本発明の実施形態は、治療期中に標的の追跡画像を生成するために撮像システムによって使用される角度(撮像角度と呼ぶ)を選択する方法及びシステムに関する。可動式撮像デバイスを備えた撮像システムは、多くの異なる角度から追跡画像を生成することができる。しかしながら、標的追跡の目的では、ある角度が他の角度より優れている可能性がある。例えば、一部の撮像角度では、治療されることになる標的が発見されないことがあり、及び/又は他の構造と識別できないことがある。他の撮像角度では、標的追跡アルゴリズムが、非標的構造を標的として誤って特定することがある。追跡画像を生成するための最適な角度の選択は重要であり、治療期において重要な結果をもたらす可能性がある。画像角度の選択は、画像誘導放射線療法にとって特に重要とすることができる。
一実施形態では、処理デバイスは、撮像デバイスにより追跡画像を生成することができる複数の角度を決定する。処理デバイスは、患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン、患者の磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、又は別の3次元撮像モダリティに基づく患者の3次元画像など、患者の3次元治療計画画像の複数の投影像を生成する。3次元治療計画画像は、描画標的(delineated target)を含み、複数の投影像の各投影像は、追跡画像を撮ることができる複数の角度のうちの1つの角度に対応する角度を有する。処理デバイスは、複数の角度の各角度に対して、その角度で生成された投影像の分析に基づいて、標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。処理デバイスは、1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する複数の角度の部分集合を選択する。選択された角度は、治療期中に標的を追跡するのに使用できる追跡画像を生成するのに用いる最適な角度に対応することができる。一実施形態では、部分集合内の少なくとも第1の角度は、部分集合内の第2の角度から少なくとも15度離間する。
一実施形態では、処理デバイスは、1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する角度の集合を決定する。処理デバイスは、治療期中に毎分1回転を超える速度で回転するガントリを含む放射線療法装置(本明細書では画像誘導放射線治療(IGRT)装置とも呼ぶ)の構成要素とすることができる。治療期のアライメントフェーズ又は治療フェーズ中に、複数の動作を実行して標的を追跡することができる。ガントリの第1回転について、少なくとも第1の角度及び第2の角度を角度の集合から選択することができる。次に、ガントリに取り付けられた撮像デバイスは、ガントリの第1回転中に第1の角度から標的の第1追跡画像を生成することができる。続いて、撮像デバイスは、ガントリの第1回転中に第2の角度から標的の第2追跡画像を生成することができる。処理デバイスは、第1の追跡画像及び第2の追跡画像に基づいて標的の追跡を実行することができる。
ここで図を参照すると、図1は、本明細書で論じる1又は2以上の実施形態をそこで適用することができる、放射線治療環境100を示す。放射線治療環境100は、基準撮像システム102とIGRT送達システム104とを含む。基準撮像システム102は通常、コンピュータ断層撮影(CT)システム又は磁気共鳴画像法(MRI)システムなどの高精度体積撮像システムを含む。多くの臨床環境におけるコスト及びワークフローの考慮事項の観点から、基準撮像システム102は、診療所又は病院環境において様々な異なる目的で使用される汎用ツールであることが多く、具体的には、IGRT送達システム104専用のものではない。むしろ、基準撮像システム102は、多くの場合、それ自体の別個の部屋又はヴォールトに位置し、IGRT送達システム104とは別個のより一般的な基盤として購入、設置、及び/又は保守される。従って、図1の実施例では、基準撮像システム102は、IGRT送達システム104とは異なるものとして例示されている。本教示の範囲外ではない他の放射線治療環境に関して、基準撮像システム102は、IGRT送達システム104の不可欠な構成要素と見なすことができる点に留意されたい。
治療計画システム118は、基準撮像システム102から撮像データを受け取り、1又は2以上の治療計画動作を実行する。治療計画システム118は、治療計画及び/又はシミュレーション計画を生成及び変更するための処理デバイス170を含む。処理デバイス170は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを表すことができる。処理デバイス170は、本明細書で論じるシミュレーション生成動作及び/又は治療計画動作を行うための命令を実行するように構成することができる。
治療計画システム118はまた、情報と処理デバイス170によって実行される命令とを記憶するために、バスによって処理デバイス170に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶デバイスを含むことができるシステムメモリ177を備えることができる。システムメモリ177はまた、処理デバイス170による命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を記憶するのに使用することもできる。システムメモリ177はまた、静的情報と処理デバイス170の命令とを記憶するために、バスに結合された読出し専用メモリ(ROM)及び/又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。
治療計画システム118はまた、情報及び命令を記憶するためにバスに結合された1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、半導体ドライブなど)を表す記憶デバイス180を備えることができる。記憶デバイス180は、撮像角度の集合を選択する治療計画動作など、本明細書で論じる治療計画ステップを実行する命令を格納するのに使用することができる。
処理デバイス170はまた、情報(例えば、VOIの2次元又は3次元表現)をユーザに表示するために、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイスに結合することができる。キーボードなどの入力デバイスは、情報及び/又はコマンド選択を処理デバイス170に伝達するために処理デバイス170に結合させることができる。1又は2以上の他のユーザ入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー)もまた、方向情報を伝達し、処理デバイス170用のコマンドを選択し、またディスプレイ上のカーソル移動を制御するのに使用することができる。
治療計画システム118は、そのデータベース(例えば、記憶装置180に記憶されたデータ)をIGRT送達システム104と共有することができるので、治療送達前に治療計画システム118からエクスポートすることが必要でない場合がある。治療計画システム118は、直接リンク、LANリンク、又はWANリンクとすることができるデータリンクを介して、IGRT送達システム104にリンクすることができる。データリンクがLAN又はWAN接続として実施されるときには、基準撮像システム102、治療計画システム118及び/又はIGRT送達システム104のいずれも分散位置に存在することができるので、システムは互いに物理的に遠隔とすることができる点に留意されたい。或いは、基準撮像システム102、治療計画システム118、及び/又はIGRT送達システム104のうちのどれもが、1又は2以上のシステムにおいて互いに一体化することができる。
一般的な臨床診療では、治療計画は、基準撮像システム102によって生成された事前取得治療計画画像106に対して行われる。事前取得治療計画画像106は、多くの場合、患者が受けることになる1又は2以上の放射線治療分画に実質的に先立って(例えば、1~2日前に)取得された高解像度3次元CTスキャン画像である。事前取得治療計画画像106はまた、4次元CTスキャン画像であってもよい。図1において事前取得治療計画画像106に対する(i,j,k)座標系の図で示すように、これは、IGRT送達システム104の治療室について例示した(x,y,z)治療室座標系とは対照的に、治療計画画像106の座標系と治療室座標系との間には、一般に既存又は固有のアライメントもしくはレジストレーション(位置合わせ)は存在しない。
治療計画プロセス中に、医師は、治療計画画像内に座標系(例えば、治療計画画像106におけるi、j、k)を確立し、これは、本明細書では計画画像座標系又は計画画像基準フレームとも呼ぶことがある。放射線治療計画は、各治療分画又は治療期の間に放射線治療源108によって照射される高エネルギ治療放射線ビームの様々な向き、サイズ、持続時間などを規定する計画画像座標系で構築される。送達及び追跡システム(存在する場合)全体が治療室座標系に較正されるので、標的への治療用放射線の正確な送達は、計画画像座標系を治療室座標系とアライメントするステップを含む。このアライメントは厳密である必要がないこと、また、2つの座標系間のアライメントのオフセットを考慮するために寝台調整又はビーム送達調整を使用できることは理解されるであろう。
従って、各治療分画(治療期とも呼ぶ)の直前に、撮像デバイス110の正確な画像誘導の下で、以下で更に説明する実施形態のうちの1又は2以上に従って、計画画像座標系(例えばこれに限定されるものではないが、CT画像又は計画画像に対して治療計画を作成する間に医師により規定される)が、以下で初期治療アライメント又は初期治療位置と呼ぶ、治療室座標系との初期アライメントに位置決めされるように、患者が物理的に位置決めされる。このアライメントは一般に、患者セットアップと呼ばれる。標的体積の部位に応じて、標的体積は、位置及び向きが変わる可能性があり、及び/又は患者の動き及び/又は呼吸などの生理的周期に起因して、体積変形を受ける可能性がある。
本明細書で使用する場合、治療時アライメント変動又は治療時位置変動という用語は、標的体積の現在の状態が初期治療アライメントと異なる、位置、向き、及び/又は体積形状の変動を指すのに使用される。治療計画座標系と治療室座標系との間の既知の関係により、治療時アライメント変動という用語はまた、標的体積の現在の状態が治療計画座標系のものとは異なる、位置、向き、又は体積形状の変動を指すのに用いることができる。より一般には、初期治療アライメント又は初期治療位置という用語は、本明細書では、治療分画初めの患者セットアップ時における患者の身体部分の特定の物理的姿勢又は配置(位置、向き及び体積形状を含む)を指す。
IGRT送達システム104は、治療寝台TC上に位置決めされた患者Pの標的体積に高エネルギX線の治療用放射線を選択的に照射する放射線治療(MV)源108を備える。1つの一般的なシナリオでは、放射線治療(MV)源108は、治療用放射線を生成する線形加速器(LINAC)である(これは「MVソース」と呼ぶことができる)。放射線治療源108は、システムコントローラ114の制御下で、より詳細にはその治療用放射線制御サブシステム128の制御下で治療用放射線を照射する。システムコントローラ114は、処理デバイス170に関して前述したような処理デバイスを含むコンピューティングデバイスとすることができる。システムコントローラ114はまた、システムメモリ177及び記憶デバイス180と同様に、システムメモリ及び記憶デバイスを含むことができる。システムコントローラ114は更に、検出器コントローラ122、寝台位置コントローラ124、及び撮像デバイスコントローラ126を含み、それぞれ、本明細書で更に説明する機能のうちの1又は2以上を達成するようにプログラムされ構成される。1又は2以上の撮像デバイス110は、撮像デバイスコントローラ126の制御下で相対的に低エネルギ(例えば、kVレベル)のX線撮像放射線を選択的に放出し、撮像放射線は1又は2以上の撮像検出器112によって捕捉される。
一実施形態において、撮像デバイス110は、単一のX線撮像源を含む。別の実施形態では、撮像デバイス110は、2次元定位X線画像を生成するのに使用可能な1対のX線撮像源を含む。撮像デバイス110はまた、固定位置にある1対のX線撮像源と、回転式ガントリ上にある単一のX線撮像源とを含むことができる。好ましくは、撮像デバイス110の各々は、(a)治療室の(x,y,z)座標系に対して固定された所定の不動のジオメトリ、或いは(b)それらが動的に可動である場合に治療室の(x,y,z)座標系に対して正確に測定可能な及び/又は正確に決定可能なジオメトリによって特徴付けられる。放射線治療源108はまた、治療室の(x,y,z)座標系に対して正確に測定可能な及び/又は正確に決定可能なジオメトリを有するべきである。
IGRT送達システム104の撮像システムは、相対的に低強度の低エネルギ撮像放射線を生成する1又は2以上の独立した撮像デバイス110を備える(それぞれを「kVソース」と呼ぶことができる)。治療時画像は、複数の異なる視点で(例えば、複数の異なる角度から)取得された複数の2次元画像(典型的にはX線画像)を含むことができ、3次元治療前画像情報から(例えば、CTスキャン又はMRIスキャンから)導出された2次元DRRと比較することができる。DRRは、3次元撮像データを通して仮想X線を投射することによって生成された合成X線画像であり、仮想X線の方向及び向きは、治療時X線撮像システムのジオメトリをシミュレートする。その場合、結果として得られるDRRは、治療時X線撮像システムとほぼ同じスケール及び視点を有し、治療時X線画像と比較して標的の位置及び向きを決定することができ、これは、標的への放射線の送達を誘導するのに使用される。
治療中の標的又は標的体積の追跡は、治療時追跡画像を治療前画像情報と比較することによって達成することができる。治療前画像情報は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)データ、コーンビームCTデータ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、陽電子放出断層撮影(PET)データ又は3次元回転血管造影(3DRA)データ、並びにこれらの撮像モダリティから得られたいずれかの情報(例えば限定ではないが、デジタル再構成放射線画像又はDRR)を含むことができる。
寝台位置決め装置130は、寝台位置コントローラ124によって作動させて、治療寝台TCを位置決めする。非X線ベースの位置感知システム134は、光学ベース又は超音波ベースの方法など、電離放射線を伴わない1又は2以上の方法を用いて、患者に対して十分に考慮して貼り付けた外部マーカ(複数可)の位置及び/又は動きを感知すること、及び/又は患者の皮膚表面自体の位置及び/又は動きを感知することができる。
