JP7178851B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両に適用される車体前部構造に関する。
従来、自動車等の車両が障害物に対して部分的に衝突するオフセット衝突に対する安全性の向上が図られており、近年では、オフセット衝突のうち、車両の車幅方向外側端部に障害物が衝突する、所謂スモールオーバーラップ衝突に対する安全性の向上が求められている。
スモールオーバーラップ衝突を考慮した車体構造として、例えば、特許文献1には、衝突時に生じる変形を抑制可能な車体フロア構造が記載されている。この車体フロア構造は、車体の車幅方向両側で車体前後方向に延びる一対のサイドシルと、車幅方向中央部で車体前後方向に延びるトンネルフレームと、一対のサイドシルとトンネルフレームとを繋ぐ一対のフロアパネルとを有するフロア本体を備えるとともに、フロア本体を補強する補強部材を備えている。補強部材はパネル状を成し、トンネルフレームと一対のサイドシルとの間にそれぞれ配設されて、フロアパネルとともに二重床構造を構成している。
このような車体フロア構造では、スモールオーバーラップ衝突によって、サイドシルが受けた衝突荷重を補強部材によってトンネルフレームに伝達することができるとともに、補強部材によって衝突荷重に対する抗力を発生させ、サイドシルのキャビン(車室)側への傾倒を抑制し、キャビンを保護することができる。
特開2014-004850号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車体構造では、補強部材を配設するためにキャビンを構成するフロア部材の形状変更が必要となったり、車体後部構造にも影響が発生したりするという問題があるとともに、二重床構造により車体重量が大幅に増加するという問題があった。
このような事態を回避して、スモールオーバーラップ衝突時に衝突エネルギーを効率的に吸収するためには、サイドシルとフロア部材との強度バランスを考慮して、サイドシルを効率的に潰すことが必要となる。
一方、車両旋回時には、操安性能を高めるために、前輪に発生させた横力を車体に効率的に伝達させる必要があり、そのためにはサイドシルの変形を抑制する必要がある。
このように、スモールオーバーラップ衝突に対する安全性と、車両旋回時の操安性とは背反する関係にあり、これらを両立可能な車体構造が求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、スモールオーバーラップ衝突に対する安全性を向上し、操安性を確保できる車体前部構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フロアパネルの下部の車幅方向両側に位置して車体前後方向へ延びるとともに、前端が前輪と対向する一対のサイドシルと、該サイドシルよりも車幅方向内側で車体前後方向に延びる一対のサイドフレームと、を備えた車体前部構造において、前端部が前記サイドフレームに結合され、該前端部よりも車体後方側に位置する後端部が前記サイドシルに結合された略直線状に延びる第1の補強部材と、前端部が前記第1の補強部材の前端部に結合され、後端部が前記第1の補強部材の後端部よりも車体後方側で前記サイドシルに結合された略直線状に延びる第2の補強部材と、を備え、前記第1の補強部材は、平面視で、前記第1の補強部材の延在方向と直交する直線の車体前後方向に対する傾斜角が、前記前輪の車体前後方向に対する旋回角であって、スモールオーバーラップ衝突時に前記前輪が旋回する予め設定された最大旋回角よりも大きくなるように配置されることを特徴とする。
この構成によれば、第1の補強部材の延在方向と直交する直線の傾斜角が、スモールオーバーラップ衝突時に前輪が旋回する予め設定された最大旋回角よりも大きくなるように配置することで、スモールオーバーラップ衝突の際に、前輪からサイドシルに伝達された衝突荷重によって第1の補強部材に確実に圧縮力を作用させることができるとともに、第2の補強部材に引張力を作用させることができる。これにより、第1の補強部材及び第2の補強部材に結合されたサイドフレームに横方向の力(すなわち、サイドフレームを車幅方向へ押す力。以下、「横力」と称する。)を発生させることができ、この横力によってサイドフレームは車幅方向内側へ押され、これにより、キャビンを横方向にいなして、スモールオーバーラップ衝突から乗員を保護することができる。
また、車両旋回時には、第1の補強部材及び第2の補強部材がサイドシルの変形を抑制する補強部材として機能することにより、車両の操安性を確保することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車体前部構造において、前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材は、前記サイドシルの下面及び前記サイドフレームの下面にそれぞれ結合されることを特徴とする。
