JP7164506B2 - 捩り振動低減装置 - Google Patents
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Description
図1はこの発明の第1実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図であり、図2は図1に示す捩り振動低減装置の一部を模式的に示す正面図であり、図3は図1に示す捩り振動低減装置1の一部を拡大して示す断面図である。ここに示す捩り振動低減装置1は、トルクコンバータ2の内部であって、駆動力源3と駆動対象部4との間のトルクの伝達経路に設けられており、駆動力源3で発生したトルクの振動を低減して駆動対象部4に伝達するように構成されている。駆動力源3は一例としてガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、単にエンジンと記す。)である。したがって、その出力トルク(以下、エンジントルクと記す。)は不可避的に振動する。駆動対象部4は例えば変速機であって、その変速機は変速比がステップ的に変化する有段式の変速機、もしくは、変速比が連続的に変化する無段変速機などの従来知られた変速機であってよい。
上述した分割片19s同士は、慣性質量体19を強度的に一体品とみなすことができる程度に、互いに連結されていればよい。図5は、この発明の第2実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図5に示す例は、円周方向で互いに隣接する分割片19sの端部同士のうち、少なくとも一部分同士を半径方向に重ね合わせ、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。すなわち、分割片19sの長さ方向での一方の端面は、図5に示すように、慣性質量体19の外周面の接線を含む平面との成す角度が鋭角となる平面に形成されている。分割片19sの長さ方向での他方の端面は、上述した分割片19sの一方の端面と互いに平行な端面に形成されている。そして、上記と同様に、各分割片19sを円周方向に整列して互いに隣接する分割片19sの端面同士を互いに接触させ、それらの継ぎ目部分を溶接して一体化してリング状にする。なお、円周方向で、ピニオンギヤPの組み付け位置P0を挟んでピニオンギヤPが往復回転する領域αとは反対側に、分割片19s同士の連結部分が位置するように、リングギヤRに慣性質量体19を取り付ける。
図6は、この発明の第3実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図6に示す例は、互いに隣接する分割片19sの端部同士をいわゆる相欠き継ぎによって継ぎ合わせると共に、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。すなわち、図6に示すように、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向で外側部分に、円周方向に突出した外側突出部19aが形成されている。半径方向で外側突出部19aの内側面つまり図6で外側突出部19aの下側の面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっている。また、円周方向で外側突出部19aの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。分割片19sの長さ方向での他方の端部における半径方向で内側部分に、円周方向に突出した内側突出部19bが形成されている。半径方向で内側突出部19bの外側面つまり図6で内側突出部19bの上側の面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっている。また、円周方向で内側突出部19bの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、互いに隣接する分割片19sの外側突出部19aと内側突出部19bとを付き合わせる。そして、それらの継ぎ目部分を溶接して一体化してリング状にする。このような構成であれば、継ぎ目部分がクランク状になるので、第2実施形態よりも溶接長さが長くなって、連結部分の強度を更に向上できる。また、各分割片19sの形状公差に伴うずれがあったとしても組み付け性を特には損なうことがない。そのため、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図7は、この発明の第4実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図7に示す例は、互いに隣接する分割片19sの端部同士をいわゆるほぞ継ぎによって継ぎ合わせると共に、それらの継ぎ目部分を溶接した例である。図7に示すように、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での中間部分に、円周方向に突出したほぞ19cが形成されている。