JP7176263B2 - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、原燃料を蒸発させる蒸発器を備える燃料電池システムおよびその制御方法に関する。
特許文献1には、原燃料を燃料電池への供給前に蒸発させるための蒸発器ないし気化器を備えるものとして、メタノールまたはガソリン等の炭化水素系燃料を原燃料とする次のような燃料電池システムが開示されている。燃料電池から排出されるオフガス中の残燃料を燃焼器で燃焼させ、これにより得られた燃焼ガスを蒸発器に供給することで、燃焼ガスとの熱交換により原燃料を加熱し、蒸発させるものである。
特開2003-197236号公報(段落0016)
ここで、燃料電池の負荷の変化、特に負荷の低下に対し、原燃料および酸化剤ガスの流量を一定の割合で減少させる場合は、蒸発器に供給される燃焼ガスが有する熱量に不足が生じ、原燃料を充分に蒸発させることができなくなるという問題がある。原燃料の蒸発が不充分になると、蒸発器の下流側に備わる改質器に原燃料が液体の状態のまま供給されたり、燃料電池に未改質のガスが供給されたりして、改質器または燃料電池、特に改質器等に備わる触媒に劣化を生じさせてしまう。
本発明は、蒸発器に対し、燃料電池の負荷によらず原燃料の蒸発に必要な熱量の供給を可能として、蒸発器を適切に動作させることのできる燃料電池システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態では、燃料電池と、燃料電池のアノード排出通路およびカソード排出通路に接続され、燃料電池のオフガス中の残燃料を燃焼させる燃焼器と、燃料電池の原燃料を蒸発させる蒸発器であって、燃焼器に対し、残燃料の燃焼ガスが有する熱量により原燃料を加熱可能に接続された蒸発器と、蒸発器に原燃料を供給する燃料供給装置と、燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、燃料供給装置および酸化剤ガス供給装置を制御する供給制御部と、を備える燃料電池システムが提供される。本形態において、供給制御部は、燃料電池の要求出力に応じた原燃料の流量を必要流量として、燃料電池の負荷の低下に対し、原燃料の必要流量に対する実際の流量の比である燃料過剰率を、蒸発器の入口側で燃焼ガスが有する排気熱流をAとし、蒸発器における原燃料と燃焼ガスとの熱交換効率をBとし、蒸発器における原燃料の蒸発に要する燃料蒸発熱流をCとして、A×B/C>1となる燃料過剰率に制御する。
他の形態では、燃料電池システムの制御方法が提供される。
本発明によれば、蒸発器に対し、燃料電池の負荷によらず、原燃料の消費を極力抑えながら原燃料の蒸発に必要な熱量を供給することが可能となり、蒸発器を適切に動作させることができる。原燃料に付与される熱量が確保されることから、エタノール水溶液等、比較的に蒸発させ難い性質のものを原燃料とする場合に、特に有効である。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの全体的な構成を示す概略図である。 図2は、同上実施形態に係る燃料電池システムの起動時における動作を示す説明図である。 図3は、同上実施形態に係る燃料電池システムの通常時における動作を示す説明図である。 図4は、同上実施形態に係る燃料電池システムの通常時における動作の他の例を示す説明図である。 図5は、燃料電池の出力に対する熱流比(=排気熱流/燃料蒸発熱流)の変化を示す説明図である。 図6は、燃料電池システムの部位に応じた熱流の関係を示す説明図である。 図7は、燃料電池システムの低負荷運転時における発電制御の流れを示すフローチャートである。 図8は、同上発電制御における目標空気過剰率設定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。 図9は、燃料電池システムの放熱量(システム放熱量)の設定傾向を示す説明図である。 図10は、外気温に関する燃料過剰率補正値の設定傾向を示す説明図である。 図11は、大気圧に関する燃料過剰率補正値の設定傾向を示す説明図である。 図12は、燃料過剰率に基づく酸化剤ガス流量の設定傾向を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(燃料電池システムの全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムSの構成を概略的に示している。
本実施形態に係る燃料電池システム(以下「燃料電池システム」といい、単に「システム」という場合がある)Sは、燃料電池スタック1と、燃料処理部21~23と、酸化剤ガス加熱部3と、燃焼器4と、コントローラ101と、を備える。
燃料電池スタック(以下、単に「スタック」という場合がある)1は、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
