<第1実施形態>
本発明の配線回路基板の第1実施形態としての回路付サスペンション基板1を、図1~図5を参照して説明する。
図1に示すように、回路付サスペンション基板1は、所定方向に延びる略平帯状を有している。
図1において、紙面厚み方向は、回路付サスペンション基板1の厚み方向(第1方向)であり、紙面手前側が厚み方向の一方側(第1方向の一方側)、紙面奥側が厚み方向の他方側(第1方向の他方側)である。
図1において、紙面上下方向は、回路付サスペンション基板1の長手方向(第1方向と直交する第2方向)であり、紙面上側が長手方向の一方側(第2方向の一方側)、紙面下側が長手方向の他方側(第2方向の他方側)である。
図1において、紙面左右方向は、回路付サスペンション基板1の幅方向(第1方向および第2方向に直交する第3方向)であり、紙面右側が幅方向の一方側(第3方向の一方側)、紙面左側が幅方向の他方側(第3方向の他方側)である。具体的には、方向は、各図に記載の方向矢印従う。
また、以下において、特に言及しない場合、回路付サスペンション基板1の厚み方向を単に厚み方向とし、回路付サスペンション基板1の長手方向を単に長手方向とし、回路付サスペンション基板1の幅方向を単に幅方向とする。
図4および図5に示すように、回路付サスペンション基板1は、金属支持層2と、第1絶縁層の一例としてのベース絶縁層3と、導体層の一例としての導体パターン4と、第2絶縁層の一例としてのカバー絶縁層5と、を備える。より詳しくは、回路付サスペンション基板1は、積層構造を有しており、金属支持層2と、ベース絶縁層3と、導体パターン4と、カバー絶縁層5とを、厚み方向の他方側から一方側に向かって順に備えている。
1-1.金属支持層
図2に示すように、金属支持層2は、導体パターン4を支持する金属支持体であって、長手方向に延びている。なお、図2では、便宜上、金属支持層2および導体パターン4を実線にて示し、ベース絶縁層3を仮想線にて示し、カバー絶縁層5を省略している。
金属支持層2は、ジンバル部20と、本体部21とを備える。
ジンバル部20は、長手方向における金属支持層2の一端部に位置する。ジンバル部20は、枠部22と、ステージ23と、複数のステージ接続部24とを備える。
枠部22は、厚み方向から見て矩形枠形状を有し、開口22Aを区画する。枠部22は、ステージ23を囲む。
ステージ23は、開口22A内において、枠部22に対して間隔を空けて配置される。ステージ23は、厚み方向から見てH字形状を有する。ステージ23は、第1ステージ26と、第2ステージ27と、ステージ連結部28とを備える。
第1ステージ26は、長手方向におけるステージ23の一端部に位置する。第1ステージ26は、厚み方向から見て矩形状を有する。
第2ステージ27は、長手方向におけるステージ23の他端部に位置する。第2ステージ27は、第1ステージ26に対して、長手方向の他方側に間隔を空けて位置する。第2ステージ27は、厚み方向から見て幅方向に延びる矩形状を有する。
ステージ連結部28は、長手方向において第1ステージ26と第2ステージ27との間に位置する。ステージ連結部28は、第1ステージ26における長手方向他端縁の幅方向中央部分と、第2ステージ27における長手方向一端縁の幅方向中央部分とを連結する。
複数(2つ)のステージ接続部24は、第2ステージ27と枠部22とを接続する。複数のステージ接続部24のそれぞれは、厚み方向から見てL字形状を有しており、第1部分24Aと、第2部分24Bとを備える。
第1部分24Aは、第2ステージ27の幅方向両端部から連続して、長手方向一方側に向かって延びる。第1部分24Aは、ステージ連結部28に対して、幅方向に間隔を空けて配置される。第2部分24Bは、長手方向における第1部分24Aの一端部から連続して、幅方向外側に向かって延び、枠部22に接続される。
そして、第1ステージ26の長手方向他端縁(より詳しくは、第1ステージ26の長手方向他端縁を幅方向に延長した仮想線)と、第2ステージ27の長手方向一端縁と、ステージ連結部28の幅方向端縁と、各第1部分24Aの幅方向内側端縁(より詳しくは、各第1部分24Aの幅方向内側端縁を長手方向に延長した仮想線)とは、第1露出部20Aを区画する。
第1露出部20Aは、厚み方向から見て長手方向に延びる矩形状を有し、金属支持層2を厚み方向に貫通する。第1露出部20Aは、ステージ連結部28を挟むように、幅方向に間隔を空けて2つ配置される。
本体部21は、ロードビーム(図示せず)に支持される部分であって、枠部22に対して長手方向の他方側に位置する。本体部21は、枠部22の長手方向他端部から連続して、長手方向他方側に延びる。本体部21は、第2露出部21Aを有する。
第2露出部21Aは、長手方向における本体部21の他端部に位置する。第2露出部21Aは、本体部21を厚み方向に貫通する開口である。第2露出部21Aは、厚み方向から見て長手方向に延びる矩形状を有する。
金属支持層2の材料として、例えば、ステンレスなどの金属材料が挙げられる。金属支持層2の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上、例えば、35μm以下、好ましくは、25μm以下である。
1-2.ベース絶縁層
図4に示すように、ベース絶縁層3は、厚み方向における金属支持層2の一方側、具体的には、金属支持層2の厚み方向の一方面に配置される。ベース絶縁層3は、導体パターン4に対応する所定のパターンを有する。図2に示すように、ベース絶縁層3は、ジンバルベース30と、本体ベース31とを備える。
ジンバルベース30は、厚み方向から見て、ジンバル部20と重なるように配置される。ジンバルベース30は、第1ジンバルベース33と、第2ジンバルベース34と、ジンバルベース連結部35と、複数のベースリミッタ32とを備える。
第1ジンバルベース33は、厚み方向から見て矩形状を有する。第1ジンバルベース33は、長手方向の他端部を除いて、第1ステージ26上に配置される。第1ジンバルベース33の長手方向の他端部は、第1ステージ26よりも長手方向他方側に位置する。第1ジンバルベース33における長手方向他端部の幅方向中央部分は、ステージ連結部28の長手方向の一端部上に配置される。
また、第1ジンバルベース33の長手方向の他端部は、複数の第1端子配置部分33Aを含む。複数(2つ)の第1端子配置部分33Aは、第1ジンバルベース33のうち、厚み方向から見て、複数(2つ)の第1露出部20Aの長手方向の一端部と重なる部分である。複数(2つ)の第1端子配置部分33Aは、厚み方向から見て、ステージ連結部28の長手方向の一端部を挟むように、幅方向に間隔を空けて配置される。
図4に示すように、複数の第1端子配置部分33Aのそれぞれは、開口部の一例としての第1開口部33Bを有する。
第1開口部33Bは、第1端子配置部分33Aの略中央部分に配置される。第1開口部33Bは、第1端子配置部分33Aを厚み方向に貫通しており、第1露出部20Aと連通する。第1開口部33Bの内周面は、厚み方向に対して交差しており、厚み方向の他方側から一方側に向かうにつれて広がるように傾斜している。
図2に示すように、第2ジンバルベース34は、第1ジンバルベース33に対して長手方向の他方側に間隔を空けて位置する。第2ジンバルベース34は、厚み方向から見て幅方向に延びる矩形状を有する。
