JP7178973B2 - 保護制御システム - Google Patents

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Description

この開示は、保護制御システムに関する。
近年、保護リレー装置の形態として、特許文献1(特開2012-65433号公報)などに開示されているようなプロセスバスに対応した保護制御システムが一般的になりつつある。この保護制御システムでは、従来の保護リレー装置の機能が2つに分割され、それぞれ個別のユニットで構成される。
具体的には、統合ユニット(マージングユニット:Merging Unit(MU))と称される電気量検出装置と、IED(Intelligent Electronic Device)と称される保護制御装置とが設けられる。MUは、電力系統の電気量(すなわち、電流および電圧など)の検出信号を取り込み、取り込んだ信号をA/D(Analog to Digital)変換する。MUは、A/D変換によって得られたデータを、プロセスバスを介してIEDに送信する。IEDは、MUからの受信データに基づいてリレー演算を行う。
特許文献1に開示された保護制御システムを用いて電流差動リレー方式による送電線保護を行う場合、送電線の両端において、電気量のサンプリングタイミングを同期させる必要がある。特許文献1は、(i)GPS(Global Positioning System)信号を利用する同期方法を開示する。しかしながら、この同期方法(i)は、GPS信号が正常に受信できないことがあるので可用性の点で問題になり得る。他の方法として、(ii)特許文献2に開示された従来から使用されている同期方式がある。しかしながら、この方式(ii)では、サンプリング同期制御のために特別なハードウェアを付帯する必要がある。
非特許文献1(電気協同研究、第71巻、第1号、第6-2節)は、プロセスバスを適用したIP(Internet Protocol)-PCM(Pulse Code Modulation)電流差動リレーを開示する。具体的に、送電線を挟んで対向するPCM電流差動リレー用IEDを互いに同期させるが、送電線の各端の電気所構内においてMUとPCM電流差動リレー用IEDとは非同期にする。もし、MUとPCM電流差動リレー用のIEDとを同期させると、各電気所構内においてMUを共用する他のIEDまで同期させる必要が生じてしまうからである。
上記の非特許文献1の構成では、送電線の両端における電流のサンプルタイミングは異なっているので、同一時刻相当の電流サンプリングデータを演算で算出する必要がある。また、送電線を挟んで対向するPCM電流差動リレー用IEDの同期制御には、たとえば、IEC61588等で定義された時刻同期プロトコル(PTP:Precision Time Protocol)が用いられる。しかし、PTPでは、ネットワークを構成するスイッチに特殊な機能を必要とすることから、システム構成が高価になってしまう。
プロセスバスが適用されていない多くの従来の送電線保護装置は、特許文献2に開示された方式でサンプリング同期を実現している。この場合、アナログ入力回路、伝送回路、リレー演算回路は同じユニットに実装され、1つのサンプリング同期信号に全構成要素が同期して動作する一体型のユニット構成である。
特開2012-65433号公報 特開昭62-262614号公報
「新しい通信技術による保護リレーシステムの設計合理化」、電気協同研究、第71巻、第1号、第6章、第6-2節「プロセスバスを適用したIP-PCMリレー」、p.196-197
上記の非特許文献1の保護リレーシステムでは、送電線を挟んで対向するPCM電流差動リレー用のIED同士において、従来と同等の同期制御が必要である。このため、ハードウェア構成が複雑になる。また、IPネットワークに接続されたPTPマスタを利用して同期制御を実行する場合には、PTPマスタと送受信するために通信プロトコルの実装が必要であるし、通信に障害が生じた場合に同期制御ができなくなるという問題が生じる。
この開示は、上記の問題点を考慮したものであり、その目的は、電流差動リレー方式で送電線を保護する場合に、(i)送電線の保護区間を挟んで対向する保護制御装置の間での同期制御を必要とせずに、(ii)簡素なハードウェア構成で実現可能な保護制御システムを提供することである。
送電線の保護区間を保護するための一実施形態の保護制御システムは、第1の電気量検出装置と、第1の保護制御装置と、第2の電気量検出装置と、第2の保護制御装置とを備える。第1の電気量検出装置は、保護区間の第1端に設けられ、第1のサンプリング周期で送電線の電流をサンプリングすることにより、第1の電流検出データを生成する。第1の保護制御装置は、第1端に設けられ、第1の電流検出データに基づく第1の送信データを、第1の送信周期で通信路に出力する。第2の電気量検出装置は、保護区間の第2端に設けられ、第2のサンプリング周期で送電線の電流をサンプリングすることにより、第2の電流検出データを生成する。第2の保護制御装置は、第2端に設けられ、通信路を介して第1の保護制御装置と接続され、第2の電流検出データに基づく第2の送信データを第2の送信周期で通信路に出力する。第1のサンプリング周期、第1の送信周期、第2のサンプリング周期、および第2の送信周期は、互いに非同期である。第1の保護制御装置は、第1の送信周期ごとに、第1の電流検出データを第1の電気量検出装置から受信してから第1の送信データを送信するまでの第1の時間差と、第1の送信データを送信してから第2の送信データを受信するまでの第2の時間差とを計測する。第2の保護制御装置は、第2の送信周期ごとに、第2の電流検出データを第2の電気量検出装置から受信してから第2の電流検出データを送信するまでの第3の時間差と、第2の送信データを送信してからの第1の送信データを受信するまでの第4の時間差とを計測する。第1の保護制御装置と第2の保護制御装置との少なくとも一方は、第1の時間差、第2の時間差、第3の時間差、および第4の時間差に基づいて、自端側の電流検出データを補間し、補間後の電流検出データと相手端の電流検出データとの比較に基づいて、保護区間で故障が生じているか否かを判定する。
上記の実施形態の保護制御システムによれば、第1~第4の時間差の計測値を用いて電流検出データを補間することにより、送電線の保護区間を挟んで対向する保護制御装置の間での同期制御を必要としないで、かつ簡素なハードウェア構成による電流差動リレー方式の送電線保護制御システムを実現することができる。
実施の形態1による保護制御システムの構成を示すブロック図である。 図1の電気量検出装置および保護制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図1のA端における保護制御装置の機能的構成を示すブロック図である。 図3の送信タイミング制御部の具体的構成例を示すブロック図である。 タイミング偏差の計算を説明するための第1の例を示すタイミング図である。 タイミング偏差の計算を説明するための第2の例を示すタイミング図である。 タイミング偏差の計算を説明するための第3の例を示すタイミング図である。 タイミング偏差の計算を説明するための第4の例を示すタイミング図である。 タイミング偏差の計算を説明するための第5の例を示すタイミング図である。 補間電流値の計算および送信のタイミングを説明するための図である。 図10の補間電流値Ia(db32)の計算および送信のタイミングを説明するための図である。 図3の送信タイミング制御部の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1の保護制御システムの動作を示すフローチャートである。 実施の形態2の保護制御システムの動作を示すフローチャートである。 保護区間が3端子の場合の保護制御システムの動作を説明するための図である。
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下では、送電線の保護区間が2端子の場合を主として説明するが、本開示による技術は3端子以上の場合にも適用可能であることは言うまでもない。なお、以下の説明において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
実施の形態1.
[保護制御システムの構成]
図1は、実施の形態1による保護制御システムの構成を示すブロック図である。図1の保護制御システム200は、送電線21を含む電力系統を保護する。送電線21は、たとえば、三相の送電線であるが、図1では簡単のために三相のうちの一相のみを代表的に示している。
送電線21のA端にはA端変電所100Aが設けられ、送電線21のB端にはB端変電所100Bが設けられる。保護制御システム200は、A端変電所100A内に、電圧変成器26Aと、電流変成器27Aと、電気量検出装置30Aと、保護制御装置60A,80Aと、基準信号生成装置25Aとを備える。保護制御システム200は、B端変電所100B内に、電圧変成器26Bと、電流変成器27Bと、電気量検出装置30Bと、保護制御装置60B,80Bと、基準信号生成装置25Bとを備える。以下、A端とB端とで同一または相当する構成を区別する場合に、参照符号の末尾にA,Bを付す。A端とB端とに共通する事項については、末尾のA,Bの参照符号を省略する場合がある。
本開示において一例として、電気量検出装置30Aを第1の電気量検出装置と称し、保護制御装置60Aを第1の保護制御装置と称する場合がある。また、本開示において一例として、電気量検出装置30Bを第2の電気量検出装置と称し、保護制御装置60Bを第2の保護制御装置と称する場合がある。
図1に示すように、電圧変成器26Aは、送電線21のA端における電圧値VaAを検出する。電流変成器27Aは、送電線21のA端における電流値IaAを検出する。電圧変成器26Bは、送電線21のB端における電圧VaBを検出する。電流変成器27Bは、送電線21のB端における電流IaBを検出する。なお、図1では、図示を省略しているが、電圧変成器26A,26Bおよび電流変成器27A,27Bは、三相送電線の各相に設けられている。
電気量検出装置30Aは、電圧変成器26Aによって検出されたA端における電圧値VaAおよび電流値IaAを、クロック回路CLK1からのタイミング信号に基づくサンプリング周期でサンプリングする。電気量検出装置30Aは、サンプリングした電圧値VaAおよび電流値IaAをA/D(Analog to Digital)変換する。電気量検出装置30Aは、A/D変換後のデジタルの電圧値VdA(電圧検出データとも称する)および電流値IdA(電流検出データとも称する)の少なくとも一方を、A端変電所100Aに設けられた保護制御装置60A,80Aに出力する。
同様に、電気量検出装置30Bは、電圧変成器26Bによって検出されたB端における電圧値VaBおよび電流値IaBを、クロック回路CLK3からのタイミング信号に基づくサンプリング周期でサンプリングする。電気量検出装置30Bは、サンプリングした電圧値VaBおよび電流値IaBをA/D変換する。電気量検出装置30Bは、A/D変換後のデジタルの電圧値VdB(電圧検出データとも称する)および電流値IdB(電流検出データとも称する)の少なくとも一方を、B端変電所100Bに設けられた保護制御装置60B,80Bに出力する。電気量検出装置30A,30Bを、マージングユニット(MU)とも称する。