燃料処理部21~23は、一次燃料である原燃料を処理し、燃料電池での発電反応に用いられる燃料ガスに変換する。燃料処理部21~23は、アノード供給通路11に介装され、原燃料の供給を受ける。本実施形態において、原燃料は、含酸素燃料と水との混合物であり、アノード供給通路11に接続された燃料タンク7に貯蔵されている。本実施形態に適用可能な原燃料として、エタノールと水との混合物(つまり、エタノール水溶液)を例示することができ、その場合の燃料ガスは、エタノールの改質により得られる水素である。
酸化剤ガス加熱部3は、酸化剤ガスを燃料電池スタック1への供給前に加熱する。酸化剤ガス加熱部3は、カソード供給通路12に介装され、酸化剤ガスの供給を受ける。酸化剤ガスは、例えば、空気であり、大気中の空気を燃料電池のカソード極に供給することで、発電反応に用いられる酸素をカソード極に供給することが可能である。
ここで、固体酸化物形燃料電池のアノード極およびカソード極での発電に係る反応は、次式により表すことができる。
アノード極: 2H2+4O2- → 2H2O+4e- …(1.1)
カソード極: O2+4e- → 2O2- …(1.2)
燃焼器4は、燃料電池スタック1から排出されるオフガス中の残燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する。本実施形態において、燃焼器4は、アノード排出通路11exhおよびカソード排出通路12exhに接続され、これらの通路11exh、12exhを通じてアノードオフガスおよびカソードオフガスの供給を受ける。燃焼ガスが有する熱量は、燃料処理部21~23および酸化剤ガス加熱部3に供給され、原燃料および酸化剤ガスの加熱に用いられる。
燃料電池システムSの構成についてさらに説明すると、燃料電池スタック1は、アノード系において、燃料電池のアノード極に燃料ガスを供給するためのアノード供給通路11と、アノード極から排出される発電反応後のアノードオフガスを流すためのアノード排出通路11exhと、を備える一方、カソード系において、燃料電池のカソード極に酸化剤ガスを供給するためのカソード供給通路12と、カソード極から排出される発電反応後のカソードオフガスを流すためのカソード排出通路12exhと、を備える。
そして、燃料タンク7と燃料電池スタック1とが、アノード供給通路11を介して接続され、アノード供給通路11には、流れの方向に関して上流側から順に、蒸発器21、燃料熱交換器22および改質器23が介装されている。さらに、蒸発器21の上流側でアノード供給通路11から分岐燃料通路11subが分岐し、分岐燃料通路11subは、燃焼器4に接続されている。分岐燃料通路11subの分岐点と蒸発器21との間のアノード供給通路11に第1燃料インジェクタ51が介装され、分岐燃料通路11subに第2燃料インジェクタ52が介装されている。
蒸発器21は、燃料タンク7から原燃料であるエタノール水溶液の供給を受け、これを加熱して蒸発させ、エタノールガスおよび水蒸気を生成する。
燃料熱交換器22は、燃焼器4から燃焼ガスの熱量を受け、エタノールガスおよび水蒸気をさらに加熱する。
改質器23は、改質用触媒を内蔵し、気体の状態にあるエタノールから、水蒸気改質により水素を生成する。水蒸気改質は、次式により表すことができる。
25OH+3H2O → 6H2+2CO2 …(2)
酸化剤ガス加熱部3は、空気熱交換器により構成され、燃焼器4から燃焼ガス通路13を通じて供給される燃焼ガスとの熱交換により、カソード供給通路12を流れる酸化剤ガスを加熱する。本実施形態では、カソード供給通路12の開放端付近にブロアないしエアコンプレッサ6が設置され、酸化剤ガスとして大気中の空気が、ブロア6を介してカソード供給通路12に吸入される。吸入された空気は、酸化剤ガス加熱部3を通過する際に常温(例えば、25℃)から昇温され、燃料電池スタック1に供給される。
燃焼器4は、燃焼用触媒を内蔵し、燃料電池スタック1からアノードオフガスの供給を受け、アノードオフガス中の残燃料の触媒燃焼により燃焼ガスを生成する。燃焼器4は、アノードオフガスに加え、分岐燃料通路11subを通じて原燃料であるエタノール水溶液の供給を受けることも可能であり、その場合は、燃焼ガスの生成に際し、残燃料に加えてエタノールをも燃焼させる。本実施形態では、燃焼器4と蒸発器21とが燃焼ガス通路13を介して接続される一方、燃料熱交換器22および改質器23が燃焼器4と共用のケースLに収容され(ケースLを、二点鎖線により概念的に示す)、燃焼ガスの熱量がケースLの内部で燃料熱交換器22および改質器23に効率的に伝わるように構成されている。
コントローラ101は、燃料電池システムSの運転中、蒸発器21および燃焼器4に対する原燃料の供給を制御するとともに、酸化剤ガス加熱部3に対する酸化剤ガスの供給を制御する。コントローラ101は、電子制御ユニットとして構成することが可能である。第1燃料インジェクタ51、第2燃料インジェクタ52およびブロア6は、コントローラ101からの信号に応じて作動し、蒸発器21および燃焼器4に原燃料を供給するとともに、酸化剤ガス加熱部3に酸化剤ガスを供給する。
燃料電池スタック1の発電電力は、図示しないバッテリを充電したり、電動モータまたはモータジェネレータ等の外部装置を駆動したりするのに用いることが可能である。例えば、燃料電池システムSは、車両用の駆動システムに適用することが可能であり、燃料電池スタック1の定格運転により生じた電力をバッテリに充電したり、車両の目標駆動力に応じた電力をバッテリおよび燃料電池スタック1から走行用のモータジェネレータに供給したりすることができる。