第2ジンバルベース34は、厚み方向から見て、第2ステージ27と、ステージ連結部28の長手方向の他方側部分と、各第1部分24Aの長手方向の他方側部分と、開口22Aの長手方向の他方側部分(第2ステージ27と、複数のステージ接続部24と、枠部22の長手方向他方側部分とに囲まれる凹状部分)と、第1露出部20Aの長手方向の他方側部分とに一括して重なる。
また、第2ジンバルベース34は、複数(2つ)の第2端子配置部分34Aを含む。複数(2つ)の第2端子配置部分34Aは、第2ジンバルベース34のうち、厚み方向から見て、複数(2つ)の第1露出部20Aの長手方向他方側部分と重なる部分である。複数(2つ)の第2端子配置部分34Aは、厚み方向から見てステージ連結部28の長手方向他端部を挟むように、幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。
図4に示すように、複数の第2端子配置部分34Aのそれぞれは、第1端子配置部分33Aに対して長手方向の他方側に間隔を空けて配置されている。複数の第2端子配置部分34Aのそれぞれは、開口部の一例としての第2開口部34Bを有する。
第2開口部34Bは、第2端子配置部分34Aの長手方向他端部に配置される。第2開口部34Bは、第2端子配置部分34Aを厚み方向に貫通しており、第1露出部20Aと連通する。第2開口部34Bの内周面は、厚み方向に対して交差しており、厚み方向の他方側から一方側に向かうにつれて広がるように傾斜している。
図2に示すように、ジンバルベース連結部35は、長手方向において第1ジンバルベース33と第2ジンバルベース34との間に位置する。ジンバルベース連結部35は、第1ジンバルベース33における長手方向他端縁の幅方向中央部分と、第2ジンバルベース34における長手方向一端縁の幅方向中央部分とを連結する。
ジンバルベース連結部35は、幅方向両端部35Aを除いて、ステージ連結部28の長手方向中央部分に配置される。ジンバルベース連結部35の幅方向の両端部35Aは、ステージ連結部28の幅方向両端縁よりも幅方向外側に位置し、厚み方向から見て複数(2つ)の第1露出部20Aの幅方向内側端部と重なる。
そして、各第1端子配置部分33Aの長手方向他端縁と、各第2端子配置部分34Aの長手方向一端縁と、ジンバルベース連結部35の幅方向端縁とは、第1ベース貫通溝36を区画する。回路付サスペンション基板1において、第1ベース貫通溝36は、ジンバルベース連結部35を挟むように、幅方向に互いに間隔を空けて2つ配置される。
複数(2つ)の第1ベース貫通溝36のそれぞれは、厚み方向から見て、幅方向外側に向かって開放されるU字形状を有する。各第1ベース貫通溝36は、第1端子配置部分33Aを厚み方向に貫通しており、第1露出部20Aと連通する。
複数のベースリミッタ32は、ステージ23のバネ特性を調整する。複数のベースリミッタ32のそれぞれは、第1ジンバルベース33の幅方向端部と枠部22の長手方向の一端部とを連結する。
本体ベース31は、第2ジンバルベース34に対して長手方向の他方側に位置しており、本体部21上に配置される。本体ベース31は、第2ジンバルベース34の長手方向他端部から連続して、長手方向他方側に向かって延びる。本体ベース31は、貫通口37を有する。
貫通口37は、本体ベース31の長手方向他端部に位置し、厚み方向から見て第2露出部21Aと重なるように配置される。貫通口37は、本体ベース31を厚み方向に貫通しており、第2露出部21Aと連通する。
より詳しくは、貫通口37は、第2露出部21Aよりも一回り小さい矩形状を有し、貫通口37の全体が、厚み方向から見て、第2露出部21A内に含まれている。貫通口37の周縁は、第2露出部21Aの周縁よりも内側に位置している。そのため、図5に示すように、本体ベース31における貫通口37の周縁部37Aは、厚み方向他方側から見て、第2露出部21Aを介して露出している。本体ベース31における貫通口37の周縁部37Aは、厚み方向から見て、貫通口37を囲む矩形枠形状を有する(図2参照)。また、貫通口37の内周面は、厚み方向に対して交差しており、厚み方向の他方側から一方側に向かうにつれて広がるように傾斜している。
このようなベース絶縁層3は、図4および図5に示すように、比較的厚みが薄い第1薄肉部の一例としてのベース薄肉部38と、比較的厚みが厚い第1厚肉部の一例としてのベース厚肉部39とを含む。
ベース薄肉部38は、ベース絶縁層3のうち、厚み方向の他方側から見て、第1露出部20Aおよび第2露出部21Aから露出する部分である。具体的には、ベース薄肉部38は、厚み方向の他方側から見て、第1露出部20Aから露出する素子端子周辺部38Aと、第2露出部21Aから露出する外部端子周辺部38Bと、を含む。
本実施形態において、素子端子周辺部38Aは、幅方向に互いに間隔を空けて2つ配置される。複数(2つ)の素子端子周辺部38Aは、厚み方向から見て、ステージ連結部28を挟むように幅方向に間隔を空けて配置される(図2参照)。
図4に示すように、複数の素子端子周辺部38Aのそれぞれは、第1開口部33Bを有する第1端子配置部分33Aと、第2開口部34Bを有する第2端子配置部分34Aと、ジンバルベース連結部35の幅方向端部35A(図2参照)と、第1ベース貫通溝36とを含む。各素子端子周辺部38Aにおいて、第1端子配置部分33Aおよび第2端子配置部分34Aは、長手方向に第1ベース貫通溝36と隣接し、ジンバルベース連結部35の幅方向端部は、幅方向に第1ベース貫通溝36と隣接する(図2参照)。また、第1開口部33Bは、第1ベース貫通溝36に対して長手方向一方側に間隔を空けて配置され、第2開口部34Bは、第1ベース貫通溝36に対して長手方向他方側に間隔を空けて配置される。
図5に示すように、外部端子周辺部38Bは、厚み方向から見て、第2露出部21A内に配置される。外部端子周辺部38Bは、本体ベース31における貫通口37の周縁部37Aと、貫通口37とを含む。外部端子周辺部38Bにおいて、本体ベース31の貫通口37の周縁部37Aは、長手方向および幅方向の両方向において貫通口37と隣接する。
このようなベース薄肉部38の厚みは、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。
図4および図5に示すように、ベース厚肉部39は、ベース薄肉部38よりも厚く、ベース薄肉部38と連続する。ベース厚肉部39は、ベース絶縁層3のうち、ベース薄肉部38以外の部分である。具体的には、ベース厚肉部39は、第1端子配置部分33Aを除く第1ジンバルベース33と、第2端子配置部分34Aを除く第2ジンバルベース34と、幅方向端部35Aを除くジンバルベース連結部35(図2参照)と、貫通口37の周縁部37Aを除く本体ベース31と、複数のベースリミッタ32(図2参照)とを含む。
このようなベース厚肉部39の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
ベース絶縁層3の材料として、例えば、ポリイミド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。
