JP7163965B2 - 弾性波装置 - Google Patents

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Description

本発明は、IDT(InterDigital Transducer)電極を有する弾性波装置に関する。
移動体通信機器の高周波フロントエンド部には、小型化、低損失、および高選択性の特徴を有する弾性表面波フィルタが用いられている。弾性表面波フィルタを構成する弾性表面波素子は、圧電体層の表面にIDT電極が形成された構成を有しており、電気信号と弾性波信号との間で相互変換が行われる。弾性表面波素子では、弾性表面波として様々な励振モードが利用されている。
特許文献1には、圧電体層表面に対して垂直面内で振動するSV波よりも水平面内で振動するSH波の励振を優勢とする圧電体層のオイラー角の範囲が規定されている。これによれば、SH波の電気機械結合係数を大きくし、かつ、SV波の電気機械結合係数を小さくすることで、SH波を主モードとしSV波スプリアスを排除した、広帯域かつ減衰特性の良好な弾性波フィルタを構成できるとしている。
国際公開第2012/086639号
3G、4Gから5Gへと移動体通信システムが進展していく中で、使用周波数帯域は3GHz以上の帯域へと高周波化されていく。弾性波素子を高周波化するには、(1)IDT電極のピッチで規定されるIDT波長を小さくする、および、(2)音速を速くする、が挙げられるが、IDT波長を小さくすると、IDT電極加工精度の限界およびIDT電極の高抵抗化という問題が発生する。これより、弾性波素子の高周波化には、高音速化が重要となる。
圧電体層を含む基板内には、「遅い横波」、「速い横波」、「縦波」の3種類の体積波(バルク波)が存在するが、横波の成分が優勢である漏洩弾性表面波(LSAW)の位相速度は「遅い横波」と「速い横波」の中間に位置している。特許文献1においては、漏洩弾性表面波(LSAW)を高音速層に閉じ込めることにより、広帯域かつ減衰特性の良好な弾性波フィルタを実現している。これに対して、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の位相速度は「速い横波」と「縦波」の中間に位置しており速い。よって、弾性波素子の高周波化として、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を利用することが挙げられる。
しかしながら、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)は、圧電体層を含む基板へ漏洩しながら伝播するモードであるため、Q値が劣化するという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、縦波型の弾性波を利用し、すなわち、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層およびIDT電極へ効率的に閉じ込めることでQ値の優れた弾性波装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る弾性波装置は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備える。
本発明によれば、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を利用し、Q値の優れた弾性波装置を提供することが可能となる。
図1は、実施の形態に係る弾性波装置の断面図である。 図2Aは、Si、3C-SiC、および4H(6H)-SiCの逆速度面を示すグラフである。 図2Bは、六方晶における結晶面方位を説明する図である。 図3Aは、実施の形態の変形例1に係る弾性波装置の断面図である。 図3Bは、実施の形態の変形例2に係る弾性波装置の断面図である。 図4Aは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造におけるIDT電極(Al)膜厚と音速との関係を示すグラフである。 図4Bは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造におけるIDT電極(Cu)膜厚と音速との関係を示すグラフである。 図5Aは、c面4H-SiC高音速部材における伝播角と音速との関係を示すグラフである。 図5Bは、c面4H-SiC高音速部材における逆速度面を示すグラフである。 図6Aは、a面4H-SiC高音速部材における伝播角と音速との関係を示すグラフである。 図6Bは、a面4H-SiC高音速部材における逆速度面を示すグラフである。 図7Aは、m面4H-SiC高音速部材における伝播角と音速との関係を示すグラフである。 図7Bは、m面4H-SiC高音速部材における逆速度面を示すグラフである。 図8Aは、r面4H-SiC高音速部材における伝播角と音速との関係を示すグラフである。 図8Bは、r面4H-SiC高音速部材における逆速度面を示すグラフである。 図9Aは、実施例および比較例1に係るLT圧電体層/SiC部材の積層構造におけるインピーダンス特性を比較したグラフである。 図9Bは、実施例および比較例1に係るLT圧電体層/SiC部材の積層構造におけるコンダクタンス特性を比較したグラフである。 図10は、変形例2および比較例2に係るLN圧電体層/中間層/高音速部材の積層構造におけるインピーダンス特性を比較したグラフである。 図11Aは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造における圧電体層膜厚を変化させたときのインピーダンス特性の変化を示すグラフである。 図11Bは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造における圧電体層膜厚とスプリアス発生周波数との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、実施の形態および図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態)
