JP7163725B2 - ベーパーチャンバ、電子機器、ベーパーチャンバ用シート、並びに、ベーパーチャンバシート及びベーパーチャンバの製造方法 - Google Patents

ベーパーチャンバ、電子機器、ベーパーチャンバ用シート、並びに、ベーパーチャンバシート及びベーパーチャンバの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は密閉空間に封入された作動流体を相変化を伴いつつ還流することより熱輸送を行うベーパーチャンバに関する。
パソコン並びに携帯電話及びタブレット端末等の携帯型端末に備えられているCPU(中央演算処理装置)等の電子部品からの発熱量は、情報処理能力の向上により増加する傾向にあり冷却技術が重要である。このような冷却のための手段としてヒートパイプがよく知られている。これはパイプ内に封入された作動流体により、熱源における熱を他の部位に輸送することで拡散させ、熱源を冷却するものである。
一方、近年においては特に携帯型端末等で薄型化が顕著であり、従来のヒートパイプよりも薄型の冷却手段が必要となってきた。これに対して例えば特許文献1に記載のようなベーパーチャンバが提案されている。
ベーパーチャンバはヒートパイプによる熱輸送の考え方を平板状の部材に展開した機器である。すなわち、ベーパーチャンバには、対向して配置されて接合された平板の間に作動流体が封入されており、この作動流体が相変化を伴いつつ還流することで熱源における熱を輸送及び拡散して熱源を冷却する。
より具体的には、ベーパーチャンバの対向する平板間に蒸気用流路と凝縮液用流路とが設けられ、ここに作動流体が封入された形態がある。ベーパーチャンバを熱源に配置すると、熱源の近くにおいて作動流体は熱源からの熱を受けて蒸発し、気体(蒸気)となって蒸気用流路を移動する。これにより熱源からの熱が熱源から離れた位置に円滑に輸送され、その結果熱源が冷却される。
熱源からの熱を輸送した気体状態の作動流体は熱源から離れた位置にまで移動し、周囲に熱を吸収されることで冷却されて凝縮し、液体状態に相変化する。相変化した液体状態の作動流体は凝縮液用流路を通り、熱源の位置にまで戻ってまた熱源からの熱を受けて蒸発して気体状態に変化する。
以上のような循環により熱源から発生した熱が熱源から離れた位置に輸送され熱源が冷却される。
特開2007-212028号公報
本開示の形態は、熱輸送能力が高く、生産性にも優れるベーパーチャンバを提供することを課題とする。また、当該ベーパーチャンバを備える電子機器、ベーパーチャンバ用シート、並びに、ベーパーチャンバ用シート及びベーパーチャンバの製造方法を提供する。
本開示の1つの態様は、作動流体が封入された密閉空間を有するベーパーチャンバであって、密閉空間には、複数の第1流路と、複数の第1流路と、隣り合う第1流路の間に設けられた第2流路と、を有し、隣り合う2つの第1流路の平均の流路断面積をAとし、隣り合う第1流路の間に配置された複数の第2流路の平均の流路断面積をAとしたとき、少なくとも一部でAはAの0.5倍以下であり第1流路には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路が配置された位置に段差を有する、ベーパーチャンバである。
本開示の他の態様は、作動流体が封入された密閉空間を有するベーパーチャンバであって、密閉空間には、気体状態の作動流体が流れる複数の第1流路と、隣り合う第1流路間に設けられ液体状態の作動流体が流れる第2流路と、が備えられ、第1流路には、その内面のうち、厚さ方向で前記第2流路が配置された位置に段差を有する、ベーパーチャンバである。
段差に、複数の第2流路の少なくとも1つを設けてもよい。
第2流路のうち、第1流路に隣接する流路には、第1流路に連通する開口部を備えてもよい。
上記ベーパーチャンバは複数のシートの積層体であってもよい。
本開示の他の態様は、筐体と、筐体の内側に配置された電子部品と、電子部品に配置された上記ベーパーチャンバと、を備える、電子機器である。
本開示の他の態様は、別体である複数のシートを具備するベーパーチャンバ用の一組のシートであって、複数のシートのうちの少なくとも2つのシートには、溝と壁とが交互に配列された部位を有し、2つのシートの壁の接合面における幅が異なる、一組のベーパーチャンバ用シートである。
本開示の他の態様は、別体である複数のシートを具備するベーパーチャンバ用の一組のシートであって、複数のシートのうちの少なくとも2つのシートには、溝と壁とが交互に配列された部位を有し、2つのシートの溝の開口面における幅が異なる、一組のベーパーチャンバ用シートである。
本開示の他の態様は、溝をハーフエッチングにより形成する工程を含む、ベーパーチャンバ用シートの製造方法である。
本開示の他の態様は、複数のシートを重ね合わせてベーパーチャンバを製造する方法であって、複数のシートに含まれるシートを製造する工程と、複数のシートを重ね合わせて接合する工程と、接合により形成されたシート間に形成された中空部に作動流体を封入する工程と、を含む、ベーパーチャンバの製造方法である。
本開示の形態によれば、熱輸送能力を高めるベーパーチャンバを提供することができる。
図1はベーパーチャンバの斜視図である。 図2はベーパーチャンバの分解斜視図である。 図3は第一シートの斜視図である。 図4は第一シートの平面図である。 図5は第一シートの切断面である。 図6は第一シート10の他の切断面である。 図7は第一シート10の他の切断面である。 図8は外周液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図9は他の例の外周液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図10は他の例の外周液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図11は他の例の外周液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図12は他の例の外周液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図13は液流路溝の断面形状が半楕円である例である。 図14は内側液流路部に注目した切断面である。 図15は内側液流路部を平面視して一部を拡大して表した図である。 図16は蒸気流路溝の断面形状が半円である例である。 図17は第二シートの斜視図である。 図18は第二シートの平面図である。 図19は第二シートの切断面である。 図20は第二シートの切断面である。 図21はベーパーチャンバの切断面である。 図22は、図21の一部を拡大した図である。 図23は、図22の一部をさらに拡大した図である。 図24は、図22の一部をさらに拡大した図である。 図25はベーパーチャンバ1の他の切断面である。 図26は携帯型端末(電子機器)40を模式的に表した図である。 図27は作動流体の流れを説明する図である。 図28は他の例のベーパーチャンバの構成を説明する図である。 図29は他の例のベーパーチャンバを説明する図である。 図30は他の例のベーパーチャンバの構成を説明する図である。 図31は他の例のベーパーチャンバの構成を説明する図である。 図32は他の例のベーパーチャンバの構成を説明する図である。 図33は他の例のベーパーチャンバの構成を説明する図である。
以下、本開示を図面に示す形態に基づき説明する。以下に示す図面では分かりやすさのため部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさのため説明上不要な部分の図示や繰り返しとなる符号は省略することがある。
図1には1つの形態にかかるベーパーチャンバ1の外観斜視図、図2にはベーパーチャンバ1の分解斜視図を表した。これら図及び以下に示す各図には必要に応じて便宜のため、方向を表す矢印(x、y、z)も表した。ここでxy面内方向は平板状であるベーパーチャンバ1の板面方向であり、z方向は厚さ方向である。
本形態のベーパーチャンバ1は、図1、図2からわかるように第一シート10及び第二シート20を有している。そして、後で説明するように、この第一シート10と第二シート20とが重ねられて接合(拡散接合、ろう付け等)されていることにより第一シート10と第二シート20との間に密閉空間2が形成され(例えば図21参照)、この密閉空間2に作動流体が封入されている。
本形態で第一シート10は全体としてシート状の部材である。図3には第一シート10を内面10a側から見た斜視図、図4には第一シート10を内面10a側から見た平面図をそれぞれ表した。また、図5には図4にV-Vで切断したときの第一シート10の切断面を示した。
第一シート10は、内面10a、該内面10aとは反対側となる外面10b及び内面10aと外面10bとを連結して厚さを形成する側面10cを備え、内面10a側に作動流体が還流する流路のためのパターンが形成されている。後述するようにこの第一シート10の内面10aと第二シート20の内面20aとが対向するようにして重ね合わされることで中空部が形成され、ここに作動流体が封入されることで密閉空間2となる。
このような第一シート10は本体11及び注入部12を備えている。本体11は作動流体が還流する部位を形成するシート状であり、本形態では平面視で角に円弧(いわゆるR)が形成された長方形である。
ただし、第一シート10の本体11は本形態のように四角形である他、円形、楕円形、三角形、その他の多角形、並びに、屈曲部を有する形である例えばL字型、T字型、クランク型等であってもよい。また、これらの少なくとも2つを組み合わせた形状とすることもできる。
注入部12は第一シート10と第二シート20により形成された中空部に対して作動流体を注入して密閉空間2(例えば図21参照)とする部位であり、本形態では本体11の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第一シート10の注入部12は内面10a側も外面10b側も平坦面とされている。
このような第一シート10の厚さは特に限定されることはないが、1.0mm以下であることが好ましく、0.75mm以下であってもよく、0.5mm以下であってもよい。一方、この厚さ0.02mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であってもよく、0.1mm以上であってもよい。この厚さの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、厚さの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