1-3.導体パターン
図3に示すように、導体パターン4は、複数のスライダ接続端子40と、端子および第1端子の一例としての複数の素子端子43と、端子および第2端子の一例としての複数の外部接続端子41と、複数の配線42と、を備える。
複数のスライダ接続端子40は、磁気ヘッドを備えるスライダ(図示せず)が回路付サスペンション基板1に実装されたときに、スライダと接合材料(例えば、はんだなど)を介して電気的に接続される。
複数のスライダ接続端子40は、厚み方向から見て第1ステージ26(図2参照)と重なるように位置する。複数のスライダ接続端子40のそれぞれは、厚み方向から見て、長手方向に延びる矩形状を有する。複数のスライダ接続端子40は、第1ジンバルベース33の厚み方向一方側(具体的には、厚み方向一方面)において、幅方向に互いに間隔を空けて配置される。
図4に示すように、複数の素子端子43は、圧電素子7が回路付サスペンション基板1に実装されたときに、圧電素子7と接合材料(例えば、はんだなど)を介して電気的に接続される。素子端子43は、各素子端子周辺部38Aに、2つずつ配置される。
各素子端子周辺部38Aに配置される2つの素子端子43は、第1素子端子43Aと、第2素子端子43Bとからなる。
第1素子端子43Aは、第1端子配置部分33Aに配置される。第1素子端子43Aは、第1開口部33Bに充填されており、厚み方向他方側から見て、第1露出部20Aを介して、ベース絶縁層3および金属支持層2から露出される。
第2素子端子43Bは、第2端子配置部分34Aに配置されており、第1素子端子43Aに対して、長手方向の他方側に間隔を空けて配置される。第2素子端子43Bは、第2開口部34Bに充填されており、厚み方向他方側から見て、第1露出部20Aを介して、ベース絶縁層3および金属支持層2から露出される。つまり、第1素子端子43Aおよび第2素子端子43Bは、第1ベース貫通溝36と重ならないように配置されており、第1ベース貫通溝36の長手方向両側に位置している。
図2に示すように、複数の外部接続端子41は、貫通口37の少なくとも一部が開放されるように、貫通口37と重なって配置される。複数の外部接続端子41のそれぞれは、厚み方向から見て、貫通口37の幅方向全体にわたって延びる矩形状を有する。複数の外部接続端子41は、貫通口37内において、長手方向に互いに間隔を空けて配置される。
複数の外部接続端子41は、複数の第1外部接続端子41Aと、複数の第2外部接続端子41Bとを含む。複数(6つ)の第1外部接続端子41Aは、複数(6つ)のスライダ接続端子40に対応する。複数(2つ)の第2外部接続端子41Bは、複数(2つ)の第2素子端子43Bに対応する。複数の第2外部接続端子41Bは、複数の外部接続端子41のうち長手方向の中央に位置しており、複数の第1外部接続端子41Aは、複数の第2外部接続端子41Bの長手方向両側に配置される。
図5に示すように、複数の外部接続端子41のそれぞれは、厚み方向の他方側から見て、第2露出部21Aを介して、金属支持層2およびベース絶縁層3から露出される。
図4および図5に示すように、複数の配線42は、第1ベース貫通溝36および貫通口37と重ならないように、ベース絶縁層3の厚み方向一方側、具体的には、ベース絶縁層3の厚み方向の一方面に配置される。
図3に示すように、複数の配線42は、複数のスライダ信号配線44と、複数のグランド配線46と、複数の素子電源配線45とを含む。
複数(6つ)のスライダ信号配線44のそれぞれは、スライダ接続端子40と、第1外部接続端子41Aとを電気的に接続する。
図5に示すように、複数のスライダ信号配線44のそれぞれは、第2配線の一例としての第1外部端子接続部47と、信号配線本体48とを備える。
第1外部端子接続部47は、第1外部接続端子41Aを挟むように、幅方向に互いに間隔を空けて2つ配置される。2つの第1外部端子接続部47のそれぞれは、厚み方向から見て第2露出部21Aと重なっており、本体ベース31における貫通口37の周縁部37A上、すなわち、外部端子周辺部38Bの厚み方向一方側に配置される。各第1外部端子接続部47は、第1外部接続端子41Aに接続される。
各第1外部端子接続部47は、第1外部接続端子41Aの幅方向端部から連続して、第1外部接続端子41Aと段差を形成するように、本体ベース31上に延びる。詳しくは、第1外部端子接続部47は、第1外部接続端子41Aの幅方向端部から連続して、貫通口37の内周面に沿って、厚み方向一方側に向かうにつれて第1外部接続端子41Aから離れるように延びた後、周縁部37Aの厚み方向一方面上に沿って、幅方向に延びる。
図2に示すように、信号配線本体48は、スライダ接続端子40と、第1外部端子接続部47とを電気的に接続する。複数のスライダ信号配線44の信号配線本体48は、2つの配線群48Aに分けられる。各配線群48Aは、互いに平行となるように配置される複数(3つ)の信号配線本体48からなる。
2つの配線群48Aのうち一方は、ジンバルベース30において幅方向の一方側を引き回され、2つの配線群48Aのうち他方は、ジンバルベース30において幅方向の他方側を引き回される。
詳しくは、配線群48Aは、まず、第1ジンバルベース33上において、スライダ接続端子40の長手方向一端部から連続してUターンし、幅方向端部(一端部または他端部)上を通過するように引き回される。
次いで、配線群48Aは、幅方向内側(一方側または他方側)に屈曲して幅方向に延びた後、2つの第1素子端子43Aの幅方向の間を通過するように、長手方向他方側に屈曲して長手方向に延びる。
次いで、配線群48Aは、ジンバルベース連結部35を通過して、第2ジンバルベース34の長手方向一端部に到達し、長手方向における第1ベース貫通溝36と第2素子端子43Bとの間を通過するように、幅方向外側(一方側または他方側)に屈曲して幅方向に延びる。そのため、各配線群48Aは、第1ベース貫通溝36と第2素子端子43Bとの間において、第2端子配置部分34Aの厚み方向一方側に配置される端子周辺部分48Bを含む。
その後、配線群48Aは、第2ジンバルベース34上および本体ベース31上を引き回され、第1外部端子接続部47に接続される。
図4に示すように、複数(2つ)のグランド配線46のそれぞれは、第1素子端子43Aを第1ステージ26に接地する。複数のグランド配線46のそれぞれは、第1素子端子接続部49と、グランド配線本体50とを備える。
第1素子端子接続部49は、厚み方向から見て、第1素子端子43Aの周囲を囲む矩形枠形状を有する。第1素子端子接続部49は、第1素子端子43Aの周縁全体に連続しており、外部接続端子41と段差を形成するように、第1端子配置部分33A上、すなわち、素子端子周辺部38Aの厚み方向一方側に延びる。
詳しくは、第1素子端子接続部49は、第1素子端子43Aの周縁全体から連続して、第1開口部33Bの内周面に沿って、厚み方向一方側に向かうにつれて第1素子端子43Aから離れるように延びた後、第1端子配置部分33Aの厚み方向一方面に到達し、第1端子配置部分33Aの厚み方向一方面に沿って延びる。
グランド配線本体50は、第1素子端子接続部49の長手方向一端部から連続して、第1ジンバルベース33上を延びた後、第1ジンバルベース33を貫通して第1ステージ26に接触(接地)する。