この構成によれば、第1の補強部材及び第2の補強部材の取付けが容易であり、フロアパネル等の変形を必要としないので、補強部材の取付けに伴う車体の重量増加を抑えることができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車体前部構造において、略直線状に延びる第3の補強部材を備え、該第3の補強部材は、後端部が前記第2の補強部材の前端部に結合され、該後端部よりも車体前方側かつ車幅方向内側に位置する前端部が、前記一対のサイドフレームの間に延びるクロスメンバ及び/又は車体に対してパワーユニットを保持するマウント部材に結合されることを特徴とする。
この構成によれば、第3の補強部材により衝突荷重をクロスメンバやパワーユニットに伝達させて、キャビンをより効果的に横方向へいなすことができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車体前部構造において、一端部が前記第3の補強部材の前端部に結合され、該一端部から車幅方向外側に延び、他端部が前記クロスメンバ及び/又は前記マウント部材に結合された第4の補強部材を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、第4の補強部材により、クロスメンバやパワーユニットにより確実に横力を発生させて、これらとともにキャビンを横方向へいなすことができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車体前部構造において、前記第4の補強部材の一端部と他端部とは、それぞれ前記クロスメンバに結合され、該一端部と他端部との間に前記前記クロスメンバに取付けられた前記マウント部材が配置されることを特徴とする。
この構成によれば、マウント部材を挟むように第4の補強部材の一端部と他端部とがクロスメンバに結合されているので、第4の補強部材により伝達された横力で高重量物であるパワーユニットに横方向へ移動させることができ、これにより、キャビン前方部を効果的に横方向へ移動させて、乗員を保護することができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項3~5のいずれか1項に記載の車体前部構造において、前記第2の補強部材と前記第3の補強部材とは、これらの連結部において、前記第2の補強部材と前記第3の補強部材とによって形成される平面角の劣角が、車幅方向内側を向くように連結されていることを特徴とする。
この構成によれば、スモールオーバーラップ衝突の際に、前記第2の補強部材と前記第3の補強部材との連結部において、回転力が発生するのを防止し、第3の補強部材全体を車幅方向内側へ移動させることができる。
本発明に係る車体前部構造によれば、スモールオーバーラップ衝突に対する安全性を向上しながら、操安性を確保することができる。
本発明の一実施の形態である車体前部構造を示す底面図。 図1のII-II線に沿う切断部端面図。 車体前部構造の変形例1を示す底面図。 スモールオーバーラップ衝突時に車体前部構造に作用する荷重を説明する模式図であり、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突時の状態を示す。 (a)は車体前部構造の変形例2を示す模式図、(b)は(a)に示す車体前部構造のスモールオーバーラップ衝突時に作用する荷重を説明する模式図。 車体前部構造を有する車両が転舵する際に車体前部構造に作用する力を説明する模式図。
図1は、本発明の一実施の形態である車体前部構造を示す底面図である。本発明に係る車体前部構造10は、自動車等の車両に適用される。車体前部構造10は、左右一対のサイドフレーム12L,12Rと、サイドフレーム12L,12Rの車幅方向外側に位置する左右一対のサイドシル14L,14Rと、両端部が一対のサイドフレーム12L,12Rに支持されて車幅方向に延びるクロスメンバ16と、クロスメンバ16に固定されるエンジンマウント18L,18Rとを備える。一対のサイドシル14L,14Rの間には、車体の床面を構成するフロアパネル11が架設されている。
車体前部構造10は、さらに、サイドフレーム12L,12R及びサイドシル14L,14Rに結合される一対の第1の補強部材20L,20R及び一対の第2の補強部材30L,30Rと、サイドフレーム12L,12R及びクロスメンバ16に結合される一対の第3の補強部材40L,40Rと、第3の補強部材40L,40Rと連なってクロスメンバ16に結合される第4の補強部材70L,70Rと、を備える。