一実施形態では、IGRT送達システム104は、ガントリベースのIGRT送達システムである。別の実施形態では、IGRT送達システム104は、ロボットアームベースのIGRT送達システムである。IGRT送達システム104は更に、オペレータワークステーション116を含む。
また、非X線ベースの位置感知システム134を設けることができる。この非X線ベースの位置感知システム134は、限定ではなく例証として、呼吸に応じて動く患者の胸部に何らかの方法で貼り付けられた外部マーカ(呼吸をモニタするための他の機構を使用してもよい)を含むことができ、上述のように標的位置を正確に決定することができるモノラル又は立体撮像システムを含む。システム134は、外部マーカの動きを、(例えば)撮像デバイス110によって生成されたモノラル又は立体追跡画像から決定される標的の動きと相関させる。従って、非X線ベースの位置感知システム134は、システムコントローラ114が外部マーカの動きをモニタし、相関モデルを用いて標的がリアルタイムで(例えば、~60Hz)どこに位置することになるかを正確に予測し、治療用ビームを標的に向けることを可能にする。動く標的の治療が進行していると、追加のX線画像を取得して、これを用いて相関モデルを検証及び更新することができる。
一実施形態によれば、処理デバイス120を含むシステムコントローラ114は、比較的静止した標的体積(例えば非限定的に、脳、脊椎又は前立腺の腫瘍)を治療するときに、非X線ベースの位置感知システム134及び/又は撮像検出器(複数可)112から情報を受け取り、それから治療時のアライメント変動を計算して、治療時のアライメント変動を継続的に補償する方法で治療用放射線源108を制御するように構成されプログラムされる。標的体積が呼吸に起因して動く場合、撮像検出器112からのより情報量の多いデータ(例えば、X線ベースのデータ)は、患者の呼吸周期と比べて相対的に緩やかな速度で(例えば、15秒毎に1回)更新されて、適度に低いX線撮像線量レベルを維持する。非X線ベースの位置感知システム134からの情報量の少ないデータは、実質的にリアルタイムで(例えば、毎秒30回)更新することができる。1又は2以上のX線感知された体内標的体積(基準の有無を問わず)と1又は2以上の非X線感知の外部マーカとの間の相関モデルを用いて、リアルタイムで治療時アライメント変動を確認することができる。相関モデルは、各X線撮像の時間間隔で更新(補正)して精度を維持することができる。有利なことには、本明細書に記載される実施形態の1又は2以上による、適切な撮像デバイス110の角度選択方式を用いて、標的追跡精度を向上させることができる。
SYNCHRONY(登録商標)呼吸追跡システムなどの非X線ベース位置感知システム134の使用は、肺又は胸部領域内の特定腫瘍の放射線治療には有利であるが、前立腺、脊椎又は脳など、他の多くの身体部分の放射線治療には必要とされない選択肢を表している点を理解されたい。X線線量の懸案事項により、いずれかの特定の分画内時間間隔で取得すべきであるkV-X線画像の数に関して制限が設けられる(例えば、15秒毎、30秒毎、又は60秒毎に1つ以下のkV画像)のに対して、胸部領域、肝臓又は膵臓内の腫瘍は、呼吸により実質的により速い周期的速度で動く可能性があり、従って、非X線ベースの位置感知システム134の有用性が生じる。しかしながら、前立腺、脊椎又は脳などの体の他の部分にある腫瘍は、一般に、遥かに緩やかな時間的尺度で運動を生じることになり、線量を制限したkV-X線撮像速度でも、依然として放射線治療を効果的に誘導するほど十分に高いことになる。前立腺は、例えば、近くの膀胱に尿が溜まることに起因して準静的な動きを生じる場合があり、結果として生じる動きを追跡するのに、60秒毎に1つのkV-X線画像で十分とすることができる。従って、kV撮像速度で十分である解剖学的構造の他の多くの部分については、非X線ベースの位置感知システム134及び関連の「リアルタイム」追跡(すなわち、kV撮像速度よりも速い速度での追跡)を使用しない場合がある。
図1の例示的な放射線治療環境は、限定ではなく例証として提示されている点を理解されたい。実施形態は、他の様々な放射線治療環境設定に適用可能であり、実施形態のうちの1又は2以上は、放射線治療システムの特定状況外の一般的な医用撮像環境に適用可能である。従って、例えば、実施形態のうちの1又は2以上は、基準撮像システム102が、IGRT送達システム104から物理的に分離されている、IGRT送達システム104と共通の座標系を持たない、及び/又はIGRT送達システム104との体積画像レジストレーションの他の固有の手段を持たない、放射線治療環境の状況で適用される場合に特に有利であるが、本教示の範囲はこれに限定されるものではない。むしろ、実施形態は、基準撮像システムが放射線治療送達システムと物理的に一体化される、又はレールベースの患者移動システムのような放射線治療送達システムとの他の固有の連係機構を有する、放射線治療環境の状況にも有利に適用することができる。
本明細書で使用する場合、画像の「レジストレーション」とは、これらの画像に現れる対応する解剖学的特徴又は他の(例えば、基準)特徴間の数学的関係の決定を指す。レジストレーションは、限定ではないが、画像の一方又は両方に適用されたときに、対応する解剖学的特徴の重ね合わせを生じることになる1又は2以上の空間変換の決定を含むことができる。空間変換は、剛体変換及び/又は変形可能な変換を含むことができ、画像が異なる座標系又は基準フレームからのものである場合、これらの座標系又は基準フレームの差異を考慮することができる。画像が同じ撮像システムを用いて取得されていない場合及び同時に取得されていない場合、レジストレーションプロセスは、これに限定されるものではないが、撮像モダリティ間、撮像ジオメトリ間、及び/又は異なる撮像システムの基準フレーム間の差異を考慮した第1の変換の決定と共に、取得時間の間に生じる可能性のある身体部分の基本的な解剖学的差異(例えば、位置決めの差異、全体的な動き、身体部分内での異なる構造間の相対的な動き、全体的な変形、身体部分内での局所的な変形など)を考慮した第2の変換の決定を含むことができる。
一部の実施形態では、少なくとも1つの撮像デバイス110が回転式ガントリに取り付けられる。治療用放射線源108は、回転式ガントリに取り付けられる場合もあり、取り付けられない場合もある。少なくとも1つの撮像デバイス110は、複数の異なる角度から標的の追跡画像を生成することができる。一実施形態では、以下で更に詳細に説明するように、治療計画システム118及び/又はIGRT送達システム104は、撮像デバイス110によって追跡画像を生成するのに使用することができる角度の集合を決定する。また以下で論じるように、実施形態において、IGRT送達システムは、決定された角度集合の中から1又は2以上の角度で撮られた追跡画像に基づいて標的追跡を実行することができる。
図2~6は、治療期の際に使用する角度を選択する様々な方法を示すフローチャートである。図2~6の方法は、治療に先立って実施することができ、治療前角度選択法と呼ぶことができる。これらの方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理回路、プログラマブル論理回路、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、ハードウェアシミュレーションを行うために処理デバイス上で実行される命令)、又はこれらの組合せを含むことができる処理論理回路によって実行することができる。図2~6の方法は、実施形態において治療計画システム(例えば、図1の治療計画システム118)の処理論理回路及び/又はIGRT送達システム(例えば、図1のIGRT送達システム104)の処理論理回路によって実行することができる。角度が選択された後、IGRT送達システムの構成要素である撮像デバイスは、選択された角度の部分集合を用いて、治療期中に追跡画像を生成して標的を追跡することができる。
図2は、本発明の一実施形態による、治療中に使用される回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する方法200を示す。方法200は、ブロック205で患者の3次元治療計画画像を生成することから始めることができる。一実施形態では、図示のように、3次元治療計画画像は、患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像である。CTスキャンは、3次元(3D)CTスキャン又は4次元(4D)CTスキャンとすることができる。別の画像モダリティを用いた他の3次元治療計画画像又は4次元治療計画画像もまた使用可能である。方法200は、CTスキャンを参照して説明する。しかしながら、方法200は、他のいずれかの3次元又は4次元治療計画画像を用いて実行できることを理解されたい。例えば、ブロック205において、CTスキャン画像の代わりにMRI画像を生成することができる。MRI画像は、3次元MRI画像(3次元MRIスキャン画像とも呼ぶ)又は4次元MRI画像(4次元MRIスキャン画像とも呼ぶ)とすることができる。
CTスキャンが生成されると、ブロック210において、医師及び/又は検査技師は、CTスキャン内の標的を描画することができる。これには、CTスキャンの複数の異なるスライスにおける標的の描画を含むことができる。標的が描画された後、標的の位置及び形状は、CTスキャンの3次元空間で既知となる。加えて、脊椎、心臓、肝臓、上腕骨、縦隔などのような付加的な構造も描画することができる。描画される付加的な構造は、患者の密度の高い構造とすることができる。ブロック205及び210の動作は、一部の実施形態では既に実行されている場合があり、方法200の一部ではないことがある。このような実施形態では、方法200は、標的及び/又は付加的な構造が既に描画されている事前生成CTスキャンを受け取ることで始めることができる。
ブロック215において、処理論理回路は、撮像デバイス(例えば、図1の撮像デバイス110)により追跡画像を生成することができる複数の角度を決定する。撮像デバイスは、軸の周りに360度回転することができる回転式ガントリに取り付けることができる。画像は、撮像デバイスの可能な角度のいずれからでも撮影することができる。一部の実施形態では、放射線治療源もまた、回転式ガントリに取り付けられる。動作モードに応じて、回転式ガントリは、治療期の間に連続的に回転することができ、回転しながら可能な角度のいずれからでも追跡画像を生成することができる。或いは、回転式ガントリは、特定の角度まで回転してこの角度で停止し、治療期中に追跡画像を撮ることができる。
ブロック218において、処理論理回路は、決定された角度の各々を分析する。角度の分析は、ブロック220において、患者のCTスキャンの複数の投影像を生成するステップを含むことができる。投影像の各々は、撮像デバイスを位置決めすることができる異なる角度に対して生成される。一実施形態では、1度から360度までの角度に対して360個の投影像が生成される。従って、投影像は、1度おきの角度分離に対して生成することができる。或いは、例えば、5度おきの角度分離に(例えば、5度、10度、15度など)、10度おきの角度分離に、0.5度おきの角度分離などで投影像を生成することができる。図3A~3Dに関して以下で説明するように、複数の異なるタイプの投影像を生成することができる。生成可能な投影像の幾つかの実施例には、デジタル再構成放射線画像(DRR)、幾何学的投影像、1又は2以上の光線のレイトレースなどが挙げられる。DRRは、CT画像を通した光線の投射によってX線画像形成プロセスをシミュレートすることに基づいて、3次元CT画像から生成される仮想的なX線画像である。投影像のいずれもが仮想検出器平面上に投影することができる。
角度の分析は更に、ブロック225において、様々な角度で生成された投影像を分析するステップを含むことができる。実行される分析は、生成された投影のタイプ及び/又は適用される追跡品質メトリック基準に依存することができる。実行することができる種々の分析の幾つかの実施例について、図3A~図6に関して以下で説明する。分析に基づいて、処理論理回路は、投影像が生成された角度の各々にて標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。角度に関する追跡品質メトリック値は、標的追跡アルゴリズムが当該角度で生成された画像に基づいて標的を成功裏に追跡することができるという信頼度を表す。言い換えれば、追跡品質メトリック値は、角度をランク付けして最適な角度を選択することを可能にする追跡成功確率の代用となる値(例えば、数)である。一実施形態では、より高い追跡品質メトリック値は、ある角度から標的を追跡することができる信頼度がより高いことを示し、より低い追跡品質メトリック値は、ある角度から標的を追跡することができる信頼度がより低いことを示す。数多くの異なる入力を用いて、角度に関する追跡品質メトリック値を計算することができる。これらの入力は、追跡品質メトリック値を計算するために個別に又は組み合わせて使用することができる。複数の入力を用いる場合、入力は、重み付けすることができ、又は重み付けしなくてもよい。種々の追跡品質メトリック値(及び追跡品質メトリック値に対する入力)の実施例は、図3A~図6に関して以下で説明する。
ブロック228において、処理論理回路は、投影像が生成された角度の部分集合を選択する。角度は、当該角度と関係する追跡品質メトリック値に基づいて、部分集合に含めるために選択することができる。部分集合に含めるために選択される角度は、追跡品質メトリック基準(又は複数の追跡品質メトリック基準)を満たす追跡品質メトリック値を有する。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、追跡品質メトリック閾値を含む。追跡品質メトリック閾値を満たす又はこれを超える追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができるが、閾値を下回る追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができない。追跡品質メトリック閾値は、固定閾値又は可変閾値とすることができる。可変閾値の場合、閾値は、特定の患者について計算された追跡品質メトリック値に基づいて決定することができる。例えば、最高追跡品質メトリック値が0.6の場合、閾値は0.5とすることができる。固定閾値の場合、閾値は、特定の患者について計算された追跡品質メトリック値を考慮せずに決定することができる。場合によっては、追跡品質メトリック基準を満たす角度が存在しないことがある。
ブロック230において、処理論理回路は、関係する追跡品質メトリック値に基づいて角度を順序付けることができる。追跡目的で使用される角度の部分集合は、最高追跡品質メトリック値を有する角度とすることができる。従って、患者の治療期中に標的を追跡するための画像を生成することを目的として、最適な角度を決定することができる。