図2に示すように、複数(2つ)の素子電源配線45のそれぞれは、第2素子端子43Bと、第2外部接続端子41Bとを電気的に接続する。複数の素子電源配線45のそれぞれは、第2素子端子接続部51と、第2外部端子接続部52と、電源配線本体53とを備える。
第2素子端子接続部51は、厚み方向から見て、第2素子端子43Bの周囲を囲む矩形枠形状を有する。第2素子端子接続部51は、第2素子端子43Bの周縁全体に連続しており、第2端子配置部分34A上、すなわち、素子端子周辺部38Aの厚み方向一方側に配置される。
詳しくは、第2素子端子接続部51は、第2素子端子43Bの周縁全体から連続して、第2開口部34Bの内周面に沿って、厚み方向一方側に向かうにつれて第2素子端子43Bから離れるように延びた後、第2端子配置部分34Aの厚み方向一方面上に到達し、第2端子配置部分34Aの厚み方向一方面に沿って延びる。
第2外部端子接続部52は、第1外部接続端子41Aに代えて第2外部接続端子41Bに接続されること以外は、第1外部端子接続部47と同様の構成を有する(図5参照)。そのため、第2外部端子接続部52の詳細な説明を省略する。
電源配線本体53は、第2素子端子接続部51(図4参照)と第2外部端子接続部52とを電気的に接続する。電源配線本体53は、第2素子端子接続部51の長手方向他端部から連続して(図4参照)、第2ジンバルベース34上および本体ベース31上を順次引き回され、第2外部接続端子41Bの幅方向他端部に連続する第2外部端子接続部52に接続される。
このような複数の配線42は、図4および図5に示すように、薄肉対応部分54と、厚肉対応部分55とを含む。
薄肉対応部分54は、配線42のうち、ベース薄肉部38の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向一方面)に配置される部分である。薄肉対応部分54は、素子端子周辺部38Aに配置される第1薄肉対応部分54Aと、外部端子周辺部38Bに配置される第2薄肉対応部分54Bと、を含む。
図4に示すように、第1薄肉対応部分54Aは、第1素子端子接続部49と、第2素子端子接続部51と、配線群48Aの端子周辺部分48Bとを含む。
なお、以下において、端子周辺部分48Bに含まれる複数(3つ)の信号配線本体48のうち、第1ベース貫通溝36に最も近い信号配線本体48を、第1配線の一例としての第1配線本体48Cとする。
第1配線本体48Cは、第1素子端子43Aに接続されておらず、第1ベース貫通溝36に対して、第1素子端子43Aの反対側に位置する。第1配線本体48Cは、端子周辺部分48Bにおける複数の信号配線本体48のうち、長手方向の一端に位置する。第1配線本体48Cは、第1端部の一例としての第1側面48Dと、第2端部の一例としての第2側面48Eとを備える。
第1側面48Dは、長手方向における第1配線本体48Cの一端面であり、第1ベース貫通溝36側の側面である。第2側面48Eは、長手方向における第1配線本体48Cの他端面であり、第1側面48Dに対して第1ベース貫通溝36と反対側の側面である。
図5に示すように、第2薄肉対応部分54Bは、複数の第1外部端子接続部47と、複数の第2外部端子接続部52(図2参照)とを含む。
図3に示すように、厚肉対応部分55は、配線42のうち、ベース厚肉部39の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向一方面)に配置される部分であり、薄肉対応部分54以外の部分である。具体的には、厚肉対応部分55は、複数のスライダ接続端子40と、端子周辺部分48Bを除く複数の信号配線本体48と、複数のグランド配線本体50と、複数の電源配線本体53とを含む。
導体パターン4の材料として、例えば、銅などの導体材料が挙げられる。導体パターン4の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、例えば、20μm以下、好ましくは、12μm以下である。
1-4.カバー絶縁層
図4に示すように、カバー絶縁層5は、導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の厚み方向の一方側、具体的には、ベース絶縁層3の厚み方向の一方面に配置される。本実施形態において、カバー絶縁層5は、第1カバー絶縁層8と、第2カバー絶縁層9とが積層されて構成されている。
図3に示すように、第1カバー絶縁層8は、複数のスライダ接続端子40および複数の外部接続端子41が露出するように、導体パターン4を被覆する。なお、図3では、便宜上、第2カバー絶縁層9を省略している。
第1カバー絶縁層8は、第1カバー開口8Aと、複数の第1カバー貫通溝8Bと、第2カバー開口8Cと、を有する。
第1カバー開口8Aは、複数のスライダ接続端子40の厚み方向一方面を露出させる。第1カバー開口8Aは、厚み方向から見て、第1ジンバルベース33と重なるように配置される。
図4に示すように、複数(2つ)の第1カバー貫通溝8Bのそれぞれは、第1カバー絶縁層8を厚み方向に貫通しており、厚み方向において複数(2つ)の第1ベース貫通溝36と連通する。第1カバー貫通溝8Bは、厚み方向から見て、第1ベース貫通溝36と同様の形状およびサイズを有する。第1カバー貫通溝8Bに臨む第1カバー絶縁層8の端面は、第1ベース貫通溝36に臨む第1端子配置部分33Aの端面と面一である。
このような第1カバー貫通溝8Bおよび第1ベース貫通溝36は、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5を厚み方向に貫通しており、貫通部の一例としての第1貫通部10を構成する。つまり、回路付サスペンション基板1は、第1貫通部10を備える。
図5に示すように、第2カバー開口8Cは、複数の外部接続端子41の厚み方向一方面を露出させる(図3参照)。第2カバー開口8Cは、第1カバー絶縁層8を厚み方向に貫通しており、厚み方向において貫通口37と連通する。第2カバー開口8Cは、厚み方向から見て、貫通口37と同様の形状およびサイズを有する。
このような第2カバー開口8Cおよび貫通口37は、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5を厚み方向に貫通しており、貫通部の一例としての第2貫通部11を構成する。つまり、回路付サスペンション基板1は、第2貫通部11を備える。
第1カバー絶縁層8の材料として、例えば、ポリイミド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。第1カバー絶縁層8の厚み(導体パターン4の厚み方向一方面と第1カバー絶縁層8の厚み方向一方面との間の寸法)は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上、例えば、10μm以下、好ましくは、8μm以下である。
図4および図5に示すように、第2カバー絶縁層9は、第1カバー絶縁層8の厚み方向の一方側、具体的には、第1カバー絶縁層8の厚み方向の一方面に配置される。
図1に示すように、第2カバー絶縁層9は、複数の第1堰部90と、第2堰部91とを備える。