フロアパネル11は、鋼板をプレス加工して形成された車両の床面部である。フロアパネル11は、車体前後方向に略水平に延びる平面部11aと、平面部11aの前端に後端が結合されて、前方に移行するにしたがって上方に立ち上がる傾斜面部11b(トーボードと称する)とを有する。
一対のサイドシル14L,14Rは、フロアパネル11の下部の車幅方向両側に位置して、車体前後方向(以下、単に「前後方向」とも称する)に延びている。図2に示すように、サイドシル14L,14Rは、断面ハット状のインナパネル71及びアウタパネル73のフランジ部72,74を互いに接合することで閉断面を形成した筒状の構造体である。サイドシル14L,14Rの前端81は、それぞれ、左右の前輪17L,17Rと対向している。
サイドシル14L,14Rの前端部の上面には、サイドシル14L,14Rから車体上方へ延びるフロントピラー(図示せず)が一体形成されている。
一対のサイドフレーム12L,12Rは、フロアパネル11の下部に取付けられ、一対のサイドシル14L,14Rよりも車幅方向内側で前後方向に延びている。図2に示すように、サイドフレーム12L,12Rは断面ハット状であって、フランジ部50a,50bをそれぞれフロアパネル11の下面に接合することで、実質的に閉断面を構成するように形成されている。
サイドフレーム12L,12Rは、フロアパネル11の平面部11aにおいて前後方向に延びる後方部51と、フロアパネル11の傾斜面部11bにおいて前後方向に延び、後方部51の前端と連なって前方に移行するにしたがって上方へ傾斜する傾斜部52と、傾斜部52の前端と連なって図示していないエンジンルームの車幅方向側部において前後方向にほぼ水平に延びる前方部53とを有する。前方部53の下面には、クロスメンバ16が取り付けられている。
クロスメンバ16の車幅方向外側端部には、ロアアーム19L,19Rが取り付けられており、ロアアーム19L,19Rの車幅方向の外側端部近傍において前輪17L,17Rが支持されている。また、クロスメンバ16には、パワーユニットPUを支持する一対のエンジンマウント(マウント部材)18L,18Rがボルト等の固定具62により取り付けられている。図1では、パワーユニットPUの配置位置を二点鎖線で示している。パワーユニットPUは、エンジンやエンジンの後方側に接続されたトランスミッション等からなる高重量物である。
図1に示すように、車体前部構造10は、車幅方向の中心を通って車両前後方向へ延びる中心線CLに対し、実質的に左右対称に構成されている。そのため、以下の説明では、各補強部材20L,20R,30L,30R,40L,40R,70L,70Rについて、車体前部構造10を底面側からみた左側半分(すなわち、車両シートに着座した状態で車両の右側半分)の構成について詳説し、右側半分の構成については説明を省略する。
第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rは、サイドフレーム12Rとサイドシル14Rとの間に架設された略直線状に延びる略平板状の部材であって、例えば、鋼板によって形成することができる。
第1の補強部材20Rの前端部21は、ボルト24によりサイドフレーム12Rの下面に結合され、第1の補強部材20Rの後端部22は、前端部21よりも車体後方側で、ボルト25によりサイドシル14Rの下面に結合されている。第2の補強部材30Rの前端部31は、第1の補強部材20Rの前端部21と結合され、本実施の形態では、第1の補強部材20Rの前端部21と重なった状態でボルト24によりサイドフレーム12Rの下面に結合されている。第2の補強部材30Rの後端部32は、図1及び図2に示すように、第1の補強部材20Rの後端部22よりも車体後方側で、ボルト34,35によりサイドシル14Rの下面に結合されている。第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rは、サイドシル14Rとともに三角形となるトラス構造を形成している。
図1及び図4(a)に示すように、第1の補強部材20Rは、平面視で、第1の補強部材20Rの延在方向Xと直交する直線Yの車体前後方向に対する傾斜角αが、前輪17Rの車体前後方向に対する旋回角であって、スモールオーバーラップ衝突時に前輪17Rが旋回する予め設定された最大旋回角β大きくなるように配置されている。ここで、前輪17Rの車体前後方向に対する旋回角とは、車体前後方向に対して前輪17Rの進行方向がなす角度をいう。サイドシル14Rは、スモールオーバーラップ衝突時に、前輪17Rが衝突するように、前端81が前輪17Rと対向して配置されており、予め設定された最大旋回角βとは、スモールオーバーラップ衝突時に、前輪17Rの後端がサイドシル14Rに衝突する旋回角から衝突しない旋回角へ切り替わる境界の角度をいう。具体的には、最大旋回角βは、前輪17Rの進行方向を車体前後方向とした状態で、前輪17Rの車体後方側かつ車幅方向外側の端縁17aと、サイドシル14Rの車幅方向最内側の前端縁82とを結ぶ直線Zの車体前後方向に対する傾斜角をいう。
