を良好にして、植物の観察性の向上および作業性の向上等を図ることができる。

補助光源には、制限はなく、蛍光灯、水銀ランプ、ハロゲンランプ、および、メタルハライドランプ等、公知のいわゆる白色光源が利用可能である。また、植物の育成を促進するための光源と補助光源との組み合わせによって、白色光を照射するようにしてもよい。例えば、図示例の植物育成用灯具10のように、植物の育成を促進するための光源として青色光源14Bおよび赤色光源14Rを用いる場合には、青色光源14Bおよび赤色光源14Rよりも低光量および/または少数の緑色光源を補助光源として併用することで、赤色光および青色光よりも低光量の作業用の白色光を照射するようにしてもよい。

図示例の植物育成用灯具10においては、好ましい態様として、青色光源14Bおよび赤色光源14Rは、筐体24の長手方向に向かって、交互に、それぞれ複数個が配列されている。このような構成を有することにより、広い面積に対応して、植物の成長促進を行うことが可能になる。

なお、青色光源14Bおよび赤色光源14Rは、1個ずつが交互に配置される構成に制限されない。両光源の配列は、赤色光源14Rを『R』、青色光源14Bを『B』で示した場合に、例えば、RRBBRRBBRR…のように2個ずつが交互に配置される構成、および、RRRBBBRRRBBB…のように3個ずつが交互に配置される構成など、複数個ずつが交互に配置される構成であってもよい。

青色光源14Bおよび赤色光源14Rを、複数個ずつ、有する場合には、青色光源14Bおよび赤色光源14Rの数は、同じでも異なってもよい。

以上の点に関しては、3種(3種以上)の光源を有する場合でも、同様である。

複数個の光源を配列する場合には、光源の配列は直線状に制限はされず、千鳥状およびサインカーブ状等の各種の配列が利用可能である。すなわち、本発明の植物育成用灯具において、複数の光源14を配列する場合には、光源が一方向に向かって配列されていれば、配列の形態に制限はない。

さらに、青色光源14Bで1列、赤色光源14Rで1列のように、異なる色の光源を、別の列として配列してもよい。

植物育成用灯具10において、青色光源14Bおよび赤色光源14Rの数および配列間隔にも制限はなく、光源の種類、光量および光拡散性、植物育成用灯具10の長さ、ならびに、栽培する植物の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。

なお、本発明の植物育成用灯具は、筐体24が長尺ではない場合にも、青色光源14Bおよび赤色光源14Rの少なくとも一方を、複数個、有してもよい。

<反射型円偏光板>

反射型円偏光板18は、青色光、緑色光および赤色光の2種以上の光に対応して、右円偏光または左円偏光を選択的に反射して、それ以外の光を透過するものである。

図3に、反射型円偏光板18を概念的に示す。

反射型円偏光板18は、支持体30と、配向膜32と、赤色反射コレステリック液晶層36Rと、接着層40と、偏光補正層38と、接着層40と、青色反射コレステリック液晶層36Bとを有する。

反射型円偏光板18は、一例として、灯具本体12の光透過板26の全面すなわち灯具本体12の光出射面の全面を覆うように設けられる。

後述するが、反射型円偏光板18は、接着層42によって、灯具本体12の光透過板26に接着される。

反射型円偏光板18において支持体30は、配向膜32、赤色反射コレステリック液晶層36R、接着層40、偏光補正層38、接着層40、および、青色反射コレステリック液晶層36Bを支持する板材である。

支持体30は、青色光源14Bおよび赤色光源14Rが照射する光を十分な透過性で透過できるものであれば、各種の材料からなる板材が利用可能である。支持体30の形成材料としては、PET、PC、ポリエチレン、ポリプロピレン、各種のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC(Triacetylcellulose))、シクロオレフィンポリマー(COP(Cycloolefin polymer))、および、シクロオレフィンコポリマー(COC(Cycloolefin copolymer))等が例示される。

支持体30は、可撓性を有するものでも、可撓性を有さない十分な剛性を有するものでもよい。

一例として、後述するように、粘着層によって反射型円偏光板18を光透過板26に剥離可能に貼着する場合には、可撓性を有する支持体30を用い、反射型円偏光板18が可撓性を有するようにすることが好ましい。また、後述するように、反射型円偏光板の端部を挿入する溝部等を用いて、反射型円偏光板18を光透過板26(灯具本体12)から着脱自在にする場合には、支持体30は、反射型円偏光板18の形状を維持可能なように、十分な剛性を有することが好ましい。

従って、支持体30の厚さは、反射型円偏光板18の好ましい厚さ、支持体30の形成材料、可撓性および剛性などの反射型円偏光板18に要求される特性、植物育成用灯具10の構成等に応じて、要求される特性を満たすことができる厚さを、適宜、設定すればよい。

なお、反射型円偏光板18において、支持体30は、好ましい態様として設けられるものである。

従って、例えば、赤色反射コレステリック液晶層36R、接着層40、偏光補正層38、接着層40および青色反射コレステリック液晶層36Bのみで十分な機械的強度を得られる場合、配向膜32を接着層42で光透過板26に貼着する場合、ならびに、後述する配向膜32を支持体として作用させることができる場合等には、反射型円偏光板18は、必ずしも、支持体30を有さなくてもよい。

支持体30の表面には、配向膜32が設けられる。

配向膜32は、赤色反射コレステリック液晶層36Rを形成する液晶化合物を所定の配光状態とするための層である。

配向膜32は、液晶化合物を配向できる公知の配向膜が、全て、利用可能である。

一例として、支持体30の表面に、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、および、変性ポリアミドなどからなる樹脂層を形成し、樹脂層をラビング処理して形成した配向膜32が挙げられる。

別の例として、無機化合物の斜方蒸着よる配向膜、マイクログルーブを有する層の形成による配向膜、および、ラングミュア・ブロジェット法(LB(Langmuir-Blodgett)膜)による有機化合物(例えば、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなど)を累積した配向膜も、利用可能である。さらに、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も、利用可能である。

これらの中でも、樹脂層をラビング処理して形成した配向膜32が特に好ましい。ラビング処理は、樹脂層の表面を、紙および/または布で、一定方向に、数回擦ることにより実施することができる。

また、支持体30にラビング処理等を施した支持体30自体を配向膜として利用してもよい。

反射型円偏光板18において、配向膜32の表面には、赤色反射コレステリック液晶層36Rが形成される。赤色反射コレステリック液晶層36Rの表面には、接着層40によって、偏光補正層38が貼着される。偏光補正層38の表面には、接着層40によって、青色反射コレステリック液晶層36Bが貼着される。

接着層40によって貼着される偏光補正層38および青色反射コレステリック液晶層36Bは、一例として、剥離転写によって形成すればよい。

青色反射コレステリック液晶層36Bを例に説明すると、まず、適宜、選択した基材の表面に、青色反射コレステリック液晶層36Bを形成する。基材の表面には、必要に応じて、上述したような配向膜を形成しておく。基材は、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルムを用いればよい。

次いで、偏光補正層38および/または青色反射コレステリック液晶層36Bの表面に未硬化の接着層40を形成し、未硬化の接着層40によって、偏光補正層38と青色反射コレステリック液晶層36Bとを貼着する。

その後、接着層40を硬化した後、基材、または、基材および配向膜を剥離して、偏光補正層38の表面に、青色反射コレステリック液晶層36Bを形成する。

偏光補正層38も、基本的に、同様の剥離転写によって形成できる。

なお、市販品などのシート状の偏光補正層38を利用する場合には、剥離転写ではなく、赤色反射コレステリック液晶層36Rおよび/または偏光補正層38に接着層40を設けて、シート状の偏光補正層38を赤色反射コレステリック液晶層36Rに貼着することで、赤色反射コレステリック液晶層36Rの表面に、偏光補正層38を形成してもよい。

接着層40には、制限はなく、青色光および赤色光に対して十分な透明性を有するものであれば、公知の各種の接着剤が利用可能である。

接着層40に利用可能な接着剤としては、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、天然ゴム系接着剤、合成ゴム系接着剤、環状オレフィン樹脂系接着剤、ウレタン系接着剤、および、エポキシ系接着剤等、保護フィルム(保護シート)、ガスバリアフィルム、および、光学フィルム等の光学的な用途に用いられる各種のシート状物を、対象となる場所に接着するのに用いられる公知の接着剤が、各種、利用可能である。