[1-1.弾性波装置の構成]
図1は、実施の形態に係る弾性波装置1の断面図である。同図に示すように、弾性波装置1は、圧電体層10と、IDT(InterDigital Transducer)電極110と、高音速部材20と、を備える。
圧電体層10は、互いに対向する第1主面および第2主面を有し、圧電材料からなる薄膜または薄板である。圧電体層10を構成する材料は、例えば、LiNbO、LiTaO、ZnO、AlN、および水晶などのうち、弾性波装置1に要求される共振Q値および電気機械結合係数などを考慮して適宜選択される。
IDT電極110は、圧電体層10の第1主面に形成された電極であり、例えば、Al、Cu、Pt、Au、Ti、Ni、Cr、Ag、W、Mo、およびTaなどから選択された金属、または、それらのうちの2以上の金属からなる合金もしくは積層体で構成される。IDT電極110は、圧電体層10を平面視した場合に、互いに対向する一対の櫛形電極を有している。一対の櫛形電極のそれぞれは、互いに平行な複数の電極指と、当該複数の電極指を接続するバスバー電極とで構成されている。一方の櫛形電極が有する複数の電極指と、他方の櫛形電極が有する複数の電極指とは、主モード弾性波伝播方向と直交する方向に沿って互いに間挿するように配置されている。ここで、一方の櫛形電極が有する複数の電極指ピッチは、IDT波長λと定義される。言い換えれば、一対の櫛形電極を構成する複数の電極指の隣り合う電極指のピッチの2倍がIDT波長と定義される。なお、上記平面視において、IDT電極110と主モード弾性波伝播方向に隣り合って反射器が配置されていてもよい。
高音速部材20は、圧電体層10の第2主面上に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる支持基板である。
上記構成を有する弾性波装置1は、縦波型弾性波を利用する弾性波装置であって、例えば、漏洩弾性表面波(LSAW:Leaky Surface Acoustic Wave)のうち縦波成分が横波成分より優勢である縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW:Longitudinal-type Leaky SAW)の励振が可能な弾性波装置である。言い換えると、弾性波装置1は、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を主モード弾性波として利用可能な弾性波装置である。
3G、4Gから5Gへと移動体通信システムが進展していく中で、使用周波数帯域は3GHz以上の帯域へと高周波化されていく。弾性波装置を高周波化するには、(1)IDT電極のピッチで規定されるIDT波長を小さくする、および、(2)音速を速くする、が挙げられるが、IDT波長を小さくすると、IDT電極加工精度の限界およびIDT電極の高抵抗化という問題が発生する。これより、弾性波装置の高周波化には、高音速化が重要となる。
圧電体層を含む基板内には、「遅い横波」、「速い横波」、「縦波」の3種類の体積波(バルク波)が存在するが、横波の成分が優勢である漏洩弾性表面波(LSAW)の位相速度は「遅い横波」と「速い横波」の中間に位置している。これに対して、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の位相速度は「速い横波」と「縦波」の中間に位置しており速い。よって、弾性波装置の高周波化として、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を利用することが挙げられる。
一方で、圧電体層と支持基板との積層構造を有する音響共振器では、支持基板のバルク波音速が圧電体層のそれよりも速い場合、IDT電極によって励起されたモードは、支持基板のバルク波と結合せず、当該モードの音響エネルギーは圧電体層およびIDT電極に集中して分布することとなる。この時、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)はもはや漏洩せず、導波された(guided)縦波型の弾性波となる。
上述したように、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)は、漏洩弾性表面波(LSAW)に比べて非常に高音速であり、圧電体層の横波(例えばSVバルク波およびSHバルク波)と容易に結合する。この縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を効率よく圧電体層およびIDT電極に閉じ込めるためには、高音速部材の横波バルク波音速は、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速より速いことが望ましい。
しかしながら、一般に、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)は、薄い圧電体層と高音速支持基板との積層構造において用いられるシリコンなどの高音速部材の横波バルク波の音速よりも高音速(6000m/s以上)であるため、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層内に閉じ込めることが困難であり、十分なQ値を確保することが困難であった。
これに対して、本実施の形態の上記構成によれば、支持基板である高音速部材20が4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなるので、高音速部材20の横波バルク波音速を、圧電体層10を伝播する縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速より速くできる。よって、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層10およびIDT電極110に効率よく閉じ込めることができるので、弾性波装置1が有する共振特性のQ値を向上させることが可能となる。よって、縦波型の弾性波を利用し、Q値の優れた弾性波装置1を提供することが可能となる。