第3の補強部材40Rは、サイドフレーム12Rとクロスメンバ16との間に架設された略直線状に延びる略平板状の部材であり、第4の補強部材70Rは、クロスメンバ16に沿って車幅方向に略直線状に延びる略平板状の部材である。
第3の補強部材40Rは、後端部44が、ボルト24により第2の補強部材30Rの前端部31に結合されており、後端部44よりも車体前方側かつ車幅方向内側に位置する前端部45が、ボルト47によりクロスメンバ16に結合されている。第3の補強部材40R及び第4の補強部材70Rは、例えば、鋼板によって形成することができ、本実施の形態では、第3の補強部材40Rの前端部45と第4の補強部材70Rの一端部とが連なる態様で、第3の補強部材40R及び第4の補強部材70Rが一体形成されている。第4の補強部材70Rは、この一端部(すなわち、第3の補強部材40Rの前端部45)から車幅方向外側に延びて、他端部46がボルト48によりクロスメンバ16に結合されている。
なお、図示していないが、第3の補強部材40Rの前端部45や第4の補強部材70Rの他端部46は、クロスメンバ16上のエンジンマウント18Rに結合されていてもよい。また、前端部45は、クロスメンバ16以外の他の車体骨格部材に取付けらえたエンジンマウント(マウント部材)に結合されていてもよく、かかる場合には、車幅方向に延びる第4の補強部材70Rの両端部をこのエンジンマウントに結合させることができる。
第3の補強部材40R及び第4の補強部材70Rには、それぞれ、各補強部材40R,70Rの延在方向に延びるビード41,42が形成されている。ビード41,42は、各補強部材40R,70Rの剛性を高める高剛性部を構成している。なお、図示してないが、第1の補強部材20Rや第2の補強部材30Rにも、延在方向に延びるビードを形成することができる。
なお、本発明に係る車体前部構造10は、図3に示す変形例1ように、第1~第3の補強部材20L,20R,30L,30R,40L,40Rを備え、第4の補強部材70L,70Rを有していない構成であってもよい。
第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rとは、交差する直線状に連結されている。具体的には、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rを二辺とし、これらの連結部を頂点とする平面角の角度が、180度より小さい劣角θ1と、180度より大きい優角θ2とを有するように連結されており、本実施の形態では、劣角θ1が車幅方向内側を向くように連結されている。これにより、連結部であるボルト24は、図1に示す平面視で、第2の補強部材30Rの後端と第3の補強部材40Rの前端とを結ぶ直線Lよりも車体前方側に位置している。
車幅方向において、第4の補強部材70Rの一端部45と他端部46との間には、クロスメンバ16に取付けられたエンジンマウント18Rが配置されている。本実施の形態では、第4の補強部材40Rの両端部をクロスメンバ16に固定するボルト47及び48の間に、エンジンマウント18Rの固定具62が位置している。
次に、上述した車体前部構造10において、スモールオーバーラップ衝突が発生した場合の作用について説明する。図4は、スモールオーバーラップ衝突時に車体前部構造に作用する荷重を説明する模式図であり、(a)は衝突前の状態を示し、(b)は衝突時の状態を示す。
図4(b)に示すように、スモールオーバーラップ衝突では、前輪17Rが車体後方へ向かう衝突荷重を受けて、ロアアーム19Rによる支持部を軸に矢印R1の方向に回転しながら、円弧の軌跡を描いてサイドシル14Rに衝突する。これにより、サイドシル14の前端部は車幅方向内側に傾きながら車体後方側へ潰れるとともに、サイドシル14と一体形成されたフロントピラーが潰れ、衝突エネルギーが吸収される。
さらに、サイドシル14の潰れによって、第1の補強部材20Rには圧縮力が作用し、第2の補強部材30Rには引張力が作用する。これにより、第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rに結合されたサイドフレーム12Rには、車幅方向内側へ押す力(横力)が発生する。この横力により、車両のキャビンを車幅方向である横方向にいなして、スモールオーバーラップ衝突から乗員を保護することができる。