半径方向で当該ほぞ19cの両面は、分割片19sの外周面の接線を含む平面と互いに平行な平面となっており、また、円周方向でほぞ19cの先端面は、前記接線を含む平面に対して直交する平面となっている。そのほぞ19cが嵌合するほぞ溝19dが、分割片19sの他方の端部における半径方向での中間部分に形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、ほぞ溝19dにほぞ19cを嵌め合わせて互いに隣接する分割片19s同士を互いに継ぎ合わせてリング状にする。また、それらの継ぎ目部分を溶接して分割片19s同士を一体化する。このような構成であれば、分割片19s同士が嵌め合いによって互いに連結されている状態で、それらの継ぎ目部分を溶接するため、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を向上できる。また、第3実施形態よりも溶接長さが長くなる。これによっても連結部分の強度を向上できる。そのため、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図8は、この発明の第5実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図8に示す例は、互いに隣接する分割片19sを円周方向に互いに抜け止めするように、いわゆるあり継ぎなどによって分割片19sの端部同士を継ぎ合わせた例である。すなわち、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での中間部分に、円周方向に突出した矢じり形状あるいは三角形状などの先端部分が根本部分よりも半径方向に広がったあり部19eが形成されている。そのあり部19eに嵌まり合うあり溝19fが、分割片19sの他方の端部における半径方向での中間部分に形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、あり溝19fにあり部19eを嵌め合わせて互いに隣接する分割片19s同士を互いに継ぎ合わせて一体化してリング状にする。このような構成であれば、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合に、あり溝19fにあり部19eの顎の部分が引っ掛かるので、一方の分割片19sに対して他方の分割片19sを抜け止めできる。つまり、第5実施形態では、溶接を行うことなく、連結部分の強度を確保でき、また、溶接を行わないので、その分、製造コストを削減できる。なお、連結部分の継ぎ目部分を溶接すれば、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、上述したあり部19eの形状は、図8に第5実施形態として示す矢じり形状あるいは三角形状に替えて、図9に第6実施形態として示すように、円形であってもよい。このような構成であっても、図8に示す第5実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図10は、この発明の第7実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す図である。図10に示す例では、分割片19sの長さ方向での一方の端部における半径方向での外側部分に円周方向に突出した外側突出部19aが形成されている。その外側突出部19aの先端部に、その根本部分よりも半径方向で内側に突出した外側鉤部19gが形成されている。また、分割片19sの長さ方向での他方の端部における半径方向での内側部分に円周方向に突出した内側突出部19bが形成されている。その内側突出部19bの先端部に、その根本部分よりも半径方向で外側に突出した内側鉤部19hが形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列した状態で、図10に示すように、外側突出部19aの根元部分に内側突出部19bの内側鉤部19hを嵌め合わせると共に、内側突出部19bの根本部分に外側突出部19aの外側鉤部19gを嵌め合わせて分割片19s同士を一体化してリング状にする。このような構成であれば、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合に、各鉤部19g,19hは互いに引っ掛かるので、分割片19s同士を互いに抜け止めできる。つまり、第5実施形態と同様に、溶接を行うことなく、連結部分の強度を確保でき、また、溶接を行わないので、その分、製造コストを削減できる。なお、連結部分の継ぎ目部分を溶接すれば、上述した各実施形態よりも連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図11は、この発明の第8実施形態における慣性質量体19の分割片19sの連結部分を模式的に示す断面図であり、図12は、図11に示す連結部分の正面図である。ここに示す例では、分割片19sの長さ方向での一方の端部に、軸線方向に窪んだ凹部19iが形成されており、他方の端部に前記凹部19i内に配置されるように軸線方向に屈曲した屈曲部19jが形成されている。そして、各分割片19sを円周方向に整列させた状態で、凹部19iに屈曲部19jを配置してリング状にする。なお、互いに隣接する分割片19sの接触部分は、図12に示すように、半径方向に延びている。このような構成であっても、遠心力に起因して分割片19s同士を互いに離隔させる引張荷重がそれらの連結部分に作用した場合には、凹部19iの縁部分に屈曲部19jが引っ掛かるので、分割片19s同士を互いに抜け止めできる。また、互いに隣接する分割片19sの接触部分を溶接すれば、上述した第5実施形態ないし第7実施形態と同様に連結部分の強度を更に向上できる。したがって、このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