シリコンカーバイドは、粘性損が最も小さい材料の一つであり、熱伝導性も大きい。したがって良好な電気特性および耐電力特性を期待しうる。シリコンカーバイドには、3C-形、4H-形、6H-形と呼ばれる結晶多形(ポリタイプ)が存在する。これらのうち、3C-形はバルク波音速が遅く、これを圧電体層と接する高音速部材として使用した場合、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を閉じ込めるのには充分ではない。一方、4H-形および6H-形は、最も遅い横波バルク波音速が約6000~7000m/sである。
図2Aは、Si、3C-SiC、および4H(6H)-SiCのc面(オイラー角表記(0,0,ψ))における逆速度面を示すグラフである。同図に示すように、c面を主面とした高音速部材に適用される場合、Siおよび3C-形シリコンカーバイドは、音速が約6000m/s以下あるのに対して、4H-形、6H-形の結晶多形シリコンカーバイドは、音速が約6000~7000m/sとなっている。これにより、4H-形、6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを高音速部材20として用いた場合、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層10およびIDT電極110に効率よく閉じ込めるのに有利であることが解る。
以降では、高音速部材20として4H-形、6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを用いた場合の最適な結晶方位について説明する。なお、結晶方位を示すにあたり、以降では、オイラー角表記を用いる。
図2Bは、六方晶における結晶面方位を説明する図である。同図に示すように、本実施の形態では、c面方位をオイラー角(0,0,ψ)と表し、a面方位をオイラー角(90,90,ψ)と表し、m面方位をオイラー角(0,90,ψ)と表し、r面方位をオイラー角(0,122.23,ψ)と表す。ここで、ψの定義を以下に示す。ψは、c面の場合、IDT電極が形成された主面側から俯瞰して見たときの電極指直交方向とシリコンカーバイドのミラー指数 結晶方位[1000]とのなす角である。また、ψは、a面の場合、IDT電極が形成された主面側から俯瞰して見たときの電極指直交方向とシリコンカーバイドのミラー指数 結晶方位[0001]とのなす角である。また、ψは、r面の場合、IDT電極が形成された主面側から俯瞰して見たときの電極指直交方向とシリコンカーバイドのミラー指数 結晶方位[1-10-1]とのなす角である。
なお、実施の形態に係る弾性波装置1において、圧電体層10の膜厚は、IDT電極110を構成する複数の電極指ピッチの2倍で規定されるIDT波長の3倍以下であってもよい。これにより、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層10およびIDT電極110に効率よく閉じ込め易くなるので、弾性波装置1が有する共振特性のQ値をさらに向上させることが可能となる。
さらに、実施の形態に係る弾性波装置1において、圧電体層10の膜厚は、IDT波長の0.05倍以上かつ0.5倍以下であることが望ましい。これにより、弾性波装置1の電気機械結合係数と共振特性のQ値との双方を向上させることが可能となる。
また、圧電体層10は、タンタル酸リチウムからなっていてもよい。これにより、温度安定性に優れた弾性波装置1を提供できる。
また、圧電体層10は、ニオブ酸リチウムからなっていてもよい。これにより、電気機械結合係数に優れた弾性波装置1を提供できる。
また、圧電体層10のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、-5°≦φ≦5°、かつ、0°≦θ≦90°、かつ、85°≦ψ≦95°であってもよい。例えば、YZ-LiNbO(0°,90°,90°)からなる圧電体層10が挙げられる。これにより、高音速であり、かつ、スプリアスの少ない縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)モードを利用できる。
また、圧電体層10のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、15°≦φ≦95°、かつ、85°≦θ≦95°、かつ、0°≦ψ≦60°であってもよい。例えば、LiNbO(90°,90°,36°)、または、LiTaO(90°,90°,31°)からなる圧電体層10が挙げられる。これにより、高音速であり、かつ広帯域な縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)モードを利用できる。
また、圧電体層10のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、-5°≦φ≦5°、かつ、120°≦θ≦160°、かつ、-5°≦ψ≦5°であってもよい。例えば、41°-LiNbO(0°,-49°,0°)、または、36°YX-LiTaO(0°,-54°,0°)からなる圧電体層10が挙げられる。これにより、Q値が高い縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)モードを利用できる。
図3Aは、実施の形態の変形例1に係る弾性波装置1Aの断面図である。同図に示すように、弾性波装置1Aは、圧電体層10と、IDT電極110と、高音速部材20と、を備える。高音速部材20は、高音速層21と、支持基板22と、を備える。本変形例に係る弾性波装置1Aは、実施の形態に係る弾性波装置1と比較して、高音速部材20の構成が異なる。以下、本変形例に係る弾性波装置1Aについて、実施の形態に係る弾性波装置1と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