複数(2つ)の第1堰部90は、厚み方向から見て、複数(2つ)の素子端子周辺部38Aと重なるように配置される(図2参照)。複数(2つ)の第1堰部90は、幅方向に互いに間隔を空けて配置される。複数の第1堰部90のそれぞれは、第1カバー貫通溝8Bの周縁部、すなわち、第1貫通部10の周縁部に位置する。各第1堰部90は、厚み方向から見てL字状を有し、堰本体90Aと、突出部分90Bとを備える。
堰本体90Aは、第1カバー貫通溝8Bの長手方向他方側の周縁に沿って配置され、幅方向に延びる直線矩形状を有する。図4に示すように、堰本体90Aは、厚み方向から見て、少なくとも第1配線本体48Cの第1側面48Dと重なるように配置される。本実施形態において、堰本体90Aは、厚み方向から見て、第1配線本体48Cの全体と重なっている。堰本体90Aの長手方向一端面は、第1カバー貫通溝8Bに臨む第1カバー絶縁層8の端面と面一である。
図1に示すように、突出部分90Bは、第1カバー貫通溝8Bの幅方向内側周縁に沿って配置され、堰本体90Aの幅方向内側端部から連続して、長手方向の一方側に向かって突出する。突出部分90Bは、厚み方向から見て、ジンバルベース連結部35の幅方向端部35Aと重なるように配置される(図2参照)。
第2堰部91は、厚み方向から見て、外部端子周辺部38Bと重なるように配置される(図2参照)。第2堰部91は、第2カバー開口8Cの周縁部、すなわち、第2貫通部11の周縁部に位置する。第2堰部91は、複数の外部接続端子41を挟むように、幅方向に互いに間隔を空けて2つ配置される。
2つの第2堰部91のそれぞれは、第2カバー開口8Cの幅方向端縁に沿って配置され、長手方向に延びる直線矩形状を有する。図5に示すように、2つの第2堰部91のそれぞれは、厚み方向から見て、複数の第1外部端子接続部47と複数の第2外部端子接続部52とに一括して重なるように配置される。第2堰部91の幅方向内側端面は、第2カバー開口8Cに臨む第1カバー絶縁層8の端面と面一である。
なお、図1に示すように、2つの第2堰部91の長手方向一端部は、連結部99により連結されている。連結部99は、第2カバー開口8Cの長手方向一端縁に沿って配置される。
第2カバー絶縁層9の材料として、例えば、第1カバー絶縁層8と同様の合成樹脂が挙げられる。第2カバー絶縁層9の厚み(第1カバー絶縁層8の厚み方向一方面と第2カバー絶縁層9の厚み方向一方面との間の寸法)は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上、例えば、10μm以下、好ましくは、8μm以下である。
このようなカバー絶縁層5は、比較的厚みの厚い第2厚肉部の一例としてのカバー厚肉部58と、比較的厚みの薄い第2薄肉部の一例としてのカバー薄肉部59とを含む。
本実施形態では、カバー厚肉部58は、カバー絶縁層5のうち、第1カバー絶縁層8および第2カバー絶縁層9が積層される部分である。具体的には、カバー厚肉部58は、第1堰部90と第1カバー絶縁層8とが重なる第1カバー厚肉部58Aと、第2堰部91と第1カバー絶縁層8とが重なる第2カバー厚肉部58Bとを含む。
第1カバー厚肉部58Aは、第1貫通部10の周縁部に位置し、厚み方向から見て、少なくとも第1配線本体48Cの第1側面48Dと重なるように配置される。
第2カバー厚肉部58Bは、第2貫通部11の周縁部に位置し、厚み方向から見て、複数の第1外部端子接続部47および複数の第2外部端子接続部52と一括して重なるように配置される。
このようなカバー厚肉部58の厚み(導体パターン4の厚み方向一方面と第2カバー絶縁層9の厚み方向一方面との間の寸法)は、例えば、2μm以上、好ましくは、4μm以上、例えば、20μm以下、好ましくは、16μm以下である。
カバー薄肉部59は、カバー厚肉部58よりも薄く、カバー厚肉部58と連続する。カバー薄肉部59は、カバー絶縁層5のうち、カバー厚肉部58以外の部分、すなわち、第1カバー絶縁層8のみからなる部分である。
2.回路付サスペンション基板の製造
次に、図6A~図10Bを参照して、回路付サスペンション基板1の製造方法について説明する。
回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図6Aおよび図6Bに示すように、金属支持層2の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向の一方面)に、プレベース層100を階調露光により形成する。
詳しくは、感光性の合成樹脂を含むワニスを、金属支持層2の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。その後、ベース皮膜を、厚みが異なる部分が形成されるように階調露光した後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させる。
これによって、比較的厚みの厚いベース形成部分101と、比較的厚みの薄い除去部分102とを有するプレベース層100が形成される。
ベース形成部分101は、上記したベース絶縁層3に対応する部分に形成される。除去部分102は、上記した第1開口部33B、上記した第2開口部34Bおよび上記した貫通口37に対応する部分に形成される。
次いで、図7Aおよび図7Bに示すように、導体パターン4を、例えば、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって、プレベース層の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向の一方面)に、上記のパターンに形成する。
詳しくは、複数の素子端子43および複数の外部接続端子41が除去部分102上に形成され、複数のスライダ接続端子40(図1参照)および複数の配線42がベース形成部分101上に形成される。
次いで、図8Aおよび図8Bに示すように、第1カバー絶縁層8を、プレベース層100の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向の一方面)に、導体パターン4を被覆するように、上記したパターンに形成する。
具体的には、感光性の合成樹脂を含むワニスを、プレベース層100および導体パターン4上に塗布して乾燥させて、第1カバー皮膜を形成する。その後、第1カバー皮膜を露光および現像した後、必要により加熱硬化させる。
次いで、図9Aおよび図9Bに示すように、第2カバー絶縁層9を、第1カバー絶縁層8の厚み方向の一方側(具体的には、厚み方向の一方面)に、上記したパターンに形成する。
具体的には、感光性の合成樹脂を含むワニスを、第1カバー絶縁層8上に塗布して乾燥させて、第2カバー皮膜を形成する。その後、第2カバー皮膜を露光および現像した後、必要により加熱硬化させる。
次いで、図10Aおよび図10Bに示すように、金属支持層2を、上記のパターンとなるように外形加工して、複数の第1露出部20Aおよび第2露出部21Aを形成する。
これによって、図10Aに示すように、素子端子周辺部38Aに対応するプレベース層100の第1エッチング部分100Aが、第1露出部20Aを介して、厚み方向他方側から露出する。