なお、A端における電気量検出装置30Aは、A端変電所100A内の他の箇所に設けられた不図示の電圧変成器および電流変成器の検出値をさらに取り込んで、A/D変換するように構成されていてもよい。この場合、電気量検出装置30Aは、A/D変換された他の箇所の電気量をA端変電所100Aに設けられた保護制御装置60A,80Aに送信する。また、電気量検出装置30Aは、A端変電所100A内に設けられた不図示の他の保護制御装置に、A/D変換後のデジタルの電圧値VdBおよび電流値IdBを出力するように構成されていてもよい。B端における電気量検出装置30Bについても同様である。
保護制御装置60A,80Aは、A端における電気量検出装置30Aから取得した電圧検出データおよび電流検出データの少なくとも一方を用いて保護リレー演算を実行する。同様に、保護制御装置60B,80Bは、B端における電気量検出装置30Bから取得した電圧検出データおよび電流検出データの少なくとも一方を用いて保護リレー演算を実行する。
ここで、A端における保護制御装置60AとB端における保護制御装置60Bとは、専用の通信路20を介して相互に接続される。保護制御装置60A,60Bの各々は、電流差動保護リレー要素として機能する。
具体的に、保護制御装置60Aには、電気量検出装置30Aによる検出値に基づくA端における時系列の電流検出データが入力される。保護制御装置60Aは、受信した電流検出データに基づく送信データを、クロック回路CLK2からのタイミング信号に基づく送信周期で、通信路20を介してB端の保護制御装置60Bに送信する。
同様に、保護制御装置60Bには、電気量検出装置30Bによる検出値に基づくB端における時系列の電流検出データが入力される。保護制御装置60Bは、受信した電流検出データに基づく送信データを、クロック回路CLK4からのタイミング信号に基づく送信周期で、通信路20を介してA端の保護制御装置60Aに送信する。
保護制御装置60Aは、A端における電流検出データと、保護制御装置60Bから通信路20を介して受信した送信データとに基づいて、許容誤差の範囲内で同一時刻とみなし得るA端の電流値とB端の電流値との差分を計算する。そして、保護制御装置60Aは、電流値の差分演算の結果に基づいて、A端とB端との間の送電線21(すなわち、保護区間内)における故障の有無を判定する。
同様に、保護制御装置60Bは、B端における電流検出データと、保護制御装置60Aから通信路20を介して受信した送信データとに基づいて、許容誤差の範囲内で同一時刻とみなし得るA端の電流値とB端の電流値との差分を計算する。そして、保護制御装置60Bは、電流値の差分演算の結果に基づいて、A端とB端との間の送電線21(すなわち、保護区間内)における故障の有無を判定する。
一方、A端における他の保護制御装置80Aは、A端における検出データのみに基づき、すなわち、B端における検出データには基づかずに保護リレー演算を実行する。B端における他の保護制御装置80Bは、B端における検出データのみに基づき、すなわち、A端における検出データには基づかずに保護リレー演算を実行する。たとえば、保護制御装置80A,80Bの各々は、電流差動リレー要素以外の距離リレー要素および過電流リレー要素などとして動作する。
図1では、A端変電所100Aに設けられた保護制御装置60A,80Aは別個のユニットとして構成されているが、これらは一体化されていてもよい。同様に、B端変電所100Bに設けられた保護制御装置60B,80Bは一体化されていてもよい。
A端において、基準信号生成装置25Aは、電気量検出装置30Aにおけるサンプリングタイミングの基準となる基準信号Ref1を生成して電気量検出装置30Aに供給する。したがって、電気量検出装置30に設けられたクロック回路CLK1は、基準信号をRef1に同期したタイミング信号を生成する。
基準信号生成装置25Aは、さらに、A端変電所100Aに設けられたその他の不図示の電気量検出装置にも共通の基準信号Ref1を供給する。したがって、A端変電所100Aに設けられた複数の電気量検出装置においては、サンプリング同期が可能である。
同様に、B端において、基準信号生成装置25Bは、電気量検出装置30Bにおけるサンプリングタイミングの基準となる基準信号Ref1を生成して電気量検出装置30Bに供給する。したがって、電気量検出装置30に設けられたクロック回路CLK1は、基準信号をRef1に同期したタイミング信号を生成する。
基準信号生成装置25Bは、さらに、B端変電所100Bに設けられたその他の不図示の電気量検出装置にも共通の基準信号Ref1を供給する。したがって、B端変電所100Bに設けられた複数の電気量検出装置においては、サンプリング同期が可能である。
ここで、本実施形態の保護制御システム200では、A端におけるサンプリングタイミングとB端におけるサンプリングタイミングとは同期する必要がない点に特徴がある。すなわち、A端における基準信号生成装置25Aが生成する基準信号をRef1と、B端における基準信号生成装置25Bが生成する基準信号をRef2とは同期していなくてもよい。同様に、A端における電気量検出装置30Aが備えるクロック回路CLK1と、B端における電気量検出装置30Bが備えるクロック回路CLK3とは、同期して動作する必要はない。
さらに、A端において、保護制御装置60A,80Aがそれぞれ備えるクロック回路CLK2,CLK5は、電気量検出装置30Aが備えるクロック回路CLK1と同期して動作する必要はない。B端において、保護制御装置60B,80Bがそれぞれ備えるクロック回路CLK4,CLK6は、電気量検出装置30Bが備えるクロック回路CLK2と同期して動作する必要はない。すなわち、図1において、クロック回路CLK1~CLK6は、互いに同期する必要はない。
保護制御システム200における保護制御装置60A,60Bは、上記のようにクロック回路CLK1~CLK4が非同期であったとしても、電流差動リレー演算が実行可能なように構成されている。具体的方法については、図3~図14を参照して後述する。
[電気量検出装置および保護制御装置のハードウェア構成例]
以下、図1の電気量検出装置30および保護制御装置60が、マイクロコンピュータに基づいて構成されている例について説明する。図1の保護制御装置80は保護制御装置60と同様の構成である。
なお、以下の例と異なり、電気量検出装置30および保護制御装置60,80は、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの電子回路に基づいて構成されていてもよい。もしくは、電気量検出装置30および保護制御装置60,80は、FPGAまたはASICなどの電子回路とマイクロコンピュータとを組み合わせることによって構成されていてもよい。
図2は、図1の電気量検出装置および保護制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2における電気量検出装置30の構成は、図1の電気量検出装置30A,30Bに共通している。同様に、図2における保護制御装置60の構成は、図1の保護制御装置60A,60Bに共通している。
図2を参照して、電気量検出装置30は、入力変換部31と、A/D変換部35と、演算処理部40と、インターフェイス部50と、クロック回路CLK1(または、CLK3)とを備える。
入力変換部31は、図1の電流変成器27から出力された各相の電流信号および図1の電圧変成器26から出力された各相の電圧信号が入力される入力部である。入力変換部31には、入力変換器32(32_1,32_2,…)(INCONV)としての変成器がチャンネルごとに設けられている。各チャンネルには、各相の電流信号および各相の電流信号がそれぞれ入力される(図2では、代表的に2チャンネルのみ示されている)。各入力変換器32は、電流変成器27および電圧変成器26からの電流信号および電圧信号をA/D変換部35および演算処理部40での信号処理に適した電圧レベルの信号に変換する。
A/D変換部35は、アナログフィルタ36(AF:Analog Filter)と、サンプルホールド回路37(S/H:Sample and Hold Circuit)と、マルチプレクサ38(MPX:Multiplexer)と、アナログデジタル(A/D)変換器39とを含む。アナログフィルタ36(36_1,36_2,…)およびサンプルホールド回路37(37_1,37_2,…)の各々は、複数の入力変換器32(32_1,32_2,…)にそれぞれ対応してチャンネルごとに設けられる。
各アナログフィルタ36は、A/D変換の際の折返し誤差を除去するために設けられたフィルタである。各サンプルホールド回路37は、対応のアナログフィルタ36を通過した信号を所定のサンプルレート(サンプリング周波数とも称する)(たとえば、4800Hz)でサンプリングして保持する。マルチプレクサ38は、各サンプルホールド回路37に保持された電圧信号を順次選択する。A/D変換器39は、マルチプレクサによって選択された信号をデジタル値に変換する。
演算処理部40は、CPU41(Central Processing Unit)と、RAM42(Random Access Memory)と、ROM43(Read Only Memory)とを備える。これらの各要素はバス44を介して相互に接続されている。演算処理部40は、フラッシュメモリなど電気的に書換え可能な不揮発性メモリ(不図示)を備えていてもよい。RAM42およびROM43は、CPU41の主記憶として用いられる。CPU41は、ROM43および不揮発性メモリに可能されたプログラムに従って、電気量検出装置30全体の動作を制御する。
インターフェイス部50は、通信回線52(プロセスバスとも称する)を介して保護制御装置60にデータ送信を行う通信回路51(TX/RX)を備える。
クロック回路CLK1(またはCLK3)は、基準信号Ref1(またはRef2)に同期して動作する。電気量検出装置30における上記の各構成要素は、クロック回路CLK1(またはCLK3)から出力されたタイミング信号(図3のTMS1,TMS2)に基づいて動作する。
保護制御装置60は、インターフェイス部61と演算処理部70とを備える。インターフェイス部61は、通信回路62(TX/RX1)と、送受信回路63(TX/RX2)と、デジタル出力回路64(D/O:Digital Output)と、クロック回路CLK2(またはCLK4)とを備える。
通信回路62(TX/RX1)は、電気量検出装置30の通信回路51(TX/RX)から出力され、通信回線52(プロセスバス)を介して送信されたデータを受信する。送受信回路63(TX/RX2)は、たとえば、ステーションバスと称する通信回線(不図示)を介して上位の計算機(不図示)との間で所定のプロトコルに従った通信を行う。デジタル出力回路64(D/O)は、外部機器に信号を出力するためのインターフェイス回路である。たとえば、デジタル出力回路64は、CPU41の指令に従って、図1の送電線21に設けられた遮断器(不図示)にトリップ信号TSを出力する。なお、トリップ信号TSを通信回路62から通信回線52に出力して、通信回路51で受信し、電気量検出装置30経由で遮断器に出力する場合もある。
演算処理部70は、CPU71と、RAM72と、ROM73とを備える。これらの各要素はバス74を介して相互に接続されている。演算処理部70は、フラッシュメモリなど電気的に書換え可能な不揮発性メモリ(不図示)を備えていてもよい。RAM72およびROM73は、CPU71の主記憶として用いられる。CPU71は、ROM73および不揮発性メモリに可能されたプログラムに従って動作する。