支持基板22は、圧電体層10の第2主面側に、高音速層21を挟んで形成され、圧電体層10および高音速層21を支持する基板である。支持基板22は、例えば、シリコン、サファイア、およびシリコンカーバイドのいずれかからなる。これにより、支持基板22上に形成される、結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速層21の結晶性を高め、音響ロスを低減できる。
高音速層21は、支持基板22と圧電体層10との間に配置され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる薄膜または薄板である。
本変形例の上記構成によれば、高音速層21が4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなるので、高音速層21の横波バルク波音速を、圧電体層10を伝播する縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)と結合する横波バルク波音速より速くできる。よって、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を圧電体層10およびIDT電極110に効率よく閉じ込めることができるので、弾性波装置1Aが有する共振特性のQ値を向上させることが可能となる。よって、縦波型の弾性波を利用し、Q値の優れた弾性波装置1Aを提供することが可能となる。また、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを、例えば厚板の支持基板22ではなく、薄膜または薄板状の高音速層21に適用すればよいので、製造工程の簡素化が図られる。
図3Bは、実施の形態の変形例2に係る弾性波装置1Bの断面図である。同図に示すように、弾性波装置1Bは、圧電体層10と、IDT電極110と、高音速部材20と、機能層31と、中間層32と、を備える。高音速部材20は、高音速層21と、支持基板22と、を備える。本変形例に係る弾性波装置1Bは、変形例1に係る弾性波装置1Aと比較して、機能層31および中間層32が付加されている点が異なる。以下、本変形例に係る弾性波装置1Bについて、変形例1に係る弾性波装置1Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
中間層32は、圧電体層10と高音速層21との間に配置された低音速層である。中間層32を伝播する横波バルク波のうち最も遅い横波バルク波の音速は、圧電体層10を伝搬する主モードの音速よりも遅い。この構成と、弾性波が本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中するという性質とにより、弾性表面波エネルギーの高音速部材20への漏れが抑制される。よって、より効率的に所望のモードを励振しうる。中間層32は、誘電体膜からなり、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする薄膜または薄板である。中間層32は、さらに、SiN、AlN、Al、Ta、HfO、DLCといった誘電体で構成されていてもよく、また、アモルファスシリコンGe、GaN、InPおよびこれらの化合物などの半導体であってもよい。
機能層31は、圧電体層10の第1主面上であって、IDT電極110の少なくとも一部と接するように形成された層である。機能層31は、IDT電極110と圧電体層10との間に、調整層として形成されていてもよいし、また、IDT電極110を覆うように保護層として形成されていてもよい。機能層31が調整層として形成されている場合には、当該調整層の膜厚に応じて、電気機械結合係数を調整することが可能である。また、機能層31が保護層として形成されている場合には、IDT電極110を外部環境から保護する、周波数温度特性を調整する、および、耐湿性を高めることが可能となる。機能層31は、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする誘電体膜である。
さらに、調整層としての機能層31が、二酸化ケイ素を主成分とし、炭素原子およびハフニウム原子の少なくとも1つを含む場合には、誘電率の変調によって電気機械結合係数(比帯域)を調整できる。また、保護層としての機能層31が、二酸化ケイ素を主成分とし、フッ素原子、ボロン原子、窒素原子の少なくとも1つを含む場合には、温度特性をより改善できる。
また、中間層32および機能層31が誘電体膜からなることにより、金属材料や半導体材料による寄生容量などの影響の小さい弾性波装置を提供できる。
なお、本変形例に係る弾性波装置1Bにおいて、機能層31および中間層32のいずれかがなくてもよい。
[1-2.高音速部材の好適条件]
以下では、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速部材20の横波バルク波音速を、圧電体層10を伝播する縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)と結合する横波バルク波音速より速くできる好適条件について説明する。AlからなるIDT電極110/LiTaOからなる圧電体層10/4H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速部材20の積層構造において、4H-形の結晶多形シリコンカーバイドの結晶方位(オイラー角表記での伝播角ψ)と音速との関係を、有限要素法を用いたシミュレーションにより求めた。表1に、本シミュレーションで用いたパラメータを示す。
なお、4H-形の結晶多形シリコンカーバイドと、6H-形の結晶多形シリコンカーバイドとは、弾性特性が、同一である。よって、以下の4H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速部材20で求められた好適条件は、6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速部材20にも適用される。