第1エッチング部分100Aは、第1開口部33Bおよび第2開口部34Bに対応する除去部分102と、第1端子配置部分33Aおよび第2端子配置部分34Aに対応するベース形成部分101と、第1貫通部10とを含む。
また、図10Bに示すように、外部端子周辺部38Bに対応するプレベース層100の第2エッチング部分100Bが、第2露出部21Aを介して、厚み方向他方側から露出する。
第2エッチング部分100Bは、貫通口37に対応する除去部分102と、本体ベース31における貫通口37の周縁部37Aに対応するベース形成部分101とを含む。
次いで、図11Aおよび図11Bに示すように、第1エッチング部分100Aおよび第2エッチング部分100B以外の部分が被覆されるように、エッチングレジスト105を形成する。
詳しくは、エッチングレジスト105は、カバー絶縁層5の厚み方向一方面と、カバー絶縁層5から露出するプレベース層100の厚み方向一方面と、プレベース層100およびカバー絶縁層5から露出する金属支持層2の厚み方向一方面と、カバー絶縁層5から露出する導体パターン4(スライダ接続端子40および外部接続端子41)の厚み方向一方面および側面と、第1貫通部10の内周面(第1カバー貫通溝8Bに臨む第1カバー絶縁層8の端面および第1ベース貫通溝36に臨む第1端子配置部分33Aの端面)と、第2カバー開口8Cの内周面(第2カバー開口8Cに臨む第1カバー絶縁層8の端面)とに密着する。
次いで、第1エッチング部分100Aおよび第2エッチング部分100Bを、例えば、ウェットエッチングによって、厚み方向他方側からエッチングする。
これによって、図11Aに示すように、第1エッチング部分100Aにおいて、除去部分102が除去されて素子端子43が露出するとともに、ベース形成部分101が薄肉化されて、第1端子配置部分33Aおよび第2端子配置部分34Aが形成される(図4参照)。
また、図11Bに示すように、第2エッチング部分100Bにおいて、除去部分102が除去されて、貫通口37が形成され、外部接続端子41が露出するとともに、ベース形成部分101が薄肉化されて、貫通口37の周縁部37Aが形成される(図5参照)。
以上によって、回路付サスペンション基板1が製造される。
しかるに、上記したエッチング工程では、エッチング液がエッチングレジスト105と第1貫通部10の内周面との界面に浸入する場合や、貫通口37が形成された後に、エッチング液がエッチングレジスト105と第2カバー開口8Cとの界面に浸入する場合がある。
すると、浸入したエッチング液が、ベース絶縁層3側からカバー絶縁層5側に回り込み、カバー絶縁層5をエッチングして、端子の周辺に位置する配線42が露出してしまうおそれがある。
一方、図4および図5に示すように、回路付サスペンション基板1では、第1カバー厚肉部58Aが、第1貫通部10の周縁部に位置し、第2カバー厚肉部58Bが、第2貫通部11の周縁部に位置している。
そのため、図11Aおよび図11Bに示すように、プレベース層100をエッチングして素子端子43および外部接続端子41を厚み方向の他方側から露出させるときに、エッチング液が、貫通部(第1貫通部10および/または第2貫通部11)を介して、ベース絶縁層3側からカバー絶縁層5側に回り込んでも、比較的厚みの厚いカバー厚肉部58がエッチングされる。
そのため、図4および図5に示すように、端子の近傍に配線42が引き回されていても、ベース薄肉部38に配置される配線42の薄肉対応部分54が露出することを抑制することができる。その結果、配線42の配置の自由度の向上を図ることができながら、配線42がカバー絶縁層5から露出することを抑制できる。
また、配線42がカバー絶縁層5から露出することを抑制できるので、比較的厳しいエッチング条件を設定することができ、素子端子43および外部接続端子41を安定して露出させることができる。
図4に示すように、素子端子周辺部38Aは、第1貫通部10(第1ベース貫通溝36)に対して間隔を空けて配置される第1開口部33Bを備え、素子端子43は、第1開口部33Bに充填される第1素子端子43Aを含んでいる。そして、第1カバー厚肉部58Aは、厚み方向から見て、第1配線本体48Cの第1側面48Dと重なるように配置されている。そのため、配線群48Aの端子周辺部分48Bのうち、第1貫通部10に最も近い第1配線本体48Cが、露出することを確実に抑制することができる。
図5に示すように、複数の外部接続端子41は、第2貫通部11の少なくとも一部が開放されるように、第2貫通部11(貫通口37)と重なって配置され、第2カバー厚肉部58Bは、厚み方向から見て、複数の外部接続端子41に接続される第1外部端子接続部47および第2外部端子接続部52と一括して重なるように配置される。そのため、第1外部端子接続部47および第2外部端子接続部52が露出することを確実に抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、図12Aおよび図12Bを参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態では、図4および図5に示すように、カバー絶縁層5は、互いに異なる2層の絶縁層(第1カバー絶縁層8および第2カバー絶縁層9)から形成されるが、本発明は、これに限定されない。
第2実施形態では、図12Aおよび図12Bに示すように、カバー絶縁層5は、1層の絶縁層により構成されている。
このようなカバー絶縁層5を形成するには、まず、第1実施形態と同様にして、図7Aおよび図7Bに示される導体パターン4がプレベース層100上に形成された積層体を準備し、次いで、感光性の合成樹脂を含むワニスを、プレベース層100および導体パターン4上に塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成する。その後、カバー皮膜を、カバー厚肉部58およびカバー薄肉部59が形成されるように階調露光した後、カバー皮膜を現像し、必要により加熱硬化させる。これによって、カバー厚肉部58およびカバー薄肉部59を一体に備えるカバー絶縁層5が形成される。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第3実施形態~第6実施形態>
次に、図13A~図16Bを参照して、本発明の第3実施形態~第6実施形態について説明する。なお、第3実施形態~第6実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
上記した第1実施形態および第2実施形態では、端子の一例として、素子端子43および外部接続端子41が挙げられるが、本発明の端子は、厚み方向の他方側から見てベース絶縁層3から露出していれば、特に制限されない。
本発明の端子として、例えば、スライダ接続端子70(第3端子の一例)、発光素子接続端子70A(第3端子の一例)、検査端子71(第1端子の一例)、冶具接触部72(第2端子の一例)などが挙げられる。
第3実施形態では、図13Aおよび図13Bに示すように、スライダ接続端子70が端子の一例として構成される。この場合、第1ステージ26は、第1ステージ26を厚み方向に貫通する第3露出部26Aを有する。