場合によって、処理論理回路は、部分集合内に、1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する角度の数が不十分であると判定することがある。利用可能な角度の数が不十分である1つの可能性がある原因は、標的と治療アイソセンタとの間の距離が大きいことである。従って、部分集合における角度の数が不十分である場合、処理論理回路は、標的を治療アイソセンタに近づけように患者を再位置決めする提案を出力することができる。例えば、処理論理回路は、患者を4cm左に再位置決めするように推奨することができる。患者の再位置決めは、患者を治療寝台上で物理的に再位置決めすることによって、又は治療寝台を垂直方向及び/又は横方向に自動的に移動させることによって実行することができる。再位置決め後、方法200を繰り返して、複数の角度の新しい部分集合を決定することができる。
図3A~3Dは、撮像デバイスの可能な角度について追跡品質メトリック値を計算するための様々な方法を示す。方法200のブロック218において、これらの方法のうちのいずれか1つを実行して、種々の角度について品質メトリック値を決定することができる。付加的に又は代替的に、これらの方法のうちの2又は3以上を組み合わせて、各角度について複数の品質メトリック値を決定する、又は異なる方法に基づいて単一の組み合わせた品質メトリック値を決定することができる。複数の方法が使用される場合、これらの方法の各々によって出力された品質メトリック値は、均等に又は不均等に重み付けされて、最終的な組み合わせた品質メトリック値を計算することができる。
図3Aは、本発明の一実施形態による、回転撮像デバイスの角度に対して追跡品質メトリック値を決定する第1の方法300を示している。方法300のブロック302において、処理論理回路が角度を選択する。選択された角度は、追跡画像を生成するのに用いることができる撮像デバイスの角度に対応する。ブロック304において、処理論理回路は、選択された角度に対して標的領域DRRを生成する。標的領域DRRは、CTスキャン又は他の治療計画画像(例えば、MRI画像)においてちょうど標的を通る光線を投射又はトレースすることによって生成されるDRRである。DRR画素値は、各光線に沿ってCT値を合計することによって計算することができる。ブロック306において、選択された角度に対して標準DRRが生成される。標準DRRは、光線がCTスキャン(又は他の治療計画画像)の全領域にわたってトレースされて標準DRRを生成するという点で、標的領域DRRとは異なる。標準DRRと標的領域DRRの両方に対して、光線を仮想検出器平面上にトレースすることができる。仮想検出器面の各画素は、CTスキャンデータ(又は他の治療計画画像データ)を通ってトレースされた光線に対応することができる。画素に対する画素値は、関係する光線のCT値の集計に基づくことができる。
ブロック308において、処理論理回路は、標的追跡アルゴリズムを使用して、標的領域DRRを用いて標準DRR内で標的を探索する。標的追跡アルゴリズムは、患者を治療する治療期中に標的を追跡するのに使用されるのと同じ標的追跡アルゴリズムとすることができる。しかしながら、治療中、標的追跡アルゴリズムは、X線画像などの追跡画像において標的を見つけ出すことができる。
一実施形態では、標的追跡アルゴリズムは、以下の実施例で説明され且つブロック310にて示されるように、標的領域DRRと標準DRRとの間の類似度値に基づいてパターンマッチングを実行する。このような実施例では、標的追跡アルゴリズムは、標的領域DRRから標的形状などの特性又はパターンを決定する。標的追跡アルゴリズムは、標的領域DRRからの標的の第1パターンと標準DRRにおける標的に関する幾つかの候補位置の各々に対するパターンとの間の類似度値を計算する。標的領域DRRからの第1パターンと標準DRRからの付加的なパターンとの間の類似度の最大値は、標準DRRにおける標的の位置を表す。追跡品質メトリック値は、一部の実施形態では第1パターンと標準DRRからの最も類似したパターンとの間の類似度に比例することができる。
候補位置に対する類似度値は、候補位置における標的領域DRRに対する類似度値の組合せに基づくことができる。「類似度値」又は「類似性尺度」は、2つの画像が互いに類似している程度を反映する数である。例えば、2つの画像間の、1つの相互相関又は複数の相互相関の組合せを用いて、類似度値を計算することができる。標的を位置付けるための一実施形態は、標的領域DRRの追跡領域にわたって類似度マップを構築することによって進行する。類似度マップは、画像において考慮される候補位置の各々にてDRRに対する類似度値を含む。上述のような類似度値は、限定ではないが、相互相関、エントロピ、相互情報、勾配相関、パターン強度、勾配差、又は画像強度勾配法を用いて計算することができる。計算された値は、結果として得られる類似度値が0~1又は-1~1の範囲の数であるように正規化することができる。最高の類似度値を用いて、選択された角度に対する追跡品質メトリック値を生成することができる。
場合によっては、標的は、標的領域DRRに基づいて標準DRRに位置付けすることができない。例えば、標的が骨構造或いは心臓又は横隔膜などの他の高密度構造によって塞がれている場合には、標的を位置付けることができない。標的を位置付けできないことで、追跡品質メトリック基準を満たすことのできない追跡品質メトリック値を生じる可能性がある。
一部の実施形態では、追跡品質メトリック値は信頼度値である。追跡品質メトリック値は、候補位置に対する最高の類似度値に基づくことができる。追跡品質メトリック値はまた、候補位置に対する最高類似度値と他の候補位置に対する他の類似度値との間の差異に基づくことができる。最高の類似度値と他の類似度値との間の差異が、差閾値を下回る場合、これは、選択された角度から、標的に似た他の構造が患者に存在することを示している。このような類似の構造は、治療中に追跡アルゴリズムを混乱させる可能性があり、そのため信頼度値が低下する。加えて、標準DRRにおける標的の実際の位置は既知である。標的追跡アルゴリズムによって決定された位置が既知の位置と異なる場合、追跡品質メトリック値も低下する可能性がある。
ブロック312において、処理論理回路は、標的追跡アルゴリズムの結果を記録する。これは、信頼度値のような単一の追跡品質メトリック値とすることができる。代替として、標的追跡アルゴリズムの結果は、2値の成功/失敗値及び信頼度値などの複数の値を含むことができる。
ブロック314において、処理論理回路は、追跡品質メトリック値を決定する必要が依然としてある付加的な角度が存在するかどうかを判定する。存在する場合には、方法はブロック302に戻り、新しい角度が選択される。そうでなければ本方法は終了する。
図3Bは、本発明の一実施形態による、回転撮像デバイスの角度に対して追跡品質メトリック値を決定する第2の方法320を示す。方法320のブロック322において、処理論理回路が角度を選択する。選択された角度は、追跡画像を生成するのに用いることができる撮像デバイスの角度に対応する。ブロック324において、処理論理回路は、選択された角度に対してDRR(例えば、標準DRR)を生成する。ブロック325において、処理論理回路は、DRRに基づいて、選択された角度に対する1又は2以上の品質メトリック値を計算する。複数の異なる技法を用いて、品質メトリック値を計算することができ、そのうちの一部について本明細書で説明する。しかしながら、本開示は、追跡品質メトリック値を計算するために本明細書に記載される技法だけに限定されるものではない。複数の品質メトリック値を決定する場合、これらの値を組み合わせて、組み合わせた品質メトリック値にすることができる。組み合わせた品質メトリック値は、異なる品質メトリック値の重み付き又は非重み付きの組合せに基づくことができる。
一実施形態では、ブロック326において、処理論理回路は、標的と標的を囲む領域との間のコントラストを決定する。DRRを生成するのに使用されるCTスキャン(又は他の治療計画画像)に標的が描画されるので、標的の位置は既知である。コントラストは、標的と背景(周囲領域)との間の強度の差とすることができる。従って、標的内側の第1領域と標的外側の第2領域との間のコントラストは、最初に標的を位置付ける必要もなく計算することができる。
追跡品質メトリック値(又は追跡品質メトリック値に関する入力)を計算するために単独で又は組み合わせて使用することができる複数の異なるコントラスト値が存在する。決定することができる1つのコントラスト値は、輝度コントラストであり、これは、標的とその背景(周囲領域)との間の強度差を背景強度で除算したものである。計算することができる別のコントラスト値は、コントラスト対ノイズ比(CNR)である。CNRは、輝度コントラストを画像ノイズ全体の標準偏差で除算することによって計算される。ノイズの多い画像は一般に、標的の同様の視認性を提供するためにより大きなコントラストを必要とする。計算することができる他の種類のコントラストには、Weberコントラスト、Michelsonコントラスト及び2乗平均平方根(RMS)コントラストが挙げられる。
高いコントラスト値は、治療中に標的を見つけ出す確率が高いことを示す。従って、より高いコントラスト値が好ましい。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、最小許容コントラスト及び/又は最小許容コントラスト対ノイズ比を含む。最小許容コントラストは、複数の異なる角度でDRRについて計算されたコントラストの組合せ(例えば、平均値)に基づいて決定することができる。一実施形態では、最小許容コントラスト未満(及び/又は最小許容コントラスト対ノイズ比未満)のコントラスト値を有する角度は、1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たすことができない。
一実施形態では、ブロック328において、処理論理回路が標的のエッジを決定する。標的の位置は、CTスキャン(又は他の治療計画画像)内に描画され、従って既知であるので、標的のエッジは、容易に決定することができる。ブロック330において、処理論理回路は、標的のエッジに対してエッジ強度を決定する。エッジ強度は、エッジにおける画像明るさ及び/又は他の画像特性の変化を計算することによって決定することができる。一実施形態では、エッジにおける画像明るさの変化の1次微分が計算される。エッジ強度を計算するのに、他の数学的技法も使用することができる。高いエッジ強度は、治療期中に標的を見つけ出す可能性が高いことを示す。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、最小許容エッジ強度を含む。一実施形態では、最小許容エッジ強度を下回るエッジ強度値を有する角度は、追跡品質メトリック基準を満たすことができない。
前述のように、ブロック324においてDRRが生成されるCTスキャン(又は他の治療計画画像)は、描画標的を含み、また脊椎、心臓、横隔膜などの1又は2以上の付加的な描画された構造を含むことができる。一実施形態では、ブロック332において、処理論理回路は、標的とDRR内の付加的な描画構造との間に重なりがあるかどうかを判定する。描画構造間の重なりは、その角度から撮られた追跡画像において標的又は標的の一部が視認できないことを示す場合があり、治療中に使用される標的追跡アルゴリズムが標的を発見できなくなる可能性がある。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、標的と付加的な描画構造との間の最大許容重なりを含む。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、標的と付加的な描画構造との間の最小許容距離を含む。一実施形態では、描画標的と付加的な描画構造との間の重なりによって、角度に対する追跡品質メトリック値が追跡品質メトリック基準を満たすことができなくなる。
ブロック334において、処理論理回路は、1又は2以上の品質メトリック値の結果を記録する。これらの追跡品質メトリック値の各々は、組み合わせた追跡品質メトリック値に対する入力とすることができる。ブロック336において、処理論理回路は、追跡品質メトリック値が未だ決定されていない付加的な角度が存在するかどうかを判定する。存在する場合には、方法はブロック332に戻り、新しい角度が選択される。そうでなければ本方法は終了する。
図3Cは、本発明の一実施形態による、回転撮像デバイスの角度に対して追跡品質メトリック値を決定する第3の方法340を示す。方法340のブロック342において、処理論理回路が角度を選択する。選択された角度は、追跡画像を生成するのに用いることができる撮像デバイスの角度に対応する。ブロック344において、処理論理回路は、選択された角度においてCTスキャン又は他の治療計画画像における標的を通る光線をトレースする。一実施形態では、光線は、標的の重心を通過する。ブロック346において、処理論理回路は、光線がCTスキャンを横切るときに光線に対するCT値を累積する。
ブロック348において、処理論理回路は、CT値又は他の3次元又は4次元治療計画画像の値の累積に基づいて、有効深度値を生成する。有効深度値は、光線が横断した材料の合計累積密度を表す。高い有効深度値は、光線が高密度の材料を通過したことを示し、一方、低い有効深度値は、光線が低密度の材料を通過したことを示している。従って、実施形態においては、より低い有効深度値が好ましい。光線に対する有効深度値は、角度に対する追跡品質メトリック値とすることができる。或いは、光線に対する有効深度値は、追跡品質メトリック値に対する1つの入力とすることができる。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、最大許容有効深度値を含む。一実施形態では、最大許容有効深度値よりも高い有効深度値により、追跡品質メトリック値が1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たすことができなくなる。
一部の実施形態では、複数の光線が、選択された角度で標的を通ってトレースされ、有効深度値は、各光線について決定することができる。例えば、光線トレースは、標的を通る2つの光線から標的を通る全ての光線までどれに対しても実行することができる。次に、有効深度値を数学的に組み合わせて、組み合わせた有効深度値を決定することができる。一実施形態では、複数の光線の有効深度値を平均して、平均有効深度値を計算する。一実施形態では、中央有効深度値が計算される。組み合わせた有効深度値、平均有効深度値、及び/又は中央有効深度値は、追跡品質メトリック値として、又は追跡品質メトリック値への入力として使用することができる。次に、有効深度値(又は複数の有効深度値)及び/又は追跡品質メトリック値は、角度に対して記録することができる。