ここで、図1~図3に示すように、植物育成用灯具10において、接着層40を透過する光は、赤色反射コレステリック液晶層36Rを透過した光である。すなわち、接着層40を透過する赤色光は、赤色反射コレステリック液晶層36Rを透過した右円偏光または左円偏光のみになる。

従って、接着層40の面内レタデーションReが大きいと、赤色反射コレステリック液晶層36Rを透過した赤色光の円偏光度が低下して、植物の成長促進効果が低減してしまう可能性が有る。

この点を考慮すると、接着層40は、OCA(Optical Clear Adhesive)等の面内レタデーションReが小さい接着剤を用いることが好ましい。

具体的には、接着層40は、550nmにおける面内レタデーションRe(550)が50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。

接着層40の厚さには、制限はなく、接着層40を形成する接着剤の種類に応じて、十分な粘着力が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。

接着層40の厚さは、1~100μmが好ましく、10~30μmがより好ましい。

なお、本発明の植物育成用灯具10において、反射型円偏光板18の層構成は、図3に示す構成に制限はされない。

すなわち、偏光補正層38を、直接、赤色反射コレステリック液晶層36Rの表面に形成可能である場合には、接着層40を用いず、赤色反射コレステリック液晶層36Rに、直接、偏光補正層38を形成してもよい。同様に、青色反射コレステリック液晶層36Bを、直接、偏光補正層38または偏光補正層38に設けた配向膜に形成可能である場合には、接着層40を用いず、偏光補正層38に、直接、青色反射コレステリック液晶層36Bを形成してもよい。

上述したように、配向膜32の表面には、赤色反射コレステリック液晶層36Rが設けられ、赤色反射コレステリック液晶層36Rの表面には、接着層40で接着されて偏光補正層38が設けられ、偏光補正層38の表面には、接着層40で接着されて青色反射コレステリック液晶層36Bが設けられる。

青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rは、共に、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である。

周知のように、コレステリック液晶層は、有効波長帯域すなわち選択的な反射波長帯域を有するもので、有効波長帯域において、右円偏光または左円偏光を選択的に反射する。詳しくは、コレステリック液晶層は、有効波長帯域の左円偏光を反射して、それ以外の光は、有効波長帯域の右円偏光を含めた、全ての光を透過する。または、コレステリック液晶層は、有効波長帯域の右円偏光を反射して、それ以外の光は、有効波長帯域の左円偏光を含めた、全ての光を透過する。

従って、コレステリック液晶層を透過した光は、有効波長帯域の光のみ、左円偏光、または、右円偏光となる。言い換えれば、有効波長帯域の光は、右円偏光のみ、または、左円偏光のみが、植物に照射される。

なお、本発明において、コレステリック液晶層を透過した有効波長帯域の光は、完全に右円偏光のみ、または、完全に左円偏光のみであるものに制限はされない。

すなわち、本発明においては、コレステリック液晶層が有効波長帯域の左円偏光を反射して、右円偏光を透過する場合でも、コレステリック液晶層を透過した有効波長帯域の光に左円偏光が含まれていてもよい。逆に、コレステリック液晶層が有効波長帯域の右円偏光を反射して、左円偏光を透過する場合でも、コレステリック液晶層を透過した有効波長帯域の光に右円偏光が含まれていてもよい。なお、いずれの場合においても、有効波長帯域では、コレステリック液晶層を透過する旋回方向の円偏光成分の方が多いのは、当然である。

従って、本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長の促進できる目的とする波長帯域において、植物の成長を促進できる旋回方向の円偏光(円偏光成分)が多い、円偏光度が高い光を出射でき、植物の成長を好適に促進できる。

言い換えれば、本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長を促進できる特定の波長帯域において、植物の成長に寄与する特定の旋回方向の円偏光の割合が多い光を、植物に照射できる。

ここで、光の偏光状態は、右円偏光と左円偏光の和によって表すことができる。例えば、左円偏光と右円偏光との強度が等しい場合には、その和は直線偏光となり、左円偏光と右円偏光との位相差によって決まる方位で、その電気ベクトルは振動する。右円偏光と左円偏光の強度が異なる場合には楕円偏光になり、いずれかの成分のみの場合には完全な円偏光となる。

円偏光の旋回方向(センス)は、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光である。

円偏光度は、光の右円偏光の強度をIR、左円偏光の強度をILとしたとき、

|IR-IL|/(IR+IL)で定義されるものである。円偏光度が高い程、光に含まれる右円偏光または左円偏光の割合が高い。

なお、光源14から出射された光の各波長毎の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定できる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、白熱電球、水銀灯、蛍光灯、および、LED等の通常光源は、ほぼ自然光を発しているが、反射型円偏光板18を透過した自然光、および、反射型円偏光板18によって反射された自然光の偏光特性は、例えば、上述したAxoScanなどを用いて測定できる。

また、円偏光度は、市販の分光光度計(例えば、オーシャンオプティクス社製、USB4000等)を用いて測定してもよい。この際には、例えば、分光光度計を反射型円偏光板18を装着して、入射角度を振って、複数回、右円偏光および左円偏光の強度測定を行い、測定結果の平均値を用いて、上述した式によって円偏光度を算出すればよい。

青色反射コレステリック液晶層36Bは、青色波長帯域に有効波長帯域の中心波長(選択反射中心波長)を有するものである。

具体的には、青色反射コレステリック液晶層36Bは、青色光の左円偏光を反射して、それ以外の光は、青色光の右円偏光を含んで、基本的に、全ての光を透過する。または、青色反射コレステリック液晶層36Bは、青色光の右円偏光を反射して、それ以外の光は、青色光の左円偏光を含んで、基本的に、全ての光を透過する。

赤色反射コレステリック液晶層36Rは、赤色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有するものである。

具体的には、赤色反射コレステリック液晶層36Rは、赤色光の左円偏光を反射して、それ以外の光は、赤色光の右円偏光を含んで、基本的に、全ての光を透過する。または、赤色反射コレステリック液晶層36Rは、赤色光の右円偏光を反射して、それ以外の光は、赤色光の左円偏光を含んで、基本的に、全ての光を透過する。

なお、コレステリック液晶層を透過する光は、不可避的に吸収される成分を除く。

コレステリック液晶相を固定してなる層であるコレステリック液晶層は、有効波長帯域を有する。すなわち、コレステリック液晶層は、有効波長帯域において、特定の円偏光を反射する選択的な反射特性を示す。

この有効波長帯域において選択反射を示す液晶相としては、螺旋構造を有するコレステリック液晶相、キラルスメクチック液晶相を挙げることができる。このコレステリック液晶相、または、キラルスメクチック液晶相を示す液晶物質は、非キラルな液晶化合物とキラル剤の混合によって形成することができる。また、別の方法として、これらの化合物を共重合することによって高分子液晶または高分子膜とすることで得ることも可能である。

コレステリック液晶層の選択的な反射特性、すなわち、有効波長帯域の中心波長λは、コレステリック相およびキラルスメクチック相における螺旋構造のピッチ長P(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係にしたがう。従って、コレステリック液晶相の螺旋構造のピッチ長Pを調節することによって、有効波長帯域の中心波長λを調節できる。ピッチ長Pは液晶組成物のキラル剤の種類、および/または、その添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチ長Pを得ることができる。

また、有効波長帯域の半値幅Δλ(すなわち半値透過率T1/2)は、液晶化合物の複屈折Δnと、螺旋構造のピッチ長Pに依存し、Δλ=Δn×Pの関係にしたがう。そのため、有効波長帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnの調節は、液晶の種類やその混合比率を調節したり、配向固定時の温度を制御することで行うことができる。また、有効波長帯域の幅を拡大する別の手段としては、ピッチ長Pをずらしたコレステリック液晶層を2層以上積層する方法、および、ピッチをコレステリック液晶層の厚さ方向に変化させる方法を用いることができる。

コレステリック液晶層による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)に依存する。すなわち、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は、コレステリック液晶層は、有効波長帯域において、右円偏光を反射して、左円偏光を透過する。逆に、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が左の場合は、コレステリック液晶層は、有効波長帯域において、左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。