また、第1ジンバルベース33は、第2貫通口33Cを有する。第2貫通口33Cは、厚み方向から見て、第3露出部26Aと重なるように配置されている。第2貫通口33Cは、第1ジンバルベース33を厚み方向に貫通しており、第2貫通口33Cと連通する。
より詳しくは、長手方向における第2貫通口33Cの一端縁は、長手方向における第3露出部26Aの一端縁よりも、長手方向他方側に位置している。そのため、第1ジンバルベース33における第2貫通口33Cの長手方向の一方側周縁部33Dは、厚み方向他方側から見て、第3露出部26Aを介して、第1ステージ26から露出する。このような第2貫通口33Cの長手方向の一方側周縁部33Dは、ベース薄肉部38に含まれる。
また、第2貫通口33Cの長手方向の一方側周縁部33Dと連続する第1ジンバルベース33は、金属支持層2上に配置されており、ベース厚肉部39に含まれる。
また、導体パターン4は、複数のスライダ接続端子70と、複数のスライダ信号配線73とを備える。
スライダ接続端子70は、スライダ6が回路付サスペンション基板1に実装されたときに、スライダ接続端子70の厚み方向一方面に接合材料(例えば、はんだなど)が配置されて、スライダ6と電気的に接続される。
複数のスライダ接続端子70は、第2貫通口33Cの少なくとも一部が開放されるように、第2貫通口33Cと重なって配置される。複数のスライダ接続端子70のそれぞれは、第2貫通口33Cの一方側周縁部33Dに隣接しており、第2貫通口33Cの一方側周縁部33Dから長手方向他方側に向かって突出している。複数のスライダ接続端子70は、第2貫通口33C内において、幅方向に互いに間隔を空けて配置される。複数のスライダ接続端子70は、厚み方向他方側から見て、第3露出部26Aを介して、金属支持層2およびベース絶縁層3から露出される。
複数のスライダ信号配線73のそれぞれは、スライダ接続端子70と、第1外部接続端子41A(図5参照)とを電気的に接続する。複数のスライダ信号配線73のそれぞれは、第3配線の一例としてのスライダ端子接続部74と、信号配線本体83と、複数の第1外部端子接続部47(図5参照)とを備える。
スライダ端子接続部74は、スライダ接続端子70に接続される。スライダ端子接続部74は、スライダ接続端子70の長手方向一端部から連続して、スライダ接続端子70と段差を形成するように、第1ジンバルベース33における第2貫通口33Cの長手方向一方側周縁部33D上、すなわち、ベース薄肉部38の厚み方向一方側に延びる。このようなスライダ端子接続部74は、薄肉対応部分54に含まれる。
信号配線本体83は、スライダ端子接続部74と、第1外部端子接続部47(図5参照)とを電気的に接続する。信号配線本体83は、ベース厚肉部39上を引き回される。このような信号配線本体83は、厚肉対応部分55に含まれる。
また、第1カバー絶縁層8は、第1カバー開口8Aを有する。第1カバー開口8Aは、複数のスライダ接続端子70の厚み方向一方面の少なくとも一部を露出させる。第1カバー開口8Aの長手方向一端縁は、第2貫通口33Cの長手方向一端縁よりも、長手方向の他方側に位置する。
このような第1カバー開口8Aおよび第2貫通口33Cは、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5を厚み方向に貫通しており、貫通部の一例としての第3貫通部12を構成する。つまり、回路付サスペンション基板1は、第3貫通部12を備える。
また、第2カバー絶縁層9は、第3堰部92を備える。第3堰部92は、厚み方向から見て複数のスライダ端子接続部74と一括して重なるように配置される。第3堰部92は、第1カバー開口8Aの周縁部、すなわち、第3貫通部12の周縁部に位置する。第3堰部92は、第1カバー開口8Aの長手方向一方側の周縁に沿って配置され、幅方向に延びる直線矩形状を有する。
このようなカバー絶縁層5は、第3堰部92と第1カバー絶縁層8とが重なる部分である第3カバー厚肉部58Cを含む。第3カバー厚肉部58Cは、カバー厚肉部58に含まれる。第3カバー厚肉部58Cは、第3貫通部12の周縁部に位置し、スライダ接続端子70の厚み方向一方面の少なくとも一部が露出するように、厚み方向から見てスライダ接続端子70と重なるように配置される。
そのため、スライダ接続端子70に接続されるスライダ端子接続部74が露出することを確実に抑制することができる。
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、第4実施形態では、図14に示すように、発光素子接続端子70Aが端子の一例として構成される。第4実施形態は、スライダ接続端子70を備える第3実施形態と同様の構成を有し、発光素子15を有するスライダ6が回路付サスペンション基板1に実装される。この場合、発光素子15は、スライダ6が回路付サスペンション基板1に実装されたときに、発光素子接続端子70Aに対して長手方向の他方側において、第3貫通部12に挿通される。そして、発光素子接続端子70Aの厚み方向他方面に、接合材料(例えば、はんだなど)が配置されて、発光素子15と発光素子接続端子70Aとが電気的に接続される。
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、第5実施形態では、図15Aおよび図15Bに示すように、検査端子71が端子の一例として構成される。この場合、金属支持層2は、金属支持層2を厚み方向に貫通する第4露出部2Aを有する。
また、ベース絶縁層3は、厚み方向から見て、第4露出部2Aと重なる検査端子配置部分3Aを含む。このような検査端子配置部分3Aは、ベース薄肉部38に含まれる。
検査端子配置部分3Aは、開口部の一例としての複数の第3開口部3Bを有する。複数の第3開口部3Bは、幅方向に互いに間隔を空けて配置される。複数の第3開口部3Bのそれぞれは、検査端子配置部分3Aを厚み方向に貫通しており、第4露出部2Aと連通する。
また、検査端子配置部分3Aと連続するベース絶縁層3は、金属支持層2上に配置されており、ベース厚肉部39に含まれる。
また、導体パターン4は、複数の検査端子71と、複数の検査配線75とを備える。
検査端子71は、回路付サスペンション基板1の導通検査において、図示しないプローブに接触されて、電圧が印加される。
複数の検査端子71のそれぞれは、第3開口部3Bに充填されており、厚み方向他方側から見て、第4露出部2Aを介して、ベース絶縁層3および金属支持層2から露出される。
複数の検査配線75のそれぞれは、後述する第4貫通部13と重ならないように配置され、検査端子71と、スライダ信号配線44とを電気的に接続する。複数の検査配線75のそれぞれは、検査端子接続部76と、検査配線本体77とを備える。
検査端子接続部76は、厚み方向から見て、検査端子71の周囲を囲む矩形枠形状を有する。検査端子接続部76は、検査端子71の周縁全体に連続しており、検査端子71と段差を形成するように、検査端子配置部分3A上、すなわち、ベース薄肉部38の厚み方向一方側に延びている。このような検査端子接続部76は、薄肉対応部分54に含まれる。