(制御システムの構成および基本的な動作)
本実施形態において、コントローラ101は、中央演算ユニット(CPU)、ROMおよびRAM等の各種記憶ユニット、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータからなる電子制御ユニットとして構成され、第1燃料インジェクタ51、第2燃料インジェクタ52およびブロア6等、燃料電池システムSの運転に要する各種装置ないし部品の動作を制御する。
コントローラ101は、燃料電池システムSの制御に関わる情報として、スタック温度Tstkを検出するスタック温度センサ201からの信号、燃料流量Ffを検出する燃料流量センサ202からの信号、空気流量Faを検出する空気流量センサ203からの信号、燃焼ガス流量Fcを検出する燃焼ガス流量センサ204からの信号、燃料温度Tfを検出する燃料温度センサ205からの信号、燃焼ガス温度Tcを検出する燃焼ガス温度センサ206からの信号、外気温Tatmを検出する外気温センサ207からの信号、大気圧Patmを検出する大気圧センサ208からの信号を入力するほか、システム起動スイッチ209からの信号を入力する。
スタック温度Tstkは、燃料電池スタック1または燃料電池の温度を示す指標であり、本実施形態では、燃料電池スタック1のカソード出口付近にスタック温度センサ101を設置し、スタック温度センサ201により検出された温度をもってスタック温度Tstkとする。
燃料流量Ffは、蒸発器21に供給される原燃料の流量である。本実施形態では、蒸発器21の上流側のアノード供給通路11に燃料流量センサ202を設置し、燃料流量センサ202により検出された流量をもって燃料流量Ffとする。
空気流量Faは、燃料電池スタック1に供給される酸化剤ガスの流量である。本実施形態では、酸化剤ガス加熱部3の上流側のカソード供給通路12に空気流量センサ203を設置し、空気流量センサ203により検出された流量をもって空気流量Faとする。
燃焼ガス流量Fcは、蒸発器21に供給される燃焼ガスの流量である。本実施形態では、蒸発器21の上流側、具体的には、酸化剤ガス加熱部3と蒸発器21との間の燃焼ガス通路13に燃焼ガス流量センサ204を設置し、燃焼ガス流量センサ204により検出された流量をもって燃焼ガス流量Fcとする。
燃料温度Tfは、蒸発器21に供給される原燃料の温度である。本実施形態では、蒸発器21の上流側のアノード供給通路11に燃料温度センサ205を設置し、燃料温度センサ205により検出された温度をもって燃料温度Tfとする。
燃焼ガス温度Tcは、蒸発器21に供給される燃焼ガスの温度である。本実施形態では、蒸発器21の上流側、具体的には、酸化剤ガス加熱部3と蒸発器21との間の燃焼ガス通路13に燃焼ガス温度センサ206を設置し、燃焼ガス温度センサ206により検出された温度をもって燃焼ガス温度Tcとする。
コントローラ101は、システム起動スイッチ209から燃料電池システムSの起動要求を入力すると、燃料電池スタック1の暖機を行う起動制御を実行する。燃料電池スタック1の暖機とは、停止中に低温(例えば、常温)にあった燃料電池スタック1をその動作温度にまで昇温させることをいう。
そして、燃料電池スタック1の温度が動作温度に達すると、コントローラ101は、起動制御を終了し、通常時の発電制御に移行する。通常時では、基本的には、燃料電池スタック1をその定格点で運転させ、定格運転に要する流量の原燃料を、第1燃料インジェクタ52を介して蒸発器21に供給する。ここで、燃料電池スタック1の定格運転とは、燃料電池スタック1の最大発電出力での運転をいう。
図2、3は、燃料電池システムSの動作を示す。図2は、起動時における動作を、図3は、通常時における動作を、夫々示している。図中矢印付きの太線は、ガスまたは液体の流れのある通路を、点線は、流れのない通路を示す。
起動時(図2)では、第1燃料インジェクタ51を停止させる一方、第2燃料インジェクタ52を作動させ、燃料タンク7に貯蔵されている原燃料を、第2燃料インジェクタ52を介して燃焼器4に供給する。他方で、大気中の空気をブロア6によりカソード供給通路12に取り込み、酸化剤ガス加熱部3を介して燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1を通過した空気は、カソード排出通路12exhを通じ、原燃料の酸化剤として燃焼器4に供給される。燃焼により生じた燃焼ガスが燃焼ガス通路13を通じて酸化剤ガス加熱部3および蒸発器21に供給され、その一方で、燃焼ガスの熱量がケースLの内部で燃料熱交換器22および改質器23に伝達される。よって、起動時では、原燃料の燃焼により生じた輻射熱により燃料電池スタック1が加熱されるとともに、酸化剤ガス加熱部3で加熱された空気を熱媒体としてさらに加熱され、燃焼電池スタック1の昇温が促進される。起動時では、原燃料の供給流量(つまり、第2燃料インジェクタ52の噴射流量)は、スタック温度Tstkをもとに設定する。