図13は、この発明の第9実施形態における慣性質量体19の一部を模式的に示す断面図であり、図13に示す例は、半径方向で分割片19sの内側部分を軸線方向でリングギヤR側に屈曲させて内側屈曲部19kを形成し、その内側屈曲部19kの上側面(図13での上側の面)にリングギヤRを接触させた例である。また、図14は、この発明の第10実施形態における慣性質量体19の一部を模式的に示す断面図であり、図14に示す例は、半径方向で分割片19sの外側部分を軸線方向でリングギヤR側に屈曲させて外側屈曲部19lを形成し、その外側屈曲部19lの下側面(図14での下側の面)をリングギヤRに接触させた例である。なお、円周方向で互いに隣接する分割片19s同士を連結する構造は、上述した各実施形態のうちのいずれであってもよい。
図15は、この発明の第11実施形態におけるリングギヤRの一例を模式的に示す図である。図15に示す例は、慣性質量体19と同様に、リングギヤRを円周方向に複数に分割して構成した例である。すなわち、図15に示すリングギヤRは一定曲率の円弧状であってかつ同一形状の複数の分割片Rsを備え、各分割片Rsを円周方向に整列した状態で、互いに隣接する分割片Rsの端部同士を互いに連結してリング状に構成されている。それらの分割片Rsは、図4に第1実施形態として示す慣性質量体19の分割片19sと同様に、プレス成形によって形成することができる。分割片Rsをプレス成形する場合における各分割片Rsの形状は、設計上、定めたリングギヤRの曲率と同じ曲率の円弧状であってよく、あるいは、帯状や平板状であってもよい。ワークからプレス成形した分割片Rsの形状が帯状や平板状の場合には、それら帯状や平板状の分割片Rsを湾曲させて上述したリングギヤRの曲率と同じ曲率にする。
この発明の実施形態に係る捩り振動低減装置1の他の例を説明する。図22は、この発明の第18実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示すスケルトン図である。慣性質量体19とリングギヤRとのうちの少なくとも一方は、上述した各実施形態と同様に、円周方向に複数に分割して構成され、それらの分割片19s,Rs同士を円周方向に互いに連結してリング状に構成されていればよい。図22に示す例では、ばねダンパ20は第1ばね30と、第2ばね31と、ばねダンパ20におけるトルクの伝達方向で第1ばね30と第2ばね31との間に配置された中間プレート32とを備えている。第1ばね30はトルクの伝達方向で第2ばね31の上流側に位置している。第1ばね30を介してドライブプレート21と中間プレート32とが所定角度、相対回転できるように連結されている。また、第2ばね31を介して中間プレート32とドリブンプレート22とが所定角度、相対回転できるように連結されている。つまり、第1ばね30と第2ばね31とは中間プレート32を介して直列に接続されている。第1ばね30と第2ばね31とは一例としてコイルスプリングによって構成されると共に、ほぼ同じ捩り剛性(ばね定数)に設定されている。他の構成は図1に示す構成と同様であるため、図1に示す構成と同様の構成については図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
図23は、この発明の第19実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。慣性質量体19とサンギヤSとのうちの少なくとも一方は、上述した各実施形態と同様に、円周方向に複数に分割して構成され、それらの分割片19s,Ss同士を円周方向に互いに連結してリング状に構成されていればよい。なお、サンギヤSを円周方向に複数に分割して形成した場合について説明すると、サンギヤSの分割片Ssは、慣性質量体19の分割片19sおよびリングギヤRの分割片Rsと同様に、プレス成形によって形成することができる。分割片Ssをプレス成形する場合における各分割片Ssの形状は、設計上、定めたサンギヤSの曲率と同じ曲率の円弧状であってよく、あるいは、帯状や平板状であってもよい。ワークからプレス成形した分割片Ssの形状が帯状や平板状の場合には、それら帯状や平板状の分割片Ssを湾曲させて上述したサンギヤSの曲率と同じ曲率にする。また、分割片Ss同士は、それらの分割片Ssが連結されて構成されるサンギヤSが強度的に一体とみなせるように互いに連結されていればよい。したがって、互いに隣接する分割片Ss同士の連結構造は、詳細は図示しないが、リングギヤRの分割片Rsと同様に、図15ないし図21に示す連結構造と同様であってよい。