従って、有効波長帯域すなわち植物の成長促進させる波長帯域において、左円偏光を照射し、右円偏光を照射しない場合は、右円偏光を反射する螺旋が右捩れのコレステリック液晶層を用い、右円偏光を照射し、左円偏光を照射しない場合は、左円偏光を反射する螺旋が左捩れのコレステリック液晶層を反射型円偏光板18に用いる。

コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加するキラル剤の種類によって、調節できる。

以下、コレステリック液晶層を構成する材料およびコレステリック液晶層の形成方法について説明する。

コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、液晶化合物およびキラル剤を含有し、必要に応じて添加されるその他の配合剤(例えば、空気界面配向制御剤、重合開始剤、架橋剤および界面活性剤など)、ならびに、その他の任意成分を、溶媒に溶解(分散)してなるコレステリック液晶組成物を用いて形成できる。

-液晶化合物-

コレステリック液晶層を形成する液晶化合物としては、低分子液晶化合物、および高分子液晶化合物が好ましく、配向時間が短いこと、配向の均一性が高いことから低分子液晶化合物がより好ましい。

液晶化合物は重合性基を有することが好ましく、ネマティック相またはキラルスメクチック相を示すことがより好ましい。さらに、分子形状は円盤状または棒状が好ましく、生産性の点から棒状がより好ましく、選択反射の幅の角度依存性低減が重要である場合には円盤状がより好ましい。

また、液晶化合物としては、重合性基を有する、あるいは、重合性基を有さない、棒状ネマチック液晶化合物が好適に挙げられる。重合性基を有さない棒状ネマチック液晶化合物については、様々な文献(例えば、Y.Goto et.al.,Mol.Cryst.Liq.Cryst.1995,Vol.260,pp.23-28)に記載がある。

重合性基を有する円盤状化合物については、特開平8-27284号公報、特開2001-100028号公報、および、特開2006-76992号公報に記載の化合物を好適に用いることができる。2種類以上の重合性ネマチック液晶化合物を併用すると、塗布配向時の結晶の析出を抑制したり、配向温度を低下させることができる。

重合性基は、特に制限はなく、公知の方法で液晶化合物に導入できる。重合性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不飽和重合性基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、フマレート基、シンナモイル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、メルカプト基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、および、アクリル基などが挙げられる。

例えば、液晶化合物が重合性ネマチック液晶化合物である場合には、重合性基は、不飽和重合性基、エポキシ基、および、アジリジニル基の1以上が好ましく、不飽和重合性基がより好ましく、中でもエチレン性不飽和重合性基が好ましい。

重合性基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

-キラル剤-

コレステリック液晶組成物に用いるキラル剤(キラル化合物(光学活性化合物))には、特に制限はなく、公知のキラル剤が利用可能である。一例として、『液晶デバイスハンドブック、第3章4-3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に』記載される化合物、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体を用いることができる。

キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。

軸性不斉化合物または面性不斉化合物としては、例えば、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体などが挙げられる。

コレステリック液晶相に螺旋構造を誘起するキラル剤は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択することが好ましい。螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46p、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196pに記載の方法を用いることができる。

キラル剤は、重合性基を有していてもよい。

キラル剤が重合性基を有する場合は、例えば重合性ネマチック液晶化合物の重合反応により、ネマチック液晶の繰り返し単位と光学活性構造とを有するポリマーを形成することができる。

キラル剤の重合性基は、液晶化合物の重合性基と同様の基が好ましい。したがって、液晶化合物が重合性ネマチック液晶化合物である場合には、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基、および、アジリジニル基の1以上が好ましく、不飽和重合性基がより好ましく、中でもエチレン性不飽和重合性基が好ましい。

キラル剤は光異性化基を有してもよい。

キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布し、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、光源14の発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2002-179668号公報、特開2002-179669号公報、特開2002-179670号公報、特開2002-179681号公報、特開2002-179682号公報、特開2002-338575号公報、特開2002-338668号公報、特開2003-313189号公報、および、特開2003-313292号公報に記載の化合物が挙げられる。

キラル剤の含有量は、液晶化合物に対して0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。

-重合開始剤-

コレステリック液晶組成物には、重合反応のための重合開始剤を添加することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。これらの中でも、光重合開始剤を用いる光重合反応が特に好ましい。

光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一例として、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ、オキサジアゾール化合物、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アントラキノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、および、オキシム誘導体、などが挙げられる。

光重合開始剤の含有量は、コレステリック液晶組成物の固形分の0.01~20質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。

-架橋剤-

コレステリック液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。

架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがでる。一例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、および、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

架橋剤の含有量は、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を十分に得ることができ、20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶層の安定性を確保できる。

-空気界面配向制御剤-

コレステリック液晶組成物には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層となるのに寄与する、空気界面配向制御剤を添加してもよい。

空気界面配向制御剤としては、含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、および、後述する一般式(1)で表される化合物が例示される。空気界面配向制御剤は、これらから選択される2種以上を含有していてもよい。

これらの空気界面配向制御剤は、コレステリック液晶層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。なお、本発明において、「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本発明では、水平面とのなす傾斜角が20°未満の配向を意味するものとする。

液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、有効波長帯域(選択反射帯域)以外の領域に対する透明性が高くなり、また、有効波長帯域に対する偏光度を高めることができる。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、コレステリック液晶相の螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性によって偏光度が低下するため好ましくない。

空気界面配向制御剤として利用可能な含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーとしては、例えば、特開2007-272185号公報の段落<0018>~<0043>等に記載される化合物が例示される。

上述のように空気界面配向制御剤としては、下記一般式(1)で表される化合物も好適に利用される。

以下、空気界面配向制御剤として利用可能な下記一般式(1)で表される化合物について説明する。

Figure 0007181312000001

一般式(1)において、R1、R2およびR3は、各々独立して、水素原子または置換基を表し、X1、X2およびX3は単結合または二価の連結基を表す。R1~R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基またはフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2およびX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、-CO-、-NRa-(Raは炭素原子数が1~5のアルキル基または水素原子)、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、および、それらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基が好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、-CO-、-NRa-、-O-、-S-および-SO2-からなる群より選ばれる二価の連結基または該群より選ばれる基を少なくとも2つ組み合わせた二価の連結基がより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1~12が好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2~12が好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6~10が好ましい。

空気界面配向制御剤として使用可能な、一般式(1)で表される化合物としては、例えば、特開2005-99248号公報に記載の化合物などが挙げられる。なお、空気界面配向制御剤としては、一般式(1)で表される化合物の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

コレステリック液晶組成物中における、一般式(1)で表される化合物の添加量は、コレステリック液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%が特に好ましい。

-界面活性剤-

後述するが、コレステリック液晶層を有する反射型円偏光板18は、基材に、重合開始剤および重合性液晶化合物を含有するコレステリック液晶組成物を塗布し、乾燥し、液晶化合物を重合(架橋、硬化)することで形成する。

ここで、コレステリック液晶組成物を基材に塗布して得られる塗膜の表面張力を調節し、膜厚を均一にするため、コレステリック液晶組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。

界面活性剤としては、配向を阻害しないものを適宜選択して使用することができる。

界面活性剤としては、例えば、疎水基部分にシロキサンおよび/またはフッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に使用でき、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。

界面活性剤は、市販品を用いてもよい。界面活性剤の市販品としては、例えばOMNOVA社製PolyFoxのPF-151N、PF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520、PF-3320、PF-651、PF-652、ネオス社製フタージェントのFTX-209F、FTX-208G、FTX-204D、および、セイミケミカル社製のサーフロンKH-40等が挙げられる。また、特開202-341126号公報の段落<0087>に記載のフッ化化合物、ならびに、特開2005-99248号公報の段落<0064>~<0080>および段落<0092>~<0096>に記載のフッ化化合物も、好適に挙げられる。

界面活性剤の含有量は、コレステリック液晶組成物の固形分の0.01~1質量%が好ましい。界面活性剤の含有量が、0.01質量%未満であると、空気界面における表面張力が十分低下しないため、配向欠陥が生じることがあり、1質量%を超えると、過剰の界面活性剤が空気界面側で不均一構造を形成し、配向均一性を低下させることがある。

-溶媒-

コレステリック液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。

有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一例として、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。