図4Aは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造におけるIDT電極(Al)膜厚と音速との関係を示すグラフである。また、図4Bは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造におけるIDT電極(Cu)膜厚と音速との関係を示すグラフである。図4Aおよび図4Bには、IDT電極の膜厚を変化させた場合の、IDT電極および圧電体層を伝播する弾性波の音速および比帯域(***振周波数と共振周波数との周波数差を共振周波数で除した値)が示されている。
図4Aおよび図4Bに示すように、IDT電極の膜厚を薄くするほど、音速は速くなり、また、比帯域は大きくなる(電気機械結合係数は大きくなる)。弾性波装置の高周波化に対応、かつ広帯域化を実現するためには、共振子の比帯域として10%以上を確保することが好ましく、音速として6000~7000m/sを確保することが好ましい。このことからも、高音速部材20としては、音速6000~7000m/sの弾性波をIDT電極および圧電体層に閉じ込めるため、7500m/s程度以上の横波バルク波音速を確保することが好ましい。
図5Aは、c面4H-SiC(シリコンカーバイド)高音速部材における伝播角ψと音速との関係を示すグラフである。また、図5Bは、c面4H-SiC高音速部材の逆速度面を示すグラフである。図5Aには、c面(0,0,ψ)を主面とする高音速部材20の「縦波バルク波」、「速い横波バルク波」、および「遅い横波バルク波」の伝播角ψと音速との関係が示されている。
高音速部材20の横波バルク波音速を、圧電体層10を伝播する縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)と結合する横波バルク波音速より速くするには、高音速部材20の最も「遅い横波バルク波」の音速を縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速より速くすることが望ましい。
ここで、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速が6000~7500m/sであることから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速を、7500m/s以上とすることが望ましい。ただし、図5Aに示すように、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速は、伝播角ψの全角度範囲において、7500m/s以上とならない。
よって、高音速部材20に含まれる4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドのオイラー角が(0,0,ψ)で表記される場合、より良好なQ特性を確保しつつ広帯域化するためのψの好適条件はない。
図6Aは、a面4H-SiC高音速部材における伝播角ψと音速との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図6Bは、a面4H-SiC高音速部材における逆速度面を示すグラフである。図6Aには、a面(90,90,ψ)を主面とする高音速部材の「縦波バルク波」、「速い横波バルク波」、および「遅い横波バルク波」の伝播角ψと音速との関係が示されている。
ここで、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速が6000~7500m/sであることから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速を、7500m/s以上とすることが望ましい。これより、図6Aから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速が7500m/s以上となる好適範囲は、20°≦ψ≦40°、140°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦220°、および、320°≦ψ≦340°、のいずれかである。
これにより、高音速部材20の横波バルク波音速を約7500m/s以上とすることができるので、より高速(~7500m/s)な縦波型漏洩弾性表面波の閉じ込めが可能となる。よって、より広帯域な弾性波装置を高精度に形成することが可能となる。
図7Aは、LT圧電体層/m面4H-SiC高音速部材の積層構造における伝播角ψと音速との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図7Bは、LT圧電体層/m面4H-SiC高音速部材の積層構造における逆速度面のシミュレーション結果を示すグラフである。図7Aには、上述した有限要素法シミュレーションにより求められた、m面(0,90,ψ)を主面とする高音速部材20の「縦波バルク波」、「速い横波バルク波」、および「遅い横波バルク波」の伝播角ψと音速との関係が示されている。
ここで、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速が6000~7500m/sであることから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速を、7500m/s以上とすることが望ましい。これより、図7Aから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速が7500m/s以上となる好適範囲は、20°≦ψ≦40°、140°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦220°、および、320°≦ψ≦340°、のいずれかである。