これにより薄型のベーパーチャンバとして適用できる場面を多くすることができる。
また、第一シート10を構成する材料も特に限定されることはないが、熱伝導率が高い金属であることが好ましい。これには例えば銅、銅合金を挙げることができる。
ただし、必ずしも金属材料である必要はなく、例えばAlN、Si、又はAlなどセラミックスや、ポリイミドやエポキシなど樹脂も可能である。
また、1つシート内で2種類以上の材料を積層したものを用いてもよいし、部位によって材料が異なってもよい。
本体11の内面10a側には、作動流体が還流するための構造が形成されている。具体的には、本体11の内面10a側には、外周接合部13、外周液流路部14、内側液流路部15、蒸気流路溝16、及び、蒸気流路連通溝17が具備されている。
外周接合部13は、本体11の内面10a側に、該本体11の外周に沿って形成された面である。この外周接合部13が第二シート20の外周接合部23に重なって接合(拡散接合、ろう付け等)されることにより、第一シート10と第二シート20との間に中空部が形成され、ここに作動流体が封入されることで密閉空間2となる。
図4、図5にAで示した外周接合部13の幅(外周接合部13が延びる方向に直交する方向の大きさで、第二シート20との接合面における幅)は必要に応じて適宜設定することができるが、この幅Aは、3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であってもよく、2.0mm以下であってもよい。幅Aが3mmより大きくなると、密閉空間の内容積が小さくなり蒸気流路や凝縮液流路が十分確保できなくなる虞がある。一方、幅Aは0.2mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよい。幅Aが0.2mmより小さくなると第一シートと第二シートとの接合時における位置ずれが生じた際に接合面積が不足する虞がある。幅Aの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Aの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また外周接合部13のうち、本体11の四隅には厚さ方向(z方向)に貫通する穴13aが設けられている。この穴13aは第二シート20との重ね合せの際の位置決め手段として機能する。
外周液流路部14は、液流路部として機能し、作動流体が凝縮して液化した際に通る第2流路である凝縮液流路3の一部を構成する部位である。図6には図5のうち矢印VIで示した部分、図7には図4にVII-VIIで切断される部位の切断面を示した。いずれの図にも外周液流路部14の断面形状が表れている。また、図8には図6に矢印VIIIで示した方向から見た外周液流路部14を平面視した拡大図を表した。
これら図からわかるように、外周液流路部14は本体11の内面10aのうち、外周接合部13の内側に沿って形成され、密閉空間2の外周に沿って設けられている。また、外周液流路部14には、本体11の外周方向に沿って延びる複数の溝である液流路溝14aが形成され、複数の液流路溝14aが、該液流路溝14aが延びる方向とは異なる方向に所定の間隔で配置されている。従って、図6、図7からわかるように外周液流路部14ではその断面において内面10a側に、凹部である液流路溝14aと液流路溝14aの間である凸部14bとが凹凸を繰り返している。
ここで液流路溝14aは溝であることから、その断面形状において、外面10b側に底部、及び、底部とは向かい合わせとなる反対側の内面10a側に開口を備えている。
また、このように複数の液流路溝14aを備えることで、1つ当たりの液流路溝14aの深さ及び幅を小さくし、第2流路である凝縮液流路3(図23参照)の流路断面積を小さくして大きな毛細管力を利用することができる。一方、液流路溝14aを複数とすることにより合計した全体としての凝縮液流路3の流路断面積は適する大きさが確保され、必要な流量の凝縮液を流すことができる。
さらに、外周液流路部14では、図8からわかるように隣り合う液流路溝14aは、所定の間隔で連通開口部14cにより連通している。これにより複数の液流路溝14a間で凝縮液量の均等化が促進され、効率よく凝縮液を流すことができ、より円滑な作動流体の還流が可能となる。
本形態では図8で示したように1つの液流路溝14aの該溝を挟んで液流路溝14aが延びる方向の同じ位置に対向するように連通開口部14cが配置されている。ただしこれに限定されることはなく、例えば図9に示したように、1つの液流路溝14aの該溝を挟んで液流路溝14aが延びる方向で異なる位置に連通開口部14cが配置されてもよい。すなわち、液流路溝14aが延びる方向と直交する方向に沿って凸部14bと連通開口部14cとが交互に配置されてもよい。
その他、例えば図10~図12に記載のような形態とすることもできる。図10~図12には、図8と同じ視点で、1つの凝縮液流路14aとこれを挟む2つの凸部14b、及び各凸部14bに設けられた1つの連通開口部14cを示した図を表した。これらはいずれも、当該視点(平面視)で壁14bの形状が図8の例とは異なる。
すなわち、図8に示した凸部14bでは、連通開口部14cが形成される端部においてもその幅が他の部位と同じであり一定である。これに対して図10~図12に示した形状の凸部14bでは、連通開口部14cが形成される端部においてその幅が、凸部14bの最大幅よりも小さくなるように形成されている。より具体的には、図10の例では当該端部において角が円弧状となり角にRが形成されることにより端部の幅が小さくなる例、図11は端部が半円状とされることにより端部の幅が小さくなる例、図12は端部が尖るように先細りとなる例である。
図10~図12に示したように、凸部14bにおいて連通開口部14cが形成される端部でその幅が、凸部14bの最大幅よりも小さくなるように形成されていることで、連通開口部14cを作動流体が移動しやすくなり、隣り合う凝縮液流路3への作動流体の移動が容易となる。
以上のような構成を備える本形態の外周液流路部14は、さらに次のような構成を備えていることが好ましい。
図4~図7にBで示した外周液流路部14の幅(液流路部14aが配列される方向の大きさで、第二シート20との接合面における幅)は、ベーパーチャンバ全体の大きさ等から適宜設定することができるが、幅Bは、3.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であってもよく、1.0mm以下であってもよい。幅Bが3.0mmを超えると内側の凝縮液流路や蒸気流路のための空間が十分にとれなくなる虞がある。一方、幅Bは0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であってもよく、0.4mm以上であってもよい。幅Bが0.1mmより小さいと外側を還流する凝縮液の量が十分得られない虞がある。幅Bの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Bの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
そして当該幅Bは第二シートの外周液流路部24の幅S(図19参照)と異なることが好ましい。すなわち、第一シート10と第二シート20とを組み合わせたときに、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても許容され、接合精度を緩やかにすることができる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
また、本形態のように幅Bを幅Sよりも大きくした場合には、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が蒸気流路4の一部を形成するように含まれて配置され、ここから凝縮液が入りやすくなるため、より円滑に凝縮液を還流させることができる。
液流路溝14aについて、図6、図8にCで示した溝幅(液流路溝14aが配列される方向の大きさで、溝の開口面における幅)は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であってもよく、200μm以下であってもよい。一方、幅Cは20μm以上であることが好ましく、45μm以上であってもよく、60μm以上であってもよい。幅Cの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Cの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また、図6、図7にDで示した溝の深さは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。一方、深さDは5μm以上であることが好ましく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。深さDの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さDの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
以上のように構成することにより、還流に必要な凝縮液流路の毛細管力をより強く発揮することができる。
凝縮液流路の毛細管力をより強く発揮する観点から、幅Cを深さDで割った値である流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きいことが好ましい。この比は1.5以上でもよく、2.0以上であってもよい。または、アスペクト比は1.0より小さくてもよい。この比は0.75以下であってもよく、0.5以下であってもよい。
その中でも製造の観点からCはDより大きいことが好ましく、かかる観点からアスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
本形態では液流路溝14aの断面形状は長方形であるがこれに限定されることなく、正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円、半楕円形、又は、これらから選ばれる複数が組み合わされた形状であってもよい。図13には液流路溝14aが半楕円形である例を示した。この形状によりエッチングを用いて液流路溝を作製することが可能である。