クロック回路CLK2(またはCLK4)は、基準信号Ref3(またはRef4)に同期して動作する。保護制御装置60における上記の各構成要素は、クロック回路CLK2(またはCLK4)から出力されたタイミング信号(図3のTMS2)に基づいて動作する。
[保護制御装置の機能的構成]
次に、図1の保護制御システム200において、電流差動リレー要素を構成する保護制御装置60A,60Bの機能的構成について説明する。以下の説明において、A端における保護制御装置60Aおよび電気量検出装置30Aの構成要素を「A端側」の構成要素と記載する場合がある。同様に、B端における保護制御装置60Bおよび電気量検出装置30Bの構成要素を「B端側」の構成要素と記載する場合がある。また、A端における送電線の電気量を「A端側」の電気量と記載し、B端における送電線の電気量を「B端側」の電気量と記載する場合がある。
図3は、図1のA端における保護制御装置の機能的構成を示すブロック図である。図3では、A端における電気量検出装置30Aの主な構成要素、B端における電気量検出装置30Bの主な構成要素、およびB端の保護制御装置60Bも示されている。また、図3では、A端の保護制御装置60Aの機能的構成のみ示されているが、B端の保護制御装置60Bの機能的構成もほぼ同様である。
図3を参照して、A端側の保護制御装置60Aは、データ受信部110と、データ格納部111と、データ送信部113と、データ受信部112と、タイミング偏差演算部114とを含む。A端側の保護制御装置60Aは、さらに、送信タイミング制御部115と、補間演算部116と、リレー演算部117とを含む。B端側の保護制御装置60Bも同様の構成を有する。
図3において、データ受信部110は図2の通信回路62に対応する。データ格納部111は、図2のRAM72およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ(不図示)に対応する。データ送信部113およびデータ受信部112は図2の送受信回路63に対応する。タイミング偏差演算部114、補間演算部116、およびリレー演算部117の機能は、図2のCPU71がプログラムに従って動作することによって実現される。送信タイミング制御部115の構成例は図4を参照して後述する。
A端側のデータ受信部110は、A端側の電気量検出装置30Aから時系列の電流検出データを受信する。A端側のデータ受信部110は、クロック回路CLK2からのタイミング信号TMS2に基づいて電流検出データの受信時刻を記録する。同様に、B端側のデータ受信部110は、B端側の電気量検出装置30Bから時系列の電流検出データを受信する。B端側のデータ受信部110は、クロック回路CLK4からのタイミング信号に基づいて電流検出データの受信時刻を記録する。
ここで、A端側のサンプルホールド回路37Aと、B端側のサンプルホールド回路37Bとは、一定周期で電気量をサンプリングしている。しかし、本実施形態の場合、電気量検出装置30Aにおけるクロック回路CLK1と電気量検出装置30Bにおけるクロック回路CLK3とは同期していない。したがって、A端における電気量のサンプリングタイミングとB端における電気量のサンプリングタイミングとは通常異なる。この結果、電気量検出装置30A,30Bのデータ受信部110における電流検出データの受信時刻も通常異なる。
A端側のデータ送信部113およびデータ受信部112は、B端側のデータ送信部113およびデータ受信部112との間で、通信路20を介してデータの送受信を行う。具体的に、A端側のデータ送信部113は、電気量検出装置30Aによる検出値に基づくA端における時系列の電流検出データまたは電流検出データの補間値(送信データと総称する)を、B端側のデータ受信部112に送信する。A端側のデータ送信部113は送信データの送信時刻を記録する。また、A端側のデータ受信部112は、電気量検出装置30Bによる検出値に基づくB端における時系列の電流検出データまたは電流検出データの補間値を、B端側のデータ送信部113から受信する。A端側のデータ受信部112はデータの受信時刻を記録する。
同様に、B端側のデータ送信部113は、電気量検出装置30Bによる検出値に基づくB端における時系列の電流検出データまたは電流検出データの補間値(送信データと総称する)を、A端側のデータ受信部112に送信する。B端側のデータ送信部113は送信データの送信時刻を記録する。また、B端側のデータ受信部112は、電気量検出装置30Aによる検出値に基づくA端における時系列の電流検出データまたは電流検出データの補間値を、A端側のデータ送信部113から受信する。B端側のデータ受信部112はデータの受信時刻を記録する。
ここで、A端からB端への送信データの送信タイミングは、A端側のクロック回路CLK2からのタイミング信号TMS2を基準にして決定される。B端からA端への送信データの送信タイミングは、クロック回路CLK4からのタイミング信号を基準にして決定される。もし、クロック回路CLK2,CLK4が互いに同期して動作している場合には、A端からB端への送信データの送信タイミングとB端からA端への送信データの送信タイミングとは同時刻である。しかしながら、本実施の形態の保護制御システム200では、クロック回路CLK2,CLK4が互いに同期していないので、A端側およびB端側の各々における送信データの送信時刻は異なる。
A端側のタイミング偏差演算部114は、電気量検出装置30Aからの電流検出データの受信時刻と、A端側のデータ送信部113による送信データのB端側への送信時刻との間の時間差MSdを計算する。さらに、タイミング偏差演算部114は、データ送信部113およびデータ受信部112において、A端側の送信データのB端側への送信時刻と、B端側からの送信データの受信時刻との間の時間差TMを計算する。これらの時間差MSdおよびTMは、クロック回路CLK2からのタイミング信号TMS2を基準にして計算される。B端側の保護制御装置60Bにおいて電流検出データの補間演算を行う場合には、A端側のデータ送信部113は、計算された時間差MSdおよびTMをB端側のデータ受信部112に送信する。
同様に、B端側のタイミング偏差演算部114は、電気量検出装置30Bからの電流検出データの受信時刻と、B端側のデータ送信部113による送信データのA端側への送信時刻との間の時間差SSdを計算する。さらに、タイミング偏差演算部114は、データ送信部113およびデータ受信部112において、B端側の送信データのA端側への送信時刻と、A端側からの送信データの受信時刻との間の時間差TSを計算する。これらの時間差SSdおよびTSは、クロック回路CLK4からのタイミング信号を基準にして計測される。A端側の保護制御装置60Aにおいて電流検出データの補間演算を行う場合には、B端側のデータ送信部113は、計算された時間差SSdおよびTSをA端側のデータ受信部112に送信する。
なお、本開示において一例として、時間差MSdを第1の時間差と称し、時間差TMを第2の時間差と称し、時間差SSdを第3の時間差と称し、時間差TSを第4の時間差と称する場合がある。
A端側のタイミング偏差演算部114は、さらに、A端側のクロック回路CLK2によるタイミング信号TMS2とB端側のクロック回路CLK4によるタイミング信号との間のタイミング偏差Δtを計算する。タイミング偏差Δtは、A端側の送信データの送信時刻とB端側の送信データの送信時刻との時間差に等しい。タイミング偏差Δtの計算では、上記の時間差TMおよびTSが用いられる。さらに、この計算では、A端からB端までの通信路20を介した伝送遅延時間とB端からA端までの通信路20を介した伝送遅延時間とがほぼ等しいと仮定している。以下、この伝送遅延時間をTdとする。具体的なタイミング偏差Δtの計算方法については、図5~図9を参照して後述する。
B端側のタイミング偏差演算部114も同様に、上記のタイミング偏差Δtを計算する。ここで、A端側のクロック回路CLK2によるタイミング信号TMS2が、B端側のクロック回路CLK4によるタイミング信号よりも遅れている場合に、タイミング偏差Δtを正とする。すなわち、A端側の送信データの送信時刻が、対応するB端側の送信データの送信時刻よりも遅い場合に、タイミング偏差Δtは正となる。逆に、A端側のクロック回路CLK2によるタイミング信号TMS2が、B端側のクロック回路CLK4によるタイミング信号よりも進んでいる場合に、タイミング偏差Δtを負とする。すなわち、A端側の送信データの送信時刻が、対応するB端側の送信データの送信時刻よりも早い場合に、タイミング偏差Δtは負となる。
A端側のタイミング偏差演算部114は、さらに、A端側の電気量検出装置30Aによる電気量のサンプルタイミングとB端側の30Bによる電気量のサンプルタイミングとのタイミング偏差ΔSdを計算する。ここで、A端において保護制御装置60Aが電気量検出装置30Aから電気量の検出値を受信する時刻をdaとする。B端において保護制御装置60Bが電気量検出装置30Bから対応する電気量の検出値を受信する時刻をdbとする。この場合、タイミング偏差ΔSdは、A端側の受信時刻daとB端側の受信時刻dbとの時間差にほぼ等しい。タイミング偏差ΔSdの計算では、上記の時間差MSdおよびSSdならびにタイミング偏差Δtが用いられる。さらに、この計算では、電気量検出装置30が電気量をサンプリングしてから保護制御装置60がA/D変換された電流検出データを受信するまでの時間が、A端側とB端側とでほぼ等しいと仮定している。具体的なタイミング偏差ΔSdの計算方法については、図5~図9を参照して後述する。
B端側のタイミング偏差演算部114も同様に、上記のタイミング偏差ΔSdを計算する。ここで、A端側の電気量検出装置30Aによる電気量のサンプルタイミングが、B端側の電気量検出装置30Bによる電気量のサンプルタイミングよりも遅れている場合に、タイミング偏差ΔSdを正とする。したがって、A端側の受信時刻daがB端側の対応する受信時刻dbよりも遅い場合には、通常、タイミング偏差ΔSdは正である。逆に、A端側の電気量検出装置30Aによる電気量のサンプルタイミングが、B端側の電気量検出装置30Bによる電気量のサンプルタイミングよりも進んでいる場合に、タイミング偏差ΔSdを負とする。したがって、A端側の受信時刻daがB端側の対応する受信時刻dbよりも早い場合には、通常、タイミング偏差ΔSdは負である。
なお、本開示において一例として、タイミング偏差Δtを第1のタイミング偏差と称し、タイミング偏差ΔSdを第2のタイミング偏差と称する場合がある。
A端側の送信タイミング制御部115は、データ受信部112による送信データの送信タイミングを、上記の時間差TMに基づいて計算する。送信タイミング制御部115は、時間差TMが、0より大きい下限値以上であり、かつ送信データの送信周期より小さい上限値以下となるように、送信タイミングを制御する。これによって、送信周期ごとに、時間差TMおよび時間差TSを確実に検出できるようにする。仮に、A端側での送信データの送信時刻とB端側からの送信データの受信時刻とがほぼ同じになったとすると、ある送信周期において、B端からの送信データが受信できない場合があり得るからである。送信タイミング制御部115の具体的な構成例については、図4を参照して後述する。なお、送信タイミング制御部115は、A端側の保護制御装置60AおよびB端側の保護制御装置60Bのうちのいずれか一方に設けられていれば十分である。