これにより、高音速部材20の横波バルク波音速を約7500m/s以上とすることができるので、より高速(~7500m/s)な縦波型漏洩弾性表面波の閉じ込めが可能となる。よって、より広帯域な弾性波装置を高精度に形成することが可能となる。
図8Aは、LT圧電体層/r面4H-SiC高音速部材の積層構造における伝播角ψと音速との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。また、図8Bは、LT圧電体層/r面4H-SiC高音速部材の積層構造における逆速度面のシミュレーション結果を示すグラフである。図8Aには、上述した有限要素法シミュレーションにより求められた、r面(0,122.23,ψ)を主面とする高音速部材20の「縦波バルク波」、「速い横波バルク波」、および「遅い横波バルク波」の伝播角ψと音速との関係が示されている。
ここで、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の音速が6000~7500m/sであることから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速を、7500m/s以上とすることが望ましい。これより、図8Aから、高音速部材20の「遅い横波バルク波」の音速が7500m/s以上となる好適範囲は、20°≦ψ≦50°、130°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦230°、および、310°≦ψ≦340°、のいずれかである。
これにより、高音速部材20の横波バルク波音速を約7500m/s以上とすることができるので、より高速(~7500m/s)な縦波型漏洩弾性表面波の閉じ込めが可能となる。よって、より広帯域な弾性波装置を高精度に形成することが可能となる。
[1-3.弾性波装置の共振特性]
Figure 0007163965000001
図9Aは、実施例および比較例1に係るLT圧電体層/SiC高音速部材の積層構造におけるインピーダンス特性を比較したグラフである。また、図9Bは、実施例および比較例1に係るLT圧電体層/SiC高音速部材の積層構造におけるコンダクタンス特性を比較したグラフである。図9Aおよび図9Bには、実施例および比較例1に係る弾性波装置のインピーダンス特性およびコンダクタンス特性を有限要素法シミュレーションにより求めた結果が示されている。
ここで、実施例に係る弾性波装置は、表1に示された積層構造およびパラメータを有している。高音速部材20として、4H-形の結晶多形シリコンカーバイドが用いられている。一方、比較例1に係る弾性波装置は、IDT電極および圧電体層については実施例に係る弾性波装置と同様の構成であるが、高音速部材として3C-形シリコンカーバイドが用いられている。
実施例に係る弾性波装置では、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の圧電体層10およびIDT電極110への閉じ込めが成立し、図9Aに示すように、Q値の大きな共振点および***振点を有するインピーダンス特性が得られていることがわかる。また、図9Bに示すように、実施例に係る弾性波装置では、良好なコンダクタンス特性が得られていることがわかる。
一方、比較例1に係る弾性波装置では、図9Aおよび図9Bに示すように、インピーダンス特性およびコンダクタンス特性において、急峻なピークが現れず、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の圧電体層およびIDT電極への閉じ込めが不十分なため、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)が高音速部材20へ漏洩してしまっていることが推察される。
つまり、図2Aの逆速度面の比較からもわかるように、横波バルク波音速が7000m/s以上を有する4H-形および6H-形の結晶多形シリコンカーバイドは、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)を充分に閉じ込めることができる。これに対して、3C-形の横波バルク波音速は4000m/s程度であり、当該モードを閉じ込めるには不十分である。すなわち、同じシリコンカーバイドであっても、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)モードで良好なQ値を得ることができるのは、4H-形または6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを高音速部材20として使用した場合であることがわかる。
図10は、変形例2および比較例2に係る圧電体層/中間層/高音速部材の積層構造におけるインピーダンス特性を比較したグラフである。図10には、変形例2および比較例2に係る弾性波装置のインピーダンス特性を有限要素法シミュレーションにより求めた結果が示されている。
ここで、変形例2に係る弾性波装置1Bは、図3Bに示された積層構造を有している。ただし、機能層31は付加されていない。一方、比較例2に係る弾性波装置は、IDT電極、圧電体層、中間層については変形例2に係る弾性波装置1Bと同様の構成であるが、高音速層の材料構成が異なる。表2に、本シミュレーションで用いた変形例2および比較例2に係る弾性波装置のパラメータを示す。
Figure 0007163965000002
表2に示すように、変形例2に係る弾性波装置1Bでは、IDT電極110の材料をAlとし、圧電体層10の材料をLiNbO(オイラー角表記(90°,90°,40°))とし、高音速部材20の材料を4H-形の結晶多形シリコンカーバイド(オイラー角表記(0°,0°,0°))とし、中間層32の材料をSiOとした。
一方、比較例に係る弾性波装置では、IDT電極、圧電体層、および中間層の材料は、変形例2と同様であり、高音速部材の材料をダイヤモンド(オイラー角表記(0°,0°,0°))とした。