上述したように、コレステリック液晶層は、このような液晶化合物、キラル剤、および、重合開始剤等を溶媒に溶解してなるコレステリック液晶組成物を用いて形成できる。

一例として、コレステリック液晶組成物を調製して、支持体30(層形成面)の配向膜上に塗布し、乾燥させて塗膜を得、必要に応じて塗膜を乾燥した後に、液晶化合物を配向させて、液晶化合物を配向させた塗膜に活性光線を照射して液晶化合物を重合することで、コレステリック規則性(コレステリック相)が固定化されたコレステリック液晶層を形成できる。

なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜を形成する場合には、コレステリック液晶層の製造工程を繰り返し行えばよい。

配向膜は、上述したものを用いて、公知の方法で支持体30の表面に形成すればよい。

配向膜上へのコレステリック液晶組成物の塗布方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

一例として、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途、支持台上に塗設したコレステリック液晶組成物を配向膜上へ転写することによっても実施できる。

コレステリック液晶組成物を塗布した後、塗布したコレステリック液晶組成物を加熱することにより、液晶化合物を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性ネマチック液晶化合物等の液晶化合物が、光学薄膜の面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。

上述のように、液晶化合物を配向した後、液晶組成物を重合させる。

重合は、熱重合あるいは光重合など、液晶化合物に応じた公知の方法で行えばよいが、熱重合よりも光照射による光重合の方が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2~1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射する紫外線の波長は350~430nmが好ましい。重合反応率は、安定性の観点から高いほうが好ましく、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。

重合反応率は、重合性の官能基の消費割合をIR(赤外線)吸収スペクトルを用いて、決定することができる。

コレステリック液晶層の厚さには制限はないが、0.1~50μmが好ましく、0.5~10μmがより好ましく、1.5~7μmがさらに好ましい。

本発明の植物育成用灯具10は、反射型円偏光板18がコレステリック液晶層を有することにより、青色光源14Bおよび赤色光源14Rが照射した光を無駄なく有効に利用できる。

円偏光は、通常の反射面で反射されると、旋回方向(センス)が逆転する。すなわち、右円偏光は、反射されると左円偏光になり、左円偏光は、反射されると右円偏光になる。従って、青色光源14Bおよび赤色光源14Rが照射した光は、コレステリック液晶層に入射した際には反射される旋回方向であっても、筐体24の内面で反射されることで旋回方向が逆転し、いずれは、コレステリック液晶層を透過する旋回方向となって、コレステリック液晶層に入射して、透過される。その結果、コレステリック液晶層を有する反射型円偏光板18によれば、青色光源14Bおよび赤色光源14Rが照射した光を無駄なく有効利用できる。

本発明の植物育成用灯具において、反射型円偏光板は、青色反射コレステリック液晶層、緑色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層の、2以上のコレステリック液晶層を有する。

青色反射コレステリック液晶層は、青色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有するコレステリック液晶層である。緑色反射コレステリック液晶層は、緑色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有するコレステリック液晶層である。赤色反射コレステリック液晶層は、赤色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有するコレステリック液晶層である。

上述したように、植物の成長(重量増加)の促進には、赤色光の照射および青色光の照射が好適である。従って、植物の成長を促進するためには、赤色光の右円偏光または左円偏光を照射し、もしくは、青色光の右円偏光または左円偏光を照射することが好ましい。

これに対応して、図示例の植物育成用灯具10は、好ましい態様として、光源として、青色光源14Bおよび赤色光源14Rを有する。

一方、本発明の植物育成用灯具においては、光源の中心波長が存在する波長帯域と、反射型円偏光板におけるコレステリック液晶層の有効波長帯域の中心波長が存在する波長帯域とが、同じ色の波長帯域である。

従って、図示例の植物育成用灯具10は、好ましい態様として、有効波長帯域の中心波長を青色波長帯域に有する青色反射コレステリック液晶層36B、および、有効波長帯域の中心波長を赤色波長帯域に有する赤色反射コレステリック液晶層36Rを有する。

なお、コレステリック液晶層の有効波長範囲の中心波長とは、有効波長範囲において右円偏光または左円偏光の反射率が最も高くなる波長であり、すなわち、有効波長範囲において右円偏光または左円偏光の透過率が最も低くなる波長である。

コレステリック液晶層すなわち反射型円偏光板18の有効波長帯域は、例えば、上述したAxoScanなどにより測定できる。

ここで、植物の成長を好適に促進するためには、光源は、中心波長が、植物の成長に最も効果が有る波長である光源を選択することが好ましい。

従って、反射型円偏光板18は、光源の中心波長において、最も適正に左円偏光または右円偏光を反射して、他方の円偏光成分を透過するように、コレステリック液晶層の有効波長帯域の中心波長は、光源の中心波長と一致させることが好ましい。

本発明の植物育成用灯具は、青色光源、緑色光源および赤色光源の2以上と、青色反射コレステリック液晶層、緑色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層の2以上とを有し、かつ、光源の中心波長が存在する波長帯域と、コレステリック液晶層の有効波長帯域の中心波長が存在する波長帯域とが、同じ色の波長帯域である。

図示例の植物育成用灯具10は、青色光源14Bおよび赤色光源14Rと、青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rとを有する。

本発明の植物育成用灯具は、このような構成を有することにより、1台の植物育成用灯具で、成長を促進できる光の色が異なる植物の成長育成を行うことができる。

特許文献2等に記載されるような、光源と反射型円偏光板とを有する植物育成用灯具によれば、植物の育成を促進できる波長(色)で、かつ、旋回方向の円偏光を植物に照射して、植物の成長を促進できる。

ここで、植物の種類は多種多様である。従って、成長を促進できる光の波長帯域も様々であり、例えば、赤色光で成長が促進される植物もあれば、青色光で成長が促進される植物も有る。また、植物は、特定の色の右円偏光で成長が促進される植物もあれば、左円偏光で成長が促進される植物もある。

従来の植物育成灯具は、このような点を考慮しておらず、成長を促進できる円偏光の色が異なる植物の成長促進には対応できない。従って、栽培する植物の成長を促進させる円偏光を照射できない場合には、植物育成用灯具を交換する必要がある。

これに対して、本発明の植物育成用灯具10は、照射する光の色が異なる複数種の光源と、この光源に対応する有効波長帯域の中心波長を有する複数種のコレステリック液晶層を有する反射型円偏光板を有することにより、成長を促進できる光の色が異なる植物の成長育成を行うことができる。

例えば、反射型円偏光板18の赤色反射コレステリック液晶層36Rおよび青色反射コレステリック液晶層36Bが、共に、右円偏光を反射するものであるとする。この場合には、植物育成用灯具10は、赤色光源14Rの点灯によって、赤色光の左円偏光の照射で成長を促進できる植物の成長を促進でき、青色光源14Bの点灯によって、青色の左円偏光の照射で成長を促進できる植物の成長を促進できる。すなわち、この構成によれば、点灯する光源の切り替えによって、成長を促進するために照射する左円偏光の色が互いに異なる植物の成長を促進できる。

また、例えば、反射型円偏光板18の赤色反射コレステリック液晶層36Rおよび青色反射コレステリック液晶層36Bが、共に、左円偏光を反射するものである場合には、植物育成用灯具10は、点灯する光源に応じて、赤色光の右円偏光によって成長を促進できる植物と、青色の右円偏光によって成長を促進できる植物との、成長を促進するために照射する右円偏光の色が互いに異なる植物の成長を促進できる。

また、例えば、反射型円偏光板18の赤色反射コレステリック液晶層36Rが左円偏光を反射し、青色反射コレステリック液晶層36Bが右円偏光を反射するものである場合には、植物育成用灯具10は、点灯する光源に応じて、赤色光の右円偏光によって成長を促進できる植物と、青色の左円偏光によって成長を促進できる植物との、成長を促進するために照射する円偏光の旋回方向および色が互いに異なる植物の成長を促進できる。

さらに、例えば、反射型円偏光板18の赤色反射コレステリック液晶層36Rが右円偏光を反射し、青色反射コレステリック液晶層36Bが左円偏光を反射するものである場合には、植物育成用灯具10は、点灯する光源に応じて、赤色光の左円偏光によって成長を促進できる植物と、青色の右円偏光によって成長を促進できる植物との、成長を促進するために照射する円偏光の旋回方向および色が互いに異なる植物の成長を促進できる。