ブロック350において、処理論理回路は、追跡品質メトリック値を未だ決定する必要がある付加的な角度が存在するかどうかを判定する。存在する場合には、方法はブロック342に戻り、新しい角度が選択される。そうでなければ本方法は終了する。
図3Dは、本発明の一実施形態による、回転撮像デバイスの角度に対して追跡品質メトリック値を決定する第4の方法360を示す。方法360を用いて、標的に埋め込まれた追跡基準に基づいて標的を追跡する追跡品質メトリック値を決定することができる。標的は、標的に埋め込まれた複数の基準を有することができる。3次元空間での標的追跡は、その角度で撮られた画像において基準の各々が別々に視認できる角度で最適にすることができる。
方法360のブロック362において、処理論理回路が角度を選択する。選択された角度は、追跡画像を生成するのに用いることができる撮像デバイスの角度に対応する。ブロック364において、処理論理回路は、基準の位置を選択された角度でのCTスキャン(又は他の治療計画画像)の3次元空間から2次元仮想検出器平面上に投影する。投影は基準の幾何学的投影とすることができる。
ブロック366において、処理論理回路は、基準のいずれかが標的内の他のいずれかの基準と重なるかどうかを判定する。一実施形態では、基準重なり追跡品質メトリック基準は、いずれか2つの基準間に重なりが存在するか否かに基づく2値基準である。基準間に重なりが存在する場合、角度に関して基準重なり追跡品質メトリック基準を満たすことができない。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、基準間の重なりの許容量に基づく数値とすることができる。基準間の重なりが大きくなると、追跡結果が不良になる可能性があり、ひいては追跡品質メトリック値が低くなる可能性がある。
ブロック368において、処理論理回路が基準間の分離量を決定する。分離量は、各基準間で決定することができる。例えば、3つの基準が存在する場合、分離値は、第1基準と第2基準との間、第2基準と第3基準との間、及び第1基準と第3基準との間で決定することができる。或いは、分離値は、幾何学的投影における最近接の基準間で計算することができる。基準間の大きな分離量は、より良い追跡結果をもたらす可能性があるので、実施形態では好ましいとすることができる。1つの角度に対する基準間の最小分離量は、当該角度に対する追跡品質メトリック値として使用することができる。或いは、追跡品質メトリック値は、基準間の最小分離量、平均分離量、重なり量などに少なくとも部分的に基づいて、計算することができる。
ブロック369において、処理論理回路は、1又は2以上の品質メトリック値の結果を記録する。ブロック370において、処理論理回路は、追跡品質メトリック値を未だ決定すべき付加的な角度が存在するかどうかを判定する。存在する場合には、方法はブロック364に戻り、新しい角度が選択される。そうでなければ本方法は終了する。
図4は、本発明の一実施形態による、治療中に使用される回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する方法400を示す。特定の実施形態では、方法400は、方法200と実質的に同様である。具体的には、方法400の実施形態は、可動式治療寝台の複数の異なる寝台位置に対して方法200の動作を実行し、複数の寝台位置における角度に対する追跡品質メトリック値の組み合わされた結果に基づいて、角度の部分集合を選択することに対応する。
ブロック415において、処理論理回路は、撮像デバイス(例えば、図1の撮像デバイス110)により追跡画像を生成することができる複数の角度を決定する。撮像デバイスは、軸の周りに360度回転することができる回転式ガントリに取り付けることができる。画像は、撮像デバイスの可能な角度のいずれからでも撮影することができる。
ブロック418において、処理論理回路は、治療寝台の第1の寝台位置に対して複数の角度を分析する。ブロック420において、角度の分析は、第1の寝台位置に対して患者の治療計画画像の第1の複数の投影像を生成するステップを含む。投影像の各々は、撮像デバイスを位置決めすることができる種々の角度に対して生成される。一実施形態では、1度から360度までの角度に対して360個の投影像が生成される。従って、投影像は、1度おきの角度分離に対して生成することができる。或いは、例えば、5度おきの角度分離に(例えば、5度、10度、15度など)、10度おきの角度分離に、0.5度おきの角度分離になどで投影像を生成することができる。図3A~3Dに関して上述したように、複数の異なるタイプの投影像を生成することができる。生成可能な投影像の幾つかの実施例には、デジタル再構成放射線画像(DRR)、幾何学的投影像、1又は2以上の光線のレイトレースなどが挙げられる。
角度の分析は更に、ブロック425において、第1の寝台位置に対して様々な角度で生成された投影像を分析するステップを含むことができる。実行される分析は、生成された投影像のタイプに依存することができる。実行することができる種々の分析の実施例が、図3A~3Dに関して上述されている。分析に基づいて、処理論理回路は、第1の寝台位置に関して並びに投影像が生成された角度の各々で、標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。
ブロック428において、処理論理回路は、治療寝台の第2の寝台位置に対して複数の角度を分析する。一実施形態では、第1の寝台位置及び第2の寝台位置は、患者の治療期中に使用することができる寝台位置の両極端を表す。
ブロック430において、角度の分析は、第2の寝台位置に対して患者の治療計画画像の第2の複数の投影像を生成するステップを含む。角度の分析は更に、ブロック435において、第2の寝台位置に対して様々な角度で生成された投影像を分析するステップを含むことができる。実行される分析は、生成された投影像のタイプに依存することができる。実行することができる種々の分析の実施例が、図3A~3Dに関して上述されている。分析に基づいて、処理論理回路は、第2の寝台位置に関して並びに投影像が生成された角度の各々で、標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。
一部の実施形態では、付加的な寝台位置に対して複数の角度の付加的な分析を実行することもできる。このような各寝台位置について、複数の角度の各々において種々の追跡品質メトリック値を決定することができる。
ブロック440において、処理論理回路は、投影像が生成された角度の部分集合を選択する。角度は、複数の異なる寝台位置において当該角度と関係する追跡品質メトリック値に基づいて、部分集合に含めるために選択することができる。部分集合に含めるために選択される角度は、考慮されている異なる寝台位置の各々において追跡品質メトリック基準(又は複数の追跡品質メトリック基準)を満たす追跡品質メトリック値を有する。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、追跡品質メトリック閾値を含む。追跡品質メトリック閾値を満たす又は超える追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができるが、閾値を下回る追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができない。追跡品質メトリック閾値は、固定閾値又は可変閾値とすることができる。
次に、処理論理回路は、関係する追跡品質メトリック値に基づいて角度を順序付けることができる。追跡目的で使用される角度の部分集合は、複数の異なる寝台位置において最高追跡品質メトリック値を有する角度とすることができる。従って、患者の治療期中に標的を追跡するための画像を生成することを目的として、最適な角度を決定することができる。
図5は、本発明の一実施形態による、治療中に使用される回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する方法500を示す。特定の実施形態では、方法500は、方法200と実質的に同様である。具体的には、方法500の実施形態は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の複数の異なる時間に対して方法200の動作を実行し、複数の異なる時間スライスにおける角度に対する追跡品質メトリック値の組み合わされた結果に基づいて、角度の部分集合を選択することに対応する。
ブロック515において、処理論理回路は、撮像デバイス(例えば、図1の撮像デバイス110)で追跡画像を生成することができる複数の角度を決定する。撮像デバイスは、軸の周りに360度回転することができる回転式ガントリに取り付けることができる。画像は、撮像デバイスの可能な角度のいずれからでも撮影することができる。
ブロック518において、処理論理回路は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の第1の時間について複数の角度を分析する。ブロック420において、角度の分析は、第1の時間に対して患者のCTスキャン(又は他の3次元治療計画画像)の第1の複数の投影像を生成するステップを含む。投影像の各々は、撮像デバイスを位置決めすることができる異なる角度に対して生成される。一実施形態では、1度から360度までの角度に対して360個の投影像が生成される。従って、投影像は、1度おきの角度分離に対して生成することができる。或いは、例えば、5度おきの角度分離(例えば、5度、10度、15度など)、10度おきの角度分離、0.5度おきの角度分離などで投影像を生成することができる。図3A~3Dに関して上述したように、複数の異なるタイプの投影像を生成することができる。生成可能な投影像の幾つかの実施例には、デジタル再構成放射線画像(DRR)、幾何学的投影像、1又は2以上の光線のレイトレースなどが挙げられる。DRRは、CT画像(又は他の3次元治療計画画像)を通した光線の投射によってX線画像形成プロセスをシミュレートすることに基づいて、3次元CT画像(又は他の3次元治療計画画像)から生成される仮想的なX線画像である。投影像のいずれもが仮想検出器平面上に投影することができる。
角度の分析は更に、ブロック525において、第1の時間に対して様々な角度で生成された投影像を分析するステップを含むことができる。実行される分析は、生成された投影像のタイプに依存することができる。実行することができる種々の分析の実施例について、図3A~3Dに関して上述されている。分析に基づいて、処理論理回路は、第1の時間に対して並びに投影像が生成された角度の各々にて、標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。
ブロック528において、処理論理回路は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の第2の時間について複数の角度を分析する。一実施形態では、第1の時間及び第2の時間は、患者の治療期中に達成することができる位置及び/又は回転の両極端を表す。標的は、治療期中に運動を生じることがある。4次元CTスキャンは、ある時間間隔にわたって標的の運動を捕捉することができ、当該捕捉された運動は、治療期中に標的が生じる可能性が高い運動に対応することができる。従って、標的の運動全体にわたって最適となる角度を特定し選択することが有益とすることができる。標的が生じる可能性がある運動の一部のタイプは周期的運動である。例えば、患者の肺領域に位置する標的は、患者の吸気及び呼気に伴って移動し、形状を変え、及び/又は回転することがある。
ブロック530において、角度の分析は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の第2の時間に対して患者のCTスキャン(又は他の治療計画画像)の第2の複数の投影像を生成するステップを含む。角度の分析は更に、ブロック535において、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の第2の時間に対して様々な角度で生成された投影像を分析するステップを含むことができる。実行される分析は、生成された投影像のタイプに依存することができる。実行することができる種々の分析の実施例が、図3A~3Dに関して上述されている。分析に基づいて、処理論理回路は、第2の時間に対して並びに投影像が生成された角度の各々で、標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。
一部の実施形態では、4次元CTスキャン又は他の4次元治療計画画像の付加的な時間に対して複数の角度の付加的な分析を実行することもできる。このような各時間スライスについて、複数の角度の各々で種々の追跡品質メトリック値を決定することができる。
ブロック540において、処理論理回路は、投影像が生成された角度の部分集合を選択する。角度は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の複数の異なる時間において当該角度と関係する追跡品質メトリック値に基づいて、部分集合に含めるために選択することができる。部分集合に含めるために選択される角度は、考慮されている異なる時間の各々において追跡品質メトリック基準(又は複数の追跡品質メトリック基準)を満たす追跡品質メトリック値を有する。一実施形態では、追跡品質メトリック基準は、追跡品質メトリック閾値を含む。追跡品質メトリック閾値を満たす又は超える追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができるが、閾値を下回る追跡品質メトリック値に関係する角度は、部分集合に含めることができない。追跡品質メトリック閾値は、固定閾値又は可変閾値とすることができる。
次に、処理論理回路は、関係する追跡品質メトリック値に基づいて角度を順序付けることができる。追跡目的で使用される角度の部分集合は、4次元CTスキャン(又は他の4次元治療計画画像)の複数の時間において最高追跡品質メトリック値を有する角度とすることができる。従って、治療期中に標的が生じる可能性のある周期的運動の異なる段階で標的を追跡するための画像を生成することを目的として、最適な角度を決定することができる。
図6Aは、本発明の一実施形態による、移動標的の治療中に使用される回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する方法600を示す。一実施形態では、方法600は、方法200のブロック228の後に実行される。
方法600のブロック605において、処理ロジックは、標的の運動モデルを生成する。運動モデルは、周期的運動(例えば、呼吸に伴って生じる運動)又は準静的運動の場合とすることができる。準静的運動は、予測可能な偶発的態様で緩やかに生じる運動である。準静的運動を生じる可能性のある標的の一例は前立腺である。運動モデルは、特定タイプの標的が一般的にどのように動くかに関する統計情報に基づいて生成することができる。例えば、前立腺の運動に対して、多くの患者の前立腺がどのように動くように検出されているかに関する統計情報に基づいて、統計的運動モデルを生成することができる。運動モデルは、代替的に又は付加的に、標的の運動を示す患者の4次元CTスキャン又は4次元磁気共鳴画像(MRI)画像などの付加的な情報に基づくことができる。