これに対し、通常時(図3)では、第2燃料インジェクタ52を停止させる一方、第1燃料インジェクタ51を作動させ、原燃料を、第1燃料インジェクタ51を介して蒸発器21に供給する。これに併せ、ブロア6を作動させ、酸化剤ガスである空気を、酸化剤ガス加熱部3を介して燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1から排出される発電反応後のオフガス(アノードオフガス、カソードオフガス)は、アノード排出通路11exhおよびカソード排出通路12exhを通じて燃焼器4に供給される。アノードオフガス中の残燃料が燃焼器4で燃焼し、これにより生じた燃焼ガスが燃焼ガス通路13を通じて酸化剤ガス加熱部3および蒸発器21に供給される一方、燃焼ガスの熱量がケースLの内部で燃料熱交換器22および改質器23に伝達される。これにより、燃料処理部21~23および酸化剤ガス加熱部3が加熱され、蒸発器21が原燃料(エタノール水溶液)を蒸発可能な温度に維持されるとともに、改質器23が原燃料(エタノール)を改質可能な温度に維持される。通常時では、原燃料の供給流量(つまり、第1燃料インジェクタ51の噴射流量)は、燃料電池スタック1に要求される出力、換言すれば、燃料電池システム1の負荷をもとに設定する。蒸発器21および改質器23の温度維持に必要な熱量を生じさせるのにアノードオフガス中の残燃料だけでは不足する場合は、第2燃料インジェクタ52を作動させ、燃焼器4に対し、第2燃料インジェクタ52を介して原燃料を供給することも可能である(図4)。
ここで、暖機後の通常時に燃料電池スタック1の負荷を下げて運転する場合、例えば、低負荷域での定常運転時または低負荷側への出力変動時に、燃料電池スタック1の負荷の低下に対し、原燃料および酸化剤ガスの流量を一定の割合で減少させたとすると、燃料電池システムSに投入されたエネルギ全体のうち、排熱として利用可能な熱流が減少し、蒸発器21に供給される燃焼ガスが有する熱量に、原燃料の蒸発に要する熱流に対する不足が生じる。これにより、原燃料を充分に蒸発させることができなくなり、改質器23に原燃料が液体の状態のまま供給されたり、燃料電池スタック1に未改質のガスが供給されたりして、改質器23または燃料電池スタック1に備わる触媒に劣化を生じさせることが懸念される。ここで、低負荷域での定常運転時として、バッテリの充電状態が充分であり、燃料電池スタック1の高負荷ないし中負荷での発電を必要としない場合を例示することができる。本実施形態において、「熱流」とは、単位時間当たりに通過する熱量[J/s]をいう。
図5は、燃料電池スタック1の出力Pに対する熱流比Rhfの変化を示している。ここで、熱流比Rhfとは、排気熱流の、燃料蒸発熱流に対する比(=排気熱流/燃料蒸発熱流)をいう。排気熱流とは、蒸発器21の入口側ないし上流側で燃焼ガスが有する熱流をいい、燃料蒸発熱流とは、蒸発器21における原燃料の蒸発に要する熱流をいう。排気熱流は、燃焼ガス流量Fcおよび燃焼ガス温度Tcと相関し、これらの状態量をもとに算出することが可能であり、燃料蒸発熱流は、燃料流量Ffおよび燃料温度Tfと相関し、これらの状態量をもとに算出することが可能である。
図5に示すように、燃料過剰率ηを一定とし、原燃料および酸化剤ガスの流量を負荷の低下に対して一定の割合で減少させたとすると、熱流比Rhfは、1に向けて徐々に減少する。熱流比Rhfが1に近付くほど、排気熱流は、燃料蒸発熱流に対して不足しがちとなる。排気熱流の不足は、原燃料の蒸発が不充分となることを意味する。そして、原燃料の蒸発が不充分となると、改質器23に原燃料の一部が液体の状態で供給されたり、燃料電池スタック1に未改質のガスが供給されたりして、改質器23または燃料電池スタック1に備わる触媒に劣化を生じさせる。
本実施形態では、燃料電池スタック1の負荷の低下に対し、燃料過剰率ηを増大させることで、蒸発器21に対し、燃料電池スタック1の負荷によらず原燃料の蒸発に必要な熱流の供給を可能とする。具体的には、燃料電池スタック1の要求出力Pに応じた原燃料の流量を必要流量として、燃料電池スタック1の負荷の低下に対し、原燃料の必要流量に対する実際の流量の比である燃料過剰率ηを、排気熱流をAとし、蒸発器21における原燃料と燃焼ガスとの熱交換効率をBとし、燃料蒸発熱流をCとして、熱流比=A×B/Cが1よりも大きくなるように制御する。
図6は、燃料電池ステムSの各部における熱流HF1~HF6の関係を概念的に示している。これに限定されるものではないが、本実施形態では、熱流比(=A×B/C)が1よりも大きくなる燃料過剰率ηとして、1.2を採用する。「燃料過剰率」とは、燃料電池スタック1の要求出力Pに応じた原燃料の流量を必要流量とした場合の、原燃料の必要流量に対する実際の流量の比をいう。後に述べるように、燃料電池スタック1の要求出力Pを2.0kWとする本実施形態では、要求出力P(=2.0kW)を流量に換算したものが原燃料の必要流量に相当し、原燃料の必要流量(=2.0kW)に対する実際の流量(=2.4kW)の比が、「燃料過剰率」に相当する。
図6に示す符号HF1~HF6は、次の熱流を示す。既に述べたように、「熱流」とは、対象とする部位を単位時間当たりに通過する熱量である。