このような作用効果は、光源として青色光源および緑色光源を用い、コレステリック液晶層として青色反射コレステリック液晶層および緑色反射コレステリック液晶層を用いた場合も同様である。また、光源として緑色光源および赤色光源を用い、コレステリック液晶層として緑色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層を用いた場合も同様である。

さらに、光源として青色光源、緑色光源および赤色光源を用い、コレステリック液晶層として、青色射コレステリック液晶層、緑色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層を用いた場合にも、同様の作用効果によって、3種の色の光によって、成長を促進できる光の色が異なる植物の成長促進を行うことができる。

加えて、赤外線を照射する光源と、赤外線を選択的に反射するコレステリック液晶層を有することにより、青色光、緑色光および赤色光の2色以上の円偏光に加え、赤外線の円偏光による植物の成長促進も図れる。

本発明の植物育成用灯具10に用いられる反射型円偏光板18において、青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rが反射する円偏光の旋回方向(センス)は、上述のように、同じでも異なってもよい。

反射型円偏光板が3層以上のコレステリック液晶層を有する場合には、反射する円偏光の旋回方向が、全てのコレステリック液晶層で同じでもよく、または、反射する円偏光の旋回方向が、他のコレステリック液晶層とは異なるコレステリック液晶層が、1層以上、存在してもよい。

本発明の植物育成用灯具において、反射型円偏光板が有するコレステリック液晶層は、少なくとも1層、好ましくは全層が、散乱性を有してもよい。

従って、図示例の植物育成用灯具10において、反射型円偏光板18が有する青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rは、少なくとも1層、特に2層が、散乱性を有してもよい。

図示例の植物育成用灯具10は、青色光源14Bと赤色光源14Rとを有し、例えば、筐体24の長手方向に、青色光源14Bと赤色光源14Rとが、交互に配列される。そのため、植物育成用灯具10から照射する青色光および赤色光が、光源の配列方向に、光量ムラを生じてしまう場合がある。

これに対して、青色反射コレステリック液晶層36Bおよび/または赤色反射コレステリック液晶層36Rが散乱性を有することにより、灯具本体12(筐体24)内で光を好適に散乱して、植物育成用灯具10から照射する青色光および赤色光の光量の均一化を図ることができる。

散乱性を有するコレステリック液晶層としては、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部が、波状構造(波打ち構造、アンジュレーション構造)を有するコレステリック液晶層が例示される。

コレステリック液晶層は、断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した際に、断面に、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向に、明部(明線)および暗部(暗線)を交互に積層した縞模様(層状構造)が観察される。

図4に、一般的なコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の断面をSEMで観察した状態を概念的に示す。

一般的なコレステリック液晶層は、図4に示すように、明部Bおよび暗部Dの縞模様は、基板Z(形成面)の表面と平行となるように形成される。このような態様の場合、コレステリック液晶層は、鏡面反射性を示す。

すなわち、通常のコレステリック液晶層は、入射した円偏光を鏡面反射するものであり、例えば、法線方向から光が入射される場合、法線方向に光は反射されるが、斜め方向には光は反射されにくく、散乱性に劣る(図4中の矢印参照)。

これに対して、図5に断面を概念的に示すコレステリック液晶層のように、明部Bおよび暗部Dが波状構造を有する場合には、コレステリック液晶層の法線方向から光が入射されると、図5に概念的に示すように、液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域があるため、入射光の一部が斜め方向に反射される(図5中の矢印参照)。

つまり、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層において、明部Bと暗部Dとが波状構造を有することにより、散乱性を有する反射層が実現できる。

このような波状構造を有するコレステリック液晶層は、ラビング処理等の配向処理を施さない配向膜にコレステリック液晶層を形成することで、形成できる。

例えば、図示例の反射型円偏光板18であれば、配向膜32にラビング等の配向処理を施さずに、配向膜32上に赤色反射コレステリック液晶層36Rを形成することで、波状構造を有する赤色反射コレステリック液晶層36Rを形成できる。また、上述した剥離転写による青色反射コレステリック液晶層36Bの形成であれば、基材に形成した配向膜にラビング等の配向処理を施さずに、青色反射コレステリック液晶層36Bを形成することで、波状構造を有する青色反射コレステリック液晶層36Bを形成できる。

また、配向膜ではない面にコレステリック液晶層を形成しても、波状構造を有するコレステリック液晶層を形成できる。

配向処理を施さない配向膜にコレステリック液晶層を形成すると、液晶化合物に対する水平配向規制力がないために、配向膜の物性に応じて、配向膜の表面において、液晶化合物の配向方向が様々な方向になる。このような状態でコレステリック液晶層を形成すると、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物の螺旋軸が様々な方向を向き、その結果、コレステリック液晶層において、明部Bと暗部Dの縞模様が、波状構造となる。

反射型円偏光板18において、青色反射コレステリック液晶層36Bと赤色反射コレステリック液晶層36Rとの間には、偏光補正層38が設けられる。

偏光補正層38は、厚さ方向に位相差を有する層である。すなわち、偏光補正層38は、厚さ方向のレタデーションRthを有する層である。

本発明の植物育成用灯具10は、この偏光補正層38を有することにより、特に赤色光の円偏光度の低下を抑制できる。

本発明の植物育成用灯具は、青色光源、緑色光源および赤色光源の2以上と、青色反射コレステリック液晶層、緑色反射コレステリック液晶層および赤色反射コレステリック液晶層の2以上とを有し、光源の発光の中心波長と、コレステリック液晶層による有効波長帯域の中心波長とが、同じ色の波長帯域に存在する。すなわち、光源が照射する光の色と、コレステリック液晶層が選択的に反射する円偏光の色とが等しい。

上述のように、本発明の植物育成用灯具は、このような構成を有することにより、成長を促進できる円偏光の色が異なる植物に対して、成長を促進することができる。

本発明者らは、このような複数種の光源およびコレステリック液晶層を有する植物育成用灯具について検討を重ねた結果、特に長波長の光の円偏光度が低くなってしまうことを見出した。すなわち、可視光では、特に、赤色光の円偏光の偏光度が低くなってしまうことを見出した。

照射する光の円偏光度が低いと、特定の色の特定の円偏光による植物の成長促進効果が低減してしまう。

本発明者らは、この点について、さらに検討を重ねた。その結果、コレステリック液晶層が厚さ方向のレタデーションRthを有していることが、原因であることを見出した。

すなわち、有効波長帯域以外の円偏光がコレステリック液晶層を通過すると、コレステリック液晶層が有する厚さ方向のレタデーションRthによって、円偏光が楕円偏光に変化してしまう。

その結果、コレステリック液晶層を透過した有効波長帯域以外の円偏光は、円偏光度が低下してしまう。すなわち、有効波長帯域以外の円偏光がコレステリック液晶層を通過すると、コレステリック液晶層が有する厚さ方向のレタデーションRthによって、円偏光に直線偏光が混入して、円偏光度が低くなってしまう。

このような円偏光度の低下は、長波長の光ほど大きい。コレステリック液晶層は、法線に対して斜めに光が入射した場合には、ブルーシフト(短波シフト)を生じ有効波長帯域が短波長側に変動する。長波長の光は、ブルーシフトによって反射される光が可視光であるために、影響が大きい。これに対して、短波長側の光は、ブルーシフトによって反射される光が紫外光であるために、影響が小さい。従って、有効波長帯域以外の円偏光がコレステリック液晶層を透過する際には、赤色光が最も円偏光度が低下しやすく、青色光が最も円偏光度の低下が少ない。

また、このような円偏光度の低下は、コレステリック液晶層の有効波長帯域と、透過する光の中心波長との差が大きいほど、長波長側の円偏光度の低下が大きくなる。すなわち、図示例のように、赤色光と青色光を照射する植物育成用灯具10では、特に、赤色光の円偏光度の低下が大きい。

これに対して、本発明の植物育成用灯具10は、反射型円偏光板18が、厚さ方向に位相差を有する偏光補正層38を有する。

そのため、コレステリック液晶層の有効波長帯域外の円偏光がコレステリック液晶層を透過して、コレステリック液晶層の厚さ方向のレタデーションRthによって楕円偏光に変化されても、偏光補正層38を通過することにより、偏光補正層38が有する厚さ方向のレタデーションRthによって、円偏光に戻すことができる。