ブロック610において、処理論理回路は、運動モデルから標的の未来の運動を推定する。ブロック615において、処理論理回路は、CTスキャン又は他の治療計画画像における標的に対して推定された未来の運動を適用することに基づいて、標的の推定された未来の位置及び向き(並びに場合によってはサイズ及び/又は形状)を決定する。ブロック620において、処理論理回路は、複数の角度の各角度に対して、推定された未来の位置及び向きを有する標的の追跡に関する第2の追跡品質メトリック値を決定する。ブロック630において、処理論理回路は、1又は2以上の追跡品質判定基準を満たす追跡品質メトリック値を有する角度の部分集合のうちの第2の部分集合を決定する。第2の部分集合は、部分集合内の角度の全てよりも少なく含む可能性のある、別の部分集合とすることができる。第2の部分集合は、追跡品質メトリック基準も満たす第2の追跡品質メトリック値を備えた角度を含む。
図6Bは、本発明の一実施形態による、運動モデルに基づいて角度に対する追跡品質メトリック値を決定する方法650を示す。方法650は、例えば、方法200のブロック218にて実行される。
方法650のブロック655において、処理論理回路は標的の運動モデルを生成する。運動モデルは、周期的運動(例えば、呼吸に伴って生じる運動)又は準静的運動の場合とすることができる。運動モデルは、特定タイプの標的が一般的にどのように動くかに関する統計情報に基づいて生成することができる。例えば、前立腺の運動に対して、多くの患者の前立腺はどのように動くことが検出されているかに関する統計情報に基づいて、統計的運動モデルを生成することができる。運動モデルは、代替的に又は付加的に、標的の運動を示す患者の4次元CTスキャン又は4次元治療計画画像などの付加的な情報に基づくことができる。
ブロック658において、処理論理回路は、標的の位置的極値に基づいて複数の角度に対する追跡品質メトリック値を決定することができる。一実施形態では、ブロック660において、処理論理回路は、複数の角度の各角度について運動モデルから標的の第1の位置及び第2の位置を推定する。第1の位置及び第2の位置は、運動モデルの両極端に存在することができる。例えば、運動モデルが肺における標的の運動のものである場合、第1の位置は、完全吸気状態とすることができ、第2の位置は、完全呼気状態とすることができる。
一実施形態では、ブロック665において、処理論理回路は、複数の角度の各角度について、第1の位置に対する第1の追跡品質メトリック値と第2の位置に対する第2の追跡品質メトリック値とを決定する。次に、ブロック670において、処理論理回路は、複数の角度の各角度について、第1の位置に対する第1の追跡品質メトリック値と第2の位置に対する第2の追跡品質メトリック値とに基づいて、組み合わせた追跡品質メトリック値を決定することができる。一実施形態では、組み合わせた追跡品質メトリック値は、2つの追跡品質メトリック値の平均である。一実施形態では、組み合わせた追跡品質メトリック値は、2つの別々の追跡品質メトリック値として維持され、これらの追跡品質メトリック値の各々は、追跡品質メトリック基準に対して別々に比較される。
一実施形態では、ブロック680において、処理論理回路は、複数の角度の各々において運動感度に基づいて追跡品質メトリック値を決定する。一実施形態では、ブロック685において、処理論理回路は、複数の角度の各々に関して標的の運動に対する感度を決定する。1つの角度に関する運動感度を決定するステップは、当該角度で検出可能な運動の量を決定するステップを含むことができる。例えば、処理論理回路は、標的に対する運動の主軸を決定することができる。運動の主軸に略直交する角度は、標的に対する最大量の運動を検出することができる。例えば、顕著な前後方向運動を有する標的の運動は、前後の撮像角度ではなく、左右の撮像角度から生成された画像において最も視認性が高いとすることができる。
次いでブロック690において、処理論理回路は、複数の角度の各角度について、当該角度における標的の運動に対する感度に基づいて(例えば、当該角度で検出可能な運動の量に基づいて)、追跡品質メトリック値を決定することができる。高い運動感度(多量の検出可能な運動)は、治療中にある角度から標的の運動が捕捉される可能性が高いことを示すので、標的追跡精度を高めることができる。従って、高い運動感度は、高い追跡品質メトリック値をもたらすことができる。
数多くの異なる追跡品質メトリック値及び追跡品質メトリック値に対する入力について、図2~6Bに関して本明細書で説明してきた。しかしながら、実施形態は、本明細書に記載した追跡品質メトリック値及び入力に限定されない点を理解されたい。これらの追跡品質メトリック値及び/又は追跡品質メトリック値に対する入力は、互いに及び/又は他の入力及び/又はメトリックと何らかの組み合わせで結合することができる。例えば、単独で又は本明細書で説明した他の追跡品質メトリック値入力のいずれかと併せて使用することができる追跡品質メトリック値に対する入力は、角度に関係する投影像の視野(FOV)に基づくことができる。治療アイソセンタに対する標的の位置に起因して、異なる角度に対する投影像のFOVは、変化する可能性がある。大きなFOVは、より多くの情報を提供するので、好ましいとすることができる。従って、1つの追跡品質メトリック基準は、FOVサイズ閾値とすることができる。特定の角度に関係する投影像のFOVがFOVサイズ閾値を下回る場合、当該角度に対する追跡品質メトリック値は、減少させることができ、及び/又は追跡品質メトリック値は、追跡品質メトリック基準を満たすことができない可能性がある。
図7~9Cは、治療期のアライメントフェーズ及び/又は治療フェーズ中に使用する角度を選択する様々な方法を示すフローチャートである。従って、実施形態において治療時の角度選択のために、図7~9Cの方法を使用することができる。これらの方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理回路、プログラマブル論理回路、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、ハードウェアシミュレーションを行うために処理デバイス上で実行される命令)、又はこれらの組み合わせを含むことができる処理論理回路によって実行することができる。図7~9Cの方法は、実施形態において治療計画システム(例えば、図1の治療計画システム118)の処理論理回路及び/又はIGRT送達システム(例えば、図1のIGRT送達システム104)の処理論理回路によって実行することができる。
図7~9Cの方法は、例えば、治療寝台(及び患者)の周りを360度(例えば、360度の円弧で)回転することができる回転撮像デバイスを含むIGRT送達システムによって実行することができる。一部の実施形態では、回転撮像デバイスは、放射線治療源もまた取り付けられた回転式ガントリに取り付けられる。別の実施形態では、回転撮像デバイスは、取り付けられる放射線治療源を含まない回転式ガントリ又はリングに取り付けられる。一実施形態では、IGRT送達システムは、図10A~10Cに示すようなガントリベースのIGRT送達システムである。図10A~10CのガントリベースIGRT送達システムは、ヘリカル送達放射線療法装置の一種である。ヘリカル送達放射線療法装置の場合、患者を保持する治療寝台は、治療中に撮像デバイス及び放射線治療源が取り付けられた回転ガントリを通過することができる。一実施形態では、IGRT送達システムは、図12に示すようなロボットアームベースのIGRT送達システムである。
一部の実施態様では、方法200~650のうちの1又は2以上は、治療期に先立って(例えば、治療計画中に)実行することができ、方法200~650のうちの1又は2以上が実行された後で、治療期に対して図7~9Cのうちの1又は2以上の方法を実行することができる。或いは、例えば最初に方法200を実行することなく、図7~9Cのうちの1又は2以上の方法を実行することができる。
治療期のアライメントフェーズは、IGRT送達システムに対して患者をアライメントするステップを伴う。患者は、治療寝台上に載置することができ、様々な角度で撮像デバイスによって患者の1又は2以上の画像を撮影することができる。標的の追跡に運動モデルが使用されることになる場合、アライメントフェーズはまた、様々な角度から撮影された追跡画像に基づいて運動モデルを生成するステップ、及び/又は追跡画像に基づいて以前に生成された運動モデルを更新するステップを含むことができる。例えば、第1の角度で患者の第1の連続画像を撮影して、第1の角度から周期的運動の異なるフェーズを捕捉することができ、第2の角度で患者の第2の連続画像を撮影して、第2の角度から周期的運動の異なるフェーズを捕捉することができる。その後、これらの画像を用いて運動モデルを生成又は更新することができる。
図7は、本発明の一実施形態による、治療期のアライメントフェーズ又は治療フェーズ中に回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する方法700を示す。
方法700のブロック705において、処理論理回路は、追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する角度の集合を決定する。一実施形態では、ブロック705において、方法200~650のうちの1又は2以上を実行して、角度の集合を決定する。或いは、方法200~650のうちの1又は2以上は、治療計画中に前もって実行することができることができる。このような場合、角度の集合を決定するステップは、角度の集合を含むリストを受け取るステップ及び/又は当該リストをレビューするステップを含むことができる。追加として又は代替として、角度の集合は、患者の以前の治療期で良好に使用された角度に少なくとも部分的に基づくことができる。例えば、処理論理回路は、患者に対する様々な治療期の間に良好に使用された角度のヒストグラムを構築することができる。この情報を用いて、角度の集合内の角度に対する追跡品質メトリック値を調整することができる。例えば、処理論理回路は、一部の実施形態において以前の治療期で良好に使用された角度に対して追跡品質メトリック値を増大することができる。処理論理回路は、他の方法においても角度集合からの他の角度よりも良好に使用された角度を優先することができる。
ブロック710において、処理論理回路は、標的の治療期(治療分画とも呼ぶ)に対するアライメントフェーズ又は治療フェーズを開始する。方法700は、アライメントフェーズ中及び一部の実施形態では治療期中に再度実行することができる。
ブロック715において、処理論理回路は、撮像デバイスが取り付けられた回転式ガントリの第1の回転に対して、角度の集合から第1の角度を選択する。一実施形態では、第1の角度は、最高追跡品質メトリック値を有する、角度の集合からの角度である。一実施形態では、第1の角度は、第1の角度範囲(例えば、30~60度)内にあり、当該角度範囲で最高追跡品質メトリック値を有する、角度の集合からの角度である。ブロック720において、回転式ガントリに取り付けられた撮像デバイスは、ガントリの第1の回転中に第1の角度から標的の第1の追跡画像を生成する。
ブロック725において、処理論理回路は、撮像デバイスが取り付けられた回転式ガントリの第1の回転に対して、角度の集合から第2の角度を選択する。一実施形態では、第2の角度は第1の角度から少なくとも15度だけ離れている(例えば、第1の角度は15度とすることができ、第2の角度は30度以上とすることができる)。別の実施形態では、第2の角度は第1の角度から少なくとも30度だけ離れている。別の実施形態では、第2の角度は第1の角度から約70~110度だけ(例えば、一実施形態では約90度だけ)離れている。一実施形態では、第2の角度は、角度の集合で2番目に高い追跡品質メトリック値を有する。一実施形態では、第2の角度は、少なくとも角度分離閾値(例えば、少なくとも15度、少なくとも30度、少なくとも60度など)だけ第1の角度から離れている角度の集合の部分集合で最高追跡品質メトリック値を有する。
ブロック730において、回転式ガントリに取り付けられた撮像デバイスは、ガントリの第1の回転中に第2の角度から標的の第2の追跡画像を生成する。
ブロック735において、処理論理回路は、第1の追跡画像及び第2の追跡画像に基づいて標的の追跡を実行することができる。場合によっては、標的の追跡を実行するステップは、追跡画像を用いて標的に対する運動モデルを生成又は更新するステップを含むことができる。また、回転式ガントリの第1の回転中に、標的の付加的な追跡画像を生成するために付加的な角度を選択し使用することができる。付加的に又は代替的に、第1及び第2の角度及び/又は異なる角度は、付加的な追跡画像を生成するために回転式ガントリの将来の回転中に使用することができる。これらの付加的な追跡画像を用いて、標的を追跡し続けることができる。例えば、2つの角度(例えば、任意選択的に約90度だけ離れている)を選択して、回転式ガントリの回転毎に使用することができる。別の例では、3つの角度(例えば、任意選択的に約60度だけ離れている)を選択して、回転式ガントリの回転毎に使用することができる。別の実施例では、4以上の角度を選択して、回転式ガントリの回転毎に使用することができる。
一実施形態では、標的追跡を実行するために、処理論理回路は、撮像角度で撮られた追跡画像と患者のCTスキャン又は他の治療計画画像の対応する角度から生成されたDRRとの間の画像レジストレーションを実行する標的追跡アルゴリズムを適用する。画像レジストレーションに基づいて、標的追跡アルゴリズムは、標的の位置並びに標的の形状を決定することができる。
一実施形態では、処理論理回路は、標的追跡アルゴリズムを適用して、例えばDRRなどの第2の画像から選択されたパッチのテンプレートによって表される第2の基準フレームに対して、例えば治療室の基準フレームで撮像デバイスから取得されたライブX線写真などの追跡画像によって表される第1の基準フレームにおける標的の位置を決定し、この場合、標的の位置及び形状は、第2の基準フレームにおいて既知又は規定されている。テンプレートパッチは、第1の画像における標的の特徴を近傍の構造から区別するその認識能力に基づいて選択される。第1の画像における標的の位置は、標的に対する幾つかの仮想位置又は候補位置の各々とテンプレートパッチとの間の類似度値を計算することによって見つけ出される。類似度値の最大値は、第1の画像における標的の位置を示す。