データ格納部111は、自端側の電気量検出装置30から受信した電流検出データと、データ受信部112を介して受信した他端側の電流検出データまたは補間電流データとを格納する。
補間演算部116は、算出されたタイミング偏差ΔSdに基づいて電流検出データを補間することにより、同時刻におけるA端側およびB端側の電流検出データを決定する。この場合、A端側のサンプルタイミングに合わせてB端側の検出データを補間してもよいし、B端側のサンプルタイミングに合わせてA端側の検出データを補間してもよい。
実施の形態1では、A端側の補間演算部116は、B端側における電気量のサンプルタイミングに合わせて、A端側の電気量検出装置30Aから受信した電流検出データを補間する。補間後の電流検出データ(本開示において、「補間電流データ118」と称する)は、データ格納部111に格納される。具体的な補間演算の方法は、図5~図9を参照して後述する。
リレー演算部117は、データ格納部111に格納されている自端側と他端側の電流検出データおよび補間電流データとに基づいて、保護リレー演算を実行する。具体的に、実施の形態1の場合には、A端側およびB端側の各々のリレー演算部117は、A端側の補間電流データとB端側の電流検出データとに基づいて、電流差分リレー方式に基づく演算を実行する。
[送信タイミング制御部の具体的構成例]
図4は、図3の送信タイミング制御部の具体的構成例を示すブロック図である。
図4(A)を参照して、送信タイミング制御部115は、一例として分周回路120と分周比制御部121とを含む。
分周回路120は、クロック回路CLK2からのタイミング信号TMS2に基づいて、データ送信部113が送信データを送信する基準となるトリガ信号119を出力する。トリガ信号119の周波数は、たとえば、電力系統の定格周波数の12倍(すなわち、電気角で30°周期に対応する)である。
分周比制御部121は、タイミング偏差演算部114による時間差TMの計算結果に基づいて、分周回路120の分周比を制御する。たとえば、分周比制御部121は、時間差TMが下限値未満のときにトリガ信号119の周波数を増加させ、時間差TMが上限値を超えるときにトリガ信号119の周波数を低下させる。これにより、送信タイミング制御部115は、時間差TMが定められた下限値以上かつ上限値以下の範囲に収まるように、データ送信部113による送信タイミングを制御できる。
図4(B)を参照して、送信タイミング制御部115は、他の一例として分周回路120と位相選択回路122とを含む。
分周回路120は、クロック回路CLK2からのタイミング信号TMS2に基づいて、互いに位相の異なる多数の信号を出力する。各信号の周波数は、たとえば、電力系統の定格周波数の12倍(すなわち、電気角で30°周期に対応する)である。
位相選択回路122は、分周回路120から出力された多数の信号のうち、トリガ信号119として使用する信号を選択する。ここで、位相選択回路122は、タイミング偏差演算部114による時間差TMの計算結果に基づいて、選択する信号を変更する。たとえば、時間差TMが下限値未満のときに位相がより早い信号を選択し、時間差TMが上限値を超えるときに位相がより遅い信号を選択する。これにより、送信タイミング制御部115は、時間差TMが定められた下限値以上かつ上限値以下の範囲に収まるように、データ送信部113による送信タイミングを制御できる。
[具体的なタイミング偏差および補間計算の方法]
以下、上記の時間差TM,TS,MSd,SSdおよびタイミング偏差Δt,ΔSdの計算方法について、図5~図9を参照して説明する。以下では、タイミング偏差Δtが正の場合および負の場合と、タイミング偏差ΔSdが正の場合および負の場合とに分けて説明する。
なお、上記の時間差TM,TS,MSd,SSdおよびタイミング偏差Δt,ΔSdは、送信周期ごとに計算されるので、送信周期に応じた番号が付される。たとえば、時間差TMは、送信周期ごとにTM1,TM2,…のように表され、より一般的にはTM_iのように表される。他の時間差およびタイミング偏差についても同様である。
また、以下の説明において、A端側からの送信データの送信時刻をta1,ta2,ta3,…のように表す。時刻ta1から時刻ta2の間にA端側の電気量検出装置30Aから保護制御装置60Aが受信した電流検出データの受信時刻を、da21,da22,da23,…のように表す。より一般的には、時刻ta_i-1から時刻ta_iの間でのA端における電流検出データの受信時刻を、da_i_1,da_i_2,…(da_i_pと総称する)と表す。
同様に、B端側からの送信データの送信時刻をtb1,tb2,tb3,…のように表す。時刻tb1から時刻tb2の間にB端側の電気量検出装置30Bから保護制御装置60Bが受信した電流検出データの受信時刻を、db21,db22,db23,…のように表す。より一般的には、時刻tb_i-1から時刻tb_iの間でのB端における電流検出データの受信時刻を、db_i_1,db_i_2,…(db_i_qと総称する)と表す。
(例1:Δt>0、ΔSd>0の場合)
図5は、タイミング偏差の計算を説明するための第1の例を示すタイミング図である。図5では、タイミング偏差Δtが正でありかつタイミング偏差ΔSdが正である場合が示されている。
図5~図9に共通して、一番上の行には、A端の電気量検出装置30Aにおいてサンプリングされた電流検出データを、保護制御装置60Aが受信するタイミングが示されている。図5~図8の場合には、保護制御装置60Aは、時刻da12,da21,da22,da31,…(da_i_pと総称する)において、電流検出データを電気量検出装置30Aから受信する。保護制御装置60Aが電流検出データを電気量検出装置30Aから受信する周期は、電気量検出装置30Aが電力系統の電流をサンプリングする周期にほぼ等しい。
図5~図9に共通して、上から第2番目の行には、A端側の補間電流データがB端側に送信されるタイミングが示されている。保護制御装置60Aは、時刻ta1,ta2,ta3,…(ta_iと総称する)の各々において、通信路20を介してA端側の補間電流データに基づく送信データをB端の保護制御装置60Bに送信する。図5~図8の場合には、データの送信周期Taは、電気量検出装置30Aにおけるサンプリング周期の2倍である。
図5~図9に共通して、上から第3番目の行には、B端側の電流検出データがA端側に送信されるタイミングが示されている。保護制御装置60Bは、時刻tb1,tb2,tb3,…(tb_iと総称する)の各々において、通信路20を介してB端側の電流検出データをA端の保護制御装置60Aに送信する。保護制御装置60Bによるデータの送信周期Tbは、保護制御装置60Aによるデータの送信周期Taにほぼ等しい。
図5~図9に共通して、一番下の行には、B端の電気量検出装置30Bにおいてサンプリングされた電流検出データを、保護制御装置60Bが受信するタイミングが示されている。図5~図8の場合には、保護制御装置60Bは、時刻db21,db22,db31,db32,…(db_i_qと総称する)の各々において、電流検出データを電気量検出装置30Bから受信する。保護制御装置60Bが電流検出データを電気量検出装置30Bから受信する周期は、電気量検出装置30Bが電力系統の電流をサンプリングする周期にほぼ等しい。また、図5~図8の場合には、電気量検出装置30Bによるサンプリング周期は、保護制御装置60Bによるデータ送信周期Tbの1/2である。
図5を参照して、時刻ta1においてA端の保護制御装置60Aから送信された補間電流データは、時刻rb1にB端の保護制御装置60Bによって受信される。時刻ta3においてA端の保護制御装置60Aから送信された補間電流データは、時刻rb3にB端の保護制御装置60Bによって受信される。補間電流データの伝送遅延時間をTdとする。
同様に、時刻tb2においてB端の保護制御装置60Bから送信された電流検出データは、時刻ra2にA端の保護制御装置60Aによって受信される。時刻tb4においてB端の保護制御装置60Bから送信された電流検出データは、時刻ra4にA端の保護制御装置60Aによって受信される。電流検出データの伝送遅延時間は、逆方向の伝送遅延時間Tdに等しい。
図5の例では、A端の保護制御装置60Aからのデータ送信タイミングと、B端の保護制御装置60Bからのデータ送信タイミングとのタイミング偏差Δt_iは、
Δt_i=ta_i-tb_i …(1)
で表される。上式(1)に示すように、タイミング偏差Δt_iは、A端側がB端側よりも遅れている場合に正となるように定義される。
A端側の保護制御装置60Aは、A端側の補間電流データを送信してからB端側の電流検出データを受信するまでの時間差TM_iを計測する。たとえば、送信時刻ta2と受信時刻ra2との時間差はTM2である。時間差TM_iは、
TM_i=Td-Δt_i …(2)
で表される。
B端側の保護制御装置60Bは、B端側の電流検出データを送信してからA端側の補間電流データを受信するまでの時間差TS_iを計測する。たとえば、送信時刻tb3と受信時刻rb3との時間差はTS3である。図5の例では、時間差TS_iは、
TS_i=Td+Δt_i …(3)
で表される。
上式(2)および(3)から、タイミング偏差Δtは、
Δt_i=(TS_i-TM_i)/2 …(4)
によって計算することができる。すなわち、タイミング偏差Δt_iは、B端側の時間差TS_iからA端側の時間差TM_iを減算することによって得られた差の1/2である。
A端側の保護制御装置60Aは、さらに、電気量検出装置30Aから電流検出データを受信してからB端側の保護制御装置60Bに補間電流データを送信するまでの時間差MSd_iを計測する。たとえば、受信時刻da2と送信時刻ta2との時間差はMSd2である。同様に、B端側の保護制御装置60Bは、さらに、電気量検出装置30Bから電流検出データを受信してからA端側の保護制御装置60Aに電流検出データを送信するまでの時間差SSd_iを計測する。たとえば、受信時刻db2と送信時刻tb2との時間差はSSd2である。
次に、サンプルタイミングのタイミング偏差ΔSd_iの計算方法について説明する。図5の例では、A端側とB端側とでのサンプルタイミングのタイミング偏差ΔSd_iは、
ΔSd_i=da_i_p-db_i_q …(5)
と表される。図5の場合、p=q=2である。上式(5)に示されるように、タイミング偏差ΔSd_iは、A端側がB端側よりも遅れている場合に正となるように定義される。
さらに、図5において、時刻db_i_qから時刻ta_iまでの時間間隔は、
ta_i-db_i_q=ΔSd_i+MSd_i=SSd_i+Δt_i …(6)
と表される。上式(6)を書き直すと、
ΔSd_i=Δt_i+SSd_i-MSd_i …(7)
が得られる。すなわち、サンプルタイミングのタイミング偏差ΔSd_iは、タイミング偏差Δt_iに時間差SSd_iを加算し、時間差MSd_iを減算することによって求めることができる。
上記のタイミング偏差ΔSd_iに基づいて、B端側のサンプルタイミングに同期するようにA端側の電流検出データを補間することができる。具体的には、B端側のサンプルタイミングにおける送電線のA端における電流値を、A端において検出された電流検出データの内挿によって求めることができる。