逆に、円偏光が、先に偏光補正層38を透過して、その後、有効波長帯域が異なるコレステリック液晶層を透過する場合には、偏光補正層38が有する厚さ方向のレタデーションRthによって円偏光が楕円偏光に変化しているので、その後、有効波長帯域が異なるコレステリック液晶層を透過することで、コレステリック液晶層が有する厚さ方向のレタデーションRthによって、楕円偏光が円偏光に戻される。

その結果、本発明の植物育成用灯具10によれば、円偏光度の高い円偏光を照射して、好適に、植物の成長を促進できる。特に、長波長の赤色光を用いた場合、および、光源の中心波長とコレステリック液晶層の有効波長帯域の中心波長との差が大きい場合、すなわち、図示例のように赤色光および青色光を照射する場合には、円偏光度の低下防止効果は大きい。従って、本発明においては、青色光源14Bおよび赤色光源14Rと、青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rを有する構成は、好適に利用される。

なお、本発明の植物育成用灯具10において、照射する光の円偏光度には、制限はないが、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることが好ましい。

偏光補正層38は、厚さ方向にレタデーションRthを有するものであれば、各種のシート状(フィルム状、板状)の光学素子が利用可能である。

中でも、Cプレートは好適に例示される。

Cプレートには、ポジティブCプレート(正のCプレート、+Cプレート)とネガティブCプレート(負のCプレート、-Cプレート)との2種がある。Cプレート面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものであり、ネガティブCプレートは式(C2)の関係を満たすものである。なお、ポジティブCプレートはRthが負の値を示し、ネガティブCプレートはRthが正の値を示す。

式(C1) nz>nx≒ny

式(C2) nz<nx≒ny

なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。「実質的に同一」とは、例えば、(nx-ny)×d(ただし、dはフィルムの厚さである)が、0~10nm、好ましくは0~5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。

従って、偏光補正層38として、ポジティブCプレートおよびとネガティブCプレートのいずれを用いるかは、有効波長帯域の中心波長が最も短波長のコレステリック液晶層、すなわち、図示例では青色反射コレステリック液晶層36Bの厚さ方向のレタデーションRthが正か負かに応じて、適宜、選択すればよい。

Cプレートの厚さ方向のレタデーションRthには、制限はなく、有効波長帯域の中心波長が最も短波長のコレステリック液晶層、すなわち、図示例では青色反射コレステリック液晶層36Bの厚さ方向のレタデーションRthの大きさに応じて、このレタデーションRthを相殺できる厚さ方向のレタデーションRthを、適宜、設定すればよい。

Cプレート(偏光補正層38)の厚さ方向のレタデーションRthには、制限はないが、Rth(550)で±10~100nmが好ましい。

なお、コレステリック液晶層およびCプレートのレタデーションRthは、上述のようにAxoScanを用いて測定すればよい。

Cプレートは、液晶化合物を配向させて作製したフィルム、および、樹脂フィルム等のポリマーを延伸して作製したフィルム等、公知のものが、全て、利用可能である。また、市販の光学フィルムをCプレートとして用いてもよい。

本発明の植物育成用灯具10の反射型円偏光板18において、層構成には制限はなく、中心波長の波長帯域が異なる2層以上のコレステリック液晶層および偏光補正層38を有するものであれば、各種の層構成が利用可能である。

従って、反射型円偏光板18においては、青色反射コレステリック液晶層36Bが光透過板26側(光源側)に位置してもよい。

また、偏光補正層38の位置も、図示例の青色反射コレステリック液晶層36Bと赤色反射コレステリック液晶層36Rとの間に制限はされず、青色反射コレステリック液晶層36Bと赤色反射コレステリック液晶層36Rとを接着層40で接着して、偏光補正層38を、両コレステリック液晶層に対して光透過板26側に配置してもよく、逆に、両コレステリック液晶層に対して光透過板26とは逆側に配置してもよい。また、コレステリック液晶層と偏光補正層38とを、支持体30の異なる面側に形成してもよい。

反射型円偏光板18のヘイズには、制限はないが、低い方が好ましい。具体的には、反射型円偏光板18は、ヘイズが1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。

反射型円偏光板18のヘイズを1%以下とすることにより、青色光源14Bおよび赤色光源14Rが照射した光を効率よく植物に照射できる点で好ましい。

なお、反射型円偏光板のヘイズは、例えば日本電色工業社製のSH-7000等を用いて、JIS K 7136(2000)に準拠して測定すればよい。

植物育成用灯具10において、反射型円偏光板18は、接着層42によって光透過板26に貼着(接着)される。

接着層42には、制限はなく、青色光および赤色光に対して十分な透明性を有するものであれば、公知の各種の接着剤が利用可能である。

具体的には、上述した接着層40と同様のものが例示される。

接着層42の厚さにも、制限はなく、接着層42を形成する接着剤の種類に応じて、十分な粘着力が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。

接着層42の厚さは、1~50μmが好ましく、10~30μmがより好ましい。

なお、本発明の植物育成用灯具10において、反射型円偏光板18を灯具本体12に固定する方法は、接着層42を用いる方法に制限はされない。

一例として、接着層42に替えて、シリコーン系粘着剤およびアクリル系粘着剤等の粘着剤からなる粘着層によって、反射型円偏光板18を光透過板26に貼着することにより、反射型円偏光板18を剥離可能に光透過板26に貼着してもよい。

あるいは、反射型円偏光板18の短手方向の両端部を挿入する長尺な溝部(凹部)、凹部と凸部との篏合、クランプなどの固定冶具を用いる方法、ビス止め、および、ボルトナット等の公知の固定手段を用いて、反射型円偏光板18を着脱可能に灯具本体12に取り付ける構成も利用可能である。

これらの構成によれば、コレステリック液晶層が反射する円偏光の旋回方向が異なる反射型円偏光板、コレステリック液晶層の有効波長帯域の中心波長が異なる反射型円偏光板等の複数種の反射型円偏光板を用意しておき、育成する植物に応じて反射型円偏光板を交換することで、より、多種多様な植物の育成に対応可能になる。

図示例の反射型円偏光板18は、支持体30の一方の面に赤色反射コレステリック液晶層36R、偏光補正層38および青色反射コレステリック液晶層36Bを有し、支持体30の他方の面に接着層42を有するものであるが、本発明は、これに制限はされない。

一例として、本発明の植物育成用灯具においては、図6に示す反射型円偏光板18aのように、支持体30の一方の面に赤色反射コレステリック液晶層36R、偏光補正層38および青色反射コレステリック液晶層36Bを設け、青色反射コレステリック液晶層36Bの表面に接着層42を設けた反射型円偏光板も利用可能である。

この構成によれば、最外層が支持体30となるので、支持体30をコレステリック液晶層等の保護層として作用させられる。

ここで、図3に示す反射型円偏光板18では、光は、支持体30を透過した後に、赤色反射コレステリック液晶層36Rおよび青色反射コレステリック液晶層36Bに入射して、有効波長帯域の右円偏光および/または左円偏光が透過する。

これに対して、図6に示す反射型円偏光板18aでは、有効波長帯域の右円偏光または左円偏光のみが青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rを透過した後に、有効波長帯域の左円偏光および/または右円偏光が支持体30に入射して透過する。そのため、支持体30の面内方向のレタデーションReが大きいと、植物の成長を促進する有効波長帯域の左円偏光または右円偏光の状態が変化してしまい、円偏光度が低下して、植物の成長促進効果が低減してしまう可能性が有る。

そのため、図6に示すように、光が青色反射コレステリック液晶層36Bおよび赤色反射コレステリック液晶層36Rを透過した後に支持体30を透過する反射型円偏光板18aでは、支持体30は、TAC、および、アクリル系樹脂のように、面内レタデーションReが小さい材料で形成することが好ましい。

具体的には、光がコレステリック液晶層36を透過した後に支持体30を透過する構成では、支持体30は、550nmにおける面内レタデーションRe(550)が50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。

上述したように、本発明の植物育成用灯具10は、植物の成長促進に有効な波長帯域の右円偏光または左円偏光の光を植物に照射して、植物の成長を促進するものである。ここで、本発明の植物育成用灯具10に関するメカニズムについては、以下のように推定している。