候補位置に対する類似度値は、その候補位置における各テンプレートパッチに対する類似度値の組み合わせに基づくことができる。「類似度値」又は「類似性尺度」は、2つの画像が互いに類似している程度を反映する数である。例えば、2つの画像間の1つの相互相関又は幾つかの相互相関の組み合わせを用いて、類似度値を計算することができる。この類似度値の組み合わせには、テンプレートパッチ間での、標的に関する情報内容の相対的重要度に従って重み付けすることができる。一実施形態では、候補位置に対する類似度値、又はテンプレートレベル類似度値は、候補位置におけるテンプレートパッチの類似度値、又はパッチレベル類似度値の加重和である。例えば、適用される重み付けは、パッチにおける画素値の標準偏差とすることができる。そのため、テンプレートレベルの類似度値を計算するときには、標準偏差が大きいパッチほど大きな重みが与えられる。パッチレベル類似度値の他の数値的な組み合わせ及び/又は重み付けを用いて、テンプレートレベル類似度値を計算することもできる。
標的を位置付けるための一実施形態は、最初に、各パッチの追跡領域にわたってパッチレベル類似度マップを構築することによって進行する。各パッチレベル類似度マップは、画像で考慮される候補位置の各々におけるパッチに対する類似度値を含む。次に、パッチレベル類似度マップをテンプレートにおける空間的関係に従って組み合わせて、グローバル類似度マップを生成する。パッチレベル類似性マップの組み合わせは、各パッチレベル類似性マップにおける類似度値の加重和とすることができる。
標的を位置付けるための代替実施形態では、候補位置に対するテンプレートレベル類似度値は、次の候補位置に進む前に決定される。従って、この代替方法では、パッチレベル類似度マップは使用されない。或いは、テンプレートが1つの候補位置から別の候補位置に移動するときに、グローバル類似度マップにおける候補位置には、テンプレートレベル類似度値が取り込まれる。
上述のような類似度値は、限定ではないが、相互相関、エントロピ、相互情報、勾配相関、パターン強度、勾配差、又は画像強度勾配法を用いて計算することができる。計算された値は、結果として得られる類似度値が0~1又は-1~1の範囲の数になるように正規化することができる。
図8は、本発明の一実施形態による、患者治療に関する治療期の治療フェーズ中の回転撮像デバイスよる角度の集合を使用する方法800を示す。ブロック805において、処理論理回路は、治療期中に追跡画像を生成するのに使用する候補となる角度の集合を決定する。角度の集合は、角度の集合を含む受け取りリスト(例えば、最高追跡品質メトリック値から最低の追跡品質メトリック値まで角度をランク付けする順序付きリスト)に基づいて決定することができる。代替的に又は付加的に、角度の集合は、方法200~650のうちの1又は2以上の動作を実行することによって決定することができる。
ブロック810において、処理論理回路は、ガントリの第1の回転に対して、角度の集合から第1の角度を選択する。第1の角度は、最高追跡品質メトリック値を有する角度とすることができ、又は最高追跡品質メトリック値を有する回転範囲内の角度(例えば、角度0~90度)とすることができる。ブロック815において、処理論理回路は、ガントリの第1の回転中に、選択された角度から標的の追跡画像を撮像デバイス(例えば、X線源と検出器の対)に生成させる。ブロック820において、処理論理回路は、少なくとも部分的に追跡画像に基づいて標的追跡を実行しようとする。一実施形態では、治療期の治療フェーズ中及び/又はアライメントフェーズ中に、1又は2以上の以前の画像が既に撮影済みである場合がある。このような場合、標的追跡は、第1の画像と1又は2以上の以前の画像とに基づいて実行することができる。
ブロック825において、処理論理回路は、第1の追跡画像を用いて追跡が成功したかどうかを判定する。第1の画像において標的が成功裏に特定された場合、追跡は成功とすることができる。追跡が成功した場合、方法はブロック830に進む。
ブロック830において、処理論理回路は、治療期が完了したかどうかを判定する。治療期が完了した場合、方法は終了する。治療期が完了していない場合には、方法は、ブロック810に戻り、別の角度が選択されて、これを用いて別の追跡画像を生成する。他の追跡画像は、回転式ガントリの第1の回転中又は回転ガントリの後続の回転中に生成することができる。
ブロック825において、追跡が成功しなかったと判定された場合、方法はブロック835に進む。標的追跡アルゴリズムが追跡画像で標的を特定することができない場合、追跡は失敗とすることができる。ブロック835において、処理論理回路は、次の追跡画像を撮影すべき時間窓を決定する。標的追跡を実行して、標的の運動モデルを更新することができる。標的追跡が最新の追跡画像に対して失敗した場合、運動モデルに関してより古い追跡画像に引き続き依存することができる。しかしながら、時間の経過と共に、更新された追跡画像なしでは、運動モデルの精度が低下する可能性がある。時間窓のサイズは、運動モデルの精度が経時的にどれほど急速に低下するかに依存することができる。例えば、標的が準静的運動に影響され易い場合、運動モデルの精度が急速に低下する可能性がある。標的が周期的運動に影響され易い場合、運動モデルの精度はより緩やかに低下する可能性がある。
準静的運動モデル(偶発的運動モデルとも呼ぶ)は、最後に視認された位置に静止位置を有するものとして標的をモデル化する。標的が撮像される度に、標的位置は新たに観察された位置に更新され、その後は新しい位置が検出されるまで当該位置に留まるとされる。準静的運動モデルの典型的な撮像時間窓は、線量送達速度、並びに偶発的運動の予想振幅、偶発的運動の予想確率、及び極めて敏感な器官又は危険な状態にある器官からの治療標的の距離などの他の臨床要因に応じて、約1~30秒とすることができる。
周期的運動モデル(周期運動モデルとも呼ぶ)は、呼吸又は拍動する心臓によって引き起こされるような周期的運動を通して連続的に動くものとして標的をモデル化する。周期運動モデルの場合、時間窓は、約5~120秒程度とすることができる。時間窓は、患者の特性に応じて変わることがある。例えば、時間窓は、一部の患者については約15~60秒とすることができ、別の患者については約90~120秒とすることができる。一例では、患者が極めて規則正しく呼吸し、リラックスし、並びに自発的に動いたり咳をしたりしない場合、運動モデルは、治療全体を通して極めて最小限の調整を用いることができ、従って、約90~120秒の窓を使用することができる。
ブロック840において、処理論理回路は、角度集合からの別の角度が時間窓内で利用可能となるかどうかを判定する。回転ガントリは、所定の速度で回転することができる。例えば、回転式ガントリは、毎分2回転、毎分5回転、毎分10回転、毎分15回転、毎分20回転、又はそれを超える速度で回転することができる。角度集合から利用可能な角度の数は、回転速度及び時間窓のサイズによって変わることができる。
一例として、時間窓が2秒であり、最新の追跡画像について追跡が失敗したときに撮像デバイスは5度の角度にあり、回転ガントリが毎分5回転の速度で回転し、角度集合での次の角度は38度であると仮定する。毎分5回転の回転速度では、回転ガントリは毎秒30度回転している。従って、角度集合での次の角度、38度は時間窓内で利用可能となる。一方、次の角度が80度の場合、次の角度は時間窓の外側となる。時間窓で1つの角度が利用可能な場合、方法はブロック845に進み、ブロック845で治療が継続されて、方法はブロック810に戻り、別の角度を選択する。そうでなければ、方法はブロック850に進む。
多くの場合、時間窓内で複数の角度が利用可能になる。例えば、毎分10回転の回転速度では、撮像デバイスは6秒毎に全360度を掃引する。従って、その回転速度では6秒の時間窓により、角度集合の全ての角度が利用可能になる。複数の角度が利用可能な場合、ブロック810において、処理論理回路は、時間窓内で利用可能である利用可能角度のうちの1つを選択する。一実施形態では、最高追跡品質メトリック値を備えた角度が選択される。一実施形態では、時間的に次の角度が選択される。一実施形態では、次の角度は、各角度が利用可能になる時間とこれらの角度の追跡品質メトリックとの組み合わせに基づいて選択される。一実施形態では、標的が成功裏に追跡された最後の追跡画像の角度も考慮される。例えば、最後に成功した追跡画像の角度から90度離れた角度を選択することが好ましい場合がある。一部の実施形態では、次の撮像角度の選択のために、複数の以前の追跡画像が考慮される。例えば、患者の呼吸フェーズをほとんどカバーする画像が存在する場合、本システムは、画像が最近生成されていない呼吸フェーズに対応する角度で撮影されることになる次の画像を選択することができる。
ブロック850において、治療が中断される。これは、回転式ガントリの回転を停止するステップ及び/又は放射線治療ビームの送達を停止するステップを含むことができる。中断の間、標的が成功裏に位置付けられるまで、標的の1又は2以上の付加的な追跡画像を生成することができる。更に、標的の運動モデルを更新することができる。その後、治療を継続することができ、方法は、ブロック810から再開することができる。
図9A~9Cは、追跡画像を撮影することができる角度の集合を選択する様々な方法を示す。これらの方法は、方法800のブロック805及び/又は方法700のブロック705において、単独で又は組み合わせて使用することができる。
図9Aは、本発明の一実施形態による、治療期中に回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する第1の方法900を示す。方法900のブロック905において、処理論理回路は、治療計画中に1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する候補角度の初期リストを受け取る。ブロック910において、処理論理回路は、撮像デバイスに、候補角度の初期リストのうちの1又は2以上の角度から標的の治療前画像を生成させる。これらの治療前画像は、治療期のアライメントフェーズ中に生成することができる。ブロック915において、処理論理回路は、治療前画像に基づいて治療期に対する候補角度の初期リストの部分集合を決定する。例えば、処理論理回路は、候補角度の10%~50%をサンプリングし、これらのサンプリングされた角度について追跡品質メトリック値を更新することができる。処理論理回路は更に、サンプリング角度に対する変化に基づいて、非サンプリング角度に対する変化を補間することができる。
図9Bは、本発明の一実施形態による、治療期中に回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する第2の方法920を示す。方法900のブロック925において、処理論理回路は患者内の標的のCTスキャン又はMRIスキャンを実行する。ブロック930において、処理論理回路は、CTスキャン又はMRIスキャン画像における標的の描画を受け取る。
ブロック935において、処理論理回路は、複数の角度から標的のX線画像を生成する。ブロック940において、処理論理回路は、複数の角度の各角度に対して、当該角度で生成されたX線画像の分析に基づいて標的追跡に関する追跡品質メトリック値を決定する。追跡品質メトリック値は、追跡品質メトリック値を生成するために標準DRRではなくX線が使用されることを除いて、前述の技法のいずれかを使用して決定することができる。次に、ブロック945において、処理論理回路は、1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する複数の角度の部分集合を選択する。
図9Cは、本発明の一実施形態による、治療期中に回転撮像デバイスが用いる角度の集合を選択する第3の方法950を示す。方法950のブロック955において、処理論理回路は、治療計画中に1又は2以上の追跡品質メトリック基準を満たす追跡品質メトリック値を有する候補角度の初期リストを受け取る。ブロック960において、処理論理回路は2又は3以上の候補角度から標的の複数のX線画像を生成する。ブロック965において、処理論理回路は複数の画像から標的の運動モデルを生成する。運動モデルはまた、一部の実施形態では、特定タイプの標的が経時的にどのように移動する可能性が高いかを記述する一般統計的運動モデルに少なくとも部分的に基づくことができる。ブロック970において、処理論理回路は、候補角度のリスト内の各角度に対して、当該角度における運動感度を決定する。次に、処理論理回路は、運動モデルにおいて表される標的の運動に対して最も敏感な治療期に関する候補角度の初期リストの部分集合を決定する。
図10A~10Cは、1又は2以上の実施形態に従って、図1のIGRT送達システム104に関して上述した機能を実行することができるIGRT送達システム1000を示す。IGRT送達システム1000は、様々な実施形態において、方法200~950で言及したIGRT送達システムとすることができる。図10Aは、一実施形態によるガントリベースの画像誘導放射線治療(IGRT)システム100の軸方向断面図を示す。図10Bは、一実施形態による、ガントリベースIGRT送達システム1000の側断面図を示す。図10Cは、一実施形態による、IGRT送達システム1000の回転式ガントリ構造の斜視図を示す。
IGRT送達システム1000は、ガントリフレーム1002を含み、その内部には、アイソセンタ1016を通過する回転軸1014の周りを回転するように構成された回転式ガントリ構造1004が配置される。図示の実施例では、回転式ガントリ構造1004は、時計回り方向1099に回転する。しかしながら、回転式ガントリ構造は反時計回り方向に回転してもよい。IGRT送達システム1000と関係するのは、回転軸1014に直交し且つアイソセンタ1016を通過する、本明細書では横断アイソセンタ平面1017と呼ぶ虚数平面である。ガントリフレーム1002、アイソセンタ1016、回転軸1014、及び横断アイソセンタ平面1017は、IGRT送達システム1000が設置された治療ヴォールト(図示せず)に対して固定され静止することができる。本明細書で使用する場合、アイソセンタ又はマシンアイソセンタは、治療室(治療ヴォールト)内の物理的な点である。治療センタは、治療計画中に医師によって規定される標的体積内の点であり、通常は、治療前の治療計画画像基準フレーム(例えば、治療前CT画像基準フレーム)内にある。アイソセンタ治療のために、上述のセットアップ手順の間に治療センタは、マシンアイソセンタとアライメントすることができる。