特に、車体前部構造10では、第1の補強部材20Rの延在方向Xと直交する直線Yの前後方向に対する傾斜角αが、予め設定された前輪17Rの最大旋回角βよりも大きくなるように設定されているので、スモールオーバーラップ衝突の際に、第1の補強部材20に確実に圧縮力を作用させることができる。例えば、傾斜角αを最大旋回角β以下とした場合、スモールオーバーラップ衝突時に第1の補強部材20Rに前輪17Rが衝突して圧縮力が発生しない場合があるが、本実施の形態の車体前部構造10では、このような事態を回避することができる。
また、本実施の形態では、第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rに接続された第3の補強部材40Rにより、衝突荷重をクロスメンバ16に伝達させることができるので、キャビン前方部を適切に横方向へいなすことができる。さらに、第4の補強部材70Rを設けることで、クロスメンバ16全体を適切に横方向へ押してキャビンを横方向へ移動させることができる。
特に、第4の補強部材70Rは、エンジンマウント18Rを挟むように両端部45,46がクロスメンバ16に結合されているので、第4の補強部材70Rにより伝達された横力で高重量物であるパワーユニットPUに作用させることができる。これにより、キャビン前方部をより効果的に横方向へ移動させて、乗員を保護することができる。
また、各補強部材20R,30R,40R,70Rは、サイドシル14R、サイドフレーム12R及びクロスメンバ16の下面に結合されているので、上面に結合させるものと比べて取付けが容易である。また、下面に取付けることにより、フロアパネル11等の変形を必要とせずに既存の構造を用いることができるので、補強部材20R,30R,40R,70Rの取付けに伴う車体の重量増加を抑えることができる。
また、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rとの連結部が、直線Lよりも車体前方側に位置しているので、スモールオーバーラップ衝突時に、第3の補強部材40Rの後端部44に横力が発生した場合に、後端部44においてボルト24を軸とする回転力が発生することを防止することができる。これにより、第3の補強部材40R全体を車幅方向内側へ移動させることができる。なお、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rの連結構造は、これに限られず、例えば、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rが一直線上に並ぶ構造や、図5(a)に示す変形例2のように、連結部が直線Lよりも車体後方側に位置する構造であってもよい。
図5(a)は、車体前部構造10の変形例2を示す図4(a)と同様の模式図である。変形例2の車体前部構造10では、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rを二辺とし、これらの連結部を頂点とする平面角の角度が、劣角θ1と優角θ2とを形成し、劣角θ1が車幅方向外側を向くよう配置されている。連結部となるボルト24は直線Lよりも車体後方側に位置している。
図5(b)に示すように、変形例2の車体前部構造10では、スモールオーバーラップ衝突によって第3の補強部材40Rの後端部44に横力が発生した場合に、ボルト24を軸として、矢印R2で示すような回転力が発生することがある。かかる場合には、第3の補強部材40Rの前端部45に車幅方向外側に向かう横力が発生し、クロスメンバ16が車幅方向外側に移動する。変形例2の車体前部構造10においても、キャビンに横力を発生させて、衝突エネルギーを吸収することができるが、キャビンの旋回移動を抑制して安全性を向上させるために、上述の実施の形態で示したように、第2の補強部材30Rと第3の補強部材40Rとにより形成される劣角θ1が、車幅方向内側に向くように配置されることが好ましい。
次に、図6を用いて、車体前部構造10を有する車両70が転舵する際に車体前部構造10に作用する力を説明する。図6は、車体前部構造10の底面図であって、ステアリングの操作により車両70が右方向へ転舵した際のサイドフレーム12L,12R、サイドシル14L,14R、クロスメンバ16及び前輪17L,17Rの状態を破線で示しており、この時の各補強部材20L,20R,30L,30R,40L,40R,70L,70Rを実線で示している。
車両70が右方向へ転舵すると、右側の第2の補強部材30R及び第3の補強部材40Rには、圧縮力が作用し、左側の第2の補強部材30L及び第3の補強部材40Lには、引張力が作用する。これにより、サイドシル14及びサイドフレーム12の曲げ変形が抑制され、車両70の操安性能が向上することができる。