このなかでも、入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力によって液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、複数の液流路溝14aにおける隣り合う液流路溝14aのピッチは1100μm以下であることが好ましく、550μm以下であってもよく、220μm以下であってもよい。一方、ピッチは30μm以上であることが好ましく、55μm以上であってもよく、70μm以上であってもよい。このピッチの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、ピッチの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
これにより、凝縮液流路の密度を上げつつ、接合時や組み立て時に変形して流路が潰れることを抑制することができる。
連通開口部14cについて、図8にEで示した液流路溝14aが延びる方向に沿った開口部の大きさは1100μm以下であることが好ましく、550μm以下であってもよく、220μm以下であってもよい。一方、大きさEは30μm以上であることが好ましく、55μm以上であってもよく、70μm以上であってもよい。大きさEの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、大きさEの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また、図8にFで示した液流路溝14aが延びる方向における隣り合う連通開口部14cのピッチは2700μm以下であることが好ましく、1800μm以下であってもよく、900μm以下であってもよい。一方、このピッチは60μm以上であることが好ましく、110μm以上であってもよく、140μm以上であってもよい。このピッチの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、ピッチの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
図3~図5に戻って内側液流路部15について説明する。内側液流路部15も液流路部として機能し、作動流体が凝縮して液化した際に通る第2流路としての凝縮液流路3の一部を構成する部位である。図14には図5のうちVIで示した部分を示した。この図にも内側液流路部15の断面形状が表れている。また、図15には図14に矢印XIIで示した方向から見た内側液流路部15を平面視した拡大図を示した。
これら図からわかるように、内側液流路部15は本体11の内面10aのうち、外周液流路部14の環状である環の内側に形成されている。本形態の内側液流路部15は、図3、図4からわかるように、本体11の平面視長方形で長辺に平行な方向(x方向)に延びる壁であり、複数(本形態では3つ)の内側液流路部15が同短辺に平行な方向(y方向)に所定の間隔で配列されている。
各内側液流路部15には、内側液流路部15が延びる方向に平行な溝である液流路溝15aが具備され、複数の液流路溝15aが、該液流路溝15aが延びる方向とは異なる方向に所定の間隔で配置されている。従って、図5、図14からわかるように内側液流路部15ではその断面において内面10a側に、凹部である液流路溝15aと液流路溝15aの間である凸部15bとが凹凸を繰り返されている。
ここで液流路溝15aは溝であることから、その断面形状において、外面10b側となる底部、及び、底部とは向かい合わせとなる反対側で内面10a側となる開口を備えている。
このように複数の液流路溝15aを備えることで、1つ当たりの液流路溝15aの深さ及び幅を小さくし、第2流路としての凝縮液流路3(図23参照)の流路断面積を小さくして大きな毛細管力を利用することができる。一方、液流路溝15aを複数とすることにより合計した全体としての凝縮液流路3の流路断面積は適する大きさが確保され、必要な流量の凝縮液を流すことができる。
さらに、図15からわかるように隣り合う液流路溝15aは、所定の間隔で連通開口部15cにより連通している。これにより複数の液流路溝15a間で凝縮液量の均等化が促進され、効率よく凝縮液を流すことができるため、円滑な作動流体の還流が可能となる。
この連通開口部15cについても、連通開口部14cと同様に、図9に示した例に倣って、液流路溝15aが延びる方向と直交する方向に沿って凸部15bと連通開口部15cとが交互に配置されてもよい。
また、図10~図12の例に倣って連通開口部15c及び壁15bの形状としてもよい。
以上のような構成を備える本形態の内側液流路部15は、さらに次のような構成を備えていることが好ましい。
図4、図5、図14にGで示した内側液流路部15の幅(内側液流路部15と蒸気流路溝16が配列される方向の大きさで、第二シート20との接合面における幅)は、3000μm以下であることが好ましく1500μm以下であってもよく、1000μm以下であってもよい。一方、この幅Gは100μm以上であることが好ましく、200μm以上であってもよく、400μm以上であってもよい。この幅Gの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Gの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
そして当該幅Gは第二シートの内側液流路部25の幅T(図19参照)とは異なっていることが好ましい。これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても許容され、接合精度を緩やかにすることができる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
また、本形態では幅Gを幅Tよりも大きくしており、これによれば後述するように、内側液流路部15のうち少なくとも一部において、液流路溝15aの開口を蒸気流路4の一部を形成するように含ませて配置させることができ、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
また、複数の内側液流路部15のピッチは、4000μm以下であることが好ましく3000μm以下であってもよく、2000μm以下であってもよい。一方、このピッチは200μm以上であることが好ましく、400μm以上であってもよく、800μm以上であってもよい。このピッチの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、ピッチの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
これにより蒸気流路の流路抵抗を下げ、蒸気の移動と、凝縮液の還流とをバランスよく行うことができる。
液流路溝15aについて、図14、図15にHで示した溝幅(液流路溝15aが配列される方向の大きさで、溝の開口面における幅)は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であってもよく、200μm以下であってもよい。一方、この幅Hは20μm以上であることが好ましく、45μm以上であってもよく、60μm以上であってもよい。この幅Hの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Hの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また、図14にJで示した溝の深さは、200μm以下であることが好ましく150μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。一方、この深さJは5μm以上であることが好ましく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。この深さJの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さJの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
これにより還流に必要な凝縮液流路の毛細管力を強く発揮することができる。
流路の毛細管力をより強く発揮する観点から、幅Hを深さJで割った値で表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きいことが好ましい。1.5以上であってもよいし、2.0以上であってもよい。又は1.0よりも小さくてもよく、0.75以下でもよく0.5以下でもよい。
その中でも製造の観点から幅Hは深さJよりも大きいことが好ましく、かかる観点からアスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
また、本形態で液流路溝15aの断面形状は長方形であるが、これに限らず、正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円形、半楕円形、又は、これらを組み合わせた形状であってもよい。図13の例に倣って液流路溝15aの断面形状を半楕円形とすることもできる。この形状によりエッチングを用いて液流路溝を作製することが可能である。
この中でも入隅による角部があることにより表面張力が働きやすく、毛管力で液の還流が円滑に行われる傾向にあることから、四角形であることが好ましい。
また、複数の液流路溝15aにおける隣り合う液流路溝15aのピッチは、1100μm以下であることが好ましく、550μm以下であってもよく、220μm以下であってもよい。一方、このピッチは30μm以上であることが好ましく、55μm以上であってもよく、70μm以上であってもよい。このピッチの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、ピッチの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
これにより凝縮液流路の密度を上げつつ、接合時や組み立て時に変形して流路が潰れることを防止することができる。
連通開口部15cについて、図15にKで示した液流路溝15aが延びる方向に沿った連通開口部の大きさは、1100μm以下であることが好ましく550μm以下であってもよく、220μm以下であってもよい。一方、この大きさKは30μm以上であることが好ましく、55μm以上であってもよく、70μm以上であってもよい。この大きさKの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、大きさKの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また、図15にLで示した、液流路溝15aが延びる方向における隣り合う連通開口部15cのピッチは、2700μm以下であることが好ましく、1800μm以下であってもよく、900μm以下であってもよい。一方、このピッチは60μm以上であることが好ましく、110μm以上であってもよく、140μm以上であってもよい。このピッチの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、このピッチの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