回転式ガントリ構造1004は、1又は2以上のビーム部材1006を含み、その各々は、横断アイソセンタ平面1017の両側にほぼ配置された第1のリング部材1008と第2のリング部材1009との間に延びる。ビーム部材の両端は180度離れることができ、又は離れていなくてもよい点に留意されたい。線源と検出器をシフトさせることによって、視野を増大させることができる。第1のリング部材1008は、回転式ガントリ構造1004の第1の端部に(図10Bの左方に)概ね対応するが、第2のリング部材1009は、回転式ガントリ構造1004の第2の反対の端部に(図10Bの右方に)概ね対応する。第1及び第2のリング部材1008及び1009は、回転軸1014を極めて安定で静止した状態に保ちつつ、回転式ガントリ構造1004の回転軸1014周りの回転を可能にし容易にする様にして、ガントリフレーム1002の対応する端部によって回転式ガントリ構造1004のそれぞれの端部で支持される。当業者は、このような回転を可能にする様々な異なる機械的支持機構のいずれかを使用できることは理解されるであろう(例えば、減摩スリーブ、滑り軸受け、ころ軸受けなど)。当業者であれば、ガントリフレーム1002は、このような機械的安定性を確保するために、使用される特定の材料及び他の設計考慮事項に従って、図10Bに概略的に示すものよりも実質的に厚く、或いは別の方法でそれぞれの端部を補強することができることを理解しよう。
回転式ガントリ構造1004は、回転軸1014の周りに約180度だけ離れた2つのビーム部材1006を含むことができ、これは(限定ではなく例証として)、(例えば、対向するビーム部材1006に適切なバランシングウェイトを与えることによって)回転バランスを促進するのに有用である。本明細書で使用するビーム部材という用語は、1つの箇所から別の箇所へ構造的に延伸することができ、それに沿って1又は2以上の物理的アイテム(例えば、LINAC、LINAC組立体、撮像線源、撮像検出器など)を固定して又は可動式に取り付け又は位置決めすることができる、様々な異なるタイプの構造部材(例えば、中実ロッド、中空ロッド、平行又は同心ロッドの組立体、トラス型構造など)を包含することができる点を当業者であれば理解されるであろう。
ビーム部材1006のうちの1つに可動式に取り付けられるのは、例えば、限定ではなく、線形加速器(LINAC)又は小型陽子源などの放射線治療源1010(治療用照射ヘッドとも呼ぶ)であり、これは、マルチリーフコリメータ(MLC)などのエンドコリメータをその上に含み、治療用照射ビーム1003を供給する。放射線治療源1010は、以下で更に説明する並進及び回転機能を得るように構成され適合された結合デバイス1007によってビーム部材1006に取り付けられる。
一実施形態では、放射線治療源1010は、偏向磁石のないコンパクトな構成のXバンド又はCバンドLINACなど、小型で軽量のLINACを備える。これにより、全ての可動構成要素が固定表面被覆(例えば、ボアシールド)の背後にあるコンパクトなシステム設計が可能になり、従って、患者の衝突の危険性が排除され、より高い回転速度が可能になる。別の代替実施形態では、小型加速器は、偏向磁石を含むことができる。
放射線治療源1010は、固定コーン、Iris可変開口コリメータ(Accuray Incorporated社、カリフォルニア州サニーベール)などの可変開口コリメータ、バイナリコリメータ、又はMLCを含む、異なる2次コリメーションシステム1012で構成されたLINACとすることができる。
回転式ガントリ構造1004及び放射線治療源1010は、中央ボア1018が存在できるような寸法にされる。中央ボア1018は、ガントリが患者Pの周りに照射ヘッド1010を回転させるときに、放射線治療源1010又は他の機械的構成要素に偶発的に接触する可能性がなく、患者Pが通過するよう位置決めすることができる十分な開口部とすることができる。治療寝台1022は、患者Pを支持するのに設けられる。治療寝台1022は、患者Pを治療位置に移動させ、患者を3又は4以上の自由度(例えば、3つの直交並進、すなわち、1つが回転軸1014に平行で、2つが回転軸1014に直交する並進、並びに任意選択的に1又は2以上の回転)を有して操作するために、自動患者位置決めシステム(図示せず)に結合することができる。当業者であれば、本発明の実施形態に従って多くの寝台を使用できることが理解されるであろう。
一実施形態によれば、中央ボア1018の境界を裏打ちするために、円筒形状のボアシールド1020が設けられる。患者の手又は他の身体部分の予期せぬ動きによる可動部分との衝突を防止することに加えて、ボアシールド1020は、デバイス内の大きな可動部分から患者が感じる可能性がある威圧感を軽減することができる。ボアシールド1020は、依然として全ての規制上の安全要件を満たしながら、ガントリの回転速度を最大限にする能力を提供する。ボアシールド1020は、治療用及び撮像用の放射線に対して実質的に透過性の材料で形成すべきであり、任意選択的には、可視的に不透明とすることもできる。
一実施形態によれば、放射線治療源1010は、(i)ビーム部材1006に沿った放射線治療源1010の並進(すなわち、第1のリング部材1008と第2のリング部材1009との間を端部から端部まで)と、(ii)本明細書では主枢軸と呼ぶ第1の枢軸M1の周りの放射線治療源1010の枢動と、(iii)本明細書では副枢軸と呼ぶ、M1に対して直角に位置する第2の軸M2の周りの放射線治療源1010の枢動と、を可能にし容易にするようにして、ビーム部材1006に取り付けられる。好ましくは、軸M1及びM2は各々、放射線治療源1010の重心(CoM)を通り、該重心は、治療用照射ビーム1003の軸に沿った位置にある。全体として、軸M1周りの主枢動及び軸M2周りの副枢動は、放射線治療源1010のジンバル又はジンバリング運動と見なすことができる。
当業者は、IGRT送達システム1000が、本開示において上記及び下記に記載する機械的機能性を達成するために様々なタイプの複数のアクチュエータ(図示せず)を更に含むことは、理解されるであろう。従って、例えば、IGRT送達システム1000は、回転軸1014周りの回転式ガントリ構造1004の回転、ビーム部材1006に沿った放射線治療源1010の軸方向並進、放射線治療源1010のM1枢動、及び放射線治療源1010のM2枢動を達成するために、それぞれの作動デバイス(図示せず)を含む。IGRT送達システム1000は更に、本開示において上記及び下記の機能性を達成するために、様々なアクチュエータを制御し、任意選択的に様々な列挙した放射線源及び検出器との間で信号を送信するため、1又は2以上のプログラム可能なコンピュータ上に実装することができるような1又は2以上の処理デバイス及び/又は制御ユニットを含む。
有利なことに、放射線治療源1010の軸方向並進、M1枢動、及びM2枢動の組み合わせによって提供される可能性のおかげで、本明細書で論じるように、IGRT送達システム1000によって多種多様な放射線治療送達計画が可能とされる。同時に、回転式ガントリ構造1004のリング様式の機械的性質(より詳細には「バレル様式」の機械的性質と呼ぶことができる)のおかげで、放射線治療源の支持が片持ち式の性質のものである手法と比べて、より高度な機械的安定性を提供することができる。一般的に言えば、達成可能なチルト角の範囲(すなわち、治療用照射ビームがアイソセントリックであるときの治療用照射ビーム1003と横断アイソセンタ平面1017との間の角度)に明確に影響を及ぼすことに加えて、リング部材間の端部から端部までの距離の増大は、デバイスの機械的安定性に影響を与える。
「ガントリを回転させる」又は「ガントリ回転」という表現は、回転式ガントリ構造1004の回転を指す。有利なことに、IGRT送達システム1000には多くの実施可能な動作モードが存在する。回転式ガントリ構造1004(ひいてはそれに取り付けられた放射線治療源1010)は、治療中に連続的に回転することができる。或いは、回転式ガントリ構造1004は、特定の角度まで回転させて停止させることができる。放射線治療源1010は、軸外方向にチルトすることなく、患者の周りを回転することができる。この場合、不定形な照射野成形の有無にかかわらず、並びに変調の有無にかかわらず、固定されたガントリ回転角の離散的な集合(コプラナービーム)で治療することができ、これによってコプラナー(共平面)静止ビーム、CRT、及びIMRTが可能となる。各固定のガントリ回転角に対して、放射線治療源1010をあるチルト角で軸外方向に傾けることができ、これによってノンコプラナー(非共平面)CRT及びIMRTを可能にする。或いは、放射線治療源1010は、バイナリコリメータ又はMLCを備えて構成され、軸外方向に傾くことなく連続的に回転しながら放射線を送達することができる。放射線治療源1010の回転と中央ボア1018を通る患者の移動とを組み合わせることによって、シーケンシャル又はヘリカルトモセラピーが可能となり、これは、例えば治療寝台1022の直線的な並進によって達成することができる。或いは、放射線治療源1010は、MLCを備えて構成され、軸外方向に傾くことなくガントリを回転させながら放射線を送達することができる。
ガントリの回転速度、線量率、MLC形状、及びコリメータ角度は、ガントリの回転中に変化させることができ、従って、従来のコプラナー回転アーク療法も可能となる。また、ガントリの角度が変化するときに放射線治療源1010を軸外方向に傾けることによって、複数のノンコプラナー回転を用いて回転アーク療法を提供することができ、可能な限り高い治療計画品質を達成するために、ビーム位置の数、これらの位置によってカバーされる立体角、並びに強度又はフルエンス変調の程度を最大限にするようにする。1つの手法では、ガントリの角度が変化する間、チルト角は一定に保たれる。別の手法では、ガントリの角度を変化させながらチルト角も変化させる(円錐ノンコプラナー形回転アーク療法及び円錐形ヘリカル回転アーク療法と呼ぶ)。この手法は、ガントリ回転中の治療寝台1022の移動と組み合わせて、本明細書で円錐形ノンコプラナートモセラピー又はコノヘリカル形ノンコプラナートモセラピーと呼ぶものを提供することができる。ガントリの回転(0~360度)を使用して、チルト角を(例えば-30~+30度、又は-45~+45度とすることができる、システムの最大限度内で)変えることによって線源を平面外に移動させて多くの方向付けを達成する機能に起因して、適切なガントリの回転及びチルト角を設定することで、平行な対向照射野を用いた胸部治療を容易且つ迅速に行うことができます。
回転式ガントリ構造1004は更に、リング部材1008及び1009間に延びる付加的なビーム部材1060を備える。付加的なビーム部材1060は各々、1つ(又は2つ以上)の撮像デバイス(例えば、kV源(複数可))1052及び/又は1つ(又は2つ以上)の撮像検出器(例えば、kV検出器)1054を備え、各撮像デバイス1052がアイソセンタの略反対側の関係する撮像検出器1054とペアになるように構成される。各撮像デバイス1052は、それぞれの結合デバイス1056によってそれぞれのビーム部材1006に結合され、各撮像検出器1054は、それぞれの結合デバイス1058によってそれぞれのビーム部材1006に結合され、結合デバイス1056及び1058は、本明細書で更に説明する機能(例えば、固定、並進、及び/又は回転の機能)を達成するように構成され適合されている。ビーム部材1060は、互いに対して並びに放射線治療源1010に対して適切な角度で配置されて、所望の撮像機能を達成し、該撮像機能は、患者周りの撮像デバイスの回転と組み合わせた場合に標準的なX線撮像又は立体撮像を含むことができる。一実施形態では、撮像デバイス1052は、ガントリ上の照射ヘッド1010に直交して取り付けられる。これにより、放射線治療源1010が照射ビームを標的に送達しながら、撮像デバイス1052が標的の画像を生成することが可能になる。
1又は2以上の撮像デバイス1052を用いて、システムは、ガントリの回転中にX線画像を取得することができる。ガントリ回転角及びチルト角によって規定されるあらゆる向きを達成する機能に起因して、回転角及びチルト角を適切に調整することで全ての回転オフセットを扱うことができる。2つの撮像デバイス1052が図示されている。しかしながら、IGRT送達システム1000は、代替として、単一の撮像デバイス1052を含むことができることを理解されたい。2又は3以上のkV撮像システムを用いて、本システムは、あらゆるガントリ回転角でステレオX線画像を同時に取得することができる。1つのkV撮像システムの場合、本システムは、異なるガントリ回転角(例えば90度だけ離れた角度)で立体X線画像を非同時的に取得することができる。X線画像は、例えば計画CT画像から生成されたデジタル再構成放射線画像(DRR)へのX線画像のレジストレーションによって、患者のセットアップに使用することができる。2つの撮像デバイス1052を使用する場合、撮像デバイス1052は互いに略垂直に取り付けることができる。
治療内画像を生成する能力により、分画内(例えば、治療時)の標的の動き追跡が可能になる。分画内の動き追跡及び補正は、より良い治療計画と、その治療計画の正確な提供を可能にするのに役立つ。標的の動きを体の解剖学的特徴(例えば非限定的に、外部胸壁又は可動骨構造)の動きと相関させるためのシステムもまた、本発明の実施形態に含めることができる。例えば、肺腫瘍は、呼吸に伴って周期的に動くことになり、腫瘍の位置は、(例えば非限定的に)患者が呼吸するときの胸壁の動きと相関させることができる。
図11は、一実施形態による、ガントリベースIGRT送達システム1100の斜視図、並びにこれと一体化され及び/又は結合されたコンピュータシステム1150の概略図である。コンピュータシステム1050は、1又は2以上のバス、ネットワーク、或いは有線及び/又は無線の通信システムを含めた他の通信システム1160を使用する。コンピュータシステム1150は、IGRT送達システム1100と連携して動作して、本明細書に記載される実施形態のうちの1又は2以上の方法を実施することができる。本実施形態の1又は2以上による画像誘導放射線治療の方法は、機械可読コード(すなわち、ソフトウェア又はコンピュータプログラム製品)で実施することができ、限定ではないが、コンピュータシステム1150などのコンピュータシステム上で実行することができる。コンピュータシステム1150は、処理デバイス(例えば、汎用又は専用処理デバイス)1152、ランダムアクセスメモリ1153、及び不揮発性メモリ1154(例えば、電気機械式ハードドライブ、半導体ドライブなど)を含むことができる。コンピュータシステム1150はまた、ディスプレイモニタ1155、マウス1161、キーボード1163、並びにテープ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、メモリ、ハードディスクドライブなどのような非一時的コンピュータ可読記憶媒体からのデータ及び命令を読み書きすることができる他のI/Oデバイス1156など、様々な入出力デバイスも含むことができる。
加えて、1又は2以上のバス、ネットワーク、又は他の通信システム1160を介した他のコンピュータ及びデバイスへの接続が存在することができ、例えばインタネット1159などが、このようなデバイスのネットワーク上に存在することができる。本明細書に記載される画像誘導放射線治療動作を制御するソフトウェアは、プログラム製品として実装され、非一時的コンピュータ可読記憶媒体1158、外部不揮発性メモリデバイス1162、又は他の有形記憶媒体などの有形記憶装置に記憶されるとすることができる。