HF1:蒸発器21に供給される原燃料が有する熱流(燃料熱流)
HF2:蒸発器21における原燃料の蒸発に要する熱流(燃料蒸発熱流)
HF3:改質器23における改質反応(水蒸気改質)で吸収される熱流(吸収熱流)
HF4:燃焼器4で生成された燃焼ガスが有する熱流(燃焼ガス熱流)
HF5:蒸発器21の入口側で燃焼ガスが有する熱流(排気熱流)
HF6:蒸発器21における熱交換効率ηvapに応じた放出熱流
燃料過剰率ηを1.2とする条件のもと、燃料電池スタック1の要求出力Pを2.0kWとし、燃料電池システムSからの放熱量(以下「システム放熱量」という)Qを0.3kWとした場合の上記各熱流HF1~HF6を示すと、次のようである。ここで、燃料蒸発熱流HF2および吸収熱流HF3は、原燃料の種類、流量および温度等をもとに予め推定することが可能であり、本実施形態では、夫々燃料熱流HF1の20%、10%とする。
燃料熱流HF1=P×η=2.4kW
燃料蒸発熱流HF2=HF1×0.2=0.48kW
吸収熱流HF3=HF1×0.1=0.24kW
燃焼ガス熱流HF4=HF1+HF2+HF3-P-Q=0.82kW
排気熱流HF5=HF4-HF3=0.58kW
放出熱流HF6=HF5(1-ηvap)
ここで、熱流比(=A×B/C)は、次の関係を満たすものである。
{1.2-Q/(P×η)-1/η}×ηvap/0.2>1 …(3)
燃料過剰率ηは、熱流比(=A×B/C)が燃料電池スタック1の負荷によらず1よりも大きくなる範囲で、負荷を問わず一定としてもよいし、熱流比(=A×B/C)が1を超えながらもできるだけ小さくなるように、負荷の低下に対して増大させてもよい。
燃料蒸発熱流HF2(=Qv)は、次のようにして求めることが可能である。
Qv=Ffuel×LHV×α
Ffuelは、蒸発器21に供給される原燃料の流量を示し、LVHは、原燃料の低位発熱量を示す。さらに、αは、原燃料の種類または組成に応じて異なる所定値である。
燃料蒸発熱流Qvの算出は、原燃料の温度Tfuelを考慮した場合に、次のようである。
Qv=Ffuel×LHV×α×(1+β×(Tfuel0-Tfuel)/(Tfuel0-25))
Tfuel0は、原燃料の気化温度を示し、βは、原燃料の種類または組成に応じて異なる所定値である。
燃料蒸発熱流Qvをエンタルピの観点から求める場合の計算は、次式による。
Qv=Ffuel×(H_h2o(Tfuel0)-H_h2ol(Tfuel))
H_h2oは、水(ガス)のエンタルピを、H_h2olは、水(液体)のエンタルピを示す。
このように、燃料蒸発熱流Qvは、蒸発器21に供給される、換言すれば、蒸発器21の入口側における原燃料の流量Ffuelおよび温度Tfuelに応じたものとなる。
ここで、原燃料の流量Ffuelおよび温度Tfuelは、「原燃料の状態量」に該当する。
他方で、排気熱流HF5(=Qe)は、次のようにして求めることが可能である。
Qe=Fexh×Cp_e×(Texh-T0)
Fexhは、蒸発器21の入口側を流れる燃焼ガスの流量を示し、Cp_eは、システムに供給される空気と原燃料との割合(空気燃料比λ)に応じた比熱を示す。さらに、Texhは、蒸発器21の入口側における燃焼ガスの温度を、T0は、外気温を示す。
排気熱流Qeをエンタルピの観点から求める場合の計算は、次式による。
Qe=Fexh×(α×H_co2(Texh)+β×H_h2o(Texh)+γ×H_o2(Texh)+ζ×H_n2(Texh))
α、β、γおよびζは、完全燃焼時における燃焼ガスの組成に応じた係数であり、空気の流量と燃焼ガスの温度とから算出することが可能である。Hは、燃焼ガスの成分毎のエンタルピを示し、H_co2は、二酸化炭素のエンタルピを、H_h2oは、水(ガス)のエンタルピを、H_o2は、酸素のエンタルピを、H_n2は、窒素のエンタルピを示す。
このように、排気熱流Qeは、蒸発器21の入口側における燃焼ガスの流量Fexhおよび温度Texhに応じたものとなる。
ここで、燃焼ガスの流量Fexhおよび温度Texhは、「燃焼ガスの状態量」に該当する。
(フローチャートによる説明)
図7および8は、コントローラ101が通常時に実行する発電制御(以下「通常制御」という)の内容をフローチャートにより示している。図7は、通常制御の全体的な流れを示し、図8は、通常制御における目標燃料過剰率設定処理の具体的な内容を示している。
本実施形態において、コントローラ101は、通常制御を所定時間毎に実行するようにプログラムされており、目標燃料過剰率設定処理は、図7に示す基本ルーチンのサブルーチン(S106)として構成される。
S101では、各種センサの出力を読み込む。具体的には、スタック温度Tstk、燃料流量Ff、空気流量Fa、燃焼ガス流量Fc、燃料温度Tf、燃焼ガス温度Tc、外気温Tatmおよび大気圧Tatm等を読み込む。燃料電池システムSが車載用であり、車両の駆動源を構成する場合は、以上に加え、アクセル開度APOおよび車速VSP等を読み込む。アクセル開度APOは、車両の要求駆動力を示す指標である。