上記した本形態の液流路溝14a及び液流路溝15aは等間隔に離間して互いに平行に配置されているが、これに限られることは無く、毛細管作用を奏することができれば溝同士のピッチがばらついても良く、また溝同士が平行でなくても良い。
次に蒸気流路溝16について説明する。蒸気流路溝16は作動流体が蒸発して気化した蒸気が通る部位で、第1流路である蒸気流路4の一部を構成する。図4には平面視した蒸気流路溝16の形状、図5には蒸気流路溝16の断面形状がそれぞれ表れている。
これら図からもわかるように、蒸気流路溝16は本体11の内面10aのうち、外周液流路部14の環状である環の内側に形成された溝により構成されている。詳しくは本形態の蒸気流路溝16は、隣り合う内側液流路部15の間、及び、外周液流路部14と内側液流路部15との間に形成され、本体11の平面視長方形で長辺に平行な方向(x方向)に延びた溝である。そして、複数(本形態では4つ)の蒸気流路溝16が同短辺に平行な方向(y方向)に配列されている。従って、図5からわかるように第一シート10は、y方向において、外周液流路部14及び内側液流路部15である壁を凸とし、蒸気流路溝16を凹とした凹凸が繰り返された形状を備えている。
ここで蒸気流路溝16は溝であることから、その断面形状において、外面10b側となる底部、及び、底部とは向かい合わせとなる反対側で内面10a側に開口を備えている。
このような構成を備える蒸気流路溝16は、さらに次のような構成を備えていることが好ましい。
図4、図5にMで示した蒸気流路溝16の幅(内側液流路部15と蒸気流路16が配列される方向の大きさで、溝の開口面における幅)は、少なくとも上記した液流路溝14a、液流路溝15aの幅C、幅Hより大きく形成され、2000μm以下であることが好ましく、1500μm以下であってもよく、1000μm以下であってもよい。一方、この幅Mは100μm以上であることが好ましく、200μm以上であってもよく、400μm以上であってもよい。この幅Mの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Mの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
蒸気流路溝16のピッチは、内側液流路部15のピッチにより決まるのが通常である。
一方、図5にNで示した蒸気流路溝16の深さは、少なくとも上記した液流路溝14a、液流路溝15aの深さD、深さJより大きく形成され、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。一方、この深さNは10μm以上であることが好ましく、25μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。この深さNの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さNの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
このように、蒸気流路溝の流路断面積を液流路溝よりも大きくすることにより、作動流体の性質上、凝縮液よりも体積が大きくなる蒸気を円滑に還流することができる。
本形態では蒸気流路溝16の断面形状は長方形であるが、これに限らず正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円形、半楕円形、又はこれらのいずれか複数を組み合わせた形状であってもよい。図16に蒸気流路溝16が半円形である例を表した。この形状によりエッチングを用いて蒸気流路溝を作製することが可能である。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより、作動流体を円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
本形態では隣り合う内側液流路部15の間に1つの蒸気流路溝16が形成された例を説明したが、これに限らず、隣り合う内側液流路部の間に2つ以上の蒸気流路溝が並べて配置される形態であってもよい。
また、第二シート20に蒸気流路溝が形成されていれば、第一シート10の一部または全部に蒸気流路溝が形成されない形態であってもよい。
蒸気流路連通溝17は、複数の蒸気流路溝16を連通させる溝である。これにより、複数の蒸気流路溝16の蒸気の均等化が図られ、蒸気がより広い範囲に運ばれ、多くの液流路溝14a、15aを効率よく利用できるようになるため、作動流体の還流をより円滑にすることが可能となる。
本形態の蒸気流路連通溝17は、図3、図4からわかるように、内側液流路部15、蒸気流路溝16が延びる方向の両端部と、外周液流路部14との間に形成されている。また、図7には蒸気流路連通溝17の連通方向に直交する断面が表れている。図2~図4には見易さのため、蒸気流路溝16と蒸気流路連通溝17との境界に点線を表している。ただしこの線は形状に基づくものではなく見易さのために設けた仮想の線である。
蒸気流路連通溝17は、隣り合う蒸気流路溝16を連通させるように形成されていればよく、その形状は特に限定されることはないが、例えば次のような構成を備えることができる。
図4、図7にPで示した蒸気流路連通溝17の幅(連通方向に直交する方向の大きさで、溝の開口面における幅)は、1000μm以下であることが好ましく750μm以下であってもよく、500μm以下であってもよい。一方、この幅Pは100μm以上であることが好ましく、150μm以上であってもよく、200μm以上であってもよい。この幅Pの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、幅Pの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また、図7にQで示した蒸気流路連通溝17の深さは、300μm以下であることが好ましく225μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。一方、この深さQは10μm以上であることが好ましく、25μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。この深さQの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さQの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。その中でも蒸気流路溝16の深さNと同じであることが好ましい。これにより製造が容易になる。
本形態で蒸気流路連通溝17の断面形状は長方形であるが、これに限らず、正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円形、半楕円形、又は、これらのいずれか複数の組み合わせであってもよい。図16の例に倣って半円形とすることができる。この形状によりエッチングを用いて蒸気流路連通溝を作製することが可能である。
蒸気流路連通溝は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより作動流体の円滑な還流をさせることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
次に第二シート20について説明する。本形態で第二シート20も全体としてシート状の部材である。図17には第二シート20を内面20a側から見た斜視図、図18には第二シート20を内面20a側から見た平面図をそれぞれ表した。また、図19には図18にXVI-XVIで切断したときの第二シート20の切断面を示した。また、図20には図18にXVII-XVIIで切断したときの第二シート20の切断面を示した。
第二シート20は、内面20a、該内面20aとは反対側となる外面20b及び内面20aと外面20bとを連結し厚さを形成する側面20cを備え、内面20a側に作動流体が還流するパターンが形成されている。後述するようにこの第二シート20の内面20aと上記した第一シート10の内面10aとが対向するようにして重ね合わされることで中空部が形成され、ここに作動流体を封入することで密閉空間2となる。
第二シート20は本体21及び注入部22を備えている。本体21は作動流体が還流する部位を形成するシート状の部位であり、本形態では平面視で角部に円弧(いわゆるR)が形成された長方形である。
ただし、第二シート20は本形態のように四角形である他、円形、楕円形、三角形、その他の多角形、並びに、屈曲部を有する形である例えばL字型、T字型、クランク型等であってもよい。また、これらの少なくとも2つを組み合わせた形状とすることもできる。
注入部22は第一シート10と第二シート20とにより形成された中空部に対して作動流体を注入して封入し、密閉空間2(図21参照)とする部位であり、本形態では本体21の平面視長方形である一辺から突出する平面視四角形のシート状である。本形態では第二シート20の注入部22には内面20a側に注入溝22aが形成されており、第二シート20の側面20cから本体21の内側(中空部となるべき部位)とが連通している。
このような第二シート20の厚さ及び構成する材料は第一シート10と同様に考えることができる。ただし、第一シート10と第二シート20とは必ずしも同じ厚さ及び材料である必要はない。
本体21の内面20a側には、作動流体が還流するための構造が形成されている。具体的には、本体21の内面20a側には、外周接合部23、外周液流路部24、内側液流路部25、蒸気流路溝26、及び、蒸気流路連通溝27が具備されている。
外周接合部23は、本体21の内面20a側に、該本体21の外周に沿って形成された面である。この外周接合部23が第一シート10の外周接合部13に重なって接合(拡散接合やろう付け)されることにより、第一シート10と第二シート20との間に中空部を形成し、ここに作動流体が封入されて密閉空間2となる。
図18~図20にRで示した外周接合部23の幅(外周接合部23が延びる方向に直交する方向の大きさで、第一シート10との接合面における幅)は上記した本体11の外周接合部13の幅Aと同じであることが好ましい。ただし必ずしも同じである必要はなく、大きくても小さくてもよい。