ガントリベースのIGRT1000、1100は、コプラナー回転アーク療法並びにノンコプラナー回転アーク療法(例えば、ヘリカル送達)に使用することができる。一実施形態では、ガントリベースのIGRT1000、1100によって、円錐形ノンコプラナー回転アーク療法を行うことができる。円錐形ノンコプラナー回転アーク療法の場合、放射線治療源1010は、離散的なステップでビーム部材1006に沿って軸方向に並進し、各ステップではガントリの回転が生じる。それぞれ離散的なガントリ角度で治療用照射ビームを離散的に発射することができ、或いは、ガントリ角度が連続的に変化する際に治療用照射ビームを連続的に発射することができ、それらの各々は、本教示の範囲内である。一実施形態では、ガントリベースのIGRT1000、1100によってコノヘリカル形ノンコプラナー回転アーク療法及び他タイプのヘリカル回転アーク療法を実施することができる。コノヘリカル形ノンコプラナー回転アーク療法の場合、ガントリが回転するにつれて放射線治療源1010はビーム部材1006に沿って並進する。それぞれ離散的なガントリ角度で(並びに対応して放射線治療源1010を離散的に並進前進させて)治療用照射ビームを離散的に発射することができ、或いは、ガントリ角度が連続的に変化する(並びに対応して放射線治療源1010を連続的に並進前進させる)ときに、治療用照射ビームを連続的に発射することができ、その各々は、本教示の範囲内である。コノヘリカル形ノンコプラナー回転アーク療法は、円錐形ノンコプラナー回転アーク療法と同じ円錐形の3次元体積にわたる可能性があるが、連続的に又は螺旋状に行われる。
ガントリベースのIGRT送達システム1000、1100を使用して、多種多様な放射線療法プロファイル及び方式に対応することができる。このような可能性は、限定するものではないが、矩形照射野成形及び1次元(MLCを用いたウェッジ又は仮想ウェッジ)強度変調を用いた単一又は平行な対向する静止ビーム;矩形照射野成形及び1次元変調を用いた静止ビーム;矩形照射野成形及び1次元変調を用いたコプラナー回転治療(「アーク療法」);不定形照射野成形及び1次元変調を用いたコプラナービーム又はノンコプラナービーム(「コンフォーマル放射線療法」又はCRT);不定形照射野成形及び2次元変調を用いたコプラナービーム又はノンコプラナービーム(「強度変調放射線治療」又はIMRT);並びに、寝台移動と2次元変調を組み合わせて狭ビームを使用する、コプラナー回転を伴うトモセラピー(ヘリカル又はシーケンシャル)を含む。このような可能性は更に、強度変調アーク療法(IMAT)とも呼ばれる回転アーク療法が含まれ、1又は2以上のコプラナー回転、不定形照射野成形、及び2次元変調を含み、ガントリ回転速度、線量率、MLC位置、並びに場合によってはコリメータ角度が回転中に変化し、治療中のMLC動作に関する実際的な制約を考慮して達成可能な強度変調度を増加させる複数の回転を含む。
ガントリベースのIGRT送達システム1000、1100の利点の1つは、可能な限り高い治療計画品質を達成するために、ビーム位置の数、これらの位置によってカバーされる立体角、並びに治療用照射ビームの強度又はフルエンス変調の程度を最大にするように、複数のノンコプラナー回転を用いて回転アーク療法を達成することである。ガントリベースのIGRT送達システム1000、1100は、実施形態において、毎分1~50回転又はそれよりも速い回転のうちのいずれかの速度でガントリを回転させることができる。或いは、一部の実施形態では、ガントリは、毎分1回転より遅く回転させることができる。一実施形態では、ガントリは、毎分1~10回転の速度で回転する。一実施形態では、ガントリは、毎分3~6回転の速度で回転する。ガントリの回転が速いほど、撮像角度を選択する自由度が大きくなる。例えば、ガントリがその回転速度を2倍にした場合、同じ時間的サンプリングを提供するために必要とされる良好な撮像角度の数は半分になる。一実施形態では、ガントリは、毎分約5回転の速度で回転する。ガントリベースのIGRT送達システム1000、1100の別の利点は、患者セットアップ用の画像誘導及び分画内の動きの追跡及び補正を用いた治療計画の正確な提供である。ガントリベースのIGRT送達システム1000、1100の別の利点は、高い剛性であり、これにより、より高い回転速度、より高い送達精度(照射ビームの位置及び向きにおけるより少ない誤差)、及びより高い3次元再構成画像品質(回転中の撮像システムジオメトリにおけるより少ない誤差)が可能になる。
図12は、一実施形態による、ロボットアームベースIGRT送達システム1200の斜視図を示す。図示の実施形態では、IGRT送達システム1200は、放射線治療源として機能する線形加速器(LINAC)1201を含む。LINAC1201を位置決めして、多くの角度から、多くの平面に、患者周りの動作体積にビームを送達して、病的に異常な解剖学的構造(例えば標的1220)に照射するために、LINAC1201は、複数(例えば5以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部上に取り付けられる。治療は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタ、又は非アイソセントリックな手法でビーム経路を含むことができる。
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって治療中に複数の異なるノード(ロボットが停止して放射線を送達することができる所定の位置)に位置決めすることができる。ノードにおいて、LINAC1201は、1又は2以上の放射線治療ビームを標的1220に送達することができる。ノードは、患者の周りに略球状の分布で配置することができる。ノードの特定の数及び各ノードで適用される治療ビームの数は、治療されることになる病的に異常な解剖学的構造の位置及びタイプの関数として変えることができる。例えば、ノードの数は、50から300まで、又はより好ましくは15から100まで変わることができ、ビームの数は、1100から3200まで、又はより好ましくは50から300まで変わることができる。
本発明の一実施形態による、ロボットアームベースのIGRT送達システム1200は、撮像源1203A及び1203B(撮像デバイスとも呼ばれる)並びに検出器1204A及び1204Bに接続された処理デバイス1230を有する撮像システム1210を含む。撮像源1203A~1203Bは、X線源とすることができ、検出器1204A~1204Bは、X線検出器とすることができる。撮像源1203A~1203B及び/又は撮像検出器1204A~1204Bは、固定された所定の角度で固定位置を有することができる。一実施形態では、撮像源1203A~1203Bは、立体撮像を容易にするために略直交している(例えば、約90度の角度分離を有する)。或いは、撮像源1203A、1203B及び/又は撮像検出器1204A、1204Bは、可動式とすることができ、この場合、これらを再位置決めして標的1220とのアライメントを維持することができる。
2つの撮像源1203A及び1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けることができ、2つの異なる角度位置(例えば90度離れた)からX線撮像ビームを投射してマシンアイソセンタ(本明細書では治療センタと呼び、治療中に患者を治療寝台1206上に位置決めするための基準点を提供する)にて交差するように、並びに患者1225を通過した後にそれぞれの検出器1204A及び1204Bの撮像面を照射するように、アライメントすることができる。このようにして、撮像システム1210は、標的1220及び周囲の関心体積(VOI)の立体撮像を提供する。
一部の実施形態では、ロボットアームベースIGRT送達システム1200は、2次撮像システム1239を含む。2次撮像システム1239は、ロボットアーム(図示せず)に取り付けられた回転式ガントリ1240(例えば、リング)を含むことができる。ロボットアームは、1又は2以上の軸に沿って(例えば、治療寝台1206の頭部から足部に延びる軸に沿って)、回転式ガントリ1240を動かすことができる。撮像源1245及び検出器1250は、回転式ガントリ1240に取り付けられる。回転式ガントリ1240は、治療寝台の頭部から足部まで延びる軸の周りに360度回転することができる。従って、撮像源1245及び検出器1250は、数多くの異なる角度に位置決めすることができる。一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。撮像源1245は、第1のリングに取り付けることができ、検出器1250は、第2のリングに取り付けることができる。一実施形態では、回転式ガントリ1240は、ロボットアーム1202との衝突を回避するために、放射線治療送達中は治療寝台の足部に静止する。
当業者にはよく知られているように、検出器1204A、1204B、1250は、X線を可視光に変換する発光物質(例えば、非晶質シリコン)と、その光をデジタル画像に変換するCMOS(相補型金属酸化膜シリコン)又はCCD(電荷結合素子)の撮像セルのアレイとから製造することができ、当該デジタル画像は、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する画像レジストレーションプロセス中に基準画像と比較することができる。基準画像は、例えば、デジタル再構成放射線画像(DRR)とすることができる。
図13は、一実施形態による、72個の試験角度に対する追跡品質メトリック値の実施例を示す。図13は更に、例示的な追跡品質メトリック閾値を示す。追跡品質メトリック閾値を超える追跡品質メトリック値を有する角度は、治療期中の画像追跡に使用する候補角度の集合に含めることができるが、追跡品質メトリック閾値未満の角度は含めることができない。この実施例では、画像の良好な候補ペア(各々が0.8又は80%を超える追跡品質メトリック値又は信頼度値を有する)は45度及び135度であり、これは2つの連続する直交画像をもたらす。
図14は、一実施形態による、患者の標的1410を成功裏に追跡するのに使用できる角度1425、並びに標的1410を成功裏に追跡するのに使用できない角度1430と共に、例示的な患者1405を示す。図示のように、角度1430の場合、患者の背骨1415が標的1410を遮っている。従って、標的1410は、角度1430で撮影されたX線画像では識別できない可能性がある。角度1430は、この実施例では避けるべき約120度の回転角度を包含する。しかしながら、背骨1415は、角度1425で標的1410と重ならないので、角度1425は、治療期中に標的1410を追跡する際に使用する候補角度の集合に含めることができる。角度1425は、この実施例では撮像に用可能な約240度の回転角度になる。
前述の説明から、本発明の態様は、少なくとも部分的にソフトウェアで具現化できることは明らかであろう。すなわち、本技法は、図1のシステムコントローラ114の処理デバイス120及び/又は治療計画システム118の処理デバイス170など、そのプロセッサに応答してコンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行することができ、例えば、メモリに含まれた命令シーケンスが実行される。様々な実施形態では、ハードウェア回路をソフトウェア命令と組み合わせて使用して、本発明の実施形態を実行することができる。従って、本技法は、ハードウェア回路とソフトウェアとのいずれか特定の組み合わせに限定されることはない。更に、この説明全体を通して、説明を簡単にするために、ソフトウェアコードによって実行される又は引き起こされるものとして様々な機能及び動作を説明することができる。しかしながら、このような表現によって示されるのは、処理デバイス120又は170などの処理デバイスによるコードの実行から機能が生じることは、当業者であれば認識するであろう。
コンピュータ可読媒体を使用して、汎用又は専用処理デバイスによって実行されたときに処理デバイスに本発明の様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを記憶することができる。この実行可能なソフトウェア及びデータは、例えば、システムメモリ及び記憶装置、或いはソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶することができる他のいずれかのデバイスを含めて、様々な場所に記憶することができる。従って、コンピュータ可読媒体は、機械によってアクセス可能な形式で情報を提供する(すなわち、記憶する)いずれかの非一時的な機構(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造用ツール、1又は2以上のプロセッサの組を備えたいずれかのデバイスなど)を含む。例えば、コンピュータ可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどの記録可能/記録不可能な媒体を含む。
前述の説明から明らかであると特に明記しない限り、「決定する」、「計算する」、「生成する」、「比較する」、「選択する」、「受け取る」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報記憶装置又は表示デバイスの中の物理量として同様に表される別データに変換する、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び処理を指すことができる。本明細書に記載される方法の実施形態は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせを用いて実施することができる。認可規格に準拠するプログラミング言語で書かれている場合、本方法を実施するように設計された命令シーケンスは、様々なハードウェアプラットフォーム上で実行するため、並びに様々なオペレーティングシステムとのインタフェースのためにコンパイルすることができる。更に、本発明の実施形態は、いずれか特定のプログラミング言語に関して説明されていない。様々なプログラミング言語を用いて本発明の実施形態を実施することができると理解されよう。
本明細書に記載される方法及び装置は、医療診断撮像及び治療での使用だけに限定されない点に留意されたい。別の実施形態では、本明細書の方法及び装置は、工業用撮像及び材料の非破壊検査などの医療技術分野以外の用途で使用することができる。このような用途では、例えば、「治療」は一般に、ビーム(例えば、放射線、音響など)の適用など、治療計画システムによって制御される動作の実行を指すとすることができ、「標的」は非解剖学的な物体又は領域を指すことができる。
上述の明細書では、本発明の実施形態は、特定の実施例に関してを説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれらに加えることができることは明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えるべきである。