上述のとおり、本実施の形態及び各変形例の車体前部構造10では、スモールオーバーラップ衝突時の安全性及び車両転舵時の操安性の両立を第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rを設ける簡易かつ比較的軽量な構造によって達成することができる。さらに、第3の補強部材40R及び第4の補強部材70Rを設けることで、衝突安全性及び操安性をより向上させることができる。また、この車体前部構造10では、キャビンを構成するフロアパネル11等を従来形状から変形させたり、板厚を増加させたりして、過度に補強することを必要としないため、車体の重量増加を抑制することができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本発明に係る車体前部構造10は、第1~第4の補強部材20L,20R,30L,30R,40L,40R,70L,70Rのうち、少なくとも第1及び第2の補強部材20L,20R,30L,30R,を備えた構成であればよい。
また、例えば、第1の補強部材20R及び第2の補強部材30Rは、別部材ではなく、各補強部材20R,30Rが重なる領域(すなわち、前端部21,31)で連続するように一体成形されていてもよい。また、上述した実施の形態において、第3の補強部材40Rと第4の補強部材70Rは、一体形成ではなく、別体に形成されていてもよい。かかる場合には、第3の補強部材40Rの前端部45と、第4の補強部材70Rの一端部とが重なるようにクロスメンバ16に結合される。
10 車体前部構造
11 フロアパネル
12L,12R サイドフレーム
14L,14R サイドシル
16 クロスメンバ
17L,17R 前輪
18L,18R エンジンマウント(マウント部材)
19L,19R ロアアーム
20L,20R 第1の補強部材
30L,30R 第2の補強部材
40L,40R 第3の補強部材
70L,70R 第4の補強部材
PU パワーユニット

Claims (6)

  1. フロアパネルの下部の車幅方向両側に位置して車体前後方向へ延びるとともに、前端が前輪と対向する一対のサイドシルと、
    該サイドシルよりも車幅方向内側で車体前後方向に延びる一対のサイドフレームと、を備えた車体前部構造において、
    前端部が前記サイドフレームに結合され、該前端部よりも車体後方側に位置する後端部が前記サイドシルに結合された略直線状に延びる第1の補強部材と、
    前端部が前記第1の補強部材の前端部に結合され、後端部が前記第1の補強部材の後端部よりも車体後方側で前記サイドシルに結合された略直線状に延びる第2の補強部材と、を備え、
    前記第1の補強部材は、平面視で、前記第1の補強部材の延在方向と直交する直線の車体前後方向に対する傾斜角が、前記前輪の車体前後方向に対する旋回角であって、スモールオーバーラップ衝突時に前記前輪が旋回する予め設定された最大旋回角よりも大きくなるように配置されることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記第1の補強部材及び前記第2の補強部材は、前記サイドシルの下面及び前記サイドフレームの下面にそれぞれ結合されることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
  3. 略直線状に延びる第3の補強部材を備え、
    該第3の補強部材は、後端部が前記第2の補強部材の前端部に結合され、該後端部よりも車体前方側かつ車幅方向内側に位置する前端部が、前記一対のサイドフレームの間に延びるクロスメンバ及び/又は車体に対してパワーユニットを保持するマウント部材に結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体前部構造。
  4. 一端部が前記第3の補強部材の前端部に結合され、該一端部から車幅方向外側に延び、他端部が前記クロスメンバ及び/又は前記マウント部材に結合された第4の補強部材を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車体前部構造。
  5. 前記第4の補強部材の一端部と他端部とは、それぞれ前記クロスメンバに結合され、該一端部と他端部との間に前記前記クロスメンバに取付けられた前記マウント部材が配置されることを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
  6. 前記第2の補強部材と前記第3の補強部材とは、これらの連結部において、前記第2の補強部材と前記第3の補強部材とによって形成される平面角の劣角が、車幅方向内側を向くように連結されていることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の車体前部構造。
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