S102では、燃料電池システムSの暖機が完了しているか否かを判定する。暖機が完了している場合は、S103へ進み、暖機が完了しておらず、未だ暖機中である場合は、通常制御を終了し、別途設定された暖機制御を実行する。燃料電池システムSの暖機が完了しているか否かは、スタック温度Tstkをもとに判定することが可能である。
S103では、燃料電池スタック1の要求出力Pを算出する。燃料電池システムSが車両の駆動源を構成する場合に、要求出力Pは、アクセル開度APOおよび車速VSPに基づき算出することが可能である。
S104では、燃料電池スタック1の要求出力Pが低負荷域にあるか否かを判定する。要求出力Pが低負荷域の上限を示す所定負荷以下であり、低負荷域にある場合は、S105へ進み、低負荷域にない場合は、S105以降の処理を行わず、中負荷および高負荷域用に別途設定された処理を実行する。
S105では、システム放熱量Qを算出する。本実施形態において、システム放熱量Qの算出は、外気温Tatmおよび大気圧Patmに応じてシステム放熱量Qを割り付けた図9に示す傾向のマップを参照して行う。システム放熱量Qは、外気温Tatmおよび大気圧Patmのいずれの低下に対しても増加する傾向を有する。
S106では、目標燃料過剰率ηfuelを算出する。
S107では、目標燃料過剰率ηfuelに応じた燃料流量Ffを算出する。燃料流量Ffの算出は、燃料熱流HF1(=P×η)を算出し、これを下式により原燃料の流量Ffに換算することによる。コントローラ101は、燃料流量Ffに応じた信号を第1燃料インジェクタ51に送信し、流量Ffの原燃料を、第1燃料インジェクタ51を介して蒸発器21に供給する。
Ff=(P×η)/LHV …(4)
式(4)中、LHVは、原燃料の低位発熱量を示す。
S108では、空気流量Faを算出する。本実施形態において、空気流量Faの算出は、燃焼器4における熱収支を表す次式に基づき行う。次式により、空気流量Faとして、燃焼器4の温度をその上限温度以下に抑えることのできる酸化剤ガスの下限流量が与えられる。よって、この下限流量を低負荷運転時における空気流量Faに設定する。このようにして設定される空気流量Faは、例えば、出口温度Toutの上昇に対して増大する傾向を有する。これにより、酸化剤ガス(空気)の供給に費やすエネルギを極力削減しながら、燃焼器4の過度な昇温を回避することが可能となる。出口温度Toutは、スタック温度Tstkで代用することができる。
Hf/(Cpf×Ff+Cpa×Fa)<(Tmax-Tout) …(5)
式(4)に用いられる符号が示すのは、夫々次のようである。
Tout:燃料電池スタック1の出口温度
Cpf:原燃料の比熱
Cpa:空気の比熱
Tmax:燃焼器4の上限温度
そして、コントローラ101は、空気流量Faに応じた信号をブロア6に送信し、流量Faの酸化剤ガス(つまり、空気)を、ブロア6を介して酸化剤ガス加熱部3に供給する。
図8に移り、S201では、基本燃料過剰率ηbaseを算出する。基本燃料過剰率ηbaseは、式(3)により与えられるものであり、本実施形態では、低負荷域の要求出力Pに対応させて予め設定され、要求出力Pが大きいときほど小さな値として算出される。
S202では、外気温Tatmに関する燃料過剰率補正値(以下「外気温補正値」という)HOSaを算出する。外気温補正値HOSaは、外気温Tatmが高いときほど小さな値として算出される。これは、外気温Tatmが上昇するほど燃焼ガスからの放熱量が減少し、排熱に利用可能な熱流、つまり、排気熱流HF5が増大するためである。
S203では、大気圧Patmに関する燃料過剰率補正量(以下「大気圧補正値」という)HOSbを算出する。大気圧補正値HOSbは、大気圧Patmが高いときほど大きな値として算出される。これは、大気圧Patmの上昇により燃焼ガスの組成が変化し、原燃料がエタノール水溶液である場合は、大気圧Patmが上昇するほど燃焼ガス中のメタンが増加するため、燃焼ガスの体積流量が減少し、蒸発器21における熱交換効率が低下するためである。つまり、燃焼ガスの組成変化による熱交換効率の低下を、排気熱流HF5の増大により補うのである。
S204では、基本燃料過剰率ηbaseを外気温補正値HOSaおよび大気圧補正値HOSbにより補正し、目標燃料過剰率fuelを算出する。
ηfuel=ηbase×HOSa×HOSb …(6)
本実施形態では、燃料電池スタック1により「燃料電池」が構成され、燃焼器4により「燃焼器」が構成され、蒸発器21により「蒸発器」が構成され、第1燃料インジェクタ51により「燃料供給装置」が構成され、ブロア6により「酸化剤ガス供給装置」が構成され、コントローラ101により「供給制御部」が構成される。
(作用効果の説明)
本実施形態に係る燃料電池システムSは、以上のように構成され、本実施形態により得られる作用および効果について、以下に説明する。
第1に、燃料電池スタック1の要求出力Pに応じた原燃料の流量を必要流量(例えば、2.0kW)として、負荷ないし要求出力Pの低下に対し、原燃料の必要流量に対する実際の流量(例えば、2.4kW)の比である燃料過剰率ηを、排気熱流をAとし、蒸発器21における熱交換効率をBとし、燃料蒸発熱流をCとして、A×B/C>1となる燃料過剰率ηに制御した。これにより、蒸発器21に対し、燃料電池システムSの負荷によらず、原燃料の消費を極力抑えながら原燃料の蒸発に必要な熱量の供給を可能として、蒸発器21を適切に動作させることができる。そして、このようにして原燃料に付与される熱量が確保されることから、本実施形態のように、エタノール水溶液を原燃料とする場合に、特に有効である。