また外周接合部23のうち、本体21の四隅には厚さ方向(z方向)に貫通する穴23aが設けられている。この穴23aは第一シート10との重ね合せの際の位置決め手段として機能する。
外周液流路部24は、液流路部であり、作動流体が凝縮して液化した際に通る第2流路である凝縮液流路3の一部を構成する部位である。
外周液流路部24は本体21の内面20aのうち、外周接合部23の内側に沿って、密閉空間2の外周に沿って形成されている。本形態において第二シート20の外周液流路部24は、図19、図20からわかるように外周接合部23と面一である。これにより上記した第一シート10の複数の液流路溝14aのうち少なくとも一部の液流路溝14aの開口を閉鎖して第2流路である凝縮液流路3を形成する。第一シート10と第二シート20との組み合わせに関する詳しい態様は後で説明する。
なお、このように第二シート20では外周接合部23と外周液流路部24とが面一であるため、構造的には両者を区別する境界線は存在しない。しかし、わかり易さのため、図18では点線により両者の境界を表している。
外周液流路部24は、次のような構成を備えていることが好ましい。
図18~図20にSで示した外周液流路部24の幅(外周液流路部24が延びる方向に直交する方向の大きさで、第一シート10との接合面における幅)は、第一シート10の外周流路部14の幅Bとは異なることが好ましい。すなわち、第一シート10と第二シート20とを組み合わせたときに、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても外周液流路部14と外周液流路部24との重ね合せがより容易になる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
また、本形態では、幅Sを幅Bよりも小さくすることで、後述するように、外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aが蒸気流路4の一部に含まれるようになり、この部分において液流路溝14aの開口が外周液流路部24により閉鎖されずに開口し、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑な凝縮液の還流をさせることができる。
かかる観点から、幅Sの大きさは、図6に示した、第一シート10の外周液流路部14の幅Bとの関係で、Bの半分以上であることが好ましい。幅SがBの半分より小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝14aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛細管力が不足する虞がある。一方、幅SはB以下であることが好ましい。ここでBは、外周液流路部14に配置された液流路溝14aのうち、最も蒸気流路溝16側の液流路溝14aの幅の半分である位置と、外周液流路部14の外周接合部13側端部と、の距離を意味する。幅SがBより大きくなると本形態の観点からは、蒸気流路4に露出される液流路溝14aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝14aへの流入が少なくなってしまう虞がある。
次に内側液流路部25について説明する。内側液流路部25も液流路部であり、第2流路である凝縮液流路3を構成する1つの部位である。
内側液流路部25は、図17~図20よりわかるように、本体21の内面20aのうち、外周液流路部24の環状である環の内側に形成されている。本形態の内側液流路部25は、本体21の平面視長方形で長辺に平行な方向(x方向)に延びる壁であり、複数(本形態では3つ)の内側液流路部25が同短辺に平行な方向(y方向)に所定の間隔で配列されている。
本形態で各内側液流路部25は、その内面20a側の表面が第一シート10との接合前において平坦面により形成されている。これにより上記した第一シート10の複数の液流路溝15aのうち少なくとも一部の液流路溝15aの開口を閉鎖して凝縮液流路3を形成する。
図18、図19にTで示した内側液流路部25の幅(内側液流路部25と蒸気流路溝26が配列される方向の大きさで、第一シート10との接合面における幅)は、第一シート10の内側液流路部15の幅Gと異なることが好ましい。これによれば、第一シート10と第二シート20とを組み合わせたときに、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても内側液流路部15と内側液流路部25との重ね合せが容易になる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
また、本形態では、幅Tを幅Gより小さくすることで後述するように、内側液流路部15のうち少なくとも一部において、液流路溝15aが蒸気流路4の一部に含まれることになり、この部位において液流路溝15aの開口が内側液流路部25により閉鎖されず、ここから凝縮液が入りやすいため、より円滑に凝縮液の還流をさせることができる。
本形態ではかかる観点から、幅Tの大きさは、図14に示した、第一シート10の内側液流路部15の幅Gとの関係で、G以上であることが好ましい。Gは、図14に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から2つ目の液流路溝15aの蒸気流路溝16側端部間の距離である。幅TがGより小さいと開口の閉鎖をすることができる液流路溝15aが少なくなるため、凝縮液流路3における毛細管力が不足する虞がある。
一方、本形態の観点からは幅TはG以下であることが好ましい。Gは、図14に示したように、複数の液流路溝15aのうち、蒸気流路溝16側から1つ目の液流路溝15aの幅の半分となる位置間の距離である。本形態の観点からは、幅TがGより大きくなると蒸気流路4に露出される液流路溝15aの開口が少なくなり、凝縮液の液流路溝15aへの流入が少なくなる虞がある。
なお、本形態では各内側液流路部25では接合前において平坦面により形成されているが、第一シートと同様に液流路溝を形成しても良い。また、その場合は、液流路溝同士は平面視で同じ位置にあってもよく、ずれていても良い。
次に蒸気流路溝26について説明する。蒸気流路溝26は作動流体が蒸発して気化した蒸気が通る部位であり、第1流路である蒸気流路4の一部を構成する。図18には平面視した蒸気流路溝26の形状、図19には蒸気流路溝26の断面形状がそれぞれ表れている。
これら図からもわかるように、蒸気流路溝26は本体21の内面20aのうち、外周液流路部24の環状である環の内側に形成された溝により構成されている。詳しくは本形態の蒸気流路溝26は、隣り合う内側液流路部25の間、及び、外周液流路部24と内側液流路部25との間に形成され、本体21の平面視長方形で長辺に平行な方向(x方向)に延びた溝である。そして、複数(本形態では4つ)の蒸気流路溝26が同短辺に平行な方向(y方向)に配列されている。従って、図19からわかるように第二シート20は、y方向において、外周液流路部24及び内側液流路部25である壁による凸と、蒸気流路溝26である溝による凹とにより、これらの凹凸が繰り返された形状を備えている。
ここで蒸気流路溝26は溝であることから、その断面形状において、外面20b側である底部、及び、底部とは向かい合わせとなる反対側の部位で内面20a側となる開口を備えている。
蒸気流路溝26は、第一シート10と組み合わされた際に該第一シート10の蒸気流路溝16と厚さ方向に重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより蒸気流路溝16と蒸気流路溝26とで第2流路である蒸気流路4を形成することができる。
図18、図19にUで示した蒸気流路溝26の幅(内側液流路部25と蒸気流路溝26が配列される方向の大きさで、溝の開口面における幅)は第一シート10の蒸気流路溝16の幅Mと異なっていることが好ましい。これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても内側液流路部15と内側液流路部25とを重ね易くなる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
その中でも本形態では、幅Uが幅Mより大きくされているため、後述するように、第一シート10の内側液流路部15のうち少なくとも一部において、液流路溝15aが蒸気流路4の一部に含まれることなり、この部位において液流路溝15aの開口が蒸気流路4に露出されるため凝縮液が入りやすくなり、より円滑に凝縮液の還流をさせることができる。
一方、図19にVで示した蒸気流路溝26の深さは、300μm以下であることが好ましく225μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。一方、この深さVは10μm以上であることが好ましく、25μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。この深さVの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さVの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また第一シート10の蒸気流路溝16と第二シート20の蒸気流路溝26の深さは同じであってもよく、大きくても小さくてもよい。
本形態で蒸気流路溝26の断面形状は長方形であるが、正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円形、半楕円形、又は、これらのいくつかを組み合わせた形状であってもよい。図16の例に倣って半円形にすることができる。この形状によりエッチングを用いて蒸気流路溝を作製することが可能である。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより作動流体を円滑に還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
本形態では隣り合う内側液流路部25の間に1つの蒸気流路溝26が形成された例を説明したが、これに限らず、隣り合う内側液流路部の間に2つ以上の蒸気流路溝が並べて配置される形態であってもよい。
また、第一シート10に蒸気流路溝が形成されていれば、第二シート20の一部または全部に蒸気流路溝が形成されない形態であってもよい。
蒸気流路連通溝27は、複数の蒸気流路溝26を連通させる溝である。これにより、複数の蒸気流路4の蒸気の均等化が図られたり、蒸気がより広い範囲に運ばれて、多くの凝縮液流路3を効率よく利用できるようになったりするため、作動流体の還流をより円滑にすることが可能となる。