植物の花芽形成促進、抑制、成長制御等に関わるフィトクロム、クリプトクロム、フォトトロピン、ZTL(ZEITLUPE)などの光受容体に含まれる発色団のフィトクロモビリン、フラビンはキラル剤であるため、光吸収波長帯域近傍において円偏光に対する吸収二色性を有する。つまり、光受容体が吸収する光は左右いずれかの円偏光であり、もう一方のセンスの円偏光はそれと比較して吸収されにくいために、これを照射しても光受容体の機能を誘起することが難しい。そのため左右それぞれの円偏光のみを照射する場合、成長度合が異なる現象が生じるものと推定される。ただし、これらの吸収二色性は実験室レベルでの溶液系で確認できる現象であって、実際には発色団に偏光が到達するまでに細胞内の物質による散乱のため偏光状態がくずされ、上述のような現象は見られないと考えることが一般的である。しかし、驚いたことに、本発明においては、これらが存在する葉または茎の中においても、照射光の偏光状態に応じて植物の成長が制御可能であることが分かった。

植物の光周性に関わるフィトクロムの場合、650nm付近に吸収極大を有する赤色光吸収型と750nm付近に吸収極大を有する遠赤色光吸収型があり、650nm付近の光照射で赤色光吸収型が遠赤色光吸収型に転換される。一方、750nm付近の光照射で遠赤色光吸収型が赤色光吸収型に転換される。さらに、暗状態経時によっても遠赤色光吸収型の赤色光吸収型への転換が進む。これらの反応によって生じた遠赤色光吸収型の量が植物の開花時期を制御している。この反応を人工的に制御することで、例えば菊の栽培で行われているような夜間照明などで開花時期を制御することが可能である。この照明として本発明の植物育成用灯具10のフィトクロムの吸収波長帯域でのみフィトクロムが吸収する右円偏光を照射する光源を用いた場合、電照の効果を落とさずに必要な消費電力押さえることが可能となる。

地球上には、さまざまな植物があり幾種類もの発色団が存在するので、植物の種類および/または制御目的等に応じて、一方の円偏光とする有効波長帯域、および、円偏光の旋回方向(センス)を変えることが重要である。当然、ある波長帯域では右円偏光を、別な波長帯域では左円偏光をというように、別々なセンスの円偏光を同時に照射することが好ましい場合もあり、その目的にも本発明の植物育成用灯具10は使用できるのは、上述したとりである。

本発明の植物育成用灯具10は、休眠、発芽、成苗、細胞伸長期間、花芽分化などの植物の成長過程の時期に応じて、照射する円偏光の波長帯域を、反射型円偏光板18を交換することによって、使い分けてもよい。また、日周の時期に応じて、照射のタイミング、光強度、および、偏光状態などを調節してもよい。さらに、パルス的な発光を用いたり、照射する植物の部位に応じて、異なる偏光状態の光を照射をするなどの使い分けをしてもよい。また、植物工場において、本発明の植物育成用灯具による光照射と湿度、温度、ガス濃度の制御と組み合わせてもよい。

本発明の植物育成用灯具10が対象とする植物には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

例えば、ウリ科、ナス科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、アカザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ科、リンドウ科、ボマノハグサ科、マメ科、ボタン科、アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、リュウゼツラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、タカトウダイ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツバキ科およびオシロイバナ科の切り花類、鉢物類の花卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科およびフトモモ科の果樹、ならびに、藻類などが挙げられる。

さらに詳しく例示すると、キュウリ、メロン、カボチャ、ニガウリ、ズッキーニ、スイカ、シロウリ、トウガン、ヘチマ、キンシウリ、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス、ペピーノ、シシトウ、エンドウ、インゲンマメ、ササゲ、エダマメ、ソラマメ、シカクマメ、サヤエンンドウ、サヤインゲン、フジマメ、イチゴ、トウモロコシ、オクラ、ブロッコリー、カイワレダイコン、クレソン、コマツナ、ツケナ、レタス、フキ、シュンギク、食用ギク、セルリー、パセリー、ミツバ、セリ、ネギ、ワケギ、ニラ、アスパラガス、ホウレンソウ、オカヒジキ、ウド、シソ、ショウガ、ダイコン、カブ、ワサビ、ラディシュ、ルタバカ、コカブ、ニンニク、ラッキョウ、レンコンおよびサトイモ等の野菜;アスター、ローダンセ、アザミ、ナデシコ、ストック、ハナナ、スターチス、トルコキキョウ、キンギョソウ、スィートピー、ハナショウブ、キク、リアトリス、ガーベラ、マーガレット、ミヤコワスレ、シャスターデージー、カーネーション、シュツコンカスミソウ、リンドウ、シャクヤク、ホウズキ、リオン、ダリア、カラー、グラジオラス、アイリス、フリージア、チューリップ、スイセン、アマリリス、シンビジューム、ドラセナ、バラ、ボケ、サクラ、モモ、ウメ、コデマリ、キイチゴ、ナナカマド、ミズキ、サンシュ、サンダンカ、ブルバディア、ヤナギ、ツツジ類、レンギョウ、モクレン、シラネリア、ディモルホセカ、プリムラ、ペチュニア、ベゴニア、コリウス、ゼラニュウム、ペラルゴニューム、ロケヤ、アンスリューム、クレマチス、スズラン、セントポーリア、シクラメン、ラナンキュラス、グロキシニア、デンドロビューム、カトレア、ファレノプシス、バンダ、エビデンドラム、オンシジウム、シャコバサボテン、カニバサボテン、クジャクサボテン、カランコエ、ネフロレピス、アジアンタム、タニワタリ、ポトス、ディフェンバキヤ、スパティフラム、シンゴニューム、オリヅルラン、シエフレラ、ヘデラ、ゴムノキ、ドラセナ、コルジリネ、ブライダルベール、アナナス類、カラテヤ、クロトン、ペペロミヤ、ポインセチア、ハイドランジア、フクシア、ハイビスカス、ガーデニア、ギョリュウバイ、ツバキ、ブーゲンビレアおよびボタン等の花卉;ニホンナシ、モモ、オウトウ、スモモ、リンゴ、プルーン、ネクタリン、アンズ、ラズベリー、ウメ、ブドウ、イチジク、カキ、ブルーベリー、アケビ、キウィフルーツ、パッションフルーツ、ビワ、ウンシュウミカン、マーコレット、レモン、ユズ、仏手柑、ハッサク、ブンタン、花ユズ、キンカン、セミノール、イヨカン、ネーブルオレンジ、アンコール、ノバ、日向夏、ライム、スダチ、カボス、晩白柚、タンカン、マンゴー、パインアップルおよびグアバ等の果樹;ならびに、藻類などが挙げられる。

これらの中でも、葉物野菜、アブラナ科ツケナ類のコマツナ(小松菜)が、特に好ましい。

以上、本発明の植物育成用灯具について詳細に説明したが、本発明は上述の例に制限はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。

以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。

[塗布液の調製]

下記の表1に示す塗布液A~Dを調製した。なお、表1において、各塗布液組成の数値は質量部を示している。

塗布液Aは、青色光の右円偏光を反射するコレステリック液晶層を、塗布液Bは、青色光の左円偏光を反射するコレステリック液晶層を、塗布液Cは、赤色光の右円偏光を反射するコレステリック液晶層を、塗布液Dは、赤色光の左円偏光を反射するコレステリック液晶層を、それぞれ、形成する塗布液である。

Figure 0007181312000002

Figure 0007181312000003

[実施例1]

(配向膜の形成)

支持体として、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、A4100)を用意した。

支持体の表面に、ワイヤーバーを用いて、下記の配向膜用塗布液を乾燥後膜厚が2μmとなるように塗布した。

<配向膜用塗布液>

UV硬化型樹脂(日本化薬製 KAYARAD PET-30) 40質量部

下記構造の化合物A 0.004質量部

重合開始剤(上述したIrgacure-819) 1.5質量部

メチルエチルケトン 58.5質量部

化合物A

Figure 0007181312000004

その後、60℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気下で水銀灯を用いて紫外線を照射して、配向膜用塗布液を硬化して樹脂層を形成した。光の照射量は200mJ/cm2とした。

硬化した樹脂層の表面をラビング処理することで、配向膜を形成した。

(赤色反射コレステリック液晶層の形成)

配向膜の表面に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後膜厚が4μmになるようにとなるように塗布液Cを塗布して、100℃で1分間熟成した。