たとえば、図5の場合には、時刻db22におけるA端側の電流検出データを、時刻da21における電流検出値と時刻da22における電流検出値とを用いた直線近似によって求めることができる。具体的に、時刻da21におけるA端の電流検出値をIa(da21)とし、時刻da22におけるA端の電流検出値をIa(da22)とする。A端における電流検出データのサンプリング周期をTsとする。この場合、時刻db22におけるA端の電流値Ia(db22)は、
Ia(db22)
=[ΔSd2・Ia(da21)+(Ts-ΔSd2)・Ia(da22)]/Ts
…(8)
で与えられる。
(例2:Δt>0、ΔSd<0の場合)
図6は、タイミング偏差の計算を説明するための第2の例を示すタイミング図である。図6では、タイミング偏差Δt_iが正でありかつタイミング偏差ΔSd_iが負である場合が示されている。
図6に示す例においても、上式(1)~(4)はそのまま成立する。タイミング偏差ΔSd_iを表す式は、例1の場合の式(5)をそのまま用いることにすると、図6の場合にはタイミング偏差ΔSd_iは負となる。すなわち、上式(5)を変形して、
-ΔSd_i=db_i_q-da_i_p …(5A)
によって、タイミング偏差(-ΔSd_i)の絶対値を計算することができる。図6の場合、p=q=2である。
また、図6において、時刻db_i_qから時刻ta_iまでの時間間隔は、
ta_i-db_i_q=MSd_i-(-ΔSd_i)=SSd_i+Δt_i
…(9)
と表される。上式(9)を整理すると、例1の場合の式(7)と同一の式が得られる。ただし、本例の場合にはΔSd_i<0である。
上記のタイミング偏差(-ΔSd_i)に基づいて、B端側のサンプルタイミングに同期するようにA端側の電流検出データを補間することができる。たとえば、時刻db22におけるA端側の電流検出データを、時刻da22における電流検出値と時刻da31における電流検出値とを用いた直線近似によって求めることができる。具体的に、時刻da22におけるA端の電流検出値をIa(da22)とし、時刻da31におけるA端の電流検出値をIa(da31)とする。A端における電流検出データのサンプリング周期をTsとする。この場合、時刻db22におけるA端の電流値Ia(db22)は、
Ia(db22)
=[(Ts+ΔSd2)・Ia(da22)-ΔSd2・Ia(da31)]/Ts
…(10)
で与えられる。
(例3:Δt<0、ΔSd<0の場合)
図7は、タイミング偏差の計算を説明するための第3の例を示すタイミング図である。図7では、タイミング偏差Δt_iが負でありかつタイミング偏差ΔSd_iが負である場合が示されている。
図7に示す例においてタイミング偏差Δt_iを表す式として例の場合の式(1)をそのまま用いると、タイミング偏差Δt_iは負となる。すなわち、式(1)を変形して得られる、
-Δt_i=tb_i_q-ta_i …(1A)
によって、タイミング偏差(-Δt_i)の絶対値を計算することができる。図7の場合、q=2である。
A端側の保護制御装置60Aは、A端側の補間電流データを送信してからB端側の電流検出データを受信するまでの時間差TM_iを計測する。たとえば、送信時刻ta_iと受信時刻ra_iとの時間差はTM_iである。図7に示すように時間差TM_iは、
TM_i=Td+(-Δt_i)=Td-Δt_i …(11)
で表される。この式(11)は、例1における式(2)と同一である。
B端側の保護制御装置60Bは、B端側の電流検出データを送信してからA端側の補間電流データを受信するまでの時間差TSを計測する。たとえば、送信時刻tb3と受信時刻rb3との時間差はTSである。図7に示すように時間差TSは、
TS_i=Td-(-Δt_i)=Td+Δt_i …(12)
で表される。この式(12)は、例1における式(3)と同一である。
上式(11)および(12)から、タイミング偏差(-Δt_i)は、
-Δt_i=(TM_i-TS_i)/2 …(13A)
よって計算することができる。上式(13A)を書き直すと、
Δt_i=(TS_i-TM_i)/2 …(13B)
が得られる。この式(13B)は、例1における式(4)と同一である。
一方、タイミング偏差ΔSd_iを表す式として、例1における式(5)をそのまま用いることにすると、タイミング偏差ΔSd_iは負になる。この場合、例2における式(5A)を用いて、タイミング偏差(-ΔSd_i)の絶対値を計算することができる。
さらに、図7において、時刻db_i_qから時刻ta_iまでの時間間隔は、
ta_i-db_i_q=MSd_i-(-ΔSd_i)
=SSd_i-(-Δt_i) …(14)
と表される。上式(14)を整理すると、例1の場合の式(7)と同一の式が得られる。ただし、本例の場合にはΔSd_i<0である。
上記のタイミング偏差(-ΔSd_i)に基づいて、B端側のサンプルタイミングに同期するようにA端側の電流検出データを補間することができる。たとえば、時刻db22におけるA端側の電流検出データを、時刻da22における電流検出値と時刻da31における電流検出値とを用いた直線近似によって求めることができる。具体的には、例2における式(10)と同様であるので説明を繰り返さない。
(例4:Δt<0、ΔSd>0の場合)
図8は、タイミング偏差の計算を説明するための第4の例を示すタイミング図である。図8では、タイミング偏差Δt_iが負でありかつタイミング偏差ΔSd_iが正である場合が示されている。
図8に示す例においても、例3の場合の上式(1A)、(11)、(12)、(13A)、(13B)はそのまま成立する。また、タイミング偏差ΔSd_iを表す式として、例1の場合の式(5)をそのまま用いることができる。
また、図8において、時刻db_i_qから時刻ta_iまでの時間間隔は、
ta_i-db_i_q=MSd_i+ΔSd_i
=SSd_i-(-Δt_i) …(15)
と表される。上式(15)を整理すると、例1の場合の式(7)と同一の式が得られる。
上記のタイミング偏差ΔSdに基づいて、B端側のサンプルタイミングに同期するようにA端側の電流検出データを補間することができる。たとえば、時刻db22におけるA端側の電流検出データを、時刻da21における電流検出値と時刻da22における電流検出値とを用いた直線近似によって求めることができる。具体的には、例1における式(8)と同様であるので説明を繰り返さない。
(例5:第1の例の変形例)
図9は、タイミング偏差の計算を説明するための第5の例を示すタイミング図である。第5の例は、図5に示す第1の例の変形例である。
図9に示すように、本例の場合には、A端側におけるデータの送信周期Taは、電気量検出装置30Aにおけるサンプリング周期の4倍である。したがって、送信時刻ta_i-1と送信時刻ta_iとの間の4つの受信時刻da_i_1,da_i_2,da_i_3,da_i_4において、保護制御装置60Aは電気量検出装置30Aから電流検出データを受信する。また、時間差MSd_iは、受信時刻da_i_3と送信時刻ta_iとの時間差として定義される。この場合、タイミング偏差ΔSd_iは負の値になる。図9のその他の点は図5の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図9の場合には、上記のように、タイミング偏差Δt_iが正でありかつタイミング偏差ΔSd_iが負であるので、図6に示す第2の例とほぼ同様の結果となる。すなわち、タイミング偏差Δt_iは前述の式(4)で表される。また、タイミング偏差(-ΔSd_i)は、前述の式(5A)で定義される。ただし、p=3,q=2である。結果として、前述の式(7)と同一の式が得られる。
上記のタイミング偏差(-ΔSd_i)に基づいて、B端側のサンプルタイミングに同期するようにA端側の電流検出データを補間することができる。たとえば、時刻db22におけるA端側の電流検出データを、時刻da23における電流検出値と時刻da24における電流検出値とを用いた直線近似によって求めることができる。具体的に、時刻da23におけるA端の電流検出値をIa(da23)とし、時刻da24におけるA端の電流検出値をIa(da24)とする。A端における電流検出データのサンプリング周期をTsとする。この場合、時刻db22におけるA端の電流値Ia(db22)は、
Ia(db22)
=[(Ts+ΔSd2)・Ia(da23)-ΔSd2・Ia(da24)]/Ts
…(16)
で与えられる。
(例1~例5のまとめ:タイミング偏差の計算)
以上のとおり、本実施の形態では、A端側におけるタイミングがB端側におけるタイミングよりも遅れている場合と進んでいる場合とで、異なる符号を有するようにタイミング偏差Δt,ΔSdが定義される。
具体的に上記の例の場合、A端側の保護制御装置60Aにおける補間電流データの送信時刻がB端側の保護制御装置60Bにおける電流検出データの送信時刻よりも遅い場合に、タイミング偏差Δtの値を正とする。逆の場合に、タイミング偏差Δtの値を負とする。また、A端側の電気量検出装置30Aにおける電気量のサンプルタイミングがB端側の電気量検出装置30Bにおける電気量のサンプルタイミングよりも遅れている場合に、タイミング偏差ΔSdの値を正とする。逆の場合に、タイミング偏差ΔSdの値を負とする。
上記のようにタイミング偏差Δt,ΔSdを定義することによって、タイミング偏差ΔtおよびΔSdの各々を算出する式の形を同一にすることができる。具体的に、送信周期ごとのタイミング偏差Δt_iは、前述の式(4)によって求めることができる。送信周期ごとのタイミング偏差ΔSd_iは、前述の式(7)によって求めることができる。
[タイミング偏差ΔSdに基づく補間演算]
サンプルタイミングのタイミング偏差ΔSdを用いて、検出された時系列の電流検出データを補間することにより、A端側とB端側とで同時刻にサンプリングされた電流値を決定することができる。以下では、B端側のサンプルタイミングに合わせてA端側の電流検出データを補間する場合と、A端側のサンプルタイミングに合わせてB端側の電流検出データを補間する場合とについて説明する。いずれの場合も、タイミング偏差ΔSdの符号およびその大きさに応じて、補間に使用する電流値が異なる点に注意する必要がある。なお、前述の例1~例4では前者の場合について説明した。
以下の説明において、A端側の第k番目のサンプリング時刻da(k)とB端側の第k番目のサンプリング時刻db(k)とが対応しているとする。サンプリング時刻da(k)およびdb(k)は、仮にA端側とB端側とでサンプルタイミングが同期していれば同時刻である。また、A端側およびB端側の各々のサンプリング周期をTsとする。サンプリング周期Tsが短くなるほど、直線近似による補間値の精度は向上する。
(1.A端側の電流検出データを補間する場合)
まず、B端側のサンプルタイミングに合わせてA端側の電流検出データを補間する場合について説明する。Ts>ΔSd>0の場合、B端におけるサンプリング時刻db(k)は、A端におけるサンプリング時刻da(k-1)とサンプリング時刻da(k)との間にある。したがって、時刻db(k)におけるA端の電流値Ia[db(k)]は、時刻da(k-1)におけるA端の電流値Ia(k-1)と時刻da(k)におけるA端の電流値Ia(k)とを用いた補間演算により求められる。具体的にA端の電流値Ia[db(k)]は、
Ia[db(k)]
=[ΔSd・Ia(k-1)+(Ts-ΔSd)・Ia(k)]/Ts …(17)
で与えられる。