本形態の蒸気流路連通溝27は、図18、図20からわかるように、内側液流路部25及び蒸気流路溝26が延びる方向の両端部と、外周液流路部24との間に形成されている。また、図20には蒸気流路連通溝27の連通方向に直交する断面が表れている。
図18、図20にWで示した蒸気流路連通溝27の幅(連通方向に直交する方向の大きさで、溝の開口面における幅)は、第一シート10の蒸気流路連通溝17の幅Pと異なっていることが好ましい。さらに本形態では幅Wは幅Pよりも大きくされている。大きくされる程度は、50μm以上200μm以下の範囲で幅Pよりも大きいことがより好ましい。これにより、本形態において後述するように、第一シート10の外周液流路部14のうち少なくとも一部において、液流路溝14aの開口が蒸気流路4の一部を形成するように配置されるため凝縮液が入りやすくなり、より円滑に凝縮液を還流させることができる。
一方、図20にXで示した蒸気流路連通溝27の深さは、300μm以下であることが好ましく225μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。一方、この深さXは10μm以上であることが好ましく、25μm以上であってもよく、50μm以上であってもよい。この深さXの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、深さXの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
また第一シート10の蒸気流路連通溝17と第二シート20の蒸気流路連通溝27の深さは同じでもよく、大きくても小さくてもよい。
本形態で蒸気流路連通溝27の断面形状は長方形であるが、これに限らず正方形、台形等の四角形、三角形、半円形、底部が半円形、半楕円形、又は、これらのいずれかを組み合わせた形状であってもよい。図16の例に倣って半円形とすることができる。この形状によりエッチングを用いて蒸気流路連通溝を作製することが可能である。
蒸気流路は蒸気の流動抵抗を小さくすることにより円滑な還流させることができるので、かかる観点から流路断面の形状を決定することもできる。
次に、第一シート10と第二シート20とが組み合わされてベーパーチャンバ1とされたときの構造について説明する。この説明により、第一シート10及び第二シート20が有する各構成の配置、大きさ、形状等がさらに理解される。
図21には、図1にXVIII-XVIIIで示したy方向に沿ってベーパーチャンバ1を厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は第一シート10における図5に表した図と、第二シート20における図19に表した図とが組み合わされてこの部位におけるベーパーチャンバ1の切断面が表されたものである。
図22には図21にXIXで示した部位を拡大した図、図23には図22のうち内側液流路部15と内側液流路部25とが重なった部分をさらに拡大した図、図24には図22のうち外周液流路部14と外周液流路部24とが重なった部分をさらに拡大した図をそれぞれ表した。
図25には、図1にXXII-XXIIで示したx方向に沿ってベーパーチャンバ1の厚さ方向に切断した切断面を表した。この図は、第一シート10における図7に表した図と、第二シート20における図20に表した図とが組み合わされてこの部位におけるベーパーチャンバ1の切断面が表されたものである。
図1、図2、及び図21~図25よりわかるように、第一シート10と第二シート20とが重ねられるように配置され接合されることでベーパーチャンバ1とされている。このとき第一シート10の内面10aと第二シート20の内面20aとが向かい合うように配置されており、第一シート10の本体11と第二シートの本体21とが重なり、第一シート10の注入部12と第二シート20の注入部22とが重なっている。本形態では、第一シート10と第二シート20との相対的な位置関係は、第一シート10の穴13aと第二シート20の穴23aと位置を合わせることで適切になるように構成されている。
このような第一シート10と第二シート20との積層体により、本体11及び本体21に具備される各構成が図21~図25に表れるように配置される。具体的には次の通りである。
第一シート10の外周接合部13と第二シート20の外周接合部23とが重なるように配置されており、拡散接合やろう付け等の接合手段により両者が接合されている。これにより、第一シート10と第二シート20との間に中空部が形成され、ここに作動流体が封入されることで密閉空間2とされている。
第一シート10の外周液流路部14と第二シート20の外周液流路部24とが重なるように配置されている。これにより外周液流路部14の液流路溝14a及び外周液流路部24により作動流体が凝縮して液化した状態である凝縮液が流れる第2流路である凝縮液流路3が形成される。この凝縮液流路3は第1流路である蒸気流路4とは分離されて形成されているため、作動流体の循環を円滑にさせることができる。
ここで、図21~図25よりわかるように、本形態では、第一シート10の外周液流路部14の幅Bの方が、第二シート20の外周液流路部24の幅Sよりも大きく形成されている。従って第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても許容され、接合精度を緩やかにすることができる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
また、本形態では、外周液流路部14に設けられた複数の液流路溝14aのうち蒸気流路4側となる液流路溝14aについては第二シート20の外周液流路部24が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図22~図25にαで示したように第二シート20に対向するような開口が形成され、該開口が蒸気流路4の一部に含まれるようになり、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路内に配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路3である液流路溝14a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
一方、液流路溝14aのうちその開口が外周液流路部24により塞がれた溝については、断面においてその四方が壁となるため毛細管力が強く働き、円滑な液の流動が行われる。
第一シート10の壁である内側液流路部15と第二シート20の壁である内側液流路部25とが重なるように配置されている。これにより内側液流路部15の液流路溝15a及び内側液流路部25により中空部のうち、作動流体が凝縮して液化した状態である凝縮液が流れる第2流路である凝縮液流路3が形成される。
この凝縮液流路3は蒸気流路4とは分離されて形成されているため、作動流体の循環を円滑にさせることができる。
さらには内側液流路部15と内側液流路部25とが重なることにより密閉空間2の内部における支柱として機能するため、製造時においてつぶれ等の不具合を抑制することができる。
また、図21~図25よりわかるように、本形態では、第一シート10の内側液流路部15の幅Gの方が、第二シート20の内側液流路部25の幅Tよりも大きく形成されている。従って、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、第一シート10と第二シート20とが接合の際に若干のずれが生じても許容され、接合精度を緩やかにすることができる。従って生産時において精度管理を緩やかにすることができ、歩留まりの向上等、生産性を高めることができる。
さらに、この緩やかになった許容範囲内であれば、蒸気流路溝16及び蒸気流路溝26のうちの狭い方(本形態では蒸気流路溝16)の幅の蒸気流路4を確保することができる。従って蒸気流路4の流路抵抗の観点からも該抵抗を一定に保つことができる範囲を広くすることができ、個々の製品の熱輸送能力のばらつきを抑えることができ、所望の性能の製品を安定して供給することができる。
また、本形態では、内側液流路部15に設けられた複数の液流路溝15aのうち蒸気流路4側となる液流路溝15aについては第二シート20の内側液流路部25が重ならないため、開口が塞がらない。従って、この部位では図22~図25にβで示したように蒸気流路4の段差の部位において、第二シート20に対向するような開口が形成され、該開口が蒸気流路4の一部に含まれるようになり、蒸気流路4に連通している。
このように凝縮液流路の少なくとも一部が蒸気流路内に配置されることにより、凝縮液が凝縮液流路である液流路溝15a内に流入し易くなり作動流体の還流がより円滑になる。
一方、液流路溝15aのうちその開口が内側液流路部25により塞がれた溝については、断面においてその四方が壁となるため毛細管力が強く働き、円滑な液の流動が行われる。
なお、以上の各例の凝縮液流路3でも流路の毛細管力をより強く発揮する観点から、流路幅を流路高さで割った値で表される流路断面におけるアスペクト比(縦横比)は、1.0よりも大きいことが好ましい。この比は1.5以上でもよく、2.0以上であってもよい。または、アスペクト比は1.0より小さくてもよい。この比は0.75以下であってもよく、0.5以下であってもよい。
その中でも製造の観点から流路幅が流路高さより大きいことが好ましく、かかる観点からアスペクト比は1.3より大きいことが好ましい。
第一シート10の蒸気流路溝16の開口と第二シート20の蒸気流路溝26の開口とが向かい合うように重なって流路を形成し、これが蒸気が流れる第1流路である蒸気流路4となる。
上記した第2流路である凝縮液流路3の流路断面積は、当該第1流路である蒸気流路4の流路断面積より小さくされている。より具体的には、隣り合う2つの蒸気流路4(本形態では1つの蒸気流路溝16及び1つの蒸気流路溝26により形成される流路)の平均の流路断面積をAとし、隣り合う2つの蒸気流路4の間に配置される複数の凝縮液流路3(本形態では1つの内側液流路部15、及び、1つの内側液流路溝25により形成される複数の凝縮液流路3)の平均の流路断面積をAとしたとき、凝縮液流路3と蒸気流路4とは、AがAの0.5倍以下の関係にあるものとし、好ましくは0.25倍以下である。これにより作動流体はその相態様(気相、液相)によって第1流路と第2流路とを選択的に通り易くなる。
この関係はベーパーチャンバ全体のうち少なくとも一部において満たせばよく、ベーパーチャンバの全部でこれを満たせばさらに好ましい。