その後、30℃で、フュージョン社製Dバルブランプ(90mW/cm)によって、出力60%で、12秒間、紫外線を照射して、コレステリック液晶相を固定した。これにより、配向膜の表面に、有効波長帯域の中心波長が700nmで、右円偏光を反射する赤色反射コレステリック液晶層を形成した。

(Cプレートの形成)

以下のCプレート用塗布液を調製した。

<Cプレート用塗布液>

UV硬化型樹脂(新中村化学社製、A-TMM-3) 19.2質量部

UV硬化型樹脂(日油社製 ブレンマーGLM) 9.6質量部

下記構造の水平配向剤 0.007質量部

重合開始剤(上述したIrgacure-819) 1.2質量部

メチルエチルケトン 24.5質量部

シクロヘキサノン 45.5質量部

水平配向剤

Figure 0007181312000005

上述した支持体の表面に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後膜厚が1.5μmになるようにCプレート用塗布液を塗布して、80℃で1分間熟成した。その後、30℃で、フュージョン社製Dバルブランプ(90mW/cm)によって、出力60%で、12秒間、紫外線を照射することで、Cプレート用塗布液を硬化して、Cプレートを作製した。

作製したCプレートの表面に、OCA(PANAC社製、パナクリーンPD-R1)を貼着して、OCAを赤色反射コレステリック液晶層に貼着した後、支持体を剥離することで、赤色反射コレステリック液晶層の表面にCプレート(偏光補正層)を形成した。

なお、同様にしてCプレートを光学用ガラスに貼着して、上述したように、AxoScanによって、Cプレートの厚さ方向のRth(550)を測定した。その結果、Cプレートの厚さ方向のRth(550)は、90nmであった。

(青色反射コレステリック液晶層の形成)

赤色反射コレステリック液晶層の形成と同様に、ラビング処理を施した配向膜を有する支持体を形成した。

配向膜の表面に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後膜厚が4μmになるようにとなるように塗布液Bを塗布して、100℃で1分間熟成した。その後、30℃で、フュージョン社製Dバルブランプ(90mW/cm)によって、出力60%で、12秒間、紫外線を照射して、コレステリック液晶相を固定することにより、有効波長帯域の中心波長が440nmで、左円偏光を反射する青色反射コレステリック液晶層を形成した。

形成した青色反射コレステリック液晶層の表面に、OCA(PANAC社製、パナクリーンPD-R1)を貼着して、OCAをCプレートに貼着した後、支持体および配向膜を剥離することで、Cプレートの表面に青色反射コレステリック液晶層を形成して、反射型円偏光板を作製した(図3参照)。

[実施例2]

赤色反射コレステリック液晶層の形成において、塗布液Cに替えて塗布液Dを用い、青色反射コレステリック液晶層の形成において、塗布液Bに替えて塗布液Aを用いた以外は、実施例1と同様に反射型円偏光板を作製した。

この反射型円偏光板の赤色反射コレステリック液晶層は、有効波長帯域の中心波長が720nmで、左円偏光を反射するものである。また、この反射型円偏光板の青色反射コレステリック液晶層は、有効波長帯域の中心波長が430nmで、右円偏光を反射するものである。

[比較例1および比較例2]

Cプレートを有さない以外は、実施例1と同様にして、反射型円偏光板を作製した(比較例1)

Cプレートを有さない以外は、実施例2と同様にして、反射型円偏光板を作製した(比較例2)

[植物育成用灯具の作製、および、円偏光度の測定]

内面が白色反射面で最大面の一面が開放する直方体状の筐体を用意した。

この筐体の開放面と対向する面側に、青色光源と赤色光源とを直線状に等間隔で交互に装着し、さらに、筐体の開放面を作製した反射型円偏光板で閉塞することで、植物育成用灯具を作製した。

青色光源は、発光の中心波長が460nmの青色光を発光するLED(富士電子工業社製、7W/L020 青)を、赤色光源は、発光の中心波長が630nmの赤色光を発光するLED(富士電子工業社製、7W/L020 赤)を、それぞれ、用いた。

作製した植物育成用灯具について、反射型円偏光板から照射された青色光および赤色光の円偏光度を、分光光度計(オーシャンオプティクス社製、USB4000等)を用いて測定した。

測定は、分光光度計を反射型円偏光板を装着して、右円偏光および左円偏光の強度を測定することで行った。右円偏光および左円偏光の強度測定は、入射角度を振って、複数回、行い、その平均値を、右円偏光および左円偏光の強度とした。測定した右円偏光および左円偏光の強度から、上述した式を用いて、円偏光度を算出した。

結果を下記の表2に示す。

Figure 0007181312000006

実施例1および比較例1の植物育成用灯具によれは、青色光の左円偏光の照射によって成長を促進できる植物、および、赤色光の右円偏光の照射によって成長を促進できる植物の育成に対応できる。また、実施例2および比較例2の植物育成用灯具によれは、青色光の右円偏光の照射によって成長を促進できる植物、および、赤色光の左円偏光の照射によって成長を促進できる植物の育成に対応できる。

ここで、表2に示されるように、反射型円偏光板がCプレート(偏光補正層)を有する実施例1および実施例2の植物育成用灯具は、赤色光および青色光、共に、高い円偏光度の光を照射することができ、青色光および赤色光のいずれの光でも、好適に植物の成長を促進できる。

これに対して、反射型円偏光板がCプレートを有さない比較例の植物育成用灯具では、青色光は、本発明の植物育成用灯具と同等の円偏光度であるが、長波長の光である赤色光は、円偏光度が低下しており、赤色光による植物の成長促進効果が低くなってしまう。

以上の結果より、本発明の効果は明らかである。

本発明は、植物の栽培に好適に利用可能である。

10 植物育成用灯具

12 灯具本体

14B 青色光源

14R 赤色光源

16 光源ユニット

18,18a 反射型円偏光板

24 筐体

24a 開口

26 光透過板

30 支持体

32 配向膜

36B 青色反射コレステリック液晶層

36R 赤色反射コレステリック液晶層

38 偏光補正層

40,42 接着層

Claims (10)

  1. 光源と、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有する反射型円偏光板と、を有し、
    380nm以上500nm以下の波長帯域を青色波長帯域、500nm超600nm未満の波長帯域を緑色波長帯域、600nm以上780nm以下の波長帯域を赤色波長帯域とした際に、
    前記光源として、前記青色波長帯域に発光の中心波長を有する青色光源、前記緑色波長帯域に発光の中心波長を有する緑色光源、および、前記赤色波長帯域に発光の中心波長を有する赤色光源の、2以上を有し、
    前記反射型円偏光板は、前記青色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する青色反射コレステリック液晶層、前記緑色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する緑色反射コレステリック液晶層、および、前記赤色波長帯域に有効波長帯域の中心波長を有する赤色反射コレステリック液晶層の、2以上を有し、
    前記光源が、前記発光の中心波長を有する波長帯域と、前記反射型円偏光板の前記コレステリック液晶層が、前記有効波長帯域の中心波長を有する波長帯域とが、同じ色の波長帯域であり、
    さらに、前記反射型円偏光板が、厚さ方向に位相差を有する偏光補正層と、前記コレステリック液晶層を支持するための支持体と、を有し、かつ、前記支持体の面内レタデーションRe(550)が50nm以下であり、前記支持体は、前記偏光補正層および前記コレステリック液晶層の前記光源と逆側に位置することを特徴とする植物育成用灯具。
  2. 前記偏光補正層が、Cプレートである、請求項1に記載の植物育成用灯具。
  3. 前記光源として、前記青色光源および前記赤色光源を有し、
    前記反射型円偏光板が、前記青色反射コレステリック液晶層および前記赤色反射コレステリック液晶層を有する、請求項1または2に記載の植物育成用灯具。
  4. 白色光を照射するための補助光源をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  5. 前記反射型円偏光板の前記コレステリック液晶層において、選択的に反射する円偏光の旋回方向が、全て同じである、請求項1~4のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  6. 前記反射型円偏光板が、選択的に反射する円偏光の旋回方向が異なる前記コレステリック液晶層を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  7. 前記反射型円偏光板のヘイズが1%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  8. 前記反射型円偏光板の前記コレステリック液晶層の少なくとも1層が、散乱性を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  9. 前記光源が、一方向に、複数、配列されている、請求項1~のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
  10. 前記光源がLEDである、請求項1~のいずれか1項に記載の植物育成用灯具。
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