ここで、燃料電池スタック1の要求出力Pの低下に対して燃料過剰率ηを増大させることで、燃焼ガスにより蒸発器21に付与される熱量に原燃料の蒸発に必要な熱量に対する不足が生じた場合に、排気熱流HF5を増大させることにより不足分の熱量を補い、蒸発器21の動作の適正化を促すことができる。
第2に、燃料電池スタック1の要求出力P、外気温Tatmおよび大気圧Patmに基づき、例えば、式(3)により燃料過剰率ηを算出可能とすることで、燃料過剰率ηを予め計算しておくだけでなく、実際の運転時に、実際の外気温Tatm等に応じた適切な燃料過剰率ηを採用することが可能となる。
第3に、燃料電池スタック1の出口温度Toutを検出し、出口温度Toutの上昇に対して酸化剤ガスの流量を増大させることで、燃焼器4を適度に冷却し、燃焼器4の過度な昇温を回避することが可能となる。そして、燃焼器4における熱収支の観点から、式(5)により酸化剤ガスの流量を算出することで、酸化剤ガスの下限流量の設定を可能として、酸化剤ガスの供給に費やすエネルギを削減することができる。
第4に、外気温Tatmに応じた燃料過剰率補正値(外気温補正値)HOSaを設定し、外気温補正値HOSaにより燃料過剰率ηを補正したことで、外気温Tatmの上昇に対し、燃焼ガスからの放熱量の低下を考慮した燃料過剰率ηの設定が可能となる。具体的には、外気温Tatmの上昇に対して燃料過剰率を減少させることで、原燃料の消費を抑制することができる。
第5に、大気圧Patmに応じた燃料過剰率補正値(大気圧補正値)HOSbを設定し、大気圧補正値HOSbにより燃料過剰率ηを補正したことで、大気圧Patmの上昇に対し、燃焼ガスを熱媒体とする熱交換効率の低下を考慮した燃料過剰率ηの設定が可能となる。具体的には、大気圧Patmの上昇に対して燃料過剰率ηを増大させることで、熱交換効率の低下を補い、原燃料の蒸発を促すことができる。
さらに、燃焼ガスの流れに関して蒸発器21よりも上流側に配置された改質器23において、大気圧Patmが高く、改質器23における吸収熱流HF3が大きい場合に、吸収熱流HF3の増大により排気熱流HF5に生じる不足分を燃料熱流HF1の増大により補い、原燃料の蒸発を促すことができる。
第6に、蒸発器21の上流側における原燃料の流量Ffまたは温度Tfを検出し、燃料過剰率ηの制御にこれらの状態量の少なくともいずれかを反映させることで、燃料過剰率ηの制御をより適切なものとし、蒸発器21に対し、原燃料の蒸発に必要な熱量をより確実に供給することが可能となる。そして、蒸発器21の上流側における燃焼ガスの流量Fcまたは温度Tcを検出し、燃料過剰率ηの制御にこれらの状態量の少なくともいずれかを反映させることによっても燃料過剰率ηの制御の好適化を促すことが可能である。
本実施形態では、燃焼器4における熱収支の観点から、式(5)により空気流量Faを算出したが(S108)、空気流量Faの算出は、これに限定されるものではなく、例えば、図12に示す傾向を有するテーブルデータからの検索によっても行うことが可能であり、これにより、空気流量Faの計算の簡素化を図ることができる。ここで、燃料過剰率η(目標燃料過剰率ηfuel)の増加に対し、空気流量Faを増大させることで、燃焼器4の過度な昇温を回避し、燃焼器4に備わる触媒の劣化を抑制することが可能である。
さらに、この場合は、燃料電池スタック1の要求出力Pの低下に対し、燃料過剰率ηを増大させることに加え、燃料電池システムSに供給される酸化剤ガスの流量Faの、原燃料の流量Ffに対する比(=Fa/Ff)を増大させることになるので、蒸発器21だけでなく燃焼器4の適切な動作をも促すことができ、低負荷運転時における燃料電池システムSの動作をシステム全体として安定させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更および修正が可能である。
S…燃料電池システム
1…燃料電池スタック
21…蒸発器
22…燃料熱交換器
23…改質器
3…酸化剤ガス加熱部(空気熱交換器)
4…燃焼器
51…第1燃料インジェクタ
52…第2燃料インジェクタ
6…ブロア
7…燃料タンク
11…アノード供給通路
12…カソード供給通路
11exh…アノード排出通路
12exh…カソード排出通路
101…コントローラ

Claims (10)

  1. 燃料電池と、
    前記燃料電池のアノード排出通路およびカソード排出通路に接続され、前記燃料電池のオフガス中の残燃料を燃焼させる燃焼器と、
    前記燃料電池の原燃料を、前記燃料電池への供給前に蒸発させる蒸発器であって、前記燃焼器に対し、前記残燃料の燃焼ガスが有する熱量により前記原燃料を加熱可能に接続された蒸発器と、
    前記蒸発器に前記原燃料を供給する燃料供給装置と、
    前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