図25からわかるように、第一シート10の蒸気流路連通溝17の開口と第二シート20の蒸気流路連通溝27の開口とが向かい合うように重なり流路を形成する。
一方、注入部12、22についても図1、図2に表れているように、内面10aと内面20a同士が向かい合うように重なり、第二シート20の注入溝22aの底部とは反対側の開口が第一シート10の注入部12の内面10aより塞がれ、外部と本体11及び本体21間の中空部(凝縮液流路3及び蒸気流路4)とを連通する注入流路5が形成されている。
ただし、注入流路5から中空部に対して作動流体を注入して密封し、密閉空間2とした後は、注入流路5は閉鎖されるので、最終的な形態のベーパーチャンバ1では外部と密閉空間2とは連通していない。
本形態で注入部12、注入部22及びこれによる注入流路5は、ベーパーチャンバ1の長手方向における一対の端部のうちの一方の端部に設けられている例が示されているが、これに限られることはなく、他のいずれかの端部に配置されていてもよく、複数配置されてもよい。複数配置される場合には例えばベーパーチャンバ1の長手方向における一対の端部のそれぞれに配置されてもよいし、他の一対の端部のうちの一方の端部に配置されもよい。
ベーパーチャンバ1の密閉空間2には、作動流体が封入されている。作動流体の種類は特に限定されることはないが、純水、エタノール、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物等、通常のベーパーチャンバに用いられる作動流体を用いることができる。
以上のようなベーパーチャンバは例えば次のように作製することができる。ここでは第一シート10について説明するが、第二シート20も同様の手法にて製造することができる。
初めに、第一シート10の外周形状を有する表裏が平坦な金属シートを準備する。
続いて、この金属シートがハーフエッチングされて、密閉空間2の一部を構成する蒸気流路溝16が形成される。より詳しくは、金属シートのうちハーフエッチングをする側の面にレジスト膜を積層し、フォトリソグラフィー技術によりレジスト膜の一部を蒸気流路溝のパターン状に除去する。そして当該レジスト膜が除去された部分に対してハーフエッチングがなされることにより蒸気流路溝16が形成される。これにより蒸気流路溝が形成されなかった部位において、液流路溝を備えていない内側液流路部、及び外周液流路部、並びに外周接合部が形成される。
ここでハーフエッチングとは、金属シートを貫通することなくその厚さ方向の途中までエッチングを行うことである。
次に、さらに金属シートがハーフエッチングされて、密閉空間2となる中空部の一部を構成する液流路溝14a、液流路溝15aが形成される。この場合、金属シートのうち蒸気流路溝16が形成された側の面にレジスト膜を積層し、フォトリソグラフィー技術によりレジスト膜の一部を液流路溝のパターン状に除去する。そして当該レジスト膜が除去された部分に対してハーフエッチングがなされることにより内側液流路部、及び外周液流路部に液流路溝14a、液流路部15aが形成される。
次いで、上記のように作製した第一シート10及び第二シート20の内面10aと内面20aを向かい合わせるように重ね、位置決め手段としての穴13a、穴23aを用いて位置決めし、仮止めを行う。仮止めの方法は特に限定されることはないが、抵抗溶接、超音波溶接、及び接着剤による接着等を挙げることができる。
そして仮止め後に拡散接合を行い恒久的に第一シート10と第二シート20とを接合する。なお、拡散接合の代わりにろう付けにより接合してもよい。ここで、「恒久的に接合」とは、厳密な意味に縛られることはなく、ベーパーチャンバ1の動作時に、密閉空間2の密閉性を維持可能な程度に、第一シート10の内面10aと第二シート20の内面20aとの接合を維持できる程度に接合されていることを意味する。
本形態では内部液流路部15と内側液流路部25とが上記のような関係を有しているので位置決め精度を緩やかに設定することができ、生産性を高めることが可能となる。
接合の後、形成された注入流路5から真空引きを行い、中空部を減圧する。その後、減圧された中空部に対して注入流路5から作動流体を注入して中空部に作動流体が入れられる。そして注入部12、注入部22に対してレーザによる溶融を利用したり、かしめたりして注入流路5を閉鎖することで密閉空間2とする。これにより密閉空間2の内側に作動流体が保持される。
本形態のベーパーチャンバでは、内部液流路部15と内側液流路部25との重なりによりこれが支柱として機能するため、接合時及び減圧時に密閉空間がつぶれることを抑制することができる。
以上では、エッチングによるベーパーチャンバの製造について説明したが、製造方法はこれに限らず、プレス加工、切削加工、レーザ加工、及び3Dプリンタによる加工によりベーパーチャンバを製造することもできる。
例えば3Dプリンタによりベーパーチャンバを製造する場合にはベーパーチャンバを複数のシートを接合して作製する必要がなく、接合部のないベーパーチャンバとすることが可能となる。
次にベーパーチャンバ1の作用について説明する。図26には電子機器の一形態である携帯型端末40の内側にベーパーチャンバ1が配置された状態を模式的に表した。ここではベーパーチャンバ1は携帯型端末40の筐体41の内側に配置されているため、点線で表している。このような携帯型端末40は、各種電子部品を内包する筐体41及び筐体41の開口部を通して外部に画像が見えるように露出したディスプレイユニット42を備えて構成されている。そしてこれら電子部品の1つとして、ベーパーチャンバ1により冷却すべき電子部品30が筐体41内に配置されている。
ベーパーチャンバ1は形態型端末等の筐体内に設置され、CPU等の冷却すべき対象物である電子部品30に取り付けられる。電子部品30はベーパーチャンバ1の外面10b又は外面20bに直接、又は、熱伝導性の高い粘着剤、シート、テープ等の他の部材を介して取り付けられる。外面10b、外面20bのうちどの位置に冷却対象物が取り付けられるかは特に限定されることはなく、モバイル端末等において他の部材の配置との関係により適宜設定される。本形態では図1に点線で示したように、冷却すべき熱源である電子部品30を第一シート10の外面10bのうち、本体11のxy方向中央に配置した。従って図1において電子部品30は死角となって見えない位置なので点線で表している。
図27には作動流体の流れを説明する図を表した。説明のし易さのため、この図では第二シート20は省略し、第一シート10の内面10aが見えるように表示している。
電子部品30が発熱すると、その熱が第一シート10内を熱伝導により伝わり、密閉空間2内における電子部品30に近い位置に存在する凝縮液が熱を受ける。この熱を受けた凝縮液は熱を吸収し蒸発して気化する。これにより電子部品30が冷却される。
気化した作動流体は蒸気となって図27に実線の直線矢印で示したように第1流路である蒸気流路4内を流れて移動する。この流れは電子部品30から離隔する方向に生じるため、蒸気は電子部品30から離れる方向に移動する。
蒸気流路4内の蒸気は熱源である電子部品30から離れ、比較的温度が低いベーパーチャンバ1の外周部に移動し、当該移動の際に順次第一シート10及び第二シート20に熱を奪われながら冷却される。蒸気から熱を奪った第一シート10及び第二シート20はその外面10b、外面20bに接触した携帯型端末40の筐体41等に熱を伝え、最終的に熱が外気に放出される。
蒸気流路4を移動しつつ熱を奪われた作動流体は凝縮して液化する。この凝縮液は蒸気流路4の壁面に付着する。一方で蒸気流路4には連続して蒸気が流れているので、凝縮液は図22、図25に矢印Zで示したように蒸気で押し込まれるように、第2流路である凝縮液流路3に移動する。本形態の凝縮液流路3は、図8、図15に現れているように連通開口部14c、連通開口部15cを備えているので、凝縮液はこの連通開口部14c、連通開口部15cを通って複数の凝縮液流路3に分配される。
本形態では凝縮液流路3と蒸気流路4とを分離して構成しているので作動流体が円滑に還流する。
さらに本形態のベーパーチャンバ1では、蒸気流路4に具備された段差の部位において、凝縮液流路3の一部が蒸気流路4内に設けられているので、凝縮液は図22、図25に矢印Zで示したように厚さ方向からも蒸気で押し込まれるように、凝縮液流路3に移動する。従って、凝縮液が凝縮液流路3に入りやすく、円滑に作動流体の還流が可能である。
凝縮液流路3に入った凝縮液は、凝縮液流路による毛細管現象、及び、蒸気からの押圧により、図27に点線の直線矢印で表したように熱源である電子部品30に近づくように移動する。
特に、蒸気流路4内に配置されていない一部の凝縮液流路3については、第二シート20により液流路溝14a、液流路溝15aの開口が塞がれているので断面においてその四方が壁となり、毛細管力を高めることができる。これにより、さらに円滑な凝縮液の移動が可能とされている。
そして再度熱源である電子部品30からの熱により気化して上記を繰り返す。
以上のように、ベーパーチャンバ1によれば、第2流路である凝縮液流路3への凝縮液の入流が円滑に行われるため、作動流体の還流が良好であり、熱輸送量を高めることができる。また、蒸気流路に凝縮液が溜まり難い構造であるため、かかる観点からも熱輸送能力を高めることができる。
上記の形態では、蒸気流路4に具備された段差において、一部の液流路溝の開口が閉鎖されずに、液流路溝が蒸気流路の一部に含まれる例を示したが、これに限定されることなく、全ての液流路溝の開口が閉鎖されて流路の横断面においてその四方が壁に囲まれる形態となるように凝縮液流路を設けてもよい。具体的な形状を図28に示した。
この例では、上記形態と同様に、第一シート10の外周液流路部14が第二シート20の外周液流路部24より幅が広く、第一シート10の内側液流路部15が第二シート20の内側液流路部25より幅が広いため、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
しかしながら、この形態では全ての液流路溝14aの内面10a側の開口が外周液流路部24又は内側液流路部25によって塞がれている。
このような形態では、図28にZで示したように蒸気流路4に具備される段差の部位に凝縮液が移動しやすく、この凝縮液はここから連通開口部14c、連通開口部15cを通って第2流路である凝縮液流路3に移動する。従って、この形態においても蒸気流路から凝縮液流路への凝縮液の移動が円滑に行われ、安定した熱輸送能力を発揮することができる。
上記した各形態では第一シート10の外周液流路部14及び内側液流路部15の幅が、第二シート20の液流路部24及び内側液流路部25の幅よりも大きい例を説明した。これに限らず、この関係が反対となるように構成してもよい。図29に説明のための図を示した。