-Ts<ΔSd<0の場合、時刻db(k)は、時刻da(k)と時刻da(k+1)との間にある。したがって、時刻db(k)におけるA端の電流値Ia[db(k)は、時刻da(k)におけるA端の電流値Ia(k)と時刻da(k+1)におけるA端の電流値Ia(k+1)とを用いた補間演算により求められる。具体的にA端の電流値Ia[db(k)]は、
Ia[db(k)]
=[-ΔSd・Ia(k+1)+(Ts+ΔSd)・Ia(k)]/Ts …(18)
で与えられる。
(2.B端側の電流検出データを補間する場合)
次に、A端側のサンプルタイミングに合わせてB端側の電流検出データを補間する場合について説明する。まず、Ts>ΔSd>0の場合、時刻da(k)は、時刻db(k)と時刻db(k+1)との間にある。したがって、時刻da(k)のB端における電流値Ib[da(k)]は、時刻db(k)のB端における電流値Ib(k)と時刻db(k+1)のB端における電流値Ib(k+1)とを用いた補間により求められる。具体的にB端の電流値Ib[da(k)]は、
Ib[da(k)]
=[ΔSd・Ib(k+1)+(Ts-ΔSd)・Ib(k)]/Ts …(19)
で与えられる。
一方、-Ts<ΔSd<0の場合、時刻da(k)は、時刻db(k-1)と時刻db(k)との間にある。したがって、時刻da(k)のB端における電流値Ibは、時刻db(k-1)のB端における電流値Ib(k-1)と時刻db(k)のB端における電流値Ib(k)とを用いた補間により求められる。具体的にB端の電流値Ib[da(k)]は、
Ib[da(k)]
=[-ΔSd・Ib(k-1)+(Ts+ΔSd)・Ib(k)]/Ts …(20)
で与えられる。
[補間演算の実行タイミングと補間電流データの送信タイミング]
次に、上記の補間演算を実行するタイミングと、補間電流値を送信データとして相手端の保護制御装置60に送信するタイミングとについて説明する。
図10は、補間電流値の計算および送信のタイミングを説明するための図である。図10における電流検出データの受信タイミングおよび送信データの送信タイミングは、図5の場合と同じである。したがって、図10において図5と同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図10に示すように、受信タイミングdb12,db22,db32,…におけるB端の電流値Ibは、それぞれその直後の送信タイミングtb1,tb2,tb3,…においてA端側に送信される。一方、B端での電流検出データの受信タイミングdb12,db22,db32,…に対応するA端の電流値Iaは、補間演算によって決定される。
図5で説明したように、時刻db22におけるA端側の電流Ia(db22)を計算するためには、まず、タイミング偏差ΔSd2を決定する必要がある。タイミング偏差ΔSd2の計算にはB端側の時間差TS2,SSd2の情報が必要であり、これらの情報をA端側の保護制御装置60Aは受信時刻ra2において受け取る。A端側の保護制御装置60Aは、受信時刻ra2より後で送信時刻ta3よりも前に、電流Ia(db22)の補間演算を完了する。そして、保護制御装置60Aは、算出した補間電流値Ia(db22)を送信時刻ta3にB端側の保護制御装置60Bに送信する。
したがって、A端側の保護制御装置60Aは、B端側の電流検出データをB端側の保護制御装置60Bから受信してからおよそ1送信周期を経過した後に、保護区間の故障判定を行うことができる。一方、B端側の保護制御装置60Bは、さらに1送信周期が経過した後に受信したA端側の補間電流値を用いて保護区間の故障判定を行うことができる。
図11は、図10の補間電流値Ia(db32)の計算および送信タイミングを説明するための図である。図11では、A端の保護制御装置60Aにおける電流検出データが模式的に示されている。A端側の電気量検出装置30Aにおけるサンプリング周期をTsとする。
図11に示すように、A端における電流検出データの受信タイミングda32とB端における電流検出データの受信タイミングdb32との間のタイミング偏差は、ΔSd3と計算される。この場合、時刻db32におけるA端側の補間電流値Ia(db32)は、時刻da31における電流値Ia(da31)と時刻da32における電流値Ia(da入力変換器32)とを用いて、
Ia(db32)
=[ΔSd3・Ia(da31)+(Ts-ΔSd3)・Ia(da32)]/Ts
…(21)
で表される。
上式(21)の計算には、図5で説明したB端側の時間差TS3,SSd3の情報を受信した後になる。したがって、上式(21)に示す補間電流値Ia(db32)は、時刻ta4と時刻ta5との間の期間で計算される。そして、算出された補間電流値Ia(db32)は、時刻ta5にB端側に送信される。
[保護制御システムの動作のまとめ]
以下、図12および図13のフローチャートを用いて、これまで説明した保護制御システム200の動作を総括する。以下では、図3のブロック図も適宜参照する。
図12は、図3の送信タイミング制御部の動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、データ送信部113から送信データを送信するタイミングの制御は、A端側の保護制御装置60Aにおいて実行される。
時刻ta_iおいて、保護制御装置60Aのデータ送信部113は、通信路20を介して送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する(ステップS110)。時刻ra_iにおいて、保護制御装置60Aのデータ受信部112は、B端側からの送信データを、通信路20を介して受信する(ステップS120)。
ステップS130において、保護制御装置60Aのタイミング偏差演算部114は、送信時刻ta_iと受信時刻ra_iとの時間差TM_iを、
TM_i=ra_i-ta_i …(22)
に従って計算する。
次のステップS140において、タイミング偏差演算部114は、時間差TM_iを予め定められた下限値と比較する。タイミング偏差演算部114は、時間差TM_iが下限値よりも小さい場合には(ステップS140でYES)には、ステップS150に処理を進める。ステップS150において、送信タイミング制御部115は、送信データの送信タイミングを早めるようにデータ送信部113を制御する。たとえば、図4(A)および図4(B)を参照して説明した手段が用いられる。
タイミング偏差演算部114は、時間差TM_iが下限値以上の場合には(ステップS140でNO)、ステップS160において時間差TM_iを予め定められた上限値と比較する。タイミング偏差演算部114は、時間差TM_iが上限値を超えている場合(ステップS160でYES)には、ステップS170に処理を進める。ステップS170において、送信タイミング制御部115は、送信データの送信タイミングを遅らせるようにデータ送信部113を制御する。たとえば、図4(A)および図4(B)を参照して説明した手段が用いられる。
なお、タイミング偏差演算部114は、時間差TM_iが下限値以上かつ上限値以下の場合には(ステップS140,S160のいずれもNO)、送信データの送信タイミングを変更しない。
以上で、送信時刻ta_iから始まる送信周期における処理が完了する。次に、保護制御装置60Aは、送信時刻ta_i+1から始まる次の送信周期における処理を開始する。具体的には、時刻ta_i+1おいて、保護制御装置60Aのデータ送信部113は、通信路20を介して送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する(ステップS180)。時刻ra_iにおいて、保護制御装置60Aのデータ受信部112は、B端側からの送信データを、通信路20を介して受信する(ステップS190)。その後、タイミング偏差演算部114および送信タイミング制御部115は、上記と同様の処理を行う。
図13は、実施の形態1の保護制御システムの動作を示すフローチャートである。図13のフローチャートは、図5および図10で説明したΔt>0かつTs>ΔSd>0の場合における保護制御装置60A,60Bの動作を示すものである。以下、図3および図13を主として参照してこれまでの説明を総括する。
図13のステップS210において、図3のA端側の保護制御装置60Aは、電気量検出装置30A(すなわち、MU)から時刻da_i_pに電流検出データを受信する。同様に、ステップS310において、B端側の保護制御装置60Bは、電気量検出装置30B(すなわち、MU)から時刻db_i_qに電流検出データを受信する。
次のステップS220において、A端側の保護制御装置60Aは、時刻ta_iに送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する。この場合の送信データは、時刻da_i-2_pに受信した電流検出値Iaを用いて計算された補間電流値Ia(db_i-2_q)を含む。さらに、送信データは、1送信周期前に計算された時間差TM_i-1,MSd_i-1を含む。
一方、ステップS320において、B端側の保護制御装置60Bは、時刻tb_iに送信データをA端側の保護制御装置60Aに送信する。この場合の送信データは、ステップS310において受信したB端側の電流値Ib(db_i_q)を含む。さらに、送信データは、1送信周期前に計算された時間差TS_i-1,SSd_i-1を含む。
その次のステップS230において、A端側の保護制御装置60Aは、保護制御装置60Bから送信されたデータを時刻ra_iに受信する。同様に、ステップS330において、B端側の保護制御装置60Bは、保護制御装置60Aから送信されたデータを時刻rb_iに受信する。B端側の保護制御装置60Bは、受信したA端側の補間電流値Ia(db_i-2_q)と対応するB端側の電流検出値Ia(db_i-2_q)とを用いて、電流差動リレー方式によるリレー演算を実行する。
その次のステップS240において、A端側の保護制御装置60Aは、電流検出データの受信時刻ta_i_p、送信データの送信時刻ta_i、およびB端側からのデータ受信時刻ra_iに基づいて、時間差TM_i,MSd_iを計算する。
さらに、A端側の保護制御装置60Aは、ステップS230で受信したB端側の時間差TS_i-1,SSd_i-1と、計算済みのA端側の時間差TM_i-1,MSd_i-1とに基づいて、タイミング偏差Δt_i-1,ΔSd_i-1を計算する。保護制御装置60Aは、タイミング偏差ΔSd_i-1を用いて、B端側のサンプルタイミングdb_i-1_qに対応するA端電流値Ia(db_i-1_q)を計算する。保護制御装置60Aのリレー演算部117は、算出したA端電流値Ia(db_i-1_q)と、B端側から既に受信済みのB端電流値Ib(db_i-1_q)とを用いてリレー演算を実行する。
一方、ステップS340において、B端側の保護制御装置60Bは、電流検出データの受信時刻tb_i_q、送信データの送信時刻tb_i、およびB端側からのデータ受信時刻rb_iに基づいて、時間差TS_i,SSd_iを計算する。B端側の保護制御装置60Bは補間演算を行わない。
以下、次の送信周期において、上記のステップS210~S240およびステップS310~S340と同様のステップが繰り返される。すわなち、ステップS250~S280は、S210~S240においてパラメータiをi+1に置き換えたものと同じである。ステップS350~S380は、S310~S340においてパラメータiをi+1に置き換えたものと同じである。具体的に説明すると以下のとおりである。