図10のインピーダンス特性より明らかなように、極めて音速の速いダイヤモンド(横波バルク波音速:10000m/s以上)を高音速部材として用いた比較例2に係る弾性波装置では、4GHz付近にインピーダンスの極小点(共振点)および極大点(***振点)が見られ、LLSAWモードがIDT電極、圧電体層および中間層に閉じこもっていることがわかる。しかしながら、同時に、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の縦波バルク波音速よりも速い音速を有するスプリアスモードも、IDT電極、圧電体層および中間層に閉じこもるため、5GHzよりも高周波側の帯域において多数のスプリアスモードが生じている。
これに対して、変形例2に係る弾性波装置1Bでは、4H-形の結晶多形シリコンカーバイドの横波バルク波音速が、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)に比較的近いために、上記スプリアスモードは高音速部材20に漏洩し、大きなスプリアスレスポンスは残らない。つまり、変形例2に係る弾性波装置1Bでは、4H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる高音速部材20によりスプリアスを抑制することが可能である。
ダイヤモンドの横波バルク波音速は、極めて速い(10000m/s以上)。このような高音速のバルク波は、粘性損の観点からは好ましいが、一方で帯域外のスプリアス発生を引き起こしてしまう。これは、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)よりも高音速である、高次の板波モードが高音速部材であるダイヤモンドによって同時に閉じこもるためである。これに対して、4H-形または6H-形の結晶多形シリコンカーバイドの横波バルク波音速は、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)よりも10%程度速く、上記のようなスプリアスモードより遅い。そのため、スプリアスモードが高音速部材に漏洩し、スプリアスの発生が抑制できる。
図11Aは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造における圧電体層の膜厚を変化させたときのインピーダンス特性の変化を示すグラフである。同図には、LiNbOからなる圧電体層の膜厚を変化させた場合のインピーダンス(共振)特性が示されている。同図に示すように、圧電体層の膜厚が厚くなるほどスプリアスモードが基本モードに近づくことがわかる。
図11Bは、LN圧電体層/高音速部材の積層構造における圧電体層の膜厚とスプリアス発生周波数との関係を示すグラフである。同図に示すように、圧電体層の膜厚が厚くなるほど、スプリアス(共振周波数)/基本モード(***振周波数)が小さくなる。言い換えれば、圧電体層の膜厚が厚くなるほど、スプリアスモードの発生周波数と基本モードの発生周波数との間隔が小さくなる。圧電体層の膜厚が厚くなると、やがて、スプリアスが弾性波装置の通過帯域内に侵入するようになり、通過特性が劣化する。
これより、スプリアスが弾性波装置の通過帯域内に侵入しないためのスプリアス(共振周波数)/基本モード(***振周波数)として、略1.2以上を確保することが好ましい。縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)の主モードの音速を約6500~6700m/sとした場合、約8000m/s(LLSAWの主モード音速×1.2)以上の音速を有するスプリアスモードを漏洩させる必要がある。このため、支持基板である高音速部材20の横波バルク波音速は、8000m/s以下であることが好ましい。
これにより、例えば、8000m/sより高速であって不要なスプリアスを発生させる高次の板波モードが漏洩する。よって、特定の縦波型漏洩弾性表面波を選択的に閉じ込めることが可能となる。よって、Q特性に優れ、かつ、スプリアスが抑圧された弾性波装置を提供できる。このことは、本実施の形態に係る弾性波装置1、1Aおよび1Bが、3GHz以上の高周波帯域においても、高周波フィルタ、マルチプレクサ、およびRFフロントエンド回路を構成する上で、小型化、低損失、および高選択性の特徴を有することができることを意味する。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る弾性波装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る弾性波装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
なお、上記実施の形態では、縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)モードを強勢に励起する圧電体層のカット角としてXカットを例示したが、この限りでない。また、漏洩弾性表面波(LSAW)モードについても同様のことが成り立つのは明らかである。
本発明は、さまざまな電子機器や通信機器に広く用いられる。電子機器としては、例えば、高周波フィルタ、マルチプレクサ、およびRFフロントエンド部品が挙げられる。
1、1A、1B 弾性波装置
10 圧電体層
20 高音速部材
21 高音速層
22 支持基板
31 機能層
32 中間層
110 IDT電極

Claims (18)

  1. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え
    前記高音速部材は、前記圧電体層を支持する支持基板と、
    前記支持基板と前記圧電体層との間に配置された高音速層と、を有し、
    前記高音速層は、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなり、
    前記高音速層の横波バルク波音速は、前記圧電体層の横波バルク波音速より速い、
    弾性波装置。
  2. 前記高音速部材の横波バルク波音速は、前記圧電体層を伝播する主モードの音速より速い、