    前記燃料供給装置および前記酸化剤ガス供給装置を制御する供給制御部と、
    を備え、
    前記供給制御部は、前記燃料電池の要求出力に応じた前記原燃料の流量を必要流量として、前記燃料電池の負荷の低下に対し、前記原燃料の前記必要流量に対する実際の流量の比である燃料過剰率を、前記蒸発器の入口側で前記燃焼ガスが有する排気熱流をAとし、前記蒸発器における前記原燃料と前記燃焼ガスとの熱交換効率をBとし、前記蒸発器における前記原燃料の蒸発に要する燃料蒸発熱流をCとして、A×B/C>1となる燃料過剰率に制御する、
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、
    外気温および大気圧を取得する手段を有し、
    前記燃料電池の要求出力、外気温および大気圧に基づき、前記燃料過剰率を算出し、
    前記燃料供給装置に対し、前記燃料過剰率に応じた流量の前記原燃料を供給させる信号を出力する、
    燃料電池システム。
  3. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、
    前記蒸発器の入口側における前記原燃料の流量および温度のうち少なくとも一方を含む前記原燃料の状態量を取得する手段を有し、
    前記燃料過剰率の制御に、前記原燃料の状態量を反映させ、
    前記燃料供給装置に対し、前記燃料過剰率に応じた流量の前記原燃料を供給させる信号を出力する、
    燃料電池システム。
  4. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、
    前記蒸発器の入口側における前記燃焼ガスの流量および温度のうち少なくとも一方を含む前記燃焼ガスの状態量を取得する手段を有し、
    前記燃料過剰率の制御に、前記燃焼ガスの状態量を反映させ、
    前記燃料供給装置に対し、前記燃料過剰率に応じた流量の前記原燃料を供給させる信号を出力する、
    燃料電池システム。
  5. 燃料電池と、
    前記燃料電池のアノード排出通路およびカソード排出通路に接続され、前記燃料電池のオフガス中の残燃料を燃焼させる燃焼器と、
    前記燃料電池の原燃料を、前記燃料電池への供給前に蒸発させる蒸発器であって、前記燃焼器に対し、前記残燃料の燃焼ガスが有する熱量により前記原燃料を加熱可能に接続された蒸発器と、
    前記蒸発器に前記原燃料を供給する燃料供給装置と、
    前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
    前記燃料供給装置および前記酸化剤ガス供給装置を制御する供給制御部と、
    を備え、
    前記供給制御部は、前記燃料電池の要求出力に応じた前記原燃料の流量を必要流量として、前記原燃料の前記必要流量に対する実際の流量の比である燃料過剰率を、前記燃料電池の負荷の低下に対して増大させる、
    燃料電池システム。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、前記燃料電池の出口温度の上昇に対し、前記酸化剤ガスの流量を増大させる、
    燃料電池システム。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、前記燃料電池の負荷の低下に対し、前記燃料過剰率を増大させるとともに、前記酸化剤ガスの流量の、前記原燃料の流量に対する比を増大させる、
    燃料電池システム。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、
    外気温を取得する手段を有し、
    前記外気温の上昇に対し、前記燃料過剰率を減少させる、
    燃料電池システム。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記供給制御部は、
    大気圧を取得する手段を有し、
    前記大気圧の上昇に対し、前記燃料過剰率を増大させる、
    燃料電池システム。
  10. 燃料電池の原燃料を、前記燃料電池への供給前に蒸発させる蒸発器を備える燃料電池システムの制御方法であって、
    前記原燃料を前記蒸発器に供給し、
    前記燃料電池のオフガス中の残燃料を燃焼させ、
    前記燃焼により生じた前記残燃料の燃焼ガスを前記蒸発器に供給し、
    前記蒸発器において、前記原燃料を前記燃焼ガスとの熱交換により加熱し、
    前記原燃料の供給に際し、前記燃料電池の要求出力に応じた前記原燃料の流量を必要流量として、前記燃料電池の負荷の低下に対し、前記原燃料の前記必要流量に対する実際の供給流量の比である燃料過剰率を、前記蒸発器の入口側で前記燃焼ガスが有する熱流をAとし、前記蒸発器における前記原燃料と前記燃焼ガスとの熱交換効率をBとし、前記蒸発器における前記原燃料の蒸発に要する熱流をCとして、A×B/C>1となる燃料過剰率に制御する、
    燃料電池システムの制御方法。
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