ステップS250において、A端側の保護制御装置60Aは、電気量検出装置30A(すなわち、MU)から時刻da_i+1_pに電流検出データを受信する。同様に、ステップS350において、B端側の保護制御装置60Bは、電気量検出装置30B(すなわち、MU)から時刻db_i+1_qに電流検出データを受信する。
次のステップS260において、A端側の保護制御装置60Aは、時刻ta_i+1に送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する。この場合の送信データは、ステップS240で計算された補間電流値Ia(db_i-1_q)および時間差TM_i,MSd_iを含む。
一方、ステップS360において、B端側の保護制御装置60Bは、時刻tb_i+1に送信データをA端側の保護制御装置60Aに送信する。この場合の送信データは、ステップS350において受信したB端側の電流値Ib(db_i+1_q)を含む。さらに、送信データは、ステップS340において計算された時間差TS_i,SSd_iを含む。
その次のステップS270において、A端側の保護制御装置60Aは、保護制御装置60Bから送信されたデータを時刻ra_i+1に受信する。同様に、ステップS370において、B端側の保護制御装置60Bは、保護制御装置60Aから送信されたデータを時刻rb_i+1に受信する。B端側の保護制御装置60Bは、受信したA端側の補間電流値Ia(db_i-1_q)と対応するB端側の電流検出値Ia(db_i-1_q)とを用いて、電流差動リレー方式によるリレー演算を実行する。
その次のステップS280において、A端側の保護制御装置60Aは、電流検出データの受信時刻ta_i+1_p、送信データの送信時刻ta_i+1、およびB端側からのデータ受信時刻ra_i+1に基づいて、時間差TM_i+1,MSd_i+1を計算する。
さらに、A端側の保護制御装置60Aは、ステップS230で受信したB端側の時間差TS_i,SSd_iと、計算済みのA端側の時間差TM_i,MSd_iとに基づいて、タイミング偏差Δt_i,ΔSd_iを計算する。保護制御装置60Aは、タイミング偏差ΔSd_iを用いて、B端側のサンプルタイミングdb_i_qに対応するA端電流値Ia(db_i_q)を計算する。保護制御装置60Aのリレー演算部117は、算出したA端電流値Ia(db_i_q)と、B端側から既に受信済みのB端電流値Ib(db_i_q)とを用いてリレー演算を実行する。
一方、ステップS380において、B端側の保護制御装置60Bは、電流検出データの受信時刻tb_i+1_q、送信データの送信時刻tb_i+1、およびB端側からのデータ受信時刻rb_i+1に基づいて、時間差TS_i+1,SSd_i+1を計算する。B端側の保護制御装置60Bは補間演算を行わない。以下、その次の送信周期における処理手順が同様に実行される。
[実施の形態1の効果]
以上のとおり、実施の形態1の保護制御システム200によれば、送電線21の保護区間を電流差動リレー方式で保護する際に、保護区間の各端子でのサンプルタイミングの同期を必要としない。また、保護区間の各端子における保護制御装置の同期も必要しない。この結果、保護区間の端子ごとに共通化された電気量検出装置を設けることができるので、保護制御システム200のシステム構成を簡単化することができる。
[変形例]
タイミング偏差ΔSdの計算では、電気量検出装置30が電気量をサンプリングしてから保護制御装置60がA/D変換された電流検出データを受信するまでの時間が、A端側とB端側とでほぼ等しいと仮定している。A端側とB端側での上記の時間の差が、電流差動リレー方式の保護演算の精度に影響を及ぼす場合には、前述の式(7)におけるタイミング偏差ΔSdの計算式は次のように変更される。
具体的に、A端側の電気量検出装置30Aが電流値をサンプリングしてから、A/D変換された当該電流値をA端側の保護制御装置60Aが受信するまでの遅延時間をTRaとする。同様に、B端側の電気量検出装置30Bが電流値をサンプリングしてから、A/D変換された当該電流値をB端側の保護制御装置60Bが受信するまでの遅延時間をTRbとする。この場合の式(7)に示すタイミング偏差ΔSdの計算式は、
ΔSd_i=Δt_i+SSd_i-MSd_i+TRb-TRa …(23)
のように変更される。
実施の形態2.
実施の形態1の保護制御システム200は、A端側およびB端側の保護制御装置60のうちの一方が、自端で検出された電流検出データの補間演算を行い、補間後の電流検出データを他端の保護制御装置60に送信するように構成されていた。実施の形態2の保護制御システム200は、いずれの端子の保護制御装置60も自端で検出された電流検出データを相手端に送信するように構成される。この場合、各保護制御装置60において一方端の電流検出データに対して補間演算を実行する。上記のように変形しても実施の形態1の場合と同様の効果を奏する。以下、図面を参照して説明する。
図14は、実施の形態2の保護制御システムの動作を示すフローチャートである。図14のフローチャートは図13のフローチャートに対応するものである。図13の場合と同様に、図5および図10で説明したΔt>0かつTs>ΔSd>0の場合における保護制御装置60A,60Bの動作を示すものである。図14のフローチャートの各ステップにおいて図13のフローチャートに対応するステップには同一の参照符号をしている。
図14のステップS210およびステップS310は、図13の場合と同様である。次のステップS220Cにおいて、A端側の保護制御装置60Aは、時刻ta_iに送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する。この場合の送信データは、補間電流値ではなく、ステップS210で受信したA端側の電流検出値Ia(da_i_p)を含む。この点で図14のステップS220Cは、図13のステップS220と異なる。さらに、送信データは、1送信周期前に計算された時間差TM_i-1,MSd_i-1を含む。
一方、ステップS320において、B端側の保護制御装置60Bは、時刻tb_iに送信データをA端側の保護制御装置60Aに送信する。この場合の送信データは、図13の場合と同様に、ステップS310において受信したB端側の電流値Ib(db_i_q)を含む。さらに、送信データは、1送信周期前に計算された時間差TS_i-1,SSd_i-1を含む。
その次のステップS230において、A端側の保護制御装置60Aは、保護制御装置60Bから送信されたデータを時刻ra_iに受信する。同様に、ステップS330において、B端側の保護制御装置60Bは、保護制御装置60Aから送信されたデータを時刻rb_iに受信する。
その次のステップS240において、A端側の保護制御装置60Aは、電流検出データの受信時刻ta_i_p、送信データの送信時刻ta_i、およびB端側からのデータ受信時刻ra_iに基づいて、時間差TM_i,MSd_iを計算する。
さらに、A端側の保護制御装置60Aは、ステップS230で受信したB端側の時間差TS_i-1,SSd_i-1と、計算済みのA端側の時間差TM_i-1,MSd_i-1とに基づいて、タイミング偏差Δt_i-1,ΔSd_i-1を計算する。保護制御装置60Aは、タイミング偏差ΔSd_i-1を用いて、B端側のサンプルタイミングdb_i-1_qに対応するA端電流値Ia(db_i-1_q)を計算する。保護制御装置60Aのリレー演算部117は、算出したA端電流値Ia(db_i-1_q)と、B端側から既に受信済みのB端電流値Ib(db_i-1_q)とを用いてリレー演算を実行する。
一方、ステップS340Cにおいて、B端側の保護制御装置60Bは、電流検出データの受信時刻tb_i_q、送信データの送信時刻tb_i、およびB端側からのデータ受信時刻rb_iに基づいて、時間差TS_i,SSd_iを計算する。
さらに、B端側の保護制御装置60Bは、ステップS330で受信したA端側の時間差TM_i-1,MSd_i-1と、計算済みのB端側の時間差TS_i-1,SSd_i-1とに基づいて、タイミング偏差Δt_i-1,ΔSd_i-1を計算する。保護制御装置60Bは、タイミング偏差ΔSd_i-1を用いて、A端側のサンプルタイミングda_i-1_pに対応するB端電流値Ib(da_i-1_p)を計算する。保護制御装置60Bのリレー演算部117は、算出したB端電流値Ib(da_i-1_p)と、A端側から既に受信済みのA端電流値Ia(da_i-1_p)とを用いてリレー演算を実行する。
次のステップS250およびS350は、図13の場合と同様である。次のステップS260Cにおいて、A端側の保護制御装置60Aは、時刻ta_i+1に送信データをB端側の保護制御装置60Bに送信する。この場合の送信データは、ステップS250で受信したA端側の電流検出値Ia(da_i+1_p)を含む。さらに、送信データは、ステップS240で計算された時間差TM_i,MSd_iを含む。
一方、ステップS360において、B端側の保護制御装置60Bは、時刻tb_i+1に送信データをA端側の保護制御装置60Aに送信する。この場合の送信データは、ステップS350において受信したB端側の電流値Ib(db_i+1_q)を含む。さらに、送信データは、ステップS340において計算された時間差TS_i,SSd_iを含む。
その次のステップS270において、A端側の保護制御装置60Aは、保護制御装置60Bから送信されたデータを時刻ra_i+1に受信する。同様に、ステップS370において、B端側の保護制御装置60Bは、保護制御装置60Aから送信されたデータを時刻rb_i+1に受信する。
その次のステップS280において、A端側の保護制御装置60Aは、電流検出データの受信時刻ta_i+1_p、送信データの送信時刻ta_i+1、およびB端側からのデータ受信時刻ra_i+1に基づいて、時間差TM_i+1,MSd_i+1を計算する。
さらに、A端側の保護制御装置60Aは、ステップS270で受信したB端側の時間差TS_i,SSd_iと、計算済みのA端側の時間差TM_i,MSd_iとに基づいて、タイミング偏差Δt_i,ΔSd_iを計算する。保護制御装置60Aは、タイミング偏差ΔSd_iを用いて、B端側のサンプルタイミングdb_i_qに対応するA端電流値Ia(db_i_q)を計算する。保護制御装置60Aのリレー演算部117は、算出したA端電流値Ia(db_i_q)と、ステップS230においてB端側から受信したB端電流値Ib(db_i_q)とを用いてリレー演算を実行する。
一方、ステップS380Cにおいて、B端側の保護制御装置60Bは、電流検出データの受信時刻tb_i+1_q、送信データの送信時刻tb_i+1、およびB端側からのデータ受信時刻rb_i+1に基づいて、時間差TS_i+1,SSd_i+1を計算する。
さらに、B端側の保護制御装置60Bは、ステップS330で受信したA端側の時間差TM_i,MSd_iと、計算済みのB端側の時間差TS_i,SSd_iとに基づいて、タイミング偏差Δt_i,ΔSd_iを計算する。保護制御装置60Bは、タイミング偏差ΔSd_iを用いて、A端側のサンプルタイミングda_i_pに対応するB端電流値Ib(da_i_p)を計算する。保護制御装置60Bのリレー演算部117は、算出したB端電流値Ib(da_i_p)と、ステップS330においてA端側から受信したA端電流値Ia(da_i_p)とを用いてリレー演算を実行する。以下、その次の送信周期における処理が同様の手順で実行される。
実施の形態3.