    請求項1に記載の弾性波装置。
  3. 前記支持基板は、シリコン、サファイア、およびシリコンカーバイドのいずれかからなる、
    請求項に記載の弾性波装置。
  4. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え、
    前記高音速部材に含まれる4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドのオイラー角は、(1)(90,90,ψ)で表記され、かつ、(2)20°≦ψ≦40°、140°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦220°、および、320°≦ψ≦340°、のいずれかである
    性波装置。
  5. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え、
    前記高音速部材に含まれる4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドのオイラー角は、(1)(0,90,ψ)で表記され、かつ、(2)20°≦ψ≦40°、140°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦220°、および、320°≦ψ≦340°、のいずれかである
    性波装置。
  6. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え、
    前記高音速部材に含まれる4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドのオイラー角は、(1)(0,122.23,ψ)で表記され、かつ、(2)20°≦ψ≦50°、130°≦ψ≦160°、200°≦ψ≦230°、および、310°≦ψ≦340°、のいずれかである
    性波装置。
  7. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え、
    前記圧電体層は、タンタル酸リチウムからなる
    性波装置。
  8. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する圧電体層と、
    前記第1主面上に直接的または間接的に形成されたIDT電極と、
    前記第2主面上に直接的または間接的に形成され、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドを含む高音速部材と、を備え、
    前記圧電体層は、ニオブ酸リチウムからなる
    性波装置。
  9. 前記高音速部材は、前記圧電体層を支持する支持基板であり、
    前記支持基板は、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなる、
    請求項4~8のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  10. 前記高音速部材は、前記圧電体層を支持する支持基板と、
    前記支持基板と前記圧電体層との間に配置された高音速層と、を有し、
    前記高音速層は、4H-形あるいは6H-形の結晶多形シリコンカーバイドからなり、
    前記高音速層の横波バルク波音速は、前記圧電体層の横波バルク波音速より速い、
    請求項4~8のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  11. 前記圧電体層の膜厚は、前記IDT電極を構成する複数の電極指ピッチの2倍で規定されるIDT波長の3倍以下である、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  12. 前記圧電体層の膜厚は、前記IDT波長の0.05倍以上かつ0.5倍以下である、
    請求項11に記載の弾性波装置。
  13. 前記高音速部材の横波バルク波音速は、7500m/s以上である、
    請求項1~12のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  14. 前記高音速部材の横波バルク波音速は、8000m/s以下である、
    請求項1~13のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  15. 前記圧電体層のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、
    -5°≦φ≦5°、かつ、0°≦θ≦90°、かつ、85°≦ψ≦95°である、
    請求項1~14のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  16. 前記圧電体層のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、
    15°≦φ≦95°、かつ、85°≦θ≦95°、かつ、0°≦ψ≦60°である、
    請求項1~14のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  17. 前記圧電体層のオイラー角を(φ,θ,ψ)と表記した場合、
    -5°≦φ≦5°、かつ、120°≦θ≦160°、かつ、-5°≦ψ≦5°である、
    請求項1~14のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  18. さらに、
    前記圧電体層と前記高音速部材との間に配置された中間層を備え、
    前記中間層を伝播する横波バルク波のうち最も遅い横波バルク波の音速は、前記圧電体層を伝搬する主モードの音速よりも遅い、
    請求項1~17のいずれか1項に記載の弾性波装置。
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