図24は、この発明の第20実施形態に係る捩り振動低減装置の一例を模式的に示す断面図である。図24に示す例は、半径方向で、図23に示すばねダンパ20の外周側に、ばねダンパ20と同心円上に並んで遊星歯車機構18を配置した例である。すなわち、フライホイール33に一体に連結されているダンパーカバー35は、軸線方向でエンジン3側に配置された第1ダンパーカバー35Aと、外周部分がフライホイール33に一体に連結された第2ダンパーカバー35Bとによって構成されている。軸線方向でそれらのダンパーカバー35A,35Bの間には、予め定めた間隔があけられている。それらのダンパーカバー35A,35Bの間にばねダンパ20と遊星歯車機構18とダンパーディスク34とが配置されている。また、各ダンパーカバー35A,35Bに遊星歯車機構18のピニオンピン24が一体に取り付けられている。ダンパーディスク34の外周面に形成された歯がサンギヤSとなっている。また、ダンパーディスク34の内周部分は、駆動対象部4の入力軸4aにスプライン嵌合されている。つまり、ダンパーディスク34は、ここに示す例では、ばねダンパ20のドリブンプレート22を兼ねている。なお、第20実施形態では、キャリヤCが、この発明の実施形態におけるキャリヤ回転要素および入力要素に相当し、サンギヤSが、この発明の実施形態における中心回転要素および出力要素に相当し、リングギヤRが、この発明の実施形態におけるリング回転要素および慣性要素に相当し、慣性質量体19が、この発明の実施形態における追加慣性体に相当している。
Claims (5)
- 中心回転要素と、前記中心回転要素に対して同心円上に配置されたリング回転要素と、前記中心回転要素の外周部と前記リング回転要素の内周部との間に配置されていて前記中心回転要素と前記リング回転要素とが相対回転することにより自転かつ公転する複数の遊星回転要素を保持しているキャリヤ回転要素とによって差動作用を行う遊星回転機構を備え、
前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか一つがトルクが入力される入力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちのいずれか他の一つが前記トルクを出力する出力要素とされ、前記中心回転要素と前記リング回転要素と前記キャリヤ回転要素とのうちの更に他のいずれか一つが前記入力要素と前記出力要素とに対して相対回転する慣性要素とされ、
前記入力要素と前記出力要素とが所定角度、相対回転可能に弾性体を介して連結されており、前記慣性要素に追加慣性体が付加されている捩り振動低減装置であって、
前記慣性要素と前記追加慣性体との少なくとも一方が、前記遊星回転機構の円周方向に分割された複数の分割片によって形成されており、
前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結されて環状体を形成し、
前記分割片同士の連結箇所は、前記トルクの振動によって前記遊星回転要素が往復回転する角度範囲から前記円周方向に外れた箇所である
ことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1に記載の捩り振動低減装置であって、
前記分割片同士は、前記円周方向で互いに対向する前記分割片の端部同士の嵌め合いと、前記端部同士の溶接とのうちの少なくとも一方によって、前記円周方向に互いに連結されている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1または2に記載の捩り振動低減装置であって、
前記追加慣性体が、前記円周方向に分割された複数の前記分割片によって形成されており、
前記分割片同士が前記円周方向に互いに連結された状態で、前記遊星回転機構の軸線方向での前記慣性要素の側面に固定手段によって一体に取り付けられている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の捩り振動低減装置であって、
前記入力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの一方とされ、 前記出力要素は、前記中心回転要素と、前記キャリヤ回転要素とのうちの他方とされ、
前記慣性要素は、前記リング回転要素とされている
ことを特徴とする捩り振動低減装置。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の捩り振動低減装置であって、
前記遊星回転機構は、前記中心回転要素がサンギヤによって構成され、前記リング回転要素がリングギヤによって構成され、前記遊星回転要素がピニオンギヤによって構成され、前記キャリヤ回転要素が前記ピニオンギヤを保持しているキャリヤによって構成された遊星歯車機構である
ことを特徴とする捩り振動低減装置。
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