本形態のベーパーチャンバ1では、第一シート10の外周液流路部14の幅と、第二シート20の外周液流路部24の幅との大きさの関係が上記した形態のベーパーチャンバ1とは反対である。同様に、第一シート10の内側液流路部15の幅と、第二シート20の内側液流路部25の幅との大きさの関係が上記した形態のベーパーチャンバ1とは反対である。
すなわち、第一シート10の外周液流路部14の幅の方が、第二シート20の外周液流路部24の幅より小さく、第一シート10の内側液流路部15の幅の方が、第二シート20の内側液流路部25の幅より小さくされている。従って、第一シート10と第二シート20とを組み合わせたときに、第1流路である蒸気流路4には、その内面のうち、ベーパーチャンバの厚さ方向で第2流路である凝縮液流路が配置された位置に段差を有するものとなる。
これにより、蒸気流路と凝縮液流路とが分離し、作動流体の還流がより円滑に行われる。また第一シート10と第二シート20との接合の際に位置決め精度を緩やかに設定することができ、生産性を高めることが可能となる。そして、内側液流路部15と内側液流路部25との重なりによりこれが支柱として機能するため、接合時及び減圧時に密閉空間がつぶれることを抑制することができる。
また、図29にZで示したように蒸気流路4に具備される段差の部位に凝縮液が移動しやすく、この凝縮液はここから連通開口部14c、連通開口部15cを通って第2流路である凝縮液流路3に移動するため、この形態においても蒸気流路から凝縮液流路への凝縮液の移動が円滑に行われ、安定した熱輸送能力を発揮することができる。
上記の形態では、液流路溝が第一シートのみに設けられた例であるが、第二シートにも液流路溝が設けられてもよい。図30、図31に説明のための図を示した。図30、及び、図31のいずれも第二シート20に液流路溝24a及び液流路溝25aが設けられている。この液流路溝24a及び液流路溝25aが第一シート10の液流路溝14a及び液流路溝15aと重なることで第2流路である凝縮液流路3となる。
図30の例は液流路溝14aと液流路溝24、及び、液流路溝15aと液流路溝25がその幅方向(y方向)にて同じ位置となるように配置された例である。
図31の例は液流路溝14aと液流路溝24、及び、液流路溝15aと液流路溝25がその幅方向(y方向)にて異なる位置にずれるように配置された例である。
いずれの配置としても凝縮液流路における毛細管力は発揮することができるため、上記した効果を有するものとなる。
また、図30及び図31の例では、液流路溝14aと液流路溝24、及び、液流路溝15aと液流路溝25の溝幅、深さ、及び断面形状を同じとしたが、これにかぎらず、これらの少なくとも1つを異なるようにしてもよい。
ここまでのベーパーチャンバ1は、第一シート10及び第二シートの2つのシートからなる例を説明した。ただし、これに限られることはなく、図32、及び図33に示したように3つ以上のシートによるベーパーチャンバであってもよい。図32は3つのシートからなるベーパーチャンバの例、図33は4つのシートからなるベーパーチャンバの例である。
図32に示したベーパーチャンバ1は、第一シート10、第二シート20、及び、第三シート(中間シート)50の積層体である。
第一シート10と第二シート20との間に挟まれるように第三シート50が配置され、第一シート10の内面10aが第三シート50の一方の面50aに接触し、第二シート20の内面20aが第三シート50の他方の面50bに接触し、それぞれ接合されている。接合の態様は上記した通りである。
ここでは第一シート10は、平坦な内面10aに、液流路部14a、液流路部24aを備えており、上記した壁である外周液流路部14、外周液流路部24、内側液流路部15、及び内側液流路部25は備えていない。
同様に、第二シート20は、内面20a及び外面20bのいずれも平坦面である。
この時の、第一シート10および第二シート20の厚さは、1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であってもよく、0.1mm以下であってもよい。一方、この厚さ0.005mm以上であること好ましく、0.015mm以上であってもよく、0.030mm以上であってもよい。この厚さの範囲は、上記複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの1つの組み合わせによって定められてもよい。また、この厚さの範囲は、複数の上限の候補値の任意の2つを組み合わせ、又は、複数の下限の候補値の任意の2つの組み合わせにより定められてもよい。
第三シート50には、壁51、及び、蒸気流路溝52が備えられている。
壁51は第一シート10と第二シート20とを渡すように配置された壁であり、上記した第一シート10の外周液流路部15と第二シート20の外周液流路部24とを重ねた位置、及び、上記した第一シート10の内側液流路部25と第二シート20の内側液流路部25とを重ねた位置と同様の位置に配置される。
蒸気流路溝52は、第三シート50を厚さ方向に貫通した溝であり、上述した第一シート10の蒸気流路溝16と第二シート20の蒸気流路溝26とを重ねた位置と同様の位置に配置される。
そして、図32からわかるように、第一シート10の液流路部14a及び液流路部15aが第三シート50の壁51の面50aに覆われるように配置され、第2流路である凝縮液流路3が形成される。このとき、壁51の幅と液流路部14a、15aが並べられた部位の幅とがここまで説明した上記関係を満たすように構成されている。
一方、隣り合う壁51、第一シート10及び第二シート20に囲まれる流路が第1流路である蒸気流路4となる。
図33に示したベーパーチャンバ1は、4つのシートからなり、第一シート10、第二シート20、第三シート60、及び第四シート70を有している。そして、第一シート10、第三シート60、第四シート70、及び第二シート20の順に積層されており接合されている。接合の態様は上記した通りである。
図33に示したベーパーチャンバ1は、図21に示したベーパーチャンバ1と同じ形態となるように、シートを4つに分割した態様である。すなわち、本形態では、第三シート60が外周液流路部14、内側液流路部15及び蒸気流路溝16を備えており、第一シート10にはこれらが備えられていない。同様に第四シート70が外側液流路部24、内側液流路部25及び蒸気流路溝26を備えており、第二シート20にはこれらが備えられていない。
このような形態でも本開示のベーパーチャンバとすることができる。
本開示の上記各形態の例はそのままに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態とすることができる。各形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
1 ベーパーチャンバ
2 密閉空間
3 凝縮液流路
4 蒸気流路
10 第一シート
10a 内面
10b 外面
10c 側面
11 本体
12 注入部
13 外周接合部
14 外周液流路部
14a 液流路溝
14c 連通開口部
15 内側液流路部
15a 液流路溝
15c 連通開口部
16 蒸気流路溝
17 蒸気流路連通溝
20 第二シート
20a 内面
20b 外面
20c 側面
21 本体
22 注入部
23 外周接合部
24 外周液流路部
25 内側液流路部
26 蒸気流路溝
27 蒸気流路連通溝
30 電子部品
40 携帯型端末(電子機器)
41 筐体

Claims (10)

  1. 作動流体が封入された密閉空間を有するベーパーチャンバであって、
    前記密閉空間には、
    複数の第1流路と、隣り合う前記第1流路の間に設けられた第2流路と、を有し、
    隣り合う2つの前記第1流路の平均の流路断面積をAとし、隣り合う前記第1流路の間に配置された複数の前記第2流路の平均の流路断面積をAとしたとき、少なくとも一部でAはAの0.5倍以下であり、
    前記第1流路には、その内面のうち、前記ベーパーチャンバの厚さ方向で前記第2流路が配置された位置に段差を有する、ベーパーチャンバ。
  2. 作動流体が封入された密閉空間を有するベーパーチャンバであって、
    前記密閉空間には、
    気体状態の前記作動流体が流れる複数の第1流路と、
    隣り合う前記第1流路間に設けられ液体状態の前記作動流体が流れる第2流路と、が備えられ、
    前記第1流路には、その内面のうち、前記ベーパーチャンバの厚さ方向で前記第2流路が配置された位置に段差を有する、ベーパーチャンバ。
  3. 前記段差に、複数の前記第2流路の少なくとも1つが設けられている請求項1又は2に記載のベーパーチャンバ。
  4. 前記第2流路のうち、前記第1流路に隣接する流路には、前記第1流路に連通する開口部を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載のベーパーチャンバ。
  5. 複数のシートの積層体である請求項1乃至4のいずれかに記載のベーパーチャンバ。
  6. 筐体と、
    前記筐体の内側に配置された電子部品と、
    前記電子部品に配置された請求項1乃至5のいずれかに記載されたベーパーチャンバと、を備える、電子機器。
  7. 別体である複数のシートを具備するベーパーチャンバ用の一組のシートであって、
    前記複数のシートのうちの少なくとも2つのシートには、溝と壁とが交互に配列された部位を有し、
    前記2つのシートの前記壁の接合面における幅が異なる、一組のベーパーチャンバ用シート。
  8. 別体である複数のシートを具備するベーパーチャンバ用の一組のシートであって、
    前記複数のシートのうちの少なくとも2つのシートには、溝と壁とが交互に配列された部位を有し、
    前記2つのシートの前記溝の開口面における幅が異なる、一組のベーパーチャンバ用シート。
  9. 請求項7又は8に記載のベーパーチャンバ用シートを製造する方法であって、
    前記溝をハーフエッチングにより形成する工程を含む、ベーパーチャンバ用シートの製造方法。
  10. 複数のシートを重ね合わせてベーパーチャンバを製造する方法であって、
    前記複数のシートに含まれるシートを請求項9に記載の方法により製造する工程と、
    複数の前記シートを重ね合わせて接合する工程と、
    前記接合により形成されたシート間に形成された中空部に作動流体を封入する工程と、を含む、ベーパーチャンバの製造方法。
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