検査端子接続部76は、第1配線の一例としての長手方向一方側部分78と、長手方向他方側部分79とを有する。検査端子接続部76の長手方向一方側部分78は、検査端子71に対して長手方向の一方側に位置し、検査端子接続部76の長手方向他方側部分79は、検査端子71に対して長手方向一方側部分78の反対側に位置する。
検査端子接続部76の長手方向一方側部分78は、第1端部78Aと、第2端部78Bとを有する。
第1端部78Aは、検査端子接続部76における長手方向の一端部であって、第2端部78Bに対して、検査端子71の反対側に位置する。第2端部78Bは、検査端子71と連続しており、第1端部78Aと反対の端部である。
検査配線本体77は、検査端子接続部76の長手方向他方側部分79から連続して、ベース厚肉部39の厚み方向一方側を引き回される。このような検査配線本体77は、厚肉対応部分55に含まれる。
また、第1カバー絶縁層8は、複数の検査配線75を被覆するように、ベース絶縁層3の厚み方向一方側(具体的には、厚み方向一方面)に配置される。また、第1カバー絶縁層8は、第3カバー開口8Dを有する。第3カバー開口8Dは、検査端子71の厚み方向一方面を露出させる。
また、第2カバー絶縁層9は、第4堰部93を備える。第4堰部93は、厚み方向から見て、少なくとも検査端子接続部76の第1端部78Aと重なるように配置される。第4堰部93は、幅方向に延びる直線矩形状を有する。
このようなカバー絶縁層5は、第4堰部93と第1カバー絶縁層8とが重なる部分である第4カバー厚肉部58Dを含む。第4カバー厚肉部58Dは、カバー厚肉部58に含まれる。
第4カバー厚肉部58Dは、回路付サスペンション基板1が備える第4貫通部13の周縁部に位置する。
第4貫通部13は、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5を厚み方向に貫通しており、第4カバー厚肉部58Dに対して検査端子71の反対側に位置する。
つまり、第4貫通部13は、第3開口部3Bに対して間隔を空けて配置されており、検査端子71は、第4貫通部13と重ならないように配置されている。また、検査端子接続部76の長手方向一方側部分78は、検査端子接続部76のうち第4貫通部13に最も近く、第1端部78Aは、第4貫通部13側の端部であり、第2端部78Bは、第1端部78Aに対して、第4貫通部13と反対側に位置する。
このような第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、第6実施形態では、図16Aおよび図16Bに示すように、冶具接触部72が端子の一例として構成される。この場合、金属支持層2は、金属支持層2を厚み方向に貫通する第5露出部2Bを有する。第5露出部2Bは、厚み方向から見て、長手方向の一方側に向かって開放される半円形状を有する。
また、ベース絶縁層3は、厚み方向から見て、第5露出部2Bと重なる第2ベース貫通溝3Cを含む。第2ベース貫通溝3Cは、第5露出部2Bよりも一回り小さい半円形状を有し、第2ベース貫通溝3Cの全体が、厚み方向から見て、第5露出部2B内に含まれている。第2ベース貫通溝3Cの周縁は、第5露出部2Bの周縁よりも径方向内側に位置している。そのため、ベース絶縁層3における第2ベース貫通溝3Cの周縁部3Dは、厚み方向他方側から見て、第5露出部2Bを介して、金属支持層2から露出している。第2ベース貫通溝3Cの周縁部3Dは、厚み方向から見て、第5露出部2Bの周縁に沿う半円弧形状を有する。このような第2ベース貫通溝3Cの周縁部3Dは、ベース薄肉部38に含まれる。
また、第2ベース貫通溝3Cの周縁部3Dと連続するベース絶縁層3は、金属支持層2上に配置されており、ベース厚肉部39に含まれる。
また、導体パターン4は、冶具接触部72と、配線80とを備える。
冶具接触部72は、サスペンション加工するときに、図示しない冶具が接触する。
冶具接触部72は、第2ベース貫通溝3Cの少なくとも一部が開放されるように、第2ベース貫通溝3Cに重なって配置される。冶具接触部72は、第2ベース貫通溝3Cの内周面に隣接しており、第2ベース貫通溝3Cの径方向内側に向かって突出している。冶具接触部72は、厚み方向から見て、第2ベース貫通溝3Cに沿う半円弧形状を有する。冶具接触部72は、厚み方向他方側から見て、第5露出部2Bを介して、金属支持層2およびベース絶縁層3から露出される。
配線80は、後述する第5貫通部14と重ならないように配置される。配線80は、第2配線の一例としての接続部81と、配線本体82とを備える。
接続部81は、厚み方向から見て、ベース絶縁層3における第2ベース貫通溝3Cの周縁部3Dと重なるように配置される。接続部81は、冶具接触部72の径方向外側端部に連続しており、冶具接触部72と段差を形成するように、第2ベース貫通溝3Cの周縁部3D上、すなわち、ベース薄肉部38の厚み方向一方側に延びている。このような接続部81は、薄肉対応部分54に含まれる。
配線本体82は、接続部81に連続して、ベース厚肉部39の厚み方向一方側を引き回される。このような配線本体82は、厚肉対応部分55に含まれる。
また、第1カバー絶縁層8は、配線80を被覆するように、ベース絶縁層の厚み方向一方側(具体的には、厚み方向一方面)に配置される。また、第1カバー絶縁層8は、第2カバー貫通溝8Eを有する。第2カバー貫通溝8Eは、冶具接触部72の厚み方向一方面を露出させる。
このような第2カバー貫通溝8Eおよび第2ベース貫通溝3Cは、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5を厚み方向に貫通しており、貫通部の一例としての第5貫通部14を構成する。つまり、回路付サスペンション基板1は、第5貫通部14を備える。
また、第2カバー絶縁層9は、第5堰部94を備える。第5堰部94は、厚み方向から見て、接続部81と重なるように配置される。第5堰部94は、冶具接触部72の周方向に延びる半円弧形状を有する。
このようなカバー絶縁層5は、第5堰部94と第1カバー絶縁層8とが重なる部分である第5カバー厚肉部58Eを含む。第5カバー厚肉部58Eは、カバー厚肉部58に含まれる。第5カバー厚肉部58Eは、第5貫通部14の周縁部に位置し、厚み方向から見て接続部81と重なるように配置される。
このような第6実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<変形例>
また、上記した第1実施形態~第6実施形態では、本発明の配線回路基板の一例として、金属支持層2を備える回路付サスペンション基板1が挙げられるが、本発明の配線回路基板は、これに限定されない。本発明の配線回路基板は、例えば、金属支持層2を備えないフレキシブル配線回路基板であってもよい。
また、カバー厚肉部58の配置は、貫通部の周縁部に位置すれば特に制限されない。例えば、カバー厚肉部58は、第1素子端子接続部49の長手方向他端部とは重なるように、第1貫通部10の長手方向の一方側周縁に沿って配置されてもよい。
これら変形例によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、第1実施形態~第6実施形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。