実施の形態3では、保護すべき送電線が多端子の場合について説明する。実施の形態1,2の保護制御システムは、送電線が多端子の場合にも適用でき、同様の効果を奏する。以下では、3端子の場合について説明するが、4端子以上の送電線の場合も同様である。
図15は、保護区間が3端子の場合の保護制御システムの動作を説明するための図である。図15(A)は、電力系統の概略的な構成を示す。
図15(A)を参照して、A端変電所100A、B端変電所100B、およびC端変電所100Cは、送電線21(21A,21B,21C)の各端子に設けられる。A端変電所100Aは、電気量検出装置30Aおよび保護制御装置60Aを含む。B端変電所100Bは、電気量検出装置30Bおよび保護制御装置60Bを含む。変電所C端変電所100Cは、電気量検出装置30Cおよび保護制御装置60Cを含む。
A端の電気量検出装置30Aは、送電線21のA端における電流値を定められたサンプリング周期で検出し、検出したA端電流値をA端の保護制御装置60Aに送信する。B端の電気量検出装置30Bは、送電線21のB端における電流値を定められたサンプリング周期で検出し、検出したB端電流値をB端の保護制御装置60Bに送信する。C端の電気量検出装置30Cは、送電線21のC端における電流値を定められたサンプリング周期で検出し、検出したC端電流値をC端の保護制御装置60Cに送信する。
A端の保護制御装置60AとB端の保護制御装置60Bとは、通信路20ABを介して相互に接続され、通信路20ABを介して電流検出データなどのやり取りを行う。B端の保護制御装置60BとC端の保護制御装置60Cとは、通信路20BCを介して相互に接続され、通信路20BCを介して電流検出データなどのやり取りを行う。C端の保護制御装置60CとA端の保護制御装置60Aとは、通信路20CAを介して相互に接続され、通信路20CAを介して電流検出データなどのやり取りを行う。
上記の構成の保護制御システムにおいて、各保護制御装置60は、実施の形態1,2で説明したのと同様に動作する。これにより、保護制御装置60A,60Bは、A端での電流検出データの受信タイミングdaとB端での電流検出データの受信タイミングdbとのタイミング偏差ΔSd_abを検知する。保護制御装置60B,60Cは、B端での電流検出データの受信タイミングdbとC端での電流検出データの受信タイミングdcとのタイミング偏差ΔSd_bcを検知する。保護制御装置60C,60Aは、C端での電流検出データの受信タイミングdcとA端での電流検出データの受信タイミングdaとのタイミング偏差ΔSd_caを検知する。
図15(B)は、各保護制御装置60で検出されるタイミング偏差ΔSd_ab,ΔSd_bc,ΔSd_caの関係を示すタイミング図である。たとえば、電流検出データの受信タイミングが最も早い(したがって、サンプルタイミングがもっも早い)A端での受信タイミングを基準にして、時刻daに対応するB端電流値およびC電流値を補間によって求めることができる。これによって、実施の形態1,2の場合と同様に、電流差動リレー方式による送電線21の保護が可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
20 通信路、21 送電線、25 基準信号生成装置、26 電圧変成器、27 電流変成器、30 電気量検出装置、60,80 保護制御装置、100A,100B 変電所、110 データ受信部、111 データ格納部、114 タイミング偏差演算部、116 補間演算部、117 リレー演算部、TMS2 タイミング信号、200 保護制御システム、CLK1~CLK6 クロック回路、MSd,SSd,TM,TS 時間差、Ref1,Ref2 基準信号、T データ送信周期、Td 伝送遅延時間、Ts サンプリング周期、Δt タイミング偏差、ΔSd タイミング偏差。

Claims (6)

  1. 送電線の保護区間を保護する保護制御システムであって、
    前記保護区間の第1端に設けられ、第1のサンプリング周期で前記送電線の電流をサンプリングすることにより、第1の電流検出データを生成する第1の電気量検出装置と、
    前記第1端に設けられ、前記第1の電流検出データに基づく第1の送信データを、第1の送信周期で通信路に出力する第1の保護制御装置と、
    前記保護区間の第2端に設けられ、第2のサンプリング周期で前記送電線の電流をサンプリングすることにより、第2の電流検出データを生成する第2の電気量検出装置と、
    前記第2端に設けられ、前記通信路を介して前記第1の保護制御装置と接続され、前記第2の電流検出データに基づく第2の送信データを第2の送信周期で前記通信路に出力する第2の保護制御装置とを備え、
    前記第1のサンプリング周期、前記第1の送信周期、前記第2のサンプリング周期、および前記第2の送信周期は、互いに非同期であり、
    前記第1の保護制御装置は、前記第1の送信周期ごとに、前記第1の電流検出データを前記第1の電気量検出装置から受信してから前記第1の送信データを送信するまでの第1の時間差と、前記第1の送信データを送信してから前記第2の送信データを受信するまでの第2の時間差とを計測し、
    前記第2の保護制御装置は、前記第2の送信周期ごとに、前記第2の電流検出データを前記第2の電気量検出装置から受信してから前記第2の電流検出データを送信するまでの第3の時間差と、前記第2の送信データを送信してからの前記第1の送信データを受信するまでの第4の時間差とを計測し、
    前記第1の保護制御装置と前記第2の保護制御装置との少なくとも一方は、前記第1の時間差、前記第2の時間差、前記第3の時間差、および前記第4の時間差に基づいて、自端側の電流検出データを補間し、補間後の電流検出データと相手端の電流検出データとの比較に基づいて、前記保護区間で故障が生じているか否かを判定する、保護制御システム。
  2. 前記第1の保護制御装置は、0より大きい下限値と前記第1の送信周期より小さい上限値との間に前記第2の時間差が入るように、前記第1の送信データを送信するタイミングを制御する、請求項1に記載の保護制御システム。
  3. 前記第1の保護制御装置と前記第2の保護制御装置との少なくとも一方は、
    前記第2の時間差と前記第4の時間差とに基づいて、前記第1の送信データの送信タイミングと前記第2の送信データの送信タイミングとの時間差である第1のタイミング偏差を計算し、
    前記第1の時間差と前記第3の時間差と前記第1のタイミング偏差に基づいて、前記第1の電流検出データのサンプルタイミングと前記第2の電流検出データのサンプルタイミングとの時間差である第2のタイミング偏差を計算し、
    前記第2のタイミング偏差に基づいて、前記自端側の電流検出データを補間するように構成される、請求項1または2に記載の保護制御システム。
  4. 前記第1のタイミング偏差は、前記第2の時間差と前記第4の時間差との差分を2で除算することにより求められる、請求項3に記載の保護制御システム。
  5. 前記第2のタイミング偏差は、前記第1の時間差と前記第3の時間差との差分に前記第1のタイミング偏差を加算した値に基づいて求められる、請求項4に記載の保護制御システム。
  6. 前記第1端に設けられ、前記第1の電気量検出装置によって検出された前記電流検出データに基づいて、前記第1の保護制御装置で用いられる方式とは異なる方式でリレー演算を行う第3の保護制御装置と、
    前記第2端に設けられ、前記第2の電気量検出装置によって検出され前記電流検出データに基づいて、前記第2の保護制御装置で用いられる方式とは異なる方式でリレー演算を行う第4の保護制御装置とをさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の保護制御システム。
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